平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
 質問に先立ち、6月18日早朝、大阪府北部地域を震源とする地震により5名が死亡、400人を超える負傷者が出るという大災害に対し、衷心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。特に、小学4年生の女児が自分が通う学校のブロック塀の下敷きになった事故は、涙を禁じ得ません。
 自由民主党和歌山県議団を代表して、お亡くなりになられた5名の方々に対し心からお悔やみを申し上げますとともに、おけがをされた多くの方々に対し、深くお見舞い申し上げる次第でございます。
 近い将来、南海トラフによる大地震の発生が憂慮される本県にあっても、今回のこの災害を他山の石として一層気を引き締め、当局とともに対策の強化に取り組んでまいりたいと思います。
 そこで、6月18日に発生した大阪北部地震による本県の影響について、現状認識と今後の対応について、知事の考え方をお伺いするものであります。
 改めて、自由民主党県議団を代表して質問をいたします。
 2006年(平成18年)11月15日、前知事が収賄と競売入札妨害で逮捕されるという、和歌山県政始まって以来の不祥事が起こりました。12月、前知事が辞職、県民はこの事件を通して、次の知事には清廉潔白、誠実、郷土愛に富む知事の登場を求め、12月17日、県民の圧倒的な支持を得て仁坂県政が誕生いたしました。以来3期12年、仁坂知事は誠心誠意、一生懸命県政の改革、改善に取り組み、県民の信頼をかち得てまいりました。
 そして、去る2月本会議におきまして、ぜひもう1期、県政を担当したいと語り、4選出馬を表明されたところでございます。私たち県議会自由民主党といたしましても、この間の仁坂知事の政治姿勢、実績、何よりもその清廉潔白な人柄を高く評価し、来るべき知事選での御支援をかたくお約束申し上げる次第でございます。
 改めて、この間の仁坂県政を簡単に振り返ってみたいと思います。
 当選後の仁坂知事は、県民の期待に背くことなく、前知事の事件の温床となった公共調達制度の改革に全力を挙げ、それまでの指名競争入札を排し、一般競争入札制度を導入、官製談合の防止を徹底的に断行いたしました。その徹底ぶりには、当初、これでは厳し過ぎるのではないかとの危惧や心配の声が上がったほどでした。その後、全国における入札制度改革の流れを見ますと、まさに仁坂知事の改革が正鵠を得た判断であったものであり、新しい時代の公共事業へのパイオニアの役割を果たしたものと高く評価されたものであります。
 経済産業省出身の知事は、個人的なネットワークも生かしながら、本県の産業振興、とりわけ企業誘致には積極的に取り組んでこられました。2006年以降、193件の企業誘致に成功しています。人口減少時代にあって、人口減少に歯どめをかける、あるいは積極的に人口をふやす手段として企業を誘致する、あるいは企業を興すことは即効性があり、最も効果的な施策でございます。
 しかしながら、グローバル化が進み、あわせて全国の地方自治体が激しい誘致合戦をする今日の状況にあって、限られた企業の誘致を図ることは至難のわざであります。知事の幅広い人的ネットワークと、積極的な取り組みが功を奏した結果であります。
 とりわけ、串本町が候補地と報道されましたキヤノン電子を中心とする民間企業によるロケット打ち上げ場の建設が実現のものとなれば、今後の日本経済を牽引する有力な分野の1つであり、県民の喜びと期待は大変大きなものがあります。
 最先端の技術が集積した最も成長性の高い企業として、あるいは観光施設として、さらには関連する事業所の立地など、今後の夢は膨らみます。人口の減少とともに高齢化の比率もすさまじいスピードで進んでいます。地域の活性化は、若者の存在が必要です。とりわけ、本県の場合、その地理的条件におきましても和歌山市における若者の比率は重要な施策課題でございます。
 私も、こうした認識のもと、平成28年2月議会におきまして、若者の声が聞こえる和歌山市の創造を提唱し、和歌山市の大学立地について、声を大にして当局の対応をただしました。もとより、大学の誘致といった課題は一朝一夕にできるわけではなく、私の質問が直接成果に結びついたなどとは思っていませんが、2年を経て和歌山市内への大学立地が4件も発表されましたことはすばらしいことであります。若者が集う和歌山市、若者の元気あふれる和歌山市、和歌山市の活性は、すなわち和歌山県の活性化であります。和歌山市長と息の合った大学誘致の成果は、県民に明るい希望をもたらしました。
