平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号
平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録
第2号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)
◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。
○議長(藤山将材君) 次に日程第2、議案第117号から議案第138号まで並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
3番立谷誠一君。
〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきます。
改めて、皆さん、おはようございます。平成30年9月定例会、いよいよ本日から4日間にわたり一般質問が行われます。初日、トップで登壇の機会を与えていただきましたことに対し、先輩、同僚の議員の皆様方に心からの感謝を申し上げる次第でございます。
平成24年に安倍政権が誕生して、安倍総理は山積する諸課題の解決のため、果敢に挑んでいただきました。その一つに、経済を好転させるための政策・アベノミクスを発表し、その取り組みを進めることにより景気を回復させるとともに、エネルギッシュな外交を展開し、世界における日本の存在感を増すとともに、7年前に発生した三陸沖地震など、国内で発生するさまざまな大災害における復旧に思い切った政策を進めることにより、復興に道しるべをつけるなど大きな成果をおさめ、国民に希望を与えていただきました。
現在、自由民主党総裁選挙が行われていますが、日本国の指導者には、今後とも、日本が直面する国難に真っ向から立ち向かい、国民が希望を失うことのないよう、国土強靱化に向け力強く取り組んでいただけますよう願うものでございます。
去る9月4日、四国に上陸した台風21号は、近年最強と言われる暴風雨により、近畿圏はもとより日本全国に甚大な被害をもたらしました。被災されました国民の皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を目指し、心折れることなく頑張っていただけることを願うものでございます。
さらに、去る9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震により、多くの道民の生命と財産が奪われました。道民の皆様に心よりのお見舞いと、一日も早く復旧・復興に着手でき、もとの生活が取り戻せることが一日も早いことを願っているところでございます。
そして、ことし6月18日早朝にも大阪北部地域を震源とする地震が発生し、5名の方々が死亡し、400名を超える負傷者が出るという災害が発生し、その10日後の6月の28日から7月の8日にかけて発生した西日本豪雨は、死者223名、行方不明者9名という大災害となりました。災害の傷が癒えない中で、日本国内で次々と発生する自然災害に、日本列島を国家とする日本国民が置かれている大変過酷な日々に、全くやるせない思いでございます。
さて、さきの台風20号、そして21号の襲来で、和歌山県内でも一般住宅や和歌山県の基幹産業の一つである農林水産業等に多くの被害をもたらしました。特に、農林水産業関係の被害は大きく、出荷間際の柿やミカン、ハッサク、ブドウなど全ての農産物にわたるとともに、今回は強風による落果や枝折れ、桃の木など樹木が真っ二つに割れるなど、大きな被害が伝えられています。木の幹が割れると樹勢の回復には相当な年月を要することになり、長い年月にわたり減収となることが考えられます。
被害を受けられました県民の皆様に心よりのお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を祈念いたします。
さて、近年の和歌山県の災害被害に目を向けると、さきの台風に限らず集中豪雨など浸水被害が県内各地で発生しており、川沿いの住民の方々が、雨が降れば不安が募る状況でございます。和歌山県内における河川整備が大変重要と考えます。
ここで質問です。和歌山県内における河川整備の現状についてお伺いをいたします。
次に、8月23日襲来した台風20号で西牟婁郡内でも2級河川の富田川、日置川流域に予想外の雨が降り、下流域では家屋に床上・床下浸水が発生するなど大きな被害となりました。富田川、日置川流域を中心に被災地を見て回ると、住民の皆様から、「7年前の紀伊半島大水害後、3回も床上・床下浸水となっている」、「今まで何してくれたんな」、「あれほど川の改修、土砂を取り除いて樹木を切ってほしいとお願いしたのに、ほとんど進んでいない」、「もうこれは人災や」など、やるせない思いとやり切れない不満が声となり、私たちにぶつけてまいります。
