平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。
 議長にお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、県職員のオランダ農業にかかわる調査・研究の成果と今後についてであります。
 一昨年2月定例会終了後、当時の和歌山大学産学連携・研究支援センター食品科学寄附研究部門特任教授三谷隆彦氏と助教の味村妃紗氏、そして改新クラブの浦口、藤本、長坂の3名、合計5名でオランダのワーヘニンゲンURとフードバレー等の取り組みを調査に行かせていただきました。その2カ月半後、オランダにおいて我々の窓口をしていただいたワーヘニンゲンUR国際協力アジア担当マネジャーのアルジョ・ロタウス博士及び駐日オランダ大使館のボクホヴェン博士をみなべ町のうめ振興館とうめ研究所へお招きして、産官学の関係者の方々と情報交換会も行いました。
 その後、仁坂知事に御英断いただいて、昨年度より若手の県職員さんを、オランダ農業にかかわる研究に約半年間と、オランダの施設園芸とICT等の先進技術及び人材育成についての調査に約3週間、お1人を出張、派遣いただきました。
 お1人は、オランダのワーヘニンゲンUR、すなわち大学及びリサーチセンターを中心に、主に農産物輸出額世界第2位のオランダの農業システム、食品産業システムから和歌山県農業における課題解決や将来の本県農業に適用していく可能性等を研究、調査されたと伺っておりますし、もう1人は、5~6年前に安倍首相や当時の林農林水産大臣も視察されたオランダの代表的なグリーンポート展開をしている南ホラント州ウェストラント市の5軒の家族経営の法人農家の施設の調査、関係する流通関係の企業、コンサルタント会社、環境制御機器サプライヤー、それに農業教育関係機関も調査され、オランダの施設園芸と和歌山県のそれとの相違点から、和歌山県の施設園芸の活用施策を勉強されてきたと伺っております。
 また、本年度も既に県職員さんのオランダへの派遣を決定いただいているとのことで、引き続いて、その成果が大いに期待されるところであります。
 そこで質問ですが、1つ目、オランダ農業と日本の農業、特に和歌山県の農業とは歴史的背景、農業の規模、官民のパートナーシップ、データ、IoT、ロボット、AIといったICT環境の活用等スマート農業の取り組み、人材育成教育システム等さまざまな相違点が見られると思いますが、だからこそ、国土の小さい、同じく資源を持たない国同士の中で、積極的に参考にしていく要素は少なからずあると思います。
 県の有能な職員さんのオランダ派遣の成果について、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) オランダに職員を派遣し、オランダ農業の強みを調査、分析したのは以下の4点でございます。
 1つ目は、積極的な設備投資による生産性向上です。オランダでは、日本ではまだ普及していない高度な統合環境制御システムに多額の設備投資をしていますが、本県農業の実態に合わせた工夫が必要と考えております。
 2つ目は、メーカー主導の技術普及であります。オランダでは、生産現場での技術普及は民間企業やコンサルが主導しております。本県においても、ITメーカーや農機メーカーが持つ情報や技術力を生産現場に生かすことが必要と考えております。
 3つ目は、企業的な農業経営です。オランダでは、コンサルを雇ったり、海外に販路を拡大したり、企業的な発想を持った経営者が多いです。本県農業の生産性向上や販路開拓による収益性の高い農業の実現には、企業的な経営感覚を持った農業者の育成が重要であると考えます。
 4つ目は、栽培品目の選択と集中です。オランダでは、トマトやパプリカなど少数の品目に絞ることで技術開発を集中させ、生産性を高めてきました。本県の農業はそれぞれの地域で多種多様な品目が生産されており、オランダのように品目を絞り込むのは難しいと考えております。
 これらの分析結果は、本県の農業に合うようにカスタマイズし、現場で生かしていく所存であります。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 オランダ農業は、環境制御において、光、温度、湿度、CO2、かん水、施肥等の要素をまさに総合的に制御することによって、均質な大量生産を実現しています。ぜひ本県の農業試験場で、オランダにはない、本県ならではの農産物の味覚にも配慮しながら、ICTを活用した環境制御の研究を進めていただきたいと思います。
