平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(秋月史成議員の質疑及び一般質問)


平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(秋月史成議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第166号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 2番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 おはようございます。
 本日のトップバッターとして登壇させていただきます。5回目の一般質問となりますが、まだまだふなれなこともたくさんあると思いますので、精いっぱい頑張りますので、最後までおつき合いいただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、議長の許可を得ましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 一般質問1問目に合わせまして御報告させていただきます。
 先般、9月6日から8日まで、中村議員、吉井議員、山田議員、花田議員、藤山議員、山本議員、森議員、岩田議員、堀議員、玉木議員、私と総勢11名でマカオIR視察に行ってまいりました。
 私を含む一行は、香港経由でマカオに入り、マカオ・コタイ地区に開業しておりますギャラクシーIR施設を視察いたしました。カジノ施設はもとより、一行が宿泊しましたホテル、またザ・リッツカールトンホテルの客室、スイートルームなどホテル施設等を見学し、ショッピングモールやレストラン街、コンベンション施設等も見学しました。どの施設も洗練されたデザイン性あふれる施設で、圧倒される大規模のものでした。カジノ施設では、ドレスコードも厳しくなく、入場も無料で気軽にゲーミングを楽しめる雰囲気でした。カジノ施設の利用客も、その大半が中国本土や香港からの旅行客で、日本人や韓国人は私たちが見る限り皆無に等しい状況だったと思っております。
 次の日には、マカオ世界遺産であるマカオ歴史市街地地区を視察いたしました。ポルトガル統治時代の面影を残す特殊な町並みだったと感じております。総体的には、マカオIR施設のすばらしさを一行一同実感し、本県にもぜひともIR施設誘致を積極的に行いたく、思いを共有した次第であります。
 さて、マカオIR施設の視察の報告はこのあたりで終わらせていただき、ここで質問です。
 新長期総合計画において、新たな観光資源の創出のための方策として掲げられているカジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRの誘致については、6月定例議会において自由民主党県議団・山田会長から当局に対して質問をしたところではありますが、その後の動きについてお伺いいたします。
 日本へのIR導入については、昨年末にIR推進法が成立したことを受けて、学識経験者により構成されたIR推進会議が本年4月から7月までの4カ月で計10回にわたり、施設構成やギャンブル依存症対策、納付金の扱い、反社会的勢力の排除等について議論を重ね、去る7月31日に制度設計に関する方向性が取りまとめられたところです。
 IR推進会議取りまとめの内容を見ると、IRを構成すべき中核施設の要件については、国際競争力を有するとともに、全国的な見地からも我が国を代表する施設として経済効果を生み出すものとされており、具体的には、日本最大規模の国際会議場や展示場の必置という極めて高いハードルが課せられております。また、認定区域数についても、当初、上限を設け、2~3カ所からスタートすべきではないかという考えが示されているなど、地方都市にとっては大変厳しいものとなっています。加えて、ギャンブル依存症対策については、マイナンバーカードを使った入場制限や、月単位あるいは週単位での入場制限といった規制が示されました。
 本県の目指すIRは、日本最大規模の国際会議場や展示場を擁した大都市型IRとは一線を画するリゾート型であることから、今後、国においてIR推進会議取りまとめに沿った形で制度設計がされることになると、本県へのIR誘致は非常に厳しくなると考えられますが、知事の受けとめ方についてお聞かせください。
 また、IR誘致実現に向けて、現状を踏まえてどのような取り組みをしていくのか、あわせて知事にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、IR推進会議の制度設計に関する取りまとめの内容は、IR推進法の基本理念に掲げる地方の創意工夫を実現し、地域経済の振興に寄与するという地方創生の観点を欠いた大都市偏重というべきものとなっておりまして、このIR推進会議取りまとめの内容に沿ってIRに関する手続を定める法律案、いわゆるIR実施法案が成立することになると、本県のような地方都市にとって誘致は厳しいものになると受けとめております。
 しかし、IR推進会議取りまとめは、IR実施法案の策定に向けて国民に広く意見をいただくための素案であります。これをもとに、全国主要都市で計9回の公聴会が実施され、国民や自治体、企業などから集めた幅広い意見を踏まえ、今後、国会等での議論を経て、IR実施法案を含めた全体の制度設計がなされていくものと考えております。
