平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録
第4号(全文)
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平成30年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
平成30年3月5日(月曜日)
午前10時開議
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(41人)
1番 中西峰雄
2番 秋月史成
3番 立谷誠一
4番 泉 正徳
5番 前芝雅嗣
6番 花田健吉
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 川畑哲哉
10番 玉木久登
11番 濱口太史
12番 鈴木太雄
13番 尾﨑太郎
14番 藤山将材
15番 尾崎要二
16番 中村裕一
17番 岩田弘彦
18番 中本浩精
19番 服部 一
20番 山本茂博
21番 冨安民浩
22番 吉井和視
23番 堀 龍雄
24番 中 拓哉
25番 岸本 健
26番 森 礼子
27番 谷 洋一
28番 新島 雄
29番 岩井弘次
30番 多田純一
31番 片桐章浩
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 山下直也
35番 山田正彦
36番 菅原博之
37番 谷口和樹
38番 奥村規子
39番 雑賀光夫
41番 坂本 登
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
40番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 宮﨑 泉
危機管理監 藤川 崇
企画部長 髙瀨一郎
環境生活部長 山田成紀
福祉保健部長 山本等士
商工観光労働部長 山西毅治
農林水産部長 原 康雄
県土整備部長 森戸義貴
会計管理者 野田孝雄
教育長 宮下和己
公安委員会委員 中野幸生
警察本部長 宮沢忠孝
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 江川和明
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 田村公一
議事課長 松山 博
議事課副課長 武田 稔
議事課議事班長 岩谷隆哉
議事課主任 保田良春
議事課主任 岸裏真延
議事課主事 浅田晃秀
総務課長 糸川 徹
政策調査課長 中平 博
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午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
28番新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。項目が随分多いので。早く終わるんだろうと、皆さん思ってないでしょうね。
きょうは、きのうの天気が随分とよかったもので、冬がもう終わるのかなあというような思いをしたのですが、けさから雨で、風で、少しセットが乱れました。
今、議長のお許しをいただきましたので、本日のトップバッターとして質問を始めさせていただきます。
1番目は、命にかかわる問題として、県が率先して取り組んでほしいと願い、質問をいたします。
今議会には、子育てに頑張っている若い人たちを対象にすばらしい支援策も出ています。今、私は若い世代を皆さんとともに応援したいと考えています。子供たちが元気に力強く育っていくことを心から願っています。そこで、子供たちの食生活、給食について考えてみたいと思います。
「早寝早起き朝ごはん」、いい言葉です。簡素にして必要なことを伝えられるすばらしい標語だと思います。そして、大切なことだとも思います。今の時代には忘れてはならないことだと思いますし、昔の給食は栄養をとるための大切な食育だったと思いますが、私のころと比べて現在では、栄養は十分満たされているのではないかと考えます。それがゆえに、過剰摂取になったりして小児肥満や糖尿病など、大人の病気が子供に出たりしています。
考えてみれば、私の小さいころには、サッカリン、チクロ、そういう甘味料がありました。問題あり、そういうことで使われなくなりましたが、今思えば、私とか仁坂知事なんかは随分とったんではないかなあと思っておりますが、健康に過ごさせていただいております。それとは別に、アトピーとかぜんそくとか、私の時代にはなかった子供の健康に関する問題点が指摘されています。
少子高齢化が進む中、産みやすく育てやすい環境づくりは必要になってきています。大切な子供たちを元気に大きく育てるのは大人の使命であると考えます。これからの次代を担う子供たちが伸び伸びと成長してくれることを願っています。
ならば、せめて高校生になるまでの期間だけでも大好きな給食を友達と楽しくとることができたら、こんなすばらしいことはないと思い、食物アレルギーに悩む親や子供に対して私たちは何ができるか、考えてみたいと思います。
ある事件の話をします。知っている方もいらっしゃると思いますが、平成24年、食物アレルギーを有する児童が学校給食後にアナフィラキシーショックの疑いで亡くなるという残念な事故が起こりました。メニューは、牛乳、ワカメ御飯、肉だんご汁、ナムル、ジャガイモのチヂミ。学校の給食室でつくられたチヂミの中に、その女の子が食べるとアレルギー反応を起こす粉チーズが使われていました。
学校では、アレルギーに対応した工夫をしていました。チーズが大丈夫な人は緑色のトレー、だめな人は黄色のトレーと、チーズを抜いてつくった除去食を担当者が直接手渡します。ここまではよくできたシステムです。
アレルギーのある子供の場合、担任が確認するリストを用意していました。どこでどう間違ったのか、子供は余ったチヂミを欲しいと言い、皆と一緒に粉チーズの入ったチヂミを食べてしまいました。曖昧な部分は残りますが、本当に痛ましい事故であったと思います。
このような話をすると、どの学校も保育園でも、どんな先生でも尻込みをして、避けたい、かかわりたくない、親に任せたいと思うのが普通だと考えます。それが行政においても同じことが言えるのではないかと思います。危ない目をして対応するなら、初めからさわらないでおこうと考えるのは人の常です。ただ、子供たちにとっては、給食を友達と一緒に食べられないのは寂しいことだと考えますし、それが万が一いじめにつながらないか、心配もいたします。
この件に関して、今後の課題として考えられるのは、保育園と学校と担当者が話し合う面談が毎月1回でも開催されれば、随分とリスクは軽減されるのではないかと思います。
それでは、その不安を取り除くのは何が必要か。それは実態を知り、講習を受け、研修をする以外に方法はないと考えます。しかし、食物アレルギーに関する勉強会や講習会はまだまだ消極的なように感じています。調べてみると、お医者さんの中にもアレルギーに関して深い知識を持っている先生や専門的にかかわっている先生も少ないようですが、年々子供たちの食物アレルギーはふえているのが現状であります。
また、子供のアナフィラキシー症状を抑える1つとして、エピペンという自己注射薬があります。子供の反応に極端な異常を来したときに用いる自己注射薬です。医師からはちゅうちょなく打つよう指導をされていて、子供は怖いから嫌がるようですが、このエピペンを医師と保護者の依頼により学校や保育園に保管することも必要ではないかと考えます。現在、学校や保育園ではどのような取り扱いになっているのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
次に、県内における食物アレルギーに関して、対処方法の統一性についてお尋ねをいたします。
子供たちが通う学校や保育園は多種多様でありますし、地域により違いも出てくると考えます。また、対応方法も代替食の提供とか除去食の対応、アレルゲンの含まれないものだけを提供し、代替食は家庭で対応する方法とか、アレルギーのある子供は全て提供しないでお弁当を持参してもらうなど、対応がさまざまであります。
ある保護者の方の言葉では、「昔は栄養補給のために給食があった。これは体の栄養であり、栄養が行き届いた今、給食の役目は皆で配膳を楽しんで一緒に食べる心の栄養だ」と言われました。その上に、こんなことも。「教育現場は大変でしょう。これ以上の面倒はとなるかもしれませんが、教育にかかわる人たちから発信していただくのは一番大切ではないかと思う」とも言っておられます。
子供たちは、皆で食べる給食が楽しみなんです。その給食を、和歌山県に住む子供たちが、どの学校へ行こうと、どの保育園であろうと、同じように笑顔で楽しむことができることを私は望みます。
また、和歌山県より食物アレルギーに対して先進的に取り組んでいる他府県はどの程度あると考えているのか。言いにくい質問と思いますが、進んでいる他府県よりももっともっとよい方法で子供たちを守っていきたいと思います。先進事例を参考に、さらなる進歩した和歌山県になりたいと思います。
そういえば、先日、新聞の広告に、「乳成分の表記漏れについて 乳アレルギーが生じるおそれ」との新聞広告がありました。この場合、新聞広告で成分の記入漏れを広告しておるんです。テレビ・ラジオ等全ての媒体を使って知らせる必要がないのかなあ、そんなことを思いました。現在ではルールや法律、どうなっているでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
次に、少し違った観点から食物アレルギーに関して考えます。いつ起こるかわからない東南海・南海道地震などの災害時における対応です。
東日本大震災では、多くのアレルギー患者が必要な食料を手に入れるのに大変苦労したと聞いております。特に避難所に届く物資の多くは、アレルギー成分が含まれており食べられなかったり、成分の確認ができず食べることができなかった事例もあります。せっかく災害から守った大切な命、最後まできっちり災害対応したいと考えます。
熊本地震の折は、食物アレルギーの患者が福岡まで買い出しに行かなければならなかったとか聞いています。こんなとき、どのような対応をするのか。備蓄している食材についても気になるところですし、他府県では、食物アレルギー防災カード等を配布していると聞いていますが、和歌山県での対応はどうでしょうか。
大変多岐にわたり質問をいたしました。項目は皆さんのお手元にお配りをしておりますので、担当部局から適切な答弁を求めて、第1問を終わります。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長山本等士君。
〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 議員御質問の福祉保健部関係の4点のうち、まず、1点目の食物アレルギーの定義についてお答えいたします。
食物アレルギーとは、特定の食物に含まれる物質に免疫機能が過剰に反応してしまい、生体にとって不利益な症状が惹起される現象とされております。具体的には、食物アレルギーは卵や牛乳など特定の食物を摂取した後、じんま疹などの皮膚症状、せきなどの呼吸器症状、嘔吐などの消化器症状といったアレルギー症状を引き起こすとともに、時にはアナフィラキシーと呼ばれる生命にかかわる全身性の重篤な症状を引き起こす現象とされております。
次に、2点目の県内でエピペンを処方されている子供の数及び学校・園におけるエピペンの取り扱いについての御質問のうち、保育所等における状況についてお答えいたします。
県では、保育所等における食物アレルギーを有する児童への対応につきましては、厚生労働省が平成23年3月に策定した保育所におけるアレルギー対応ガイドラインに基づき、保育所等職員、保護者、嘱託医等の共通理解のもと、適切な対応を行い、アレルギー疾患を持つ児童の保育所等での生活が安全・安心なものとなるよう指導しております。
県内公立の保育所及び認定こども園に入所する児童のうち、アレルギー疾患によりエピペンを処方されている児童数は、平成30年2月1日現在で26名です。
保育所等におけるエピペンの取り扱いについては、医師の指導を受けた保護者からの依頼があった場合、エピペンを保育所等内で一時的に預かり、万一保育所等において児童にアナフィラキシー等の重篤な反応が起きるなどの緊急時には、その場にいる保育士がエピペンを使用することとなっております。
なお、保育所等に対しては、保護者との面談や生活管理指導表、緊急時個別対応票の作成等により、日ごろから児童の症状を把握するとともに、緊急時の対応について確認を行い、適切なアレルギー対応を行うよう指導しております。
次に、3点目の県立医科大学附属病院小児科での取り組みについてお答えいたします。
県立医科大学附属病院小児科では、小児科を有する他の医療機関と同様に、日常の診療において食物アレルギーが疑われる子供に対し、まず問診や血液検査などによりアレルギー原因の特定に努め、次に除去食の指導や抗アレルギー剤による治療など、食物アレルギー疾患の適切な診断と治療を行っています。
また、エピペン処方を受けた子供への対応につきましては、県立医科大学附属病院小児科が中心となり、平時はかかりつけ医と医大を含む各医療圏の基幹病院小児科が子供の医療情報をあらかじめ共有し、緊急時には基幹病院に緊急搬送するなどの体制を構築済みであることを確認しております。
最後に、4点目の備蓄している食糧のアレルギーへの対応状況についてお答えします。
県では、東海・東南海・南海3連動地震などの大規模災害に備え、従来からアルファ化米やパンなどの食糧の備蓄を進めていますが、調達する際には、避難された方が安心して食べられるよう、味のバリエーションを考慮しつつも、アレルギーには配慮して備蓄食品を選択する必要があると考えています。
この考えのもと、これまでアルファ化米の御飯につきましては白米と五目御飯を購入していましたが、五目御飯には大豆が含まれていたため、平成27年度に購入を取りやめた結果、新たに購入するもの全てがアレルギー表示対象品目を含まないものとなっています。また、パンにつきましては、アレルギー対応の備蓄食糧に関する情報を収集する過程で卵を含まない缶詰パンがあることを確認したことから、本年度からこれに切りかえたところでございます。
こうした取り組みによりまして、本年度末時点で、備蓄食糧のうちアレルギー表示対象品目を含まない食糧の割合は約3割となったところであり、引き続き、避難された方が安心して食べられるような食糧の備蓄に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 御質問の8点について、一括してお答えいたします。
本県の学校における食物アレルギーへの対応方針は、文部科学省による学校給食における食物アレルギー対応指針に基づいて県教育委員会が策定した学校におけるアレルギー疾患対応指針としております。
指針では、アレルギーを有する児童生徒も他の児童生徒と同様に給食時間を安全にかつ楽しく過ごすことができることを目標としており、校長を責任者としてアレルギー対応のための委員会を設置し、情報の集約及び対応について組織的に取り組むこととしております。
次に、保護者と学校の担当者との面談の実施につきましては、アレルギー疾患に関して、学校での配慮、管理を要する事項について、保護者から提出された学校生活管理指導表の内容に基づき、学校の基本方針と対応内容について共通認識を図ることを目的として実施しております。
次に、県内でエピペンを処方されている児童生徒数は、平成29年度は261名で、平成23年にエピペンが保険適用になって以来、増加しております。処方されているエピペンの学校での取り扱いにつきましては、児童生徒みずからが常時携帯する場合と、保護者からの依頼により預かる場合があります。
次に、本県のアレルギー対応における新たな取り組みとして、エピペンを処方された児童生徒がアナフィラキシーショックを引き起こした場合を想定し、あらかじめ主治医から紹介された救急病院を受診しておくことで、速やかに適切な医療を受けられる体制の整備を行っております。
次に、食物アレルギーに関する研修会につきましては、アレルギー疾患に対する理解とエピペン等を使用した緊急時の対応を徹底するため、毎年3地方において順次開催しております。研修の対象である管理職や養護教諭、栄養教諭等は、2~3年に1度受講できるよう設定しており、毎年200名程度が出席しております。さらに、各学校においても、学校医や学校薬剤師の協力を得て、教職員を対象に研修会を実施しております。
次に、学校給食における食物アレルギー対応につきましては、給食の原材料を詳細に記した献立表を事前に配布する詳細な献立表対応、食物アレルギー対応が困難な場合の弁当対応、原因食物を給食から除いて提供する除去食対応、除去した食物に何らかの食材を代替して提供する代替食対応の4つがございます。各学校等においては調理場の実情に応じて対応しており、いずれの対応におきましても、原因食物の完全除去対応を原則とし、安全性を最優先にしております。
また、除去食対応等を行う際は、専用の容器に名前を記載したり、トレーの色を変えるなど、取り違え等が起きないよう工夫するようにしております。
次に、献立の作成に当たっては、複雑で煩雑な調理作業とならないよう原因食物の使用頻度を減らしたり、原因食物を使用しないようにするなど検討が行われております。
最後に、食物アレルギーに関する学校、調理施設及び人員等の環境整備につきましては、原因食物の混入防止対策の一環として、県の指針に従って、市町村教育委員会は食物アレルギー対応の充実のための環境整備等を行うこととしております。各市町村では、大規模な改修や人員の配置が必要なため整備されにくい状況ではございますが、適切な食物アレルギー対応を行うための環境整備の必要性について、県の指針に基づき、各市町村教育委員会に働きかけてまいります。
今後も、安全・安心でおいしい学校給食の提供を通して、全ての子供たちが笑顔で給食を楽しむことができるよう、引き続き市町村を指導してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) アレルギー物質の記載漏れ等があった場合、企業はどのような対処をするのか、現在のルールは、法律はについてお答えいたします。
アレルギー物質は、消費者が食品を摂取する際の安全性に重大な影響を及ぼす事項の1つとして食品表示法でその表示が義務づけられており、消費者の生命と健康を守るために緊急の必要がある場合、直ちに事業所への立入調査を実施し、事業者に食品の回収やその業務を一時的に停止するよう命じることとなります。
しかしながら、実際には、アレルギー物質の記載漏れの多くは、回収命令が出される前に事業者による自主回収が行われております。
