平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)
平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録
第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)
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午後1時0分再開
○議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
16番中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 この議会も私が最後になりました。しばらくおつき合いいただきたいと思います。
通告に従いまして、質問を行ってまいります。
今議会、IRについての質問は私が3人目であります。事の重要性に鑑み、重複を承知で質問させていただきます。
国の有識者会議では、IR内に設置されるコンベンションホールや国際会議場の要件として、国際競争力を有するとともに、全国的な見地からも我が国を代表する施設として経済効果を生み出すものとの基準が示され、和歌山のような地方都市では採算性が合いにくい規模での施設整備が必要との方向性で議論が進められています。
知事は大都市偏重として見直しを求めていますが、その対策と見通しについて伺います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、IR推進会議において示されている、国際競争力を有し、我が国を代表するレベルの会議場や展示場の必置というIRの設置要件は、本県のような地方都市にとっては極めて厳しく、その実現は困難だと思います。IR推進法では基本理念として、IR区域の整備の推進は、地方の創意工夫を実現し、地域経済の振興に寄与すると、これは法文に書かれておるわけでございますから、現在、その趣旨を十分に尊重するよう国に求め、本県が目指すリゾート型のような地方公共団体の独創性と地域の特性を生かしたIRの設置も可能となるよう、要望活動を行っているところでございます。
今後、国がつくるIRに関する手続を定める法律に本県の要望が反映されるよう、引き続き積極的に活動する所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、ギャンブル依存症対策と外国人専用の見直しについて、2点質問する予定でありました。
しかし、国会で継続審議となっているギャンブル等依存症対策基本法案を読み、現状を観察してみると、さらなる依存症対策が必要であると感じましたので、2点の質問は取りやめることにしました。
くしくも本日6月26日は、ギャンブル等依存症対策基本法案に規定する啓発週間の開始日です。法案の早期成立と、国並びに県のギャンブル依存症対策の充実をお願いする次第であります。
それでは、次の地域経済の振興と県民理解について質問をいたします。
昨年、私は御坊のサバを売り込みに香港、マカオを訪問しました。マカオのギャラクシーにあるホテルオークラの日本料理長から、和歌山の新鮮な魚なら値段は気にしないので、どんどん送ってほしいと言われました。ただし、仕入れはマカオの業者を通じてとのことでした。確かに、ギャラクシーのホームページを見ても、雇用などあらゆる分野で地元に経済効果があるように仕組まれています。それでも、ギャラクシーは5000億円の投資をわずか2年間で回収したと聞きます。
本県でも、IRの誘致に際しては、今行うべきことは、誘致後の内外の他のIRとの競争に勝ち抜くための方法や、より多くの経済効果を地元にもたらす方法などの研究、また、その交渉に力を入れるべきではないでしょうか。
また、経済効果などを正確に県民に説明、理解してもらうことが大切だと思いますが、知事の取り組みを伺います。
現状では、一部の勢力の反対運動ばかりが報道され、県民から見れば反対が多いのかと勘違いさせています。現代社会は情報が錯綜する情報混乱社会であり、アメリカ大統領選挙でさえも情報操作があったとされています。ぜひとも、賛成の人も声を高らかに推進しようではありませんか。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) IRの誘致に当たりましては、事業者に対して地元に多くの恩恵をもたらすよう創意工夫をしてさまざまな提案をしていただけるよう働きかけていき、最も多くの経済波及効果をもたらすものを選択することがよいと考えております。
