平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)
平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録
第2号(全文)
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平成29年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
平成29年9月19日(火曜日)
午前10時開議
第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(41人)
1番 中西峰雄
2番 秋月史成
3番 立谷誠一
4番 泉 正徳
5番 前芝雅嗣
6番 花田健吉
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 川畑哲哉
10番 玉木久登
11番 濱口太史
12番 鈴木太雄
13番 尾﨑太郎
14番 藤山将材
15番 尾崎要二
16番 中村裕一
17番 岩田弘彦
18番 中本浩精
19番 服部 一
20番 山本茂博
21番 冨安民浩
22番 吉井和視
23番 堀 龍雄
24番 中 拓哉
25番 岸本 健
26番 森 礼子
27番 谷 洋一
28番 新島 雄
29番 岩井弘次
30番 多田純一
31番 片桐章浩
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 山下直也
35番 山田正彦
36番 菅原博之
37番 谷口和樹
38番 奥村規子
39番 雑賀光夫
41番 坂本 登
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
40番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 宮﨑 泉
危機管理監 藤川 崇
総務部長 浦上哲朗
企画部長 髙瀨一郎
環境生活部長 山田成紀
福祉保健部長 山本等士
商工観光労働部長 山西毅治
農林水産部長 原 康雄
県土整備部長 森戸義貴
会計管理者 野田孝雄
教育長 宮下和己
公安委員会委員長 溝端莊悟
警察本部長 宮沢忠孝
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 江川和明
選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 田村公一
次長 西原龍也
議事課長 松山 博
議事課副課長 武田 稔
議事課議事班長 岩谷隆哉
議事課主任 保田良春
議事課主任 岸裏真延
総務課長 糸川 徹
政策調査課長 中平 博
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午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
過日提出のあった議案第154号は、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
日程第1、議案第152号から議案第166号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
26番森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。
9月議会初日の1番目の質問に質問する機会をいただきまして、ありがとうございます。
質問に先立ち、一言お祝いを申し上げます。
このたびの秋篠宮眞子様の御婚約内定、まことにおめでとうございます。とかく暗いニュースが多い中、国民の心を和ませてくださるおめでたい出来事です。どうかお2人の末永い御多幸をお祈り申し上げます。
では、通告に従い、質問させていただきます。
初めに、北朝鮮のミサイルについて質問します。
今、私たちは新たな危機と直面しています。これまで私たちは、南海トラフ地震や津波、中央構造線の地震、風水害に対して、県民とともに防災計画などを作成し、避難物資を備蓄しながら防災訓練を実施してきました。8月29日の早朝の出来事で、大きく変化したように思います。
午前6時2分、テレビの画面が切りかわり、「国民の保護に関する情報です。北朝鮮からのミサイルに関する情報をお伝えします。政府は、先ほど北朝鮮からミサイルが発射された模様ですと発表しました」とのアナウンスが流れ、画面も国民保護に関する情報に変わり、「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射された模様です。頑丈な建物や地下に避難して下さい。」との文字が表示されました。東日本の12道県に全国瞬時警報システム・Jアラートが発せられた瞬間でした。
ちょうどテレビを見ていた私は、突然の放送に大変びっくりしました。対象地域は東日本ということで、和歌山には来ないと思いましたが、同時に、頑丈な建物や地下にどうやって避難するのかとも思いました。
その後、いろいろな点に気づきました。漁業関係者、漁に出ている人はどのように情報を得るのか。携帯を持たない人が屋外にいたらどうするのか。防災行政無線から離れたところや騒がしいところにいたら全く気づかないでしょうし、そもそも警報音を聞いたことがない人はどうするのか。
その日以来、テレビのバラエティーでは特集を組み、訓練の様子などあらゆる報道がされています。その後、さらに北朝鮮は、9月3日には水爆実験を行い、国連が制裁決議を行う、緊迫の度合いが増しています。
そこで、今回の北朝鮮によるミサイル発射を受けて、現在、知事はどのような御所見をお持ちでしょうか。
次に、ミサイル落下時に備えた訓練について伺います。
今回のJアラートの警報音は、少々平和ぼけした国民を覚醒させる機会になったと思います。緊迫した状況の中、生き残るためには何をすべきか、その気づきをするためには、避難訓練をすることは大切な機会ではないかと思います。
また、頑丈な建物や地下に避難せよと言うが、そのような建物がないときはどのようにするのでしょうか。ミサイル落下時の県民の避難方法について、県はどのように奨励するのか、危機管理監に伺います。
3番目は、ミサイル飛来情報の県民への周知について。
屋外での伝達手段は、防災行政無線が重要手段です。本県の防災行政無線の配備は100%であると聞いていますが、Jアラートと連動できていない古い設備のところや、そもそも屋外スピーカーがない地域もあると聞いています。
音が割れて聞き取りにくい、届かないなどの点検、改善、戸別受信機や防災ラジオ設置推奨などの対策が必要ではないでしょうか。また、漁業関係者、特に漁に出ている人への伝達手段はどのようになっているのか、危機管理監に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの森礼子さんの質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 北朝鮮による我が国上空を通過したたび重なる弾道ミサイルの発射は、領土、領海への着弾、落下のおそれがあることから、県民の生命、身体及び財産を脅かす許しがたい暴挙であり、怒りを覚えます。
国においては、今後、北朝鮮がさらなる暴挙に出ることのないよう、外交、経済等あらゆる手段で北朝鮮に対して断固とした対応をとることや、ミサイル飛来時にはより早く正確な情報提供を行ってもらいたいと考えております。
一方で、ミサイルがいつ、どこへ落下するかといった情報提供については、防衛省にも再三問い合わせた結果、リアルタイムではできない、あるいはしないとの由でありました。例えば、10分後に紀の川右岸あたりに落下するという情報があれば、急いで左岸側に避難していただければいいということになるんですけれども、現実的にはどこへ飛んでくるか、落ちるかわからないわけでありますので、とにかく建物の中に避難することを徹底するしかないというふうに思います。
どこどこへ逃げようということになると訓練も必要と思いますけれども、現状は申し上げたとおりであります。訓練だと言ってテレビなどに撮らせますと、話題性もあるので人気も出るんですけれども、そういうこともどうかなあというふうに思いますから、現実にのっとって一番いいことをするしかないと思います。
大事なことは、Jアラート等によるミサイル発射の情報伝達後、日本へのミサイル到達は10分程度しかないために、県民の皆様には、直ちに近くにあるできるだけ頑丈な建物の中に避難するとともに、その後の情報にも注視しながら落ちついて行動していただくしかないと、あるいはそういうふうにしてもらいたいというふうに思います。
そういうことを後で危機管理監から詳しく話すと思いますけれども、繰り返し県民に伝えてまいりたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) ミサイル落下時に備えた訓練についてお答えいたします。
県では、和歌山県公式ホームページのほか、テレビ和歌山や和歌山放送のスポットCM、「県民の友」など、あらゆるメディアを通じ、弾道ミサイル落下時の行動について県民の皆様に積極的に周知を行っているところでございます。
弾道ミサイル落下時には、爆風や落下物から身を守るため、直ちに近くの建物の中や地下に避難するか、近くに建物がない場合は地面に伏せて頭部を守ることが重要でございます。
津波など自然災害時の避難とは異なり、どこに着弾するか予測できないため、あらかじめ避難ルートや避難場所を定めることが困難であることから、事前に決められた建物に逃げ込むような訓練は余り意味がないのではないかと考えております。
なお、今年度、大規模な化学薬剤の散布や爆発物への対処を想定した国民保護共同図上訓練を消防庁、自衛隊、警察、消防、市町村等とともに実施する予定でありまして、この訓練は、危険物への対応や住民避難の指示など、ミサイルへの対処にも通じる実践的な訓練となっております。
県といたしましては、このような訓練を通じて危機管理能力を強化するとともに、関係機関と緊密に連携し、県民の安全確保に全力を尽くしてまいります。
次に、ミサイル飛来情報の県民への周知についてでございますが、弾道ミサイルが発射された場合、その情報をいかに早く確実に県民に伝達するかが最も重要であり、弾道ミサイルが発射され、本県や周辺地域に飛来する可能性がある場合は、消防庁から全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートを活用して市町村の防災行政無線や登録制メールなどで即座に情報が伝達されると同時に、携帯電話やスマートフォンに緊急速報メールが届きます。
議員御指摘のとおり、市町村の防災行政無線は災害時の住民への重要な情報伝達手段であり、不感地域の解消に向け、市町村が屋外スピーカーの増設や戸別受信機の配備などを実施しているところです。
引き続き、市町村に対し適切な整備を勧めるとともに、Jアラートによる全国一斉情報伝達訓練の実施や機器の日々の点検など、情報が県民に確実に伝達されるよう強く市町村に働きかけてまいります。
次に、漁業関係者などへの情報伝達につきましては、現在、首相官邸から漁協等の代表者に直接メールで伝達する仕組みがあり、さらに、水産庁がJアラートのシステムと同様に、直接漁船に情報を伝達するシステムを新たに導入すると聞いております。
いずれにいたしましても、国や市町村、関係機関等と十分連携し、県民への情報伝達に万全を尽くしてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 私の娘とか娘の友達は「どうせ大丈夫やろう」というような言葉を会話で交わしているのを聞いたので、やっぱり、どうせ大丈夫だろうというような間違った行動にならないようにすることが大事だとも思いますし、そういう感情というのは自然災害のときの避難の行動にもつながっていくので、しっかりと自分で身を守るということは周知していきたいなというふうに要望いたします。
では、続いて次の質問に移ります。
2番目は、県道岩出海南線について質問します。
初めに、整備の見通しについて。
昨年の9月定例会では、山東地区の県道岩出海南線の整備について質問をしました。今回は、その整備促進の願いを込めて、改めて質問をいたします。
県道9号岩出海南線は、海南市から和歌山市東部を経由して岩出市を結ぶ主要県道です。通過交通とともに、また、地域の子供たちの通学や通勤、生活道路としても大変大切な道路であります。
しかし、和歌山市内の境原から口須佐までの間は狭隘な箇所が連続する未改修区間で、交通安全上、大変危険な状態にあります。そのため、一昨年、関係自治会から県に対して早期拡幅の要望が出されています。