私も県議会議場で、そして所属した各委員会等で、幾度となく富田川や日置川の河川の整備を訴えてまいりましたが、しかし、改修作業は台風等で傷んだところの修理は終わっても、新たな目的を持った取り組みはほとんど進んでいません。数年のうちに2回も3回も浸水被害を受けた県民の皆様のやるせない不満は十分理解できます。
さらに、県内各地における河川の状況を詳しく見れば、災害の発生した場所については、発生後、修繕や改修作業は取り組んでもらっていますが、どの河川もおおむね長い年月にわたって堆積した土砂の撤去はほとんどされておらず、放置されたままとなっており、西牟婁郡内を流れる富田川の場合、川の中に少しずつ堆積した土砂が、10数年もすれば島のように大きくなり、水の流れを妨げています。また、川の両岸には、堆積した土砂に樹木が繁茂して畑や宅地のようになり、水の流れを塞いでいるのが現状でございます。これらの土砂を撤去し、富田川の水位を下げてほしいと被災地の方々は強く求めています。こうしたことに対する早急な改善対策を求めたいが、当局の見解をお願いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成30年7月豪雨や平成29年7月の九州北部豪雨など、近年、台風や集中豪雨等により全国的に浸水被害が多発しております。
和歌山県においても、これまで昭和28年7月の大水害を初め、台風や集中豪雨等による浸水被害が繰り返し発生しており、近年では、平成23年9月の紀伊半島大水害により、県南部を中心に甚大な被害が発生し、また、平成29年10月の台風第21号や平成30年8月の台風第20号に起因する出水においても、多くの地域で浸水被害が発生いたしました。
こうした被害の軽減を図るために、県では、流域内の人口や資産が多く、河川の氾濫による社会的影響がより大きい主要な河川から優先的に河川整備計画の策定に取り組んできているところでございます。
特に、平成23年9月の紀伊半島大水害を契機に手続を加速化させ、現在、富田川を初めとする18計画の策定を終えたところであり、残る河川についても着実に進めていく所存でございます。
河川整備については、これまでも河道掘削や堤防整備など、着実に進めてきてはいるんですが、この10年間で県予算を毎年増額いたしまして、今年度は平成21年度と比べて約2倍の約48億円を計上し、実施しているところでございます。
引き続き、整備の推進に努めるとともに、さまざまな機会を通じて予算を確保し、早期完成を目指してまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 富田川の浸水対策についてお尋ねをいただきました。
富田川本川及び支川につきましては、昭和25年から築堤や護岸整備、河道掘削などの河川整備を順次進めてきたところでございますけれども、平成23年9月の紀伊半島大水害や平成30年8月の台風第20号による洪水など、近年も浸水被害に見舞われているところでございます。
こういった中、平成30年6月に富田川水系河川整備計画を策定したところでございまして、平成23年9月の紀伊半島大水害と同規模の洪水に対し、家屋の浸水被害が生じることのないように河道掘削や堤防の整備をおおむね20年間で進めることとしております。
今年度より、河川整備計画に基づき下流部から河道掘削に着手する予定でございまして、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保し、早期整備に努めてまいります。
また、河川の樹木伐採や土砂撤去などの維持管理につきましては、台風第20号の出水状況も踏まえ、引き続き本川や支川及びその合流部など、浸水が懸念される緊急性の高い箇所から実施してまいります。よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 知事、それから県土整備部長から御答弁をいただきました。その中で、要望をお願いしておきたいと思います。
知事の御発言の中で「残る河川についても着実に進めてまいります」という御発言をいただきましたが、ぜひ一日も早く完成できるよう取り組みを前向き、前向きに進めていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
それから、「さまざまな機会を通じて予算を確保し、早期完成を目指します」というお話です。国等に陳情に行かれるときは、ぜひ声かけてください。私らも行かしてほしいと思います。そんなお願いをさせていただきまして、どうぞよろしくお願いいたします。
それから、県土整備部長の答弁に対して再質問をお願いしたいんですが、構いませんか、引き続き。
まず、1点目ですね──3点ほど再質問させていただきたいと思います。
まず、昭和30年6月に富田川水系の河川整備計画を策定して進めてきたということでありますけれど、この策定計画、一体いつスタートしたんかというあたりのことをお尋ねしたいと思います。