 法案──これは今回は政府原案になるんですが、政府原案の法案の作成も、原案は推進会議の事務局と同じ内閣府が多分つくると思うんでございますけれども、与党の了承をとる与党プロセスとか、あるいは各省の合意を取りつける省庁プロセスとか、あるいは最後は総理等を含む内閣全体で決めて、これで国会へ提出され、それがさらに国会でもいろいろな議論があって法律がつくられるということになります。まだまだ大いに期待したいところがあると考えております。
 県といたしましては、IR推進会議取りまとめ発表後も、8月18日に大阪で開催されました公聴会で意見表明をするなど、国や関係方面に対し、次の3点について制度設計に向けた要望活動を行っているところであります。
 まず、第1点目は、中核施設の要件について、規模よりも質を重視するなど、地方公共団体の独創性と地域の特性を生かした柔軟な対応とすること、2点目は、当初の認定数について、一律に制限をするのではなくて、すぐれた整備構想を持つ地方公共団体は積極的に認定をしてほしいということ、3点目は、ギャンブル依存症対策について、国による入場規制に加えて地方公共団体独自の上乗せ規制を認めることにしてほしいということであります。
 去る6月定例会においては、県議会からも、地方創生を重視した特定複合観光施設区域の選定を求める意見書をIR推進本部長である内閣総理大臣ほか関係各位に提出していただくなど、御協力を賜り、大変心強く、改めて感謝を申し上げる次第であります。
 こうした本県や県議会からの要望活動について、地方創生の観点を重視した考え方に理解を示す国会議員や政府首脳も大勢おられます。今後も、引き続き本県がIR誘致レースのスタートラインに立てるよう、積極的な要望活動を行ってまいる所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次に、間もなく開かれる臨時国会において、IR実施法案が上程され、早ければ今年中に成立する可能性もあると聞いております。今後、誘致活動の一層の推進を期待するところでありますが、報道資料によると、先日、県は、事業性分析や助言を行うアドバイザリー業務をプロポーザル方式により大手監査法人に委託することを決め、同社からの助言を受けて和歌山IR基本構想の策定業務を本格化するとのことであります。
 そもそも、和歌山IR基本構想とはどういうものなのか、また、今回、県が大手監査法人に発注したアドバイザリー業務の内容はどのようなものか、企画部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山IR基本構想とは、本県にIRの投資を検討する事業者に示すための基礎資料となるものです。具体的には、IR誘致候補地の概要、関西国際空港との近接性や京阪神とのアクセスのよさといったポテンシャル、豊富な観光資源や温暖な気候といった強みなどの社会的、自然的条件に加え、本県が想定するIRのコンセプトや規模を踏まえた詳細な海外事例分析及び本県におけるIRの事業性分析、地域に対する経済波及効果、雇用効果などを盛り込むこととしております。
 ほとんどの項目につきましては、企画部職員で既に作成に着手しているところでありますが、海外事例分析及び客観的な指標に基づく評価が求められる事業性分析、経済波及効果、雇用効果などの事項につきましては、専門機関の知見が必要となるため、先般、プロポーザル方式にてアドバイザーの選定を行ったところです。
 本構想は、県民向けの説明資料を作成していくためにも必要不可欠なものであり、最終的には国へ申請するIR区域整備計画の基礎となるものと考えております。
 今後出てくる政府のIR実施法案の内容や国会の動向を踏まえつつ、柔軟に対応し、積極的に取り組みを進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 先般、8月18日から20日までの日程で、長野県上田市で開催されました全国都道府県議会議員親善野球大会に出場し、見事10数年ぶりに我が和歌山県議会は優勝いたしました。谷部長、新島監督、藤山キャプテンを先頭に、党派を超えてチーム一丸となり戦った成果だと思います。心を1つに合わせることの大切さを再認識した次第であります。
 1986年に、和歌山県出身の一発逆転というバンドが「キンキのおまけ」という和歌山の自虐的歌を自費出版しました。和歌山の自虐的パロディー歌ですが、「キンキのおまけ」、なかなか言い得ていて、当時おもしろくてよく聞いたものでありました。
 歌詞の冒頭の部分を御紹介いたします。「都会でもない、田舎でもない、オリジナリティーがない和歌山」。このIR誘致の結果いかんでは、「キンキのおまけ」から近畿のエースに一躍躍り出るチャンスだと思います。何とぞ、仁坂知事を先頭に和歌山県当局の皆様、県民の代表である県議会も一丸となり、IR誘致のスタートに立ち、誘致を成功させることを願いたいものです。
 次の質問に移ります。
 紀勢自動車道がすさみ南インターまで開通したとはいえ、まだまだ自宅のある上富田町は遠隔地のため、前議会である6月定例議会開会中、私は議員会館に宿泊しておりました。朝、目が覚め、自室のテレビをつけ、朝の番組を見ていますと、私の目に飛び込んできたのは、「イチゴ品種が韓国に流出し、多大な損失」とのテロップでした。イチゴ品種が韓国に流出したことで日本の輸出機会が奪われ、5年間で最大220億円の損失があったとの試算を農水省がまとめた報道でありました。