事業者の提案に際しては、本県としては、IR施設をゲートウエーとする県内周遊の仕掛けや、県産の食材や資材の地元調達率の設定、地元雇用枠の設定などをすることで、観光振興や地域経済振興、雇用創出につなげていくことがよろしいかと思います。ただ、この辺は、あんまりかたいことを言うとまた誰も来てくれないという可能性もありますので、やわらかく提案を聞いていくということが大事だと思います。
また、IRの誘致についての県民の理解を深めるに当たり大切なことは、IRとはどういう施設なのか、またそのメリット、デメリットは何なのかというようなことについて、正確に認識をしていただくことだと思います。
これまでも、県では、記者会見とか研修会などさまざまな機会を捉えてIRに関する正確な情報を発信してきたところではございますが、全ての県民にこのような情報が届いているわけではありません。
今後、県、市及び地元経済界などさまざまな主体が、例えばシンポジウムや説明会をどんどん開催し、IRの誘致がもたらす多くの雇用や多額の地元調達などのメリットやギャンブル依存症といったデメリット、またこれを防ぐためのカジノ施設への日本人の入場制限といった対策などについて、丁寧な説明をしたり議論をしたりする、それによって、本県のIR誘致について県民の理解が得られるように努めていきたいと考えております。
こうした取り組みを積み重ねていくことで、さらにIR誘致に向けた機運を盛り上げ、県議会の皆様の御意見、御協力もいただきながら、IR誘致を実現すべく取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひとも、多くの県民の理解が進み、盛り上がりますようにお願いをしておきたいと思います。
次に、防災対策について、2点伺います。
防災対策の第1の優先は避難対策でありますが、その生命線ともいうべき避難路の品質は確保されているのでしょうか。
避難路が備えるべき基準は、国では津波避難対策推進マニュアル検討会の報告書に規定されており、それを受けて、県でも津波避難計画策定指針が示されています。
その指針には、避難路の安全性と機能性の確保として、地震による沿道建築物の倒壊、落橋、土砂災害、液状化等の影響で避難路が寸断されないように耐震化対策を実施することが規定されています。ほかにも、海岸・河川沿いの道路を避けることや津波の来る方向には逃げないこと、避難途中の襲来に備えて避難路沿いに津波避難ビルを指定すること、火災や夜間の避難への配慮も規定されています。
しかし、私の身の回りの現状を見ますと、避難路には古い木造住宅などが散見され、基準どおり整備できているのか心配します。果たして、県内の避難路が備えるべき基準の整備状況はどうなっているのか、またその実現について、危機管理監に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 津波など災害から住民の命を守るためには、議員御指摘のとおり、十分な幅員を確保するなどの安全性や円滑な避難ができる機能性を有した避難路の確保が重要であると考えております。
そのため、県では、わかやま防災力パワーアップ補助金の活用などにより、避難路の改良や避難誘導灯、手すり、避難標識の設置、住宅やブロック塀の耐震化など、避難路の安全性、機能性の向上に向けた市町村の取り組みを支援しているところでございます。
また、市町村に対し、住民参加による避難訓練の実施とあわせ、常に避難路、避難経路の点検を呼びかけておりますが、その際、安全性、機能性が確保されているかを確認するため、その点検状況について報告するよう依頼してまいります。
今後とも、市町村に対し避難路等の安全性と機能性の向上を働きかけるとともに、その取り組みを積極的に支援してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ、市町村の整備状況はどうなってるのか、議会にも報告していただきたいというふうにお願いしておきます。
次に、時間差地震への対応について質問いたします。
私は、平成25年6月定例会において、巨大地震や連動地震ではなく、時間差で発生する南海地震について質問しました。現在、中央防災会議や本県では、南海トラフが連動して発生する巨大地震を想定して、防災対策が講じられています。確かに危機管理は、最悪の被害を想定し、対策を実施することが原則とされています。しかし、私は、地震が時間差で起きるときには連動とは違うタイプのリスクが発生するのではないかと考えています。
歴史的に南海トラフ沿いの地震では、1854年の安政東海地震と安政南海地震では32時間の時間差で、1944年の東南海地震と1946年の南海地震は約2年間の時間差で起きています。
私の質問に対し、当時の木村危機管理監からは、国の対応も参考にしながら、時間差をもって地震・津波が発生することもあるということを念頭に置いて、油断することなくしっかりと対応してまいりますとの答弁がありました。
しかし、昨年4月の熊本地震では震度7が続けて2回発生するという想定外の事態が起き、やはり時間差にも対応が必要であることを痛感しました。