また、消費者への周知につきましては、回収命令の場合は当然のことですが、事業者から自主回収の着手報告を受けた際にも、当該食品の流通量や流通範囲に応じた広報媒体を使って迅速に行うよう指導することにより、消費者の安全確保に万全を期しております。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 避難所における食物アレルギーのある避難者への対応についてお答え申し上げます。
県では、東日本大震災や熊本地震等、大規模災害の教訓を踏まえ、市町村が避難所を適切に運営できるよう市町村避難所運営マニュアルモデルの充実、見直しに取り組んできたところでございます。
議員御質問の食物アレルギーのある避難者への対応につきましては、本マニュアルモデルにおいて適切に食事が提供されるよう、避難された方々から食物アレルギーの有無について避難者名簿等により情報収集を行うことや、食事に小麦、そば、卵などのアレルギー原因となる材料が少しでも含まれている場合はその旨を明示するなど、配慮すべき点を示しております。
また、議員御提案の食物アレルギー防災カード等につきましては、避難者が食物アレルギーがあることを周囲に的確に伝えるための有効なツールとなるものと考えており、その普及も含め、引き続き市町村に適切に助言してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今回、この質問をするに当たりまして、たくさんの保護者の方にお話を聞きましたし、職員の皆さんにもいろいろと教えていただきました。言葉の説明からどういう状況をいうのかまで、事細かに教えていただきました。自分なりに勉強もいたしましたが、なかなか簡単にはいかない問題だなあということを感じました。
関係のある部局が連携をしなければならないこともあります。未来ある子供たちのためには、今、我々が次の世代のためにもよりよい方法や安全なシステムを考えなければならない。県内のどこに住んでも、どんな学校でも保育園でも、同じ対応をした給食が提供されることを願っています。住む場所によって対応が違うということがないことを目指さなくてはならないと思いますし、そのためには、県が中心となり、同じシステムをつくり上げることが必要と考えます。皆でそこを目指して頑張りたいものです。
今後、一歩一歩でも着実に前進することを望みますし、全国に誇れるシステムを私たちの和歌山でつくり上げたいと思います。御協力をいただきたいと思います。
引き続き、次の質問に入ります。
2問目は、県営住宅の今後についてであります。
今、テレビ、新聞、ラジオ、毎日のようにどこかで火事が起こっています。2月10日、岩出市で県営住宅で火事があったのは記憶に新しいことであります。残念なことに死者が出る火災であり、那賀消防本部は現在、原因の調査を進めていますが、まだ結論には至っていないようです。高齢者が多く住む県営住宅は、今後どのようなことが必要となり、何に注意をし運営をしていかねばならないのか、考えさせられる事故であります。
また、札幌市内の高齢者が下宿する建物火災で11人もの人々が亡くなりました。痛ましいことであります。何が悪かったのか、同じような事故が起こらないか、高齢者でも避難しやすいか、避難経路や安全点検は済んでいるのか、高齢者が多く住んでいる県営住宅のことが心配であります。
また、高齢者の方が火事に巻き込まれて亡くなることはつらく悲しいことでありますが、逃げおくれることが一番の原因と考えます。高齢者が逃げやすい県営住宅とは、どのような建物でしょうか。
今後の県営住宅については、老朽化と建てかえの時期を見ながら進めていくのでしょうが、現在建てかえの準備に入っている県営住宅はどの程度ありますか。
今でも高齢者にとって住みにくくなっている県営住宅があるのではないでしょうか。その建物は4階でも階段しかなく、エレベーターがあれば高齢者の方も障害者の方も住みやすくなるのかなあと思いますが、建てかえの予定がないか、リフォーム等でエレベーターをつけるとか、何か住みやすくなる方法を考えたり、高齢者の場合は1階と2階に住んでもらい3階以上は若い人たちの生活空間に変えるとか、何か工夫をしないと住みづらくなっているように感じます。御見解をお示しください。
また、県営住宅における駐車場のことで質問をいたします。
車の保有台数は、現在、1家1台よりも1人1台という時代になっているように思います。駐車場として十分併設されている県営住宅はどの程度ありますか。不足している駐車場はどの程度あると考えていますか。今後、何らかの方法で駐車場をふやす考えはありませんか。多くの住民が期待しているようにも感じますが、お考えをお示しください。
いつの時代も、どこに住むか、多くの人が住みかを求めています。人口が減っていく中ですが、より便利な場所に住みたい、安全な場所に住みたい、家賃の安いところを探して住みたいなどなど、要望はたくさんあると思います。その要望に一度に全て応えることは不可能だと思いますが、県民が願っていることを少しでも早く現実のものにしてほしいと思います。
古くて安全に問題があっても、安いからといって住まざるを得ない人がいます。私は、そこにも手を差し伸べる必要があると考え、質問をいたします。
以下、5項目に関して質問をいたします。
県営住宅の安全点検はどの程度行われているのか。避難経路や安全対策は十分進んでいるか。高齢者が逃げおくれないための方策は何か。老朽化している県営住宅はどの程度あるのか、建てかえを予定している県営住宅は、駐車場の考え方は。県営住宅における今後の基本方針は。
担当部局からお答えをお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 5点について、県営住宅に関する御質問を頂戴いたしました。
まずは、県営住宅の安全点検についてでございます。
県営住宅で行われている安全点検につきましては、消防法第17条3の3に基づき、消火器具や避難はしご、連結送水管等の機器点検を6カ月ごとに、自動火災報知設備の作動確認などを実施する総合点検を年に1回実施してございます。また、建築基準法第12条等に基づきまして、共用部分の非常用照明設備などを毎年点検しているところでございます。
続きまして、避難経路や安全対策についてでございます。
県営住宅に入居される方に対しましては、入居時にお渡しする「住まいのしおり」で避難経路や避難方法をお知らせするとともに、階段や廊下などの共用部分やベランダへ物品を置かないこと、火災発生時には消火器などで初期消火に努めること、家族や近隣の住戸などに火災を知らせ、避難を促すことなどを注意喚起させていただいているところでございます。
また、中高層の県営住宅では、火災時の避難経路として、各住戸の玄関から避難する方法に加え、ベランダの隔壁を蹴破ってバルコニーを経由して垂直避難口や他の住戸から避難する2方向の経路を設けてございます。
さらに、今回の火災を受けまして、改めて防火対策等を記載したチラシを作成し、団地自治会を通じ、全ての県営住宅入居者の方々に周知したところでございます。
続きまして、高齢者が逃げおくれないための方策についてでございます。
火災が発生した場合に逃げおくれないためには、早期に火災に気づくことが大事でありますので、県営住宅全戸の居室に住宅用火災警報器を設置しているところでございます。また、中高層の県営住宅に住んでいる方々で、高齢などの理由により階段の上りおりに支障があると感じ、低層階への住みかえの希望がある場合には、各団地の状況を踏まえ、適時対応しているところでございます。
今後、定期的な団地単位での避難訓練の実施や災害時に住民相互で助け合いができるような共助の体制づくりについて、団地自治会とともに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
次に、老朽化している県営住宅と建てかえを予定している県営住宅及び駐車場の考え方についてでございます。
県営住宅の老朽化につきましては、全管理戸数69団地5254戸のうち、建物の耐用年数の半分を経過したものが約6割という状況でございます。今後の県営住宅の建てかえ事業につきましては、和歌山県営住宅長寿命化計画に基づき、建設期が昭和50年以前のものについて、立地や居住性を勘案して3団地130戸の建てかえを検討してまいります。
駐車場整備につきましては、平成17年度から整備を進めており、現在は40団地を完了し、整備済み団地での充足率は約9割となってございます。今後も、駐車場未整備団地において駐車場整備を順次進めるとともに、建てかえに際しても、住民のニーズに応えられるよう可能な限り駐車場の整備を進めることを検討してまいりたいと考えてございます。
最後に、県営住宅における今後の基本方針についてでございます。
県営住宅は、低額所得者で住宅に困窮する方々にとって居住のセーフティーネットとしての大きな役割を果たしていると認識しており、これらを適切に維持管理、更新していくことが重要だと考えてございます。今後も、県営住宅長寿命化計画に基づき、外部改修などによる改善事業で建物の長寿命化を図りつつ、建設年度の古いものについては順次建てかえを検討するとともに、その際にはエレベーターを設置したり住戸内のバリアフリー化など設備の充実も図り、高齢者の方から若い世代までの幅広い県民の皆様が安全で安心に暮らすことのできる質を確保した住宅の整備に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 県民は、県営住宅にある意味、希望や夢を持っていると思います。我が家がここにある。家族で過ごす場所があることは大変うれしいことですし、ほっこりする場所、人生のためにも必要なことだと考えています。県民の思いを形にして、県民が笑顔で過ごせることを願っています。
高齢者が住みやすい県営住宅、若い夫婦が元気で働ける県営住宅、小さな子供たちが声を上げて笑い、走り回ることができる楽しい県営住宅、県民が健康になる県営住宅を目指してほしいと願っています。
では、最後の質問に移ります。条例案件として提出されている民泊に関して質問したいと思います。
この質問、もう何度か私はしてきて、もういいかなと思ったこともありましたが、最後の、条例案が出てきましたので、今議会に提案されている住宅宿泊事業法施行条例案について、知事にお尋ねをいたします。
昨年6月16日に公布された住宅宿泊事業法が、本年6月15日に施行されます。その準備行為として、3月15日から届け出が、必要になりますので、この法を実施するために制定された条例案であります。
昨年の9月議会において、いわゆる民泊について知事に質問をいたしました。内容は、違法民泊に法の網をかぶせ、適正に運営をしていくための法整備をどうしていくのかという質問であったと思います。民泊で観光客がふえるのはよいが、県民の生活環境に悪影響を及ぼさないように適切で迅速な対応を事業者に指導していくとの答弁でありました。
その後、政令、省令が出され、12月にはガイドラインも示されました。私の考えでは、地域住民と観光客、事業者の三方がよしとなることが必要と思っています。地域の実情に応じ、生活環境に配慮した民泊の運営がなされることを願っています。条例案に込めた知事の思いをお聞かせください。
次にもう1点、知事の考えが今回の条例案にどう実現されているのか、より具体的な内容をお尋ねいたします。
特区的に先行して実施をしている地域は、周辺住民とのトラブルが多く報告されているようであります。大変大きな事件も起こっているようであります。そんな事態が起こらないよう責任ある管理運営を求めるとともに、問題発生時には迅速に対処することは当然のことと思います。具体的にどう規定されているのか、お答えを願いたいと思います。
また、条例の一部を3月15日から施行する必要があり、早期の議決が必要とのこと。その理由についても環境生活部長より答弁を願います。
観光立県を目指す和歌山県にとって、民泊とのつき合いは大変大切と考えます。法を守り、秩序を守ることで、民泊が市民権をいただけると思いますし、ホテル、旅館と協力してこそ和歌山のシステムとして認められると考えます。すばらしい答弁を期待します。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県においても訪日外国人が増加しておりまして、これらの人々のニーズに対応するとともに、地域の活性化に資するものとして、住宅宿泊事業法が制定されたことについては評価をしたいと思います。
しかしながら、住宅宿泊事業によりこれまでの県民の暮らしと住環境に悪影響を生じさせないようにし、安寧な県民生活を守ることが最も重要なことであると考えております。こうした観点から、法律には次の3つの課題があると考えております。
第1番目は、法的安定性の確保についてでございます。
住宅宿泊事業法及び政令、省令におきましては、事業者の届け出事項に適正な事業遂行のための措置が明定されておりません。その後、抽象的な文言で、事業者はこういうことを守りなさいということを書いてあるんですけれども、数値的なことが書いておりませんで、具体的にどこまでやったら守ったことになるのかが不明でございます。そして、いきなりそれを地方公共団体が監督せよということになってるわけでございます。
国においては、施行要領、いわゆるガイドラインですね、これを出して、こう守ってくれと、こういうふうに言っておられるわけですが、法律的なことからいえば、これは行政庁が期待する運用指針にすぎないので法的安定性に欠けます。
2つ目は、地方公共団体の権限についてでございます。
同法の条文上、地方公共団体に委任されておるのは、法が定めた年間180日の事業の実施を条例により区域と期間を定めてもっと制限できるということのみで、地域の実情に合わせた制度設計を可能とする条文上の権限が書いてないわけでございます。これでは、地域ごとに異なるバックグラウンドを十分に考慮した制度づくりが、まあできないわけじゃないんですけど、しにくいという問題があると思います。
3つ目は、事業者の管理責任についてでございます。これが一番大事だと私は思っております。
住宅宿泊事業を有効活用して健全な観光振興を図るためには近隣の生活環境との調和を図ることが必要でありまして、問題が発生した際の対応は、住宅宿泊事業者あるいはそこから委任を受けた管理業者が責任を持って行うべきものだと考えております。
旅館業法の規制のもとにある旅館、ホテルあるいは民宿、これはこういう管理をちゃんと事業者がやってくれてるわけでございます。だから問題が近くの住民に拡散することがないわけですが、民泊で事業をするときでも旅館などのように誰かがちゃんと管理をしてくれないと、そのとがは住民とか、あるいは市役所、あるいは町役場、あるいは警察などに行くと予想されます。
とりわけ問題になるのが家主不在型の事業の場合でございまして、これは事業者がトラブル発生時に遅滞なく当該住宅に駆けつけてくれるかどうかということが重要であります。それを実現するためには、国はガイドラインを出してるんですが、車でいいからとにかく30分とか、渋滞したら60分でもいいとか、そういうように言うとるんですが、これなんかちょっとどうかなというふうに思います。
これらの問題に対応するためには、事業者が守るべき客観的な規範を詳細かつ具体的に初めから条例で決めておきまして、これを届け出のときに適正に守るということを自分で証明する書面を出してもらいまして、これをもって適正な運営を行わせることを考えました。そういうことを定めた住宅宿泊事業法施行条例案を今議会に提案してるわけでございます。
繰り返しになりますが、これまで旅館やホテルでは、旅館業法に基づき適正な管理が行われており、これが大変なことだったわけでございます。この条例案のもと、住宅宿泊事業においても同じようにそれにふさわしい適正な管理が確保できるものと考えております。
なお、当県におきましては、住宅宿泊事業を用いた観光の一層の振興はもとより望むところでございます。かつ、地域の実情から、京都みたいに混み合うとかそういうことではございませんので、過密、混雑等による弊害もあんまり考えられないので、この条例案では、事業者が定める規範を守れば、全県において年間、法律の定める180日までの住宅宿泊事業はしてもよろしいというふうにしたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長。
〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 事業者の管理責任を具体化する規定につきまして、まず、事業を始める前に自治会等への説明と周辺住民の反対がないことの確認を義務づけております。さらに、家主不在型の住宅宿泊事業の場合には、管理者を、マンション等で営む場合はその施設内に駐在させることを、戸建て住宅の場合はおおむね徒歩10分以内の範囲に駐在させることをそれぞれ義務づけます。
また、宿泊者にごみ出し等のルールを遵守させることなどとあわせ、地域住民とのトラブルを未然に防止するために遵守すべき事項を証した書類を事業開始届け出時に提出することを義務づけております。
次に、早期議決をお願いした理由についてでございますが、住宅宿泊事業法が3月15日に一部施行され、準備行為として知事への届け出が可能となっており、法との整合性を保つためには同施行条例の一部を3月15日に施行する必要があることから、それまでに議会の議決をお願いしたものでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 大変、民泊については多くの問題点を抱えながらの僕はスタートだと思っております。そのためにも、さらなる指導監督が必要ではないか。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
最後に、少し時間をいただきまして、お話をさせていただきたいと思います。
先日、ある人と話をしていた折、和歌山市の印鑑登録証明書に男女の記載が必要なのかと問われました。「うん?」と思いましたし、必要ないかなあとも思いました。実は、手元にその書類も持ってきてくれました。確かに性別の欄がありました。印鑑登録の証明に男女、必要ないんかなあと今思っておりますが、こんなことを考えたことがありませんでした。
私は、ふだん何げなく行っている行動の中にも、人にとっては大変苦痛に感じる不要なことがあるんだということを思いました。
そこで、職員の方やたくさんの人に御協力をいただきながら、県庁の中である申請書類をちょっと集めていただきました。全部ではありませんが、結構職員さんたちは集めていただきました。しかし、その中には、個人で申請をする部分では男女の性別の表記はありませんでした。安心をいたしました。
性別が必要な書類とは何なのかと問われたのです。現在、求人広告には性別を書けません。書ける場合は大変限られた場合だけであります。その上、日本国憲法には、何人も職業選択の自由を有すると書かれています。しかし現実は、男性と女性は一緒ではないんではないか。その同じではないということを理解した上で、機会は同じに、権利も同じにということだと思います。同じように助け合い、平等で協力し合い、すばらしい社会をつくりましょうと言っているんだと思います。
