平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 皆さん、こんにちは。午後からのきょうの日程の3番目ということで、ぜひ皆さんの御清聴をよろしくお願い申し上げます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って3点について質問をいたします。
 まず1点目は、共謀罪法について知事にお尋ねいたします。
 通常国会が閉会しました。今国会で最大の問題となった共謀罪法の問題点、学校法人加計学園の獣医学部新設をめぐる疑惑や森友疑惑など、徹底審議を求める国民の声がありながら、その声を無視しました。共謀罪法では、与党は一方的に審議を打ち切りました。参議院法務委員会審議を事実上封じ、委員会採決を抜きにした中間報告という形で国会ルールを無視し、強行採決。そして、国会を閉じました。
 このような最近の安倍政権の国会運営に対して、知事はどのようにお感じになっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御質問の国会運営につきましては、県議会に対する知事の対応ならばともかく、国会のこと、まして国会が議事をどう進めるかということでありますので、県知事として意見を述べることは差し控えたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私は、国会運営に対して知事はどのように感じておられますかということをお尋ねしたんですが、国会運営に知事が介入してほしいと、そういった意味では全く、また国会運営に対してさまざまな運営に参加する、それはできないことも重々わかっています。その上で、今こういった国会で、最高機関の法律を決めるところで審議が打ち切られたり、そういう形で進めていることに、県知事としては、県民の皆さんの選挙で選ばれた方ですし、そういった点でどのようにそういったことを感じられているのか、お聞きをしたかったんですが、残念でございます。
 次に、共謀罪法について知事にお尋ねします。
 安倍首相は、2020年までに憲法9条を改憲すると表明をしました。国民に不安が広がっています。これまでの特定秘密保護法、安保法制、そして共謀罪法成立という流れを見て、戦争する国になっていくようで怖いというまちの声をよく聞きます。私も大変危機感を感じるところです。
 5月29日に、和歌山弁護士会からも、共謀罪法成立に反対する会長声明が政府や各政党に送付されました。この法律は思想や内心を処罰する違憲立法であると思いますが、知事はどうお考えでしょうか、お答えいただきたくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) そもそもテロリズムは、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れ等を強要し、社会に恐怖等を与えることを目的として人を殺傷するような行為でありまして、断じて許されるものではないと思います。私は、そうした思想を抱くこと自体許されるべきものではないと思うんであります。
 奥村議員には、そんな思想を抱き、犯行を心中で計画しているやからを是認していいと、あるいは、是認とまではいかなくても等閑視していいとおっしゃるのでしょうか。私は、心優しい奥村議員はそんなことはないと信じております。しかし、そういう正義の気持ちをそのまま可罰罪にするということは、やっぱり憲法との関係で踏みとどまったと私は推測しております。
 憲法で保障された思想・信条の自由を尊重する立場から、今回のテロ等準備罪処罰法は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に絞り、かつ対象犯罪を限定的に列挙するとともに、計画行為に実行準備行為が加わって初めて処罰されることになっておりまして、違憲の議論が出てくる可能性がある手前で法秩序をつくったものと私は思います。これでも奥村議員は違憲だと言うならば、その憲法解釈はどうなっているのか、お聞かせ願いたいというふうに思います。
 世界中、現在、テロなどの凶悪犯罪が行われる中で、テロ等準備処罰法を制定することによりテロ犯罪による被害の発生を未然に防止するための規範をつくるということは、私は市民として、一国民としてありがたいことだと思っています。仮に、そういう犯罪を実行しようとしている人々を、法の規定がないからといって、わかっているのに警察が手をこまねいていたら、それこそ恐怖でありますし、逆に、テロを起こしそうだというやからがわかっているので、法の規定がないんだけど、だけど正義の気持ちから勇気を持って何か警察権力が動いてしまったとすれば、それこそやっぱり、まあ一部喝采はあるかもしれないけど、問題は問題、法治国家として問題だということなんで、法規範をつくっておくということは大事なことだというふうに思います。
