平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成29年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
────────────────────
議事日程 第3号
 平成29年9月20日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         西原龍也
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
────────────────────


  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第166号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 2番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 おはようございます。
 本日のトップバッターとして登壇させていただきます。5回目の一般質問となりますが、まだまだふなれなこともたくさんあると思いますので、精いっぱい頑張りますので、最後までおつき合いいただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、議長の許可を得ましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 一般質問1問目に合わせまして御報告させていただきます。
 先般、9月6日から8日まで、中村議員、吉井議員、山田議員、花田議員、藤山議員、山本議員、森議員、岩田議員、堀議員、玉木議員、私と総勢11名でマカオIR視察に行ってまいりました。
 私を含む一行は、香港経由でマカオに入り、マカオ・コタイ地区に開業しておりますギャラクシーIR施設を視察いたしました。カジノ施設はもとより、一行が宿泊しましたホテル、またザ・リッツカールトンホテルの客室、スイートルームなどホテル施設等を見学し、ショッピングモールやレストラン街、コンベンション施設等も見学しました。どの施設も洗練されたデザイン性あふれる施設で、圧倒される大規模のものでした。カジノ施設では、ドレスコードも厳しくなく、入場も無料で気軽にゲーミングを楽しめる雰囲気でした。カジノ施設の利用客も、その大半が中国本土や香港からの旅行客で、日本人や韓国人は私たちが見る限り皆無に等しい状況だったと思っております。
 次の日には、マカオ世界遺産であるマカオ歴史市街地地区を視察いたしました。ポルトガル統治時代の面影を残す特殊な町並みだったと感じております。総体的には、マカオIR施設のすばらしさを一行一同実感し、本県にもぜひともIR施設誘致を積極的に行いたく、思いを共有した次第であります。
 さて、マカオIR施設の視察の報告はこのあたりで終わらせていただき、ここで質問です。
 新長期総合計画において、新たな観光資源の創出のための方策として掲げられているカジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRの誘致については、6月定例議会において自由民主党県議団・山田会長から当局に対して質問をしたところではありますが、その後の動きについてお伺いいたします。
 日本へのIR導入については、昨年末にIR推進法が成立したことを受けて、学識経験者により構成されたIR推進会議が本年4月から7月までの4カ月で計10回にわたり、施設構成やギャンブル依存症対策、納付金の扱い、反社会的勢力の排除等について議論を重ね、去る7月31日に制度設計に関する方向性が取りまとめられたところです。
 IR推進会議取りまとめの内容を見ると、IRを構成すべき中核施設の要件については、国際競争力を有するとともに、全国的な見地からも我が国を代表する施設として経済効果を生み出すものとされており、具体的には、日本最大規模の国際会議場や展示場の必置という極めて高いハードルが課せられております。また、認定区域数についても、当初、上限を設け、2~3カ所からスタートすべきではないかという考えが示されているなど、地方都市にとっては大変厳しいものとなっています。加えて、ギャンブル依存症対策については、マイナンバーカードを使った入場制限や、月単位あるいは週単位での入場制限といった規制が示されました。
 本県の目指すIRは、日本最大規模の国際会議場や展示場を擁した大都市型IRとは一線を画するリゾート型であることから、今後、国においてIR推進会議取りまとめに沿った形で制度設計がされることになると、本県へのIR誘致は非常に厳しくなると考えられますが、知事の受けとめ方についてお聞かせください。
 また、IR誘致実現に向けて、現状を踏まえてどのような取り組みをしていくのか、あわせて知事にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、IR推進会議の制度設計に関する取りまとめの内容は、IR推進法の基本理念に掲げる地方の創意工夫を実現し、地域経済の振興に寄与するという地方創生の観点を欠いた大都市偏重というべきものとなっておりまして、このIR推進会議取りまとめの内容に沿ってIRに関する手続を定める法律案、いわゆるIR実施法案が成立することになると、本県のような地方都市にとって誘致は厳しいものになると受けとめております。
 しかし、IR推進会議取りまとめは、IR実施法案の策定に向けて国民に広く意見をいただくための素案であります。これをもとに、全国主要都市で計9回の公聴会が実施され、国民や自治体、企業などから集めた幅広い意見を踏まえ、今後、国会等での議論を経て、IR実施法案を含めた全体の制度設計がなされていくものと考えております。
 法案──これは今回は政府原案になるんですが、政府原案の法案の作成も、原案は推進会議の事務局と同じ内閣府が多分つくると思うんでございますけれども、与党の了承をとる与党プロセスとか、あるいは各省の合意を取りつける省庁プロセスとか、あるいは最後は総理等を含む内閣全体で決めて、これで国会へ提出され、それがさらに国会でもいろいろな議論があって法律がつくられるということになります。まだまだ大いに期待したいところがあると考えております。
 県といたしましては、IR推進会議取りまとめ発表後も、8月18日に大阪で開催されました公聴会で意見表明をするなど、国や関係方面に対し、次の3点について制度設計に向けた要望活動を行っているところであります。
 まず、第1点目は、中核施設の要件について、規模よりも質を重視するなど、地方公共団体の独創性と地域の特性を生かした柔軟な対応とすること、2点目は、当初の認定数について、一律に制限をするのではなくて、すぐれた整備構想を持つ地方公共団体は積極的に認定をしてほしいということ、3点目は、ギャンブル依存症対策について、国による入場規制に加えて地方公共団体独自の上乗せ規制を認めることにしてほしいということであります。
 去る6月定例会においては、県議会からも、地方創生を重視した特定複合観光施設区域の選定を求める意見書をIR推進本部長である内閣総理大臣ほか関係各位に提出していただくなど、御協力を賜り、大変心強く、改めて感謝を申し上げる次第であります。
 こうした本県や県議会からの要望活動について、地方創生の観点を重視した考え方に理解を示す国会議員や政府首脳も大勢おられます。今後も、引き続き本県がIR誘致レースのスタートラインに立てるよう、積極的な要望活動を行ってまいる所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次に、間もなく開かれる臨時国会において、IR実施法案が上程され、早ければ今年中に成立する可能性もあると聞いております。今後、誘致活動の一層の推進を期待するところでありますが、報道資料によると、先日、県は、事業性分析や助言を行うアドバイザリー業務をプロポーザル方式により大手監査法人に委託することを決め、同社からの助言を受けて和歌山IR基本構想の策定業務を本格化するとのことであります。
 そもそも、和歌山IR基本構想とはどういうものなのか、また、今回、県が大手監査法人に発注したアドバイザリー業務の内容はどのようなものか、企画部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山IR基本構想とは、本県にIRの投資を検討する事業者に示すための基礎資料となるものです。具体的には、IR誘致候補地の概要、関西国際空港との近接性や京阪神とのアクセスのよさといったポテンシャル、豊富な観光資源や温暖な気候といった強みなどの社会的、自然的条件に加え、本県が想定するIRのコンセプトや規模を踏まえた詳細な海外事例分析及び本県におけるIRの事業性分析、地域に対する経済波及効果、雇用効果などを盛り込むこととしております。
 ほとんどの項目につきましては、企画部職員で既に作成に着手しているところでありますが、海外事例分析及び客観的な指標に基づく評価が求められる事業性分析、経済波及効果、雇用効果などの事項につきましては、専門機関の知見が必要となるため、先般、プロポーザル方式にてアドバイザーの選定を行ったところです。
 本構想は、県民向けの説明資料を作成していくためにも必要不可欠なものであり、最終的には国へ申請するIR区域整備計画の基礎となるものと考えております。
 今後出てくる政府のIR実施法案の内容や国会の動向を踏まえつつ、柔軟に対応し、積極的に取り組みを進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 先般、8月18日から20日までの日程で、長野県上田市で開催されました全国都道府県議会議員親善野球大会に出場し、見事10数年ぶりに我が和歌山県議会は優勝いたしました。谷部長、新島監督、藤山キャプテンを先頭に、党派を超えてチーム一丸となり戦った成果だと思います。心を1つに合わせることの大切さを再認識した次第であります。
 1986年に、和歌山県出身の一発逆転というバンドが「キンキのおまけ」という和歌山の自虐的歌を自費出版しました。和歌山の自虐的パロディー歌ですが、「キンキのおまけ」、なかなか言い得ていて、当時おもしろくてよく聞いたものでありました。
 歌詞の冒頭の部分を御紹介いたします。「都会でもない、田舎でもない、オリジナリティーがない和歌山」。このIR誘致の結果いかんでは、「キンキのおまけ」から近畿のエースに一躍躍り出るチャンスだと思います。何とぞ、仁坂知事を先頭に和歌山県当局の皆様、県民の代表である県議会も一丸となり、IR誘致のスタートに立ち、誘致を成功させることを願いたいものです。
 次の質問に移ります。
 紀勢自動車道がすさみ南インターまで開通したとはいえ、まだまだ自宅のある上富田町は遠隔地のため、前議会である6月定例議会開会中、私は議員会館に宿泊しておりました。朝、目が覚め、自室のテレビをつけ、朝の番組を見ていますと、私の目に飛び込んできたのは、「イチゴ品種が韓国に流出し、多大な損失」とのテロップでした。イチゴ品種が韓国に流出したことで日本の輸出機会が奪われ、5年間で最大220億円の損失があったとの試算を農水省がまとめた報道でありました。
 農水省によると、韓国のイチゴ栽培面積の9割以上が日本の品種をもとに開発した品種で、栃木県の「とちおとめ」や農家が開発した「レッドパール」、「章姫」などを無断で持ち出したことで韓国に流出し、韓国はそれらを使用して「雪香」、「梅香」、「錦香」という品種を開発し、アジア各国への輸出も盛んで、日本を上回る輸出量だそうでございます。
 農水省は、日本の品種が流出していなければ韓国の品種も開発されず、輸出もできていない、日本が輸出できるはずのものが韓国産に置きかわったと推定して、韓国の輸出額から推計すると日本の損失額は5年間で最大220億円だったと試算しています。昨年1年間の日本産イチゴの輸出額は11億円のため、5年間に換算するとその約4倍に当たり、品種登録できていれば、品種開発者が得ていたロイヤリティーは年間16億円だったと推計しております。
 韓国には品種登録制度はありますが、2012年までイチゴは保護対象になっておらず、流出前に日本の品種登録はできませんでした。品種登録していれば、栽培の差しとめや農産物の廃棄を求めることができますが、登録していなかったため、こうした対抗策はとれませんでした。
 国際ルールでは、植物の新品種は発売開始後4年まで、果樹などの木本性植物では販売開始後6年までしか品種登録を申請できず、速やかな出願が重要になっているそうでございます。ですが、育成者が申請料や手続に負担を感じ、海外での品種登録が進んでいないことが課題となっており、日本の農産物・食品の輸出倍増戦略を発表している安倍政権にとっても見過ごせないものとなっております。
 現在、農産物の知的財産権を守るため、ユポフ条約と呼ばれる国際条約を日本を含む74の国や地域が批准しています。韓国も2002年にこの条約を批准し、猶予期間を経て、イチゴなど全ての植物が保護対象となったのは2012年、つい最近のこととなります。農水省によると、この条約に加盟していない国へ一たび農産物が流出してしまうと打つ手がないということで、安倍首相が掲げる攻めの農業には緻密な戦略も求められると見られます。
 グローバル化した世界で知的財産の流出を食いとめるには、もっと厳重で徹底した管理が必要だと私は考えます。これは、フルーツ大国和歌山も例外ではありません。今後、迅速で確実な種苗の保護が必要かと考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県では、県内農産物のブランドの価値を高めるため、ミカン、梅、柿、桃などの果樹を初め、野菜、花卉の品種開発に取り組んでおり、8月末現在で種苗法に基づく登録品種及び出願中の品種は、合わせて18品種ございます。これら品種の種苗生産と利用に当たっては、県内でのみ販売、利用することを条件とし、無断での種苗の譲渡を禁止するなど、種苗の保護を図っているところであります。
 新品種の種苗の保護につきましては、国内にあっては品種登録制度に基づき育成者の権利が保護されておりますが、国外については、議員お話しのとおり、国ごとに相手国の知的財産関係法令に基づき品種登録をする必要があります。国ごとの出願となると、関係書類を各国の言語で作成する等の手続や申請費用が育成者にとって負担が大きいのが現状でございます。そのため、国においては、平成29年度より植物品種等海外流出防止緊急対策事業として、海外への出願に係る経費の半額について支援が講じられているところです。
 県としては、新品種の将来の普及可能性や海外での当該品目の栽培状況を十分精査した上で、必要に応じ、海外での品種登録申請を出願期限内に手続していく所存でございます。
 また、種苗生産について許諾した方や苗を購入して栽培する農家の方々に対しましては、安易に種苗を流出させ、ブランド価値を落とすことのないよう、これまで周知してきたところでございます。今後も、周知徹底を図ってまいります。もし育成者の権利が侵害されたと確認された場合は、警告を発し、場合によっては訴訟や告訴をするといった必要な措置を講じる所存でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 和歌山県の農産物、品種の海外流出を防ぐため、今後もさらに力強い施策をお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 先ほどもお聞きしましたIRの和歌山誘致に関しまして、別の観点からお伺いします。
 平成28年12月15日の衆議院本会議で、いわゆるIR推進法が成立、カジノ法制度化への道が開かれることになりました。そのメリットとしては、国内外からの観光客の誘致、カジノ税収など新規財源の創出、地域の雇用促進や経済波及効果等が挙げられています。逆に、デメリットといいますと、カジノ解禁による反社会的勢力の活動の活発化やギャンブル依存症問題などが挙げられています。仁坂知事も、IR誘致におけるその功罪を認識し、和歌山県版IRには、日本人、和歌山県民を入れないとの方針を示されています。
 しかしながら、私は、その方針にいささか違和感を覚えます。また、違和感を覚える県民の声が私の耳にも多数寄せられております。もし和歌山県にIRが誘致されたといたします。仁坂知事の方針に従えば、カジノにおけるギャンブル依存症から和歌山県民を救うことができるかもしれません。しかし、外国人には自由に遊ばせて税収を得、その一方では、日本人はギャンブル依存症になるおそれがあるからゲームをさせない、これは手前勝手な方針かもしれません。
 私は、お酒が飲めません。飲酒が許される年齢ですが、私はお酒に弱い体質であります。しかし、この議場におられる大半の皆様は、お酒を飲み、飲酒を楽しまれていると思います。仁坂知事のお考えを飲酒に例えるならば、アルコール依存症の問題が懸念されるから和歌山県民には飲酒をさせないと置きかえることができるのではないでしょうか。
 私は、競馬、競輪、競艇等の公営ギャンブルを一切いたしません。ギャンブル性が高いと言われるパチンコもいたしません。自己責任において、私の自己の判断でギャンブルはいたしません。でも、世の中には、自己責任においてギャンブルを楽しんでいる方も多数いらっしゃるかと思います。ギャンブル性が高いと言われるパチンコも、自制心を持って余暇の1つとして楽しまれている方も多いと思います。
 自己責任ってどこにあるのだろうか。私は、この議場に立たせていただくとき、常々思うことがございます。ギャンブルを未成年者にはさせない、破産者にはさせない、反社会勢力と呼ばれる方々には関与させないようにたがをはめていくことは確かに必要かと思います。しかし、IR、カジノは、紳士、淑女のゲーミングだと私は考えます。ギャンブル依存症の危険性は、確かに認めます。ギャンブル依存症の可能性があるからといって安易にとは言いませんが、和歌山県民をカジノに入場させない方針に私は違和感を覚えずにはいられません。それより、ギャンブル依存症にならない和歌山県民を育成することが必要だと私は考えます。
 ギャンブル依存症に陥ると、そこからの脱却は大変困難なことになると思います。そこで、ギャンブル依存症予防教育を学校教育の段階において取り入れる必要があるのではないかと私は考えますが、県教育長、学校におけるギャンブル依存症予防教育についてお答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供が成長し、大人になった際、ギャンブルやアルコール、薬物等に依存することなく、自律的かつ健康に生きていくよう指導することは、大変重要であると考えております。
 学校教育においては、これまで学習指導要領にギャンブル依存症についての記載がなく、直接的な授業は行っていませんが、生活や健康を損なわないよう、子供の発達の段階に応じて家庭科、公民科で金銭の大切さに気づき、よりよい消費生活を送れるよう、また保健体育科においては欲求やストレスに適切に対処できるよう指導しております。さらに、生活指導面では、法律や条例で禁止されている遊技場への出入りや、インターネットやゲームへの依存防止の指導を行い、子供たちがみずから考え判断し、自律的に生活する態度を育成しております。
 現在、国においては、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議で各省庁における取り組みの強化について検討されており、学校教育関係では、高等学校の保健体育において、精神疾患の1つとしてギャンブル等依存症について指導を行うことや、中・高・大学生向け啓発資料等の検討を進めていると聞いております。
 県教育委員会といたしましても、ギャンブル依存症の予防は今後重要になると考えられますので、こうした動向を十分踏まえ、対応してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 県教育長の御答弁をいただきましたが、今学校でやっている教育を列挙いただきましたが、それでは全く不十分だと思います。
