平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)

 

 

◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

平成30年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成30年3月6日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、おはようございます。
 今議会の一般質問3日目、一番最初に登壇をさせていただきます。
 議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問をさせていただきます。今回は、4つの大きな項目を質問さしていただきます。
 まず1つ目、鯨文化の持続に向けた支援についてお聞きいたします。
 まず、捕鯨の正当性を訴えるための情報発信についてであります。
 太地町は、ことし1月19日に、同じようにイルカの追い込み漁を行っているデンマークのフェロー諸島の町、クラクスビークと姉妹都市提携の締結をしたことを発表しました。記者会見で三軒一高町長は、「生きるために海洋生物資源に依存してきたまちの共通項を生かし、末永く互いに発展していきたい」と喜びを語りました。国際的な連携を図ることによって、捕鯨文化の正当性の発信が期待されます。
 しかしながら、前向きな話ばかりではありません。反捕鯨団体の抗議運動は、新たな展開を見せつつあります。
 2月4日付「産経新聞」によりますと、日本が漁をやめなければ、2020年東京オリンピックをボイコットするよう各国に呼びかけるサイトを立ち上げたりサイバー攻撃を仕掛けるおそれなどがあるとして、警察庁や外務省などが情報収集を進めているとのことです。また、期間中には海外の過激派が押し寄せ、競技施設周辺で挑発行動を行うのではないかと警戒しているとのことです。
 海外だけでなく、日本国内でも反捕鯨を訴える人は少なくありません。まして、捕鯨に関心さえない人がふえ、捕鯨を営む人も鯨肉を食する人も今や少数派となりつつある状況の中、地元や関係者以外の賛同者や援軍、つまり味方をふやさなければ、ますます捕鯨文化は窮地に立たされるのではないかと懸念しております。
 そのような発想から、我々自由民主党和歌山県支部連合会の中の若手議員らの組織であります青年局と青年部が主催して、2月8日、9日の2日間、太地町におきまして、熊野灘沿岸における捕鯨文化と食文化をテーマにした、くじらサミットと銘打った研修会を全国の青年局等に参加を呼びかけ開催いたしました。
 党本部からは、青年局長・鈴木馨介衆議院議員ほか役員や、各府県から県議会議員、市町議会議員、学生部に所属の現役大学生、本県からは、門博文衆議院議員、下副知事、自民党和歌山県議団の先輩・同僚議員も多数参加していただき、地元の関係者等を含め、総勢100名の研修会となりました。
 くじらの博物館、鯨の海構想の森浦湾の視察から始まり、「捕鯨文化とのそれぞれの関わり」というテーマでのパネルディスカッションを、地元からお2人の組合長、水産庁か山口英彰次長、田辺海上保安部・川上誠部長と、党本部役員らにパネラーを務めていただき、それぞれの立場での捕鯨にまつわる話を伺いました。
 その夜は、実際に食べていただくために懇親会を開催、鯨、イルカづくしの全20品の料理で大変盛り上がり、食べ切れなかった料理を持ち帰る人も多く見られました。
 2日目は、畠尻湾を望む入り江から追い込み漁を見学した後、佐々木芽生監督が制作した「おクジラさま ふたつの正義の物語」という映画をごらんいただきました。上映前には、登場人物の1人であり、漁師を理解するために太地町に移住したアメリカ人ジャーナリストのジェイ・アラバスターさんに情報発信の重要性を語っていただきました。
 改めて、御参加いただいた方々と、全面的なバックアップをいただいた三軒町長を初め太地町並びに漁業組合の皆様、そのほか御協力いただいた全ての皆様方に深く敬意と感謝を申し上げます。
 なお、研修の詳細につきましては、資料として配付しました「日刊水産経済新聞」の記事をごらんいただきますようお願いいたします。
 さて、捕鯨やイルカ漁を行う日本に対するバッシングの始まりは、追い込み漁を批判するためのアメリカ映画「ザ・コーヴ」が平成21年に公開され、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を初め、数多くの賞を受賞したことがきっかけでした。世界からの注目が映画の舞台となった太地町に集まり、反捕鯨団体などが抗議に押し寄せ、悪質な嫌がらせと妨害活動が展開されることになりました。
 この事態を受けて、県議会におきましても、先輩・同僚議員がたびたびこの問題を取り上げられ、捕鯨並びにイルカ漁は、本県が先人から受け継いできた重要な文化であり、これからも持続できるように守っていかなければならないと、知事初め県と議会の一致した方針、強い意思、正当性などが確認されてまいりました。
 県警には、漁期の間、入り江前に臨時交番を設置してもらうなど、海上保安庁と連携して警戒強化をしていただき、国や関係機関に対しては、毅然とした態度での抗議を要望してまいりました。太地町の皆さんは、大変心強く、ありがたい味方であるとおっしゃっております。
 そんな中、「ザ・コーヴ」に反論する形で「ビハインド・ザ・コーヴ」という日本映画が平成27年に公開されました。先ごろ開かれたロンドン国際映画制作者祭において、八木景子監督が長編ドキュメンタリー部門の最優秀監督賞を受賞されました。八木監督は、「反捕鯨家が活動をする最重要拠点のイギリスで評価してくださったことは大きな意味がある」と語り、世界の捕鯨批判に対し、肯定側の主張をアピールする効果に期待が高まるところであります。
 しかしながら、2月4日付「産経新聞」に「ザ・コーヴ」の続編がこの春にも制作されるとの報道がありました。制作者は「漁師を永久に黙らせる」などと息巻いているそうで、公開されますと国際世論の圧力が再び高まることも懸念されます。
 批判の的にされながらも、先人から継承した捕鯨を、町の発展のため、家族の生活のために必死に漁を行っている漁師への妨害から、国、県、町や水産庁、海上保安庁、警察の物理的に守るための努力はとても重要なことであり、効果を上げています。しかし、これと同様の規模の努力を具体的な海外に向けたメディア戦略にも注ぐ必要があると思います。
 前出のジャーナリストのジェイさんは、「シーシェパードは、SNSを駆使して海外のテレビや新聞、マスメディアにばんばんと情報を流し続けているが、それに比べて太地町からは海外向けの広報が何もできていない。そうすると、メディア戦略という意味で完全に不利となっている」と述べています。こちらからの情報が全然出ていかなければ、反捕鯨側が流す情報が逆に事実として認識されてしまうと解釈できます。日本人は、世界の人々に比べ、争いや議論を避ける国民性だと評価されがちで、この捕鯨批判問題に対しても、反論や説明を控えたり、事実を包み隠したり、相手の挑発に乗らないようにひたすら耐えるといった防戦一方のような姿勢だから大きな声に攻撃されやすいのだとも述べておられます。
 だからといって、漁師の方たちは、獲物と戦うことは専門でも、世界を相手にした言論での闘い、まして外国語でとなりますとふなれで手段もわからないと戸惑っています。そのかわりとなって太地町は、三軒町長を先頭に、行政的、政治的なリングの上で、町の文化を守るために悪戦苦闘しているというのが現状だと推察します。
 鎮静化しつつあった批判攻撃が、新たな動きによって再び熱を帯びてくるのは間違いありません。マスメディアや映画を通じて、さらには、SNSやインターネット上で繰り広げられている捕鯨並びにイルカ漁への批判や中傷を相手に、あるいは正しい理解者をふやすための情報発信など、援軍としての県の役割は非常に重要であると考えます。
 知事におかれましては、これまでにも、あらゆる場面で捕鯨文化の正当性を訴えておられます。2月22日付の和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」でも、反捕鯨への反論、力強い支援のコメントを掲載されておりましたが、改めて知事の御見解と今後の対策などについての思いをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、これまでも何度となく、反捕鯨団体などから、マスメディアや映画、SNSなどのインターネットを使って捕鯨に対する不当な攻撃が行われてまいりました。一方的な批判に対しては、和歌山県としてもこれは反論を発すべきだと考えまして、太地町でのイルカ漁業に対する和歌山県の公式見解を日本語と英語でまとめ、イルカ漁の正当性を県のホームページを通じて全世界に情報発信をしているところでございます。
 これについては、特に和歌山県に対して投書をしてくる人がいます。そんなもの、別に日本人がイルカや鯨で食っていかなきゃいけないわけじゃないのでやめえてしまえと、外国に嫌われたら損だと、こういうようなことを言ってくる日本人がたくさんいるわけですね。そのたびごとに、このホームページに書いてあることを全部どんと送り続けると。これを読んで考え直してくれと、こういう趣旨であります。
 そんなようなことをやっとるんですが、日本の捕鯨の立場を広くアピールするために、八木景子監督を招いた「ビハインド・ザ・コーヴ」の上映会や講演会も開催してまいりました。また、「おクジラさま」については、オークワの──ちょっと名前を忘れましたが、映画の──ジストですね、あそこで上映されるようにいろいろお願いをいたしまして、それで私も見に行ってまいりました。
 さらに、今回、「ビハインド・ザ・コーヴ」の八木景子監督がロンドン国際映画祭で長編ドキュメンタリー部門の最優秀監督賞を受賞されたことは、世界にイルカ漁の正当性を発信するよい後押しになると考え、県庁ホームページの「知事からのメッセージ」や和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」を活用して八木監督の功績をたたえるとともに、県の考え方もあわせてもう一度情報発信をしたところでございます。
 また、先ほど言いましたように、メールなどでいろいろ反捕鯨の意見が参りますけれども、それについては、その都度、先ほど言ったような方法で反論をしております。
 今後も反捕鯨活動は鎮静化せず、さらなる攻撃も予想されるために、これまで以上にフェイスブックやツイッターなどの複数の情報媒体やあらゆる機会も活用しながら、イルカ漁の正当性を発信していく所存でございます。良識ある皆様も、それぞれのルートでぜひ正論を積極的に発信してもらいたい、そんなふうに考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事の御答弁をいただきました。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 次に、鯨食を普及させるための取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
 日本人の多くは、他国からの鯨食文化批判にけしからんと怒りをあらわにしますが、それは批判行為そのものへの不快感によるもので、必ずしも鯨食文化を支持しているわけではないようにも感じます。
 国内におきまして、たんぱく源として牛や豚、鳥肉が普及したことに伴って、昔ほど鯨肉を食べる習慣がなくなってきているのは確かですが、くじらサミットの懇親会における参加者の反響を見たときには、食べていただければ、おいしさ、いろいろな部位を使った料理による多彩な食感、低カロリーで上質なたんぱく質という特徴などにも関心を示してもらえる食材だと確信いたしました。
 しかしながら、今となっては鯨食は懐かしい過去のもの、出回る量が少ないために鯨肉は希少価値の高いものになってしまいました。この状況を打破するためには、日本がIWCで訴えている商業捕鯨再開に向けた国内の機運を高めること、つまりは国内における需要の拡大が重要であり、消費量をふやすためには、まず鯨食を普及させることからだと思います。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 例えば、食の習慣は子供のころに養われるという観点から、県内または全国に向けて給食の食材として利用してもらうためのアピールや鯨肉を提供する仕掛け、食卓でも気軽においしく食べてもらえる機会をふやす取り組みなど、県としてはこれまでにもさまざまな取り組みを行ってきたと認識していますが、鯨食を普及させるための現在の取り組みを教えてください。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のように、食の習慣は子供のころに養われるという観点から、県におきましても、平成24年度より、県内全ての小学校及び特別支援学校の給食に地場産の農水産物を無償提供してまいりましたが、今年度より、新たに提供品目に鯨肉を追加するとともに、提供対象を中学校にまで拡大したところでございます。
 県といたしましては、今後も引き続き、学校給食へ鯨肉を提供していくとともに、プレミア和歌山認定商品を初めとする地元のすぐれた鯨関連の加工品や一般家庭向け鯨料理のレシピなど、鯨肉のさまざまな味覚や食べ方を、ホームページやイベント等の機会を捉え、全国に情報発信していくことで、鯨食の普及に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 今回は、1つ目の質問として捕鯨を取り上げました。反捕鯨を唱える人たちの動物愛護的な言い分も理解できなくはありませんが、我々和歌山県は、捕鯨をレクリエーションでやっているわけではありません。生きる糧として触れ合うことを望む人たちのために捕獲を行っているのです。
 しかし、批判を受けてからでは、こちら側の主張を押しつけと耳をかしてもらうことは困難です。正面衝突では平行線をたどるだけです。真実を情報としてふだんから積極的に発信して、理解を求めていこうという姿勢も大事だと思います。
 あともう1つだけ聞いていただきたいのですが、くじらサミットのディスカッションにおけるパネラーの要請のために、藤山、岸本、鈴木議員とで水産庁を訪れたときのやりとりですが、平成27年6月定例会で可決していただいた捕鯨とイルカ漁業に関する意見書の話になりました。髙屋捕鯨室長からは、和歌山県議会から国に提出された意見書は、水産庁が各方面へ働きかける際の強力な後押しとなったと感謝の言葉をいただきました。
 また、以前、自民党三重県連と和歌山県連が合同で太地町の捕鯨を視察したのですが、その後、三重県議会からも同様の意見書を国に提出していただいたこともありました。
 今回のサミットの最後に、主催者からのお願いということで、太地町だけでなく、全国で捕鯨に携わっている地域のためにも捕鯨文化の味方をふやしたいという趣旨を述べ、賛同いただけたら、各地からも意見書の提出と地元での鯨食の普及、給食への利用推進などによる援護射撃をお願いいたしました。
 日本遺産「鯨とともに生きる」が文化的な認定を受けたこの機会を追い風と捉えて、今後、また日本や太地町に襲いかかろうとする逆風に立ち向かうために、我々政治や行政の立場でしかできないことがまだまだあると思います。県や県議会の皆様のさらなる御理解と御協力をお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 2つ目、児童生徒の生活習慣病予防に対する意識づけについてであります。
 まずは、学校の健康診断における生活習慣病の予防についてお尋ねをいたします。
 健康診断は、県内の幼稚園児、小学生、中学生、高校生、大学生に至るまで、学校教育法、学校保健安全法の規定に基づき行うこととされています。そして、学校保健安全法施行規則に記されている検査項目や実施の学年、方法と技術的基準などに沿って各学校で実施されていると思いますが、生活習慣病の予防対策としてはどのような内容で実施され、どのような指導がなされているのでしょうか。教育長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校における健康診断は、疾病及び異常があるかどうかをふるい分け、健康状態を把握すること、健康課題を把握して健康教育に役立てることを目的として実施しております。
 学校の健康診断における生活習慣病の予防につきましては、肥満と密接に関連することから、身長と体重から算出される肥満度を用いて判定し、指導につなげております。
 本県において、肥満度20%以上である肥満傾向児の出現率は全国の値を上回っていることから、県教育委員会といたしましても、肥満を健康課題と捉えております。
 また、肥満に対する健康診断の事後措置については、原因となる生活習慣を把握した上で、担任、養護教諭、栄養教諭等が連携し、個別に食生活、運動量、生活時間等について具体的に指導しております。さらに、臨時に身長と体重の測定を行うとともに、成長曲線や肥満度曲線を積極的に活用し、異常であると判断した場合は学校医に相談し、必要であれば保護者に説明をした上で、医療機関への受診を勧めております。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 次に、児童生徒への血液検査実施についてお伺いをいたします。
 平成27年度改訂の「児童生徒等の健康診断マニュアル」の資料編に、「学校における健康診断の変遷とその周辺」という記述があり、それによりますと、学校現場における健康診断は明治11年から始まり、時代背景とともに変遷されてきた経緯が書かれております。
 さて、そのように基準は変遷されるものという前提と、私の素人的発想ということを御理解いただいた上で聞いていただきたいと思います。
 健康診断のあり方についてですが、病気の要因を早期に発見するために行われている健康診断は、主に大人を対象として実施されており、高齢になるにつれて受診を促す声が大きくなります。
 しかし、児童生徒自身が健康状態を把握し、その後の変化に関心を持つことで健康を害するよくない生活習慣や食生活を学んでもらうためには、まだ真っさらな状態である子供のころから生活習慣病予防を意識づけられる健康診断の実施を始めるほうが効果が高いのではないかという話です。
 例えとして適当ではないかもしれませんが、新車を購入したとします。製造工場であらゆる項目の厳しい検査を経た完璧な状態の車がディーラーから納められます。その後、何カ月かごとに点検を受け、そのときそのときの状態をチェックします。任意の検査もあれば、車検は年数ごとに国に義務づけられており、消耗部品の交換や物理的な異常を発見し、故障による事故を未然に防ぐために実施されているものです。また、部品の消耗ぐあいなどから、車の状態や運転の仕方について、メカニックの方からアドバイスを受けることもあります。
 その論理を人間の健康管理ということに置きかえてみますと、健康診断は病気を早期発見するという考え方もありますが、真っさらな状態からの変化をチェックすることで、早期に生活習慣や食生活の軌道修正を行える、さらには、将来的に懸念される生活習慣病の予防に効果をもたらすのではないかという発想です。
 このような考え方は、浦口高典議員も、平成26年2月定例会で、子供のときから健康や生活習慣について考えることの重要性や、海南市内の公立小中学生を対象に、海南医師会の協力で実施している肥満児検診について紹介されています。
 さて、先ほどの答弁にもありましたとおり、身長と体重などをもとに割り出される肥満度によって肥満などの判定を行うとのことでしたが、大人になる前の児童生徒に対し、大人が受診する検査内容に近い健康診断項目を実施することは、健康社会の形成により一層の効果を上げることにつながるのではないかと考えます。
 例えば大人の健康診断では必ず行う血液検査は、血液の状態からさまざまな数値によって体の異常を見つけ出し、生活習慣の改善等につなげていくものですが、その観点から、身体的には十分大人である高校生からでも実施することができないものかと考えます。
 学校における健康診断で血液検査を検査項目として実施することは可能でしょうか。教育長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 児童生徒への血液検査は、予防接種などとともに医療行為であることから、一般的に学校での実施は困難となっております。
 しかしながら、肥満度が高い子供にとっては有効であることから、健康診断の結果、何らかの疾病及び異常が認められる場合は、学校医と連携を図りながら医療機関への受診を促すことで、血液検査を初めとする検査の実施や医師による指導につなげています。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 お尋ねした血液検査は、医療行為となるため、学校において全ての児童生徒に実施するというのは困難とのことです。ただし、肥満度が高い子供に対しては、医療機関への受診や血液検査を勧める指導をされているということで理解をいたしました。
 では、次の考え方として、学校で実施されている健康診断結果をもとに分析した結果やアドバイスをいかに児童生徒本人や保護者に理解してもらうか、生活習慣病の恐ろしさ、予防の重要性をいかに認識してもらうか、そして、予防のための望ましい生活習慣を実践してもらえるかが肝心だと思います。児童生徒や保護者にわかりやすく理解してもらうためには、これまで以上の工夫が必要だと思います。
 また、海南市のように、地元の医師会や理学療法士協会などに協力を仰ぎ、専門的な見地からの指導を受ける機会を設けるというのはどうでしょうか。
 また、有効な取り組みを行っている県内外での事例を県教育委員会で情報収集し、それをもとに、地域性や学校の規模を考慮した上で、県内全体での情報共有、足並みをそろえた取り組みの推進を行っていただきたいと考えます。
 国全体で医療費削減が叫ばれている昨今ですが、大人になってようやく健康のありがたみに気づき、慌てて体調管理や治療を始めるよりも、少しでも若い段階から予防意識を向上させ、望ましい生活習慣の確立に向けた取り組みについて検討していただけないでしょうか。教育長の御答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 望ましい生活習慣の確立に向けた取り組みにつきましては、養護教諭や保健主事を対象に、成長曲線の活用や小児肥満対策に関する研修会を小児科医や理学療法士の協力を得て県内5地方で開催し、子供の発育を適切に評価できるよう指導力の向上を図っております。
