平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成30年6月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
────────────────────
議事日程 第6号
 平成30年6月25日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第98号から議案第110号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第98号から議案第110号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 休会決定の件
────────────────────
出席議員(40人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 4番 欠員
 40番 欠員
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      中西 淳
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         糸川 徹
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      大森圭悟
 総務課長       田中健司
 政策調査課長     中平 博
────────────────────
  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 3番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 おはようございます。一般質問の最終日になりました。その1番バッターを務めさせていただきます。
 去る6月18日発生しました大阪北部地震により5名の方々が亡くなり、400名余りの方々が負傷されたとのことであります。亡くなられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、けがをされた方々の一日も早い御回復と速やかなまちの復興を祈念いたします。
 また、この地震を踏まえ、新聞に日本防災学の権威と言われている河田先生の見解が載せられており、その中で南海・東南海地震に連動していく可能性が指摘されておりました。
 一方、県内の地震対策を考えるとき、知事がよく発言されている、逃げ切るための対策としての避難路1つ取り上げても、まだまだ十分ではありません。この広い県内で避難路の設置状況は、私が2月議会で確認したところではまだわずか800カ所余りで、1桁も2桁も少ないと考えています。
 進んでいない理由の1つとして、市町の行政における、例えば地区防災計画の策定等が補助の条件となっているなど、ハードルを設け過ぎていることがさっさと進まない原因になっています。防災組織ができなければ避難路1つつくれない。結果としてつくることができない。
 想定されている南海トラフ地震が発生すれば、9万人もの県民の犠牲者が出ると発表されて久しい年月が経過いたしました。9万人の犠牲者数は、7年前の三陸沖地震の犠牲者の5倍以上の数字です。「補助金制度をつくっているから必要な人は申請しなさい」の態度ではなく、全額、国や県や市町など公的団体の責任として、水没が想定されている地域には、県民の命を守り抜くために、その責任において積極的につくるべきだと思います。
 県内における防災・減災の取り組みのスピードを上げていただけることを強く要望したいと思います。
 それでは、通告の1番目に入らしていただきます。
 さて、去る5月25日から28日まで、中国の大連市の視察団に同行してまいりました。メンバーは団長の井本かつらぎ町長とかつらぎ町の担当職員、井出議員、服部議員、そして私の5名でありました。目的は、大連市中日友好協会の方々との交流を重ね深めることにより、現在、そして将来の時代に向かって、極東の両国の国民がもう争うことのない、平和で文化や経済の発展を享受できることにあります。
 当日の大連市主催の歓迎会には、東京や大阪など日本各地からそれぞれ友好関係を設立している22の団体と、人員にして400名近くの人々が出席しており、席上それぞれの団体の紹介がございました。それぞれの団体の代表の方々は、席上、友好関係の継続発展の意義を力強く発表されておられました。
 大連ジェトロ事務所にも訪問させていただき、所長ほか職員、そして地元大連市企業の代表の方々と実務的な貿易について懇談をいたしました。特に企業の方々からは、日本の鮮魚、とりわけマグロやイカなど日本人好みの魚種に近年中国の方々も強い関心があるとのことで、有望な輸出品目と感じました。
 一方、中国は近年まで一人っ子政策を進めてきた関係で、中国の人口は、近年は1年間に700万人ほどの増加となっており、大連市や山東市の人口は減少しているとのことでありました。また、現在の中国大陸で生きていくのは大変で、いろいろな場面で競争が激しくなっており、生活は不安定であるとのことでございました。
 案内してくれた通訳さんは、こうした時代を反映して、大学の進学率は15年前には4%であったが、今では40%にもなっていて、子供に高学歴の経歴をつけて社会に送り出す風潮になっているとのことでありました。担当してくれていた通訳の女性は、2人目の子供の出産に10万元のお金を当局に支払ったとの話でございました。
 若者の結婚自体も日本のように晩婚になってきており、平均的な結婚年齢は30歳ぐらいになっているとのことでございました。そして、女性の仕事は50歳で定年を迎え、男性も60歳で定年を迎えるとのことでございました。
 また、他の企業経営者からは、メディカルツアーについての協力を求められました。いわく、中国には検診の文化がない、10歳代、20歳代、30歳代で白血病などのがんになる国民が多くなっているとのことでありました。検診は、日本でも最先端の技術でもあるPET検診やMRI検診などを希望しており、その会社にはもう既に3万人の会員登録があり、多くの人々がメディカルツアーに参加し、日本での検診を待っているとのことでございました。
 さらに、移動先の大連貿易特区の視察では、広大な敷地内に巨大な倉庫がつくられており、ここからは関税がかからない、ことし1月に特別な認可をとった地域であるとのことで、日本からの輸入に大きな期待をかけてくれておりました。
 すかさず団長の井本町長から、持参したかつらぎ町の特産でもあるあんぽ柿の中国での認知度アップと、中国での輸入をスタートしてもらえないかとの申し出をいたしました。なお、あんぽ柿の売り込みは今回の視察の目的の1つで、行く先々で交渉と説明を繰り返したところでございます。
 さらに、日本での情報として、中国国内では数年前から決済方法の1つとしてウィチャットが広がっているとのことであったので、1日同行してくれた大連市の職員に情報を確認してもらうと、「アリペイとウィチャットが普及しています。ウィチャットはアリペイをまねして広がってきました。現在のシェアは、アリペイとウィチャットは五分五分になっている」とのこと。「中国では7億5000万人がインターネットを使い、そのうち2億人ほどはウィチャットで決済をしている。日本でもウィチャット決済が可能になれば、中国人の消費はもっともっと拡大すると思われる」との話でございました。
 観光大国になろうとすれば、中国人観光客対応策の1つとして積極的に取り入れていくことも必要な時代なのではないかと思った次第でございます。
 以上、大連視察の報告とさせていただきます。
 それでは2つ目に、南紀白浜空港のバージョンアップということで質問をさせていただきたいと思います。
 当局から過日、民間の運営団体がようやく決まったとの報告を受けたところでございます。新しく決まった運営体は、開港以来赤字経営が続いている県営空港にどんな可能性と魅力を感じたのでしょうか。新しく決まった運営体のプレゼン内容を教えてください。
 そして、国際ターミナルビルの建設計画と国際便の就航見通しについてもお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港への民間活力導入と国際線ターミナルビルの建設等についての御質問でございます。
 提案した事業者がどのように魅力を感じたかは不明でございますが、県としては、空港近傍に世界遺産「熊野古道」など国内外から人気の高い観光資源が控えていること、また、本県が取り組んでいるリゾート地ならではのITオフィスの誘致が進んでいること、さらに、現在、白浜地域でのホテルへの投資が盛んに行われていることなどの要因を総合的に勘案し、将来性を見出したのではないかと推測をしてございます。
 国際線ターミナルビルの建設につきましては、県が運営事業者の募集を行った際のテーマの1つに設定し、その配置計画を求めました。今回、運営権の設定を予定している事業者からは、2階建て、延べ床面積で約2700平方メートルの建物を新築し、1階には出入国手続スペース、国際線の保安検査場及び搭乗待合室、また2階にはダイニング及び商業スペースを配置する提案を受けてございます。
 また、国際便就航の見通しにつきましては、運営事業者募集の際に求めた海外からのチャーター便を含む航空ネットワークの拡充についての提案に関連していると考えております。運営権の設定を予定している事業者から、羽田線の機材大型化、成田線の新規就航、国内及び海外からのチャーター便の誘致等により、旅客数は10年後には25万人、20年後には30万人を目指す提案を受けてございます。国際便については、定期便の提案はございませんでしたが、韓国ほか近隣アジアや極東ロシアからのチャーター便の誘致が提案されてございます。
 なお、国際線ターミナルビルの建設につきましては、事業者からの提案に基づき、県が整備を担うこととなってございます。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁をいただきました。そこで、2つ、3つ、ちょっと気になることがありますので、少し話を聞いていただきたいと思います。
 まず、10年後に25万人、20年後に30万人というお話ですけれども、それもチャーター便の誘致、定期便はまだ提案がないというような内容でありましたので、これ今、白浜便は12万から13万人のお客さんです。チャーター便でこの25万人にしようとしたら、ちょっと単純計算すると、1年間に25万人ですから13万人前後ふえてる計算になりますので、そしたら、仮の話ですが、チャーター便が150人ほどの飛行機だとしたら、何と666回、チャーター便、飛ばんといかんのです。それも150人乗りの飛行機だとして、それを満席状態で毎回飛んでるということというのは、ちょっと現実的でないように思えて、仮の話ですが、8割、9割の搭乗率だったとすると、700回以上1年間にチャーター便が飛び続けなければこの25万人にならない。
 そんなふうなことを考えたときに、本当にこの数字というのは、我々が確認してそのことを認めていくということでいいんやろうかと思います。それと、もっと内容が具体的なことから少し抜けてることがあるんではないかと。いろんなことを、きょうは御発言、先ほど部長からいただいた中で、ほかにも感じることがございます。
 したがいまして、これってやっぱり我々は、特に紀南のほうに住んでる者は、この飛行場の活用って本当に真剣に考えています。この飛行場の活用によって、我々の次の世代が本当に生き生きと希望に燃えた生活をいただける、その大きなエネルギーを持っていると考えているからでございます。
 そういった意味で、もっともっと詰めた、詰めの細かい科学的な数字を出していただけることを業者の方々にもぜひお願いをしていただきたいなと、そんなふうに考えた次第です。
 そしたら、この項目の2つ目の質問に入らしていただきます。
 南紀白浜空港は、大変残念なことに、その幅や長さは人、物、金の国境がなくなってきたと言われる時代、グローバル化されてきた時代の目線で考えると、「帯に短し、たすきに長し」の格言が実態をよくあらわしてると私は考えています。
 国内の各飛行場は農家でいうところの産地間競争の状況にあり、その実態は利便性や料金等の過当競争にあると考えられます。勝ち組にならないと、いつまでも無理な経営と運営を余儀なくされると思われます。県営から民間経営になると直ちに黒字になるとは一概に考えることはできません。魔法のつえなどあるはずがないと考えています。
 あるとすれば、白浜空港の現状から考えられることは、滑走路を延長し、新しい航空路線の可能性を広げることだと思います。現有のままでは、その可能性は限られています。しかし、あと数百メートル延長できるだけでも飛べる飛行機が大きくなり、航続距離が延び、発展著しい東南アジア方面まで広がります。
 聞くところによると、政府から50メートルの延長を求められているとのことですので、その折にでももう少し滑走路を延ばしておけないかと考えました。知事の御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南紀白浜空港の滑走路の延長については、私も本当にもっと長けりゃいいのになあというふうにいつも思っておりまして、これまでも滑走路延長の検討は何度か行った経緯があります。
 南側への延長については工事施工等の観点から、北側への延長については進入灯の移設等の観点から、滑走路をどれだけ延長するかにももちろんよりますけれども、いずれの場合も何百億円からの事業費を要するおそれもあり、現時点ではなかなか難しいなあというふうに思っております。
 これまで県職員による航空路線の誘致はなかなかうまくいかなかったんでございますが、2000メートルの滑走路でも中国からの定期便が就航している空港もあることなども考えますと、今後は、運営権者が有する民間ノウハウを生かした海外からの航空路線の誘致に期待がかかるというふうに思います。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 今、知事のほうからそういう御答弁をいただきました。この議会に知事説明要旨ということで、こうした定例会の中で報告がありましたが、この一文をちょっと読ましていただきます。
 「『世界とつながる愛着ある元気な和歌山』の実現に向け着実な歩みを進めるとともに、未来への駆動力を生み出す新政策を推進し、さらなる和歌山県の発展を加速化してまいります」。この駆動力の源泉というのは、勝手な解釈かわかりませんが、私は飛行場ではないかと。飛行場、これから駆動力という置きかえで新政策の中に反映をいただいて、もっと強力な取り組みをいただけるんかなと、そんなふうに解釈をさせていただいた次第です。
 ぜひ、今の御答弁も踏まえまして、白浜空港の今後のあり方をこれからも研究をしていただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。
 それでは、引き続きまして、3番目の項目に入らしていただきます。
 多発する凶悪事件や児童虐待についてということで、御質問をさしていただきます。
 日本国内で毎日のように発生する凶悪事件。新聞やテレビなどマスコミから発信される事件の詳細を知るたびに、身が震える思いでございます。そのいずれもが、拉致されるとほぼ同時に殺害されている。殺すことを目的に連れ去っているのです。虫けらのように殺害しているのです。大切な家族や友人、友達や社会とのつながりを突然断ち切られ、この地球上から葬り去られたのです。
 毎日毎日、新聞やテレビで殺人事件が報じられています。世界各国の中でも治安のよい国と言われてきましたが、日本は本当に治安のよい国なのでしょうか。私は、もう立派なテロ国家であると考えます。
 5月7日、新潟市西区の小学2年生の大桃珠生ちゃん(7歳)が学校から帰宅途中に自宅近くで拉致され、殺害されるという事件が発生しました。そして、遺体が自宅近くの線路に遺棄され、通過した電車にその体が巻き込まれたと考えられています。
 この余りにもすさまじい所業に日本国民の大半が大きな衝撃を受けたことはまだ記憶に新しいところでありますが、今度は5月26日、浜松市内のスポーツジムの駐車場で内山茉由子さん(29歳)が自分の車に乗った直後、インターネットの掲示板サイトで結びついた男などによって押し込まれ、そのまま連れ去られ殺害されるという事件が発生しました。29歳の若い女性がまるで家畜のような扱いで、1つしかない命、1度しかない人生を無法者たちに奪われてしまいました。まるで鬼のような所業である。とても人としての心ある者のしわざとは思えません。突然ゆえなく殺害された内山茉由子さんの無念を言葉にすることはできません。