平成26年に策定された国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画では、時間差発生等への対応として、国、地方公共団体等は、先に発生した地震で大きな被害を受けた後、時間差を置いて再び大きな揺れ、津波が生じた場合を想定し、複数の時間差発生シナリオの検討を行い、複数回にわたる被災に対して臨機応変に対応できるよう、応急活動、建築物、傾斜地等の応急危険度判定、避難生活者保護、復旧活動における注意喚起等の対策の検討を行うことが明記されています。
そこで、本県の時間差対策は私の質問後どうなったのか、現状と取り組みについて危機管理監に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 地震・津波による犠牲者ゼロを目指し、県では「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」等を策定し、東海・東南海・南海3連動地震や南海トラフ巨大地震等への対策を着実に進めているところでございます。
また、国が平成27年3月に策定した南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画を踏まえ、議員御指摘の時間差で発生する南海トラフにおける地震等にも対応できるよう、和歌山県広域受援計画において、広域防災拠点を中心とした受援体制や運営方法の確立を図ったほか、あらかじめ被災建築物応急危険度判定士を養成し、被災建築物の危険度を迅速に判定するための技術者の確保等にも取り組んでおります。
さらに、熊本地震では連続して地震が発生したことにより避難生活が長期化したことを踏まえ、避難者への負担の増加等を考慮して、市町村避難所運営マニュアル作成モデルを改定し、避難所の間仕切りやベッド等の資機材整備を支援するなど、避難所の環境整備充実にも取り組んでおります。
今後とも、時間差による地震・津波が起こることを念頭に置いて、国や他の地方公共団体等の地震・津波対策について十分研究するとともに、油断することなく、防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 危機管理監から答弁いただきました。
やってる、やってるというふうにお答えいただくと、私の聞いたこともやってくれてるというふうに聞いてる皆さんは思われるかもわかりませんけど、私の聞いてるところは残念ながらまだまだされておりません。時間差については、前回、木村危機管理監に答えていただいたとおりの答えを、今回、いただいたんですが、ぜひとも次聞くときにはちゃんと内容が報告できるようにお願いをしたいと思います。
次に行きます。次は、新時代の対応について質問します。
新政策として、県果樹試験場ではドローンによる農薬散布の研究が始まりました。早速、果樹試験場を訪問し、お話を聞いてきました。説明では、ミカンは葉っぱが生い茂ることや、急傾斜地、密植などの条件から実現は容易ではないとの印象を持ちました。その後、私はそれなら梅はどうかと思い、うめ研究所へ聞いてみました。梅は、葉が生い茂る前に収穫し、5~6回集中して農薬を散布するので可能性はあるとのお話でした。また、ドローンの導入にはドローンに合った圃場の整備や苗木の植樹から始めるべきとの意見もありました。そのとおりと思いましたが、予算や人員の制限から直ちに着手できるわけではないようです。ほかに、柿、桃ではどうか、また、農薬が難しいなら肥料の散布はできないのかと考えました。
ドローンの会社は中小企業が多いと思っておりましたが、農業分野では大手農機具会社も参入してきており、大学の農学部との連携も進んでいるようです。本県は果樹王国といいますが、県外企業や大学の研究成果をお裾分けしてもらうのでしょうか。
ほかにも、森林整備のための生育状況をドローンにより上空から調査するニュースを見ました。県内でも、沿岸の密漁をドローンで検挙する研究も計画されております。
ことし1月に自民党県議団でコマツのIoTセンタを視察し、ドローンによる測量設計を見てきました。国土交通省では、ドローンだけではなくICTや新技術、機械を駆使したi-Constructionを進めており、平成29年度中に約400件のICT土木を発注するそうであります。
以上のように、ドローンは、行政分野初め産業活動、国民生活に幅広く利用が進んでいます。さらに今後は、より高度な人工知能や自動運転、データ利活用などの波が押し寄せてきます。
一方、過疎化で耕作放棄地が増加する農村でも、農産物・食品の高付加価値化や特区を活用した輸出農業などの新産業システムが生まれています。