 一方、法の規範を超えた運用が行われるということを、戦前の警察の横暴になぞらえて懸念する声があるということも私は承知しております。しかし、これは、仮に警察がそのようなことをしても、今それを懸念して問題にしておられる奥村議員のような方が何も言わないで、マスコミも全然騒がないで、司法も判断を放棄して、最後は国民が選挙という最大の手段で何もしないという前提で考えている議論ではないかと私は思うわけであります。
 現実には、今の民主主義の日本においてはそんなことが行われるはずがない、あるいは許されるはずがないというふうに私は思います。一般に起こり得る不都合をいろいろ想像して議論しておくことは大変大事でありまして、そのための対策をとっておくということも同様であります。しかし、昨今よく起こることは、その生じるかもしれない不都合を恐れる余り、その原因となる本当の不都合を等閑視する風潮ではないか、そんなふうに私は思います。
 「あつものに懲りてなますを吹く」という言葉があります。しかし、現在よくあり得るのは、あつものに懲りて一切物を食べなくなって死んでしまうというようなことがあってはやっぱりいかんのではないか。社会でもそうであろうと思います。今回の議論では、そういう心配があるのに、みんなそういうことを言わないなあというふうに私は感じております。
 いずれにしても、近年、世界各地において大規模なテロが続発するなど、国際情勢が不安定な状況にあり、3年後の2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えていることを踏まえれば、我が国において、テロを含む組織犯罪を防止し、国民の生命、安全を守る体制を整備しておく、それが欠けてるところがあったら欠けてないように補っていくということは、極めて重要なことであると私は思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ことしは、憲法施行70年です。安保法制の強行可決により、立憲主義が危うくなっていると感じずにはおられません。TPPや年金、カジノと3つの重大法案も会期末の衆議院で強行採決によって可決しました。山本農水大臣は、審議前からTPP承認案を強行採決する発言を行い、三権分立を侵す大問題となりました。
 年金カット法案では、衆議院厚労委員会で安倍総理は「私が述べたことを全く理解いただけないのであれば、こんな議論を何時間やっても同じ」と審議打ち切りを示唆する発言まで行いました。カジノ解禁推進法に至っては、会期延長して審議入りし、わずか6時間足らずで強行採決、さらに再度の会期延長まで行い、成立させました。そして、先日の共謀罪法の強行採決です。どう考えても横暴なやり方です。トップの政治姿勢が大きく問われる問題ではないでしょうか。
 共謀罪法の成立は、県民生活にも大きく影響するものだと思います。監視社会をつくるものだと私は考えています。この法律は、その人が何をしたかではなく、何を考えたか、何を合意したかが処罰の対象になり、内心の処罰につながるのが問題の本質だと考えます。憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由などを侵害する違憲立法です。
 政府は、東京五輪・パラリンピックを開催するには国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結が必要であり、そのためのテロなどの準備罪だと言います。TOC条約がテロを対象としていないのは明らかです。この条約は2000年につくられ、その主眼はマフィア等による麻薬の密輸で、人身売買など国際的な経済犯罪の処罰化です。国連がテロ防止のための国際社会の文書として挙げている14件の条約に、TOC条約は入っていません。このうち日本は13件の条約に加入しています。そもそも、この条約を持ち出してくるのが筋違いではないでしょうか。安倍首相は、東京五輪・パラリンピック開催では、東京は世界有数の安全な都市と言って誘致したのに、全く矛盾していると思います。
 日本には、銃刀法、凶器準備集合罪ほか66の重大犯罪について、未遂の前段階で処罰できる国内法が整備されています。ハイジャック防止法、サリン防止法など具体的なテロを想定した法律もあり、既に現行法で対応できるものです。戦争法をやめるほうが、日本がテロのターゲットにならないことにつながると思います。
 政府は、組織的犯罪集団や実行準備行為という要件を加えたから一般人は対象にならないと言ってきましたが、金田法務大臣は、NPO法人、サークル、草野球チームも対象となることを認めています。捜査機関が怪しいと思った時点でその集団を調べる、結局誰もが対象になり得るということだと思います。金田法務大臣は、行為の目的をしっかり調べると答弁しています。まさに、内心を探って処罰するということです。日本弁護士連合会や単位弁護士会52のうち47弁護士会、日本ペンクラブ、刑法学者有志、地方紙の社説・論説でも反対しています。共謀罪法は廃止すべき法律であることを述べて、次の質問に行かせていただきます。