 相前後して、今度は東京都目黒区で虐待を受けた女の子、結愛ちゃん(5歳)が死亡した事件が新聞やテレビで報じられています。そのすさまじい虐待ぶりと結愛ちゃんが遺書のようにノートに書き残していた平仮名書きの文は、一度読んだ後、余りにもかわいそうで気の毒で、再び読み返すことができなかったほどであります。このことを友人に話すと、友人も「テレビでその放送が始まるとチャンネルを変えてしまう」と言い、また、他の友人も「二度とあの悲惨な結愛ちゃんのノートは読むことも聞くこともできない」と言っていました。私も同じ思いでございました。
 日本国総理大臣の安倍首相も、テレビインタビューの中で「痛恨のきわみである」とコメントを出していました。総理大臣をして痛恨のきわみと言わしめたほどの衝撃を全国民に与えました。
 6月22日の一般質問で菅原議員も胸を詰まらせていましたが、結愛ちゃんの残した文、最後まで読めるかどうか自信はありませんが、朗読をしてみたいと思います。
 「もうパパとママにいわれなくても しっかりとじぶんから きようよりかもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできなかったこと、これまでまいにちやってきたことをなおす これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいやからやめるから もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします あしたのあさは ぜったいやるんだとおもって いっしょうけんめいやるぞ」。
 5歳の女の子の文章とは思えない、思いたくない。この5歳の女の子に何の罪があったのでしょうか。この子に何の責任があったというのでしょうか。この世に生をうけてわずか、わずか5年、わずか60カ月の人生でした。結愛ちゃんが大人に成長できていればどんな立派な女性に成長しただろうかと思うとき、言葉にあらわすことのできないほど無念で残念でなりません。
 ところで、児童相談所に2回も一時保護されていたとの情報であります。なぜ防ぐことができなかったのか、なぜ助けられなかったのか。もう二度とこんなひどい事件に遭遇したくないと、国民の多くの人がそう思ったはずであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 全国的に、通学途中の子供を狙った殺人事件やインターネットサイトを利用した凶悪事件が多発しています。全国における殺人事件の認知件数と、これら事件を防止するための県警察の対策についてお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 治安のバロメーターとされる全国の刑法犯認知件数は平成15年以降15年連続で減少しているところですが、近年、殺人事件の認知件数は1000件前後で推移しております。
 また、全国的に通学路において子供が被害者となる凶悪事件が発生しているほか、殺人や自殺に関する違法・有害情報がインターネット上で流通している現状があり、これらをいかに防止していくのか、安全対策が問われているところであります。
 良好な治安は社会のかなめであり、凶悪事件を初めとする犯罪を防止するため、県警察では各種対策を推進しています。
 子供の安全対策としては、防犯カメラの設置活用を推進するとともに、通学路における安全を確保するため、自治体や小学校、防犯ボランティア団体とも連携し、見守り活動を強化しているほか、声かけやつきまとい等の前兆事案に関しては、行為者の早期検挙や指導、警告措置など、先制・予防的活動を推進しています。
 そのほか、インターネット上において殺人や自殺に関して違法・有害な情報が流通することに対しては、県警察がみずからサイバーパトロールを行うとともに、県警察が委嘱するサイバー防犯ボランティアや警察庁が委託したインターネットホットラインセンターと連携し、事件化あるいは削除依頼等を行っているところです。
 県警察では、今後も関係機関と緊密に連携し、これら犯罪の検挙、防止活動を推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 これに関連するようなことで、マスコミの新聞記事に載ったことの文章をちょっと引用さしてもろてお聞きいただきたいと思うんですが、新幹線の車内でなたで殺された青年の両親、なたで新幹線の中で殺害事件というのありましたよね。青年の両親は、「このようなつらく苦しい事件が二度と繰り返されないよう対策をとっていただけることを望んでやみません」、そしてまた奥さんは、「夫を突然失った悲しみが癒えることはありません。このような悲しい事件が二度と起こらない社会になることを強く願います」、こうしたコメントを出されておりまして、また一方、11年前に女性が連れ去られて殺害され、現金を盗まれた事件の両親もコメントを出しておりまして、「娘の死が何の役にもならなかった。強い刑罰を設けてほしい」とマスコミに報道されていました。
 私も、かけがえのない人命を考えるとき、正直、今の法律の刑法ですけど、刑法が軽過ぎると思います。こんなことなんかも県警あたりでまた御協議いただいて、必要があれば国に法律の改正を求めていく、そんなことなんかもこの機会に御検討いただけたらありがたいなと思うところでございます。
 それでは、次に移らしていただきます。
 次に、児童相談所の設置目的と権限、和歌山県内で一時保護と措置されている児童数、それから児童養護施設に入所している児童の健全な成長を見守る体制について、どうなっているかというあたりのところを御質問させていただきます。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、児童相談所の設置目的は、児童の心身障害や問題行動などさまざまな相談に応じるとともに、個々の児童や家庭に最も効果的な支援を行い、全ての児童が心身ともに健やかに養育されることであります。
 次に、児童相談所の権限は、児童虐待対応時の住居への立入調査、家庭裁判所の承認を得た家庭等への臨検・捜索、家庭での児童の安全が確保されていない場合の一時保護、児童養護施設等への措置などであります。
 次に、平成29年度中に一時保護された児童数は264名であり、そのうち県内8カ所の児童養護施設に措置された児童数は75名であります。
 最後に、児童養護施設に入所している児童の健全な育成のための取り組みとしましては、児童が受けた心身の傷を癒やす心理士のほか、児童の生活を支える児童指導員や保育士などを児童養護施設に配置し、児童一人一人に合った養育を行っております。
 県といたしましては、引き続き児童虐待から児童を守るため、早期発見、早期対応に努めるとともに、児童虐待を受けた児童が心身ともに健やかに成長するよう支援してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。本当に、こんな年端もいかん子供たちの命を守るというのは我々大人の大きな責任だと思うんです。子供に何の責任もないわけであって、ぜひ我々の大人の社会が子供たちを健全に育てるように、育ってもらえるように、これからも力強い取り組みをいただきたいと思います。
 この項の最後に、今回の事件等を踏まえて、児童相談所と警察との連携というのは現状はどうなってるのかというあたりのところをお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 警察本部長。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 児童相談所との連携についてですが、本県警察におきましては、和歌山市に所在する和歌山県子ども・女性・障害者相談センターへ警察官を出向させるとともに、田辺市に所在する紀南児童相談所で警察官OBが非常勤職員として勤務し、連携の強化を図っております。
 また、児童相談所、警察等の関係機関による児童虐待防止に関する連携会議を開催し、各機関の取り組み状況や問題点、連携のあり方などを協議し、さらなる連携強化を図っています。
 さらに、児童相談所が行う立入調査、臨検・捜索の実践的訓練を合同で実施し、児童相談所職員との連携強化と現場対応能力の向上に努めています。
 そのほか、警察本部少年課と児童相談所の業務を統括する県子ども未来課との間で児童虐待事案に関する情報を共有するために必要な事項を定め、児童虐待事案への的確な対応を図ることを目的とした情報共有に関する協定を締結し、より一層の児童の安全確保に取り組んでおります。
 警察としましては、引き続き児童虐待の端緒情報を認知した場合、確実な児童相談所への児童通告を実施し、児童の安全確認及び安全確保を最優先に取り組むとともに、東京都目黒区の女児死亡事案を踏まえ、児童相談所を初めとする関係機関との連携をさらに強化してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。本当にありがたいなと思ってるのは、和歌山県でこうした事件が発生したという情報というのを過去に僕自身は聞いたことがないので、本当にそういう意味ではありがたいんですが、実は今の本部長からの答弁をいただきましたが、ちょっと新聞の記事でこんなことが載っています。これも我々の参考としてちょっとお聞きいただきたいと思うんですが、
 「東京都によると、香川の児相から1月29日に引き継ぎを受けた品川児相の職員が2月9日に自宅を訪問。対応した優里さんというんかな、お母さん、容疑者から、「かかわってほしくない」と言われ、その後、小学校の入学説明会にもお母さんの容疑者しか出席しなかったため、結愛ちゃんには会えなかった。都の担当者は、見守りが必要な家庭だが、香川の児相の引き継ぎ内容などから危険が差し迫っているとは判断していなかった」と、こう説明したということです。この相談所の、東京都の場合は、この人らの職員の甘さというか弱さというのは、ここで私はもうすごく感じてしまいました。
 こうした経過に、NPO法人の児童虐待防止協会の理事長という方は、「事案を受け付けた児相の危機感が薄く、引き継ぎ先との共有もできなかった。行政の連絡のミスである」と問題点を指摘していると、そんなふうに書かれています。
 本当に事件、事故が起こったときはいつもこんなような検証をされて、そこにやっぱり十分でなかったということがその事件の発生になってると、そんなことが多いので、ぜひ緊密な連携をとっていただいて、次代を担う子供たちの命と、すくすくと育つ環境をつくってあげてほしいなと思うところでございます。
 それでは、大きな項目の4つ目の全国に先んじた農業分野でのビッグデータの活用についてということでお尋ねをしたいと思います。
 AI革命が始まっているという話を、マスコミ等を通してよく聞かされる時代になりました。人生の大半をコンピューターなどない時代を過ごしてきた身としては、AI革命とは、知れば知るほど将来に向かって恐怖心を感じるとともに、反面、夢も覚えるところです。
 AI革命が起こると、一説に、今ある仕事の6割はなくなるということであります。6割とは、今ある仕事の大方は不要となってしまうという話であります。どんな仕事がなくなっていくのか。私の友人の友人は薬剤師の卵なんですが、将来仕事がなくなるので、他の仕事を今のうちから資格を取りたいと言っているとのことでした。
 ビッグデータでAIが判断し処理できる時代が来れば、医者も弁護士など士業をなりわいとする職業も、今ほどたくさん必要としない時代になるであろうと想像できます。
 ところで、和歌山県の基幹産業でもある第1次産業、とりわけ農業の場合はどうなのでしょうか。
 若いころ、父の跡を引き継ぎ、好きな農業をしていた時代を忘れることはありません。しかし、30年ほど前、好きな仕事であったその農業に見切りをつけました。このままの農業では子育てができないと強く思ったからでございます。
 その理由の1つに、当時よく言われていた産地間競争という言葉があります。産地間競争とは、換言すれば同じ作物を生産する産地同士の戦いだったのです。他の産地を打ち負かし、勝ち組になることが生き残れる方法だったのです。勝ち組になると作物の単価もよく、有利に数多く販売できるというのです。しかし、これは同じ国内の農家同士を競わせ、一方を淘汰していくことなのです。
 私は、負け組に入ることを選択しました。小さな農地しかない私たち家族は退場して、経営基盤のしっかりした農家が育つほうがいいと考えたからです。
 しかし、今思います。日本は小さな国土ですが、沖縄から北海道まで南北に距離にして2000キロメートルほどもあり、また信州地方のような冬は厳しいが夏涼しい高地があるなど、全国各地は気候や気温も違い、したがって作付される作物の種類もそれぞれの土地に合わせて多岐にわたります。
 そこで、気象や市況などのビッグデータをもとに、作付時期を早めたりおくらせたり、他の品種にかえたり、出荷日を早めたりおくらせたり、少しのコントロールができれば無駄な競合が避けられることになり、収入の安定を図ることができると考えます。
 新しい時代に向けて、農業にもAIを使ったもっと科学的な取り組みを取り入れることにより、和歌山県を科学的農業の日本一の先進地にリードしていただき、和歌山の農業をきらきら光る第1次産業に押し上げていただきたいと考えます。御見解をお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、気象や市況などのデータを活用し、最適な収穫、出荷時期の予測が可能となれば、産地間競争を避け、農家の収益向上につながることができると考えております。
 国では、平成29年8月、ICTを活用した農業の生産性向上を図るため、産学連携による農業データ連携基盤協議会を設立し、市況や気象等の公的データに加え、民間が持つさまざまなデータの一元化を図り、来年4月から農家への提供に向けた取り組みが進められております。
 また、このほかにも大学や企業が中心となって、ビッグデータやAIを活用した農作物の高品質栽培技術等の研究が始まっております。
 今後、こうした動向を注視しながら、本県にとって有益な研究については県も積極的に参加するとともに、生産現場への導入に当たっては研修会を開催するなど円滑に進め、ビッグデータを活用した先進農業県の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ぜひお願いいたします。
 これも、今回の知事の6月定例会の説明要旨で、こんなふうに知事は発言をいただいています。「統計データ利活用センターが和歌山市に開所しました。県データ利活用推進センターを開設し、国と連携して県施策への反映及び県内企業の発展につなげるよう取り組んでまいります」、こういうふうにおっしゃっていただいています。
 もう和歌山県の農業が後進県などと言われることのない、今回、千載一遇の機会をもらってると考えたいと思います。ぜひ、和歌山県民の農業を日本一の農業にリードしてあげてほしいと、その責任が、ここに御出席されておられる、我々自身含め皆さん方にあると私は思います。そういった意味で、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、5つ目、最後に要望さしていただきたいと思います。
 私たち民間ボランティアグループは、昨年は「陸奥宗光伯没120年」と銘打って顕彰作業を進めてまいりましたが、ことしは「明治150年新国家の夜明け」と銘打って、子供たちの学習会や、昨年と同じく帆船「みらいへ」に乗っての体験学習や、平等条約締結130年記念会などを開催していく計画を立て、進めています。
 さて、今春には外務省の外交史料館で「明治の日本外交」展が開催されましたが、その後、北海道や鹿児島でも開催される予定となってると伺ってるところです。
 坂本龍馬の海援隊に入り、坂本龍馬の考えた新国家をともに目指し活動を進めた、我が和歌山県が輩出した陸奥宗光伯は、明治の日本外交の中心に存在した人物です。外務省が主催し開催した「明治の日本外交」展のような展示会を和歌山でも開催をしていただき、県民の皆様とともにその時代と存在を共有したいと思います。
 6月21日の一般質問の中で片桐議員からも発言がございましたが、私からもぜひ前向きに御検討していただきますことを強く要望させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 これで、私の一般質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 おはようございます。6月定例議会の一般質問の最終日となりましたが、議長のお許しを得ましたので、早速ではございますけども、私の一般質問を始めさしていただきます。しばらくの間、おつき合いのほどよろしくお願いいたします。