 本来は家庭教育で行われるべきことだと思いますが、ギャンブル依存症の予防は今後重要な課題になるという御認識をいただきました。今後は、国の動向を踏まえて、タイミングを逃すことなくギャンブル依存症予防教育を行い、ギャンブル依存症に負けない強い和歌山県民を育成していただければと思います。
 次の質問に参ります。
 昨年9月議会に引き続き、南紀白浜空港の利活用についてお尋ねいたします。
 昨年の9月議会では、南紀白浜空港─羽田便が1日3往復、計6便、日本航空1社独占状態では競争の原理が働かなくなり、料金低減、利便性の向上が図れなくなる可能性があるため、他の航空会社の誘致をしてはいかがかという趣旨の質問をいたしました。知事からも前向きな御答弁をいただき、その後、他の航空会社に折衝を行っていただいているようでございますが、なかなか容易に結果が出せる問題ではないと私も認識しております。
 また、国際チャーター便誘致に向け、新国際ターミナルの建設やコンセッション方式による空港の運営者募集ももう間もなく開始されるとのこと、その推移を今はじっと見守りたいと思っております。
 私も、利用者の1人として飛行機に搭乗するたびに搭乗率に関心を寄せております。昨年度、今年度の搭乗率もまずまずの状況のようです。関係各位の並々ならぬ御尽力に感謝申し上げますとともに、活性化に向けた取り組みに一層の御努力を賜りますようお願い申し上げます。
 さて、南紀白浜空港は、もともと観光客を誘致するためにつくられた空港で、昭和43年、全国に例を見ない観光空港として開港しました。その当時、各地で開港した空港は、そのほとんどが県庁所在地に近く、主にビジネス客を運ぶもので、開港後も順調に利用度を高めております。その結果として空港も大きくなり、ますますその存在価値を高めております。
 南紀白浜空港も、当時の観光客の増加を予測して建設されたと考えますが、順調な経済成長に伴い、その後の観光形態が国内から海外へと国際的になり、また首都圏からの国内旅行は、夏は沖縄、冬は北海道でスキーへとさま変わりし、豊かな観光資源を持つ南紀白浜周辺は観光客誘致に苦戦してきた経緯があります。しかし、県を挙げて観光客誘致活動、熊野の世界遺産登録、アドベンチャーワールドのパンダなどの効果もあり、近年、観光客の増加は顕著であります。
 とはいうものの、南紀白浜空港を利用する地元周辺地域の人口激減もあり、利用者数の向上は青天井とはなりづらい状況でもあります。他の航空会社も含めて国内定期便が増便されたとしても、あと数便が精いっぱいかもしれません。国際ターミナルが建設され、民間活力を利用したコンセッション方式で運用を行ったとしても、空港背後人口が少ない地域ですので、劇的な利用者増を望むのは大変困難なことになるかもしれません。
 一方、南紀白浜空港の魅力について考えますと、よい材料がたくさんあります。1つは、滑走路が2000メートルあり、ジェット機の離発着が可能であります。日本列島の東西おおむね中間地域で、近隣の空港に比べて標高約100メートルの高台に位置し、災害時に津波等の影響を受けにくい空港であります。また、航空局や気象庁の出先機関が常駐し、太平洋に隣接し、積雪による閉鎖は皆無に等しい空港でもあります。燃料給油会社も常駐し、ジェット燃料Jet─A1、レシプロエンジン燃料でもあるアブガスも給油可能であります。
 中でも、一番私が自負できるのは、南紀白浜温泉中心地から車で5分ほどの非常に好立地な空港であることです。現在就航している日本航空機で白浜空港から羽田空港まで搭乗した場合、羽田に到着した機体がスポットに停止し、機体前方のドアが開き、空港内をバスまたは徒歩で移動し、空港ビルの到着口に達するまで12分ほどかかります。それが南紀白浜空港はどうでしょうか。機体が停止し、ドアが開いた12分後には、白良浜や温泉の中心地のホテル、旅館街まで行くことが可能です。これは、空港の中にホテル、旅館やリゾート地があり、逆にホテルや旅館、リゾート施設の中に空港があると言っても過言ではありません。こんなすばらしい環境の空港は、日本に例はありません。この恵まれた環境にある南紀白浜空港をいかに活用するのか、ソフトウエアの問題が重要となります。
 2015年7月26日に、東京の調布飛行場を離陸した直後の軽飛行機・パイパーPA─46機が、東京都調布市富士見町の住宅地に墜落しました。8人が死傷する悲惨な事故でありました。その事故を受け、東京都は、現在も自家用機の離発着自粛を促しております。
 飛行機は、大空を飛ぶためにつくられたものであります。大空を飛ぶべき飛行機がハンガーに駐機されたままでは、少し寂しいと感じています。南紀白浜空港にも、かつて遊覧飛行を含めた小型機が多数運航しておりました。しかし、現在はいかがでしょうか。私の知る限り、小型機が数機駐機されているだけで、小型機のエプロンもあきが目立ち、また、少し寂しいと感じる状況です。
 近年、近隣諸国では、富裕層がプライベート機を保有するようになっていると聞きます。自家用小型機の誘致並びにプライベート機の誘致を行ってはいかがかと思います。また、国内では、自家用飛行機のライセンス取得のために、その先を海外へ求める方が多くいらっしゃいます。アマチュアパイロットの養成施設誘致もあわせて進めてはいかがかと思いますが、県当局のお考えをお聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港へ自家用小型機などやアマチュアパイロット養成施設の誘致を行ってはどうかとの御質問を頂戴いたしました。
 南紀白浜空港に自家用小型機やプライベート機の就航が増加することは、空港のにぎわい創出に加え、空港内事業者のみならず、航空機等を利用する方々の宿泊などにより、地域の消費拡大に大きく寄与するものと認識しております。
 県として南紀白浜空港の活性化に取り組む中で、本年3月には、長期間使用されていなかった格納庫におきまして、民間事業者による航空機関連事業が本格稼働するなどの新たな動きも出てまいってございます。
 議員より御提案のありました自家用小型機等の誘致につきましては、南紀白浜空港に自家用小型機等で現在飛来されている方がどのような目的で飛来しているか、また、どのような部分に南紀白浜空港の魅力を感じておられるか、十分に把握できていないのが実情でございます。まずはこのような点を分析して、南紀白浜空港の魅力の発信を検討してまいりたいと考えております。
 また、アマチュアパイロットの養成施設の誘致につきましては、その形態として、新たな養成機関の誘致や既存の養成機関の訓練場としての南紀白浜空港の利用などが考えられます。まずは、どのようなニーズがあるのかなどのマーケット調査の実施について検討してまいります。
 なお、現在進めております空港の民営化が実現した際には、これらの検討状況を適切に引き継いでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 先日、9月13日の「産経新聞」の夕刊では、「神戸空港、セレブ誘致作戦」という見出しで、定期便誘致による事業拡大は難しい状況であることから、プライベート機の誘致を積極的に行う趣旨の記事が掲載されました。今後、空港間の競争も激化する可能性もあります。また、空港間の連携もますます重要になることでしょう。自家用小型機やプライベート機の誘致に向けて、出おくれることのなきようお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 先月、8月2日、駐日キルギス共和国大使が下副知事を表敬訪問されました。その後、私が高野山にエスコートさせていただき、高野龍神スカイラインを下り、田辺市に所在する食品加工会社を見学、また、私の住む上富田町の福祉施設に御案内いたしました。私といたしましては、久しぶりの高野山訪問でもありました。高野山で目を奪われたのは、訪日外国人の多さでありました。昨今、私の選挙区でもある白浜町でも、キャリーバッグを引く外国人観光客をよく目にします。お隣の田辺市・闘鶏神社周辺でも、多く外国人観光客を目にするようになりました。ほんの2~3年前までは、ほとんど目にすることがなかった光景であります。
 政府は、成長戦略の1つとして外国人観光客の誘致を柱として挙げており、その施策が功を奏し、和歌山県にも外国人観光客が増加し、大変喜ばしい状況となりました。現在のところ、外国人観光客の本県での移動手段は、公共交通機関やチャーターバスによるものが多いと思われます。しかし、外国人観光客の旅行形態は、例えば周遊型や長期滞在型、パッケージツアーから個人旅行まで多様化しつつあることから、公共交通機関が発達していない本県では、手軽に移動できるレンタカーの利用が今後増加するのではないかと感じているところであります。
 8月18日付の「読売新聞」の記事では、「外国人レンタカー、事故防げ」の見出しで、国土交通省は、外国人観光客の増加に伴って急増する外国人のレンタカー事故対策に乗り出す方針を示し、外国人のレンタカー利用が多い地域において、国道や高速道路で急ブレーキなどの走行データを集めて事故が起きそうな場所を特定する、また、外国人にわかりやすい標識や看板の設置で事故の未然防止を図る等の実証実験を今秋にも始め、効果が確認できれば全国に拡大するとの方針とのことです。
 本県では、現在のところ、外国人観光客のレンタカー事故の件数も少なく、大きな問題と認識していないようでありますが、私といたしましては、本県交通のハザードマップを作成し、紙ベースやアプリなどを活用し、外国人観光客のレンタカー事故を未然に防止するための取り組みが必要ではないかと思っているところであります。
 観光立県和歌山が外国人観光客にとって安心・安全な地域であること、また、悲惨な交通事故に本県の県民が巻き込まれないよう、今後増加が見込まれる外国人観光客のレンタカー事故防止対策についてどのようなお考えをお持ちか、県警察本部長並びに県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 外国人観光客のレンタカーによる交通事故は、交通事故統計上、外国人ドライバーによるレンタカー使用時の交通事故として把握をしており、昨年は人身事故が4件、物件事故が28件発生し、5年前と比較しますと人身事故ではプラス3件、物件事故ではプラス25件と増加傾向にあります。
 現在、外国人ドライバーに対する交通事故防止対策としては、日本の交通ルールと安全運転上のポイントを外国語で紹介した交通安全ガイドブックの作成、本年7月1日から一時停止と徐行の交通規制標識について、順次英語を併記した標識に整備するなどの対策を講じております。また、発生した交通事故データを警察庁を通じて公益財団法人交通事故総合分析センターに提供するなどにより、一部カーナビゲーション等では交通事故情報に関する注意喚起の案内が行われております。
 議員御指摘のとおり、本県におきましても外国人観光客の増加に伴い、レンタカー事故の増加が予想されますので、今後も国、県等関係機関と連携を図りながら交通事故抑止対策に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 続きまして、道路管理者の立場から御答弁を申し上げます。
 県では、平成25年に条例を定め、従来その考え方が全国で統一されていた道路案内標識の英文字の大きさについて、県独自の基準として高さを15センチから20センチに拡大することで視認性を向上させ、外国人への案内サービスの向上を図っているところでございます。さらに、平成26年度から27年度にかけまして、全国的な動きに合わせて、著名地点等を案内する道路標識について、例えばローマ字表記で「シラハマエキマエ」としていたものを英語表記の「シラハマステーション」に変更するとともに、英文字の大きさを拡大するなどの取り組みを行ってまいりました。
 国においては、先ほど議員からも御紹介ございましたが、急増する訪日外国人観光客のレンタカー利用による事故防止を目的として、この秋から訪日外国人観光客のレンタカー利用の多い5地域を対象に、急ブレーキをかけた場所等のビッグデータをもとに、訪日外国人特有の事故危険箇所を特定し、これをピンポイントの事故対策につなげる取り組みを開始いたします。
 道路管理者といたしましては、警察等関係機関とも連携し、県内の訪日外国人観光客の事故発生状況も見ながら、当面は事故多発地点等の交通安全対策を実施することで、訪日外国人観光客のレンタカー利用による事故対策につなげたいと考えております。
 あわせまして、今後、国が実施する取り組みを注視し、必要に応じてデータの提供を求めるなどにより、さらなる事故対策を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 先ほど県警本部長の御答弁にもありました、ナビゲーション等での交通事故情報に関する注意喚起が行われるとありましたが、現在のナビゲーションでは、多言語音声でのナビゲーションが少ないと思います。ということもあり、私が先ほど御提案いたしました交通ハザードマップアプリ等の開発も検討していただければなと思います。
 次の質問に移ります。
 リニューアルされた和歌山県公式ホームページを見ておりますと、「ようこそ知事室へ」と満面の笑みをたたえた仁坂知事の画像があります。その上に「おしらせ 弾道ミサイル落下時の行動等について」という見出しがあります。こんな平和な日本、和歌山のホームページにおいて、こんな見出しが掲載されるとは。北朝鮮による弾道ミサイルからいかにして国民、県民を守るか。朝鮮半島で有事が起きた場合に、どのように本県として対応するのか。
 私は、皆様も御存じのとおり、元陸上自衛官であります。有事を想定し、また治安出動や災害派遣先で自衛官として活動すべく教育を受け、厳しい訓練を昔のこととはいえ積んでまいりました。私が現職の自衛官だったころ、有事を想定したとはいえ、こんな平和な日本で有事など決して起こらないだろうと、また、弾道ミサイルが日本に実際に飛来してくる可能性があるなどということは思ってもみませんでした。
 しかし、金正日体制から金正恩体制へと北朝鮮の政治体制が移り、現在も核開発や弾道ミサイルの技術開発を推し進めております。加えて、北朝鮮は、日本を含む関係国に対する挑発的言動を繰り返しています。2013年、アメリカなどに対する核先制攻撃の権利行使や日本の具体的な都市名を挙げて弾道ミサイルの打撃圏内であることを強調し、朝鮮労働党の機関紙である「労働新聞」において、東京、大阪、横浜、名古屋、京都の5都市の名前を具体的に挙げています。これらの地域に日本の人口の3分の1が住み、その地域へ産業が集中しているため、ここを攻撃されると日本の戦争持続能力が一撃で消滅すると指摘し、戦争になれば日本列島全体が戦場に変わると主張しました。
 それから現在まで、日一日と緊張状態が高まっております。日本の国民を拉致し、重大な日本の主権侵害を平然と行い、さらには昨今の挑発行為、北朝鮮が大変許しがたい国家であることは明白な事実であろうかと思います。ミサイル実験、核実験を繰り返す北朝鮮・金正恩も恐ろしいですが、本当の危機は、またかと受け流す日本人の麻痺にこそあると思います。
 危機管理監にお尋ねいたします。本県における北朝鮮弾道ミサイル攻撃への対処、朝鮮半島有事における本県の対応についてお聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 県では、議員御指摘の和歌山県公式ホームページのほか、テレビ和歌山や和歌山放送、「県民の友」等、あらゆるメディアを通じ、弾道ミサイル落下時の行動について県民の皆様に積極的に周知を行っております。弾道ミサイルが発射され、本県や周辺地域に飛来する可能性がある場合は、消防庁から全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートを活用して、市町村の防災行政無線や緊急速報メールなどで、ミサイル発射の情報や、建物の中や地下に避難するよう促すメッセージが県民の皆様に伝達されます。その際、県では、和歌山県国民保護計画に基づき職員が緊急に参集し、官邸危機管理センターや消防庁からの情報を関係機関に伝達するとともに、被害の情報収集等を行うことになっています。
 また、朝鮮半島で有事が起き、政府において武力攻撃事態や緊急対処事態等の認定が行われた場合は、直ちに和歌山県国民保護対策本部を立ち上げ、国、自衛隊、警察、消防等の関係機関と緊密に連携し、県民の安全確保に全力を尽くしてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 最後の質問に移ります。
 先ほど危機管理監から和歌山県国民保護計画のお話がございましたが、平成18年1月に制定され、その後、平成21年3月、平成26年2月、平成27年6月、平成28年6月に一部変更と、近年は毎年のように和歌山県国民保護計画が改定されております。近年の武力行使に対する緊張のあらわれだと思います。私も、137ページに及ぶ和歌山県国民保護計画を、熟読とは言いませんが読ませていただきました。県民の生命や財産を守るためつくられたなかなかの大作だと思います。
 和歌山県議会議員となり3年目を迎えます。政治と行政を現場で見させていただき、まだまだ3年の私でありますが、行政の皆様を見ておりますと、大変失礼な言い方になるかもしれませんが、文字に書いたことはできる、文字に書いたこと以外はやってはいけない、そんな印象を私は覚えます。この和歌山県国民保護計画に書いていない想定外にどう対応するのか。現在は、想定外のことが常に起こり得ます。この和歌山県国民保護計画で全部できると思っている人はいないと思います。
 多くの皆様が勘違いすることですが、起こったときにやればいいといってもなかなかできないものです。阪神・淡路大震災のとき、なぜ神戸市の被害がひどかったのか。神戸市は、自衛隊と防災訓練を実施していなかったと聞いております。一方、時代は流れ、その教訓を生かし、宮城県は災害を想定し、自衛隊などと訓練を実施しておりました。そのため、東日本大震災のときでも、自衛隊と自治体は、満点とは言いませんが、うまく機能したという経緯があります。熊本地震の際も同様の状況であったと言えるでしょう。
 想定外に迅速、確実に対処するには、指揮官の指揮能力が大変重要となります。7月19日から21日までの日程で、先輩議員と一緒に神奈川県横須賀市にある幹部自衛官を養成する防衛大学校、私の母校である陸上自衛隊高等工科学校を視察してまいりました。いずれの学校も、自衛隊における指揮官を養成する学校で、優秀な若人を採用し、多額の国費を投じ、長い年月をかけて優秀な指揮官へと育成していく学校であります。また、学校を卒業しても、指揮官として多種多様な過程を踏み、長い年月をかけて想定外の事案に遭遇した際に適切な判断ができる高い指揮能力を身につけていきます。
 私が仁坂知事に最初に出会ったときの印象を率直に申し上げます。たしか、ある経済団体の役員会のときだったと記憶しております。何と頭のよい方なのだろうと。仁坂知事の経歴もすばらしく、和歌山県内では有数の進学校である和歌山県立桐蔭高校を卒業し、日本の大学の最高学府である東京大学を卒業し、経済産業省のキャリア官僚として活躍されたすばらしい経歴をお持ちです。そして、2006年、和歌山県知事に就任し、その卓越した行政手腕を発揮し、安定した行政運営をなさっていると一県民として思っております。
 仁坂知事は和歌山県における最高指揮官であることは、私が言うまでもないことでしょう。しかしながら、仁坂知事は、その経歴を見る限り、非常時における想定外に対処するための教育や訓練を受けたとは言いがたいと思われます。しかし、優秀な仁坂知事のことです。きっと日常の業務の間に、寝ても覚めても非常時における対処や最高指揮官としてのシミュレーションを怠ることはないだろうと私は思っております。
 そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。非常時における想定外の事案が発生した場合において、指揮官の指揮能力の大切さは当然だと思いますが、その指揮官を支える参謀、幕僚の能力の高さも大切な要素であると思います。現在の県庁組織の中で非常時における想定外の事案に対処できる体制にあるか否か、お聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず初めに、私の経歴についてお話がありましたが、実は私が勤めておりました通商産業省というのは、何かある意味ではひどいとこでありまして、あんまりきれいごとで仕事ができません。学歴が高いとか頭がよいとかそういう話じゃなくて、みんな新しい話がどんどん来て、そこでどちらかというと体育会系の乗りとか軍隊風の行動とか、それにふさわしいような指揮官としての訓練が結構できるところだというふうに思います。
 和歌山県庁でも、やっぱりそういうふうに、議員御指摘のように職員がみんなそんな雰囲気で、あるいはそういう才能を持って仕事ができるように、あるいはそういうふうに養成されるようにしていかないといかん、そういうふうに日ごろから思ってるところでございます。
 さて、御指摘のように、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律に基づく和歌山県国民保護計画のほか、県独自に食品への毒物混入等の重大事件や化学物質流出等による環境危機など、あらゆる危機事象に備えた和歌山県危機管理計画を策定しております。
 どんどんと新しいことが考えられるわけでございますんで、御指摘のようにその都度改定をしてふやしていってるということでございます。これは、紙に書いておることで、みんなそれを見ておかないといけないんですけれども、これらの危機事象に対しては、紙に書いてりゃできるというもんではなくて、自衛隊等政府機関とか警察、消防、それぞれの分野で専門的知見と経験を有する県職員で構成する対策本部のもと、あらん限りの力と知見を動員して対応しなきゃいけないということだと思います。
 また、平時から自衛隊のOBとか現職の警察職員とか消防職員とか、これを危機管理局に在籍させるなど、専門職員の知見や経験を防災対策や訓練等に取り入れさしていただいております。
 想定外の事案への対処としては、100年に1度の大災害とも言われる平成23年の紀伊半島大水害においても、多くの想定外な事象が発生いたしました。国、県、関係機関で構成する対策本部をまず招集して、毎日やって、その都度そこでどなり合いに近いような議論をして、今度は全体、決まったことは組織力で一丸となって迅速にやってきたつもりであります。
 しかし、これがなぜできたかというと、実は東日本大震災の応援に行ったり、そこの教訓を一生懸命シミュレーションしてたというところもあるというふうに考えております。今度はそれを、紀伊半島大水害を乗り越えた和歌山県でございますけれども、今度はそれがまた忘れられたらいけないんで、これは今度は常備軍化しております。例えば、災害廃棄物処理支援要員とか、災害時緊急機動支援隊とかいう制度をつくって、いつも任命をしておりますし、住家被害認定士の養成など、やっとかなきゃいけないことを今積み重ねているところでございます。
 こうしたふうに、いついかなる想定外の危機事象が生じるかわかりませんので、そういうときには私も頑張りまして、県庁全体も頑張ってもらいまして、県民の力も結集して、全力で適時的確に危機事象に対処して、そして県民の命と財産を守っていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君、質問時間が来ておりますので、簡潔に。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 いや、もう。ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) この際、申し上げます。申し合わせ等により質問時間の制限がございます。当局におかれても、また質問者におかれても厳守いただきますようお願いを申し上げます。
 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、早速ですが、質問に入らせていただきます。
 まず、児童虐待についてお伺いします。
 児童の虐待問題が社会問題としてクローズアップされ、国が児童虐待防止法を制定してから17年余りが経過していますが、その間、国では何回もの見直しを行い、今に至っています。
 和歌山県では、全国に先駆け、平成20年に和歌山県子どもを虐待から守る条例を制定し、虐待から子供たちを守る取り組みを進めてきました。また、県議会においても、何人もの議員が児童虐待問題を取り上げ、県の取り組みについて質問をしてきました。
 しかし、残念ながら、児童虐待の現状は極めて憂慮すべきものとなっています。県の児童相談所における児童虐待相談受け付け件数が、平成29年2月時点で1019件と初めて1000件を超えました。平成20年に427件だった相談件数は、年を追うごとに640件、718件、932件、1019件と右肩上がりに推移し、平成28年度は2月途中にもかかわらず、1000件を超える状況となっています。
 相談内容では、身体的虐待が27%、親が子供の目の前で配偶者などに暴力を振るう面前DVを含めた心理的虐待が43%、育児放棄などのネグレクトが29%、性的虐待は1%となっています。
 年齢別に見ると、ゼロ歳から3歳が20%、3歳から学齢前が24%、小学生33%、中学生14%、高校生9%となっており、学齢前までの幼い子供たちの割合が44%と最も高い数値になっています。
 虐待者は、実の親、養父母や継父などですが、実母が52%と圧倒的に多く、その次に実のお父さんが33%となっており、何と8割以上が実の父母という状況になっています。
 このような状況を鑑みると、児童虐待問題は虐待をする当事者だけの問題ではなく、日本社会が抱える社会問題として、さまざまな視点から取り組みを進めていかなければ、虐待から子供たちを守れないのではないかと考えます。
 平成28年の児童福祉法改正では、子供は権利の主体であることを明確にし、家庭への養育支援から代替養育まで、社会的養育の充実とともに、家庭養育優先の理念を規定し、実の親による養育が困難であれば、特別養子縁組による永続的解決や里親による養育を推進することを明確にしました。これは、国会において全会一致で可決され、社会的養育史上、画期的なことと受けとめています。
 このことを受け、国の設置した新たな社会的養育の在り方に関する検討会が、平成29年7月31日付で「新しい社会的養育ビジョン」を発表しました。これは、平成23年7月に発表された「社会的養護の課題と将来像」を全面的に見直すものであります。
 この中では、新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた工程として、1、市区町村を中心とした支援体制の構築、2、児童相談所の機能強化と一時保護改革、3、代替養育における「家庭と同様の養育環境」原則に関して乳幼児から段階を追っての徹底、家庭養育が困難な子供への施設養育の小規模化・地域分散化・高機能化、4、永続的解決保障の徹底、5、代替養育や集中的在宅ケアを受けた子供の自立支援の徹底などを初めとする項目について、速やかに平成29年度から改革に着手し、目標年限を目指し計画的に進めるようにと指摘をしています。
 今回の改定は、子供は権利の主体であるといった考え方に基づいており、国連子どもの権利条約にも沿ったものであると考えます。
 そこで、児童福祉法改正に伴う社会的養育ビジョンの提言を受け、県の今後の取り組みについて、何点かお伺いしたいと思います。
 1点目は、市町村と連携した児童虐待の取り組みについてお聞きします。
 県における児童虐待の相談経路を見てみると、一番多いのが警察、次に福祉事務所、学校、児童相談所と続いていますが、今後増加すると予想される児童虐待に対応するため、住民にとって身近な市町村での相談窓口や体制を構築することが求められています。このような市町村との連携について、県として今後どのように進めていくのか、お伺いします。
 2点目は、児童虐待問題に精通した専門員の状況についてですが、人員や資質向上などの状況はどうなっているのか、お伺いします。
 3点目は、里親制度の取り組み状況についてです。
 里親制度について平成24年にも質問しましたが、その際は、「全国の自治体における成功事例も参考にしながら、家庭的な環境に近い里親による養育を一層推進する」との御答弁でした。その後の取り組み状況はどのようになっているのか、お伺いします。
 4点目は、施設小規模化の状況についてです。
 今回の提言において、家庭養育が困難な子供への施設養育の小規模化が提言されています。県内における施設の状況はどうなっているのか、お伺いします。
 5点目は、未然防止、再発防止のための施策についてです。
 私が質問しました5年前には、県の新政策として、児童虐待の未然防止と再発防止のための親支援に重点的に取り組むとしていましたが、残念ながら相談件数は増加している状況です。質問の際にも、親になる方々に啓発も含め親支援プログラムを受講できるような取り組みを要望しておりましたが、どのように取り組んでいただけたのでしょうか。これも含め、児童虐待の未然防止、再発防止の施策についてお伺いします。
 最後に6点目は、児童養護施設を退所した後の支援についてです。
 相愛大学教授でもあり、県の教育委員でもある桑原教授の「被虐待児童の児童養護施設等での処遇改善に関する調査研究」の中の児童養護施設退所児童支援の調査によると、施設退所児童の半数以上が、現住所がわからない、施設との関係が悪いためということで、連絡のとれない状況にあるということでした。連絡のとれた退所児童についても、退所後の仕事の問題や生活での問題など、さまざまな困難を抱えている実態が浮かび上がっています。まして、連絡のとれない子供たちの状況は、さらに厳しいものがあると思われます。
 そこで、県として、施設を退所した子供たちの支援についてどのように考えているのか。
 以上6点について、福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 児童虐待対策についての6点の質問にお答えします。
 まず第1点目、市町村と連携した児童虐待の取り組みについてですが、児童虐待の相談件数が年々増加する現状において、児童相談所のみでの対応には限界があり、法律に定められた相談機関の1つである市町村との連携が重要となります。
 具体的には、児童相談所や市町村に寄せられた虐待情報は、初期段階で迅速に情報共有を図った上で、専門的な知識や技術を有し、一時保護や措置などの権限を持つ児童相談所が対応するものと考えております。
 ただし、明らかに在宅支援が可能な事案や、調査確認等の結果、在宅支援が適切であると児童相談所が判断した事案につきましては、市町村が対応することとなります。加えて、児童相談所が一時保護や措置を解除した場合の在宅支援につきましても、市町村が対応することとなります。
 なお、市町村においては、職員の配置や専門的な知識、技術面など体制が十分でないところもあることから、県において、児童相談業務に必要となる支援会議の運営方法や、虐待の兆候を見逃さず早期発見につなぐことのできるノウハウ等を学ぶための研修会を開催し、市町村職員の資質向上を図るよう引き続き支援してまいります。
 次に、2点目でございます。
 専門員の状況についてですが、児童相談所には、虐待対応に精通した児童福祉司、児童心理司などの専門員を配置しております。虐待への初動対応や家庭支援に係るケースワークなど、中核的な役割を担う児童福祉司については、現在、県内2カ所の児童相談所に計30名を配置しており、県庁全体の限られた人員の中において、直近5年間で7名の増員を図っているところでございます。さらに、専門員に対して勤務年数等に応じた体系的な研修を導入し、高い専門性をもって児童虐待に迅速かつ的確に対応できる人材の育成にも努めております。
 今後とも、さまざまな研修を取り入れて、児童相談所職員全体の専門性の向上に取り組んでまいります。
 次に3点目、里親制度の取り組み状況についてですが、家庭的な環境のもと、愛着関係を育みながら児童を養育する里親制度は、児童の健全な育成を図る上で大変重要であると考えております。
 県では、この里親制度を推進するため、平成24年度に里親支援機関を紀北地域に設置し、県民に対する制度の普及啓発や里親への訪問相談などを行っております。昨年度は、県内2カ所目となる里親支援機関を紀南地域に開設し、里親制度のさらなる普及に取り組んでいるところでございます。
 平成28年度末における県内の里親登録世帯は110世帯、里親委託率は19.1%であり、里親支援機関整備前の平成23年度末の72世帯、9.7%と比較しまして、着実に増加しております。
 今後とも里親委託を推進するため、児童委員研修会における周知依頼や市町村の広報紙の活用など、新たな人材の確保についての働きかけを行い、里親登録が増加するよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、4点目でございます。
 施設小規模化の状況ですが、児童養護施設の小規模化については、入所児童がより家庭的な養育環境において安定した人間関係を築き、生活することができることから、重要であると考えております。
 県内施設の状況といたしましては、児童養護施設及び乳児院の計9施設のうち、平成28年度末時点で小規模化対応がなされている施設は7施設となっております。未整備の2施設についても、建てかえによる小規模化が予定されているところであり、計画どおり整備が進むよう、必要に応じ助言を行ってまいります。
 次に、5点目でございます。
 児童虐待の未然防止、再発防止のための施策ですが、児童虐待の未然防止については、孤立しがちな子育て家庭の悩みや不安が深刻化する前に、早期対応することが極めて重要であります。
 県におきましては、これまで夜間、休日は自動音声案内だった全国共通の児童相談ダイヤル189について、平成28年4月から365日24時間相談員が対応しているほか、妊娠前から子育て期におけるさまざまな相談にワンストップで対応する子育て世代包括支援センターを設置する市町村に支援を行うなど、相談体制の充実に取り組んでいるところでございます。
 また、再発防止策につきましては、平成23年度以降、虐待をした親に対し、子育ての方法や親自身のストレス管理等を学習するための親支援プログラムを実施しておりまして、平成28年度までに、児童相談所と市町村で計271名が受講されております。
 引き続き、児童福祉司による家庭への助言、指導などとあわせまして、親支援に取り組んでまいります。
 なお、市町村における親支援プログラム活用の促進を図るため、平成26年度には、一般家庭を対象とする未然防止の啓発を目的とした講演会を22市町村で開催したほか、平成26年度及び平成27年度の2カ年において、市町村職員を対象とするプログラム指導者の養成講座を開催し、19市町村で計66人の指導者を養成したところでございます。
 最後に、6点目でございます。
 児童養護施設を退所した後の支援についてですが、児童養護施設を退所した後の支援につきましては、退所者が社会生活を始めると職場や生活面でさまざまな悩みを抱えることが多いことから、県におきましては、退所後一定の期間を経た時期に、手紙や電話等により近況を確認するほか、支援相談員による訪問相談や退所者同士の交流の機会を設けるなど、退所者の自立を長期的に支援するアフターケア事業を実施しております。
 また、退所後の自立に不安を抱える者に対しましては、共同生活の場を提供する自立援助ホームへの入所を促し、日常生活上の援助や就業の支援を行っているところでございます。
 なお、退所後に家庭の支援が得られない者にとって、信頼し相談できる大人の存在が重要であるため、施設入所中においても、支援相談員による面接や交流の機会をふやすなど、退所後の自立を見据えた取り組みをさらに充実させ、退所者の社会的自立の促進を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 質問で申し上げましたように、虐待をする8割が実母と実父ということですので、学齢期前の幼い子供の割合が高いという実態もあるということに対策が求められていると思うんですね。
 虐待予防にもっと力を入れるべきではないか。虐待予防については、子育て中の母親などが気軽にやっぱり相談できる場所や相談する機会をふやす、孤独になりがちな母親を一人にさせないための方策というのも有効かと思います。
 また県では、子育て支援、虐待予防の一環としてトリプルPなんていう子育て支援プログラムなんかも実施していただいておりまして、そういった有効なプログラム等も積極的に活用して、継続して、1人でも多くの方が受講できるようにしていただきたいというふうに要望します。
 さらに、社会的養育ビジョンでは、5年間で乳児院を廃止するというふうな方針まで出されておりまして、そのためには、里親養成は喫緊の急務だと思います。多くの県民に積極的な啓発を図っていただいて、里親登録が増加するように頑張っていただきたいと要望したいと思います。
 次の質問に行きます。性暴力について質問をいたします。
 性暴力の実態がどのようなものであるのか、明確な数字は出ておりません。県警察本部の資料によると、強姦の検挙数は平成27年で7件、28年で9件となっています。強制わいせつは平成27年で36件、28年で27件となっています。これは、あくまでも警察に届け出て起訴するといった事件性のある件数となっています。
 性暴力は犯罪であるにもかかわらず、事件になる件数が極端に少ない犯罪であります。強姦や強制わいせつに軽微な性的被害を含めると、大多数の女性が被害に遭っていると思います。被害に遭ったほとんどの女性は、泣き寝入りをしている実態であります。
 どうして被害を訴えないのか。「ちょっとした性被害は、そんなに大げさに騒ぐこともないんじゃないの」、「冗談でちょっと胸をさわっただけよ」といった加害者の加害意識のなさに加え、社会がそれを容認しているという風潮があるからだと私は思います。しかし、軽微なものであっても、どれも女性の人権や尊厳を踏みにじる、断じて許すことのできない行為であります。
 痴漢やセクハラが犯罪だとされ、認識も高まってきましたが、今の日本の状況を見る限りでは、性暴力を許さないというよりも、それを容認するような空気があることも事実だと思います。
 コンビニにあふれるポルノ雑誌、ネットにあふれるアダルト映像には、女性が性的暴力を望んでいるかのような姿さえ描かれています。また、女子高生を食い物にするようなJKビジネスなどが横行し、子供たちもその犠牲になっています。このように、女性の性を売り物にする事例が後を絶ちません。これでは、幾ら性暴力が犯罪だといっても、根絶することは到底無理な話だと言わざるを得ない状況です。
 和歌山県では、平成25年に設立された性暴力救援センター和歌山・わかやまmineに多くの相談が寄せられています。電話相談件数も、平成27年度で285件、28年度で346件と増加しており、来所相談は平成27年度で197件、28年度で193件と横ばいの状況となっています。年代別でいうと、延べ人数ではありますが、10代からの電話が181件、来所は133件と最も多く、10歳未満の相談も電話が37件、来所は21件ということで、子供、若年者の被害が大半を占めるという状況が浮かび上がっています。内容としては、強姦、強制わいせつの割合が依然として高い数字となっています。
 わかやまmineの業務は、電話や来所による相談だけではなく、相談を受けた後、強姦などの肉体的にも緊急を要する場合は、72時間以内の診断を受けさせるため、医療機関への引き継ぎも付き添いも行います。また、相談者の要望により、弁護士やカウンセラーへの引き継ぎや付き添い、警察への通報や生活面での相談など、被害者の事情を考慮し、丁寧な仕事をしていただいています。