 2点目は、元請企業による一人親方の雇用保険加入の強要問題についてお尋ねいたします。
 建設業などで、労働者を雇用せずに自身のみで事業を行う事業主を一人親方と言います。従業員を持たない点で、個人事業主とは異なるということです。今回、民主商工会の団体の方から相談を受け、私自身、新たに認識することになった一人親方の問題について、お伺いいたします。
 大手企業の現場で働く一人親方に対し、元請企業が平成24年11月施行の社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの趣旨を無視して、法令上加入義務のない保険への加入を迫られた結果、廃業に至るという異常な事態が起き、多くの相談が和歌山民主商工会に寄せられました。昨年春以降だけで10数件に上ります。
 「雇用保険に入ってくれ。そうでないと仕事を出せない。現場から出ていってもらうことになる」と言われました。県内大手企業の下請で働く一人親方の事業主Aさんが、元請企業の管理職から突然声をかけられました。最初は、何を言われているのかさっぱりわからなかったと言われていました。雇用保険の対象は労働者、従業員であって、事業主ではありません。さらに、この管理職の方は、Aさんを含め一緒に仕事をしている5人の一人親方のグループに「事業体をつくり、雇用保険に入ってくれ」と打診してきました。ほかにも、電気工事や鍛冶工、とび工などの一人親方からの相談が相次いでいるということです。
 インターネットでも以下のような声を見つけました。2017年、ことしの3月22日、一人親方の雇用保険加入について質問されている方のお話です。
 「ことしから建設業界で仕事を受ける場合、労災や雇用保険の加入が必要になってるようで、当方も仕事をもらうために労災や雇用保険の加入を余儀なくされています。 労災に関しては数ある労災組合の中から適宜選んで加入すれば済むことなのですが、問題が雇用保険です。雇用保険は、一人親方である当方には加入資格がありません。加入するには、誰か1人でも雇用しているということが条件になるようです。当方に仕事を投げてもらうには雇用保険が必須と言われ、それなら投げてくれる会社の雇用保険に加入させてもらえればと考えたのですが、その会社の従業員ではないので加入させられないとの回答でした。 そこで、是が非にも仕事をもらうために、雇ってもいない人を雇用しているという状況をつくってまで雇用保険に加入しなければならないと思い詰めています。要するに、知人に頼み、当方で雇用していることにしてもらうということです。大手建設会社からA社、工務店、そして当方という順番で仕事を投げられてきますが、私の収入は、A社から工務店の口座を挟んで振り込まれてくるそうです。当方に仕事を回す条件として、労災に加入、雇用保険に加入、工務店を挟むということが条件です。ただ、労災と雇用保険の加入に関して元請の大手建設会社がうるさく言ってくるので、A社が当方に雇用保険の加入の強要をしてくるわけです。それがなされないと仕事を回せないとA社が言ってくるわけです。今後、建設関係は一人親方の雇用保険の問題をどうすればいいのかわかりません」と、このように切々とつづられています。
 建設業に従事する一人親方については、建築物が完成するまでそれぞれ専門的な技能が要求され、さまざまな工事が建設工事全体をなしています。一人一人プライドを持って仕事をされていると思います。出入りする業者さんを見るとわかります。「全国商工新聞」には、「私は事業主として生きてきた。従業員になることは自分の性に合わない。これからも一人親方としてやっていきたい。事業主としての一人親方は生き方の問題でもあります」と書かれています。
 プライドを踏みにじられ、希望をなくし、その上に生活不安がのしかかってくる事態を早急に改善すべきと考えます。県としての対応と対策について、県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 一人親方の雇用保険加入について、お尋ねをいただきました。
 雇用保険につきましては、社会保険とともに、その未加入対策の推進が労働者の就労環境の改善となり、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保が可能となりますとともに、各事業者の公平な負担により健全な競争環境の構築が可能となりますことから、国土交通省を初めとする関係者が一体となって取り組みを進めてございます。