 2点目ですが、その成果を踏まえ、和歌山県の農業に生かすべく、今後の県職員さんの派遣ミッションの方向性やオランダ・ワーヘニンゲンURやフードバレーとの協調、連携についてどのようにお考えか、知事の御所見を聞かせていただきます。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 昨年の派遣ミッションは、オランダ農業の強みを分析し、本県の農業にどう生かすのかというのが課題でございました。先ほど農林水産部長が申し上げましたように、オランダ農業の強みは4つあると分析をしておりまして、この中で、和歌山県に生かすことができる3つについては、積極的に導入していくこととしております。
 まず導入すべきは、先進的な施設園芸であります。ただ、現状では、オランダと和歌山県の経営規模に大きな差があり、経営規模が大きいオランダの環境制御システムは、ちょっとコスト高でございますんで、そのままでは活用できません。
 そこで、本年、県の農業試験場にICTを活用した統合環境制御温室7棟を整備し、システムの低コスト化に取り組むとともに、農業者や学生の技術習得の場としても活用するようにしたいと思っております。また、農林大学校においても、新たにオランダの先進的な施設園芸技術に関する講演を実施する予定であります。
 2つ目は、オランダのように民間企業が持つ技術力を生産現場に生かすために、メーカーと農業者の意見交換やマッチングによりメーカー参入の機会を積極的に創出することで、生産現場の技術革新を促進していきたいと思っております。
 3つ目は、本県農業の発展のためには、オランダのような企業的な農業経営者を育成することが非常に重要でございまして、これについては、今年度の新政策の農林水産業に関して一丁目一番地的な農業経営についてのさまざまなプロジェクト、すなわち農業経営塾の開催や専門アドバイザー派遣などを通じて取り組んでいくことにしたいと思っております。
 なお、まだ少し、もうちょっと研究したほうがいいなあというふうに思っておりますので、もう1回職員をちょっとテーマを決めて派遣したいと思っておりまして、この職員が帰ってくるころに、前の職員全ても含めて、一度、県内複数箇所において、農業者や学生、JA等の関係者を集めてセミナーを開催して、生産現場にできるだけこの考えを広げていくというようなことをやっていきたいと思っております。
 今後の派遣についてはちょっと申し上げましたが、現在、本県では果実の輸出促進が課題となっております。その際、輸送時の鮮度保持技術はキーテクノロジーであります。世界第2位の農産物輸出国であるオランダのワーヘニンゲンURには、農産物の輸送技術研究のための最新の設備が整っているとともに、すぐれた研究者も集まっており、本年度は若手研究員をここに派遣して、果実の鮮度保持技術を研究して、今後の本県の輸出促進に活用するようにしたいというふうに思ってるわけでございます。
 来年度以降の方向性については、今年度の派遣ミッションの成果を踏まえ、改めて検討していきたいと思っております。
 また、ワーヘニンゲンUR、フードバレーとの協調、連携については、これまでの職員派遣で培った人脈や関係を生かし、研究交流を進めることで、技術開発力の向上や県農業の生産性向上につなげていきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 県職員さんも、6カ月とか3カ月とか中期に出張されていれば、恐らく現地の方と何人か親しくなってくると思いますし、農業の技術職の県職員さんが行かれているので、日本のおいしい農業のノウハウや農産物というのも、オランダ側は興味があると思います。
 オランダはダッチアカウントの国で、大変商売上手なところがありますんで、日本の技術にも大いに注目し、知りたがっていると思いますから、ギブ・アンド・テークの中で人間関係も生まれてくると思います。ぜひ、オランダの農業の技術者や保存、輸送の専門技術者等も日本へ招聘いただけるよう、今後もオランダとのパイプづくりに注力いただきたいと思います。
 また、ワーヘニンゲンURの敷地内に、オランダの食品関連企業も立地しています。できれば、現地企業や研究機関との人脈づくりにも御尽力いただければと期待しております。
 次に行きます。サイクリング振興についてであります。
 本年、ゴールデンウイークの1日、紀の川サイクリングロードのブルーラインに沿って県境を越えてみたいと思って、朝から行けるところまで行ってみようと出かけました。途中、九度山町では真田まつりで大変にぎわっていました。橋本市に入って、国道370号線の橋本橋を渡り、国道24号線経由でブルーラインを伝って進みますと、JR隅田駅手前でぷつっとラインが切れたままで終わっていました。
 たしか、以前、奈良県と和歌山県で協議、調整する中で県境のルートをお決めになったと当局からお聞きしていたので、どこかにルートがないかとうろうろ探してみましたが見つかりません。トイレも行きたくなったので、トイレもないかと自転車をとめて駅周辺を歩いておりますと、駅舎横に橋本市が建てた「やったで!! 紀の川河口からゴール!
