平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、IR・統合型リゾートの誘致についてお尋ねいたします。
 県発行のIR基本構想のパンフレットによると、IRとは単なるカジノホテルではなく、国際会議場施設、展示場施設、劇場、美術館、博物館など、国内の旅行を提案、アレンジする施設、ホテル等、一体となった複合的な観光集客施設で、民間事業者により設置、運営されると書かれています。
 ここに2011年に発行された「カジノの文化誌」という本が──ちょっと忘れてきました。済みません。「カジノの文化誌」という本があります。この本の著者は、知事と(発言する者あり)──また後日よろしくお願いします。
 この本の著者は、知事と通商産業省、現在の経済産業省入省の同期生の大川潤氏と佐伯英隆氏の共著になっています。著者は、知事から和歌山には米国ラスベガス型、欧州型のどちらのカジノがふさわしいのかという問題提起があり、知事の質問に答える議論の中でこの本が生まれたと記しています。また、日本のギャンブル市場とカジノ導入への道の章には、「刑法で禁止されている賭博行為の違法性を退けようというわけだから、当然、立法措置が必要である。法律をつくる以上は、法目的が明らかにされなければならないが」云々と述べられています。
 県は、カジノを含むIRの誘致に向けて予算化し、積極的に準備を進めていると思います。報道では、8日には候補地として検討している和歌山マリーナシティホテルで説明会が開催され、海外のIR事業者を初め国内外から49者が参加と伝えられています。東京においても説明会が開催されています。さらに、県は、県での開発に参画を検討している民間事業者からアイデアを募集する投資意向調査まで開始をしています。
 私は、カジノに頼らないまちづくりを進めていくべきだと考えます。その立場から質問をさせていただきます。
 そもそも、賭博は刑事罰で禁じられているものです。なぜ賭博を禁じているとお考えでしょうか。禁じている賭博を解禁するということを、将来和歌山を担っていく子供たちを含め、県民にどのように説明するのでしょうか。知事にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 賭博行為は国民の射幸心を助長するおそれがあるというようなことで、勝手にやっちゃいかんというのが法律の趣旨だというふうに思います。つまり、自由に行ってはいけない。公営競技については、そういうかけごとを堂々と認めているわけですけれども、これは、国や地方公共団体などが秩序を守って運営することや、あるいは公共政策の目的に沿った形で収益金の一部を使用できるんで、これは認めましょうということを言うとるわけであります。
 そうした中で、IR整備法案では、IRは民設民営である、公営ではないということになっておるんですけれども、規制という点では国による厳格な規制とか県の関与の上で運営されるものであり、また、民間事業者がカジノ収益を活用して、普通だと採算をとるのが難しいような大規模な国際会議場や、あるいは集客施設などの施設を整備して運営して、その投資によって地域経済の発展にも寄与するんで、これは認めようと、こういうふうに考えたものだと思っております。
 そのように、IRというのは莫大な経済効果があり、それに伴う所得の増加により人口減少にも歯どめがかかるというメリットはあります。
 もともと私は、カジノ自体、議員が御指摘のような本を元学友が書いてくれていたときなども、もともとカジノというのはヨーロッパなんかでもちゃんとした運営をされているようなもんであるから、そんなに危疑すべきもんではないというふうに思っていて、ホテルとカジノでも構わんのじゃないかというふうな意見でありました。
 ただ、国はやっぱり成長戦略の1つとして捉えているようで、大規模な投資を求めると、そうでなければカジノ自体も認めないということでIR型になったわけで、これは地方の発展にとっては望むところであるというふうに思う次第であります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、カジノというのは経済効果が大であるということで言われました。私は、先ほども申し上げたように、賭博行為を法律で禁止し、罪という、そういうことにしている理由は何なのかというところをぜひ考えてみて、その上でやはりカジノということについて、やっぱり例えば子供に説明すると、小学校、中学校の子供たちに。
 また、子供も一緒に行けるという施設ですから、幼稚園の子供たちにも、このカジノについて、こういうことがどういうことなのかということを説明するということで、和歌山市にそういうことをつくっていくということについて、どのように法律に抵触する、こういったことがこの場合はいいんだよというようなことを話をしていくのか。