 農水省によると、韓国のイチゴ栽培面積の9割以上が日本の品種をもとに開発した品種で、栃木県の「とちおとめ」や農家が開発した「レッドパール」、「章姫」などを無断で持ち出したことで韓国に流出し、韓国はそれらを使用して「雪香」、「梅香」、「錦香」という品種を開発し、アジア各国への輸出も盛んで、日本を上回る輸出量だそうでございます。
 農水省は、日本の品種が流出していなければ韓国の品種も開発されず、輸出もできていない、日本が輸出できるはずのものが韓国産に置きかわったと推定して、韓国の輸出額から推計すると日本の損失額は5年間で最大220億円だったと試算しています。昨年1年間の日本産イチゴの輸出額は11億円のため、5年間に換算するとその約4倍に当たり、品種登録できていれば、品種開発者が得ていたロイヤリティーは年間16億円だったと推計しております。
 韓国には品種登録制度はありますが、2012年までイチゴは保護対象になっておらず、流出前に日本の品種登録はできませんでした。品種登録していれば、栽培の差しとめや農産物の廃棄を求めることができますが、登録していなかったため、こうした対抗策はとれませんでした。
 国際ルールでは、植物の新品種は発売開始後4年まで、果樹などの木本性植物では販売開始後6年までしか品種登録を申請できず、速やかな出願が重要になっているそうでございます。ですが、育成者が申請料や手続に負担を感じ、海外での品種登録が進んでいないことが課題となっており、日本の農産物・食品の輸出倍増戦略を発表している安倍政権にとっても見過ごせないものとなっております。
 現在、農産物の知的財産権を守るため、ユポフ条約と呼ばれる国際条約を日本を含む74の国や地域が批准しています。韓国も2002年にこの条約を批准し、猶予期間を経て、イチゴなど全ての植物が保護対象となったのは2012年、つい最近のこととなります。農水省によると、この条約に加盟していない国へ一たび農産物が流出してしまうと打つ手がないということで、安倍首相が掲げる攻めの農業には緻密な戦略も求められると見られます。
 グローバル化した世界で知的財産の流出を食いとめるには、もっと厳重で徹底した管理が必要だと私は考えます。これは、フルーツ大国和歌山も例外ではありません。今後、迅速で確実な種苗の保護が必要かと考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県では、県内農産物のブランドの価値を高めるため、ミカン、梅、柿、桃などの果樹を初め、野菜、花卉の品種開発に取り組んでおり、8月末現在で種苗法に基づく登録品種及び出願中の品種は、合わせて18品種ございます。これら品種の種苗生産と利用に当たっては、県内でのみ販売、利用することを条件とし、無断での種苗の譲渡を禁止するなど、種苗の保護を図っているところであります。
 新品種の種苗の保護につきましては、国内にあっては品種登録制度に基づき育成者の権利が保護されておりますが、国外については、議員お話しのとおり、国ごとに相手国の知的財産関係法令に基づき品種登録をする必要があります。国ごとの出願となると、関係書類を各国の言語で作成する等の手続や申請費用が育成者にとって負担が大きいのが現状でございます。そのため、国においては、平成29年度より植物品種等海外流出防止緊急対策事業として、海外への出願に係る経費の半額について支援が講じられているところです。
 県としては、新品種の将来の普及可能性や海外での当該品目の栽培状況を十分精査した上で、必要に応じ、海外での品種登録申請を出願期限内に手続していく所存でございます。
 また、種苗生産について許諾した方や苗を購入して栽培する農家の方々に対しましては、安易に種苗を流出させ、ブランド価値を落とすことのないよう、これまで周知してきたところでございます。今後も、周知徹底を図ってまいります。もし育成者の権利が侵害されたと確認された場合は、警告を発し、場合によっては訴訟や告訴をするといった必要な措置を講じる所存でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 和歌山県の農産物、品種の海外流出を防ぐため、今後もさらに力強い施策をお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 先ほどもお聞きしましたIRの和歌山誘致に関しまして、別の観点からお伺いします。
 平成28年12月15日の衆議院本会議で、いわゆるIR推進法が成立、カジノ法制度化への道が開かれることになりました。そのメリットとしては、国内外からの観光客の誘致、カジノ税収など新規財源の創出、地域の雇用促進や経済波及効果等が挙げられています。逆に、デメリットといいますと、カジノ解禁による反社会的勢力の活動の活発化やギャンブル依存症問題などが挙げられています。仁坂知事も、IR誘致におけるその功罪を認識し、和歌山県版IRには、日本人、和歌山県民を入れないとの方針を示されています。
 しかしながら、私は、その方針にいささか違和感を覚えます。また、違和感を覚える県民の声が私の耳にも多数寄せられております。もし和歌山県にIRが誘致されたといたします。仁坂知事の方針に従えば、カジノにおけるギャンブル依存症から和歌山県民を救うことができるかもしれません。しかし、外国人には自由に遊ばせて税収を得、その一方では、日本人はギャンブル依存症になるおそれがあるからゲームをさせない、これは手前勝手な方針かもしれません。
 私は、お酒が飲めません。飲酒が許される年齢ですが、私はお酒に弱い体質であります。しかし、この議場におられる大半の皆様は、お酒を飲み、飲酒を楽しまれていると思います。仁坂知事のお考えを飲酒に例えるならば、アルコール依存症の問題が懸念されるから和歌山県民には飲酒をさせないと置きかえることができるのではないでしょうか。