 農業振興にも力を入れてくれました。特に、平成27年、400年の歴史を重ねるみなべ・田辺地域の梅栽培が世界農業遺産に認定をされました。梅のブランド力向上や海外販売等に対し、力強いバックアップとなるとともに、生産者の梅生産に対する意欲の向上やプライドを大いに高めることができました。
 県内高速道路の延伸は、長年にわたる和歌山県政の悲願でありました。県民、知事、県議会議員、国会議員、全員が心を1つにして建設推進への歴史を重ねてまいりました。
 そして今日、仁坂知事の代に至り、近畿自動車道紀勢線がすさみ町まで延伸、現在は串本町まで工事中であります。最後に残った串本─太地町間の工事も、平成30年度に事業化されました。並行して、有田インターチェンジから印南インターチェンジまでの4車線化が進められております。
 紀の川沿いに沿って県北部を東西に結ぶ京奈和自動車道が全線開通し、紀の川流域から関西国際空港や大阪都市圏への時間距離は飛躍的に短縮され、この地域の発達ポテンシャルが一気に顕在化しました。こうした結果、高速道路の供用率はおおむね8割に達し、全国平均にまで引き上がりました。観光に産業振興に、何よりも県民の利便性が格段に向上したこと、念願の高速道路体系の整備の進捗をともに喜びたいと思います。
 南海トラフ巨大地震への備えは、喫緊の課題でございます。津波が来たら逃げ切る、そのためにはソフト・ハード両面からの対策が必要であります。
 平成23年、東日本大震災や紀伊半島大水害の発生を教訓に、仁坂知事は従来の防災・減災対策を一から見直し、新たに津波の浸水地域や避難困難地域を明らかにし、具体的な対策を取りまとめるとともに、ハード面におきましては和歌山県国土強靱化計画を策定、その整備を進めております。
 いつ来るかわからない災害、どの程度の規模か予測がつかない自然災害、その備えは地道に不断に備えなければなりません。国と太いパイプを持つ仁坂知事の手腕に期待するところでございます。
 観光は、本県の主要産業でございます。高野・熊野世界遺産への注目度は、特に外国人の関心が高いようであります。2000万人を超える海外からの観光客は、2020年の東京オリンピックに向けて4000万人の入り込み客が見込まれます。海外の観光客にとって、世界遺産は最も興味のある観光資源であろうと思います。平成28年度には、これまでの登録に加えて、田辺闘鶏神社や高野山に至る黒河道など、新たに22地点が追加登録されました。紀南地方の日本ジオパークの認定とともに、新たな観光資源として期待が高まります。
 一方で、県は、住民の要請を受け、景観を阻害する廃墟を強制撤去できるという、いわゆる景観支障防止条例が制定されました。ある意味、個人の財産に及ぶこうした条例の制定は、また抵抗も大きいものと思いますので、その決断に敬意を表するものでございます。今後の本県の観光振興を考えるとき、こうした思い切った制度の創設は、必ずや後に高く評価されるものと思います。
 平成27年の紀の国わかやま国体の成功は、今もなお鮮明に記憶に残るところでございます。
 仁坂県政3期12年の主要な歩みを簡単に振り返ってみました。私は、仁坂知事は十分その職責を果たし、真面目に一生懸命県政に取り組み、確実に実績を積み重ねてきているものと確信をしております。
 しかしながら、県政に残される諸課題は、今なお数多く見受けられます。少子高齢化や過疎化は、予想を上回るスピードで展開するかもしれません。積極的な移住政策、医療や福祉の充実、若者とりわけ女性の活躍支援、少子化対策と子育て環境の整備、教育・スポーツの振興、林業の衰退を背景に集落の崩壊が急激に進む過疎地の対策など、県政を取り巻く課題は山積しております。仁坂県政の一段の頑張りと取り組みを期待するところでございます。
 本年11月ごろには、知事選がございます。私は、仁坂知事には、これまでの実績を踏まえ、残された諸課題に果敢に取り組み、元気な和歌山、安らぎの和歌山を目指し、粉骨砕身、県政の総仕上げに取り組んでいただきたいと期待をするところでございます。改めて、知事の決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。
 質問二つ目は、農作物の海外展開についてでございます。
 私は、農業の振興なくして地域の発展なしとの信念に基づいて、これまでもさまざまな角度から農業の振興を訴えてまいりました。特に、私の地元日高地方は、主力農産物である梅の振興に関しては、平成27年に世界農業遺産に認定されるなど、生産者と行政が一体となった取り組みが大きな実を結びつつあります。
 和歌山県は、本当にさまざまな農産物に恵まれています。ミカン、桃、柿、梅などの農産物は、既に全国レベルでの評価を得て、サンショウなどの特産品に至っては国内の圧倒的なシェアを占め、既にフランスを初めとする海外にも積極的に輸出されております。