 おつかれさま! 60km」と彫られた碑を見つけました。
 紀の川サイクリングロードがこれで終わりかとは理解しましたが、奈良県内五條市へ行くルート、紀の川すなわち吉野川へ行くにはこのルートですといった案内は1つも見つけることはできませんでした。それまでは橋本まで何キロと1キロメートルごとに表示してくれていたのに、この終わり方は一体何なのでしょうか。
 紀の川サイクリングロードは、和歌山県内で終わっていいのでしょうか。自転車で遠出を楽しむ者、サイクリング愛好者にしたら、紀の川から奈良県側の吉野川のほうへ行ってみたいと思うのは、ごく自然なことではないでしょうか。ネットでも、ぷつっと切れてるという感想が私以外にも見つけることはできました。
 結局、私は国道24号線に戻って、五條市の上野町交差点を右折して、上野公園から吉野川のほうに至ったわけであります。京奈和自転車道や太平洋岸自転車道といった広域サイクリングロードにも着手しようと言っている割には、少々不親切だなと思ったわけであります。
 紀の川サイクリングロードを活用した広域サイクリングとしては、京奈和自転車道もいいですが、奈良県、三重県との紀伊半島3県にまたがる清流のルートもなかなか見事なものです。
 紀の川の水源、川上村まで行く途中、宮滝大橋北詰を左折して伊勢街道に入りますと、奈良県と三重県の県境にある高見山のほうから流れて吉野川に合流する、世にもきれいな高見川の清流沿いにサイクリングコースがあります。高見川沿いを走り、高見峠を越えて三重県松阪市に入ると、高見山を水源とする櫛田川があります。櫛田川沿いを東に走ると飯高駅という大きな道の駅があり、そこで休憩してから、「多気町自転車のまちづくりプロジェクト」と題したまちづくり事業を行っている多気町に入ります。
 ここには、勢和の森マウンテンバイクコースもあります。そこから伊勢神宮にお参りして夫婦岩まで行けば、和歌浦湾から伊勢湾まで川伝い中心にサイクリングが楽しめるわけであります。もちろん、紀の川河口からスタートして1日では走破は無理な行程ですが、こんな3県連携の取り組みもいかがかと提案させていただきます。
 そこで質問ですが、1つ目、せっかくルーティングに御尽力、御労苦いただいた紀の川サイクリングロードです。JR隅田駅の手前が和歌山県側の終点、ゴール地点ならば、それなりにゴールあるいはスタート地点と明示して、その先のルート案内ぐらいやってもいいのではないでしょうか。「お疲れさまでした。でも、サイクリングロードは続くよどこまでも」と、それくらいのお言葉表示があってもいいかもしれません。県土整備部長の御答弁をお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 隅田駅周辺でのサイクリングロードの案内についての御質問を頂戴いたしました。
 議員御指摘の紀の川サイクリングロードについては、和歌山市の和歌山港から橋本市の隅田駅に至る延長約60キロメートルの自転車道であり、これまで、紀の川河川敷を利用した自転車専用道路の整備とともに、利用者への案内や誘導、自動車ドライバーへの注意喚起を目的にブルーラインの設置を進めてまいってきたところでございます。
 今年度は、県下全域において、利用者がより安全で快適にサイクリングを楽しめるよう、現状では案内が不足している路面標示等の充実とあわせまして、新たな案内看板の設置を進めていく予定としてございます。
 議員から御指摘のありました隅田駅周辺の整備状況ですが、ブルーラインの設置は駅舎手前約30メートルの県道区域の端部付近までとなっており、駅前のJR西日本の敷地となっている駅舎までの区間には設置ができておらず、終点の案内がわかりにくい状況となってございます。
 今後、隅田駅周辺につきましては、土地所有者であるJR西日本との協議や、連携して整備を進めている奈良県との調整を行った上で、紀の川サイクリングロードの終点の表示や、駅から和歌山市方面及び奈良県五條市方面へのサイクリングルートの案内など、紀の川サイクリングロードの拠点として、利用者にわかりやすい案内看板の設置を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 お手間かもしれませんが、それもおもてなしの一環と考えていただいて、サイクリング愛好者の気持ちに寄り添ってあげていただきたいと思います。
 2点目に、せっかくつくった他府県に誇れる紀の川サイクリングロードです。平成26年度には、ツール・ド・紀伊2014が主催県奈良県、協力和歌山県、三重県ということで、大辺路エリア、熊野三山・中辺路エリア、大和エリア、宇陀・吉野エリア、伊勢路エリア、伊勢志摩エリアという6エリアでの3県連携サイクルイベントがありました。
 ぜひ、紀の川水系の紀の川、吉野川、高見川、そして、櫛田川沿いを活用した「水の国」の水をめぐるサイクリングコースもぜひコースに入れていただいて、再度、3県連携サイクルイベント、ツール・ド・紀伊パート2を開催いただいて、和歌山県の魅力を、紀の川の魅力を発信いただきたいと思いますが、いかがでしょうか、知事にお伺いします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成26年度に開催いたしましたツール・ド・紀伊2014については、奈良県、三重県との3県知事会議でサイクリングイベントを共同して行うことになりまして、奈良県がお金も出してくださいまして開催をしたわけです。といっても、いきなり単一のイベントプロジェクトということにはなかなかできませんので、それぞれのイベントあるいはコースを共同でプレーアップするという方式をとりました。
 9月から3月までの約7カ月の間に、各県エリアで地域の特産品または自転車グッズが抽せんで当たるモバイルスタンプラリーなどが行われまして、約500名の参加者があったわけでございます。