ただ、その思いとは別のところで悩み苦しんでいる人も、少数ですがいることも事実です。その人たちは、組織も持っていません。本当に一握りの人たちです。だから、ほっといていいかということで話が終わってしまうと、何か悲しいです。
ただ、この人に言われて気づいたことは、我々が十分意識をして取り組まなくてはわからないことだと思います。公のことで苦しんでいる人がいることを私は知ることができ、うれしい反面、気配りの足りなさを痛感いたしました。
県庁内の各部署において、不条理なことがないかどうか再度の確認もしていただきたいなあ、そんなことを思います。まだまだ見落としていることも多くあると思います。気づいたときに直しておかないと、ずるずると同じことの繰り返しをしてしまいます。どうか、おかしい、不思議だと思ったときには、すぐにその疑問を解決して、少しでも心地よい方向に直していってほしいと思います。
和歌山県内どの行政でも、全ての県民に優しく納得のいくようなことを進めてほしいと願っています。これが今回、私の小さな小さな要望であります。
これで、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
29番岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 おはようございます。
早速、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。今回も、住民の方々からいただいた声を何点かお伺いいたします。
まず、交通安全対策についてお聞きします。
近年、幹線道路などの道路交通網の整備により、車等による移動の利便性が格段とよくなりました。私は楠見地区に住んでおりますが、第二阪和国道・紀の国大橋がなかったころ、特に朝の通勤時は、交互通行の南海橋や少し遠回りをしての北島橋を渡って紀の川を越えるのに約40分、時には1時間ほどかかっていましたが、今は多少の混雑があっても10分余りで越えることができるようになりました。生活道路としてではなく、物流や観光などにも大きく寄与しております。
他方、県道西脇山口線において第二阪和国道と交差する大谷ランプは、朝夕の混雑時や土曜、日曜はほぼ終日渋滞し、その抜け道というか渋滞を回避するため、周辺の生活道路、狭隘な道路をスピードを出して通行する車両が多くなってきております。特に朝夕は子供たちの通学時間とも重なり、事故等の心配をする声があります。
大谷ランプの渋滞、混雑については、地元からの要望などもあり、現在、関係各所が御努力いただいていると聞き及んでおりますが、渋滞、混雑が少しでも解消されれば回り道をする車両の減少も期待されますので、その解消に向けて鋭意御尽力いただきますよう願うものであります。
幹線道路の渋滞、混雑による生活道路への流入を避けることは困難です。安全確保のため、通行速度を抑制することを目的として、車道と歩道の間にポール等を設置し道幅を狭くする狭窄や、緩やかな傾斜をつけたハンプといった対策もありますが、狭くなる、段差ができるといったこともあってか、警察庁によりますと全国で129カ所の整備にとどまっております。
また、安全走行を促す方策の1つにゾーン30があります。ゾーン30は、2006年9月に、埼玉県川越市の生活道路で車が保育園児らの列に突っ込み、21人が死傷するという痛ましい事故を受け、導入されました。2017年3月末時点で、全国に3105カ所が整備されております。
私も県庁へ来るとき、いつも北側から南側へ向かってこの北別館のほうに入ってくるんですが、ちょうどファミリーレストランあたり、ちょうど宇治田先生の道場の前を通るとき、路面に「ゾーン30」という標示を見て、いつもぐっと身を引き締まるといいますか、ブレーキを踏みつつ低速で入るのを毎日感じております。
交通事故による死亡者数は、1992年以降、シートベルトやチャイルドシートの義務化、エアバッグなどの安全装備や救命救急体制の充実により減少傾向にあります。特に乗車中の死亡者は、大きく減ってきています。
しかし、歩行者が犠牲となる──済みません、申しわけございません、ちょっともとへ戻ります。飛ばしました。
幹線道路の渋滞、混雑による生活道路への流入を避けることは困難です。安全確保のため、通行速度を抑制するいろんな方策がとられております。今申し上げましたゾーン30は、2006年9月に導入され整備されました。歩行者の安全を守るため、通学路などの生活道路で区域を定めて車の最高速度を時速30キロに制限するというもので、警察庁の調査では、区域内の交通事故が整備前に比べて2割減少した導入効果が報告されています。県庁の北西部一帯もこのゾーン30に指定されています。入り口付近の路面に大きくその標示がされており、ドライバーに対しても安全意識の啓発になっていると思います。
そこで、お伺いいたします。本県におけるゾーン30についての整備状況とその効果について、警察本部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
警察本部長宮沢忠孝君。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 初めに、ゾーン30の整備状況についてでございますが、本県におきましては、平成24年度から、主として小中学校等の通学路を含む区域などを選定の上、順次ゾーン30の整備を進めてきたところであり、平成30年2月末現在、21カ所の整備を行っており、3月末までにさらに3カ所の整備を予定しているものでございます。
次に、ゾーン30の効果についてでございますが、平成28年までに整備した14カ所のゾーン30内における人身交通事故の発生状況を整備前後1年間で比較してみますと、整備前33件であった人身交通事故は整備後26件と21.2%減少し、死亡事故・重傷事故では、整備前7件であったものが整備後4件と42.9%減少しておりますので、一定の効果が認められているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
車の乗車中の死亡者等の事故について、けが人等は車自体の安全装備の充実等で減ってはきておりますけども、ただ、歩行者が犠牲となる事故の減少幅は小さくなっています。そこで、焦点となるのが、歩行中事故を未然に防ぐ生活道路対策であります。幹線道路と比べて事故発生箇所が分散しているため、点や線ではなく、面的な対策としてゾーン30は特に有効な取り組みだと考えます。
どのような取り組みにおいてもそうですが、ゾーン30が効果を上げるためには、速度規制など、その対策によりそこに暮らす住民が少なからず影響を受けますので、住民の参加が重要になります。また、住民を交えることで交通安全に対する相互理解と意識の向上にもつながり、より効果を上げることにもなります。地域での合意形成を大切にしながら、ゾーン30を柱とした安全対策により取り組んでいただきたいと思うものですが、警察本部長にお伺いします。ゾーン30について今後の方針はいかがなものか、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) ゾーン30は、生活道路における交通安全対策として、区域内における自動車の速度抑制や抜け道として通行する車両の抑制等を図ることにより、歩行者等の安全を確保する有効なものであると考えております。
したがいまして、今後におきましても、地域の方々の御意見や道路交通環境等を踏まえながら、道路管理者と連携し、適切な場所への整備に努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。今後とも、通学路等の生活道路の安全確保に努めていただきますようお願いいたします。
次に、特殊詐欺事犯について伺います。
報道によりますと、昨年、全国の警察が把握した振り込め詐欺などの被害額は減少しているものの、被害件数は7年連続で増加し、オレオレ詐欺が再び増加するなど、依然高水準となっています。
有料サイト利用料などの架空請求詐欺や還付金詐欺などの被害額は約15%から20%減少していますが、オレオレ詐欺は21.7%増加し、被害金額は約203億4000万円にも上り、統計が残る2004年以降で過去最悪を更新したとありました。特に65歳以上の被害は2102人増の1万3163人で、全体の7割以上を占め、中でもオレオレ詐欺と還付金詐欺では9割以上となっています。
これだけあらゆる媒体で防止対策が講じられているにもかかわらず、高い水準で被害が発生している。これらの許しがたい卑劣な犯罪に強い憤りを覚えます。
そこでお聞きしますが、本県においても特殊詐欺事犯が増加傾向にあると伺いました。その現状と対策について、警察本部長、お答えお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 昨年、全国における特殊詐欺被害の認知件数は1万8201件、被害総額が約390億3000万円で、前の年に比べ件数は4047件、28.6%の増加、被害総額は約17億4000万円、4.3%減少したものの、依然として高水準となっております。
一方、本県における認知件数は95件、被害総額は約2億1468万円であり、前年より認知件数は32件、50.8%の増加、被害総額は約1648万円、8.3%の増加と、認知件数、被害総額ともに増加しており、厳しい状況が続いております。
95件の特殊詐欺を手口別に見てみますと、架空請求詐欺が39件と最も多く、次いでオレオレ詐欺の28件、市役所職員等をかたった還付金等詐欺が20件などとなっております。また、特殊詐欺の被害者の約6割を65歳以上の高齢者が占めているという現状にあります。
特殊詐欺に対しましては、県警察は検挙と抑止の両面で対策を講じております。検挙面では、だまされたふり作戦等により、昨年は12人を検挙しております。抑止面では、自治体やラジオ局からも御協力をいただき、防災行政無線やラジオ放送による注意喚起を行っているほか、防犯メールや警察官による巡回連絡、昨年4月から運用を開始している特殊詐欺被害防止アドバイザーによる出前講座の開催など、さまざまな機会を捉えて広報啓発活動を実施しております。
また、金融機関やコンビニエンスストア等の事業者とも連携協力しながら、水際における被害防止対策もあわせて推進しているところであります。
県警察では、刻々と変わっていく犯行手口や被害の実態をよく分析して、被害に遭わないための注意点を県民の方々にタイムリーに伝え、この種犯罪に対する抵抗力を一層高めていただくための方策を今後も推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
手口は多岐にわたりまして、また巧妙化しております。このような卑劣な犯罪に対して、あらゆる手だてを使って未然に防止できるよう、引き続き御尽力いただきますようお願いいたします。そして、特に高齢者世帯等に対して、定期的に被害防止啓発パンフレットなどを配布するといったような周知徹底もあわせてお願いいたします。
それでは、次に、いじめ対策について伺います。
いじめの定義の変遷は、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における定義として、昭和61年度からの定義は、「この調査において、『いじめ』とは、『自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わないもの』とする」ということに始まり、平成6年からは、「学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」を削除し、「いじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと」を追加しました。
そして、平成18年度からの定義としては、「本調査において、個々の行為が『いじめ』に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。 『いじめ』とは、『当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。』とする。 なお、起こった場所は学校の内外を問わない」となり、ここでは「一方的に」「継続的に」「深刻な」といった文言が削除され、「いじめられた児童生徒の立場に立って」「一定の人間関係のある者」「攻撃」等について注釈を追加しました。
その注釈には、いじめ防止対策推進法の施行に伴い、平成25年度から以下のとおり定義されています。「『いじめ』とは、『児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。』とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。 『いじめ』の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である」となっています。
悲しいかな、いじめは、このような時代背景の変遷を経て、形を変えながら今も存在しています。時に、いじめられる側にも原因があるとか、強くなるようにといったことが語られますが、どんな事情があっても、いじめるほうが100%悪いのです。
平成28年度の調査結果速報値によりますと、本県の公立学校におけるいじめの認知件数は、小学校で3305件、中学校が388件、高等学校が131件、特別支援学校が8件となっており、前年度と比較して、小学校では960件の増加、中学校は64件の減少、高等学校は21件の減少、特別支援学校では4件の増加となっています。あくまでも認知件数であり、認知されていないものも多くあるように思われます。
そして、いじめの態様については、「冷やかしやからかい、悪口やおどし文句、嫌なことを言われる」が最も多くなっています。言った側はそのような気持ちはなくても、言われた側は傷つくことがあります。何げない言動で友達関係に微妙なずれが生じ、継続的ないじめに発展していくことも考えられます。やはり未然に防止、早期に発見、早期に対応が重要となってまいります。当事者も当然ながら、周りでいじめを目撃したり感じたりしたときに、その通報等の受け皿がなくてはなりません。本県におけるいじめ相談窓口について、どのようになっておりますか、教育長の御答弁を求めます。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) いじめ相談窓口につきましては、県では、電話やウエブによる窓口を設置しております。
電話による窓口としては、子供SOSダイヤルと教育相談電話を設けております。子供SOSダイヤルでは24時間、教育相談電話では9時から17時まで相談を受け付けており、双方とも電話対応だけでなく、必要に応じて教育相談主事が直接会って、困っていることや悩みの相談に対応しております。相談内容によっては市町村教育委員会及び学校と連携して、問題の解決を図っております。
ウエブによる窓口としては、ネット安全パトロール和歌山Web相談窓口を設置しており、児童生徒、その保護者及び教職員から、いじめやトラブル等についての相談に対応しております。
また、さまざまな相談を受け付けるため、県のホームページに県政ポスト、県教育委員会のホームページに教育長POSTを設けており、いじめ問題にも対応しております。
さらに、各市町村においては、教育委員会が窓口となって、いじめ問題の相談に応じてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。電話やウエブ、また県政ポスト、教育長POSTなど、さまざまな窓口をもって対応しておられるとのことでした。
しかし、最近は、電話やメールを使用しない子供がふえていることに対応し、相談する際の心理的なハードルを下げる狙いで、スマートフォンの対話アプリで相談を受ける取り組みが広がってきております。
そのようなアプリの中に、「STOPit」という匿名で通報、相談ができるものがあります。茨城県取手市では、いじめの早期発見、早期対応に向け本年から導入し、全市立中学校の生徒が無料でダウンロードできるようにしています。取手市では、2015年11月に市立中学校の生徒が日記に「いじめられたくない」と書き残して自殺するといった痛ましい事態が起こったことをきっかけに、二度と深刻な事態を繰り返さないとする決意のもと、導入に至りました。
通報アプリ「STOPit」は、2014年にアメリカで開発され、スマートフォン用アプリで、いじめを目撃した生徒や被害者が匿名で報告、相談できるのが特徴で、文章や写真、動画などを送り、匿名のまま送信先とやりとりができます。送信した情報は市教育委員会に送られ、内容に応じて各中学校や各関係機関と連携し対応します。報告、相談は24時間受け付けておりますが、対応可能な時間は原則午前9時から午後5時のため、緊急時はアプリに登録されている、先ほど御答弁にもありました24時間子供SOSダイヤルなどに直接電話できる仕組みとなっています。
学校のいじめについて、未然防止、早期発見、早期対応を目指すためにも、こういったアプリの導入も効果的ではないかと考えますが、「STOPit」についての認識と導入についてのお考えを教育長、お答えお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 「STOPit」についてお答えいたします。
導入している市によりますと、「STOPit」のメリットとしては、電話やメールに比べて気軽に報告、相談ができること、匿名で送れることや、スマートフォン内に履歴が残らないので、相談したことが外部に漏れず、2次的ないじめの心配が少ないことなどが挙げられております。
デメリットとしては、文字情報では細かな状況が読み取りにくいこと、悪ふざけや事実でないことも送信されるおそれがあることや、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを持っていない子供は利用できないことなどが挙げられております。
県教育委員会といたしましては、議員御指摘の「STOPit」を初め「LINE」「Kids’Sign」「Filii」などのアプリがありますので、さまざまな観点から検討してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
1つの案として提示させていただいたんですけども、今、教育長おっしゃったように、いろいろなアプリ、今開発もされてきております。やはり受け皿を広くする。特に最近の子供は電話をすることやメールをすること自体が少なくなっている中で、ほとんどの子供は、今「LINE」を使用することも多くなってきているようにも思います。いろんな受け皿、多角的な角度からその受ける受け皿をつくっていくということが重要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
