平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(岩井弘次議員の質疑及び一般質問)
平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録
第2号(岩井弘次議員の質疑及び一般質問)
汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。
正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。
質疑及び一般質問を続行いたします。
29番岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
台風一過の秋晴れとなりましたが、各地でゆっくりとしたスピードの台風が最近多く、被害もその分甚大になってくるようにも思います。被災された皆様に対してお見舞いを申し上げますとともに、収穫前でもございますので、農産物等に被害がなるべくないように、最小限で済むようにというふうに願うものでございます。
それでは、まず初めに、質問通告に従いまして一般質問をさせていただきますけども、1つ目につきまして質問いたします。
去る8月30日、和歌山県太地町で9月1日から小型鯨類の追い込み網漁が始まるのを前に、同町などでつくる鯨類捕獲及び鯨類産業に係る太地町対策協議会の定例会が開かれ、南極海での日本の調査捕鯨船に対する妨害活動を今冬は行わないとの声明を出した反捕鯨団体シーシェパードについて、今後の動向を警戒する声が聞かれたとの報道がございました。
また、漁を前に和歌山県警と新宮署は8月21日に臨時交番が開所されまして、漁期の来年3月末まで警察官が常駐し、反捕鯨団体などの違反行為に目を光らせておられます。
私も委員会の調査視察で伺ったことがございますが、臨時交番は2011年から毎年、鯨類の漁期に合わせて開所され、新宮署の安全パトロール班員や県警本部の情報採証班の方々が3交代24時間体制で常駐し、町内の漁協や生けすなどを重点的に巡回、犯罪の未然防止に向けて、反捕鯨活動家による嫌がらせ行為や違反行為を取り締まっておられます。
捕鯨文化を守るため、県議会においても、鯨肉の食文化や鯨漁に関する行事などは、約400年もの長きにわたり地元の人たちが大変な努力によって守り続けてきた地域の伝統文化であり、これからも太地の人々が生きていくための重要な産業として欠かすことのできないものであるということ、そしてまた、世界動物園水族館協会(WAZA)からの日本に対する会員資格停止問題に対して遺憾である等々、意見書を議決し提出されております。
長年、関係各位の大変な御努力により守り受け継がれてきた捕鯨文化でありますが、毎年、反捕鯨団体等からの妨害や嫌がらせを受けてまいりました。
ところが本年、捕鯨に反対するシーシェパードは、公式ホームページにおいて創始者のポール・ワトソンが、日本での妨害活動を停止すると発表しました。シーシェパードが公式ホームページに掲載したお知らせの中で、これまで12年間、捕鯨の抗議活動で成果を上げてきたが、最近の日本は、衛星で我々の船をリアルタイムで監視し、技術面で勝てなくなってきた、また、追いかけても逃げられるだけだし、徹底して避けられている等々、さらに今年、テロ等準備罪が成立させられ、我々は攻撃する立場から攻撃される立場になってしまったとあります。
自分たちがテロ集団、組織的犯罪集団だとの自覚があるのか、妨害活動を停止する決め手になった大きな要因は、我が国にテロ等準備罪が成立したことだったとネットニュースに掲載されておりました。
テロ等準備罪とも略して言われる組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の改正案は、さまざまな議論を経て、本年6月15日、参院本会議で自民、公明の与党両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立し、一部の規定を除き、平成29年7月11日に施行されました。
今さらですが確認しておきますと、この法改正は、テロを含む組織的な重大犯罪を未然に防ぐことが目的で、既に187カ国・地域が加盟する国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結に必要な国内法整備であり、同条約は、加盟条件に犯罪を合意段階で処罰する国内法の整備を求めており、日本は国際社会から繰り返し条約の早期締結を勧告されてきておりました。条約の締結により、捜査共助の迅速化、日常的な情報交換の促進、逃亡犯罪人引き渡しの請求が可能になります。