 和歌山県では、その後、紀の川サイクリングロードを活用し、世界遺産高野山へ登るコースなど、大規模サイクリングイベント「わかやまサイクリングフェスタ」を平成28年度から開催しております。昨年度は約1000名の参加者を集め、人気サイクリングイベントとして定着を目指しているところであります。
 議員御提案の紀の川から続く、奈良から三重の伊勢湾に至る川沿いのコースを設定するツール・ド・紀伊パート2は、大変魅力的なコースの提案であると考えます。しかしながら、奈良県及び三重県のコースを設定する必要がありますので、イベントの開催など情報発信の方法を含め、両県の意向を確認し、今後、検討をしてまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 紀の川のような大きな川沿いを走るのもいいですが、山林の中の清流沿いを走るのも何とも爽快です。7月30日の紀伊半島三県議会交流会議でもサイクリングは和歌山県の提案議題にもなっていますので、改めて提案さしていただければと、そういうふうにも思っております。
 3点目に、本年3月25日日曜日、好天のもと、わかやまサイクリングフェスタ2018が開催されました。私は、スタートが終わった後の和歌山マリーナシティを訪ねただけで残念だったんですが、約1000名の参加者で大盛況であったと伺っています。このサイクリングフェスタの総括と次回に向けた意気込みについて、企画部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) わかやまサイクリングフェスタ2018は、3月25日に和歌山マリーナシティをスタート・ゴール会場として開催し、北海道から福岡県までの29都道府県とインドネシアから約1000名の方々に参加いただきました。
 フェスタの運営上、走行の安全性向上に最も注意し、警察本部との協議、警備員の配置や注意喚起の看板設置サイクルリーダーに対する参加者の危険回避についての指示の徹底など、安全対策を講じました。また、サイクリストをおもてなしするために、各市町に設けられたエイドステーションでは、地域の方々が参加者に対して地域の特色を生かした飲食物等を提供したところです。
 その結果、事故もなく、また、参加者のアンケートでは、総合的に90%の方が満足という高い評価をいただいたところです。
 県といたしましては、参加者に対して和歌山県がサイクリングに適した魅力ある地域であることを大いに発信することができたと考えています。
 当フェスタがイベントを楽しむだけでなく、何度でも和歌山県へお越しいただくきっかけとなる人気イベントとして定着するよう、今年度も開催することとし、サイクリング関係者や関係市町と協議を行いながら、一緒になって大会の成功に向け準備を進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 スタート、ゴール地点である和歌山マリーナシティ内も、家族が楽しめる仕掛けを考えていただければと思います。
 4点目に、和歌山市でシェアサイクルの取り組みが3月末に始まりました。これは幾つかの道府県で実施されていますが、エリア内の各地にあるポートで自転車の乗り捨てが自由でありまして、大変便利で、バスや鉄道といた公共交通機関の補完にもなるものです。
 マイカーからの転換も促進できるかもしれないし、これが全県的に普及されれば、和歌山県のサイクリング振興に大いに貢献する可能性があると思いますが、商工観光労働部長、いかがでしょうか。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) レンタサイクルにつきましては、県内では50カ所程度の施設で行われ、幾つかの市町では自転車を相互に返却できる取り組みも実施されており、県ではこういう取り組みをさらに他の地域にも拡大してまいりたいと考えてございます。
 和歌山市内で実施されているシェアサイクルについては、町なかや観光地を周遊するだけではなく、ビジネスの際にも利用できるものとして、来県者の利便性を高める上で有効な手段の1つであると認識しております。
 しかしながら、この取り組みを広域的に導入することについては、自転車の回収の効率性、事業の採算性、レンタサイクル事業者との競合といった問題もあると考えております。
 まずは、和歌山市と同市周辺の自治体、観光協会及び関係事業者が連携し、事業の拡大の可能性を検討してもらえるよう働きかけを行ってまいります。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 よろしくお願いします。
 次に3点目、葛城修験と熊野信仰についてであります。
 飛鳥時代に役小角、すなわち役行者が国家安泰のために、葛城の峰々に法華経八巻二十八品を埋納したとされる経塚のある葛城修験二十八宿の加太友ヶ島の序品窟・第一経塚にはまだ踏み込めていないのですが、6月の上旬、梅雨の合間を縫って、葛城修験の入峰修行の出立地と言われる和歌山市加太の旧南海道の入り口に位置する向井家・迎之坊の屋敷前を通り、淡嶋神社手前にある阿字ヶ峰行者堂にお参りし、はるか友ヶ島の間から淡路島が望める眺望を楽しみました。
 その後、二の宿であった神福寺が明治期に旧陸軍要塞になったため退転したとされる西庄の西念寺観音堂にお参りしてから、第二経塚のある神福寺跡を訪ねました。北高校西校舎脇を通り、約30分かけて車道を上っていくと、府県境右手に二の宿跡の標石が見えました。右の小道に入っていくと、炭焼き場があり、ミカン畑脇をしばらく歩くと「二の宿(経塚)」という標識を見つけ、ササやぶをかき分けて進むと、妙法蓮華経方便品第二経塚の白いポールが傍らに建てられたほこらがありました。すなわち、泉州神福寺妙法蓮華経方便品であります。
