平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録
第5号(全文)
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平成28年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
平成28年12月14日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第226号から議案第249号まで並びに諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
第3 議案等の付託
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会議に付した事件
第1 議案第226号から議案第249号まで並びに諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
第3 議案等の付託
第4 休会決定の件
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出席議員(42人)
1番 堀 龍雄
2番 中西峰雄
3番 森 礼子
4番 立谷誠一
5番 前芝雅嗣
6番 浅井修一郎
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 秋月史成
10番 川畑哲哉
11番 泉 正徳
12番 濱口太史
13番 花田健吉
14番 尾﨑太郎
15番 尾崎要二
16番 中村裕一
17番 鈴木太雄
18番 岩田弘彦
19番 藤山将材
20番 服部 一
21番 冨安民浩
22番 吉井和視
23番 中本浩精
24番 中 拓哉
25番 山本茂博
26番 岸本 健
27番 谷 洋一
28番 新島 雄
29番 岩井弘次
30番 多田純一
31番 片桐章浩
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 山下直也
35番 山田正彦
36番 菅原博之
37番 谷口和樹
38番 奥村規子
39番 雑賀光夫
40番 松坂英樹
41番 坂本 登
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 宮﨑 泉
危機管理監 和歌哲也
総務部長 浦上哲朗
企画部長 髙瀨一郎
環境生活部長 日吉康文
福祉保健部長 幸前裕之
商工観光労働部長 岡本圭剛
農林水産部長 鎌塚拓夫
県土整備部長 森戸義貴
会計管理者 岩橋良晃
教育長 宮下和己
公安委員会委員長 大桑いく嗣
警察本部長 直江利克
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 江川和明
選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 上坊 晃
次長 西原龍也
議事課長 中谷政紀
議事課副課長 浜野幸男
議事課課長補佐兼議事班長
長谷哲生
議事課主任 保田良春
議事課主任 岸裏真延
議事課主査 浅田晃秀
総務課長 糸川 徹
政策調査課長 中口 匠
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午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第226号から議案第249号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
2番中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 おはようございます。いよいよ一般質問も本日が最終日となりましたが、きょうのトップバッターということで、議長のお許しを得ましたので始めさせていただきます。
まず最初に、県庁職員の時間外勤務についてお尋ねいたしたいと思います。
ことし、電通の女性社員が長時間労働の末、自殺するという痛ましい事件がございましたけれども、これが社会の大きな関心を呼んだところは記憶に新しいところであります。このことがきっかけとなりまして、日本人の労働時間の長さや働き方、ワーク・ライフ・バランスのあり方が改めて問い直されております。
そこで、県庁職員の働き方、時間外勤務いわゆる残業、休日出勤がどうなっているのかが気になりましたので、その実情をお尋ねいたしたいと思います。
部署や職員によって違いがあるとは思いますけれども、正職員1人当たりの1カ月の時間外勤務はいかほどになっておりますでしょうか。
次に、時間外勤務手当の総支給額は年間いかほどでしょうか、御答弁のほどよろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
総務部長浦上哲朗君。
〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 直近5年間の知事部局における超過勤務の実績でございますが、職員1人当たりの1カ月の超過勤務時間数はおおむね10時間程度で、年間執行額は約10億円となってございます。
ただ、平成23年度は13時間を超えまして約13億円と、通年より若干多くなりました。これは、台風12号による紀伊半島大水害の復旧・復興対策業務が主な要因でございます。
また、昨年度も時間にして13時間弱でございまして、約12億円の執行となりましたが、これは紀の国わかやま国体・わかやま大会の開催に当たり、全庁的な取り組みを行ったことによるところが大きいものと考えられます。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは次に、時間外勤務の削減についてお尋ねいたしたいと思います。
時間外勤務というのは、少なければ少ないほどいいと思います。その管理方法、この時間外勤務、残業の管理をどうされているのか、そしてこの残業時間の削減にどういう方法をとられているのかということをお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 総務部長。
〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 超過勤務の管理につきましては、あらかじめ超過勤務命令簿により所属長が超過勤務を命ずることとなってございまして、翌日以降、所属長がその内容を確認して実績を把握するということになってございます。
超過勤務を削減するためには、適正な業務の配分、それから計画的な遂行が必要と考えておりまして、そのためにも所属ごとの業務マネジメント、これが重要だというふうに認識しております。総務部としましては、幹部会議ですとか文書通知など、さまざまな方法によって周知徹底を図っているところでございます。
今後とも、超過勤務の適正な管理とその削減に向け、全庁的に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 時間外勤務の管理方法についてでございますけれども、所属長が管理しているということでございますが、一人一人働き方が違いますし、ある特定の個人が特に長時間の勤務を余儀なくされているという場合もあろうかと思いますので、所属長の段階でその管理を終わってしまうんではなくて、そのもう1つ上の部長が自分の部署の、部の職員の一人一人について、超過勤務、時間外がどうなっているのかということを把握することが必要だと思いますので、これからそういうことも検討いただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に行かせていただきます。
2番は、介護人材についてであります。
その中でも、今回私がお聞きしますのは外国人の受け入れについてということでありまして、介護人材につきましては、厚労省の推計によりますと、2012年度の介護職員は全国で149万人であったのに対しまして、2025年度には介護職員は全国で237万人から249万人が必要とされております。約90万人から100万人の増加が必要ということになります。
そしてまた、労働環境や処遇の改善によりふえたとしましても、なお全国で38万人が不足するのではないかというふうに言われております。
本県におきましても、人材不足は現に生じておりまして、私が知っております介護事業者もこの人材の確保については苦慮しておられます。また、本県でも2025年には4000人強の人材が不足するというふうに予測されているところであります。
このような環境下におきまして、介護人材不足の問題については既に2人の先輩議員が質問されておられます。この介護人材不足を懸念する質問は私で3人目になるわけですけども、それだけこの問題は大きいというふうに言えると思います。
県のほうでは、本年8月、長寿社会課のほうで介護事業者・関係者で構成する協議会を経て介護人材確保対策を策定されまして、その取り組みを進めることによって人材を確保していくものとされておられます。まずはその取り組みをしっかりと進められますことをお願いさせていただきたいと思います。
私は、ちょっと違う観点からこの介護人材の問題を考えてみたいと思っておりまして、ことし、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律により、いわゆる技能実習生の対象職種に介護が追加されました。また、改正入管法では、介護福祉士の資格を取得した外国人は在留資格が認められ、介護職に従事する限りはほぼ実質上無期限に在留することができるようになります。
このように門戸が広がったことで、海外から介護の技能実習に来たり、あるいは介護福祉士資格取得を目指して日本に留学する人がふえることが予想されます。そういう方々が、和歌山県に来て学ぼうと思っていただけるような仕掛けをつくることを考えてはどうかというふうに思います。これは、介護人材を確保するという直接の目的とはちょっと違う観点からの提案であります。
企業誘致だけではなくて、国の内外から人を誘致することも本県の活性化にとっては大切であります。また、それによって、懸念される介護現場の人手不足が緩和されることも期待できますし、介護福祉士資格を取った海外の人材が本県に定住することも期待できます。要するに、介護を学ぼうとする海外人材に本県が選ばれるような施策を打つべきではないかということであります。御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 本県においては、介護関係施設や介護事業所、介護福祉士養成施設、市町村の代表者から成る和歌山県介護職員確保対策支援協議会での議論を経て、現在、県内の高校生を対象として新たに作成した介護職のイメージアップのための漫画冊子を活用して介護職のイメージ改善に努めるとともに、高校3年生において介護職員初任者研修の資格取得を進めて、介護事業所等への就職がふえるよう全県的に取り組んでいるところです。
現状としては、ある県内の高校における卒業者に占める介護職への就職者の割合は8.8%でしたが、別に行った県立高校生を対象としたアンケート調査によると、介護職につきたい、またはつくことも選択肢として考えている高校生の割合は17.3%でした。介護職のイメージ改善も進めばまだまだ高校生の就職は伸びる余地があることから、引き続き取り組みの検証をしながら、必要な取り組みを進めていきたいと考えています。
現在、外国人の受け入れに関しては、経済連携協定、いわゆるEPAに基づく外国人介護福祉士候補者の受け入れがありますが、これについては経済活動の連携の強化という制度趣旨に従って、外国人の受け入れや研修に係る費用について財政支援を行うなどの取り組みを行っています。
技能実習制度についても、我が国の有する技能等を発展途上国などへ移転して国際貢献に寄与するという制度趣旨を踏まえた上で、介護事業者から外国人研修生の受け入れに対する意見を聞きながら、必要な対応を検討していきたいと考えています。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 高校生に介護職への理解を深めていただいて、そこから介護の現場にというか、仕事についていただこうという取り組み、これはもうどんどんやっていただければいいと思うんですけども、それで人材が確保できればいいんですけども、これやってみなきゃわからんというところがあると思います。
私は、介護の人材がそれで確保されるかどうかは別の問題として、この問題を取り上げさせていただいております。
まず、和歌山県を元気にするためにどうする、何が必要かといいますと、さきにも言いましたけども、県外からも人に入ってきてもらう、海外からも人に入ってきてもらう、そういうことが和歌山県の活性化に必要なんじゃないかというふうに思ってございます。
この制度改正、国の、言ってみれば規制改革の中の1つになるかなと思うんですが、国が門戸を広げましたよと。そして、それによって海外から日本に介護職を目指して来日される方が恐らくふえるでしょうと。ふえる中で和歌山県がよそよりもすぐれた施策をもって、そういう方々に入ってきていただけるようなことをするべきではないのかなということであります。だから、介護事業者のほうからは実際的にいろんな要望があるとか、あるいはニーズがあるとかいうような視点ではなくて、県を活性化するために海外からの人材の誘導をするべきではないかと、そのための1つのものじゃないかというふうに思っております。
その点について再度お尋ねいたしたいのと、そして、先ほどEPAにつきまして支援措置があるということでしたが、それは国のほうで支援措置を定められておりまして、あるんですけども、それは県独自の支援措置ではないんじゃないかというふうに思います。だから、国がどうするかじゃなくて県として、この外国人の介護職で入ってくる方々に対して県としてどうするかということからいうと、県はお金を出していないし、何もしていないんじゃないかなというふうに思うわけですが、いかがですか。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 現在、経済連携協定に基づく外国人介護福祉士候補者の受け入れに係る支援については、国家間で締結したEPAに基づくものということもあり、県を通じて全額国費で支援を行っているところです。
介護分野における外国人の受け入れにつきましては、さまざまな意見がありますので、介護事業者がどのように考えられているかを聞きながら、慎重に検討していきたいと考えています。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 状況は動いていきますので、なかなか外国人の受け入れにも課題がたくさんあるということは私も承知しておりますけれども、先ほど申し上げました趣旨で前向きに考えていただけたらなというふうに要望させていただきます。
それでは、次に行かせていただきます。
項目3ですけども、県立高等学校への支援についてということで、ここでは部活動の負担の軽減についてお尋ねいたしたいと思っております。
昨日、39番議員さんの一般質問に対する答弁の中で、9割の先生方が部活動が教育に役立っていると考えているという調査結果が示されましたけれども、部活動は教育の一環として大変有意義なものだと思います。また、中学校や高校での部活動の仲間というのは一生涯の友となることも多く、卒業後も忘れがたい青春の記憶として残るものであります。できるだけ多くの若い人たちが部活動に参加できる環境を整えてあげたいと思うのは、私だけではないと思います。
ところが、部活動にはお金がかかりまして、消耗品であるとか遠征費用であるとか、あるいは文化部でいいますとブラスバンドの楽器でありますとか、そういう費用はかなりかかります。そういう費用がかなり保護者の負担になってございます。保護者だけでなくPTAもそうですけれども、これがかなり重いものですから、家庭によっては部活動を諦めざるを得ないといいますか、諦めてしまうこともあるというふうにお聞きしております。
また、特に高校かと思うんですけども、保護者の負担でやっております体育後援会とか文化後援会というのが部活動を支援してるわけですけども、そのための負担というのもかなり重いものになっております。
