平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(秋月史成議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(秋月史成議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 2番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 おはようございます。
 一般質問2日目のトップバッターとして登壇させていただきます。通算7度目の登壇となりますが、まだまだ緊張が隠せません。本日、上富田町議会からお2人の女性議員が議会傍聴に来られております。小学生のころの参観日を思い出します。緊張がさらに増しますが、精いっぱい最後まで頑張りますので、県当局の皆さん、前向きな御答弁、よろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従い一般質問を行います。
 まず初めに、ロシアとの観光経済交流について質問いたします。
 4月26日から5月1日まで、自由民主党幹事長・二階俊博衆議院議員に同行し、県議会議員の中から濱口議員と私は、日露経済・観光交流ミッション参加のため、ロシア連邦はモスクワ、サンクトペテルブルクを訪れ、日本・ロシアフォーラム2018への出席のほか、現地観光名所の視察を行ってまいりました。
 このミッションは、国会議員はもとより、山形県知事、茨城県知事、広島県知事などの首長も参加され、和歌山県からは下副知事を初め観光交流課長も参加し、また、全国から民間の方々も200人を超える皆様が参加する大訪問団となりました。
 まず、モスクワ、サンクトペテルブルクともに帝政ロシア時代からの歴史的建造物が多く残されており、それぞれに建造された時代を感じさせる美しい町並みであったと強く印象に残っております。また、社会主義国家であった旧ソ連時代の暗いイメージはなく、町行く人々の表情も明るく、近代的な建物も建築されており、また、往来する車両も日本車を初め欧州各国の高級な高年式の車両が行き交う経済的豊かさも感じ、非常に活気にあふれた町であり国であると感じました。
 日本人のその大半は、ロシアに対し余りよい印象を持っていない方が多いように思われます。旧ソ連は、第2次世界大戦末期、極東方面では1945年8月に日本との日ソ中立条約を一方的に破棄して参戦、満州国やサハリン南部、千島、朝鮮北部に侵攻して占領いたしました。その後も日本とロシアの間には旧ソ連から続く領土問題が横たわり、シベリア抑留問題、社会主義国家の流れをくみ、プーチン強権政治のイメージも強く、よい印象を持ちづらいと思われます。
 また、私個人的には自衛隊時代、北方重視の防衛体制の中で旧ソ連の脅威から我が国の国土を守るという意識のもとであったため、ロシアを訪問するまでは、よいイメージを全く持っていませんでした。
 しかし、私を含め、今回訪れた人々は、口をそろえて「ロシアに対するイメージが180度変わった」と好印象になったという声を多く耳にいたしました。現地に足を運び、みずからの肌で感じ、現地の人々と触れ合う。写真や動画では決して伝わらない、感じられない機微な感覚。まさに「百聞は一見にしかず」のことわざのとおりであります。
 また、本県の観光PRでは、下副知事が和歌山県の観光名所を細部にわたりPRし、私も本県の魅力を再認識した次第でございます。山形県、茨城県、広島県の知事も観光PRを同じく行いましたが、下副知事のプレゼンテーションがすばらしかったのか、和歌山県が最もすばらしい地であると感じております。
 下副知事のPRの中では、「統計はとってはおりませんが、和歌山県を訪れるロシアの人々は限りなくゼロに近い」という発言がございました。統計をとっていないため人数は把握はできてないと思いますが、私も下副知事と感覚を同じくして、かなりゼロに近い数字と感じております。
 一方、下副知事のプレゼンテーションでの御発言の中には、ロシアとの観光交流に対する熱意も感じられました。
 そこで、質問です。
 今後、ロシアとの観光交流についてどのようにお考えか、知事にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ロシアからの訪日外国客につきましては、絶対数はまだまだ少ないものの、昨年の訪日ビザ要件緩和の効果により、前年比40.8%増と非常に高い伸びを示しております。これは、オールジャパンでございます。今後さらなるインバウンド誘客が期待できる有望市場であると思っております。