テロ等準備罪は、テロ組織や暴力団、薬物密売組織といった組織的犯罪集団の構成員らが2人以上で重大犯罪を計画し、準備行為を実行すれば処罰可能とするもので、対象を組織的犯罪集団に限定したことなどで、一般の人が捜査対象にならないよう要件が厳格化されています。
また、対象犯罪は、死刑、無期または4年以上の懲役・禁錮が定められている罪のうち、277の罪に限定されております。
また、通信傍受法の対象犯罪ではないことから、捜査でメールやLINEが傍受されることはなく、また、警察がテロ等準備罪で逮捕など強制捜査をする場合も、一般犯罪と同様に裁判所の令状が必要で、裁判所による厳格なチェックがあるため、警察権の濫用に歯どめがかかっております。
まさにこの法改正により、テロを未然に防ぐためにはテロ等準備罪が有効に機能するということがわかったように思います。
これらのことから、シーシェパードが調査捕鯨妨害活動等の中止を表明した件につき、テロ等準備罪による抑止力、効果があったのか、県警察本部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
警察本部長宮沢忠孝君。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) シーシェパードが南極海鯨類科学調査妨害活動の中止及び太地町への活動家の派遣中止を表明したことは承知しておりますが、その要因について一概に申し上げることは困難であります。
いずれにしましても、県警察では、太地町民の安心と安全を確保するため、関係機関と連携するなどして警戒活動を推進していく所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 それでは、シーシェパード等の反捕鯨団体に対するテロ等準備罪の適用についてどのように考えておられますか。県警察本部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 一般論として、ある団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかにつきましては、その団体の実態に即して、法と証拠に基づき個別に判断されるものになると承知しております。捜査は個別の事実関係に即して行われるものでありますので、具体的にお答えすることは困難であります。
いずれにしましても、県警察では、太地町民の安心と安全を確保するため、関係機関と連携するなどして警戒活動を推進していく所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
過去の意見書におきましても、今後とも安定した経営を継続していくため、資源量の豊富な鯨種について新たな捕獲対象に追加することを強く求めてこられた成果だと確信しますが、ことしから追い込み網漁の対象となる小型鯨類にシワハイルカとカズハゴンドウが加わっております。そのことを踏まえ、水産庁の捕鯨企画班は、今のところ大きな反発は起きていないが、漁が始まると反発があることも予想されると指摘しております。情勢をしっかり把握され、安全確保に努めていただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、次の項目に移ります。
和歌山県優良県産品推奨制度、いわゆるプレミア和歌山と言われる制度があります。これは、和歌山県において、長い歴史の中で先人が育んできた技術・技能や、これらに基づく数々の製品、温暖な気候風土の恵みである農林水産品、県民の努力が生み出した特産品、いにしえより伝わる祭りや伝統芸能、これらは全て県が誇るべき財産であり、大切に未来に引き継いでいかなければならないものが数多くあります。和歌山県内で生産、製造されたもの、安心・安全を重視したもの、そして和歌山らしさ、和歌山ならではのものといった観点から優良な県産品を選定、推奨する制度であると説明されています。
産品には、製造物分野として、梅干しやしょうゆなどを初めとした加工品、伝統的工芸品、産業製品、生鮮物分野、そして観光資産分野と多くのものがありますが、ここでは紀州備長炭についてお伺いいたします。
和歌山県は、平安時代からの炭の産地として有名であり、紀州備長炭が完成されたのは江戸・元禄時代と言われています。備長炭の名前の由来は、当時、紀州田辺に炭問屋を経営されていた備中屋長左衛門という商人が、商品の炭に「備長炭」と名づけて販売したのが始まりとされています。その後、紀州から四国や九州に製炭技術が伝えられていきました。