そして、より一層の脱いじめ傍観者といった観点からの教育も大切だと考えますので、あわせて要望しておきます。
それでは、次の項目に入らせていただきます。子供の職場体験について質問します。
職場体験学習は、キャリア教育の一環として中学校で行われていますが、子供たちの将来のためにも重要なことだと思います。
新卒者の早期離職をあらわす現象として、七五三現象と言われる言葉があります。これは、就職をして3年以内に離職する割合が中卒で7割、高卒で5割、大学卒で3割がついた仕事をやめることが多いので、七五三現象と呼ばれるそうです。
学校教育におけるキャリア教育の推進が必要であるとされる背景について、文部科学省は、少子高齢化社会が到来し、産業、経済の構造的変化や雇用の多様化及び流動化が進み、終身雇用の慣行もなくなり、就職、就業をめぐる環境が変化していることを挙げています。中でも、特に若年層における社会人、職業人としての資質や自覚の欠如が七五三現象と言われる現象の背景にあり、その精神的、社会的な自立のおくれを問題視しております。
その顕著な事例として、子供たちが人間関係をうまく築けず、自分で意思決定ができない、そして自己肯定感が持てず将来に希望が持てない、進路意識や目的意識が希薄なまま進学し、就職しても長続きしないなど、生活や意識が大きく変化していることにあると考えられ、これが長じて若者の中にも自分探しの傾向が強くなり、定職を持たないフリーターや、学校教育も受けず職にもつかないニートと言われる存在につながっているのではないかとも言われております。
子供たちへのキャリア教育は、未来を託す人を育む重要な過程です。職場体験は、楽しさを学ぶとともに、仕事の大変さや難しさも経験します。また、選択肢として、より多くの業種が望ましいのではとも考えます。
そこで、お伺いします。職場体験についての認識と取り組みについて、教育長、御答弁お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校における職場体験は、子供たちが働く人と接することや技術、技能に触れることを通して、学ぶことや働くことの意義を理解し、生きることのとうとさを実感するための教育活動として重要な意味を持っております。
本県においては、ほぼ全ての中学校で、地域のさまざまな事業所の理解と協力を得ながら、3日間程度の実施が定着しております。各学校では、職場体験に向けて、体験先の仕事の内容や働く上でのマナーなどについての学習を行い、体験後は、それぞれの事業所で学んだことを振り返り、発表することを通して、やりがいや苦労等を共有する中で、働くことのとうとさや人としてのあり方、生き方、自分の進路を考える機会としております。また、地域の人々とつながっていくことで、地域に対する誇りや愛着を育む学習活動となっております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
小・中・高を通じてのキャリア教育だと思います。小学校では主に見学ですが、中学校における職場体験は、実際にその仕事を体験します。実感として、仕事をする、働くことについて考えることができます。将来どのような職業につきたいかが明確になれば、目的を持って勉学にも励めるようになるのではないでしょうか。その受け入れ先を探すことや、受け入れ側にもそれなりの負担を強いることになるかと思います。でき得る限り選択肢として職種の多様化も図っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。教育長、答弁お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、社会的・職業的自立に向けた体験活動として、児童生徒の発達の段階に応じて、小学校では職場見学、中学校では職場体験、高等学校ではインターンシップを実施しております。
中学校の職場体験は定着していますが、受け入れ先事業所の確保等に課題があります。体験先の職種の多様化を図り、互いの体験を共有することは大切であると考えております。
今後、このような体験活動を系統的、計画的に位置づけ、小・中・高等学校を通じて子供たちが多様な職業や職種に触れることでみずからの興味関心や適性に合った進路を主体的に決定できるよう取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 それでは、最後に、就労支援について伺います。
特に高齢者の方の就労についてですが、先日、公務員定年65歳に引き上げを検討へという報道がされていました。少子高齢化の進展に伴い、現在60歳となっている公務員の定年を65歳まで段階的に引き上げることが政府において了承され、早ければ来年度の通常国会に国家公務員法の改正案を提出するとしています。給与や退職金などの課題もありますが、再来年度からの施行が予想されます。
また、公的年金についても受給開始年齢をおくらせ、70歳を超えても選べる制度改正についても検討されており、まさに超高齢社会を迎えようとしている我が国において、元気に活躍することが求められてきます。また、65歳以上を一律に高齢者として扱うことは現実的ではないとも指摘しています。
2017年における我が国の平均寿命は、男性が80.75歳、女性は86.99歳となっています。そして、健康寿命は、男性が72歳、女性が75歳との統計ですが、当然個人差がありますし、今や人生100年時代とも言われます。
昨年、日本でもベストセラーになりました「ライフ・シフト─100年時代の人生戦略」という本が、各方面に多くの反響を呼びました。著者の人材論・組織論の世界的権威であるリンダ・グラットン・ロンドンビジネススクール教授と同校のアンドリュー・スコット教授は、過去200年間の世界的な長寿化の進行から、先進国においては平均寿命が100歳になるという人生100年時代の到来を予測しています。寿命が1.2倍強に延びるということは、1年が14カ月に、あるいは1週間が9日に、1日が30時間になるのと同じになります。
また、同書では、長寿化がもたらす恩恵は煎じ詰めれば時間という贈り物であり、人生が長くなれば目的意識を持って有意義な人生を形づくるチャンスが生まれると、プラス思考で長寿化を捉えています。その上で、長寿化により、人々の働き方や教育、家族、余暇や老後の過ごし方など、社会のあらゆる分野において大きな変化が起きることを想定し、個人の人生設計や社会のシステムを人生100年モデルへとシフトすることを提唱しています。
先進国では、1967年生まれの半数は91歳まで生きると見込まれ、1987年生まれは97歳、2007年生まれに至っては2人に1人が103歳まで生きると予測され、日本の場合はさらに長寿で、2007年生まれの半数が107歳まで生きると予測されています。人生100年時代は、私たちが思っているより早く、驚くべきスピードで進行しています。
長寿社会とは、より長く働く社会でもあります。その上、日本は長寿国であると同時に出生率が低い国でもあり、2050年には生産年齢人口に対する年少人口と老年人口の相対的な大きさを比較し、生産年齢人口の扶養負担の程度を大まかにあらわすための指標において、老年人口指数が世界で最も高まります。つまり、少ない数の若者で多くの老人を支えていくことにかけて世界一になっていくことが予想されています。年金制度の存続、今後の改正等を考慮すると、長寿世界はより長く働かなければならない時代とも言えるのではないでしょうか。
平成29年版の「高齢者白書」によれば、全就業者数に占める65歳以上の割合が、平成19年当時は8.3%であったものが、28年では11.9%まで拡大し、労働力人口に占める高齢者の比率は、この間、上昇傾向にあります。
また、現在仕事をしている高齢者の4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答し、70歳くらいまで、もしくはそれ以上との回答を合計すれば、約8割が高齢期に高い就業意欲を持っているとの調査結果が示されています。元気で行動的な高齢者、いわゆるアクティブシニア層の就業などの社会参画を促進することは、健康維持や生きがい創出、さらには地域の活性化にもつながります。
そこで、お伺いします。高齢者の就労支援についてどのように取り組まれているのか、商工観光労働部長、よろしくお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 本県では、高齢化率は全国に比べ高いものの、定年退職してもまだまだ元気で働きたい意欲のある人が多く、企業の労働力確保の観点からも高齢者に活躍してもらうことは重要と考えております。
平成29年度から、高齢者を初め結婚や出産で一度離職した女性、都会からのUターン転職希望者を対象とした再就職のための取り組みとして、就活サイクルプロジェクトを開始しました。これは全国でも初めての取り組みであり、具体的には10月から企業の採用情報を公開し、2月を就活強化月間として合同企業説明会を開催、4月からの再就職を目指す第2の就活サイクルを構築するものです。
今回、2月に和歌山市を初め県内3カ所で開催した合同企業説明会において、参加した企業174社のうち約100社が高齢者の活躍も求めている企業でありました。また、求職者341名のうち60代以上の方は60名の参加でございました。
参加した企業からは「来年度も開催してほしい」、求職者からは「今後ともこのような支援をお願いします」といった声もいただいております。今後も、高齢者の活躍を求める企業の参画を拡大するなど、さらに就活サイクルプロジェクトを推進し、働く意欲のある高齢者が就業できるよう取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
今、部長のほうからもありましたけども、高齢者の方の求人、また受け入れる側にも拡充を図っていく時代が近い将来必ずやってまいります。蓄えで余生、老後を送るというのも、ほぼこれ不可能であります。統計を見ましたら、全年齢での平均貯蓄額は平均として1151万円、また60歳代の平均貯蓄額は1400万あたりだというふうに報道されておりました。
ただ、これは一部の富裕層の方がその平均を押し上げているとも言われてますので、余り参考にはなりません。それぞれ中央値としては、全年齢においては約380万、60歳代の方の中央値として一番大きな分布の金額としては601万円となっております。これでは、老後、余生といいますか、第2の人生、第3の人生を送るには到底足りません。やはり元気に働いていく。年金だけではなかなか生活できる方も一部でございますし、しっかりとそういった第2、第3の就業活動を支援できるよう、先を見据えた取り組みをしていかなくてはならないと、このように思いますので、どうかよろしく、その辺につきましてもお取り組みいただきますように要望して、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時38分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
39番雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入りたいと思います。
第1の柱は、教育問題です。
ことしの1月30日、NHKが「“指導死”なぜ子どもの自殺が減らないのか」という番組を放映いたしました。
去年10月、福井県池田町で出された調査報告が全国に衝撃を与えました。中学2年の男子生徒が校舎から飛びおりて亡くなった自殺。その原因が教員からの激しい指導や叱責を繰り返し受けたことだったとわかったのです。いわゆる指導死でした。
担任からは、行事の準備がおくれた際に校門の前で大声でどなられていました。周りの人まで身震いするほどの声だったといいます。副担任に宿題のおくれを叱責されたときは、土下座しようとするほど追い詰められていました。そして、母親の手記として、「教員による陰険なイジメで息子はとうとい命を失ったのだと感じています」という言葉を紹介しています。ほぼNHKの放映をネットからとった文章ですが。
幸い和歌山県ではこれまでこうした問題は起こっていないと思いますが、全国的に問題になっている指導死という問題について、教育長はどう考えておられるでしょうか。
○副議長(山本茂博君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教職員の厳しい指導や叱責、体罰等が原因で子供のとうとい命が失われることは、絶対にあってはならないことだと考えております。
児童生徒の指導に当たっては、教職員は児童生徒をよく理解し、信頼関係を築くとともに、個々の児童生徒の特性や発達の段階に応じて指導を行うことが大切です。児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、児童生徒に寄り添い、共感的理解に努めつつ、指導方法や指導体制を継続的に工夫、改善することが必要であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
12月県議会文教委員会で、私は学力テスト問題を取り上げました。議場にお配りしたパンフレットには、その概要記録を収録しております。急いでつくった手づくりのものですので、誤字などあればお許しいただきたいと思います。
その3ページ、まず最初に、学力テストの成績は今年度はよかった、大変結構なことであると評価した上で、しかし、私はこの学力テストのことに関していろいろと心配もしていると申し上げ、3年前の12月県議会で申し上げたことを紹介しています。それは、若い芽を早く大きくなあれと毎日引っ張っていたら若芽を枯らしてしまうという例え話があるが、子供をある面から追い立てたとき、どんなゆがみが生じるか。最も極端なものが少年犯罪である。
当時、私が思い出していたのは、酒鬼薔薇聖斗と名乗った神戸の幼児を殺したあの事件でした。そういう事件が起こると大騒ぎするけれども、親は決してそのような子供を育てようと思って育てたわけではない。優秀な子供にしたいと思って育てた。そのことが子供を追いやって、このようなゆがみを生んでしまった。これは極端な例だけれども、教育界にはこういうことがあるのではないか。
管理と競争の教育で、学校現場は息苦しくなってくる。そこで起こってくるのが不登校の問題であり、いじめの問題である。現場のプレッシャーから逃げるのが不登校であり、それを他に転嫁して憂さ晴らしをするのがいじめだと言ってよいのではないか。その行き着く先が子供の自殺ではないか。教育は総合的な問題なので、ある面だけを追い込んだとき、思わぬところにゆがみが起こる場合があるという議論をしたことを紹介しました。
その上で、パンフレットは4ページのあたりになりますが、前の年に、学校長に対して牧野教育企画監がお話しになったことを取り上げ、さすがだと思うこともあるが、相当焦っているのではないかと申し上げました。
県教育委員会は、学力テスト日本一と言われる福井県を教育先進県と位置づけ、教頭などを研修に派遣し、牧野教育企画監もおいでいただいて指導いただいているわけです。
そこに飛び込んできたニュースが、福井県の中学生が先生に責められて自殺したという事件でした。文教委員会では副担任と言っていますが、担任の指導にも問題があったようです。
文教委員会の前日、「福井新聞」の記事がネットで配信されていました。パンフレットは11ページに載せておりますが、福井県議会総務教育常任委員会が11日に全会一致で決議をした、この男子生徒の自殺に関して学校に問題があったということであるが、教員の多忙化により生徒への適切な対応がなく、精神的ゆとりを失っている状況にあったのではないかと懸念されている、これは、この教師だけの特殊な問題ではなく、教育全体の問題とすべきではないか、さらに、学力日本一を維持することが教育現場への無言のプレッシャーを与え、多様化する子供たちの特性に合わせた教育は困難であると言わざるを得ないとして、公教育の検証と見直しを求めたということです。
福井県で論議されていることは、大変重要なことだと考えました。その一方で、牧野教育企画監が和歌山でやっておられる指導には焦りがあって、教育にゆがみをもたらすと心配して、気になることを指摘いたしました。
音声データが手に入ったんですが、「福井県には大勢の人が学びに来ている。それに比べて和歌山はどうか。全国からばかにされている。私は、和歌山の住人だから腹が立つし、悔しく思う。名誉挽回しなくてはならない。県教委の言うことを聞かない校長、校長の言うことを聞かない先生、先生の言うことを聞かない子供たちが和歌山にあると言われている。皆さん、知っているか」、企画監の発言です。テープを聞き取ったものを私がお話しし、そしてそれが概要記録としてまとめられたものを読み上げてるんですが、要旨には間違いないと思います。
文教委員会では、教育のトップにいる人が感情的な物の言い方をして、それを聞いた校長が教員に対して物の言い方を増幅させる、そして、校長から締めつけられた教員がさらに焦って子供を締めつけたりして教育にゆがみを生まないか心配だということを申し上げたわけです。
ところで、こうした議論が文教委員会であったからということを何も本会議に持ち出す必要はありません。ところが、事態はそれではおさまらないことになってしまったのです。
その文教委員会の午後、文教委員会主催の勉強会が行われました。その場で、けさの会議では雑賀委員の質問に対して牧野企画監が発言する機会がなかったから本人の御意見を伺おうかということで、私も賛成いたしました。牧野企画監の発言も、そのままお配りしたパンフレットに収録しております。それは、12ページからあります。これは、議会事務局からテープ起こししてくれたものを教育委員会でも見ていただいたものだと思っています。
この発言を聞いたとき、私は、こういう指導を和歌山県の教育界でそのままにしておくわけにいかないと考えました。そこで、牧野企画監がお話しになったことについて検討したいと思いますので、しばらくおつき合いいただきたいと思います。
その冒頭、12ページになりますが、牧野企画監は次のようにおっしゃっている。
「まず、福井県の池田中学校の件で気をつけなければならないのは、マスコミの情報だけで判断するのは危ういということだと考える。先生のいじめによって生徒が自殺したというのは誤りである。この事件で取り上げられている先生は、非常に真面目な先生であり、私もよく存じ上げている。ややもすると、マスコミの情報だけで判断するということは気をつけなればならないし、気をつけていただきたいと思う。当事件の第三者委員会の報告書を読んでいただいた上で、お話しいただければと思う」、こうおっしゃったのです。
そこで、教育長にお伺いいたします。