昨年の私の質問に対し、県土整備部長から、交通の流れを大きく変えるバイパス整備ではなく、現道を活用し拡幅や線形改良を行う整備手段で、用地の御協力が前提となりますが、車両の円滑な対向、歩行者の安全確保などの観点から、特に狭い箇所の整備について検討を行うと答弁をいただきました。その答弁で私も大変力強く、心強く感じました。傍聴に来られていた自治会の役員さんたちも大いに喜んでくれていました。
そこで、もうすぐ来年度予算の編成が行われますが、事業計画など今後の見込みについて、県土整備部長に伺います。
2番目は、道路沿いの斜面対策について。
また、地元からは、県道9号線の吉里、境原両地域の南北にまたがる区間の道路ののり面対策についても、改修の要望が出されています。同所は、県の土砂災害特別警戒区域に指定されており、急傾斜地の前面には県道を挟んで民家があり、常に危険と向き合っています。万が一、斜面崩壊が起これば、県道が寸断され、さらに、民家が土砂の直撃を受けるおそれがあります。当該道路が寸断されれば、海南から和歌山市東部から和佐から小倉地区、そして岩出への幹線が通行不可能となり、西山東地区の南部地域の120世帯が避難困難となり、救護ができなくなってしまいます。
問題ののり面区間150メートルの現状は、高さ5メートルのブロック積み区間が45メートル、高さ1メートルのブロック積み区間が10メートル、高さ5メートルの金網設置区間が60メートル、無施工区間が35メートルです。県ではこれで改修済みとしておりますが、のり面の上の山の高さを考慮すると現状ではとても不安で、地元からは、せめて金網設置区間、無施工区間について対策を講じてほしいとの声が上がっています。
ぜひこれも早期の対応が必要であると考えますが、9号線の道路沿いの斜面対策について、県土整備部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 岩出海南線の整備の今後の見通しについてお尋ねを頂戴いたしました。
県道岩出海南線の和歌山市口須佐から境原間につきましては、車両の対向が困難な箇所や歩行者等の安全な通行に支障を来している狭隘な区間があることは認識をしており、その整備に当たっては、現道を活用することが望ましいと考えております。
同区間の一部は、近隣の小学校への通学路でもあることから、歩行者の通行の安全を図るため、昨年度策定した歩道整備5カ年計画に同区間の整備を位置づけたところです。
現在、側溝のふたかけや路肩のカラー舗装化など、現道区域内において歩行スペースを確保するための調整を進めております。あわせて、狭隘な区間の整備を進めるに先立ち、現在、通行に支障がある箇所の抽出や公図の状況等、基礎データについての調査を実施しているところです。今後、これらの準備が整えば、地元の皆様とともに現地調査を行い、御意見を伺ってまいりたいと考えております。
なお、具体的な整備につきましては、周辺の事業中区間の進捗を見ながら取り組んでいくこととなると考えてございます。
続きまして、吉里、境原地域の岩出海南線沿いの斜面対策についてお尋ねをいただきました。
議員から御指摘のありました土砂災害特別警戒区域は、土砂災害防止法に基づいて県が指定する区域であり、同法施行令に定められた指定基準に基づき、傾斜度30度以上かつ5メートルを超える高さの急傾斜地を対象として、その斜面の状況にかかわらず指定しているものでございます。したがいまして、崩壊の危険度を勘案して指定しているものではございません。
道路管理者としては、道路の一部として管理している斜面、いわゆるのり面について、危険度の高い箇所から順次対策を講じているところでございまして、現在は、過去に実施した道路防災点検において、のり面対策が必要とされた箇所を対象に対策を行っているところでございます。
今回、御質問のありました箇所につきましては、直ちに対策が必要な箇所とはなっておらず、現時点でのり面の崩壊や変状も見受けられないこと及び一定ののり面対策が講じられていることから、現時点で新たな対策を実施する予定はございません。
今後も、道路パトロールによる点検を行いながら、のり面の状況を注視してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、和歌山県の競技力向上とスポーツの施設の充実について質問します。
9月13日、厚労省の発表によると、平成27年度の国民医療費が42兆3644億円と前年度に比べ1兆5573億円増加し、9年連続で過去最高を更新しました。私は、この種のニュースを聞くたびに、スポーツ振興や健康増進を図れば医療費は軽減され、国民も健康で幸せな人生が送れるのにと思います。
その意味で、スポーツ振興は世界共通の国家的課題であり、英国やフランス、ロシア、中国、カナダなど多くの国では、その責任者に大臣を置いて積極的に推進しています。我が国でも、平成26年にスポーツ庁が設置され、水泳金メダリストの鈴木大地長官を先頭にスポーツの振興を図っています。
折しも2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を目前に控え、新しく追加されるスケートボードやサーフィンも含め、スポーツへの関心は国民の間にも大きく高まっています。また、スポーツは、青少年の健全育成につながる大切なコミュニケーションであり、学校や地域で盛んに行われています。
さらに、スポーツ庁や経産省では、世界の潮流に乗って、スポーツ産業の成長力を生かして我が国の基幹産業の1つに押し上げる政策を掲げています。スポーツは、教育や健康増進の領域を超え、地域活性化や産業振興にまで拡大しました。
そこで、3問目は、本県の競技力向上と施設の充実について質問します。
ここでは、事例として、今や国民的スポーツ、Jリーガーが子供たちの憧れであるサッカーを取り上げます。
私は昨年、堺市にある堺市立サッカー・ナショナルトレーニングセンターを視察しました。同センターは、天然芝5面、人工芝11面、人工芝フットサル8面のフィールドと立派なクラブハウスにレストランや売店、合宿施設が備わり、サイクリングコースや400メートルトラックまで有する総合サッカー施設です。
用地は、大阪ガスの工場跡地を固定資産税の減免と引きかえに堺市が無償で20年間借り受ける契約で、慢性的に練習場所の不足に悩むサッカー協会が協力してつくり上げたということです。
私が視察した日は日曜日でしたが、全てのフィールドが選手でにぎわい、活気にあふれていました。週末、祭日の予約は数年先までいっぱいで、年間使用料収入は約6億円と伺いました。
去る7月15日には、日本、県サッカー協会主催のタウンミーティングが開催され、私も参加してきました。田嶋日本サッカー協会会長や役員の皆さんのお話を伺い、サッカーグラウンドの整備の必要性を改めて認識いたしました。
現在、県内には、サッカーに最適な芝生のグラウンドは紀三井寺や紀の川市の桃源郷、田辺スポーツパーク、上富田スポーツセンター、サン・ナンタンランドなど9競技場があり、利用状況は多目的グラウンドとなっているものが多く、サッカー競技やほかの競技団体が会議を開き、利用調整をしている状況と伺いました。
フットボールなら学校の運動場でもできるじゃないかと言われるかもしれません。しかし、例えばサッカーは芝生の上でプレーしやすいだけではなく、練習のときから芝生でやらないと技術が習得できません。日本のサッカーが欧州や南米との差が埋まらないのは、芝生グラウンドの差と言われています。
芝生の上に乗ったボールを蹴るのと土の上のボールを蹴るのでは、蹴り方まで違ってきます。スライディングタックルも芝生でなければできません。つまり、県内ではグラウンドが少なく練習ができないことに加えて、十分な技術を習得できない状況です。
私が堺市のセンターを伺ったときも、北高校の選手、女子チームのオレンジ和歌山の選手が熱心に練習を行っていました。
現在、サッカーは200を超える国と地域で2億5000万人を超える選手たちにプレーされており、4年に一度行われるFIFAワールドカップのテレビ視聴者数は全世界で300億人を超えており、世界で最も人気のあるスポーツです。
我が国でも競技人口は93万人を超えており、プロリーグも3部制です。しかし、本県の競技人口は、平成26年で、人口が少ない県よりもさらに少なく、下から5番目の6175人です。施設が少ないから競技人口がふえないのか、それとも競技人口が少ないから施設をつくる必要がないのでしょうか。
芝生グラウンドは、サッカーだけでなく、ラグビーやホッケー、ラクロスなど多目的に利用できます。しかも、県外からも合宿などを呼び込める経済的なスポーツ施設です。
知事もタウンミーティングのレセプションに出席をされていましたが、私は、スポーツ施設の充実がその競技力の向上に資すると思いますが、本県の競技力向上とスポーツ施設の充実について、知事にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県を代表する競技者が国際競技大会や全国大会で優秀な成績をおさめることは、多くの県民に夢と感動を与え、郷土愛を育み、元気な和歌山を実現するとともに、本県のスポーツ振興に大きく寄与するものであります。
私に関して申し上げますと、私はスポーツをすることも見ることも大好きでございますんで、スポーツが盛んになることは無条件にいいことだというふうに思っております。
よって、紀の国わかやま国体における男女総合優勝で得られた成果やレガシーを生かし、ジュニア選手育成、少年選手強化、すぐれた指導者の養成、スポーツ医・科学サポートの充実等に取り組むことで、本県の競技水準の維持向上に努めております。
このため、国体後も、昔みたいにスポーツ予算をうんと小さくするということはなくて、今申し上げましたような用途のために結構使わしていただいております。
県内のスポーツ施設については、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の開催に向けてだけではなくて、国体・大会が終わった後の活用も踏まえ、十分検討の上、さらに市町村とも連携して、計画的に必要な新設、改築等の整備を行ったところであります。
国体・大会が終わり、現在は新たな施設を整備するというのではなくて、本県の競技力の維持向上や東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ誘致など、国体・大会で整備した施設の有効活用を図っていくということが大事であると考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁では十分足りているとのことですが、現状は足りている競技と足りていない競技に分かれています。私が述べたサッカーやラグビーは全く足りていないというふうに伺っていますし、また、間もなく全国高校ラグビーフットボール大会和歌山県大会が始まるんですが、グラウンドの確保ができずに、高校の土グラウンドで開会式と1回戦の3試合が行われるということで、3年生にとっては高校生活最後の試合で、芝のグラウンドではなくて土グラウンドで終えてしまうこととなるというふうに関係者はおっしゃっていました。他府県で当たり前となっている天然芝や人工芝でのグラウンドでの公式戦を準備してあげたかったと話されていました。
また、フットボールシーズンインの8月末から10月、また強化期間の12月から3月には、毎年和歌山で合宿を希望する多くのチームからの問い合わせがありますが、残念ながらグラウンドが確保できないので断るケースがほとんどであるという実態を伺いました。
スポーツの振興のためには、選手の強化とか育成が必要ですが、そのためにはやっぱり何より幼いときからの適正な環境が必要であると私は思います。
さきにも述べましたが、サッカーやラグビーは土のグラウンドでもできますが、しかし、土のグラウンドではサッカーやラグビーは全く違った形のスポーツになってしまい、技術も身につけることができません。サッカーのスライディングタックルは、芝で習得はできるけど、土の上では滑ることもできません。芝の上と土の上との違いでやり方も変わってくるそうです。
そういうことから、知事もタウンミーティングに出席されておられましたが、そのときにグラウンドが足りていないという状況は聞かれたと思いますが、本当に必要でないと感じていらっしゃるのか、再度伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今、森議員が土の上ではスライディングタックルはできないとおっしゃいましたが、私は高校2年生のとき、3年生じゃなくて2年生のとき、このチームは強くて、私など下手っぴいは交代要員のサイドバックでございました。ほとんど業としてスライディングタックルを専門にやっておりまして、土のグラウンドの上でやっておりました。
そういうことはさておきまして、競技団体あるいはやってる人、これはもう自分のところの競技に、県があるいは町が力を入れてくれて、いい環境を整えてくれたらいいに決まっとるわけですけれども、しかし、県や市町村のほうもやっぱり採算というようなことも考えておかないと、ほかの人たちに示しがつかん、申しわけが立たんということになります。
