平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 3番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 おはようございます。一般質問の最終日になりました。その1番バッターを務めさせていただきます。
 去る6月18日発生しました大阪北部地震により5名の方々が亡くなり、400名余りの方々が負傷されたとのことであります。亡くなられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、けがをされた方々の一日も早い御回復と速やかなまちの復興を祈念いたします。
 また、この地震を踏まえ、新聞に日本防災学の権威と言われている河田先生の見解が載せられており、その中で南海・東南海地震に連動していく可能性が指摘されておりました。
 一方、県内の地震対策を考えるとき、知事がよく発言されている、逃げ切るための対策としての避難路1つ取り上げても、まだまだ十分ではありません。この広い県内で避難路の設置状況は、私が2月議会で確認したところではまだわずか800カ所余りで、1桁も2桁も少ないと考えています。
 進んでいない理由の1つとして、市町の行政における、例えば地区防災計画の策定等が補助の条件となっているなど、ハードルを設け過ぎていることがさっさと進まない原因になっています。防災組織ができなければ避難路1つつくれない。結果としてつくることができない。
 想定されている南海トラフ地震が発生すれば、9万人もの県民の犠牲者が出ると発表されて久しい年月が経過いたしました。9万人の犠牲者数は、7年前の三陸沖地震の犠牲者の5倍以上の数字です。「補助金制度をつくっているから必要な人は申請しなさい」の態度ではなく、全額、国や県や市町など公的団体の責任として、水没が想定されている地域には、県民の命を守り抜くために、その責任において積極的につくるべきだと思います。
 県内における防災・減災の取り組みのスピードを上げていただけることを強く要望したいと思います。
 それでは、通告の1番目に入らしていただきます。
 さて、去る5月25日から28日まで、中国の大連市の視察団に同行してまいりました。メンバーは団長の井本かつらぎ町長とかつらぎ町の担当職員、井出議員、服部議員、そして私の5名でありました。目的は、大連市中日友好協会の方々との交流を重ね深めることにより、現在、そして将来の時代に向かって、極東の両国の国民がもう争うことのない、平和で文化や経済の発展を享受できることにあります。
 当日の大連市主催の歓迎会には、東京や大阪など日本各地からそれぞれ友好関係を設立している22の団体と、人員にして400名近くの人々が出席しており、席上それぞれの団体の紹介がございました。それぞれの団体の代表の方々は、席上、友好関係の継続発展の意義を力強く発表されておられました。
 大連ジェトロ事務所にも訪問させていただき、所長ほか職員、そして地元大連市企業の代表の方々と実務的な貿易について懇談をいたしました。特に企業の方々からは、日本の鮮魚、とりわけマグロやイカなど日本人好みの魚種に近年中国の方々も強い関心があるとのことで、有望な輸出品目と感じました。
 一方、中国は近年まで一人っ子政策を進めてきた関係で、中国の人口は、近年は1年間に700万人ほどの増加となっており、大連市や山東市の人口は減少しているとのことでありました。また、現在の中国大陸で生きていくのは大変で、いろいろな場面で競争が激しくなっており、生活は不安定であるとのことでございました。
 案内してくれた通訳さんは、こうした時代を反映して、大学の進学率は15年前には4%であったが、今では40%にもなっていて、子供に高学歴の経歴をつけて社会に送り出す風潮になっているとのことでありました。担当してくれていた通訳の女性は、2人目の子供の出産に10万元のお金を当局に支払ったとの話でございました。
 若者の結婚自体も日本のように晩婚になってきており、平均的な結婚年齢は30歳ぐらいになっているとのことでございました。そして、女性の仕事は50歳で定年を迎え、男性も60歳で定年を迎えるとのことでございました。
 また、他の企業経営者からは、メディカルツアーについての協力を求められました。いわく、中国には検診の文化がない、10歳代、20歳代、30歳代で白血病などのがんになる国民が多くなっているとのことでありました。検診は、日本でも最先端の技術でもあるPET検診やMRI検診などを希望しており、その会社にはもう既に3万人の会員登録があり、多くの人々がメディカルツアーに参加し、日本での検診を待っているとのことでございました。