材料にはウバメガシなどのカシ類の木材を使い、きめ細かで鋼鉄のようにかたく、火もちがいい良質な炭で、また、煙が出ず、雑味がつかないため、特に炭火焼きを売り物にする料理屋などで重宝されています。
和歌山県は、紀州備長炭製炭技術を昭和49年4月9日に和歌山県無形民俗文化財に指定、しかし、備長炭の定義が広がってしまい、かつ、にせものの流通もあるため、和歌山県産の備長炭を特に紀州備長炭と呼んで差別化を図り、備長炭の品質、伝統を維持しています。
先日、その紀州備長炭の生産者というより、たくみの方にお会いしました。これまでにも「世界の村で発見!こんなところに日本人」や「グッと!地球便」など、テレビで何度も紹介された炭焼き歴30数年の熟練職人の方であります。田辺市中辺路町に生まれ、32歳で脱サラして炭焼きの道に入り、職人だった父親のもとで修業した後、和歌山市内に備長炭の製造販売会社を創設。以来30数年、炭焼き一筋に歩んでこられました。
この方は、これまで、和歌山が世界に誇る炭の最高峰、紀州備長炭を世界にとの思いで、中国福建省、ベトナム、そして現在はミャンマーにおいて、同国の政府の招聘を受け、地域経済の支えに、また、現地の生活が少しでも豊かになればと、長期にわたって技術指導に頑張っておられます。今、諸事情で一時帰国されておりますが、同国でも最も貧しい山岳地帯に住み込み、長年培ってきた紀州の伝統技能を生かし、現地に新しい産業を興すために奮闘されております。
そして、憂いておられたのが、本県におけるブランドとしての紀州備長炭の将来についてでありました。
そこで、まず、紀州備長炭の生産量の推移についてお教えください。農林水産部長、御答弁お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 紀州備長炭の生産量の推移については、長期にわたる減少が続くとともに、平成23年の台風12号により生産施設等が大きな影響を受け、平成25年には1135トンまで減少しましたが、平成26年以降は備長炭人気の高まり、施設の回復等により緩やかな増加傾向に転じ、平成28年は1179トンの生産量となっています。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
やや持ち直しつつもありますけども、まだ低調になっているということでございますが、最近は、どこの世界も後継者不足が深刻な問題となっております。俗に3Kと言われる仕事を嫌がる若者がふえてきておりますが、特に職人と言われる分野においてはその傾向が顕著にあるように思われます。和歌山が誇る特産物、紀州備長炭、その後継者育成についてどのような取り組みをされているのか、農林水産部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 後継者の育成については、高度な技術の習得が重要な要素となることから、市町村や県木炭協同組合と連携しながら受け入れ体制の整備を進めているところです。
この一環として、製炭技術の伝承を初め、20年以上製炭業務に従事し、製炭技術にすぐれ、後継者育成に積極的な製炭者を紀州備長炭指導製炭士として認定しています。
現在、この紀州備長炭指導製炭士11名が講師となって、県木炭協同組合との共催により開催している紀州備長炭「やまづくり塾」において、新規参入者を含む年数の浅い製炭者等を対象に、品質向上を目指した窯の構築や原木の窯入れなどの技術指導を行うとともに、原木林の循環利用を促進するため、太い木を伐採し細い木を残す、いわゆる択伐技術の習得に関する技術指導も行っているところです。
新たに備長炭の生産に携わろうとする方々のほとんどがこの「やまづくり塾」に参加して製炭技術の研さんに励んでおり、これら新規参入者を含む「やまづくり塾」への参加者は、過去5年間で延べ708名となっております。
今後も引き続き、市町村及び県木炭協同組合と連携しながら後継者の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 「紀州備長炭使用」という看板を見かけることがよくあります。しかし、そのほかの炭はそのような表示がなされているのを見かけたことはございません。紀州備長炭には、それだけの価値があるからであります。
燃料としてだけではなく、浄水や消臭、調湿など、また、製造過程で生まれる木酢液など、あらゆる用途に重宝される紀州備長炭、どうかその継承に向けた取り組み、そしてブランドとしての品質の維持向上のためにも御努力いただきますよう要望いたします。
