平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成29年6月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成29年6月23日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第128号から議案第141号まで並びに報第1号から報第5号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第128号から議案第141号まで並びに報第1号から報第5号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         西原龍也
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第128号から議案第141号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第5号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1番目に、南海本線紀ノ川橋梁についてであります。
 南海本線紀ノ川橋梁の安全性については、県議会において初めて問題提起を行ったのが、上り線築100年目の平成15年9月の予算委員会、以来、平成16年6月議会、平成20年2月議会、同年6月議会、そして平成24年12月議会のそれぞれ本会議で一般質問をさせていただいておりますが、それから5年がさらに経過、久々に南海本線紀ノ川橋梁について質問をさせていただきます。
 上り線側は1903年(明治36年)にかけられ現在114歳、下り線側は1922年(大正11年)にかけられて現在95歳になります。現役の鉄道橋としては、最上川橋梁が橋長334メートルで132歳、国内最古のものですが、おおむね1時間に1本の運行頻度であるのに対し、紀ノ川橋梁上り線は、橋長は約2倍の627メートルで運行頻度がずっと高く、ざっと数えてみましたが、平日で118便、休日で103便の鉄道橋であります。
 建設当時、たびたび洪水が起こっていた紀の川に鉄の橋をかけるとなると治水上の問題も心配され、河川を管理していた和歌山県に鉄橋架設の出願をした際、和歌山県からは、洪水が起こらないように万全の準備をすることや、何か不都合が発見された場合は会社の費用で全て撤去するようになどの厳しい命令書が出されたほどであったと言います。
 南海本線紀ノ川橋梁は、アメリカ合衆国のアメリカン・ブリッジ社製造で、下部工事を当時鹿島組が請け負い、その下請を和歌山県の西本組、後の西本建設工業が行ったそうです。
 南海電鉄の2016年のCSR報告書においては、「2年ごとの定期検査を実施している。その結果に基づき、さらに詳細な検査や随時適切な補修などの対策を行うことで安全性を確保している。重ねて、地震対策として落橋防止対策工事を実施している」と例年のようにうたっておられます。また、3~4年前でしたか、当時の亘社長が和歌山市での講演会の際、「紀ノ川橋梁はマグニチュード8.6までの耐震性がある」と、確かにおっしゃっていました。
 さらに、ネットで調べていると、2015年7月24日、土木学会関西支部で、南海電気鉄道株式会社鉄道営業本部工務部工務課の猪木勇至氏がつくった「経年100年を越えた鋼鉄道橋の性能調査について」というレジュメを見つけました。そこでは、実地踏査として衝撃振動試験と深浅測量を下り線の紀の川の大阪側で、川の中に立つ2本の橋脚(P12、P13)で行ったそうです。進行性は認められないが、川岸により近い橋脚(P10)と比較して、2本の橋脚のほうが洗掘されている可能性があるとしていますし、性能評価調査で「安全性は担保されているが、継続監視と定期的な深浅測量の必要性がある」と指摘されています。
 まとめとして、上部工については、「現状では破断状態に至るほど過緊張状態ではないが、腐食や緩みなどのさまざまな要因により応力が過大に発生する可能性もある」と触れ、下部工については、「地盤ばねによる健全度がA2である橋脚及び洗掘のおそれがあることを勘案し」云々とあります。
 土木学会の鋼橋における劣化現象と損傷の評価の第3章既設橋の健全度評価によると、鉄道橋の健全度A2というのは、運転保安等に対する影響が「将来脅かす」で、変状の程度は「変状が進行し、機能低下のおそれがある」で、措置としては「必要な時期に措置」する必要があるという度合いです。これはまだ若い95年の下り線のほうですから、超高齢者の114年の上り線ではもっと懸念が大きくなります。
 国土交通省は、2014年度に地方鉄道の橋やトンネル長寿命化を狙って鉄道施設安全対策事業費補助金を創設しました。これは、JR東日本・東海・西日本の本州3社及び大手私鉄を除く、主に中小鉄道事業者を対象とし、自治体にも支出を要請し、鉄道事業者の負担額を工事費の3分の1程度に抑えたい考えでした。また、同年7月から道路橋や道路トンネルについても、地方自治体に対し財政的支援を伴って、5年ごとの定期点検や予防保全を義務づけました。自治体は、橋やトンネルの安全性を4段階で自己評価し、レベルに応じた対策に取り組むわけであります。
 そこで質問ですが、1つ目、まず、紀ノ川橋梁でごく最近まで工事しているのをお見かけしておりましたが、この南海本線紀ノ川橋梁における補修工事についてはどんな内容であったのか、県で把握されておりますか。企画部長、お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 鉄道事業者が保有する橋梁等の安全性について、報告をさせる権限は県にはございませんが、県民の命と安全にかかわる大変重要なことですので、従来から南海電鉄や国土交通省との間で情報交換を行ってきたところであります。
 議員御質問の紀ノ川橋梁の補修工事についても事前に南海電鉄から説明を受け、平成28年12月から平成29年5月にかけて、高水敷部分で上下線20橋脚について鋼棒挿入による橋脚補強を行うものと聞いており、既に工事は完了しております。
 今後は、低水敷部分でも工事を進めていく予定であり、これらの工事により、紀ノ川橋梁の安全性がさらに高まるとのことであります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、国土交通省の2014年度の前述の橋梁の長寿命化に対する取り組みに対し、和歌山県として、長寿命の最たるものである南海本線紀ノ川橋梁にも適用いただくべく働きかけを行っていただいたのでしょうか、企画部長にお答え願います。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 国の鉄道施設総合安全対策事業費補助における老朽化対策事業は、経営環境が厳しさを増す地方の鉄道事業者に対して支援する趣旨のものであるため、大手民間鉄道事業者である南海電鉄は補助対象となっておりません。
 また、南海電鉄からも補助金に係る要望は受けていないため、県としては働きかけを行っておりません。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 国土交通省も、全国の鉄道にある橋梁やトンネルの平均築年数はともに50年以上であることに鑑み、対症療法のような補修だけでは安全性の長期的な向上が見込めないと考えて、長寿命化を促進する制度を設けたわけです。地方の規模の小さい鉄道橋からまず始めた老朽化鉄道施設の長寿命化対策でもあります。少々の拡大解釈であろうとも、設計耐用年数をはるかに超えた橋梁を現役で今後も使っていきたいのなら、鉄道事業者として行政に食らいついていく気概を示してほしいものであります。県民の命を預かる県としても、その危機感というものを南海電鉄にぶつけていただきたいと思います。
 「読売新聞」も、2014年5月19日に「橋とトンネルの点検を着実に」と題した社説を掲載されていました。その中で、この国交省の老朽化鉄道施設の長寿命化対策について、「政府、自治体は、老朽化対策の財源確保や民間企業との連携強化に工夫を凝らす必要がある」とし、「国や企業の技術者を人材難の自治体に派遣し、高度な技術を要する点検、修繕を代行させる仕組みが考えられないか」と訴えておられたことを申し添えておきます。
 3点目に、JR総研、すなわち公益財団法人鉄道総合技術研究所も、「鉄道構造物の維持管理に関する最近の研究開発」という鉄道総研報告の中で、設計耐用年数を超えた橋梁の延命化、リニューアル化は喫緊の課題だと捉えています。団塊世代の退職以降、鉄道の維持管理を支えてきた熟練技術者不足がいよいよ顕在化しており、少ないリソースで効果的に質の高いメンテナンスを行うためのモニタリング等、技術開発が望まれていますが、南海電鉄の定期検査においても、95歳の下り線でも将来的に安全性に懸念が出てきそうな中、建設後114年の上り線においても逐次衝撃振動試験や深浅測量等の実地踏査が行われた上で安全性が確保されているのでしょうか、企画部長、御答弁お願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 南海電鉄によりますと、平成24年3月に上下線ともに深浅測量及び健全度判定試験を実施し、その後は、水流の影響の強い上流側に位置する下り線の検査をすることで安全性が確認できているとのことであります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 南海本線紀ノ川橋梁における南海電鉄の現状維持方針を支えているのは鉄道総研の理論が根拠だと思いますが、紀の川にいつ自然災害、すなわち大地震や津波、また豪雨による洪水が発生するやもしれません。自然の猛威というものもあわせて十分に考慮いただきたいと思います。
 4点目に、紀伊中ノ島駅と六十谷駅間をつなぐJR阪和線の紀ノ川橋梁は、1930年(昭和5年)ごろ架橋されましたが、紀の川大堰の完全運用のために2009年(平成21年)にかけかえられました。このJRの新しい紀ノ川橋梁と現存する南海本線紀ノ川橋梁との安全比較も当然必要になってくると思いますが、それについてのデータは県として把握されているのでしょうか、企画部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 両橋梁を比較するようなデータにつきましては県では把握しておりませんが、JR西日本によりますと、同社の紀ノ川橋梁につきましては、巨大地震においても安全性が確保できる設計になっていると聞いております。
 また、南海電鉄につきましては、公益財団法人鉄道総合技術研究所の検査や、2年ごとの定期検査等においても安全性の確保が確認できていると聞いております。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 紀の川大堰の上流にあるJR阪和線紀ノ川橋梁と、大堰のさらに下流にある南海本線紀ノ川橋梁とでは、大堰の効果的な運用によって大いに条件は異なってくるとは思いますが、JR橋梁のほうは上流からの河川の増水を直接受けますし、南海橋梁のほうは増幅した津波を直接受けるわけであって、どちらも大きな衝撃に見舞われることになります。県として、両橋梁の強度、そして安全性のデータは、しっかりと把握しておいていただきたいと要望します。
 5点目に、平成27年6月から、南海電鉄は和歌山県出身の遠北光彦氏が社長に就任されています。先日、「産経新聞」に社長のインタビュー記事が掲載されておりました。「鉄道事業が根幹であることは間違いない。安全性に対するお客様の絶対的な信頼感を得る」と言っておられましたが、それならば、県当局として、遠北社長の紀ノ川橋梁に対する思いと今後の安全対策を聞かれておりませんでしょうか、企画部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 社長からは直接お聞きしておりませんが、南海電鉄に確認したところ、2年ごとの定期検査や適宜の健全度判定試験などにより現状の性能を確認し、必要に応じて対策を講じていく方針であると聞いております。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 遠北社長は和歌山県人でもありますし、「産経新聞」のインタビュー記事でも、本県への強い思い入れを感じさせてくださいました。あの和歌山市駅の再開発事業の本格化は、その最たるものだと思います。知事を初め県当局の皆様には、遠北社長にお会いされる機会も少なくないでしょうし、くれぐれも南海鉄橋の安全性と将来のかけかえについては、よろしく御議論いただきたいと思います。
 6点目に、紀の川は紀の川大堰があるとはいえ、洪水の危険あるいは河口からの津波の危険にも常にさらされている1級河川であります。国も治水対策にいろんな施策を打たれていると思いますが、紀の川の河川整備に合わせた紀ノ川橋梁のかけかえの可能性を探ってみていただきたいと思うのですが、県土整備部長、いかがですか。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南海本線紀ノ川橋梁の河川整備に合わせたかけかえの可能性について、お尋ねをいただきました。
 紀の川におきましては、昭和34年に戦後最大となる伊勢湾台風による洪水で甚大な被害が発生をしてございます。こうした洪水を契機といたしまして、国では、沿川地域の安全性を確保するため、洪水調節施設である大滝ダムや河川のボトルネックを解消する紀の川大堰を完成させるなど、計画的に河川整備を進め、平成28年度には岩出狭窄部対策が着手されてございます。
 議員から御質問のございました河川整備に合わせた紀ノ川橋梁かけかえの可能性についてですが、当該橋梁付近は、紀の川水系河川整備計画におきまして、その整備目標となる伊勢湾台風規模の洪水に対しまして水が流れる河川断面を十分に確保していることから、河川整備を要する箇所として位置づけておらず、必要となる狭窄部対策や堤防整備等の治水対策を引き続き実施していく旨、河川管理者である国土交通省より聞いているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 私も、わらをもすがる思いで、河川整備のほうからの紀ノ川橋梁のかけかえの可能性について、あえて質問してみました。河川整備基本方針策定に当たっては、河川整備基本方針検討小委員会に知事も委員として入っておられますし、基本方針のもとでの河川整備計画でも関係自治体からの意見聴取が実施されます。その都度、本県のかけがえのない公共交通手段である南海本線紀ノ川橋梁の安全確保について、しっかり訴えていただきたいと思います。
