平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(鈴木太雄議員の質疑及び一般質問)


平成28年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(鈴木太雄議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○鈴木太雄君 皆さん、改めましてこんにちは。早速でありますが、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 まず初めに、大項目の1、世界遺産の保全と活用について、その小項目の1点目として、世界遺産緊急保全対策事業について質問を行います。
 皆様御承知のとおり、世界遺産とは、1972年のユネスコ総会で採択された世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約、いわゆる世界遺産条約に基づいて国際的に保護・保全していくことが義務づけられている人類共有のかけがえのない財産であります。
 2016年7月現在、遺跡や文化的な価値の高い構造物、貴重な自然環境など、世界で1052件、日本では20件が登録されております。原則として1つの国からは同じ種類のものを登録しないことから、現在登録されているものは、各国の歴史や文化、自然を代表する資産と言えます。
 「紀伊山地の霊場と参詣道」は、三重、奈良、和歌山の3県にまたがる紀伊山地の自然がなければ成立しなかった世界遺産であり、霊場と参詣道だけでなく、その周辺に広がる文化的景観も重要な構成要素の1つとなっていることから、世界に誇れる資産として非常に高い評価がなされているところであります。
 また、高野・熊野、熊野古道を含む世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、本県を代表する観光資源であり、これまで世界遺産のブランド力を最大限に活用し、あらゆるプロモーション活動により世界遺産高野・熊野を継続的に発信してまいりました。その結果、国内外から非常に多くのお客様に来訪いただいております。
 そうした中、2016年10月24日、フランス・パリで開催された第40回ユネスコ世界遺産委員会の臨時会合において、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の追加登録が決定をされました。
 このことにより、熊野参詣道の中辺路と大辺路、高野参詣道に含まれる合わせて22カ所の史跡で、資産面積で11.1ヘクタール、参詣道延長で40.1キロメートルが新たに追加されたわけであります。この中には、田辺市の闘鶏神社や北郡越、赤木越を初め、上富田町の八上王子跡や稲葉根王子跡、白浜町の富田坂、串本町の新田平見道、橋本市・九度山町・高野町にまたがる黒河道や、かつらぎ町の三谷坂などが含まれており、これで世界遺産を有する県内の自治体は、新たに橋本市、上富田町、串本町の3市町を加え、11市町となりました。
 本県では、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約の精神に基づき、人類共有の財産「紀伊山地の霊場と参詣道」を将来の世代へ確実に引き継いでいくことを決意し、平成17年3月に全国で初めて世界遺産条例を制定しております。そして、世界遺産を人類のかけがえのない多様な価値を有する財産として守り、適切に活用されつつ将来の世代に良好な状態で引き継ぐといった本条例の基本理念を十分に踏まえて、和歌山県世界遺産緊急保全対策事業を創設し、これまで市町等が行う文化財及び文化的景観の保全に資する事業に対し補助する形で、その保全への対策を行ってきました。
 本事業は、県の単独補助事業として平成19年度に制度化されて以降、世界遺産の維持管理や災害時の保存整備において大いに効力を発揮をしてきました。しかしながら、世界遺産登録から10年余りが経過したことや来訪者の増加等により路面や木製工作物の傷みが目立っているため、今後、これらの修繕等が増加するものと見込まれております。
 先ほども申し上げましたが、本年10月には県内22カ所が世界遺産に追加され、これまでの登録資産に加えて範囲が広がることとともに、既に登録されている地点に比べ整備がおくれているため、それに伴う維持管理費用の増大や、さらには自然災害による参詣道等の毀損も増加すると想定されております。特に、大雨等の被害は6月から10月の梅雨時期や台風シーズンに集中するため、観光シーズンを前に通行どめ等による来訪者への影響が懸念されているところでもあります。
 国内外からの来訪者もふえ、注目を集めている今日、来訪者のニーズに応え、いち早く毀損箇所等の修繕を行うには、これまで以上に、この緊急保全対策事業を活用した保全への取り組みが必要であるとともに、求められるものと考えております。