 さらに、移動先の大連貿易特区の視察では、広大な敷地内に巨大な倉庫がつくられており、ここからは関税がかからない、ことし1月に特別な認可をとった地域であるとのことで、日本からの輸入に大きな期待をかけてくれておりました。
 すかさず団長の井本町長から、持参したかつらぎ町の特産でもあるあんぽ柿の中国での認知度アップと、中国での輸入をスタートしてもらえないかとの申し出をいたしました。なお、あんぽ柿の売り込みは今回の視察の目的の1つで、行く先々で交渉と説明を繰り返したところでございます。
 さらに、日本での情報として、中国国内では数年前から決済方法の1つとしてウィチャットが広がっているとのことであったので、1日同行してくれた大連市の職員に情報を確認してもらうと、「アリペイとウィチャットが普及しています。ウィチャットはアリペイをまねして広がってきました。現在のシェアは、アリペイとウィチャットは五分五分になっている」とのこと。「中国では7億5000万人がインターネットを使い、そのうち2億人ほどはウィチャットで決済をしている。日本でもウィチャット決済が可能になれば、中国人の消費はもっともっと拡大すると思われる」との話でございました。
 観光大国になろうとすれば、中国人観光客対応策の1つとして積極的に取り入れていくことも必要な時代なのではないかと思った次第でございます。
 以上、大連視察の報告とさせていただきます。
 それでは2つ目に、南紀白浜空港のバージョンアップということで質問をさせていただきたいと思います。
 当局から過日、民間の運営団体がようやく決まったとの報告を受けたところでございます。新しく決まった運営体は、開港以来赤字経営が続いている県営空港にどんな可能性と魅力を感じたのでしょうか。新しく決まった運営体のプレゼン内容を教えてください。
 そして、国際ターミナルビルの建設計画と国際便の就航見通しについてもお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港への民間活力導入と国際線ターミナルビルの建設等についての御質問でございます。
 提案した事業者がどのように魅力を感じたかは不明でございますが、県としては、空港近傍に世界遺産「熊野古道」など国内外から人気の高い観光資源が控えていること、また、本県が取り組んでいるリゾート地ならではのITオフィスの誘致が進んでいること、さらに、現在、白浜地域でのホテルへの投資が盛んに行われていることなどの要因を総合的に勘案し、将来性を見出したのではないかと推測をしてございます。
 国際線ターミナルビルの建設につきましては、県が運営事業者の募集を行った際のテーマの1つに設定し、その配置計画を求めました。今回、運営権の設定を予定している事業者からは、2階建て、延べ床面積で約2700平方メートルの建物を新築し、1階には出入国手続スペース、国際線の保安検査場及び搭乗待合室、また2階にはダイニング及び商業スペースを配置する提案を受けてございます。
 また、国際便就航の見通しにつきましては、運営事業者募集の際に求めた海外からのチャーター便を含む航空ネットワークの拡充についての提案に関連していると考えております。運営権の設定を予定している事業者から、羽田線の機材大型化、成田線の新規就航、国内及び海外からのチャーター便の誘致等により、旅客数は10年後には25万人、20年後には30万人を目指す提案を受けてございます。国際便については、定期便の提案はございませんでしたが、韓国ほか近隣アジアや極東ロシアからのチャーター便の誘致が提案されてございます。
 なお、国際線ターミナルビルの建設につきましては、事業者からの提案に基づき、県が整備を担うこととなってございます。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁をいただきました。そこで、2つ、3つ、ちょっと気になることがありますので、少し話を聞いていただきたいと思います。
 まず、10年後に25万人、20年後に30万人というお話ですけれども、それもチャーター便の誘致、定期便はまだ提案がないというような内容でありましたので、これ今、白浜便は12万から13万人のお客さんです。チャーター便でこの25万人にしようとしたら、ちょっと単純計算すると、1年間に25万人ですから13万人前後ふえてる計算になりますので、そしたら、仮の話ですが、チャーター便が150人ほどの飛行機だとしたら、何と666回、チャーター便、飛ばんといかんのです。それも150人乗りの飛行機だとして、それを満席状態で毎回飛んでるということというのは、ちょっと現実的でないように思えて、仮の話ですが、8割、9割の搭乗率だったとすると、700回以上1年間にチャーター便が飛び続けなければこの25万人にならない。