 そういったことでは、非常にこれからの和歌山の将来にも、どういうかじを切っていくのかという面でも大きな影響があると思ったので私はちょっと尋ねたのですが、その点では、今、カジノを開くということが目的ではなくて、国際会議場とかそれに付設する、先ほども言いましたようにいろんな施設、そういったことを建てていくためにカジノが必要なのか。そのことをどちらに考えられているのか、もう一回お聞かせいただきたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まずは、弊害が大であると言った覚えはございません。弊害がある可能性があるので、だからある一定のルールのもとでないと認めない、勝手にやってはいけませんというふうなものなんですというふうになってんじゃないでしょうかと申し上げたわけです。
 したがって、後で御説明したように、私はきちんと規制をすれば、ヨーロッパなんかでもカジノなんていうのは健全なる観光のメニューになっているから別にいいんじゃないかというふうに思ったわけですが、そのときにもちゃんと規制はしないといけないということだろうというふうに思います。
 今、後半のほうの御質問は、カジノは悪いことだ、悪いことだけども、ひょっとしたらほかにたくさんの投資があるから悪いことでも我慢しましょうというふうに思ってんですか、それともそんなに悪いことだと思ってないんですかという御質問でしょうね。その御質問にお答えすると、そんなに悪いことだとは思ってません。だけど、やっぱりちゃんとした規制をして、それでやっていかないといけないというふうに思ってるというのが答えだろうと思います。
 悪いことだったら、よっぽどほかのことがよくても、その悪いことをやっぱり許してはいけないというのが当たり前のことなんで、悪いことだけども、いいことがいっぱいあるからいいことにしてるのねと言われたら、それは違うと言わざるを得ないと思います。
 私は、もっと経済学的に言うと、かけごとといっても、その中で人々はそれに参加して効用を得ているわけですから、それにお金を使うということについて一概に間違いだとは言えないし、もしかけごとが絶対に悪だと言うんだったら、公営であれ何であれ、そんなものは認めちゃいけないというのが基本的な考え方だろうと思います。
 ただ、勝手にやっちゃいけないというのは、どうしてもいろいろな弊害が出やすい、ほかの行為よりも出やすいということだから、例えば主体のほうに対する規制も厳しくなるし、それから利用者に対しても配慮をしなきゃいけない、そういうことが要請されるようなものだというふうに考えております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 カジノは民間企業が私的利益のために開設するという、今回、民設民営とおっしゃっていますので、公益を目的に認められた公営競技とは全く私は違うと思うんです。
 また、経済活動という問題について、カジノが生み出す仕組みということ自体が、私は普通の経済活動ではないと思ってます。「広辞苑」には、「経済」という言葉、「国を治め人民を救うこと」、また「人間の共同生活の基礎をなす財・サービスの生産・分配・消費の行為・過程、並びにそれを通じて形成される人と人との社会関係の総体。転じて、金銭のやりくり」というようなことで書かれています。
 やはり賭博は刑法で禁止され、最高裁判決でもその違法性が認定されてきました。賭博は、知事もおっしゃったように、いたずらに射幸心をあおり、勤労意欲をそぎということで言われています。これはそうですよね。先ほどそんなふうにおっしゃったと思うんです。(「ちょっと違いますが」と呼ぶ者あり)あ、そう。「射幸心をあおり、勤労意欲をそぎ」というふうにおっしゃったように思うんですが、後ほどそれでまたおっしゃってください。
 それによって経済的な基盤を掘り崩し、地域社会と個人生活を崩壊させる危険があるということではないでしょうか。賭博行為は、一旦深みにはまれば個人的な判断や行動だけでは制御ができなくなるからこそ、法律によって社会的な縛り、規制がかけられてきたと私は考えます。そういった意味では、健全な経済活動とは言えないと思いますが、知事が手挙げ──どないしたらええんかな。──私、と思いますので。
○副議長(岸本 健君) 聞いてますか。質問ですか。
○奥村規子君 私はそれで思うんですけど、知事が手を挙げてるので。
 法律によって──そういうことで、健全な経済活動とは言えないということで私は言うてます、思いますということで次に行きたいんですが。
○副議長(岸本 健君) 聞かれますか、質問されますか。
○奥村規子君 はい。じゃ、反論をどうぞ。(「答弁やろ」と呼ぶ者あり)答弁。済みません。答弁をどうぞ。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 別に反論ではないんですけど、先ほど「いたずらに国民の射幸心を助長する」と。「いたずらに」と言ったかなあというのがあります。言ってたら済みません。それから、「勤労意欲をそぐ」というのは口にしてないと思います。