 ロシアは基本的には寒い国であります。一方、観光というのは日常にないものを求めるという要素が非常に強いんじゃないかと思います。和歌山には、ロシアの方々が求めるであろう温暖な美しいビーチがたくさんありまして、また、世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」にて、紀伊半島が世界の訪れるべき地域第5位にランクインするなど、和歌山の世界遺産エリアである高野山と熊野への注目度が高まっていることから、ロシアの方々、特に日本の歴史や精神文化に関心の高い知識層の誘客に大きな可能性があると考えております。
 このような中、ロシア語のパンフレットを新たに製作し、職員が本年3月にモスクワ及びサンクトペテルブルクにおいて和歌山観光セミナーを開催いたしましたが、4月の日露経済・観光交流ミッションに県からも副知事を初め観光事業者が参加をし、秋月議員のおっしゃるように、副知事から旅行会社やメディアに対し観光プロモーションを行ったところであります。
 副知事に聞いてみますと、反応はとてもよかったようでございまして、多くの業者が和歌山県が開いているブースに詰めかけてきたというふうに聞いております。
 このように、今回のプロモーションを契機としてロシアの旅行業界の和歌山の関心が高まっておりますので、6月上旬にロシアの旅行会社とメディアを招聘いたしましたほか、今月末にもロシアの旅行会社が視察に訪れる予定になっております。
 今後とも継続的にロシアへのプロモーションを行い、市町村や観光協会、観光事業者と一丸となって、ロシアとの観光交流に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 御答弁にもありましたように、ロシアはインバウンド誘客が期待できる有望市場であると私も思います。私が訪問いたしましたモスクワやサンクトペテルブルクは、日本からはかなり遠い地でもあります。しかし、広大な国土を有するロシアでは、極東ロシアと呼ばれる日本に近いロシアもございます。ウラジオストクなどは日本から直行便で2時間ほどで往来できる地であります。地域を絞って戦略的誘客も御一考くださいますようお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 私がロシアに向かうとき、行きは南紀白浜空港から空路東京国際空港・羽田に入り、モノレール、電車を乗り継ぎ、新東京国際空港・成田へと向かいました。1度か2度、委員会視察等で成田空港を少し訪れたことがありましたが、初めて利用することとなりました。
 和歌山県民が海外へ向かう際、よく利用するのが関西国際空港でありますが、関西国際空港も日本人だけではなく、訪日外国人が多数利用いたします。しかし、成田空港は、関西国際空港と比べても、その比ではないという印象を受けました。
 羽田空港から、比較的長期滞在のため、大きな荷物を引きずり、電車で移動。駅内部の移動では、階段やエスカレーターの利用。成田空港まで電車を乗り継ぐ移動は、屈強な肉体の持ち主と自負する私でさえ結構大変だと感じました。帰りは、成田空港から羽田空港までリムジンバスで約1時間の移動。大きな荷物はバスの荷室に入れ、肉体的には楽に感じました。その後、空路にて南紀白浜空港まで帰ってまいりました。
 5月30日付の新聞報道によると、「白浜空港、成田便で利用客増へ」という見出しで大きな記事が掲載されました。私も、ロシアからの訪日客を含めた訪日外国人客の本県への誘客、南紀白浜空港の活性化について、随分前から有効な手段であるとイメージしておりました。今後、南紀白浜空港─成田空港便就航について、運営会社を交えて県としてどう取り組んでいくのか、県当局のお考えをお示しください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の活性化策としての成田空港便就航への取り組みについて御質問をいただきました。
 南紀白浜空港の活性化に向けては、南紀白浜空港民間活力導入事業として、昨年11月から事業者の公募を開始し、1次審査、2次審査を経て、本年5月に優先交渉権者を決定し、現在、運営権の設定などの関係議案を6月議会に提案しているところでございます。