 そんなふうなことを考えたときに、本当にこの数字というのは、我々が確認してそのことを認めていくということでいいんやろうかと思います。それと、もっと内容が具体的なことから少し抜けてることがあるんではないかと。いろんなことを、きょうは御発言、先ほど部長からいただいた中で、ほかにも感じることがございます。
 したがいまして、これってやっぱり我々は、特に紀南のほうに住んでる者は、この飛行場の活用って本当に真剣に考えています。この飛行場の活用によって、我々の次の世代が本当に生き生きと希望に燃えた生活をいただける、その大きなエネルギーを持っていると考えているからでございます。
 そういった意味で、もっともっと詰めた、詰めの細かい科学的な数字を出していただけることを業者の方々にもぜひお願いをしていただきたいなと、そんなふうに考えた次第です。
 そしたら、この項目の2つ目の質問に入らしていただきます。
 南紀白浜空港は、大変残念なことに、その幅や長さは人、物、金の国境がなくなってきたと言われる時代、グローバル化されてきた時代の目線で考えると、「帯に短し、たすきに長し」の格言が実態をよくあらわしてると私は考えています。
 国内の各飛行場は農家でいうところの産地間競争の状況にあり、その実態は利便性や料金等の過当競争にあると考えられます。勝ち組にならないと、いつまでも無理な経営と運営を余儀なくされると思われます。県営から民間経営になると直ちに黒字になるとは一概に考えることはできません。魔法のつえなどあるはずがないと考えています。
 あるとすれば、白浜空港の現状から考えられることは、滑走路を延長し、新しい航空路線の可能性を広げることだと思います。現有のままでは、その可能性は限られています。しかし、あと数百メートル延長できるだけでも飛べる飛行機が大きくなり、航続距離が延び、発展著しい東南アジア方面まで広がります。
 聞くところによると、政府から50メートルの延長を求められているとのことですので、その折にでももう少し滑走路を延ばしておけないかと考えました。知事の御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南紀白浜空港の滑走路の延長については、私も本当にもっと長けりゃいいのになあというふうにいつも思っておりまして、これまでも滑走路延長の検討は何度か行った経緯があります。
 南側への延長については工事施工等の観点から、北側への延長については進入灯の移設等の観点から、滑走路をどれだけ延長するかにももちろんよりますけれども、いずれの場合も何百億円からの事業費を要するおそれもあり、現時点ではなかなか難しいなあというふうに思っております。
 これまで県職員による航空路線の誘致はなかなかうまくいかなかったんでございますが、2000メートルの滑走路でも中国からの定期便が就航している空港もあることなども考えますと、今後は、運営権者が有する民間ノウハウを生かした海外からの航空路線の誘致に期待がかかるというふうに思います。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 今、知事のほうからそういう御答弁をいただきました。この議会に知事説明要旨ということで、こうした定例会の中で報告がありましたが、この一文をちょっと読ましていただきます。
 「『世界とつながる愛着ある元気な和歌山』の実現に向け着実な歩みを進めるとともに、未来への駆動力を生み出す新政策を推進し、さらなる和歌山県の発展を加速化してまいります」。この駆動力の源泉というのは、勝手な解釈かわかりませんが、私は飛行場ではないかと。飛行場、これから駆動力という置きかえで新政策の中に反映をいただいて、もっと強力な取り組みをいただけるんかなと、そんなふうに解釈をさせていただいた次第です。
 ぜひ、今の御答弁も踏まえまして、白浜空港の今後のあり方をこれからも研究をしていただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。
 それでは、引き続きまして、3番目の項目に入らしていただきます。
 多発する凶悪事件や児童虐待についてということで、御質問をさしていただきます。