 また、各学校では、小学校3・4年、中学校3年、高等学校の保健体育科において、健康な生活の過ごし方等について、それぞれの発達の段階を踏まえ、系統的に指導しております。
 さらに、さまざまな機会を捉え、生活リズムや食習慣、運動習慣の見直しや本人、保護者に対する保健指導の実施、保健だよりによる啓発など、子供のころから健康的な生活習慣を意識できる取り組みを行っております。
 県教育委員会では、保護者に肥満が受診を要する状態であると認識されにくく、医療機関への受診につながらないことから、受診を促す基準や対応等を記載したチェックリストや啓発リーフレットを作成し、学校医等地域の専門家と連携してより確実に医療機関につなげるとともに、早い時期からの望ましい生活習慣の確立を目指した取り組みを進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。引き続き、よろしくお願いいたします。
 健康については大人になってから考えよう、このままではよくないことはわかっているが、もっとひどくなってから考えよう、そういった意識は、若いとき、誰しもが持っていると思います。しかし、身についてしまったよくない生活習慣や食生活を大人になってから改善するというのは困難ですし、大人になれば、飲酒、喫煙、夜更かしなど、もっと体にダメージを与えることがふえます。生活習慣病になれば、本人はもちろん周りも大変になります。
 若いうちから健康を身につけられる取り組みを重ねてお願いし、次の質問に移らしていただきます。
 3つ目、木造仮設住宅の整備についてであります。木造仮設住宅を活用することについてお尋ねをいたします。
 平成28年4月14日、16日と、熊本県を震度7の地震が2度も襲いました。私は、昨年8月末に震災から約1年半が経過した熊本県、特に被害が甚大であった益城町などを地元県議会議員との御縁がもとで訪れる機会を得ました。町内を車で案内されながら被害や復旧状況などを見て回り、説明を受けましたが、倒壊した建物や家屋が撤去された後の更地が多く目につきました。
 熊本県では、これまでに地震が全く発生していなかったわけではありませんが、大地震になりますと、さかのぼること、江戸時代に発生して以来、約400年ぶりとなったわけです。そのため、ほとんどの熊本県民は、地震が来ることを想定しておらず、備えに対する意識が薄かったことから、地震保険などに加入している割合は2割から3割だったそうです。
 私が行ってから半年以上が経過しますので状況は変わっているとは思いますが、そのときは家屋を新たに建てる資金のめどが立たず、いまだに更地のままのところが多いというお話でした。
 一たび地震や津波、豪雨災害が発生しますと、住家を失った被災者の方々は避難所生活を強いられることになります。その後、仮設住宅での生活を余儀なく送ることになります。しかしながら、災害による直接の難からは逃れ、命は助かったものの、その後の避難所あるいは仮設住宅での生活は、身体的な負担だけではなく、精神的なストレスや将来への不安を感じる方が非常に多く、生活環境の変化によるさまざまな要因で命を亡くされる関連死も結構多いとお聞きいたしました。
 そんな話を伺った後、まちを走っておりますと、木造の仮設住宅が建ち並ぶ地域が目に飛び込んできたので、もちろん御迷惑にならないように離れたところからではありますが、様子を見させてもらいました。
 熊本県では、設置された仮設住宅のうち16%が木造で設置されたそうです。長期にわたるふなれな環境での生活で疲弊されている被災者の方々に少しでも安らぎを感じていただくために木造の仮設住宅は大変効果があり、好評だとよく聞きます。また、事情に応じた設計が可能であるのも木造の特徴だと聞きました。
 そこで、本県でも、将来、大規模自然災害の発生により被災者が住まいを失ってしまった場合、適材適所、いずれかの工法やタイプの仮設住宅が検討されると思いますが、プレハブ仮設住宅のほかに木造仮設住宅を活用することについて、知事はどのようなお考えをお持ちでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、南海トラフ地震を初めとする自然災害への備えを最優先に考え、発災直後の迅速な対応への取り組みを進めてきたところであり、仮設住宅の確保もその取り組みの1つであると思います。
 被災後に多数の仮設住宅を速やかに供給するためには、まず公営住宅や民間賃貸住宅、これが結構余っておりますので、そういうものを活用するということのほうが早いんですけども、それでも東海・東南海・南海3連動地震の想定でも数万戸が不足すると思われますので、新たな仮設住宅の建設が必要であります。
 和歌山は木の国でありまして、紀州材の利用と林業の振興は、ありとあらゆる機会をつかまえてやっていきたいと思っております。しかし、災害が起こりまして、不自由な避難所生活を強いられている人たちに何よりも必要なのは、一日も早く必要な戸数を建設して被災者に提供するということであります。
 木造仮設住宅は、そうでないものに比べ、今のところ20%ほど割高なんだそうでございますが、それよりも供給体制ができていないと困るわけであります。恐らく平時に住宅用資材を提供するのとはちょっとわけが違う形であろうかと思いますので、値段はちょっとぐらいの差なら木造のほうが住み心地がいいに決まっとるわけでございますので、したがって、ぱっと多数集めるという供給体制を県と業界で考えていきたいと、そういうふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事の御答弁をいただきました。
 今の答弁の中でも、いろいろな課題があるということもおっしゃっておられました。次は、そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
 自然災害による被災者の方々に木造応急仮設住宅を一日も早く建設し提供することを目的に、全国の工務店や建設職人などで全国木造建設事業協会が組織されています。これまでにも、東日本大震災、熊本地震の発災後、多くの木造仮設住宅を供給できた実績があるとのことです。
 建設に当たっては、木材などの調達から始まり、建設においては、基礎工事、建築工事、その後の内装や水回り、電気やガスなどの工事など、応急仮設とはいえ長期にわたる生活が予想されることから、一連の工事は、従来の住宅建築と同様に行われます。
 また、さまざまな関係機関の協力が必要だそうですが、本県ではどのような準備をされているのでしょうか。県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 木造仮設住宅の供給体制の準備についての御質問でございます。
 知事から答弁のありましたとおり、大規模災害時の仮設住宅については、早期に提供することが重要であることから、木造仮設住宅については、迅速に大量提供するという面で課題があると認識してございます。
 しかしながら、木造仮設住宅は、安らぎが感じられるなど好評であるという面もあることから、可能な範囲で迅速な提供に対応できるよう、県内外の関係団体に対して仮称・和歌山県応急木造仮設住宅建設協議会の設立を働きかけております。
 この協議会については、県内の建築関係団体や木造生産者団体で構成される和歌山県木造住宅生産体制強化推進協議会が中心となり、全国から施工業者の手配や資材の調達が速やかにできる日本木造住宅産業協会と全国木造建設事業協会に御参加いただきたいと考えてございます。
 事前にこの協議会と県が協定を締結しておくことで、より迅速に木造仮設住宅の提供ができるよう準備を進めたいと考えているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 決して従来のプレハブ住宅がよくないというわけではありません。被害が大きくなればなるほど、たくさんの仮設住宅が必要となり、木造だけでも大変だと思います。それに、それぞれメリットやデメリットがあるかと思います。
 例えばプレハブ式は、木造に比べ、完成までの期間が短く済む。しかし、期限が来れば返却しなくてはなりません。木造式は買い取りの形なので、撤去のときには別途費用が発生するが、居住者にそのまま復興住宅として提供することもできるなど、いろいろとメリットがあります。
 いずれにいたしましても、被災され、住宅を失われた方々の事情や希望に沿えるようにさまざまな研究や取り組みを行い、被災者の生活と将来の生活設計を支援するために備えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問に入らしていただきます。
 新宮市三輪崎から佐野へと流れる佐野川は、現在、拡幅整備を順次、下流から進めていただいております。平成26年度までは支川・荒木川の整備も進められてきましたが、断面の小さかった荒木橋までの整備が完了したことで一定の効果があるものとして一旦終了させ、佐野川を重点整備していると伺っております。そこへ昨年10月の台風21号に伴う豪雨によって、佐野川及び支川・荒木川の流域住宅地において、広い範囲で浸水被害が発生しました。
 荒木川については、昨年6月21日から22日の梅雨前線豪雨に伴う出水により、荒木橋上流で一部堤防が被災を受け、応急復旧を実施していたところに昨年10月の台風21号により越流し、再度被災しましたが、その後早急に復旧していただいたところであります。
 しかしながら、荒木川上流には未整備区間が残っており、地域住民からも支川・荒木川の早期整備を望む声が出ております。今後、佐野川及び支川・荒木川流域の浸水対策についてはどう進めていくお考えでしょうか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 佐野川と支川・荒木川の浸水対策についてでございます。
 佐野川、荒木川につきましては、平成24年2月に策定した河川整備計画に基づき、下流から順次整備を進めております。
 佐野川につきましては、河口から第一佐野橋上流約0.5キロまでの区間のうち、約2.6キロ区間の整備を計画に位置づけております。このうち下流から第二佐野橋までの約1.9キロ区間が整備済みで、現在、第二佐野橋及びその上流の第一佐野橋のかけかえ工事を進めております。
 また、支川・荒木川につきましては、佐野川との合流点から市梨橋までの約1.2キロ区間の整備を計画に位置づけております。このうち、屈曲し、断面が小さかった荒木橋付近までの下流約0.6キロ区間の整備が平成26年度までに完了しております。
 昨年10月の台風21号に伴う豪雨では、佐野川沿川において40戸、また、支川・荒木川沿川においても30戸の家屋浸水被害が未整備区間での溢水等により発生しました。
 これを受け、今年度補正予算で当初予算を上回る予算を確保し、佐野川の第二佐野橋上流の河道拡幅を推進するとともに、支川・荒木川の荒木橋上流の整備を行うための測量及び設計を進めていく予定でございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて予算を確保するとともに、用地の御協力をいただきつつ、残る区間の早期整備に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 地域住民の豪雨災害に対する恐怖と不安をどうか一日も早く取り除いていただきますようお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 おはようございます。
 県庁北別館を入ってまいりますと、本会議中に県庁の華道部がお花を生けていただいています。きょうもモクレンの花が生けられておりました。その前はおひな様の、そういったお花が生けられておりまして、いつも楽しみにしておりますし、心なごませていただいています。県庁の華道部の皆さん、ありがとうございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 まず、社会的不適応問題についてお伺いします。
 これまで、不登校、ニート、ひきこもりなどについて、不登校は教育委員会、ニートやひきこもりは知事部局というように、これらの問題を分野ごとに捉え、どのような対策を講じていくかということで施策が行われてきました。
 私も、平成27年9月議会で不登校問題について質問をさせていただいています。同じ時期に同僚議員からも質問があるなど、不登校児童生徒の問題が和歌山県の教育課題として大きく取り上げられた時期でもありました。当時、知事は、最重要課題として取り組んでいくと答弁されています。
 その後も、教育委員会は、和歌山県不登校対策に係る有識者会議の提言を受けて、不登校等総合対策事業に取り組まれ、一人一人に具体的な支援計画を立てて対応できるよう手引を作成、相談体制の強化、県内21市町村への不登校児童生徒支援員の配置、適応指導教室の設置等、かなり力を入れた取り組みを行っていただいていると認識しています。
 しかし、現在、不登校支援員の数は圧倒的に不足していますし、支援員が不登校児童生徒を朝迎えに行き、学校に登校したとしても、学校での居場所がないといった状況があったり、学校全体で情報が共有されていない場合もあるようです。また、卒業した途端に関係が終わってしまいます。
 ニートやひきこもりについても、同僚議員の質問に、相談窓口をひきこもり地域支援センターや保健所に設置するとともに、市町村及び若者サポートステーションWith Youにおいても相談に対応しているとし、フリースペースの開設や居場所の提供、家族の支援等々、対策について答弁をされています。
 また、これまでの制度でも、運用するにしても時代にそぐわないような不適応が生まれているようであります。
 先日、田辺市にあるNPO法人ハートツリーをお訪ねし、お話を伺ってきました。NPO法人ハートツリーは、ひなたの森というひきこもり者社会参加支援センターを運営されており、職員2名が常駐しています。それに若者サポートステーションWith You委託も受けているので、With Youの総合相談窓口に来られた方をそれぞれの関係機関につなぐ役割も担っています。
 昨年度の相談件数は618件ということで、中でも16.3%がひきこもりの相談ということでありました。ひきこもりの相談は、ひきこもり支援センターひなたの森に引き継がれますが、2名の職員では、アウトリーチの重要性や有効性は十分認識していても、相談者の全てに当たることは物理的に不可能な状況ということでした。しかし、大変熱心に取り組まれており、訪問を大事にしていると説明されていました。
 本県のひきこもり地域支援センターは、全国に先駆け、平成16年に設置されています。その運営について、現場ならではの改善点が見えているようでした。
 例えば、引きこもっている方がようやく通所できるようになったにもかかわらず、1年に1回は精神科の医師の診断書を提出しなければならないとなっており、その費用は1万円を超える地域もあるということです。精神科になじまない若者や働けていない若者にとって、通所への意欲をそぐものとなっているようであります。
 また、補助金の算定基準も、現場の実態に応じたものに改善していただきたいとのことでした。
 さらに、県下に4カ所のひきこもり支援センターがありますが、横の連携が少なく、課題解決や各支援センターとの実践交流のための連絡協議会が必要との意見をいただきました。
 さて、今でも不登校の児童生徒の数はほぼ横ばい、広義のひきこもり者数3800人、若年無業者数は5400人と推定され、さまざまな対策が功を奏していないというのが実態です。現在、不登校やニート、ひきこもりなどに特徴づけられる青少年の問題は、抜本的な解決策が見出せないまま積み残されてきたと言えます。これらの不登校やひきこもりなど、社会的不適応は、現代社会の課題であり、全社会的、分野横断的に対応する仕組みが必要だと思います。
 また、近年では、家族や地域の経済的・社会的基盤が脆弱になる中、該当する年齢層が学齢期から青年後期全範囲に及び、行政上の定義概念の枠を超えて高齢ニートという現象も出現しています。このままでは、社会的不適応問題は、10年後に日本人の全年齢層まで拡大するのではと危惧されています。
 長年福岡県で社会教育行政に携わってこられた黒田修三氏は、社会的不適応に陥る青少年は、絶えず新たに登場するにとどまらず、一度不適応に陥った子供が課題を抱えたまま年を経て引き継がれ、ともすれば1人の人間の生涯を貫く縦の負の連鎖が生じていることを意味していると語っておられます。相談現場の担当者から、ひきこもりの始発駅が登校拒否であるとの声も聞かれます。
 先日、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会の視察で佐賀県にあるNPOスチューデント・サポート・フェイスに視察に行ってまいりました。スチューデント・サポート・フェイス、以降「SSF」と省略させていただきますが、谷口代表理事にお話をお伺いし、さが若者ステーションも視察いたしました。
 SSFは、不登校、ニート、ひきこもり等、不適応問題を抱える若年層の自立支援に取り組んでいます。SSFの活動は、これらの問題に携わっている方々の中では大変有名なNPOです。内閣府の不登校・ひきこもりに対する民間支援団体の活動事例にも取り上げられており、代表理事の谷口氏は、全国を飛び回り、その活動を紹介しています。今回、議会が谷口氏へのアポを取りつけるのも大変だったようでありました。
 SSFの一番の特徴は、家庭教師方式のアウトリーチにあります。アウトリーチとは、英語で手を伸ばすの意味のごとく訪問型の支援で、待っているのではなく、直接本人の家を訪問し、本人や家庭に密着した支援、指導を行う方法を指します。
 SSFで行っているアウトリーチの特徴は、各種支援への誘導手段の役割とは別に、独自のノウハウに基づく関係の構築と、家庭での専門的、継続的なかかわりにより、不適応問題の背景にある根本要因の解決も含め、直接的なアプローチを行っています。メンタル面だけではなく、対人、学習、職業能力、環境等、個人個人の状態に応じた多面的な援助を行うことで、若者が抱える困難を効果的に解消しています。
 相談件数は平成28年で1万10件、面談人数は9590件、派遣件数は4279件と報告されています。常勤の職員は55名、非常勤職員22名ということでしたが、これだけの職員でも対応するのは並大抵なことではありません。
 SSFのもう1つの特徴として、250名近い登録スタッフの存在です。スチューデント・サポートと呼ばれるボランティアが支援対象者のアウトリーチの導入部分を担当しています。大学生は、対象者の年齢に近いため、最初のアプローチを行うには大変有効だということでした。教育や医療、福祉にかかわろうとする大学生を対象に研修を行い、資質を認められた方だけがボランティアで訪問支援を行っているということでした。この力は大変大きなものがあると感じました。
 訪問観察や支援の活動が膨大な実績やノウハウを蓄積した結果、相談件数の9割以上の家庭が学校復帰やひきこもり、就労体験等、客観的な改善報告がなされるという抜群の復帰率を獲得しています。
 また、SSFでは、アウトリーチの手法をバックボーンに専門家が常駐、適応訓練を行うフリースペースの運営、体験型のイベントの開催、認知行動療法と、取り組みに理解のある事業主である職親などを活用した就労支援事業、社会的自立に至るまでの一貫した支援事業を行っている様子を体験してまいりました。
 本当に目からうろこの取り組みで、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会の委員全員が感嘆し、この方法をぜひ和歌山でも取り入れていただきたいということで、今回、私が、僣越ですが、代表して質問をするということになったものです。
 現在、和歌山県では、不登校児は小学校から高校まで合わせて1433名、ひきこもり世帯が推定2200世帯と言われる中で、現在の対策では解決できないと考えます。社会的不適応の問題は、年齢に区切って対応するのではなく、一人一人にアプローチができる体制づくりが必要だと考えます。
 これまでの本県のやり方、知事部局や教育委員会による縦割りの対症療法的対策では、不登校やひきこもり等の社会的不適応に陥ってしまった方々を社会に復帰させることに限界が来ています。今行動を起こさないと、10年後は、社会的不適応と言われる問題は全年齢に及ぶ状況が予想されます。働けないまま生活保護になった場合と、支援の結果、就労、自立が実現した場合を税金面で考えると、若者支援は投資効果の大きな分野だと思います。今、社会的孤立・排除を生まない総合的な支援体制の確立が求められています。
 今回SSFを視察させていただき、アウトリーチを中心に社会的不適応行動を起こす個人へのアプローチを丁寧に行った結果、大きな成果を出しているこの取り組みについての所見を、本県においてそれぞれの分野を所管していただいている環境生活部長、福祉保健部長、そして教育長にお伺いします。また、あわせて、本県における各分野の課題と今後の取り組みについてもお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 佐賀県では、若者総合相談と就労支援に加えて、教育関係や福祉関係の支援事業も1つのNPO法人で実施されています。専門的な知識を持つ大勢のスタッフが、訪問支援を中心に、年齢による切れ目のない継続的な支援と幅広いネットワークを活用して、一人一人の状況に応じた適切な支援を行っていることが特徴であり、効果を上げているものと考えております。
 本県の若者サポートステーションWith Youにおいても若者相談事業と就労支援を一体的に実施しておりますが、このような取り組みは、都道府県レベルでは本県と佐賀県及び大分県の3県のみとなっております。
 しかしながら、本県では、不登校、ひきこもり、ニート対策が佐賀県のように1つの法人で実施されていないことから、関係機関が連携し、それぞれの対策を切れ目なくつなぐことが重要であると考えております。
 そのため、相談員のスキルアップを図るとともに、相談者の身近な地域における教育、福祉、保健、医療等、関係機関との連携をより密にし、関係機関と協働した訪問支援の強化など若者の自立支援を充実していきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 佐賀県のNPO法人スチューデント・サポート・フェイスでは、ひきこもりの方に対する支援としてひきこもり地域支援センターを平成29年5月に県から受託し、事業を実施しております。その活動としましては訪問を主体としていることから、外出が困難なひきこもりの方に対しては有効であると考えております。