 運営権の設定を予定している事業者からは、成田空港便を就航させ、本県が有する熊野三山などの世界遺産を訪れるヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアからの成田空港を経由したトランジット客を取り込む提案などがなされているところでございます。運営権が設定され、運営権者による運営が開始された後は、運営権者が主体となって航空ネットワーク拡充や利便性向上などを目指し、提案の実現に取り組んでいただくこととなりますが、県といたしましても運営権者と協働し、南紀白浜空港の活性化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 しっかりよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 昨年、私が12月定例県議会、平成29年度2月定例県議会予算特別委員会で校内人事に関する質問を行い、学校及び県教育委員会の不備を指摘させていただき、県教育委員会もその後、校内人事については適宜指導していただいていることと思います。
 平成26年に文部科学省の通知以前は、県内の幾つかの県立学校でも投票して校内人事を決めていたと調査で判明しております。その文部科学省の通知では、校内人事のほかに職員会議にかかわる通知もございました。議場の皆様に文部科学省の職員会議の運用についての指導事項をお伝えいたします。
 1、職員会議は、校長の補助機関であり、校長が主宰するとされているにもかかわらず、教職員の互選等により選ばれた議長団等の組織を設置し、校長以外の職員を議長とし、当該議長が職員会議を主宰することは、校長の権限を実質的に制約することから不適切であり、行うべきでないこと。
 2、職員会議において、挙手や投票等の方法により、校長が自らの権限と責任において決定すべき事項について決定したり、校長の権限を実質的に制約したりすることは、法令等の趣旨に反し不適切であり、行うべきでないこと。
 以上の2点が、校内人事に合わせて通知された文部科学省の職員会議についての指導事項であります。
 昨年12月定例議会の校内人事に関する私の質問に対する宮下教育長の御答弁を、一部抜粋ではありますが、皆様に再度お伝えいたします。「平成26年に文部科学省から全ての学校に対し、職員会議や校内人事のあり方について調査がありました。本県におきましては、その調査結果をもとに、不適切な規程や慣行があった学校に対して適切に運用するよう指導し、廃止・修正したことを確認してございます」と。
 私の余り高くない国語力からではありますが、この御答弁を読み解きますと、校内人事だけではなく、職員会議においても「不適切な規程や慣行があった学校に対して適切に運用するよう指導し、廃止・修正したことを確認してございます」と読み解けます。
 しかし、参考とはいえ、校内人事の教職員による投票が予定されていたことが判明し、3月の予算特別委員会で、不適切な方法なので厳しく注意し改善させたと御答弁されたように、校内人事においては12月定例会での県教育長の御答弁とは全く真逆な事例が、一部の学校だとは思いますが、判明いたしました。
 そこで、質問です。
 平成26年の文部科学省の通知以来、県立学校の職員会議の運用は指導事項のとおり適切に行われているか否か、県教育長、お答えください。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 職員会議のあり方につきましては、平成26年度の調査の後、不適正な規程を廃止・修正したことは確認してございました。また、本年3月、校内人事とともに改めて校長の補助機関である職員会議のあり方について、学校を指導いたしました。今年度、職員会議の運営について調査いたしましたところ、校長主宰のもと行われており、校長以外の職員を議長とすることなく運営されていることは確認いたしました。
 しかしながら、一部の校長に認識の差があり、生徒指導に関することなどで全ての教職員の考えを把握するため、挙手による意向確認をした事例が3校ございました。該当校に対しては、生徒指導のあり方を含め、適正に運営するよう指導いたしました。
 校長が教職員の考えを把握するために行ったものであるとはいえ、挙手による意向の確認は、校長の決定を制約する可能性は否めず、不審を抱かせるものであり、遺憾でございます。また、指導を重ねてきたにもかかわらず、こうした運営が行われていたことについては、学校を指導する立場にある教育委員会としての責任を痛感してございます。