 日本国内で毎日のように発生する凶悪事件。新聞やテレビなどマスコミから発信される事件の詳細を知るたびに、身が震える思いでございます。そのいずれもが、拉致されるとほぼ同時に殺害されている。殺すことを目的に連れ去っているのです。虫けらのように殺害しているのです。大切な家族や友人、友達や社会とのつながりを突然断ち切られ、この地球上から葬り去られたのです。
 毎日毎日、新聞やテレビで殺人事件が報じられています。世界各国の中でも治安のよい国と言われてきましたが、日本は本当に治安のよい国なのでしょうか。私は、もう立派なテロ国家であると考えます。
 5月7日、新潟市西区の小学2年生の大桃珠生ちゃん(7歳)が学校から帰宅途中に自宅近くで拉致され、殺害されるという事件が発生しました。そして、遺体が自宅近くの線路に遺棄され、通過した電車にその体が巻き込まれたと考えられています。
 この余りにもすさまじい所業に日本国民の大半が大きな衝撃を受けたことはまだ記憶に新しいところでありますが、今度は5月26日、浜松市内のスポーツジムの駐車場で内山茉由子さん(29歳)が自分の車に乗った直後、インターネットの掲示板サイトで結びついた男などによって押し込まれ、そのまま連れ去られ殺害されるという事件が発生しました。29歳の若い女性がまるで家畜のような扱いで、1つしかない命、1度しかない人生を無法者たちに奪われてしまいました。まるで鬼のような所業である。とても人としての心ある者のしわざとは思えません。突然ゆえなく殺害された内山茉由子さんの無念を言葉にすることはできません。
 相前後して、今度は東京都目黒区で虐待を受けた女の子、結愛ちゃん(5歳)が死亡した事件が新聞やテレビで報じられています。そのすさまじい虐待ぶりと結愛ちゃんが遺書のようにノートに書き残していた平仮名書きの文は、一度読んだ後、余りにもかわいそうで気の毒で、再び読み返すことができなかったほどであります。このことを友人に話すと、友人も「テレビでその放送が始まるとチャンネルを変えてしまう」と言い、また、他の友人も「二度とあの悲惨な結愛ちゃんのノートは読むことも聞くこともできない」と言っていました。私も同じ思いでございました。
 日本国総理大臣の安倍首相も、テレビインタビューの中で「痛恨のきわみである」とコメントを出していました。総理大臣をして痛恨のきわみと言わしめたほどの衝撃を全国民に与えました。
 6月22日の一般質問で菅原議員も胸を詰まらせていましたが、結愛ちゃんの残した文、最後まで読めるかどうか自信はありませんが、朗読をしてみたいと思います。
 「もうパパとママにいわれなくても しっかりとじぶんから きようよりかもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできなかったこと、これまでまいにちやってきたことをなおす これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいやからやめるから もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします あしたのあさは ぜったいやるんだとおもって いっしょうけんめいやるぞ」。
 5歳の女の子の文章とは思えない、思いたくない。この5歳の女の子に何の罪があったのでしょうか。この子に何の責任があったというのでしょうか。この世に生をうけてわずか、わずか5年、わずか60カ月の人生でした。結愛ちゃんが大人に成長できていればどんな立派な女性に成長しただろうかと思うとき、言葉にあらわすことのできないほど無念で残念でなりません。
 ところで、児童相談所に2回も一時保護されていたとの情報であります。なぜ防ぐことができなかったのか、なぜ助けられなかったのか。もう二度とこんなひどい事件に遭遇したくないと、国民の多くの人がそう思ったはずであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 全国的に、通学途中の子供を狙った殺人事件やインターネットサイトを利用した凶悪事件が多発しています。全国における殺人事件の認知件数と、これら事件を防止するための県警察の対策についてお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 治安のバロメーターとされる全国の刑法犯認知件数は平成15年以降15年連続で減少しているところですが、近年、殺人事件の認知件数は1000件前後で推移しております。