実は、和歌山県でも、多くのテニスの競技者から紀三井寺競技場のテニスコートにナイター設備を入れてくれという話がありました。そのときに、結構設備投資も要るもんですから、後々ちゃんと回収できるかどうかというようなことも大いに考えまして、競技団体なんかもこのぐらいの需要は必ず出すというようなことも言ってもらい、それを裏づけもとって、それでどうもいけそうだと、そんなに損はしないということで設備投資をやらしていただいたこともございました。
サッカーのグラウンドなんかも同じように考えたらいいと思いまして、全く公的機関が設備をつくっちゃいかんかというとそうでもない。だけど、やっぱり和歌山県民全体に迷惑をかけるようなことがないようになっとるかどうかということもよく考えて、要は、ひょっとしたら競技団体の人たちの覚悟の問題なのかもしれないなあというふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ホッケーのグラウンドが13年前にマツゲングラウンドとしてできて、それからたくさんの県外のチームが和歌山へ来続けてくれたことによってホッケーのレベルがすごく上がったというふうに、ホッケー関係者以外の方からもすごく称賛されているのを聞きました。で、国体の優勝にすごく大きく貢献していただいたホッケーチームがあるんだなというふうなことも、私も国体のときに知ったわけですけれども、私は、いろんなサッカーやラグビーの関係者の方とお話をした上では、やっぱりその需要も要望もたくさんあるということをしっかり認識した上での質問だったので、きょうはこの辺で終わりますが、これからも私なりに研究していきたいと思います。
これで一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
29番岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
台風一過の秋晴れとなりましたが、各地でゆっくりとしたスピードの台風が最近多く、被害もその分甚大になってくるようにも思います。被災された皆様に対してお見舞いを申し上げますとともに、収穫前でもございますので、農産物等に被害がなるべくないように、最小限で済むようにというふうに願うものでございます。
それでは、まず初めに、質問通告に従いまして一般質問をさせていただきますけども、1つ目につきまして質問いたします。
去る8月30日、和歌山県太地町で9月1日から小型鯨類の追い込み網漁が始まるのを前に、同町などでつくる鯨類捕獲及び鯨類産業に係る太地町対策協議会の定例会が開かれ、南極海での日本の調査捕鯨船に対する妨害活動を今冬は行わないとの声明を出した反捕鯨団体シーシェパードについて、今後の動向を警戒する声が聞かれたとの報道がございました。
また、漁を前に和歌山県警と新宮署は8月21日に臨時交番が開所されまして、漁期の来年3月末まで警察官が常駐し、反捕鯨団体などの違反行為に目を光らせておられます。
私も委員会の調査視察で伺ったことがございますが、臨時交番は2011年から毎年、鯨類の漁期に合わせて開所され、新宮署の安全パトロール班員や県警本部の情報採証班の方々が3交代24時間体制で常駐し、町内の漁協や生けすなどを重点的に巡回、犯罪の未然防止に向けて、反捕鯨活動家による嫌がらせ行為や違反行為を取り締まっておられます。
捕鯨文化を守るため、県議会においても、鯨肉の食文化や鯨漁に関する行事などは、約400年もの長きにわたり地元の人たちが大変な努力によって守り続けてきた地域の伝統文化であり、これからも太地の人々が生きていくための重要な産業として欠かすことのできないものであるということ、そしてまた、世界動物園水族館協会(WAZA)からの日本に対する会員資格停止問題に対して遺憾である等々、意見書を議決し提出されております。
長年、関係各位の大変な御努力により守り受け継がれてきた捕鯨文化でありますが、毎年、反捕鯨団体等からの妨害や嫌がらせを受けてまいりました。
ところが本年、捕鯨に反対するシーシェパードは、公式ホームページにおいて創始者のポール・ワトソンが、日本での妨害活動を停止すると発表しました。シーシェパードが公式ホームページに掲載したお知らせの中で、これまで12年間、捕鯨の抗議活動で成果を上げてきたが、最近の日本は、衛星で我々の船をリアルタイムで監視し、技術面で勝てなくなってきた、また、追いかけても逃げられるだけだし、徹底して避けられている等々、さらに今年、テロ等準備罪が成立させられ、我々は攻撃する立場から攻撃される立場になってしまったとあります。
自分たちがテロ集団、組織的犯罪集団だとの自覚があるのか、妨害活動を停止する決め手になった大きな要因は、我が国にテロ等準備罪が成立したことだったとネットニュースに掲載されておりました。
テロ等準備罪とも略して言われる組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の改正案は、さまざまな議論を経て、本年6月15日、参院本会議で自民、公明の与党両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立し、一部の規定を除き、平成29年7月11日に施行されました。
今さらですが確認しておきますと、この法改正は、テロを含む組織的な重大犯罪を未然に防ぐことが目的で、既に187カ国・地域が加盟する国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結に必要な国内法整備であり、同条約は、加盟条件に犯罪を合意段階で処罰する国内法の整備を求めており、日本は国際社会から繰り返し条約の早期締結を勧告されてきておりました。条約の締結により、捜査共助の迅速化、日常的な情報交換の促進、逃亡犯罪人引き渡しの請求が可能になります。
テロ等準備罪は、テロ組織や暴力団、薬物密売組織といった組織的犯罪集団の構成員らが2人以上で重大犯罪を計画し、準備行為を実行すれば処罰可能とするもので、対象を組織的犯罪集団に限定したことなどで、一般の人が捜査対象にならないよう要件が厳格化されています。
また、対象犯罪は、死刑、無期または4年以上の懲役・禁錮が定められている罪のうち、277の罪に限定されております。
また、通信傍受法の対象犯罪ではないことから、捜査でメールやLINEが傍受されることはなく、また、警察がテロ等準備罪で逮捕など強制捜査をする場合も、一般犯罪と同様に裁判所の令状が必要で、裁判所による厳格なチェックがあるため、警察権の濫用に歯どめがかかっております。
まさにこの法改正により、テロを未然に防ぐためにはテロ等準備罪が有効に機能するということがわかったように思います。
これらのことから、シーシェパードが調査捕鯨妨害活動等の中止を表明した件につき、テロ等準備罪による抑止力、効果があったのか、県警察本部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
警察本部長宮沢忠孝君。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) シーシェパードが南極海鯨類科学調査妨害活動の中止及び太地町への活動家の派遣中止を表明したことは承知しておりますが、その要因について一概に申し上げることは困難であります。
いずれにしましても、県警察では、太地町民の安心と安全を確保するため、関係機関と連携するなどして警戒活動を推進していく所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 それでは、シーシェパード等の反捕鯨団体に対するテロ等準備罪の適用についてどのように考えておられますか。県警察本部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長。
〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 一般論として、ある団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかにつきましては、その団体の実態に即して、法と証拠に基づき個別に判断されるものになると承知しております。捜査は個別の事実関係に即して行われるものでありますので、具体的にお答えすることは困難であります。
いずれにしましても、県警察では、太地町民の安心と安全を確保するため、関係機関と連携するなどして警戒活動を推進していく所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
過去の意見書におきましても、今後とも安定した経営を継続していくため、資源量の豊富な鯨種について新たな捕獲対象に追加することを強く求めてこられた成果だと確信しますが、ことしから追い込み網漁の対象となる小型鯨類にシワハイルカとカズハゴンドウが加わっております。そのことを踏まえ、水産庁の捕鯨企画班は、今のところ大きな反発は起きていないが、漁が始まると反発があることも予想されると指摘しております。情勢をしっかり把握され、安全確保に努めていただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、次の項目に移ります。
和歌山県優良県産品推奨制度、いわゆるプレミア和歌山と言われる制度があります。これは、和歌山県において、長い歴史の中で先人が育んできた技術・技能や、これらに基づく数々の製品、温暖な気候風土の恵みである農林水産品、県民の努力が生み出した特産品、いにしえより伝わる祭りや伝統芸能、これらは全て県が誇るべき財産であり、大切に未来に引き継いでいかなければならないものが数多くあります。和歌山県内で生産、製造されたもの、安心・安全を重視したもの、そして和歌山らしさ、和歌山ならではのものといった観点から優良な県産品を選定、推奨する制度であると説明されています。
産品には、製造物分野として、梅干しやしょうゆなどを初めとした加工品、伝統的工芸品、産業製品、生鮮物分野、そして観光資産分野と多くのものがありますが、ここでは紀州備長炭についてお伺いいたします。
和歌山県は、平安時代からの炭の産地として有名であり、紀州備長炭が完成されたのは江戸・元禄時代と言われています。備長炭の名前の由来は、当時、紀州田辺に炭問屋を経営されていた備中屋長左衛門という商人が、商品の炭に「備長炭」と名づけて販売したのが始まりとされています。その後、紀州から四国や九州に製炭技術が伝えられていきました。
材料にはウバメガシなどのカシ類の木材を使い、きめ細かで鋼鉄のようにかたく、火もちがいい良質な炭で、また、煙が出ず、雑味がつかないため、特に炭火焼きを売り物にする料理屋などで重宝されています。
和歌山県は、紀州備長炭製炭技術を昭和49年4月9日に和歌山県無形民俗文化財に指定、しかし、備長炭の定義が広がってしまい、かつ、にせものの流通もあるため、和歌山県産の備長炭を特に紀州備長炭と呼んで差別化を図り、備長炭の品質、伝統を維持しています。
先日、その紀州備長炭の生産者というより、たくみの方にお会いしました。これまでにも「世界の村で発見!こんなところに日本人」や「グッと!地球便」など、テレビで何度も紹介された炭焼き歴30数年の熟練職人の方であります。田辺市中辺路町に生まれ、32歳で脱サラして炭焼きの道に入り、職人だった父親のもとで修業した後、和歌山市内に備長炭の製造販売会社を創設。以来30数年、炭焼き一筋に歩んでこられました。
この方は、これまで、和歌山が世界に誇る炭の最高峰、紀州備長炭を世界にとの思いで、中国福建省、ベトナム、そして現在はミャンマーにおいて、同国の政府の招聘を受け、地域経済の支えに、また、現地の生活が少しでも豊かになればと、長期にわたって技術指導に頑張っておられます。今、諸事情で一時帰国されておりますが、同国でも最も貧しい山岳地帯に住み込み、長年培ってきた紀州の伝統技能を生かし、現地に新しい産業を興すために奮闘されております。
そして、憂いておられたのが、本県におけるブランドとしての紀州備長炭の将来についてでありました。
そこで、まず、紀州備長炭の生産量の推移についてお教えください。農林水産部長、御答弁お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 紀州備長炭の生産量の推移については、長期にわたる減少が続くとともに、平成23年の台風12号により生産施設等が大きな影響を受け、平成25年には1135トンまで減少しましたが、平成26年以降は備長炭人気の高まり、施設の回復等により緩やかな増加傾向に転じ、平成28年は1179トンの生産量となっています。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