 今後とも、職員会議を初め、学校運営について指導を徹底し、学校訪問等を通して定期的に点検してまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 全くもって情けない話であります。宮下教育長も私と同じ思いだと思います。一部の校長に認識の差、私には理解ができません。教職員の意見を把握するなら別の方法があるはずです。教育現場で子供と実際に向き合う教職員の意見を聞くことを私は決して否定するものではありません。校長には校長の言い分があるでしょうが、挙手による意向の確認、私には理解ができません。
 先ほど皆様にお伝えした文部科学省の職員会議に関する指導事項は、短文で、理解が難しいものではありません。同じことは二度と言わせるなと宮下教育長も教鞭をとっておられるときに1度や2度は少なくとも言ったことはあると思います。校長も、恐らく生徒には言ったことがあると思います。宮下教育長、今後はしっかり学校を指導していただき、二度とこのようなことのなきようお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 3月26日付新聞の記事に、「地方空港、安全に不備」という見出しで、地方空港の安全対策に不備が比較的多く存在し、国土交通省の検査で指摘されていると書かれておりました。
 先ほどの質問でも触れさせていただいた南紀白浜空港は、本県唯一の空港として旧空港から合わせて本年50周年を迎えております。県当局も南紀白浜空港の活性化の重要性を認識し、運営権を民間会社へ移し、優先交渉権者と基本協定を締結いたしました。今後、南紀白浜空港の活性化は、本県にとりましても地域にとりましても重要な課題の1つであります。
 しかしながら、活性化のその前に、安全対策は最も重要な課題であります。今回の国土交通省の検査で、南紀白浜空港も不備の指摘や指導を受けたことであろうかと思います。南紀白浜空港がどのような不備の指摘及び指導を受けたのか、お答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の安全対策についての御質問をいただきました。
 議員御指摘の国土交通省の検査につきましては、航空法第47条第2項の規定により、空港や航空保安施設が国土交通省令で定める保安上の基準や基本方針等に従って管理されることを確認するために、国土交通省が定期的に実施しているものでございます。前回の検査は、平成26年度から平成28年度までの3年間に地方自治体が管理する64空港で実施され、南紀白浜空港においては平成27年5月に2日間にわたり実施されてございます。
 その結果、南紀白浜空港においては、航空法に明示された基準等に適合していない事象に対してなされる指摘事項はなかったものの、航空法に基づき策定した指針や関係基準等に適合していない事象に対してなされる指導事項が6件ございました。
 指導事項の6件の内容でございますが、消火・救難訓練の未実施など消火・救難体制に係るものが3件、安全講習会の未実施など空港運用業務に係るものが2件、その他安全管理システムに係るものが1件でございました。これらの指導事項につきましては、平成27年8月6日に大阪航空局長宛て改善計画を提出し、全項目改善済みとなってございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 ハインリッヒの法則。ハインリッヒの法則は、労働災害における経験則の1つであり、1つの重大な事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものであります。
 今回の国土交通省による検査によって指摘や指導された項目は、先ほどの質問のお答えでもありましたとおり、比較的軽微な指摘、指導だと思われますが、しかし、その軽微な指摘や指導を見過ごしていては、いずれは大きな事故につながるおそれがあることは否めません。軽微であっても指摘、指導を受けることは決して看過できるものではないと思います。日常の業務の中で、これくらいはいいやという慢心があったのかもしれません。
 今回の国土交通省の不備の指摘、指導、その教訓を生かし、今後の南紀白浜空港のさらなる安全対策、利用者が安全で安心して利用できる空港へとさらに進化させる、安全・安心こそが南紀白浜空港活性化の一丁目一番地であることに反論はないと思います。
 また、民間企業に運営を移管することを踏まえた安全への取り組みを県としてどのようにお考えか、お答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の民営化後の安全対策についての御質問でございます。
