平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(岩田弘彦議員の質疑及び一般質問)
平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録
第6号(岩田弘彦議員の質疑及び一般質問)
◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。
質疑及び一般質問を続行いたします。
17番岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問に早速入らせていただきます。
今回、まず大きな大項目第1点目は、紀の川流域の治水対策についてであります。
(1)紀の川流域における浸水対策検討会の取り組みについてであります。
昨年10月の台風21号では、近年類を見ない大雨に遭ったことから紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状況が継続し、内水の排除が困難となり、紀の川沿川地域において800棟を超える家屋浸水が発生しました。また、近年、激甚化傾向にある台風や集中豪雨により浸水被害が多発していることから、県議会並びに県当局は国に対して、内水を含む浸水被害の軽減対策が緊急的に講じられるよう強く要望をいたしました。
その後、国土交通省は、国、県、関係市町で構成する紀の川流域における浸水対策検討会を新たに組織し、本年1月、初会合を開催したとお聞きしております。国土交通省が動き始めたことにつきましては、大いに歓迎するものであります。
そこで、紀の川流域における浸水対策検討会の取り組みと今後について並びに県としての取り組みについて、県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長森戸義貴君。
〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川流域における浸水対策検討会についての御質問でございます。
昨年10月の台風21号に伴う豪雨により紀の川沿川の各所で浸水被害が発生したことを受け、内水被害の軽減に向けて、国に対する関係国会議員からの働きかけを初め、県議会からも意見書の提出や、県、関係市町による積極的な要望活動がなされたところでございます。
これらの動きを踏まえ、国土交通省においては、紀の川沿川の各地域における浸水被害に関する情報共有や今後の浸水対策について、効果的かつ効率的な整備につなげることを目的として、国、県、関係市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会を本年1月に設置したところでございます。
今後については、当該検討会において各市町単位でワーキングを実施し、国、県、関係市町の連携のもと、浸水被害の軽減に資する具体的な対応策について検討を進める予定と聞いてございます。
県としましても、紀の川本川の計画的な河川整備の加速化を初め、流下断面の確保や支川排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採、円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去について、今後とも強く国に働きかけるとともに、当該検討会の結果を踏まえ、必要に応じてさらなる支援を国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 各市町の首長さんも集まっていただいて、現場の声も反映した形で会議のほうを進められたと聞いておりますので、これはすごくいいことなんですが、私が思うのは、県の役割といえば、やっぱり国と市町の間に県がいてますので、両方きちんとうまくいくようにやっていただけたら一番ありがたいかなと思っております。
一番気にしてるのは、やっぱりさすがに国交省から部長さん来てもうとる、よかったな和歌山県はとなっていただけたら私としては一番いいんで、その辺は部長の力の発揮するとこやと思いますので、大いに御期待申し上げますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次に行きます。
大項目2番、企業立地の推進について、(1)仁坂知事就任以降の企業立地戦略の成果と今後についてであります。
仁坂知事は、就任以来、重要な施策の1つとして企業立地に取り組んでおります。和歌山県に「しごとを創る」という強い信念のもと、全国最高水準の奨励金制度を創設するとともに、融資制度の充実、交通アクセスの改善、企業ニーズに合った用地確保と人材確保、総合窓口によるスピーディーな対応など、精力的な取り組みを展開しております。