部活動が任意のもので、生徒が自発的に行うものでありますし、個人間の違いもありますし、そこに一律に公費を投入するというのは難しいということは重々踏まえた上でも、この部活も大切な教育活動の一環であるということからすると、できるだけ援助していただくのが望ましいというふうに考えます。お考えをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 各学校の部活動につきましては、学校教育活動の一環で行われており、その経費については、本県で定めました学校徴収金の使途等のガイドラインに指針を示してございます。
ガイドラインでは、部室や部活動の施設並びに使用器具などの整備について、学校共通の教育水準維持に必要な経費は公費としてございます。また、部活動の技術力、競技力を高めるための設備、用具などについてはPTAの協力を得ることが可能となってございます。このほか、児童生徒の個人所有物に係る経費や受益者負担となる経費は、個人負担となってございます。
今後とも、部活動に係る経費につきましては、学校からの要望を踏まえ、標準的な教育水準維持に必要と認められるかどうかなどを見きわめて判断してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ガイドラインとか、それから負担区分の仕分けをきちっとしていただいてるのは、私も存じ上げております。ただ、どこまでが水準とすべきところかというところは、これは可変なもんではなかろうかというふうに思います。
今定められております基準というものが、これが絶対不動のものというわけではなくて、時代により必要により、これは変動してしかるべきものかなというふうに思いますので、いろんな状況をよくごらんいただいて、必要不可欠な、あるいは、県も財政的に余裕はなかろうかと思いますが、できる限り財政的な支援をお願いさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次に行かせていただきたいと思います。
次は、進学指導補助、これは何と呼んだらいいのか、いろいろ呼び方があるのかなと思いますが、進学指導補助員を県で設置することについてということで、ちょっと説明させていただきますと、今、入試方法が大変複雑多様化しておりまして、県立高校で進学率の高い高校の多くは、進学指導の補助をする人をPTAの負担で雇い上げていただいております。
その進学指導の補助をしていただいているわけですけども、私は今この時代になって、本当にAO入試であるとか推薦入試であるとか、あるいは入試方法もいろんな型があって、そういう複雑になっている中で、それを調査したり整理したりする事務というのは、これはもう進学の多い学校にとっては必置の職ではないかというふうに考えるわけです。私はそう考えるわけですけども、もしそれが必置であるということであれば、やはりこれはPTAではなくて公費で雇い上げるべきではないかというふうに考えております。いかがでございましょうか。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘のとおり、大学を初めとする上級学校の選抜方法は非常に多様化しており、進路指導に係る全体の事務作業も多いと認識してございます。大学等が求める力や社会に出たときに必要とされる力などを見きわめ、学習指導、進路指導に生かすことや、入試制度の把握、分析など、進路指導に係る事務を含め業務全般を行うことは教職員の本務であり、そのために必要な教職員数を配置してございます。
また、学校では外部の模擬試験や各種資格試験など、個々の生徒にとって教育効果があると判断する学校教育外の活動も行ってございます。これらの学校教育外の活動につきましては、学校によってはPTAが協力して、ガイドラインに基づいて進路指導に係る事務補助員を配置し、事務的な業務の支援が行われてございます。
県教育委員会といたしましては、学校全体として必要な教職員は配置しており、学校教育外の活動につきましての事務を行う進路指導に係る事務補助員を県費で置くことは考えてございません。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 私は置いてほしいなと思いますし、必置じゃなかろうかというふうに思うんですけども、見解の相違ということで仕方ないのかなというふうに思います。
それでは、次に行かしていただきます。
次は、昨年の9月議会でも質問させていただいたのと同じ質問でして、学校の適正規模・適正配置についてであります。
まず、基本的な考えについてお尋ねいたします。
県は望ましい適正規模・適正配置の指針を出しておられますけれども、以前は若干、統廃合時の支援がございました。ございましたけれども、今は国に加配要員を求める以外に何もございません。
県教育委員会は、子供たちのために好ましい教育環境としての適正規模の指針を示しておきながら、それは市町村の決めることであるから、だから子供たちのために好ましい環境、すなわち適正規模の実現への努力を何もせずに放置しているのはいかがなものかと思います。
また、県だけでなくて、私は国も国で、日本全国で小規模校や過小校化がどんどん進んでいくのに、これを何の手だてもなしに放置しているというのはいかがなものかなというふうに思ってございます。
昨年にも申し上げましたけども、そもそも適正規模化とか適正配置というのは、政治的な難易度、政治的ハードルは極めて高いものであります。地域の学校がなくなるということにもろ手を挙げて賛成してくれるということはまれでありまして、これは多い少ないはわかりませんけども、何人かの頑強な抵抗に遭うことは目に見えております。そんな中で、市長や議員があえて火中のクリを拾って子供たちのために学校の適正規模化を進めようとすることは、ないとは言いませんけども、余り期待はできません。
また、市町村としましては、教員の給与が自身の負担でないこともありまして、みずから適正化に動こうとする意思は弱いのではないかということも考えられます。これまでも、特に小学校は過小校が統廃合されることはまれでありまして、児童がいなくなるまで、つまり自然消滅するまで存続したということがほとんどであります。
今後、県内では過小校化がますます進み、私は正確な数字は把握しておりませんけども、ざっくりとした印象で言いますと、10年後には恐らく県内の小学校の半分以上が小規模校、過小校になってしまうんではないでしょうか。つまり、和歌山の少なくない子供たちが、国も県も教育環境として適正とする規模でない教育環境の中で教育を受けることになります。果たしてそれでいいのでしょうか。これを県としてどう考えられますか。
適正規模化への努力を何もせずに、小規模校や過小校に適した教育を考えることで対応するという県の姿勢は、適正規模の指針を放棄しているのと同じではないでしょうか。距離的、時間的に統廃合はどうしても困難な学校があることは私も理解しておりますが、10分も歩けば隣の学校に行けるようなところや、車で行けば10分、30分で行けるようなところでさえも、小規模校、過小校のままに存置されていることが幾つもあります。県の基本的な考えをお尋ねいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、少子化の進行による小中学校の小規模化に対応するため、平成18年度に、教育長の諮問機関・義務教育ニュービジョン研究会議からの提言をもとに、公立小中学校の適正規模化についての指針を策定し、学校の活力を維持し発展させる観点から、小学校では12から18学級、中学校では9から18学級を適正規模の基準としてございます。基準を下回る学校につきましては、市町村において、それぞれの地域の実情や児童生徒数の推移等を考慮し、学校規模の適正化について検討することが重要であると考えてございます。
しかしながら、近隣の学校間の距離が遠過ぎるなどの地理的な要因や学校が地域の存続に決定的な役割を果たしているなど、学校が置かれた状況はさまざまであり、学校統合によって適正規模化を進めることが困難な地域もあることから、小規模であることのメリットをまた最大限に生かした教育を充実させることも必要があると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 なかなか難しい問題だということは、私も理解しております。
では、何もしないということで御指摘したんですけども、やはりさきに述べましたように、学校の統廃合、適正規模化というのは大変政治的なハードルも高いことでございますんで、その難易度の高いことにあえて取り組もうとされる市町村があるときには、県も何らかのバックアップをするべきではないのかなというふうに思います。
教員の加配もそうですが、統廃合についてはつきものの通学費補助というのがあります。これは私、ぜひお考えいただきたいなというふうに思っております。昨年もお尋ねいたしましたが、再度お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、市町村の積極的な取り組み及び財政措置をもとに、平成19年度から適正規模化を進める市町村に対し、補助金や教員の加配等の支援措置を6市11町に行ってまいりました。
今後、適正規模化を進めていく市町村に対しましては、本県指針と国の手引を踏まえ、市町村教育委員会と協議しながら、少子化に対応した魅力ある教育や特色ある学校づくりの実現のため、支援を行ってまいります。
また、統廃合する学校に対しましては、通学費の補助は困難ではございますけれども、教員の加配につきましては、国の制度を活用し、対応していきたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 昨年と同じ答えということで残念ですが、またお考えいただきたいなというふうに思ってございます。
それでは、次に行かせていただきます。
次も教育に関してですが、項目5番は教育を県民運動へということで、教育機運の醸成についてお尋ねいたします。
本年度の学力テスト、いわゆる全国学力テストの結果というのは本県にとりまして余り芳しいものではありませんでしたが、その原因を考えますと、1つの大きな要因としまして、和歌山県民の県内の人たちの教育についての関心とか教育熱がいま一つ低いんではないかと、低いということがあるんではないかなというふうに感じております。
学力向上のためには、まず、子供たちが学びの楽しさを知り、あるいは学びの大切さを知っていただいて、みずから学ぼうとする姿勢を持ってもらわなければなりません。いわゆる学びへの意欲、学習意欲の向上なしでは、学力の向上はあり得ないというふうに考えます。
そのためには、まず何よりも、家庭や地域が学びの大切さを強く意識して、子供たちにこれからの時代を生き抜く学力をしっかり身につけてあげたいと思ってもらわないことには始まりません。そういう姿勢で子供に向き合ってもらわなければなりません。
日本は空気の国だと言われますけれども、社会全体の空気、雰囲気なしには何事も動きません。県知事、教育長におかれましては、ドン・キホーテあるいはピエロになったつもりで、県民運動として教育機運の醸成、教育熱の向上に取り組むことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県では、これまでも長期総合計画において教育を重要な柱に位置づけてまいりました。
また、現在策定を進めている新長期総合計画におきましても、引き続き重要な柱として本県教育の目指す方向を示すとともに、さまざまな施策を掲げることとしており、知・徳・体を基盤とした人間としての総合力や、みずからの道を切り開き、社会で自立する力を備え、ふるさとに貢献できる人材の育成に向け、全力で取り組んでいく決意でございます。
とりわけ、教育力の向上には、学校と地域や家庭が一丸となり、社会総がかりで子供たちを育てていくことが極めて重要であります。そのためには、県民の皆様方の教育への関心、理解などをより一層高めていくことが必要不可欠でございます。
県教育委員会といたしましては、県民の皆様方に向けての広報啓発に努めるとともに、学校が主体となり、地域が学校教育へ参画し、学校も地域づくりの核となるといった双方向の取り組みを推進するなど、学校、地域、家庭がそれぞれの教育における役割と責任を自覚し、ともに子供たちを育てていくという機運を醸成してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 中西峰雄君。
〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ありがとうございます。この教育熱を高めるということは、私は本当に大事やなというふうに思ってございまして、ただいま御答弁いただきましたけれども、取り組んでいただきたいと思います。
地域や家庭や学校が一丸となってということでございますけども、私はこの教育熱を高めていくためには、教育機関が主導して、そして熱い思いと、そして心に届く訴えということが必要不可欠かと思いますので、それを持っていただいてるとは思うんですけども、それをなお一層自覚していただいて頑張っていただきますことをお願いさせていただいて、私の一般質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
18番岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
まずは、去る平成28年11月14日月曜日から18日の金曜日までの日程において、仁坂知事、浅井議長、そして県内事業者の皆様とともにマレーシア及び中国を訪問してまいりましたので、まず御報告させていただきます。
今回の両国訪問は、県産品の販路拡大と観光客誘致のためトップセールスやプロモーションを現地で展開すること、そして両国との友好関係をさらに強固なものにするため、さまざまな分野で意見交換をすることが主な目的でありました。
まずは、マレーシアにおいてはマレーシア日本国際工科院──MJIITというそうですが──を訪問いたしました。
同工科院は、マレーシアに新たな日本型工学教育を確立することを目的に、マレーシア政府と日本政府の共同事業としてマレーシア工科大学(UTM)クアラルンプールキャンパス内に設立されたものであります。日本的教育の特徴を取り入れた体制により、教員がきめ細やかな研究指導と倫理教育を行うとともに、日本の大学、企業との協力をして、両国の長所を融合した教育・研究方法の創造に取り組まれておりました。
同工科院の牧島副院長や中西技術経営学科教授は、県内大学による留学生の受け入れや県内事業者によるインターンシップの受け入れなど、人的交流の促進を中心に防災科学、防災教育などの意見交換を実施してまいりました。
次に、日本国大使館と和歌山県の共同で実施した和歌山プロモーションについてであります。
このプロモーションは、在マレーシア日本国大使公邸で行われたものでありますが、食品インポーター、レストラン経営者、旅行会社、大学関係者、メディアなど約200名の参加があり、大変盛況でした。
冒頭、兒玉在マレーシア日本国大使館公使による開会挨拶があり、その後、仁坂知事から、本県が誇る観光及び食に関するプレゼンテーションがありました。引き続き、浅井議長の発声で県産ドリンクによる乾杯をした後、会場内に設けた県内事業者13社によるPRブースにおいて、県産の柿、ミカンや加工品をPRするとともに、参加者と意見交換するなど、交流を深めてまいりました。
私といたしましては、元八百屋であり、青果市場の仲買人も経験しておりますので、地元の誇る柿、ミカンにつきまして、どないか地元のメディアに露出していただけないか、そして柿は必ず甘く、外れがないのが和歌山のいいところ、ミカンにつきましては、すぐむける、すぐ食べれる、そして甘い、そこの部分を強調してメディアの皆さんを回らしていただきました。翌日の新聞に掲載されていたらいいんですが、確認はとれておりませんので、マレーシアのことですので。きっと載っていると思います。
続きまして、中国の訪問についてであります。
中国では、まず、日本国自治体国際化協会(CLAIR)北京事務所を訪問いたしました。