このように、時代の潮流を踏まえた新たな手法やシステムなどを県の施策に積極的に活用するためには、企画部が幅広くそれらの情報をキャッチし、内容を分析するとともに、各課の課題解決を促すべきでありますが、企画部長の考えを伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 議員御指摘のドローンのみならず、近年急速に進歩しているIoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット等のイノベーションを産業や県民生活に取り入れていくことは、さまざまな社会的課題を解決する上で非常に有効な手段であると考えてございます。
本年3月に策定しました長期総合計画におきましても、これらの技術革新の動向を的確に捉え、県内産業における利活用を促進し、付加価値の高い製品、サービスの創出や生産性の向上を図るとともに、遠隔医療や介護ロボットの導入など、医療・福祉分野における利活用を促進し、県民の暮らしやすさをさらに高めていくこととしております。
また、議員御指摘の官民連携による新たなシステムづくりにつきましても、従来からさまざまな検討を行っており、今年度の新政策におきましても、高齢者や女性の活躍を促進するため、わかやま元気シニア生きがいバンクや女性活躍企業同盟など、社会構造の変革に結びつく新たなシステムを構築しているところでございます。
長期総合計画に掲げる施策の基本的な方向を具体化し、毎年度の重点施策を構築していく新政策プロセスを所管する企画部としましては、事業の見直しや新たな施策を検討するに当たり、その中心的役割を果たし、さまざまな課題解決に有効と思われる新たな手法やシステムに加え、国の方針や他府県の先進事例などについても幅広く情報収集し、分析の上、本県の実情に適した戦略を立案し、関連施策を所管する各部局に対して積極的に提案してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、観光振興に関して2点質問いたします。
まず、吉本興業との連携であります。
訪日観光客が3000万人に迫り、観光が地域創生の切り札として期待されています。その先導役として全国的に多くの観光地で語り部が養成され、地域の歴史や文化、観光の紹介などに幅広く活躍されています。しかし、中には定年退職した御隠居さんのような人もおり、ただ知っていることを教えてくれるだけで、聞いていて退屈するときもあります。
お手本は、ディズニーランドのジャングルクルーズがいいと思います。人工のジャングルを船長のおしゃべりで楽しませてくれるアトラクションです。船長のおしゃべり、せりふ、シナリオは大変よくできており、言語を変えて世界のディズニーランドで展開されています。
先般、テレビで、クルーズ会社が船内の劇場で漫才などの興行をするため、吉本興業と業務提携したことが紹介されていました。吉本興業は、関西弁を全国共通語にして、漫才や新喜劇を日本代表の文化にまで発展させました。
私は、以前から吉本興業と協力して、本県の語り部がおもしろおかしく演出できるよう研修させてはどうかと考えていましたが、商工観光労働部長に御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 観光ガイドがお客様に説明する際に、自分本位ではなく、聞き手であるお客様の立場に立った気遣いや円滑なコミュニケーションを進める上でユーモアのある話し方などを身につけることも重要であるため、議員御提案のとおり、吉本興業と連携した研修も手段の1つであると考えてございます。
お客様と観光ガイドが触れ合う機会は、旅の思い出やイメージを決める大事な部分を占めるものであり、お客様の再訪を促し、さらに、印象に残った思い出は帰宅してからも人に話したくなるなど、波及効果も期待できるものであります。
今後、和歌山県観光連盟が実施予定の観光ガイド養成研修におきまして、内容の充実に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 観光業というのは本当に裾野の広い、幅の広い産業であります。その中で、私は語り部ガイドというのは、大学を卒業した若者が、外国の例を見ますと、お金の稼げる仕事だというふうに思っております。
残念ながら日本では、通訳ガイド業というのが規制緩和をされたというふうに聞きますけども、シンガポールなんか行きますと、それこそ高収入が得られる立派な仕事。しかも、ちゃんと名札をつけて観光地などでやっていないと政府観光局の人が来て取り締まるというようなこともやっておりました。日本では、そんなことが全く規制もされてないようなことでありますので、ぜひ和歌山県では観光で若い人が飯食っていけるように、どんどんと磨きをかけてやっていただきたいというふうにお願いをしておきます。
次は、高級列車についてであります。