 ただ、勝手にやっちゃいかんというのは、そういうことが基本にあって、例えばかけごとというのははまってしまうというおそれがほかの行為以上にあるということだろうと思います。したがって、ちゃんと規制をしてやらないといけないので、勝手にやっちゃいけませんよということだろうと思います。
 ただ、奥村議員のように、かけごとは絶対いけないんだと言っちゃうと、それは公営ギャンブルもみんないけないし、それから、はまることは皆いけないんだと言ったら、これもちょっと大問題だと思いますけども、スマホなんかにはまってるような子供たちが結構いて、これは何とかせないかんと実は思ってるとこなんですが、こういうものもとんでもなく悪いことだということになってしまうわけでございます。
 したがって、要は健全なる社会生活が破壊されないように、うまくバランスをとって、手当てをしながら成長を目指して地域おこしを頑張っていくということが大事なんじゃないか、そんなふうに思っております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次、行きます。
 知事は、最初は外国人専用のカジノと、そう言いました。なぜ日本人の利用を認めるようになったのでしょうか。
 また、和歌山市の市長は、外国人専用とおっしゃってます。6月議会においても、我が党の森下議員が一般質問で市長の考えをお聞きしています。
 そこでお尋ねしますが、立地自治体の意見は重いと考えますが、いかがですか。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は以前から、IRは和歌山県の発展のために、雇用やあるいは経済成長とかそういう点で物すごく役に立つんだけれども、しかし一部にそういう方もいらっしゃいますけども、かけごとにはまるのは自己責任なんだから、そんなものはほっといていいという意見ではありません。いいことであるけれども、依存症その他の弊害がいっぱい出てはやっぱり問題であるというふうに人一倍思っていました。
 そこで、国が整備法案をつくっていくわけでございますけれども、やっぱり皆さん心配であろうというふうに思って、実効性のある依存症対策が講じられるまでは、心配をする必要がないように、和歌山県民、日本人はカジノ施設だけは入ってもらったら困るというふうにしたら全く心配はないでしょうというふうに発言をしていたところでございます。
 もっとも、それでもとにかく反対だから反対だと言う人がいるんだなあといってちょっと驚いた記憶もあります。今、奥村議員がかけごとは絶対だめだといって言われるようなタイプの人かもしれません。
 実は、私の発言あるいはその方針、こういうものは恐らく法案を検討していた政府に大きな影響を与えたのではないかというふうに、これは勝手に推測をしているわけでございますが、IR整備法案を見ますと、物すごく厳しい規制になりました。
 まず、マイナンバーカード、これは反対も多かったようなんですが、それを必ず持ってこいと。それから、入場回数制限をする。入場料も結構高い。それから、本人・家族申告による入場制限措置がある。現金でないと認めない。クレジットカードの使用は不可。中には──中というのはカジノルームですけど、その中には現金引き出し機を置いてはいかん。そういう大変重層的に多段階的な規制が設けられていまして、また、家族や本人が登録しておくとその方は入れないというようなことも決まっているわけでございます。
 私は、これでカジノ行為に対する、いわゆる依存症の防止対策ですね、何度も何度も通って捉まえられてしまうというようなことについての依存防止対策はほぼ万全ではないかなというふうに評価をしています。
 しかしながら、実はじっとよく考えますと、1回のかけごとで全財産をなくしてしまうという可能性はないことはないなあ。現金をたくさん持ってきて、もう全財産を持ってきて、これでやってくださいというようなことをする人がいると、1回限りだからその人が破産するリスクもあるなあ。それも勝手だという意見の人もいますけども、やっぱりこういう人も救いたいと私は思っていまして、何かうまくやる余地はないかと考えました。
 そこで、本県独自の取り組みとして、IRカードを導入して、所持する現金、これは現金を持ってこないと入れてくれないわけではございますけれども、所持する現金の範囲内で使用する額を入場の際にお客様と相談をしてチャージをしていただくということによって、使い過ぎることを抑制できるなというふうに考えました。
 また、かけごとに熱くなっている人に休憩とか退場を促すような依存症対策専門員の配置などを事業者に求めたりいたしまして、事業者がこれらの運営をちゃんと行っていただけるならば、論理的に考えると依存症や破産リスクはなくなるだろうというふうに考えているところでございます。
 多くの事業者に、実はこのIRカードのアイデアとか、これは規制でございませんので協力してもらわないといけません。県の提案を披露したところ、大変よいアイデアだと皆さん評価してくださっていますんで、さきに述べたような本県独自の取り組みも含めて、全部実現するだろうなあというふうに考えております。