 また、全国的に通学路において子供が被害者となる凶悪事件が発生しているほか、殺人や自殺に関する違法・有害情報がインターネット上で流通している現状があり、これらをいかに防止していくのか、安全対策が問われているところであります。
 良好な治安は社会のかなめであり、凶悪事件を初めとする犯罪を防止するため、県警察では各種対策を推進しています。
 子供の安全対策としては、防犯カメラの設置活用を推進するとともに、通学路における安全を確保するため、自治体や小学校、防犯ボランティア団体とも連携し、見守り活動を強化しているほか、声かけやつきまとい等の前兆事案に関しては、行為者の早期検挙や指導、警告措置など、先制・予防的活動を推進しています。
 そのほか、インターネット上において殺人や自殺に関して違法・有害な情報が流通することに対しては、県警察がみずからサイバーパトロールを行うとともに、県警察が委嘱するサイバー防犯ボランティアや警察庁が委託したインターネットホットラインセンターと連携し、事件化あるいは削除依頼等を行っているところです。
 県警察では、今後も関係機関と緊密に連携し、これら犯罪の検挙、防止活動を推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 これに関連するようなことで、マスコミの新聞記事に載ったことの文章をちょっと引用さしてもろてお聞きいただきたいと思うんですが、新幹線の車内でなたで殺された青年の両親、なたで新幹線の中で殺害事件というのありましたよね。青年の両親は、「このようなつらく苦しい事件が二度と繰り返されないよう対策をとっていただけることを望んでやみません」、そしてまた奥さんは、「夫を突然失った悲しみが癒えることはありません。このような悲しい事件が二度と起こらない社会になることを強く願います」、こうしたコメントを出されておりまして、また一方、11年前に女性が連れ去られて殺害され、現金を盗まれた事件の両親もコメントを出しておりまして、「娘の死が何の役にもならなかった。強い刑罰を設けてほしい」とマスコミに報道されていました。
 私も、かけがえのない人命を考えるとき、正直、今の法律の刑法ですけど、刑法が軽過ぎると思います。こんなことなんかも県警あたりでまた御協議いただいて、必要があれば国に法律の改正を求めていく、そんなことなんかもこの機会に御検討いただけたらありがたいなと思うところでございます。
 それでは、次に移らしていただきます。
 次に、児童相談所の設置目的と権限、和歌山県内で一時保護と措置されている児童数、それから児童養護施設に入所している児童の健全な成長を見守る体制について、どうなっているかというあたりのところを御質問させていただきます。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、児童相談所の設置目的は、児童の心身障害や問題行動などさまざまな相談に応じるとともに、個々の児童や家庭に最も効果的な支援を行い、全ての児童が心身ともに健やかに養育されることであります。
 次に、児童相談所の権限は、児童虐待対応時の住居への立入調査、家庭裁判所の承認を得た家庭等への臨検・捜索、家庭での児童の安全が確保されていない場合の一時保護、児童養護施設等への措置などであります。
 次に、平成29年度中に一時保護された児童数は264名であり、そのうち県内8カ所の児童養護施設に措置された児童数は75名であります。
 最後に、児童養護施設に入所している児童の健全な育成のための取り組みとしましては、児童が受けた心身の傷を癒やす心理士のほか、児童の生活を支える児童指導員や保育士などを児童養護施設に配置し、児童一人一人に合った養育を行っております。
 県といたしましては、引き続き児童虐待から児童を守るため、早期発見、早期対応に努めるとともに、児童虐待を受けた児童が心身ともに健やかに成長するよう支援してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。本当に、こんな年端もいかん子供たちの命を守るというのは我々大人の大きな責任だと思うんです。子供に何の責任もないわけであって、ぜひ我々の大人の社会が子供たちを健全に育てるように、育ってもらえるように、これからも力強い取り組みをいただきたいと思います。
 この項の最後に、今回の事件等を踏まえて、児童相談所と警察との連携というのは現状はどうなってるのかというあたりのところをお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 警察本部長。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 児童相談所との連携についてですが、本県警察におきましては、和歌山市に所在する和歌山県子ども・女性・障害者相談センターへ警察官を出向させるとともに、田辺市に所在する紀南児童相談所で警察官OBが非常勤職員として勤務し、連携の強化を図っております。