 一方、本県では、精神保健福祉センターに設置したひきこもり地域支援センターにおいて、相談支援や研修、家族教室を実施するとともに、平成28年度からは関係機関との情報交換を行うため、わかやま若者・ひきこもり者支援交流集会を開催しています。
 また、県内4圏域で相談支援や訪問活動、居場所の確保を行う民間団体をひきこもり者社会参加支援センターに指定し、その取り組みを支援しています。
 加えて、保健所においても、ひきこもり地域支援センターと連携し、ひきこもりの方の相談や訪問に対応しております。
 なお、ひきこもりは、表面化しない事例が多いため把握自体が難しいことや、そのことから支援者側の働きかけが困難なことから相談につながっていない潜在的な事例もあり、それらをいかに把握していくかが課題であると考えております。このことから、今後は、関係部局や若者支援等の関係機関と、個人情報の取り扱いも含め、情報交換の進め方を検討の上、緊密に連携し、支援の必要なひきこもりの方の把握に努めたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) スチューデント・サポート・フェイスの取り組みにつきましては、スタッフによる不登校児童生徒宅への訪問支援が行われており、学校と家庭と相談機関をつなぐ役割を果たし、成果を上げていると聞いております。
 また、在学中に学校等教育機関による支援を受けていた生徒が卒業または退学した後も、スタッフによる継続的な支援を受けることで次の進路へと効果的につなげております。
 本県の不登校対策につきましては、さまざまな支援により学校に復帰する児童生徒がいる一方、新たに不登校になる児童生徒も多いことがあります。
 このため、本年度から不登校児童生徒支援員を小中学校に配置し、学校の別室での支援や家庭への訪問支援等を行っており、かかわった児童生徒の多くに状況の改善が見られております。
 また、累計5日以上欠席した児童生徒の状況・学校対応状況シートや不登校問題対応の手引きを活用し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等とともにチーム学校として、未然防止、早期発見・早期対応、学校復帰支援の各段階に応じた取り組みを関係機関と連携して進めております。
 高等学校の中途退学につきましては、その防止のため、よりわかりやすい授業を目指した授業改善に取り組むとともに、学び直しや補充学習等、学習面を初めさまざまな支援を行ってまいりました。その結果、中途退学者数は、従前の500人程度から平成27年度には減少に転じ、平成28年度に313人、中退率は1.3%と、全国平均を下回る状況にあります。
 また、進路変更を望む生徒については、定時制、通信制の両課程を併設する拠点3校等で柔軟に受け入れる体制を整えるほか、学校から離れてしまう生徒には、若者サポートステーションWith You等とも連携しながら、次の進路へとつなぐように努めております。
 今後も、引き続き関係機関との連携を深めるとともに、学校、市町村教育委員会と一体となって取り組みの充実に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 各部長、教育長にお伺いをいたしました。
 次の質問は、佐賀県でも、平成22年に全国初となる子ども・若者支援地域協議会を発足させています。教育や就労、福祉、医療、更生保護など、関係分野の上部組織を中心に、22機関・団体が所属することで、県全域をカバーしたものとなっています。その後、支援拠点を県子ども・若者総合相談センターとしてSSFに委託することで、アウトリーチを中心とした支援を展開していったものです。
 和歌山県においても、子ども・若者支援地域協議会を設置しています。年に1回程度協議を行っているとお聞きしました。
 ひきこもり対策、子ども・若者育成支援推進法など、不登校、ニート、ひきこもりの問題については解決のため幾つもの法律があり、その連携をどのように構築していくのかが解決する糸口になると考えます。真剣に検討し、つくり上げていかなければなりません。
 まずは、和歌山県においても、社会的不適応行動をしてしまう子供、若者に対し、個々に適切な対応を可能にする縦割りではない横断的な、アウトリーチを重視した抜本的な取り組みが必要だと考えます。先ほどお話ししたとおり、ひきこもり支援センターも制度疲労を起こしているような指摘もあり、このセンターを含め、改めて関係者、関係機関が同じ共通認識を持ち、情報を共有しながら社会的不適応の問題に取り組むための施策が必要だと考えます。
 そのために、1つの提案として、今ある既存の子ども・若者支援地域協議会等をいま一度充実させ、これからの支援のあり方を抜本的に見直し、充実させてはどうかと考えますが、環境生活部長に見解をお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 本県におきましても、平成22年度に保健、福祉、教育、雇用、矯正、更生保護等、官民合わせて26の機関で和歌山県子ども・若者支援地域協議会を設立し、若者支援に関する情報共有を行っております。
 また、本県の特徴として、若者サポートステーションWith Youが中心となって、4つの地域で若者支援連絡会議を年2回開催し、各地域の関係機関のつながりを深めるとともに、お互いの支援スキルの向上に努めております。このように、支援者同士が顔の見える関係を築くことで関係機関の連携を図り、困難な事例につきましては、ケース会議により具体的に協議し、適切な支援につなげております。
 しかしながら、人とのかかわりに不安があったり、働くことに自信がない若者が必ずしも若者サポートステーションWith Youにつながっていないとの声もお聞きします。
 そこで、まずは若者サポートステーションWith Youの認知度を上げる必要があるため、教育、保健、福祉など、関係機関に若者サポートステーションWith Youの情報提供を進めるとともに、若者の課題解決に向けた関係機関との連携、協働を一層強化することで、途切れることのない支援を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 NPOスチューデント・サポート・フェイスの取り組みを御紹介するとともに、本県での課題と今後の取り組みについて答弁いただきました。青少年・男女共同参画課、障害福祉課、教育委員会それぞれの関係機関が連携して、対策を切れ目なくつなぐことが重要であるとの認識を示されました。
 連携と言うことは大変簡単なことですが、具体的にはどのようにつながっていくか、真剣に取り組みを進めていただきたいと思います。そのためにも現場の声をしっかり聞いていただき、さまざまな立場の皆さんの知恵を集めて進めていただきたいと要望します。
 スチューデント・サポート・フェイスの理念というのは、社会的孤立・排除を生まない総合的な支援体制を確立するというふうになっておりまして、足りないもの、必要なものは共同でつくり出すとしています。県でも、この声をしっかり胸に、全ての子供、若者が安心と希望を抱ける地域づくりを進めていただけるよう要望したいというふうに思います。よろしくお願いします。
 次の質問に移ります。障害者の雇用施策についてお伺いします。
 平成28年4月、障害者雇用促進法が施行されました。改正後は、精神障害者も障害者枠に入り、法定雇用率も引き上げられ、障害者に対する差別禁止も加えられました。
 障害者の就労については、関係者の御努力で少しずつ理解が広まっていると感じておりますが、法定雇用率が引き上げられたにもかかわらず、一般就労への理解がなかなか進まない状況の改善等についてお聞きします。
 毎年、和歌山市にあるポリテクセンター和歌山で行われる障害者技能競技大会アビリンピックを拝見しています。アビリンピックは、障害者雇用の促進を図ることを目的に開催されています。ワードプロセッサー、パソコンデータ入力、喫茶サービス、製品パッキング、ビルクリーニング、オフィスアシスタントの競技があり、約60名の皆さんが参加されます。ゼッケンをつけた選手の皆さんが真剣な表情で競技に取り組む姿を見ていると、心から応援したくなります。
 選手の皆さんは、就労されていて、その経験から競技に参加される方や、特別支援学校で訓練を受けて参加されている方もおられます。全国大会や世界大会までありますので、仕事の技能を高めるための1つの動機づけになり、大会に参加すること、そして優勝を目指すことは、自己肯定感や仕事への誇りを養えるということもあり、大変大きな意義があるものです。
 参加人数の募集が少ないことや競技を行う機器が古いこと、同じ方が毎年参加されたりと改善する点もあるかとは思いますが、障害者の就労への意欲を高めるためにも、この大会はもっともっと盛り上げていただきたいと思います。
 さて、雇用促進のための施策の1つのアビリンピックでありますが、障害者の就労についてはというと、まだまだ課題があると思います。
 障害者総数のうち18歳から64歳のいわゆる現役世代での就労者数の割合は約6割です。そのうち6割が障害福祉サービスに移行しています。障害福祉サービスのうち就労支援事業から一般就労への移行率は、社会福祉施設等調査では24.9%、就労A型は4.9%、就労B型は1.6%となっています。100人いたとしても、60人が障害福祉サービスで働き、そのうちの18人だけが一般就労につけるという数字になっています。就労B型の作業所等では、平均賃金月1.6万円と低賃金の状況が続いており、就労の問題は少しずつ進んでいるとはいえ、なかなか難しいという状況が続いています。
 そこで、2点お伺いします。
 まず、官公庁における優遇措置についてです。
 平成27年の2月定例会において質問した内容のその後についてですが、県では、障害者雇用を進めるに当たり、総合評価落札方式と障害者就労施設からの優先調達の実施を進めています。どちらの施策も導入して3年を経過しましたが、実施の状況はどのようになっていますか。福祉保健部長にお伺いします。
 障害者の就労支援については、障害者就業・生活支援センターが大きな役割を担っていただいています。障害者就業・生活支援センターでは、多くの相談を受け付けております。すぐに就労につなげられない人には、まず生活の再建から支援をしています。生活の乱れを立て直す、どんな服装がいいか相談する、面接の研修を行う、医者への付き添いを行うなど、障害者特有の要望がある中、さまざまな支援を行っています。その後、就労の相談になるのですが、一般企業に就労できる障害者はごくわずかで、大多数は作業所や就労型支援に移行しているようです。
 センターで今一番力を入れているのが就労した後の定着支援ということで、就労した企業を定期的に訪問し、就労した後のフォローを行っているということでした。センターでも企業回りを行っているようでありますが、なかなか進まない状況です。
 このような一般企業への就労について、県としてどのような支援を行っているのか、また、より多くの移行がされるよう、今後の取り組みについてどう考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、1点目の総合評価落札方式及び障害者就労施設からの優先調達の実施状況についてお答えします。
 平成26年度から建設工事に係る委託業務及び役務調達において実施している総合評価落札方式の実績といたしましては、平成26年度は落札者の合計42者のうち16者、平成27年度は38者のうち17者、平成28年度は40者のうち11者が、障害者の雇用や障害者就労施設等からの物品の購入等に係る評価項目で加点されています。
 次に、障害者就労施設からの物品や役務の調達につきましては、平成25年度から毎年優先調達の方針を作成し、前年度の実績を上回ることを目標に取り組んだ結果、県の調達額の実績としましては、平成26年度は2000万円、平成27年度は2221万円、平成28年度は2406万円となっております。
 また、県内の市町村や公立大学法人和歌山県立医科大学に対しましても優先調達の働きかけを積極的に行っており、その結果、県全体で、平成26年度は1億2103万円、平成27年度は1億3963万円、平成28年度は1億4625万円の調達額となっています。
 続きまして、2点目の障害者の一般就労への移行の状況と今後の取り組みについてお答えいたします。
 県では、障害のある方が地域で自立して生活できるよう、平成27年8月に障害者就労支援計画を策定し、一般就労を希望する障害者就労施設の利用者に対して、関係部局や和歌山労働局と連携しまして一般就労への移行に向けた取り組みを行っております。
 具体的には、社会福祉法人等が運営する就労移行支援事業所を初めとした障害者就労施設において、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練を行っております。その結果、昨年度は81名が一般就労につながりました。
 また、身近な地域において障害者の円滑な就業や日常生活などの必要な支援を行う障害者就業・生活支援センターにおいても、職業訓練や地域の企業を対象にしたインターンシップ制度を実施しており、昨年度は91名が利用し、うち57名が一般就労につながりました。
 なお、就労後の定着支援の取り組みにつきましても大変重要であると認識していることから、引き続き障害者就業・生活支援センターを活用するとともに、就労移行支援事業者等を中心に就労定着支援事業の実施を働きかけるなど、一般就労した障害のある方が就労を継続できるよう取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 障害者就労についてお伺いしました。
 答弁でもあったんですが、一般就労を希望する障害者就労施設の利用者に対して、関係部局や和歌山労働局と連携してと、こういうふうにあるわけです。
 県の労政がなかなか一般就労のところにタッチできないというか、一般就労に移行した方に対してその会社と事業所とかにつなぐ役割はどうしても労働局が担当しているということになってまして、県は企業に対して障害者雇用を何とか、法定雇用率も高まりましたので雇用してくださいねという理解を求めるということにとどまっているのが現実だというふうに思うんですね。
 このあたりに県として、一体に障害者就労に取り組むところの弱さがあるかなというふうに思っていまして、今後、障害者の一般就労を進めていくためにも、障害福祉、労働政策、労働局と、この連携をもうちょっと深めていただくようなやり方ってないものかなというふうに思っておりますので、そのことはまた今度に譲りたいと思います。
 では、次の質問に移らしていただきます。最後の質問です。介護保険制度についてお伺いしたいと思います。
 「わかやま長寿プラン2018」の素案が今発表されておりまして、現在パブリックコメントを募集しているというふうな状況です。このプランでは、高齢者人口の将来推計として、高齢化率は平成29年1月現在で30.9%、将来推計として32年推計は33.5%、平成42年推計では36.2%となっておりまして、将来的には3人に1人が高齢者という時代が確実にやってくる。今回のプランは、「高齢者が安心して、いきいきと暮らすことができる和歌山」ということでまとめられています。
 介護保険事業も、平成29年度から介護予防事業に新しい介護予防・日常生活支援総合事業が加わり、多様な予防事業が展開できることとなりました。また、包括的支援事業は、地域包括支援センターの運営だけではなく、在宅医療、介護連携の推進や認知症施策の推進、生活支援サービスの体制整備などが加えられ、市町村で独自に行うということになりました。介護保険事業の中で介護予防・日常生活支援総合事業が加わったことを受け、各市町村ではそれぞれの取り組みを進めています。
 和歌山市では、第1層、第2層などというカバーする地域の範囲に合わせた協議体を設置して、1つは地域のニーズと資源の状況を見える化する、2つ目が問題提起、地縁組織等、多様な主体への依頼などへの働きかけを行う、3つ目が関係者のネットワーク、4つ目が目指す地域の姿・方針の共有、意識の統一、5つ目が生活支援の担い手の要請やサービスの開発、こういう5つの取り組みを進めるとしているんですね。
 第1層では、市町村区域で行う機能として、第2層では、これにニーズとサービスのマッチングを加えて中学校区域で行うとしています。その後、第3層というのもありまして、個々の生活支援、介護予防サービスの事業主体で利用者と提供者をマッチングする機能が示されていますが、和歌山市ではまだその段階まで進んでいないとのことでありました。
 問題は、この第2層というところにあると思うんですね。生活支援体制整備事業を進める上で中学校区での取り組みが求められているんですが、具体的な中身の部分がはっきり言って全く見えてない状況だと思います。
 和歌山市では、市内を15の圏域に分けて第2層の生活支援コーディネーターを設置するとしているんですが、私の住んでいる宮前地区は宮校区と一緒に1つの協議体を設置するとして、その協議体を宮地区の鳴神にある病院に設置してるんです。
 今回、和歌山市第2層生活支援体制整備事業ということで講演会を行うとしているんですが、この協議体というのが何だかよくわからないなあというのが地域の皆さんの本音であります。
 現在、社会福祉協議会の下部組織として各地区協議会が設置されており、各地区協議会、いろんな地域では、ふれあい広場事業とかふれあい食事サービス、ふれあい在宅ケアの集いとか高齢者料理教室、さまざまな地区協議会がそのことを行っていただいています。
 私の住む宮前地区でも、地区協議会がいきいき体操教室を実施していただいてるというふうなことになっているんですが、今やってるこのような活動は地区協議会が主体で実施していることになっていますので、実際のところは自治会の皆さんがボランティアによって活動を支えていただいてるんです。このような活動については予算措置も全然なくて、皆さんは、ボランティアで広場事業とか事業を行っていただいているというのが実際なんですね。
 私は、実際こういうふうに行われているこのような活動を含めて協議体というのはあるんじゃないかなあ、構成されるんじゃないかなあ、新たな制度で生活支援体制整備事業というのをやりなさいと言ってるんですけど、今やってることをやっぱりちゃんと含めたそういうことをしなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っています。
 第2層の協議体では、先ほど説明したように、地域でニーズとサービスをマッチングさせるということが重要な事柄であるというふうに示されているんですが、誰がどこに住んでどのような状態にあるのかということは十分把握して、その方に応じた支援を届けるということが大事だと思うんですけど、今ちょっと説明したように、和歌山市のように大ざっぱに15の施設に協議体を設置して予算をつけるというやり方では、ちょっと言ってる趣旨が違ってくるんではないかというふうに思っているんです。
 ちなみに、宮校区と宮前校区の2つの校区の世帯を合わせると1万6892世帯、3万8492人という大変大きな地域になっておりまして、地域で見守ろうといった趣旨からいうと、協議体の規模も問題になってくるというふうに思います。
 各市町村の取り組み状況というのは違うと思うんですが、県として、協議体あるいは生活支援コーディネーターについてどう考え、どのような指導、支援を行っているのか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 市町村によっておおむね中学校区域を単位として設置される第2層の協議体は、住民主体の支援体制を推進するという観点から、自治会、老人クラブ、民生委員、地域包括支援センターや地域で活動するボランティアなど、従来からその地域で活動を行い、地域のニーズや既存のサービスの情報に詳しい方々を構成団体として設置されるものであります。
 また、協議体には生活支援コーディネーターが配置され、協議体の構成団体と連携して地域で必要な生活支援サービスや地域資源の把握を行うとともに、必要に応じて協議体の構成団体や事業所等に働きかけて地域で不足しているサービスを創出し、必要となるサービスを地域の高齢者の方々に届ける役割を担うことになります。
 県といたしましては、市町村が行う生活支援サービスの充実を促進するため、生活支援コーディネーター養成研修により必要な人材を養成してまいります。
 また、引き続き市町村の取り組み状況を把握の上、アドバイザーの派遣や先進事例などの情報提供を行うとともに、地域の実情に応じた生活支援コーディネーターの複数配置など、必要な助言を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 介護保険制度も変わっていく中で、地域で担ってくださいよという事業が多分推進されるというふうになってきてると思うんですね。でも、今説明していただいたんですが、じゃあどうしていくんよ、地域のニーズとかを拾い上げて、それをマッチングさせて支援をするってどうしていくんよというのがとってもわかりにくい国の制度になっているかというふうに思うんです。
 県としても、各市町村の状況が違うので、一くくりにはいかないと思うんですね、大きな世帯もあれば小さな市町村もありますので。その辺は、今の段階では状況をしっかりつかんでいただいて円滑に推進していただけるようにお願いして、一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時36分休憩
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  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
○玉木久登君 皆さん、こんにちは。玉木でございます。
 一般質問3日目、午後一番、登壇させていただきます。聞きづらい点も多々あろうかと思いますが、精いっぱい頑張ってまいります。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただき、通告に従い、大きく4つについて質問させていただきます。
 3月といえば、私は、新たな旅立ちの時節かと感じます。先日は、県内の公立高校の卒業式が行われました。これから、中学校、小学校と卒業式が続いてまいります。また、高校受験など新たなチャレンジの時期でもあります。