 事業者を選定する段階では、本県の考える依存症や破産リスクの防止に関する提案にちゃんとコミットしていただけるのであれば事業者にしますよということで、そうなれば外国人専用である論理的な理由はないというふうに思っております。
 尾花市長も、私と同じように和歌山市民の安全を一番心配しておられるんだろうと思います。多分、同時に和歌山市が成長するようにということを考えておられると思いますが、この2つを考えておられると思います。ところが、市は、このIRについては、それをどういうふうに扱ってどういうふうに仕組んでいくかということについて何の権限もありません。全て権限は県でありまして、市は、唯一の権限は区域整備計画を国に出していいかというところの同意権限だけでございます。
 したがって、市長としては、県はそう言ってんだからいいでしょうというわけには、なかなか言いにくいだろうというふうに思いますので、今はもとのポジションであろうなあというふうに思うわけであります。とにかく市民の安全を守ろうということだろうというふうに思います。
 そこで、県で今私が申し上げましたようなことを、2年ぐらいかかると思いますが、きちんと形にして、これなら大丈夫でしょうということを市によく理解してもらいに将来行きたいというふうに思っておりまして、現在は心配しておられるのはごもっともではないか、そんなふうに思います。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 1つは、今お話を聞いた中で、お金をどこから調達して、またいろんなところから借りて、またそういうカジノにつぎ込んでいくというようなことは絶対にないとは言えないということが、お聞きしててわかりました。財産がある人は財産を何とかしてお金にかえてということでは──でも、財産もそうでもなくて、入ってくるお金もそう見通しがなくってでも、そういう中で巻き込まれて大変なことになっていくのではないかと非常に心配をするところです。
 もう1つは、市の同意が最終、その区域整備計画というところの中で和歌山市の同意というのが必要やということで理解してよろしいでしょうか。(「2年後」と呼ぶ者あり)2年後、はい。
 そしたら、次行きます。(「議長を無視すんな」と呼ぶ者あり)済みません。次に行きます。
 次は、カジノエンターテインメントに関する県民意識調査が、満20歳以上の県民1000人を対象にアンケート調査が行われています。その中で、カジノ誘致の是非についての問いに対して、県への誘致については、条件つき賛成を含め「賛成」36.3%、「反対」28.7%、「現時点で判断できない」35.0%と賛成が上回っているものの、居住している市町村へカジノを誘致することに対しては「賛成」が29.8%、「反対」が41.3%、「現時点で判断できない」が28.8%と反対が賛成を上回っています。2016年7月、2017年1月に行われた和歌山市の結果も同様です。
 国会では、先月の15日、カジノ実施法案が衆議院内閣委員会で自民、公明、日本維新の会が強行採決し、19日の一昨日、衆院本会議でも野党の反対を押し切って採決され可決しました。法案の内容を私たち国民に知らせず推し進めようとしていることは、議会制民主主義のじゅうりんだと言わざるを得ません。(「知ってるから反対してるんやろう」と呼ぶ者あり)国民に知らせずということで推し進めようとしていることはということです。
 報道各社の世論調査では、カジノ実施法案の今国会成立に6から7割が反対しています。TBSテレビ系のネットワークJNNの世論調査では、法案成立方針に「賛成」23%に対し「反対」は59%、テレビ朝日系ANN調査では、今国会の成立に「支持しない」は67%に上り、「支持する」の23%を大きく上回っています。法案の賛否でも、NHK調査では「反対」38%、「賛成」16%の倍になっています。カジノ誘致に対して県民の是非を、このような中でどのように把握していますか。企画部長、答弁よろしくお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御質問にありましたカジノエンターテインメントに関する県民意識調査は、平成21年3月に県が実施したものでございます。それ以降、県が主体となった調査は行っておりません。
 今取り組むべきことは、県がIR誘致を目指す理由やIRに関する正確な情報を県民に提供することだと考えています。そのため先般、和歌山県IR基本構想を公表し、IRが地域にもたらす莫大な経済波及効果や雇用効果等のメリット、また一方で、ギャンブル依存症などのデメリットへの対策についてもわかりやすくお示ししたところです。加えて、シンポジウムの開催や説明会の実施、広報番組の活用等さまざまな機会を捉えて、IRに関する正確な情報の提供に努めておるところです。