やや持ち直しつつもありますけども、まだ低調になっているということでございますが、最近は、どこの世界も後継者不足が深刻な問題となっております。俗に3Kと言われる仕事を嫌がる若者がふえてきておりますが、特に職人と言われる分野においてはその傾向が顕著にあるように思われます。和歌山が誇る特産物、紀州備長炭、その後継者育成についてどのような取り組みをされているのか、農林水産部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 後継者の育成については、高度な技術の習得が重要な要素となることから、市町村や県木炭協同組合と連携しながら受け入れ体制の整備を進めているところです。
この一環として、製炭技術の伝承を初め、20年以上製炭業務に従事し、製炭技術にすぐれ、後継者育成に積極的な製炭者を紀州備長炭指導製炭士として認定しています。
現在、この紀州備長炭指導製炭士11名が講師となって、県木炭協同組合との共催により開催している紀州備長炭「やまづくり塾」において、新規参入者を含む年数の浅い製炭者等を対象に、品質向上を目指した窯の構築や原木の窯入れなどの技術指導を行うとともに、原木林の循環利用を促進するため、太い木を伐採し細い木を残す、いわゆる択伐技術の習得に関する技術指導も行っているところです。
新たに備長炭の生産に携わろうとする方々のほとんどがこの「やまづくり塾」に参加して製炭技術の研さんに励んでおり、これら新規参入者を含む「やまづくり塾」への参加者は、過去5年間で延べ708名となっております。
今後も引き続き、市町村及び県木炭協同組合と連携しながら後継者の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 「紀州備長炭使用」という看板を見かけることがよくあります。しかし、そのほかの炭はそのような表示がなされているのを見かけたことはございません。紀州備長炭には、それだけの価値があるからであります。
燃料としてだけではなく、浄水や消臭、調湿など、また、製造過程で生まれる木酢液など、あらゆる用途に重宝される紀州備長炭、どうかその継承に向けた取り組み、そしてブランドとしての品質の維持向上のためにも御努力いただきますよう要望いたします。
それでは、次の項目に移らさせていただきます。
地震の際に非常に危険な凶器となり得るのは、恐らく窓ガラスだろうと考えられております。一たび巨大地震に見舞われたなら、そのガラスはひびが入り、砕け、落下してくるかもしれません。地上何メートルという高さから落下してくる鋭利な刃物の直撃に見舞われるようなことになれば、恐らく無事ではおられません。
さらに恐ろしいのは、割れた窓ガラスによる2次被害でございます。これは自宅でも言えることですが、地震でひびが入った窓ガラスが、その後何かの衝撃で砕け散れば、あたり一面が危険地帯となってしまいます。
これらのリスクに対する最も効果的な対策は、恐らく、窓ガラスが割れて飛び散らないよう専用のフィルムでコーティングするか、防音、断熱などを考えますと、そういった機能性も備えたペアガラスなどの強化されたものなどが効果的です。
強い衝撃や風で割れたガラスは広範囲に飛び散るおそれがありますので、もし避難場所のガラスが割れたなら、深刻な2次被害につながる可能性があります。絶対に割れないガラスはありません。しかし、万一の災害に備えてつくられた強くて安全性の高い防災ガラスと呼ばれるものがあります。
防災ガラスの主な特徴は、一般のガラスよりも強度が強いため割れにくく、割れたとしても破片がほとんど落ちずに飛び散らないという特徴がありますので、けがをする可能性も低くなります。
災害時、被害を最小限に抑えてくれる防災ガラス、避難場所や公共の施設での使用が推進されてきておりますが、避難所ともなり得る学校施設への導入についてのお考えを教育長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校施設は、災害発生時には地域住民の避難所としての役割を果たすことからも、安全性の確保は極めて重要であります。
県教育委員会といたしましては、学校施設について、柱、はり、壁等の構造体の耐震化に加え、天井材、照明器具等の非構造部材の落下防止等の対策に取り組んできたところです。
県立学校の窓ガラスの飛散防止対策については、窓枠や建具の取りかえなど簡易な修繕での対応が難しいため、大規模改造工事等の機会を捉まえ、衝撃に強く、割れても破片が粒状になる安全ガラスへの変更を進めております。
小中学校につきましては、設置者である市町村に対し、文部科学省の学校施設の非構造部材の耐震対策事例集や学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブックに基づき、対策をとるよう指導してございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
ぜひ、積極的な導入推進をよろしくお願いいたします。
次の項目に移らさせていただきます。
昨年度より、進学意欲や学力が高いにもかかわらず、経済的な理由で大学等への進学を諦めなくてはならない高校生等に対して、卒業後、和歌山県へUターン志望であることや、一定の学力の高さなどの条件をクリアすれば、年60万円、4年間総額最高240万円、採用予定数は40名という給付型奨学金制度が施行されております。
本県の県外進学率や卒業後の就職において、ふるさと和歌山へUターンしない状況が続いており、人口減少問題や将来の担い手としての若者をとどめるため、国に先んじて施行されたすばらしい施策だと思います。経済的に我が子の進学の夢を断念せざるを得ないのかと悩んでおられた保護者の方からも感謝の声がございました。
県調査統計課によりますと、平成28年度、県内高校出身者の県外大学、短大への進学率が86.1%となり、昭和62年度から30年連続で全国一となったと報道されていました。県内高校を卒業して大学、短大へ進学したのが4926人で、約86%の学生が県外の大学に進学。ほとんどの学生が大阪や兵庫、京都など近隣府県の大学に進学しております。和歌山の大学、短大に進んだのは685人にとどまったとのことです。
県内には大学が少ないため、行きたい学部や学科がなければ仕方がないことかとも思いますが、昨今は地元志向が強くなってきております。県内の大学に進学したい生徒には、最大限の指導と支援を行っていただきたいと願っております。
卒業後、ふるさとに帰って就職し生活したいと希望する学生が大半です。前の質問でも申しましたが、私も県外への進学者でした。経済的にも苦しい中、両親や兄も応援してくれまして進学することができました。今でも本当に感謝しております。卒業後は情報がなく苦労しましたが、何としてもふるさと和歌山へ帰りたいという一心で就職活動したことを覚えております。
政府は、人口減少対策の5カ年計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略で、平成32年までに地元大学進学率を33%から36%に、新卒者の地元就職率を72%から80%に引き上げる目標を掲げております。
和歌山県の将来を見据えたとき、地域の活性化や県人口の減少に歯どめをかけるため、あらゆる施策を講じていかなければなりません。
県としてもこれまで強く要望してこられましたが、国において、大学生らが返済不要で利用できる給付型奨学金が、一定条件のもと平成30年から実施することになっており、特定の一部については本年度から先行実施されています。
給付対象者は、高い学業成績や学業以外の活動で成果を上げた生徒から高校が推薦して選ぶ。全国約5000の高校で1校1人以上採用し、2人目以降は、各校の非課税世帯の生徒のうち、貸与型奨学金を使った進学者の割合をもとに配分されます。その選考を学校判断に委ねることの負担について検討する必要があるようにも思いますが、それはさておき、経済的に進学を諦めるといったことが少しでもなくなるように、今後より一層の拡充を願うものであります。
そこで、お伺いいたしますが、和歌山県大学生等進学給付金について、その申し込み状況とその選考方法、また、採用人数は40人ですが、要件を満たした希望者には全員受けられるようにと願うものでございますが、この点につきまして教育長の御所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、平成28年度から低所得世帯の子供の大学進学の支援策として、和歌山県大学生等進学給付金を実施しております。
この給付金は、国に先駆けて貧困対策及び少子化対策の一環として、大学卒業後、県内へUターンしていただくことを要件に、年間60万円、4年間総額で最高240万円を給付いたします。40人の定数枠で募集を行っており、昨年度は64人、今年度は62人の申し込みがあったところであり、高校の成績に加え、面接及び小論文の検査を実施し、選考することとしております。
また、県議会及び県が強く要望しておりました国の給付型奨学金制度が創設され、来年度から本格実施されることとなりました。県としては、新たな国の制度も併用しながら、支援を必要とする子供が必要な給付を受けられるよう進めてまいります。
意欲と能力がある子供が経済的な理由により進学を断念することがないよう、国に対して制度の充実を要望するとともに、本県の給付型及び他の奨学金制度の周知徹底を図り、本県の子供たちの進路保障に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。
国に先んじて実施をされていることは、大変すばらしいことだと思います。どうか本県の将来を託す若者が経済的理由等により断念するようなことが1人もなきよう、未来への手厚い投資をと、強く要望させていただきます。
それでは、最後の項目に移ります。
先ほど先輩議員も質問されておられました内容とやや重複する部分があるかもしれませんが、なるべく避けて御質問させていただきますので、どうか御容赦くださいますようお願いいたします。
北朝鮮によるたび重なるミサイル発射、核実験が頻発しております。去る8月29日の早朝、私は委員会の県内調査で滞在していた串本町のホテルでその一報を聞きました。前日早く休んだこともあってか、午前4時ごろに目が覚め、テレビをつけてまどろんでおりました。そしたら、突然Jアラート発令の放送が流れました。北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、北海道上空を通過して太平洋に落下したとのこと。午前5時58分、北朝鮮平壌付近の順安から1発の弾道ミサイルが発射され、6時12分に襟裳岬東方約1180キロの太平洋上の排他的経済水域外に落下したとのことでした。
現在、北朝鮮の言動は我が国にとっても危険きわまりない存在になっています。まして、事前通告なしで日本上空を通過するという極めて異例の事態で、安倍晋三首相も、これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうとして、北朝鮮に対して厳重抗議をしました。当然のことであります。
北朝鮮に対しては、8月5日に国連の安全保障理事会で制裁決議が採択されたばかりで、1カ月もたたない中でのミサイル発射は、まさしく世界の平和と安定を願う国際社会への挑戦であり、断じて容認できるものではありません。
政府は直ちに北朝鮮に対して厳重抗議、緊急招集された国連安全保障理事会で言語道断と強く非難する議長声明、北朝鮮への制裁決議が採択されていますが、期待した効果を発揮しておりません。
総務省消防庁は、29日のその日、全国瞬時警報システム・Jアラートで北朝鮮のミサイル情報を発信しました。発射から約4分後の6時2分に発射情報を、約16分後の同14分に日本上空を飛んだとの通過情報をそれぞれ伝えました。
対象地域は、北海道を初め、東北地方及び一部関東地方の12道県でしたが、対象地域では防災行政無線の屋外スピーカーを通じて「頑丈な建物や地下に避難」、また「不審なものを発見した場合は決して近寄らず、警察や消防に連絡を」といった放送が流れました。消防庁や関係自治体によりますと、一部市町村で住民に伝える防災行政無線の放送が流れないなどのふぐあいがあったとのことです。
また、総務省消防庁は、8月18日午前、北朝鮮による米領グアム周辺への弾道ミサイル発射計画を受け、上空通過を予告された島根、広島、高知を含む中国・四国地方9県の全市町村にJアラートによる情報伝達訓練を実施した際に、一部、県が配信した防災メールの文面が文字化けして読めないトラブルの発生や、また、ある市では受信した情報が防災行政無線のスピーカーから流れないといったふぐあいもあったそうです。そして、先日9月15日のミサイル発射の際においても、改善されたはずのJアラートのメールが発信されなかったといったふぐあいが再度発生いたしました。
自然災害に加えて、今般のような状況において、生命にかかわる危機の情報を速やかに正確に漏れなく伝達することは非常に重要です。本県においても、そのようなふぐあいがないことを念願いたします。