それから、河道掘削や堤防の整備をおおむね20年かけて進めるというお話ですが、この20年も正直なところ待てない。この間に台風だけじゃなくて集中豪雨的なことなんかも、今の地球環境の異変の時代ですので、発生する可能性が高いと考えています。その都度、それまでの間に浸水騒動が起こり続けるということは、本当に住民感情から考えたときに待てない。一日も早くこの20年という数字を前倒しで御検討いただきたいと思います。そういった意味で、この20年の進めることという話に対して少し御見解をいただきたい。
最後にですが、「浸水が懸念される緊急性の高い箇所から実施してまいります」ということですが、この緊急性の概念を御答弁いただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 今ほど3点御質問いただきました。
まず、富田川河川整備計画の策定の手続の着手についてお尋ねをいただきました。
河川整備計画は、将来的な整備を目標とする河川整備基本方針に基づきまして、段階的な整備目標として策定するものでございます。
富田川河川整備基本方針につきましては、策定に要する測量や調査等を経まして、平成21年度から手続に着手し、平成28年度に策定をいたしました。その後、富田川河川整備計画につきましては、平成28年度から手続に着手し、本年、平成30年6月に策定したものでございます。
次に、整備期間20年ということをもっと短期間にできないかという御質問をいただきました。
河川整備計画は、将来的な整備を目標とする河川整備基本方針に基づきまして、段階的な整備を目標として策定しております。和歌山県におきましては、段階的な整備目標として、おおむね20年から30年で実施すべき内容を定め、下流部から上流部に向けて順次整備をしていくということで進めてございます。
議員御指摘の事業期間短縮につきましては、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保するなどいたしまして、より短期的に整備ができるように我々としても努めてまいりたいというふうに考えております。
それから、3点目、緊急性の高い箇所から実施ということについてのこの概念につきまして御質問をいただきました。
緊急性の高い箇所とは、本川や支川及びその合流部など、浸水が懸念されるところでございますが、具体的には河道内の堆積土砂や樹木の繁茂によりまして、出水時に川の流れを著しく阻害する箇所を想定しております。河川管理などの中で堆積土砂の撤去や樹木の繁茂の伐採など、引き続き我々も台風の出水状況を踏まえまして適切に対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
ちょっと僕の感想を聞いていただきたいと思います。
30年6月に完成を、策定したということですけれども、最近の災害でも、紀伊半島の大水害からでも7年たちます。やっぱりこういうことというのは、もっともっとスピード感を持った取り組みをこれからの行政のあり方として、そういったとこも頭の中に置いていただいて前倒し。やっぱりあんなひどい災害が起こって、もうでも50年、100年に一遍やから次なかなかないという話やなくて、こういう時代ですので、またいつ来るやわからん、そういうふうに考えたときに、やっぱりもっともっと策定計画ぐらいは早く早く進めてほしいと強く県民の一員としても思いますので、お願いしたいと思います。
それから、20年で進めることに対し、20年かけて完成していくというような趣旨でしたけれども、今、部長の答弁では、少しでも前倒しを考えていただけるということですので、ぜひお願いいたします。
それから、概念ですが、わざわざこの話を聞かしていただいたのは、私なんか西牟婁郡ですから、西牟婁振興局の出先の職員との交渉は多いんですけれども、どうもこの概念が、その都度、その都度、使い分けされてるかのように感じることがあるんです。優先度がどうの、優先度のそういう言葉もあったりとか。そしたら、希望していることがなかなかできていかないと。そんなことなんかも何度も何度も経験しましたので、やはりこの概念というあたりはきちんとしたものを持っていただいて、その中で公平公正な、優先度という言葉があるとしたら、そういうことを踏まえた取り組みを公平に進めていただく、そういう意味で、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
それから、せんだって──要は最近です。富田川の地元の河口の区長の皆さん方からお話がありまして、一遍河口を見てくれへんかという話がありました。これもお聞きいただいて、これからの施策の参考にしてほしいとちょっと思うことがあります。
それは、上流のほうの砂利を取っていないから、大雨降るごとに、富田川でしたら河口へ皆たまるんですが、堤防みたいになってるんです。これが、大雨降ったときに水の抵抗になって、地元の区長の皆さん方、学校の先生された方々が大方でしたが、あと公務員の方々とか、その方々の言うのに、この河口に積み上がってる、堤防のようになってる長い距離、河口を塞がせるようなそういう状態になってるんですが、これ取ってもらうだけでも富田川、最低でも数十センチから50センチぐらいの水位が下がるでって。そしたら、50センチ下がったら水害騒ぎ、起こらんのですよ。