 7点目に、先ほど来、国の取り組みもあわせて尋ねてまいりました。南海電鉄も2年ごとの定期検査や随時の補修、地震対策を実施しておられるとはいえ、何と築114年でも現役ばりばりで働いている大型鉄道橋でありまして、鉄道総研の指摘が示すように、特に大災害時に決して安心はしてはおれない南海本線紀ノ川橋梁であります。
 大手鉄道会社も、橋のかけかえとなると予算も大きくなるので極めて慎重なのが現実だと思いますが、やはり県民を初めとする鉄道利用者の生命にかかわる大きな公的な問題であります。鉄道事業者はもちろんですが、国への働きかけ、それに伴う県市の応分の負担というものも考えていただかなければいけない時期に来ているのではないかと思いますが、南海本線紀ノ川橋梁のかけかえについて、知事の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 鉄道の安全性確保につきましては、鉄道事業者が責任を持って行うべきことであり、それを確認する権限は国にありますけれども、県にはありません。とはいえ、無関心ではいられないということであろうかと思います。
 以前、南海電鉄が紀ノ川橋梁の安全性を確保することができなくなるので、和歌山市駅まで鉄道を運行することをやめて紀の川北岸でとめるということを考えてるらしいという──そんなことあるかというふうに思ったんですが──そういう話が流布したことがありました。
 しかしながら、現在、そんなことはうそであったということは、南海電鉄が和歌山市駅を再開発して、それでがんがんやっていくんだというふうに考えていることからも明らかでありまして、それならば、紀ノ川橋梁の安全性というのは、きちんと守らなきゃいけないし、また守っていく自信があるんだというふうに考えても、そうおかしくはないというふうに思います。
 ただ、県としては、県民の命と安全にかかわる大変重要なことでもあることから、今後も引き続き、南海電鉄とか国土交通省と積極的に情報交換を行って紀ノ川橋梁の安全性の確認を行ってまいりますけれども、そのように努力していきたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 鉄道総研の構造物技術研究部長も、「鉄道は、設計耐用年数を超えた橋梁やトンネルなどの老朽構造物を数多く抱えている。橋梁は、道路における平均経過年数が30年弱であるのに対して鉄道では60年であり、鉄桁に限れば、平均的取りかえ時期である70年を超えるものが約2万5000種にも及ぶ」としています。南海本線紀ノ川橋梁は、平均的取りかえ時期を44年も超えているのであります。和歌山市駅がリニューアルに取りかかり、周辺の再開発が進められようとしているこの時期に、県民として、市民として、次に一番気になるのは、誰の目にも南海鉄橋であります。
 最近、大きなスーツケースを持った海外からの観光客も南海電車の中でよく見かけます。市駅周辺が整備されれば、観光客だけでなく、泉南を中心に再び大阪府民ももっと南海電車を利用して本県に来られることと思います。知事におかれましては、和歌山県民が不安を一掃して心置きなく京阪神へ通勤・通学、そして遊びに行けるよう、また、たくさんの観光客を安心して和歌山県に招き入れられるよう、南海電鉄に、そして国土交通省にも、南海本線紀ノ川橋梁のかけかえについて強く求めていっていただきたいとお願いして、要望とさせていただきます。
 2点目に、葛城修験二十八宿についてであります。
 大峰山と並ぶ修験道の聖地葛城山は、大阪・和歌山府県境を東西に連なる和泉山脈から北上して奈良・大阪府県境の金剛山地へと連なる峰々の総称です。全行程は28里、約112キロあるそうです。この山系には、古く奈良時代の修験道の開祖役行者、すなわち役小角が約1300年前に国家安泰のために法華経八巻二十八品を埋納したとの伝承による経塚があり、葛城二十八宿と呼ばれています。
 西は和歌山市加太の友ヶ島・序品から犬鳴山・第八品、和泉葛城山・第九品、牛滝山・第十品、岩湧山・第十五品を経て、金剛山頂・第二十一品に至り、北上して大和葛城山から二上山・第二十六品、そして、大和川沿いの亀の瀬・第二十八品に至るまで、経塚や行場が連なっています。このルートに沿って葛城修験の中心寺院である犬鳴山七宝瀧寺、金剛山転法輪寺を初め、根来寺、粉河寺、槇尾山施福寺、當麻寺などの多数の霊場寺院や神社があります。歴史は大峰山よりも古いです。
 行場の麓に至るまではサイクリングも楽しめますが、やはり修験道の行場でかなり険しいところもあり、ポイントを決めた登山・ハイキングとしては、歴史をたどりながらの比較的健脚な方向けの観光としてはおもしろいコースだと思います。
 先週、和歌山市と岬町の府県境にある大福山と俎石山に登ってきました。午前10時に和歌山市直川墓ノ谷入り口を出発、早速大小のチョウチョウがたくさんお出迎え、椎の木地蔵尊から田畑の周りに建てられたイノシシ用柵の前を通り、墓ノ谷の在所を抜け、そして大福山辯財天上り口とある小川地蔵尊から参道に入ります。途中、上から落ちてきたと思われる大き目の石だらけの道、割谷弁財天女のほこら、また、コケむしたかなり時代物の石垣があり、西谷の池左側の道からは急な上り坂の連続、八王子神社跡あたりからは、ゼイゼイ言うくらいのつづら折りの急な坂が延々と続きます。
 最初、奥辺峠に到着すると、道中安全地蔵尊があって、ベンチやテーブルが置かれた道しるべにたどり着きます。ササユリが咲いてとてもきれいで、疲れた心と体を癒してくれます。ペットボトルのお茶も無性においしく感じました。「スズメバチ注意」、「マムシ出没足元注意」の表示がありますが、しばらくなだらかな登山道で息を吹き返しました。道の両脇にはイノシシが掘り返した跡があり、何となくけもの臭もしてまいります。頂上手前右側に大福山と書かれたほこらがあり、石仏が安置されています。ようやく、はるか和歌山平野が望めてまいります。
 11時35分に大福山頂上へ到着、第三経塚がありました。標高427メートルで「大福山」というがっちりした石柱があります。その横に「妙経 譬喩品第三之地」と記された碑が立ってあり、ほこらが2つあって、1つには弁財天像が安置されています。左手には紀の川、第一経塚のある友ヶ島、その向こうに淡路島が望め、右側の眺望には多奈川の発電所が見えます。そして、1キロ先の俎石山までの道中に、もともとの第三経塚跡を探し当てました。大きな石の集まりがほぼ1カ所にまとまって存在しており、お札が挟み込まれていました。岬町淡輪地番の俎石山頂上からは、関空も望み見ることができました。途中、ササユリがところどころに咲いていますが、イノシシのふんらしきものも見かけました。
 12時40分に帰路につきましたが、頂上をおりかけて間もなく、黒い動物が前方10メートル先を突然通り過ぎてどぎもを抜かれました。墓ノ谷入り口付近までノンストップでおりて出世不動明王にお参りしましたが、きれいな池には小魚が泳ぎ、その奥には滝があって、水を勢いよく落としていました。14時に車をとめてあった入り口に到着という約4時間の葛城修験第三経塚、大福山登山でありました。
 道すがら、3人の年配の女性グループ、単独の登山客で男性が2人、女性が1人、そして、親切に問いかけに答えていただいた関西電力の職員さんに出会ったくらいでした。桜の時期には、山桜がとてもきれいな山域です。俎石山から鳥取池を経由して2時間かければ、和歌山市の最高峰490メートルの雲山峰にもたどり着きます。葛城修験道のルートには、こんな手ごろな登山・ハイキングコースもあります。もっと広報できれば、たくさんの健脚な観光客の皆様にも訪れてもらえるのではないかと改めて感じた次第です。
 京奈和自動車道の和歌山県内全面開通によって、奈良県の大峰山へもさらに短時間で行けるようになりました。大峰山の麓の吉野郡天川村洞川へ至る道路は絶好のサイクリングコースですし、洞川温泉郷周辺はきれいに観光地化されています。この一帯は、1936年に吉野熊野国立公園に指定され、1980年にはユネスコの生物圏保護区に登録、さらに2004年、ユネスコの世界遺産に紀伊山地の霊場と参詣道の文化的景観を示す主要な構成要素として、史跡大峯山寺、史跡大峯奥駈道ほかが登録されました。
 大峰山山上ヶ岳へ登る山道も一部険しい行場もありますが、登りやすいように階段や手すりロープもつけられたりして、「ようお参り」と声をかけ合う登山客が冬季以外は朝晩を通じてひっきりなしであります。葛城修験二十八宿も登山・ハイキングに訪れる方々のために、安全面の配慮、また観光地としての整備について、関係市町村と連携のもと環境整備に当たってもいいのではないかと思います。
 そこで質問ですが、友ヶ島から始まる葛城修験二十八宿は、和歌山県、大阪府、奈良県にまたがり、和歌山県側にも幾つも経塚があります。役行者がたどった歴史の経路を歩いてたどってみる、日帰りでも宿泊でも楽しめる、同じ修験道の行場でもある大峰山登山とはまた趣の違った、和歌山県ならではの山岳信仰にまつわる広域の観光PRをしてみたらと思いますが、商工観光労働部長に御所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御提案の葛城二十八宿につきましては、豊富な歴史、文化を持つ本県の観光にとって、県内周遊を促進させる上で魅力ある素材の1つであると考えます。一方で、二十八宿の経塚をたどるルートは修験の道であり、観光目的で訪れる一般の方にとって危険なポイントも多いと聞いております。
 現在作業を進めている「わかやま歴史物語」は、本県の豊富な歴史・文化遺産と食や体験などを組み合わせた旅の楽しみ方を「100の旅モデル」として提案するものでございます。役行者を題材としたこの葛城二十八宿のうち、観光客の安全・安心が確保できる部分につきましては、楽しんで周遊していただけるルートとして、それに組み込んで広く国内外に情報発信をしていきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 葛城修験の28カ所の経塚とその周辺を含めて踏破するだけで、役行者にまつわるかなりのボリュームの歴史物語ができるのではないかと思います。また、同じ修験の道大峰山が世界遺産に登録されているのであれば、葛城修験二十八宿もまずは日本遺産に、やがて紀伊山地の霊場と参詣道の範囲を広げて世界遺産への登録も考えてみてもいいのではないかと思います。歴史物語をつくるためには、地元の方から伝承されているお話もお聞きしながら肉づけをしていくことも必要だと思います。
 葛城二十八宿は、まだまだ知る人ぞ知る程度で世間の目に余り触れていませんし、ネットや広報チラシやマップ等で情報発信していけば、同じ山岳信仰の熊野地域とともに、全国からも大きな注目が集まるルートではないかと思います。今後、観光面からもPRのほうよろしくお願いいたします。
 また、墓ノ谷から大福山、雲山峰に至る由緒ある歴史の地のあたりに、大規模な太陽光発電施設設置計画、これがあるとのこと。これにも県としても十分慎重に対処をいただきたいと、あわせて要望させていただきます。
 3点目に行きます。
 新学習指導要領実施に向けてであります。
 平成32年より小学校から順次実施される小中高校などの新学習指導要領が、本年3月31日、文部科学省告示として公示されました。知識と思考力はともに重要だとして、今の学習指導要領の学ぶ内容は減らさないかわりに、何を学ぶかに加えて、どのように学ぶか、何ができるようになるかといった視点で見直すことを求めています。
 その中で、昨年12月21日の中央教育審議会答申にあった「アクティブ・ラーニング」という表現がなくなり、「主体的・対話的で深い学び」といった表記が使われています。内容は、やはりグループで議論をしたり、議論の結果を発表したり、さらにディベートや調査学習を盛り込むことで、児童生徒が主体的に学ぶことに重点を置いた授業を行うといったことであると思います。
 文科省は、パブリックコメントでの回答の中で、「義務教育においては、新しい教育方法を導入しなければと浮き足立つ必要はなく、これまでの蓄積を生かして子供たちに知識を正確に理解させ、さらにその理解の質を高めるための地道な授業改善が重要である」と言われています。しかし、教育の現場サイドでは、これまでの授業のやり方を大きく見直さなければいけなくなって、教員の意識改革も必要になってくるかもしれないし、そこで、今でも多忙な教員の心理的負担もふえるのではという懸念もあるように伺いますが、県教育委員会として、教員の研修を含めどのように対応していかれるのでしょうか、教育長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今回の学習指導要領の改訂では、知識の理解の質を高め資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」がポイントの1つとされております。また、これまでの教育実践の蓄積に基づく授業改善により、子供たちのこれからの時代に求められる資質を育んでいくことなどが重要であるとされております。
 県教育委員会では、これまで県内全ての小学校の教員及び中学校国語科、数学科教員を対象にした授業改善研修や学校訪問を初め、さまざまな機会を通じて学習指導要領の改訂を踏まえた授業改善を図るよう具体的に指導してまいりました。昨年度は、新学習指導要領の趣旨に沿った国語科授業の映像つき事例集を作成し、各小中学校においてそれを活用した研修を行ってきました。
 また、現在、新学習指導要領の解説が順次公表されているところです。今年度は趣旨・内容の周知徹底の年となっており、教職員一人一人に伝わるよう、この7月から小中学校長や教員を対象にした説明会を実施いたします。新しい学習指導要領の実施に対する教員の不安を払拭し、適切に対応できるようにするためにも丁寧に説明を行い、各学校における新たな教育課程の編成を支援してまいります。また、教育センター学びの丘においても、来年度から新学習指導要領に対応した授業づくりに向けた研修を充実させてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 主体的・対話的な深い学びによって、子供たちが丸暗記、一夜漬けのような勉強法から脱却して、まさに自主的な学習ができるようになることを期待するものであります。