Jアラートは、ほぼ自然災害の発生時に通達されるものと思っていましたが、武力攻撃という思いもよらぬ危機が今まさに現実のものとして警戒しなくてはならない状況になってきております。
そこで、お伺いしますが、ミサイル等が発射され、落下するおそれがある場合に、いざというときに防災行政無線が流れないなどのふぐあい対策について、危機管理監、お答えください。よろしくお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 議員御指摘のとおり、弾道ミサイルが発射され、本県や周辺地域に飛来する可能性がある場合、その情報を速やかに、正確かつ確実に県民に伝達することが重要になります。
そのため、Jアラートにつきましては、毎月、導通試験を行ってデータ受信状況を確認するとともに、毎年、全国一斉情報伝達訓練を実施し、市町村防災行政無線等を通じて県民に情報伝達が適切に行われるかを確認しています。その際、ふぐあいがあった場合は、直ちに市町村が改善を行っております。
また、今般の北朝鮮によるグアムへのミサイル発射予告や、8月29日の北海道上空を通過したミサイル発射事案を受け、改めて市町村に対し、Jアラートや防災行政無線の点検の実施について緊急に通知したところでございます。
自治会の訓練等、もしございましたら、Jアラートによる警報サイレンの音が鳴った場合に身を守る行動を県民が正しく理解するということが非常に重要であると私考えておりまして、市町村とか自治会が防災訓練等を行う場合には、サイレン音を提供したりとか、いろいろ適切な助言とか支援を行ってまいりたいと思っておりまして、県民の方々にそういう身を守る行動につきまして適切に対応していただくことを、我々はそうあるべきであると考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
今、管理監のほうからもございました。自治会で、今ちょうど秋、この時期、防災訓練が各地域で多く行われます。できましたら、間に合えばと思うんですが、今御答弁いただいたように、実際にミサイル等に特化された放送を防災行政無線で流していただいて、まず自宅で頭をかがめて頭部を守ると、こういった訓練からスタートするのも大事ではないかなと。余りしたくない訓練ではあるんですけども、そういったことももう必要な御時世といいますか、この今の事態を非常に憂慮しておりますが、そういったことも一度対応していただけたらというふうに思ってございます。
いずれにしましても、直面しております憂慮すべき事態が平和裏に解決することを祈念いたしまして、以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時11分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
10番玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
○玉木久登君 皆さん、こんにちは。
初日の一般質問、午後1番の質問をさせていただきます自民党県議団の玉木久登でございます。5月当選来、初めての一般質問でございます。お聞き苦しい点もあろうかと思いますが、私のキャッチフレーズでもあります「夢に向かってフルスイング」でまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
では、議長のお許しをいただき、通告順に従い、早速ですが質問に入らせていただきます。
まずは、景観地保全に関する質問をさせていただきたいと思います。
観光立県である我が和歌山県において、豊かな自然の継承や景観保全の重要性は、言うまでもないところであります。和歌山県長期総合計画の第5節「地域を創る」の中にもありますように、「観光との融合に積極的に取り組み、多くの人に、その地を訪れ、実際に観て、感動してもらう機会を創出し、地域の活性化につなげていくことで、後世にわたり、文化遺産・景観を守り、引き継いでいく『保存・保全と活用との好循環』を実現する」とあります。
取り組みについては、和歌山県景観条例に基づく特定景観形成地域の指定や、地域の特性を生かした良好な景観形成を図るということであります。
今回、私は、その中でも景観資源についての今後の考え方についてお聞きしたいと思います。
現在、県下では2件の景観資源登録がございます。第1号は、田辺市中辺路町近露1129番地にあります日本画家・野長瀬晩花の生家であります「かめや」、第2号は、有田市宮原町畑235の3からの眺望点「宮原の熊野古道とみかん畑」が登録されております。
自然豊かな中での風景を眺めますと、心が洗われ、ただただ気持ちよくなります。私が思うに、和歌山にはまだまだ景観資源となり得るところがたくさんあると思います。今後も、景観資源として登録されることを望むところでありますが、景観保全に関する取り組みの現状と今後の展開についてを県土整備部長にお聞きしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長森戸義貴君。
〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 景観保全に関する取り組みの現状と今後の展開について、御質問を頂戴いたしました。
和歌山県には、紀伊山地の山々、変化に富んだ海岸地形、河川流域ごとの文化圏のまとまりや、熊野参詣道などの自然を基調とした歴史文化から生まれた景観など、魅力あふれる多様な景観があります。これらの世界に誇るべき良好な景観を保全しつつ、次代に引き継いでいくことが重要と考えており、平成20年3月に和歌山県景観条例を制定いたしました。
現在、県下全域を対象として、景観法に基づく景観計画が策定されております。さらに県では、良好な形成する上で特に重要な地域を特定景観形成地域に指定し、地域の特性を生かした良好な景観の形成に向けて、必要なルールを定め、広域的な景観施策の展開を行っています。
また、地域ごとの生活や文化などに密着した身近な景観の保全については、景観資源の登録制度を設け、住民参画による景観づくりを推進しており、議員御紹介のとおり、これまで2件の景観資源の登録を地域住民の皆様からの推薦を受けて行っています。
県としましては、引き続きこれらの取り組みを推進し、本県の良好な景観形成に努めるとともに、景観づくりに対する機運の醸成を図り、地域の観光振興や活性化に資するように取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁ありがとうございます。
和歌山県の景観は、どこもかしこも景観資源登録が可能なぐらいすばらしいと思います。ただ、その風景になれ親しんだ私たちには当たり前の風景として映り、魅力を発信できずにいることが多々あると思います。そんな中で、景観資源を私たち県民がしっかりと認識し、アピールすることにより、和歌山県を訪れる人々に感動を与え、またこの地を訪れたいと思う気持ちになってもらうことが重要であると思います。
県土整備部長から御答弁をいただきましたが、この景観資源登録の認知度は、まだまだ低いのが現状ではないかと思います。今後も地域と連携を深めながら、景観の保全並びにより一層の普及啓発活動をお願いいたします。
続きまして、今お答えいただいた中にもございますが、この景観資源登録のような和歌山にマッチングした制度を、どのようにして今後観光振興につなげていくかであります。
和歌山を訪れていただくことはありがたいことではありますが、そのまま見てお帰りになられると非常にもったいないことであります。このチャンスを活用しない手はないのは当然であり、滞在していただく観光プランが不可欠となります。その点についての取り組みについて、商工観光労働部長にお聞きします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。
商工観光労働部長山西毅治君。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘のとおり、本県には、景観資源登録をされた2つの地点のほかにも、海、山、川などのすばらしい自然を堪能できる景観がたくさんございます。これらの景観は、訪れた皆さんに多くの感動を与え、旅の行き先を決める要素の1つとなるものではありますが、それだけでは誘客につながるものではないと考えております。
県及び観光連盟では、景観や文化的・歴史的建造物に食、温泉、体験等を組み合わせ、観光客の皆さんに心に残る具体的な旅の楽しみ方を提案し、観光客の誘致につながる施策を展開しているところです。
現在取り組んでいる「水の国、わかやま。」キャンペーンや「サイクリング王国わかやま」では、まさにこれらすばらしい景観を組み入れ、県内周遊を促進しているところであり、既に多くの観光客の皆様にお越しをいただいているところです。
また一方、「わかやま歴史物語」においても、このようなすばらしい景観とともに、その地域にある歴史・文化のストーリーとあわせた旅モデルを鋭意作成しているところです。引き続き、継続的な情報発信により、和歌山にぜひ行ってみたいという具体的な旅行動機を喚起してまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 ありがとうございます。
さきの景観資源との連携を生かしながら、観光とのコラボレーションに取り組んでいただきたいと思います。
観光資源保全と観光振興、いずれも大切なことであるとともに、今後の取り組みについて、1つ要望させていただきたいと思います。
観光地へのアクセス道路の美観整備や景観をより引き出させる周辺整備など、これも重要であると私は思います。民有地などの制約もあろうかと思いますが、地域との協力を得ながら、美観整備もあわせて要望させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
2項目めに行きます。果樹農業についてであります。
スーパーの果物売り場や、あるいはネット通販で、外国産のものを含め、さまざまな果樹類を季節を問わず目にし、好みに合わせ自由に選んで食べることができる、そんな時代になっております。こうした中で、自然環境の面では、近年、地球温暖化などが言われ、子供のころからミカン栽培が身近にあった私自身も、栽培環境に変化があることを肌で感じています。
そこで、県内の果樹農業全般についても、この影響が及んでいると思われます。従来の品種への影響などから新たな対策が必要ではないかと考えますが、現時点での対応策についてと、今後の取り組みについてを農林水産部長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 果樹は、一旦植えると長期にわたって営農を続けていかなければならないことや、気温や降水量などの影響を受けやすい品目であることから、温暖化に対応した品種開発は重要であると考えております。
このため、これまで県の試験場において、浮き皮になりにくい温州ミカンの選抜や、「南高」と開花期がそろう受粉用梅品種の育成などを行うとともに、現在は、冬季の気温上昇に適応した食味のよい中晩柑や、かいよう病に強い梅の品種開発に取り組んでおります。
また、県単独事業により、浮き皮になりにくいミカンの品種である「きゅうき」を初め、温暖化に対応した品種への改植を支援するとともに、新品目導入に当たっては、苗木や土壌改良資材等への支援を行っているところです。
今後も、温暖化に対応した品種育成や生産現場への導入に支援してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 ありがとうございます。今、内容について御説明いただきました。
品種開発や普及に関しては、果樹試験場の役割は農家にとって大変重要であります。今後の果樹農業の先進研究をいく機関でなくてはならないと思います。また、果樹の品種開発の特性から、経験豊かな農家との連携も不可欠であると思います。いわゆる篤農家と呼ばれる実践的な農業技術、農業経営を研究し、各地でそれらの普及に貢献する農業従事者と果樹試験場との連携についてを引き続きお聞きします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 果樹試験場では、かんきつを中心とした農業振興のため、高品質な新品種と安定生産技術の開発、病害虫の防除対策等、産地振興と農家の所得向上のための研究開発及び成果の普及に取り組んでいるところです。
こういった技術の開発や普及には、議員お話しのとおり、高い技術力を持った篤農家の方々との連携が重要であります。
まず、研究テーマの設定については、平成24年度から篤農家の方々や関係機関からの要望や提案に基づき、優先度や実現可能性等も考慮して取り組んでいるところであります。