ただ、上流で取ってないもんだから、雨や台風が来るごとにその現象が中に起こってて、せっかく押し込んで取っていただくんだけど、じきにまたそこへ堤防ができ上がってしまうと。これはイタチごっこ状態ですが、そもそもは上流の砂利を取っていない、長い年月にわたって取っていないことが、そこに堤防のようなものができる材料が上にあるわけですね。雨が降るごとにそこへ来て、それが積み上がってしまって、それが水の抵抗になって上流部の浸水騒動が起こってるんやという議論だったんです。
僕、その現場で写真も撮らせてもうて、なるほどなと思ったんです。全体的な道路のかさ上げ、浸かってしまうんですから、道路のかさ上げだったりとか、その間の大量な土砂があります。何十万立米だというふうに聞いているんですが、そのことを取るというのは費用もかかって年月もかかるということがありますけれども、河口にたまってる堤防のようになってしまったこの土砂を、これはもう取らな仕方ないんです、船が出入りできないから。
このことをもうちょっと優先的にそこに資金を投資していただくと、上流の浸水騒動、少しは回避できる。せめてこの間の21号ぐらいの雨だったら浸水騒動にならなかったん違うかと、そんなことにも思いますので。ただ、私は大学のそういう土木工学を出た男でもありませんので、科学的な見地で今発言を聞いていただけるかどうかといえば、ちょっとその能力に欠けてるとこあると思います。だから、一度現場を見ていただいて、その地元の大勢の皆さん方が言うてることが科学的なんかどうかというあたりも検証いただいて、効率のええ財政の支出をしていただければありがたいかなと思います。
これは、西牟婁郡でしたら日置川においてもよく似たことになっていますので、日置川のほうもこの間の21号でも20件前後の床上浸水をしています。あの程度の雨という言い方はおかしいですが、瞬間的な1時間、2時間で100ミリ前後の雨が降ったことが問題と違うかと。7年前は三日三晩降り続いてたそうでしたけれども、今度、たった1時間、2時間でもそうなったと。そのぐらいのことでああしたことになるということは、根本的なところの対策が必要な部分があるんではないかなと、そんなふうにも思いますので、ぜひそういう視点でもお願いをしたいと思います。
うるさいようで悪いんですが、実は、僕は25年ほどこの政治家の仕事をさせていただいているんですが、初めて手紙が来ました。その手紙の内容は、私が住んでいる富田川下流域などは──平、平間、富田地区と地区があるんですが──いつも氾濫のおそれがあり、避難対象区域となっていますと、そんな言葉がずっと文章の中に、手紙にあるんですが、その手紙に、「読売新聞」でしたけれども、新聞のこの記事をつけてくれてたんです。(資料を示す)これ、少し朗読させていただこうと思います。
といいますのは、私もこの議場で馬川だったりとか岡川だったりとか、そういうとこに物すごく繁茂してる草木、それを取ってほしいという発言もここでさせていただきましたが、当時の当局の回答は、水流れたらこけていくから大丈夫や的な話だったんです。でも、この新聞を読みましたら、やっぱりこの樹木であったり、そういうものを取り払うことによって氾濫が回避できたということを書いてるわけです。
ちょっと朗読させていただきましたら、「西日本豪雨で増水した広島県府中市の芦田川では、7年前に中州の樹木を伐採するなどした効果で氾濫を回避できた可能性があることが国土交通省の調査でわかった。同県三原市の沼田川では、中州の樹木に流木がひっかかり、水が流れにくくなったことが一因で氾濫したとされている。同市は、中州対策の重要性が確かめられた。同様の取り組みを広げていきたい」云々のことを書いています。
要は、今まで本当に放置状態にあった川の中の樹木を取ることによって氾濫が回避された。少しのそのことによって、何十センチか堤防がオーバーフローすることなく回避できたという、そういうことが科学的に検証できてるという趣旨の内容です。こんなことなんかもこれからの土木行政の中で、ぜひ真剣に考えていただいて対策を講じていただきたいと思います。
もう1点ですが、実は、まだこれ正式に提出されてないんですが、今度、別の地区のちょっと上流の区長さんからの嘆願書です。嘆願書という表現ですけれども、もうたまらんから、こういう要望やとかそういう文書ではないんですね。嘆願書を白浜町長宛てと、実は仁坂吉伸和歌山県知事宛てに出すと。そういう内容のものを預かりまして、これは正式に近く嘆願書が上がってくると思うんです。みんな必死なんです。このことをぜひわかっていただきたいと思いまして、きょうはここに持ってまいりました。ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の項目に入らしていただきます。
次に、突然マスコミなどの報道によりクローズアップをされた感のあります障害者雇用についてお伺いをしたいと思います。