 以上のことから、世界遺産緊急保全対策事業がこれまでにも増して円滑に進められ、世界遺産の保全活動に支障を来すことのないよう取り組みを図ることが重要であると考えますが、教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 世界遺産緊急保全対策事業については、国の現行制度では対象とならない総事業費200万円未満の小規模修繕等や、緩衝地帯いわゆるバッファゾーンを含めた保全を対象に、県独自の制度として平成19年度に創設いたしました。この制度により、これまで計画的に必要な箇所に対し、補助を行ってきたところでございます。
 今回の追加登録の意義は、保全すべき範囲の拡大はもとより、本来の普遍的価値がより高まったことにあります。県といたしましても、市町等からの保全に関する要望に、より一層きめ細やかに、かつ迅速に対応していく必要があると考えてございます。
 全ての登録資産について、今後とも、人的、物的に被害を及ぼすような緊急性が高い復旧を初め、より高い保全効果が期待される維持管理など、市町等が行う保全の取り組みに支障を来さないよう、計画的に支援してまいります。
○副議長(服部 一君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 次に、小項目の2点目である国の補助制度拡充に向けた取り組みについて質問をいたします。
 これまで世界遺産の保全につきましては、先ほど申し上げました県単独の補助制度である世界遺産緊急保全対策事業を活用しながら、世界遺産の維持管理や災害時の保存整備等に取り組んできております。また、コアゾーンのみならずバッファゾーンの保全、つまり周辺森林の育成や整備、環境保全等にもこの事業を活用し、保全への取り組みを進めているところでもあります。
 国が行う保全に対する支援は、世界遺産だという理由ではなく、世界遺産登録の前提となる文化財保護法での文化財補助金により行われることとなっております。しかし、登録資産の200万円以上となる大規模な改修や災害復旧の場合にはその補助制度を活用することができますが、緊急を要する改修や補修への対応が難しく、何よりもバッファゾーンや周辺地域の保全について補助的な制度がないというのが実情であります。
 「紀伊山地の霊場と参詣道」は道そのものがコアゾーンでありますが、やはり誰もが癒やされ美しいと感じる風景や文化的な景観は、周辺森林等バッファゾーンが非常に重要な役割を果たしているからこそであります。資産そのものだけでなく、バッファゾーンや周辺地域の保全なくしてこの世界遺産は成り立ちません。
 だからこそ、地元住民や来訪者が互いに世界遺産への共通認識を持ち、保全活動を行っていくことが大切であることはもちろんのこと、世界遺産を守っていくという責務の一端を担う国においても、登録資産の維持管理を含め、バッファゾーン等の保全に対する補助制度の拡充が必要と考えられます。
 以上のことから、国の補助制度拡充に向け本県が行ってきたこれまでの活動と今後の取り組みについて、教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘のとおり、国にはバッファゾーンを含めた保全や200万円未満の小規模修繕等を対象とする補助制度はございません。
 近年、登録資産そのものだけではなく、バッファゾーンや周辺の文化的景観の維持が重要となっており、本年6月、国に対し、世界遺産地域を対象に、バッファゾーンや周辺地域の保全に対する財政支援拡充の要望は行ってございます。世界遺産に関係する他の都道府県等においても同様の状況であり、国に対し、補助率かさ上げ等の財政支援拡充の要望を行ってございます。
 今後も、世界遺産に関係する他の都道府県とも連携いたしまして、バッファゾーン等の保全に対する財政支援拡充について、国に対し要望を行ってまいります。
○副議長(服部 一君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 続いて、小項目の3点目として、世界遺産の活用について質問をいたします。
 本来、世界遺産登録は観光振興を目的にするものではありませんが、登録されれば観光地としての知名度やブランド価値が向上するため、観光客の誘客促進につながっていくと期待をされております。実際、平成16年7月に世界遺産登録されてから、聖地高野山・熊野三山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」はグローバルブランドとして広く認知されるとともに、より強力かつ効果的に情報発信を行うことが可能となり、本県ではこれまでそのブランド力を最大限活用しながら、あらゆるプロモーションで世界遺産高野・熊野を発信し、効果的な誘客に努めてきております。また、世界遺産を核とした魅力ある地域づくりに向けた取り組みにつきましても、各市町と連携を図りながら積極的に推し進めているところでもあります。
 そういったことから、世界遺産は本県にとりましてなくてはならない財産であるとともに、誘客の観点からも和歌山を売り出す重要な観光資源であります。
 今回新たに追加登録された世界遺産については先ほど小項目の1点目で申し上げたとおりでありますが、その中でも田辺市の中心市街地にある闘鶏神社が世界遺産となったことは、住民の多くの方々にとり、改めてふるさとに対する誇りを再認識する契機にもつながっております。また、中心市街地に世界遺産があるところは珍しく、希少価値が高いことから、観光資源としての魅力も高まるとともに、集客への効果も以前にも増して期待されているところであります。