 今回の私の質問は、第七次和歌山県保健医療計画、第三期和歌山県医療費適正化計画、そして地域医療構想の医療についての3つの大きな計画についてであります。
 最初に、第七次和歌山県保健医療計画──この計画は本県の医療提供体制の構築の方向性を示す計画とのことでございますが──について質問をさしていただきます。
 医療提供体制にとって最も重要なのは、その担い手の中心となります医師だと思いますから、(1)として医師の確保、地域遍在、診療科遍在についてお尋ねいたします。
 本県の医師数を見てみますと、10万人当たりで見たときに医師数は決して少なくはございません。むしろ多いほうです。ところが、病院の勤務医が非常に少ないという特徴があります。
 本県の医療施設従事医師数は2767人、人口10万人当たりでは290.1人と全国の9位であり、全国平均の240.1人をかなり上回っております。医師が少ないというわけではなさそうです。
 しかしながら、病院勤務医の割合は逆に61.7%と全国46位であります。病院に勤務する医師が非常に少ない。和歌山医療圏だけは全国と比べましてもかなり病院勤務医の数は多いんですけども、それ以外の医療圏では全国平均を下回っております。しかも、特に那賀医療圏、有田医療圏、橋本医療圏、新宮医療圏での10万人当たりの病院勤務医は、全国平均と比べるとかなり少なくなっております。全国平均の医師数と比べますと、病院の勤務医ですけれども、那賀は45.1%、半分弱、有田も同じく48.8%、橋本医療圏では66.9%、新宮は75.3%しか病院勤務医がいないということになっております。
 各医療圏におきまして急性期医療を担うのは、まず公立病院を中心とした病院でありますから、各病院は兵力過小の中で医療という戦の前線を辛うじて支えているという実情が透けて見えてまいります。
 なぜそうなのかと、ちょっと私なりに考えてみたんですが、間違っているかもしれませんけども、これは過去において県が和歌山県全体の医療体制の構築、特に病院の構築と充実にしっかりと取り組んでこなかったため、それを補う形で民間の診療所がふえていったのではないかということが考えられます。
 高度化する医療に民間の診療所が応えることはやはりできません。県民の命と健康を守り、県民が良質な医療を受けるためには、病院の体制の充実、医師の充実が必要です。にもかかわらず、兵力過小の中、各病院の医師が必死になって地域医療を支えているというのが実情であります。さらには、産科、小児科、精神科、救急科の医師が絶対的に不足しているということもあります。
 そんな中で、本計画では医師確保の数値目標を設定していただいております。これが実現すれば事態がかなり改善することが期待できると思うんですけども、しかし、これは果たして無理のない目標と考えてよいのかどうかです。特にこの目標の設定に当たりまして、過去の実績以上の医師を毎年確保という考え方で目標を設定してる診療科や、臨床研修医が本県の医師養成数と同数と設定されていること、また新専門医制度における専攻医が80人と設定されていることは無理があるのではないかというふうに私は個人的に感じてしまうわけで、そのあたりはいかがでしょうか。
 計画を立てているのに、それが難しいとは言えないんだということはわかるんですけれども、それについてかなりの自信を持って目標を設定したのかどうか、答えにくいとは思うんですけれども、御答弁をお願いしたく思います。よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 第七次和歌山県保健医療計画では、本県の課題となっている医師の地域遍在及び診療科遍在について、明確な目標を設定し、それを達成するための対策を示していますが、議員御指摘のとおり、目標達成に向けて相当の努力が必要な項目もあると認識しております。
 まず、地域遍在対策につきましては、県内の公的病院や僻地診療所での勤務を条件とする県立医科大学県民医療枠及び地域医療枠の制度を維持するとともに、これらの医師が先進医療の知識と地域医療マインドをあわせ持つよう、キャリア形成を支援することで、義務年限終了後の地域への定着を促進してまいります。
 次に、診療科遍在対策としましては、返還免除つき研修・研究資金の貸与制度を積極的に運用していくことに加え、本県への医師派遣を伴う共同研究を県外医育大学と実施するなど、医師確保に係る広域的な連携体制の充実にも取り組んでまいります。
 なお、3年後の第七次和歌山県保健医療計画の中間見直しに当たっては、国が新たに導入する地域ごとの医師遍在の度合いを示す医師遍在指標を踏まえ、医師確保に係る目標の見直しを行ってまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁いただきました。本当に私も、医師が足らない、足らないということはしょっちゅう聞かされるもんですから、これ何とかせないかんなあと思ってたんですね。この今の計画を見さしていただくと、これが本当に計画どおりに医師が養成されていきますと、かなり改善されてよくなっていくだろうというふうに思いますので、しっかりとこの医師の養成に取り組んでいただきたいなということを要望さしていただいて、次に(2)番に移らしていただきます。
 2番は、特定健康診査、特定保健指導、がん検診についてお尋ねいたします。
 本県の疾病の現状を見ますと、いわゆる5疾病のうち、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病の4疾病の罹患率は、全国と比べますと総じて高いという傾向にあります。この罹患率を下げるためには特定健康診査、特定保健指導、がん検診の受診率の向上が重要なことは言うまでもありません。言ってみれば、県民の命と健康を守り、保健医療の質を向上させるために必要な一丁目一番地がこの特定健康診査、特定保健指導、がん検診だと思います。
 生活習慣病、成人病のリスクの高い人に早く気づいていただき、病気になるのを未然に防止すること、また、がん治療がうまくいく、いかないということもがんの早期発見、早期治療にかかっていると思います。
 受診率を上げるだけで県民の保健医療は劇的に改善するのは間違いないわけですけれども、受けてくれない人の首に縄をつけて連れていくわけにもいかないというところは、これ本当に難しいところかと思います。
 私は、個人的に、いっそ特定健診であるとかがん検診を受けない人の医療保険の負担を、保険料を上げたりとか、そういう負担を上げていくということも制度として考えてもいいのではないかというふうに考えておりますけれども、それについては今回は深入りはいたしません。
 受診率の向上施策としては、一般的な啓発活動、それから文書や電話による受診勧奨が中心になっていると思いますけども、それらも効果がないわけではありません。効果がないと言いませんけれども、やはり限界があるんだろうというふうに思っております。特に文書とか電話なんですけども、ちょっと例でいいますと、見込み客を絞らないダイレクトメールによる営業の応答率といいますか反応率というのは0.数%だというふうに言われております。特定健診とかがん検診の通知はターゲットを絞ってされておりますので、それよりは多少ましかとは思いますけども、それでも効果のほどは知れているんじゃないかというふうに考えております。
 それで、私は、やはり人がフェース・ツー・フェースで受診を促していくことが最も効果的なんじゃないかというふうに考えています。各自治体の保健師さんや健康推進員さんが歩いて未受診者を訪ねていき、膝を交えた会話をしながら受診を勧めるということが、これが一番効果があると考えております。会社や商店などの民間の営業でも、文書や電話ではなかなか契約につながりません。やはり足を使った営業活動にまさるものはありません。顔を合わせてお互いの信頼関係を構築して初めて契約につながるのだと思っております。
 営業活動には営業経費が必要なのと同じように、フェース・ツー・フェースの受診勧奨活動にもそれなりの経費がかかります。市町村をバックアップする助成策の拡充をお願いしたいと思います。
 こういうことも含めまして、特定健診と特定保健指導について、県は市町村をどのようにバックアップするのか、次に、がん検診についてどうなのか、最後に、県はこの受診率の向上にどのように取り組むのかをお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、特定健康診査、特定保健指導につきましては、市町村に対し、事業費の一部や事業に従事する保健師等の人件費助成などを行うとともに、未受診者対策に係る国の助成事業を活用するよう指導しております。
 次に、がん検診につきましては、平成25年度から個別受診勧奨を行う市町村に対し、受診率の向上のため、案内文の印刷や郵送に係る経費の補助を行っております。
 また、市町村が行う受診案内や啓発イベントに活用するため、県がわかりやすい啓発資料を作成し、より効果的な受診勧奨となるよう市町村の取り組みを支援しています。
 最後に、特定健診及びがん検診受診率の向上を図るための取り組みですが、日高川町では、健康推進員が集団検診受診希望調査票を世帯ごとに持参、回収し、未受診者には受診勧奨通知を再度持参するフェース・ツー・フェースによる直接の受診勧奨を行うことで、高い受診率となっております。
 また、特定保健指導の実施率の向上を図るための取り組みですが、橋本市と上富田町では、保健師等が対象者宅を訪問し、特定保健指導を行うことで大きな成果を上げているところです。
 県といたしましては、県と国の助成事業を活用し、こうした取り組みを行うよう市町村に積極的に働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 いろんな取り組みをしていただいておりますが、最後におっしゃっていただいた日高川町の取り組みというのは、かなり私の言うとる、やってほしい取り組みに近いのかなというふうに思います。本当に人は、近所のおばちゃんから、知った人から「中西さん、あんた、行ってないやろ、行かなあかんよ」と言われるとやっぱり弱いんですよね。やっぱり行かなしゃあないかなあというふうに私も思います。
 ですから、本当にこういう地域地域で、健康推進員さんであるとか、それから自治体の保健師さんなんかがお一人お一人に「受けなあかんよ」と声かけをしていく、そういう運動、そういう取り組みをもっともっと、県としてしっかりとバックアップしていただきますように要望さしていただきます。よろしくお願いします。
 それでは、その次に参ります。
 3つ目は、医薬分業についてであります。
 この計画では、この計画というのは保健医療計画なんですけども、この計画の中では医薬分業を進めることと、かかりつけ薬剤師・薬局を広めることをうたっておりますけども、本県の処方箋受け取り率は大変低いです。全国的に見ても低いです。特に有田、御坊圏域が低い。まず、どうしてこんなに低いのかと。その理由と改善策についてお尋ねいたしたいと思います。
 また、かかりつけ薬剤師・薬局も余りできているというふうには聞いておりませんので、その現況と課題、改善策についてもお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、本県の医薬分業の指標である処方箋受け取り率は、平成28年度末で51.9%であり、全国平均の71.7%と比較して低位にあります。
 その要因としましては、本県の可住地面積100平方キロメートル当たりの薬局の薬剤師数が105.2人と全国の数値である140.5人と比べ少なく、また本県の人口10万人当たりの診療所数は全国で最多ですが、その診療所での医薬分業が進んでいないことが考えられます。特に県内では、有田医療圏33.6%、御坊医療圏35%と低い状況ですが、一部の中心的役割を担っている公的病院や民間の病院等が院外処方に積極的でないことが要因の1つであると考えています。
 今後、医薬分業を進めるためには、県民と医療機関の理解が必要と考えます。このため、県民に対しては、医師と薬剤師双方による処方内容の確認が健康被害の防止につながるという医薬分業のメリットについて積極的に周知してまいります。また、院外処方に消極的な医療機関に対しては、地域の実情を考慮した上で、患者本位の医薬分業を推進するよう働きかけてまいります。
 次に、かかりつけ薬剤師・薬局の現状についてですが、かかりつけ薬剤師・薬局とは、24時間対応、在宅対応などの機能を持つ薬局です。そのような機能を持つ薬局として、平成29年度末現在、健康サポート薬局が32件、在宅医療支援薬局が132件あります。
 また、その課題についてですが、本県では薬剤師が1名の小規模薬局が多いため、24時間対応や在宅対応が困難であると認識しております。このため、県といたしましては、24時間対応や在宅対応が可能となるよう、地域の薬剤師会や近隣薬局との連携体制の整備、訪問看護ステーション等との連携など、ネットワークの構築を進めることで患者の利便性を図ってまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ありがとうございます。なかなか地域的な事情というのがあるんかなあというふうに思いますけども、医薬分業のメリットというものを訴えていただいて、これが進んでいきますように努力のほどお願いいたします。
 そして、項目の1が終わりまして項目の2、大きな項目ですけども、医療費適正化計画についての質問をさしていただきます。
 まず最初に、本県の1人当たりの入院外医療費が全国で一番高い、最も高くなっていると。1番ということは、誇れることであればいいんですけど、誇れることでないんで、何で全国で一番高くなっているんかということについて、その原因、理由、改善策を教えていただきたいなと、お尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 平成27年度の本県の1人当たり入院外医療費は約13万9000円で、全国平均の約11万4000円を大きく上回り、全国で最も高くなっております。
 その原因は大きく3点考えられます。
 まず第1点目は、医療機関が多く、受診しやすい環境にあることが挙げられます。本県の人口10万人当たりの医療機関数は、平成28年度で119.4と全国の86.7を大きく上回り、全国で最多です。
 第2点目は、医薬分業が進んでいない影響が挙げられます。入院外医療費には、院内処方による投薬費も含んでおりますが、本県の院内処方の1人当たり投薬費は、平成27年度で5288円と全国で最高です。
 第3点目は、生活習慣病が多いことが挙げられます。主な生活習慣病の人口10万人当たりの外来受療率は、本県と全国を比較すると、高血圧性疾患741対528で1.4倍、脳血管疾患126対74で1.7倍など高くなっており、入院外医療費を押し上げる一因となっていると考えられます。
 このため、県では第三期医療費適正化計画に基づいて、複数の医療機関を受診している患者への適正受診の働きかけや特定健康診査の受診率、特定保健指導の実施率の向上などの取り組みを積極的に推進することにより、医療費全体の適正化を図る中で1人当たり入院外医療費についても適正化に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁をお聞きして感じるところをちょっと申し上げますと、やっぱり基本的にはもう和歌山県民の罹患率が非常に高いわけですね。病気になる人が多い。この医療費をやっぱり下げていくためには、健康増進計画であるとか、それから食育であるとか、そういう部分、健診も含めまして、そのあたりをしっかりやって病気になる人を減らしていくのが一番大事なんかなあというふうに感じました。
 今答弁いただきましたんで、その次もよく似た話ですが、糖尿病についての質問です。
 これは、糖尿病についてお聞きしたいのは、この医療費適正化計画において占める糖尿病対策というのが大変占める割合が大きいんですね。この医療費適正化計画全体の適正化やったとして出てくる効果額が約66億円、全体で出てくるという計画になってまして、そのうちの糖尿病の重症化予防で出てくる医療費の削減といいますか、これが30億円あると。5割弱、4割強が糖尿病対策になってくるということなんで、この糖尿病対策が功を奏するかどうかが極めて重要になってまいります。