 それに際し、国土交通省が平成24年11月に、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを施行し、建設業における雇用保険や社会保険の加入促進の取り組みを進めてまいってございます。
 このガイドラインにおきましては、遅くとも平成29年度以降、適切な保険に未加入の作業員は、特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取り扱いとすべきとしてございます。しかしながら、この「適切な保険」については、雇用する企業の法人と個人事業主の別や規模等により加入すべき保険が異なっておりますため、ガイドラインでは、法令上義務のある保険への加入を求めているものでありまして、義務のない保険への加入まで求めているものではないとされてございます。
 和歌山県としては、県内の建設産業においてガイドラインの内容を十分に御理解いただけるよう、ホームページや建設業協会を通じて正しい趣旨の周知に努めますとともに、建設業全般に関する相談窓口を県庁技術調査課及び各振興局建設部に設置してございますので、この利用促進を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国のガイドラインを示して、それに沿って、誤った形で元請会社がそれぞれの一人親方にそういう雇用保険に加入することを強要するというようなことが実際にあったということは知っていただけたかと思います。その点では、まだこういった方については適切な形で働きかけができますが、実際にわからない人もたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思いますので、そういった点で、先ほどおっしゃってくださいました各振興局や技術調査課、県庁においても、相談窓口を通して利用促進を図っていきたいとおっしゃってくださったので、ぜひともしっかりとやっていただきたいなと思います。
 そうでないと、こういった中で無理にグループをつくって、一人親方から事業主になって、それぞれにまた給与を払わないといけないとか、そういった中では消費税も生じてくる中で、本当に生活困難に陥っているという状況も出てきていますので、実態などもぜひつかんでいただいて、対応を今後とも強めていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 3点目、行かせていただきます。最後、3点目の質問をさせていただきます。
 これまで、12月議会、2月議会において、太陽光発電計画についてお聞きしてまいりました。今回は、園部、六十谷、直川地区の計画についてお尋ねしたいと思います。
 1つ目は、環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全についてお尋ねいたします。
 まず最初に、環境生活部長にお尋ねいたします。
 この事業は、環境影響評価法、県の環境影響評価条例の対象外になっていますが、75ヘクタール未満であれば、要件を満たせば次々と事業が可能となってしまいます。これでは、環境保全を進めている県にとってもぐあいの悪いことになるのではないかと思いますが、その点で環境生活部長、お答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全についてですが、土地の状況や事業内容に応じ、森林法など個別法令による規制がありますことから、その中で環境の保全が図られることになります。
 なお、事業者が環境影響評価手続を免れるために意図的に事業を分割していると認められるような場合には、手続の実施を求めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ほかの県では、環境アセスを厳しく行っているところもあると聞いています。例えば、隣の県の三重県なんかでは20ヘクタール以上はアセスをするということで、また30ヘクタールや、全国的にも幾つかあるかと思います。国も、環境保全施策は一般的に、地方公共団体による先駆的な取組により開始され、やがて国の施策を定着させることにつながっていったという認識を環境庁の平成11年版「環境白書」にも述べられています。日本の環境行政における自治体の役割の重要性という点でも、OECD環境政策委員会の国別レビューでも指摘されています。そういったことは、国際的な認識になってきていると思います。
 地方分権の進展に伴って、自治体環境行政現場からの法政策の発信を積極的に行っていただきたい。そういった点からも、和歌山県、和歌山市は、ある程度景観を守る立場から景観のガイドラインなどを決め、取り組みが進められていると思います。さらに、今の和泉山脈全体を守る立場から、積極的な取り組み、検討が必要ではないでしょうか。