JR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風」が今月17日に運行を開始しました。瑞風は、10両編成ながら定員はわずか34名で、6両の寝台車に食堂車や展望車を備え、京都・大阪と下関間の山陽・山陰両本線を走行し、1泊2日と2泊3日の5つのツアーが設定されています。料金は1人25万円から120万円までの超高級ツアーですが、申し込みが殺到し、最上級のザ・スイートの倍率は68倍だったそうです。
高級列車は、ほかにもJR九州の「ななつ星」やJR東日本の「四季島」がありますが、いずれも人気があり、発売後すぐに売り切れると聞きます。高級列車は、「オリエント・エクスプレス」を初め、ヨーロッパやアジアで富裕層を集め大成功しています。
また、高級列車は、高級なホテルがない地方でも豪華な旅を楽しむことが可能で、インバウンドの誘致、赤字路線や地方の観光地の活性化につながる新しい旅行の形であります。クルーズ船同様に今後の発展が期待できます。
本県も、JR西日本と協力してきのくに線や和歌山線に高級列車が導入できないものか、商工観光労働部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御提案のとおり、高級列車でゆっくりと旅をしていただくことは観光振興や地域振興に寄与するものであり、実現すれば、鉄道ファンに限らず人気の出る企画になると考えられます。実際、世界遺産登録10周年を契機としてJRグループ6社とタイアップした和歌山デスティネーションキャンペーンでは、改良前の寝台特急「トワイライトエクスプレス」がきのくに線を5往復し、大変好評をいただきました。
高級列車の旅は、県内を観光していただくことに加え、車窓からの眺め、車内での食事やお酒を楽しむこともだいご味の1つであることから、ゆっくりと旅を楽しまれるお客さんにお越しいただく手段として大変有意義なものと考えられます。
今後、JR西日本に対しまして、高級列車等のきのくに線や和歌山線への導入を要望してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、魚に関して2点質問します。
アニサキス中毒は、ことし芸能人が中毒を起こしたことで連日テレビのバラエティーで放送され、アジやサバの市場価格に大きな影響を与えました。
アニサキスは小さな寄生虫で、サバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類の内臓に寄生し、魚介類が死ぬと内臓から筋肉へ移動することが知られており、それを食べた人の胃や腸の壁に食いつくことで食中毒が起こります。
厚労省では、アニサキス中毒を予防するため、目視で確認することや鮮度の徹底、加熱・冷凍を呼びかけています。国連が設けたコーデックスやEU、米国でも加熱や冷凍が義務づけ、推奨されており、生食には鮮度がいいということよりも、冷凍が世界基準になっているようです。
最近、佐賀や鳥取では、大衆魚のサバやアジが養殖され、生食用に高値で出荷され、地域の名物になっています。また、加工食品の衛生管理システムのHACCPが近く義務づけされるとも言われております。
そこで、今回の騒動を奇貨として、本県の目標として国際基準にたえ得るような安全な水産物の供給を目指すべきだと考えますが、農林水産部長の所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、食品に対する衛生管理や品質保持への取り組みは重要であり、とりわけ水産物は、鮮度などへの消費者の関心が高く、今後もその要求はさらに高まるものと考えてございます。
また、輸出に取り組む加工業者等においてHACCPなどへの対応が進められているところですが、生産者においても、鮮度が高く、安全・安心な水産物の供給に向けた取り組みを進めていくことが重要です。
県といたしましては、漁獲物の鮮度保持技術の向上や衛生管理に配慮した産地市場の整備などをより一層推進し、高鮮度で安全・安心な水産物の供給に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ、国からの補助金だけではなくて、物心両面で県として積極的にお願いをしておきたいと思います。
次は、おいしさについてであります。
昨年訪問した香港では、ノルウェー産サーモンが幅をきかせていました。ジェトロ・香港の彦坂さんのお話では、香港人は、脂がよく乗ったサーモンなど、ねっとりとした食感をシルキーと言って好むそうです。香港人は刺身の盛り合わせにはサーモンが入っていなければ怒り出すと、ネットに書き込みがありました。確かに、スーパーの刺身売り場やすしコーナーは、見事にサーモンのオレンジ色でした。
私の経験では、海外の日本料理屋で出てくる刺身は必ずサーモンが入っています。日本国内でも回転ずしなどで回っていますし、本県名産の柿の葉ずしにも入っています。