報道等によりますと、国の全ての機関が法律で定められた障害者雇用枠の達成を偽ってカウントし、いわゆる水増しのようなことをして各省庁内で相互に認め合っていた──新聞の報道ですけど──となっています。日本国民の障害者福祉をリードしていく立場にある厚生労働省でさえ、同じ穴のムジナであったとは。
障害者運動をボランティアで数十年にわたり長く取り組んできました私たちは、今後何を信じて活動すればいいのか、まさに青天のへきれきでございました。法律をつくり法律を守ることを国民に向かって率先して取り組んでいかなければならない国家官僚の組織が犯した罪に、法治国家の根幹の信頼が大きく揺らいだと私は思います。
私の友人で、元公務員だった男性ですけど、電話、すかさずそのときにありまして、こんなこと言いました。「国がこんなことをするんやから、もう何も信用できん。世も末や」と嘆いていました。そして、「そもそも障害者雇用などする気はないんや。そもそも障害者福祉などする気はないんや。法律はつくっただけや。仕方なしにしやんねや」と、そんな吐き捨てるように言っていましたことを御紹介させていただきます。
ところで、我が和歌山県はどうだったのかなと思っていましたら、過日、県の担当課より連絡があり、やはりこの機会に調べてみると下回っていたとの話でした。その瞬間、私は、ごまかされていたとの思いを強く持ちました。それは、もう6~7年前になるでしょうか。障害者雇用について、まさにこの相談をしていたからです。
当時の職員の返事は、障害者雇用枠は特に問題がないとの内容でありました。繰り返しますが、私の当時の相談は、職員が40年ほどの勤務期間中に、体調を壊し、障害者認定を受けるようになった人の数もカウントに入っているんですかとの確認でした。
改めて、障害者雇用について県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 総務部長。
〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) 県庁の障害者雇用につきましてお答えいたします。
今般、中央省庁等における障害者雇用率の不適切な算定に関する報道を受け、本県における障害者雇用率について再調査を実施したところ、本来対象とすべきでない職員17人を算入していたことが判明し、この結果、平成29年6月1日現在の本県の障害者雇用率は2.30%から1.91%となり、法定雇用率を下回ることとなりました。
本件は、県政に対する県民の皆様の信頼を損なうものであり、特に、障害のある方やその御家族、また障害のある方々の就労を支援されている皆様並びに雇用の促進に取り組まれている企業の皆様に大変な不快な思いをさせる結果となってしまったということについて、改めて深くおわび申し上げます。
こうした誤りが起こった原因といたしましては、障害者の雇用状況に関する厚生労働省からの調査に際して、対象となる障害者の範囲やその把握、確認方法等を示したガイドラインの理解が十分でなかったことにあると考えております。
これまでの調査では、障害を有する職員本人からの申し出があった場合に障害者手帳等の保持を確認しておりましたが、一方で、職員の人事上の自己申告において、手帳等を保持していないが障害を有するとした記載に基づき、手帳等を保持する者と同程度の障害を有すると判断した場合に障害者数に算入したため、結果として基準を満たさない者を障害者数に含むこととなりました。
県としましては、今回の事態を厳粛に受けとめ、今後はガイドラインに沿った適正な算定を徹底してまいります。
なお、今回の再調査で法定雇用率を下回る結果となったことに伴い、障害者雇用促進法に基づき、法定雇用率の達成のための障害者の採用に関する計画を作成し、厚生労働省に提出することとなっています。
県では、平成20年度から身体障害者の一般職員及び知的障害者の非常勤職員について毎年1名ずつ、平成29年度からは新たに身体障害者の事務補助職員について別途枠を設けて採用試験を実施してきたところでございますが、まずは早期に法定雇用率を上回るよう当該計画を確実に推進するとともに、本県における障害者雇用のため、より積極的な採用に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会の障害者雇用についてお答えいたします。
県教育委員会の事務局職員及び県立学校、市町村立の小中学校の教職員を対象に再度確認いたしましたところ、本年度報告していた122名中、日常生活に支障があると思われる教職員1名について、身体障害者手帳等を所持していませんでしたが、手帳等を所持する者と同等であると判断して算入しておりました。この1名を除いて本年度の障害者雇用率を算定し直すと1.96%となります。
障害者の雇用につきましては、教員採用検査において、平成19年度より身体に障害のある人に配慮した新たな採用方法を導入するとともに、平成28年度からは全ての校種、教科で特別枠を設け、受検できるようにいたしました。また、学校事務職員についても、平成20年度から身体の障害のある人を対象にした募集枠を設け、採用検査を実施してきております。