教育長は、福井県で起こった事件の第三者委員会の報告をお読みになっていらっしゃるでしょうか。どういうふうにお読みになっていらっしゃいますか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘の第三者委員会の報告である池田町学校事故等調査委員会報告書につきましては、池田町から公開されておりませんので、地元新聞社の公式サイトに掲載されている報告書で確認しております。
報告書には、生徒の状況や自死に関すること、今後への提言等が記載されており、自死の原因としては、厳しい指導叱責、不十分であった生徒理解、教員間の相談不足、管理職の指導監督問題等、複数の要因が挙げられ、それらに対して学校全体で対策がとれていなかったことが指摘されております。
また、教職員の生徒理解と生徒指導力の向上、教職員の情報共有、上司への報告の徹底等、校長、教頭等の指導監督責任の自覚等について再発防止の提言も記載されており、本県としても参考とすべき内容が掲載された報告書であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
次に、牧野企画監は、「先生のいじめによって生徒が自殺したというのは誤りである。この事件で取り上げられている先生は、非常に真面目な先生であり」と言っているわけですから、この先生の指導問題には全く触れられなかったのです。
確かに、真面目な先生だったんだろうと思います。しかし、第三者委員会の報告は、この先生の指導にも学校の対応にも問題があったことをはっきり指摘している。牧野教育企画監の発言は、福井県で起こったこのたびの事件について福井県の第三者委員会とは全く違った理解をしていると思うんですが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 牧野教育企画監は、12月県議会文教委員会の午後に行われた勉強会において御配慮いただいて発言の機会を得た中で、「この事件で取り上げられている先生は、非常に真面目な先生であり」と発言いたしました。これは、雑賀議員が午前の文教委員会において「先生が子供をいじめて自殺に追い込んだ」と述べられたことに対しての発言であったと思います。
この教員の行為は、いじめることを前提にしたものではなく、みずからの仕事に対して一生懸命、真正面から向き合っているということから「真面目な先生」と表現したものであり、この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていた経過は報告書に記載されております。
報告書の内容から、厳しい指導叱責となったことが主たる要因ではありますが、報告書からわかる大切なことは、今回の事件は厳しい指導叱責という1つの要素だけでなく複数の要因が重なって起こったことであり、とりわけ指導体制が不十分であったということだと考えております。管理的な体制ではなく、この教員に対して管理職や周りの教員から指導が十分になされていなかったことは非常に残念なことであります。これらについても、私も教育企画監も同様の考えであります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お考えはわかりました。次の質問にお答えいただいた上で、あわせて再質問をしたいと思います。
次の質問ですが、牧野企画監は次のようにも言っておられる。「福井県の池田中学校がこうであったから福井県の学校は全部そうであるという話し方は偏見のように思う。委員には申しわけないが」。御丁寧に「委員には申しわけないが」と言ってくれているので、「偏見」という言葉が、私が文教委員会で発言したことに向けられていることがはっきりします。
池田中学校がこうであったから福井県の学校が全部そのようであるなどとは、誰も言っていない。この問題で設置された第三者委員会も、福井県議会総務教育委員会が提起した決議も、担任、副担任の指導にも学校の対応にも問題があったことを指摘するとともに、教員の忙しさの問題──これは全国的問題です──さらに、学力テスト日本一のプレッシャーということにも言及しています。これを紹介したことが偏見ということになるのでしょうか。教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 福井県は、学力や体力向上、幼児教育への取り組み、不登校・いじめ、暴力行為への対策、家庭や地域との連携等、多くの分野にわたって成果を上げております。本県は、それらの全てにわたって参考とするため、同じく全国から見本とされている秋田県に対しても教員を派遣し学んでおり、現在進めている本県の教育にも生かされております。
牧野教育企画監においては、本県教育の責任者である私を補佐する立場であり、県内から多くの要請を受けて、市町村教育委員会や保護者等の研修会に出席するとともに、学校を訪問し、教員と直接話す機会を持ってまいりました。和歌山県を第2のふるさととして熱意を持って取り組んでいただいており、教育企画監の本県教育への思いには多くの方々が共感されていると思っております。
このように、和歌山県の教育に携わってきた教育企画監が発言した「福井県の池田中学校がこうであったから福井県の学校が全部そうであるという話し方は偏見のように思う」につきましては、議員が「その福井県でこういうことが起こった」、「予算をつけて送っているわけだから」あるいは「全国どこでも起こるというのではなく」等の発言が繰り返されましたので、1つの学校で起こったことを県全体のこととして非難しているのではないかというニュアンスで受け取り、「偏見」という言葉であらわしたのだと思います。私も、議員は福井県に対して何か誤解なさっているのではないかというふうには感じました。
第三者委員会の報告書にある学校の取り組みが不十分であったという指摘において、池田中学校は生徒数が50人程度という小規模の学校であって、小さな町、小さな学校であるにもかかわらず、指導体制が不十分であった点にこそ大きな課題があったと考えております。
また、福井県の総務教育常任委員会が今回のことを機に福井県の教育全体に対して県議会が意見書を出され、検証されることは非常に意義のあることであり、このことこそ本県の参考とするものであると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 大変、聞いていないこともたくさん御説明いただきまして、ありがとうございます。
まず、偏見という問題から再質問します。
教育長は、これを自分の言葉では「誤解」という言葉に置きかえて、私が福井県に対して誤解していると感じたと述べて、牧野企画監を擁護しているわけです。誤解と言うのなら、福井県でこういうことが起こったということが誤解なのか、予算をつけて送っているということが誤解なのか、そして、全国どこにでも起こるという可能性はありますが、このたび福井県で起こり、それを福井県は全国どこにでもと済ますのでなくて、福井県では学力日本一のプレッシャーといって自己分析もされていることを指摘した、それが誤解なのか。誤解ということは何を指して誤解と言っておられるのか、お聞きしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 私は、和歌山県の教育のためになることであれば、もう全国の全ての実践を参考にして、本県に必要なことであれば取り入れていくという立場でございます。
この中で、福井県につきましては、議員のおっしゃっておる中では学力テスト日本一というふうに挙げられたわけでありますけれども、私どもは、福井県には学力だけではなくて、先ほど申し上げましたように、体力でありますとか、あるいは豊かな心を育むという全般的なことについて大変取り組んでいただいているというふうな評価をしてきてございます。例えば、自己肯定感というのも大変福井県は高いというようなこともございまして、これは一朝一夕にできるものではないと、日々の積み重ねの中で出てきているというふうに私は思っています。
そんな中で、福井の取り組みは、そういう全体的な、私が目指しております知・徳・体を含めた人間的な総合力を高めていくとき大変参考になるというふうなことで、私は福井のことにつきまして、議員が学力対策日本一ということだけで福井県を見本にするというようなことに誤解をなさっているんじゃないかなあというふうなことで申し上げたかなというふうに思ってございます。
議員の御答弁のお話の中で、牧野企画監にもおいでいただいて指導いただいている、ところが、その先進県で先生が子供をいじめて自殺に追い込んだ事件があったとかいうような、先ほどのお話にもありました研修で怒ったとかありますけれども、そんな中で、いいことも悪いことも私どもは福井県から学ぶ。しかし、その福井県から学ぶだけではなくて、全国から私どもは学んで和歌山県の教育をつくり上げていくという私の決意をもってやってございますので、そういう意味で福井県の取り組みに誤解もあったかなという印象を持ちましたので、こういうふうに答弁させていただきました。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 問題をすりかえてはいけません。あなたは、私に対して「雑賀議員は誤解をしているんではないかと思った」と言うてるんですから、私が発言したことについて、どの発言が誤解なのだと指摘できなければ、人に対して公的な場で「あなたは誤解をしている」というふうなことを言ってはいけないと思うんです。あなたは、私の発言の中のどの点を誤解だというふうに言われるんですか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 一つ一つお答えするということを言われてるわけでありますけども、私は、先ほど申し上げましたように、雑賀議員が牧野企画監においても「おいでいただいて指導いただいている。ところが、その先進県で先生が子供をいじめて追い込んだ事件があった」とか、あるいは「予算をつけて教員を研修に送っているわけだから、その送った先でこういう問題が起こった」という御発言をなさいましたということがあります。
それを受けて、そのことが福井県だから起こったということについて少し誤解があるんじゃないかという話を、全般的な話をさせていただいてるわけで、今ここで一つ一つのことをお話しするということはないかなというふうに思ってございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 公的な場で人が誤解していると言うんなら、どの発言がどう誤解なのかをはっきりさせなくてはなりません。また、「1つの学校で起こったことを県全体のこととして非難しているというニュアンスで受け取り」というふうに言っていますが、それは勝手な推測でしょう。それこそ偏見でしょう。私は、教育長が誤解したという事実を指摘できない以上、「誤解と感じましたが、それは根拠を挙げることはできません。根拠のない発言で失礼いたしました」というふうに表明するのが物の道理だと思いますが、いかがでしょうか。(「後で話せえよ」と呼ぶ者あり)
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 私がそういうふうに誤解というふうに感じ取りましたということを申し上げたわけでありますので、そのようにしかお答えすることしかないと思います。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 全くそういう発言というのは納得できないということを申し上げて、もう少し次へ行きますが、次に、いじめでない、真面目な先生という問題に戻ります。
いじめという言葉は、教育の世界では、子供がいじめること自体を楽しむためにいじめを繰り返すという意味に使われることが多いと思います。問題の先生は、厳しい指導で子供を追い詰めてしまったけれども、いじめることを楽しんだわけではないからいじめではない。私も、そういう意味でいじめとは言っていません。「いじめるような指導で」というふうな言い方もした部分はあるんですが。
ただ、冒頭紹介されたお母さんの手記では先生のいじめでと言っていることが間違いと言えるんだろうか。私も、いじめてるような指導であったということから「先生が子供をいじめて」という表現をしたことはあるんですが、それほど本質的な問題だとは思いません。ただ、それが不正確なら不正確と言っていただいても結構なんですが。
ただ、物事にはいろいろな側面がありますが、一番大事な問題を伏せて他の面だけを強調したら、それはごまかしになります。この問題で一番大事な側面は、先生が厳しい指導によって子供を自死に追いやってしまったという残念な事実です。教員による陰湿ないじめで息子は命を失ったと手記に書いたお母さんに対して、教員によるいじめというのは誤りです、この先生は私もよく知っているが、大変真面目な先生ですというふうに言ったら一体どうなるのか。教育長はどうお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 牧野教育企画監からは、そのように新聞報道の中での話をもとにされたということがありましたので、そういう発言をなさったかなというふうに思っております。
先ほど、議員からも報告書を読んだかというようなお話もありましたので、私も報告書を読ましていただいて、その中で、そういう表現上のことも含めてお話をさせていただいたということであります。
何よりも、このことで今回問題になったのは、そうやって教員が取り組んだことが、主たる要因はやはりその叱責であったということではありますけれども、そこに至った周り全体の指導というのは一体どうだったのか、つまり教員集団がどうだったのか、校長の指導がどうだったのかということが大変大きいということがあったかなというふうに報告書には書かれておりますので、そんな中で、その真面目なというふうな表現でありますけれども、指導に、教員として指導していた教員が、そこまで至るようにするまでの学校の指導体制がどうであったのか、やはりそのことこそ大きな課題であったかなというふうに思っております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 問題に全く答えていないと思います。
さらに教育長は、「この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていたという経過は報告書に記載されています」というふうに先ほどお答えになりました。確かに、真面目な先生なのかもしれません。私も、管理的な指導が真面目な先生をこういう指導に追い込む場合があるということを言っているわけです。
けれども、お聞きしたいんですが、そういう経過は報告書のどこにどう書いていますか。探したけれど見つからないんです。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 経過につきましては、詳細に報告書には書かれているかなというふうに思っております。しかし、それぞれの生徒に合った指導であったかということについては、甚だやはり今回はこの指導についてはよくなかったということが明確になってきたんじゃないかなと思います。
しかし、この先生がこの生徒に継続的に諦めることなくやっていたということは、私はこの報告書から読み取れるかなというふうに思っています。ただし、そのやり方がその子供の状況であったり、あるいは保護者との関係性をしっかりつくったりということでは、大きな課題があったかなというふうには思います。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 まともな答弁にならないので、何度も再質問しなければならない。
教育長は、「この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていた経過は報告書に記載されています」とお答えになったんですよ。確かに、この報告書の事実経過はそんなに端から端まで読み上げるわけにはいかないけれども、その一端を報告するならば、副担任から、「宿題をできないならやらなくてもよい」と言われて「やらせてください」と土下座しようとした、生徒会の日に担任から「おまえ、やめてもいいよ」と大きな声で叱責されたなどの事例が列挙され、「担任、副担任の厳しい指導叱責にさらされ続けた本生徒は、孤立感、絶望感を深め、ついに自死するに至った」と第三者委員会報告書には記載されています。私は、第三者委員会の報告書をそのまま読んでるんです、全部ではありませんが。
この報告書を教育長が読むと、この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていた経過が報告書に記載されていますというふうに読み取れるんでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) この教員が指導を、これが一番正しいというような方法だと信じてずっと継続的にやっていたということは、この報告書から読み取れると思っています。しかし、それは大きくやはり方法としては間違っていたということは、またこれも報告書に書かれているということを何度も申し上げているわけです。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この議場におられる皆さんは、なぜ雑賀がここまでむきになるのかといぶかっておられる向きもあるのではないかと思います。私は、いつも質問は割合にあっさりしてるんです。これ以上言うてもとても再答弁でも変わらんと思ったら、自分の意見だけぱっと言うてそれで終わるんです。ところが、今回は大変ねちねちと何回も再質問しています。
本来、この問題は本会議に持ち出すまでもなく、昨年の12月にでも教育長が企画監を連れてやってきて、勉強会での発言は不十分でした、また議員に対して根拠もなく偏見などと申し上げて失礼しましたと言っておれば、私も頭にきやすいですが、あんたも頭にきやすいほうですね、アハハハと笑って済んでいたかもしれない問題です。
ところが、そういう問題を、そうならずにこういうふうにこの場へ持ち出したほうがいいという判断をしたのは何か。それは、教育長は無理な理屈をこねてまで、本会議で企画監を擁護しようとしていらっしゃる。ここには一体どういう力が働いているんだろうか。私は、あえてこの問題を取り上げたわけです。
もう少しもう申し上げましょうか。言おうか言わんとこうかとは思ったんですが。教育界には、企画監は教育長よりも偉いんではないかという、これは推測です。これは推測ですから、それは偏見ですと言うてもらっても構いません。しかし、これは労働組合の幹部が言ってる話でなくて、一般の現場の先生から聞こえてくる話です。
こういう極めて不十分な企画監の発言でも、あくまでも体を張って守ろうとする、こういう立場に教育長が置かれているんではないのか、私は大変このことを心配します。こういうゆがみ、それこそ教育界にゆがみを一層これから大きくするんではないか、こういう心配があるから──後ろから、そんな話、もうどこかで話せえよという声も聞こえましたけどね、私はあえてこういう場所で、もうはっきりと申し上げたほうがいい。