自治体国際化協会は、日本の地方自治体の国際化事業を支援し、地域の国際化を一層推進することを目的に、1988年に地方自治体の共同組織──財団法人でありますが、発足しました。東京に本部及び事務所を置き、世界の7つの主要都市に海外事務所を設置しており、北京事務所は1997年に設立されたそうです。中国及び中国の各地方政府との連携強化に向けて、地方自治体の中国での活動支援や日中双方の関係機関に向けた情報発信、中国の最新情報に係る調査研究などの活動に取り組まれています。
同事務所の北村所長から、中国の現状と、そして日中地域間交流についてブリーフィングを受け、中国経済の現状や北京市内の大気汚染状況、訪日中国人旅行客の増加状況などについて意見交換を実施しました。
最後に、山東省長との会談についてであります。
仁坂知事、浅井議長とともに郭樹清山東省長と会談し──和歌山県と山東省とは32年前に友好提携を構築して以来、さまざまな分野で緊密な交流が行われてきております──山東省が抱える環境などの社会問題について、両県省の交流の成果が出てきていることを確認しました。仁坂知事からは、両県省の関係をさらに深化させるため、次の4点について提案し、郭省長からは大いに賛同する、そういう意向が伝えられました。
1点目は専門家派遣、研修団の受け入れなどの環境交流について、2点目は職員相互派遣などの人的交流について、3点目は修学・教育旅行、山東省の学生のきのくにロボットフェスティバルへの参加などの青少年交流について、4点目は相互ファムトリップの実施など観光交流についてであります。
また、郭省長からは、このことに加え、高齢者政策の情報交換について並びに経済・文化分野でのさらなる交流について、この2点の提案があり、今後これらの分野について双方向に交流を深化させていくことを確認してきたところであります。
以上、簡単でございますが、御協力、御尽力いただきました皆様に厚く感謝申し上げまして、マレーシア及び中国の訪問についての御報告とさせていただきます。
それでは、質問に移らせていただきます。
大項目2、学力向上・学力定着のためにであります。
平成19年より、全国学力・学習状況調査が実施されています。これについての説明は、昨日から何人も議員さんが質問してくれておりますので省略させていただきますが、一番大切なのは、知識だけではなくて活用についての教科も評価されている、そして何のためにこの評価があるかといえば、今後につなげるための評価であるということ、それを重点に置きまして質問させていただきます。
本県の教育振興基本計画に基づく毎年度の教育振興アクションプログラムでは、教科に関する調査における平均正答率を常に「全教科、全国平均を上回る」を目標にしています。しかし、本年度の結果、これにつきましても、昨日よりありますが、全国下位低迷状態が続いております。この結果は、私は基礎学力の低迷を示しているんではないか、非常に心配しております。
将来を担う子供たちに知識や技術の確実な定着を図るとともに、これらを活用して思考力、判断力、表現力等を身につけさせてあげること、このことにおいても本県の大きな課題であるんではないでしょうか。学力向上、学力定着のために、2点お伺いいたします。
まず1点目、小学校における組織的な学力向上の取り組みについてであります。
まずは、県内学力向上に大きな成果を上げている小学校を紹介させていただきます。資料のほうを配らしていただいておりますので、2枚あります、新聞記事とその学校の学校要覧とか取り組みのことを配らしていただいておりますので、これを見ながらお聞きいただけたらと思います。
ことしで創立141年目の、まちなかの標準的な小学校であります。全クラス2クラス、特別支援学級、これも2クラス。全校児童数が320人、教職員構成、これはごく普通です。さまざまな家庭の児童が通っている本当に昔からある町なかの小学校であります。
全国学力・学習状況調査、教科に関する調査における平均正答率の全国平均との比較で言いますと──これはここ4~5年のデータであります。校長先生就任されてから、そのぐらいしかはっきりわからないということでしたので。
国語Aは、以前はマイナス10ポイント、直近2年ともプラス数ポイント。この数ポイントというのは、8ポイントやったり5ポイントやったりするので、数ポイントとしといてくださいということでした。国語Bは、以前はマイナス16ポイント、直近2年ともプラス数ポイント。数学Aは、以前マイナス8ポイント、直近2年ともプラス数ポイント。数学Bは、以前マイナス7ポイント、直近2年ともプラス10数ポイントであります。以前はマイナスでしたが、ここ2年は全教科で全国平均を数ポイント上回っているそうです。
お聞きしますと、自立して学ぶ児童を育てるために、「わかる・できる・のびる」、これをキーワードにした授業に徹底して全員で取り組む。もう1点は、生活リズム表などを活用して家庭とのキャッチボールを繰り返して、よい生活習慣を育み、その日に習ったことはその日に復習して定着させる、そういう習慣をつける。この2つを徹底して、全校挙げて全員で取り組んでいますとのことでした。
学校要覧も見せていただきながら、いろいろお話を聞かしていただいたんですが、お話を聞いているうちにわかったんですが、何も難しいことをやってられないんです。第2期和歌山県教育振興計画の示す主な取り組みに、学校なりに工夫を加えて、全校挙げて全員で組織的に徹底して取り組んでいる、そういうことだけなんです。
議場で質問しますと、よくあるのが、教育をつくります、マニュアルをつくって取り組みます、こういう答弁が多い。当然やと思いますが、確かにすばらしい計画やマニュアルはできてくるんですが、それを見ますと、いつも私はさすがやなあと感心してはおります。でも、この学校は、県の計画の示す方向のもとに、学校なりに工夫して全力で取り組んでいるだけで好成果が出てるんです。
やっぱり計画は、できたら終わりと違うんじゃないですか。県内全域に浸透させる、そして成果を上げてこそ計画だと、私はそのように考えますが、県内全域への浸透と今後の学力向上、学力定着のためにどのような取り組みをして、来年は成果を上げていただけるのか、教育長にお伺いいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 本県の全国学力・学習状況調査結果において取り組みの成果が十分あらわれていない要因には、県教育委員会と市町村教育委員会が県の取り組みを全ての学校に浸透させられていないこと、教員の指導力や学校の組織力が不十分なことなども考えられます。また、その背景となる子供たちの基本的な生活習慣の確立、いじめや不登校の問題、家庭教育の充実など、さまざまな教育課題も考えられます。
和歌山で学ぶ子供たちに確かな学力を定着させることは、私どもの責務でございます。現在、課題のある学校には、県教育委員会と市町村教育委員会の指導主事がチームとなって、子供たちにしっかりと学力を身につけさせる授業づくりについて重点的、継続的に指導を行っております。
本県では、これまで全ての小中学校で授業の充実を図るために、「和歌山の授業づくり基礎・基本3か条」を徹底し、子供たちの学ぶ意欲の向上と学習内容の確実な定着に取り組んできました。また、各学校では、家庭学習の手引を活用した学習習慣の確立と「早ね・早おき・朝ごはん!」運動などによる基本的な生活習慣の確立に取り組んできました。
県内には、これらのことに地道に取り組み、成果を上げた学校がございます。議員がお話しいただきました学校を初め、全国レベルの団体による文部科学大臣奨励賞を受賞した学校など、すぐれた取り組みを行っている学校がございます。
今後、学力の課題の改善に向け、これらの学校の取り組み、県外研修等で得た先進的な取り組みなども県全体に積極的に広め、市町村教育委員会、学校、家庭、地域と一体となって学力向上に全力で取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 方向性は、先ほども言わせてもうたですけども、計画とか戦略というのは結構、私はええもん違うかなといつも見させてもうとるんですけど、あとはその思いを各小学校や各地域の皆さんにいかに浸透さすかというとこが勝負やと思いますので。
それと、ええ取り組みをしている学校ももちろんあると思うんですが、その数が多くなれば上がっていくと思いますので、どんどんどんどんふやしていただきますようによろしくお願いします。
そして、ちょっと伝えたいことは、この小学校区、私の地元なんですが、これ新聞にも載りましたんで、最近そこの小学校区へ行きますとどうなってるか。私の同級生に言われるんですわ。「いや、俺のときはもううちの小学校──割と何か低かったみたいです。成績も悪かったみたいです。でも今──今回頑張っとるさかい俺らも応援せな」と、こないなっとるんですよ。
私の言いたいのは、私ら議員もそうですけど、子供たちの教育をなりわいにする者がやっぱり必死になっとる姿を地域の人に見せないと。そしたら地域の人は協力もしてくれますし。だから、共育コミュニティも仕組みとしてはいい、これから新たなことも取り組まれるということですが、それをするにしてでも、仕組みはいいんですが、やっぱり協力してもらえる人が熱を持ってもらわないとというところがあると思いますので、やっぱりそれをするためには、なりわいとしとる者が必死でやっとるでと、子供にも伝わって保護者にも伝わるようにしないと。
私たち議員は、4年に1回審査されるわけです。私、4年に1回ではないときもありましたが、でも、やっぱり応援団の皆さんに頑張ってもらおうと思えば、自分が必死にならな頑張ってくれないですよ。それが伝わらないと誰も応援してくれない。私たちはそれを4年に1回通過してきてますので。そうすると結果出るわけです。だから、それだけはきちんとやっていただく、僕はもうそこだけやと思います。
そこを全教員の皆さんが必死でやってくれたら、子供は伝わるって。地域の人ももうほんまに今の話です。今や、ここの小学校区の皆さんは、「どないか学校、協力したらな」と、そんな話ばっかりです。私も行きましたら、「ここの学校頑張っとるんで、地域の人も応援したってよ」って声かけて回ってます。そしたら、だんだんよくなっていく。それが本来の持続可能な学力の向上環境やと私は思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、次の2番に移さしていただきます。幼児教育の充実と新たな推進体制についてであります。
幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であります。義務教育やその後の教育の基礎となるものとして、幼児期に育成すべき資質、能力を育む観点から、教育目標・内容と指導方法、評価のあり方を一体として取り組む必要があると私は考えます。
先輩議員もよくおっしゃっているように、「三つ子の魂百まで」であります。生きる力、学びに向かう力を育成し、小1プロブレムを解消し、教科学習につないでいくためにどのように取り組んでいくのですか。
また、今、全国的に幼児教育は、歴史的な大改革の渦中にあると言われています。子ども・子育て支援新制度が実施され、幼児教育を取り巻く量の拡充、質の向上の動きが全国各地で始まっています。量の拡充は福祉部局を中心に進み、認定こども園の認定や予算等の業務を担うところが多いようです。質の向上に関しましては、誰がどのようにリーダーシップをとるのか、これが明確になっておらず、幼児教育に携わる自治体の各部局、関係諸団体、幼稚園、保育所、認定こども園など、それぞれが悩みながらいろいろな動きが始まっています。
質の向上のために体制整備が困難な理由は、既存の枠組み、仕組み、研修では通用しないこと、地域の歴史、背景、状況などがさまざまに絡み合い、公立、私立の設置者、幼稚園、保育所、認定こども園の多様さなどがあり、さらに課題を複雑化しているようです。
幼児教育が目指すべきことは、公立、私立、幼稚園、保育所、認定こども園の枠を超えて、学校教育につなげるために同じ方向性を持つことにあるのではないでしょうか。幼児教育について、誰がどのようにリーダーシップをとるのか、どこが責任を持つのか、明確になる新たな体制づくりが必要と考えますが、教育長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 幼児教育におきましては、生活や遊びの中での直接的、間接的な体験を通して、生きる力の基礎となる心情、意欲、態度を育むこととしてございます。小学校低学年では、この幼児教育で身につけたことを基盤として、各教科の学びにつなぎ、子供たちの資質、能力を伸ばすこととしてございます。
幼児教育と小学校教育が円滑に接続することは、極めて重要であります。しかしながら、いわゆる小1プロブレムと言われるように、小学校に入学した児童が授業中に座っていられないことや、落ちついて話を聞くことができないことなどが課題となっております。
このため、幼児教育関係者には、就学までに子供たちにどのような資質、能力をつけるべきか、小学校教員には、どのような資質、能力が身について入学してきたのかなどをお互いに理解するとともに、保・幼・小の関係者が子供たちの学びを連続したものと捉えることができるよう、現在、リーフレットも作成しており、研修会等で活用してまいります。
今後、就学前教育の観点からも新たな体制づくりを行い、関係各課と連携し、幼児教育の充実に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 新たな体制づくりを行うということで、ありがとうございます。大いに期待させていただきたいと思います。またよろしくお願いします。
それでは、大項目3、放課後児童クラブの充実について、(1)利用ニーズに対応した施設整備についてお伺いいたします。
少子高齢化が進む中、日本経済の成長を持続するためには、我が国最大の潜在力と言われております女性の力を最大限に発揮できる、女性が輝く社会を実現する必要があります。このためには、安全で安心して子供を預けることができる、そういう環境づくりが必要不可欠であります。
共働き家庭やひとり親家庭においては、小学校就学後も安全・安心な放課後の居場所という課題に直面します。保育サービスの拡充のみならず、児童が安全で安心して放課後を過ごすことができる居場所の整備を進めていく必要があります。また、将来を担う人材育成の観点からは、全ての児童が放課後に多様な体験、活動ができるようにすることが重要であり、総合的な放課後対策を講じる必要もあると思います。
このようなことから、厚生労働省、文部科学省は、放課後児童クラブの受け皿を拡大するとともに、一体型を中心に放課後児童クラブ、放課後子ども教室の計画的な整備を推進しています。特に、厚生労働省は、今年度より放課後児童クラブの施設の整備を加速化させていると聞いております。
本県におきましても、共働き家庭やひとり親家庭は増加しており、放課後児童クラブのニーズは今後も増加傾向にあると思います。利用ニーズに対応した放課後児童クラブの施設整備の現状と今後の取り組みについて、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長幸前裕之君。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県内の放課後児童クラブは、平成28年5月1日現在で29市町に226カ所設置されています。共稼ぎ家庭やひとり親家庭の増加に伴い、留守家庭の小学生を預かる放課後児童クラブのニーズが高まっており、年間約20カ所ずつクラブ数も増加しているところですが、待機児童も78人発生しています。
現在、小学校低学年の約3割が放課後児童クラブを利用しておりますが、共稼ぎ家庭等の増加により、将来的にはより多くの小学生が放課後児童クラブの利用を希望することが見込まれます。全国的にも放課後児童クラブのニーズは高まっており、今年度から3年間に限っては、専用施設を創設または改築する場合の国の補助基準額に対する補助率が2倍にかさ上げされることとなり、県や市町村の負担は通常の半分の6分の1ずつとなったところです。