 今後は、その価値と魅力をより一層広く伝えるために、地元と連携しながら、県内外の方々はもとより国外へも積極的なPRや来訪者の受け入れ体制の整備等を行っていかなければなりません。ぜひ、来訪者が何度でも訪れたくなるような世界遺産であってほしいと思います。
 そこで、世界遺産の活用について、これまでの取り組みと追加登録されました22地点の史跡を活用した取り組みについて、また中心市街地にある世界遺産を活用した観光振興策について、どのように推進していくのか、商工観光労働部長の御見解をお伺いします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 本県の世界遺産である「紀伊山地の霊場と参詣道」については、平成16年に登録されて以来、国内外に積極的に情報発信をするとともに、参詣道を安全・安心に歩いていただけるよう、誘導板や案内板の整備、街道マップの作成等に努めてまいりました。
 また、追加登録が承認された直後の10月31日に東京都で世界遺産シンポジウムを開催し、首都圏において本県の世界遺産の魅力を広くPRを行うとともに、11月19日に熊野参詣道大辺路において参詣道環境保全トレッキングを実施し、県内外から多くの方々に参加いただきました。
 このように、追加登録を契機として新たに登録された22地点についても積極的にPR等を行っているところであり、今後も引き続き、訪れていただく観光客の皆さんが世界遺産を満喫していただけるよう適切な活用に努めてまいりたいと考えております。
 特に、紀伊路から中辺路、大辺路に分岐する地にある闘鶏神社については、田辺市街地への誘客効果も大いに期待されているところであります。
 県としましては、田辺市と連携し、受け入れ体制の整備や南方熊楠顕彰館等の歴史資産に加え、町なかにある田辺市独自の食文化などの魅力と組み合わせることで周遊の促進につなげ、世界遺産ブランド熊野の1つとして、より積極的に誘客につなげてまいります。
○副議長(服部 一君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 引き続いて、大項目の2、スポーツ観光の推進について、その小項目の1点目、スポーツ観光の必要性と取り組み状況について質問をいたします。
 現在、我が国の経済は緩やかな回復基調が続いているものの、地方においてはその経済の好循環はいまだ十分に実現できていない状況にあります。特に少子高齢化や急速な人口減少に伴う地域内消費の減少により地域経済は縮小すると予想されており、そうした状況下において、本県におきましては、観光による内需拡大が叫ばれている中、スポーツという資源を最大限に活用した観光振興への取り組みがこれまで以上に必要とされているところであります。
 観光庁におきましては、「スポーツは感動を生み、人々の交流を呼び起こし、異なる国や地域間の相互理解を促進する」として、スポーツ観光を観光立国戦略の重要な柱に位置づけております。また、政府の成長戦略である日本再興戦略におきましても、世界の多くの人々を地域に呼び込む社会の重要施策の代表的な例として示されております。
 先般の9月議会の一般質問において、スポーツ観光の1つである、サイクリングロードを活用し観光振興へつなげていこうとする取り組みを取り上げましたが、全国各地におきましても、スポーツを資源の1つとして、あるいはツールとして捉え、スポーツを通じた観光客の誘致に向けた取り組み、いわゆるスポーツ観光が積極的に推し進められているところでもあります。
 本県は、温暖な気候、豊かな食材、日本有数の温泉に加え、世界遺産に登録された高野・熊野を初めとする豊かな自然に恵まれた魅力あふれる地であります。加えて、平成27年、紀の国わかやま国体・わかやま大会を開催し、全国から大変多くの競技者、関係者をお迎えして、和歌山の元気、活力、躍動を全国に発信できたことは、いまだ記憶に新しいところであります。この機に培ったおもてなしの機運の継続を図るとともに、スポーツと地域資源を融合させ、県全体として積極的な誘客活動を展開し、交流人口の増加と地域の活性化を図ることが重要であると考えます。
 そこで、スポーツ観光の必要性と本県における取り組み状況について、知事の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) スポーツ観光は、スポーツで来県されるたくさんの皆さんに本県でスポーツを楽しんでいただく、それから当然泊まっていただく、それから食べていただく、買い物をしていただくというような意味で、あるいはその後ちょっと別の観光もしていただく、経済的な効果が非常に高いと思います。これを今度は、サービスをする方々の雇用というのもこれによって大いに発生するということなんで、大変意義があると思っております。
 広い意味でスポーツ観光というと、手段になるものとしてスポーツ合宿があると思うんですが、国体でたくさんの施設ができましたんで、これを利用してというのが各地で盛んに行われていると思います。