しかし、脂が乗った魚だけがおいしいわけではありません。例えば、マグロには脂の乗った大トロ、中トロだけではなく赤身もあり、それぞれ特色があっておいしいのです。世界でブームとなった和食の代表選手のすしも、江戸前はネタに脂が乗っているからではなく、旬の多彩なネタがあることでおいしいのではないでしょうか。今や紀南の名物となったもちガツオは、脂が少ないことでおいしいと言われています。脂が落ちたサンマも、すしや丸干しにすればおいしいのであります。
魚のおいしさは、旬や鮮度、調理の仕方、流通方法、漁獲方法が影響すると考えますが、残念ながら、現在はおいしい魚の基準が混乱しています。
本県は県域の半分を海に面する海洋県ですが、漁業就労人口は減少し、漁獲高が減少しています。原因は、水産資源の減少もさることながら、せっかく水揚げした水産物が高値で売れないからではないでしょうか。
御坊市の協栄漁業では、箕島漁港のタチウオ輸出をお手本にアジ・サバ輸出の研究を始めましたが、そこで初めて安全性やおいしさ、鮮度、そのための漁獲、出荷、流通方法など、各般の研究が必要なことに気づきました。このことは何も輸出だけではなく、国内市場にも他の水産物にも通じることです。
鹿児島県では、水産試験場の職員がゴマサバの付加価値化などの研究を進めています。本県では、漁協や漁家は零細な経営体が多く、自主的に研究を進めることは困難で、県の積極的なリーダーシップが期待されます。
これまでに、クエや近大マグロ、もちガツオなど、生産、漁獲、流通、販売に成功したお手本があります。そこで、県産の水産物を新鮮でおいしく食べてもらうような研究をすべきと考えますが、農林水産部長の所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 和歌山県は、良好な海域に恵まれ、各地で多種多様で新鮮な水産物が水揚げされています。このような豊かな水産物をPRするため、これまでプレミア和歌山や地域団体商標などを活用したさまざまなブランドづくりが進められてきたところですが、ほかにも数多くのおいしい県産魚がございます。
これらを広くPRしていくためには、さまざまな切り口でそれぞれのおいしさを伝えていく必要があると考えております。その具体的方法について研究してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最近、スーパーへ行ってお魚コーナーを見ても、環境に優しいとり方でとったお魚というのも御坊のスーパーにも並んでいるんです。それから、九州でとれたサバを静岡県で加工した塩サバ、御坊のスーパーで1本2000円もするのに売られてる。私が見たときには5本並んでましたから、500円でもサバがすごく高いと思うのに、そんな2000円もするサバが売れるという、本当にありがたい時代だと思います。やっぱり高く売るためには、おいしい、新鮮、そんなことを打ち出す必要がありますので、知事、予算も要ると思いますけども、科学的に研究をしていただくことをよくお願いしておきます。
次に行きます。次は、紀伊路について質問いたします。
昨年10月24日、「紀伊山地の霊場と参詣道」に闘鶏神社を初め中辺路、大辺路、高野参詣道など22地点が追加登録されました。知事は、関係者の労をねぎらうとともに、喜びのコメントを発表されました。また、追加登録を記念して東京でシンポジウムも開催されました。世界遺産登録が困難な鎌倉などの例を思うと、本県の追加登録は本当に喜ばしい限りで、本県自体の値打ちも上がったものと感じます。
一方、日高の道成寺は、安珍清姫など古典芸能における一級のコンテンツを持つ熊野古道有数の文化財ですが、残念ながら世界遺産にはなっていません。熊野詣は、京の都から熊野まで、途中の王子で祈祷しながら歩いて到達する修行と伺いましたので、京都から田辺までが抜けていて熊野詣の精神性は確保されるのかと、いつも疑問に思っています。世界遺産は、目に見えないものではなく、地点、場所、環境だと説明を聞いても、和歌山から田辺までの紀伊路が抜けていることは大変残念に思います。
本来は京都から登録されるべきと思いますが、道成寺初め多くの文化財がある和歌山県内の紀伊路の追加登録ができないものでしょうか、教育長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、平成16年に当初登録され、その後、熊野参詣道中辺路・大辺路、高野参詣道のうち追加登録の可能性がある地点全てについて追加登録を提案し、平成28年に承認されました。
追加登録の提案に当たり、紀伊路については要件を満たさなかったため提案には至りませんでしたが、熊野参詣道の経路の1つである旨を提案書に記述いたしました。このことが世界遺産委員会において認識されることとなり、今後、紀伊路の追加登録を目指す上で意義は大きいと考えております。