県としては、このチャンスを逃さず、前倒しで放課後児童クラブの整備を進めるよう、市町村に強く要請しているところです。今後も引き続き、県内全ての希望する留守家庭の小学生が安心して放課後児童クラブを利用できるよう、実施主体である市町村とともにニーズに対応した施設整備を行ってまいります。
○議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 ことしから整備の補助率が改善されているということで、市町村にどんどんどんどん積極的に挑戦するようにということで言っていただいているのもよく知ってるんです。
ただ、これはちょっと無理なお願いかわからんのですが、これも知事にも聞いといてほしいんですが、全体事業の6分の1になったんですが、全体事業費の総額2400万の事業に対してらしいんで、補助額の上限が2400万ということはないみたいなんです。そしたら、県の場合でしたら事務的な補助という形で、3分の1やったやつが6分の1になって半分になったということなんですけど、整備に市単費とか結構かかるそうなんです。2400万でも済まないし、なかなかその費用の捻出が厳しいなあと。
理由を聞きますと、この放課後児童クラブが必要な学校というのは、空き教室がないらしいんです。逆に言いますと、生徒さんが多いとこにニーズが出てくるもんですから、空き教室が使えないというか、出ないという状況になってるようなんです。空き教室のあるような小学校は、ニーズがどえらいふえてくるという可能性も少ないと、入学してくる子供自体が少ないんで。多い小学校でしたら、今後入学してくる1年生、2年生、3年生、ほとんどこの1、2、3年生が利用されますので、入学してくる1年生のニーズがどんどんどんどん上がっていって、ほとんど放課後児童クラブの必要な生徒が入学してくるようになるんではないかと、全部ではありませんけど、そこの比率が上がっていくと。
そうなってくると、どうしてもそこの学校に新たな施設をつくっていくというたときに、大変単費の持ち出しも多いようで市町村は苦しいということですので。県は逆に、3分の1が6分の1になったということでございますので、その残りの6分の1の分をどないか市町村の促進するほうに、県単費としてどんな方法でも県で考えてもうたらええと思うんですが、推進するように使っていただけたらなと、そういう要望でございます。
これにつきましては、私も市町村の方に言うたんですが、3分の1が6分の1になったんやから、それは市も頑張らなあかんの違うかという話をしたんですが、いろいろ事情を聞くと、どうかこれから促進するんでしたら、県のほうも特別に、国の補助対象外の分を県のほうでも少し応援してあげていただけたらなあと思いますので、これは要望ということでよろしくお願いいたします。
次に、運営内容の充実について質問させていただきます。
本県においても、共働き家庭、ひとり親家庭は増加しております。放課後児童クラブのニーズは高まっており、今後も増加傾向にあります。放課後児童クラブは、単なる子供預かり所ではありません。将来を担う人材育成の観点から、児童が放課後に多様な体験や活動を行うことができるようにすることが大切、そしてまた、確かな、豊かな社会性や健全な生活習慣づくり、自発的な学習の習慣づけも大切であります。
運営内容の充実、いわゆる質の向上が今後ますます重要になってくると考えます。本県における放課後児童クラブの質の向上への取り組みについて、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 放課後児童クラブは、昨年度の子ども・子育て支援新制度のスタートと同時に、ようやく国で運営指針が定められ、従事者への全国共通の研修制度も創設されたところです。和歌山県では、放課後児童クラブの質の向上を目指し、専門性の高い研修と補助員向けの2種類の研修を昨年度から開始しており、全ての従事者に平成31年度までの受講を義務づけています。
研修では、放課後児童クラブが単なる預かりの場ではなく、子供の健全な育成と遊び及び生活の支援、いわゆる育成支援を行う場であることを受講者に正しく理解させることを狙いとしています。全ての従事者が放課後児童クラブの運営指針を正しく理解し、共通認識のもとで児童の育成支援に携わるには一定の時間が必要ですが、県では研修の講義ごとにレポート提出を義務づけるなど、従事者の質の向上を目指し、全力で取り組んでいるところです。
放課後児童クラブは、授業終了後の遊び及び生活の場で、従事者は子供が主体的に宿題や遊びなどに取り組めるよう支援するという役割があります。保護者が安心して仕事と子育てを両立できるよう、また留守家庭の子供たちが安心して放課後を過ごすことができるよう、引き続き放課後児童クラブの量の確保と質の向上に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 ここの質の向上ってとても大切やと思いますので、これは先ほどの学力の質問とも関係するんですけど、1年生、2年生、いろいろ考えたんです。小学校1、2、3年生が利用されることが多いと、ほんなら1年生、学校から帰ってここのクラブを利用したとして、大体迎えに来るのは6時、7時のようです。そないなって家へ帰って御飯を食べて、御飯食べるときにお母さんとかお父さんとかとお話ししたりスキンシップしたり、それもどえらい大事ですんで、そうなってくると、早寝早起きになると、小学1、2、3年生ですから早く寝るようにせなあかんと思うんで、そうなるとここの時間で児童クラブでおる時間って結構大切な時間違うかなと、私は思うんです。
そのときに、先ほどの成果が出た小学校の例もあるんですが、学校で習ったことをその日のうちに復習する癖をつける。だから、別に塾の先生とかそんなんと違いますので、ここのクラブの皆さんにはそういう習慣づけの応援もしたってもらえたら、そしたら学校と連携していってよくなっていくん違うかなというのもありますので、その辺も促していくというかな、そういうところもちょっと頑張っていただけるように、質の向上の中に入れていただきましてやっていただけたら、全体的に学力も上がっていくん違うかなあと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、続きまして大項目4番、障害者の高齢化への対応について、(1)介護保険適用除外施設の住所地特例について質問させていただきます。
高齢化が進む中、障害のある方の高齢化が特に顕著になっています。障害者支援施設や救護施設、いわゆる介護保険適用除外施設から介護保険施設へ移動する必要のある方が増加傾向になってくると思います。介護保険施設に入所した被保険者については、住所地特例により、入所する前に住んでいた市町村が保険者となります。複数の介護保険施設を転所したとしても、住所地特例により最初の介護保険施設に入所する前に住んでいた市町村が保険者となります。
しかし、障害者支援施設や救護施設は介護保険の適用除外となっておりますので、適用除外施設から介護保険施設に移った場合、保険者は適用除外施設に入所する前の市町村ではなくて、適用除外施設の所在地の市町村となります。これでは、今まで障害者を受け入れてきた障害者支援施設、救護施設の所在地市町村に負担が集中してしまいます。
そして何より、障害者本人のために介護保険施設に移るかどうか、そういうときに冷静な判断ができなくなると思います。介護保険適用除外施設の住所地特例について、県としてどのように考えているのでしょうか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 現在、障害者等が障害者支援施設などの介護保険適用除外施設を退所して特別養護老人ホームなどの介護保険施設等に入所した場合、住所地特例により介護保険適用除外施設が所在する市町村が介護保険の保険者となり、当該市町村の負担が重くなります。
このため、県としては、介護保険適用除外施設から介護保険施設等に入所した場合には、介護保険適用除外施設への入所前の所在地の市町村が保険者となるよう、近畿府県民生主管部長会議を通じて制度の見直しを国に要望してきたところであり、現在、国においてはこうした要望を受けて、住所地特例の仕組みを見直す方向で検討が進められていると承知しています。
県としては、確実に見直しが行われるよう、引き続き国の対応を注視してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 ぜひとも今度の改正ではそうなるように、よろしくお願いします。
それでは、(2)親亡き後の障害者の支援について質問させていただきます。
現在、障害のある方の支援は、入所施設から地域生活へという考え方で進められていると思います。そうした中、障害のある方が地域で安心して暮らし続けられるよう、グループホームなど居場所の確保、生活面の支援が進められていると思います。
本県が今年度から取り組んでおります「あいサポート運動」は、心のバリアフリーを促進するものであると考えております。このように、障害のある方を取り巻く環境は整備されてきておりますが、依然として親亡き後の問題は、障害のある子供を持つ親御さんにとって大きな不安であります。
障害には、先天的なものもあれば、病気や交通事故によるものなどがあり、障害の程度もさまざまです。とりわけ、知的や精神の障害のある子供を抱える親にとって、親亡き後の不安は大きいのではないでしょうか。
親自身が病気になったら、認知症になったら、あるいは亡くなったら、それによって子供を支えることができなくなったら、子供はその先どうなるのか、そうした不安は年を重ねるごとに大きくなってまいります。これこそが、いわゆる親亡き後の問題であります。
親であれば、自分の子供をいとしく思い、そしてその子の健やかな成長と幸せを当然願うでしょう。しかし、障害のある子供の親御さんは、「この子よりも一日でもいいから長生きしないと」と願う方が多いようです。
長年にわたり障害のある子供を支え続け、なおかつこのような思いや不安を抱かせるのは、親亡き後が問題であることに尽きるのではないでしょうか。こうした課題を解消するため、県ではどのような取り組みをしていますか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(浅井修一郎君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 障害のある子を持つ親は、さまざまな悩み事や不安があり、それらを解消することは困難ですが、少しでも不安を和らげるためには、将来にわたって障害のある方が地域で安心して、また自立して暮らせるよう支援を充実し、社会全体で支えていくことが必要であると考えています。
そのため、県では、住まいの場を確保するためのグループホームの整備、自立を促進するための一般就労移行や工賃向上などの就労支援等に取り組んでいます。また、日中活動の場の提供や日常生活の支援を行うための障害福祉サービスの計画的な整備を進めるとともに、サービスの向上を図っているところです。そして、親亡き後に支援を受けることが著しく困難であると認める場合、市町村の措置によるセーフティーネットも法律上、備えられております。
一方、国におきましても、本年6月に成立した障害者総合支援法の一部改正において、自立生活や就労定着に向けた新しいサービスを創設することが盛り込まれ、国障害福祉計画の基本指針の見直しでは、障害のある方の親亡き後の生活を地域全体で支えるサービス提供体制の構築が検討されています。
県としましては、これらの国の動きを注視し、来年度の紀の国障害者プランの改定作業において、親亡き後の支援を重要な柱の1つとして位置づけ、支援の一層の充実を図り、障害のある子を持つ親が安心できる共生社会の実現に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 次の計画の重要な柱の1つとしてということですので、どうかよろしくお願いいたします。
これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時27分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
12番濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 今定例会、トリであります前芝議員の露払いを務めさせていただきます。
では、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を始めさせていただきます。
まず、地方交付税削減の懸念に対する知事の決意と働きかけについてお尋ねをいたします。
先日、財務省の財政制度等審議会において、自治体には余剰金があるかのような指摘から、平成29年度の国の予算編成に関し、地方財政計画の歳出の圧縮や地方交付税総額の抑制につながる内容が検討されているとのことでした。このことを受け、県議会では、和歌山県の厳しい財政事情を踏まえ、地方交付税の法定率の引き上げを含めた抜本的な見直しや、地方の一般財源総額の確保について強く求める「平成29年度地方交付税の総額確保等を求める意見書」を通常の意見書採択時期を前倒しし、今定例会初日に全員一致で議決をいたしました。
そして、我が自民党県議団会長も務められる山下直也議員と岸本健議員が意見書を携え、直ちに上京し、総務省、財務省及び自民党・二階俊博幹事長を初め県選出国会議員等に同意見書を直接手渡し、和歌山県の現状を切実に訴えたところであります。もしもこのような事態にでもなりますと本県の県政運営に多大な支障を来すことを、危機感を抱くわけでありますが、まず初めの質問といたしまして、直面している地方交付税削減の懸念に対する知事の決意と働きかけについてお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、国の来年度予算編成作業が本格化する中で、地方交付税総額の確保については、地方にとって大変厳しい状況にあると懸念しております。御指摘のように、政府の中で地方交付税の総額、これを削ってしまえというような議論がありまして、これは大変なことだというふうに思っております。
地方交付税は本県における一般会計歳入総額の約3割を占めておりまして、これに大きく依存しているというのが現状でございます。今後も社会保障関係費の増加は毎年増加していきますので、仮に地方交付税が削減された場合は、財源不足が急に拡大いたします。
私も、就任以来、10年かけて財政の再建に努めてまいりまして、何とか最近はそんなに単年度赤字が出ないような状況になりつつあるんですが、それでも、この地方交付税がどんと下がっちゃうとこれが一挙に悪化いたしまして、また数年で財政パンクというようなことになりかねない、そういう状況にございます。
したがって、そんな状況にはないんだから、財務省がおっしゃるように取り上げてしまえというのは全く間違いじゃないかと、こんなふうに思っております。
そこへもって、県議会で冒頭、決議がなされました。それに若干触発されたというところもありますけれども、我々も、それは当局も頑張らないかんということで、自民党の本部で和歌山の産品を売ってくださるという催しがございましたが、そのときに二階幹事長のところで、個別にお願いに行きまして、こういうことになっとるんでぜひよろしくお願いしますというようなことを申し上げましたし、その朝、地方創生実行統合本部というところから「和歌山県の現在やっているところとか思いのたけを述べよ」ということがございましたんで、もちろんこれだけではございませんが、いろいろ状況を説明した上で、地方交付税の総額カットというのはもう絶対困るというようなことを申し上げてきたところでございます。
もともと、「経済財政運営と改革の基本方針2015」というところで、これは閣議決定がなされているところでございますんで、これをもう早々にやめて別の方式で総額をカットするというのは、これはやっぱり絶対によくないんじゃないかというふうに思います。もちろん全国知事会議、これは私行けなかったんですけど、11月28日にございまして、そのときもほとんど全県知事こぞって政府にそういうことを要求し、また和歌山県も、副知事に出てもらいましたけど、そういうようなことを申し上げたところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 では次に、観光振興を目的とした路線バスの活用促進と環境整備についてお尋ねをいたします。