 一方、我が国を取り巻く情勢はと申しますと、世界は我々の予測をはるかに超えるスピードで国際化が進んでおります。日本を訪れる外国の観光客は、今や2000万人を超え、東京オリンピックが開催されますと、2020年には4000万人の入り込み客が予想されます。日本の製造業の海外進出は既に皆様もよく御承知のとおりであり、海外の生産、販売にその活路を見出しています。人々の交流に、企業の海外進出に、目まぐるしい大転換期を迎えております。
 国内に目を転じますと、日本の人口は1億2000万人をピークに減少しています。あわせて、戦後のベビーブームで誕生した現在70歳前後の方たちが高齢化を迎える後20年ほどは、急速な高齢化が見込まれています。こうした内外をめぐる大きなうねりの中で、農産物の生産とて例外ではありません。国内市場だけを対象としていたのでは、その規模は縮小するだけであります。
 では、農業の振興はどう考えればいいのか。私は、1つの考えとして農産物の海外展開を主張しています。地球規模で見て今後とも人口の拡大が見込まれる地域、すなわち農産物の需要の拡大が見込まれる地域は、アジアとアフリカということになるでしょう。そのアジアに位置する私たちは、最も身近なマーケットとして、中国や東南アジアの圧倒的なエネルギーをどう活用するのか、できるかに今後の農業の盛衰がかかっていると言っても過言ではありません。
 私は、常日ごろから主張する「地産外商」の戦略であります。私は、先日まで、本県議会を代表して関西広域連合議会議員並びに理事として務めてまいりました。本年3月に開催された広域連合の会議におきましても、私はこのことについて熱を込めて訴えてまいりました。
 すなわち、関西には、アジアは言うに及ばず世界と24時間直結する関西国際空港が存在すること、加えて、関西国際空港を中心に三重県、四国までを含む関西周辺地域は、そのほとんどが高速道路で結ばれ、既に高速道路ネットワークができ上がっている。見方を変えれば、そこには既に多様な大規模な農産物の大供給圏が存在すること。さらに、相手市場に対し年間途切れることなく出荷するには、1つの府や県だけでは無理がある。関西広域連合が一体となって共同して海外のマーケット調査を行い、それぞれの府県が最も得意とする農産物を計画的に供給し合うことで周年出荷が可能な農産物の輸出拠点をつくり上げ、そのことを通して関西農産物のブランド力を高め、他産地との輸出競争力を勝ち抜こう。農産物は、鮮度が命であります。海外展開となりますと、その輸送技術が最も重要となってまいります。そのために、加工、輸送技術の改善、開発に各府県が共同出資し、1つの組織をつくって全力で取り組もうではないですか。
 こうした私の主張に対し、広域産業振興局、農林水産部を担当します和歌山県知事からの答弁がありました。答弁の要旨は、次のとおりであります。
 国内市場が縮小する中で、海外に販路を拡大していくことは非常に重要な視点である、関西国際空港が重要なキー施設になるという認識はそのとおり、関西国際空港に近接した食品輸出・加工のための施設は必要な施設である、ただし、輸出用の施設として平成27年度には民間による大規模な低温保冷倉庫が完成し、現状は収容能力に余裕がある、輸送技術開発のための推進組織については、現状は各府県、自分のところの得意な輸出農産物について、それぞれ研究開発に努力している、今後、共通するテーマがあれば、関西広域連合として共同で取り組んでいきたい、この分野は、和歌山県の知事が担当知事であり、各府県と綿密な連絡をとり合い、ぜひうまくいくよう頑張っていきたいとの答弁がありました。
 関西各府県、それぞれの農業施策に腐心しているところでありますが、農業比率の高い本県は、特に農業施策がうまくいくかどうかによって県勢にも大きな影響があります。関西広域連合の担当知事としてではなく、和歌山県の知事として、改めてこの問題に対する認識をお伺いするものであります。
 以上で、私の質問を終わります。
○議長(藤山将材君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 6月18日に発生いたしました大阪府北部を震源とする地震について、まずお答え申し上げます。
 大阪府では、最大震度6弱を記録し、5名のとうとい命が失われるとともに、多くの家屋が被災しました。お亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げたいと思います。