 その後、三の宿八王子社へ行く道を間違えて、その日は到達できませんでした。翌日、いても立ってもいられず、木ノ本峠を越えて岬町横手にある三輪神社敷地内の三の宿八王子社にお参りしてきました。
 いずれの道中も、山中は修験道の講の方々が「ごみを捨てるな」といった標識を立てていただいており、修行の巡行道を大切にしておられる印象を持ちました。わかやま歴史物語100にも、おかげさまで21番目のストーリーとして、「葛城修験と役行者ゆかりの地で祈りの歴史に触れる」と題して、橋本市の葛城修験の史跡を取り上げていただいておりますし、2番目、14番目のストーリーでも修験道を取り上げていただいております。
 修験道とは、修験者が山中に入り、自然に宿る神霊を崇拝する古神道にそれらを包括する山岳信仰と仏教が習合し、さらに密教などの要素も加味されて確立した日本独特の宗教であり、その修行の道であります。28の経塚は、和歌山市加太の友ヶ島に始まり、葛城の峰々を西から東へと埋納して、大和川の経塚に終わっています。
 一方、熊野も修験道の聖地と言われます。修験者たちは熊野の山奥に分け入り、那智の滝などの自然神・山の神の前で読経し、修行します。つまり、修験道を介して神道と密教が一体となった信仰、それが熊野信仰だと言われます。
 熊野は、役行者によって開かれ、奈良時代の熊野では既に神仏習合が成立しており、平安時代には、神は仏の化身であるとする本地垂迹説が登場し、熊野三山が熊野修験と言われるゆえんになっています。熊野信仰はそれに浄土信仰が融合され、平安時代後半には、皇族、貴族だけでなく一般庶民にも広まりました。
 修験道の山中の辺地や海沿いの遍路修行に仏教の要素が加わることによって、海の向こうにあるとされた常世の国を観音菩薩の補陀落浄土とみなす信仰形態も熊野で盛んに行われていたと言います。常世とは海のかなたにあって、永久に変わらない不滅の神様という神域という意味ですが、熊野は、その常世の国の入り口、いや、まさに常世の国だと信じられていました。
 「日本書紀」に、スクナビコナノミコトがオオクニヌシノミコトと力を合わせて国づくりした後、「熊野の御崎に至りて、遂に常世郷に適しぬ」とあります。熊野の御崎とは、まさに現在の潮岬と言われており、潮御崎神社では、スクナビコナノミコトをお祭りしています。また、葛城二十八宿の一の宿加太においては、淡嶋神社の主祭神もスクナビコナノミコトであり、同じく「古事記」に、スクナビコナノミコトが国づくりを終えて、粟島から常世の国へ渡っていったとあります。
 加太の海から始まる葛城修験、そして、海沿いの大辺路の遍路も含まれる熊野信仰は、「古事記」も「日本書紀」も、役行者が修験道を打ち立てた後に編さんされたものですから、葛城修験と熊野信仰は役行者による修験道においてルーツを一にするものだと思えるわけであります。
 高野山を開創したかの空海・弘法大師も深く修験道にかかわっていて、入唐前数年間は吉野、大峰山系の金峯山で山林修行を行ったと言われています。
 そこで質問ですが、1つ目、昨年から和歌山市内を中心に、葛城二十八宿の第1番の加太の一部から第2番の泉州神福寺跡、そして、第3番の大福山まで歩いておりますが、役行者にゆかりのあるところが少なからず見られます。わかやま歴史物語においても、さらに葛城修験におけるコンテンツの範囲を広げる取り組みを続けていただきたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがですか。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 昨年度、本県の持つ豊富な歴史や文化遺産と食や体験などを組み合わせた旅の楽しみ方を100の旅モデルとして提案するわかやま歴史物語の冊子や専用ウエブサイトを作成いたしました。
 その中で、葛城修験については、伊都地方を中心とした「葛城修験と役行者ゆかりの地で祈りの歴史に触れる」と題して、その周辺地域も含め紹介しています。
 また、葛城修験の1番経塚のある和歌山市加太を紹介する「漁師町・加太は修験の入口~『めでたいでんしゃ』に揺られて~」や「幻の近代要塞・友ヶ島」においては、立ち寄りスポットとして、葛城修験とゆかりのある加太春日神社、役行者堂などを紹介しております。
 議員から御提案のありましたわかやま歴史物語でのコンテンツの範囲の拡大ですが、今ある100のストーリーの中で、葛城修験に関係するスポットのうち、観光客の皆さんの安全・安心が確保できるものをウエブサイトに追加するとともに、参考として葛城二十八宿巡礼ルートも紹介し、充実を図ってまいります。
 今後、わかやま歴史物語では、葛城修験を初め、本県の持つ歴史的な価値や魅力を情報発信するとともに、現在、準備を進めているスタンプラリーの実施により、観光客の皆様がより一層周遊できるように取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、葛城修験二十八宿の中には、和歌山県内に役行者が残したとされる足跡や伝承、エピソードが少なからず残っています。まずは、和歌山県民に地元の人々にそれを身近なものとして知っていただく、そして、役行者を感じてもらうことから始める必要があると思います。
 昭和50年代には、文化庁から支援をいただいて、和歌山県で専門家を入れて、役行者が歩いたとされる道の調査が行われ、昭和57年にはその報告書が刊行されたと伺いました。県教育委員会におかれましては、市町村教育委員会の協力を得て、ぜひその追加調査をしていただいて、葛城修験二十八宿を学術的に探求して、県内の修験道の広がりを熊野地域に至るまで詳細に検証いただいて、役行者がたどった道が草木に埋もれてわからなくなってしまわないよう、文化財として保全していく手だてを考えていただきたいと思いますが、教育長、いかがでしょうか。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、昭和53年度から57年度にかけて、熊野参詣道や南海道、高野山参詣道など、県内の歴史の道に関する現況調査を実施し、昭和56年度には葛城修験の道の調査も実施してございます。