 また、児童相談所、警察等の関係機関による児童虐待防止に関する連携会議を開催し、各機関の取り組み状況や問題点、連携のあり方などを協議し、さらなる連携強化を図っています。
 さらに、児童相談所が行う立入調査、臨検・捜索の実践的訓練を合同で実施し、児童相談所職員との連携強化と現場対応能力の向上に努めています。
 そのほか、警察本部少年課と児童相談所の業務を統括する県子ども未来課との間で児童虐待事案に関する情報を共有するために必要な事項を定め、児童虐待事案への的確な対応を図ることを目的とした情報共有に関する協定を締結し、より一層の児童の安全確保に取り組んでおります。
 警察としましては、引き続き児童虐待の端緒情報を認知した場合、確実な児童相談所への児童通告を実施し、児童の安全確認及び安全確保を最優先に取り組むとともに、東京都目黒区の女児死亡事案を踏まえ、児童相談所を初めとする関係機関との連携をさらに強化してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。本当にありがたいなと思ってるのは、和歌山県でこうした事件が発生したという情報というのを過去に僕自身は聞いたことがないので、本当にそういう意味ではありがたいんですが、実は今の本部長からの答弁をいただきましたが、ちょっと新聞の記事でこんなことが載っています。これも我々の参考としてちょっとお聞きいただきたいと思うんですが、
 「東京都によると、香川の児相から1月29日に引き継ぎを受けた品川児相の職員が2月9日に自宅を訪問。対応した優里さんというんかな、お母さん、容疑者から、「かかわってほしくない」と言われ、その後、小学校の入学説明会にもお母さんの容疑者しか出席しなかったため、結愛ちゃんには会えなかった。都の担当者は、見守りが必要な家庭だが、香川の児相の引き継ぎ内容などから危険が差し迫っているとは判断していなかった」と、こう説明したということです。この相談所の、東京都の場合は、この人らの職員の甘さというか弱さというのは、ここで私はもうすごく感じてしまいました。
 こうした経過に、NPO法人の児童虐待防止協会の理事長という方は、「事案を受け付けた児相の危機感が薄く、引き継ぎ先との共有もできなかった。行政の連絡のミスである」と問題点を指摘していると、そんなふうに書かれています。
 本当に事件、事故が起こったときはいつもこんなような検証をされて、そこにやっぱり十分でなかったということがその事件の発生になってると、そんなことが多いので、ぜひ緊密な連携をとっていただいて、次代を担う子供たちの命と、すくすくと育つ環境をつくってあげてほしいなと思うところでございます。
 それでは、大きな項目の4つ目の全国に先んじた農業分野でのビッグデータの活用についてということでお尋ねをしたいと思います。
 AI革命が始まっているという話を、マスコミ等を通してよく聞かされる時代になりました。人生の大半をコンピューターなどない時代を過ごしてきた身としては、AI革命とは、知れば知るほど将来に向かって恐怖心を感じるとともに、反面、夢も覚えるところです。
 AI革命が起こると、一説に、今ある仕事の6割はなくなるということであります。6割とは、今ある仕事の大方は不要となってしまうという話であります。どんな仕事がなくなっていくのか。私の友人の友人は薬剤師の卵なんですが、将来仕事がなくなるので、他の仕事を今のうちから資格を取りたいと言っているとのことでした。
 ビッグデータでAIが判断し処理できる時代が来れば、医者も弁護士など士業をなりわいとする職業も、今ほどたくさん必要としない時代になるであろうと想像できます。
 ところで、和歌山県の基幹産業でもある第1次産業、とりわけ農業の場合はどうなのでしょうか。
 若いころ、父の跡を引き継ぎ、好きな農業をしていた時代を忘れることはありません。しかし、30年ほど前、好きな仕事であったその農業に見切りをつけました。このままの農業では子育てができないと強く思ったからでございます。
 その理由の1つに、当時よく言われていた産地間競争という言葉があります。産地間競争とは、換言すれば同じ作物を生産する産地同士の戦いだったのです。他の産地を打ち負かし、勝ち組になることが生き残れる方法だったのです。勝ち組になると作物の単価もよく、有利に数多く販売できるというのです。しかし、これは同じ国内の農家同士を競わせ、一方を淘汰していくことなのです。