 被害者一人一人に寄り添うためには、それなりの時間がかかります。相談が一度では終わらず、何年にもわたり対応しなければならないケースも多いとお聞きしました。20年も前の被害を打ち明ける相談者もいらっしゃるということですので、性暴力がどれほど深く人の心を傷つけるのかと思うと、加害者に対しての怒りが込み上げてきます。
 常駐支援員1名と、県子ども・女性・障害者相談センターの職員である女性相談員7名でわかやまmineの業務を行っていますが、7名の女性相談員は兼務であり、常駐支援員と女性相談員による常時2名の体制ということですが、この体制では、1名が付き添いで外出すると、もう1名だけで相談業務をこなさなければならない状況であり、2名とも手の離せない場合は、さらに別の女性相談員の応援を要請するということもお聞きしました。本来の所属である子ども・女性・障害者相談センターの業務で手の回らないときもあるということで、本当に大変な中、取り組んでいただいているようでした。
 県が主体となって設立されたわかやまmineをこれからも継続し、拡充していただきたいと切に願っています。先ほど言わせていただいたように、強姦され、望まない妊娠をするなど、性暴力の犠牲になる子供たちを1人でも救ってほしいからです。
 行財政改革のもと、なかなか人の手当ては難しいとお聞きしていますが、万年人手不足の状態を何とか改善してもらいたいと思います。人を救えるのは人でしかありません。人員の増員を強く要望しておきます。
 さて、刑法の一部が改正され、強姦罪の対象となる行為の幅が広がりました。罪名も強制性交等罪と変更されました。これを受けて、強制性交等罪が成立するのは女性だけとは限らなくなり、男性もその対象となりました。
 そこでお聞きしますが、今後は男性やLGBTなどの多様な性に対する性暴力も視野に入れなければならないと思いますが、これらの対応について環境生活部長にお伺いします。
 次に、教育委員会にお聞きします。
 先ほど説明したように、性暴力の被害者は圧倒的に10代の子供です。10歳以下の子供たちが被害に遭っているということから、児童生徒に性に関する指導の中で、性暴力から自分の身を守るすべを教えなければなりません。
 学習指導要領において、小学校では、体の発達・発育について理解できるようにする、中学校では、思春期には、内分泌の働きによって生殖にかかわる機能が成熟すること、成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となることといった記述があるのみで、これでは、子供たちが現実の性的被害や性暴力に全く対応できないという状況です。
 体の発達や生殖機能を教えるだけでは、子供たちまでも性の対象と考える大人たちから子供たちを守ることはできません。加害者は、インターネットやSNSを初め、さまざまな媒体を使って、いつでもどこでも子供たちを狙っていると言っても過言ではありません。
 また、被害状況から見ると、性暴力を行う大人は知り合いや顔見知りが圧倒的に多いのです。親切そうに近づいて、子供に暴力を振るうのです。
 子供たちが最も長い時間いる学校という現場において、最も関心のある性と心の問題を相談できる場所、性的な悩みを語ることができる環境が必要だと思います。被害を未然に防ぐためにも、実践的でリアルな性に関する指導が求められています。
 そこで、性暴力から子供たちを守るため、性に関する指導の現状と今後の進め方について教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 1つ目、男性やLGBTへの対応についてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、性暴力の被害は女性に限らないことから、今後、男性やLGBTなど、多様な性に対する性暴力への対応も考えていかなければなりません。
 男女共同参画センター「りぃぶる」では、男女を問わず、家庭や職場のこと、生き方への不安などさまざまな相談に応じているところですが、これまで女性以外からの性暴力被害の相談はありません。今後、相談があった場合には、必要に応じて病院や警察など関係機関と連携して対応してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 性被害を未然に防ぐためには、児童生徒が身の回りにあるさまざまな性に関する危険な状況を正しく認識し、的確な判断のもと、安全な行動をとることが重要でございます。
 県教育委員会では、学校教育活動全体を通じて性に関する指導に取り組むため、「性に関する教育の手引」を作成するとともに、保健体育科教諭や保健主事、養護教諭等を対象に、性被害を含む性に関する問題や指導方法についての研修会を毎年開催しております。
 また、学校では、保健体育の授業を中心に、小学校では犯罪被害に遭わないための行動、中学校では性にかかわる被害に巻き込まれない方法、高等学校ではDV防止について、特別支援学校においては、小・中・高等学校に準じた内容で、児童生徒の発達の段階に応じた指導をしております。さらに、法務局、男女共同参画センター等の協力を得て、命の授業やデートDV人権教室など、ロールプレーなどの手法を用いて、被害に遭うことを防止する方法についての講演会等も行っております。
 性に関する指導においては、時代の変化や児童生徒の実態に応じて指導することが重要であり、性被害等の今日的課題に対応するため、「性に関する教育の手引」を見直すとともに、研修会を充実し、性被害を含む性に関する指導が適切に行われるよう、各学校を指導してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ありがとうございます。
 実施していただいているというのが、まず教職員がきちんと捉えなくてはいけないと思いますので、それはそれで本当に毎年開催していただいていることはわかりました。
 しかし、ちゃんと研修を受ける教諭というのは、全部の学校の先生が受けられるわけではないので、まず、そういった研修をたくさんの先生たちが受けられる機会をふやしていただくのと、それから、全ての児童生徒、しかも幼児なんかにも被害があるわけですので、小さな幼児にもわかるような、そういった性の教育というのをしっかりと考えていただいて、その幼児から小学校、中学校、高校までの年齢の段階に応じて、きちんと届けられるように頑張っていただきたいと思うんです。
 今お答えいただいたみたいに、県の男女共同参画センターとか県の子ども・女性・障害者センターなんかでも、学校から要請があれば、可能な限り出前授業をしたりとか、デートDV人権教室の授業にも行きますよと言っていただいているので、そういった外部からの講師に学校の中で授業していただくというのも大変有効なんじゃないかなと思ってますし、それから、たくさんパンフレットもつくっていただいています。嫌って言っていいんだよというふうな、本当に小学生の子供たちが見てもわかるような、そういったパンフレットもたくさんありますので、学校という閉ざしてしまわないで、いろんな意味で、そういったパンフレットなんかも利用しながら、しっかりと子供たちに性教育を届けていただきたいです。
 それから、児童虐待防止教育といって、これも和歌山でもCAPというふうな、そういったプログラムをずっとしていただいているところもあるんですが、それもすごくロールプレーなんかが入っていて子供たちがわかりやすい構成になっていますので、そんなのも活用していただけたらというふうに思います。
 いろんなさまざまな方法を用意していただいて、子供の命と人権がやっぱり大切にされる教育を進めていただきたいと強く要望いたします。
 次の質問に行きます。
 今後の観光戦略についてお伺いします。
 ちょっと性暴力で熱が入ってしまったんですが、最後に、今後の観光戦略についてお伺いしたいと思います。
 和歌山県は豊かな自然があり、世界遺産を初め、多くの物語に包まれた歴史があり、それに加え、新鮮な食材に恵まれたすばらしい県であると私は常日ごろ思っています。これは、多分皆さんも思っていると思います。
 先日も、会派で紀南地域に視察に行ったところ、全員がすさみ海岸の美しさに見ほれてしまいまして、そこで写真なんかを撮ったんですが、私も仕事柄、全国各地を訪れていますが、和歌山県はどこにも負けない数多くの財産があるなあというふうに思います。
 しかしながら、和歌山県人は昔からそうですが、他県から誰か訪ねてきても、「和歌山には何にもないよ」とか「見るとこなんかないよ」などと言ってきました。県出身の歌手ウインズの歌でも「和歌山LOVE SONG」というのがありますが、この中では、シャイな和歌山の人が東京に行けば大阪から来たとうそついてしまうと言っています。
 実際に訪れていただいた方からは、「和歌山は本当にいいところだし、食事もすごくおいしいのに、情報発信が下手やね」、あるいは「もっとみんなに知ってもらえるようにしたらいいのに」とよく言われました。私は、おいしい食べ物やすばらしい景観もあって当たり前と思っている県民性が、情報発信をおくらせてきたように思います。
 しかし、最近は、和歌山県を訪れていただける方がふえています。平成28年度の和歌山県観光客動態調査によると、日帰り客数が2962万3000人、前年度比でも106.9%ふえています。宿泊客数の524万7000人を加えた観光入り込み客総数は3487万人、対前年度比が104.4%となり、2年連続で史上最高を更新したとしています。ここ5年間の日帰り、宿泊客数の数字を追ってみても右肩上がりにふえており、県当局や関係者の御努力が実ったと感じております。
 観光客の指向について、民間公表データを見てみると、楽天トラベルによる2015年秋の旅行先人気上昇エリアランキング、2016年の家族旅行に人気の温泉地ランキングにおいて、和歌山県は第1位となっています。さらに、2014年と15年の年間国内旅行都道府県別伸び率ランキング、2015年と16年の春旅行人気上昇エリアランキングにおいては、連続2位となっています。
 これらのデータから、観光客の和歌山県の指向が全国的に見ても高いものとなっていることがわかります。関係の皆さんの御努力が本当に成果になってあらわれていると思います。
 海外からの観光客、すなわちインバウンドの状況は、観光庁が発表した2016年の宿泊旅行統計調査による外国人延べ宿泊者数では、1位東京、2位大阪、3位北海道、4位京都、5位沖縄県と続き、和歌山県は19位となっています。
 また、アメリカのマスターカードが発表した2016年度の世界渡航先ランキングによると、渡航者数の上位は、ちょっと順位ばっかりなんですが、1位がバンコク、2位ロンドン、3位はパリと続き、東京が9位となっています。願わくは、和歌山も世界を見据えた観光をつくり上げてもらいたいものです。ちなみに、大阪は17位ですが、平均成長率が24.15%、世界一の急成長を見せています。
 これらの状況から考えると、インターネットを駆使した新たな媒体や各種メディアなどを活用した観光情報はちまたにあふれており、和歌山県が観光に力を入れているのと同様、他の都道府県も同じように努力しています。同じことをしていては、これ以上の成果を望むことはできません。このような中で、国内外からたくさんの方々に和歌山県へお越しいただくために何が必要か、これまで以上にしっかりと戦略を立てる必要があると思います。
 そこで、まず「水の国、わかやま。」の取り組みについてお伺いします。
 県は、現在、「水の国、わかやま。」という切り口で、和歌山への誘客を進めています。私は、旅をして最も心に残るのは体験や人との触れ合い、幸せや感動だと思います。水というコンセプトから広がるスポーツや文化、お酒などの食の豊かさ、健康、美容やエステなど、水にかかわるあらゆる分野の魅力があって、水の国というものが旅する人に幸せや感動を与えることになると思います。
 県において作成されたパンフレットに、今お話ししたような切り口で魅力のある観光素材が掲載されています。例えば、具体的な例として、パンフレットやウエブに掲載されている「水と遊ぶ」というコーナーを見ると、確かにカヌーや沢下り、ラフティング、いかだ下り等々、アウトドアを満喫できるとなっています。
 そこで、県として現在力を入れている水の国をコンセプトとした観光戦略の状況と今後の展開について、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 今後の国内人口の減少やインバウンドの多様化を踏まえ、世界遺産や主要な温泉に加え、県内全域をお客様に周遊していただくことで、県内での滞在時間をふやし、消費を拡大することが重要です。
 「水の国、わかやま。」キャンペーンは、まだ知られていない和歌山の自然の魅力を水という意外性のある切り口で実施しており、海・川・山の絶景、温泉、食、アクティビティーなど魅力を発信するため、和歌山の水を撮り続けているネーチャーフォトグラファーの内山りゅう氏の作品を前面に出すなど、各種施策を展開しています。
 具体的には、主要都市での写真展や映像、パンフレットやウエブサイト、各種メディアなどで情報を発信していますが、最近では、テレビ番組での取り上げもふえてきている状況です。その結果、由良町、旧花園村、古座川町、旧古座町などの主要観光地以外の地域にも、お客様が増加をしております。
 引き続き、この取り組みを継続していくとともに、海外へも積極的に情報発信していきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 次に、情報ツールを活用しての観光戦略についてお伺いします。
 最近は、インターネットやSNSなどにより、昔では考えられないような速さであっという間に情報が伝わる世の中になっています。これも、和歌山だけが発信してるわけではないので、伝え方や手法などの工夫に大きく左右されます。
 SNSのフェイスブックやインスタグラムなどで、いわゆる「いいね」をする回数が話題となっています。人気ランキングも、検索回数が多くなると上位にランキングするというような仕組みになっています。
 そこで、県として、これらフェイスブックやインスタグラムなどのSNSやインターネットを活用した観光情報の発信についてどのように取り組んでいるのか、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 国内外を問わず、個人観光客が主流となっている現在、和歌山に行ってみたいという動機を持っていただくには、メディアを使った情報発信が重要です。中でも、SNSやインターネットは、気軽に情報を発信したり入手もできるほか、リアルタイムな情報源としても有効です。
 県及び県観光連盟では、既にテレビ、ラジオ、雑誌、新聞などのメディアで情報発信を展開し、年間約500媒体で発信をしているところですが、SNSについては、これまでにツイッターやフェイスブック、インスタグラム等で、お客様から県内各地の旬の情報を発信していただく取り組みを行っています。
 特に、急速にユーザー数をふやしているインスタグラムについては、本年6月から8月末までの3カ月間、「水の国、わかやま。」投稿キャンペーンを集中的に行ったり、インバウンド向けにも、本年3月インスタグラムを立ち上げ、観光プロモーターから情報を発信してもらうなど、外国人個人観光客の誘客対策を展開しています。
 国内外に向けたウエブサイトにつきましても、観光地、アクセス、キャンペーン等の基本情報の充実に加え、旬の情報も提供していますが、特に、外国人にわかりやすい内容とするため、日本政府観光局の特別顧問であるデービッド・アトキンソン氏の監修により、「Visit Wakayama」のホームページを立ち上げるなど、インバウンドのお客様の視点による工夫もして発信をしているところです。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 次に、県民とか団体等と連携したおもてなしについてお伺いします。
 和歌山県をどこにも負けない観光地にするために、広く県民の皆さんと連携した取り組みが求められています。県民の皆さんが「和歌山には何にもないよ」と答えるようでは、当然うまくいかないと思います。県民全体が地域に誇りを持ち、和歌山にお越しになったお客様に自信を持ってもてなすような取り組みが必要だと考えます。
 また加えて、各関係者や各種団体、市町村などとも連携をとりながら進めていかなくてはなりません。そういった具体的な取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県では、県民一人一人がおもてなしを実践できる県民運動「わかやまおもてなし宣言」に平成25年8月から取り組んでおり、その登録者数は7万人を超えている状況です。
 和歌山に来てよかったと感じていただき、また和歌山に来たいと思ってもらえるように、心のこもったおもてなしで県民の全員がお迎えすることは、お客様の再訪につながるもので、大変重要であると思います。
 中でも、お客様が県内各地を訪れる際、その土地で思ってもみない心地よいサービスを受けられるおもてなしは、その地域の魅力を印象づけることから、第一線で観光客に接する関係者に対して、接遇等の研修や宿泊施設のインテリアや料理等についてのアドバイザーを派遣し、商品力の強化を図るホスピタリティー向上への取り組みを行っています。
 また、今般、サイクリングロードの整備が進み、和歌山に多くのサイクリストが訪れている状況に対応するため、宿泊施設を対象としたサイクリストに優しい宿セミナーも予定しているところです。
 ハード面では、「おもてなしトイレ大作戦」と銘打って、県内観光地の公衆トイレに温水洗浄便座等の設置を推進してきた結果、週刊誌に「トイレ最先端県・和歌山」として取り上げられるなど、話題になりました。また、Wi-Fiや多言語案内表示についても、市町村等と連携して整備するなど、今後さらなる観光客の受け入れ体制の充実に取り組んでまいります。
 外国人を含む個人観光客の増加に伴い、それぞれのニーズに応じたおもてなしも必要と認識しており、今後とも、団体等と連携しながら、おもてなし力の向上の底上げを図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 あと2つ。
 国内観光客へのアプローチについてお伺いしたいと思います。
 先ほどのデータやランキングなどを見れば、県当局を初め関係の皆さんの努力の成果があらわれたと申し上げましたが、私は和歌山の持つポテンシャルを考えれば、喜んでばかりはいられないと考えています。さらに高みを目指していただきたいと思っておりますので、国内観光客向けの戦略と今後の展開についてお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 国内観光客への戦略としましては、和歌山への旅行動機を喚起するためのメディア対策、旅行の利便性を高めるための商品の造成や交通アクセスの改善、ガイドブックなどによる詳細情報の集約、おもてなしやアクティビティー、サイン整備などの受け入れ体制などの充実に加え、教育旅行や年金旅行、コンベンションなどの誘致活動の実施など、多種多様な施策を展開しています。
 さらに、和歌山県観光立県推進条例に基づく和歌山県観光振興実施行動計画を毎年策定し、観光客の嗜好や傾向、催事など、その年の情勢に合ったプランニングも行っているところです。
 過去には、平成25年から3年間を和歌山観光のゴールデンイヤーと設定し、伊勢式年遷宮、世界遺産登録10周年、高野山開創1200年などを活用した施策を実施した結果、平成27年、28年には楽天トラベルで2年連続、年間国内旅行都道府県別伸び率ランキング全国第2位を獲得いたしました。