 私は、競馬、競輪、競艇等の公営ギャンブルを一切いたしません。ギャンブル性が高いと言われるパチンコもいたしません。自己責任において、私の自己の判断でギャンブルはいたしません。でも、世の中には、自己責任においてギャンブルを楽しんでいる方も多数いらっしゃるかと思います。ギャンブル性が高いと言われるパチンコも、自制心を持って余暇の1つとして楽しまれている方も多いと思います。
 自己責任ってどこにあるのだろうか。私は、この議場に立たせていただくとき、常々思うことがございます。ギャンブルを未成年者にはさせない、破産者にはさせない、反社会勢力と呼ばれる方々には関与させないようにたがをはめていくことは確かに必要かと思います。しかし、IR、カジノは、紳士、淑女のゲーミングだと私は考えます。ギャンブル依存症の危険性は、確かに認めます。ギャンブル依存症の可能性があるからといって安易にとは言いませんが、和歌山県民をカジノに入場させない方針に私は違和感を覚えずにはいられません。それより、ギャンブル依存症にならない和歌山県民を育成することが必要だと私は考えます。
 ギャンブル依存症に陥ると、そこからの脱却は大変困難なことになると思います。そこで、ギャンブル依存症予防教育を学校教育の段階において取り入れる必要があるのではないかと私は考えますが、県教育長、学校におけるギャンブル依存症予防教育についてお答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供が成長し、大人になった際、ギャンブルやアルコール、薬物等に依存することなく、自律的かつ健康に生きていくよう指導することは、大変重要であると考えております。
 学校教育においては、これまで学習指導要領にギャンブル依存症についての記載がなく、直接的な授業は行っていませんが、生活や健康を損なわないよう、子供の発達の段階に応じて家庭科、公民科で金銭の大切さに気づき、よりよい消費生活を送れるよう、また保健体育科においては欲求やストレスに適切に対処できるよう指導しております。さらに、生活指導面では、法律や条例で禁止されている遊技場への出入りや、インターネットやゲームへの依存防止の指導を行い、子供たちがみずから考え判断し、自律的に生活する態度を育成しております。
 現在、国においては、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議で各省庁における取り組みの強化について検討されており、学校教育関係では、高等学校の保健体育において、精神疾患の1つとしてギャンブル等依存症について指導を行うことや、中・高・大学生向け啓発資料等の検討を進めていると聞いております。
 県教育委員会といたしましても、ギャンブル依存症の予防は今後重要になると考えられますので、こうした動向を十分踏まえ、対応してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 県教育長の御答弁をいただきましたが、今学校でやっている教育を列挙いただきましたが、それでは全く不十分だと思います。
 本来は家庭教育で行われるべきことだと思いますが、ギャンブル依存症の予防は今後重要な課題になるという御認識をいただきました。今後は、国の動向を踏まえて、タイミングを逃すことなくギャンブル依存症予防教育を行い、ギャンブル依存症に負けない強い和歌山県民を育成していただければと思います。
 次の質問に参ります。
 昨年9月議会に引き続き、南紀白浜空港の利活用についてお尋ねいたします。
 昨年の9月議会では、南紀白浜空港─羽田便が1日3往復、計6便、日本航空1社独占状態では競争の原理が働かなくなり、料金低減、利便性の向上が図れなくなる可能性があるため、他の航空会社の誘致をしてはいかがかという趣旨の質問をいたしました。知事からも前向きな御答弁をいただき、その後、他の航空会社に折衝を行っていただいているようでございますが、なかなか容易に結果が出せる問題ではないと私も認識しております。
 また、国際チャーター便誘致に向け、新国際ターミナルの建設やコンセッション方式による空港の運営者募集ももう間もなく開始されるとのこと、その推移を今はじっと見守りたいと思っております。
 私も、利用者の1人として飛行機に搭乗するたびに搭乗率に関心を寄せております。昨年度、今年度の搭乗率もまずまずの状況のようです。関係各位の並々ならぬ御尽力に感謝申し上げますとともに、活性化に向けた取り組みに一層の御努力を賜りますようお願い申し上げます。
 さて、南紀白浜空港は、もともと観光客を誘致するためにつくられた空港で、昭和43年、全国に例を見ない観光空港として開港しました。その当時、各地で開港した空港は、そのほとんどが県庁所在地に近く、主にビジネス客を運ぶもので、開港後も順調に利用度を高めております。その結果として空港も大きくなり、ますますその存在価値を高めております。
 南紀白浜空港も、当時の観光客の増加を予測して建設されたと考えますが、順調な経済成長に伴い、その後の観光形態が国内から海外へと国際的になり、また首都圏からの国内旅行は、夏は沖縄、冬は北海道でスキーへとさま変わりし、豊かな観光資源を持つ南紀白浜周辺は観光客誘致に苦戦してきた経緯があります。しかし、県を挙げて観光客誘致活動、熊野の世界遺産登録、アドベンチャーワールドのパンダなどの効果もあり、近年、観光客の増加は顕著であります。