 次に、小学校では、道徳が平成30年度から特別教科化されることに加え、英語が5年生から正式な教科として始まります。もっとも、聞く・話すを中心に英語になれ親しむための外国語活動が3年生と4年生に前倒しして行われます。また中学校でも、高校と同様、英語の授業は原則英語で行うことになりました。このような科目を教員が教えるに当たって、教員の指導力の向上も問われてくると思いますが、県教育委員会はどのように考えておられるのか、教育長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 小学校では、平成30年度から道徳の時間が「特別の教科 道徳」になります。本県では、平成25年度から実施している各学校の道徳教育推進教師を対象とした研修会や先進的な取り組みの普及などを通して、教員の指導力の向上に取り組んでまいりました。
 また、平成26年度から、本県独自の道徳教科書「心のとびら」、「希望へのかけはし」を小中学校に配布し、小学校4年生以上の各学年で年間5教材以上の活用を徹底してまいりました。平成30年度以降も、本県独自の道徳教科書を引き続き活用してまいります。
 次に、平成32年度からの外国語の教科化につきましては、平成27年度から4年間をかけて、全ての小学校の英語教育の中核となる教員を対象に新学習指導要領を見据えた研修を行っております。研修を受けた教員は、各校の全ての教員に対して学んだ指導法等を伝達し、定着を図っているところです。
 7月には、管理職を対象とした説明会を実施し、総則と教科となる道徳及び外国語について、趣旨・内容の周知徹底を図り、各学校で準備を進めるよう指導してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 そもそも、大津市のいじめによる中学生の自殺事件をきっかけに、規範意識を学ばせることが必要だとして道徳が教科化されたのでありますが、道徳を教員が実際指導する際に、どうしても教員個人の倫理観、価値観というものが出てきて、子供たちに偏りのない指導ができるのか、また記述式評価にしても、先生ごとにばらつきが出てこないかと憂慮しております。文科省が目指す「考え、議論する道徳」の実現によって、いじめのような問題がなくなるよう、県教育委員会の熱心な御指導を期待しております。
 3点目に、高校においては必修科目の世界史を廃止して、新たな必修科目として、近現代を中心に日本史と世界史を合わせた「歴史総合」を設けるほか、18歳選挙権の導入を踏まえて、社会に参画するのに必要な力を育てる「公共」の新設など、主要教科が大幅に再編されるかもしれないと伺っております。
 従来より高校において近現代史の授業というのが、時間的な制約もあるのか手薄であった気がします。戦後72年も経過し、政治においても経済においても、日本国は、そして日本人も国内外の大きな歴史のうねりを経験してきました。新学習指導要領も数年後には順次実施されるこの機会に、今後の日本の進路を考える意味でも、近現代史教育にも重きを置いていくべきだと考えます。近現代史の教育について、教育長の御所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現行の高等学校学習指導要領における近現代史につきましては、全ての生徒が学ぶ「世界史」と選択科目である「日本史」において、我が国の近現代の歴史の展開を地理的条件や世界の歴史と関連づけ、歴史的思考を培い、国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養うことを目標として指導してございます。
 しかしながら、近現代史が重要であるにもかかわらず、その学習の定着状況が低い傾向にあることなどが今回の学習指導要領の改訂の中で指摘されたこともあり、近現代史を学ぶ「歴史総合」が必修化されることになりました。
 「歴史総合」で扱われる近現代史は、グローバル化や持続可能な社会の形成、産業構造の変化、主権者の育成等の現代的な諸課題に対応する力を育む上でも大変重要な内容であると考えております。
 こうした観点を踏まえ、現状の授業においても近現代史の学習を充実させるよう、各学校を指導してまいります。また、今年度中に告示される新学習指導要領の趣旨や狙いを踏まえ、今後、県としての教育課程編成の方針を示し、伝達講習を初めとしてその周知徹底を図り、各学校で着実に実施するための準備を進めるよう指導してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 教育長のおっしゃるように、現代のグローバル化の中で近現代史をしっかり学ぶことによって、実社会に出ても主体性を持って生きていくことにつながるのだと思います。教科の再編が予想される中、本県におきましては、近現代史教育の充実について、どうかよろしくお願いいたします。
 4点目に、今後、小学校も学習指導要領の改訂によって授業時数が増加することになります。授業時間の新たな捻出というのは基本的に各学校に任されることになるのかもしれませんが、現実問題としてどのように授業時間を確保していくのか、県教育委員会の方針をお聞かせください。教育長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校では、現行学習指導要領から年間の標準時間数の増減はございませんが、小学校におきましては、3・4年生で外国語活動が、5・6年生で外国語科が導入されることにより、年間35単位時間ずつ増加することになります。
 小学校の35単位時間をどのように確保していくかについては、文部科学省から週に1単位時間をふやす、15分程度の短時間学習として実施する、長期休業期間中を活用する、それらを組み合わせるなどのモデルケースが示されております。
 県教育委員会では、これらの方法のメリット、デメリットを示し、各学校がそれぞれの状況に応じて適切に教育課程を編成できるよう、市町村教育委員会と連携して指導してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 授業時間の増加への対応ですが、今後、週5日制の枠の中で授業時数をやりくりしてふやすのか、長期休暇を短縮するのか、はたまた土曜日を活用するのか、いろんな選択肢が出てくると思います。児童にも教員にもできるだけ無理のない、そして、児童にとって実効性のある、身につく授業になるよう、県教育委員会の適切な対応を要望させていただきます。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 おはようございます。
 私は、まず、和歌山県にとって非常に大事だと思う問題を今回取り上げさせていただきます。どうか、皆さん御一緒に御検討いただけましたらと思います。
 今回、私は、和歌山県太地町で1人の女性が撮影、制作したドキュメンタリー映画を取り上げさせていただきます。この映画の作品明は「ビハインド・ザ・コーヴ」と申します。私は、この「ビハインド・ザ・コーヴ」を昨年見たわけでありますが、和歌山県にとって県の国際評価にかかわる大きな問題を含んでいると考えております。議場の皆様にも、ぜひお考えいただきたい。
 ビハインド、背後というからにはもとになったものがあるわけですが、それが、太地町の方々や日本人を困惑させ、鯨漁、イルカ漁をする方をおとしめる編集で世に出された「ザ・コーヴ」という映画がもとになっております。
 この「ビハインド・ザ・コーヴ」は、「ザ・コーヴ」という映画の制作者が意図的な編集と活動家の資金集めのために太地町の漁業関係者をどういう手法を用いておとしめたのかを明らかにし、同時に、反捕鯨団体の偏見に満ちた活動内容や、今の鯨漁がなぜ商業捕鯨をとめざるを得ない状況になったのかを描いたドキュメンタリー映画であります。
 日本人でアメリカの映画配給会社の東京支社にお勤めであった八木景子さんが、これらのことに疑問を持ち、退職後初めて、しかもたった1人で日本政府の交渉官を初め、反捕鯨団体にも「ザ・コーヴ」の関係者にも突撃インタビューを行い、あるいは彼らの過去の発言を掘り起こし、問題の核心を明らかにした労作であります。
 その中で、反捕鯨団体の創設者の「イルカや鯨は人気があり、反捕鯨の活動家の間でも競争が激しい」、「イルカや鯨は資金集めが容易だ」という発言や、「メキシコでウミガメが殺されるのを邪魔しに行っても金にならないことを知っている」など、彼らの性質を如実にあらわした過去の発言、日本鯨類研究所の日本人科学者が仕事中に突然カメラのライトを当てられて、まぶしいから顔を避けたら、「この科学者は日本のやっている調査が恥ずかしいから顔を隠した」と、そういった作為の映像を流したという証言、「ザ・コーヴ」にも出演した人物が、もともと出していないのにもかかわらず、「太地町の学校給食にイルカを出さなくなったのは、イルカの持つ水銀の毒から子供を守るためだ」といったことを根拠なく主張すると、それを否定する地元の校長先生の証言を得て「ビハインド・ザ・コーヴ」に取り上げるなど、八木監督が地元で貯金を取り崩しながら何カ月も暮らし、地元の方の生活と鯨とのかかわり、日本人は神話の「古事記」の時代から鯨とかかわり、特に江戸時代からすばらしい文化を築き上げてきたことも、丁寧に映画の中で取り上げられています。
 そして、そもそも国際捕鯨委員会で、一時停止する必要があると言った科学者は1人もいないのに、なぜ商業捕鯨が禁止と決まってしまったのか。以下は、オスロ大学生態学のラーズ・ワロー教授の発言ですが、この問題について、「国際捕鯨委員会の科学委員会からの支持と解釈されているが、捕鯨モラトリアムは支持されていない。政治的決断のみだった」、「1982年に始まった商業捕鯨の禁止は、遅くとも1990年には終了する予定であったが、現在も有効にされている」、「法律の専門家は、この禁止措置はもはや法的効力がないと主張している」、「日本は、捕鯨の考え方を変えて商業捕鯨に切りかえるべきだ」と「ビハインド・ザ・コーヴ」の中で述べられています。
 私は、商業捕鯨の復活がなければ、日本人の中にも、鯨は商業捕鯨が禁じられた絶滅のおそれがある希少種で、それを日常で食するのは正しい行為ではないという認識が生まれていると感じています。今後、どのタイミングかで商業捕鯨の再開を強く訴えるべきで、そのためには、先んじてまず、この「ザ・コーヴ」やその他の反捕鯨団体によって制作された映像のイメージを払拭する努力が不可欠であると考えております。
 そして、反捕鯨団体の主張を以下紹介いたしますと、「我々が太地町を標的にしているというのは、日本政府のプロパガンダ(政治的宣伝)だ。プロパガンダは全ての事実を公表しない」と彼らは主張するわけであります。つまり、日本の政府や行政は自分たちの都合のよいことだけを政治的に宣伝していると、まさに自分たちがやっていることを棚に上げてこういう主張をしていることから、反捕鯨のキャンペーンに対して、我が国の政府や行政が反論を繰り返すより、こういう民間の方がつくられた「ビハインド・ザ・コーヴ」のドキュメンタリーの内容が広く普及するための取り組みが必要ではないかと考えるわけであります。
 「ビハインド・ザ・コーヴ」について県のお考えはどういうものか、また、国内や国際社会への対応を国へ働きかけることも必要ではないかという点について、知事にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、菅原議員の御見識と御努力に敬意を表したいと思います。私は全く同感であります。私も、この映画を、できた直後、早速拝見いたしました。御指摘のあった箇所に加えて、私にとっては懐かしい方々が次々と出てきて、大変感激をいたしました。
 昭和50年代の初め、国連では海洋法条約を結ぼうという国連海洋法会議が開かれておりまして、私は、大陸棚石油開発とマンガンノジュールの開発という通産省の担当する国家利益を守る代表として代表団に、若いんですけれども加わっていましたが、その際、代表団におられたのが、日本の漁業を守ろうという立場で活躍しておられた元農林水産省幹部の米澤さんと、水産庁の現役の技官でおられた島さんでありました。特に島さんとは同じぐらいの役職でありましたので、夜っぴいて海洋法秩序のあり方などを議論したことを覚えております。
 この「ビハインド・ザ・コーヴ」という映画は、現在行っている理不尽な反捕鯨団体の悪行とうそ、デマゴーグを暴くのみならず、このような昔からの海洋をめぐる規律についての議論も丁寧に取材して紹介をすると、本当に立派なドキュメンタリーであると思います。ただ、その結果、少々長くなっておるなあというふうには正直に感じました。こういう立派な映画を世の中の人々ももっと見てもらって、世界中の人に真実を知ってもらいたいと思います。
 しかしながら、一番腹立たしく嘆かわしいのは、こういう反捕鯨団体の扇動に乗って、太地町の漁民の方々の生活の苦労など何も考えずに、「鯨など食べなくても我々は生きていける」とか「世界の人に嫌われたら損だ」などと、和歌山県や和歌山県民を非難する日本人であります。こういう方々のために、県では、県ホームページでイルカ漁の正当性を国内外に主張するとともに、やってまいりました投書には丁寧に反論をしておりますけれども、もちろん商業捕鯨の再開や、安心してイルカ漁ができるように、毅然とした態度で対応するよう、国や町とともに努力していきたいと思いますし、もちろん、そのために国にも働きかけをしていきたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。これには本当に地道な、大変な努力が必要だと思います。また、こちらの誠実さをいかに伝えられるかということは時間のかかることだと思うんですけども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 さて、次のAI、ロボット技術取り入れについてお伺いします。
 長期計画には、収益性の高い農業を目指すと書かれたことで安心はあるのですが、現在まで本県議会の委員会、本会議を問わず、AI、ロボット技術の取り入れと質問いたしますと、返ってくる答弁に必ず省力化、軽作業化という前提での答弁であったわけであります。しかし、我が国では、年内に天頂衛星「みちびき」が引き続き打ち上げられ、全部で4機体制が整います。