 今後は、主要観光地だけでなく県内各地を周遊し、滞在時間をふやし、消費を拡大するため、現在実施中の「水の国、わかやま。」キャンペーンや「サイクリング王国わかやま」に加え、本県で2年後に開催されるねんりんピックで来県される歴史好きな中高年層等もターゲットに、本県の豊富な歴史、文化、ストーリーに、食や温泉、体験などを絡めた旅の楽しみ方を提案する「わかやま歴史物語」にも取り組んでまいります。
 国内観光客の数や評価を伸ばしていくことがインバウンドにも影響すると考えており、積極的に国内の誘客活動に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 最後に、インバウンドの施策についてお伺いします。
 日本全体の訪日外国人客数が2016年に2403万人となっておりまして、内訳を言うと、中国、韓国、台湾3カ国が全体の65%を占めるという状況です。和歌山でも、2011年に8万人だった外国人観光客は2016年には50万5000人と、6倍もの伸びを示しています。内訳は、国全体とほぼ同じく、中国、香港、台湾、韓国の東アジア4カ国が全体の3分の2となっています。和歌山県では、高野山なんかに訪れるフランスが6位ということが大きな特徴となっています。観光客数は確かに伸びてきましたが、残念ながら、近畿の中でも京都や大阪にはちょっと比べようもない数字です。
 そこで、これからの観光客の伸び代を考えると、マレーシア、インドネシアなどにおけるムスリムの訪日客を取り込んでいくということも大切なことだと考えます。食事やお土産などのムスリム対応は進んでいるのでしょうか。
 そこで、県として、インバウンド施策の取り組み状況と今後の展開について、商工観光労働部長に再度お伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) インバウンド施策につきましては、国内施策と同様に、ターゲットとする国、地域の観光客に対し、和歌山に行ってみたいという旅行動機を喚起するメディア対策や、和歌山への旅行手段となる商品化を目的としたプロモーション活動と、外国人観光客が快適に旅行できる受け入れ環境整備の2本柱で各種施策を展開しています。
 プロモーション活動につきましては、現在、21カ国の国と地域をターゲット化し、職員が現地に赴き、それぞれのニーズを徹底的に把握、分析した上で、和歌山の観光資源を戦略的に提案しております。
 また、急増する個人客対策といたしまして、CNNやBBCなど世界的ニュースサイトとのタイアップキャンペーンに加え、カリスマブロガーや各国の旅行社を招聘するとともに、フェイスブック、インスタグラム等、SNSなど積極的な情報発信を行っているところです。あわせて、将来にわたる和歌山県ファンづくりを目的にしたインバウンド教育旅行の誘致にも力を入れております。
 さらに、多言語案内板や無料Wi-Fiの整備、多言語電話通訳・翻訳システムの導入、高野・熊野特区通訳案内士の養成、ムスリムを初めとする多様な食文化や生活習慣に関する事業者向けセミナーの実施等、受け入れ環境の整備にも取り組んでいます。
 今後とも、世界に向けて、和歌山に行きたいと感じるプロモーション活動を展開するとともに、お越しいただいた外国人観光客の皆様に、快適だった、また来たいと思っていただける受け入れ体制の環境整備に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 観光については、5点にわたって質問させていただきました。
 観光は、総合行政だというふうに思います。県民の皆さんが参加して、県民の皆さんもさらにもうけていただけるような、そんな施策を展開していただきたいと思います。具体的な目標を数値化して、5年、10年先に見える未来を描いていただきたいと切に願います。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時59分休憩
────────────────────
○副議長(山本茂博君) 再開前ではありますが、一言申し上げます。
 本日、傍聴席に和歌山大学附属小学校の6年生の皆さんがこども県庁探検隊として議場にお見えでございます。皆さん、ようこそ県議会にいらっしゃいました。ありがとうございます。(拍手)
 今、議場におります県議会議員は、県民の代表として、それぞれの地域や和歌山県の発展のために頑張っております。和歌山大学附属小学校の皆さん、県議会や県の行政に関心を持っていただき、未来の和歌山県がもっとよくなるよう、しっかり勉強に励んでいただきたいと思います。
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、交通弱者に優しい交通政策という問題であります。
 私たちは、最近、海南市で市民要求アンケートを行いました。年金、国保、介護にかかわる要求が多いのですが、それに加えて、交通弱者の悩みが多くなっているのが最近の特徴です。
 高齢化の進行が1つの要因です。もう1つは、歩いて行ける範囲に商店がなくなったという問題があります。それに加えて、人口減少に伴って利用者が減ったため、路線バスの廃線や運行回数の減少もあります。
 「高齢になって免許証を返納したいが、返納すると生活ができない」、「病院に行くのも買い物に行くのも、誰かに車に乗せてもらわないと行けない」という声がたくさん寄せられています。
 最近、高齢者にかかわる交通事故についての新聞報道も多く目にします。こうした問題に、行政として対応しなくてはなりません。
 まず、高齢者の交通問題の一端を明らかにするために、警察本部長にお伺いいたします。高齢者の交通事故の状況、免許証返納の取り組み、そこにはどんな課題があるのかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 本年7月末現在における高齢者の関係する交通事故は、発生件数564件、前年同期比マイナス49件、死者数6人、前年同期比マイナス6人といずれも減少しておりますが、全事故に占める割合は37.7%、全死者に占める割合は42.9%といずれも高い割合を占めております。また、高齢者ドライバーが関係する事故につきましても、発生件数は475件、前年同期比マイナス32件と減少していますが、全事故に占める割合は31.8%と高い割合を占めております。
 こうした実態から警察では、高齢者の交通事故防止対策は喫緊の課題であると考えており、関係機関、団体と連携して、運転免許の自主返納の働きかけや、参加・体験型の交通安全教室の開催、街頭指導活動の強化などの対策を推進しております。
 続きまして、運転免許証の自主返納状況ですが、平成10年に申請による運転免許の取り消し制度が施行された当初は自主返納者は年間わずか20人から30人でありましたが、年々増加し、昨年は2566人の方が自主返納されております。警察といたしましては、交通事故の未然防止の観点から、身体機能の低下を自覚された高齢者の方が自主返納制度を利用されることは大変好ましいことであると考えておりますが、その一方で、免許返納後の交通手段の確保が課題でありますので、自治体や関係機関に対して、コミュニティーバス利用時の運賃助成等の働きかけを実施しているところであります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 私が申し上げたい関係機関への働きかけも含めてお答えいただきました。ありがとうございます。
 そこで、人口減少のもとでのバス路線などの廃止もあり、コミュニティーバスの運行、最近導入されつつあるデマンド型乗り合いタクシーなど、いろいろな努力をされていると思うのですが、その実情やお取り組みについて、企画部長からお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 市町村が運行するコミュニティーバスにつきましては、路線バスの廃止などに伴う代替手段として、平成29年8月末現在、21市町村で運行され、そのうち10市町で、予約に応じて運行するデマンド型を導入しております。
 しかしながら、本来路線バスを補完するためのコミュニティーバスが、路線バスと重複運行する要望が出され調整ができなくなったり、住民の要望に基づき、バスやタクシー事業者も含め関係者が協議し、コミュニティーバスの運行を始めたものの利用者が少ないとか、デマンド型に運行形態を見直したものの予約が面倒で利用者が減少したなどの課題が出ております。
 こうした課題に対応するため、県では、昨年度から全市町村を訪問し、まちづくりと一体となった持続可能な地域公共交通ネットワークを再構築することを目的とした地域公共交通網形成計画の策定を働きかけるとともに、公共交通の現状や課題が把握できるよう、市町村ごとにバスや鉄道のルートと利用状況などを図示した公共交通マップを作成し、地域公共交通の確保に向けた意見交換を実施しております。
 今後とも、地域公共交通の確保に向けて、路線バスやコミュニティーバス、乗り合いタクシーの組み合わせ方や利用促進策などを、市町村や事業者の方々と一緒になって検討してまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 いろいろな御苦労があるようで、住民のニーズに合わせて知恵を絞らなくてはならないと思います。
 そこで、今も触れられましたデマンド型乗り合いタクシーというもの、自治体がタクシー会社と委託契約をし、予約して利用する。紀北地方のある自治体の場合、決まった路線を走るのですが、1回の運行で利用者は200円払う。自治体は2110円をタクシー会社に払う。2110円というのは、タクシー30分の利用料金相当額だそうです。1人で乗れば1910円、2人で乗れば1710円が自治体の負担になります。
 コミュニティーバスも一緒なのですが、自治体の負担額の半額を国庫が補助するという制度があります。さらに、残りの80%が特別交付税で算定されます。それだと自治体負担は10%で済むことになる。この自治体の場合、年間利用者は183人、自治体負担は約28万5000円、その10%というと2万8500円で183人の方が利用できる、かなりの支援だと思います。
 しかし、1つの問題は、国庫補助制度はコミュニティーバスも含めて限度額があって、この自治体の場合、平成28年度は前年度より365万円も減らされているということです。私は、住民の願いに応える自治体の施策を守るために国が支援する必要があると思いますが、企画部長はどうお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 国の地域公共交通確保維持改善事業の予算につきましては、近年横ばいで推移していますが、申請件数の増加に伴い、補助上限額が引き下げられているという状況です。
 国の補助事業の予算確保につきましては、地域公共交通の確保維持を図る上で非常に重要であると考えており、全国知事会で要望しているところであり、また、あらゆる機会を捉えて国に対して働きかけてまいります。
 一方で、せっかくコミュニティーバスなどを運行させても、地域住民が乗らなければ市町村の負担が大きくなりますので、地域住民がより利用する方策も必要であり、例えば、県内には、地域住民が運行経費の一部を負担し、主体的にバスを運行する事例もあることから、このような取り組みを広めていくことも重要と考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 こうした国のほうの支援が追っつかない中で、県としての支援も今後検討していただけるように要望して、次へ行きたいと思います。
 第2の柱は、自然エネルギー開発が自然破壊や健康破壊を引き起こしているという問題です。
 私たちは、原発廃止の立場から、ソーラー発電など自然エネルギー推進を主張してきました。しかし、自然エネルギーであっても企業の利潤追求が優先されると、自然破壊、健康破壊につながることが明らかになってきました。その1つが風力発電の低周波公害であり、何回かこの場でも取り上げてまいりました。その被害者の1人である由良町にお住まいだった谷口愛子さんが、最後まで低周波の苦しみを訴えながらお亡くなりになりました。謹んで哀悼の意を表したいと思います。
 自然エネルギーの美名のもとで、環境破壊が心配されているもう1つが、メガソーラーの問題であります。
 その1つは、奥村県議ほか皆さんが取り上げてきた和泉山系を切り開く超メガソーラー、さらに、私の地元、紀美野町にも甲子園球場の10倍に近いメガソーラーの計画が持ち上がっています。さらに海南市では、重根、田津原という地域で、山を切り開いてメガソーラー発電をするという業者が地元自治会に地図を持って回ってきています。漏れ伝わってくるところでは、18万5000平方メートルの山林に3万4000枚のソーラーパネルを敷くともお聞きしています。
 また、海南・紀の川風力発電事業の計画というものも持ち上がっています。これらの計画は、どれらも山地を開発、森林を伐採して、メガソーラー、風力発電を進めようとする計画です。
 そこで、第1点、私の地元紀美野町のメガソーラー計画は、安全対策が課題となっている樫河池の上流域の山林を切り開くものです。この池は、かつて決壊したこともあるとお聞きしています。どのような改修を計画しておられるのか、池の上の森林が伐採されればどんな影響があると考えられるのか、農林水産部長からお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 樫河池は、平成28年6月20日に土地改良法手続による事業計画が確定し、その計画に従い、平成28年度よりため池改修事業を実施しております。改修内容につきましては、老朽ため池対策として堤体、洪水吐、取水施設等、ため池施設全体を改修することとしております。
 森林伐採の影響ですが、メガソーラー事業による森林伐採で降雨時の流出量が増加することから、樫河池を含む下流域への影響が懸念されているところであります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この業者が地元住民への説明会を開催しました。業者は、安全対策について県の担当者と協議していることをるる説明しておりました。樫河池に関して、このような協議はなされているのでしょうか、農林水産部長、お願いします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 安全対策に関する協議状況ですが、業者より平成29年3月27日付で林地開発事前協議の申出書の提出があり、県が改修を計画している樫河池を調整池として活用することとなっておりましたので、県の改修計画では調整池機能は付加されていないため、関係機関と協議が必要な旨、意見を付し、平成29年6月2日付で通知したところです。
 その後、現時点までメガソーラー業者と県担当課との具体的な協議は行われておりません。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 協議していないのに、住民に対しては協議しているという説明をする、ちょっと困ったことでございます。
 そこで、当該メガソーラーの事業の地元から県に対して、この事業に反対についての陳情が出されたとお聞きしているんですが、お受け取りになっておられるでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県への陳情書につきましては、平成29年8月17日、海草振興局農林水産振興部林務課に、動木区長名と希望ヶ丘自治会代表者名で、紀美野町小畑地区での太陽光発電計画に反対する内容の陳情書がそれぞれ提出され、受理しております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 地元自治会が明確に反対の意思を示しているわけですから、この小畑地区のメガソーラーはできることはないと解釈してよろしいでしょうね。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 6月議会でも答弁したように、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、事業者からの申請に地元自治会や隣接する土地所有者、水利組合等の同意書の添付を求めており、事業者からの申請に同意書の添付がなければその申請書は受け付けないという対応に何ら変わりはございません。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 こうした中で、今度は海南市重根・田津原地域の山林を切り開くメガソーラー計画がありまして、海南市長への届け出があり、市長からは指導通知書が出されています。
 私たちは、地元の関係者、地質の専門家と一緒に山を歩いてきました。藤白断層が走り斜面崩壊の危険がある、斜面崩壊があった場合、すぐそばを流れる日方川を埋めて洪水のおそれがあるなど、心配の声が上がっています。現地では、モノレールなどをつけて資材の運び込みの準備もしているようです。地元住民の皆さんには、説明会を開くと言ってきています。
 県に林地開発事前協議申出書が出され、それに対する県各課の意見取りまとめ表が出されれば、それに基づいて私たちは問題を検討するのですが、事前協議書も出されていないので、正確な全貌をつかめないでいます。こういうものを出さずに住民への説明会をするのでいいんだろうかというふうに思います。これは出されていないので、県のほうではまだ御存じないということなので、質問にはなりませんが、事前協議申出書が出された場合には早急に公開していただけるようにお願いをして、次へ行きたいと思います。
 次は、海南市、紀美野町、紀の川市周辺の風力発電の問題です。
 計画段階環境配慮書の縦覧があるというので、私も海南市の環境課で縦覧をしてまいりました。
 まず驚いたのは、4500キロワットの風車72基という計画の規模であります。私は、これまでも風力発電に伴う被害を訴えている人たちの声を届けてきました。しかし、国の規制基準が確立していないことや、風車との因果関係が認められないといって、それを救済できていない問題に私は胸を痛めてまいりました。
 これまで私が紹介した事例では、平成20年に由良町畑地区周辺に広川明神山風力発電所が稼働し始めた。さきに述べた谷口さんは、胃が重たいような異常を感じたと言います。そして、平成23年9月、由良風力発電所2000キロワットが稼働し始めて症状が激変したということをこの議会でも紹介いたしました。今度は、4500キロワットという途方もない大規模な風力発電であります。
 この計画についての環境アセスメントなどの審査はどのように進められていくのでしょうか、環境生活部長からお答えをいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 御質問の風力発電事業につきましては、環境影響評価法に基づき、去る9月1日に事業者から県を初め国及び関係市町に配慮書が提出されたところです。
 配慮書とは、風車の設置場所、またその大きさなど、具体的な計画が定まっていない検討段階で、どのような点で環境に配慮すべきなのかを事業者自身が文献調査などにより取りまとめた図書です。これを広く公開することで、地域の環境をよく知っている住民、専門家及び地方公共団体の意見を取り入れて、より計画内容を具体化し、次の手続である調査、予測、評価の方法を検討する方法書につなげていくものです。
 その後、その結果を検討する準備書、さらに最終的な取りまとめとなる評価書が作成されることとなっており、県では、それぞれの段階に応じて審査していくことになります。
 なお、今回提出された配慮書に対する知事意見については、関係市町や和歌山県環境影響評価審査会の意見を参考にし、10月末に事業者に通知する予定であり、第1回目となる審査会を9月12日に開催し、第2回目は10月4日に行う予定です。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 何度も言いますが、4500キロワットというこれまでにないものです。全国でも、まだこういうものはどこにもないというふうにお聞きしています。環境への悪い影響が疑われるものはつくらせないという立場で臨んでいただきたいと要望しておきたいと思います。