 とはいうものの、南紀白浜空港を利用する地元周辺地域の人口激減もあり、利用者数の向上は青天井とはなりづらい状況でもあります。他の航空会社も含めて国内定期便が増便されたとしても、あと数便が精いっぱいかもしれません。国際ターミナルが建設され、民間活力を利用したコンセッション方式で運用を行ったとしても、空港背後人口が少ない地域ですので、劇的な利用者増を望むのは大変困難なことになるかもしれません。
 一方、南紀白浜空港の魅力について考えますと、よい材料がたくさんあります。1つは、滑走路が2000メートルあり、ジェット機の離発着が可能であります。日本列島の東西おおむね中間地域で、近隣の空港に比べて標高約100メートルの高台に位置し、災害時に津波等の影響を受けにくい空港であります。また、航空局や気象庁の出先機関が常駐し、太平洋に隣接し、積雪による閉鎖は皆無に等しい空港でもあります。燃料給油会社も常駐し、ジェット燃料Jet─A1、レシプロエンジン燃料でもあるアブガスも給油可能であります。
 中でも、一番私が自負できるのは、南紀白浜温泉中心地から車で5分ほどの非常に好立地な空港であることです。現在就航している日本航空機で白浜空港から羽田空港まで搭乗した場合、羽田に到着した機体がスポットに停止し、機体前方のドアが開き、空港内をバスまたは徒歩で移動し、空港ビルの到着口に達するまで12分ほどかかります。それが南紀白浜空港はどうでしょうか。機体が停止し、ドアが開いた12分後には、白良浜や温泉の中心地のホテル、旅館街まで行くことが可能です。これは、空港の中にホテル、旅館やリゾート地があり、逆にホテルや旅館、リゾート施設の中に空港があると言っても過言ではありません。こんなすばらしい環境の空港は、日本に例はありません。この恵まれた環境にある南紀白浜空港をいかに活用するのか、ソフトウエアの問題が重要となります。
 2015年7月26日に、東京の調布飛行場を離陸した直後の軽飛行機・パイパーPA─46機が、東京都調布市富士見町の住宅地に墜落しました。8人が死傷する悲惨な事故でありました。その事故を受け、東京都は、現在も自家用機の離発着自粛を促しております。
 飛行機は、大空を飛ぶためにつくられたものであります。大空を飛ぶべき飛行機がハンガーに駐機されたままでは、少し寂しいと感じています。南紀白浜空港にも、かつて遊覧飛行を含めた小型機が多数運航しておりました。しかし、現在はいかがでしょうか。私の知る限り、小型機が数機駐機されているだけで、小型機のエプロンもあきが目立ち、また、少し寂しいと感じる状況です。
 近年、近隣諸国では、富裕層がプライベート機を保有するようになっていると聞きます。自家用小型機の誘致並びにプライベート機の誘致を行ってはいかがかと思います。また、国内では、自家用飛行機のライセンス取得のために、その先を海外へ求める方が多くいらっしゃいます。アマチュアパイロットの養成施設誘致もあわせて進めてはいかがかと思いますが、県当局のお考えをお聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港へ自家用小型機などやアマチュアパイロット養成施設の誘致を行ってはどうかとの御質問を頂戴いたしました。
 南紀白浜空港に自家用小型機やプライベート機の就航が増加することは、空港のにぎわい創出に加え、空港内事業者のみならず、航空機等を利用する方々の宿泊などにより、地域の消費拡大に大きく寄与するものと認識しております。
 県として南紀白浜空港の活性化に取り組む中で、本年3月には、長期間使用されていなかった格納庫におきまして、民間事業者による航空機関連事業が本格稼働するなどの新たな動きも出てまいってございます。
 議員より御提案のありました自家用小型機等の誘致につきましては、南紀白浜空港に自家用小型機等で現在飛来されている方がどのような目的で飛来しているか、また、どのような部分に南紀白浜空港の魅力を感じておられるか、十分に把握できていないのが実情でございます。まずはこのような点を分析して、南紀白浜空港の魅力の発信を検討してまいりたいと考えております。
 また、アマチュアパイロットの養成施設の誘致につきましては、その形態として、新たな養成機関の誘致や既存の養成機関の訓練場としての南紀白浜空港の利用などが考えられます。まずは、どのようなニーズがあるのかなどのマーケット調査の実施について検討してまいります。
 なお、現在進めております空港の民営化が実現した際には、これらの検討状況を適切に引き継いでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 先日、9月13日の「産経新聞」の夕刊では、「神戸空港、セレブ誘致作戦」という見出しで、定期便誘致による事業拡大は難しい状況であることから、プライベート機の誘致を積極的に行う趣旨の記事が掲載されました。今後、空港間の競争も激化する可能性もあります。また、空港間の連携もますます重要になることでしょう。自家用小型機やプライベート機の誘致に向けて、出おくれることのなきようお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 先月、8月2日、駐日キルギス共和国大使が下副知事を表敬訪問されました。その後、私が高野山にエスコートさせていただき、高野龍神スカイラインを下り、田辺市に所在する食品加工会社を見学、また、私の住む上富田町の福祉施設に御案内いたしました。私といたしましては、久しぶりの高野山訪問でもありました。高野山で目を奪われたのは、訪日外国人の多さでありました。昨今、私の選挙区でもある白浜町でも、キャリーバッグを引く外国人観光客をよく目にします。お隣の田辺市・闘鶏神社周辺でも、多く外国人観光客を目にするようになりました。ほんの2~3年前までは、ほとんど目にすることがなかった光景であります。