 一方、大学生を代表する来年度新卒予定者にとっては、3月は企業説明会の解禁となる時期でもあります。そんな中、就活について、今回は和歌山県独自としての取り組みについて着眼をいたしました。
 再就職支援、就活サイクルプロジェクトの現状と今後について質問してまいりたいと思います。
 昨年の7月11日、「総活躍@和歌山~皆さんの力で和歌山を成長させましょう~」と題し、基調講演には、講師として慶應義塾大学・清家篤氏をお招きし、就活サイクルプロジェクトキックオフイベントが開催されました。私も、その講演を拝聴し、今回のプロジェクトを進める社会的な背景について理解を深めてまいりました。
 清家氏の講演の内容を私なりに要約すると、高度経済成長期以降、少子高齢化の進行、生産年齢人口の減少、経済の長期低迷とグローバル化の進行、家族や地域の扶養機能の低下、非正規雇用労働者の増加による雇用環境の変化など、現在の日本の社会経済情勢が大きく変化している、であったかと思います。
 こうした社会の潮流に対して、我が和歌山県も適切に対応すべく、目指す将来像を定め、その将来像の実現に向かう方針として、和歌山県長期総合計画の策定に至ったものと考えております。
 また、清家氏は、生産年齢人口の減少の中で、現在の人口構成においても生産に寄与できる労働人口をふやすことができないかということに触れ、再就職を希望する女性や退職後も働く意欲のあるシニア世代の活躍を指摘しておられました。こうした背景を踏まえ、我が和歌山県では、いち早く、Uターンによる人材確保も含め、今回取り組むシニア世代、女性、Uターンなど、再就職に特化した形の就活サイクルプロジェクトを新施策として展開しているところだと認識しております。
 仁坂知事も、このプロジェクトへの思いはメールマガジンのメッセージなどからも伝わってまいります。私自身も、この取り組みの今後の成果に大いに期待するところであります。
 2月は、まさにこの就活強化月間として位置づけられ、メーンイベントの合同企業説明会が、和歌山会場、田辺会場及び橋本会場で開催されました。この直後のタイミングではありますが、ここに至るまでのさまざまな取り組みや合同企業説明会での手応え、また、どのように今後展開していくかなど、新鮮な感想も含めてお聞きしたいと思います。
 まず1点目は、合同企業説明会の結果についてお聞きします。
 合同企業説明会を終え、参加企業数や求職者の動向はどうであったか、また、アンケートなどの結果はどうであったかについてです。私も地元で参加された企業の方にお話も伺っておりますが、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 就活サイクルプロジェクトは、結婚や出産等で離職した女性、定年退職した方、都会で働く人に再就職に関する情報を届けるとともに、企業に参画を募り、2月を就活強化月間とし、4月の就職を目指す、全国で初めて実施する再就職者のための就職支援システムです。
 県では、多くの企業や求職者の方にこのプロジェクトに参加してもらうため、企業に対しては、直接訪問等を行い、取り組みの周知や参画を働きかけてまいりました。
 一方、求職者に対しては、県内各地域で女性やシニアを対象としたセミナーを21回、お盆や年始にはUターン転職者を対象としたセミナーを開催するとともに、県や市町村の広報紙への掲載、テレビやラジオを通じた広報などで周知を行ってまいりました。
 その結果、2月の就活強化月間に開催した合同企業説明会には、3会場で延べ174社の企業、341名の求職者に参加をいただいたところです。
 参加企業からは、「さまざまな世代の方と会うことができた」、「途切れず面談ができた」など、今までの企業説明会では余り聞かれなかった意見も多く寄せられ、求職者からは、「企業、業種が多かった」、「和歌山の企業のよさを知ることができた」などの意見が多く寄せられております。
 一方で、参加企業の一部からは「面談者が来なかった」という意見や、求職者から「業種の幅を、もう少しあるとよい」などの意見もあり、今後、こういった意見を踏まえて、参加企業、求職者がともに満足できる内容を充実させてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 私も、地元企業で、参加された企業のお話を少し聞かしていただきました。普通、企業説明会というと背広を着た若者が多いんですけど、今回、私服で皆さん来られてて、全然雰囲気が違ったと。非常にいい試みだった、これは今後続けていってほしいなという声を聞かしていただいております。今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、企業に対する県の働きかけについてお聞きいたします。
 シニア世代や女性を雇用するに当たり、その条件として大変重要であると考えることがあります。職を求める人は、フルタイムで働きたい、フルタイム、そこまでは働きたいとは思わないが、持て余している時間だけでも働きたい、自分の資格や経験を生かせる仕事なら考えたいなど、さまざまな求職への考えがあろうかと思います。
 特に、退職後のシニア世代の方や再就職を希望される女性は、そこで働く時間の融通性やシフトの柔軟性など、企業側がより今までの求人要項に工夫を凝らさないとなかなか難しいのではないかと私は思います。その部分が、この施策の重要な点の1つであると考えています。
 そこで、今回参加した企業に対して、その点について働きかけを行っているのか、どのような説明をされたのか、商工観光労働部長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 就業意欲の高いシニアや女性などの再就職を拡大するためには、多くの企業に本プロジェクトに参加していただくことと、働きやすい雇用環境を充実させることが必要と考えております。
 企業に参加をいただくため、職員が努力を重ねまして、100社を超える企業訪問や、566社の企業に電話等により呼びかけを行ってまいりました。さらに、県や経営者協会等が開催した企業説明会においても、参加企業177社に働きかけを行ってきたところでございます。
 また、企業の受け入れ環境を充実するため、経済団体等とも連携して、働き方改革をテーマにしたセミナーを3回、出前講座を9回実施し、高齢者の希望に合った働き方の先進的な取り組み事例や活用できる助成制度を周知するとともに、県のウエブサイトにおいても、すぐれた企業の取り組みやそこで活躍する人たちの姿を紹介しております。
 以上のような取り組みを今後も充実させていくことで、シニアや女性が働きやすい環境を充実させた企業をふやしていくとともに、本プロジェクトに参画する企業数を拡大してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 次の質問に移りたいと思います。マッチングについての考え方についてをお聞きいたします。
 先ほどの答弁を踏まえ、今後は企業と求職者のマッチングがもう1つの重要な点だと思います。現在、世の中には、求人情報誌や従来からあるハローワークなどがあります。私も、ハローワークの情報を取り寄せたり、さまざまな就活情報サイトから検索などを行い、調べてまいりました。
 今回行われた合同企業説明会は、再就職に重点を置き、多様な企業が一堂に会し、多くの皆さんが面接、面談、情報収集を行える画期的な取り組みとして成功ではと思います。今後は、内定者や就職者がふえることと期待が膨らみますが、現在の求人情報誌やハローワークなどとの違いを鮮明に打ち出す必要があるのではないかと思います。そのキーワードがマッチングではないかと考えています。
 現在のものとの違いと、県として考えるマッチングとはどういう意味なのか、お聞かせを願いたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 今回の就活サイクルにおける合同企業説明会では、参加企業は予定を上回りましたが、求職者の参加はまだまだ少なく、マッチングのためには、より多くの求職者に参加いただく必要があります。
 求職者への広報としましては、テレビ、ラジオを活用した広報、県や市町村の広報紙への掲載、折り込み広告を利用したチラシ配布などを行ってきましたが、今後は、これらの広報に一層力を入れるとともに、3月末には今回のマッチングの成果も出てきますので、実際に就職した方の声など成功事例を広くPRしていくことで、求職者の参加をより一層ふやしていきたいと考えております。
 また、就活サイクルプロジェクトでは、一連のサイクルに沿って再就職を目指すというところがハローワーク等を活用した就職活動とは異なるところであり、サイクルの中で、再就職への不安払拭やビジネスマナーといったセミナー、面接トレーニング、働くことに関するさまざまな相談などを実施してまいります。
 県としては、より多くの女性やシニア、Uターン希望者等と働きやすい環境を充実させた企業をマッチングさせることが最も重要と考えており、あらゆる手段を駆使して求職者に呼びかけ、今後もお互いが満足できるマッチングを創出していきたいと考えています。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 この項目の最後の質問というか、今後の展開についてお聞きしたいと思います。このプロジェクトの今後の展開についてお聞かせをください。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 初年度である平成29年度の就活サイクルプロジェクトのイベントやセミナーには多くの方が参加していただいており、中でも、2月の合同企業説明会には、各会場とも目標としていた数を上回る多くの企業に参加をしていただきました。
 今後は、より多くの企業に参加を促すとともに、女性やシニア世代に対応した採用等、受け入れ体制の充実についても働きかけを行い、幅広い業種や勤務形態などの求人の拡大に努めてまいります。
 また、サイクルを通じて再就職をした方々の活躍している姿や、多様な働き方を提案している企業の取り組みなど、成功事例や先進事例等を広報紙、ウエブサイト、SNSなど、多様なチャンネルを活用し、PRを行うことで、今回少なかったUターン転職者を初め、求職者のさらなる参加についても促してまいります。
 全国に先駆けて開始した第2の就活サイクルを定着させ、多くの企業と求職者に活用していただくとともに、和歌山発のプロジェクトとして発信していきたいと考えています。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 説明ありがとうございました。まことに意欲的に取り組まれたこと、今後に向けての意気込みがよくわかる答弁であったかと思います。
 答弁をお聞きしていまして、最後に、キックオフイベントで拝聴した講演の内容や、世の中のさまざまな取り組みの一部を調べてみて、私なりに考えたことを2点述べさせていただきたいなと思います。
 まず、キックオフイベントで拝聴したシニア就職についての講演でございます。講師は民間人材会社を経営する方でしたけども、シニア人材を企業にあっせんする苦労話と、その突破口の話が印象に残っています。それは、シニアの方の就職には、仕事を求める人と受け入れる側とのきめ細かな条件の整理、また、マッチングのノウハウを見つけていったことだったと思います。
 答弁でも、今後、マッチングに積極的に取り組まれるとのことでございますが、こうした民間人材の会社のノウハウも生かして、より大きな成果を目指せないかという点でございます。
 2点目は、ハローワークがある、さまざまな民間人材会社がある、こうした中で、行政機関である和歌山県が取り組むことについてです。端的に申し上げれば、ハローワークや民間人材会社に比べて、県が有している優位性とは何かということでございます。
 例えば、県のホームページの見出しを見ると、行政の分類別に情報をうまく一元化されていて、活用しやすいと思います。一方では、県内の労働人口をよりふやそうという視点から行政を眺めてみますと、ほんの小さなことでも就活という課題に役立つことがあるのではないかと思います。
 商工業はもちろんですが、行政とは各部局にさまざまな情報が寄せられています。こうしたさまざまな情報を容易に統合できるのも、県が有する優位性ではないかと思います。そのために、部局間のコミュニケーションをより高めていくことが重要と考えています。
 以上、私なりの意見ではありますが、引き続きさまざまな取り組みを進めて、より大きな成果を目指して、そして達成してほしいと願っております。よろしくお願い申し上げます。
 2項目めに移ります。
 昨年12月に第3期和歌山県教育振興基本計画案が示され、私も文教委員会の勉強会に参加し、その内容についての理解を深めてまいりました。
 今回は、その基本計画案の中から、キャリア教育、特別支援教育、きのくにコミュニティスクールの3つの課題について質問してまいりたいと思います。
 まずは、キャリア教育について、2点お聞きいたします。
 キャリア教育については、昨年の6月定例会一般質問において中村裕一議員がキャリア教育の充実について、また、昨日の一般質問において岩井弘次議員から職場体験についてと、活発な議論がされております。今回の私の質問にも重複するところがあろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 私は、昨年、地元である有田市の小学校において、和歌山県立医科大学地域医療支援センターの協力をいただき、キャリア教育として「お医者様の仕事」と題し、小学4年生の出前授業のお手伝いとして授業参観も参加させていただきました。子供たちのきらきらした好奇心の目と、なかなか鋭い質問などが飛び出し、授業をしていただいた医大の教授も驚いていらっしゃいました。
 授業を終えた後、小学校のブログをのぞいてみると、校長先生のコメントに、「キャリア教育の点でも、理科教育の点でも、楽しくてためになる授業でした。もしかしたらきょうの授業で将来お医者様になりたいという子供がふえたかもしれません」とつづられたことが印象に残っております。
 こうした現場に接し、キャリア教育は、職業への理解、働くことの大切さを知り、子供たちが将来の可能性を広げていく大きな機会であると、常々考えていたことを目の当たりにすることができました。
 小中学校におけるキャリア教育、特に小学生においては、自分の将来への夢を大きく広げて、目標をつくり、その目指す目標に向かって、勉学であったりスポーツであったりと、みずからの将来を切り開くきっかけとなるのではないかと考えており、キャリア教育の推進に大いに賛同するものであります。
 そこで、小中学校における和歌山県内のキャリア教育の全体計画並びに年間指導計画の作成状況について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) キャリア教育につきましては、高等学校の学習指導要領に加え、平成29年3月に告示された小中学校の新しい学習指導要領におきましても、学級活動や学校行事などの特別活動をかなめとし、全ての教育活動を通じてキャリア教育の充実を図ることが新たに示されました。このようなことから、キャリア教育の全体計画、年間指導計画を作成することは大変重要なことだと考えております。
 県教育委員会では、こうした新学習指導要領の趣旨、内容を小中学校の全教職員に周知徹底するため、昨年7月から10月にかけて説明会を開催してまいりました。また、市町村事務担当者会議において、キャリア教育の視点を取り入れた教科学習の活動例を示すとともに、各小中学校がさらに計画的、組織的なキャリア教育を取り組めるよう、キャリア教育の全体計画のモデルを示し、指導しているところです。
 現在策定中の第3期教育振興基本計画におきましても、キャリア教育の全体計画及び年間指導計画を指標と示しており、全ての学校で作成するよう取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 今後とも、全体計画については推進のための指導をよろしくお願いいたします。また、年間指導計画については、形式だけのものにならず、子供たちの多様性を鑑み、指導計画策定に際し、適切な指導、推進をしていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 続いて、キャリア教育の今後の方向性についてお聞きいたします。
 先ほども少し私の考えをお話しさせていただきましたが、小中学校に限らず、夢を持つことの大切さと夢を達成するためのプロセスを知ることは大変重要であると考えています。
 子供たちにより多くの職業を知ってもらうこと、好奇心を持たせること、理解を深めることは、やはり大切なことだなと改めて感じました。地元で経験できる職業はもちろんですが、身近でなかなか体験できないことに対しては、工夫を凝らせば何とかなるとも感じました。これからも、創意工夫でさまざまな取り組みができると考えています。
 そこで、今、県として取り組んでいることや、今後のキャリア教育の考え方の方向性について、教育長の考えをお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 小学校におけるキャリア教育は、子供たちが学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的、職業的自立に向けて必要な基盤となる資質、能力を身につけていくことを目標としております。
 これまでも、小学校においては、社会科、特別活動、総合的な学習時間等の中で、例えば、地域の方々の理解と協力を得ながら、消防署や工場などの職場見学を実施し、働いている人の苦労ややりがいを身近で感じることで、働くことの大切さに気づかせてまいりました。また、ゲストティーチャーによる出前授業などによって、さまざまな方との出会い、知らない世界を教えてもらうことは、夢や希望を広げるよい機会となっております。
 また、本県独自の道徳教科書「心のとびら」、「希望へのかけはし」や、ふるさとの教科書「わかやま何でも帳」を活用して、本県の産業や先人たちの生き方を学び、人としてのあり方、将来への目標や夢を育んでおります。
 今後は、小・中・高等学校を通じて、より系統立てたキャリア教育を実践し、子供たちが自分らしい生き方を見つけていけるよう、キャリア教育の一層の充実を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 期待をしております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 続いて、3項目めの特別支援教育について、4点お聞きしたいと思います。
 1点目は、通級指導教室の現状です。
 近年、インクルーシブ教育システムという言葉を耳にします。これは、障害のある子供と障害のない子供が可能な限りともに学ぶことができるよう、一人一人の教育的ニーズに応じた合理的配慮の提供等さまざまな配慮に取り組みながら、特別支援教育を一層推進していくことであると思います。
 この取り組みの中に、通級指導教室があります。県内小中学校における通級指導教室の現状について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 障害のある子供と障害のない子供が可能な限りともに学ぶことを目指すインクルーシブ教育システムの充実には、特別支援教育を推進していくための多様な学びの場の整備が必要であると考えております。
 学びの場の1つである、議員御指摘の通級指導教室は、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害に応じた特別の指導を特別の場で受ける指導形態であり、小中学校の通常の学級に在籍する発達障害や言語障害等のある子供たちにとって、学習上や生活上の困難さの改善、克服に向けた大切な指導の場であると認識しております。
 県教育委員会では、通級指導教室を本年度、小学校に43教室、中学校に7教室、和歌山ろう学校に1教室の計51教室を設置しており、設置拡充に努めているところです。
 今後も、小学校から中学校へ、中学校から高等学校へと学びの連続性を確保する観点から、教育振興基本計画においても重点的に実施する取り組みとして通級指導教室の充実を位置づけ、国に対しても強く働きかけながら、体制整備のさらなる推進を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 今後も、設置拡充に努めていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 2点目は、発達障害についてです。
 ASD、ADHD、LDという言葉があります。ASDはアスペルガー症候群などを含む自閉症スペクトラム障害、ADHDは注意欠如多動性障害、LDは学習障害であります。
 これらの言葉は近年耳にすることが多くなってきていると思いますが、障害がどのようなものなのかについては、なかなか理解が進んでいないと感じられます。その特性には一人一人違いがあり、本人はもとより保護者の方も思い悩むことも多いと聞かせていただいたことがあります。
 臨床心理士、スクールカウンセラー、また、通級指導教室で指導される先生方も、多様性への対応をしていただいてると思います。
 そんな中で、県内の教員の方々が発達障害への理解を深めることや、多様化してきている指導内容や支援方法を学ぶためにどのような取り組みがなされているか、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、教員が発達障害に対する理解を深めることが重要であることから、平成26年度から5カ年計画で、県内公立幼稚園、小中学校、高等学校の全ての教員を対象に発達障害の児童生徒の特性や支援方法等について学ぶ特別支援教育基礎・基本研修を実施しております。
 また、教育センター学びの丘で実施する特別支援教育に係るさまざまな研修においても、通常の学級に在籍する発達障害の子供への個別的な対応方法を初め、その子供を含めた学級づくりや授業づくりを学ぶ専門的な研修を実施し、管理職を含む教員の指導力の向上を図っております。
 今後も、さまざまな機会を通じて発達障害の子供への理解、啓発を図る取り組みを進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 より理解を深めていただき、今後の学習指導や適切な支援の提供へとつなげていただきたいと思います。