 次へ行きます。
 私は、自然エネルギーだ、地球温暖化を防ぐといって森林を切り開くのは、本末転倒だと思います。豊かな森を切り開かなくても、荒れ地や建物の屋根は幾らでもある。そうした場所をソーラー発電に政策誘導して、自然エネルギーへの転換を図るべきだと思います。和歌山県の消費電力の中で自然エネルギーはどのように推移しているのか、太陽光、風力などの設備の容量はどのように推移しているのか、政策的にどういう方向で発展させようとしているのか、商工観光労働部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 本県の自然エネルギーの推移につきましては、固定価格買取制度の導入以降、県内消費電力に占める自然エネルギーの割合は、同制度導入前の平成23年度の約12%から、平成28年度には約20%となっています。このうち、太陽光発電の設備容量は約10.7倍に、風力発電の設備容量は約1.3倍になっています。
 次に、本県における自然エネルギーの政策の方向についてですが、自然エネルギーは国産のエネルギーであるとともに、発電時には温室効果ガスを排出せず、地球温暖化の防止につながるエネルギーであることから、これらの発電事業を行おうとする事業者のためにワンストップ窓口を設けるとともに、県のホームページにおいて県や市町村が保有する未利用地の情報を紹介するなど、その推進を図ってまいりました。こうした取り組みの結果、利用困難であった産業廃棄物中間処理場跡地に太陽光発電所が設置されるなど、未利用地の有効利用が図られた例もあります。
 しかしながら、例えば森林の伐採を伴って太陽光パネル等の設置が行われるような電源開発の場合には、防災や景観、周辺の自然環境に悪影響を与える懸念もあることから、これらの懸念に対応しつつ、地元の意向にも十分配慮し、適切な形での立地が進むよう対応していくことが必要であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今お答えいただいたように、産業廃棄物などの関係で利用できない用地、それをソーラー発電に利用する、これは、ほかに特に問題がなければ大変結構かと思います。
 例えば、海南市には、下津町にマリーナシティを造成した土取り跡地があります。ある企業が格安で手に入れて社屋を建てて、土地の一部はソーラー発電をしている。しかし、土地はたくさん余っているように見えます。こうした余った土地の活用、それから住宅ソーラーなど、もっともっとできないものかと思います。これは要望といたします。
 次に、企業との協力のあり方です。
 真面目な企業もたくさんあります。しかし、住民を恫喝したり分断する企業もある。
 海南市下津町大窪では被害の訴えがあり、私が県議会でも取り上げ、何度も低周波の測定をお願いしています。ところが、その周辺にはもっと風車に近い集落もあるのですが、被害の訴えが表に出てきません。なぜだろうか、こういうふうに不思議に思っておりました。そうすると最近、ふとしたことから、ある自治会──その辺では区と言うんでしょうが──が企業との間で交わした覚書を手に入れました。覚書では、区費としてお金を払うことになっています。その見返りが問題です。
 覚書を読み上げようと思ったんですが、少し時間がかかるので、要約すれば次のようになります。
 1、会社が区にお金を渡す。
 2、区は、風車運転について苦情を言わないし、区民にも苦情を言わせない。
 3、意見があれば、区長などを通じて言う。
 4、後から移住して区民になった者にもこの覚書は守らせる。
 5、覚書の内容を第三者に漏らさない。
 こういう内容であります。このような覚書を企業が住民と結ぶことが許されるのか、こうした覚書は拘束力を持つんだろうか、人権侵害ではないか、こんなふうに思うわけであります。
 たまたま手に入ったんですが、こうした問題はほかにもあります。県と協議もしていないのに、住民には「県と協議を進めています」と言う紀美野町のメガソーラー企業のことを今報告いたしました。また、「合意してくれた自治会とは協定を結べるが、合意してくれないと協定も結べませんよ」と自治会をおどしているというケースが、この前の議会で報告をされました。それから、「地元自治会にお金を渡すから、被害で苦しんでいる人への救済はそのお金の中でやっておいてくれ」という企業があります。
 私は、企業が和歌山県で仕事をしてくれるのは大変結構なんですが、口を塞ぐような覚書を結んだり、被害者への救済を自治会に丸投げしたり、おどしたりするんではなくて、一緒になって地元の発展と、自然と健康を守ることを考えてほしい。そういう意味で、私は、企業倫理ということをしっかり持ってくれというふうに企業に申し上げたいと思うんですが、知事はどういうふうにお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今の同意書ということについてお答え申し上げる前に、雑賀議員の御発言をお聞きしておりましたら、雑賀議員は、原発は反対であるが、4500キロのメガソーラーは途方もない大きさだとおっしゃいましたが、原発は大体、標準的なやつで100万キロワットぐらいが1つでありまして、この途方もないやつを200ぐらいで代替しなきゃいけないと思ったら、今のようなお話がもっとあっちこっちでたくさん出てくるだろうなあというような、そういう感想を持たしていただきました。
 つじつまを誰かが合わさないといけない。責任のある政治あるいは行政をしようと思ったら、どこかでつじつまを合わさないかん。そういうことについて思いをいたした次第であります。
 さらに、同意書についてお聞きしておりましたら、何か民主主義とか人権とかないような国の話の約束事みたいな感じがいたしました。サインをしてる人は拘束されるんでありましょうが、サインをしてないかもしれないような人まで文句を言わせないとか、それから、新しく来る人にも文句を言わせないとか、そんなことが法律的にあり得る話じゃあ日本ではありませんので、一体何なんだろうなあというふうに思いました。
 とはいえ、さらに申し上げますと、企業が、企業を受け入れる地元の住民に対して虚偽の説明をする、あるいはおどしたりするというような不誠実な方法で無理やり企業の受け入れを求めるというようなことがあるんじゃないかというような御懸念がありましたが、そういうことは本当に許されないことだというふうに思います。
 一方、そういうおどしとかうそとかいうことでなくても、合理的な理由もないのに、文句を言わないということだけの対価として金銭を要求するという方法も私はよくないというふうに思っております。場合によっては、こんなことはたかりになるわけでありまして、こういうことが頻発しておれば地域の評判も落ちてまいります。
 また、企業が安易にこういう要求に乗る、または、これを利用して目的を達するということもよくないことだというふうに思っております。
 こういうことを防ぐために、一例でございますが、和歌山県は公共調達の制度があるんですが、この公共調達において、このような正当な理由もないのに、いわば口どめ料を払った、そういうような業者は公共事業を受注できないようにしばらくなりますよというような制度をつくってるところであります。
 ただし、そうした判断は、合理的か不合理か、正当な理由があるのかないのか、慣行上許されるのかどうか、そういうことについては個別の事情を踏まえて行う必要があると思います。場合によっては合理的な対価ということかもしれません。したがって、一概には言えませんけども、我々は、行政を預かる者としてはしっかり監視をしていかなければならないと思います。
 いずれにせよ、企業の活動は地域社会に与える影響が大きいんでございますので、地域社会の一員として適切な事業の実施を行うことが必要だと考えておるわけで、また、企業とかかわる住民あるいはその企業とかかわる他の事業者、そういう方々も、そういう意味で和歌山県はみんなが倫理を重んじるような、そういうところであってほしいというふうに思っております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事がいろいろおっしゃったので、私も少し申し上げておきます。
 1つは、問題のすりかえをしてはいけないと思います。原発とメガソーラーを比較して、そして、4500キロワットがどえらい大きいと言うんなら原発はどうなんだと、こういう論理だと思います。しかし、原発の危険と風力発電が生み出す被害は全然話が違うわけです。原発は原発として、事故が起こったらどうなるのか、廃棄物をどうするのかという、そういう議論をしなければならない。しかし、風力の場合はそういう危険はないかわりに、今、低周波、超低周波というふうな、そういう被害が問題になるので、そういう法外な大きな風力発電というのを4500でそういうふうに申し上げたわけで、こういう違いというのは、これは子供さんたちでもちょっとおかしいなというふうに思われるんではないかと思います。
 2つ目、人権のない国の話かなというふうに思われたのは、これは正常な感覚で問題を見ておられるというふうに思います。ただ、その中で、住民がたかってはいけないというふうに言われた。こういう問題が起こってくる場合の──私はこの区のケースはどうだったのか知りません。しかし、大抵こういう問題が起こってくるときは、被害の訴えがあり、風車をとめてくださいという話が地域から出ます。それに対して、会社のほうでは、区費として何百万円払うからそれで協定を結んでくれないかというふうに、会社から話が来るのが普通です。そして、そういう話があって、その中に、これだけお金を払うから今申し上げたような協定は結べないかというふうになってくる。
 これはここから私の想像ですが、地域では低周波の被害を感じる人もいれば感じない人もいる。それだったら、お金くれるんだったらもうといたらどうかという人もある。そこで地域が分断をされる。そこで、この中心になる人は大変苦労しながら、そういう協定を結ぶか結ばないか悩みに悩み抜いた上で、この協定、どこの地域のものか私にはわかりませんが、結んだものだろう、恐らくこういうものは各地域に、表に出ないけれどもあるんだろうというふうに、これはあくまでも私の想像でございます。しかし、私もいろいろこれまで住民運動にかかわってきましたから、大体、企業と住民の間でこういう話が出るときはこういうパターンで進むのが普通だというふうに私は理解をしているということを申し上げておきたいと思います。
 ただ、知事がいろいろ言われたのは問題がありますが、しかし、企業はやはり企業倫理を守ってやらなくてはいけない、こういうふうに結論として言われたことについては大変結構なことでございます。
 それでは、次へ行きたいと思います。
 最後は、プレジャーボートの係留施設でございます。
 私が海南市周辺のプレジャーボートの放置問題を取り上げたのは、平成19年6月の議会のことでした。恐らく当局もこの問題を放置できないと検討を始めていただいていたんだろうと思います。私が質問したからといって、急に動くわけではない。ちょうど私の質問が背中を押したような形になって、プレジャーボート放置の規制条例をつくること、あわせて停泊施設をつくることが表明されたのは、それから間もなくの仁坂知事の記者会見のことでした。ちょうどタイミングがよかったなあと私は思っています。
 あれから8年たって、係留施設の整備も一部進み始めましたが、放置艇の景色は余り変わりません。
 そこで質問でございます。
 係留施設は、海南市が費用負担するもの、県が費用負担するものがありますが、それぞれどのような進捗状況になっているのでしょうか、その施設への放置艇の移動の計画はどうなっているのでしょうか、それぞれタイムスケジュールも含めてお答えください。これは、県土整備部長になりますか、お願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) プレジャーボートの係留施設の整備の進捗状況などについて御質問を頂戴いたしました。
 下津地区を含めた海南市周辺地域の放置艇を対象とした小型船舶係留施設につきましては、地域全体で7施設の整備を計画しており、平成32年度中の完成を目標に進めております。このうち4施設を海南市が整備し、現時点では海南地区の2施設が供用中、冷水地区の1施設が整備中です。下津地区の1施設につきましては、地元関係者と調整を実施しているところでございます。
 残る3施設につきましては、県が整備することとなっており、琴の浦地区の1施設が供用中、冷水地区の1施設が整備中でございます。琴の浦地区の1施設につきましては、来年度より工事に着手する予定でございます。
 放置艇の移動につきましては、平成32年度の完成後、できるだけ速やかに全ての放置艇を収容することを目標に、一定の施設の整備が完了した時点で、順次、段階的に進めることとしてございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 既に完成している施設もあるわけですが、完成した施設の船の入りぐあいはどうでしょうか。県土整備部長、お願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 完成済みの施設の利用状況についてですが、既に完成し、利用を開始している施設は7施設のうち3施設でございます。3施設の収容隻数は、収容能力218隻に対し59隻で、約3割の利用状況となってございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は船のことはよくわからないんですが、地元の利用者の方からは、船が入りにくいとか船から上がりにくいという声も上がっています。設計に問題があったのではないんでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 係留施設が利用しづらいのは設計に問題があったのではないかという御指摘でございますが、県の放置艇対策は、津波来襲時の放置艇の流出による2次被害を低減することを目的としてございます。小型船舶係留施設の設計につきましては、他の地区の施設と同様に標準的な仕様に基づいてございます。
 これまで放置艇として一定の区画に係留されておられなかった方々には利用しづらいとの印象を持たれるのではないかと推察をいたしますが、設計に特段の問題があるとは考えてございません。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 使いやすい係留施設であったとしても、それを使ってもらうのはなかなか大変です。放置艇の所有者の方は、これまで無料で一番便利な場所、例えば車で行ってすぐ船に乗れる場所に係留してきたんです。係留施設ができたから希望者は移ってくださいと募集しても希望してくれない。全ての放置艇を収容する施設ができるまでは強制できない。部分的に係留禁止で撤去を強制してもトラブルが起きかねません。私は、長い間認めてきた放置艇を撤去する大仕事だから、率先して係留施設を利用する方への優遇など、誘導措置も要るのではないかと思います。
 そういう観点から、例えば利用料金も先に利用した人には10年間は半額にするなど考えてはどうかと思っていますが、利用料金はどうなっていますか。私が提案するような優遇措置は考えられませんか。お願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 係留施設の利用促進のために料金の軽減等の措置を講じられないかとの御質問を頂戴いたしました。
 放置艇対策として整備された小型船舶係留施設につきましては、その目的、施設の内容を考慮して、他の公共マリーナや民間マリーナに比べて廉価な利用料金を、管理者である県または市がそれぞれの条例で設定をしてございます。
 放置艇のスムーズな移動、収容を進めるために、議員から御提案のありました優遇措置を講じることについては、既に対策を実施済みの他地域でも優遇措置をとっていないこと、また、海南市周辺でも既に小型船舶係留施設に放置艇を移動された方もいらっしゃることを踏まえ、他地域や現係留者との均衡を欠くとの観点から困難であると考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 何にしても、この係留施設に移ってもらうのは大仕事でございます。いろいろと工夫もして施設をつくったけども、あいてるやないか、無駄遣いやないかなどと言われないように、ひとついろいろと考えていただきたいと思っています。
 ところで、ここからはちょっと要望ですが、この係留施設への海南市の財政負担には問題があると前から申し上げてきました。もとも私どもは、国・県の直轄事業の市町村負担は軽減、廃止を求めるという立場です。
 海南市周辺で直轄事業である津波防災堤防建設が進んでいます。その費用の3分の2は国が負担する、3分の1は県が負担するわけですが、その規定外協力、いわば思いやり負担として地元企業が4%、海南市が4%をそれぞれ負担することになっています。企業の協力金は雑収入として県が受け入れる。そして、海南市の協力内容は、放置艇の係留施設の整備を県にかわって海南市が肩がわりするというものであります。
 私は、「こういう規定外の負担は全国に例があるのか」と質問したところ、当時の尾花県土整備部長──現和歌山市長さんですが、「調べてみたけれども、全国に例がありませんでした」というふうにお答えになったいわくつきのものであります。その費用が当初の浮上式の場合には、それぞれ10億円であった。それが、海南市が行う係留施設建設の海南市負担額に当たるわけです。ところが、新しい計画に変わって、それが18億円になった。だから、何かまた、このままでいくんだったら何を今度負担してもらおうかと探さなくてはならない、こうなってくるわけです。
 しかし、かつての場合、世界初めての浮上式防災堤防と銘打っておりましたから余り反対の声も起こらなかったんですが、しかし、その計画が変更になって、しかも金額はこのままでいったら18億になる。こういう協力金の増額は、私はやめていただきたい、十分検討されるように要望しておきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 本日の最終の質問者となりました。皆さん、お疲れかと思いますが、しばらくお耳をおかしいただきますようにお願いいたします。
 まず、私の最初の質問は、近視に関してであります。近視予防、近視対策についてということで、視力の現状と学校における対応についてお尋ねいたします。
 この質問をさせていただこうと思いました契機といいますのは、私がある高校のPTAの役員をしておりましたときに、保健委員会か何かで、その学校の生徒の矯正視力率──これは眼鏡をかけたりコンタクトレンズをしたりしてる人の割合なんですけども、5割を超えているということを知って、ちょっと驚きましてね。
 これは日本の眼鏡業界とかコンタクトレンズ業界には大変喜ばしい話なんでございますけれども、やはりずっと眼鏡やコンタクトレンズが要るということになりますと不便ですし、またお金もかかることですから、この近視を減らしたいなあというふうに思ったのが契機でございます。
 それと、この質問におきましては、あらかじめ病的な近視というものは省かしていただきたいと思います。
 この質問をするにつきまして、ちょっと改めまして近視について調べてみました。そしたら、近視とは何かということについての私の認識自体が間違っているということがわかりました。多分、ここにおいでの皆さんの中にも、近視というものを間違えて認識されている方も多いんじゃないかなあというふうに思いますんで、ちょっと話はややこしいかもしれませんが、まず、近視って何ですかということについてお話をさせていただきます。