 ここも悪いんですね。糖尿病40歳以上の1人当たり入院外医療費は本県2566円、全国平均は1856円、本県のほうが約4割も高いわけです。ここで、差異の原因、理由、そして対策についてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 本県の糖尿病の40歳以上の1人当たり入院外医療費2566円が全国平均1852円の1.4倍となっていることは、人口10万人当たり糖尿病外来受療率が本県250に対し全国175で1.4倍と高いことが主な原因であると考えています。
 糖尿病は、重症化すると人工透析が必要となるため、患者の生活の質を大きく低下させることはもちろん、医療費の面でも社会的に大きな負担となります。
 そのため、糖尿病対策は県民の健康増進と医療費適正化の両面から喫緊の課題であることから、県では、第三期和歌山県医療費適正化計画で糖尿病の40歳以上の1人当たり入院外医療費の減少を目標に掲げ、運動習慣の定着や食生活の改善などの糖尿病予防対策を推進するとともに、和歌山県糖尿病性腎症重症化予防プログラムにより、新規人工透析導入者の減少に取り組んでおります。
 今後、県と市町村、医療機関が協力してこうした取り組みを着実に進めることにより、糖尿病医療費の縮減に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ここもやっぱり健康増進計画とか健診、これが大事なんかあというふうに思いましたですね。本当に同じ和歌山県民として、こんなに健康状態が、病気になる人が多いというのは本当に何とかしてほしいなあと、したいなあというふうに思います。
 その次ですけども、次は後発医薬品、いわゆるジェネリックについてお尋ねします。
 ここも、先ほど言いましたように、適正化計画の中の全体66億円のうち、この後発医薬品の使用率向上による効果額というのが30億円弱ありますんで、ここも相当大きいということでお尋ねするわけですけども、この後発医薬品の使用率も、本県の場合、全国的にワースト5の低い使用率、ワースト5に入っていると。
 この後発医薬品の使用の促進というのは、もう10年以上前から厚労省もそういう方針を出して各自治体も取り組んできてたわけで、この数字を見ますと、これまで一体何をしてきたんかなあという気もするわけですが、とりあえず、どんな取り組みをこれまでしてきたんか、まずはお尋ねしておきます。
 そして次に、後発医薬品の使用率向上のためには、本県の医療機関の中心であります和医大附属病院に積極的に取り組んでいただくことが必要かと思います。和医大附属病院の医薬品の処方が今現在どうなっているか、お尋ねいたします。
 次に、院外処方は原則、先発医薬品名ではなくて一般名処方、いわゆる成分名での処方か後発医薬品名での処方にすべきであるという提案をさせていただきたいと思います。理由は以下のとおりであります。
 1つ目の理由としましては、一般名処方にしますと診療報酬点数の加算があります。病院の経営にとってもプラスがあると。全ての薬を一般名処方にしますと6点の加算があります。幾つかの薬のうち1つでも一般名処方にすると4点の加算がもらえます。医大附属病院ぐらいの規模でありますと、加算6点でざっと900万円、加算4点で600万円という増収になりますんで、このメリットは1つあるんかなと思います。
 2つ目の理由としましては、チェック、要するに先発医薬品を使いなさいよという指定をするために、先発医薬品の名前が入ってて、そこにチェックを入れるんですね。そしてチェックが入ってないやつはジェネリック、後発医薬品も使えるわけですけども、チェックを入れてなくても先発医薬品名で処方されますと、薬局は「先発医薬品にしますか、後発にしますか」ということを患者さんにお聞きすることになります。また、先発の名前が書いてあると、その書いてある薬が本物で、それ以外は何か違う代替品というか、そういう印象を与えてしまって、患者さんのほうが先発医薬品を選ぶ契機、動機をつくってしまいます。
 逆に、医師が後発医薬品名で処方いたしますと、薬局はそれしか処方できなくなってしまいますんで、先発医薬品を選ぶ選択権がなくなってしまいます。それはそれで問題かもしれないんですけれども、少なくとも一般名処方、いわゆる成分名での処方で記載していただければ、先発医薬品のほうがすぐれているという先入観がなくなりますし、薬局でも後発医薬品を勧めやすくなると思います。
 3つ目の理由ですけれども、先発医薬品が指定されていない場合、薬局での説明を聞いて、効能が同じやったら安いほうがええわなというて安い後発医薬品を選ぶ人が多いというふうに聞いております。しかし、生活保護受給者は医療費が無料でありますんで、薬についても価格の高い先発医薬品にしてということが多かったようです。これを是正するために、厚労省は、今後は医師が後発医薬品で問題がないというふうに認めれば、原則的に後発医薬品しか選べないようにするという方向性が示されました。
 生活保護受給者につきましては是正の方向は示されたんですけれども、実は医療費が無料の対象者というのは、生活保護受給者だけではありません。例えば、小学生や中学生の医療費を無料化している自治体の児童や生徒はそうですし、それ以外にも医療費が無料の人、これもう部長はおわかりになると思いますけども、無料の人や1割負担など負担の軽い人がいらっしゃいます。そういう人たちは、薬局でやっぱり価格の高い先発医薬品を指定する人が多いというふうに私は聞いております。
 そのようなことを是正するためにも、処方箋は原則一般名処方、いわゆる成分名での処方か後発医薬品名での処方をするようにすべきであるというふうに考えますけれども、このことについてどう考えるか、県の御所見をお尋ねいたします。
 また、各自治体や企業健保組合では、医療費を削減するためにいろんな取り組みをしておられます。このジェネリックでいいますと、例えば鹿児島県では鹿児島大学の薬学の学長、薬剤師会の会長、医師会の会長、病院協会会長等を構成員とする後発医薬品普及促進協議会をつくって、使用率の低い地域で啓発シンポジウムを開催するなどの取り組みを行っておりますし、また、栃木県の南西部にあります安足地区は、自治体が病院に働きかけて、要するにこれ市町村かと思うんですが、市町村が直接病院に出向いていって、後発医薬品を使ってくださいよという働きかけをして使用率を高めたということも報告されております。協議会の中で先進的な病院が取り組み発表して各参加病院が共有することにより、使用率が30%だった病院で今や8割を超えるところも出てきているという例もございます。
 これで最後ですけども、処方箋というのはドクターだけが出せるんですよね。ドクターの自由といいますか、ドクターがどうするかにかかってるんです。でも、そのドクターに対して組織としての病院がどう内部統制をしていくかということ、それから医大も含めて、医大附属病院、医師の協力をどう取りつけていくのかというところが肝かなと思います。
 これについて県は、いずれにしましても県の今後の取り組みの本気度というのが問われるんだろうというふうに私は思ってございます。今後の取り組み、県の姿勢についてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、後発医薬品使用率向上のこれまでの取り組みについてですが、県では、医療関係者に対して医薬品医療機器総合機構が作成する後発医薬品の安全性に関する情報を速やかに提供するとともに、県民に対しては、県薬剤師会や保険者とも連携し、啓発を実施してきました。
 次に、和歌山県立医科大学附属病院における後発医薬品の院内処方の状況につきましては、院内で採用されている医薬品について後発医薬品への切りかえに取り組んだ結果、平成29年度で79.4%となっていると聞いております。
 なお、院外処方の状況につきましては、病院が採用していない後発医薬品をシステム上で処方できないという現状があると聞いています。
 次に、一般名処方もしくは後発医薬品名での処方では、患者が後発医薬品を選択しやすくなり、後発医薬品の使用率向上に効果的であると考えられることから、医師に対し、その処方を働きかけてまいります。
 また、処方箋を受けて調剤する薬剤師に対しても、後発医薬品の安全性や価格の安さなどについて、患者に対する説明を徹底するよう働きかけてまいります。
 最後に、後発医薬品の使用率向上への今後の取り組みについてですが、議員御提案の処方を推進するほか、県民に対しては、セミナーの開催やポスターやチラシなど啓発資材を用いて、関係機関とともに積極的に周知してまいります。
 こうした取り組みを着実に進めるとともに、先進県における取り組みも参考にしながら、第三期和歌山県医療費適正化計画で掲げた2023年度に後発医薬品使用率を80%以上にするという目標達成に向けて努力してまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁いただきましてありがとうございます。
 まず、ちょっと要望さしていただきたいんですけども、私、実は医大病院の院外処方の後発医薬品の使用比率を知りたかったんですけども、これはちょっとシステム上わからないということで、それはそれで仕方ないのかなというふうに思いますが、私の聞いているところでは、医大のほうの処方の多くは、チェックを入れた指定はしていないとしても、先発医薬品名で記載されているものが多いというか、ほとんど先発医薬品名での処方のようでございます。医大でも、先発医薬品名ではなくて、一般名で処方するようにぜひ改めていただきたいなというふうに思います。
 これも少数かもしれないんですけれども、一部のお医者さん、ドクターが、先発医薬品でなくてもいい患者さんに、チェックを入れた先発医薬品限定の処方箋を出しているということを聞いております。医大附属病院の処方に関して、そのようなことのないように、医師に対する内部統制を強めていただきますこともあわせて要望しておきたいと思います。そんなところですかね。
 次に行かしていただきます。
 項目3は、地域医療構想についてです。これは、かなり大きな構想なんですけども、最初に、これまでの進捗状況とこれからの取り組みについてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 和歌山県地域医療構想の推進に当たっては、県が各医療圏において全ての病院と地域医師会などの関係団体で構成する地域医療構想調整会議を設置し、地域の医療機関が担うべき病床機能について協議を進めています。
 とりわけ、本県におきましては、各医療圏において中核病院である公的病院が救急医療や僻地医療などの地域医療を担っている現状にあることから、全国に先駆けて地域医療構想と公的病院のあり方を独自に策定し、その考え方を地域医療構想調整会議において示し、具体的な病床機能の再編等について議論を重ねているところです。
 そのような状況において、今年度は各公的病院を中心に現在の財務状況などに関する経営分析を行うとともに、各病院が将来の医療需要を踏まえ、機能分化、連携を行わない場合の収益予測などを行うこととしております。
 こうした経営分析等や各医療機関に対する意向調査及びヒアリングの結果を踏まえて、各医療圏ごとの公的病院を中心とした医療機能の再編、ネットワークや医療機関同士の役割分担を地域医療構想調整会議において検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 お聞きしてちょっと驚いてるといいますか、割と踏み込んだことをことしはやろうとされてるんだなあということで、期待をしたいなというふうに思います。
 ただ、調整会議の様子も私もちょこちょこお聞きするんですけども、実際のところはそれほど前向きに進んでいないんじゃないかというふうに感じるんですね。皆さん、自分とこがまず手を挙げて「病床を転換します」とか、なかなかそういうことはなくて、国の制度をにらみながら、横を見ながら、様子を見てるというのが現状かなあと、実情かなあというふうに個人的には思ってます。
 このままですと、2025年をめどにこれ構想をつくられてるんですけども、あっという間に来ると思うんですね。このままにらみ合いといいますか様子見が続きますと、調整会議を幾ら開いてもなかなか病床の再編というのは進んでいかないと思うんで、私はやっぱり実際にこの地域医療構想、国がつくれと言って県がつくって、県が実際進めていかないかんわけですが、現場としてこれを進めていく立場にある県として、この地域構想の実現には何が障害になっているんかというふうに考えるか。これを進めるためにやっぱり制度上、医療制度全般について、国や厚労省にこういうふうに制度を変えていくべきだというような提言を、現場のほうから国に物を申していってほしいなあと。
 地方というのは、国が決めた制度の中でしか動けんわけですよね。それは本当に不便なことが多くて、こういうふうに変えてくれたらというのは、このことだけじゃなくていろいろあると思います。この地域医療構想につきましても、実際にこれを進めていく立場にある県として、国に物を申していってほしいなあというふうに思うんで、そういうことがあればちょっと御答弁お願いしたいなと思います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 地域医療構想を進めるに当たっては、各医療圏ごとに人口減少や高齢化の進行、医療資源などの状況を踏まえ、各医療機関の機能分化、連携を進めていくことが必要です。このため、各医療機関が将来の方向性を定め、関係機関と十分に議論をし、合意形成を図っていくことが重要であるため、相当の時間がかかるものと考えております。
 そのような地道な取り組みを進めている中で、経済財政運営と改革の基本方針2017においては、地域医療構想の実現に向けて個別の病院名や転換する病床数などの具体的対応方針の速やかな策定を行った都道府県に、地域医療介護総合確保基金を重点的に配分するとし、平成30年度以降、その進捗状況を考慮していくことが示されました。
 しかしながら、地域医療構想を進める上では、高度急性期から慢性期、在宅医療に至るまで、地域の患者の病状に合った切れ目のない医療提供体制の構築や、医療人材の確保などの取り組みに対しても、同様の評価がなされるべきであると考えることから、そういった取り組みに対しても当該基金を重点的に配分するよう国に対して要望してまいるとともに、ただいま議員の御提案にもありましたが、さまざまな要望を積極的にしてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁いただきました。本当にこれ難しいと思うんですね。県が直接何かすれば済む話じゃなくて、各医療圏の医療を提供している病院であるとか診療所であるとか、病院が寄ってこれからどうしていこうかと決めていきますんで、難しいんで、私は国がもっと、各病院が自主的な判断をできるように医療制度を変えていくべきだというふうに思っておりますけども、いろんなことを国にがんがんと物を言うていってほしいなあということを要望さしていただいて、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 議長にお許しをいただきましたので一般質問をさせていただきますが、それぞれの議員さんからもお見舞いの言葉もありましたが、今なお完全に復旧されてない大阪北部にお住まいの皆さんに、お見舞いと、早く平穏な生活に戻りますことを祈って質問に入ります。
 それでは、最初に、県道御坊由良線の整備についてお伺いをいたします。
 県道24号線は、御坊から由良町までの延長8キロの区間をリアス式海岸に沿って南北に走る風光明媚な路線であり、かつては、有田市、湯浅町、広川町、由良町、日高町、美浜町、御坊市とつなぐキララときめきロードとして整備が進められてきました。
 現在、有田市から由良町までの県道23号線の改修が進んでるところであります。しかし、由良町から美浜町間はいまだ未整備区間が多く、地域住民にとって大変不便な暮らしを強いられています。さらに、すばらしい県内有数の海岸線を有していますが、観光資源としての地域のポテンシャルを十分に生かし切ることもできていません。
 知事は、3期12年間で県内主要幹線道路をX軸に例え整備し、続いて川筋ネットワークの整備を進める等、和歌山県の道路整備を急ピッチで整備してまいりました。このことは、我が県にとって生活の向上や産業の発展はもとより、観光振興や災害に対応可能な道路整備として高く評価されるべきと私は思います。
 財政の状況も留意しなくてはなりませんが、県内を南北に走る国道42号線や高速道路から少し離れた海岸沿いで暮らす人々もたくさんおられます。先述の由良町や日高町、美浜町までの海岸線近くにお住まいの住民は、公共施設や商業施設、病院等から直線距離では離れていなくても、道路が狭くて歪曲しているため、時間的に遠いと感じています。救急車や消防車が急病やけが、火災等の緊急救急搬送におくれが出るのではないかと日ごろ大変心配しています。