 順調に打ち上げられれば、今の民生用のGPSの誤差数メートルを常時6センチ以内にすることができ、精度の高い位置情報を得ることが来年度には可能となり、日本でも一気に自動運転の流れが押し寄せることになります。
 この技術を利用すれば、農業においては24時間稼働のロボットが全自動で農作業を行い、AIとドローン、ロボットによって高度な栽培技術を簡単に作物に施すことによって高付加価値で生産性の高い農業が誰でも実現できるようになる、AI、ロボットの専門家たちは、このことを当然のことと考えております。
 そこで、本県農業の長期計画のスタート年におけるAI、ロボット技術の目指す内容について、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、農業へのAI及びロボット技術の取り入れは、省力化のみならず品質や生産性の向上につながるもので、本県農業の発展において極めて重要であると認識しているところでございます。
 県では、これまで作業労力の軽減が可能なアシストスーツや気象データに基づき果樹園での害虫の発生を予測するシステム等について、産学官連携により開発を進めてまいりました。さらに、今年度から、傾斜地果樹園におけるドローンの活用の研究に着手するとともに、スマート農業の先進国であるオランダのワーゲニンゲン大学に職員を派遣し、今後の和歌山県の農業振興に役立てるため、オランダの農業の強みについて直接調査研究を開始したところでございます。
 本県の農業の高齢化や農業従事者の減少を考えますと、今後ともロボットや自動化による農作業の省力化、気象データ等のビッグデータを駆使した生産性の向上、人工知能いわゆるAIを活用し誰もが高品質生産に取り組めるシステムなど、革新的技術の開発を進めることは大変重要と認識しております。
 このため、県としては、国、大学や機器開発メーカー等との連携を強化し、本県農業に利用可能な機器や技術の開発と、その普及に積極的に取り組む所存でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひ、連携強化して取り組んでいただきたいと思います。
 AI、ロボット農業といっても、大きな研究投資額を考えれば本県単独での可能性は限られてまいります。当然、国にも本県農業にマッチした研究開発に取り組んでいただく、そういう要望が重要でありますが、今回の国への重点政策の要望の中にそういう方向性が見られることは、昨年より大変意識が前に向いた、やはり長期計画のスタートということで取り組んでいただいていると思うわけであります。
 一方、国が本当に農業を衰退から繁栄の方向に転換させようと考えているなら、例えばまず地域を選定して、国家的な事業としてAI、ロボット農業に取り組まれる可能性も高いものと考えられます。過去にもそういう地域を選定し、先進農業を進めた事例は多く、また、国の農業への投資に関しても、東北や北陸の農業では、巨大なサイロや大規模な機械設備を備えた施設が幾つも100億円近い投資額で、しかも国の全額補助で完成されてまいりました。
 今から全力で国に地元の熱意を要望として伝えることと、国がなるほどと評価していただける要望内容を練り、積極的に行動を起こすべきではないかと考えております。
 そこで、AI、ロボット農業を目指す上で、国への要望はどうなっているのかを農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 国への要望につきましては、去る5月31日に知事を初め私も、生産主体が傾斜地果樹園である本県の農業の特殊性を訴えるとともに、地方が積極的に研究開発に取り組めるよう、競争的資金研究事業における傾斜地を対象とした研究テーマの設定と研究予算の確保を、また、国が取り組む農業機器等の開発における傾斜地果樹園用の機器開発推進を要望したところでございます。
 今後も、要望の実現に向け引き続き国に働きかけを行うとともに、県においても国立研究機関等と連携し、本県農業にマッチした先端機器の研究開発に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
 次に、少子化問題に移りたいと思います。
 現在の子育て、あるいは少子化対策のネックは、まず教育費であります。これについては、現在、国の中央で相当議論されておりますので、財源の問題で結論が出れば教育費の無償化に踏み出していただけるものと非常に期待しております。
 その上で、教育費の次にネックだと感じておりますのは、保育サービスの問題であります。待機児童の問題は大きな話題になりましたが、本県の保育問題で少子化対策上大きなネックとなっている、保育園に通う児童が体調不良に陥った場合の対処について、問題を考えてみたいと思います。
 入院が必要なほど、あるいは医師の経過観察が重要な病児の問題は、かなり当局に御認識いただいて対処の政策を立てていただいているようですので、ここでは、微熱などの軽度の症状の体調不良児の場合を考えてみたいと思います。
 1歳から3歳の幼児は、37度5分程度の微熱など、ちょっとしたことで体調が変化することが大変多いのが普通です。ほとんどの場合、医師の診察を受け、薬を飲ませ、自宅で安静にすることで回復し、翌日には平熱に戻り、元気に通園が可能な場合も非常に多いものです。幼児の体調のトラブルで、こういう軽度の症状のケースが大変多いのが実情だと思うわけです。
 現在は、保育中に児童が37度5分以上の発熱や体調不良を訴えた場合には、保育所から両親の携帯電話に連絡が行き、すぐに児童を迎えに来るようにと伝えられます。おじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでいる場合はともかく、両親とも時間から時間の勤務で職業を持っている場合は、どちらかが勤務先を早退して、我が子をすぐに迎えに行かなければなりません。
 会社は、当然こういうときのために有給休暇制度というものがありますが、突然の早退願にいつも余裕を持って人員を配置できている会社は、そうそうあるものではありません。突然その人の業務に穴があく勤務先の状況によっては、その他の同僚に仕事のしわ寄せが行くことになります。早退が何度もたび重なると、勤務先で精神的な言い出しにくさを感じ、こういう育児経験を2~3年体験すると、2人目の出産はハードルが高いという意識を持つ方がほとんどだと思います。特に今後の人手不足社会では、会社へのしわ寄せの程度も大きくなり、一層言い出しにくい会社の空気感が醸成されるのではないかと大変心配しております。
 我が子の熱の状態が高熱の場合は何をおいてもすぐ駆けつけるということはもちろんでありますが、37度5分近辺の微熱の場合に、お父さん、お母さんが仕事の段取りをつけてから駆けつけるまでの間、1時間でも2時間でも、あるいは定時で仕事を切り上げて保育所に駆けつけるなどが可能なように、小学校の保健室のような機能を保育所にも設置できないのか。
 こういう事態に対応できる政策、事業が求められていると思いますが、当局の御見解を福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 児童の病気や体調不良の際への対応といたしましては病児保育事業があり、大きく分けまして、病児・病後児対応型と体調不良児対応型の2種類があります。
 まず、病児・病後児対応型は、病気の児童が集団保育の困難な期間に、病院等の専用スペースで保育士、看護師等が保育を行うもので、県内に10施設あり、広域での利用を含めると14市町の住民が利用可能となっております。県といたしましては、保護者からのニーズの高い病児・病後児対応型を実施主体である市町村に対して積極的に働きかけているところでございます。
 次に、議員御質問の児童が保育中に微熱を出すなど軽度の体調不良となった場合に対するものは、体調不良児対応型になります。これは、保育所内の医務室等の専用スペースで看護師等が緊急的に対応するものであり、現在のところ、県内では2町3施設の実施にとどまっております。県といたしましては、保育中の軽度の体調不良児に対して緊急的に看護を行える体調不良児対応型につきましても、市町村担当者会議等のさまざまな機会を捉えまして、積極的に事業の実施を働きかけてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。御答弁いただきました。
 これは、都市部では非常に需要が高いと思うんですよね。今後、人手不足で、女性が社会進出をどんどんしていっていただかなければならないわけです。当然、共稼ぎの世帯がふえていく。おじいちゃん、おばあちゃんが一緒にお住まいという御家庭が非常にこれから少なくなっておりますので、都市部の若い世代には大変これ喜ばれる政策だと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。また、知事の目指す「子育て環境日本一わかやま」が一日も早く実現することを願っております。
 さて、今回は幼児が軽度の体調不良に陥った場合の対処について考えますが、体調不良児対応型の保育事業の推進をしていただきつつ、一方では、やはり親としては、可能な限り子供のそばに早く駆けつけたいということを十分我々は認識しなければなりません。
 こういう場合、両親のどちらかがテレワークなどで仕事の続きを持ち帰って、子供のそばを離れずに、業務に影響を与えず済ますことができれば大変助かるわけであります。
 こういう勤務形態を奨励し、普及させ、しかし、この流れが労働力を安く買いたたかれるのでは困るわけでありますから、そういう点を踏まえて、保育児童、幼稚園児、小学生を持つ両親が、より自由な勤務形態をとれるためのテレワークをどう推進するのかを、商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) テレワークは、時間や場所にとらわれることなく柔軟に働くことができることから、育児と仕事の両立や時間の有効活用といったワーク・ライフ・バランスの実現、優秀な人材の確保、生産性の向上等に効果的な働き方の1つであります。また、育児中もテレワークを利用して働き続けたいと希望する女性等も多数存在しています。しかしながら、それぞれの企業に雇用されている人が自宅等で働く雇用型テレワークの導入に当たっては、就業規則の改定やセキュリティー対策の強化など、企業側の負担が大きく、全国的にも導入している企業がまだ少ない状況です。
 このような中、国におきましては、本年3月28日に働き方改革実行計画を策定し、雇用型テレワーク導入企業を2020年までに2012年度比の3倍の約35%、週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカーを全労働者数の10%にふやすことを取り組み指標に掲げ、その拡大に向けた検討が進められています。
 県といたしましても、テレワークは育児と仕事が両立できる有用な働き方であると認識しており、非雇用型テレワークについては、平成28年度から家庭にいる育児中の女性を対象にわかやまテレワークフェアを開催するなど、多くの県民の方々や企業等にもテレワークに関心を持っていただくための取り組みを進めております。
 一方で、雇用型テレワークにつきましては、県内で導入されている企業は少なく、導入するためには就業規則の改定や設備投資が必要となります。そこで、県におきましては、労務管理のルールづくりのためのセミナーの開催や国の助成制度の活用を働きかけるなど、経営者に理解を求め、雇用型テレワークを促進してまいります。
 なお、雇用型テレワークの実施に際しましては、就業規則で定められた労働条件を確保することは重要なことであり、企業に対し周知する際、労働関係法令の遵守も強く働きかけてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
 そして、県組織がモデルとなるテレワーク普及について、昨年の6月議会でも取り上げましたが、今回は、特に子育て中の若い世代の職員さんや県組織において、特に部署を限って限定的なシステムでまず始めて、民間企業のモデルになるべく取り組んでいただきたいとの思いから、この問題を総務部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) テレワークによる県職員の在宅勤務を推進することについてでございますが、県職員は、1人の職員が複数の事務を処理することが多く、企画的な業務、非定型的な業務、あるいは対人対応的な業務などなど、さまざまな業務が1人の職員の担当業務の中に混在しておりまして、そこからテレワークが比較的行いやすい業務を切り出すことが難しいという現状があるというふうに認識しております。現状の事務の処理のやり方のままでは、一部の部署に限ってテレワークを導入することにも課題があるのかなというふうに認識しております。
 そのため、ことし3月に策定しました中期行財政経営プランに基づいて、今後、事務をいかに効率的かつ効果的に行っていくのかと、その見直しの中で、テレワークを含めた情報技術の活用を進めてまいりたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 難しさはやっぱりあるんですね、新しいことをするには。ところが、民間企業でもまあまあ、そういう問題はあるんだと思うんです。それでも何とか壁を取り払うブレークスルーというのが、やはり社会人である我々には皆求められるのだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それと、体調不良児型対応型の保育事業の推進についても、これは非常に移住者に対するアピールにもなると思いますので、こういうことが和歌山県では取り組みが進んでるんだよとなれば、やっぱり安心して若い世代が和歌山に来ていただけるということにつながると思います。ぜひ進めていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、私の質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時25分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 皆さん、こんにちは。森礼子です。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を始めさせていただきます。