県教育委員会といたしましては、現在の障害者雇用率が法定雇用率にさえ達していないことを真摯に受けとめ、今後も引き続き、障害のある人の積極的な採用に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 警察本部長檜垣重臣君。
〔檜垣重臣君、登壇〕
○警察本部長(檜垣重臣君) 警察本部における障害者雇用の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。
本年6月の調査において、障害者手帳等の現物を確認した結果、本年度の障害者雇用数については、法定雇用率2.5%、職員数に換算しますと10名が必要であるところ、実雇用率は約1.2%、職員数で5名であり、法定雇用率が充足されていないことが確認されました。
警察本部では、県人事委員会と連携して、平成27年度から身体障害者の方を対象とした採用募集を実施しており、平成27年度の採用試験では1名を採用しておりますが、平成28年度、29年度は応募者がございませんでした。
今年度以降も募集活動を継続し、可能な限り速やかに法定雇用率を充足するよう努めてまいります。
障害者の方を対象とした採用募集は、警察事務を職務とする職員として正職員扱いで採用することを想定しております。また、非常勤嘱託職員や公募による事務補助職員についても障害者を採用することもございます。
今後も、法の趣旨にのっとり、障害者の方の雇用促進を図ることを目標として障害者雇用を促進してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁いただきました。答弁いただいて、私の感想を少しお聞きいただきたいと思います。
例えば、今回でしたら、まあ言えば、法律の制裁を受けるというようなことがないわけですけど、これ、一般企業の場合でしたら、私も何度も経験ありまして、例えば大阪で、ちょっと交際のある企業で9000人ほど従業員がおるんですが、そこの人事的な立場にある人から電話ありまして、もう10年ほど前ですけど、厚生労働省におどされてるんやと。法定雇用率を下回ってるから、いつ幾日までしないと公表するぞと。社会的制裁を受けさせるぞという意味ですよ。それで慌てふためいて、それで相談ありましたので、特例子会社の設置をちょっと僕は提案させていただいて、そのことで、これ、みなし規定みたいなんがありまして許されて、それでその企業は回避ができた。そんなことを必死になってやっています。
特例子会社、ちょっと調査しましたら、400近く全国でできていて、そないして企業の立場の方々は必死になって法律で定められた、法律を守っていかなあかん、その精神でやってる姿を僕は感じています。
公的団体の場合はそれは構わんのかと、ちょっとついそんな、ちょっと口悪かったかわかりませんが、そんなふうにいつも感じる次第です。
それから、もう一つ、今の三つの担当課のほうから返事をいただいたわけですけど、これ、そもそも法律で2.何%、100人おったら2人ちょびっとですね、障害ある人を入れなあかんと、こうなってるわけですけど、わかりやすく言えばね。今、頑張っていることは、その定められた2.何%を何とかそこまで届けようとしてる姿にしか見えんのです。これは、努力目標だと私は思うんですよ。
2.何%、例えば、ある部署は3%も4%も実は雇用があったんやという話を聞きたいぐらいなんですが、みんな、定められた2%を何とかここまでしとかんと、法律があるんやしなというような姿にしか見えんのです。
せめて和歌山県、何かいろんなおくれてる県やと言われがちなところ、せめてこのことだけでも日本をリードするような数字を出してる、そのことによって県民が胸張って話ができると、そんな環境に早く届かないかなとちょっと感じる次第です。
それから、教育委員会の答弁いただいた中で、後段のくだりで、「法定雇用率にさえ達していないことを真摯に受けとめ」という言葉を入れていただいてました。僕は、まさにそのとおりだと思います。ぜひ真摯に対応していただいて、せめて法定雇用率をカバーできるようにお願いをしたいと思います。
それから、長年こんなことを取り組んできた立場の一人として、一つ提言をさせていただこうと思います。先ほどお話しさせていただきましたが、どうしても職場職場によって法定雇用率が達成できない、そういう環境がある、その職場があるというふうなところがあるとしたら、一つに、ちょっと調べてみたんですが、第三セクター的な組織がある場合は、そこに特例子会社をこしらえて、そこに採用さしていただくことによって、全体で雇用率が超えてきた、雇用率が達成したと、そういう方式が実はあるんです。
県当局のほうも、地方自治体ではこういう事例ってあんまりないと思いますけれども、でも、障害者雇用をもっともっと積極的に進めていただきたいという思いの立場から言えば、方策の一つとして特例子会社を検討していただけたらどうかなと。