 政府は、成長戦略の1つとして外国人観光客の誘致を柱として挙げており、その施策が功を奏し、和歌山県にも外国人観光客が増加し、大変喜ばしい状況となりました。現在のところ、外国人観光客の本県での移動手段は、公共交通機関やチャーターバスによるものが多いと思われます。しかし、外国人観光客の旅行形態は、例えば周遊型や長期滞在型、パッケージツアーから個人旅行まで多様化しつつあることから、公共交通機関が発達していない本県では、手軽に移動できるレンタカーの利用が今後増加するのではないかと感じているところであります。
 8月18日付の「読売新聞」の記事では、「外国人レンタカー、事故防げ」の見出しで、国土交通省は、外国人観光客の増加に伴って急増する外国人のレンタカー事故対策に乗り出す方針を示し、外国人のレンタカー利用が多い地域において、国道や高速道路で急ブレーキなどの走行データを集めて事故が起きそうな場所を特定する、また、外国人にわかりやすい標識や看板の設置で事故の未然防止を図る等の実証実験を今秋にも始め、効果が確認できれば全国に拡大するとの方針とのことです。
 本県では、現在のところ、外国人観光客のレンタカー事故の件数も少なく、大きな問題と認識していないようでありますが、私といたしましては、本県交通のハザードマップを作成し、紙ベースやアプリなどを活用し、外国人観光客のレンタカー事故を未然に防止するための取り組みが必要ではないかと思っているところであります。
 観光立県和歌山が外国人観光客にとって安心・安全な地域であること、また、悲惨な交通事故に本県の県民が巻き込まれないよう、今後増加が見込まれる外国人観光客のレンタカー事故防止対策についてどのようなお考えをお持ちか、県警察本部長並びに県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 外国人観光客のレンタカーによる交通事故は、交通事故統計上、外国人ドライバーによるレンタカー使用時の交通事故として把握をしており、昨年は人身事故が4件、物件事故が28件発生し、5年前と比較しますと人身事故ではプラス3件、物件事故ではプラス25件と増加傾向にあります。
 現在、外国人ドライバーに対する交通事故防止対策としては、日本の交通ルールと安全運転上のポイントを外国語で紹介した交通安全ガイドブックの作成、本年7月1日から一時停止と徐行の交通規制標識について、順次英語を併記した標識に整備するなどの対策を講じております。また、発生した交通事故データを警察庁を通じて公益財団法人交通事故総合分析センターに提供するなどにより、一部カーナビゲーション等では交通事故情報に関する注意喚起の案内が行われております。
 議員御指摘のとおり、本県におきましても外国人観光客の増加に伴い、レンタカー事故の増加が予想されますので、今後も国、県等関係機関と連携を図りながら交通事故抑止対策に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 続きまして、道路管理者の立場から御答弁を申し上げます。
 県では、平成25年に条例を定め、従来その考え方が全国で統一されていた道路案内標識の英文字の大きさについて、県独自の基準として高さを15センチから20センチに拡大することで視認性を向上させ、外国人への案内サービスの向上を図っているところでございます。さらに、平成26年度から27年度にかけまして、全国的な動きに合わせて、著名地点等を案内する道路標識について、例えばローマ字表記で「シラハマエキマエ」としていたものを英語表記の「シラハマステーション」に変更するとともに、英文字の大きさを拡大するなどの取り組みを行ってまいりました。
 国においては、先ほど議員からも御紹介ございましたが、急増する訪日外国人観光客のレンタカー利用による事故防止を目的として、この秋から訪日外国人観光客のレンタカー利用の多い5地域を対象に、急ブレーキをかけた場所等のビッグデータをもとに、訪日外国人特有の事故危険箇所を特定し、これをピンポイントの事故対策につなげる取り組みを開始いたします。
 道路管理者といたしましては、警察等関係機関とも連携し、県内の訪日外国人観光客の事故発生状況も見ながら、当面は事故多発地点等の交通安全対策を実施することで、訪日外国人観光客のレンタカー利用による事故対策につなげたいと考えております。
 あわせまして、今後、国が実施する取り組みを注視し、必要に応じてデータの提供を求めるなどにより、さらなる事故対策を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 先ほど県警本部長の御答弁にもありました、ナビゲーション等での交通事故情報に関する注意喚起が行われるとありましたが、現在のナビゲーションでは、多言語音声でのナビゲーションが少ないと思います。ということもあり、私が先ほど御提案いたしました交通ハザードマップアプリ等の開発も検討していただければなと思います。
 次の質問に移ります。