 まず初めに、サイクリング王国わかやまを目指して。
 私は、平成26年度6月議会の一般質問において、しまなみ海道のサイクリング大会を手本に、サイクリングをインバウンドに活用すべきとの提案をいたしました。それゆえ、今回の新政策において、国内外からサイクリストを誘客するサイクリング王国わかやまが採択されたことは、地域活性化に役立つものと大いに期待しております。
 そこで、以下6点、サイクリングについて質問をいたします。
 まず1番目は、わかやまサイクリングフェスタ2017の反省点と次回の開催に向けてでございます。
 3月26日に開催されたわかやまサイクリングフェスタ2017について、サイクリングフェスタは本県が主催する初めての本格的サイクリング大会でした。高野山など世界遺産をめぐる160キロの超難関コースや、景勝地・和歌浦の自然と和歌山ラーメンなど特産品が満喫できる60キロのグルメコース、ファミリーやサイクリング初心者向けの10キロの3つのコースが設定され、デンマーク大使や堺市長など来賓も駆けつけ、全国から定員いっぱいの600人のサイクリストが集う盛大な大会となりました。私も楽しみにしていましたが、浅井議長とのお別れの式と重なり、参加がかないませんでした。
 知事は、今議会の提案説明で、サイクリング大会について大きな評価をいただいたと述べておられますが、報道や参加者からも大変楽しかったという声を伺い、大成功だったと思います。早速、サイクリングフェスタ2018の日程が3月末ごろの予定で進められているとのことですが、サイクリングフェスタ2017には、実は課題や反省点もありました。
 例えば、160キロの高野山コースについては、完走がハードな山坂が長く続くことや、交通事故の危険性が高い箇所が含まれており、県内のサイクリング関係者からコースの見直しを指摘する声もあったと聞いていました。残念ながら転倒事故が発生し、20代の男性が負傷したと聞きます。大会1週間前の試走行でも同じ場所で事故があり、スタッフの間では、当日は十分な注意をしていこうとのことでした。
 ほかにも自動車との接触事故が起きました。スタッフの到着するまでに救助に当たってくれた参加者は、橋本のくにぎ広場へは行けなかったと聞いています。結果的に、病院に搬送された負傷者は2人になりました。
 また、日程の設定についても指摘があり、大会当日の天候は雨が降ったりやんだりの寒い1日でしたが、幸い悪天候ではありませんでした。しかし、3月末の高野山の気候を考えると、降雪の予想があり、道路が凍結する危険性があります。対応に苦慮する日程だったとも思います。
 どうか2018大会は、さらにサイクリング協会や有識者の意見も取り入れて、よりすばらしい大会にしていただきたいと願います。次の大会に向けて、県の取り組みを企画部長に伺います。
○副議長(山本茂博君) ただいまの森礼子さんの質問に対する答弁を求めます。
 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) わかやまサイクリングフェスタ2017につきましては、県サイクリング協会や紀の川サイクリングクラブを初め、多くのサイクリング関係者や関係市町などと組織した実行委員会での協議により、コースや開催日時を決定いたしました。なお、コース設定に当たっては、県警察とも十分協議を行った上で決定したものであります。
 また、実施に当たっては、減速を指示する警備員や注意喚起の看板なども配置し、約60名のサイクルリーダーにも参加者の危険回避について指示するよう徹底するとともに、6台の救護車、3台の救護予備車を用意し、総勢300名以上のスタッフで万全の安全対策を講じた上で開催いたしました。
 参加者へは事前の案内や走行前の安全注意事項説明などで何度も下りでの減速を含め危険回避を周知しておりましたが、残念ながら2件の事故が発生してしまいました。その事故のうちの1件の交通事故は相手方の軽自動車がセンターラインをオーバーしてきた事故であり、こういった偶発的な交通事故の可能性を全く排除するとすれば、公道でのサイクリングイベントはできないということになります。他府県での事故の割合と比較しても多いという結果ではありませんが、事故が発生しないことがベストでありますので、さらに安全対策を徹底してまいります。
 県としましては、サイクリストへの和歌山県の知名度を向上させ、サイクリング王国わかやまを定着させていくため、大規模イベントの継続は必要であると考えており、次回も開催してまいりたいと思っております。
 参加者募集では、60キロコースは2週間で、ハードなコースであることを公表して募集した160キロコースは1カ月余りで定員に達し、千葉県から鹿児島県まで26都府県から参加があり、大変好評でした。
 また、参加者へのアンケートでは、議員御指摘の160キロコースのコース評価で、58%が大変満足、35%が満足ということで、93%の方が満足であるという回答をいただいているところであり、ハードなコースがかえって評価されたと考えております。
 60キロのコースにつきましては、インドネシアからの日本担当特使を初めとする参加者も含め、和歌山のグルメを堪能していただきましたが、和歌山ラーメンやイチゴなど、大変好評でした。次回は、さらに和歌山の魅力を味わっていただけるように内容の充実を考えております。
 10キロのコースでは、デンマーク大使御夫妻も御参加され、紀の川の景色を楽しみながらサイクリングロードを走行いただきました。タンデム車の走行体験などもあり、視覚障害者の皆さんにも川辺の風を感じていただき、喜んでいただけたと聞いております。
 アンケートの全体評価でも、3コース合わせて9割の方が大変満足もしくは満足との回答であり、わかやまサイクリングフェスタが高い評価をいただけたものと考えているところでございます。
 次回開催に向けて、4月からサイクリング関係者や関係市町と反省会を開き、エイドで提供する飲食物の内容や出展等の充実、走行の安全性向上等について関係者と協議し、動き始めているところでございます。
 今後とも参加者により満足していただける内容となるよう、県サイクリング協会を初め関係者と協力して準備を進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 本当にサイクリングフェスタは、走る前からとても評判が高くて、また終わってからも「すごく楽しかった」というふうに私も声を聞きました。私も一緒に行く予定だったので、たくさんの友達に声をかけてたんですが、そういう方からは「ぜひ次は一緒に走ろう」というふうに声をかけてもらってるんですけれども、より満足していただける内容になるようにということなので、アンケート調査などを参考にしながら、一つ一つ丁寧に改善していただきたいと思います。
 また、県が開設したフェイスブックにも参加者からはたくさんの喜びの声と改善点が寄せられていますので、残念ながら何もコメント等がされてないので、今からでもフェイスブックをもう一度見て、回答したりとか、1つずつ改善につなげていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、質問さしてもらいます。
 続いては、ブルーラインの設定など安全な自転車道の整備についてです。
 現在、県内のサイクリング推奨コースは、至るところにブルーラインが設定されています。現状から推察すると、自動車の交通量が少ない場所に引き、交通量が多い場所には点線が敷かれているように感じます。
 ブルーラインはどういう意図を持って引いているのでしょうか。道標にしては、迷いやすい交差点などにサインがありません。事故の危険性が高い交差点内に自転車が安全に渡れるようサポートする標示を引き、車に自転車の存在を注意喚起する標示が必要です。また、ブラインドコーナーが続く細い道などは、より一層の安全を守る工夫をすべきではないでしょうか。
 サイクリングに力を入れている埼玉、栃木、東京、神奈川等の市町村では、観光だけでなく、自転車に乗る県民のためにも、国土交通省と警察庁が示した安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインに基づいた走行環境の整備や啓発を進めています。本県ではいかがでしょうか。サイクリング王国を目指すなら、和歌山にお越しいただいたサイクリングをする方々と自転車に乗る県民の安全を守り、走りやすい環境を整えていくべきだと考えます。
 サイクリングロードにおけるブルーラインの設定など、安全に自転車を利用できる環境整備の現状と今後の取り組みについて、県土整備部長に伺います。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) サイクリングロードを示すブルーラインについてお尋ねを頂戴いたしました。
 和歌山県が推進しております川、山、海の3つのサイクリングロードにつきましては、極力専用道路として整備を進めるとともに、交通量を考慮した上で、自動車が通行する道路を利用して県内全長約800キロメートルの整備を進めることとしてございます。
 そのルートの選定に当たりましては、県が国及び市町村、関係機関の御意見を踏まえ、世界遺産や観光地などをめぐる、できる限り安全で快適なルートとなるよう選定をしてございます。
 ブルーラインにつきましては、利用者の案内や誘導、自動車ドライバーへの注意喚起を図るために設置しているものでございまして、専用道路においては連続的に、交通量が比較的少ない自動車が通行する道路の区間では、ルートの連続性を認識できる距離として、100メートルごとに長さ5メートルのブルーラインを設置することを基本としてございます。なお、交差点部などについては、100メートル間隔にかかわらずブルーラインを設置し、あわせてルートの方向を示す矢印の路面標示を設置することとしてございます。
 引き続き、議員から御紹介のございました安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインなどを参考に交差点部の路面標示の設置を検討いたしますとともに、見通しの悪いカーブなどについては地形の状況に応じた対応を図るなどの検討を行う必要があると考えており、関係機関の御意見をお伺いしながら、一層の安全確保に努めてまいりたいと考えてございます。あわせて、より快適な自転車利用環境の整備のため、案内看板、路面標示等を充実してまいります。
○副議長(山本茂博君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 では、どうぞよろしくお願いいたします。
 次は、サイクリストお迎えポイントの整備について。
 本年3月8日、自民党県議団でサイクルナビゲーターの絹代さんをお招きし、サイクリングの現状と本県とのかかわりについてお話を伺いました。
 現在、世界中でサイクリストが自転車を持参して、旅先でサイクリングを楽しんでいます。これを輪行──輪っかが行くと書きますが、この輪行するサイクリストを迎えるため、さまざまな受け入れ準備が進められています。
 本県では、サイクリストが来県する方法として、自動車、電車、飛行機、フェリーが考えられます。私は、本県にサイクリストを迎えるためには、どのような交通手段で来ても、サイクリストが到着後すぐにサイクリングができる環境整備が大切だと思います。
 車で来県する人には駐車場が必要です。ある和歌山市内のスーパー銭湯は、サイクリストに入湯を条件に駐車場を開放するサービスを行っています。電車や飛行機で輪行してきた方には、駅構内や駅周辺、空港内に自転車を組み立てるスペースの提供や、基本工具や空気を抜いて運んできた自転車に空気を入れられるフロアポンプの貸し出し、また、バイクラック、簡単な修理工具や自転車に乗るには持ち歩けない輪行袋や手荷物を預けるサービス、コインロッカーなどがあれば、非常に喜ばれるおもてなしだと思います。
 また、南紀白浜空港においては、空港で自転車の受け取りが可能なら、自転車を組み立て、直ちに空港からサイクリングを楽しむことができます。関空、神戸、伊丹ではできません。サイクリングコースの中にある白浜空港だからこそ、空港からサイクリングを楽しむことができます。白浜空港での自転車宅配受け取りシステムができれば、サイクリストという新たな観光客を呼び込む白浜空港の利用促進にもつながると思います。
 こういったサイクリストのお迎えポイントを整備することはサイクリストの受け入れ体制向上につながると考えますが、企画部長に伺います。
○副議長(山本茂博君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山県の場合、電車や飛行機など、どの交通手段で訪れていただいても、ほとんどの駅は混雑しておりませんし、白浜空港も駐車場など近くに十分なスペースがありますので、そこで自転車を組み立てることができることから、県として組み立てスペースを整備する考えはございません。
 しかし、さまざまなサイクリング関係者の意見をお聞きしたところ、一番皆さんに喜んでいただけるのは、サイクルステーションの充実であります。県では、当初、サイクルステーション整備促進のため市町村補助を行い、既に68カ所設置できておりますが、今後は空気入れや修理工具の貸し出し、バイクラックの設置、荷物を預けるサービスや自転車の宅配受け取りサービスといった、サイクリストのおもてなしに協力いただけるコンビニを初めとする民間事業者等をサイクルステーションとして登録し、マップやサイトでPRすることにより集客支援するという方法で、全県で拡充していく予定でございます。
 昨年、サイクルステーションの情報を掲載し作成したサイクリスト向けマップが大変好評となっているところですが、情報の更新がすぐに反映されるよう、今後、登録いただいたサイクルステーションにつきましては、今年度作成するサイクリスト向けの情報サイトに掲載し、積極的に広報してまいります。
○副議長(山本茂博君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 お手元に資料を配付させていただいてるんですけれども、全国的に人気のあるところの、サイクリングに取り組んでいる都道府県では、例えばJRの土浦駅の東口にあるところはすごくすばらしい施設ができているというふうにも聞いておりますし、フェリーに対しても、空港に対しても、来てすぐに発進できるようなおもてなしがあってこそ、そこが拠点になって広がっていくというふうに聞いておりますので、いろんなところとタッグを組みながら、考えていないということではなくて、一生懸命取り組んでいただきたいとお願いします。