 また、広域に及ぶ大災害時には、当路線を整備することで複数の路線を確保でき、地域の強靱化にも大きく寄与するのではないかと考えています。もちろん、最近急激に増加している海外からのお客様や他府県の観光客に対しても、開放感のある自慢のきれいな海岸線と点在する島々を望むすばらしい景観美、はるかに浮かぶ四国の山並みは、多くの人々を魅了するスケールの大きな観光地であります。
 しかし、現状では、観光バスの往来は非常に厳しく、旅行者の皆さんも敬遠されるのはいたし方ないことと理解しています。また、サイクリングロードとしても大変魅力的な地域でありますが、道路が狭いので危険を伴い、安全性を確保できません。何よりも、そこで生活している住民の皆さんは、見通しが悪く、すれ違うことさえできない区間を毎日往来していますが、大変不便な思いをしておられます。
 また、道路の現況を申し上げますと、当路線は切り立った海岸の岸壁等と急峻な山側の大きなのり面に挟まれた道路であります。施工されてからかなりの年数が経過しているため、のり面は老朽化し、近年大きく崩れ、ここ4年間で7度も通行規制を余儀なくされ、さらに、台風時の越波による影響もひどく、4年間で18回も通行どめの被害に遭っています。
 そこで、県土整備部長にお伺いをいたします。
 まず、この地域のように、国道42号線から大きく迂回し、整備のおくれている海岸線にお住まいの方々の暮らしや緊急時の命を守るために、道路整備は急務と考えますが、その状況についてお答えください。
○議長(藤山将材君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県道御坊由良線の整備についての御質問でございます。
 美浜町、日高町、由良町の海岸沿いの地域は、国道42号から大きく迂回していることから、これまで国道42号と海岸沿いの集落を結ぶ県道御坊由良線を初め、県道御坊湯浅線衣奈トンネルや県道比井紀伊内原停車場線の整備を進めてきたところでございまして、引き続き、県道柏御坊線の整備を進めているところでもございます。
 現在、県道御坊由良線の海岸沿いの区間については、沿線の観光拠点へのアクセスや、海岸線の集落をつなぐ整備などを各町で順次進めている状況でございます。
 まず、美浜町では、三尾地内の日の岬公園線との分岐点付近で現道対策を平成29年度から実施しております。
 次に、日高町では、産湯─比井工区の現道対策を平成24年度から実施してございます。また、比井からみちしおの湯までの区間のうち、小浦工区の整備について、平成30年度より事業に着手したところでございます。
 さらに、由良町では、神谷工区を初め、白崎海洋公園から由良町小引地区までの区間のうち、大引工区や台風時の越波の影響により通行どめが発生している小引工区の整備を平成22年度から進めてございます。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 次に、近年、大型化する台風や集中豪雨、起こる確率が高まる東南海や南海地震、それに伴う津波を初めとする大災害に備えて国土強靱化が進められていますが、このような海岸線の道路整備についてどのようにお考えですか。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 海岸線の道路整備についてということで御質問いただきました。
 大規模災害に備えた強靱な県土をつくるため、災害時の救助や物資供給に必要な広域的な道路ネットワークの整備促進を図りますとともに、県内各地に迅速かつ確実に物資等を送ることができる県内道路網を構築するため、幹線道路やそれを補完する道路の整備を進めております。
 議員から御質問のあったような高速道路や国道などの幹線道路から離れた海岸地域の道路整備については、幹線道路から海岸沿いの集落や各防災拠点に向けた整備と、海岸沿いの集落や防災拠点を結ぶ整備とを連携して行う必要があると考えております。
 そのような中、県道御坊由良線については、国道42号から海岸沿いの集落や防災拠点に向けて整備を進めるとともに、海岸沿いに美浜町、日高町、由良町の集落や防災拠点を結ぶ整備を順次進めているところでございます。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 先ほどもちょっと述べましたように、こういう大きな地震とか津波が来るということになりますと、この間の大阪の北部地震でも、しばらく高速道路とか電車等の公共交通機関も、ある程度点検の時間を要して使用不可能になるような状況がこの間ありましたけども、当然、和歌山県も高速道路、また、42号線は特に海岸線、これも海岸線になるんですけども、そういう区間がとまったときに、やはり代替道路としてもぜひ整備を進めておけば、その地域の災害時の代替道路としても大変有効だと思いますんで、ぜひおとめ置きいただいて、早期の整備をお願いしたいと思います。
 次に、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 由良町から日高町を経由して美浜町に至る海岸線は県内でも有数の景勝地と考えますが、当地域の観光地としてのポテンシャルをどのように評価されますか。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県道御坊由良線は、本県が推進する「WAKAYAMA800」のサイクリングロードであり、沿線にはエーゲ海をほうふつさせる白崎海岸や、数キロにわたり松林が続く煙樹ヶ浜、日ノ御埼といった絶景があるとともに、産湯海水浴場、スキューバダイビングや漁船クルーズ、地びき網などのこの地域ならではの体験メニューも豊富にあります。
 さらに、天然温泉のみちしおの湯や、食では、先般、ニッポン全国鍋グランプリで優勝した天然クエ鍋などの海の幸も味わうことができ、最近ではカフェも幾つかできるなど、多彩な魅力を持ったエリアでございます。
 このようにすばらしいエリアにおいて、由良町は自転車耐久レース「白崎エンデューロ」という大会を開催し、1年を通じて多くのサイクリストにお越しいただくようになりました。県及び県観光連盟といたしましても、このルートはWAKAYAMA800の中でも魅力あるルートとして県観光情報誌「紀州浪漫」や公式フェイスブックなどにより情報発信を行っているところです。
 今後も引き続き、サイクリングとあわせ、これらの絶景や体験、温泉、食といった多彩な魅力を絡めた旅の楽しみ方をメディアにより情報発信するとともに、旅行会社へ提案するなど、さらなる誘客に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 いろんな各方面にコマーシャルしていただけるのは大変ありがたいんですけども、それを利用するためのインフラ整備というのはあわせて必要だと思うんで、県土整備部長にも、今の商工観光労働部長のお話を聞いて、早急にというか、道路整備にも積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、去る5月10日に、県道御坊由良線沿いの由良町、日高町、美浜町の各町長さんを初め、地元関係者の皆さんや冨安先生、坂本先生、私も一応この顧問に就任してるんですけども、県道御坊由良線整備促進協議会が設立されました。地域の皆さんの並々ならぬ決意のあらわれと受けとめられますが、この地域の皆さんの熱意について、知事のお気持ちをお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県道御坊由良線は、御坊市湯川町小松原の国道42号を起点に、美浜町、日高町、由良町の海岸沿いをつなぎ、沿線住民の方々の生活を支える道路です。
 また、日本有数の景勝地である白崎海岸、近畿最大の規模を誇る煙樹ヶ浜、関西屈指の透明度を誇る産湯海水浴場などの観光地を周遊でき、これら魅力的な海岸線を結ぶ海のサイクリングロードにも位置づけているなど、観光振興を担う道路としてもその重要性は十分認識しております。
 今回、由良町、日高町、美浜町を初め、バス会社やタクシー会社、由良町及び日高町の観光協会により、県道御坊由良線整備促進協議会が設立され、花田先生初め県議の先生方も顧問に就任され、地域の課題に対して官民連携して取り組む姿勢には、大きな熱意を感じるところでございます。
 これまでももちろん地元の御協力をいただきながら、順次、この路線の整備を進めてまいりましたけども、先ほどお話がありましたように、海岸の背後に急峻な山地が迫るなど、厳しい地形的制約もあり、まだまだ整備が必要な箇所がたくさんございます。
 引き続き、今回設立された県道御坊由良線整備促進協議会の皆様方とよく御相談をしたり、御協力を得たりしながら、着実に取り組んでいく所存であります。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 御答弁ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いしておきます。
 次に、和歌山県のクルーズ船の就航状況と今後の可能性についてお尋ねをいたします。
 政府は、「明日の日本を支える観光ビジョン」で、2020年には外国人旅行者を4000万人に目標設定し、うちクルーズ船による旅行客を500万人と推定しています。北東アジア海域をカリブ海のような世界的クルーズ市場に成長させ、クルーズ船の寄港を生かした地方創生を図ることとしています。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 外洋に面した我が県の特性を生かし、クルーズ船の誘致が期待されるところですが、特に大型クルーズ船の寄港可能な和歌山下津港、日高港、新宮港の整備状況についてお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 和歌山下津港、日高港、新宮港の整備状況についての御質問でございます。
 日本に寄港するクルーズ船の大型化が急速に進行している状況を踏まえ、本県においても、クルーズ船の寄港実績がある和歌山下津港、日高港及び新宮港で、既存施設の改良により大型化への対応を進めているところでございます。
 具体的には、和歌山下津港においては、直轄事業で防波堤撤去による航路の拡幅や係船柱、防舷材の更新が実施されており、来年6月までに11万トン級クルーズ船の、また来年度末までに16万トン級クルーズ船の、それぞれ受け入れ対応工事が完了する予定でございます。
 また、日高港においても、5万トン級クルーズ船への対応として、直轄事業で岸壁の延長不足を補うための係船くいの設置工事が実施されており、本年9月までに完了する予定でございます。
 さらに、新宮港においては、7万トン級クルーズ船の受け入れ対応として、十分な水域を確保するためのしゅんせつ工事を本年7月までに、11万トン級クルーズ船の受け入れ対応として、岸壁の延長不足を補うための係船くいの設置工事を本年12月までに、県施工により完了する予定でございます。
 また、県内でクルーズ船の寄港数が最も多い新宮港では、バスやタクシーの駐車場所の舗装工事を進めているところですが、今後さらに外国の大型クルーズ船の寄港増加が想定されるため、税関等の手続や旅客の待合所となる常設大型テントの整備を検討しているところでございます。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 それでは、次に、今の上記の3港のクルーズ船のこれまでの寄港実績をお答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) クルーズ船の寄港実績についての御質問でございます。
 お尋ねのありました3港への寄港実績は、平成20年度から平成29年度までの10年間で、和歌山下津港で17回、日高港で8回、新宮港で68回となっており、3港合計で年間4回から15回の寄港実績がございます。
 平成30年度については、現時点で和歌山下津港で2回、日高港で1回、新宮港で17回、3港合計で20回の寄港が見込まれているところでございます。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ちょっと僕も新宮港が多いのには少しびっくりしてるんですけども、聞けば、新宮港はほかの港、東京、関東とか、アクセスが物すごくいいということで新宮港へ寄っていただいてるというように聞きますし、また、多分、世界遺産の熊野三山とか熊野古道の奥の深い観光地があるんで、多分それも人気してるんだろうなと思いますんで、あとの2港に関しても、ぜひそういう観光の掘り起こし、後からお答えいただく部分もありますけども、ぜひやっていきたいなというふうに思っています。
 次に、全国各地でクルーズ船の誘致合戦が熾烈になると考えておりますが、我が県の今後のクルーズ船誘致へのお取り組みについてお答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) クルーズ船誘致への取り組みについての御質問でございます。
 クルーズ船の誘致につきましては、一昨年度より庁内横断のチームをつくり、国の内外で開催されるツアー商談会やクルーズ船社等への直接訪問を通じて、プロモーション活動を積極的に実施してございます。
 また、寄港地周辺市町の協力が不可欠ですので、和歌山県クルーズ振興協議会を設置するとともに、外国クルーズ船の運航責任者等を本県に招聘し、観光地などの魅力を紹介するなど、市町とも連携しながら誘致活動に取り組んできたところでございます。今年度は、現時点において過去最高の20回の県内港湾への寄港が見込まれるなど、その成果が徐々にあらわれていると考えてございます。
 さらに、大型クルーズ船に対応した施設が今年度から順次完成することから、これまで寄港が不可能だった大型船を運航する外国船社も含めて、国内外のクルーズ船社や旅行会社等に対して、より一層積極的な誘致活動を進めてまいりたいと考えております。
 加えて、高知では、ひろめ市場や地元商店街をめぐる市街地周遊コースがクルーズ客から人気を得ていると聞いてございます。そういったことが和歌山でもできないかということも考えるべく、先進事例を調査してまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 皆さんもちょっと不思議に思ってるかもわかりませんけども、観光地のそういう、まあいうたら商工観光労働部長違うんかというように皆さん思われてるかもしれませんけども、どうもこのクルーズ船の誘致に関しては、非常に港の専門的な情報をクルーズ船のそういう会社に提供しないといけないということで、やはり県土整備部のほうでそういう誘致の合戦というか、誘致に力を出していただいてると。商工観光労働部も当然協力、力を合わせてやっていただいてると思いますんで、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
 クルーズ船観光客への市内観光と経済波及効果を引き出すための今後のお取り組みについてお答えください。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 寄港されたクルーズ船のお客様にいかにお金を落としてもらうかにつきましては、寄港地周辺の魅力ある商業施設や観光地をめぐるモデルコース、食、体験、お土産などのスポットの情報を事前に提供する必要があると考えております。
 これらの情報を、寄港地周辺の市町等が作成するマップに反映させ、お客様に対して来県いただいたときだけではなく、旅行を始める前に知っていただくため、例えば、クルーズ船内での事前配布の取り組みも推進してまいります。
 また、クルーズ船のお客様については、船中泊では味わうことができない温泉や地元のおいしい食材を魅力にして、例えば、高野山や熊野を満喫していただくといった陸上泊プランへとつなげるため、国内外で開催されるツアー商談会やクルーズ船社等への誘致活動の中でその魅力を伝えることにより、旅行商品の中に盛り込んでもらうよう働きかけを行ってまいります。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 今、申しわけない、知事と商工観光労働部長にだけちょっと提供をさせていただいたんですけども、6月1日から30日まで、御坊で「つれもてバル」といって、今バルの期間中でして、私もちょっと協力させていただいてるんですけども、これ結構いいんじゃないかなあと私は思っておりまして。