それでは、次の項目に移らさせていただきます。
地震の際に非常に危険な凶器となり得るのは、恐らく窓ガラスだろうと考えられております。一たび巨大地震に見舞われたなら、そのガラスはひびが入り、砕け、落下してくるかもしれません。地上何メートルという高さから落下してくる鋭利な刃物の直撃に見舞われるようなことになれば、恐らく無事ではおられません。
さらに恐ろしいのは、割れた窓ガラスによる2次被害でございます。これは自宅でも言えることですが、地震でひびが入った窓ガラスが、その後何かの衝撃で砕け散れば、あたり一面が危険地帯となってしまいます。
これらのリスクに対する最も効果的な対策は、恐らく、窓ガラスが割れて飛び散らないよう専用のフィルムでコーティングするか、防音、断熱などを考えますと、そういった機能性も備えたペアガラスなどの強化されたものなどが効果的です。
強い衝撃や風で割れたガラスは広範囲に飛び散るおそれがありますので、もし避難場所のガラスが割れたなら、深刻な2次被害につながる可能性があります。絶対に割れないガラスはありません。しかし、万一の災害に備えてつくられた強くて安全性の高い防災ガラスと呼ばれるものがあります。
防災ガラスの主な特徴は、一般のガラスよりも強度が強いため割れにくく、割れたとしても破片がほとんど落ちずに飛び散らないという特徴がありますので、けがをする可能性も低くなります。
災害時、被害を最小限に抑えてくれる防災ガラス、避難場所や公共の施設での使用が推進されてきておりますが、避難所ともなり得る学校施設への導入についてのお考えを教育長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校施設は、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことからも、安全性の確保は極めて重要であります。
県教育委員会といたしましては、学校施設について、柱、はり、壁等の構造体の耐震化に加え、天井材、照明器具等の非構造部材の落下防止等の対策に取り組んできたところです。
県立学校の窓ガラスの飛散防止対策については、窓枠や建具の取りかえなど簡易な修繕での対応が難しいため、大規模改造工事等の機会を捉まえ、衝撃に強く、割れても破片が粒状になる安全ガラスへの変更を進めております。
小中学校につきましては、設置者である市町村に対し、文部科学省の学校施設の非構造部材の耐震対策事例集や学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブックに基づき、対策をとるよう指導してございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
ぜひ、積極的な導入推進をよろしくお願いいたします。
次の項目に移らさせていただきます。
昨年度より、進学意欲や学力が高いにもかかわらず、経済的な理由で大学等への進学を諦めなくてはならない高校生等に対して、卒業後、和歌山県へUターン志望であることや、一定の学力の高さなどの条件をクリアすれば、年60万円、4年間総額最高240万円、採用予定数は40名という給付型奨学金制度が施行されております。
本県の県外進学率や卒業後の就職において、ふるさと和歌山へUターンしない状況が続いており、人口減少問題や将来の担い手としての若者をとどめるため、国に先んじて施行されたすばらしい施策だと思います。経済的に我が子の進学の夢を断念せざるを得ないのかと悩んでおられた保護者の方からも感謝の声がございました。
県調査統計課によりますと、平成28年度、県内高校出身者の県外大学、短大への進学率が86.1%となり、昭和62年度から30年連続で全国一となったと報道されていました。県内高校を卒業して大学、短大へ進学したのが4926人で、約86%の学生が県外の大学に進学。ほとんどの学生が大阪や兵庫、京都など近隣府県の大学に進学しております。和歌山の大学、短大に進んだのは685人にとどまったとのことです。
県内には大学が少ないため、行きたい学部や学科がなければ仕方がないことかとも思いますが、昨今は地元志向が強くなってきております。県内の大学に進学したい生徒には、最大限の指導と支援を行っていただきたいと願っております。
卒業後、ふるさとに帰って就職し生活したいと希望する学生が大半です。前の質問でも申しましたが、私も県外への進学者でした。経済的にも苦しい中、両親や兄も応援してくれまして進学することができました。今でも本当に感謝しております。卒業後は情報がなく苦労しましたが、何としてもふるさと和歌山へ帰りたいという一心で就職活動したことを覚えております。