次に、研究段階においては、篤農家の方々にも御意見等をいただきながら進めており、例えば、新たな品種の探索に御協力をいただき、そのことによって「きゅうき」や「植美」といったすぐれた品種を見出し、登録申請につなげることができております。現在取り組んでいる新しい極わせ品種や中晩柑品種の開発についても、評価をいただきながら進めているところです。
さらに、技術開発後は現地実証実験に積極的に参加いただき、普及に協力をいただいております。最後に、得られた成果や開発した技術については、成果報告会や研修会等を通じて、広く農業者等に普及を図っているところです。今後も、篤農家の方々を初め生産現場との連携を強くし、産地に役立つ研究開発に取り組む所存であります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 ありがとうございます。
和歌山県は歴史的にも果樹農業先進地であると私は思っておりますが、他県も近年、積極的に品種開発や新規品目の産地化などに取り組んでいます。今後も、篤農家との連携をさらに強化し、果樹試験場の重要な役割である先進研究を大いに期待いたします。
引き続きまして、農業従事者の高齢化が進む中、新規就農者についての現状についてお聞きいたします。
新規就農者の施策については、例えば、国が実施する農業次世代人材投資事業では、就農時の年齢が45歳未満が要件となっていますが、今後の就農者の確保を考えた場合、45歳以上でも新規就農希望者はいると思います。新規就農者の現状と県としての支援策をお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 本県の新規農業就労の現状でありますが、直近5カ年の新規就農者数の年平均は146名で、うち果樹関係への就農者は89名で最も多く、約6割を占めています。
果樹では、就農形態別で見ますと、他産業からのUターン就農者が最も多く、全体の6割程度を占めておりますが、近年は農業法人等への雇用就農者が増加しております。
議員お話のありました国の農業次世代人材投資事業につきましては、就農初期の不安定な時期の経営安定を目的として、新規就農者に対し、資金を助成する制度であります。
県では、こうした制度のほかに、幅広い年代を対象に、農林大学校や就農支援センターでの技術研修に加え、本県独自に各地域に設置した農地活用協議会による農地のあっせんや、日本政策金融公庫が行う無利子貸付金制度の活用支援などを実施しております。
これらの支援策の実績としては、技術研修の受講者は、近年、年間80名程度あり、新規就農者への農地あっせん面積は、農地活用協議会を設置した平成26年からこれまで20ヘクタール余りとなっており、年々増加しております。
今後も、市町村やJA等と連携し、新規就農者の確保に努めてまいりたいと考えています。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 県の行う新規就農者への取り組みについて、一定の結果が出ているとの認識をいたしました。今後も引き続き、新規就農者の確保に努めていただきたいと思います。
また、今後の問題として、休耕地や放棄地などが増加すると、害虫駆除などが行われず、他の園地への被害も懸念されております。新規就農のみならず、農地を有効に活用する取り組みもあわせて早急な検討をお願いしたいと思います。
続けます。ドローンの活用についてお聞きいたします。
6月定例会において、菅原議員から御質問がございました。その答弁の中で、今年度から傾斜地果樹園におけるドローンの活用の研究に着手するとの答弁がございました。その研究内容についてをお聞きしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) ドローンの活用については、園地管理や農薬散布等での省力化が期待されています。しかしながら、現状では、本県のような傾斜地果樹園への導入を目的とした取り組みは、全国的でもほとんど実施されていない状況です。このため、本県では、今年度から果樹試験場において、空撮画像による園地栽培管理及び農薬散布に向けた検討に着手したところであります。
具体的には、園地栽培管理については、特殊なカメラで撮影した画像データを解析し、園地に赴かなくても樹体の乾燥程度や栄養状態等を把握する技術の開発を、また、農薬散布については、散布した薬剤の付着程度や防除効果の評価を検討することとしております。
今後は、メーカーや国、大学等の研究機関の協力も得ながら、傾斜地果樹園でのドローンの活用について取り組む所存であります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 傾斜地での労働環境の改善は、今後ますます重要となるものと考えています。傾斜地果樹園への農薬散布などのドローンの活用は、夏場の果樹への消毒作業などの重労働の軽減や、熱中症対策につながる役割として期待されていると思います。産学官連携のもと研究が進むにつれ、ドローンに対するさまざまな規制などの問題もクローズアップされてこようかと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。
今まで、農業について、果樹農業について質問させていただきましたけども、さまざまな質問の中で、最後に、この果樹農業の今後について県の方針をお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 農業所得の不安定化や農家の高齢化が進む中で、所得向上と省力化、軽作業化が重要な課題であると認識しております。このため、県では、生産、販売面でさまざまな施策を実施しております。
具体的には、温州ミカンでは、マルチ栽培など高品質生産を推進するとともに、平成27年度よりJAグループと連携し、光センサー選果機を活用した厳選出荷に取り組み、27年産は生産量のみならず、産出額についても日本一になり、28年産はさらに取引単価が上昇いたしました。
また、省力化を図るため、県単独事業により園内道の整備やスプリンクラー等の導入を支援してきたところであり、今年度から、ドローンなどのロボットやICTを活用した先端機器の導入にも支援することとしております。
さらに、こうした取り組みに加え、海外市場の開拓に向け、百貨店での和歌山フェアの開催や大型展示会への出展など、県産果実の輸出拡大を図るとともに、6次産業化や複合経営などに取り組む担い手の経営基盤の強化を図るため、農業法人等の組織経営体の育成も進めております。
いずれにしましても、果樹は本県農業の基幹品目でありますので、今後ともさまざまな施策を積極的に展開し、果樹農業の振興を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 繰り返しになるかもわかりませんけども、和歌山県の果樹農業は、産業として、歴史的にも先進県であったものと認識しています。しかし、近年の消費者の嗜好の変化、自然環境の変化、労働環境の変化、技術革新などが進み、かつ産地間競争が激化する中で、新たな時代に立ち向かう必要に迫られています。
引き続き、この分野での将来を見越した施策を強力に進めていただくことをお願いいたします。
3項目めに移ります。
効率的な持続可能な漁業についてを質問させていただきます。
近年、さまざまな要因により、和歌山県の沿岸漁業の漁獲高が減少し、今後、資源管理が重要な漁業において、漁業従事者の今後の持続可能な漁業を考えるとき、試験研究機関における海洋データの活用と漁業従事者との連携強化は重要であると思います。今の取り組みと今後の考え方について、農林水産部長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のように、今後の漁業経営を考えていく上で持続可能な漁業の促進は非常に重要であり、そのためには、海洋調査データを活用した効率的な漁業の実現や資源管理が不可欠であると考えています。
このため、水産試験場では、海洋調査データをもとにカツオの位置情報を推計するカツオマップの開発などを行ってきました。こうした研究成果や水温等の調査データなど、県内の漁業にとって有益な情報を水産試験場ホームページに掲載するとともに、県内各漁協へ情報提供を行っているところです。
また、これらのデータを現場で直接確認できるように、携帯端末で閲覧可能なシステムを構築し、漁場の選定、出漁の判断等において多くの漁業者の方に御利用いただいています。さらに、海洋調査データを活用した資源管理についても、漁業者を対象とした勉強会を各地で開催し、取り組んでいるところです。
例えば、主要魚種であるタチウオの漁獲量減少が課題になる中、調査データをもとに小型魚の保護をすることや、産卵場を明らかにし、その付近で漁獲しないようにする取り組みを漁業者とともに推進しています。
このほか、試験場では成果発表会を開催し、研究結果を広く公表するとともに、各振興局では、水産業普及指導員が試験場と連携して、地域に応じた研究成果の普及を図っているところです。
今後も、県内漁業者との連携を強化し、海洋調査データの活用と漁業者のニーズに合った研究の実施と成果の普及により、持続可能な漁業の推進に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 この件については、漁業従事者とのコミュニケーションも重要になると思います。今後ともよろしくお願いいたします。
続けます。観光資源を生かした漁村の活性化についてであります。
持続可能な漁業には、漁家経営の安定が不可欠であると思います。観光資源としての漁村の魅力を生かした所得の安定向上も大事であると考えますが、県の取り組みについてをお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、漁村が持つ豊かな観光資源を活用し、漁家所得の向上を図ることは、非常に重要であると認識しております。
県におきましては、昨年度からブルーツーリズム推進事業により、漁港を中心とした地域が一体となり、漁業体験や漁船クルーズ、水産物の直売など、その地域の資源を活用した漁家所得向上への取り組みを市町村を通じて支援しております。
今後も、資源管理や漁場整備など漁業本業への支援はもとより、ブルーツーリズム推進事業など各種施策を総合的に推進し、漁家経営の安定を図ることで、漁村地域を支える漁業の維持、発展に努めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 体験型観光のあり方については、漁業のみならずではありますが、今後の可能性を大きく秘めた魅力ある施策であると思います。県として、独創的な施策を期待いたします。よろしくお願いします。
最後の質問となります。有田川の河川整備についてであります。
この平成29年7月5日から6日にかけて、福岡県と大分県を中心とする九州北部で発生した集中豪雨により多くの方が被災され、甚大な被害となりました。改めて、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
和歌山県においても、平成23年8月30日から9月4日までの豪雨による紀伊半島大水害は記憶に新しく、多くの犠牲を伴いました。
今回取り上げる有田川に関しても、今なお語り継がれる昭和28年7月18日の大水害があります。有田川流域での死者、行方不明者は555名、負傷者3613名、家屋損壊など被災総数1万2077戸の大災害をもたらしました。
その後、昭和42年の二川ダム建設を初め、護岸整備などさまざまな治水対策により、大きな氾濫は抑止されている状況です。しかしながら、近年の気候変動、異常気象などによる豪雨による災害を目の当たりにするたびに、河川の氾濫の脅威を住民は強く感じています。
このことから、県は平成27年10月に、有田川水系河川整備計画を策定し、河川整備を計画的に進めていただいております。しかしながら、住民の河川の氾濫の抑止は切実であり、目に見える河川内の堆積土砂並びに生い茂る樹木が流下の妨げとなり、氾濫の原因となることへの不安を募らせています。護岸整備並びにしゅんせつや樹木伐採などの現状と、今後の取り組みについてを県土整備部長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 有田川における護岸整備並びにしゅんせつや樹木伐採などの現状と今後の取り組みについて、お尋ねがございました。
有田川については、昭和28年7月の洪水や昭和34年9月の伊勢湾台風、平成元年の台風17号による洪水などに起因して、過去から幾度となく浸水被害を引き起こしています。これらの洪水を契機とし、洪水を調整するために、二川ダムの建設や、本川や支川における堤防整備、河道掘削に取り組んできたところでございます。
現在、有田川本川については、宮崎町地区や山田原地区において昨年度から堤防整備に着手するとともに、糸我地区においても堤防の強化を進めております。支川についても、西谷川やお仙谷川において護岸整備や河道掘削を実施してございます。