 そんな中で、その子の持つすぐれた点を見出していただき、その点を伸ばし、社会生活の中で自立できるような教育も今後必要ではないかと思います。そのためにも、発達障害への理解は大変重要であると考えております。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
 3点目は、切れ目のない支援の実現に向けた取り組みについてであります。
 県教育振興基本計画案に、幼少期から高校卒業まで一貫した支援の重要性を踏まえ、障害のある子供に対し個別の教育支援計画「つなぎ愛シート」の活用推進があります。
 どのような取り組みであるのか、また、活用推進に向けた今後の方策を教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 就学前から卒業後にわたる切れ目ない支援の実現には、障害のある子供の成長の記録や、長期的な視点に立った支援の目標等に関する情報が記載された個別の教育支援計画が重要な役割を担っており、保護者や関係機関とともに作成、共有しながら活用していくことが大切であると考えております。
 このため、県教育委員会では、個別の教育支援計画の県内統一様式となる「つなぎ愛シート」を作成し、幼稚園、小中学校等において積極的に導入が図られるよう、市町村教育委員会へ働きかけを行ってまいりました。特別支援学校では既に活用が始まっており、来年度からは、全ての小中学校の特別支援学級や通級指導教室に在籍する児童生徒に対しても導入される予定です。
 校種を超えて県が作成した統一様式を活用した取り組みは、全国においても数少ない取り組みであり、今後、切れ目ない支援の実現に向けて、つなぎ愛シートの効果的な活用を進めるとともに、幼児期からそれぞれの学びの場への円滑な引き継ぎのシステムを構築してまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。推進並びに連携を、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 この項目の最後になります、4点目は、県立高校での特別支援教育です。
 これまで、幼少期に始まり、小中と特別支援教育について理解を深めてまいりましたが、高等学校は、義務教育から離れることで、これまでとは違う関心や心配をされる保護者の方々も少なくありません。また、進学について思い悩み、卒業後の社会の中でうまくやっていけるかなど、自我に思い悩む時期であろうかと思います。
 県として、受験への配慮や高等学校での特別支援教育について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 高等学校入学者選抜におきまして配慮が必要な生徒への特別な措置につきましては、申し出のあった生徒の状況を事前に市町村教育委員会を通じて中学校に確認し、別室での受験や試験時間の延長、問題等の漢字へのルビ振りなど、一人一人に応じた対応を行っております。
 高等学校における特別支援教育につきましては、平成22年度に特別支援教育への取り組み方や生徒のニーズに対応するための実践事例等を紹介した「高等学校における特別支援教育推進のための実践資料集」を作成し、県立高等学校の全教員に配布して、適切な指導及び支援の向上に努めてまいりました。加えて、全ての高等学校教員を対象に特別支援教育基礎・基本研修を実施し、さらなる指導力の向上を図っております。
 また、来年度から高等学校においても通級による指導が制度化されるため、今年度、文部科学省の指定を受け、県立高等学校1校で通級指導の研究を行い、準備を進めているところです。先日開催されました研究報告会には、県内外の学校や教育委員会から多くの方が出席し、通級指導に対する理解を深めることができました。
 来年度は、県内2校で取り組むこととしており、その成果を他の学校へも普及してまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁いただきました。本人の不安や保護者の不安がなくなるように、さらなる拡充に向けた取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 ここまで、キャリア教育、特別支援教育と質問してまいりましたが、最後の4項目めとして、きのくにコミュニティスクールについて、3点お聞きしたいと思います。
 1点目は、コミュニティスクールの導入状況や先行事例です。
 今後、第3期和歌山県教育振興基本計画案に対する取り組みへの理解やさまざまな問題解決は、県や各市町村、各学校がやればいいということではないと思います。家庭内の理解はもちろんのこと、地域を挙げて今後連携していくことが重要であると思います。
 最後に質問させていただくきのくにコミュニティスクールの推進は、今後、学校、地域が共有をし、学校、地域がともに子供たちの将来を考えることを目的とする施策として、今後の学校運営に重要な役割を果たすと考えています。
 きのくにコミュニティスクールの県内の導入状況及び先行事例について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) きのくにコミュニティスクールにつきましては、平成31年度までに県内全ての公立学校が導入するよう取り組みを進めております。
 導入の状況についてですが、市町村立学校は、平成29年度は78校、平成30年度は新たに158校が導入を予定しており、350校中236校の学校が導入予定となっております。県立学校は、平成29年度に導入済みの6校を含め、平成30年度には全ての学校が導入いたします。
 また、県が実施する研修会では、コミュニティスクールに関する県内外の取り組みを紹介しております。平成29年度は、有田市、有田川町、古座川町の3市町において、管内全ての学校にきのくにコミュニティスクールを導入しており、研修会等でその先行的な取り組み事例を発表し、今後の取り組みへの参考となっております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 ありがとうございます。
 2点目は、学校運営協議会の具体的な役割と共育コミュニティとの関係についてをお聞きしたいと思います。教育長、お願いします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校運営協議会は、学校と地域住民等が力を合わせて学校運営に取り組むための合議制の機関であります。学校運営の基本方針を承認し、校長とともに学校運営協議会委員がどのような子供に育てたいのかを協議し、学校、家庭、地域が互いの要請に応え、役割分担をしながら課題解決に向けての活動を行っていくものです。
 きのくに共育コミュニティは、地域住民が学校の求めに応じてさまざまな学校支援活動を実施する仕組みで、本県においては平成20年度から推進し、定着しております。
 例えば、有田市立宮原小学校では、学校運営協議会の目標を「学校を地域に開くだけではなく、地域も学校に関心を持つことをサポートする」としておりまして、その実現に向け、地域の方々が中心となり、ミニ集会を開催しております。その中で、子供の現状をもとに地域として何ができるのかについてともに考え、例えば子供たちが交通ルールを守り、安全な自転車の乗り方ができるように、保護者も巻き込み、地域全体でキャンペーンをしてはどうかというような協議も進められております。
 きのくにコミュニティスクールは、学校運営協議会と共育コミュニティを車の両輪として取り組むものであり、今後とも地域と一体となって学校づくりを進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 事例を交え、答弁をいただきました。
 講演会等での先行事例の発表を聞く中で、従来の各地域に根づいた共育コミュニティと学校運営協議会との違いがいま一つわかりにくいとの意見や、共育コミュニティが学校運営協議会に取ってかわられるのではないかという危惧の声、意見もお聞きしております。
 その点についても十分に考慮していただき、学校と地域がその地域の子供たちの将来像を築き上げるという目標のもと、県として今後も適切で明確なアドバイスを行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 3点目、最後となります。
 学校運営協議会における教職員の任用に関する意見の申し出についての県の考え方について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平成29年3月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律が一部改正され、教職員の任用に関する意見の申し出については、教育委員会規則に定める事項について意見を述べることができることとされております。
 県教育委員会では、法改正の趣旨を踏まえ、教職員の任用に関する意見の申し出につきましては、個人を特定しての意見ではなく、学校の教育上の課題を踏まえた一般的な意見や建設的な意見を反映することとしております。
 校長のリーダーシップのもと、地域の方々とともに、同じ目標に向かって学校運営を進めていくことが大切であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 この点については、大変重要であると思います。
 今後、きのくにコミュニティスクールの推進に当たり、各市町村教育委員会が定める学校運営協議会規則の中の教職員の任用に関する意見の申し出に関する事項について、各市町村の教育長の考えを重視するということが原則としながらも、県として説明を周知徹底していただきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。最後まで、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず1点目は、周遊観光についてでございます。
 関西広域連合では、東京2020オリンピック・パラリンピックの年までに、関西により多くの外国人観光客に来てもらうこと、関西を広く周遊し滞在してもらうこと、これを目指しているところであります。
 2020年までに関西への訪日外国人訪問率を45%、同旅行者数を1800万人、宿泊者数は3700万人、旅行者の消費額、これは3兆円を目標に定めているところであります。
 関西での観光振興の課題は、外国人観光客は関西では増加しているものの、インバウンド消費の実に90%が大阪と京都に集中していることです。これを関西全体に波及させることが大きな課題で、そのため関西広域連合では関西観光・文化振興計画の変更を行い、都市部に集中しないで関西全体を周遊する計画を目指しているところであります。
 和歌山県にとってこれは好材料であり、和歌山県内にも外国人観光客が増加していますが、関西全体で占める割合は低いので、今後さらに誘客するための外国人観光客対策に取り組むべきだと思います。
 ただ、香港では3.5人に1人、台湾では5人に1人が既に日本を訪れているなど、今後は団体観光ではなく、個人観光に向けた受け入れ環境を整える必要が出てきていると言えます。個人観光客は専門的な考え方で観光地を選択する傾向にあるため、和歌山県の地域の個の魅力を発信することがさらに求められるのではないかと思います。
 そこで、1問目であります。
 関西で増加している外国人観光客を和歌山県に呼び込む方策についてお聞かせいただきたいと思います。また、和歌山県内だけの周遊コースの企画だけではなく、関西を周遊する中での和歌山県周遊コースが必要だと考えますが、関西を初めとする他府県との連携についても含めて、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 海外へのプロモーションにつきましては、和歌山県を旅の目的地として売り出す、広域周遊モデルとして和歌山県を売り出すの2つの視点を持って事業実施に取り組んでいるところです。
 現在、和歌山県では、26のターゲット国・地域を定め、職員が現地に赴き、そのニーズを把握、分析した上で、和歌山に行ってみたいという旅行動機を喚起するメディア対策や、和歌山への旅行手段となる商品化を目的としたプロモーション活動を展開しています。
 広域的な取り組みとしては、例えば、紀伊半島3県の歴史的、文化的な親和性を生かし、奈良県、三重県と連携した伊勢・熊野の周遊モデル、富裕層を対象としたラグジュアリーツアーとして京都市、奈良市と連携した世界遺産をめぐる滞在モデル、都市と農林山村体験をテーマに大阪府と連携したインバウンド教育旅行などに取り組んでいるところです。
 また、ラグビーワールドカップや関西ワールドマスターズゲームズ開催に向けた関西広域連合ニュージーランドプロモーションや、カンタス航空の関西国際空港就航を受けた関西観光本部オーストラリアプロモーションにも参加し、オール関西としての認知度向上にも取り組んでいます。
 今後とも、近畿府県や関西観光本部、日本政府観光局等と連携し、オール関西としての活動を強化するとともに、和歌山県に行ってみたいと思っていただけるプロモーション活動に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 先週の土曜日、関西広域連合がありまして、そこで、山田委員・京都府知事が、昨年の関西における外国人の伸び率が、関西全体では8%、東京がマイナス10%ということで、観光の分野では東京に勝ったということで、非常に議場にいる我々も感動したところなんですが、ぜひその伸びる観光客を、和歌山にぜひ誘客、引っ張ってくるという強い気持ちで臨んでいただければありがたいと思います。
 続けて、関西における観光客の消費額ですが、この90%が、先ほど言いましたように大阪と京都に集中しているということであります。和歌山県を訪れる外国人の購買意欲を促し、消費額をふやすための方策について、商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 観光客による県内消費拡大は、重要なテーマであります。最近の外国人観光客の消費動向を見ると、「もの消費」から「こと消費」へ移ってきており、急速な個人旅行化と相まって、体験型観光への需要が増大しています。
 体験型観光は、和歌山県の観光資源の特性や地域振興を考える上で最適なものと早くから着目し、その開発に取り組んできており、平成28年実績として、353の体験メニューに約35万人を超える観光客の参加実績が報告されています。
 インバウンドに関して見ると、主要観光地と体験メニューを組み合わせたモデルプランとして、熊野三山と古座川のカヌー体験や、高野山と写経・瞑想体験、白浜温泉と季節のフルーツピッキングなどが好評を得ているところですが、そのメニュー数は32事業にとどまっています。
 県では、より多くの外国人観光客に体験型観光を利用していただくため、体験事業者数の増加やメニューの拡大を目的とした研修会を開催し、受け入れ体制の充実を図っています。
 今後、体験メニューを組み合わせた周遊プランの提案、海外エージェントやメディアを招いたファムツアーの実施など、情報発信の強化と旅行商品化を促進する取り組みを行い、県内における滞在時間と消費の拡大を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この項目、3点目でございます。
 大きな課題の1つが、観光施策と飲食業界との連携がいま一つ弱いのではないかなという感じがしているところであります。
 例えば、和歌山市を訪れる外国人観光客は、直近5年で10倍に増加しているんですが、外国人が増加している割には飲食店に外国人が来られていない、来店していないというふうな状況があるようです。
 これは、観光行政と飲食業界との連携が図れていないことも1つの要因だと思っております。観光客が和歌山を訪れても、飲食店との連携が十分に図られていないことから、例えば、ランチやディナーなど、ホテルから出て飲食店で飲食を楽しむ、和歌山の食を楽しむ、その外国人客がふえていないように思われます。
 和歌山県、そして飲食組合、ホテル業界などが連携を図り、観光客が飲食店に来るような工夫ができないものでしょうか。観光客が宿泊地で飲食するためには、ホテル、飲食店との連携、飲食店の中でも、例えば、ライブハウスやイベントなどの情報提供などが必要だと思いますが、観光と連携した取り組みについて、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 観光客のさらなる追加消費を促すため、和歌山の夜の楽しみ方を提案することは急務と考えており、飲食店や夜のイベント情報の発信力の強化を目的とした特設サイト「night life in WAKAYAMA~和歌山の夜の楽しみ方~」──仮称でございますが──の立ち上げを準備しております。
 この特設サイトは、多言語で飲食店やライブハウスなど、民間事業者の情報をリアルタイムで提供するとともに、施設利用者の口コミ情報が確認できるものとして整備してまいります。また、商工会議所、商工会や飲食業組合と連携することにより、特設サイトへの参加数の増加を図っていきます。
 さらに、このウエブサイトの周知に当たっては、和歌山県の観光のゲートウエーとなっている「わかやま観光情報」、多言語観光サイト「Visit Wakayama」と相互リンクを行うとともに、観光案内所やホテルのフロント、客室などに案内ツールを設置してまいります。
 今後、特設サイトの充実により、飲食店情報や夜のイベント情報の発信力強化を行い、観光客による消費拡大に努めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 2点目の項目に入ります。薬物乱用防止についてであります。
 和歌山県は、薬物乱用防止のため、全国で先駆けて抑止のための条例を制定するなど積極的な取り組みをしていると思います。先日行われた公立学校での講演、「わかやま NO!DRUG!フェスティバル」を初めとする啓発活動を実施していることを頼もしく思っているところであります。
 そこで、第1問です。
 和歌山県では薬物違反の検挙が多いと聞きます。薬物違反の平成29年度の検挙人員などを示して、実際はどうなのかをお示しいただきたいと思います。警察本部長にお尋ねします。
○副議長(山本茂博君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 平成29年中の薬物事犯は184人を検挙、その内訳は、覚醒剤事犯が130人、大麻事犯が48人、麻薬等事犯が6人であり、前年比ではプラス19人で、特に大麻事犯がプラス29人と大幅に増加しております。
 検挙被疑者の府県別では、県内居住者が約60%、大阪府を初めとする県外居住者等が約40%です。
 薬物事犯は、窃盗、詐欺等の財産犯罪とは違い、被害申告のない犯罪で、県内における薬物乱用者等の実態は不透明な部分もありますが、今後も、県警の大きな課題の1つとして、薬物事犯の根絶に向け、供給元の壊滅と末端乱用者の検挙に向けた強力な取り締まりを推進してまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今の答弁をお聞きしまして、検挙率もさることながら、大阪など県外が40%という比率をお聞きしまして、これは県警として、多分さっき答弁にありましたように、入手元というんでしょうか、探ってるという意味だというふうに思いますんで、ぜひしっかりと、使ってる人よりもさらに上流というところまで踏み込む、そういう活動をお願いできたらと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 その上に立って、特に、若い人たちに向けては、薬物乱用防止の啓発とともに、危険ドラッグ被害の根絶に向けた取り組みを実施していると思いますが、それが和歌山県薬物の濫用防止に関する条例ですが、この規制による効果や、県民を薬物乱用、危険ドラッグから守るための方策について、これは知事からお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 悲惨な事故や事件につながる危険ドラッグの乱用は、県民の健康と安全を著しく阻害するおそれがあることから、県では、危険ドラッグによる被害の根絶を目指し、平成24年12月に和歌山県薬物の濫用防止に関する条例を制定し、全国に先駆け、他法令で禁止できない商品を迅速な規制ができる知事監視製品制度を設けたところであります。
 具体的には、インターネット販売サイトなどに対する徹底した監視を行いまして、お香などと称して身体に使用されるおそれがある商品を知事監視製品に指定し、県民への販売を規制しているところであります。
 こういった先駆的な規制により、県内にあった販売店舗を全て閉店に追い込んだこと、平成27年度以降、県内の医療機関から危険ドラッグによる健康被害事例の報告がないこと、一部のインターネット販売サイトが和歌山県民への販売を敬遠していることなど、大きな効果があったものと考えております。
 しかしながら、依然として次々と新たな危険ドラッグの販売がインターネット上で出てくるわけでございますんで、これを確認すると直ちに監視製品にして、今後も徹底的に規制を行っていく所存であります。
 また、薬物乱用防止については、薬物乱用防止指導員を約400名依頼しておりまして、地域に根差した啓発活動を実施するとともに、薬物乱用の低年齢化が懸念されることから、若いうちに薬物の危険性に対する理解を深めることができるように、小中学校、高等学校で予防教育に積極的に取り組んでるとこであります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ところで、和歌山市内に一般社団法人和歌山ダルクという薬物依存症の方の回復施設がありまして、社会復帰を目指すためのプログラムを実践してくれております。和歌山ダルクの特徴は母子で入寮できる回復施設であることで、これは全国で和歌山ダルクだけが有する機能、特徴ということになっております。
 この和歌山ダルクで活動している池谷大輔さんは、1月に県内の公立中学校で薬物乱用防止の講演をしてくれた方で、これ、僕も聞いてきたわけなんですけども、生徒の感想とかも聞きますと、非常に危険性、怖さがわかったというふうな話も聞かしていただきましたし、聞いている僕も感動するほどのいろんな経験とか、かかわった人との事例などを紹介してくれたというすばらしいものだったと思います。