そしたら、例えば県警の皆さん方の職場でしたら、どうしても障害ある皆さん方、同じような法定雇用率でいくと、実際、現場は体力が要ったり、それから24時間勤務であったりとか、障害ある立場の者が十分働くことができない、そういう環境があるような職場もやっぱりあるんだろうと思うんです。そこにまで同じ数値を押し込んでいくということは、むしろそのことによって住民の、県民の治安を守っていくという機能が100%発揮できるかというようなあたりのところを考え合わせたときに、いろいろ方策の一つとして、無理なむちゃな雇用の話につなげていくという話ではなくて、何かそういう特例子会社的な方策をとることによって、くどいようですけど全体の雇用率の改善につなげられればいいんじゃないかなと思ったりします。
そんなことも含めて提言をさせていただいて、一度御研究をいただけたらありがたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そしたら、議長、続いて。
次に、高校生の通学について御質問させていただきたいと思います。
高校受験を控えた3年生の保護者等による教育長に対する陳情が近年、恒例みたいになってまいりました。その陳情の中身の一つが、普通科教室の増設であります。
近年、生徒が普通科への進学を求める大きな要因として、例えば、発展途上国と言われ、過酷な生活を強いられているアフリカの国々においても、携帯電話で連絡を取り合っている姿がテレビなどの映像で見受けることができます。全地球的規模で5年、10年という極めて短期間のうちにIT化社会に突入するなど、現代社会の生活環境が我々考える以上に大きく変貌していると感じます。子供たち自身の将来を見る目と心が時代を見据えた姿に変化し、進化しているからだと私は考えています。
その生徒たちが自分自身の将来を考えるとき、急変する時代に対応できる位置でありたい、その思いの帰結として、将来社会にフットワークがきくとの考え方から、普通科を求めることになってるんではないかと考えるわけでございます。
その教育長との団体交渉の席で、学区制の廃止により遠距離通学になってる生徒たちの交通アクセスの問題も最近提起されるようになりました。育友会の代表いわく、「田辺圏の生徒の中で、かなりの数の生徒が日高あるいは串本方面に高校入学が決まり、遠距離通学を余儀なくされている。その生徒の多くが、クラブ活動をすると、帰りのJRの列車がなく、帰宅が夜の10時ごろになってしまう」との訴えでありました。「これでは、生徒たちが帰宅後、予習や復習をする時間がほとんどとれません。もう少しきめ細かいダイヤ編成が欲しい」とのことであります。
生徒たちの学習環境を守ることも、教育委員会の仕事の一つだと考えます。そもそも、学区制を取り払い、現在の姿に移行していく協議の中で議論がなされていなければならなかったことと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(藤山将材君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校の通学区域のあり方につきましては、平成10年5月に設置したきのくに教育協議会の中で協議が行われました。新たな専門学科や総合学科が設置され、人口動態や交通事情が変化し、生徒や保護者のニーズや価値観もますます多様化する中で、通学区域のあり方について検討するものと報告されております。
中学生が高校への進学を選択する際には、学校や保護者と相談しながら、将来を見据えて課程や学科、自己の学力や適性、部活動等の教育活動、通学に要する時間など、さまざまな観点から決定していくものと思います。県教育委員会といたしましては、進路の選択肢をできる限り確保するとともに、高校教育を受けることができないというような事態にならないよう努めております。
また、通学に要する時間は、地方によっても条件に違いがありますが、重要な観点の一つと考えております。通学手段につきましても、子供たちの教育活動にできる限り支障を来さないよう、関係機関と協力し、公共交通機関の利便性が確保できるよう引き続き働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。ぜひどうぞよろしくお願いしたいと思います。
ちなみに、どの程度の生徒がおるんかということで、ちょっと忙しい日が続いたんで、直接お会いして話を具体的に育友会の関係の方々にも確認したいというふうに思ったんですが、できませんで、実は先ほど、ここの開会の10分ほど前に携帯のほうに電話がありまして、その数字なんですが、田辺から串本のほうに通われている方が11名、新庄からみなべのほうには105名、そういう数字をお伺いしました。すさみから富田のほうから通われる方で3時間ぐらい待つようなことがあると、そんなことです。
それから、この相談を当局の皆さん方にした折に、こんな話がありました。これも何かちょっとやっぱり子供の立場に身を置いた言葉ではないように思えたんで、ちょっとお聞きしておいていただきたいと思います。