まず1つ目、路線バス川丈線、新宮─本宮間の利活用についてであります。
地域にとって路線バスは必要不可欠な交通手段でありますが、その中には過疎化によってその維持が困難な路線があります。今に始まった話ではありませんが、採算がとれない路線、いわゆる赤字路線を廃止か継続か、継続をするにしても赤字補填をどうするのか、実に難問であります。
私の地元でもそのような路線があり、苦しい状況を、新宮市に本社を置くバス会社の社長を初め社員の方からお聞きをいたしました。このバス会社が運行している新宮市と田辺市本宮を結ぶバス路線、通称川丈線は、新宮駅から熊野川町の道の駅、志古の瀞峡ジェット船乗り場などで停車をしながら、川湯温泉を経由し、本宮大社までを結ぶ路線が4往復、川湯温泉を経由せずに本宮大社から土河屋までを結ぶ路線が4往復運行しております。もちろん地域住民の生活路線でもありますが、ここ数年、利用者が減少傾向にあります。
ちなみに、当路線は、昭和50年代初めより国や県の補助によって維持をされております。国庫補助金を申請するに当たっての要件は、輸送量が1日15人以上を満たす路線が認定され、国と県からそれぞれ2分の1ずつの補助金が交付されます。平成27年度実績は、両系統とも何とか認定条件は満たしましたが、利用者の減少に伴い補助金が減額され、減額分はこれまでバス会社が負担し続けてきましたが、平成27年度から新宮市、田辺市が補助を行ったとのことです。
しかし、今後さらに利用者が減少し、補助要件輸送人員が15人を割り込んでしまいますと、国庫補助対象路線認定から外れ、自治体の単独補助路線となりますが、自治体の財政状況から補助が得られないことも予想され、ますます路線維持が困難となります。川丈線が廃止にでもなりますと、地域住民のみならず、マイカーを使わない観光客の周遊にも支障を来します。その事態を回避するため、会社も路線再編に知恵を絞り、県や市を交えて対策の検討を重ねているというのが現状とのことです。
以上の経過説明を聴取した上で思いつく打開策について意見交換をいたしましたが、生活路線維持のためには利用客の増加しかないという結論に行き着く中で、劇的な人口増加は見込めないことから、観光振興を目的とした路線として位置づけ、観光客に利用してもらうことを考えればよいのではという発想にたどり着きました。
さかのぼって調べましたところ、全く同じお考えを、平成23年6月定例会において中村裕一議員が発言されておりました。赤字バス路線に観光客を誘致することができれば、バス会社が喜ぶだけでなく、地域も路線を維持できるし、何といっても地域振興になり、観光立県を目指す本県にとって路線バスは観光振興の有力な手段だという考えに対し、知事も、路線バスは、観光客が安価でかつ手軽に利用でき、観光振興を図る上でも重要な交通手段と認識しているとの見解を示されました。
このような観光振興の観点から、観光地を周遊する手段として路線バスを利用していただければ、ひとまずは路線の維持が可能になるかもしれません。そこで、冒頭にも申し上げましたが、赤字路線を維持させるための改善策を見出すことは、この路線に限らず非常に難しい課題と認識をしておりますが、観光地としても観光名所を経由する川丈線をなくすわけにはいきません。
そこで、川丈線の厳しい現状を打破するために、周遊する交通手段として利活用することについて県としてはどのようにお考えでしょうか、商工観光労働部長にお尋ねします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御質問の路線バス川丈線については、利用客が減少傾向にある中、まずは地元住民の利用促進につながるような地元自治体の取り組みが重要であり、観光客の利用だけで安定的な運行を実現するのは大変難しい状況にあると考えております。
このような状況にありましても、県としましては、従前より熊野速玉大社や熊野本宮大社、熊野古道など、周辺の世界遺産を軸に温泉や川舟下り、瀞峡めぐりなどをパンフレットやホームページで紹介し、これらの情報を観光客が容易に得る機会をつくることで、路線の利用を促進してまいりました。
さらに、この路線の利用促進を図るためには、地元自治体や観光関係団体・事業所が主体となって、世界遺産ブランドだけでなく、地域の魅力ある観光資源を発掘、ブラッシュアップし、それらを効果的に組み合わせることで、観光客が途中下車をしてまで行きたくなるような観光スポットをつくり上げていただく必要があると考えております。県は、このような地元の取り組みと一緒になって地域の経済発展に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
では、どのような方策があるかという話になるわけですが、この貴重な川丈線を継続的な路線にしていくために講じる対策は、延命に照準を合わすレベルでは決して長続きしないと思います。となりますと、地元住民に対して利用を訴えていくことも当然のことですが、例えばJRを利用して新宮を訪れる観光客に、川丈線を大いに利用してもらうための仕掛けづくりや働きかけの協力体制が必要です。
バス会社のさらなる奮起に期待するのはもちろんのことですが、地元行政や住民の皆さんにも危機意識を持っていただき、川丈線を維持するために利活用を本気で考えようという機運を高めなければなりません。答弁いただきましたように、県の御協力を引き続きお願いいたします。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
2番目、効率よく観光地を周遊してもらうための交通ネットワーク情報の提供についてであります。
新宮市は、位置的に関東方面、東海方面からの観光客にとって玄関口であります。新宮市を起点とし、紀南地域の観光スポットへと流れていきます。その際の移動手段は、マイカーやレンタカー、それから路線バス、タクシー、JRということになります。
世界遺産である熊野古道を体験する場合、出発地点にマイカーで移動すれば、またとりに戻らないといけない、あるいは誰かが運転手として残り、到着地点に先回りして待機しないといけないなどの不便さや不効率さが生じます。旅行予算に余裕がある、あるいは人数が多い場合はタクシーを借り切る方法もありますが、路線バスを上手に利活用するのが一般的と言えます。
先ほども御紹介しました中村議員の質問に対する知事の答弁の中で、「観光客にとっては、旅行の計画時に路線の有無や鉄道との連絡など、煩わしさが伴う。また、情報が少なければ、なかなかつらいものがある。このため、県では、県観光パンフレット、わかやま観光ホームページからの情報発信に加え、電車と路線バスを組み合わせたフリー切符の紹介など、利用促進に努めている。また、近年増加傾向にある熊野古道を歩く個人旅行者の利便性の向上とさらなる誘客を図るため、発地から熊野古道を経由して着地までの路線バスを活用した交通手段がパソコンや携帯電話から簡単に検索できるシステムを開発するなど、インターネットを活用した情報発信に努めていく」との説明がございました。
そこで、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
この質問に対するやりとりから5年が経過した今、路線バスの利用促進にも効果が期待できる交通ネットワーク情報発信の取り組みはどのように進み、どのような成果に結びついているのかをお教えください。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 国内外からの個人客が増加する中、路線バスの活用は手軽に利用できる有効な移動手段であると認識しており、県では、パンフレットやホームページでの紹介、また旅行会社やメディア向けのプロモーションなど、さまざまな機会を捉え、利用促進のための情報発信を行ってきております。
具体的には、和歌山県観光ガイド&マップ、旅のハンドブックなどで路線バスを初めとした各公共交通機関やモデルコースを提案し、効率的な周遊を図ってまいりました。さらに、わかやま観光情報ホームページでの情報発信に加え、熊野古道を歩く観光客が容易に公共交通機関の乗り継ぎができるよう、熊野古道ウォーキングナビも開設しております。トレッキングコースと公共交通を組み合わせたこの案内システムは全国的にも珍しく、旅行会社の商品づくりに役立っていると聞いております。
また、最近では、地域の観光関係者などから、路線バスを利用する外国人やアウトドアスタイルの女性グループなどもよく見かけるという話もあり、一定の成果があったと考えております。
県としましては、こういった観光情報ツールの便利さと活用方法について、もっと多くの観光客に知ってもらえるよう、市町村や地域の観光関係団体などと連携して取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
観光客の利便性を向上させることにより路線バスの利用促進にもつながる、交通ネットワーク情報発信の取り組みが各種なされていることはよくわかりました。今、答弁にもありましたが、せっかく作成した情報発信ツールは、観光客に存在を知っていただき、実際に活用してもらうことが重要であります。
また、案内する側の観光事業関係者、宿泊施設や交通事業者の皆さんに、これらのツールは観光客にとって便利なものであり、また案内する側にとっても効率よく案内ができるツールという認識を持ってもらうために、例えば、でき上がったツールを関係先にただ配布するだけではなく、掲載内容や作成に当たってこだわった部分、また想定される活用例を説明するなど、一手間、一工夫を重ねていくことが重要であり、県当局にもこのような点を意識し、さらに普及に努めていただきたいと思います。
観光の活性化に関しましては、地域性がそれぞれ異なるため、確かに地域の主体的な取り組みは必要ですが、県もこれまで以上に積極的に参加をしていただき、地域の抱える課題やそれに対する解決に向け、一緒に取り組んでいただきたいと思います。
それでは、最後に1点、要望をさせていただきます。外国人観光客の受け入れ環境整備の支援についてであります。
私の地元の新宮市観光協会の報告によりますと、インバウンドによる新宮地域への外国人観光客は着実に増加傾向にあるとのことです。その証拠に、観光協会の案内所へは、多くの外国人観光客が目的地への行き方を尋ねるために立ち寄ります。職員さんの英語による丁寧な説明を受け、目的地へと向かいます。しかしながら、それらの人たちが目的地への行き方を頭では理解したとしても、交通機関を利用する際に行き先表記に戸惑ったり間違ったバスに乗ってしまっては、時間と費用のロスになるだけでなく、不安感を抱くことになります。
大事なことは、観光ルートをめぐるための交通機関が外国人観光客にとってわかりやすく、かつ安心して利用できることではないでしょうか。それを克服するためには、多言語表記や多言語アナウンスを充実させ、しかも広域で統一させることなどが考えられます。
今後、さらにインバウンドの年間訪日者数をふやしていくためには、いわゆるゴールデンルート以外の地方に誘客することが重要であります。特に世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に代表される神仏信仰の地である和歌山県は、外国人集客の潜在能力は高いものがあると思います。外国人観光客のニーズを把握し、それに対応することにより、和歌山県は地方であっても世界遺産の名にふさわしく、おもてなし対応が行き届いた観光地であるとの印象を持ってもらうことが、外国人観光客のさらなる誘客につながると考えます。外国人観光客の路線バスへの受け入れ環境整備の支援について、早急に御検討いただきますよう要望をさせていただきます。
それでは、次に、クルーズ船誘致に向けた取り組みについての質問に入らしていただきます。
1つ目、本県におけるクルーズ船誘致の目的と戦略についてであります。
政府は、8月の臨時閣議で事業規模28兆1000億円に上る未来への投資を実現する経済対策を決定いたしました。事業規模で見ますと、21世紀型のインフラ整備に10兆7000億円と、経済対策の柱の1つとして掲げ、リニア中央新幹線の全線開業前倒しや整備新幹線の整備と並んで、大型クルーズ船が立ち寄れるような港湾の整備も進めるとしています。具体策としては、外国からのクルーズ船を受け入れる港の整備、例えば大型船の入港、接岸に対応するための港のしゅんせつ、客船ターミナルの整備などが挙げられています。
大型クルーズ船は、外観の巨大さと船内のゴージャス感で、一歩足を踏み入れればまるで別世界、さながら海に浮かぶ高級ホテルといったところです。旅の種類は多様ですが、その中でも船旅は優雅でゆったりとした時間を過ごす、とりわけ富裕層が好むというイメージが強く、多くの人たちの憧れ、うらやましい旅と言えるのではないでしょうか。
国土交通省によりますと、クルーズ船の寄港は、近年、横浜や神戸、博多など大都市だけに限らず、長崎や那覇、石垣島など地方でも急増しているとのこと。2020年の訪日外国人旅行客を4000万人に倍増させる計画のうち、500万人をクルーズ船旅行客でふやそうという目標を掲げています。
自民党内では、昨年6月、観光振興のため、二階俊博幹事長の旗振りのもと、クルーズ船観光振興議員連盟が設立され、大型船が入港できる港湾整備などを提言したことから流れが加速し、それに伴い、関連事業の予算化を陳情する自治体の動きも活発化してきました。
政府は、昨年度補正予算に30億円を計上し、博多や長崎など9つの港で岸壁の拡充工事などを実施しましたが、今年度も港湾整備費2317億円の一部をクルーズ船誘致に向けた事業に充てています。国内各地の主要な港では、もう既に多くのクルーズ船が寄港しております。特に外国クルーズ船は、日本が誇る文化的価値の高い有名な観光名所や四季折々に姿を変える豊かな大自然の風光明媚な景色を楽しむ、あるいは日本料理や温泉を初め、各地に根差した日本文化に触れることを目的とした外国人観光客を一度に大勢迎え入れることができます。
また、観光目的以外のクルーズもあります。例えば、福岡県の博多港にはクルーズ船が年間100隻以上入港し、1回当たり3000人以上の乗客が乗っていることもよくあるそうですが、大型クルーズ船のメリットの1つに、クルーズ会社や船による制限規定は多少異なるものの、航空機などに比べて多くの荷物を持ち込める利点があります。それを生かし、中国人観光客向けの爆買いツアーが組まれ、大変人気があるとのことです。下船後、バスに乗って移動するわけですが、乗客を3000人とした場合、ツアーバスに50人満席で乗ると考えても、60台が必要になります。ツアープランも多彩なため、実際は100台近いバスがそれぞれの爆買いスポットを目指し、福岡のまちを縦横無尽に走っているそうであります。
さて、本県に目を転じますと、国際拠点港湾である和歌山下津港、重要港湾の日高港、特定地域振興重要港湾の新宮港があります。和歌山県では先ほど御紹介した事例ほどの規模にはならないにしても、このような話を聞くだけで大量消費や交通機関利用など、地域にもたらす経済効果の大きさに期待を膨らませてしまうのはごく自然なことではないでしょうか。
このような国内外の観光客を乗せた大型船の寄港に向けて、各港並びに各自治体が熱心に誘致合戦を繰り広げているところですが、観光立県の実現を目指す本県におきましても、クルーズ船誘致は大変有効な取り組みと考えます。本県のクルーズ船誘致に向けた目的、具体的な取り組みやターゲットについて、知事からお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) クルーズ船誘致は、港湾を活用することによって観光客による地域産業の振興及び活性化に大いに寄与するものであり、外洋に面している本県港湾の優位性と熊野古道を初めとする観光資源を生かした観光客の誘致には、非常に有効な手段と認識しております。
こうしたことから、知事就任当時よりその誘致に取り組んでおり、国内外で開催されている商談会等に参加して寄港を働きかけるほか、客船運航会社や旅行会社へのプロモーションなどにも取り組んできたところでございます。