 県内には、葛城修験の道を初め、まだ多数の未指定の歴史的価値が高い道や文化財が存在しており、その価値に応じて、国・県・市町村指定等の保護措置を図る必要があると認識してございます。
 葛城修験道につきましては、近隣の府県及び市町村等の関係機関並びに所有者の状況を踏まえながら、追加調査を検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 役行者は、17歳のときに世界文化遺産に登録されている元興寺、今の飛鳥寺で孔雀明王の呪法を学び、後に葛城山で山岳修行を行い、熊野や大峰の山々で修行を重ね、吉野の金峯山で熊野の神々を総称する金剛蔵王大権現を感得し、修験道の基礎を築いたとされます。
 やがて平安時代には、葛城二十八宿、西国巡礼、熊野詣で、そして大峰修験の道をつなぐ紀伊半島を一周する巡礼の道ができていたと、昨年、紀伊風土記の丘の記念講演「熊野信仰と葛城修験」で宮本佳典氏が講演されております。その後は、熊野信仰を全国に広めたのは、まさしく修験道の御師、先達、そして比丘尼でありましょう。役行者は、葛城山での山岳修行の後の熊野での修行で、熊野信仰に修験の要素を加味して、熊野を修験の聖地としました。
 また、密教では、金剛界、胎蔵界という2つの曼荼羅で宇宙をあらわしますが、修験では、大峰山系を金剛界、葛城山系と熊野山系を中心とする地域を胎蔵界と捉えておりますんで、葛城修験と熊野信仰は大きくかかわってくると私は思います。
 自然神をたっとぶ山岳信仰と仏教、密教の融合は、世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の大きな要素でありまして、葛城修験の調査を進めていただくことが将来の世界遺産への追加登録にもつながってくるのではないかと思っております。どうか調査のほう、よろしくお願いいたします。
 それと、おまけにもう1つ、大阪新世界のビリケンさん、これは役行者の弟子とされる前鬼・後鬼がモデルとなっています。新宮市にある新宮サンシャインホテルオーナーのいとこさんが、アメリカで女性美術教師のフローレンス・プリッツさんに前鬼・後鬼の絵と仏像を進呈したところ、彼女は夢に見るほど興味を持ってビリケン像をつくったわけですね。これが前鬼・後鬼ですね。(資料を示す)そのビリケン像をつくって、それがビリケンカンパニーで売り出され、明治45年、大阪新世界にビリケン堂ができて、当時のマスコットになっております。今も、そのホテルオーナーは地元で熊野ビリケン祭りを催しているそうであります。役行者はこんなところにも影響を及ぼしております。和歌山県を通して、こうしたエピソードも広く活用させていただいてもいいのではないかと思います。
 以上、要望です。
 4点目、18歳成人についてであります。
 改正民法が去る6月13日に成立し、146年続いた大人の定義が20歳以上から18歳以上へと変わりました。高齢化が進む日本で、社会参加する若者をふやすのが狙いです。施行は2022年4月1日からです。世界的には、18歳成人が主流です。経済協力開発機構(OECD)に加盟する35カ国中、イギリスやドイツなど、9割以上の32カ国が18歳を成人としています。アメリカでは、ほとんどの州、計47州とワシントンDCが18歳を成人としています。
 「読売新聞」がことし3月から4月、全国の18歳以上の有権者3000人──有効回答1936人──を対象に行った世論調査では、18歳成人に反対する有権者が全体の56%あったといいます。国民の理解を広げ、混乱を最小限に抑えていくことが求められます。
 懸念は幾つかあります。飲酒や喫煙、公営ギャンブルを除いて、18歳になれば、有効期間10年のパスポートも取得可能になったり、性同一性障害者も18歳以上で家裁への性別変更申請申し立てができるようになります。親の同意なくローンを組んだり、クレジットカードの契約を結んだりできるようになりますが、親の同意のない法律行為を取り消せる未成年者取り消し権も行使できなくなりますから、悪徳商法など消費者被害に巻き込まれる学生が増加する可能性は高いのではないかと思われます。学校での消費者教育の充実が急がれます。
 また、成人式の問題があります。1月の成人式となると、18歳の受験シーズンと重なります。そして、初年度の2022年には、18歳、19歳、二十が対象者となりますから、例年の3倍に膨れ上がり、各自治体も会場の確保など、大変な状況が予想されます。
 また、少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き上げるかどうかは、法制審議会で昨年3月から議論が続いています。少年法の適用年齢が下がると、18、19歳の少年は起訴され、実刑が確定すれば、刑務所に入って成人と同じ扱いを受けます。少年院のきめ細かな処遇によって教育効果も出ているのに、どうしてそれを変える必要があるのかという反対意見もあります。
 現実問題として、高等学校で子供と大人が併存することになります。また、現在14、15歳の中学生も4年後には待ったなしで18歳以上の成人になります。新鮮な感性を持った多くの若者が大人の仲間に入ってくれることは、超高齢社会の日本にとって喜ぶべきことかもしれませんが、18歳で成人になる人に、大人としての自覚をどう持たせるか、いかに社会人として自立させていくか等が課題になると思います。成人年齢の引き下げに伴う教育の充実について、主権者教育並びに消費者教育の観点から、教育長の御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 成人年齢の引き下げに伴う教育の充実について、主権者教育並びに消費者教育の観点からお答えいたします。