皆さんにお配りしてもらったパンフレットに、前書きの最後にこう書いています。「これまで、教育問題、たとえば「体罰」の問題で、周辺で多くのまじめな教員が胸を痛めているのに、その声が大きくならず、子どもの自殺という不幸なできごとを引き起こし、『子どもが自らの死をもって告発』して、はじめて、政治や行政やマスコミが動き出すという事態を少なからず見てまいりました。これは、教育に携わる者として、恥ずかしいことと言わなければなりません」。私はこの質問をしたことで、後に恥ずかしい思いをしなくてもいいように、この場で言うべきことは言わせてもらったというふうに思っています。
また、この質問について、ひとつ学校現場の皆様方にもお知らせをして、ひとつ皆さんの意見を聞きたいというふうに思います。ここで終わるわけではございません。
それでは、この項目の質問は終わって、次へ行かしてもらってよろしいでしょうか。
そしたら、もう次急ぎますが、教育問題の次の問題は──時間があるかな。
福井県でも、この報告書も福井県議会の決議も指摘しているように、教員の多忙化の問題がございます。この問題、何も福井県からの指摘を待つまでもありません。文部科学省も、教員の忙しさ解消のための取り組みが必要だという認識を示されているのでしょうか。また、県の教育委員会としてどのように取り組んでおられるのでしょうか、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 文部科学省では、昨年12月に取りまとめた学校における働き方改革に関する緊急対策において、業務の役割分担、適正化を着実に実行するための方策、学校が作成する計画等や組織運営に関する見直し、勤務時間に関する意識改革と時間外勤務の抑制のための必要な措置を講ずることとしているほか、これらの方策の実施に必要な環境整備を行うこととしております。さらに、学校における働き方改革を進めるに当たり、関係者への情報提供や必要な予算の確保に努めるなどの取り組みを進めることとされております。
県教育委員会では、これまでも教職員の多忙化について対策を講じてきたところであり、和歌山県長期総合計画にも記載しております。その内容に沿ってさらに具体的な取り組みを示すため、現在策定中の第3期教育振興基本計画に教職員の勤務環境の整備を項目として取り上げ、教職員が心身ともに健康でやりがいを持ち、子供と向き合う時間を十分確保できるよう、勤務時間を十分に認識した働き方や、学校、教職員の業務改善の取り組みなど、学校における働き方改革を進めることで、教育に責任あるものとして着実に対応することとしております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。
第2点、教職員定数改善の問題です。小中学校、高校の教員数は定数条例で決められます。定数条例というのは、国が一定の負担をし、交付税措置などを前提に条例で何人の教員を置くかを示し、予算の裏打ちをするものです。
条例定数が、文部科学省が定めた基準を上回る場合があります。それは、国の交付金や交付税措置に頼らない県単独の負担教員を言います。
教育長にお伺いいたします。今、県単独負担の教員は何人いるのでしょうか。また、教員の忙しさ解消、学力、いじめ、不登校などの課題解消のためにふやそうという計画はお持ちなんでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 定数条例でお示ししている教員数につきましては、学力向上や生徒指導上の課題など、さまざまな課題に対応するための加配教員を含め、全て国庫負担金や地方交付税措置の対象となっており、県単独で費用を負担しているものはございません。
加えて、さまざまな課題解決に向けては、チームとしての学校という考え方に基づき、国費及び県費により、専門的な技術や知識を有する250名を超える外部人材を活用した取り組みを進めているところです。
具体的には、中学校及び高等学校の運動部を対象に技術指導を行う部活動指導員等を配置するとともに、来年度からは、教員の事務作業が課題となっている小学校にスクール・サポート・スタッフを配置するなど、教員の多忙解消に努めてまいります。
また、いじめ、不登校などの課題解決のためには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、不登校児童生徒支援員などをそれぞれの課題に特化して取り組むことができるよう配置しているところです。
今後も、国に対しては教員定数の確保を強く要望していくとともに、外部人材を有効に活用しながら、多様な課題の解決に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 教育長、御答弁御苦労さまでございました。
それでは、次の問題に入ります。
第2の柱は、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例であります。
今議会冒頭の知事説明要旨では、「太陽光発電事業による環境への影響や災害の発生に対する県民の不安が拡大していることに鑑み、事業の実施に関し、安全性等を総合的に管理する条例を制定することにより、本県の環境にふさわしい太陽光発電の普及を図ってまいりたい」という提案がなされました。
この条例については、さらに全体について議論しなくてはなりませんが、とりあえず質問をいたします。
1つは、環境生活総務課のホームページを見ますと、手続の流れの概要がわかりやすく表にされています。そのスタートは、事前協議──事業計画を事業者から県、市町村と協議となっています。この事前協議というものはどういう意味を持っているのでしょうか、環境生活部長から御説明いただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 今議会に提案しております和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例における事前協議につきましては、事業者が太陽光発電事業計画の案を作成するに当たり、あらかじめ県及び市町村と協議することにより、当該条例及び関係法令に基づく諸手続について明らかにするために実施するものでございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございます。
私の出身地である海南市では、重根・田津原という地域で、旭電業株式会社という業者がメガソーラーの計画を進めています。私どもは、県との事前協議が行われないままに住民説明がどんどん進められていることを心配しておりました。ごく最近になって事前協議が出たそうですが、今までの事前協議については、協議の時期は申請前ということで、住民説明の前などの決まりはありませんでした。
しかし、このたび太陽光発電事業を冠した条例を制定するわけであります。先ほど、事前協議とはどのようなものかをお答えいただきました。では、この条例が実施された場合、この事前協議の取り扱いはどうなるのでしょうか。行政機関や一般市民が事業の内容を十分把握できていないまま計画が進められていくという、そんなことはないのでしょうか、環境生活部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 本条例案では、適用となる事業について、事業計画の案を作成する段階で、県及び市町村と事前協議を行うよう事業者に義務づけております。
また、事前協議を経て作成した事業計画の案について、地元自治会等への説明会の開催も事業者に義務づけており、行政機関や地元住民が事業の内容を十分把握できていない状況で、一方的に計画が進められることはないものと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
これまでとは違って、県への事前協議をし、県がどういう指導をしているのかが住民にわかれば、住民の側でも検討しやすいと思います。そういう点で、この条例は一歩前進かなと思っています。
今後、住民の皆さんとともに検討していく参考としてお伺いいたします。
県土整備部長にお伺いするんですが、重根のこのメガソーラーがつくられている地域は、土砂災害警戒区域として1月末に県振興局から説明があったとお伺いしました。土砂災害を警戒しなくてはならない地域で森林伐採や開発とは何だという声も上がっています。
まず、土砂災害警戒区域というものはどういうものなんでしょうか。住民にこの区域での説明をした趣旨はどういうものなのでしょうか。また、こうした森林伐採が行われた場合、河川にはどういう影響が考えられるのかということを含めてお答えいただきたいと思います。県土整備部長、お願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 土砂災害警戒区域とは何か、住民に御説明をした趣旨は何か、そして森林伐採が行われた場合に河川にどういう影響があるかという3点について御質問を頂戴いたしました。
まず、土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法に基づき「急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域」、これを県が指定するものでございます。
土砂災害警戒区域の指定を行うに当たりましては、県は土地の地形や利用の状況等に関する調査を踏まえて区域の指定の案を作成し、当該区域の存する市町村長に意見照会を行うこととなってございます。
海南市は、県からの区域指定に関する意見照会に対する回答に先立ち、住民の方に土砂災害により被害を受けるおそれのある区域を知っていただき、住民の方の避難に役立てていただくことを目的として説明会を実施しました。県は、市からの要請を受けて、その説明会において土砂災害防止法や区域指定の案などについて御説明を行ったところでございます。
次に、森林伐採が行われた場合の河川への影響についてでございます。
一般的に、森林には水源の涵養などのさまざまな機能があり、森林伐採を伴う開発はその機能を損なうこととなり、河川への雨水の流出が増加するおそれがあると考えてございます。
現状においては、森林法に基づき県で定めた林地開発許可制度の手続において、河川担当部局に対する協議が位置づけられておりますので、事業者からその協議の申し出があれば、河川への影響の有無について確認し、適切に対応してまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、自然破壊するようなそういう開発が大変多いので大変心配しておりますけども、これからも県のほうでよろしく御指導いただきたいと思います。
きょうの質問では、教育長の答弁はなかなか質問にかみ合っていなかったと思うんですが、むしろそういう答弁しかできないだろうということは思いながら質問いたしました。私は教育長とは、昔からよく知っている親しい間柄のつもりで自分では思っているんですが、しかし、今の和歌山の教育の学力をめぐる問題はこのまま放っておくわけにいかないという気持ちから、きょうはいろいろと聞かしていただいたわけでございます。
何でそこまでねちねちやるのかという皆さんの思いがおありだと思ったので、途中で私がなぜそこまでやるのかということもお話しいたしましたから、御理解をいただきたいと思います。
この問題は、今後、全県的な討論にもなっていくと思いますので、子供たちの教育をゆがめないように、私もこれからも頑張っていきたいと思います。
以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
4番泉 正徳君。
〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、再生可能エネルギーに対する県の考えと今後の方針について一般質問をさせていただきます。
先日、たまたまテレビをつけると、小泉元総理が出演していまして、国内の原発をゼロにしなければならないと、いろんな側面から例を挙げて発言をされていました。これまでも小泉元総理のこの話はよくマスコミの話題にもなっていましたし、何度か雑誌やテレビでの発言を見ましたが、私は余り関心もなく、過去の人が何か言っているぐらいにしか捉えていませんでした。
この番組は、東日本大震災の発生からもうすぐ7年目の3月11日がやってきますというフレーズと、もう一度、原子力発電所について検証しよう、そして、これからの電気を中心としたエネルギーのあり方について考えようと構成されており、放送を最後まで興味深く見てしまいました。
元総理は、放送の中で「原発推進論者の中には『寒い冬、暑い夏が来れば電気が足りなくて困る。そうすれば国民は原発の重要性を思い知るだろう』、また『電気のない江戸時代みたいな生活に戻っていいんですか』と言っている人もいる。しかし、2013年9月から2015年9月まで日本の原発は作動せず、原発ゼロでやってきたではないか。ドイツでは、福島の原発事故を見て原発ゼロ宣言をした」と続きます。そして、「原発に依存していた30%程度の電源は、自然エネルギーで賄える」と言っていました。
また、原発は安いという点についても小泉元総理は反論しています。「原発立地には、多額の税金を交付しなければならない。また、廃炉を行うにも、いずれは税金で処分場をつくらなければならない。中間貯蔵施設にしても最終処分施設もどこかにつくらなければならない」と、フィンランドの核廃棄物処分場オンカロの例を挙げて語っていました。
そして、私が驚いたきわめつけの話は、総理を経験された人が「私はだまされていた」という発言でした。専門家の言うように、果たして安全でコストが安くてクリーンなエネルギーだったのかと疑問を持ち、いろいろと情報を調べて気がついたことは、総理時代の私はだまされていたというのです。総理を経験した人の言葉ですから、この言葉を聞いて私は何が何だか頭の中が混乱してしまいました。
このようにエネルギーのことを考えているうちに、先日、行政改革・基本計画等に関する特別委員会の県外視察で、東京、静岡、横浜に行ってきました。横浜では、環境省の委託で行われている地域連携・低炭素水素技術実証事業を視察し、風力発電で得た電力を蓄電池システムを通して水素を製造し、水素を利用した燃料電池車に供給するというもので、トヨタ、岩谷産業、東芝や横浜市、川崎市などの自治体と研究機関の参加による事業でした。
次の視察地、静岡県の河津町では、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、時間や天候次第で出力が変わる。そこで、発電が多いときは電気をためて、少ないときに使えるように、従来のものより長寿命で大容量の新しい蓄電システムの研究が進められていました。エネルギー総合工学研究所、NEDO、早稲田大学、神戸製鋼所が風力で発電した電気で空気を圧縮して充電し、タンクの弁を開けば吹き出す空気でタービンを回して電気をつくり放電する。機器を設計した神戸製鋼所では「空圧電池」と呼んでいると言っていました。エネルギー効率は最大70%で、リチウムイオン電池などに比べて寿命が長いと注目されています。
しかし、もう既に海外では約30年前から空気による貯蔵が実施されており、ドイツ・フランクフルト発電所では73年から、アメリカの石炭火力発電所では91年から同じ方式が導入されています。ドイツでは、再生可能エネルギーとその普及につながる貯蔵技術は車の両輪と考えて、産業を育成し進めています。
今までも、県議会の一般質問の中で何人かの議員が質問され、県の方針を商工観光労働部長が答弁されています。エネルギー政策に取り組む窓口を一本にしてエネルギーの導入促進に取り組んできた、そして、今後は次世代エネルギー資源として有望なメタンハイドレートの賦存調査や海流発電などの開発などの海洋エネルギーの創出や温泉熱の利用など、新しい取り組みも進めていくと答えています。
しかしながら、森林の伐採を伴って太陽パネル等の設置が行われるような電源開発の場合には、防災や景観、周辺の自然環境に悪影響を与える懸念もあることから、これらの懸念に対応しつつ、地元の意向にも十分配慮し、適切な形での立地が進むように対応していくと答えられています。今回の和歌山県太陽光事業の実施に関する条例案の提出もその一例だと思います。
再生可能エネルギーを加速させるために、小泉元総理の言葉を引用しました。経済産業省の長期エネルギー需給見通しでは、徹底した節電を行い、2030年時点の電力需要を2013年度とほぼ同じレベルまで抑えることを見込む、2013年から3年間、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくことにより、我が国の自然条件を踏まえつつ、各電源の個性に応じた再生可能エネルギーの導入を行う観点から、自然条件によらず安定的な運用が可能な地熱、水力、バイオマスにより原子力を置きかえることを見込むと、電力構成の項には明記されています。
福島県は、2040年に県内のエネルギー需要の100%を再生可能エネルギーで賄うことを目標に掲げています。
本県は、太陽光は全国で34位、風力は全国で14位とお聞きしております。和歌山県も再生可能エネルギーを今まで以上に進めていくべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エネルギー政策は、安全性を前提とした上で、安定供給、経済効率性、環境適合を基本的な視点として進めていく必要があります。
その点、再生可能エネルギーは国産のエネルギーであるため、エネルギー自給率の向上にもつながりますし、発電時には温室効果ガスを排出しないために、地球温暖化の防止につながる重要なエネルギーであります。また、豊富な自然環境など本県の持つ特性を生かすこともできるものと思います。
このため、本県では、長期総合計画の再生可能エネルギー割合の達成目標を大きく上回ることを目標に掲げ、再生可能エネルギーの推進を図ってきたところであります。
ただ、そういった中、県内では山林を開発する太陽光発電事業の計画が増加しておりまして、防災上の問題あるいは環境面や景観面での悪影響について、県民の不安が拡大している状況にあると認識しております。実は、これは全国で同じようなことが起こっております。一部の県ではこれをコントロールするために、環境影響評価という手法がございまして、和歌山県では75ヘクタール以上なんですけれども、環境影響評価の対象にわざわざこれをしております。が、この下限をもっと下げよというような動きが一部の県にありますが、大体の県は手をこまねいてると、こういう状況にあります。
そこで、県民の理解と環境との調和を確保し、本県の環境にふさわしい太陽光発電事業の普及を図るために、太陽光発電事業の実施に関する条例を本議会に提案してるわけでございます。