 そして、同じく和歌山ダルクには、島田ゆかさんという方がいらっしゃいまして、この方は、2月、和歌山市内のライブハウスで開催した薬物乱用防止を若い人たちに訴えるための「ダメゼッタイライブ」、ここでパネラーを務めてくれて、実際、ダルクの活動とか、どうしたら回復に至る道はつけられるのか、こう熱心に説明してくれた方が活動しているところであります。
 この池谷さんは、月曜日から金曜日まで、薬物から回復するためのプログラムを、施設入居者の方々が早期に社会復帰できるよう講義をしてくれております。僕も講義を受けてきたわけですけども、入寮者の方と一緒に受けてきましたけども、池谷さんの講義の内容が、薬物の体験というよりも心を改善するような、そんなプログラムだったので、強く印象に残っております。
 そこで、入居者の1人の方にちょっと話をしたら、こんな話をしてくれておりました。プログラムの成果について、こんな話をしてくれました。「先日、こんなことがありました。道を歩いていたところ、後ろから来た自転車に接触されて転倒してしまいました。私は、けがはなかったので、自転車の人に対して大丈夫ですよと答えました。以前の私だったら──つまり、薬物を使用していた時代の私だったらということ、以前の私だったらということなんですけども──こんな事故に接触した場合、相手に対して文句を言う、汚い言葉でどうしてくれるんだというふうな、例えば、補償をもらえるようなそういう話をしていたと思います。しかし、今回は、心も穏やかに、相手に対して大丈夫だからと自然に言ったことを自分でも驚きました。このプログラムを受講した結果、内心の変化だと思います。社会復帰につながるものだと、とても感謝しています」、こう話してくれました。
 続けて、この方は、「私は、刑務所に薬物事犯で入っていたんですけども、受刑者の半分近く、半数近くが薬物で刑務所に入っていますよ」と、これ、女子刑務所の話ですけども、答えていただきました。
 それほど多いわけですが、問題は再犯率の高さにあると。2度、3度繰り返すことが問題で、この方は、「幸い和歌山ダルクというところで知り合えて、プログラムを受けられてるので、社会復帰のためのステップを踏むことができてるんですけども、多くの方は、社会へ復帰して行き場所がない、またもとの友人たちに囲まれてしまうとか、そういうことが問題ではないのかな」と、こういう話を、実は伝えてくれました。
 このように、和歌山ダルクでは、薬物依存症の人のための回復施設を有しておりまして、社会復帰のためのプログラムをしっかりとしてくれていると思います。
 和歌山県は、薬物乱用防止の啓発活動と予防に努めていますし、和歌山ダルクは回復支援を行っているところであります。この予防と回復の両方が大事な取り組みだと思いますから、和歌山ダルクのこれまでの連携、来年度からの連携についてお聞かせいただきたいと思います。福祉保健部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 一般社団法人和歌山ダルクとのこれまでの連携としましては、県が設置している薬物相談窓口において、相談者が抱える悩みを丁寧に聞いた上で、個々の状況に応じた治療や支援に関する情報を提供しており、特に、入寮による回復支援を希望する方については、和歌山ダルクにつないでいるところです。
 また、和歌山県精神保健福祉センターでは、和歌山ダルクと個々の薬物依存症者の生活環境の変化などの情報を共有するとともに、状況に応じた回復支援方法について緊密に意見交換を行っております。
 これからの連携につきましては、薬物事犯者は、他の犯罪に比べ再犯率が高く、社会復帰に向けた回復支援が大変重要であることから、県としましては、和歌山ダルクと回復支援に向けた課題の共有や対応策の検討を一層進めるとともに、他の民間支援団体や関係機関と緊密に連携できる体制を早期に構築してまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただきまして、この和歌山ダルクさんに入居されてる方の中で、先ほど話ありましたように、この方、女性の方ですけども、実際、昨年まで刑務所にいたと。その半数が薬物事犯だということで、出てからまた再犯、再犯と繰り返してるという状況を訴えてくれたわけです。
 例えば、こういった再犯の防止のために、県立医科大学の先生やとかいろんな方が入ってるわけなんですけども、和歌山ダルクさんなんかもそういった経験も知識も有しておりますので、例えば刑務所の中で講義をするとか、そんな機会も含めて連携をいただければありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 次の3点目でありますが、水素社会実現に向けた取り組みについてであります。
 ことしの2月、行政改革・基本計画等に関する特別委員会の視察で、水素の活用について行ってまいりました。
 まず、横浜市です。横浜市で実験を行っています横浜市風力発電事業は、平成27年から、地域連携・低炭素水素技術実証事業として、水素をつくり出し、貯蔵、必要に応じて供給する水素のサプライチェーンモデルの実証を行っている施設でした。
 実験では、風力発電で発電された電力を水素製造安定化システムで水素をつくり出し、貯蔵。貯蔵した水素を水素充填車で京浜臨海部の青果市場、冷凍倉庫、物流倉庫など、提携している企業の工場などの燃料電池フォークリフトで使っています。この水素サプライチェーンを全国で確立させるまでには、まだまだ長い時間を要するとは思いますが、横浜で未来型の実証を行っているなあということを感じました。
 和歌山県で実証実験を行いたいと思っても、事業環境が整っていないので直ちに実行することはできませんが、できるだけ早くこの実証実験を終えて、全国でこのサプライチェーンの仕組みが使えるようになってほしいなと思いました。モデルが完成すれば、地方都市でも活用を図れると思います。
 また、関西広域連合においても、首都圏と同じように水素エネルギー導入に積極的です。
 そこで、質問です。関西広域連合では、第3期広域計画では「関西圏における水素エネルギーの利活用の実用化に向けた広域的な取り組みの検討を行う」とありますし、関西創生戦略では「広域的な取り組みの検討、企業支援、普及啓発を実施する」とあります。和歌山県としてもこの取り組みに参画していると思いますが、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 水素は、利用段階で二酸化炭素を排出しないという環境特性を持っておりまして、また、さまざまなエネルギー源により製造でき、貯蔵、運搬が可能であるなど、海外の化石燃料に依存した我が国のエネルギー供給構造の多様化に寄与することから、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から、すぐれたエネルギーであるのは間違いないんだろうと考えております。
 現在、燃料電池自動車、水素ステーション、エネファームなどの普及により、水素利用が少しずつ広がりを見せている状況にありますけれども、一方で、水素を日常の生活や産業活動で広く利活用していくためには、技術面やコスト面など、まだまだ多くの課題があるのだろうなあということも推測いたします。
 議員御指摘のとおり、関西広域連合では、水素社会の実現に向け、これまで燃料電池・水素関連分野をテーマにしたフォーラムを実施するとともに、今年度は関西水素ポテンシャルマップの作成を予定しておりまして、水素エネルギーの利活用の拡大に向けた取り組みを進めております。
 和歌山県も、国や事業者等の動向を注視し、耳を高くして世の中におくれないようにしなければいけないと思いますし、水素社会の環境が整ってきた段階では、和歌山県の発展にとって足を引っ張るようなおくれが出ないように行動してまいりたいと、そう思っております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 また、この特別委員会では、芝公園近くのイワタニの水素ステーションの視察も行いました。ここでは、1日20台から30台程度のMIRAIが水素の補給に来ているようで、その多くは官公庁の公用車だったそうです。参考までに、MIRAIの場合、1回当たりの供給量は5キログラム、1キログラムの水素価格は1100円のため、1回当たりの費用は5500円、走行キロはこれで650キロだというふうに教えていただきました。
 水素自動車の普及は水素ステーションの増加が必要ですが、地方都市では水素ステーションが少なく、中でも関西においては、和歌山県と奈良県に水素ステーションが設置されていない状況であります。水素エネルギーは、地方自治体とエネルギー関連企業が協力すれば普及させることはできると思いますが、関西広域連合は日本最大の自治体なので、本気で取り組むべき課題であることを今回の視察とともに認識をしているところであります。
 この水素ステーションを視察したとき、水素自動車を普及させるためには官公庁が率先する必要がありますよと、これ、東京都の例を指してだというふうに思いますが、指摘がありました。しかし、関西の府県で水素ステーションがないのは、先ほど申しましたように奈良県と和歌山県だけなので、現状では、和歌山県民は水素自動車に乗る選択肢はないということになります。
 環境先進県を目指す和歌山県としては、未来のために水素ステーションの設置が必要だと思います。次世代自動車振興センターによると、水素ステーション設置のための補助制度もありますし、また、トヨタ自動車や岩谷産業など、11社が水素ステーションを整備する新会社を設立する計画があります。これは2022年3月までに全国に80カ所を設置するというようですから、和歌山県での設置の可能性はあると思います。
 公用車に水素自動車を導入することや、水素ステーションの設置について、知事の答弁をお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国は、2030年までに全国で水素を燃料とした燃料電池自動車を80万台程度まで普及させることを目標とし、その達成に向け、水素供給コストの削減や燃料電池自動車の量産化、低価格化等を進めることにしております。
 県としては、こういう動きに協力して、県内の燃料電池自動車普及促進のために公用車として導入することも実は考えたんでございますが、燃料供給地となる水素ステーションが県内にはなかったので、現時点では難しいとそのときは思いました。
 また、それじゃ水素ステーションをつくってしまったらいいじゃないかと、こういうことになるんですが、1つつくると4億円から5億円程度かかると、驚くべき試算が出てまいりまして、しかも、運用に年間4000万円から5000万円程度必要であると。で、補助制度を活用しても、その半分ぐらいは要ると、出さないかんと、こういうことでありまして、まあちょっと無理やなというふうに思った次第であります。
 一方、国では、現在、4大都市圏において重点的に水素ステーションの整備を進めておりますけども、昨年12月に示された水素基本戦略では、2020年代後半までに水素ステーションの自立化を目指すこととし、そのために、水素ステーションの整備・運営コストの低減等を通じた自立的な水素販売ビジネスの展開が必須としてるわけでございます。
 こういうふうに、水素社会の到来だということで、ちょっと時代の旗手だという感じで、割合、県費を使って積極的にいろんなことをしておられる県もあるんですけど、県の知事さんもあるんですが、どうもあんまりそういうことをやっているのは、ちょっと地方公共団体の役割とは違うんかなという感じもありまして、県民の懐も過度に痛ましてはいかんと。
 しかし、これは時代の趨勢としては間違いないわけだから、いつの時代にぱっと出ていくかということを、国や業界の動向、技術開発、燃料電池自動車の普及とかコストですね、そういうものについて、いつも注意深く情報収集に努めておきまして、本県にとって最も適した水素ステーション整備のあり方とタイミングについて深く研究してまいりたいと思っております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ちょうどこの委員会の視察でステーションへ行ってたときに、MIRAIが3台ぐらい入ってきて、供給して、さっと走っていくとこ見えまして、これを見ますと、未来のある和歌山県がいいのか、未来のない和歌山県がいいのか考えたら、未来のある和歌山県のほうがいいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、4点目であります。スケートボードについて質問をさしていただけたらと思います。
 東京2020オリンピックで正式種目となり、全国的に注目が集まってる競技がスケートボードです。スケートボード──以下、「スケボー」と言いますが──日本に入ってきたのが今から約50年ぐらい前、流行したのが40年ぐらい前だったと思います。ちょうど僕が高校生ぐらいのときにスケボーがよくはやっていた記憶があります。
 現在は、親子で楽しめるスポーツになっていまして、第2世代のスケーターがこの競技の主役になっています。昔、スケボーをやっていた親が子供とともにスケボーに復帰、週末は親子でパークに行って練習をする、やがて子供が大きくなって大会に出れば家族で応援に行く、こういったコミュニケーションの手段にもなっているようであります。
 練習場のある地域においては、この親世代が一役買っています。公園や広場に子供たちを呼び戻すために、地域にスケートボードパーク、スケートパークを計画いたします。ナイター設備があれば夜まで人は絶えずに集まりますし、そのパークには子供を中心として親も集まり始めます。そうして、昔の広場のにぎわいはよみがえってるようです。
 僕も、大阪の友人でスケボーやってる人が、練習、家族で行くからおいでよといって見に行ったら、驚くことに家族連れが本当に多くて、ちっちゃな子供たちも転びながら練習している、そういう現場にも出くわして、ああ、この雰囲気、和歌山にあったらいいなあというふうに実は思った次第であります。
 日本スケートボード協会によると、全国で公営と民営、合わせて練習可能な場所は500カ所あります。15年前は全国に30カ所だったことを考えると、スポーツとして広く認知をされ始めてきているのかなというふうに思います。
 ただ、和歌山県のスケートパークスポットというサイトがありまして、この一覧を見てみますと、7カ所のスポットが紹介されているだけで、公的な施設は田辺市にある扇ヶ浜公園にあるスケートパークだけという、少し環境が脆弱な状態に置かれていると思います。
 また、和歌山市内でもスケボーを楽しんでる人はたくさんいるようで、和歌山県スケートボード協会の役員の方に聞きましたら、市内だけで300人から400人ぐらいはいるのかなあと、こういう返事が返ってきました。
 スケボーは、東京2020オリンピック競技に採用されたように、今ではすっかりスポーツとして定着しています。スケボーをやっている若い人が練習場所を探すことに苦労している姿に接すると、和歌山県は若い人たちのスケボー練習場の整備への思いを理解してほしいなと思うところであります。練習環境が整わないから、競技をやめる、離れていく、そんな和歌山県であってはならないのだなと思います。
 スケートボードを愛する1人がこんなことを言っておりました。「東京2020オリンピックの競技となった今、和歌山県がスケボーへの理解を示してくれ、練習環境を整えてほしい、切に要望する」、こういう話がありました。この東京2020オリンピック開催までの機会を逃すと、この先長く和歌山県にスケボー文化を定着させることが難しいなという思いもしているところであります。
 ところで、この和歌山県スケートボード協会によると、スケートボードの競技はこんな紹介をしてくれてます。「スケートボードで養ったバランス感覚や身体能力を生かして活躍している各種スポーツのトッププロが数多くいます。例えば、平昌オリンピックで銀メダルをとり、私たちを感動させてくれたスノーボードの平野歩夢選手を含めスノーボードのトッププロ、磯ノ浦に代表するサーフィンのトッププロの中には、スケートボード出身だったり、オフのトレーニングにスケートボードを使っている人たちがいます。また、和歌山県からは、中学生でスケートボードのプロになった子供たちや世界レベルで活躍している子、オリンピック候補の子供たちも出てきています。そういった身近なプロの方との交流の場や、後に続く次世代の子供たちの活動の場としてスケートボードをするスケートパークは大変重要な効果をもたらします」、こんな説明をしてくれてましたが、意外と思ったよりも裾野の広いスポーツであることを示してくれるものであります。
 ところで、このスケボーというと、バンクというんですかね、こういうバンク、それが必要だと思っていたんですが、この競技とともに、階段とか歩道をそのまま利用するスタイルのストリート競技というのがありまして、ストリート競技であれば、既存の公園の一部を利用すればもうそのまま練習場になり得ます。理想はストリート競技場の横にバンクを設置し、両方種目の練習ができる施設なのですが、まずスケボーの練習場の確保と整備をすることが先決だと思います。
 若者文化に理解のない和歌山県、こんな印象をつけられると、ますます和歌山県に若い人が来てくれなくなったり流出する、そういったことも考えられますし、仕事と娯楽、余暇の楽しみ、行き場所などを備えておくことが、まちの機能として必要だと思います。
 ところで、和歌山市内にある片男波公園ですが、ここには噴水広場というのがありまして、当時、相当の予算を使って建設した施設というふうにお聞きしておりますが、現在は、噴水はとめられ、人が集まらない施設になっています。ここで若い人たちを中心にスケボーの練習をしているのですが、彼らに聞くと、スケボーの人以外にここを訪れる人はいません、こういう状況、状態だそうです。
 公園を維持するだけ──維持することももちろん大切なんですが、人に来てもらって楽しめる、交流する、憩える、そういう機能を果たしてこその公園だというふうに思います。片男波公園でスケボーの練習をしている若い人たちがたくさんいるのですから、使われていない噴水広場をスケボー練習場として活用を図ることで、競技者、見学者、家族連れ、そして県外からも若い人が訪れる場所になると思います。
 ここでスケボー競技していた人に聞いたところ、「片男波公園の魅力は、自然の中でスケボーを楽しめるところにあります。海で泳ぐ、スケボーする、夕日を眺める、こんな場所は片男波だけで、自然の中でスケボー練習場があれば、県外から人は必ずやってきます」、こう答えてくれました。片男波に行くとスケボー練習場があり、自然の中でスケボーが楽しめる、そんな話が若い人たちの間で交わされていると思うだけでも楽しくなってきます。
 練習場のある府県では、スケボー好きの親子や友人たちが楽しんでいる光景が普通にあります。そんな公園に人が集まりますから、当該地域にとっても、にぎわいと治安維持につながるメリットがあります。若者文化を理解して、家族、友人、そして当該地域の人たちのコミュニケーションの場としてスケボー練習場の整備を求めたいと思います。
 さきの3月1日、県内では公立高校の卒業式がありまして、僕も行ってまいりました。その中で、卒業生に贈る知事の祝電、これがありまして、こんなコメントを知事、していただきました。
 平昌オリンピック・男子エアリアル競技の田原直哉選手の紹介であります。田原選手は、体操でオリンピックを目指していましたが、右肩を故障したため体操を断念、一転、未経験のエアリアルに挑み、見事オリンピック選手になった努力の経緯を知事が祝電の中で紹介してくれました。この祝辞は卒業生や私たちに感動を与え、その結果、その直後、卒業生が言ったコメントの中に、「知事の御祝辞にあったように田原選手の努力を見習いたい」、すぐに答えたほど若い皆さんに影響を与えていたというふうに思います。
 知事の発言が若い人たちにこれからの生き方に影響を与えたのですから、田原選手のオリンピックまでの努力は、出場を果たしたことから私たちの知るところになりました。東京オリンピックを目指している、例えばスケボーに頑張っている選手たちは、今、努力の真っただ中です。もし出場を果たした場合、現在の努力の過程が全国に伝えられることになります。そのとき、和歌山県がスケボーに理解をしてくれた、練習場を整備してくれた、こう言ってもらえたらとてもすてきだなというふうに思います。
 スケボーを楽しめる環境を整えることは、若者文化の醸成、家族や友人との来場、交流の場の提供につながると考えますが、この観点から適地と思われる片男波公園への練習場を整備することも提案させていただきますが、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、スケートボードは東京オリンピックの正式種目になったことによりますます関心が高まっており、今後、楽しむ人もふえると思われます。スポーツということのみならず、新しい若者文化の振興にもなるというふうに確信をいたします。
 そのような中、スケートボードを練習できる場所の確保は、県民のスポーツの振興とか、にぎわいの創出という観点から非常に有意義であると考えております。
 実は、そういうのがないのでいろんなところでなさるわけなんで、県立美術館の前のタイルが割れたとか、そういうようなことも起こっていて、で、心置きなくみんなが楽しんで、それでみんなが集まるというところがあるといいなあというふうに思ってるわけであります。
 しかしながら、議員御提案の片男波公園のあるところは、それは違うのではないかというふうに私は思います。あれは、和歌の浦は、昨年、「絶景の宝庫 和歌の浦」として日本遺産に認定されるなど、あそこのストーリーは万葉の時代から続く日本を代表する景勝地だと、そういう雰囲気を味わってくれと、こういうことなもんですから、そこで、ちょっと別の文化のスケートボードががんがんなされるというのは、そういう雰囲気で集まってこられた人との間でミスマッチがあったり対立が起こったりすると思います。
 したがって、そんなとこにこだわらなくても、整備するならば、もうちょっと違うところをみんなでまた考えたらいいんじゃないか、それで考えた上で、ただそこでやるだけじゃなくて、みんなが集まって何かちょっと文化の集積地ができるような、そんなふうにするといいというふうに思っております。
 また、スケートボード練習場の整備を検討するに当たっては、場所のみならず、施設の管理主体は誰が担うのかとか、利用料を含めた施設を維持するための費用をどう確保するかとか、施設を運営していくためのスキームづくりが必要ではないかというふうに思います。