 主権者教育につきましては、現在、社会科の授業や特別活動などで、選挙制度や政治参加の大切さを学習しております。また、高等学校では、国が作成した副教材「私たちが拓く日本の未来」や県選挙管理委員会と連携して行っている模擬選挙等を通して、主体的に社会に参加することの必要性などを理解させる取り組みを行ってございます。
 消費者教育につきましては、社会科や家庭科の授業で、消費者として社会で生きていく上で必要な知識を身につけさせるとともに、県消費生活センター等関係機関と連携し、専門家からより実際的な話を聞くなどして、消費者教育の充実に努めております。
 また、今年度から消費者庁が高校生等若者向けに作成いたしました教材「社会への扉」を全県立学校に配布し、授業などで活用していく予定でございます。
 今後とも、小学校、中学校、高等学校それぞれの段階に応じて、主権者教育、消費者教育を一層推進し、大人としての自覚を育て、社会人として自立させていく教育を行ってまいります。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 とりわけ、中学校を卒業して高等学校へ進学せずに社会に出る子もいます。中学校でも、しっかり18歳成人、大人になることへの意識づけをしていただきますよう、よろしく御指導お願いいたします。
 次、行きます。5点目に、和歌山県の文化振興についてであります。
 私は、日ごろの慌ただしい活動からひととき離れて美術展や文化展等を見学に行くことが好きで、作品等を拝見していると心ゆったりとした気分になれて、気分転換や元気回復の源になっています。個人的に好きな画家の先生や親しくお話しさせていただける先生もいたりして、展覧会の場所や環境面についていろんなお話や要望を伺うこともあります。
 そんな中で気になっているのが、まずは県立近代美術館や県立博物館での展覧会であります。学芸員の皆様が趣向を凝らした1つのテーマを持った企画展を催していただいていたり、年に何度かの特別展で大作を見せていただいたりして楽しませていただいておりますが、平成6年にそれぞれ新館オープンしてから、年々特別展が少なくなったり、規模が小さくなっているなという気がしておりました。
 配付資料をごらんいただきたいんですが、文化事業予算を見ると、オープンの次年度予算は、県立近代美術館が8223万円、県立博物館が特別展である吉宗展が開催された次年度の翌年度で5499万円、それが平成29年度では、大規模展はありませんでしたが、前者が2320万円、後者が1024万円と、それぞれ初期予算の28%、19%に大幅に減少しています。
 ちなみに、和歌山県の3館構想として、美術館や博物館とともに、もう1つの前年の平成5年度にオープンした県立図書館は、本格的に事業に着手した平成8年度が1485万円、平成27年度は1105万円ですから、これも74%に減少していましたが、平成28年度より南葵音楽文庫事業が開始されて以降増額、参考までに御紹介しておきます。
 和歌山県もわかやま歴史物語100を軸に、歴史、文化、伝統を尊重した観光戦略に取り組んでいる中、県内外から訪れる観光客も公営の美術館や博物館は訪れた場所の文化度をはかる大きな要素でありますし、他府県においても、木々や花々に囲まれたエリアの中に主要な美術館や博物館が立地されていて、多くの観光者が訪れております。
 本県も、和歌山城公園のすぐ前に両館が建てられておりますんで、広報等でさらに観光客の皆様をも呼び込む取り組みを充実させていただけたらと思います。
 一方、和歌山県立紀伊風土記の丘は、資料館の建物だけでなく、岩橋千塚古墳群全体を管理運営されています。昨今、天王塚古墳の特別史跡への追加登録もあって、特別展も開催されたり、定期的に公開講座も行っていただいており、予算も、多い少ないは別として、堅調に推移いただいております。それぞれ厳しい予算繰りの状況は理解しておりますが、豊富な文化・歴史資源に恵まれた和歌山県でありますから、本県文化と文化水準をアピールすべく、県立近代美術館、県立博物館、そして県立紀伊風土記の丘には、文化事業予算をさらに充実させていただきたいと思います。
 そこで質問ですが、1つ目、まず県立美術館、県立博物館及び県立紀伊風土記の丘の資料館の入館者数の推移は資料のとおりでありまして、県当局、そしてそれぞれの自助努力によって順調だと言えますが、博物館施設については、県の文化振興の上で、展示を含めて館運営について、どのような評価システムがあるのでしょうか。その中でどのような御意見が出てきているのでしょうか。教育長にお答え願います。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立博物館施設では、平成26年度事業から、運営状況について、毎年、博物館長が専門性の高い有識者で構成する博物館協議会評価部会の意見を踏まえ、教育長と協議をし、教育長が最終的な評価をしてございます。その結果は、各館のホームページでも掲載しております。
 各博物館協議会評価部会からは、資料収集・管理、調査・研究、展示、教育普及、組織と運営などの項目について、おおむね良好な状況にあるとの評価をいただいております。また、その中で学芸員についても高い評価をいただいており、私も同様の評価をしてございます。
 その上で、これからの検討課題として、他施設との連携、戦略的な広報及び出前講座等県内各地域へのアプローチ等の実施や調査研究の活性化のため、文部科学省の科学研究費助成の対象となる研究機関指定の獲得に向けた取り組みを検討するよう指示してございます。