 では、次に移ります。次は、サイクリングによる健康増進について伺います。
 自転車は、環境に優しく健康的な乗り物です。本県でも多くの県民が自転車で通勤・通学しています。絹代さんのお話では、ヨーロッパでは国家が自転車を推奨するのは、環境や渋滞対策だけではなく、医療費削減というのも一般的な理由だそうです。例えば、本県と御縁のあるデンマークでは、首都コペンハーゲンの自転車通勤率を35%から50%に引き上げるために、国家がサイクリング振興策をとっています。その経費は、4年間で2000万クローネ、日本円で約3億4000万円かかりましたが、保険医療費は3300万クローネ、日本円で約5億6000万円減少したと言われています。
 近年、我が国では、人工透析患者は30万人を突破しました。人工透析にかかる医療費は年間500~600万円もかかり、合計で約1兆5000億円も費やされています。この人工透析の原因の第1位は糖尿病で、糖尿病に有効なサイクリングの普及が大きく医療費を削減することは明白です。本県でも、花王が通勤に自転車利用を推奨しており、健康増進に大きな成果を上げていると聞きます。
 そこで、花王のように自転車を活用した健康づくりに取り組んでいる企業や学校、団体を顕彰するとともに、自転車協定を結び、ネットワークを広げるなど、オール和歌山で取り組めば、サイクリング王国わかやまの1つの柱になると思いますが、福祉保健部長の所見をお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) サイクリングなど適度な運動を習慣的に実施することは、生活習慣病の予防に効果的であることから、県では本年10月から、運動習慣が地域ぐるみで楽しみながら定着するように、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」を実施することとしています。この事業は、ポイントを多く獲得した自治会や個人を表彰する仕組みとなっており、県民みんなが参加できるよう積極的に取り組んでまいります。
 さらに、県といたしましては、サイクリングを初めとする運動や野菜を多くとることを習慣づけるなど、健康づくりに総合的に取り組むことが重要であると認識しておりまして、今後、企業や団体等と連携し、健康づくりのネットワークを広げてまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次、自転車活用推進計画の策定について。
 今や自転車活用は世界的潮流で、そのための法律や制度、施設、サービスが急速に整備されつつあります。我が国でも、本年5月1日、自転車活用推進法が施行され、自転車の利用を促進するためのハード、ソフトの対策が講じられることとなりました。まさにサイクリング王国わかやまは、世界的時流に乗ったすばらしい政策であると思います。
 幸い、同法の第10条には都道府県の自転車活用推進計画が規定されておりますが、私は、今後サイクリングフェスタを継続していくに当たっても、サイクリング王国わかやまを築いていくに当たっても、ぜひとも自転車活用推進計画を策定することが大切だと思います。
 そこで、自転車活用推進計画の策定について、県土整備部長に伺います。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 自転車活用推進計画の策定について御質問を頂戴いたしました。
 自転車活用推進計画の策定につきましては、本年5月に施行されました自転車活用推進法において、国、都道府県及び市区町村の推進計画についてそれぞれ規定がされてございます。
 国の定める推進計画につきましては、同法の基本方針に即して閣議決定をもって定めなければならないと規定されており、おおむね1年後を目途に策定することとなってございます。
 一方、各都道府県、市区町村は、区域の実情に応じた自転車活用推進計画を定めるよう努めることと規定されており、和歌山県としましても、国の推進計画策定に係る動向に注視し、同推進計画の策定について庁内でその検討を進める必要があると考えてございます。
 今後とも、自転車施策の推進のため、庁内各課や市町村、関係機関や民間団体と連携の上、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進してまいります。
○副議長(山本茂博君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次は、サイクリング王国にかける知事の思いについて。
 自転車は、環境に優しく健康的な乗り物として、世界中に普及しています。欧米の先進国では、自転車道の整備など自転車中心の都市政策が進んでいます。サイクリングは世界的ブームとなり、国内はもとより海外にまで愛車を持ち込んでサイクリングを楽しんでいますので、さらにたくさんのお客様にお越しいただくには、国内外に向けた情報発信が大事だと考えます。
 また、私は地元でサイクリングを楽しんでいますが、来てもらったお客様にとって親切なサービスなどの充実も大切ではないでしょうか。
 「サイクリング王国わかやまを目指して」の質問に、今回大きく5つの答弁をいただきましたが、それらを踏まえ、サイクリング王国わかやまを新政策として強力に推し進めていく知事のサイクリングに対する思いをお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、県で整備している約800キロメートルの川、山、海のサイクリングロードにつきましては、豊かな自然を生かしてつくられた起伏の激しい変化に富んだコースとなっております。紀の川については起伏はあんまりないんですけど、残りのところはそういう感じもあります。そういう意味では、サイクリストにとっては魅力的なものであるということでございます。
 この魅力的なサイクリングロードに国内外からたくさんのお客様にお越しいただきたいと考えておりまして、サイクリングを楽しむ愛好者や初心者等の幅広いターゲットにそれぞれ届くような情報発信を行うことで、サイクリングと組み合わせた旅の楽しみ方を提案してまいりたい、そんなふうに思っております。
 また、お越しいただいたお客様の目線に立った受け入れ環境を整備することも重要でございまして、サイクリストに優しい宿泊施設やサイクルステーションの拡充、サイクリストが手軽に情報を入手できるウエブの充実等を進めてまいりたいと思います。
 こうした取り組みを積極的に進め、県内にお客様にお越しいただくことによって、サイクリングで県の力を高めるというようなことをやっていきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ぜひ、サイクリング王国わかやまを推進していって、サイクリングといえば和歌山だというふうに、全国で広まっていくように頑張っていただきたいと思います。せっかくいい新政策なので、中途半端に終わらないように願っております。
 では、このまま次の質問に。次は、インフルエンザ流行時の対応について質問させていただきます。
 私は、常に「女性目線で」を議員活動の基本姿勢に取り組んでおります。仕事と育児の両立を掲げ、女性が活躍できる和歌山を築きたいと思っています。
 和歌山で必要性の高い病児・病後児保育に関しては、平成22年度には5圏域7施設だったのが、平成28年度には7圏域13施設へとふやすことができ、働くお母様方からは本当にありがたいというふうにお言葉をいただいています。しかし、和歌山市においては、質、量ともに十分足りているとは言えないので、県民の声をよく聞いて、さらに充実させていきたいと思っています。
 そんな中、最近聞くのが、インフルエンザ流行時の2つの課題です。
 1つ目は、夜間・休日における救急診療についてです。
 インフルエンザ流行時の夜間・休日の診療体制については、10月にもなるとインフルエンザ予防接種が始まり、高齢者、子供を中心に多くの人が予防接種を受けます。にもかかわらず、冬の訪れとともにインフルエンザ患者は増加し、年が明けたころにはピークを迎え、学級閉鎖や学年閉鎖の報道がされます。そのころの患者数は平素の何十倍にもふえ、病院での混雑が目に見えて想像ができます。
 特に問題であるのは、夜間・休日の診療体制です。診療施設が限られているため患者が集中し、病院内はインフルエンザ患者でごった返し、診察してもらうまで長い時間待ちという状態です。大人の場合、患者数の多さと長い待ち時間、子供の泣く声やぐったりしている様子を見て、診察を断念して帰ることもあるそうです。しかし、高齢者や子供はそういうわけにはいきません。
 なぜ診察時間内に受診をしないで、夜間・休日にふえていくのだろうかと考えましたが、理由は簡単で、昼間とかウイークデーは働いているので、その時間は子供に我慢をさせたり自分も我慢したりして、勤務時間外の夜間や休日に診察を受けるという流れになっていると考えられます。
 インフルエンザにかかったときの対応は、できるだけ早く受診をし、抗インフルエンザ薬を投与してもらうことが体調を悪化させない対処だと考えられています。インフルエンザは、1つ間違えば重篤になる恐ろしい病気です。報道はされていませんが、多くの人がインフルエンザで亡くなっています。
 毎年流行するインフルエンザの夜間・休日の診療体制をぜひ改善していただきたいと願いますが、どのように取り組むのか、福祉保健部長に伺います。
○副議長(山本茂博君) 森礼子議員に申し上げます。分割質問方式でしたので。続けてお願いします。
○森 礼子君 済みません。続けて読みます。
 続いて、病児・病後児保育における対応について。
 インフルエンザ流行時の状況は言うまでもなく、保育人数のキャパが足りず、多くの働く女性が困っているのが現状です。
 病児・病後児保育は一度に預けられる人数に限りがある上、さらにインフルエンザの子供と普通の風邪の子供は部屋を別にする必要があり、事態は深刻です。特に平成28年の冬は、インフルエンザが猛威を振るい、感染者が異常に多く、学級閉鎖が拡大し、働く女性を悩ませました。インフルエンザは毎年流行します。私の知り合いからも、毎年の当たり前のことだから何も対策はしてくれないのかと多くの声が届いています。
 今この時期にインフルエンザは時期外れと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、今からでも年末の対応には時間が足りないかもしれません。前回12月の答弁に、「インフルエンザ流行時には十分な対応ができず足りていない」とありました。おかげさまで病児・病後児保育の受け皿は徐々にふえております。さらに常時の受け皿体制をふやすことができればいいのですが、まずはインフルエンザの流行時の対策はできないでしょうか。インフルエンザ流行時の病児・病後児保育の改善についてどのような対策をとられるのか、福祉保健部長に伺います。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず初めに、インフルエンザ流行時の夜間・休日の救急診療についてお答えします。
 県のインフルエンザ対策として、予防接種による重症化予防やかかりつけ医への早目の受診の啓発に努めているところでございます。また、圏域ごとの夜間・休日診療体制の整備に取り組んでおり、特に人口の密集する和歌山市では、和歌山市夜間・休日応急診療センターにおいて、平成29年度から予約番号案内システムを導入し、診療センター内での待ち時間縮減を図るとともに、流行時に小児科を2診体制にふやすこととし、診療体制の充実を図っております。
 次に、病児・病後児保育における対応についてお答えします。
 インフルエンザ流行時に病児・病後児保育のニーズが高くなることは事実でありまして、医療機関の受け入れ体制の充実を図る必要があることは十分認識しております。しかしながら、インフルエンザ流行時は医療機関としても必然的に需要が高まる状況にありまして、病児・病後児保育の受け入れを拡大しようとすれば、看護師や保育士などの専門職を一時的に確保し、また、保育スペースとして既存施設を拡充することが必要となるため、臨時的な対応は難しい状況にあります。
 そのため、県といたしましては、まずは常時の受け入れ対応が可能な医療機関がふえるよう、次に、既に実施している医療機関等の定員枠が拡大するよう、実施主体である市町村に働きかけてまいりました。その結果、今秋には和歌山市の1医療機関が新たに開設する予定となっております。
 今後とも、病児・病後児保育の充実に向け、市町村に対して積極的に働きかけてまいります。
○副議長(山本茂博君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 私の独自調査によりますと、岩出町時代を通じまして岩出市選挙区から副議長を輩出させていただくのは86年ぶりのことでございまして、(拍手)この歴史的偉業をなされました山本茂博先輩議員より、議長として登壇のお許しをいただきました。感無量でございます。(拍手)通告に従いまして、心を込めて一般質問をさせていただきたいと思います。
 私も、同じく岩出市より選出をしていただいております川畑哲哉と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まずは1点、御報告を申し上げます。
 先月22日より26日まで、ドイツを訪問してまいりました。第4次産業革命時代をリードするドイツの国家戦略インダストリー4.0の現場視察が主な目的でございました。
 関西国際空港を出発した後、フランスはパリのシャルル・ド・ゴール空港を経由し、まずは、人口約59万人のバーデン=ヴュルテンベルク州の州都シュツットガルトに入りました。その駅前から車で走ること約15分、工作機械やレーザー技術でドイツ国内シェアナンバーワンのトルンプ社を訪問し、ピーター・フレデリックエリアセールスマネジャーより会社概要について詳細な御説明をいただき、広大な工場内を極めて御丁寧に御案内をいただきました。
 社員数は、世界各地で3000人の技師を初めとする1万1000人。経営のスリム化と徹底した研究開発を行い、IoTを駆使したスマートファクトリーを構築し──これはまだ発展中とのことでございましたが──世界各国から視察をお受けされているとのことです。「レーザー加工でつくれないものはない」とのお言葉が強く印象に残りました。