 つくるのよりも、むしろこういうことを愛好者の方々と一緒になって考えていくことが大事なんじゃないかなあ。とはいえ、県庁といたしましては、こういう新しい風には積極的に関与していきたいなと、そんなふうに思っとります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事の答弁をいただきまして、先ほど申しましたように、片男波というところが適地だということは申し上げたんですけども、公的な施設、民間も含めて、余りにもないということもありまして、1つの提案として出させていただきました。
 例えば、片男波公園だったら、今言いましたように、億円を使った公園のこの噴水ですね、(資料を示す)ここですね、この柵を取るだけで実は練習場になる。秩序を保ってできるということもありますし、今回、いろんなメールがスケボーの好きな方からいっぱい届けられておりまして、こんな方々の意見を例えば言いますと、スケボーという──スケボーだけじゃなくてスポーツ通じてということなんですけども──青少年育成、地元住民とのコミュニケーションの場、まちおこし、若者の誘因、観光事業、こんな観点からも効果があるよというふうな、こんなメッセージもいただいておりますし、例えば、ここで僕も勘違いしたらいけないのが、スケボーやってる若い人というのは、スケボーだけでやってるんじゃないんです。ふだんは仕事もしてる。高校生だったら勉強もしてる。和歌山市民であり和歌山県民なんです。
 仕事をしながら楽しんでいる。仕事も大事だからスケボーも楽しんでるんですけど、例えば、こんなもん全部だめだよと閉め出してしまったら、もしかしたら和歌山への、ふるさとへの愛着とか、そういうのがなくなるかもわからないということもありますんで、スケボーという新しい若者文化をしっかり理解をしていただきたいというふうに、まずは思います。
 それと、知事の答弁から、恐らく愛好者の方々と協議の場を持って、これから県も一緒になって進めていくんだというふうに僕は理解しておりますんで、ぜひ今後、そういった形で連携をして進めていただくことを強く要望させていただきまして、一般質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後2時39分休憩
────────────────────
  午後2時50分再開
○議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 では、一般質問に入らしていただきます。
 昨年10月22日の夜、紀の川市西脇地区で、施工された農道の崩壊により、下手に居を構えて住まわれておられました年配の方が死亡するという大変痛ましい事態が発生しました。
 この事案に対して、知事より所信表明の中で、冒頭、農道盛り土の存在が斜面崩壊の発生を誘発したと考えられるとの説明を受けました。その中で、本件は単なる自然災害ではなく、県として責任があると判断したとし、御遺族や被災された地域の方々へのおわびの発言がございました。
 県当局の施行工事で死亡者が発生した。あってはならない事故の発生で、真面目に生活しておられた県民の命が奪われました。取り返しのつかないこととはこのことで、被災された方々に大変申しわけなく、県議会に身を置く者の1人として、死亡された方と御遺族の方々に、深く御冥福をお祈りするとともに、心からのおわびを申し上げるところでございます。
 今後、県当局は、誠実に遺族に接していただくとともに、一日も早い対応を進めるべきと考えます。地元では、県の対応に不信を持ち始めている方々もあるやに聞きます。この上に不信を持たれるようなことでは困ります。早急に被災者に寄り添った解決を進めていただくことを提言しておきたいと考えます。
 それでは、一般質問に入ります。
 まず1点目ですが、南紀白浜空港滑走路の延長についてでございます。
 白浜町内に空港が建設されてはや50年になり、ことしはその記念イベントが開催されると聞いているところでございます。
 私が高校生のころ、白浜に空港をつくるという話があり、子供心にもわくわくしたことを覚えています。旧空港は、私たち地元の農家と、南白浜開拓団など入植した開拓団の方々が耕していた土地などを和歌山県が買収して建設するというものでございました。第2次世界大戦が終わり、まだ17~18年でした。まだまだ戦後、戦後と言われていた時代です。
 私の父や母が子育ての時代は、家に100円のお金もなく、みんな野良仕事に働きづめの日々でした。開拓団で入植された皆さんにとっても、山を打ち、畑をつくり、ようやく作物が育つことができるようになった命と交換と言えるほどの大切な宝物のような田や畑だったのです。その土地全てが空港をつくるための買収の対象になったのです。断腸の思いで和歌山県初の空港建設に協力された方々が多かったと聞いています。
 その空港も30年足らずで役割を終え、新しい空港がつくられることになり、開拓団で残っていた方々も2度目の買収でその姿を消しました。完成された空港は、地権者だった方々にとって血と汗と涙の結晶だったことでしょう。そうした思いの深い空港です。もっともっと県民の皆さんの役に立ってほしいと強く願う者の1人でございます。
 そうした中、白浜空港が国際ターミナルビルの導入に向けて対策が進んでいることは、県民の1人として大変ありがたく、将来に向けて有意義な対応だと考えています。
 さて、今日では、国際空港と名のつく空港の大方は、3000メートルの滑走路を持っています。白浜半島のあの地形からして3000メートルの滑走路は物理的にかなわないとしても、もう少し延ばすことができないのか。
 調べてみると、あと300メートル延ばすことができれば、例えば、ボーイング747-400D、ボーイング777-300、ボーイング767-300、エアバスA320、ボーイング737-700ERなど、それからダグラスMD-90-30など、現在就航しているエンブラエル170よりもっと大きな飛行機が、もっと多くの乗客と荷物をもっと遠くに飛んでいくことができます。
 飛行場の発展は、地域住民皆の強い願いです。決して大型化を望んでいるのではありません。大型の飛行機を望んでいるわけではありませんが、結果として、大きな飛行機の離発着が可能となるということであります。
 紀南地方の大切な第1次産業が大きく衰退する中、空港の持つ無限とも思える大きな力が紀南地方の衰退をとめ、県土全体の発展の支えになると信じているところでございます。大変困難が伴うことを理解しながらの提言です。当局の御見解をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の滑走路の延長についての御質問でございます。
 南紀白浜空港の滑走路の延長につきましては、これまでにも検討を行った経緯があり、その際、南側への延長は、海面埋め立てをした場合には近隣の安久川の河口に影響を及ぼすことや、相当な高さの盛り土となるため施工性に課題があるとして、検討の対象から外している経緯がございます。
 また、滑走路の北側への延長を検討した結果、新たな用地買収が必要であることや、民家等に近接するため新たな騒音問題や電波障害などが発生するおそれがあり、付近住民の理解を求めることが困難であることに加えて、多額の事業費を要するとの課題が整理されてございます。
 これらの課題につきましては現時点も状況に変化がないことから、南紀白浜空港の現在の滑走路を延長することは非常に難しいと考えてございます。そのため、現状の2000メートルの滑走路を有効に活用することが重要と考えてございまして、商工観光労働部と連携して観光プロモーションなどに取り組むとともに、現在手続を進めている南紀白浜空港民間活力導入事業で、チャーター便の誘致も含めた航空ネットワークの拡充を図り、交流人口の拡大による紀南地域の活性化を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 今、部長からそうした答弁をいただきましたが、ちょっと少し僕のほうから意見を申し上げたいと思います。
 海面を埋め立てる、私、300メートルの提案をさせていただきましたが、今の答弁を踏まえて、例えばの話ですが、200メートルを延長すると、これだけでも飛行機の機種の幅がかなり広がります。このことによって、今、台湾あたりまでしか飛ぶことができないと言われている飛行機がもっと南のほうに、もっと世界の国々に広がったところまで商圏といいますか、キャパが広がることは間違いありません。
 その視点で考えたときに、例えば、今、南のほうと言いましたが、埋め立てをしてと、そんなところまで延ばさなくても大丈夫です。これ、飛行場の図面なんですが、(資料を示す)例えばそこに50メートル、それから北側に、例えば300が無理だと言うんでしたら150メートル、十分いけますよ。答弁の中で、土地の買収のことであったりとか、騒音のことだったりとか、電波のことだったりとかおっしゃいましたけれども、僕は問題ないと思います。用地買収なんかも構わなんだら僕交渉に行きますよ。
 それから、新たな騒音問題や電波問題という話、僕は納得できません。今でも一緒です。それから、機種がふえるだけの話です。そら今1日3便が100便も200便も飛ぶようになると騒音の質と内容が違うかもわかりませんけれども、そんなことは僕は進められない理由の1つにしか聞こえません。
 我々、紀南地方の発展という言葉を使うとすれば、今を生きている我々が次の世代のために考え、取り組んでおかなければならない大事なことだと私は思います。本当に紀南のほうは、この和歌山市内あたりに住んでおるとわかりにくいかわかりませんが、第1次産業は、ほとんどもうほんまに行き詰まった事態になっています。こうした状況の中、紀南をこれからも支えていくとしたら、やっぱりこの先代の皆さん方がつくっていただいたこの南紀白浜空港をもっともっと活用することが我々の責任であると、私は強く思います。
 そういった意味で、御答弁いただきましたが、300メートルがそんなに難しいというお話でしたら、少し縮めてでも次の世代に可能性を残してやってほしいと強く要望しておきたいと思います。お願いいたします。
 次に入らしていただきます。南海トラフ地震、それから津波対策についてでございます。
 ことしに入って1カ月ほど前でしょうか、スマートフォンに南海トラフ地震に関する30年以内の発生確率が、70%とありましたが、70から80%に引き上げられたというニュースが一斉に配信されてきました。私のスマートフォンにも入ってまいりました。県民の多くが、改めてその発生率の高さにびっくりしたのではないでしょうか。
 正直、私も戸惑い、改めてカルチャー的ショックを受けましたが、80%とは一体どう捉まえるべきなのか。100%に近い80%であります。20%や30%ではない、もう間もなく地震が発生するというようなことなのか、まだ20%残っているので、まだまだ先だと考えればいいのか、いずれにしても油断していてはいけない。私は心の中ですぐ来ると考えておくべきとの結論としました。だとすれば、県民の命を守るために行政が考え、対策をとっておかなければならない事柄の進捗状況はどうなっているのか。地震や津波対策としてのロードマップとして、来る前、来たとき、その後を考えてみました。
 まず高台移転は、県内で計画されているものが全て完成しても移転対象物件の数分の1にも満たないと考えられます。正直、某まちの首長の話として、物理的に土地自体がないので、全住民が高台へ移転することは無理ですとのことでありました。私もそうだと思います。
 次に、インフラの1つである水道管の分断等により不足するであろう水の確保対策の1つに井戸水の活用が言われて久しいところでございますが、そのためには、まず県内各地にある井戸の確認と整備、そして住民に周知のためのマップづくりなども必要だと考えますが、進捗状況を教えていただきたいと思います。
 引き続き、地震による倒壊等によりけがをした県民の救援のための救急車等車両は十分確保されているのか。
 さらに、津波等により最大9万人もの死亡者が出ると推定され、公表されていますが、もしそうだとすれば、一時期に大量の遺体を火葬に付さなければならないが、火葬場の確保はどうなっているのか。
 さらに、大量に出ると考えられている瓦れきを速やかに処理することが、その後の復旧作業に大きな影響を与えると考えられていますが、2200万トンと推定されている膨大な瓦れきの処理はどうするのか。
 次に、障害者など災害弱者、とりわけ人工透析の方々は、最大限考えても2日以上透析ができなければ生き続けることはできないと言われています。現に透析を受けている方々は、地震や津波等発生後に生き延びることができても、電気や水道の確保が早急にできなければ生き続けることはできないという強い恐怖を抱き続けています。県内で透析生活を余儀なくされておられる方々の把握と対策を確認させていただきたいと思います。
 次に、地籍調査の進捗状況を教えていただきたい。以前もこの場で紹介いたしましたが、三陸沖大地震と津波の後、政府は復興のための多額の予算をつけましたが、マスコミ報道で復興がおくれているとの指摘が続きましたが、その大きな原因の1つが、地籍調査ができていなかったからでございます。
 地籍は、作業に着手しても完成まで最低4年の歳月がかかります。津波が引き、大量に発生するであろう瓦れきの整理がついても、地籍作業が終わっていなければその後の取り組み作業はストップしてしまいます。ストップしている期間が長くなればなるほど、他の場所で仮住まいのスタートを始めた方々は、もとの住まいに帰り、生活を始める気力も意欲も低くなってくることは、三陸沖地震その後の姿が物語っています。ほとんどの市町では、人口が大幅に減ったまま帰ってきてくれない市民を待ち続けています。住民が大幅に減少した中では、まちづくりが思いどおりに進まないのは当たり前です。町村にとって、災害による2次被害だと考えます。
 この項の最後に、復興には善意で駆けつけてくれる大勢のボランティアの存在は大変重要です。しかし、被災地の市町村では、ボランティアの態度や姿勢に対して、不満や批判的な話をよく聞かされます。直ちに復興作業を進めなければならない行政は、効率よくボランティアを活用できる力を持たなければなりません。県内のボランティアに対する指導と養成についての状況を確認させてください。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) まず、井戸の活用についてから御答弁いたします。
 井戸水は、地震発生時には水質変化することがあり、厚生労働省の通知においても、そのままでは飲用に適さないとされています。しかしながら、洗濯やトイレ等の生活用水として活用できるので、井戸水の確保は重要であると考えております。
 県は、地震発生時に開放していただける井戸の登録を市町村に勧めており、その結果、現在10市町でマップや標識等を用いて住民への周知が行われております。今後も市町村に対し、こうした取り組みを勧めてまいります。
 次に、不足する火葬場の対応についてですが、県では、災害による犠牲者ゼロを実現するため防災・減災対策に取り組んでいるところですが、一方では、大規模災害により多数の犠牲者が出た場合の対応も考えておく必要があると考えております。多数の犠牲者が出て被災市町村の火葬場の能力を超える事態となった場合は、県は被災市町村からの要請により、受け入れ可能な市町村に割り振りを行うこととしております。さらに、県内の火葬場の能力を超えた場合は、関西広域連合及び国に要請し、他府県の自治体に受け入れていただくことになっております。
 次に、瓦れき処理につきましては、県職員である災害廃棄物処理支援要員が発災後速やかに被災市町村に入り、瓦れき発生状況の情報収集や、その仮置き場の設置、運営などの初動対応を支援することとしております。
 なお、仮置き場につきましては、国の基本方針により、市町村は平時の備えとしてその確保に努めることとされており、県内市町村では、発災後速やかに開設できるよう準備を進めているところです。
 さらに、和歌山県災害廃棄物処理計画に基づき、協定を締結している和歌山県産業廃棄物協会等への支援要請、県内市町村との調整、近畿圏危機発生時の相互応援に関する基本協定に基づく関西広域連合等への応援要請を行いながら、早期処理に取り組むこととしております。
 次に、ボランティアの指導と養成についてでございますが、ボランティア活動に参加する際には、服装、食事、宿泊場所の確保からボランティア保険への加入といった事前準備、また、被災地での自己の健康管理や被災者への思いやりといった心構え、そして何よりも被災地の災害ボランティアセンターに頼らないという姿勢が重要です。
 昨年、北九州豪雨災害の復旧支援におけるボランティアの募集に当たっては、事前にそういった基本的な事項を示し、遵守することなどを参加条件としたところです。
 今後も、県や市町村等が主催する災害ボランティアに関するシンポジウムや養成講座等において、ボランティア活動の心構えや姿勢を習得できるよう、さらに研修の充実に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 負傷者の救急搬送についてお答え申し上げます。
 南海・東南海地震等、南海トラフを震源とする地震が発生した場合、県内全域に甚大な被害が想定されることから、県内の救急車両だけで全ての負傷者を病院等に搬送することは困難であると予想されます。
 このため、和歌山県など被害の大きい10県を重点受援県として、国が南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画を策定し、自衛隊や緊急消防援助隊、警察災害派遣隊など、最大15万人規模の実動部隊を、車両等さまざまな機材とともに救助・救援のために派遣することとしております。
 また、県では、これらの支援を円滑に受け入れ、迅速に災害対応を行うために、和歌山県広域受援計画を策定し、救助、救急、災害医療活動等における受援体制や活動内容を定めております。
 とりわけ、津波等により道路が寸断された場合には、空からの救助・救援活動が効果的であることから、和歌山県実動部隊航空部隊受援計画を策定して、機動力のあるヘリコプターを積極的に活用することとしております。
 いずれにいたしましても、南海トラフ地震など大規模災害が発生した際には、県民の命を守るために、直ちに自衛隊や消防等、ありとあらゆる機関の持てる資源を最大限に活用して、救助・救援活動を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 人工透析患者の把握と透析治療対策についてお答えいたします。
 県が把握している県内の人工透析患者数は、平成28年4月1日現在で3052名となっており、議員御指摘のとおり、災害時も継続的な治療が必要な方々であると認識しております。
 県では、災害時の人工透析提供体制の確保を図るため、かかりつけ透析医療機関で治療が可能かなどを案内するわかやま透析安心メールシステムを平成20年度から運用しています。このシステムにより災害時に、メール登録された透析患者の安否を確認するとともに、かかりつけ透析医療機関の透析可否状況や他の透析可能な医療機関の情報を配信します。
 今後、新規の透析患者の登録を的確に進めていくとともに、災害時に透析患者が確実にメールの受信、送信ができるよう、繰り返しメール配信訓練を行うことでこのシステムの実効性を高め、災害時の人工透析提供体制の確保を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 地籍調査の進捗状況につきましては、平成28年度末時点で41.7%であり、うち南海トラフ巨大地震で津波浸水被害が予測される沿岸部については、津波浸水想定区域における地籍調査5箇年計画を関係市町との協議により策定し、優先的に取り組み、現在46.8%となっております。
 特に、すさみ町以南については、すさみ─串本間の高速道路整備や、今後予定されている高速道路延伸に合わせて沿岸部の調査を推進しているところであります。
 本県の地籍調査事業予算につきましては、15年連続全国トップであり、近年は国全体予算の約1割を占めています。しかし、地震・津波被害などからの早期復旧・復興には地籍調査が不可欠であると考えており、国に対して予算の確保を強く要望し、進捗率の低い市町村に対しては、より一層の推進を強く働きかけてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁いただきました。
 まず、1つずつちょっと意見を聞いていただきたいと思います。
 まず、井戸水ですけれども、10市町村でマップや標識等を用いて住民への周知が行われているということですから、そうしたら30市町村ありますので、あとの20の市町村については、それがまだできてないということであるとしたら、これ、そんなに手間暇かからないと思うんで、こんなことのできることから本当に早く整備をしておいてほしいな。やっぱりそれが安心して生活できる環境づくりにつながっていくんだろうというふうに思います。
 答弁もありましたが、井戸水は飲用には使えませんけれども、洗濯やトイレや、そしてきょうの答弁にはありませんでしたが、やっぱり日本人ですのでお風呂に入るとかそんなときには、やっぱり井戸水の活用というのはすごく有効だというふうに考えていますので、ぜひ前向きに取り組みを早くこの手の作業を終えていただきたいと思います。
 それから、救急搬送の件ですけど、消防の車両というのを各市町村に1つ、2つみたいな、和歌山市みたいな大きな場所ではもっと台数が多いだろうというふうに思いますけど、非常時に絶対数が足りんように思うんです。これもやっぱり平時の今ごろから、消防の救急の車両と同じ救急救命士がおってそういうことはできなくても、例えば準じるような車両で、消防団の車であったりとか、何か緊急に対してですから、そのときにとにかく1分1秒でも早く病院に連れていってほしいと、そういう県民の人の強い必死な思いに対応できる事柄というのは、もっと幅広く考えてもらえたらどうかなと。
 いろいろ法律があって、簡単にそんなものに載せられんということがあるかもわかりません。だったら、その辺のところを、やっぱりこうした大災害のときには特例が認められるであろう、そんなふうなことなんかの作業もしといてほしいなと。ただ、その車両が走るだけでは、いわゆる救急車という車両とはまた違うわけですから、そんなことに対して、例えばちょっとワッペンみたいなものでもひっつけるとか、そのときに限って。これは、普通は一般の車両は走っては困るんだけれども、この消防団に所属するこの車については特例を認めて、十分でない搬送の役割の担いをするとか、いろいろほかにも考えられるんじゃないかと思います。そんなことも、本当に緊急事態のことなんですから、そうしたことに対して、平時にやっぱりいろんなことを想定した中でそういうことなんかも研究しといてほしいと思います。