世界遺産登録は、まず国史跡の指定を受けることが前提です。紀伊路には、藤白王子跡など既に国史跡指定された地点がございます。また、ほかにも、県が有識者の助言指導のもとで実施した調査では複数の王子跡について国史跡指定の可能性もあるという結果を得ており、その範囲を確定するための測量調査などを実施しているところです。今後、さらに調査箇所をふやすとともに、国や関係機関等と協議するなど、国史跡の追加指定に向け取り組んでまいります。
また、これらの取り組みを進めるには、市町の協力及び地域住民の機運の盛り上がりが不可欠です。このため、地域の歴史や文化遺産を後世に継承できるよう、郷土の伝統や文化に対する愛着を深める教育を推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 和歌山はかつて近畿のおまけみたいなことを言われたことがありましたけども、高野・熊野が世界遺産に登録されて、和歌山の自然や文化は世界に誇れるすばらしいもんだというふうに気がつきました。しかし、それだけではなくて、和歌山のすごいところは、世界遺産以外にも世界遺産級のようなものがいっぱいあるというふうに思っております。紀伊路もそうだと思いますけども、私たち議会も大いに盛り上がりを手伝っていきたいというふうに思っております。
最後に、キャリア教育について伺います。
偶然、NHKアナウンス室のポータルサイトを見ていて、本県出身のNHKアナウンサーが1人もいないことに気づきました。
NHKのアナウンサーは、全国54の放送局に男女合わせて約500人おり、地域のニュースや番組に出演しています。別に1人もいないことで実害はないのかもしれませんが、500人もいる中に本県出身者が1人もいないことは寂しく、なぜかと疑問に思います。都道府県別出身者数は──議席に配付していませんか。(「ありません」と呼ぶ者あり)すみません、そうなってると思ったんですけども、チャンスがあればまた配らせていただきます。
ほかには、和歌山県以外にも1人もいないのは、石川、福井、鳥取の各県であります。共通点として、子供の数が少ないことや基礎を勉強するセミナーがないこと、近畿圏が総じて少ないので、言葉などが関係するのかと推測されます。
また、同ポータルサイトには、アナウンサーになりたい小中学生への次のようなアドバイスも紹介されています。
「文字を正しく読めるようにすること。自分のことばで、元気よく自分の考えを述べたり、物事を説明したりすることができるようにすることが大切です。また、中学生になったら、初対面のおとなの人ともきちんとしたことば遣いで話ができるようにしておきたいですね。もうひとつ大事なのは、『好奇心』です。知らないことや知らない人に関心を持つようにすることです。身近なできごとだけでなく、世の中の様々なできごとにも目を向けて、興味がわいたら詳しく調べてみるという体験もきっと将来役に立つでしょう。日頃から『なぜ?』と考える力を養っておくと、さらにアナウンサーが身近なものになるでしょう」。私は、一読いたしまして、これはアナウンサーというよりもどんな職業についても必要な資質であり、本県のキャリア教育にも大いに参考にしていただきたいと思いました。
いろいろ調べてみて、アナウンサーになるためには学歴だけではなく、養成講座に通うなど、アナウンサーになりたいと思う強い信念や、それを支える経済力が家庭になくてはなれない仕事だと感じました。
私は、医師についても同じことが言えると思います。以前から、本県の医師不足の原因は医学部入学の偏在にあると考えています。現在、本県で医師になるためには、極論すれば、私学の進学校から県立医大に入学するか、授業料の高い私大医学部に入学するしかありません。つまり、医師の子弟のように医師という職業のすばらしさに早々に気づく環境か、私学に通わせる裕福な家庭しか医師になれません。
現在、県では医師不足解消のため、県立医大の入学定員に地域枠を設け、9年間は県内で地域医療に従事することを条件に、奨学金を付与して入学させています。しかし、地域枠は県民ばかりではないので、9年経過すれば引き続き県内に残ってくれる保証はありません。また、若手ばかりが循環する仕組みを継続していては、県内でベテランの医師が育ちません。
それよりも、県内の小学生に医師不足のため失われていく命がある現状を理解してもらい、よし僕が頑張ろう、私も頑張るわと、地域医療のために医師を目指す子供たちを育てるほうが、私は真っ当な方法であると考えます。
医師同様に、和歌山に必要とされる医療関係、イノベーションを起こす優秀な技術者、事業を起こす起業家、県土の発展を支える土木建築技術者など、本県を支える子供たちを育てるようなキャリア教育が今こそ必要だと思います。
また、アナウンサーになりたいなど、子供たちが仕事に対する夢を持ち、その夢が実現するような支援をするキャリア教育も必要です。