私の地元橋本市では、県の施策とともに企業立地専門部署を設けまして、県のお力添えもいただきながら精力的に取り組んでおります。しかし、当初は、橋本市はもともと住宅開発を主にやっておりましたので住宅開発用地はたくさんあるんですが、企業誘致に使える用地が少なくて困っておりました。
そんな折、就任間もない仁坂知事の御英断で、UR(都市再生機構)の完全に塩漬けになっておりました住宅開発用地を企業立地用地に造成するために投資をしていただいたおかげで、用地が確保されました。用地が確保されてからは、特に県の企業立地課の精力的な取り組みと市企業誘致室の取り組みの相乗効果で用地は完売状態であり、新たな大規模用地の開発を待ちかねていると、そのように聞いております。
私は、仁坂知事の企業立地戦略はかなりの成果があらわれていると実感しており、感謝しております。和歌山県にとって大きな節目の時期が近づいておりますので、改めまして就任以降の企業立地戦略の成果と今後について知事にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県に新たな産業を創出することによる産業構造の多様化を図るとともに雇用の拡大を図るため、みずから先頭に立って企業誘致を推進してまいりました。この結果、知事就任以来の11年3カ月で181社の企業立地が実現し、県が企業誘致に取り組み始めた昭和57年度から平成18年12月までの24年8カ月に比べ、約2倍に増加しております。
ただ、偉そうに言うつもりもございませんで、実は正直なところを言いますと、自分としては敗北の歴史であったというのが正直であります。大きな案件になると自分も乗り出していって勝負をしに行って、他県はそんなことしてないと思いますけど、大分頑張りましたが、そのときに負けてしまったのが結構あります。その大体の理由は、「あなたのところは高速道路もなくて不便ですから諦めてください」と言われてぽんと蹴られたというのがたくさんございまして、悔しい思いをしてきたこの10数年間であったということでございます。ただ、にもかかわらず、先も見越して立地してくださった企業がこれだけいたということは、本当に感謝をすべきことだと思っております。
本県では、これから特にそうでございますが、近畿自動車道紀勢線を初め、京阪神や中京圏との交通アクセスが飛躍的に向上する京奈和自動車道、府県間道路などの整備を行ってまいりました。これに合わせて、先を見越して内陸型の大規模用地の開発として、紀の川市北勢田工業団地とかUR都市機構との全国初となる共同開発事業である御指摘の紀北橋本エコヒルズを整備するなど、関係市町村や団体等とともに協力して企業誘致を行ってまいりました。
その結果、工業団地は、紀北エコヒルズ、紀の川市北勢田工業団地、御坊工業団地がほぼ完売状態になっております。和歌山市内の用地も大体売れてしまっておるという感じであります。市内というか港の近くのほうですね。特に紀北橋本エコヒルズにおいては、これまでに30社の企業立地が進んでおり、今後もベアリングで世界トップクラスのシェアを持つ精密機器メーカーが進出する予定であります。
このような進出で用地が実はなくなってまいりましたので、現在、紀北橋本エコヒルズに近接するあやの台北部地域において、地主でありますところの南海電気鉄道株式会社、それから橋本市、県の3者で、新たな大規模工業用地の開発に現在着手しているところでございます。
また、紀南地域では、先ほど申し上げました御坊に加えまして、南紀白浜空港による東京とのアクセスのよさに加え、都会にない美しい景観や高品質なネットワーク環境など、地域のポテンシャルを生かした誘致活動を行っておりまして、世界的なIT企業でありますセールスフォース・ドットコムが白浜に進出したことを契機にメディアで取り上げられ、注目が集まり、ITビジネスオフィスの誘致がかなり進んでおります。
現在、白浜町ITビジネスオフィスが、今あるやつが満室になりましたので、第2白浜町ITビジネスオフィスを今年度中に整備予定であるわけでありますし、来年度には田辺市において、これは民間活力を利用したITビジネスオフィスを新たに整備する予定となっております。
県といたしましては、引き続き企業誘致の受け皿となる工業団地や施設の整備を行うとともに、交通インフラをさらに充実させて、格段に向上した立地条件とか、あるいは効率的でスピーディーな行政による手続の早期クリアとか、全国最高水準の奨励金制度などをアピールして、さらに企業誘致に全力を挙げてまいりたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 知事、ありがとうございました。