 IR整備法案では、県と民間事業者が共同で区域整備計画を作成する段階において、立地市町村に協議するとともに、公聴会の開催やパブリックコメントの実施などが義務づけられております。
 さらに、区域整備計画を作成し、国土交通大臣に区域認定の申請を行うに当たっては、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である県議会の議決を得ることになっておりまして、これらの手続を通じまして住民の是非ということが反映することができるというふうに考えております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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  〔「議長、議事進行、24番」と呼ぶ者あり〕
〇岸本副議長 24番。
〇中 拓哉君 ただいまの奥村議員の質問で、県民意識調査しろとかいうの私も賛同せんではないですけど、冒頭の質疑の中で、━━━━━━━━━━━━━━━━━という発言がございました。これは間違いでして、一昨年来やってきた、その━━━━━━━━のはこういう整備を推進しなさいという推進法のほうが議員提案で可決されたんであって、それを受けて政府が閣法として内閣から今回の整備法案を出したんですから、そこを整理していただかないとこの議論がかみ合わないと思いますので、議事進行したとこです。議長のほうで御整理お願いします。
○副議長(岸本 健君) この際、暫時休憩いたします。
  午後2時34分休憩
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  午後4時15分再開
○副議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、申し上げます。
 奥村規子君から、先ほどの会議における同君の発言について、一部を取り消したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。この申し出を許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、同君の申し出を許可することに決定いたしました。
 奥村規子君の質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 1項目めの4番からお願いいたします。
 カジノなしではIRは成り立たないということですかという点について、企画部長、御答弁をよろしくお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 日本型IRは、国際会議場や展示場、宿泊施設、魅力増進施設、送客施設等に加えて収益面での原動力となるカジノ施設が民設民営で一体的に運営されることを通じて、これまでにない国際的な競争力を有する総合的なリゾート施設を整備するものであり、適切な国の監視及び管理のもとで運営される健全なカジノ事業の収益なくして日本型IRの実現はできないと、そういうふうに認識しております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に5点目、お尋ねします。
 昨年度委託した基礎調査の結果がどのように基本構想に反映されているのでしょうか。また、基本構想には、経済効果が波及している例として「カジノ施設の収益により財政改善に寄与」と紹介されています。経済発展、雇用創出、観光振興への期待する効果についても根拠をお示しください。企画部長、御答弁お願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 基本構想を作成するに当たって、客観的な指標に基づく評価が求められる事業性分析、経済波及効果、雇用効果などの事項については専門機関の知見が必要となるため、有限責任監査法人トーマツ社に基礎調査を委託し、その内容を反映したところです。
 経済効果等の根拠についてでございますが、まず運営等に係る経済波及効果約3000億円につきましては、カジノ売り上げ約1401億円、ホテル売り上げ約255億円、アリーナ施設売り上げ約14億円、駐車場売り上げ約20億円及び来場者の飲食代等の推計値約325億円をもとに、産業連関表を用いて算出しております。
 次に、運営等に係る雇用創出効果約2万人は、IR内で雇用される雇用者については海外事例を参考に約5000人、IR外での雇用者は算出した経済波及効果をもとに需要量に対する労働量を推計し、約1万5000人と算出したところです。また、IR来場者約400万人については、トーマツ社が独自のノウハウ、知見を用いて推定を行い、試算をしたものです。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 カジノを導入すれば観光客がふえ、地域経済が潤い、税収もふえるなど主張をされています。しかし、世界的に見てもIR型のカジノで成功しているのは、ほんの一握りの施設、地域だけです。圧倒的多数は、さまざまな問題を抱えているのではないでしょうか。マイナスへの影響も考えるべきと思いますので、指摘をさせていただきたいと思います。