 和歌山県の森林による二酸化炭素の吸収等環境保全活動認証事業、認証実績というのがせんだって資料提供され、その中で今現在、団体数が48団体、企業の森というようなことだと思うんですが、その点で植栽面積が今は125ヘクタールになって、100年で5万3200トン二酸化炭素を吸収できると、そういった計算をされています。一方で森林を守るためにこういったことの事業を取り組みながら、これで植栽面積125ですから、今度の林地開発は74.3ですが、また、その反対側でも開発事業を計画されていると。それも含めて2つ合わせると、やはりかなりの、植栽面積より大幅に大きくなっています。
 一方でそういったことで森をつくるということをやりながら、こっちでは森を壊していく、伐採するというようなことになっている点で、ぜひとも今後ともそういった点も含めて、和泉山脈を全体としてどう森を守っていけるのか、そんな観点で県としても取り組んでいっていただきたいなということを要望させていただきます。
 次に、県は事業の執行に当たって、周辺の自然景観並びに種の保存法で指定されている国内希少種及び和歌山県レッドデータブック記載の絶滅危惧種の保護について、十分な配慮を求めています。
 私は、この間何度か、専門家の方や住民の方と、御協力をいただいて、ごくごく一部の地域ですが調査に出かけました。そこで、レッドデータブックに掲載されている希少動植物にも出会うことができました。
 ここで、十分な配慮とはどのような内容でしょうか、その点について環境生活部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 希少動植物保護への配慮についてでございますが、開発事業者に配慮いただきたい内容としては、種の保存法及び和歌山県レッドデータブック記載の絶滅危惧種につきまして理解し、開発予定区域内における状況を把握すること、また、対象種の存在が判明した場合の保全方法といった点について、適切な対応をお願いするということでございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 事業者に求めるということですが、その事業者が適切にやってるのかどうか、適切な対応をお願いしていると言われていますので、適切な対応をしているかどうかというところで、県がしっかり見ていただきたいなと思っています。
 この間、調査にも行かせていただいたら、鳥ではキビタキ、植物ではナンゴクウラシマソウ、また、両生類ではヤマアカガエル、いずれも絶滅危惧Ⅱ類また準絶滅危惧種の動植物を発見することができました。そういった点で、県としましても実態、自然環境の状況、そういったことも含めてしっかりと調査や把握をしていただきたいなというふうに思います。山の自然の実態をしっかりと把握して、そのためには、市民の皆さんからも協力を得ることも私は大事ではないかなと思うんですが、通報があれば積極的な対応をお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 3つ目は、私は12月議会で、一般的に林地開発許可に必要な利害関係者の同意についての対象範囲をお聞きしました。農林水産部長は、対象範囲については「森林法の許可基準である災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全に関する4つの要件で、直接的に影響が及ぶ範囲内の関係者で、一般的には隣接する土地所有者や地元自治会、水利組合等を想定しております」と答弁されました。林地開発事前協議申出書に対する意見では、地元関係住民の理解を得ることとなっています。
 この森林法の許可基準とはどういったものでしょうか。具体的に答弁をお願いいたします。農林水産部長、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 林地開発許可制度では、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境保全という4つの要件が許可要件となってございます。
 まず、第1点目の災害の防止につきましては、切り取り勾配や盛り土勾配が適切に計画されているか、のり面保護ののり面安定対策がなされているか、開発地内の土砂流出対策、排水対策が適切であるかなどを審査いたします。
 次に、2点目の水害の防止につきましては、森林を開発することによって増加する水量を下流河川等に安全に流下させるよう、適切に調整する計画になっているかなどを審査いたします。
 3点目の水の確保につきましては、飲料水やかんがい用水等の水源となっている森林を開発する場合、周辺における水利用の実態等から見て、必要な水量が適切に確保されている計画となっているかどうかなどを審査いたします。