私がちょうど、塩漬け土地のときに御英断いただいたときに、市会議員でしたんですわ。そのときに私、一番最初の、市会議員に初めて当選させてもうたときに、第1回目の質問がJTの、いうたら専売公社、橋本工場が撤退するという質問をさしてもらったんです。思いがありましてね。最高550人の雇用やったんです。その当時、橋本市って5万5000人ぐらい──今合併しましたけど、その前ですので、5万5000人の550人の雇用をなくして、周辺に何百人と人口のあるところに集約するというお話でしたんで、周辺に何百人も住んでおられるところにはほかの企業の就職もあるわけですよ、550人ぐらいの。何で都会の工場を閉鎖して田舎の工場を残すという決断を特殊法人でありながらやってくれないのかということで、一番心配したのは550人の雇用なくなったら住んでくれる人おれへんの違うかなと、これがどえらい心配やったんです。
住宅開発も順調にやってましたが、人口減少に向かうと住宅開発は必要性がなくなってくるわけですから、それで橋本市も大きくなったんですが、早く転換せんなんというときに、どないしようと悩んでるときに、知事が就任したときにその大きな決断をしていただいて、そのときに橋本市担当していたのも山西部長ですね。それと稲本局長、このお2人が現場を担当していただいて、やっぱり英断があってというか決断があって、戦略があって、その方向性にスタッフが情熱を持って動くとこのような結果が出たということやと私は思います。これははっきり県民に言いたい、私は。それを評価していただきたい。
まだあるのが、今後あやの台の北部用地を開発していただくということですので、実は私、自民党の会派の代表の山田先輩が当初に質問していただいて、知事がいってくださるということをお聞きしたんでほっとしてるんです。やっぱり仁坂知事率いる体制が続いていただくことが、あやの台の今度の開発にも、僕はうまくいくと思うんです。だから、すごく御期待しておりますので、よろしくお願いします。
それでは、次、(2)に移らしていただきます。企業誘致を活用した県外からの転入定住の推進についてであります。
移住・定住の促進でいいますと、本県では、人口減少に対応し、和歌山県への新しい人の流れを創造するための施策の1つとして、移住・定住大作戦を展開しています。大作戦では、若年の受け入れを進めていくことが重要であると考え、全国トップクラスの若年移住者暮らし奨励金制度などにより、暮らし、仕事、住まいの視点から多様な取り組みを行っております。移住者が年々増加傾向にあると聞いております。
一方、企業誘致の大きな目的は、当然新たな地元雇用の拡大であり、大きな成果を上げていると私は思います。しかし、誘致企業は、新たな地元雇用者だけでは稼働していません。県内立地に伴う県外からの転入雇用者も増加しており、県外からの通勤者も増加しております。橋本市の事例でいいますと、現時点で──土地がなくなってるんで1年前と同じ数字やと思うんですが──誘致企業の雇用総数は800名、内訳でいいますと地元雇用者は440名、配置転換等による市外からの転入雇用者は40名、市外からの通勤者は320名と聞いております。
さらに、先ほど知事からお話がありましたが、大きな雇用規模の企業進出ももうすぐ予定されていると思いますので、今後も増加していきます。地元雇用の促進はもちろんのこと、それは一番大切なことでありますが、さらに、県外からの転入雇用者や県外からの通勤者の移住・定住大作戦はどうでしょうか。誘致企業さんにとりましても、通勤手当の軽減にもつながるんではないでしょうか。
また、うれしい悲鳴ですが、企業誘致を支える地元雇用人材の確保もやっぱり徐々に厳しくなっているようですので、このことも考えて、企業誘致を活用した県外からの転入雇用者や県外からの通勤者の移住・定住を促進するような、そういう戦略を考えてはどうでしょうか。商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 企業誘致につきましては、産業構造の多様化や雇用の確保に加え、県内企業との連携による地域経済への波及効果が期待されるため、全国最高水準の奨励金制度を設けるとともに、トップセールスを含め年間1000社を超える企業訪問を行うなど、強力に推進しております。
仁坂知事が就任以来、181社の企業立地が実現し、本県における新たな地元雇用者が2436人、県外からの転入雇用者が138人見込まれ、人口の社会減の抑制につなげています。