 というのは、まず、外国のお客さんに外国語で説明できるというのが1つ。もう1つは、値段が先提示されてるということが1つ。だから、店へ行ってメニューを見てわからないとか、全部写真つきでこうなってるんで、全部セットになってるんですよね、飲食のあれが。だから、観光客、特に外国の観光客の方がもし停泊されて、夜、外で夕食をとると、また、夜のそういう歓楽街というか、そういうところへ1回体験的に行ってみるというときに、大変安心感を与えるもんだと思うんですよね。
 そして、クルーズ船は来るのは随分早くから日程的にわかってるようですから、商工会なんかが中心になってバルというのをやってみたらどうかなと、計画してみたらどうかなと、ひとつ一案として提示させていただいたんです。
 これ、私が知っている限りでは2回目、御坊で。一番最初は商工会が主催で、かなりもっと大規模だったんですけども、今回は新聞社が主催でこれをされております。ぜひ、もしそういう誘致の際の、特に外国の方が上陸していただいて、安心してそのまちを探索していただくという意味において、こういうバル制度なんていうのはなかなかいいんじゃないかなあと思いますんで、またひとつ御検討していただくようにお願いします。
 次に、知事にお伺いいたします。
 今議会でも取り上げられているIRの誘致とクルーズ船の誘致の相乗効果についてお尋ねをいたします。
 法整備がいよいよ整い、IR誘致が現実味を帯びてきました。知事はIR誘致に積極的に取り組んでいただいておりますが、クルーズ船の就航実績がIR誘致のセールスポイントになると考えます。また、IRが完成すれば、当然、クルーズ船の誘致にも大きく寄与すると考えますが、いかがお考えですか。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) IR誘致が実現いたしましたら、IR自体がクルーズ船の目的地となりまして、さらなるクルーズ船の寄港増加と、それからクルーズ船観光客の増加、これはまたIRがはやることになるというふうに、そういう効果が期待できると思います。
 和歌山下津港は、来年度中に16万トン級のクルーズ船の受け入れ対応工事が完成することから、県といたしましても、さらにクルーズ船誘致活動を加速させていきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 次に、クルーズ船の寄港に際し、旅行客の皆さんに対して県民挙げておもてなしの心で接することが大切だと考えます。クルーズ船でお越しの方は、日本人だけではなく、いろんな国の方々で、言葉や慣習も異なります。
 そのため、県民のクルーズ船観光客への認知度を高めることが大変重要だと考えますが、いかがですか。また、そのためにはどのような施策が考えられますか、お答えください。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) クルーズ船で来県する観光客をふやすために、まずは大型クルーズ船に対応したハード整備や、国内外のクルーズ船社に対する誘致活動にしっかり取り組むことがもちろん必要でございます。
 さらに、クルーズ観光客を歓迎する機運を醸成し、おもてなしの向上や経済波及効果の拡大につなげるためには、議員御指摘のように、県民の皆様にクルーズ船という旅行手段を広く知っていただくという取り組みも必要だと考えます。
 このため、寄港地周辺市町によるクルーズ船寄港時の岸壁でのイベントの開催や、和歌山県クルーズ振興協議会ホームページで当面の寄港スケジュールやイベント情報の周知などの情報発信を実施し、県民の皆様にクルーズ船を身近に感じていただくための取り組みを進めているところでございます。
 また、今年度、新宮港に寄港するクルーズ船を利用して新宮市民を対象とした週末クルーズも企画されているところでありますし、また、経済団体などを中心に、経済人にクルーズの一部でも乗って体験してもらってその本質を知ってもらうというようなプランも現在計画中であります。
 今後は、これらの取り組みに加え、クルーズ船の県内寄港に合わせて、小学校、中学校高等学校の生徒さんなんかを対象にした船内見学会の開催などを、寄港地周辺市町と連携して船社に働きかけてまいりたいと思っております。
○議長(藤山将材君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 もうこれは要望になりますが、今、知事がおっしゃったように、県民の皆さんにクルーズ船の旅のよさをわかってもらうというのには、実体験をしていただくというのもよい方法ではないかと思います。既に船旅のよさを経験された方もたくさんおられますが、より多くの皆様にクルーズ船のよさを御理解いただく機会を持っていただくため、各界各方面に呼びかけ、例えば県民の船、昔、青年の船とか少年の船というのがあったんですけども、和歌山県民がクルーズ船を体験するというようなあれで、県民の船を計画し、クルーズ体験をしていただくのもよいのではないかと考えます。
 ふだん私たちはおかからしか見たことがないふるさとですけども、ふるさとのよさを海上から再確認することもすばらしい企画になるのではないかと思います。特に小中学生や高校生にとっては、ふるさとを知る貴重な体験になりますし、郷土愛にもつながります。また、若い男女にとっては婚活の場になるかもしれません。定年された方には、久しぶりの夫婦の旅になるでしょう。家族サービスを兼ねた旅行を計画される方もいらっしゃるかもしれません。船内イベントを盛りだくさんに企画することで、新たなきずなも生まれると思います。
 老若男女それぞれの思いを乗せて、瀬戸内海から宮崎県沖を通過し、太平洋を一周する四国一周クルージングなどは、きっと船旅のよさを実感していただけるすばらしいクルージングコースになるのではと考えます。クルーズ船の誘致とあわせて、和歌山発着のクルージングプランも魅力的ではないかと思いますので、ぜひ御一考をお願いいたします。
 私、一度、少年の船という船がありまして、二階先生のお世話で、由良の三井造船で改装工事を―もともとは青函連絡船だったんですけども、それを買いまして、そこで改装工事をしたんですけども、そのこけら落としというか、地域の御坊、日高―当時は3区の皆さんでしたよね、皆さんお集まりいただいて、四国一周クルージングを計画したんであります。したんではありますが、そのとき、たまたま四国へ台風が上陸をいたしまして、結局、瀬戸内海で停泊してそのまままた由良港へ帰ってくるというようなコースだったんですけども、やはり瀬戸内を回るときに、当時、本州と四国をつなぐ橋の下をクルージングというか船でくぐったときは、やっぱり船内で一緒に行った人はみんな「おお」と言って、なかなか感動しておられました。
 そういうこともありますんで、ぜひ和歌山県の皆さんにも、そういう商工会とかいろんな方々に御協力をいただいて、和歌山県から出発して和歌山県に帰ってくる県民のためのクルージングというのもなかなかいいんではないかというのをひとつ提案させていただいて、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 平成30年6月定例会、私が一般質問の最後になりました。もうしばらくおつき合いいただきたいと思います。
 まず、冒頭、このたびの大阪北部地震で被災されました皆様に心からお見舞い申し上げたいと思います。
 私は、今回のこの質問で51回目の質問をさせていただきます。事務局でちょっと調べていただきましたら、議長を経験してから以降、30回でございます。もう議長を経験したら質問せんほうがいいんじゃないかという御意見もありますけども、私は議員の本分は議会の質問にあるというふうに思っておりまして、一生懸命やっていきたいと思っております。どうぞ、知事初め当局の皆さんにも、あんまり遠慮せんと質問をすることはありませんが、積極的な御答弁をお願いしたいと思います。
 それでは、通告に従いまして一般質問を始めさせていただきたいと思います。
 まず、リハビリテーション医療の現状について伺います。
 皆さんは、リハビリテーション医療と聞いてどんなに思われますか。現在、県立医大で実施されているリハビリテーション医療は、単なるけがや脳機能障害からの復帰ではなく、多くの診療科目の術前・術後、治療に際してリハビリテーション医療を行うことで、日常生活への早期復帰に大きな成果を上げています。この県立医大の取り組みは、全国のお手本と言われています。
 本日は、県立医科大学リハビリテーション科教授の田島文博先生からいただいた資料を抜粋して配付させていただきました。
 ちょっとページ数が多いんですけど、まず最初に、脳血管障害で8年間寝たきりの患者が胃がんになったケースであります。このリハビリテーションメニュー、結構ボリューム、それから内容もきついというそんな感じがいたしますけども、このリハビリテーションを行うことで、寝たきりだった人ががんの手術を終えて退院するときには歩いて帰れたということであります。
 ずっとめくっていただいて3枚目、食道がんの手術でも、手術翌日からリハビリテーション医療を行うと、3日後には歩いて訓練室を出ていけるようになったということであります。
 県立医大では、診断と同時にリハビリテーション科への紹介となって、必要なら入院で、1日2時間から6時間のリハビリテーション治療を実施することで術後や退院後の回復を早めています。このグラフが出ておりますけども、リハビリをしたら、手術で一旦下がる機能も早期に発揮されると、こういうことであります。
 驚いたことに、脳血管症で入院されてる人でありますけども、昏睡状態で痛みや刺激でも反応しない、この人に熟練な療法士が座らせると目が覚めるというふうに言われております。無理に起こさないと寝たきりと言われるんですが、座ったら今度は立たせて、モニターを自分で見てもらうと、さらに運動させる、そのことによって麻痺を最小限にとどめることができるというふうに言われております。
 ほかにも、発症24時間以内での歩行訓練やICUで人工呼吸器をつけたままで座る訓練、意識障害で人工呼吸器をつけたまま立たせる訓練などが行われています。
 特に注目すべきことは、ずっとめくっていただいたら、那智勝浦町立温泉病院の例が出ておりますけども、このようなリハビリテーション医療を行うことで、介護保険費、医療費が削減できるということであります。この勝浦の例を見ますと、リハビリを行ったら、リハビリの費用は22万円余りですけども、退院後、介護保険を使わずに済むという金額が1600万円余りでありますから、劇的なこれは介護保険の費用を軽減するという例でございます。
 ただし、このような医療を行うためには専門医が必要で、県立医大では田島先生の御指導のもと、優秀な専門医が養成されています。
 さて、超高齢社会の本県では、2次医療圏ごとに地域リハビリテーション広域支援センターを設置し、高齢者の寝たきり防止、脳卒中や骨折等の障害発生時に、急性期、回復期、維持期においてリハビリテーションを行い、高齢者や障害者が住みなれた地域で生涯にわたって生き生きと生活できるよう支援しています。その利用件数は、全県で平成29年1年間に57万2137件あり、大いに県民医療や福祉に役立っています。
 しかし、その7医療圏8病院の支援センターでありますが、2つの支援センターは、それぞれ77万25件、90万888件も実績を上げていますが、常勤の専門医がいません。制度では、県立医科大学が県リハビリテーション支援センターとして人的な支援をすることになっています。
 ところが、県立医大リハビリテーション医学講座では、指導医でもある専門医が少ないため、専門医の県内派遣時には指導を受ける研修医も一緒に派遣することにしていますが、実は、本年度の同講座に入局した研修医は4名中3名が県民医療枠であることから、結果的に民間病院である2つの支援センターには専門医が派遣できないということになっております。
 そのうち1つのセンターは日高地方の民間病院ですが、日曜日もリハビリテーション医療を提供しています。先ほど、県立医大の例を御紹介したように、術前・術後、治療とあわせて間隔を置かずにリハビリすることが必要です。近くにあります公立病院では、日曜はリハビリが休みだというふうに私は苦情を聞いております。
 このように、地域リハビリテーションの分野では、公立病院以上に頑張っている民間病院があります。民間病院というだけで医師の派遣が後回しになるのは、県民にとっても不利益だと思います。私は、県民医療枠、地域医療枠、いわゆる地域枠でありますけども、この進路は単純に公的病院優先というのは地域医療の現状を無視した規制だと思いますが、そもそも、その支援センターの充足対策について知事に伺います。
○議長(藤山将材君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) リハビリテーション医療においては地域の民間病院が大きな役割を果たしてくれているということは、中村議員の御説明でもよく承知できるところでございます。医師の地域偏在と診療科偏在が課題となってる本県では、県内各医療圏において、地域拠点病院として中核的な役割を担っている公的医療機関の医師確保を最優先事項として取り組みを推進してまいりました。
 卒後9年間を県内公的医療機関で勤務することを条件とする和歌山県立医科大学県民医療枠、地域医療枠については、平成28年度以降、卒後臨床研修を修了し、県内各公的病院の内科を初めとするさまざまな診療科で勤務を開始してもらっていますが、県内公的医療機関の多くの診療科で求められる医師数を十分に確保できていない状況に現在あります。
 今後、これらの地域枠卒業医師が、地域枠や、あるいは県民枠の卒業医師の増加が当然あるわけでございまして、県内公的医療機関の医師が充足されるということになり、かつ、議員御指摘のように、地域医療に貢献している民間病院があるんだということであれば、むしろそれがその分野においては地域拠点病院なので、派遣対象に加えることは十分考えられると思います。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございます。すばらしい御答弁をいただきました。
 次に行きたいと思います。
 平成26年6月、医療介護総合確保推進法の成立を受けて、2025年のあるべき医療提供体制を定める地域医療構想の策定が都道府県に義務づけられました。
 本県では、広く医療関係者から意見等を聴取して、平成28年5月に和歌山県地域医療構想を策定し、将来も住みなれた地域で安全・安心に暮らせる社会の実現を目指すことにしました。
 構想の要点は、過剰な総病床数を1万2279を9506に削減するとともに、急性期、慢性期に偏在する病床数を回復期に配分し、回復期病床を1171床から約3倍の3300床に増加させるというものです。それに伴う医療従事者の確保、養成も行うとしています。
 その意味では、今般、県が募集した療法士養成大学は地域医療構想にかなったものと言えますが、果たしてリハビリテーション科を中心とした医師養成についてはどれほど見込んでいるのでしょうか、またその方法について知事に伺います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) リハビリテーション科専門医の必要数については、専門医の認定を行っている日本リハビリテーション医学会の報告によりますと、回復期機能病床45床に1人の割合で専門医を配置することが理想とされております。
 和歌山県地域医療構想では、2025年における回復期の必要病床数は3315床でありまして、学会の報告を踏まえ、単純に計算すると、74人の専門医が必要となってまいりますが、現在、本県の専門医数は29人でございまして、2025年までに45人の専門医を育成する必要がございます。
 本県におけるリハビリテーション科専門医の育成については、県立医科大学附属病院を基幹施設とするリハビリテーション科専門医研修プログラムが設置されておりまして、地域の病院と連携しながら、実践力のある医師の育成に取り組んでいるところであります。
 県立医科大学リハビリテーション学教室は、近畿、中国、四国地方の国公立医科大学で唯一のリハビリテーション医学講座でありまして、10人の指導医が在籍し、専門医研修プログラムの募集定員も6名と、全国でも屈指の育成体制を整えております。