 次に、2項目めに行かせていただきます。
 太陽光発電事業における林地開発についてお尋ねをいたします。
 県太陽光発電事業の実施に関する条例が、あすから全面実施されます。この条例は、県民の理解と環境との調和を確保し、環境にふさわしい太陽光発電事業の普及を図ることを目的にしたものです。建物の屋根や屋上に設置するものを除く出力50キロワット以上の太陽光発電設備が対象です。その設置、維持管理及び廃止を適正に行うための計画を作成し、知事の認定を受けることを事業者に義務づけているものです。
 また、認定の申請前に、事業計画の案について地域住民への説明会の開催を義務化しています。事業計画の認定に当たっては、市町村長、自治会等の意見を踏まえ、必要に応じ専門家の意見を聞いて安全面、環境面、景観面、法令面等の認定基準に適合しているかを科学的かつ総合的に判断するというものです。
 本条例ができたことにより、林地開発許可制度事務取扱要領の改正点は何でしょうか。農林水産部長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 太陽光発電事業の適正な審査を行う和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例が公布されたことから、その条例との整合性を図るため、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領を次の4点について改正いたしました。
 まず1点目は、太陽光条例に規定する認定申請までの協議をもって、本事務取扱要領に定める林地開発の事前協議とみなすことといたしました。
 次に、事業実施予定者による太陽光条例の認定申請手続と林地開発の許可申請手続とは同時に行うことといたしました。
 続いて、林地開発の許可申請に添付が必要な開発行為に対する利害関係者の同意については、金銭により強引に同意を得るといった不合理な面も考えられることから、太陽光条例施行により透明性、客観性、理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことにより、同条例に規定する住民の意見を反映させるための必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意にかえることができることといたしました。
 最後に、林地開発の許可等の処分を行うに当たっては、太陽光条例に規定する認定等の処分との整合性を十分に留意した上で判断を行うこととしたところであります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 条例の制定に伴う利害関係者の同意書の取り扱いが変更になっているということです。これまでは利害関係者同意書の提出が必要でしたが、本年4月1日より太陽光事業については太陽光条例が制定されたことで必ずしも必要でなくなったこととなり、住民の皆さんから非常に不安の声が聞かれます。林地開発許可制度のハードルが下がったのではないかということです。この点でいかがでしょうか。農林水産部長にお聞きいたします。
○副議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例では、事業計画の周知、利害関係者への意見聴取、その意見に対する事業者の見解提示などが規定されており、おのおのの意見、見解を述べる機会が設けられております。
 また、必要に応じて専門家から構成される審議会の意見を聞くこととしており、客観的かつ理論的な視点において審査されるよう制度化がされているところです。
 先ほど申しましたように、このことにより金銭の受け渡し等で同意が左右されるような不合理なことが排除され、透明性、客観性、理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことから、同意書にかわる措置がなされたと判断したものであり、決して許可処分のハードルが下がったわけではありません。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の御答弁で許可処分のハードルが下がったわけではないということですので、県のほうで適正に今後審査していただけますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、3項目めです。県庁におけるハラスメントについて。