これは一言でいうと、もめごとが起こったり不都合が生じないように、基準をきっちり決めておいて守ってもらって、それで住民の皆さんにはよく説明してもらって、それらを事前にきっちりやると。それをやってもらって、県が科学的に認定していくというものでありまして、およそ全国に類を見ない画期的なものと思っております。
今後も、県民の理解を得つつ、自然と調和した形で再生可能エネルギーを活用した電源開発を推進し、再エネ先進県を目指していきたいと思っております。
○副議長(山本茂博君) 泉 正徳君。
〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 御答弁ありがとうございました。
そして、いろんなところで再エネの実証実験をやられていますが、知事もいろんな人の人脈も通じて、和歌山にもぜひともそういう研究機関も含めて、今後、誘致といいますか、そういうことも考えていただけたらと思います。要望して終わります。
次に、再生可能エネルギーの1つである木質バイオマス発電の立地を踏まえた木材の供給体制についてお聞きします。
現在、上富田町で進められている森林資源を活用したバイオマス発電の取り組みについては、事業者が地元との公害防止協定書の締結を済ませた後、30年度の初めに着工し、用地の造成を行い、発電所の建設にはその後約1年半の工期が必要であり、運転開始予定は平成32年3月から、発電能力は出力約7000キロワット、年間の発電量は約4800万キロワットとお聞きしております。一般家庭の1万3000世帯分。発電に必要な木材の量は、最終的には年間7万ないし8万立米。当初は木材の調達の事情もあり、PKS(ヤシ殻)も利用する予定と聞いております。
また、県内の他の地区でも計画が進められているという報道もあり、今後の材の供給体制が懸念されますが、県内森林の年間成長量が100万立米以上と言われている中で、平成28年の搬出量は17万3000立米であり、この数値は大体横ばいであるとのことです。長期総合計画では、木質バイオマスエネルギーへの木材の利用量を2015年の1万5000トンから2026年には6万トンの需要を見込んでいます。
1月に「新・紀州林業への挑戦」と銘打って開催された研修会に参加させていだいたところ、鳥取県の八頭中央森林組合では、平成27年次で約6万立米の材の搬出をしているということでした。和歌山県の急峻な地形が出材に不利なことはわかっていますが、山の形状を今さら嘆いても仕方がありません。
最近では、林業経営に企業の新規参入や若い企業家もあらわれており、搬出に関しては、高性能林業機械の発達やドローンを利用した架線技術の進歩など、今後追い風が吹く気配がある中で、和歌山モデルと言われるくらいの供給体制の構築を期待しているところです。
和歌山県にとっては、バイオマス発電は再生可能エネルギーとしての利用はもちろんのこと、地方創生の一助にもなるのではないかと期待しています。木材の需要拡大が見込まれる中、木材の搬出にどのように取り組まれるのか、農林水産部長にお伺いします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 木質バイオマス発電の立地を踏まえ、木材の供給に当たっては、原木の生産及び運搬に係るコストを低く抑える必要があるため、効率的な生産・流通体制の整備及びそれを担うすぐれた人材の育成が極めて重要であると考えます。
生産体制の整備に当たっては、遠隔操作が可能な油圧式架線集材機の開発や索張り等におけるドローンの活用促進など、県内の事業者等と協働して省力化につながる搬出技術の導入を進めているところです。
また、山土場での現地選別による木材の直送体制の整備や、大型トラックが走行可能な林道等の路網整備及び移動式チッパー等の導入支援により、積みかえコスト及び運搬コストの低減を図るとともに、燃料原木の運搬経費支援などにより、流通体制の総合的な整備を進めてまいります。
すぐれた人材の育成につきましては、農林大学校林業研修部において、架線集材に必須となる索張り技術の集材機の運転技術に係るスキルアップ研修に取り組んでまいります。
いずれにしましても、バイオマス発電所の立地により木材の需要拡大が図られることは、本県の林業振興への大きなチャンスと考えますので、今後とも供給体制の整備に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 泉 正徳君。
〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 御答弁いただきましてありがとうございました。
今、物すごく山も新しい機械がどんどん出てきまして、ドローンとかというのは本当に、昔だったら鉄砲撃って線がどっちに行くかわからんようなところに線を張っていたんですが、大変技術が改良されてる。そういう面も含めてどんどんどんどんバックアップをしていって供給体制をつくっていただきたいと要望して、次の質問に入ります。
次は、今年度の梅の生育、生産状況についてお伺いします。
紀州梅の振興については、県もみなべ・田辺地域の主要な産業として位置づけをされており、県議会の農林水産振興議員連盟の中にも、うめ対策部会を設けて活動を続けています。
梅産業が地域の主要産業であるがゆえに、生育状況や出荷状況、また、その年の販売価格が農家や加工業者を初め地域の経済に大きな影響を与えることは言うまでもありません。昨年の生産状況、販売単価について農林水産部長にお伺いします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 平成29年産梅につきましては、開花期の低温により受粉が十分に行われなかったことや、5月から6月中旬にかけて降水量が少なかったことから小玉傾向となり、県全体の生産量は対前年比89%の5万3500トンとなっております。
こうしたことで、系統扱いの青梅出荷量は対前年比82%の5501トン、市場単価は対前年比128%の1キログラム当たり493円で取引されました。
○副議長(山本茂博君) 泉 正徳君。
〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 次の質問に入ります。
梅の機能性と販売戦略についてお聞きします。
今年度も、県は梅の機能性を研究する団体に予算を計上し、いわゆる梅の産地支援を行っています。梅の機能性については、昨年秋に東京で開催された世界農業遺産フォーラムにおいても、幾つかの研究成果や梅の持つ効能について発表がなされていました。
また、人口減少が進む社会で日本人の米の消費量が減少する中、御飯と梅干しという売り方では消費が伸びないというのは、誰もが共有することだと思います。
そこで、梅が持つ機能性をアピールすることにより、梅干しや梅の関連商品に付加価値をつけ、販売の促進や販路の拡大につなげていくというのが今後の戦略だと思います。
梅の機能性について、現在の確認状況と今後の研究の見通し及び販売戦略について農林水産部長にお伺いします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 梅に含まれる機能性成分は、疲労回復を初め、インフルエンザの感染予防や血糖値の上昇抑制に加え、胃がんの発生要因となるピロリ菌の運動抑制などの効果が臨床試験等によって確認されております。
現在は、梅ポリフェノールによる抗ウイルス作用やダイエット効果等の研究が産地で行われており、県ではこうした取り組みに対して支援を行っております。
議員御指摘のとおり、機能性を売りにした販売戦略は有効であると考えており、梅を初めとする県産品の機能性成分を紹介する和歌山県産食材機能性ガイドなどを作成し、大型展示会や各種商談会の機会を通じて流通関係事業者に配布し、PRを行っております。また、わかやま健康と食のフェスタや「みなべ・田辺の梅システム」世界農業遺産フォーラムin東京などのイベントにおいても、多くの皆様に梅の機能性成分について情報発信を行っているところであります。
今後も、機能性研究への支援を行うとともに、新たな知見を含めた梅の機能性成分のPRを積極的に行い、販売促進につなげてまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 泉 正徳君。
〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 次の質問に入らしていただきます。
世界農業遺産についてお尋ねをします。
ちょうど2年前の世界農業遺産に認定後の最初の議会で、世界農業遺産の保全と活用について知事から答弁をいただきました。かいつまんで言いますと、3つのことを中心にアクションプランを作成し、重点的に取り組んでいく、こういうことだったかと思います。
1つ目は、農林業自体の振興。梅に関しては、機能性のPRで付加価値を高めて需要の拡大を図るとともに、参入者をふやしていく。2つ目は、観光の振興。みなべ・田辺の梅システムを情報発信して、グリーンツーリズムや世界遺産の熊野古道、和歌山のヒット商品と組み合わせて振興を図っていく。3つ目は、梅システムを支える若い人の人づくり。郷土愛を育むふるさと教育、地域学習や梅加工品の実践学習への取り組みを通じて人材の育成を図る、そして、県としても両市町や関係団体の方々と一緒になって取り組んでいくとの答弁でした。
私は、坂本議員とみなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会の顧問をさせていただいております。最初は、協議会が機能し、うまく進めていけるのか不安が大きかったのですが、ロゴマークの決定を初め、トレイルランニングを開催し地域に人を呼び込むなど、協議会と地域が一体となり活動が活発化してきていると感じているところであります。
このことは県の関与も大きいと感じておりますが、前回の答弁以降2年間の県の取り組み実績と来年度の取り組み予定について、農林水産部長にお伺いします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 世界農業遺産認定後の保全と活用に関する取り組み実績についてですが、まず梅の需要拡大に資する取り組みとして、東京スカイツリー・ソラマチひろばにおいて他の認定地域と連携し大規模PRイベントを開催したほか、世界農業遺産フォーラムを東京で開催するなど、みなべ・田辺の梅システムのすばらしさや梅が持つ健康増進機能についてPRを行ってまいりました。
次に、観光振興に資する取り組みとして、テレビ番組や国際線のビデオ・オン・デマンドを利用し、地域の魅力を満載した映像を発信したほか、和歌山大学観光学部と共同開発した梅づくしツアーが大手旅行会社に採用されるなど、地域への誘客促進に取り組んでまいりました。
また、人材育成に資する取り組みとして、担い手の育成について考えるフォーラムを田辺市で開催したほか、和歌山大学や国連大学と連携し、みなべ・田辺の梅システムの保全と活用に必要な人材の養成に取り組んできたところです。
これら3つの取り組み以外にも、国際貢献に資する取り組みとして、2年間で世界7カ国13名の農業研修生を受け入れ、みなべ・田辺の梅システムの農法や農業遺産の認定要件などを指導するとともに、地域の若者とのネットワーク構築を支援してまいりました。
続きまして、平成30年度の取り組み予定につきましては、国内では2回目となる第5回東アジア農業遺産学会が8月26日から29日にかけて、みなべ・田辺地域で開催されます。当学会には、日本、中国、韓国の東アジア地域などから研究者及び関係者約300名が一堂に会し、世界農業遺産の保全、継承に向け、さまざまな角度から研究発表や意見交換がなされる予定となっております。
県では、本学会の開催を絶好のアピール機会として捉え、みなべ・田辺の梅システムの保全、継承に係るこれまでの取り組みをシンポジウムで紹介するほか、梅製品提供による地元生産者との交流や現地体験ツアーなどを効果的に組み込み、約400年継承されてきたみなべ・田辺の梅システムのすばらしさを国内外へ発信していく予定としております。
このほか、地元住民の意識醸成を図るためのシンポジウムの開催や、国内認定地域が連携した特産農産物や工芸品販売を組み合わせた大都市PRイベントの開催、さらには、国際貢献事業などに引き続き取り組んでまいります。
今後とも、みなべ・田辺地域の生産者を初め関係団体の方々と連携を図りつつ、あらゆる機会を利用し、梅産業の振興と地域の活性化につながる取り組みを展開してまいります。
○副議長(山本茂博君) 泉 正徳君。
〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 御答弁いただき、ありがとうございました。
今、やっと地域も協議会も一緒になって、先日も知事と生産者、地域の方とのテレビ放映を私も見していただいたんですが、やはり何と言いましても、地域の人がその地域に誇りを持って、我々のやってることは正しい、今までずっと続けてきたのがよかったんだと思えるようなシステムに、どんどん情報発信していただきますようお願い申し上げまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆さん、こんにちは。本日5番目の登壇ということでして、貴重な御機会をいただきましたことに御理解をいただきました先輩議員の皆様方、並びに御関係の皆様方に心から感謝を申し上げます。
議長よりお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして、心を込めて一般質問させていただきます。
昨年12月、私は8年間在籍しました青年会議所を卒業いたしました。在籍中は全国に多くの友人ができ、また多くの学びをいただきました。
最終年となりました昨年は、日本青年会議所本会に副委員長として出向させていただき、時の会頭肝いりの事業を責任者として担当いたしました。その事業は、超生産性向上大賞と命名され、いわゆる第4次産業革命を象徴する最先端技術を駆使したビジネスモデルを全国から募集するというコンテスト事業で、結果、全国より127モデルの御応募をいただきました。
第1次、第2次選考を経て、夏に開催されましたサマーコンファレンスという全国大会の1ファンクションとして開催しました最終選考会では、ファイナリスト10名による10モデルのプレゼンテーションが披露されました。株式会社産業革新機構の志賀俊之会長を選考委員長にお迎えし、私の人生のバイブルであります「島耕作シリーズ」の漫画家・弘兼憲史先生を初めとする豪華選考委員による厳正なる選考の結果、近畿大学生物理工学部生命情報工学科のビッグデータを利用したよりよい人生の提案をするビジネスモデル「超ライフ」がグランプリである内閣総理大臣賞と文部科学大臣賞をダブル受賞されました。
また、経済産業大臣賞には、高知県の株式会社Fine’S様が選ばれました。ファインバブルという多気泡水を活用することにより農業の育成効率が上がり、漁業にも転用しようというこのビジネスモデルは、高知県、高知高専とコラボレーションした産官学連携の成功例として、地元では随分脚光を浴びているようでございます。
また、スポンサー企業様の協賛金による創業支援金300万円が付与される特別賞には、大阪大学大学院生を中心としたVRを活用するバーチャルオフィス空間を創出するビジネスモデルが選ばれ、この年明けより学生起業として創業に着手されたという御報告をいただいております。
この超生産性向上大賞という事業は、生産性向上に向けた設備投資や創業・新規事業意欲を醸成するという崇高なミッションを負っていましたが、その選考基準の大きなポイントは、地元自治体や他業種、他業者との連携性の有無でございました。
この連携性を重要視しましたのは、関係省庁や有識者との綿密な打ち合わせを経て導き出されたからでございますが、時を同じくして経済産業省は、企業の国際競争力を強化するために協調領域と競争領域を整理し、さまざまなつながりによって付加価値を創出する「Connected Industries」という概念を発表しました。つまり、一事業者や一企業で勝つのではなくて、企業と自治体等のチームで経済的成功の果実をシェアする時代に入ってきていると言えるでしょう。
そして、現在、通常国会に提出されている生産性向上特別措置法案におきまして、今後3年間を集中投資期間と位置づけ、中小企業、個人事業者の生産性革命を実現するための制度が創設されます。その制度では、市町村の認定を受けた中小企業、個人事業者の設備投資については、臨時・異例の措置として、地方税法において償却資産に係る固定資産税の特例措置を講じることができるようになります。国、市町村が一体となって、中小企業、個人事業者の生産性向上を強力に後押しする制度であり、地方こそ積極的に導入して進めていくべき制度であると私は考えております。
また、固定資産税の特例措置は、市町村の条例において固定資産税の課税標準をゼロから2分の1の範囲で軽減できることになっており、その割合をゼロにした場合には、ものづくり補助金等において優先採択されることとなっております。
市町村におかれましては、それぞれの事情がおありかとは推察するものの、ぜひとも積極的な対応を期待するところでございますが、このような制度が創設されることに対する仁坂知事のお考えはいかがでしょうか。知事の御所見をお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御説明のとおりの今回の固定資産税の特例措置、それから補助金、そういう一連の中小企業の投資を促進するような政策については、大変高く評価するものでございます。
市町村が条例によりまして、中小企業が行う生産性向上のための新規投資に係る固定資産税を3年間に限りゼロとすることを決める、この特例措置を活用して中小企業の生産性向上に積極的に取り組む市町村に所在する中小企業がものづくり補助金などの中小企業の生産性向上を後押しするための補助金を活用しようとするときは優先的に採択してあげる、こういう政策でありまして、これは大変いい政策だというふうに思っております。
中小企業における生産性向上は、和歌山県の企業にとっても大変重要な政策課題であります。政府がこのような課題に対して積極的に取り組もうとしていることについては、大変評価すべきことだと思うわけであります。
一方、固定資産税をゼロにするということは、市町村にとっては減収になるわけですから勇気が要ることであります。普通は、そうやって政策的にわざと減収措置を講じた場合は、市町村の収入は丸々減ってしまうということでございますが、時々、地方交付税交付金でかなり補填してもらえる制度もあります。
地方交付税交付金は、通常は標準的な財政需要と、それから実際の収入見込みとの差に基づいて計算されるわけでありますので、減収措置を講じても地方交付税は同じ額となるということが通例であります。ということは、全体としては収入は減ってしまうということになるわけであります。しかし、本件のような政策的に特に認めた場合には、減収をしなかったもとの税収見込みを参考に交付税を計算をしてくれるという特例がありますので、今回はそういう形をつくってくれてるわけであります。