企業誘致のインセンティブとなる奨励金制度につきましては、企業ニーズに合わせ常に見直しを行っており、紀南地域で進んでいるITオフィスの誘致をさらに推進するため、IT企業につきましては、平成28年度より新規地元雇用者に加え、県外からの転入雇用者も奨励金の対象としているところです。
議員御指摘のとおり、県外からの転入者をさらに増加させ定住につなげることは非常に重要であるため、今後はIT企業に加え、工場などの進出による転入雇用者につきましても新たに奨励金の対象とし、企業誘致による転入定住を推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 新たに促進するようにしていただけるという答弁で、本当にありがとうございます。また今後も、企業誘致に伴って地元雇用はできるし、県外から移住してきてくれる人もふえるし、特に橋本市は隣が奈良県で隣が大阪でございますので、さっき言わしてもろた320人の通勤者、どないか和歌山県に住んでくれへんかなって、日ごろそればっかり思ってるんで、その辺も住んでいただけますように戦略立てていただいて。当然、橋本市のほうでも何か制度をつくらなあかんなと、この間、市長言うてましたんで、相乗効果でやっていただけたらいいんかなと思いますので、よろしくお願いします。
次に、大項目3番、仮称「関西国際空港・リニア中央新幹線接続新幹線構想」について質問いたします。資料のほう、議長のお許しをいただきましたので、手元にあると思いますので、見ながら聞いていただけたらと思います。
リニア中央新幹線の整備につきましては、平成28年8月に政府が取りまとめた経済対策におきまして、財政投融資資金の手法を活用することにより整備新幹線の建設も加速し、東京と大阪を大きなハブとしながら全国を1つの経済圏に統合する地方創生回廊を整えるとしました。その結果、全線開業を最大8年間前倒しすることが明記され、総額3兆円のJR東海への融資が行われました。
国土交通省では、リニア中央新幹線により、東京─名古屋─大阪の三大都市圏が約1時間で結ばれる効果を最大限に全国に波及させる必要があるとし、国、地方公共団体、経済団体の共通のビジョンを構築するため、「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置しました。
昨年12月22日に開催されました第4回検討会におきまして、知事はよく御存じやと思うんですが、元運輸省出身で鉄道局次長、自動車交通局長などを歴任された荒井奈良県知事が、仮称「関西国際空港・リニア中央新幹線接続新幹線構想」について提言されました。ここにもあるんですが(資料を示す)、60ページにわたる資料の、この中の資料を抜粋して皆さんに配らせてもらっておりますので、見ていただけたらと思います。
内容を要約しますと、我が国の幹線交通と都市交通の結節性は、大都市圏では比較的に充実していますが、地方圏における結節性はいまいちであること、また、東京圏に比べて大阪圏の鉄道網は結節性は低く、広域的都市圏の発達は阻まれてきたこと、また、リニア中央新幹線の採算性向上のためにも、増大するインバウンド観光需要の効率的な2次輸送のため、とりわけ地方への観光客の拡散のため、リニア中央新幹線と関西国際空港とを接続強化することは重要であるなどの理由と、大都市圏と地方圏を結ぶ効率的な国土の形成と増大するインバウンド需要を地方へ展開する視点から、想定されているリニア中央新幹線の奈良市付近駅と関西国際空港を結ぶ接続新幹線の構想であり、その経路には和歌山県が含まれるイメージが示されています。
このことにつきましては、先日、知事が橋本市にお越しになったときに軽く触れられたこともあり、駅設置が予想されている橋本市では、現在開催中の橋本市議会でも取り上げられております。
この構想が実現すれば、橋本市はもちろんのことですが、和歌山県に大きな波及効果が期待されると考えます。何点か言わせていただきますと、和歌山県の玄関の1つが拡大、強化される、国土軸と和歌山県の距離感が大幅に短縮される、豊富な世界遺産を有する両県──和歌山県、奈良県──の連携強化につながる、京奈和自動車道、京奈和自転車道とともに鉄道ネットワークが強化される、東京圏の6分の1とも言われている大阪圏の都市圏の拡大に大きく貢献するなどのことが考えられるのではないでしょうか。