政府は、人口減少対策の5カ年計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略で、平成32年までに地元大学進学率を33%から36%に、新卒者の地元就職率を72%から80%に引き上げる目標を掲げております。
和歌山県の将来を見据えたとき、地域の活性化や県人口の減少に歯どめをかけるため、あらゆる施策を講じていかなければなりません。
県としてもこれまで強く要望してこられましたが、国において、大学生らが返済不要で利用できる給付型奨学金が、一定条件のもと平成30年から実施することになっており、特定の一部については本年度から先行実施されています。
給付対象者は、高い学業成績や学業以外の活動で成果を上げた生徒から高校が推薦して選ぶ。全国約5000の高校で1校1人以上採用し、2人目以降は、各校の非課税世帯の生徒のうち、貸与型奨学金を使った進学者の割合をもとに配分されます。その選考を学校判断に委ねることの負担について検討する必要があるようにも思いますが、それはさておき、経済的に進学を諦めるといったことが少しでもなくなるように、今後より一層の拡充を願うものであります。
そこで、お伺いいたしますが、和歌山県大学生等進学給付金について、その申し込み状況とその選考方法、また、採用人数は40人ですが、要件を満たした希望者には全員受けられるようにと願うものでございますが、この点につきまして教育長の御所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、平成28年度から低所得世帯の子供の大学進学の支援策として、和歌山県大学生等進学給付金を実施しております。
この給付金は、国に先駆けて貧困対策及び少子化対策の一環として、大学卒業後、県内へUターンしていただくことを要件に、年間60万円、4年間総額で最高240万円を給付いたします。40人の定数枠で募集を行っており、昨年度は64人、今年度は62人の申し込みがあったところであり、高校の成績に加え、面接及び小論文の検査を実施し、選考することとしております。
また、県議会及び県が強く要望しておりました国の給付型奨学金制度が創設され、来年度から本格実施されることとなりました。県としては、新たな国の制度も併用しながら、支援を必要とする子供が必要な給付を受けられるよう進めてまいります。
意欲と能力がある子供が経済的な理由により進学を断念することがないよう、国に対して制度の充実を要望するとともに、本県の給付型及び他の奨学金制度の周知徹底を図り、本県の子供たちの進路保障に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。
国に先んじて実施をされていることは、大変すばらしいことだと思います。どうか本県の将来を託す若者が経済的理由等により断念するようなことが1人もなきよう、未来への手厚い投資をと、強く要望させていただきます。
それでは、最後の項目に移ります。
先ほど先輩議員も質問されておられました内容とやや重複する部分があるかもしれませんが、なるべく避けて御質問させていただきますので、どうか御容赦くださいますようお願いいたします。
北朝鮮によるたび重なるミサイル発射、核実験が頻発しております。去る8月29日の早朝、私は委員会の県内調査で滞在していた串本町のホテルでその一報を聞きました。前日早く休んだこともあってか、午前4時ごろに目が覚め、テレビをつけてまどろんでおりました。そしたら、突然Jアラート発令の放送が流れました。北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、北海道上空を通過して太平洋に落下したとのこと。午前5時58分、北朝鮮平壌付近の順安から1発の弾道ミサイルが発射され、6時12分に襟裳岬東方約1180キロの太平洋上の排他的経済水域外に落下したとのことでした。
現在、北朝鮮の言動は我が国にとっても危険きわまりない存在になっています。まして、事前通告なしで日本上空を通過するという極めて異例の事態で、安倍晋三首相も、これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうとして、北朝鮮に対して厳重抗議をしました。当然のことであります。
北朝鮮に対しては、8月5日に国連の安全保障理事会で制裁決議が採択されたばかりで、1カ月もたたない中でのミサイル発射は、まさしく世界の平和と安定を願う国際社会への挑戦であり、断じて容認できるものではありません。