こんな話になりました。子供たちが望んで行ったんだったら、それはカウントから離しますと、田辺から串本のほうに行かれてる生徒は1名ですと、大分数字が違うじゃないですか。
それと、子供たちが選んで行った場合は違うかのような話ありましたけども、そうじゃないと思います。学区制を取って、子供たちが好きなところに学習できるような環境を整えたわけですから、それもいろいろそこに行くには、その域内での学力不足だったから、そこへ行かざるを得なかった、そんな子供たちもあるわけですけども、いずれにしましても、子供が選んだことやから自己責任的な話は論外だと思います。これが東京に通っている話だったらいざ知りませんが、この小さな和歌山県の中でこんな状況があるというのは、やっぱり次代を担う大切な子供たちです、十分な教育環境というのは真剣に考えてあげてほしいなと。それが我々の世代が次の世代のための子供たちにする真剣な取り組みであるはずであると僕は思うからです。どうぞよろしくお願いいたします。
そしたら、議長、次に入らしていただきます。構いませんか。
最後です。白浜国際ターミナルビルの建設についてでございます。
白浜空港の経営は、コンセッション方式で決まった新しい運営体であります株式会社経営共創基盤との交渉が終了しまして、現地法人としてつくられた株式会社南紀白浜エアポートが運営していくとのことでございます。その経営幹部の動きが活発化しています。
私は、その活動を強く支援をしていきたいと考えています。それは、以前もこの席で発言をさせていただきましたように、あの土地を本当に先祖からの、あるいは生活の基盤そのものであった土地を、お上のすることだからというて、みんなが成田闘争するようなこともなく気持ちよく提供してきた、そして寿命を終わっていった皆さん方の気持ちを思えば、何とかあの空港が県営空港としての当時の計画の段階に、恐らく県当局の当時の皆さん方も夢見た姿があったんだろうと思います。その夢見た姿にできるだけ近づけることに、地元に住んでる我々自身もやっぱり協力すべきだと思うからでございます。
私は、そしてその活動を強く支援していきたいと考えていまして、その具体的な形の一つとして、一日も早く白浜空港活性化の目的の一つでもありました国際ターミナルビルの建設にまず着手してほしいと考えていますが、当局の計画によりますと、あと3年後となってるんです。なぜあと3年も必要とするのか。人、物、金が、国境がなくなってきていると言われているこの時代、過去のスピード感では目標や目的を見失ってしまうんではないかと思ってしまいます。そういった意味で大変危惧をしています。
ちなみに、私たちは、経営体の一日でも早く健全な経営体制になることを願いまして、佐賀県内に設置されている同じ2000メートルの滑走路を持つ佐賀空港へ調査にも行かしていただいて、その取り組みを参考に白浜空港利用促進のための応援団を組織化するとともに、その作業を進めさせていただきます。
そうしたことも踏まえて、当局の御見解をお願いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 国際ターミナルビルの竣工につきまして御質問をいただきました。
南紀白浜空港の国際線ターミナルビルにつきましては、県が運営事業者の募集を行った際のテーマの一つに設定をしておりまして、その配置計画の提案を求めておりました。今般、その詳細につきまして、大阪入国管理局など関係機関との協議が調ったところでございます。
今議会におきましては、国際線ターミナルビルの設計作業に着手するべく債務負担行為の設定を御提案させていただいているところでございまして、御承認をいただき次第、直ちに設計業務の入札手続を開始する予定としております。
設計業務の工期につきましては、約9カ月間を想定しておりまして、2019年8月末には実施設計を完了する予定でございます。その後、速やかに建築工事に係る入札手続を進めてまいりますが、事業規模が大変大きく、また議会承認が必要な建築工事となる予定でございますため、工事着手につきましては2020年2月議会の御承認をいただいた後の2020年4月を予定しているところでございます。
建築工事に係る工期につきましては約14カ月間を見込んでおりまして、国際線ターミナルビルの完成につきましては2021年の6月を目指しているところでございます。
今回発注いたします設計業務の中におきまして、建築工事の工期を短縮できる手法についても検討させていただきまして、早期の竣工に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。ぜひ、気持ちは一日も早く、今おっしゃっていただきました工期の短縮をいただいて、一日も早く国際ターミナルビルが完成し、大金を投入してつくった南紀白浜空港が県民の皆さん、そして日本国内あるいは外国の皆さん方が活発に使っていただきまして、きらきら光る飛行場につくり上げていただきたいなと、そう思います。
勝手なことを申し上げまして、終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。