 今、国においては、女性が平等に社会に参画していくに当たって、個人の尊厳を深く傷つける女性に対する暴力が大きな障害となっていることが表面化してきました。厚生労働省では、性別を理由とする差別や、妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取り扱い、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、パワーハラスメント、育児介護休業、パートタイマー労働について、ハラスメント関係の相談窓口があります。
 ILOでは、セクハラを含め、ハラスメント全般を扱う国際基準の議論が行われているところです。職場、地域、学園など身近なところで一人一人の問題として考えなければと思い、質問させていただきます。
 県庁での職員からの相談状況は、セクハラは年に2から3件、パワハラは年5から6件とお聞きしていますが、ハラスメントをどのように認識しているか、知事にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、一般に、はやり言葉、特に外来語を無限定に使うことについてはちょっと抵抗があるんでございますけれども、奥村議員の御質問の用語でございますので、そのまま使わしていただきます。
 人間生活にとって、人格や個人の尊厳を侵害することはいけないと思います。別の言葉で言うと、人権を侵害するのはとてもいけないというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、県では、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、妊娠・出産・育児・介護に係る不当な不利益をもたらすような行為の対応指針を定め、職員が知っておくべきことや注意しなければならないこと、あるいは被害が生じた際にどのように対応しなければならないか、そういうことなどについて研修や啓発を行っているところであります。
 特に、上位の地位を利用した、あるいは利益で誘導するようなセクシュアルハラスメントについては、一番いけないことであると私は思っておりまして、何かあった際に安心して相談をできるように、相談を受ける職員の特定化、あの人がそういう場合には相談を受けますよというのをわかってもらっておくというようなこととか、あるいは被害に遭った職員には、その意に反しての人事異動等の不利益な扱いは絶対にしませんよというような旨の方針を示して、安心して相談や通報を行ってほしいというメッセージを全職員に発したところであります。もしそのような事態が本当に発生したら、厳しく対処する所存であります。
 今後も、職員がその能力を十分発揮し、誰もが働きやすい職場環境を確保するため、ハラスメントの防止と排除に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県庁においても、特に今年度も女性の採用人数が以前よりパーセントも高くなってきてうれしいことなんですが、将来、今もそうですが、やはり妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメントに関して職員が認識すべき事項等についての指針というのが、このように職場におけるハラスメント防止に関する基本方針が、(資料を示す)先ほど言われてましたように出されて、これが職場全体にやっぱり徹底していくということでいえば、ここにも書いているんですけども、所属長として認識すべき事項とかいうことでは、みんなで気をつけ合いながら職場で働きやすい環境をつくるということになれば、業務体制の整備とか、そういった客観的な状況も、働く環境づくりというのが非常に大事になってくるかと思いますので、そんな点も含めて、やはりよりよい、県庁の働きやすい職場づくりをぜひ進めていっていただきたいなということをお願いして、この今の職員の研修というのがどのようにされているかという点で、総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) ハラスメントの防止に関する職員の研修につきましては、平成11年度に職場におけるセクシュアル・ハラスメント防止に関する基本方針が定められた後、職場研修指導者セミナーの一環としまして、各職場の職場研修委員を対象に行ってまいりました。
 また、平成20年度に人権・同和特別研修の一環としまして、全職員を対象に実施して以降、平成26年度、平成28年度、平成29年度にも全職員を対象に研修を実施しまして、ハラスメントとは何かですとか、ハラスメントを防止するための心構えなどについて職員が認識すべき事項について、講義ですとか事例研究により研修を行ってまいりました。
 さらに、今年度から新任の所属長さんを対象とした研修においてハラスメントの事例を盛り込みまして、ハラスメントの防止及び排除に努めることは所属長の責務であるということの認識を徹底させているところでございます。