 さらに、今後は、外国人向けの対応として多言語による案内や解説等を進めていく必要があると考えてございます。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 質の高い博物館施設にしていくためには、調査研究にしっかり取り組んでいただく必要があります。ぜひ文科省の科研費をいただけるような研究機関になっていただけるよう、お取り組みを進めていただきたいと思います。
 2点目に、県立近代美術館、県立博物館両館は、社会教育のための施設でもあります。本物を見る目と意識を育むための施設と言えます。「安かろう、悪かろう」は許されません。本県の文化水準の高さを県内外にアピールすべく、また県内外からの観光客をもっと呼び込めるよう、県立近代美術館、県立博物館をさらに充実いただくために、両館の文化事業予算をオープン時水準に近づけていただいて、本県のさらなる文化振興に御尽力いただきたいと思いますが、いかがですか。知事の御答弁をお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 文化については、和歌山県民歌に「人の和と 文化を添えて」とありますように、和歌山県としては誇るべきところが大でございますし、大事にしなければいけないというふうに思っております。
 文化を発信する中心的な施設として博物館施設がございます。議員から席上配付しておられます、博物館にオープン時、そんなにお金をかけていたのかということを改めて気づかされたところでございます。多分、財政難が原因で減ってきたんだろうというふうに思いますけれども。
 実は、私が就任のときに、主として管理の効率性という観点から、ちょうど指定管理の議論をしていました。文化は効率でははかってはいかんなと。中身の問題だからということで、それは取りやめることにいたしまして、また、館長についても教育委員会の事務系の方がなるのが慣例でありましたが、それもちょっと文化という点からいうとどうかなということで、全国的に名の通った専門家に見てもらうことにして、それで事務系の方は管理で支えるというふうにさしてもらいました。
 さらに、その強化を図るために、平成25年10月に博物館施設の機能強化策を発表したところでございます。その1つとしては、今までは催し物のテーマとか、あるいは開催時期とか、そういうものは担当者が決めていたんでございますけれども、全県庁的な議論を経て決めることにしようというふうに現在ではなっております。
 また、国際的に評価の高い芸術作品を紹介したり、国宝、重要文化財等、我が国や本県の貴重な文化財を紹介して、全国にも注目してもらえるようなそういう催し物をできますように、これは通常のお金ではなかなかできませんので、県立博物館、近代美術館及び紀伊風土記の丘において、それぞれ3年に1回、通常予算とは別に大規模な展覧会を行えるような予算措置をして、今年度から2巡目に実は入ってるところでございます。
 限られた予算でございますけども、学芸員の頑張りもあり、この大規模展覧会初め、展覧会全般によい内容になってると思っております。
 近代美術館においては、平成21年度から県展、平成27年度からジュニア県展の会場としても使用しておりまして、県全体の文化レベルを上げるようにしております。
 また、入館者の増加につながる取り組みといたしまして、平成29年8月から和歌山市と連携して和歌山城天守閣や市立博物館等と入館料割引制度を実施し、また、本年度から、県立博物館、近代美術館の駐車場料金について、入館者には2時間無料ということにしております。
 以上のように、以前よりは充実の度を高めているので、ぜひ注目して、皆さん参加してほしいというふうに思ってる次第でございます。厳しい財政状況でございますけども、魅力的で質の高いテーマの展覧会を開催するとともに、御指摘のように、館外学習や体験学習を積極的に実施するようにしたいと思っております。
 今後、2021年、本県で開催される第36回国民文化祭、第21回全国障害者芸術・文化祭、第45回全国高等学校総合文化祭が待っておりますので、県民の文化芸術活動への参加機運を高めるとともに、文化力のさらなる向上に取り組むため、博物館群もぜひ積極的に活用してまいりたいと思っております。
○議長(藤山将材君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 今般のわかやま歴史物語100による本県の歴史・文化の掘り起こし作業によって、改めて本県の文化的価値の高い文化財や歴史ストーリーの豊富さを認識されたのではないかと思います。文化にかかわる事業については、和歌山県の魅力と価値をアピールする最高の場だと思いますので、文化予算の充実をどうかよろしくお願いいたします。
 次に、和歌山県民文化会館でありますが、こちらは、平成18年度より指定管理者制度となり、平成25年度からは新装オープンのもと、平均5000万円超の予算で文化振興事業を行っていただいております。展示室では、才能豊かな美術工芸家等が無料あるいは一部有料の展覧会を開催しておられます。絵画を壁にかけたり、つるしたりといった室内のセッティングも、ほとんど主催者が経費を抑えるため、高齢の先生方も手作業で行っておられ、指定管理者の財団法人和歌山県文化振興財団には、作業がしやすいよう、予算の限られた中、折に触れ、さまざまな御配慮もいただいていることに感謝しております。
 本県の文化を愛する県民の皆様のニーズに応えられる県民文化会館として、引き続き本県の文化振興に、そして、県民の文化意識の向上に貢献できる、県民にとって使い勝手のよい会館づくりに努めていただきたいと要望させていただきます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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