これらの事業は、平成27年10月に策定した有田川水系河川整備計画に基づき実施しているものでございます。この整備計画では、昭和28年7月の洪水に次ぐ規模の洪水に対する家屋の浸水被害や、高潮による浸水被害を発生させないことを目的に、おおむね20年間で整備を進めることとしています。引き続き、必要な予算の確保に努め、計画的な河川整備を推進してまいります。
また、河川の維持管理については、今年度も保田大橋付近や汐止堰下流などで堆積土砂のしゅんせつを実施することとしてございます。
今後とも、地元の方々の御意見もお伺いしながら、治水上、危険性の高い箇所から順次、土砂の撤去や樹木の伐採を行うなど、適切な維持管理に努めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 明確な御答弁ありがとうございます。
今後も、住民の安心・安全並びに財産を守るべく、住民に寄り添う適切な維持管理に努めていただくことを切にお願いし、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
28番新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 一般質問も4人目になってきますと、皆さんもお疲れのことと思います。いましばらく御辛抱いただきたいと思います。
また、知事におかれましても、夏の疲れが出ているのか、一生懸命疲れをかみ殺している、その姿を目にしております。最初の答弁者ですので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。
先日、和歌山県旅館ホテル生活衛生同業組合の理事長さんとともに、私と鈴木議員が一緒に要望を行いました。表題であります民泊についての要望であります。その質問をさせていただきます。
そもそも「民泊」なる言葉、いつごろから使用されているのか、誰が言い出したのか。気にはなるのですが、どういう意味なんだろうと思いながら、たくさんの辞書を探してみました。半分以上の辞書には、この言葉は載っておりません。つい最近生まれた言葉であり、正式名称は住宅宿泊事業法というのが民泊、「民泊新法」とも言います。
これは、訪日外国人旅行者が急増し、国内、特に大都市において宿泊施設の稼働率が飛躍的に高まり、政府において、一般住宅の空き部屋を利用した住宅宿泊事業法が成立いたしました。
もともと、お客様を宿泊させることについては立派な旅館業法という法律があり、それに沿って旅館やホテルは経営をしております。
随分昔になりますが、旅館が火事を出し、人身事故を起こしました。そんなときなどは、全国の旅館が消防法によって営業外の厳しい支出を余儀なくされ、やめていった旅館、ホテルもたくさんあります。マル適マークという資格を取るのに随分とお金を使い、投資をし、そして、それを返済するのに額に汗して一生懸命、旅館業、ホテル業を続けてまいりました。
それが、外国人が多く来訪するからといって、顔も見ないで部屋の鍵だけを渡す、また、多くの住人が居住しているマンションの空き部屋まで貸してしまう。どんな人が借りているのか、何をしているのか、何もわからないまま旅館業法も守らないで勝手に宿泊をさせ、次には住宅宿泊事業法なる法律までつくり、旅館、ホテルと対立する構図が生まれてしまいました。
宿泊施設が足りないので、補う施設として認めるのか。マンションや空き家があるので、あいた施設を利用したいとの思いだけを優先させ、大都市だけでなく、地方にまで影響の出ることを進めていくのか、私は大変不思議に思っています。
そこで、知事に問います。民泊、すなわち住宅宿泊事業法に関しては、私の考えとしては、全て地方に任せてくれるのがベストだと思っています。この住宅宿泊事業法について、知事の考えや思いをお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本日2回目の答弁に立たしていただきます。
新島議員の御質問にあったとおり、住宅で宿泊料を取って人を宿泊させる、いわゆる民泊に適正な運営を確保させるための法律、住宅宿泊事業法が本年6月に制定されました。
この背景としては、近年、訪日する外国人観光客が大幅にふえたことで、大都市部での宿泊需給が逼迫したことへの対応や、外国人観光客の多様なニーズに応えるために、民泊の活用を図ることが重要になってきたことであろうかと思います。
同法の制定は、2020年までに訪日外国人観光客を4000万人にふやし観光立国を目指す政府の政策の一環でもあり、こうした民泊により観光客がふえることで経済が潤うということになれば、よいこともあると考えております。しかし、それも、ホテル等の収容能力が圧倒的に不足している一部大都会とそうでもないところとでは、おのずと必要性は違ってくるというふうに考えられます。
一方、大都市部では、事実上なし崩し的に民泊が始まっておりますけれども、既に民泊で騒音やごみ出し等で周辺住民とのトラブルも見受けられることから、県民の生活環境に悪影響が及ばないようにするということも必要でございます。
また、議員御指摘のとおり、これまで厳しい規制のもとで、宿泊者の安全の確保と周辺住民との共生を図ってこられた旅館、ホテルの事業者の健全な発展が損なわれることがないようにしなければならないと考えております。それが、観光で地域おこしをしていく地域の要諦であるというふうに思うわけであります。
特に、事業者が届け出住宅に居住しない、いわゆる家主不在型の民泊については、宿泊者の安全確保や周辺住民からの苦情対応に不安があると考えております。火災等の緊急時や宿泊客と近隣住民とのトラブル発生時には、速やかに駆けつけて責任ある対応ができないような事業者については、これは事業を認めるべきではないと考えております。
このため、国に対してそのような制度づくりを強く要請してきたところであり、県としても、適切で迅速な対応を事業者に指導してまいりたいと思います。
議員は、全て地方に任せてくれるのがベストだというお考えでございますけれども、民泊の必要性は、各地、皆違うので、地方の裁量を多くしてもらうことが論理的であると私は思っております。このような地方に特有な事情を勘案した規制のあり方が認められないとあらば、法の許す範囲内でネガティブに対応せざるを得ませんよというふうに国に伝えておりまして、若干、国も考えてくれてるんではないかと、そんなふうに思っております。
法施行後は、県民の生活環境を守るとともに、観光地としての本県のイメージ低下を招かないよう、以上のような考え方から、事業者に対する指導監督にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 最終判断は知事になってくる部分が多かろうかと思います。憂いなき判断をよろしくお願いいたします。
次に、和歌山県における外国人旅行者の動向をお示しください。
聞くところによると、外国人旅行者が減った、そういう声を観光関連の人から聞いております。その1つとしては、民泊は大阪府、大阪市が特別にやっているということもあろうかと思います。今まで大阪で宿泊できなかった人らがあふれて和歌山市内へ流れてきたということもあったのが、もう大阪で泊まってしまうよというような状況が、観光客が減っているという1つになっているのかなと、そんなことも思います。
5年前と現在と、旅行客の増減、また、今後どのようにふえていくのか、減っていくのか、本当に旅館、ホテルだけで間に合わなくなってしまうのか、宿泊施設が旅行者に対して本当に不足をしていくのか、その辺の数字、また、最近の旅館、ホテルの部屋の稼働率なども含めて、商工観光労働部長、お答えをお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長山西毅治君。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 外国人観光客の動向についてでございますが、和歌山県の外国人宿泊客数は、2011年に8万人であったところが、2016年には50万5000人に、5年間で6倍強にふえております。最近の状況につきましては、市町村や観光協会へのヒアリングによりますと、和歌山市やその周辺市で、中国からの外国人観光客が減少しているとの情報を得ているところでございます。
この減少の原因は、大阪府内でのホテルや特区民泊施設等の新設、客室増設により同地域で不足していた客室数が改善したため、関西国際空港利用者の和歌山市周辺での宿泊が減少しているものと推察しているところでございます。
次に、宿泊施設は不足しているかについてでございますが、2016年における和歌山県の宿泊観光客数は550万人、客室稼働率は49.6%になっています。2026年における目標値を宿泊観光客770万人、客室稼働率を70%と想定しているところです。地域によって差異は生じるかと思いますが、大きな不足は発生しないと考えています。
このような状況の中で、県では、和歌山を目的とする外国人観光客の誘致に努めています。欧米市場は、かねてから、世界遺産高野山・熊野を中心とした個人観光客対策を実施し、一定の成果を上げているところです。アジア市場におきましても、急速な団体から個人への旅行形態の変化を見据え、海外メディアやSNSを活用して、個人観光客向けに世界遺産、絶景、温泉、食など、和歌山ならではの魅力発信に取り組んでいるところです。
今後とも、急激に変化するアジア諸国の旅行形態に応じたプロモーション活動を、関係市町村とも連携して展開してまいります。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 部長のほうに答弁をいただいたんですが、数字だけ見ると和歌山では要らない、そんなことも思ってしまいますが、そのような中での民泊の導入ということでありますんで、先ほど知事からも、大変この和歌山の思いを国に伝えてる、これからも伝えていくということをおっしゃっていただきましたので、どうか主張を曲げないで思い切ってやっていただきたい、そのように強く要望いたします。
次の質問です。
平成28年6月2日に閣議決定された規制改革実施計画によれば、家主居住型、家主不在型ともに住居専用地域でも民泊実施可能とする案が出ておりまして、住居、家主がおる場合もおらん場合も同じような状況になっているということであります。地域の実情に応じて条例等により実施できないということにすることも可能と書かれておりますんで、できれば、和歌山県においては住居専用地域での民泊は実施できない──地域住民からの騒音やごみ出し、火災への不安など、苦情が寄せられてるとも聞いております。そこに住んでる人たちの安全・安心の立場から、社会不安が生じないように、住居専用地域での民泊は、せめて県条例で除外してほしいと考えています。この答弁は、環境生活部長にお願いをしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 住宅地における住宅宿泊事業について、最も重要な点は、地域住民の良好な生活環境が損なわれないようにすることであると思っております。このため、適切に管理された事業実施により良好な生活環境が保たれるのであれば、住居専用地域だからといって一律に除外する必要はないものと考えております。
住宅宿泊事業法においては、生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、政令で定める基準に従い、県条例において、区域を定めて期間を制限することができると規定されていることから、今後定められる政令の内容を踏まえ、地域の実情を勘案しつつ検討してまいります。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 先日、旅館に関係する人と話をしてるときなんですが、「和歌山でも民泊してる人がいるんやね」というふうに問われました。「どんなん」と聞いたら、「ラーメンを食べてるときに、横にいてる女性に、あんたらどこから来たん。どこへ泊まんの」というようなことを聞いたところ、「民泊です」というふうに答えたと言うんであります。その人たちは日本人なんです。日本人でもこの和歌山市内で民泊をしている。今、和歌山県では民泊はないはずなんですが、あっちこっちで話を聞きます。
現在、特例として、東京都大田区、大阪府、大阪市、北九州市の4カ所、これは一定の条件のもと民泊の事業を開始していますが、和歌山ではまだまだ進んでいないはずでありますが、万一、違法行為であったとすれば警察が動くことになるかもしれませんし、このような事態が横行すると、民泊そのものが違法というレッテルを張られたまま営業を続けていくことになりかねません。