 物を見るときには、目の角膜と水晶体──眼球があって水晶体──がレンズの役割をして網膜に像を結ぶ、それが視神経を通って脳に認識されると。ここはもう皆さん御存じのとおりかなというふうに思います。
 遠くを見るときにはレンズの水晶体が薄く平べったくなって、近くを見るときにはレンズの水晶体がちょっと分厚くなって網膜上に像が映るわけですけれども、遠くを見るときに水晶体の厚みを精いっぱい薄くしても網膜の手前で焦点が合ってしまってピンぼけになるというのが、いわゆる近視になります。ここまでは私も間違えてなかったんです。
 ここから先が間違えてたんですね。近視には大きく分けまして、屈折性近視というものと、それから軸性近視というものの2つがあります。
 1つは軸性近視なんです。これのほうが多いそうです。目の奥行きのことを眼軸と言います。この眼軸が長過ぎるがために起こる、これが軸性近視なんですね。これは本当に近視の中でもこっちのほうが多いそうです。新生児は眼軸が短くて大抵は遠視の状態なんですけども、成長するにつきまして長くなってバランスがとれてくるということのようです。これが何かバランスが崩れて軸性近視、目の奥行きが長過ぎるということが起こるようです。
 近視のもう1つは、屈折性近視といいまして、レンズのほうがちゃんと動かんで、網膜の手前で結んでしまうというものです。これは、水晶体を動かすのは毛様体という目の中の組織がありまして、これが動かしてるんですが、これがうまく動かないためにそうなるということのようです。
 近視は、小学校の高学年から中学生ぐらいで始まることが多いですけども、これを学校近視、単純近視というふうに言います。成長過程におきまして、何らかの原因で、ちっちゃいときは見えてるんだけど、だんだん見えなくなってくるということが起こるわけですね。
 これを私は、仮性近視だと思っとったんです。ところが、これ、仮性近視のこともあるんですけども、そうでないこともあるらしいです。何でかというたら、仮性近視というのはあくまでもレンズが自由に動かない一時的な現象のようですね。一時的な現象じゃなくて、目の奥行きが長過ぎる軸性近視の場合もあるということで、必ずしも仮性近視が学校近視ではないということのようでございます。
 じゃあ、どうして近視になるかなんですけれども、遺伝要因と環境要因の両方があるというふうに言われております。親が近視の場合には子供も近視になることが多いというのは遺伝要因ということになりますが、もう1つは環境要因です。環境要因の中でこんなことが確かめられております。
 ひよこを高さの違う箱で飼育しますと、ひよこの視力に差が生じるということが確かめられてます。それとまた、1969年にアラスカのイヌイットを調査したデータがあります。そこでは、大人世代の131人の中の1人、つまり1%未満が近視だったんですけども、子供世代になりますとその近視が約半数になってたということがありまして、やはり遺伝要因でそんなに急激に変化が起こるということはないんで、環境要因のほうが影響が大きいんじゃないかなというふうに考えられます。
 近代化が進みまして、近くを見る生活が多くなるほど近視が多くなるということからもうなずけるところかなあというふうに思うんですが、私、そうだと思ってたんですけども、じゃ、なぜ目の奥行きが長くなり過ぎるのか、なぜ水晶体が適切に動かなくなるんか、原因は何ですかということについては、医学的には解明されてないそうなんです。
 ここまで御理解いただけたでしょうか。ということで、御理解いただけたということで、子供たちの視力の問題に移らしていただきます。
 平成28年度の文科省データでは、高校生の6割、中学生の5割、小学生の3割で視力1.0未満になっているとのことであります。実感といたしましても、若い世代の視力が落ちているように感じるのですが、本県の子供たちの視力データがどうなっているか、及び予防法として、本を読んだりPCを見たり近くを見るときは適度な明るさのところで正しい姿勢を保ってとか、長時間近くを見続けないこととか、適度に目を休ませることとか、あるいは屋外でスポーツすることとかが推奨されておりますけれども、学校での対応をお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 視力検査は、文部科学省監修の健康診断マニュアルでは、「眼鏡等を常用している者は、裸眼視力の検査を省くことができる」とされていることから、本県もこれに準じて実施しております。その結果は、眼鏡等で矯正している者も含んで1.0未満の児童生徒は、小学校で3割、中学校で4割、高等学校で5割でございました。これは30年前と比較すると小中学生でそれぞれ約1割増加しており、健康課題として捉えてございます。
 また、文部科学省の抽出調査の対象校では、眼鏡等で矯正している者は裸眼視力を含め検査しており、昨年度、本県の抽出校では、裸眼視力1.0未満の児童生徒は全国とほぼ同じ割合で、小学校3割、中学校5割、高等学校で6割となっております。
 学校では、保健体育科を中心に、明るさなどの環境やコンピューターなどの画面が目の健康に及ぼす影響について指導を行っております。さらに、健康診断や目の愛護デー等の機会を捉え、保健だよりなどにおいて目の健康を守るための方法等について啓発及び指導をしております。
 また、児童生徒が適切な環境及び正しい姿勢で学習できるよう、学校環境衛生基準に基づき、机や椅子の高さの調節や教室の明るさ等、学校薬剤師と連携して指導してございます。
 今後、より正確に実態を把握するため、県の悉皆調査においても眼鏡等で矯正している者の割合を調べるとともに、必要な者に対して眼科への受診を勧めるなど事後措置を徹底するよう指導してまいります。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 課題と捉えていただいてるということでよかったなあと思うんですけども、近視は病気じゃないという取り扱いなんですね。病気じゃないんで、余りうるさく言わない。眼鏡かけたりコンタクトをすればいいじゃないかということなんですが、ちょっと私は、やはり人間というのは、そもそも生まれたときに必要な視力というのは持って生まれてきてると思うんですね。それが環境とか生活スタイル、様式によって近くを見る生活が多くなると、順応といいますか、適応といいますか、目の近くを見るほうに今、合ってしまってるということなんで、私も眼鏡かけてるんですが、やっぱり不便ですし、何とかこの和歌山県から矯正視力率を減らしていく努力をしていただきたいなということをお願いして、次の質問に移らしていただきたいと思います。
 2番目は、新学習指導要領、小学校における英語、プログラミングの必修化についてということでございまして、1番は、英語の要点と移行期間、本実施に向けた準備と対策についてということで、これは先輩議員であります長坂議員が6月議会にされてるのとダブりますが、お尋ねいたします。
 新学習指導要領で、小学校における外国語・英語とプログラミングが必修化されることになりまして、来年度から2年間の移行期間を経て本実施されることとなっております。
 学習指導要領を通読するに、外国語科におきましては、「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ、外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動を通して、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成することを目指す」としまして、「外国語の背景にある文化に対する理解を深め、他者に配慮しながら、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う」ということを目標にしております。
 目標を読ましていただいて、外国語の背景にある文化に対する理解を深めるという──まあいいことですけども──目標が、果たして小学校でどこまで到達可能なんかなあということについては甚だ私自身は疑問に思っておりますけれども、ただ、気おくれをせずに外国語を使ってコミュニケーションをしようとする主体的な態度の育成を目標とされたことはよかったなあというふうに思っております。
 小学校におきまして、外国語──英語が主となりますけども──を必修化するということは、これまで日本の英語教育は使えない、使えないというようなことが言われておりまして、使える英語教育にするために、せんといかんかったことだと思います。これからますます国際化していくこの社会に生きていく子供たちが生き抜く力を身につけるためにも必要だと思いますし、この必修化への期待は大変大きいものがあるんかなあというふうに思ってございます。
 そこでまず、今回の改訂における要点と本実施に向けた準備状況、対策がどうなっているかお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 小学校の英語につきましては、平成32年度から新学習指導要領が全面実施され、3・4年生では「聞く」、「話す」活動を通して外国語の音声や基本的な表現になれ親しむことを目標とした外国語活動が、年間35単位時間行われることとなっております。また、5・6年生では「読む」、「書く」活動が新たに加わり、自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力を養うことを目標とした教科として、年間70単位時間実施されることとなります。
 来年度からは、全面実施に向けた移行期間となり、それぞれの学年で15から35単位時間を増加し、準備を進めることとなっております。
 このため、この7月には小学校の管理職を対象に、カリキュラムの編成や指導内容等について周知徹底いたしました。8月には英語教育の中核となる教員に対して、さらに詳細に小学校英語の趣旨、内容を説明し、その教員が各学校に徹底することとしております。
 また、平成27年度から4年間をかけて、小学校英語教育の教科化等に対応すべく、全ての小学校の英語教育の核となる教員に、英語指導力の向上を図るための研修を行っております。研修を受けた教員は、指導法を自校の校内研修等で全教職員に伝達し、定着を図っているところです。
 今後は、小学校と中学校が円滑に接続できるよう、中学校英語科教員が積極的にかかわり、小中学校が連携した研修を実施するなど、それぞれの教員の力量を高めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは、次に移らしていただきます。
 次は、英語の学習内容の質と量及び発音についてということでお尋ねいたします。
 指導要領によりますれば、学習内容として、簡単な挨拶文に始まり、人称代名詞、be動詞・一般動詞を使った平叙文、否定文、疑問文、助動詞canを使った平叙文、否定文、疑問文、What・Howなどの一部疑問詞を使った疑問文、それらの過去形、命令文、want toやlike swimmingなど、文法でいうところの不定詞や動名詞までも学習することになっていますし、スペルも習うことになっております。単語はおおむね600字から700字が想定されています。
 もちろん、これらは文法として習うのは中学生になってからで、あくまでも表現になれ親しむことを中心に学習していくことになるのですが、学習時間から見て、私は、児童がこれらの内容を習得できるかどうか、大変不安に感じております。
 先生方につきましては、内容を十分に理解し、考えられた教材や指導方法に基づいて授業をしていただけるものと思っております。この点につきましてはある程度安心しているといいますか、信頼さしていただいております。
 しかし、まだまだ日本語が不自由な子供であること、中学校3年生でも主語と述語、be動詞と一般動詞の区別がわかりかねている子が少なくないという実情を思いますと、かなり難易度が高いのではないかと危惧しております。理解力のすぐれた子供は難なく習得できるかとは思いますが、どうなんでしょう。多くの子供たちも理解し習得できる内容とボリュームなのでしょうか。
 教室で授業を受けるだけではどうしても難しいのではないか、家庭での復習が欠かせなくなるのではないかと思ってしまったのですが、そのあたり、どうお考えですか。
 もう1点、今、英語科の先生たちは大変きれいな発音の方が多くなりまして、私たちのころとは雲泥の差といいますか、大違いなんですけども、小学校の先生方は教科専任ではなくて、発音につきまして、例えば日本人には難しいとされております独特の発音、例えばLとRの聞き分けや使い分け、1年という場合のyearと耳のearの使い分け、母音や子音はちょっと苦手という人が多いのではないでしょうか。このあたりは母語発音の教材や機器を使って補っていくことになるのかなとは思うんですけれども、どのように対処されますでしょうか、お尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 小学校英語教育につきましては、3・4年生での外国語活動を通じて英語になれ親しみ、外国語学習への動機づけを行った上で、高学年からの教科につなげており、児童の発達の段階に応じた内容になっていると考えてございます。
 これまで実施してきた研修では、英語の絵本や歌の活用、授業で指示をする際の英語表現などを小学校教員に指導してまいりました。今後はこれに加えて、中学校の英語科教員の専門性を生かし、小中学校の連携を図りながら小学校教員の指導力を高めてまいります。
 授業以外での英語の学習につきましては、学習した内容を家庭や日常生活の中で、英語を使って楽しみながら表現するような機会を多くつくっていくことが大切だと考えてございます。例えば、県内の小学校では、放課後に外国人講師と英語で会話を楽しむ機会をつくったり、外国人観光客に自分のまちのことを英語で案内したりするなどの取り組みをしているところもございます。
 次に、発音につきましては、来年度から使用する英語の新教材に含まれるデジタル教材の効果的な活用方法を示し、児童が自然な英語の発音に触れて学習できるよう指導してまいります。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁の中で、「児童の発達の段階に応じた内容となっている」というふうにいただきました。これだけの内容を習わせようとしている文科省や県教育委員会が、学校での学習でほぼ身につけられるであろうというふうに考えていらっしゃるとしたら、私はとんでもないんじゃないかなあというふうに思っております。
 3年生から6年生は、全部足しても45分授業で210こましかありません。目安としております単語にしましても、600から700をしようとしますと、1こまに3つぐらいは覚えていかなあかんということになるんで、幾ら吸収力にすぐれた子供であっても、なかなかそれは難しいかなあというふうに思います。
 ちょうどこの質問をつくっておりましたときに、9月15日の「日経新聞」に、NHKラジオの「実践ビジネス英語」の講師をしております杉田敏さんの「私見卓見」のオピニオンが出ておりました。ちょっと私の考えに近いところがありますんで、御紹介させていただきたいと思います。抜粋です。
 「英語を母語としない人たちを対象とする英語能力測定試験TOEFLのスコアにおいて、日本人の平均点は世界でほぼ最下位のグループに属している。 多大な投資をしながら費用対効果の悪い原因は何か。文部科学省の責任や教師の質を挙げる識者もいるが、最大の元凶は学習者自身の「甘えの構造」だ。 英語をある程度モノにするには最低2000時間の学習が必要だといわれる。英会話学校に週1、2回行ったくらいでは上達しないのは当たり前である。さらなる自助努力が必要だ。 ちまたには「楽しみながら」「知らず知らずのうちに」など、簡単に英語をマスターできるような暗示を与える題名の本や教材、語学学校などの宣伝文句が氾濫している。しかし、こうした「神話」に惑わされてはならない。 語学の勉強は決して楽ではない。」
 私はそのとおりだろうと思います。小学校の英語もなれ親しむということが中心になるかと思いますが、それだけではなかなかいかんのでないかなと思いますので、この話を十二分に踏まえて、和歌山県の子供たちの英語教育に取り組まれますことを要望さしていただいて、次に移らしていただきたいと思います。
 次は、プログラミング教育についてであります。
 プログラミングも必修化されましたが、指導要領では、小学校では算数、理科、総合的学習の時間の中で、「プログラミング的思考」の育成を目指すもので、実際にプログラムを組んで何かを動作させたり、PC上で何かを動かしたりするということではありません。
 これからますます必要となりますプログラミングを文科省が小学校から学習するようにしたことは一歩前進ではありますが、やはりプログラミングのおもしろさは、実際にそれを組んで何かを動かすことにあるのだろうと思っております。
 バットやラケットを持たずに振り方を教えてもらっても、打てるようになるわけでもありませんし、楽しさがわかるわけでもないと思います。実際にバットやラケットを使ってこそ、振り方もおもしろさもわかるのだろうと思います。
 それを思いますと、この効果というのはまことに小さいのではないかと思うんですが、プログラミング教育の充実にどのように取り組まれていかれるか、お尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) プログラミング教育につきましては、小学校では実際に授業でプログラムを組むことが目的ではなく、算数や理科など、各教科等において適切に位置づけ、身近な生活でコンピューターが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気づくとともに、論理的に考える力を育成することとされております。
 県教育委員会といたしましては、プログラミング教育の実施に向け、教育センター学びの丘における計画的な研修や各教科等での指導例を示し、全ての小学校教員の指導力を培い、子供たちの論理的に考えていく力を高めていけるよう努めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ありがとうございました。
 プログラミングについては、都会では塾であるとか、いろんなそういう場所がありまして、プログラミング自体を習おうと思えば習えないことはないという環境にありますけども、和歌山県ではやはりそういうところというのはないと思うんですね。ですから、希望のある子供たちがそういう機会、場所を持てたらいいなあと思いますんで、県単でそういうのをつくることをお考えいただけたらうれしいなあと思いますんで、よろしくお願いいたします。要望といたします。
 それでは、次の質問に移らしていただきます。
 次は、農産物輸出、特に柿についてであります。
 ことしは、本県の今後10年間を見通した長期総合計画の初年度に当たりまして、長期総合計画の「第2節 しごとを創る」の「第3項 農林水産業の振興」の中の「実施する主な施策」として「1 国内外に向けた販路開拓・販売促進」を掲げ、海外ターゲットを的確に見据えた産地育成の推進、県産果実の輸出拡大に向け、植物検疫の問題で輸出できない相手国との早期輸出解禁合意等について国に働きかける、次に、海外市場で有望な果実を低コストで長距離輸送できる鮮度保持技術の開発を進める、産地が主体となった果実輸出への取り組みを支援するとともに、県内事業者と輸出商社との商談会開催や海外展示会の出展等により商談機会を創出するというふうに、かなり輸出については積極的な施策の展開を記しておられます。
 目標というようなことも掲げておられまして、2026年度の県産果実及び果実加工品の輸出額について70億円という数字を掲げられました。ところが、実績として、2015年度の実績が4億3000万円しかないんで、現状の実に18倍という野心的な数字になっております。