これらのことから、東京、名古屋などの大都市圏から交流人口の増加、そして企業誘致や移住・定住の促進、増大するインバウンドの集客、広域観光の推進など、本県にとっても大きな効果が期待されると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 昨年12月22日に開催された国の第4回「スーパー・メガリージョン構想検討会」において奈良県の荒井知事が提唱したリニア中央新幹線接続新幹線は、旺盛な関空のインバウンド需要のうち、特に観光需要を奈良県にもたらすために関空とリニア中央新幹線の奈良市付近駅を高速鉄道で結ぶ構想でありまして、その際、和歌山県橋本市付近を通るということにしております。
奈良県知事からは、昨年の夏の終わり、秋ぐらいから構想の内容をだんだんと聞いておるんでございますが、橋本市と関空が高速鉄道で結ばれますと、和歌山県の東の玄関口が強化され、橋本・高野エリアに今以上に海外の観光客を呼び込むことや、地域住民の利便性向上、商工業の活性化等につながると考えます。そのほか、岩田議員が挙げられたことについては全くそのとおりだと思っております。そういう意味で、私は本件については全く賛成で、一緒に協力して実現をしましょうというふうに荒井知事には申し上げてあるということであります。
ただし、本件は、まだまだ事業化が進まない──実は整備新幹線ですね──新幹線整備計画の事業化されていない計画路線のそのまた先にあるという、かなり難しそうな話でありまして、率直に言って自分の力でこれを何か実現するまでの道筋がきちんと描けているわけでは私はありません。したがって、旧運輸省OBでもあり、計画の一番大きな部分を占める奈良県の荒井知事に「私はついていきますから一緒にやりましょう」と、そんなことを言うてる次第でございます。
この構想が実現すれば和歌山県にとっても非常にいい話であるというふうに思っておりますので、今後、奈良県に、率直に言ってすがりながら、全力で協力していきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 私も質問するときは興奮するんで思い切って行くタイプなんで行きますけども、知事おっしゃっているように、ちょっと夢の話っぽいとこもあるんですけど、でも、夢も語らなかったら実現しませんのでね。
ただ、おこがましいんですが、もうちょっとお願いがあるのは、どうせ和歌山県走るんやったらもうちょっと京奈和沿いに走ってもうて、紀の川筋走ってもうてぱっと空港行くような方向になったら橋本だけええ目しとると言われないで済むんで、そのようにしていただけたらありがたいと思いますんで、よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に行かせていただきます。
大項目4番、未来をつくり出す力を育む教育の推進について、(1)幼児教育総合プロジェクトについてであります。
幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であります。「三つ子の魂百まで」であります。義務教育やその後の教育の基礎となるものとして、幼児期に育成すべき資質、能力を育む観点から、教育目標、内容、指導方法、評価のあり方を一体として取り組む必要があると私は考えております。
以前より本会議場において、子ども・子育て支援新制度の実施による量の拡充と質の向上に伴う幼児教育の充実について、また、生きる力、学びに向かう力を育成し、小1プロブレムを解消し、教科学習につないでいくための保幼小連携教育の充実について、また、本県では小学校はほとんど全てと言っていいほど公立であり、所管は県教育委員会です。
しかし、教育委員会が所管の公立幼稚園が減少し、ほとんど所管の違う保育園、こども園から入学するのが現状であります。幼児教育において、誰がどのようにリーダーシップをとるのか、どこが責任を持つのかが明確になる体制づくりについてなど、幼児教育の充実に向けて取り上げてまいりました。
教育委員会では、今年度より新たに幼児教育班を設置していただき、幼児教育のさらなる充実に向けて取り組んでいただいているところであります。
国においても、平成29年3月、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が告示され、平成30年度から完全実施となります。今回の改訂では、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が共通して示され、3歳以上の教育内容の整合性が図られました。これは、幼児期の子供がどの園所に通っても同様に質の高い教育を受けられるようになることを目指しているものであります。