ひところは少々実績を上げておりまして、それまでに比べると随分来るようになったということでございましたが、しかしながら、東日本大震災、紀伊半島大水害、そういうものの時勢の影響もございまして、クルーズそのものの需要が落ち込んでいた現状に加えて、ちょっと目を離しているすきに、若い職員を中心にたゆまず努力された新宮市なんかに比べると、ちょっと県のプロモーションが中だるみになっておったなあということは反省すべきことだと思っております。和歌山県もそんなに落ちてるわけでもないんですけども、他県で寄港急増の現状を見ると乗りおくれた感があるなあというふうに思っています。
これではいかんということで、議員御説明のとおり、近年はインバウンドを初めクルーズ観光についても再び脚光を浴びてきたところでありまして、この機会を逃さぬよう、これまでの反省も踏まえて、先般、庁内横断のクルーズ船誘致チームを立ち上げたところでございます。
その中で、これまで寄港実績のある国内クルーズ、これはもとより、欧米人を対象とした外航クルーズの寄港拡大を目指すとともに、これとは客層が若干違うんですけども、急激に増加している東アジア域内発着のクルーズ船誘致にも積極的に取り組んでいきたいと思っております。
さらに、誘致活動を強化するためクルーズ振興協議会を立ち上げ、各市町と連携を図り、また外航クルーズ船の運航責任者等を招聘するとともに、大型化するクルーズ船に対応するため、泊地の拡幅など県内の港湾機能の強化にも取り組んでまいる所存でございます。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
次に、2つ目の新宮港への大型クルーズ船の受け入れ環境整備についてお尋ねをいたします。
近年、新宮港には、材木やチップなどを運搬する船以外にも、5万トンクラスの国内最大豪華客船・飛鳥Ⅱを初め、ぱしふぃっくびいなす、にっぽん丸といった国内全てのクルーズ船が入港するほか、フランスのロストラルやバハマのマンション型豪華客船ザ・ワールドなど、外国豪華客船も入港するようになってまいりました。
平成18年から21年ごろには、黒潮の激しいうねりが災いして入港直前の飛鳥Ⅱが接岸できないという事態が頻発し、それが原因でクルーズツアーから敬遠される期間がありました。しかしながら、県の御尽力で沖に整備していただいた防波堤が静穏度を高める効果を発揮し、接岸の確率を向上させております。最近、客船の入港が増加に転じた大きな要因となっています。しかしながら、まだ防波堤の整備が残っている部分もありますので、引き続き促進をお願いいたします。
さて、去る11月13日、飛鳥Ⅱが通算12回目、本年度だけでも6回目の入港を果たしました。そしてことしは、新宮港第2期整備部分の供用開始に伴い、飛鳥Ⅱが初入港して以来10周年という節目の年を迎えたことから、岸壁では「新宮港みなと集祭り」と銘打った記念イベントが開催され、歓迎セレモニー並びに式典、記念植樹、多彩なステージイベント、各種振る舞い、地元物産品の販売、豪華賞品抽せん会などが実施され、乗客やクルー、地元からも多くの人が集まり、夕方の出港まで大いににぎわいを見せました。また、今回は約650人の乗船客が訪れ、熊野三山、熊野川、潮岬、新宮市内の観光スポットなどのそれぞれのコースに分かれての半日観光、いわゆるオプショナルツアーへと向かうため、港に待機していた多くのバスやタクシーに大半の観光客が乗り込みました。
特に最近、力を入れているのが出港時のお見送りであります。少々手前みそな話になりますが、さかのぼること1年前、たまたま港のそばを車で走っておりますと、夕刻に出港しようとする客船が目に入りました。せっかくなので間近で見ようと岸壁付近へと近づきますと、太鼓グループの演奏と市の担当職員や数十名程度の市民が見守る中、出港セレモニーの真っ最中でありました。私に気づいた顔見知りの市の職員さんに突然マイクを渡されまして、船上の観光客に向かってのお別れの挨拶をと、突然の指名を受けました。拙い言葉にもお客様は大変喜んでくださりました。汽笛を合図に出港を始めた船に向かって、岸壁にいる人たちとともに、お互いの姿が米粒ぐらいになっても、大きく手を振り続けました。
初めてのお見送りで感動を味わった半面、ターミナルもない港であることに加えて、それまで尽力されていた方々には大変失礼な言い方ですが、少人数での見送りはやや寂しい感があり、地域のイメージダウンにもつながるのではないかと感じました。帰るときこそ盛大なお見送りが感動を生む。地域の人たちの温かい思いに触れてもらうことがリピーター獲得につながるのではないか、その提案に市や観光協会役員の賛同が得られ、見送り隊を結成しようということになりました。
一般市民に参加を呼びかけたところ、現在、会員約300名、出港のたびに多くの方がお見送りに駆けつけていただけるようになりました。名づけて「梛の木見送り隊」。熊野信仰の御神木であるナギの木は、その名前から海のなぎに通じると、古来から、その葉や実が船乗りの航海安全を祈るお守りとされてきたことにちなんだものであります。1年前は寂しかったお見送りも、今では船の上から岸壁に向かって無数の紙テープが一斉に投げられ、ペンライトを手に見送る人たちとがつながります。来訪への感謝と名残を惜しむ心が伝わる、そんな感動的な出港独特のお別れの光景が見られます。
灯りのともったクルーズ船が夕闇迫る海に浮かぶ幻想的な雰囲気の中、誰彼なく「さようなら、また来てね」と叫ぶ声に「ありがとう、また来るよ」と返ってくる、そんなやりとりがいつまでも続きます。
客船は一度に大勢の観光客を連れてきてくれます。新宮港に寄港するクルーズ船の観光パターンは、朝方入港し夕刻に出港、その間、熊野三山などへのオプショナルツアーを楽しむというもの。地域の受け入れによる恩恵としては、熊野に触れていただけることはもちろん、観光バスやタクシー数十台の利用、観光名所では食事やお土産物購入、また、飛鳥Ⅱの場合では600名以上の乗客のほかにも約400名のクルーもおられます。出港までの休憩時間には近くでショッピングや食事をされるなど、実に1000名以上の来訪がかなうことになります。
クルーズを企画運営する船会社によりますと、新宮港が行程に組まれたツアーは比較的早くに売れるようになってきたそうですし、地域一体となって乗客やクルーの人たちに行き届いたおもてなしを施せば、一度に多くの熊野ファン獲得につながるのではと考えます。
そこで、世界遺産熊野の海の玄関口、新宮港へのさらなる大型クルーズ船受け入れのための環境整備について、今後の計画を県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 新宮港への大型クルーズ船の受け入れ環境整備について御質問を頂戴いたしました。
我が国に寄港する外国の会社が運航するクルーズ船が急増しておりますが、これらの船舶の寄港回数に占める7万トン級未満の船舶の割合は、平成22年で9割であったものが5年後の平成27年には5割以下となるなど、急速に大型化が進行している状況にございます。
新宮港には、現在、最大で5万トン級のクルーズ船の入港が可能となっておりますが、さまざまなクルーズ船の運航会社に対してさらなる誘致活動を進める上では、大型化への対応が重要と考えてございます。具体的には、佐野3号岸壁前の船舶を停泊させるための水域、いわゆる泊地を一部拡幅すれば、より大型の7万トン級のクルーズ船の寄港を可能とすることができます。
このため、さきの9月議会で議決いただいた補正予算で泊地の拡幅に必要な設計をさせていただくとともに、今12月議会では本工事費の補正予算を上程させていただいているところでございます。今後、早期に設計を終え、現地において工事に着手したいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 新宮港へのさらなるクルーズ船誘致に関しての質問に対し、知事並びに県土整備部長から誠意ある前向きな御答弁をいただきました。
目の前の海岸埋立工事が始まったのは昭和46年、私がまだ4歳のころでした。それから45年の歳月を経て最近の整備支援に至るまで、県には多大な力を注いでいただきました。着工当初は、貴重な海岸を犠牲にしてまで港をつくる必要があるのかと異議を唱える声もあったそうです。特に第2期工事に際しましては、第1期工事部分の工業地帯がまだ売れ残っているにもかかわらず着工された状況から、無駄な公共工事ではないかとの声も強かった覚えがあります。
しかしながら、私自身も議員になってから理解できたことでありますけども、飛鳥Ⅱ、大型規模の大型客船の入港が可能になり、大規模な地震にも耐えられる。これは第2期工事で整備された岸壁のおかげであり、今となっては経済活性化の糧として大いなる元気と勇気と希望を地域に与えていただいていると地元住民の誰もが認識をし、感謝の念を抱いていると確信いたします。私もその1人として深い敬意を表しますとともに、厚く感謝を申し上げます。
経済面、観光面、防災面など多面にわたり、また将来的には水産物の輸出、海流発電やメタンハイドレートなど自然エネルギー事業の拠点となるべく、地域・官民一体となって全国と戦うための大きな武器として新宮港を有効活用していくために、私も全身全霊を注ぐ覚悟であります。
県におかれましては、なお一層の御支援を賜りますよう伏してお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
5番前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、こんにちは。今議会も、一般質問、私で最終でございます。こうして皆様を見ますと大変お疲れのようでございますけれど、ぜひ最後まで御清聴のほどよろしくお願いをしたいと思います。
また、最近、年のせいか、子供から滑舌が悪くて言葉がわかりにくいと、そのように言われておりますが、お聞き苦しい点もどうか年のせいと御容赦のほどお願いいたしまして、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず、レイディ・ワシントン号についてでございます。
その質問の前に、一言。
昨年、私の地元串本町では、エルトゥールル号の遭難事故から125周年を迎え、日本とトルコとの友好の礎となったエルトゥールル号の殉難将士を追悼するとともに、これからも続いていく両国の友好を願って、日本トルコ友好125周年記念式典が、彬子女王殿下御臨席のもとに開催をされました。私も知事とともに出席をさせていただきました。
また、昨年末からことしにかけて、この遭難事件を題材とした映画「海難1890」が全国公開され、大ヒットを記録することなど、これまで全国的には余り有名であるとは言いがたかった串本町とトルコの友好の歴史を、県内外に大きくアピールすることができました。
昨年6月にリニューアルオープンしたトルコ記念館も、前年度の2倍近い入館者数を記録いたしました。紀勢自動車道のすさみ南インターチェンジまでの延伸効果はもちろんでありますが、長年にわたるこれまでの串本町とトルコとの地道な交流活動の成果であり、大変うれしく思いますとともに、御支援をいただいた議員の皆さん、また知事を筆頭に積極的にPR活動をしていただいた県の皆様方のおかけであります。少し遅目で申しわけございませんが、心より感謝とお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
それでは、1番目の質問に入らせていただきます。
さて、皆さん、串本町には、今申し上げましたトルコ記念館のほかに、もう1つの記念館があるのを御存じでしょうか。日米修交記念館といい、トルコ記念館と同じく串本町の樫野地区に建てられております。地元の人たちは、トルコ記念館を「トルコ館」、日米修交記念館は「アメリカ館」と親しみを込めて呼んでおります。
では、なぜアメリカ館がこの地に建てられたのか。今から225年前の1791年、アメリカのレイディ・ワシントン号とグレース号の2隻の木造船が、中国からの帰路、串本町大島沖に来航しました。これは、私たちも学校の歴史の授業で初めての日本来航だと習ったペリー提督の浦賀来航、いわゆる黒船来航よりも62年も前の出来事でありました。その記録が日本の幾つかの古文書に残されており、それをもとに1975年、寄港した浜の近くに町立の施設として建設をされました。
しかしながら、アメリカ側の記録はこれまで見つかっておらず、両船とも地元住民との交渉を行ったのみで徳川幕府と交渉することもなく日本を離れたため、幕府と交渉し開国を迫ったペリー来航のほうがより重要な出来事であるとの認識や、さらには教科書にも掲載されていることもあり、レイディ・ワシントン号の来航は残念ながらほとんど知られていないのが現状でありました。
そのような状況のもと、来航225周年を迎えたことし、アメリカでの資料発掘を目指し串本町が調査を行った結果、マサチューセッツ州においてグレース号の乗組員が記した当時の航海日誌が見つかりました。そこには、初めのうちはお互い警戒しながら数日間を過ごしたが、徐々に親しみも湧いてきて、やがて贈り物の交換や祝いのうたげも催されるなど、来航から出帆までわずか10日ほどの短い滞在ではありましたが、初めての日米交流が確かに記されておりました。
串本町民が何世代にもわたって大切に語り継いできた日米交流の歴史が裏づけられたこともあり、11月には串本町で225周年の記念式典が開催され、ペリー提督の子孫であるマシュー・C・ペリー氏や、大阪・神戸総領事のアレン・グリーンバーグ氏の挨拶など、また、駐日米国大使からビデオメッセージもいただきました。
知事もこのレイディ・ワシントン号について、もちろん以前から御存じのこととは思いますが、今回、アメリカ側でこの史実を裏づける航海日誌が見つかったことについて、ぜひ御感想をお聞かせください。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) レイディ・ワシントン号及びケンドリックさんのお話につきましては、数年前、佐山和夫さんという田辺市在住の作家兼郷土史家、その方が本を書いたんでぜひ読んでくれといって送ってきてくださいました。その本の名前は、「わが名はケンドリック」という本でありまして、大変おもしろい本でありました。実はそれまで、私はこの話、知らなかったんですけど、おお、そういうことかといって、それ以来、大変意識をしているところでございます。
本件は、ペリーの黒船来航より62年早い1791年、米国商船のレイディ・ワシントン号が串本町の大島に来航した史実を、議員御指摘でございますが、これを裏づける航海日誌が本年4月、アメリカで発見されたそうでございます。
この史実から、住民とのほのぼのとした交流に加えまして、当時、鎖国政策をとっていた日本の外では、既にレイディ・ワシントン号が北西航路を開拓してアメリカと中国が貿易を行っておったというようなことがうかがわれるなど、地球規模でいろいろ物事を考えていくというと、大変興味のあることがそこから出てくると思います。
和歌山の子供たち、あるいは日本の子供たちがこのような新たな歴史に触れることで、定説をうのみにしないで、自分自身で物事を深く考えることの大切さに気づかされる意義深い資料であると考えております。
本年11月1日に開催された記念式典には、地域住民や地元の高校生など多くの方々が参加したと聞いております。また、ケネディ駐日米国大使からはビデオメッセージが届くとともに、地元の高校生がインターネット電話でマサチューセッツ州の高校生と意見交換するなど、地域の方々がアメリカとの国際交流に触れるよい機会であったというふうに思っております。
今後も、レイディ・ワシントン号の史実を活用し、青少年交流を初めとする地域間の国際交流を活性化していくことは意義あることだと考えておりますので、そのように頑張っていきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁をいただきました。この話は、日本でアメリカの初めての第一歩だということの史実が裏づけられたようで、非常に大きなことだと思うんですよね。