政府は直ちに北朝鮮に対して厳重抗議、緊急招集された国連安全保障理事会で言語道断と強く非難する議長声明、北朝鮮への制裁決議が採択されていますが、期待した効果を発揮しておりません。
総務省消防庁は、29日のその日、全国瞬時警報システム・Jアラートで北朝鮮のミサイル情報を発信しました。発射から約4分後の6時2分に発射情報を、約16分後の同14分に日本上空を飛んだとの通過情報をそれぞれ伝えました。
対象地域は、北海道を初め、東北地方及び一部関東地方の12道県でしたが、対象地域では防災行政無線の屋外スピーカーを通じて「頑丈な建物や地下に避難」、また「不審なものを発見した場合は決して近寄らず、警察や消防に連絡を」といった放送が流れました。消防庁や関係自治体によりますと、一部市町村で住民に伝える防災行政無線の放送が流れないなどのふぐあいがあったとのことです。
また、総務省消防庁は、8月18日午前、北朝鮮による米領グアム周辺への弾道ミサイル発射計画を受け、上空通過を予告された島根、広島、高知を含む中国・四国地方9県の全市町村にJアラートによる情報伝達訓練を実施した際に、一部、県が配信した防災メールの文面が文字化けして読めないトラブルの発生や、また、ある市では受信した情報が防災行政無線のスピーカーから流れないといったふぐあいもあったそうです。そして、先日9月15日のミサイル発射の際においても、改善されたはずのJアラートのメールが発信されなかったといったふぐあいが再度発生いたしました。
自然災害に加えて、今般のような状況において、生命にかかわる危機の情報を速やかに正確に漏れなく伝達することは非常に重要です。本県においても、そのようなふぐあいがないことを念願いたします。
Jアラートは、ほぼ自然災害の発生時に通達されるものと思っていましたが、武力攻撃という思いもよらぬ危機が今まさに現実のものとして警戒しなくてはならない状況になってきております。
そこで、お伺いしますが、ミサイル等が発射され、落下するおそれがある場合に、いざというときに防災行政無線が流れないなどのふぐあい対策について、危機管理監、お答えください。よろしくお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 議員御指摘のとおり、弾道ミサイルが発射され、本県や周辺地域に飛来する可能性がある場合、その情報を速やかに、正確かつ確実に県民に伝達することが重要になります。
そのため、Jアラートにつきましては、毎月、導通試験を行ってデータ受信状況を確認するとともに、毎年、全国一斉情報伝達訓練を実施し、市町村防災行政無線等を通じて県民に情報伝達が適切に行われるかを確認しています。その際、ふぐあいがあった場合は、直ちに市町村が改善を行っております。
また、今般の北朝鮮によるグアムへのミサイル発射予告や、8月29日の北海道上空を通過したミサイル発射事案を受け、改めて市町村に対し、Jアラートや防災行政無線の点検の実施について緊急に通知したところでございます。
自治会の訓練等、もしございましたら、Jアラートによる警報サイレンの音が鳴った場合に身を守る行動を県民が正しく理解するということが非常に重要であると私考えておりまして、市町村とか自治会が防災訓練等を行う場合には、サイレン音を提供したりとか、いろいろ適切な助言とか支援を行ってまいりたいと思っておりまして、県民の方々にそういう身を守る行動につきまして適切に対応していただくことを、我々はそうあるべきであると考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
今、管理監のほうからもございました。自治会で、今ちょうど秋、この時期、防災訓練が各地域で多く行われます。できましたら、間に合えばと思うんですが、今御答弁いただいたように、実際にミサイル等に特化された放送を防災行政無線で流していただいて、まず自宅で頭をかがめて頭部を守ると、こういった訓練からスタートするのも大事ではないかなと。余りしたくない訓練ではあるんですけども、そういったことももう必要な御時世といいますか、この今の事態を非常に憂慮しておりますが、そういったことも一度対応していただけたらというふうに思ってございます。
いずれにしましても、直面しております憂慮すべき事態が平和裏に解決することを祈念いたしまして、以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時11分休憩
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