 遅いワーキングランチを社内レストランにていただきながら、ワーク・ライフ・バランスの重要性について意見交換をさせていただきました。
 ドイツでは、土日の週休2日制に加え、金曜日は昼12時で仕事を終えます。トルンプ社ではコアタイムを10時から16時とするフレックス制を導入し、テレワークも推進しているとのことでした。究極の生産性向上は、社員のモチベーションをいかに保つかにもかかっているのでしょう。視察時間は延べ5時間に及びました。ピーター・フレデリックマネジャーを初め、温かく御対応いただきましたトルンプ社の皆様に改めて心から感謝を申し上げます。
 その後、借り上げたタクシーにてヨーロッパ最長のアウトバーンを滑走し、5時間半後、次なる視察地、フォルクスワーゲン社を擁するヴォルフスブルクへ到着しました。現地時間は21時のことでした。
 明くる日の午前中は、フォルクスワーゲン社の敷地内にある自動車博物館アウトシュタットを視察いたしました。アウトシュタットは、2000年6月1日に、同年開催されましたハノーバー万博に合わせて開業され、年間200万人以上が訪れるとのことですが、社会見学らしき学生の団体も多く見られました。
 大注目は、何といってもプレミアム・クラブハウス内に展示されているミラーフィニッシュのブガッティ・ヴェイロンです。160万ユーロ、日本円約2億円のプレミアムカーは450台を完売し、残念ながら2015年に生産を終了したとのことでした。
 こちらは、巨大なツインの自動車サイロや自動車パビリオン、リッツカールトンホテルや乗車体験など、自動車マニアだけではなく、家族でも1日過ごせる一大テーマパークとなっています。えにし深い車文化とフォルクスワーゲン社への敬意、そして、フォルクスワーゲン社によるヴォルフスブルクへの郷土愛を感じました。
 午後からは、いよいよフォルクスワーゲン本社工場へ入りました。サビーネ・ラインケ氏にお迎えいただき、工場内をカートに乗って詳細な御説明をいただきながら御案内をいただきました。
 このフォルクスワーゲン社の本社工場では、1日に3820台の車が製造され、150カ国へ輸出されているとのことです。敷地面積は7.8平方キロメートル、75棟ある建物面積は1.6平方キロメートル、これはモナコ公国とほぼ同面積ということです。敷地を1周すると35キロメートルという世界一の自動車工場です。工場内には92カ国から訪れた5万2000人の従業員が働き、うち女性は17%とのことでしたが、大型の搬送車や製造中の車を動かす女性従業員も散見されました。
 視察終了後、自動運転について幾つか質問いたしました。最重要企業秘密となり公表できないということも多々ございましたが、「自動運転の自動車の多くはこの工場で生産することになるだろう」とコメントをされました。
 また、工場内は一切写真撮影が禁じられていましたが、約9000台の6駆動式ロボットが活躍し、生産性向上への取り組みがふんだんにされていました。
 ちなみに、私は昨年12月、登壇させていただき、最先端技術について質問させていただいた際に、「世界では、最先端技術開発にアメリカ、ドイツが先行し、中国は世界4大機械メーカーのドイツ・クカ社を買収しました」と御報告を申し上げました。このフォルクスワーゲン本社工場内で稼働している約9000台の6駆動式ロボットは全てクカ社製でございました。
 インダストリー4.0とは、製造業をコンピューター化し、有力ドイツICT企業が世界の製造業を組み込んでいくという極めてしたたかなドイツの国家戦略でございます。
 製造業をコンピューター化し、また、自動車をコンピューター化することで自動運転技術が進展します。自動運転技術が進展すると、陸を走る車だけではなく、空を飛ぶ車の誕生へとつながります。現実に、ドイツのイーボロ社はヘリコプター大の大型ドローン「ボロコプター2X」の開発を進め、2015年にドイツで操業を開始したリリウム・アビエーション社は5人乗り電動小型飛行機でことし4月、初の飛行実験に成功したとのことです。
 私は、製造業のコンピューター化は地方の担い手不足を解消し、自動運転や空飛ぶ車は地方の公共交通インフラの劇的な整備に寄与されるものと信じています。しかし一方で、この第4次産業革命の波に乗りおくれれば、我が国や本県の物づくりは大きなダメージを負う不安も持っています。
 第4次産業革命の波に乗りおくれることなく、本県の産業界が発展され、最先端技術の活用によって本県の地理的なビハインドを解消し、本県の物づくりや豊かな自然がとてつもない魅力となって世界に発信されますよう、引き続き調査研究に取り組んでまいりますことをお誓い申し上げまして、ドイツ訪問におけるインダストリー4.0現場視察の御報告とさせていただきます。
 続いて、一般質問に入らせていただきます。
 さて、フォルクスワーゲン本社工場で稼働しているクカ社のロボットは6駆動式ですが、昨年11月とことし3月にも訪れました北九州市の安川電機社では、7駆動式ロボットの開発に成功しています。その安川電機社は、もともと炭鉱で活躍した採掘用のモーターを製造していた会社ですが、昨年、中国の奇瑞汽車と手を結び、EV、電気自動車向けモーターへの本格参入をされました。
 また、ことし4月に新島議員、堀議員、中西議員と訪れました本田技研工業社では、EVよりエネルギーをためられ、安全性も高くCO2を排出しない水素カーを開発し、2030年に向けて普及に取り組まれています。
 そして、同日訪れました藤沢市では、パナソニック社が牽引して再生エネルギー発電や防災機能を備えたスマートタウンを構築しています。
 さらに、先日訪れました日立製作所横浜事業所では、IoTを活用したオフィス最適化、また働き方のワークスタイル変革など、スタッフの皆様がいかに我慢せず快適に仕事をする環境でありつつ、あらゆるデータを生かして省エネ及び生産性向上を追求しています。効率のよいエアコン稼働であったり、ビジネス顕微鏡によるスタッフ間の会話時間分析であったり、果てはトイレの個室の空き状況まで自席のパソコンからチェックできます。
 このように、我が国の物づくりはドイツやアメリカを初め、世界に匹敵する最先端の技術を有していると私は確信をしています。
 折しも先日、本県選出の参議院議員世耕弘成経済産業大臣は、これからの我が国の物づくりが進むべき道として、コネクテッド・インダストリーズという概念を打ち出されました。このコネクテッド・インダストリーズとは、日本では企業同士の競争領域と協調領域が分かれていないので、競争領域を限定し、協力できるところは協力していくことで世界と戦いやすい環境をつくるというビジョンでございます。
 去る6月19日に、経済産業省が開催した「“Connected Industries”シンポジウム」冒頭にて、世耕大臣は、「日本企業は狭い国内で激しく競争してきたこともあって、協調が下手である。しかし、コネクテッド・インダストリーズでは、協調領域を最大化してさまざまなつながりを生んでほしい。人と人が世代を超えてつながっていく、コネクトされた物づくりや産業という方向性を示すのがコネクテッド・インダストリーズだ。今後は、全ての産業政策をコネクテッド・インダストリーズを旗印に集中させていく」と語られています。
 そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。
 このコネクテッド・インダストリーズについて、どのような御認識をお持ちでしょうか。また、今後の県政にはどのように御反映されるおつもりでしょうか。知事の御所見をお聞かせください。
○副議長(山本茂博君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 日本の製造業の歴史を振り返りますと、かつて職人の技で継承されてきた技術をミニコンピューター、いわゆるミニコンを工場内の機械の制御等に導入することで技術を標準化させ、技術の伝承や生産性の向上といった課題を克服してまいりました。
 一方、ドイツは、なかなかそのマイスターの誇りというのは捨て切れなくて、こういうやり方に乗りおくれてきたのでちょっとおくれをとってきた、こういう歴史があるんですが、川畑議員の御視察の御報告をお聞きしておると、ついに本気になって、こういうことをごりごり始めてきたなというふうに思いました。
 議員御指摘の経産省が発表いたしました日本の産業が目指すべきコンセプト、コネクテッド・インダストリーズにおけるスマートものづくりにつきましては、御指摘のようにIoT、AI、ロボット、ビッグデータといった最新技術を活用し、コンピューターがみずから考え発信することで、つながって新しいものを生むということだと思います。
 日本は、すり合わせ型で、あるいはすり合わせ技術で特異な産業競争力を有しているという国でもあるんですが、そういう意味では、コネクテッド・インダストリーズというのは、こういう新しい技術体系に日本らしさもうまく加えて、発展の可能性を極大化する意義があるというふうに私は思います。さすが世耕大臣と、センスに感心をしております。
 県では、IoTやAIに関するセミナー開催による普及啓発だけでなくて、工業技術センターにおいて、3次元データやシミュレーションソフトを活用し物づくりの効率化を図るスマートものづくりを掲げ、県内企業の人材育成や導入促進にも取り組んでいるところであります。
 さらには、本年2月に締結した経済産業省の産業技術総合研究所との協定における連携事項の中で、県内企業のIoT活用の強化に協働して取り組むということとしております。
 さらには、ビッグデータ、IoT、AIの流れにあって、最も有望なのは統計データの利活用であります。これの最先端のインターフェイスであるところの総務省の統計局の統計利活用センターが和歌山市に来年4月から来てくれることになっております。県もしっかり支えて、新しい潮流を我が物にしていきたいというふうに考えております。
 そういった中で一例を挙げると、例えば有田市のミカン農家では大手IT事業者と協力し、糖度の高いミカンを効率よく収穫するためにセンサーやスマートフォン等を活用した先進的な事例もありまして、県としてもこういうIoTとかAIとか、そういう活用がうまくコネクテッドされて幅広い産業分野で進んでいくように、引き続き支援していきたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 世界の流れや国の流れに乗りおくれないように、また本県独自の産業を形成していただきますように、引き続きお取り組みいただきますようにお願いを申し上げます。
 次の質問に入らせていただきます。
 今期定例会冒頭におきまして、知事より「海外からの誘客についても、新たにドイツ、イスラエルといった新規市場の開拓を進めてまいります」との御説明がございました。
 実際にドイツを訪れ、ドイツ人は規律正しく、また優しい方が多いと実感をいたしました。ぜひお一人でも多くドイツから本県を訪れていただきたいと私も考えていますが、ドイツへの観光プロモーションは現在どのように展開されているのでしょうか、商工観光労働部長の御答弁をお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 平成28年のドイツからの訪日外客数は、対前年比12.7%増の18万3300人と堅調に推移しており、県内宿泊者数についても、対前年比74.5%増の8013人と過去最高を記録したところです。
 一方、ドイツ人出国者数が欧米諸国の中でも最も多いことを考えた場合、訪日者数はまだまだ少ない現状にあること、また、日本の歴史や精神文化、アウトドアアクティビティーに強い関心を持つ国民性が高野山や熊野に代表される和歌山の観光資源にマッチすることから、今後のプロモーションの展開次第では大きく伸ばせる余地のある有望市場であると考えています。
 このようなことから、県では、今年度新政策としてインバウンド観光戦略事業を立ち上げ、欧米豪の富裕者層に加え、ドイツ、イスラエル等の新規市場をターゲットとしたプロモーションを強化することとしています。
 具体的には、本年4月に県の多言語観光ウエブサイトにドイツ語版サイトを追加したほか、ドイツ人の関心の高い日本の精神文化や異文化体験、和歌山ならではのアウトドアアクティビティー等の魅力を発信するため、ドイツの現地旅行会社やメディアを招聘し、ファムトリップを実施していきます。
 また、ドイツにおきまして、主に海外旅行の計画、予約を行うシーズンである1月から3月の時期に合わせて職員をドイツに派遣し、現地で開催される旅行博覧会への出展やセールスコールにも取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 御期待申し上げますので、鋭意取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。
 では、次の項目に入らせていただきます。
 ドイツ通な方は、「ドイツを訪れるなら春がよい」とおっしゃるそうです。それは、3月末から6月半ばにかけて、一大特産のアスパラガスがテーブルに並ぶからだそうです。この時期のレストランでは、「メーンはお魚ですか、お肉ですか、それともアスパラガスですか」と聞かれるほどです。ドイツではアスパラガスをシュパーゲルと言いますが、ドイツのアスパラガスは非常に大きく、ホワイトソースをかけて食べます。私もドイツ滞在中に一度いただきましたが、そのやわらかさや甘さには大層びっくりしました。またドイツを訪れる機会がございましたら、ぜひまたあのアスパラガスを食べたいと思いますが、その場所へ行かなくては食べられないものや、その場所でしか体験できないことがあれば、人はその場所を訪れます。
 本県にもそんな魅力的なコンテンツはたくさんありますが、常に新たな魅力の創出に取り組んでいかなくてはいけません。
 去る3月下旬、新島議員や県の御担当の職員の皆様と御一緒に和歌山市古屋のアボカド農場を視察させていただきました。
 農場内には、12本のアボカド樹が植わっていましたが、1本から小さな実も含めて200から300個が12月から3月にかけて収穫できるそうです。こちらは潮風が当たることから、霜がおりない栽培の適地で、5月にはどこからともなくミツバチがやってきて受粉を手伝ってくれるとのことです。