 次に、和歌山でございますので、やっぱり自然を生かしたスポーツというのが目玉になると思います。自然を生かしたというとゴルフ場もあるんですけれども、何といってもやっぱり和歌山は海と川、セーリングとか、あるいはクルーザーとかマリンスポーツが大変有望でありますし、ダイビングとかシュノーケリングとか、あるいはカヤックでこいでいくとか、こういうこともなかなか楽しそうな感じがいたします。
 それから、釣り客はもともと和歌山というのは大変なターゲットになっておりまして、これは川も海もあるんですけども、そうすると渡船のような、そういう雇用もそこで賄われるということだと思っております。
 また山も、トレッキング、サイクリングとか、あるいはパラグライダー、ハングライダーというようないろんな楽しみ方もあると思います。
 そういう意味で、例えば和歌山の観光のメニューになっておりますほんまもん体験観光なんかでは、今のうちカヌーとかトレッキングとか約100ぐらいのスポーツに関連するメニューを載せておって、これがまたお客さんに情報が行き届いてる次第になっております。
 またサイクリング、これは海も山も川もあると思いますが、そのサイクリングロードを今整備中でありますし、またイベントも行いたいと思っておりますので、これがまた新しいスポーツ観光の目玉になっていくかなあというふうにも思います。
 そういう個々の話だけではなくて、平成31年には全国健康福祉祭・ねんりんピックが和歌山で開かれます。それから、平成33年には関西ワールドマスターズゲームズが開催される予定で、和歌山県でも多くの種目が行われるということになっております。こういう大会を契機にして、大会に参加される選手だけじゃなくて、一緒に来られた家族の皆さんとか、あるいは全国からお見えになった方とか、そういう方に本県の魅力ある観光資源を情報発信して、あわせて味わってもらいたいというふうに思っております。
 このようにスポーツ観光は、うまく組織化をいたしますと雇用とか地域づくりになるもんですから、和歌山県も大いに積極的にこれを奨励して、それで例えば市町村が主体的に取り組んでおりますわがまち元気プロジェクトで、これの目玉というか、要するに内容として、スポーツで地域の資源を生かした地域づくりをしようというようなことであれば積極的に支援を行っていきたいと思っております。
 このようなスポーツ観光を大いにアピールしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○副議長(服部 一君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 続いて、小項目の2点目、スポーツ合宿の推進に向けた取り組みについて質問をいたします。
 本県は、先ほども触れられておりましたが、平成27年に国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を開催いたしました。その両大会の競技会場として、県内各地において施設の整備が行われるとともに、宿泊施設を備えた大型のスポーツ施設やグラウンドの建設などが行われたことにより、各種施設が整い、スポーツを行う環境の充実が図られたところであります。
 加えて、本県は、先ほどもまた申し上げましたとおり、温暖な気候や豊かな食材に恵まれるとともに温泉や観光地などの観光資源を有しており、また地理的にも京阪神から近距離に位置するなど、スポーツ合宿に非常に適した条件が整っていることから、交流人口の増大に大きな可能性を秘めているものと考えております。
 これまで紀南地域においては、田辺周辺広域市町村圏組合を組織する市町と県の連携により平成25年5月に南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会を設置し、受け入れ体制の強化、有効な誘致活動、誘致後の交流促進の3本の柱に加えて、市町独自でも合宿誘致助成金制度を設けるなど、広域でのスポーツ合宿の誘致活動を推し進めてきているところであります。
 その結果、平成25年度は約2万6000人であった県外からの合宿者数が、平成26年度は約3万4000人、平成27年度には約4万6000人と増加してきておりますが、今後さらに誘客を図るためには、高速道路の南伸や南紀白浜空港の利用に伴う良好な交通アクセス、そして海・山・川の自然、世界遺産熊野古道や温泉など、数多くの地域資源をセールスポイントとしたプロモーション活動等の充実が重要であることは言うまでもありません。
 また、全国には、スポーツ合宿に対する各市町の宿泊助成制度とあわせて、高知県や北陸エリアなど県が独自に助成制度を設けている先進地もあることから、特に学生等の誘致活動にはこれまで以上の取り組みが必要不可欠であります。
 そういった中、南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会に対する県の補助事業であるわがまち元気プロジェクト支援事業は、今年度が補助対象の最終年度となるため、このままいけば来年度から県としては主に事務局としての協力に限られることとなります。これからスポーツ合宿の誘致を広域圏でより推進を図ろうとする関係市町に対し、ある意味、県のスポーツ合宿誘致に向けた取り組みへの後退を感じさせる状況になるわけであります。