本県の平成30年度新政策に示されている幼児教育総合プロジェクトには、大きな期待を持っております。そこで、幼児教育総合プロジェクトについて、目的、取り組み内容、そして、誰がどのようにリーダーシップをとり、どこが責任を持つのか、教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平成30年度から実施予定の幼児教育総合プロジェクトは、各園所の教育、保育の質の向上を図るとともに、幼児教育と小学校教育の円滑な連携、接続を図ることを目的としております。
具体的な取り組みといたしましては、小学校就学に当たっての課題を整理し、県として、学びに向かおうとする姿勢、人とかかわろうとする態度、健やかに生活する習慣などについて、就学までに育てたい具体的な子供の姿として示すとともに、幼児教育と小学校教育の円滑な接続のためのマニュアル等を作成してまいります。
それらをもとに、小学校教員と幼児教育関係者とで子供の情報や接続期のカリキュラムを共有するための連携会議を実施し、子供たちがスムーズに小学校生活に適応できるよう、互いの教育、保育に生かす体制をつくってまいります。
また、現在行っている幼稚園、保育所、認定こども園等の職員を対象とした研修に加え、幼児教育について専門的な知見を有する幼児教育アドバイザーを新たに設置し、園所への訪問指導を通じて県が示すマニュアル等の定着を図るとともに、保育実践に対する直接指導等を行い、教育、保育の質の向上を図ってまいります。
本プロジェクトの推進に当たっては、幼稚園、保育所、認定こども園の園種や公私立にかかわらず、全ての園所での充実した取り組みとなるよう、関係機関と連携しながら市町村教育委員会とともに県教育委員会が主体となって取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 県教育委員会が主体となってという答弁でございましたんで、一番幼児教育で気にしてたのは、いわゆる縦割りの弊害があって、それが子供たちに悪影響を及ぼさないかという心配があって幼児教育の質問もさしてもらってたとこがありますので、きょうはもうはっきりと「主体として頑張ります」ということでしたので、成績も上げていただいたことでございますので、大変御期待しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
次に、大項目5番、ソサエティ5.0について質問さしていただきます。
平成28年1月に第5期科学技術基本計画が閣議決定され、この第5期基本計画に沿った新たな科学技術政策が推進されています。
ソサエティ5.0とは、我が国が目指すべき未来の姿として、第5期科学技術基本計画において初めて提唱された概念です。狩猟社会(ソサエティ1.0)、農耕社会(ソサエティ2.0)、工業社会(ソサエティ3.0)、情報社会(ソサエティ4.0)、それに続く新たな社会を示すもので、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができる人間中心の新たな経済社会とのことであります。
ソサエティ5.0は、サイバー空間──仮想空間でありますが──とフィジカル空間──現実空間であります──を高度に融合させたシステムにより実現します。これまでの情報社会、ソサエティ4.0では、人が仮想空間に存在するデータベースにインターネットを経由してアクセスし、情報やデータを入手し、分析を行ってきました。ソサエティ5.0では、現実空間のセンサーから膨大な情報が仮想空間に集積されます。仮想空間では、このビッグデータを人工知能(AI)が解析し、その解析結果が現実空間の人間にさまざまな形でフィードバックされます。
今までの情報社会では、人間が情報を解析することで価値が生まれてきました。ソサエティ5.0では、膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果、ロボットなどを通じ人間にフィードバックされることで、これまでにできなかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになるとのことであります。
また、経済発展が進む中、人々の生活は便利で豊かになり、エネルギーや食料の需要が増加し、寿命の延伸が達成され、高齢化が進んでいます。経済のグローバル化が進み、国際的な競争も激化し、富の集中や地域間の不平等といった面も生じてきています。
これら経済発展に相反して解決すべき社会的課題は複雑化しており、温室効果ガスの排出削減、食料の増産やロスの削減、高齢化などに伴う社会コストの抑制、持続可能な産業化の推進、富の再配分や地域間格差の是正といった対策が必要になってきています。しかしながら、現在の社会システムでは、経済発展と社会的課題の解決を両立することは困難な状態になってきています。