 本県では、海南市を初めとした10市町で最大震度3を記録いたしましたが、人的・物的被害はありませんでした。ただ、多くの県民が地震による交通支障によって、大きな影響を受けたと思います。
 県では、地震発生後、直ちに危機管理局による情報収集体制をとり、被害情報の収集に努めると同時に、被災地への支援準備を行いました。早速、支援体制を整え、派遣準備をしていましたけれども、要請があったのは応急危険度判定士と日赤だけでございました。
 現在、本県からは応急危険度判定士2名、派遣さしていただいておりますが、日赤和歌山支部より医療救護班を、これは当日ですけれども、被災地に派遣をしたところであります。
 本県は、中央構造線断層帯による直下型地震だけではありませんで、南海トラフ巨大地震、あるいはそこまでいかなくても南海トラフに起因するような大地震においても、県内のほぼ全域が大変な震度の地震を受ける。特に巨大地震においては、県内のほぼ全域が震度6以上と非常に激しい地震動が想定されております。
 地震から命を守るためには、住宅の耐震化、家具固定、ブロック塀の安全対策が大変重要でありまして、住宅や大規模建築物の耐震化については全国トップクラスの補助制度を用意するとともに、家具固定やブロック塀の安全対策についても、わかやま防災力パワーアップ補助金により市町村への支援を行ってまいりました。
 今回の地震で犠牲になられた方々の状況を考えると、家具の固定とブロック塀対策が十分でなかったことが致命的な原因であったと改めて認識しております。このため、主要通学路のブロック塀について、危険な箇所がないか学校サイドで点検をしてもらって、懸念があれば建築基準法を所管する、建築確認を所管する県庁に報告するよう指令を出したところであります。
 また、一方、学校周辺以外のところでも危険箇所がある可能性がありますので、これは市町村に対しまして、例えば町内会等に協力してもらってブロック塀の安全性を確認し、その結果を県に報告すると同時に、家具の固定化についても改めて徹底することを依頼したところであります。
 今後とも、県民の命を守るために、より一層地震対策を推進してまいる所存でございます。
 次に、坂本議員の、和歌山県の残された諸課題に取り組み、県政の総仕上げに取り組んでいただきたいという御期待にお応えいたしまして、知事の決意のほどを述べよという御質問にお答え申し上げたいと思います。
 私は、去る2月議会におきまして、山田正彦議員の御質問にお答えいたしまして、もう1期県政を担当さしてもらいたいと、この秋に行われる知事選挙への出馬を表明さしていただいたところでございますが、今また坂本議員から、私の知事としての和歌山県政に対する貢献について、さまざまな分野について過分の御評価をいただき、まことに感謝をしております。
 議員の御発言をお伺いしながら、あれもあったなあ、これもあったなあとさまざまな思いが心に浮かびまして、感無量の気持ちであります。もちろん、議員がお挙げになった全ての事柄は、私1人の力でできることではありません。歯を食いしばって困難な仕事を1つ1つ実現していってくれた県の職員の功労によるところも大きいと思いますし、常に政策論で大いに議論を交わし、時には御批判も賜りながら御指導もいただき、一緒に車の両輪として県政を引っ張っていただいた県議会の御活躍も高く評価されるべきだと思います。
 また、いつも和歌山のことを御配慮くださっている県選出の国会議員や、力を合わせてさまざまな政策を進めてきた市町村長さん初め市町村関係の皆様や、県の施策に乗じて一生懸命働いてこられた県民の皆様の御奮闘にも感謝を申し上げなければなりません。
 この12年間を振り返って和歌山県はどう変わったかなと自分なりに評価をいたしますと、大きく言うと新たな経済発展のための、個々の県民の皆さんにとっては活躍のための条件が大分整備されてきたかなと思っています。インフラの整備がそうでございますし、公共調達制度、景観条例などの制度、あるいは産業振興の制度、農林水産業の方々のための振興策などがかなり整備されてきました。
 また、県民みんなの心配事であります地震・津波対策、浸水対策などの防災対策、子育て、教育、医療福祉などの政策の整備も大分進んでまいりました。坂本議員御発案の世界農業遺産を初め、世界遺産に加えて日本遺産、ジオパークなどの称号も今後の観光産業の発展に役立ってくれるものと思います。また、幾つかの大学もようやく和歌山で開業してくれるようになりました。あとは、このようなよりよくなった条件の上で県民の活動が実を結ぶのを待つばかりということなのでございますが、さまざまな状況はそれほど楽観を許さないのであります。