 今後、必要医師数を確保するためには、専門医研修プログラムの定員を充足することが重要であることから、県としては、県立医科大学と連携しながら、当プログラムの内容をより一層魅力的なものに充実させ、プログラム登録者の確保に努めていきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 医大のリハビリテーション科の位置が本当にすばらしいなと思ったわけであります。でも、近畿、四国、中国で唯一となると、和歌山県にだけ専門医を置くというんじゃなくて、ほかにもやっぱりとられてしまうような可能性もあるんではないか。それは、ある程度仕方がないことでありますけども、プログラムの魅力を上げて、来てもらうようにするということでありますけども、私は医師の養成というのは、多額の税金が使われているので、もう少し進路について何らかの規制をする必要があるんじゃないかというふうに思うんです。次の質問と関連しますので、ぜひ確保方をよろしくお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 私は、これまでも地元の公立病院日高病院の医師不足について質問してまいりました。その都度、知事初め県当局から、県立医大医師派遣システムの活用や県立医大との協議、地域枠の公的病院優先派遣との答弁がありました。
 しかし、先日、所用で日高病院に参りましたので関係者に医師の充足状況をお聞きすると、医師数は合計52名もおり、本年度は3名の地域医療枠の研修生も内科に配属されましたが、やはり一部診療科の医師が不足しているとのことでした。
 具体的には、平成26年2月定例会で知事に要請した透析センターへの派遣については、週に1度、非常勤が派遣されていますが、今春で終了し、4月からは市内の人工透析クリニックに週2回の派遣をお願いしているとのことでした。
 日高病院では、透析センターの閉鎖も検討していますが、入院患者の合併症を考えると、総合病院としての責任が果たせなくなるのではないかと苦慮しています。
 かつて看板診療科だった脳外科は5名から3名に、精神科も4名から3名に減員され、当直のやりくりさえ大変と伺いました。そのような状況から、私は、地域枠は公的病院優先と唱えているだけでは公的病院の特定診療科の医師不足は解消できないと確信しました。
 しかも、地域枠は、研修期間も含め、9年が過ぎれば自由です。医師としていよいよ活躍できるときになればさよならです。県民医療枠、地域医療枠の進路は、公的病院などという単純なくくりではなく、もっと丁寧に公的、民間にかかわらず、県民医療に必要な病院の必要な診療科目に送り込むべきではないでしょうか。
 今後、働き方改革で医師不足が進行するおそれがあります。いずれ地域枠も縮小、廃止されるときが来るでしょう。10年も20年も経過して、やはり医師不足は解消されませんでしたでは、県民の生命にかかわる問題だけに、責任のとりようがありません。
 本県の医師不足は、私は卒業生の進路だけではなく、医大入学者の偏在や小中学生のキャリア教育まで含めて取り組まなければ解消しないと考えていますが、今回は県民医療枠、地域医療枠の進路規制の見直しについて知事の御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 卒後9年間を県内公的医療機関で勤務することを条件とする和歌山県立医科大学県民医療枠、地域医療枠については、私が知事就任後、国に対して強く要望して、その結果できた制度であります。
 地域医療枠は、実は全国にございますんですが、県民医療枠があるのは、多分、和歌山県だけだと思います。それは、できたときの経緯でそうなっておりまして、県民医療枠は地域拠点病院に行ってもらおうと。9年間はその地域拠点病院で勤務医をやってもらうんだけども、ただ、そのときにずっと9年間も忙しい仕事ばっかりやってると、医師としての頭脳が陳腐化すると大変なんで、したがって、どんどん医大に戻ってもらったり、また行ってもらったりして、行ったり来たりしながら立派なお医者さんになってもらおうと。それが済むと自由であるということであります。
 地域医療枠は全国的にそうなんですが、和歌山県では特に僻地医療とか小さい機関、そういうところに行ってもらおうというふうに考えてやっております。
 もちろん、一般枠で入学されて研修医を勤められた方も、これも地域拠点病院などに行っていただくことはもちろんでございまして、それも含めて行っていただいているんですが、義務を負ってるのはこの2つの枠の方々でございます。
 これらの地域枠、それから県民枠の卒業医師に関しましては、平成28年度以降、卒後臨床研修を修了して、ようやく実戦配備になったということでございます。2次救急や診療所、あるいは民間病院などのバックアップとなる地域拠点病院となるべき県内の公的病院で勤務を開始したということでありまして、現状では、御指摘のように求められる医師数を十分に確保できてはいません。
 ただ、9年間といっても、その間、毎年毎年医師数がふえていくわけでございますから、だんだんと余裕のある形になっていくんじゃないかというふうに考えております。
 今般、国においても、医師の地域偏在や診療科偏在の課題解決に向けまして医療法の改正を審議しており、改正されれば、その対策として、都道府県、医育大学、医師会、医療機関等が、医師確保の計画や公的・民間にかかわらず、地域医療を担う病院への医師派遣に関する事項を協議することになりました。あるいはなっております。
 しかしながら、そもそも医師はどこで勤務をするのか、どの診療科を専攻するのかを、この医療法ですら自由に選択できる以上、医師個人に対して強制力をなかなかきかすことはできない。このような仕組みでは、それだけで適切な医師配置につながるか、その実効性についてはやや疑問があります。
 県では、地域医療を堅持するために重要となる救急、小児、周産期、僻地などの不採算医療を地域拠点病院としての公的医療機関が担っていることから、まずはその医療機能を十分に確保するために、優先的に医師を現在派遣してます。
 今後、和歌山県地域医療構想を進めていく中で、民間部門においても、こうした不採算医療など地域で求められる役割を担うことになれば、できる限りの配慮をしていくことも考えられると私は思っておりますというのは、先ほども申し述べたとおりでございます。
 それから、さらに、実は余り卒業後こんなふうになるんだといって、その進路を抑制的にやり過ぎますと、そうすると将来において、いろんな可能性にチャレンジしたいというような将来の医学生、これが和歌山県立医大にひょっとしたら来てくれなくなる可能性もあるわけでございまして、そうなると、和歌山県立医大は現在大変人気のある立派な大学なんですけど、その立派な大学のところが失われると今度は元も子もなくなるというところになりまして、この辺の兼ね合いが大変難しいということではないか、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今、加計学園のことで世の中騒がしいわけでありますけども、世の中、職業選択の自由というのがありますが、医師、歯科医師、それから獣医師というのが、大学入学の定員が閣議決定でふやさないということになっております。
 私は、この規制は、医療費をふやさないだとかそんな理由があるのかもわかりませんが、全くもっておかしな規制だというふうに思っております。むしろ逆に、医師、歯科医師、獣医師はわかりませんが、多額の税金で国公立を中心に養成をされてる、社会的に活躍しないといけない医師が、医師になるときにはいっぱい税金を使ってもらって、今度、医師になったら自由で、そこらじゅう自分の好きなところへ行けると、これはどうかなと思いますし、貧乏な和歌山県が県立医大を持ってるというのは、皆さん和歌山県に張りつけとは思っておりませんけども、もっと和歌山の県民のために働いてほしいというふうに、私は県民は思ってるというふうに思います。
 そういう意味では、ぜひ、その地域枠をつくるときに知事も一生懸命頑張っていただいて国の規制を変えていただいたわけでありますから、私は、医師となる進路がある程度その地域で必要とされるようなところに進んでいけるような制限を加えていかないと、公的病院へ行ってくださいとか、それから、国も今度新しい制度で、地域枠をつくるだけではなかなか学生は思うところに行ってくれないということで新しい仕組みをつくってくれる、これは大きな一歩かもわかりませんが、なかなかそれだけでは難しいんじゃないか。
 研修医になるあたりから、普通、文系の大学のゼミでも定員があって、そこへ入れない人はほかのところへ移っていくというようなことがあるわけで、私は、地域医療に必要な人材を育てていくのは、学生が好きなところへ行ってやるというんじゃなくて、ある程度制限を加えていくというようなことがない限り、民間病院はもちろん、公立病院でもいっぱいになりにくいんじゃないかというふうに予想をしております。ぜひ、知事にも大いに検討していただいて、そういう分野に取り組んでいただきたいというふうに思います。要望にさせていただきます。
 続けて、質問を続けていきたいと思います。
 福祉避難所についてであります。
 災害時に特別の支援が必要な高齢者や障害者などが避難する福祉避難所は、阪神大震災の教訓から災害救助法により位置づけられ、東日本大震災などを経て、設置・運営ガイドラインが提示、改正され、要支援者のための避難支援の動きが広がっています。
 本県でも、昨年3月、従来の福祉避難所225カ所のうち、障害の特性に配慮した福祉避難所を市町村とともに96カ所選定し、公開しました。これで自分に合った避難所がどこにあるか、障害者が事前に確認できるようになりました。
 しかし、2年前の熊本地震では、約1700人が受け入れ可能としていた熊本市で、実際には100人程度しか避難できず、北九州市に約200人が引き取られた事例がありました。市は、国の方針に従って176施設を福祉避難所に指定していましたが、実際は施設側の準備や要支援者への周知はほとんどされていなかったそうです。
 先週発生した大阪北部地震では、福祉避難所以前の個別計画や帰宅困難者対策など、防災対策の不備が指摘されています。日本列島に地震がないところはないという基本的な認識が政治家や行政に欠如していたのでしょう。
 本県では、近い将来、南海地震が発生し、大規模な被害が広域に及ぶことから、熊本や大阪のようなことは絶対許されません。福祉避難所はガイドラインに示す機能が間違いなく発揮できるのでしょうか。その実態と対策について福祉保健部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 福祉避難所は、避難生活が長期化すると一般の避難所では生活に支障を来す高齢者や障害者など、特に配慮を要する方が必要とする支援を受けることができる2次避難所であり、平成29年7月1日現在で、社会福祉施設を中心に県内30市町村で計223カ所が指定されています。
 福祉避難所の開設、運営を行うのは市町村ですが、県といたしましては、その開設、運営が適正に行えるよう、救援物資や機材の調達方法、避難者の移動方法といった事前対策をあらかじめ協議しておくことを定めた福祉避難所設置ガイドラインを平成29年3月に策定し、その実施を働きかけてきたところですが、いまだに市町村では進んでない状況にあります。
 県といたしましては、市町村に対して発災時に福祉避難所が十分機能するよう、速やかな事前対策の実施について個別に働きかけるとともに、福祉避難所への避難が必要な要配慮者の受け入れ調整を行う体制を早急に整えてまいります。
 なお、市町村単独での対応が困難と思われる介護職などの専門的人材の確保につきましては、高齢者や障害者などの関係団体の協力を得て、市町村を支援する体制を既に整えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に移ります。
 本年1月、県看護連盟の懇談会でリハビリテーション科の看護師さんから御意見をいただきました。脊髄損傷の人が退院する際、在宅で就寝、寝るときに必要な床ずれ防止エアマットが、御坊市では10万円の新品が支給されるのに田辺市では2万円しか支給されず、中古をあっせんしているということでございました。
 早速、県障害福祉課に問い合わせると、日常生活用具給付等事業といって、市町村が障害者に在宅生活に必要な用具や住宅改修を支給する事業で、どの用具を対象とするか否かは、事業主体である市町村が判断するということでした。
 そこで、鈴木太雄議員にエアマットの例を挙げて田辺市に働きかけていただくよう依頼しました。おかげさまで、田辺市では支援内容を見直す準備を始めたそうです。鈴木議員、ありがとうございました。
 しかしながら、エアマットのほかにも視覚障害者用地デジラジオやICタグレコーダーなど、日常生活用具の支給種目は県内市町村によって格差があります。恐らく、要望がないか、新しい情報を知らないのではないかと推測しますが、厚労省は、日常生活用具給付等事業については、市町村が行う地域生活支援事業のうち必須事業として重要視しています。
 ぜひ、格差是正をすべきではないでしょうか。県の対応を福祉保健部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 障害のある方への日常生活用具の給付事業につきましては、市町村が地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な対応をするため、その事業の内容を独自に設定できる仕組みとなっております。
 この制度のもと、それぞれの市町村では、障害のある方やその家族及び障害者団体からの相談、要望によりニーズを把握した上で給付品目や補助基準額等の決定を行っていることから、給付品目等の取り扱いに違いが見受けられます。
 県といたしましては、より多くの情報の中から給付品目を選定する際の参考としていただけるように、県内はもとより、近畿府県の市町村が設定する給付品目等の最新情報を定期的に市町村に提供してまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞ、よろしくお願いいたします。
 次に行きます。
 法律ができても一向になくならない児童虐待。今月6日、東京都目黒区で長女を虐待し、死亡させた容疑で若い夫婦が逮捕されました。事件の経過は、夫婦はことし1月ごろから長女に十分な食事を与えず、栄養失調状態に陥らせ、2月下旬ごろには衰弱して嘔吐したにもかかわらず、虐待の発覚を恐れて放置し、3月2日に肺炎で死亡させたと言われています。しかも、父親は、2月末ごろに長女を殴った傷害容疑で逮捕、起訴されていました。
 長女は、以前住んでいた香川県で平成28年と29年に県の児童相談所に一時保護されていました。2回目の保護が解除された後の平成29年8月末には、病院から体にあざがあると児童相談所に通報があり、長女は父親に蹴られたと話しましたが、県は一時保護の必要はないと判断していました。
 一家は、ことし1月に東京都に転居し、県の児童相談所から引き継いだ品川児童相談所が2月9日に家庭訪問していましたが、母親とは会えたものの長女には会えませんでした。また、父親は、長女に暴行を加えた容疑で昨年2月と5月にも書類送検されていましたが、いずれも不起訴でした。
 亡くなった5歳の女の子は、「もっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして」というノートを書き残していたことが報道され、涙を誘いました。本当にかわいそうで、ただただ冥福を祈るばかりです。
 そこで、今回の事件を通じて感じた以下2点について質問をします。
 まず、父親が何度も暴行しているのに、家族のもとに帰しています。虐待死亡事件の報道を聞くたびに、なぜそんな親元に置いておくのかと思うのです。
 以前、パチンコ店に駐車した自動車の中で乳幼児が亡くなるという事件が多発しました。そのころ訪問したカリフォルニア州では、ガイドから14歳以下の子供を自動車に残していくことは児童遺棄になり法律違反だと聞いて、何とアメリカは厳しいと思いました。しかし、今にして思えば当たり前のことで、やはり日本では取り組みが遅いと感じています。
 我が国では、法律や制度で家族を中心に置き過ぎている上に、全体的に制度設計が緩いと考えますが、県の対応について福祉保健部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県におきましては、平成25年に発生した事案を受けて立ち上げた弁護士や学識経験者などで構成する検証委員会からの提言を踏まえ、児童の安全を最優先に、速やかな一時保護や措置の決定、一時保護や措置をした後の保護者に対する指導の徹底、また、措置解除に際してのより慎重な判断、さらには、措置解除後の児童の見守り体制の充実などの支援体制の強化をしたところです。