 リニューアルされた和歌山県公式ホームページを見ておりますと、「ようこそ知事室へ」と満面の笑みをたたえた仁坂知事の画像があります。その上に「おしらせ 弾道ミサイル落下時の行動等について」という見出しがあります。こんな平和な日本、和歌山のホームページにおいて、こんな見出しが掲載されるとは。北朝鮮による弾道ミサイルからいかにして国民、県民を守るか。朝鮮半島で有事が起きた場合に、どのように本県として対応するのか。
 私は、皆様も御存じのとおり、元陸上自衛官であります。有事を想定し、また治安出動や災害派遣先で自衛官として活動すべく教育を受け、厳しい訓練を昔のこととはいえ積んでまいりました。私が現職の自衛官だったころ、有事を想定したとはいえ、こんな平和な日本で有事など決して起こらないだろうと、また、弾道ミサイルが日本に実際に飛来してくる可能性があるなどということは思ってもみませんでした。
 しかし、金正日体制から金正恩体制へと北朝鮮の政治体制が移り、現在も核開発や弾道ミサイルの技術開発を推し進めております。加えて、北朝鮮は、日本を含む関係国に対する挑発的言動を繰り返しています。2013年、アメリカなどに対する核先制攻撃の権利行使や日本の具体的な都市名を挙げて弾道ミサイルの打撃圏内であることを強調し、朝鮮労働党の機関紙である「労働新聞」において、東京、大阪、横浜、名古屋、京都の5都市の名前を具体的に挙げています。これらの地域に日本の人口の3分の1が住み、その地域へ産業が集中しているため、ここを攻撃されると日本の戦争持続能力が一撃で消滅すると指摘し、戦争になれば日本列島全体が戦場に変わると主張しました。
 それから現在まで、日一日と緊張状態が高まっております。日本の国民を拉致し、重大な日本の主権侵害を平然と行い、さらには昨今の挑発行為、北朝鮮が大変許しがたい国家であることは明白な事実であろうかと思います。ミサイル実験、核実験を繰り返す北朝鮮・金正恩も恐ろしいですが、本当の危機は、またかと受け流す日本人の麻痺にこそあると思います。
 危機管理監にお尋ねいたします。本県における北朝鮮弾道ミサイル攻撃への対処、朝鮮半島有事における本県の対応についてお聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 県では、議員御指摘の和歌山県公式ホームページのほか、テレビ和歌山や和歌山放送、「県民の友」等、あらゆるメディアを通じ、弾道ミサイル落下時の行動について県民の皆様に積極的に周知を行っております。弾道ミサイルが発射され、本県や周辺地域に飛来する可能性がある場合は、消防庁から全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートを活用して、市町村の防災行政無線や緊急速報メールなどで、ミサイル発射の情報や、建物の中や地下に避難するよう促すメッセージが県民の皆様に伝達されます。その際、県では、和歌山県国民保護計画に基づき職員が緊急に参集し、官邸危機管理センターや消防庁からの情報を関係機関に伝達するとともに、被害の情報収集等を行うことになっています。
 また、朝鮮半島で有事が起き、政府において武力攻撃事態や緊急対処事態等の認定が行われた場合は、直ちに和歌山県国民保護対策本部を立ち上げ、国、自衛隊、警察、消防等の関係機関と緊密に連携し、県民の安全確保に全力を尽くしてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 最後の質問に移ります。
 先ほど危機管理監から和歌山県国民保護計画のお話がございましたが、平成18年1月に制定され、その後、平成21年3月、平成26年2月、平成27年6月、平成28年6月に一部変更と、近年は毎年のように和歌山県国民保護計画が改定されております。近年の武力行使に対する緊張のあらわれだと思います。私も、137ページに及ぶ和歌山県国民保護計画を、熟読とは言いませんが読ませていただきました。県民の生命や財産を守るためつくられたなかなかの大作だと思います。
 和歌山県議会議員となり3年目を迎えます。政治と行政を現場で見させていただき、まだまだ3年の私でありますが、行政の皆様を見ておりますと、大変失礼な言い方になるかもしれませんが、文字に書いたことはできる、文字に書いたこと以外はやってはいけない、そんな印象を私は覚えます。この和歌山県国民保護計画に書いていない想定外にどう対応するのか。現在は、想定外のことが常に起こり得ます。この和歌山県国民保護計画で全部できると思っている人はいないと思います。
 多くの皆様が勘違いすることですが、起こったときにやればいいといってもなかなかできないものです。阪神・淡路大震災のとき、なぜ神戸市の被害がひどかったのか。神戸市は、自衛隊と防災訓練を実施していなかったと聞いております。一方、時代は流れ、その教訓を生かし、宮城県は災害を想定し、自衛隊などと訓練を実施しておりました。そのため、東日本大震災のときでも、自衛隊と自治体は、満点とは言いませんが、うまく機能したという経緯があります。熊本地震の際も同様の状況であったと言えるでしょう。
 想定外に迅速、確実に対処するには、指揮官の指揮能力が大変重要となります。7月19日から21日までの日程で、先輩議員と一緒に神奈川県横須賀市にある幹部自衛官を養成する防衛大学校、私の母校である陸上自衛隊高等工科学校を視察してまいりました。いずれの学校も、自衛隊における指揮官を養成する学校で、優秀な若人を採用し、多額の国費を投じ、長い年月をかけて優秀な指揮官へと育成していく学校であります。また、学校を卒業しても、指揮官として多種多様な過程を踏み、長い年月をかけて想定外の事案に遭遇した際に適切な判断ができる高い指揮能力を身につけていきます。