 まず、過去長い間の人口流出による高齢化の進展であります。その結果、当然、当分の間は人口が大いに減少しますし、さまざまな対策に要する社会的コストも大きなものになっていきます。ようやく広がってきたビジネスチャンスに果敢に挑戦してくれる若者の数が少なくなっているということもつらいことであります。
 2つ目は、世界情勢、日本情勢がどんどん変わっていってるということであります。その結果、一例を挙げますと、企業誘致を目指して頑張ってまいりまして200近い企業に投資をしてもらえることになりましたが、巨大投資案件には恵まれませんでした。今や我が国では、特に製造業については大きな投資プロジェクトが極端に少なくなってきているのであります。
 しかしながら、不利なところ、つらいことばっかりをあげつらっていても仕方がありません。言いわけをしているのが私の知事の仕事ではありません。与えられた状況の中で最善の結果を出そうと頭を絞り、動き回り、努力をしなければならないと覚悟をしております。
 また、ある面から見ると不利な環境は、別の面では有利な環境となっている場合もあります。世界の所得が上がっているわけですから、和歌山のおいしい農産物は、海外市場に雄飛するチャンスが大いに広がっております。観光客も、国内客のみならず海外客もどんどん拡大するチャンスがあると思います。製造業の投資がそれほど期待できないといたしましても、IT産業、ロケット基地、IR、観光産業などはまだチャンスがあると思います。大学も発展し得る数少ない可能性のある学部に傾倒して成果を上げつつあります。
 若者の数が少ないのなら、その少ない若者に思い切り活躍してもらうとともに、まだ発揮されていない女性の力や中高年の力も最大限に引き出していくような政策を考えていかなければなりません。
 このような考え方のもとに、昨年、議会議決をいただきました和歌山県長期総合計画の目指す「世界とつながる愛着ある元気な和歌山」を実現するために、改善されてきた諸条件を生かして和歌山県が精いっぱい発展していくように、知事としてあらゆる努力をしてまいりたいと存じております。
 その努力は、そうたやすく実を結ぶものではありません。さまざまな問題も懸念も発生すると思います。懸念を捉まえて批判をする人もいるでしょう。しかし、批判をしているだけでは、衰退に歯どめはかけられません。批判の中にある真実に耳を傾ける謙虚さを持ちつつ、その問題を解決する解を一生懸命見出しながら、和歌山県の発展のため、県民の皆さんとともに全力で前へ進んでいかなければなりません。そういう決意で頑張りたいと思います。
 県議会におかれましても、今後一層の御指導、御鞭撻を賜りますようにお願い申し上げます。
 次に、農産物の海外展開についてでございます。
 議員御指摘のとおり、人口減少と急速な高齢化により国内市場が縮小する中で、農産物の海外への販路開拓は非常に重要であると認識しております。
 本県では、JAグループ和歌山やジェトロなどと連携し、柿の輸出が解禁になったばかりのアメリカへ全国に先駆けた輸出を行ったほか、香港、マレーシア、シンガポールで梅酒づくりの実演を交えた青梅の販促活動を展開するなど、主要県産果実の輸出に向けた取り組みを積極的に進めているところでございます。
 実際の輸出に当たっては、果肉がやわらかく高品質な本県産の桃などは、関西国際空港やそれに近接する大規模な低温保冷倉庫は大きな武器となり、大いに活用すべきであると認識しております。また、輸送技術の研究開発については、現在、県の果樹試験場と果樹試験場かき・もも研究所が、温州ミカン、柿及び桃について、大学や他県と共同で輸出促進のための輸送技術の研究に取り組んでおり、本年度は香港やシンガポールへの実際の輸送試験を実施することとしております。
 県としては、引き続き本県産農産物の輸送に必要な技術開発に取り組むとともに、本県農産物の品質や産地の情報などを大いにPRし、新たな需要の掘り起こしと販路の拡大に努め、議員御提唱の地産外商の推進に積極的に取り組んでいく所存でございます。
○議長(藤山将材君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 再質問を許します。
 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 答弁ありがとうございました。力強い決意を聞かせていただきまして、心強く感じました。頑張ってください。私も一生懸命頑張っていきたいと思います。
 これで、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。

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