 空港における安全・安心の確保は、空港を管理運営する上で最優先の事項であると認識をしてございます。今後、運営権が設定され、運営権者による運営が開始された後は、航空法及び民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律に基づき、国が定める保安上の基準等に従い、空港や航空保安施設の管理を実施するとともに、みずから空港保安管理規程を策定し、これを遵守する義務を運営権者が負うこととなってございます。
 この実効性を担保するため、航空法第47条第2項等の規定により、引き続き国土交通省による定期検査が実施されることとなります。加えまして、県は今後締結を予定している実施契約に基づいて、空港運営等業務が適正に実施されているか否かモニタリングを実施し、これを満たさないと判断した場合は、改善計画の提出を命ずることとしてございます。このような枠組みにより、運営権者に空港の運営を移管する場合であっても安全・安心の確保に万全を期してまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 白良浜の階段護岸についてお尋ねいたします。
 南紀白浜といえば、多くの観光名所が思い浮かびます。三段壁、千畳敷、円月島などの観光名所にあわせ、近年は南紀白浜アドベンチャーワールドのパンダ人気、とれとれ市場等の商業施設を初めとして多くの観光客を集める施設がにぎわいを増しております。
 しかし、私といたしましては、何といっても南紀白浜といえば真っ白な砂浜が目に浮かんでまいります。夏のシーズンになると、一面に広がるパラソルのもと、多くの海水浴客でにぎわう白良浜海水浴場が南紀白浜のシンボルと言っても反論する方は少ないと思われます。
 そんな白良浜海水浴場には、海水浴シーズとともに台風シーズンとが重なり、台風による高潮、高波での浸水被害への備えだと思われますが、議場の皆様にお配りした写真のような不粋な黒い大型土のうが、遊歩道沿いにほぼ毎年、台風のたびに設置されております。
 大型土のうを置く時期は夏場の観光シーズンと重なり、海水浴シーズンと台風は重なることが多いのが現状であります。南紀白浜のシンボルである白良浜に黒い大型土のうは似つかわしくないと感じるのは私1人ではないと思います。地元の皆様も観光客の皆様も同じ思いだと確信いたします。
 そこで、質問です。
 まず初めに、いつごろからどのような経緯で設置されているのか、今後も続くのか、県当局にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 台風シーズンに白良浜に設置される土のうについて、経緯並びに今後の方針について御質問を頂戴いたしました。
 高潮や高波から海岸を防護する方法には、堤防や護岸などにより線的に防護する方法と、複数の施設を面的な広がりを持って適切に配置することにより波の力を沖合から徐々に弱めながら防護する方法がございます。
 白良浜は、県内有数の観光地で海水浴場であることから、環境、利用面にも配慮して、砂浜と突堤、階段護岸を組み合わせた面的な整備を行っており、その最終段階として、砂浜の整備に平成元年から着手いたしました。
 しかし、平成13年にそれまで投入した砂が湾内に流出していることが確認されたため、翌年から砂の流出防止を目的とした潜堤の整備に着手するとともに、砂の投入を中断し、現在は砂の移動状況を経過観察しているところでございます。したがいまして、現状は、階段護岸から水際線までの浜幅が計画どおり確保されておらず、十分な消波機能を有していない状況となってございます。
 このような状況の中、平成16年10月、台風23号の高潮と高波で背後地の一部が浸水するなどの被害を受けましたため、翌年の台風接近時には、応急的な対策として堤防の開口部に土のうを設置いたしました。その後、白浜町や地元地区からの要望を受け、平成21年からは、台風接近時の安全性を確保するため、関係者と協議を行った上で、遊歩道ともなっている階段護岸の天端に、先ほど議員からお示しのありました写真のように、ほぼ毎年、大型土のうを設置している状況でございます。
 こういった経緯を踏まえますと、今後も砂浜の整備が完了し十分な消波機能を発揮するまでは、台風接近時の高潮や高波に備え、大型土のう等を設置することを継続せざるを得ないと考えてございます。