このように世界が大きく変化する一方で、IoT、ロボット、人工知能、ビッグデータといった社会のあり方に影響を及ぼす新たな技術が産業革命のごとく急速に進んでいます。これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会であるソサエティ5.0の実現を目指しているとのことであります。
私は、この産業革命というか社会大革命のようなソサエティ5.0という大きな流れを、和歌山県発展のためにどのように生かしていくか、つなげていくかが大変重要なことだと考えております。
そこで、和歌山県長期総合計画に掲げた「世界とつながる愛着ある元気な和歌山~県民みんなが楽しく暮らすために~」の実現に向けて、並びに新政策の中でこのソサエティ5.0という大きな流れをどのように意識されているのか、知事にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 時代の変遷とともに技術が進歩することで、技術の上に成り立った産業のあり方や人間社会のあり方に大きな影響を及ぼしてきたと思います。我々が未来に駆けていくためには、そのような技術を理解し適応していかなければならないということであろうかと思います。
ソサエティ5.0の社会が到来すると、ビッグデータを活用して、IoT、AI、ロボットといった技術により、産業の生産性向上や高齢化社会への対応、地球温暖化問題など、現在は解決が困難とされているさまざまな社会問題の解決が行われることが期待されております。
議員御指摘のとおり、こうした新しい時代の技術をいかに和歌山県に取り込み、和歌山県の発展につなげていくかという発想が極めて重要であると思います。先般公表した和歌山県の新政策の中でも、こうした認識のもとでさまざまな取り組みを行うことを考えております。
まず、新しい時代の技術を県内の産業界がいち早く導入し、生産性、収益性を高めることができるよう、IoT等の技術に関する専門家による支援チームを形成し、企業に派遣して企業のそういう能力を高めるというような取り組みを行いたいと考えております。
また、本年4月1日に開所する和歌山県データ利活用推進センターでは、産学官の連携によりデータ利活用を推進し、行政課題の解決や県内企業の競争力強化を行うべく、AIを用いたSNS情報の解析や、医療や健康に関するデータ分析に取り組もうと考えております。
さらに、新しい時代に対応するための人材育成も急務であります。そこで、情報活用能力を育み、来るべき社会で活躍できる人材を育成するため、他県に先駆け、県独自のICT教育カリキュラムを構築していくことも考えております。
来年からになりますが、全員、小中学校にICT教育を施して、高校卒業時には全員がプログラムを書けるようにしていきたいというぐらいの気持ちで取り組んでいきたいと思います。と言っておりましたら、先般、そういう見識のある方とお話をしておりましたら、それは極めて結構であるけれども、普通のICTに使える技術・技量とAIに使える技量はちょっと違うぞというような話をお聞きして、これはそのカリキュラムをつくるときに、今のソサエティ5.0の御指摘のあったような動向を踏まえるためには、AIにも適応できるようなそういう能力を高めさせるというようなことも考えとかなあかんのかなあというようなことで、こりゃいかんというふうに思ってるところであります。
ソサエティ5.0の基礎となる技術の進歩は、まだ始まったばかりでございます。今後も技術の進化の状況を見きわめながら、新たな技術をうまく取り込んで、和歌山県の発展につなげていくように取り組んでいきたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 和歌山の発展につなげる取り組みをもう既に始めていただいてるということで、ありがとうございます。僕としたら、ソサエティ5.0は和歌山県のためにあるんだぐらいまでやっていただけたらと、知事に大きく期待しております。
何せ、今回この質問をさしてもらうときに私も、始まったばかりで、ここまでの質問が精いっぱいで、その理解するのにかなり勉強さしていただいたこともありますので、これから徐々に進んでいくんでしょうが、やっぱり先手を打って将来を見据えて決断されてというのが仁坂知事のいいとこでございますので、今後、和歌山の発展につなげていただけることを御期待申し上げまして、私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。