罰則規定や納税の義務、また、外国人からはパスポートの提示、そんなことをしていかないといけないと思いますし、これを誰がするのか、また、無許可営業でやってた場合、どんな取り締まりをするのか、そんなことを考えると、今、県民、市民が不安に駆られたとき、どこへ相談をして、どのように対処してもらうのか、その辺がまだ徹底できていないようにも思いますし、これからも十分注意しなくてはならないことだと思います。その辺のこともお聞かせください。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 本県では、そもそも民泊に関してトラブルが発生しないような体制整備を求めることとしております。万一、トラブルが発生した場合でも、事業者または管理受託業者が即座に現場に駆けつけて責任を持って問題解決を行うよう、指導監督を行ってまいります。その上で、県民からの苦情に関しては、必要があれば保健所が対応してまいります。
また、無許可営業や違法民泊を発見した場合においても、警察などの関係部局と連携し、取り締まりを行ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 答弁の中に、トラブルが発生しない体制をつくると言われました。しかし、不安は残ります。不法に営業している業者に対して、和歌山の条例ができた、登録を受け付けますよというときに、その不法業者が、じゃあ登録しますと来た場合にそのまま受け付けるのか。あなたはだめですよ、5年間辛抱してくださいとやるのか。
もともと、法を犯した人を簡単に受け入れてしまうほうがいいのか悪いのか、そんなことも考えてしまいますので、どう考えていくかを、今答えなくて結構ですんで、そんな考えもあるということを覚えておいてください。
次に、この民泊についての営業日数ということに入らせていただきます。
法的には180日以内と書かれています。おもしろいと思いますね。事業をするのに営業日数が決められるというのは、なかなか、ほかにあるのかな、初めての状況なのだと思います。しかし、私は、この180日というのはいかがなものかなという思いもしますので、質問に入ります。
地域の観光産業を担う既存の宿泊事業者との関係では、地域住民の生活環境の維持保全及び観光産業の育成、促進の必要性などから、住宅事業法第18条によるところの住宅宿泊事業者の年間提供日数180日以下と、こう書かれておるんですが、和歌山県の条例において、私の思うのは60日ぐらいがいいのかなと思います。これ以上の営業を認めるならば、現在の宿泊客数でも空き部屋がある状態であるのに、もっともっと地域に根差し、業法を守り頑張ってきた旅館・ホテル業界を疲弊させることと考えます。営業日数に関して思いがあるのならば、理由とともに日数を答えてください。
その営業日数ですが、どのようなシステムをもって確認し、チェックするのか、それもお答えください。私が考えているのは、60日間として連続するということを前提に考えたい、そのように思います。当然、民泊の表示や営業期間は、必ず道路側から、外側から見えるように表示するとか、ネットにも営業期間やいろんな項目を表示するように思いますので、含めてお答えをいただければありがたい。よろしく答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 事業を実施する期間につきましても、地域住民の生活環境を損なうことがないよう、また、観光産業の繁忙期や閑散期を考慮するなど、地域の実情を勘案して検討してまいりたいと考えております。
宿泊日数の確認につきましては、事業者は人を宿泊させた日数を定期的に知事に報告しなければならないと規定されており、この報告や住民からの通報等により把握し、必要があると認めるときは、立入検査等により対応してまいります。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 この件については、そのほかにもたくさんの問題点があります。見切り発車であることは言うまでもありません。
今回の質問の中身は、主に旅館、ホテル側から見た思いや考え方が強いです。現在ある事業を生かすのか、どうするのか、その辺の思いが私には強いので、そんな質問になりました。
例えば、集合住宅の場合、空き家での営業とは一緒にいかんと思います。また、学校の近くで営業することはどうなのか、病院や福祉施設のそばはどうなの、消防法との整合性はあるのか、風俗営業との兼ね合いはどうなるんだ。それ以外に、きちっと納税できるかえ。事業者以外に管理業者がいたり仲介業者がいます。これらも開示する義務があると考えます。
また、事件・事故を拡大させないためにも、悪質業者の排除はもちろんのこと、届け出番号のない事業者や開示を拒否する事業者には、営業の停止は当然として、サイトの閉鎖も視野に入れてほしいと思っています。鍵の受け渡しも顔を見てやってほしいです。民泊からテロが起こるかもしれません。安心安全の国・日本が揺るがないように心して運営をしてほしい、そんなことを思いますし、知事のお考えも、できれば和歌山から全国に向けてすばらしい条例をつくって発信をしていただけますよう、強く要望をいたします。
引き続き、次の質問に移ります。
2項目めです。障害者スポーツに関して質問をいたします。
新聞の見出しの中に「やり投げで夢の続きを」の文字があり、目にとまりました。その下に「右腕に障害 元甲子園球児、強化選手に」、そう書かれていました。彼は、3歳のころ脊髄炎を発症し、右腕がわずかにしか動きません。しかし、好きだった野球を小学校2年生で始め、去年の夏、甲子園に出場し、ベンチ入りをしました。
進路で悩んでいた彼は、現在、日本パラリンピック陸上競技連盟の方に声をかけていただき、3年後に迫った東京パラリンピックを目標に、大学でやり投げに取り組んでいます。こんな例は珍しいことと思います。
スポーツには、彼のようにパラリンピックなどを目指すような競技スポーツだけでなく、趣味や楽しみなど生きがい活動の1つとして楽しむスポーツもあります。
まず、和歌山県における障害のある方のスポーツ活動を支援する団体にはどのようなものがあるのでしょうか、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 知事部局が所管する障害者スポーツを支援する団体としましては、障害のある方にスポーツ、レクリエーション活動を通じて積極的に社会参加を促すなど、障害のある方の福祉の向上に寄与することを目的とする和歌山県障害者スポーツ協会があります。
また、活動を把握している団体といたしましては、障害のある方に個別の種目の普及啓発を図ることを目的とする和歌山県障害者フライングディスク協会や和歌山県卓球バレー協会があります。
○副議長(山本茂博君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会が所管する公益社団法人和歌山県体育協会の加盟団体のうち、団体内に障害者スポーツを推進するための組織を設けているのは、水泳連盟、テニス協会の2団体でございます。そのほか、陸上競技やバレーボールなど、障害者スポーツ大会への選手派遣や競技役員、審判員の派遣等を行い、障害者スポーツに協力いただいている競技団体がございます。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 競技団体の関係で答弁をいただきましたが、なかなか難しいなあというのが素直な感想であります。まず、組織づくりが大変だなあと感じました。
障害者スポーツの競技種目に、ボッチャという競技があります。この競技はヨーロッパで考案され、ボールを投げたり転がしたりして、目標の球にいかに近づけるかを争う競技で、バルセロナパラリンピックから正式競技となっています。この競技、昨年のリオデジャネイロのパラリンピックで日本チームが銀メダルに輝いております。
そのときにはマスコミにも取り上げられ、多くのスポットライトを浴びたのを思い出していますが、7月、東京で開催されたボッチャ甲子園という高校生の大会がありますが、ことしは大会開催に企業から約1000万を提供してもらうことができたそうであります。これはほんの一例なんですが、うらやましい限りです。これも、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が影響をしていると思います。余り一般的に知られている競技ではありませんし、全国的な取り組みも明らかではありません。
本県では何か取り組みをされているのであれば、お聞かせをいただきたいと思いますし、できれば、和歌山の高校生が出場しているのか、してないのか。してないと思うんですが、あったらお答えをいただきたい。よろしくお願いをいたします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) ボッチャ競技の和歌山県での状況についてお答えいたします。
県においては、障害のある方がレクリエーションスポーツを楽しみながら体力の向上を図るとともに、参加者の親交を深めていただくよう、平成16年度よりフレンドシップと題したボッチャ競技の大会を開催し、毎年約100名の方々に参加していただいております。
今年度におきましても、より多くの方にボッチャを通してスポーツの楽しさを体験してもらえるよう、11月19日の日曜日に県立体育館で開催いたします。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 100人ほど参加をしてくれる。私も、実は県立体育館で見たことがあります。なかなかおもしろいなと思いながら、障害者の方が一生懸命笑いながらやっているのを見て、何と楽しいんだろうなと思いました。
高校生の大会は出てないというのが事実なんですが、答弁書になかったんで答えなかったんやと思いますが、できればそういう道もつけてあげられたらなというふうに思いますので、要望をしておきます。
次に、パラリンピックや大きな大会に出場する障害者選手についてお尋ねをいたします。
有名なのは、水泳競技の橋本出身、中村智太郎さんであります。パラリンピックで銅メダルをとったときには、和歌山にもすごいアスリートがいることに感動し、輝く笑顔に喜びを感じました。彼に続くような和歌山県関係のトップ選手がいたら、教えていただけませんか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 障害者スポーツで活躍する本県出身者には、世界パラ陸上競技選手権大会ロンドン2017に出場し8位入賞した選手や、車椅子バスケットボールの女子日本代表選手として活躍している選手がございます。
また、日本パラリンピック委員会加盟団体が指定している平成29年度強化指定選手が、県内には日本身体障がい者水泳連盟に所属する中村選手のほかに5名おり、日本知的障がい者サッカー連盟、日本ろうあ者卓球協会、日本デフバスケットボール協会に所属してございます。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 少し希望の持てるような御答弁をいただきましたし、おのおの選手たちがたゆまない努力を続け、大きな大会で活躍してくれたらうれしいな、そのように思っています。
最後の質問です。
和歌山県の選手たちが中央に出ていくには、大きな大会でよい成績を上げるか、最初に話した競技団体の人に見出してもらうか、それ以外に道はないのかな。東京パラリンピックに向けて、選手の発掘として適性を見きわめる協議会をやっているようですが、国や県の取り組みについて教えてください。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 全国的な取り組みとして、公益財団法人日本体育協会が日本パラリンピック委員会と協力して、本年度からパラアスリートの発掘プロジェクトを開始したところであります。県といたしましては、1人でも多く本県からの参加者がふえるよう、競技団体を初め、特別支援学校や高等学校等を含む関係団体に対して積極的に周知を行ってまいります。
あわせて、本県パラアスリートの増加につながるよう、障害者スポーツの体験会を開催するとともに、国内外のナショナルスポーツチーム等のキャンプ誘致をさらに進め、県民の障害者スポーツへの関心や理解をより一層深めてまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 新島 雄君。
〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 以上で、私の質問項目が全て終わりました。
今回、民泊と障害者スポーツの2項目を質問させていただきましたが、大変難しい問題だなあ、厳しいなあということを実感したのは言うまでもありません。
私たちは、県民の意見を聞き、それを何とか形にしよう、目に見える形にしようとして要望をいたしております。1つでも2つでも形になることを期待して、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時23分散会