 今後も、さまざまな機会を捉え、継続して職員への研修に取り組み、職員によるハラスメント防止に努めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 せんだって、国際労働機関・ILO総会というところで、職場でのセクハラを含むハラスメントをなくすための条約制定を目指す委員会報告というのが採択されました。そういった点で、日本は勧告が望ましいということにまだ消極的姿勢じゃないかというふうに私は感じていますので、そういった点で、国へもしっかりと働きかけをしていただきたいなというふうに思います。
 次に、地域医療構想についてお尋ねいたします。
 厚生労働省地域医療構想ガイドラインは、現行の一般病床を診療報酬の取得点数で区分し、医師や看護師を手厚く配置する病床、施設を報酬点数の高い高度急性期などに限定する一方、そこに至らない一般病床は2025年までに再編、淘汰していくよう都道府県に指示をしているものです。高齢者、障害者、難病患者が長期入院する療養病床については、全国でも病床数が少ない県に合わせて大幅削減し、患者さんを在宅に向けていくのがガイドラインが示す方針です。高齢化のピークとされる2025年の病床数を本来必要とされる152万床から119万床に33万床削減していくのが政府の計画です。
 このような中で、県民は、療養難民にならないか、不安の声が上がっています。県としても、約2800床、特例とされる重度心身障害児者の病床420床を除いても、2400床を削減するという計画があります。高齢先進県として高齢者に対して必要な医療が提供できるのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 2点目は、地域医療構想を進めることで病床数が削減され、看護職員の需要も低下するという考え方もあるが、看護の現場は依然として、専門性のある仕事だがもうやめたい、患者さんの高齢化・重症化で鳴りやまないナースコール、夜勤がつらい、依然として厳しい救急の現場、医療事故が不安でやめたいなどの悲鳴が聞こえてきます。いつになったら笑顔があふれる看護現場になるのかと思います。
 そこで、お尋ねいたします。
 これからも一層、看護職員の需要が高まると思いますが、看護職員の確保についてしっかりやっていただけるのか、お尋ねをいたします。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、高齢者に対する医療の提供についてお答えします。
 和歌山県地域医療構想では、2025年における療養病床を主とする慢性期病床の必要病床数を2164床と定めており、構想策定時と比較し、1413床の削減となっています。算定に際しては、医療の必要度が高く長期の療養が必要な入院患者に対し、その医療需要に見合った病床数を確保する一方で、療養病床の一部を本年4月に創設された介護保険施設である介護医療院へ機能転換していくことを見込んでいます。
 この介護医療院は、医療と介護のニーズをあわせ持ち、長期の療養が必要となる高齢者に対し、日常的な医学管理と介護に加え、住まいの機能を提供するものです。また、入院ではなく在宅医療を希望される方に対しては、わかやま在宅医療推進安心ネットワークを構築し、住みなれた地域で在宅医療を受けられる体制の充実を図っています。
 このような取り組みを進めることで、長期の療養が必要な高齢者に対し、医療、介護、住まい等の必要度に応じた適切な医療と介護を提供できる体制を整備してまいります。
 次に、看護職員の確保についてお答えします。
 看護職員の平成29年度の有効求人倍率は約2倍であり、医療機関等では看護職員を十分に確保できていない状況であると認識しております。さらに、今後は超高齢社会を迎え、訪問看護ステーションや介護保険施設などで働く看護職の需要も見込まれていると考えております。また、医師の働き方改革に関する検討会において、医師から看護職への業務移管も議論されるなど、看護職の裁量拡大のニーズも高まってきております。
 こうしたことから、病床機能の転換等による影響があったとしても、全体としては看護職の需要が大きく低下することはないと思われます。そのため、県では、医療や介護の現場で求められている看護職の確保を図るため、新たな看護大学の開設により養成数の確保を図るとともに、高度化する医療への対応やチーム医療の一翼を担うことができる専門性の高い看護職の育成支援と、在宅医療のかなめである訪問看護師の養成にも取り組んでいるところです。
 今後も、これからの時代に対応できる看護職員の確保に取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁ありがとうございました。
 地域医療構想ということで、大変県民の皆さんにとってはベッド削減ということを非常に心配しているところですので、ぜひそれぞれの保健医療圏で十分な医療需要、また実態に基づいた計画をよろしくお願いしたいと思います。
 これで質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後4時40分散会

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