 その中でも、柿につきましては、輸出は現状53トンで、金額としては2300万円、ほかのを入れても3000万円いかんのかなあというような数字です。県産柿の出荷額というのは大体70億強あるんですけども、出荷額に対する輸出比率としては1%いかない、0.3%ぐらいしかいっておりません。輸出を伸ばすためには、柿だけじゃなくて全て相当の努力を必要とするんですけども、柿も格段の努力が要ると言わなければならないと思います。
 昨年の6月にも質問させていただきましたが、農産物輸出も同じ質問をさしていただいておるんで、昨年の質問以降に輸出の振興に向けましてどのような取り組みの成果があったのか、また、今後どのような取り組みを進めていただけるか、お尋ねいたします。
 まずは、私が特にお願いいたしました鮮度保持技術の研究開発の進捗状況についてお聞かせください。
 次に、昨年6月の答弁におきまして、柿については香港、タイ、マレーシアがターゲットとして定まってきているとのことでしたが、これらの有望市場でどのような新たな展開があったのか、またしようとしているのか、お尋ねいたしたいと思いますし、12日に米国市場への柿の輸出が解禁になったとの報道がありましたけれども、その内容及びそれ以外の市場への新たな展開についてもお尋ねいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 柿の鮮度保持の研究につきましては、平成10年から19年まで果樹試験場かき・もも研究所にて、9月中旬から収穫される刀根早生柿の果実軟化抑制技術の開発に取り組み、その研究成果は香港等への輸送技術として現在でも活用されております。
 この成果を踏まえ、平成28年度から、9月上旬から収穫され、より軟化しやすい極わせ柿の輸送管理技術等の開発を目的に、大学等と果実の輸送促進に関する共同研究に着手し、輸送技術の開発に取り組んでいるところです。これまでの成果として、低温保存と鮮度保持剤を組み合わせることで、従来の方法よりも貯蔵性が高まることが明らかになりました。研究期間の最終年度である平成30年度には、これまで検討した技術を実際の輸出の行程に適用し、現地到着後に品質への影響評価を行う予定にしております。
 次に、柿の有望市場であります香港・タイ・マレーシアにおける新たな展開についてでありますが、香港につきましては、高品質な県産柿に対する需要が高まっている中、産地主導で販路活動に取り組んでいるところです。
 タイにつきましては、高級量販店で現地の消費者に対し、県と産地が一緒になって県産柿のおいしさを直接PRいたしました。
 マレーシアにつきましては、平成25年度から輸出を始め、昨年度は高級量販店で初めて開催した和歌山フェアで販促活動を行うとともに、その他の高級量販店でも産地と協働で販促活動を実施したところであります。このことにより、現地輸入商社との関係が深まり、輸出量の拡大にもつながりました。
 このような取り組みの結果、県の調査では、当該地域の昨年度の実績は75トンで2500万円と、前年に比してそれぞれ輸出量で1.5倍、輸出額で1.1倍となっております。
 今後も、産地、JAグループ和歌山と連携し、販路の拡大につながる取り組みを進めてまいります。
 最後に、米国市場における柿輸出の解禁の内容とそれ以外の市場への新たな展開についてでありますが、本県が平成25年度から日本政府に対し米国市場の柿輸出解禁に係る植物検疫条件の早期合意について要望を続けてきたところ、10月12日から検疫条件を満たす柿が輸出できることとなりました。
 その内容については、米国の検疫対象の病害虫を防ぐため、国の登録を受けた園地で生産され、病害虫防除や栽培管理が適切に行われているか検査を受けること、また、あらかじめ国の登録を受けた選果こん包施設において、米国輸出向けに選果、こん包が行われていることなどとされています。
 県では、産地、JAグループ和歌山、ジェトロ大阪本部と連携して、昨年度から米国輸出に向けた準備を進めており、既にこうした検疫条件を満たす柿の栽培に取り組んでいるところです。また、これら以外の市場については、東アジアでは中国、ベトナムが柿の市場として有望と考えていますので、引き続き日本政府に対し早期輸出解禁を要望してまいります。北米につきましては、昨年からカナダで取り組みを開始しており、昨年度の実績は5トンで150万円となっております。
 ことしも、県産柿のおいしさ、外見などの優位性について産地と連携した販促活動によりアピールし、市場への定着を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 徐々にではありますけども、門戸もあけてきて、そして徐々に輸出がふえてきているということで、御助力に感謝申し上げたいと思いますが、ただ、前長期総合計画でも、確かに着実に数量は伸びておりますけども、設定目標にははるか遠く及ばないということでございました。これは、目標を設定されても、県庁がしゃかりきになって頑張れば達成できる、職員の皆さんが一生懸命頑張れば達成できるというものではないんで、大変難しいと思います。難しいと思いますけれども、なお一層、いろんなもっとほかのアイデア、工夫をひねり出していただいて、ちょっとでも目標に近づいていけますように、なお一層の御努力をお願い申し上げて、この質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
 それでは、次の質問にまいります。
 次は、外国人の県職員への採用についてであります。
 まず、1番としましては、基本原則ということについてお尋ねいたします。
 本県は、外国人の県職員の採用につきまして、和歌山県人権施策基本方針において、「公務員の基本原則を踏まえつつ、職務の内容と国籍の必要性を検討し、適切に対処します」とあるとおりに、一定の職務について採用要件を外国人にも開放してきているところであります。
 ところが、同方針の中で「定住外国人の公務員への採用等に係る国籍要件も、さまざまな議論が行われています」とありますとおり、外国人の公務就任権──公務員になる権利──というのは決着し切れていない問題が残っております。
 まず、県のおっしゃる公務員の基本原則とは何かにつきまして、確認しておきたいと思います。推測いたしますに、県は従来からの政府見解から基本原則なるものを抽出していると思われます。
 政府見解です。憲法は国民主権の原理、すなわち支配する者と支配される者とは同じ者でなければならないという統治・被統治の自同性の原理及び憲法第15条第1項におきまして「公務員を選定、罷免することは、国民固有の権利である」と定めていることから、公務員制度をどう構築するかについては主権者たる国民の意思に基づくものであり、日本国籍を有しない者に公務員になる権利を当然に保障するものではないといたしまして、国家公務員につきましては人事院規則において日本国籍を要件とし、地方公務員につきましては条例、人事委員会規則等で定めることにより外国籍の者も採用・任用することができるが、いわゆる公務員に関する当然の法理、すなわち公権力の行使または国家意思の形成への参画にかかわる公務員には採用・任用できないというのが、政府が踏襲してきている見解であり、県の基本原則だと思われます。
 ところが、採用・任用のできない公務員に関する当然の法理からの公権力行使に関する職、地方公共団体意思の形成の参画に携わる職が一体何かという定義につきましては、いまだ明確に定まっているとは言いがたい状況にあると考えております。それがために、外国人に門戸を開いている自治体の間でも幾らかの差異が生じておりますし、また、日本国籍を有しない者が公務員になる権利が憲法上当然に保障されているものではないというところから、国籍条項を残している自治体もあります。
 また、平成8年に、白川元自治大臣は、「公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる地方公務員であるかどうかは、一律にその範囲を明確にすることは困難である」とし、「それぞれの自治体が職員の職務内容を検討した上で、自主的に判断すべきである」との見解を示しました。
 そして、判例におきましても、東京都職員として採用された外国籍の職員が課長職への昇進試験を受ける権利を有するかどうかについて争われました事件の平成17年1月26日最高裁大法廷判決でも、最高裁は、判決理由の中で一貫して外国人の公権力行使等公務員への採用や任用はできないものとしております。
 しかしながら、判決理由は、管理職の中には公権力行使等公務員に当たらない場合もあること、当該職員が課長になったときに行う職務が公権力行使等公務員の職でない可能性もあることを認めた上で、そのような場合でも、人事行政・任用制度の運用上、一律に管理職試験の受験を認めなくても合理的な理由として認められるとしております。管理職であっても公権力行使等公務員でなければ任用が許されないものではないというふうに読み取ることができます。
 この最高裁判決では、多数意見のほかにも、5名の裁判官が補足意見、少数意見、反対意見を展開しており、まだまだ課題が残されていることを示していると考えます。
 「日本国民に対し、解釈上認められる憲法上の公務就任権──公務員になる権利──の保障は、その権利の性質上、外国人には及ばず、外国人が公務員に就任することができるかどうかの決定は立法府の裁量に委ねられている」というのが通説であり、外国人に対し職員への門戸を開くか開かないかは、和歌山県が独自に決定できる事項であります。また、「外国人に門戸を開放すべきではない。公務員になりたければ帰化すべき」という声が国民の一部に根強くあることも事実です。
 そのような中、県はどのようなお考え、価値判断から一部門戸を開放されたのか、お尋ねいたします。
 また、白川元自治大臣が「一律にその範囲を明確にすることは困難」と言う、公権力の行使または意思の形成に携わる職をどう定義されているのか、お尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 外国人を地方公務員として任用することにつきましては、国の見解として、「日本の国籍を有しない者を公権力の行使または地方公共団体の意思決定に参画する職に任用することはできず、将来このような職につくことが予想される職の採用試験に外国人の受験資格を認めることは適当ではない」とされておりまして、この考え方は最高裁判決においても認められているところであります。
 本県におきましては、この見解を踏まえ、栄養士さんなど19職種以外の県職員採用試験において国籍要件を設けてきたところでありますが、平成7年以降、高知県、それから川崎市などの公務員採用制度の見直しの動き、それから、議員から御紹介のありました平成8年の白川元自治大臣の見解も示されたことから、平成11年に全国の動向等を踏まえて見直しを行いまして、新たに職業訓練指導員など17職種の国籍要件を廃止いたしました。
 御質問の公権力の行使または地方公共団体の意思決定に参画する職とは何かということでございますけれども、例えば法令に基づく許認可、税の賦課徴収、立入検査など県民の皆さんの権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行う職や、県の重要な施策に関する意思決定を行い、またはこれらに参画する職というふうに理解しておりまして、一般行政職など現行において国籍要件を撤廃していない職種についてはこういった職に該当し、国籍要件は必要であるというふうに考えております。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 開放してきてるんですけども、一般行政職の全てを公権力行使に関する職、地方公共団体の意思の形成に携わる職ということで、一律に外国籍の者の採用はできないとしておられますことに再質問いたします。
 県の人事行政、判断が政府見解、判例から見て違憲、違法であるとは私は思いません。裁量権の範囲にあると思いますが、他都道府県、他自治体と比べましても極めて限定的かなというふうに思います。
 この公権力行使に関する職とか地方公共団体の意思の形成に携わる職というのは、極めて外縁の延長を許す縛りが緩いといいますか、そういう概念なんですね。それが自治体ごとに違いを生み出しているということも踏まえまして、例えば一般行政職には内部統制に関する職であるとかというようなものもございます。このような職が、いわゆる一般行政職につきまして、この縛りについて再検討される余地はないのかということについてお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 総務部長。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 一般行政職は、そもそも、先ほど答弁させていただきましたが、基本原則でいうところの公権力の行使または地方公共団体の意思決定に参画する業務を行うことが予定されている職でございますので、日々の業務の中で、もしくは長いキャリアの中で、これらに該当する業務と該当しない業務とを明確に区別することは困難でございます。
 したがいまして、国が示す基本原則や最高裁判決等が見直されない限りは、外国人を一般行政職として採用することについて再検討することは難しいというふうに考えておりますが、今後も国の動向等を注視してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 門戸を開放されたことについての答弁、ちょっと不満ですけども、時間がないんでもうやめておきます、再質問は。
 次、2番。日本国籍を有しない者の教員への採用と任用についてお尋ねいたします。
 平成3年3月22日に文科省から、「日本国籍を有しない者に、教員の採用試験の受験資格を認めるとともに、合格した者には任用の期限を付さない常勤講師として任用するように」との教育助成局長の通知が出されておりますが、本県ではどうなっておりますでしょうか、お尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県の公立学校教員採用候補者選考検査におきましては、国の通知に基づき、日本国籍を有しない人についても同一の基準で受検できるようにしており、合格した場合は、期限を付さない講師として採用しております。
 なお、給与その他の待遇は教諭と同等ですが、管理職には登用できません。今後とも適切に対応してまいります。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 わかりました。国の通知ですから、そのとおりにやっていただけてると。私の聞くところによりますと、何人か採用されてるということもお聞きしておりますが。
 次に行きます。
 これは、県知事にお聞きするんですけども、県知事はこの問題をどうお考えでしょうか。
 問題はやっぱり、何が公権力の行使かと、何が地方公共団体の意思の形成かということにあるんかなあと思います。
 最高裁判例の判決理由の中でも、金谷利廣裁判官は、「公務員の職種の中には外国人が就任しても支障がないと認められるものがあり、国際化が進展する現代において、外国人に対しそれらの公務員となるみちの門戸を相当な範囲で開放してゆくことは、時代の流れに沿うものである」という意見を述べておられます。
 また、能力本位での人材登用を進めた人や組織が歴史上大躍進を遂げてきましたし、現代のグローバルな企業社会におきまして成功している、いわゆるエクセレントカンパニーというものの多くは国籍を問わずに人材を登用していることは、知事も御存じのところかと思います。
 和歌山県の発展のために必要な公務員としての適性は、国籍のいかんではなく、住民全体の奉仕者として地域の利益のために職務を遂行する意欲と能力を有するかどうかを判断基準とすべきであると考えます。
 「大学で猛勉強した外国籍社員と勉強していない日本人では勝負にならない」という自動車メーカー日産の志賀取締役のコメントが、ちょうどこの9月18日、新聞に出ておりましたけれども、そういう時代になりつつあるんだろうなあというふうに思います。
 私は、国際化の進む現在、知事が国際交流、経済交流に熱心に取り組まれておられますことに常々敬意を抱いているところではございますけれども、国際経済交流を深めるためには持続的に本腰を据えてその国の中に深く入っていくことが必要であり、そのためにはその国の文化、習慣、人情の機微に精通した当該国籍の方の力を活用すべきではないかと考えます。
 今、日本には世界各国から優秀な人材が多く留学しています。そういう人たちを正職員として、かつ国際交流、国際経済交流要員として採用することは、公権力の行使に関する職、地方公共団体の意思の形成に携わる職には当たらないと解釈することは十分に可能であるし、本県発展のためにも有益であると考えますが、知事の御所見をお聞かせ願います。お願いします。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 新聞に載っておりました志賀さんの御発言は、そこそこしか勉強しなかった私も頭が痛いなあという感じがいたしますが、問題は、国家の仕組みの問題であり、公権力の問題であると思います。
 外国人を県職員として採用することについては、「国及び地方公共団体による統治のあり方については我が国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであるとする国民主権の原理に基づけば、我が国以外の国家に帰属し、その国家との間で、その国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来、我が国の法体系の想定するところではない」とする最高裁判決を踏まえた対応を今後ともすべきであると私は思います。
 一方で、議員御指摘のとおり、それこそ勉強しなくてあんまり言葉もできないというような職員ばっかりだと県庁の力も出ないということでありますので、経済のグローバル化やインバウンドが増加する中で、和歌山の魅力ある産業や文化を世界と直接つなげ、注目されるようにするためにも、県庁職員が海外の文化、習慣等に精通することは重要であると認識しております。そのため、将来を見越して、ここ10年間、海外派遣などを通じ、外国語や国際感覚に秀でた職員を養成しておるし、採用もちょっとそういうことがやりやすいように考えているところでございます。
 その上で、さらに専門的な知識とか高度な語学能力を必要とする際には、非常勤の外国人を国際交流員として採用して業務を補っていく形がよいのではないか、そんなふうに考えております。
○副議長(山本茂博君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 この外国籍の公務員就任権については、議論もまだまだありますし、時代が変わるにつれて、白川元自治大臣の発言があって、がらっと全国の動きが変わったというようなこともありますし、時代に応じてちょっと変わっていく余地があるんかなあというふうに思います。
 私が思いましたのは、裁量権を逸脱あるいは濫用しなければ、かなり広く人事制度の構築については地方自治体に委ねられていきつつあるんでないかなというふうに思いますんで、今後もお考えいただきたいと思います。
 それと、国籍について、先ほど質問しなかったんですけど、何で開放したんかというと、この人権施策の基本方針があるから開放したということであれば、僕は納得できないですよ。
 これはやはり、和歌山県にとって内外から広く優秀な人材を募るために門戸を開放したんだという答弁が欲しかった。その答弁いただけなかったんで、もうここで言いますけどね。だから、私がこの質問をしたのは、本当に和歌山県にとって、どういう人を迎え入れることが県民のためになるんか、和歌山県のためになるんかということを基本に物事を考えて、この人事行政というのを構築していっていただきたいなあと思いますんで、それを要望さしていただいて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時52分散会

このページの先頭へ