玉木久登議員に教えていただいた、大阪市教育委員会首席指導主事を経て本年4月から生野区長に就任した山口照美さんが、民間人校長として活躍した大阪市立敷津小学校のキャリア教育の例を紹介します。
山口さんは、子供たちの知っている職業数は少なく、親と教職員、日常生活で接する人、テレビで知るぐらいで、実感を持って知っている仕事はさらに少ないので、学校が与える情報の責任は大きいと言います。
幼い子供のなりたい職業が偏るのは、知識として職業を知らないからで、知っている職業の数が多いほど選択肢はふえることから、敷津小学校のキャリア教育では、3年間で100の職業を知ることを目標にしています。
さらに、山口さん自身が小学生のころ知らなかった職業につき、今までにない仕事をつくり、国内外で働くさまざまな人に出会ったことや、その一方で、夫の実家の米屋が数年前に廃業した経験から、生まれてくる職業があればなくなる職業もあることに気づいた。それゆえ、100の職業を知って終わりではなく、時代の変化に合わせて仕事をつくれる人になってほしいと、現役のプロレスラーや毛糸作家など、さまざまな職業の人たちの話を子供たちに聞かせるプログラムを立ち上げたそうです。
現在、県内の小中高では、文科省の学習指導要領により、成長段階に合ったキャリア教育が行われています。しかし、今回の質問に際し、県教委では義務教育でのキャリア教育の実施率は把握していても、その中身や効果についてはわからないということでした。NHKアナウンサーが一人もいない理由はこんなところにもあるのかなと思いました。
ぜひとも、ゴールデンキッズの職業版のような、小学生から夢を持ち、その夢を実現できるような支援や県内で必要とされる人材を養成するようなキャリア教育の実施、充実が必要と考えますが、教育長の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校段階でのキャリア教育は、子供たち一人一人の発達の段階に応じて、将来の社会的・職業的自立を目指して行う教育であります。
小学校では、学ぶことや働くことの大切さを理解し、大きくなったら何になりたいかなど、将来の夢や希望を膨らませております。
中学校では、学ぶことや働くことの意義を理解した上で、社会の一員としての責任感を育み、将来を考える力を身につけさせております。なお、本県の職業系高校や企業等を紹介した冊子「和歌山で学ぶ・働く」を作成し、今年度初めに全ての中学校3年生とその保護者に配布して、進路を考える資料の1つといたしました。
これからも、小中学校において、社会科等の授業や特別活動、職場体験等でさまざまな仕事に触れる機会を持ちながら、将来の選択肢を広げていきたいと考えております。
ことし3月に告示された小中学校の新学習指導要領の総則には、現行の高等学校にあるようにキャリア教育が明記され、新たに学級活動や学校行事などの特別活動をかなめとし、全ての教育活動を通じてキャリア教育の充実を図ることとされております。小中高等学校を通じて、子供たちは多くの経験を積み重ねながら、みずからの生き方を見つけていきます。
このような中で提起されているものに、キャリアパスポートがございます。これは、子供のさまざまな学びや体験等を記録し、これをもとに教員、保護者が子供の成長を支援していくことを狙いとしており、本県としても研究してまいりたいと考えております。
県教育委員会では、こうした新しい学習指導要領の趣旨、内容を小中高等学校、特別支援学校の全教職員に周知徹底し、各学校が計画的、組織的に取り組めるようキャリア教育の充実を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 教育長からも力強い御答弁をいただきました。ぜひそのとおりになりますようにお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾﨑太郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
お手元に配付いたしております議案付託表のとおり、議案第128号から議案第141号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第5号までは所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。6月27日及び28日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾﨑太郎君) 御異議なしと認めます。よって、6月27日及び28日は休会とすることに決定いたしました。
次会は、6月29日定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後1時51分散会