 それから、1つ以前もここで議員さんが説明、いろいろ一般質問の中でもありましたが、ライフジャケットの話なんですが、私が住んでるところから南は、もう皆3分とか言われてまして、3分なんかで逃げることは難しいと思う。それは若い元気な人でしたら──マグニチュード9の地震が揺るという話ですから、これ一旦、一度、河田先生という防災学の権威に聞いたところ、「先生、一体全体マグニチュードって上幾つまであるんな」、9から9.1と言うから、「じゃ、先生、9.2ってどんな事態」と言ったら、「9.2のマグニチュードの直下型の地震が揺ったら、その上に人間がつくった構築物は一切存在しません」、そのぐらいひどい地震が揺る。
 その直前の9から9.1ということですので、皆、本当に大方の人は気が動転してる可能性もある。それで3分で移動するとなると、それもその家の横にあれば別ですが、現在のところ、以前の一般質問では、県内に600カ所ほどしかない。この100万人近く、90数万人生活してる県土の中で600か700しかないと。1桁、2桁違うなと。6万あると言うたてまだ大丈夫かなと思えるほどのことを考えます。
 そんなことも考え合わせたら、一気にできないということであるとしたら、せめてこのライフジャケットの配布を、もちろん行政が全部金出すというふうなこと考えなくてもいいかわかりません。自分の命を自分で守ってもらうという意味では、啓発をしていく。
 ライフジャケットの効用というのは、以前、議員さん方の提案もありましたので、私もその映像を見てみました。一度は海の中に巻き込まれるけど、2度目から巻き込まれない。だから、溺れ死んでしまうことはなくなる。そんなことで映像で確認しましたので、有効な命を守る政策の1つだろうというふうに思います。ぜひ、ライフジャケットの推進等ももっと積極的に検討いただいて推進をいただけないかと思いますので、お願いいたします。
 次に、火葬場の話ですが、火葬場も絶対数が足らな過ぎます。白浜の町で2万人そこそこですけれども、5基かしかありません。白浜の場合は、中辺路町だったりとかお隣の上富田町の遺体も白浜のほうで現時点でも火葬をしています。そんなにして、お互いが組合方式的にみんなが融通し合いながら──今はいいんです。だけど、やっぱり9万人も亡くなるというふうなこと、マックスの数字ですけれども、9万人も亡くなった事態を考えたときに、やっぱりもう1つ、2つ、真剣な内容の考え方があっていいんではないかと思います。
 やはりもう火葬というのは間に合わないと思うんです。やっぱり土葬をしていかなきゃならない。だけど、そういう緊急事態のときに、行政の職員といえども、何百何千と届き続ける遺体を埋葬すること自体、ただ埋めてええわけではなくて、埋めた後一定の期間が来れば掘り起こして、その人をその人の家族に必ず届けてあげなければならないとなるとすると、大きな作業がいっぱい残ると思います。
 DNAの鑑定をしなければならないとするとしたら、そういう髪の毛だったり爪であったりとか、いろんなものの用意もせんならんし、どんな状態で亡くなってたか、写真も撮り、遺体はまた間違うて渡すわけにはいかないから、もう骨になってしまった遺体を渡すとすると、やっぱりいろいろ輪っかというんですか、遺体がその特徴の遺体であるということを今度遺族の人が見えられたときにわかるようなことをするとしたら、相当な作業量だと思います。
 そんなことなんかも、望むことではありません。9万人も亡くなるというようなことを望むことではないですけど、我々はやっぱり平素からそうしたことも十分考えた中で、対応を考えていく必要があると考えるところであります。
 それから、瓦れきのことですけども、和歌山県産業廃棄物協会等の支援要請であったりとかいろいろ書かれてるんですけど、本当に2200万トン、ちょっと調べてみたんですけど、調べようもないほど膨大な量です。本当にこれだけの量が、今答弁いただいたような協会や何かのとこが、いわゆる受け入れてくれるんかどうか、どこにそんな場所を用意してるんやろうと。今現在、こういうことをお願いするとしたら、まず場所の確認なんかもできてなかったらあかんと思うんですが、僕、あるように思えません。やっぱりこんなことなんかも言葉遊び的なことじゃなくて、具体的にそのものが見えなければこういう話にはならないと私は思います。
 それから、次に人工透析の答弁ですけれども、実は、紀伊水道の大水害が起こったときに、龍神にお住まいの方で透析をされてた方が、すぐ早急に病院に行かなきゃならないとそういう事態になっていました。しかし、行政を通じて、これ先ほどの答弁で20年から運用してるということですので、あの紀伊水道大水害のときには既に運用が始まってたと思うんですが、うまくいかなくて、本当に死んでしまうんじゃないかということでやきもきしたと。幾らたっても来ないわけですよ。そんな事態がありました。やっぱりそんなこともありますので、平素からこうしたことのシステムがあるから安心と、こういうふうになかなかならないと思います。やっぱりシステムもきちんと定期的に運用実験というか、そんなことも積み重ねておいてあげてほしいと思います。
 そんな話を聞いてたら、透析患者の人にちょっときのう、いろいろもう少し情報を聞こうと思って聞きましたら、2つ、3つ。
 まず、わかやま透析安心メールの話なんですが、無理ですよと言いました。そんな大地震がいった状態の中で、携帯電話を探しながら外へ飛び出していく人、何人あるやろうと。家から放り出されたら携帯も持っていない、そんなことなんかも十分あります。だから、このシステムがあるから絶対大丈夫やみたいな話というのは、かなり難しいんではないかと思います。
 例えば、東北沖でのあの大津波の大地震のときに、その後500人ほどの透析患者の人が亡くなってるというふうに──津波から逃げられたんですよ。でも、その後亡くなってるわけです。それは、大勢の透析患者の人が押し寄せたから、1人に透析をする時間、3時間、4時間と限られた時間の中を2時間ぐらいでやってしもて、次の人があるわけですから、これをすると体力の弱い人から順次亡くなっていったと。
 そんなふうな数が500人ぐらいあったと、そういうふうに──患者さん方の情報網でとってる話ですので、行政からもらったデータではありませんので、少し幅があるかわかりませんが、いずれにしましても、透析の患者の方々が津波からせっかく命が助かったのに、その後大勢亡くなっていったと、そういうお話でもありました。ぜひ、そんなことも踏まえて、透析患者の皆さん方に対する対応の仕方なんかも、いま一度御検討を重ねていただきたいと思うところでございます。
 それから、地籍の話ですが、地籍もおかげさまで大分進んだんですが、これ、最近県のほうからいただいた地籍調査のマップです。(資料を示す)もう半分近くできたということなんですが、実は一番重要なとこが抜けてるんです。このほとんどは、例えば今度来るという地震、本当にそんな地震だったとしたら3分で来るという範囲がこの辺です。この辺は全部できていません。つくりやすいとこからやってる話で、データ上では、もう3割ほどのところが47%もできたわけですから、それは物すごく努力を、それぞれの市町村も大きな努力をしていただいたと思うんですけど、この一番重要な場所がほとんどできていない。真っ白です。やっぱりこんなことなんかも十分御検討いただいて、市町村の皆さん方にもっともっとそうしたことを踏まえた地籍調査の進め方なんかも県のほうからも指導していただきたいと、そのように思うところでございます。
 それでは、引き続きまして、一般質問の続きに入らしていただきます。
 次に、所有者不明土地対策です。
 近年、マスコミなどの問題提起があり、話題になっていることの1つに、所有者不明の土地があります。政府も深刻化する所有者不明土地問題の対策に本腰を入れ始め、1月19日、首相官邸で所有者不明土地問題をめぐる関係閣僚会議の初会合が開かれたと報道されていました。その土地の広さは、何と九州地方以上に拡大しているとの情報でありました。この不明土地の存在は、公共用地の取得など業務が滞る原因となり、また、大地震等発生後には復旧作業の大きな妨げになると考えられています。実態把握は、平時にこそ行っておく必要のある大変重要な作業だと考えます。
 平成28年度の地籍調査では、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の筆数や追跡調査の結果、最終的に所在不明な土地の筆数はどのぐらいあるのでしょうか。
 それから、公共事業の用地取得では、近年所有者がわからず、収用や不在者財産管理人制度などを利用し進められた件数はどのぐらいあるのでしょうか、お伺いをさせていただきます。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 地籍調査に係る所有者不明土地につきましては、平成28年度に地籍調査で実施した約6万1000筆に限り結果を申し上げますと、不動産登記簿上に記載されている情報だけで所有者の所在が確認できなかった土地は約2万1000筆であり、その後、追跡調査した結果、最終的に所有者の所在が判明しなかった土地は271筆となっております。
 なお、所有者不明の土地については、筆界未定となることから測量できず、面積を出すことは困難です。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 続きまして、公共用地取得に係る所有者不明土地についてでございます。
 所有者が不明な場合に法律に基づく特別な規定を活用して用地を取得する事例は、恒常的に発生することはございませんので、過去5年間の実績でお答えさせていただきます。
 県土整備部の事業において、5年間で土地収用法の不明裁決制度を活用して取得した事例は2件、また、民法の不在者財産管理制度を活用して取得した事例は5件となってございます。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 もう皆さん御存じだと思うんですが、せんだっての新聞です。(資料を示す)1面あけたところでしたか、こんなに大きなことが載ってまして、今答弁いただいたんですが、筆数という形での答弁をいただいた状況ですので、筆数ではそういうことかなというふうには感じるわけですけど、ただ、この新聞、じゃ、大分実態と違うこと書いてるのか、違い過ぎるやないのとちょっと思えるわけです。この新聞によると、このままの時代が続くと、後何年もしたら北海道ぐらいの土地が誰の土地やわからん土地になるぞという話です。このことを踏まえて政府は、先ほど言いましたが、関係閣僚会議的なことをしていると、大変な事態が起こってるからしてるということに思えるわけです。
 そして、今答弁いただいた、筆数でいうたら0.41と、そんなことかなとちょっと思うわけですけど、いずれにしましても、こういう状況が県内でも続くとしたら、いろんなことが生活にも支障も出てくることだろうと思いますので、視点も持っていただいて、これからも行政が仕事がすごく大きく広がって多難な時代ではあるんですけれども、ぜひ関心も持っていただいて、こうしたことの問題にも解決の方策をいろいろ御検討いただきたいと、そんなふうにお願いを申し上げまして、次に入らしていただきたいと思います。
 4番目に、続いて空き家対策についてお伺いいたします。
 空き家は、日本全国で公表されてる総世帯数──5245万3000軒があるらしいんですが──に対して一説に820万戸あると言われています。5年前に比べて63万戸の増加となっているとのことでございます。今後も空き家は増加していくと推計されていますが、その空き家の中でも棟がへこみ始めるなど、倒壊寸前状態にある空き家が県内でもたくさん見受けられます。当然、所有者が解体撤去すべきでありますが、簡単には事は進みません。
 その理由として、所有者がわからず連絡がとれないこと、解体費用が大きいこと、更地にすると固定資産税が4.2倍以上になることなど、それから一度解体をすると再建築ができない土地になる場合もある──道路幅が4メートルもなくて、その昔には通路さえあったら、牛が入るぐらいの道があったらその中に家があったと、そんなこともあったということなんかも理由のほうになるんかなと思いながらです──とのことが考えられます。
 空き家対策特別措置法という法律があり、特別危険度の高い空き家は行政処分の方策が提示されていますが、大方の空き家はその対象外に残念ながらなっています。県内の空き家戸数や空き家法を踏まえ、県民から苦情の来る前に生活の現状や実情に照らした対応と対策を考えていただきたいが、当局の御見解をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県内の空き家の現状と対応について御質問いただきました。
 県内の空き家は、平成25年の住宅・土地統計調査によると約8万6000戸、空き家率は18.1%となっております。適切に管理されていない空き家は、防災や衛生あるいは景観など、地域住民の生活環境に大きな影響を及ぼすことから、空き家対策は喫緊の課題と認識しております。このため県では、空き家対策の促進を新政策に掲げ、「どんどん使う」、「そのままキープ」、「新しく使う」をキーワードに、空き家の状態に応じた対策を総合的に促進することとしております。
 管理不十分な特定空き家等については、平成27年に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法で、市町村がその所有者等に対し、除却や修繕を初めとする必要な措置をとるよう助言・指導、勧告、命令することができることとなっております。
 なお、勧告がなされた特定空き家等については、地方税法に基づき、その敷地に係る固定資産税の住宅用地特例が除外され、解体した場合と同様の税額に上がることとなっております。
 このように空き家対策の主体は市町村とされているところですが、県も一体となって各種取り組みを進める必要があると考え、県、市町村、学識経験者等で組織する和歌山県空家等対策推進協議会を設立し、所有者等に対して、指導、勧告等を実施するための県下共通の基準を策定するとともに、現在、所有者等が不明、不存在の場合の対応マニュアルを策定しているところでございます。
 市町村の取り組みにより一定の成果があらわれているところですが、これらの基準やマニュアル等を用いて対策を強化いただくよう、引き続き市町村に働きかけてまいります。
 また、空き家を除却する場合の支援制度といたしましては、現在、県内12市町において、国の空き家再生等推進事業などを活用した建物の除却費の補助制度が設けられているところです。他の市町村でも制度化されるよう、国の支援制度の周知に努めているところでございます。
 県といたしましては、今後も市町村や関係団体の皆様と連携し、所有者等からの除却、利活用、適正管理など、多様な相談に対して個々の実情に応じ、具体的な助言を行えるよう相談体制の充実を図るとともに、県民の皆様に各種制度の周知に努めるなど、空き家対策に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁をいただきました。
 空き家対策も、やっぱり来ると言われてるそうした大きな災害を考えたときに、やはり倒壊に近いような状態の空き家というのは積極的に整理をしていただくことによって、災害が発生する減災のために、やっぱり1つ1つ、小さなことかわかりませんが、対策を講じていくことによって1人でも、それこそ知事がおっしゃってる命を守る、そういうことにつながっていく、小さないろんなことの積み重ねが大きな人命を助けていくことになると私は思うからでございます。
 そして、県内の12市町が既に補助制度を設けていただいてるということであります。あと、そしたら18の市町村がまだ補助制度がないと、こういう状態ですので、時代の新しい趨勢でもありますので、ぜひまた配下の市町村に積極的にこの補助制度を設けていただいて、もっともっと積極的にこの作業が進むように助言をいただき、指導していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そしたら、最後に仮想通貨の研究と対応についてということで、当局の御見解をお伺いしようと思います。
 ビットコインという表現を耳にして、きょう会場におられる皆さん方も久しい年月が経過したんではないでしょうか。私は、ビットコインというのは、いつもビットコインという表現で来たら、金塊の1つのコインが置いてるんで、あのコインのことやと思い込んでいましたけれども、現在の現物のコインではなく仮想通貨で、1つのわかりやすい姿としてああいうものが映像に出てきてたんだなと考えるわけですけれども、仮想通貨とは、そしたら考えれば考えるほどわけわからなくなってしまいました。
 識者の話では、どうやら2008年10月のリーマンショックあたりから取り組みが始まっておりまして、近年では世界中に広がっており、1000数百万人が利用しているとの話でもあります。また、新聞等の報道では、今使っている紙幣や硬貨など、いわゆる紙幣等は製造や維持管理費などに、これも新聞等の報道ですけど、年間2兆数千億円、更新もしていかなきゃならない、そんなことなんかの費用も含めてでしょうけれども、費用がかかっているとのことであります。だとすれば、仮想通貨が安定した支払い方法となれば、国にとっても大きな経費の節減になることが考えられます。
 仮想通貨のメリットは、現金と同じ感覚で使える、手数料がほとんど要らずに抑えられる、手続も比較的簡単である、匿名性が高い。それから、デメリットとしては、交換レートの変動幅が現時点では大きい、犯罪に利用される懸念があるなどとされています。いずれにしましても、識者の話では、今後数年で現在使われている通貨にかわって仮想通貨の時代に突入するとの話であります。だとすれば、県にとっても今後おくれをとらないスピード感で対応を考え、実施していただくことを、その必要性を思いますが、当局のお考えをお伺いしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 仮想通貨は、ブロックチェーンと呼ばれる最新技術を活用して第三者を介さず瞬時に送金ができるため、より安価な決済手段としての活用が期待されており、議員御指摘のように世界で広く普及されつつあります。さらに、仮想通貨に対する規制は国によって異なりますが、我が国においては、昨年4月に資金決済法が改正され、一定ルールのもとで取引が行われています。
 しかしながら、仮想通貨は、円やドルなど国が発行する法定通貨と異なり、特定の管理者がおらず、その価値を国は保証しておりません。また、現段階では決済手段としてよりも投機対象としての性格が強く、利用者には取引所の破綻や価格の暴落といったリスクを十分理解した上で、自己責任において取引を行うことが求められています。
 このようなことから、県としては、現段階で仮想通貨の活用については考えておりませんが、将来的に可能性のある決済手段の1つと考えておりますので、引き続き情報収集を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 もう時間もないので。
 答弁をいただきました。これで県庁の職員の方々にいろいろ聞くと、ほとんど誰も知らない。このことに対してきちんと話を聞ける人がほとんどなかったというのがちょっと僕の実感です。
 繰り返しですけど、こういうことに取り組んでる識者という立場の方々の話では、今、仮想通貨革命が起こっていますと言ってます。あと2~3年で日本全国で仮想通貨で決済をする日が来る、5~6年で日本から1万円札はなくなっていくであろうと、そう言われてる方々は結構多いんです。
 それを踏まえて、2017年の4月に国も世界に先駆けて改正資金決済法なる法律までこしらえて、これ根拠なかったら、そういう動きのそういうこともなければ、国はこんな法律までつくりませんよ。もっとつくってほしい法律がたくさんあるのを置いといて、こんな法律を先つくって、こうして育成もしながらこの日を迎えています。
 で、この間のコインチェックですか、あの話もそんなん笑い飛ばしている人があります。あんなもん、何か大きな革命が起こるときに痛みの苦しみというか、そういうことはしょっちゅう起こってると。だから、そのことがあったから全体がだめになるような話ではない。全体の川の流れはそうじゃない。きちんと川の流れにさお差すような物の見方、考え方では全体を見失ってしまう。
 例えば、車の自動運転の話ですけど、我々ほん3~4年前まで車を人が運転せんと走るような時代ら来るなんて、仮にそんなこと言うてもばかにしましたよ、そんなことなることないわと。毎日、目を光らして両端見たり後ろ見たりしながら、それでも事故が起こってるわけですよ。必死になって自分の車を守りながら、相手の車を傷つけんようにと、事故起こさんようにと、そのエネルギーって大変だと考えてます。
 それでも、もう5年ほどしたら運転手が要らん時代が来ると。こんなことが起こっていくわけですよ。そしたら、この仮想通貨のこのことなんか、本当にその部分から比べれば、まだ私は軽いほうの分かなと。
 ちなみに、ちょっと白浜でこの研究会をつくっておりまして、白浜で仮想通貨で決済できる店をふやしています。全国でも結構もうできているらしいんです。そういう方々の、講演をいただいてる方の話では、せめて和歌山県が仮想通貨の先進県と言われるぐらいの取り組みをしてみたらどうでしょうかと、損する話ではありませんよ、今、投機の対象となってるようなことになるので、あれ危ないな、ばくちみたいな話やなと思いがちかもわかりませんけれども、今は過渡期でそういうふうなことが吹聴されてる状態でありますけど、落ちついてきたら、これはすぐにまた落ちついた日が来ると、こういうことであります。
 ぜひ、「立谷、あほなこと言うて、この場所で」とお思いかもわかりませんけれども、一度こんなことを研究される、4000人の職員の方がおられるわけですから、兼務の状態でもいいと思うんです。このことをやっぱり考えている部署もある、そんなふうなことの御検討いただくことをお願い申し上げまして、一般質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時49分散会

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