 私は、負け組に入ることを選択しました。小さな農地しかない私たち家族は退場して、経営基盤のしっかりした農家が育つほうがいいと考えたからです。
 しかし、今思います。日本は小さな国土ですが、沖縄から北海道まで南北に距離にして2000キロメートルほどもあり、また信州地方のような冬は厳しいが夏涼しい高地があるなど、全国各地は気候や気温も違い、したがって作付される作物の種類もそれぞれの土地に合わせて多岐にわたります。
 そこで、気象や市況などのビッグデータをもとに、作付時期を早めたりおくらせたり、他の品種にかえたり、出荷日を早めたりおくらせたり、少しのコントロールができれば無駄な競合が避けられることになり、収入の安定を図ることができると考えます。
 新しい時代に向けて、農業にもAIを使ったもっと科学的な取り組みを取り入れることにより、和歌山県を科学的農業の日本一の先進地にリードしていただき、和歌山の農業をきらきら光る第1次産業に押し上げていただきたいと考えます。御見解をお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、気象や市況などのデータを活用し、最適な収穫、出荷時期の予測が可能となれば、産地間競争を避け、農家の収益向上につながることができると考えております。
 国では、平成29年8月、ICTを活用した農業の生産性向上を図るため、産学連携による農業データ連携基盤協議会を設立し、市況や気象等の公的データに加え、民間が持つさまざまなデータの一元化を図り、来年4月から農家への提供に向けた取り組みが進められております。
 また、このほかにも大学や企業が中心となって、ビッグデータやAIを活用した農作物の高品質栽培技術等の研究が始まっております。
 今後、こうした動向を注視しながら、本県にとって有益な研究については県も積極的に参加するとともに、生産現場への導入に当たっては研修会を開催するなど円滑に進め、ビッグデータを活用した先進農業県の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ぜひお願いいたします。
 これも、今回の知事の6月定例会の説明要旨で、こんなふうに知事は発言をいただいています。「統計データ利活用センターが和歌山市に開所しました。県データ利活用推進センターを開設し、国と連携して県施策への反映及び県内企業の発展につなげるよう取り組んでまいります」、こういうふうにおっしゃっていただいています。
 もう和歌山県の農業が後進県などと言われることのない、今回、千載一遇の機会をもらってると考えたいと思います。ぜひ、和歌山県民の農業を日本一の農業にリードしてあげてほしいと、その責任が、ここに御出席されておられる、我々自身含め皆さん方にあると私は思います。そういった意味で、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、5つ目、最後に要望さしていただきたいと思います。
 私たち民間ボランティアグループは、昨年は「陸奥宗光伯没120年」と銘打って顕彰作業を進めてまいりましたが、ことしは「明治150年新国家の夜明け」と銘打って、子供たちの学習会や、昨年と同じく帆船「みらいへ」に乗っての体験学習や、平等条約締結130年記念会などを開催していく計画を立て、進めています。
 さて、今春には外務省の外交史料館で「明治の日本外交」展が開催されましたが、その後、北海道や鹿児島でも開催される予定となってると伺ってるところです。
 坂本龍馬の海援隊に入り、坂本龍馬の考えた新国家をともに目指し活動を進めた、我が和歌山県が輩出した陸奥宗光伯は、明治の日本外交の中心に存在した人物です。外務省が主催し開催した「明治の日本外交」展のような展示会を和歌山でも開催をしていただき、県民の皆様とともにその時代と存在を共有したいと思います。
 6月21日の一般質問の中で片桐議員からも発言がございましたが、私からもぜひ前向きに御検討していただきますことを強く要望させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 これで、私の一般質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。

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