 具体的には、児童相談所や市町村に通告があった児童虐待事案については、お互いに情報を共有した上で、児童相談所において初動方針を決定し、速やかに児童の安全確認を行い、現状の生活では児童の安全が確保されないと判断した場合、即座に親子を分離し、一時保護を行っているところです。
 そして、一時保護を行った際は、児童の心のケアはもちろんのこと、虐待を行った保護者に対しても、明確かつ詳細な援助方針を作成し、子育ての方法や親自身のストレス管理の学習、児童福祉司による家庭への助言、指導などの支援を行い、家族再統合に向けた取り組みを行っているところです。
 こうした取り組みによっても、児童の安全が確保される状況ではなく、直ちに家庭復帰が困難な事案については、里親やファミリーホーム、児童養護施設等を活用し、親子分離を継続するなど、適切な対応を行っております。
 保護者への指導の効果が高まり、児童が家庭に復帰する環境が整った場合には、入所施設や地元市町村の意見を十分に聞くとともに、民生委員、児童委員や学識経験者などで構成する措置専門部会に諮った上で、児童相談所がより慎重な判断を行っているところです。
 さらに、一時保護や措置が解除され、児童が家庭に復帰した際には、地元市町村が主体的に見守りを行うとともに、児童相談所や学校、警察などで構成される要保護児童対策地域協議会で支援方針を決定し、当該方針に基づき各機関が細やかな支援を行うなど、虐待の再発防止に取り組んでいるところです。
 今後も、家庭復帰に当たっては、児童の安全確保を最優先し、慎重な判断を行ってまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 平成23年、南加県人会100周年に訪米したときに、ロサンゼルス市警を訪問し、児童虐待の対応についてお話を伺いました。そのとき特に印象に残ったのは、親が子供に会わせないというふうになったときには、直ちに警察官が踏み込むということでありました。日本でも、子供の安全を優先した警察との連携が必要ですが、県の考えを部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 児童相談所は、児童虐待の通告を受け、児童の安全確認や親子分離を行う際に保護者の抵抗を受けた場合には、職権による住居への立入調査や強制的な児童の一時保護などの権限を行使し、児童の安全を確保しているところです。
 なお、児童や職員に対する危害が予想される場合は、あらかじめ警察に援助要請を行い、警察官に同行を依頼しているところです。
 県といたしましては、児童の安全確保を最優先に考え、万全を期すとともに、引き続き警察を初め関係機関との緊密な連携のもと対応してまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ちょっと時間がないので焦っておりますが、次に行きたいと思います。
 空港の民営化に関連いたしまして、民営化コンセッションの結果を知事に伺いたいと思います。
 5月15日、県は、来年4月の南紀白浜空港民営化を目指して、優先交渉権者を経営共創基盤を代表とするグループに決定いたしました。続く28日には基本協定を締結し、7月上旬に具体的な実施契約を結ぶため、今議会に関連議案を提出しています。
 11年前、私の議長時代、白浜空港の指定管理を提案した地元航空会社や自家用機のオーナーも、観光関係者、設計会社の協力を得て今回のコンセッションに参加いたしました。その関係で、私も近くから一連の動きを拝見し、白浜空港や紀南地方の振興について勉強させていただきました。
 そこで、私から見て、南紀白浜空港民営化のお手本とも言うべき八丈島空港を昨年末訪問しました。そのとき、都庁幹部だった八丈島空港ビル会社の三井常務が私を迎えてくださり、さりげなく私に「かばんを持ちましょう」と言ってくれました。直接利害関係がない私に大変親切な心配り、これこそ民営化の核心であると感じました。
 八丈島空港ターミナルビル株式会社は、第3セクターながら、空港ビルやテナントの経営に加えて、ハンドリングの受注、気象観測、さらに空港運営そのものも指定管理で受託しています。また、クリーニングの取り次ぎや土産品の企画開発、空港外の都立高校校舎や地熱発電広報センターの管理など、手広く事業を展開し、地方空港もやる気があれば何でもできるものだと大いに感心した次第であります。
 また、航路開設や出店など空港活性化に関する調査研究など、一連の取り組みを傍観して民営化は大いに意義があると感じました。残念ながら地元グループは勝ち抜けませんでしたが、空港活性化に対する熱意や提案は遜色なかったと思っております。
 そこで、民営化について一区切りついた現在、知事はどのような評価をされていますか。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県といたしましては、民間事業者による運営を実現することにより、県の負担する運営費が軽減されることに加え、南紀白浜空港の航空ネットワークの拡充が図られ、国の内外からたくさんの観光客を呼び込むことで、紀南地域への経済波及効果が期待できるということについて評価をしています。
 県としても空港の振興と紀南地域の振興は相関関係にあるということは十分に認識しております。現状においても、地元市町及び地域関係団体を主たる構成員として、県も参画している南紀白浜空港利用促進実行委員会において、旅行事業者を対象とした現地視察旅行の受け入れなどの取り組みを、空港再活性に向けて行っております。
 県は、南紀白浜空港に民間活力を導入する事業の募集要項において運営権者が実行委員会に参画することを求めており、地域一丸となって空港の運営をサポートする体制が継続されることになっております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、キャリア教育について伺います。
 勤労は憲法に規定する国民の義務ですが、世の中は結構仕事に対して不平等だと思います。かつて議員の秘書時代、山村に住む大工が屋根から転落して大工仕事ができなくなったという相談がありました。何分、山村のため、中年の障害者には適当な仕事はありません。本来なら障害年金をもらえるはずですが、実は年金をかけていなかったので、結局は生活保護ということになったと記憶しています。このとき、私は、住む地域、職業によって随分人生に明暗ができることを知りました。
 この大工に限らず、今日の和歌山の子供たちも、和歌山で大人になって暮らしていくためには、仕事が限定されます。
 そこで、県では、せっかく県内にある仕事を大切にしようと、和歌山の自然や生活のしやすさをPRし、中小企業や1次産業に魅力を感じてもらいやすい環境づくりに努めています。しかし、現在のような好景気、人手不足となると県外の大企業に吸い取られてしまいます。雇用の絶対数をふやすとともに、1つずつの仕事についてもさらに丁寧に扱うべきではないでしょうか。
 国立福井大学では、地元企業へ就職を促すために、インターンシップのような短期間よりも、共同研究など長い時間をかけて地元企業と一緒に仕事をすることが有効だと言っております。恐らく、経営者の人柄や企業の内容が学生に理解されるのだと推測します。また、中学や高校では福井大学のレベルまではいかなくても、じっくりと仕事に取り組んでみることが必要ではないでしょうか。
 また、ふるさとで錦を織る子供を育てるためには、本県では医師不足のため失われていく命があることを知ってもらい、医師の子弟ではなくても、公立学校からも医師になれる道を示すべきではないでしょうか。
 大阪市の民間人校長だった山口輝美さんが主張するように、小学生が100の職業を知ること、消えていく仕事、新しく生まれる仕事があること、そして、自分自身でも仕事をつくることができることを教えるべきです。
 偉人をお手本に成功例をたくさん知り、大きな夢を持つことも必要です。そして、本人が夢に向かって努力し、周囲も支援できる環境をつくるべきです。特に本県では、優秀な人は公務員や教員を目指すのではなく、みずから事業を始める起業家を目指してもらいたいと思います。
 現在、県教育委員会では、文科省の指導要領にのっとり、各学校にキャリア教育の計画づくりを求めています。学校それぞれの特色も必要ですが、先ほどから申し上げた本県の置かれている状況を考慮して、和歌山県としてはこんな子供を育てたいという指針が必要と考えますが、教育長の所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校教育に変化する社会の動きを取り入れ、社会と結びついた授業等を通じて、子供たちがこれからの人生を前向きに考えていけるようにすることや、地域や社会とのかかわり、さまざまな職業に出会い、社会的、職業的自立に向けた学習を積み重ねていくことが、これから極めて重要であると考えております。
 このような中で、今回の学習指導要領において、キャリア教育が高等学校に加え、小中学校においても明記され、学級活動や学校行事などの特別活動をかなめとして、小学校から高等学校まで教育活動全体を通じて充実を図ることとされております。
 現在、県教育委員会では、各地域や学校の実態、発達の段階に応じたキャリア教育を、教育活動全体を通じて取り組めるよう全体計画のモデルを示し、各学校が、全体計画、年間指導計画を作成するよう指導しております。
 今後は、より組織的、体系的にキャリア教育を進めるため、小・中・高等学校の各学校での目標設定の指針や具体的な事例、先進的な事例を示すことにより、キャリア教育のさらなる充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、このような取り組みを通じて、本県の未来を担う子供たちの育成に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に行きます。
 ことし3月4日午前6時50分ごろ、白浜沖で49歳の漁業者が操業中に海に転落し、約3時間後に海上保安部の捜索により発見されましたが、既に死亡していました。
 本年2月から、小型船舶に乗船する際はライフジャケットの着用が義務づけられました。国土交通省によると、ライフジャケットを着用することで生存率が27%から60%に倍増するそうです。しかし、ライフジャケットを着用しても、救助がおくれると低体温症で亡くなることもあるので、早期の発見が大切です。しかも、夜間ともなれば発見が困難になります。
 そこで、私は、ライフジャケットに通信機を装着し、海中に転落した途端に救難信号とともに位置情報を発信し、通信衛星みちびきなどを通じて海上保安庁に通報し、救助に来てもらうというシステムを考えました。
 幸い、御坊市にはライフジャケットを製造するメーカーがあり、和歌山大学の秋山先生の御指導もいただいて発信機の研究を進めてきましたが、この夏にも実際に海上で通信実験を行う予定です。
 過去5年間の水難事故件数は全国で毎年1300から1500件で推移し、600人から800人が死亡、行方不明になっています。そのうち半数以上は海域で発生しています。
 したがって、このシステムを実現することは、人命救助になり、しかも地域活性化、企業振興にも資する事業と考えています。ぜひ県にも支援をお願い申し上げますが、対応を危機管理監に伺います。
○議長(藤山将材君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 小型船舶乗船中におけるライフジャケットの着用につきましては、船舶職員及び小型船舶操縦者法第23条の36及び同法施行規則第137条に規定されているところです。
 議員御提案のライフジャケットに遭難場所を自動的に発信する機能を付加する等の仕組みは、捜索範囲の広い海上において、より迅速な遭難場所の特定と遭難者救助につながる有効な手段の1つであると考えます。
 議員御提案の趣旨につきましては、海難事故を所掌する海上保安庁に伝えてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、紀州犬の保護について伺います。
 ねんりんピックのマスコットもきいちゃんになりました。先日の香港・EGL観光袁社長のお迎えもきいちゃんでした。最近では、自由に動き回れるエアきいちゃんも登場しました。
 私は別にきいちゃんが嫌いではありませんが、きいちゃんが活躍する陰で、本物の紀州犬を見なくなりました。見るのは洋犬や柴犬ばかりです。柴犬は改良されて、日本犬の80%を占めるメジャーになり、海外でも人気がうなぎ登りだそうです。
 先月、平昌五輪金のザギトワ選手に秋田犬保存会から雌の子犬「マサル」が贈られました。秋田犬は、東日本大震災の支援の返礼として、秋田県から雌の子犬がプーチン大統領に贈られたことでも有名です。歴史をひもとけば、ヘレン・ケラーにも2頭贈られています。
 インターネットのフリー百科事典ウィキペディアによれば、秋田犬保存の歴史や活動は大変豊富です。有名な忠犬ハチ公も秋田犬でした。
 一方、我が紀州犬は、ウィキペディアの記述は3分の1程度しかなく、世間の感心が薄いのか、これまで粗末に扱ってきたのでしょうか。
 紀州犬は、オオカミの血がまじっており、凶暴で飼育しにくいという話も聞きますが、DNA検査によると、世界の85種類の犬の中で、秋田犬はシャーペイ、柴犬、チャウチャウに次いでオオカミに近い犬種であると判明しています。決して紀州犬が怖いというわけではないようであります。
 天然記念物紀州犬は、和歌山県が管理団体になっていることから、5年前に私は紀州犬の保存について一般質問しました。当時の教育長からは、毎年700頭と安定して登録されているので大丈夫との答弁がありました。しかし、今回の質問に当たり、教育委員会から日本犬保存会に問い合わせていただいたところ、この10年間で登録が半減していることがわかりました。
 直ちに絶滅の心配はありませんが、危機に向かっていることは確かで、せっかくのお宝を粗末にするのはもったいないと思います。県民が喜んで飼育できるような環境、紀州犬が活躍できるような環境がつくれないものでしょうか。今回は、知事にお答えいただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県のPRキャラクター「きいちゃん」は、県内外で開催されるイベントに引っ張りだこで、県民にも広く親しまれております。
 このモデルとなった紀州犬は、昭和9年に国の天然記念物に指定されている学術的に貴重な犬種であります。
 紀州犬を初め天然記念物である日本犬は、公益社団法人日本犬保存会のほか、幾つかの団体による血統書発行による登録によって保存されているのが現状であります。
 紀州犬の日本犬保存会での登録状況は、御指摘のように平成26年度の国内新規登録数582頭が平成29年度には372頭、同じく県内新規登録数57頭が21頭へ減少しております。
 日本犬保存会事務局によると、住宅環境の変化や飼育負担が大きいことから、中型・大型犬を避けて、管理のしやすい小型の室内洋犬を飼う家庭がふえていることも減少の1つの要因であるとの意見を聞きました。
 猟犬などにも紀州犬は大変有能であるというふうに聞いておるんですが、少し飼いにくいというような議論を聞いたこともあります。今後、もう少し詳しい調査をして、減少を食いとめる手だてについて検討しなきゃいけないと思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 時間がないので先ほどちょっとよう言わんかったんですが、児童虐待のことで意見を申し述べたいと思います。
 今回の答弁、それからいろいろ事件を聞いて思うことは、児童相談所の人とか物すごく難しい判断をしていただいてるんだと思うんです。だけど、経験とか情報がなかなか伝わらないというようなこともやっぱり多くあるのも事実で、私は、アメリカの警察が親と会わせなかったらすぐに警察が行くとか、何か難しい判断をしなくてもいいように、自動的に動いていくようなそんな仕組みが要るんじゃないかなと、イメージですけども思っておりまして、ぜひ研究していただきたい。私もしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号は所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月26日及び27日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、6月26日及び27日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月28日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時30分散会

このページの先頭へ