ただ、今答弁いただきましたように、国際交流、そういうのも大切ですし、子供たちに教えていくことも非常に大切ですけれど、せっかくのこういった初めての交流の機会を捉えて、多くの日本の子供たちだけじゃなしに、日本の多くの国民に知っていただきたいと。そうすることによって、エルトゥールル号の話には歴史にストーリーがあって非常に売り込みやすいとこもありますけれど、売り込みにくい話ではありますが、やはりそれを利用して観光であったりに何とか結びつけていっていただきたいなと。教育旅行にとっては非常にいい題材でもありますし、いろんな面でまだ活用できることもあろうかと思いますので、ぜひ知事を筆頭に、またよろしくお願いを申し上げときます。
続いて、副読本による子供たちへの啓発についてお尋ねをいたします。
教育委員会では、平成22年3月に副読本として「わかやま何でも帳」を作成されており、県内全ての学校に配布され、総合学習や社会の時間などで活用されているところです。レイディ・ワシントン号の来航につきましても、異国船の来航として掲載をされております。
先ほども申し上げたとおり、アメリカで航海日誌が発見され、確かな史実としての裏づけも得られた中、県下の子供たちにも積極的に教えていただきたいと考えますが、副読本を活用した取り組みについて、教育長にお伺いをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 和歌山県には、レイディ・ワシントン号が来航した史実を初めとして、後世に伝えるべき歴史的にすばらしい財産や史実が数多くございます。
県教育委員会では、児童生徒がふるさと和歌山への興味関心を高め、一人一人が積極的にふるさと学習に取り組めるよう、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」を作成しており、この副読本の中に、串本町樫野にレイディ・ワシントン号が来航し、当時の村人たちとの交流があったことについて、記念碑の写真とともに掲載してございます。また、この史実の資料の大半は、同町樫野にある日米修交記念館におさめられてございます。
今後も、副読本「わかやま何でも帳」や日米修交記念館を初めとするさまざまな施設を活用しながら、ふるさと和歌山に自信と誇りが持てる教育を充実してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。ぜひしっかりと教えていただきたいと思います。
続きまして、南紀熊野ジオパークについてお尋ねをいたします。
南紀熊野ジオパークセンターについてお伺いをいたします。
串本町には、ラムサール条約に登録されている串本沿岸海域、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」、日本遺産「鯨とともに生きる」、そして2年前に日本ジオパークに認定された南紀熊野ジオパークなど、すばらしい自然や文化がたくさんあります。
中でも南紀熊野ジオパークですが、拠点施設となる南紀熊野ジオパークセンターが串本町潮岬に建設されるということで、串本町民を初め、エリア内の皆さんも非常に期待をしているところでございます。この南紀熊野ジオパークセンターについてどのような施設を考えているのか、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長日吉康文君。
〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 南紀熊野ジオパークセンターですが、「大地と人の暮らしのかかわりを実感して楽しむ」というジオパークの視点から、地域の魅力を広く発信する拠点施設と考えております。
そのため、ジオパークに関する展示、解説や体験メニューはもちろんのこと、エリア内の観光やイベントなど地域のさまざまな情報も充実させ、観光客、地元、学校など幅広い分野の方々に利用してもらえる、施設自体が観光資源と言えるようなものにしていきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。私たちもジオパークで視察なんかに行きましても、なかなかやはり観光というのは難しいというような視察になりまして、よくて教育旅行、小中学生とかの限定されてくるようなこともよくお聞きしましたが、今度は観光にもちゃんと貢献していただけるようなすばらしい施設をつくっていただけるというんで、もう皆さん期待してると思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。
続きまして、ジオサイトの周辺整備についてよろしくお願いをいたします。
ジオサイトには、串本町の橋杭岩や古座川町の一枚岩など昔から観光地として整備されている場所だけではなく、今まで人が訪れていないようなところも選定をされております。そのため、どのように行けばいいのかわかりにくいという話もよく聞きます。
そこで、ジオサイトへ誘導する標識の設置や駐車場からジオサイトまでの歩道などの整備についてどのようにお考えなのか、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 環境生活部長。
〔日吉康文君、登壇〕
○環境生活部長(日吉康文君) 大地の成り立ちや、この地域特有の自然、文化、歴史を象徴する場所をジオサイトとして選定しておりますが、この中には議員御指摘のとおり、誘導標識の整備がされていないものや、ガイドの同行なしではたどり着くことが難しいものなどがあります。そのため、これまでも解説板や案内板などの整備を進めてきたところですが、来訪者の利便性を向上させるため、誘導標識についても市町村や関係機関と協力して順次整備を進めてまいります。
また、ジオサイトまでの歩道などの整備につきましては、来訪者が安全かつ快適にジオサイトを訪れることができるよう、土地所有者、地元市町村や関係機関などと協力しながら取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 やはりジオサイトも発表されて、皆さん有名になって、いろいろ行きたい、行きたい、行ってもわかりにくいと言っていますので、ぜひスピードが大切だと思いますので、なるべく急いでやっていただきたいなと思います。
ちょっと余談になりますが、ジオサイト、私たちの同級生に絵の上手な人がおりまして、そこがジオサイト専門に絵はがきをつくっておりまして、同級生でお金を出し合って、今、串本のほうでも和歌山県のジオサイトを売らせていただいております。大変好評で売れておりまして、ことし皆に10%の配当がございました。ぜひもっと宣伝していただけるように、またよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、指定管理者制度についてお伺いをいたします。
指定管理者制度は、平成15年の自治法の一部改正により、それまで地方自治体か地方自治体の出資法人等への委託に限定されていた公共施設の管理を、株式会社やNPO法人等の民間事業者にも担えることができるようにした制度であります。民間事業者のノウハウを活用することにより、より効率的で効果的な管理運営を行い、住民サービスのさらなる向上と行政コストの縮減を図ることが目的であります。
その選定方法は、指定管理者制度に関する和歌山県指針によりますと原則公募により決定するものとしており、本県におきましても28年4月現在、制度を導入している37の施設のうち27施設が公募により選定をされております。その指定期間は、一部を省いたほとんどの施設で3年となっています。
私は、平成26年2月の定例会の予算特別委員会におきまして、串本町にある潮岬青少年の家を例に、指定管理者の公募について質問をさせていただきました。その内容について簡単に申しますと、指定管理期間については3年にこだわらず、その施設に応じた弾力的な運用ができないかについての質疑の後、指定期間中の総合評価がすぐれている管理者については、際限のない公共サービスの競争原理を働かせる必要はなく、公募によらず、引き続き管理運営協定を結ぶことができるのではないかとただしたものでありました。
この質問に対し、当時の市川総務部長からは、「住民ニーズの変化への対応をどのように確保するか、どのような目標を設定し、その評価をどのように行うか、更新決定の透明性をどのように確保するのか、対象施設はどのようなものがふさわしいのかなど、具体的な制度設計においてさまざまな課題が考えられるところであり、県として、指定管理者制度の趣旨を踏まえ、そうした課題への対応策などについて研究してまいりたい」との答弁をいただきました。
それから3年近く経過しましたが、少なくとも私のところには研究結果は聞こえてきておりません。約3年間、各施設の指定期間と同じだけ研究する期間があったと思うわけですから、すばらしい研究成果をお聞かせ願えるものと思っておりますので、総務部長、御答弁をお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 総務部長浦上哲朗君。
〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 指定管理者について、指定期間中の評価が高い場合に非公募による再指定を行う制度につきましては、予算特別委員会での議員の御質問を受けまして、検討を進めてまいりました。
非公募による再指定制度を現に実施している自治体は全国に1団体でございまして、この自治体に対してヒアリング調査を実施いたしました。その結果、適用を受けた指定管理者にとっては、より計画的な施設の管理運営に取り組める点で一定のメリットがあるとのことではございましたが、一方で、指定管理施設の抜本的なサービス提供のあり方を見直す機会が長期間にわたって失われること、指定管理者が改善するインセンティブが弱くなること、非公募による再指定制を採用するか、それとも公募制を採用するかの判断基準を明確に定めることが困難であることなど、多くの課題が認められたところでございます。
また、ヒアリング調査後も新たに非公募による再指定制を導入している自治体は確認されておりません。
このような状況に鑑みまして、引き続き現行のとおり、県民ニーズの変化に的確に対応できるよう指定期間を原則3年とし、指定期間終了後に公募を行うこととすることが適切であると判断しているところでございます。
他方、予算特別委員会での議員の御指摘のとおり、指定管理者が自主事業の運営等を通して地域の実態に即したきめ細やかな取り組みをすること、これは指定管理施設の効用を最大限に発揮させる観点から重要であるというふうに考えておりまして、今後とも指定管理者の選定に当たっては、魅力的な自主事業の運営など施設の効用を最大限発揮させる取り組みを実現できるかという点についてもしっかり審査して、最適な指定管理者を選定してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 当初と何も変わってないなと。1つ、総務部長のほう、制度をつくってるほうですから、制度の話ばかりして、その制度を守るためのような答弁のように思うんです。
私は、指定管理者制度自体をだめだと言ってるんではなしに、指定管理者制度のその中にも、運用の仕方によっては違うのがあるんじゃないかと、その中の1つが青少年の家のような施設じゃないかなと思ってるんです。
今の答弁の中に、3年間の公募する中で、次の住民のよりよいサービスをするために公募をします、もっといい施設にするためにします、そう言ってるけど、その中で潮岬の青少年の家のようなところは、定年を迎えた人、もう年金をもらってるような人たちが働いてるというんじゃなしに、やはり若い子たちも置かなくてはいけないような、そういう施設です。
そういった中で、その人たちが公募のときに次に選ばれないとすると、失業するわけです。NPOの人たちがその失業した人たちの仕事を、ちゃんとまた後、就職先に再就職できるか。なかなか難しい。住民へのサービスを考えて、働く人たちのことに一言も触れないし、一言もそういうことを言わない。住民に対するよりよいサービスをするために公募をするんです、そんな制度、果たしていいでしょうかね。
そして、私はそれを、一度選べばそのまま続ければええと言うんじゃないです。所管がありまして、環境生活部でおのおのの青少年の家の評価というのはちゃんと出しております。3つある青少年の家、全部「優」です。県はそのすばらしい──最高とは言ってないですけど、すばらしい、皆いいですよ、立派ですよという評価、3施設ともいただいております。きちっと管理も県がしてるわけですから、よりよい住民サービスは県からも今やってる施設に、今こんなニーズがあります、こういうこともやってくださいということを、わざわざ住民に競争させなくても指導していけばいいわけですから。一生懸命働いて「優」をもらっている、そんな働いている人が報われない制度って、知事、どのように思いますか。御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 指定管理者制度において大事なことは、指定管理者が工夫を凝らして積極的に自主事業等を展開して、指定管理施設の効用を最大限に発揮させることであるということになっております。
それで、その選定に当たっては、経費面で安いということもあるんですけれども、サービス面も含めた総合評価によって行っておって、仮に現在ある事業者が非常にいいサービスをやっとるということであれば、それは次の選定に同じ人が出てきたときにかなり高く評価が加わるというような構造にもなってると思います。(「インセンティブね」と呼ぶ者あり)はい、そのとおりであります。
実は、前芝議員の御指摘の潮岬の青少年の家の指定管理者については、実は企業が1回退散した後、非常に立派な方々が組織をつくってやっていただいてるという意味において、前芝議員がおっしゃっていることは物すごく心にしみるものなんでございます。
ところが、それを仮に一般的にいたしますと、企業だって、一応営利企業だって従業員は雇わないといけないし、それが物すごく多数同じような仕事をしていないとすれば、ひょっとしたら解雇をしなきゃいけないというようなことにもなります。したがって、これを全面的に採用するというのは、なかなか難しいんじゃないかというような感じもあるんです。
もう1つの問題点としては、誰に指定管理をやっていただくかということだけじゃなくて、この指定管理制度というのは何年間に一回、そもそも自分自身を見直しなさいという問題があって、それでこういう方向で管理をしたいんですがといってこちらで発注書を出すわけですね。そのプロセスの中で、自己反省のプロセスも入ってるんですね。
したがって、ずっとそのままですよといったら、それは契約ですから、急にその契約の外側からこうやれなんていうのはそれは邪道であって──ある程度聞いてくれると思いますけども──したがって、その反省をして新しい住民サービスをこんなふうにやっていくんだということを明らかにして、それで改めて一番いい人を選ぶというのはしようがないんじゃないかなと、あるいは相対的に一番いいんじゃないかというふうに思うんでございます。
本県の場合について言えば、絶対にいい人がやっていると思いますので、選定委員は私ではございませんけども、次の機会にもそういうことは大いに評価されるというふうに思っております。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 気持ちはわかるという御答弁だったように思うんですけど、確かに難しい問題であると思うんですよ。でも、方法としては、今3年でやってますけど、こういうところはせめて5年にしましょうかとかですね。3年となると、次の目標とかいろんなことを決めるにしても、長期目標を立てるにしたって、やはり立てた途端に終わるような感じで、次の目標を立てるのは大変だと思います。
そして、県がやはりきちっと審査してるんですよね。その間の期間の審査をきちっとしてます。そしてどの企業でも、自分たちが努力しなければ倒産の憂き目に遭って、失業しても構わないですよ。それは当然ですから、失業だってみんな納得しますよ。
でも、一生懸命、若い子たちも頑張り、みんな力を合わせて県の評価も「優」をいただいたと。その次の公募になって、例えば一番最初の杵屋さんのようなとこが来て、プレゼンの上手な人が来たら、知事は公募の選定委員じゃないですからあれですけど、そらやはりプレゼンも上手ですし、かないません。