 私が仁坂知事に最初に出会ったときの印象を率直に申し上げます。たしか、ある経済団体の役員会のときだったと記憶しております。何と頭のよい方なのだろうと。仁坂知事の経歴もすばらしく、和歌山県内では有数の進学校である和歌山県立桐蔭高校を卒業し、日本の大学の最高学府である東京大学を卒業し、経済産業省のキャリア官僚として活躍されたすばらしい経歴をお持ちです。そして、2006年、和歌山県知事に就任し、その卓越した行政手腕を発揮し、安定した行政運営をなさっていると一県民として思っております。
 仁坂知事は和歌山県における最高指揮官であることは、私が言うまでもないことでしょう。しかしながら、仁坂知事は、その経歴を見る限り、非常時における想定外に対処するための教育や訓練を受けたとは言いがたいと思われます。しかし、優秀な仁坂知事のことです。きっと日常の業務の間に、寝ても覚めても非常時における対処や最高指揮官としてのシミュレーションを怠ることはないだろうと私は思っております。
 そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。非常時における想定外の事案が発生した場合において、指揮官の指揮能力の大切さは当然だと思いますが、その指揮官を支える参謀、幕僚の能力の高さも大切な要素であると思います。現在の県庁組織の中で非常時における想定外の事案に対処できる体制にあるか否か、お聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず初めに、私の経歴についてお話がありましたが、実は私が勤めておりました通商産業省というのは、何かある意味ではひどいとこでありまして、あんまりきれいごとで仕事ができません。学歴が高いとか頭がよいとかそういう話じゃなくて、みんな新しい話がどんどん来て、そこでどちらかというと体育会系の乗りとか軍隊風の行動とか、それにふさわしいような指揮官としての訓練が結構できるところだというふうに思います。
 和歌山県庁でも、やっぱりそういうふうに、議員御指摘のように職員がみんなそんな雰囲気で、あるいはそういう才能を持って仕事ができるように、あるいはそういうふうに養成されるようにしていかないといかん、そういうふうに日ごろから思ってるところでございます。
 さて、御指摘のように、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律に基づく和歌山県国民保護計画のほか、県独自に食品への毒物混入等の重大事件や化学物質流出等による環境危機など、あらゆる危機事象に備えた和歌山県危機管理計画を策定しております。
 どんどんと新しいことが考えられるわけでございますんで、御指摘のようにその都度改定をしてふやしていってるということでございます。これは、紙に書いておることで、みんなそれを見ておかないといけないんですけれども、これらの危機事象に対しては、紙に書いてりゃできるというもんではなくて、自衛隊等政府機関とか警察、消防、それぞれの分野で専門的知見と経験を有する県職員で構成する対策本部のもと、あらん限りの力と知見を動員して対応しなきゃいけないということだと思います。
 また、平時から自衛隊のOBとか現職の警察職員とか消防職員とか、これを危機管理局に在籍させるなど、専門職員の知見や経験を防災対策や訓練等に取り入れさしていただいております。
 想定外の事案への対処としては、100年に1度の大災害とも言われる平成23年の紀伊半島大水害においても、多くの想定外な事象が発生いたしました。国、県、関係機関で構成する対策本部をまず招集して、毎日やって、その都度そこでどなり合いに近いような議論をして、今度は全体、決まったことは組織力で一丸となって迅速にやってきたつもりであります。
 しかし、これがなぜできたかというと、実は東日本大震災の応援に行ったり、そこの教訓を一生懸命シミュレーションしてたというところもあるというふうに考えております。今度はそれを、紀伊半島大水害を乗り越えた和歌山県でございますけれども、今度はそれがまた忘れられたらいけないんで、これは今度は常備軍化しております。例えば、災害廃棄物処理支援要員とか、災害時緊急機動支援隊とかいう制度をつくって、いつも任命をしておりますし、住家被害認定士の養成など、やっとかなきゃいけないことを今積み重ねているところでございます。
 こうしたふうに、いついかなる想定外の危機事象が生じるかわかりませんので、そういうときには私も頑張りまして、県庁全体も頑張ってもらいまして、県民の力も結集して、全力で適時的確に危機事象に対処して、そして県民の命と財産を守っていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君、質問時間が来ておりますので、簡潔に。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 いや、もう。ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) この際、申し上げます。申し合わせ等により質問時間の制限がございます。当局におかれても、また質問者におかれても厳守いただきますようお願いを申し上げます。
 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

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