 アボカドはカリウムやビタミンEをふんだんに含み、美容と健康によいと言われ、そんな食材として女性にも大人気です。また、メキシコからの輸入物と比べ、国産アボカドは格段のみずみずしさと品のある味わいを持ちます。現在、アボカド生産量日本一は愛媛県らしいですが、その生産量は年間おおよそ600キログラムとのことですので、本県もぜひ頑張って生産量日本一を目指していただきたいと思います。
 また、その数日後、沖縄県のコーヒー農場を視察させていただきました。
 従来、ブラジルなど1日の中で15度から25度くらいの気温差がコーヒー栽培には最適とされてきましたが、沖縄県では1年を通して12あるいは13度から32~33度という気温差があり、沖縄珈琲生産組合の宮里組合長を初め、組合員の皆様による30年もの御努力の中で、新たなコーヒーの産地として確立してこられました。コーヒー栽培には、気温差のほかに真夏の直射日光、台風、寒波の3つをいかに防ぐかということが肝要とのことです。この沖縄産コーヒーは、ネスカフェやサントリー、UCCとの取引も始まり、16度から21度という高い糖度とたくさんのポリフェノールを含むことから、ジャムなどの加工商品もつくられています。
 地球環境の変動や生産者の皆様の御縁や御努力の中で、私は、本県でも今後新たな品目が、文字通り花を咲かせる可能性は非常に高いと考えています。
 そこで、お尋ねいたします。
 アボカドやコーヒーなどの新品目導入に対する支援策としては、どのような取り組みをされているのでしょうか。農林水産部長の御答弁をお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県では、果樹農業振興特別措置法に基づき、10年後を目標とした振興方針を示した県果樹農業振興計画を平成28年3月に策定しております。
 その中で、果樹農家の経営安定を図る観点から複合経営を推進するとともに、新品目については、多様化する消費者ニーズに対応するため、適地性を十分考慮しながら導入を進めることとしております。
 しかしながら、新品目導入は、栽培技術が確立されていない、販路開拓が必要であるといったリスクがあります。このため、県では、新品目導入にチャレンジする農家に対して、試験研究機関や普及指導員による助言に加え、県単独事業果樹産地競争力強化総合支援事業で、苗木代や土壌改良資材等への支援を行っているところです。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 御答弁をいただきました。ぜひ、意欲のある、また御興味のある生産者の方にチャレンジしていただきやすいような環境づくりに努めていただきたいと思います。
 今、御答弁いただきました果樹産地競争力強化総合支援事業は、最寄りの振興局や果樹園芸課が窓口とお聞きしております。生産者の皆様が御相談に来られた際には、認定基準や採択基準などの御説明も含め、丁寧な御対応をいただきますように要望申し上げます。
 では、次の質問に入らせていただきます。最後の項目でございます。
 私は、前職、世耕弘成参議院議員の秘書時代より、病児・病後児保育について調査研究を続けてまいりました。
 病児・病後児保育については、先ほど御登壇されました森礼子先輩議員が御熱心に取り組まれ、また、軽度体調不良児への対処については、午前中御登壇されました菅原議員が御指摘されました。そして、子育て支援については、これまで多くの先輩議員の皆様が御質問をされてこられています。
 私も、本日までに幾度かのタウンミーティングを開催してアンケートを実施し、ドクターや幼保関係者、中小零細企業経営者からのヒアリングや意見交換などをしてまいりました。その中で、施策立案に際して極めて重要な視点が見えてまいりましたので、このたび提言をさせていただきます。
 病児・病後児保育は、病児期の子供あるいは病後の回復期にある子供を預かってくれる制度で、子育てと仕事の両立を図る支援策として、国も補助制度などを創設して推進しています。午前中も御答弁ございましたが、本県内でも、病児・病後児保育に対応している病院や保育所などは10施設あり、広域での利用を含めると14市町が利用可能となっています。この制度は、子育てをしながら働く親からすると必要な制度であると私も認識をしておりますので、現状の病児・病後児保育が一層拡充されますことを期待しているところでございます。
 ただ、私がこのたび提言させていただきますのは、この方向ではございません。子供の視点を大切にした支援策であり、子育て支援ではなく子供支援と呼べる新たな制度を確立する必要があるということでございます。
 病気になった子供からすれば、親にはそばにいてほしいということが本音であろうと思います。報酬の問題や職場環境の問題で、子供が病気になっても職場を離れられない大人の事情も大人にはございますが、子供にも子供の事情や本音がございます。子供の視点を含め、多様なニーズや多様な状況に応えられる多様な制度を確立することが豊かなまちづくりへとつながり、そして、安心して子供を産み育てることができる環境を整えていくことが、本県の大きな魅力として発信されるであろうと考えています。
 そこで、まずは子育てと仕事の両立支援として、国の制度や本県の取り組みについて改めてお尋ねいたします。商工観光労働部長より御答弁をお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) まず、国の法制度ですが、子育てしながら企業で働く女性等を支援するため、育児・介護休業法において、育児休業制度や短時間勤務制度のほか、子供が病気にかかったときに取得できる看護休暇制度などの制度があります。また、国の助成制度といたしましては、子育てと仕事の両立支援に取り組む企業に対して、育児休業取得者の代替要員の確保や育児休業からの復帰等を支援するための制度が設けられております。
 議員御指摘の父親あるいは母親が子供の看護のために気兼ねなく休暇を取得できる職場環境を整備するには、経営者、従業員双方の理解と意識改革が必要です。そのため、県では、企業に先進企業の取り組み事例や活用できる助成制度等の紹介を行うとともに、労使を対象としたワーク・ライフ・バランスセミナーや経済団体等への出前講座を実施しているところです。
 さらに、子育てしやすい職場環境づくりに積極的な企業の実践例を働く女性の応援サイト「ハッピーワーカー」で広くPRするとともに、企業に専門家を派遣し、両立支援のための就業規則の見直し等への助言指導も行っております。
 今後も、関係機関と連携しながら、県内企業において子育てと仕事を両立できる職場環境づくりがより一層進むよう取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 御答弁をいただきました。
 育児・介護休業法で定められている看護休暇は、子供が病気やけがをした場合だけではなく、予防接種や定期健診に行くためにも労働者が休暇をとることができる制度で、ことし1月1日に改正案が施行されています。
 ただし、看護休暇を取得した際の給料までも保証せよと法律が定めているわけではございませんので、民間企業の場合はほぼ無給か一部有給となっているようです。某民間企業経営者によりますと、「パート、アルバイトの従業員に看護休暇の際の給料を企業側が保障することは現実的にはあり得ない」とのことです。また、「企業側が給料を保証するとなると、従業員は心情的には余計に看護休暇をとりにくくなるだろう」とのことでした。
 いずれにしましても、まずはこのような制度があるということを広く認知させることが肝要です。県内企業の皆様に周知していただきますよう、あわせて引き続き御努力をお願いいたします。
 さて、ただいまの御答弁の中で、親が子供の看護のために気兼ねなく休暇を取得することができる職場環境を整備するためには、経営者、従業員双方の理解と意識改革が必要とのお言葉がございました。私もそのとおりであると認識をしています。
 その観点から、本年度の新政策、結婚・子育て応援企業同盟という事業について大きな期待を寄せています。当該事業につきましては、中本先輩議員の御質問への御答弁でも少し触れられていましたが、改めてお尋ねをいたします。
 この結婚・子育て応援企業同盟は、今後どのような事業として実施されるのでしょうか。福祉保健部長の御答弁をお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 本年3月に策定しました和歌山県長期総合計画にも記載しているとおり、子供が健やかに成長できる環境を実現するためには、仕事と子育てが両立できるよう、地域や企業など社会全体で子育てを支援する仕組みを充実させることが重要であります。
 議員御質問の結婚・子育て応援企業同盟は、県内企業と連携して、社員の結婚や子育て生活を応援し、安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めるための今年度の新政策でございます。
 具体的には、社員が育児休業や看護休暇、短時間勤務等の制度を利用しやすい職場環境を整えているといった一定の要件を満たす企業を同盟として組織化することとしております。また、同盟企業同士がそれぞれの制度をお互いに情報交換することで、よりよい制度が広がるよう進めてまいります。
 同盟結成後は、県がホームページや「県民の友」、さらには地域の情報誌へ掲載するほか、就職活動中の学生や一般求職者向けの紹介冊子を作成、さらに配布し、県内外に広くPRすることにより、同盟企業へのすぐれた人材の確保にもつなげてまいりたいと考えております。
 今後は、県下の企業に広く参加を呼びかけることはもちろんのこと、県も同盟に参加するとともに、市町村にも積極的に参加を呼びかけるなど、県全体で同盟の活動を盛り上げるよう取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 ぜひ、県全体で同盟の活動を盛り上げていただきますようにお願いを申し上げます。
 最後に、要望を1点申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、病気になった子供からすれば、親にはそばにいてほしいということが本音であろうと思います。
 こう見えて私にも2人の子供がおりまして、娘は3月3日生まれの小学校2年生で、息子は2月14日生まれの幼稚園年長です。今は2人とものほほんと毎日を過ごしていますが、娘は1歳のときに大病を患い、1週間ほど母親とともに入院したことがございます。
 連日40度を超える熱を出し、体中に機器を取りつけられた娘を、私は通勤前の早朝と仕事を終えた夜遅くに見舞っていたのですが、囲いのあるベッドの中で娘は大声で泣きわめいているか、泣き疲れて寝ているか、どちらかでした。起きている際に私を見つけると、ふらふらと寄ってきては、ここから出してほしい、体に取りつけられた機器を外してほしいと言わんばかりに泣くのでしたが、私が部屋を出る際には一層大きな声で泣きわめいたものでした。
 また、息子も一度だけ40度を超える熱を出して幼稚園を休んだことがございます。朝、息子の手を握りながら「大丈夫か」と尋ねると、真っ赤な顔をした息子は一筋の涙を流しながら「しんどい」と声にならない声で答え、ぎゅっと手を握り返してきました。また、私が「仕事へ行ってくるね」と言うと、息子は真っ赤な顔をして一筋の涙を流したままで「お仕事頑張ってね」と手を振って答えてくれました。
 私は、1期生とはいえ、地元の皆様から負託を受けた議員ですので、子供が病気の際にはそばにいたいと申し上げるつもりはございません。しかし、世の子供にとって、常に親にはそばにいてほしいものであり、病気の際にはなおさらそばにいてほしいと必ず思っているはずです。そして、それは親にとっても同じで、子供が病気の際にはそばにいたいと必ず思っています。
 つまり、子供が病気になった際に、子供を施設に預けられる制度だけではなくて、親が仕事を気にせずに子供を迎えに行き、家で安心して看護できる制度も確立するべきでございます。その制度は、子供を迎えに行く親に一定の報酬を担保し、労働力が抜ける職場には一定の労働力か企業のブランドイメージをプラスする制度となります。
 シルバー人材や派遣制度による代替要員の報酬を親にも案分できるようにする補助制度であるとか、県条例による目的税課税やふるさと納税を活用した原資による病児・病後児保育保険制度創設であるとか、保険制度を産休育休、そして病児・病後児保育や看護休暇にまで拡充するよう国に要望していくことであるとか、制度確立に向けて検討すべき選択肢は幾つもあると思います。
 ちなみに、ドイツも導入している在宅育児手当を、鳥取県は本年度より、都道府県としては全国初の試みとして始めたそうです。本県でもぜひ御検討いただきたいと思います。
 ザ・イエロー・モンキーの名曲「JAM」は、私も大好きな曲でございますが、その中で「あの偉い発明家も凶悪な犯罪者もみんな昔子供だってね」と歌われています。発明家と犯罪者、その分かれ目が一体どこにあったのかをエビデンスとしてデータでお示しすることは困難ですが、多くの教育者が、子供が親を必要としているときに、子供と適切で濃密な関係を築いていくことが可能であればあるほど、子供が優良納税者へと成長する可能性が高いという旨の御指摘をされています。
 また、日本総合研究所の池本美香主任研究員は、「ヨーロッパ諸国では、子供を長時間預けたり、ぐあいが悪いときに親と離れて過ごしたりすることは、子供にとってマイナスだと考えている。日本では、子供が親と長時間一緒に過ごせずストレスを抱えている問題に目が向けられず、子供がどう感じているのかを考えない。育つ環境が悪ければ後に問題行動も起こる」と論じられています。
 親子の情がより実現されやすい社会をつくるために、子供が親を必要としているときにより長く一緒にいられるように、私も引き続きこの制度確立に向けて全力で取り組んでまいります。
 どうか仁坂知事初め当局の皆様にも、御担当の部局を精査していただき、子供の視点を大切にしたもう1つの病児・病後児保育制度の確立に向けて全力で取り組んでいただきますよう、心からお願い申し上げます。御一緒に頑張りましょう。そのことを強く要望申し上げまして、私の人生4度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、6月26日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時13分散会

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