現に、一番最初の、今、潮岬青少年の家の人たちは杵屋さんに負けました。そしたら一生懸命頑張って、皆さん頑張って、ああ、よかった、県にも褒めていただいた。それで頑張ったのに、プレゼンの上手な一流さんが来たら、ぱっと首です。これはやはり、いかんともしがたい制度だと思うんですよね。どのように説明して、何て声をかけるのか。「頑張れ、頑張れ」と言ってもだめですよ。インセンティブがあるような言い方は少し小さ目で知事からありましたけど、実績があってでも、やはり新しいことを言わなくてはいけない。
ただ、実績、今まで経験したから多少プレゼンは上手になるかもわからないですけど、でもやはりそれ以上にプレゼンがただうまいだけの人が来れば負けるんですよ。実際に今の青少年の家は負けて、それで結果、杵屋さんはよかったかといったら、だめで撤退してしまいました。最初のお金のあれを持って、持ち逃げみたいなもんですよ、もう極端なことを言えば。そんな結果で、選定委員ですらそのぐらい間違ってるんですから、そこに選定はきちっとしますと言われても、どうも僕としては響いてこないですし、納得できないとこがあります。
ぜひ、何かしらやはり一生懸命働いている人たちが報われる、何か実を与えられる、後の就職先を何とかしてあげられる、そういう制度を何とかいま一度、知事、よろしくお願いいたします、答弁を。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) おっしゃっているお気持ちと、それから御見識は本当によくわかるんですけども、だけど、ずうっと同じ人にやらしなさいということを決めましょうというと、それじゃほかのところはどうなのとか、いろんな議論がいっぱい出てくると思うんですよね。
先ほどおっしゃった点で少しコメントがあるのは、任期中に何かおかしいというところを直すというのは、契約に反するようなところがあったら直すというのは正当性があるんですけど、もっとこういうことをやってくれとか、そういうことについては契約ですからなかなか直せないんですね。したがって、もっとこういうことをやってほしいというようなことを考えるときは、指定管理の一番初めに我々の入札条件といいますか、こういうことでやってほしいんだということで契約の原案を出すという意味もあると思うんですね。
ですから、そういうことを逆に継続してずっとやりましょうねといったら、はっきり言うとできない。あるいは、できないことはないけども、契約の改定を交渉しなきゃいけないということになりますね。それも応じてくれると思うんですけど。
だから、そういうような制度なんですけどねということを改めて申し上げて、ちゃんと立派にやっていただいてるということは評価したいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 1つちょっと先ほど言い忘れたんですけど、ずっとじゃなしに、せめて5年にしていただいても結構ですし。できてないと、管理しているとこが県にきっちりあるんですから、環境生活部でやってるんですから、そこで物すごくペナルティーで悪いとなれば、やはりそういう罰則もちゃんとここで、もうあなた方は、次は公募しますということをできるシステムをつくれば十分できるんじゃないかと思いますので、ぜひいま一度、皆さんとまたお考えをいただきたいと思う。ちょっと時間がないのでこのぐらいにさせていただきまして、次の質問に入らしていただきます。
教育について、1番項目として、きのくに共育コミュニティについてお伺いをいたします。
本県教育委員会では、平成20年度から学校、家庭、地域、各種団体が子供を取り巻く問題や教育の問題、願いを共有し、共同して解決に取り組むきのくに共育コミュニティの形成を進めておりますが、現状と成果、今後の取り組みについて、教育長にお伺いをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、平成20年度から、子供も大人もともに育ち、育て合い、地域のつながりを再構築することを目指した共育コミュニティづくりを進めております。
各市町村では、図書館ボランティア、家庭科での調理補助や登下校の見守りなど、地域住民が学校教育活動を支援する学校支援ボランティアの活動や、学校と地域が合同で清掃活動や防災訓練などの取り組みが行われております。
事業開始当初は、小学校35校、中学校19校で取り組みが始まり、現在は小学校196校、中学校85校、全体の78%の小中学校で実施されております。
また、県内のほとんどの小中学校において、学校と地域住民が子供や地域の課題について語り合う共育ミニ集会を開催しております。
きのくに共育コミュニティ補助事業を実施している小中学校の教職員や児童生徒、保護者を対象に実施したアンケート調査によれば、実施校の子供たちが「地域や社会をよくするために何をすべきか考えたことがある」と答えている割合が、全体と比較して15%程度高くなっております。また、ほとんどの教員、保護者が「学校と地域との信頼関係が深まった」、「学校と協力しながら子供を育てることができていると思う」と回答しております。
子供が多くの大人と出会う中で、人を思いやる気持ちやコミュニケーション能力が育ち、また積極的に地域活動にかかわろうとする意欲が高まるなど、着実に成長していることがうかがえます。
今後も引き続き、学校と地域が結びつき、子供の豊かな育ちと学びを支える基盤づくりを積極的に進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 大分前に質問したときよりも校数もふえ、非常に地元に根づいているんだなと思いました。串本のほうでも非常に共育コミュニティに一生懸命取り組んでいるんで、これからもまたぜひ全校になるように頑張っていただきたいと思います。
それでは、続きましてコミュニティ・スクールについてお伺いをいたします。
コミュニティ・スクールとは、平成16年6月、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、保護者や地域住民が教育委員会に任命される委員で構成される合議制の機関である学校運営協議会を通じて、校長の作成する学校運営の基本方針の承認、学校運営全般について教育委員会、校長に意見を述べるなど、一定の権限と責任を持って学校運営に参画する制度であります。
24年9月議会の一般質問におきまして、コミュニティ・スクールについてお伺いをしております。当時の教育長の答弁は、本県では新宮市立光洋中学校ただ1校であること、地域で学校を支えようとする機運を高めることができたとの報告がある一方、地域によっては地域住民の参画への隔たり、人材や経費の確保、学校運営の参画のあり方など、さまざまな課題が指摘されている、本県としては、指摘されている課題等を考慮しながら、慎重に検討をしていきたいとのことでありました。
このようなことから、コミュニティ・スクールの導入については積極的ではないとの理解でおりましたが、本議会の開会日の知事の議案提案理由の説明の中に、29年度新政策の方針の説明において、コミュニティ・スクールを小中高等学校に導入しますと述べられておりました。今後の予算編成作業や議会での審議を経てということにはなりますが、この制度の導入を推進していくことについて、教育長にお伺いをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) コミュニティ・スクールは、学校と地域住民、保護者が学校運営にかかわることで、社会総がかりでの教育を実現する制度でございます。学校が地域コミュニティーの核となり、地域から学校へ、学校から地域への互いの要請に応えることで、相互をつなぐ体制が強化されると考えてございます。
コミュニティ・スクールでは、学校が現状や課題、学校評価等を公開し、地域や保護者が主体的に学校運営にかかわることにより、安全・安心な教育環境が確立され、いじめや不登校の解消、学力の向上にもつながると考えております。さらに、学校が抱える課題や目標に応じて協議することで、家庭教育への啓発や支援についても、学校、家庭、地域がそれぞれの役割や責任を明確にしながら効果的に取り組めることが期待できます。この中で、本県がこれまで培ってきた学校教育を支援する共育コミュニティをさらに充実させてまいります。
今後、市町村教育委員会とともに、コミュニティ・スクールの導入を推進し、地域が人を育み、人が地域をつくることを目指した仕組みを構築してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 長い間かかって、コミュニティ・スクールをやるということになりました。先ほど答弁にもありましたように、共育コミュニティも含めて、やはり下地はあろうかと思いますので、大変やりやすいんじゃないかなあと思うんですけど、大変本当に難しい、学校運営にも口を出してもいいんだというようなこともありますし、難しいことだろうと思うんですけれど、午前中の質問でも中西君や岩田先生からもありましたように、やはり学力とかいろんな面で学校を地域が支えなくてはいけないんじゃないか、そういう御質問でしたけれど、もうそのとおりでありますので、ぜひこのコミュニティ・スクール、成功さしていただきたくて、いろんな問題を解決する糸口にしていただけたらなと、そのように思います。
続いて、次の質問に入らせていただきます。
再編整備の後に取り組む県立串本古座高等学校の学校づくりについてお伺いをいたします。
かつて、県立串本高校と古座高校は、地域の生徒が通う学校としてそれぞれの歴史を歩んできました。しかし、生徒数の減少等、地域を取り巻く環境の変化に伴い、平成17年の県立高等学校再編整備により、これまで地域の期待に応えて地域の若者を育ててきた歴史あるそれぞれの高校が、時代の流れに逆らえず、平成20年に県立串本古座高等学校として統合し、串本校舎と古座校舎という2つの校舎を持つ学校となりました。地域から学校がなくなることの寂しさを痛感し、何とか2つの校舎で学ぶ姿を模索してもらいたいという住民の熱い声を思い出します。
こうした地域の思いを背負った2つの校舎が、それぞれの伝統、校風を大切にしながら、クラブ活動を合同で行うなどの工夫を凝らしながら、これからの社会を担うため、みずから考え、学ぶ力を育てるという教育目標のもと、地域の人材育成に尽力してきました。
しかしながら、東牟婁地域の生徒数の減少が続いていること、さらに今後も減少が予測されることから、ことしの春、新たに串本古座高校の再編整備が発表され、古座校舎の募集を停止し、入学者全員が串本校舎で学ぶこととなりました。私自身、少し残念な気持ちもありますが、将来に向けては全員同じ学びやで力を合わせて学ぶことが生徒にとってよりよい選択であろうと、今回の再編整備の後の学校づくりに期待をしております。
なお、当然のことではありますが、古座校舎には在校生がいます。これまでと同様、しっかり育てていただき、古座校舎で学んだことも喜びを持って巣立っていけるよう配慮をお願いをいたします。
その再編整備案では、串本古座高校の新たな取り組みとして、普通科3クラスの中にアドバンスト、クリエイティブ、グローカルの3コースが設置され、グローカルコースについては、分校以外で初めて全国から生徒を募集するとされております。
地元の高校だけではなく、全国から教育環境のよいこの地に来ていただき、串本、古座の地を駆けめぐって、地域活性化の起爆剤となってもらいたいと思います。ぜひ全国の中学生や保護者に興味を持っていただけるよう各都道府県にPRし、1人でも多くの生徒が串本・古座の地で学び、青春を謳歌するよう発信していただきたいと思います。
そこで、教育長に質問をいたします。
教育長は今回大変人気があって何回も登壇しましたが、これが最後ですので、ぜひすばらしい答弁をよろしくお願いを、串本古座高校、どのような学校づくりを行うか、教育長のお考えをよろしくお願いいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 東牟婁地域の生徒数が今後も大きく減少していく中で、県立串本古座高等学校の適正規模を維持し、教育力を保つため、入学生全員が串本校舎で学び、両校舎のよき伝統を引き継ぐことといたしました。現在、古座校舎で学んでいる在校生は、卒業するまで安心して学校生活を送れるよう、できる限りの支援を行ってまいります。
さて、新たにスタートする学校は、地域の活性化を牽引する教育機関としての役割を果たすとともに、串本・古座地域のすばらしい自然や文化、歴史など地域の魅力を再発見し、その魅力を日本や世界に発信する人材、また将来地域の核となる人材育成を学校の教育目標の1つとし、教育課程を編成したところです。
特色といたしまして、普通科の中にアドバンスト、クリエイティブ、グローカルの3つのコースを設け、アドバンストコースでは、4年制大学、看護系大学への進学を目指した学習に取り組み、クリエイティブコースでは、専門学校、短期大学への進学や就職を目指して基礎学力を充実させ、幅広い教養を身につけます。グローカルコースでは、トルコやアメリカとの国際交流活動に参加することを通じてグローバルな視点を持ち、地元の豊富な学習資源を活用しながら地域活性化を考え、地域に貢献する人材の育成を目指します。さらに、ジオパークやラムサール条約に登録されたサンゴの海、トルコとの友好の歴史、水産・観光等についてさまざまな体験を通して学習し、主体的、協働的に行動しながら、世界に発信できるリーダーを育成することとしています。
また、こうした恵まれた学習環境で伸びやかに学びたい子供たちや、和歌山で学んだ力で日本全国や世界へ羽ばたきたいと思う子供たちを全国から募集いたします。地元の高校生とともに学ぶことで、地域の活性化にもつながると考えております。
全国への案内につきましては、これまで学校をPRするため、パンフレットやポスターなどを作成し、修学旅行で和歌山を訪れた学校を初め、県人会など関係するあらゆるところへ配布するとともに、学校の紹介ビデオや募集案内を学校のホームページに掲載してございます。県教育委員会からも、全ての都道府県に全国募集についての案内文書を送付し、情報を発信したところです。
自然豊かで落ちついた教育活動に適した環境を最大限に生かし、県内外の高校生が学ぶ学校としてスタートいたします。
このような学校づくりに、串本町、古座川町が全面的に協力してくれており、両町長を初め多くの関係者から成る串本古座高等学校を支える地域協議会を発足させ、地域ぐるみでこれからの学校づくりに参画していただいているところです。
県教育委員会といたしましても、和歌山大学教育学部や近畿大学生物理工学部など、さまざまな高等教育機関との連携協定を活用するとともに、地元産業界にも協力を働きかけることで教育内容を充実させ、また全国への発信を含めて、地域に根差した魅力ある学校づくりを支援してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 前芝雅嗣君。
〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 前途洋々、大変うれしくなってくるような御答弁でございました。ぜひこのように、初めてですのでいろんな失敗もあろうかと思い、いろんなことがあろうかと思いますけど、ぜひこれが立派に定着していけるように、和歌山県串本町にたくさん全国から高校の生徒がこれからも集まるように、私たちも一生懸命後押しをしたいと思いますので、教育長のほう、知事のほうも、ぜひ御協力をよろしくお願い申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第226号から議案第249号まで並びに諮問第1号は所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。12月15日及び16日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、12月15日及び16日は休会とすることに決定いたしました。
次会は、12月19日定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時37分散会