 なお、台風接近時以外の大型土のうの仮置きは、階段護岸の近傍としていることもありますが、今後は、海岸の景観を損なわない場所に移動させることを検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 平成21年から大型土のうの設置。地元からの要望でもあり、台風等の高潮、高波への備えとして大型土のうの設置はこれからも必要との御答弁でありました。
 本年が平成30年。約9年間、ほぼ毎年毎年、台風のたびに大型土のうを設置、その後、撤去では予算もかさみます。予算面だけではなく、景観面でも訪れる観光客に大きな不満を抱かせる可能性は否めません。高潮、高波対策は大型土のうではなく、別の方法、例えば堤防等の建設のような恒久的な対策を検討していく必要があるのではないかと思われます。
 しかし、私の考えにおいても、恒久的な対策、例えば築堤を行うことにより真っ白い砂浜及び美しい海岸線が見えづらくなり、また新たな景観面で不満を抱かせる可能性も否定できません。
 そこで、質問です。
 今後、景観面にも配慮し、よりよい恒久的な対策を講じる必要があると考えますが、県当局のお考えをお答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 白良浜の高潮、高波に対する恒久対策についての御質問を頂戴いたしました。
 白良浜では、先ほど御答弁申し上げましたとおり、高潮や高波対策のための面的な整備を行っている中、砂の移動状況を経過観察しているところであり、現時点では、その状況がわかり次第、所要の浜幅を確保するものと考えてございます。
 しかし、さらに砂を投入しても砂が定着しないという課題が解決しないことも想定をされてございます。そのような場合には、浜幅を現状のままとして既設の階段護岸の天端をかさ上げする方法がございますが、この方法は景観面や利用面への影響などの課題もあると考えてございます。
 議員から恒久的な対策が必要ではないかとの御指摘がございましたが、まずは砂の移動状況を注視することとし、その結果、既設の階段護岸の天端のかさ上げが必要と判断された場合には、白浜町や地元関係者等の御意見を踏まえ、整備方針を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 県土整備部長、丁寧な御答弁ありがとうございます。
 御答弁にもありましたように、白浜町や地元関係者の皆様の意見を丁寧にお聞きし、白浜のシンボルである白良浜を守っていただき、あわせて台風襲来時の高潮、高波から背後地をお守りいただきますようお願いいたします。
 最後の質問に移ります。
 2015年8月30日に紀勢自動車道南紀田辺インターチェンジからすさみ南インターチェンジが全線開通いたしました。地域の観光産業の生産性の向上や観光活性化、また地域の救急活動に貢献し、整備効果を存分に発揮し、地域振興に大変寄与しております。
 特に、すさみ町江住地区にありますすさみ南インターチェンジ付近には、道の駅すさみがオープンし、多くの利用者でにぎわっております。この道の駅は、防災拠点としても位置づけられ、その機能が重視されております。今後は、この道の駅にホテル誘致も計画されているそうでございます。
 また、新宮方面から大阪方面に向かうときは、高速道路上のガソリンスタンドは紀ノ川サービスエリアまではなく、道の駅すさみに併設されたガソリンスタンドで燃料給油を行い、大阪方面へ向かうことが可能となります。
 道の駅すさみの飲食店の売り上げも好調の様子で、併設されているガソリンスタンドの売り上げも開店前に試算されておりました売り上げ予測を大幅に超える売り上げを記録しているとお聞きしております。急激な過疎化が進むすさみ町にとって、経済的、防災的拠点となっております。
 4月15日、すさみ串本道路の起工式が串本町で行われました。すさみ串本道路の基本計画では、すさみ南インターチェンジ・北向きハーフインターチェンジと和深インターチェンジ・南向きハーフインターチェンジが計画されております。
 近年、高い確率で発生が予測される南海トラフ巨大地震及び津波による被害に対応するため、また、台風等の異常気象発生時において、重点道の駅すさみは広域防災拠点としての機能が重視されております。
 この際、国道42号線和深─江住間において、異常気象による通行どめ、線形不良の区間があることから、防災拠点から串本方面へのアクセスを確保するにはフルインターチェンジ化が不可欠と考えます。その思いを同じくする岩田すさみ町長、すさみ町議会の皆様、地域住民の皆様と一緒に、本年2月22日、仁坂知事にすさみ南インターチェンジのフルインターチェンジ化について要望を行わせていただきました。