 最後に、4点目の環境の保全につきましては、開発行為の目的に応じて定められている残すべき森林の割合や、その配置が適切かなどについて審査することになります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、4点について災害の防止等を含め非常に大事な点ばかりで、直接やはり住民の暮らしにもかかわってくる問題ばかりだと思います。特に、私は、ここで災害の防止という点で、どのように具体的に調査、探査をするのかという点で再度お聞きしたいと思います。というのは、実はこの行かせていただいた中でも、この計画地の中で、かなり地質やそういった面で地すべり状況というのは認められました。
 地すべりは、斜面の一部あるいは全部が重力によって斜面の土砂や地層が塊となって斜面下に滑り、移動する現象だということで言われています。したがって、すべり面がない土砂崩れによる斜面崩壊や崖崩れとは違うということです。こんな点で、地震とか地すべりと地層は密接に関係しているのではないかということで、降雨とか雨とか、そういった地下水の上昇とともに、地震や斜面形状の変化、あるいは人為的に変化などがあれば、きっかけとなって地すべりを発生させるということで、地層災害は地すべりなど地層の突然の動きによる災害ですということで言われています。
 そういった点も含めて、ぜひとも、この4点について審査をするということですので、地質図も含めてしっかりと見ていただいて、災害防止をしていただきたいと思いますので、もう一度、どのように具体的に調査を進めていくのか、再度お尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 具体的な調査や探査についてでございますが、申請書が提出されました場合に、申請書に記載されている地形、地質等について地形図や参考文献等により確認するとともに、主要防災施設の設置計画箇所が適切であるかどうか、森林の状況等を現地にて調査いたします。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 皆さんのお手元に、きょうは地形図を配らせていただきました。これは、加太から今回の計画地の全体を示して、その隣に詳しくこの計画地の地質図を資料として出させていただいています。
 皆さんの、この茶色と黄土色ということですが、その点について、これは茶色は泥岩優勢の砂岩、泥岩ということの互層になってます。黄土色が砂岩優勢のものです。そういったことで、ここは非常にそういった砂岩、泥岩の互層になっているということで、あと、千手川のほうは水位が上昇したり、洪水時には非常に狭くなっていまして、下流のほうに行くと集積域ということで、この点々があるところは古い扇状地を示しています。この堆積域というところが非常に古い扇状地に挟まれた下流のところですが、土地が少し低くなっていて、堆積域ということですので、洪水やそういったときに非常に危険な状況があるんではないかと思っています。こういう意味では、この時代は随分、中世代ということで、恐竜があったり隕石の衝突があったり生物の大量絶滅とか、そういった時期の白亜紀という地層だそうです。
 こういった点で、非常にこんなところの木を伐採する、森を切る、そういったことで言えば、どのようなことが起こっていくかということも大変不安な要素と思っていますので、その点も含めてしっかりと地質の調査も、ぜひ、もしそういうことがあればしていただきたいと思いますし、そういう計画の前の段階でも、住民の方が安心して、やはりどういう基準でどうされているのかをぜひわかりやすく丁寧に対応していただきたいなというふうに思っています。
 最後なんですが、要望ですが、こういった大変な計画の中では、幾つもまだまだ住民の方が不安を持っています。例えば、私も大変不安に感じているのは、事業者さんが調整池を防災のためにつくります。その調整池を20年後には、事業を終えれば砂防ダムにして地域の人にお返ししますと言われていますが、砂防ダムと調整池との構造は多分違うんだと思うんです。そういうことを住民の皆様に言われて、そうやって説明をするという点についてもぜひ知っていただきたいなという点とか、また、前回の議会のときもお話ししましたが、井戸水で生活している方にとっては、水の確保とか、また水の汚染の問題とか、そういったことも含めて、十分現場の調査の基本的な基礎調査をしっかりとやっていただきたいなと思います。
 今、5月13日には、いずみ山系の巨大太陽光発電を考える会というのが結成されて、県知事宛てに3455筆の林地開発を許可しないでくださいという、そういった署名が届いていると思います。今後もこういった点についても、ぜひとも住民の皆さんの疑問とか、そういったことも住民の皆さんの不安にも寄り添って県が対応もしていただけたらということをお願いして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時50分散会

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