したがって、このように生産性を向上させようという企業が投資をして、それでそれを助けるために市町村が固定資産税をまけてあげるということを言い、それから、政府から補助金をいただいてそれを成功させるということをする場合に、市町村にとっての減収がかなりの部分補填されちゃいますので、ぜひこのいい制度を利用して、自分のところの企業でございますから、それを助けるように市町村としても積極的にやってもらいたいと私は思っております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 知事より力強い御答弁をいただきました。
続けて、質問させていただきます。
先ほど申し上げましたように、この制度における支援措置の特徴は、市町村が固定資産税の課税標準をゼロにした場合にはものづくり補助金等の優先採択がなされるという点にございます。もし県内各市町村において固定資産税の課税標準ゼロ化がまちまちに設定されますと、補助金申請をする企業の所在する市町村間で、補助金採択に際する有利性にアンバランスが生じることが予想されます。そうではなくて、県一丸となって他府県との採択率の取り合いに勝利していくためにも、県内全市町村が足並みをそろえて固定資産税の課税標準ゼロ化を決定していただくことが有効であると私は考えております。
そこで、お尋ねいたします。
1000億円用意されているものづくり補助金等のより多くを本県内にもたらすために、これまでの県の取り組みと今回の制度に対する県内各市町村への働きかけについて、商工観光労働部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長山西毅治君。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘のものづくり補助金につきましては、事業者の設備投資に利用できる補助金であり、例年、県内企業から活用したいという声を大変よくお聞きします。
もちろん、固定資産税の特例措置を活用するか否かは市町村の判断ではございますが、県といたしましては、県内企業がこうした補助金を活用し、積極的に新規投資を行い、生産性の向上が進むことは望ましいことだと考えております。
このため、今回の固定資産税特例制度やものづくり補助金を初めとする補助金制度について、全国の他の地域に先駆けて中小企業庁の担当者を招き、全市町村を対象とした説明会を開催するなど、積極的に情報提供を行ってきました。
また、例年と同様に、わかやま産業振興財団等の支援機関とともに補助金の申請書作成に対するアドバイスを実施するなど、企業に対する支援も積極的に行っていくことにしております。
いずれにいたしましても、県内企業の生産性向上という目的に向かって、できる限りの取り組みを行っていこうと考えております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 どうぞよろしくお願い申し上げます。
次の質問に入ります。
交通安全対策につきましては午前中の岩井議員も御質問されましたが、交通死亡事故の現状と抑止対策について、私も私の観点からお尋ねをいたします。
昨年12月定例会の一般質問の場におきまして夜の経済活性化について御提案申し上げましたところ、幾ばくかの反響をいただきました。デートカーといえばケンとメリーのスカイラインではないかとか、ナイトドライブデートのお勧めスポットの1つでも提案すべきではないか等、鋭い御指摘もいただきました。
それはそれとしまして、その際、私は夜の経済を活性化させることで交通事故がふえてはいけないとの観点から、県警察の取り組みをお尋ねいたしましたが、警察本部長からは、交通情勢を見きわめながら道路管理者や関係機関、団体等と緊密に連携し、交通事故等の未然防止対策を講じてまいりたいとの御答弁をいただきました。
本県の道路事情は、近畿自動車道松原那智勝浦線がすさみ町まで延伸され、昨年3月には京奈和自動車道が阪和自動車道に接続されたほか、第二阪和国道も大谷ランプまで接続される等、高速道路網が整備され、紀北地方と紀南地方はもちろん、京阪神や奈良方面との車両アクセスも飛躍的によくなりました。
それから初めて迎えたこの年末年始には、随分多くのアベックによるナイトドライブデートや御家族でのお出かけがこの整備された高速道路網を使って楽しまれたことでしょう。また、今日までに多くの経済人がこのチャンスの道を使って物流や営業にいそしまれてきたことと推察をしております。私たちも、随分移動時間を圧縮して活動することができるようになりました。
一方で、道路事情がよくなりますと懸念されるのは、やはり交通死亡事故などの重大事故の発生でございます。12月の御答弁では、県内の交通事故数は年々減少傾向にあり、それに伴って交通死亡事故数も減少しているが、いまだに相当数の方が交通事故によりとうとい命を落とされているとのことでございました。
そこで、改めてお尋ねいたします。
昨年の交通死亡事故数とその傾向及びそれらの情勢を鑑みた交通死亡事故を抑止するための取り組み、特に高速道路の安全対策について現在どのような取り組みをされているか、警察本部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 警察本部長宮沢忠孝君。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 昨年の県下の交通事故死者数は38人、前年比マイナス2人で、県警察が交通事故統計をとり始めた昭和29年以降で最少となり、交通事故死者数が最も多かった昭和44年の230人の6分の1にまで減少しました。
交通死亡事故の特徴としましては、全死者の44.7%に当たる17人が高齢者であること、飲酒運転に起因する死亡事故が6件発生し、前年の3件から倍増していること、高速道路における死亡事故が6件発生し、そのうち4件が片側一車線の非分離区間での対向車線へのはみ出しによる正面衝突であることなどが挙げられます。
現在、県警察では、こうした交通死亡事故の発生実態を踏まえ、高齢ドライバーへの運転免許自主返納の働きかけや安全運転サポート車の普及促進など、高齢者の交通事故防止対策を推進しております。
飲酒運転の根絶に関しましては、和歌山市内アロチ地区への電柱巻きつけ型の啓発看板の設置や飲酒運転常習者に対する徹底した取り締まりなど、各種施策を強力に推進しているところであります。加えて、前年から飲酒運転に起因する死亡事故が倍増したことを危機として捉え、以前、知事部局と一緒になり行った県民運動は大変効果があったことから、今後、知事部局とも緊密に連携しながら、飲酒運転の根絶に向けた県民運動としての取り組みを強化してまいります。
また、高速道路における交通事故防止対策としては、京奈和道及び紀勢道に関しては、交通安全対策連絡会を発足し、関係機関による安全確保のための情報共有を図るとともに、悪質危険な最高速度違反車両の取り締まりや交通事故多発場所を中心とした流動警戒活動など、検挙と抑止の両面からの活動を強化しているほか、非分離区間における対向車線へのはみ出し防止対策として、道路中央部分へのワイヤロープ式の防護柵の設置等を県当局と連携し、国土交通省に働きかけているところであります。
今後も、悲惨な交通死亡事故を1件でも減少させるために、道路管理者や関係機関、団体等と連携を図りながら、交通事故防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 どうぞよろしくお願い申し上げます。
では、最後の項目に入らせていただきます。
昨年6月定例会の一般質問の場におきまして、私から在宅育児手当を平成29年度より鳥取県が導入している例を御紹介させていただき、本県でもぜひ導入の御検討をと要望させていただきましたところ、平成30年度新政策として御採用いただいておりますことに、まずはこの場をおかりしまして心より感謝申し上げます。
この新政策、在宅育児支援は、ゼロ歳児を在宅で育児する際に、当該ゼロ歳児が第3子以降の場合は世帯所得の制限をせず、第2子の場合には年収360万円未満の世帯を対象に、月々1万5000円を10カ月にわたって支給する制度となっています。病児や病後児だけではなく、産休後から10カ月が支給期間とされていることや、市町村が同じ支援を実施すれば月々3万円の計30万円が支給されること等、在宅育児を希望する世帯には大変ありがたい支援となります。
先月、岸本健先輩議員と鳥取県へお伺いし、平成29年度の在宅育児支援実施状況について調査をしてまいりました。
鳥取県で実施されている「おうちで子育てサポート事業」の主たる内容は、県内市町村が在宅育児世帯に月額3万円の現金給付や現物・サービス給付を実施する際に鳥取県がその2分の1を補助するというものですが、人口規模の大きな4市を除く計15町村が何らかの給付事業を実施し、喜びの声ばかりが届いているとのことでした。
その対象年齢は町村によりさまざまですが、人口規模の小さな町村であれば、低年齢用の保育施設や保育士を確保、維持するよりも在宅育児支援を実施するほうが自治体負担を軽減できた例もあり、大いに御活用されているそうです。今後は、まだ実施していない4市にいかに実施していただくかが課題となるとのことでした。本県では、市町村の実施有無にかかわらず、県事業として実施することとされています。
そこで、お尋ねいたします。
このたびの平成30年度新政策における在宅育児支援を初めとする子育て支援の提案理由について、仁坂知事より御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県においては、全国よりも早い流れで人口減少が進む中、昨年策定いたしました和歌山県長期総合計画では、「ひとを育む」を一番に挙げ、多子世帯への保育料の無償化など子育て世帯への経済的支援を充実するとしたところであります。
一方、国においてもようやく昨年末に幼児教育の無償化に向けた方針が決定されまして、2020年4月からは3歳から5歳までの子供を対象に保育料の無償化等が始められようとしております。
これまで本県では、少子化対策として、平成20年度から市町村と一緒になって第3子以降の保育料等の無償化を行う紀州3人っこ施策に取り組み、さらに平成28年度からは対象児童を小学校就学前までに広げるなど、充実に努めてきたところであります。
その結果、施策開始前は第3子以降の出生数は年々減少していたんですけれども、開始後はその減少に一定の歯どめがかかったというところから、効果があったものと考えております。3人目以降を妊娠した方へのアンケート調査においても、保育料等の無償化が影響したと約7割の方が回答しており、経済的支援は有効な手段の1つであると考えております。
県の長期総合計画に掲げた2026年における合計特殊出生率2.00を達成するため、これまでの事業成果を踏まえ、平成30年度の新政策として、若いうちに安心して子供を産み育てることができるよう、保育料等の無償化の対象を第2子までに拡充することにしたいと考えております。ただし、少々財政上の要請もございまして、第2子のところは所得制限を設けさせていただくというのが現状であります。
また、御指摘のように、在宅育児世帯への支援ということなんでありますが、国においては、これはまだ検討もされておりません。本県では、世話のかかるゼロ歳児を在宅で育児している世帯に対しても、経済的支援に取り組もうとしているところでございます。
実は、御指摘のように、同様の制度は鳥取県にもございます。鳥取県だけでございますが、ございます。しかし、県と市町村が半々で財政負担をするので、この財政負担を財政上の理由がいろいろあって出せないという市町村の部分については実は適用されてない、県の部分も適用されてないというのが鳥取県の状況です。
市町村はそれぞれに事情がありまして、無理につき合えというのは地方分権に反すると思いますし、逆に、市町村が出せないから県もやめるというのも情けないし、これもまた地方分権に反すると私は思います。
そこで、鳥取県とは異なり、この在宅育児支援については、県が事業主体となり、市町村に対して同様の施策の支援の実施を呼びかけていくけれども、たとえ実施されないとしても県の支援は実施するということにさしていただきたいと思っております。
現実にはいろいろ説得をしまして、ことしは半分の部分は見送るという市町村もかなりございます。来年から何とかというところも結構ありまして、我々としては一緒にやりましょうよということで説得をして、それで市町村に働きかけをしていきたい、こんなふうに思っております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 最後の質問に入らせていただきます。
先日、北九州市に本部を置く認定NPO法人ロシナンテスの活動報告会に出席をしてまいりました。以前より応援をさせていただいている法人で、定期的に活動報告書を送っていただいては目を通してまいりましたが、活動報告会に出席させていただくのは初めてのことでございました。
この認定NPO法人ロシナンテスという法人は、「『医』を届ける」というスローガンのもと、スーダンの医療体制構築にとてつもない尽力をされています。現在活動されているスーダン・北コルドファン州では、年に数カ月しかない雨季に降った雨水でできた池の水を1年間活用する生活をしています。当然、不衛生な環境から腸チフスや赤痢が流行していましたので、医師である川原代表は、安全な水を確保するために井戸を建設する活動も始められました。地質上、スーダンでは100メートルほど掘らなければ水が出ず、井戸を1基建設するのに1000万円ほどの資金が必要とのことです。
スーダンでは、遠く離れた川や池までロバを連れて1日に数回水くみに通うのは、女性や子供たちの仕事とされています。ロシナンテスが当初活動を始めたガダーレフ州は、シェリフ・ハサバッラ村では、壊れた古井戸を改修することで隣村の井戸や川までの取水作業から子供たちを解放し、その時間を使って勉強することができるようになった子供たちのために、ロシナンテスは、卒業生から1人でも医療・看護従事者となる子供が出てきてほしいとの願いを込めて、女性学校も創設されました。
また、食べ物も少ないことから子供の成長に問題が発生しやすく、乳児の死亡率も高かったため、スーダンの州政府ともかけ合いながら地元の診療所を借り、あるいは巡回診療によって妊婦や出産後の母子の定期健診をするなど、いわゆる母子保健を確立されました。それにより乳児の死亡率は激減し、成長に問題のあった母子の90%以上が栄養正常化したとのことです。
川原代表は、その著作の中で、「開発が進まなくて思い悩むスーダン、開発はしてみたが、何かがおかしくなった日本。お互いに、ないものねだりをしているようです。アフリカ・スーダンにあって日本にないもの。日本にあって、スーダンにないもの。それらをうまく相互補完できればいいのにと思っています」と記されていますが、私も強い共感を覚えました。
我が国では恵まれた衛生環境にあり、栄養事情もスーダンとは比較にならないほど豊かになっていますが、一方で未曽有の国難とも言える少子化対策が深刻な課題となっています。
私は、子育ての基本は現実に親が子を育てる在宅育児にあると考えています。特に、乳幼児期の子供にとって親と一緒にいることは極めて重要であり、親にとっても子育てを通じて親としての自覚が芽生え、子育てのつらさや大変さも学びつつ子供の成長を見守る幸せも実感することになります。この子供を育てる喜びや成長を見守る幸せを実感できることが、子供を複数産み育てたいという意識につながるわけでございます。
その意味におきまして、このたびの新政策における在宅育児支援は意義のある子育て支援であり、実効性のある少子化対策でもあると私は考えています。
この支援を、今後、第2子の所得制限を撤廃したり第1子からの適用にしたり、対象年齢もゼロ歳から2歳までというぐあいに拡充していくべきと考えていますが、そのためにも、このたびの実施において当該支援が有意義に活用され、前向きな実績や拡充を望む県民の声がたくさん積まれる必要があると思います。
とはいえ、大家族世帯が減少し、核家族世帯が多くなった今日、子育てにおける不安を持つ親も少なくありません。当該支援を有意義に活用していただくためにも、在宅育児をより豊かでより安心できる環境とする必要があり、そのためには、今では当たり前のように思われるようになりました母子保健を一層充実させるべきであると私は考えていますが、県当局はいかがお考えでしょうか、福祉保健部長の御答弁をよろしくお願い申し上げます。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 少子化が進み、子育てを取り巻く環境が大きく変化する中、妊娠、出産、子育てに対する不安を持つ親が増加しており、母と子の心身の健康保持と増進を図るために、母子保健の充実は大変重要であると考えております。
このため、県におきましては、これまでの母子保健対策に加えて、地域で安心して妊娠、出産、子育てができるように、保健師や助産師等の専門職員による総合的相談をワンストップで行う市町村の子育て世代包括支援センター設置に係る支援を行うとともに、専門職員に対するスキルアップ研修会の開催など、機能強化を行っております。
また、県民に身近な相談役である母子保健推進員の活動支援強化や、各圏域での母子保健関係者連携会議の開催など、関係機関との連携を強化する取り組みをあわせて行ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 家庭訪問にこそ子育て支援の根幹があると、和歌山県母と子の健康づくり運動協議会の狭間歌子会長はおっしゃいます。母子保健推進員の皆様が家庭を訪問されて、その際に不安材料が見つかれば、専門家である地元の保健師に連絡をして対応していくという過程で、子育てノイローゼや子供の障害へのケアをしていくわけでございます。
核家族化や住民同士の関係が希薄化し、家庭訪問自体が成立しにくい事情も出てまいりましたが、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援をしていくには、やはり上質のおせっかいが必要な時代に入ってきていると私は考えています。
子育てに関しましては、母子保健推進員や保健師の人員数、人材確保や人材育成の方法、家庭訪問の仕方など、今の時代、その地域に即したオーダーメード型の母子保健を再構築し、子育て世帯と地域が寄り添って向き合いながら進めていけるような母子保健のさらなる充実に向けて、仁坂知事初め県当局の皆様には引き続きの御協力を賜りますよう心から要望申し上げまして、私の人生6度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時57分散会