 また、3月29日は、国土交通省近畿整備局へも地域の皆様と一緒に要望活動を行ってまいりました。4月23日には上京し、自由民主党幹事長・二階俊博衆議院議員を初めとする地元選出国会議員にも要望活動を行い、国土交通省への要望活動も行っております。地元選出国会議員からは、私たちと思いを同じくし、しっかり頑張ってまいりたいという趣旨の発言をいただいておりますが、近畿整備局及び国土交通省では、まずは紀勢自動車道の延伸を優先しつつも、現在のところかなりハードルが高いと、全く前向きなお話はございませんでした。
 しかしながら、仁坂知事は、すさみ町の皆様と思いを同じくし、その重要性を認識し、しっかり前向きに頑張っていくと熱意あふれる御発言をいただいております。
 従来の計画どおりのハーフインターチェンジでは、今後、すさみ町の経済面での浮揚にも大きく影響し、また防災面でも問題が生じると思われます。今後、和歌山県として、すさみ南インターチェンジのフルインターチェンジ化について、どのように取り組んでいかれるのか、仁坂知事にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀伊半島一周高速道路は、本県にとって企業立地や産業振興、活力ある地域づくりといった将来のチャンスを保障するものとして、また南海トラフ巨大地震などの大規模災害への備えとして、その実現は不可欠かつ急務であり、これまでもさまざまな機会を捉えて早期整備を強く求めてきたところであります。
 このため、既に事業化されている一般国道42号新宮紀宝道路とすさみ串本道路において、県と関係市町が用地取得を鋭意進め、それぞれ起工式を経て、本線工事が本格化しようとしております。また、今年度、新規事業化された串本太地道路についても一日も早く用地買収を進めるなど、県としては紀伊半島一周高速道路を早くつなげることに全力で取り組む所存であります。
 議員御質問のすさみ南インターチェンジは、現在、御指摘のようにハーフインターでありまして、今はいわば終点でございますんで問題はありませんけれども、これが東のほうに延伸されるということになりますと、ハーフインターでは不便というのは御指摘のとおりであります。何とかならんのかと私も思っております。
 ただし、これはもともとは、これからできる和深インターチェンジと一体となってフルインターチェンジの機能を持つものとして計画されているというふうに承知しておりまして、したがって、あの狭いところにつくっておるということであります。
 現在のインターチェンジの南側は急峻な地形で、すぐにトンネルが計画されておりまして、地形的にもこれはフル化は難しいというのが技術者としてのおおむね一致した見解であると聞いております。
 それじゃ、他の箇所でフルインターをつくれんもんかということで、実は県の技術者たちにいろいろ検討をしてもらったんでございますが、どの地域もそれぞれ困難な点があるというふうに説明を受け、そうだなあというふうに思っておって、これを克服する手を今のところ私は考えついていないというのが現状であります。熱意はあるんですが、力は及んでおりません。
 紀伊半島一周高速道路を早くつなげることが第一であると、これはもう間違いないことでありますが、すさみ町の要望も実現できればいいというふうに考えておりますが、御説明申し上げましたように、これらの課題については今のところ解がなく、引き続き検討していきたいと思っております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 質問にもありましたように、すさみ南インターがフルインター化が実現するか否かでは、今後、すさみ町及び近隣地域の経済面、防災面で大きな差が生じることになります。
 仁坂知事には、次期知事選挙に必ず御当選いただき、すさみ南インター化を実現するものとすべく先頭を切って国に対して働きかけていただきますようお願いいたします。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。最後までおつき合いいただきまして、ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

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