 これからの本県にとりまして、スポーツ観光へと結びつく大きな可能性あるスポーツ合宿の誘致は、南紀エリアに限らず、県域全体としても有益なことであり、既存の財政支援にかわる何らかの支援策のあり方や、先進県のような県独自の助成制度のあり方等を熟慮し、他県にはなく、また負けない取り組みを推進していくことが必要であると考えております。
 そこで、今後のスポーツ合宿推進に向けた本県の取り組みについて、知事の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) スポーツ合宿の推進につきましては、公益社団法人和歌山県観光連盟と連携いたしまして、スポーツ施設だけではなくて、宿泊施設、周辺の観光案内などもあわせて紹介する「スポーツ王国わかやま宿泊ガイド」をホームページに掲載するとともに、ちょっとなかなかしゃれたパンフレットをつくりまして今までPRに努めてきたんですが、内容は刻々変えていかないといけませんので、一層充実していきたいと思っております。
 これらを活用いたしまして、一般論といたしましては、引き続きスポーツ団体とか大学、スポーツ合宿を専門に扱う旅行会社へのセールスを県としては強化をしていくということになろうかと思います。
 また、海外のナショナルチームとか日本代表チームのキャンプを誘致するというのも我々の仕事かなあと思っております。トップレベルの選手が求める最高の練習環境が国体を契機にしてできているところでございますんで、これは絶対にいいぞということで今大いにPRをしておりまして、結構成果が上がっているところでございます。まだまだもっとやりたいと思っております。
 御指摘のように、田辺・西牟婁地域では、合宿誘致協議会というのができまして、市町村がみんなで協力してやろうということになって、非常に結構ではないかということでございます。
 これについては、和歌山県は、ルールなんですけど、3年間支援を行って頑張れと、こういうことをしてきました。その結果、御指摘のように大分成果が上がっております。これは何も社会福祉事業でやってるわけじゃありませんので、成果が上がったということは収入が上がった人たちがいるはずなんですね。地元でそういう人たちと組んでやってるはずなんで、そういうところから今度は成果が上がり、収入が上がり、もうけがあったものの一部はまた還元してもらって、そして全体としての協議会のアクションに結びつけていくようにすると、どんどん回っていくということになります。
 そういうことも進めながら、県としては、全体的に大いに、こういうのもありますよということをPRしていくということではないかなというふうに思っております。
○副議長(服部 一君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 最後に、大項目の3として学校教育における情報化について、1点目であるICT教育の重要性と本県における環境整備の状況について質問をいたします。
 21世紀は、グローバル化の進展により、広い知識や価値観を持った人材をめぐる国際競争が激しくなるとともに、異なる文明・文化との共存や国際協力の必要性が増大しております。このような社会背景の中、社会のあらゆる領域における活動の基盤として、新しい知識・情報・技術の重要性がより一層増しており、広い知識と柔軟な思考力に基づく新しい知識や価値を創造する能力が求められております。
 子供たちにおきましては、これまで求められてきた生きる力に加え、必要な情報をみずから収集、判断、表現、処理、創造し、受け手の状況などを踏まえて発信、伝達できる、いわゆる情報活用能力が必要とされております。このような子供たちにとって必要とされている能力を高めるため、学校教育におきましては、これまでの一斉指導による学びにとどまらず、子供たち一人一人の能力や特性に応じた学びや子供たち同士が教え合う学びを推し進めていくことが、今後ますます重要になると考えられています。
 そういった状況を踏まえ、国では、子供たちの情報活用能力を育むため、平成25年に閣議決定された第2期教育振興基本計画の中で、ICT環境の整備とICTの活用の必要性を取り上げています。
 また文部科学省では、この振興計画で目標とされている水準のICT環境を普及させるため、平成26年度から29年度にわたる教育のIT化に向けた環境整備4カ年計画を作成しており、その内容には、教育用コンピューターの配備や電子黒板、実物投影機の整備を初め、高速インターネット接続や校務用コンピューターの配備、そして学習用ソフトウエアの整備やICT支援員の配置等の推進についてが明示されています。
 一方、本県におきましては、第2期和歌山県教育振興基本計画を策定し、確かな学力、豊かな心、健やかな体の育成を目指した取り組みを初め、学校や家庭、地域が連携し、子供の豊かな学びを支えるさまざまな取り組みが推し進められております。
 また、本県の学校教育指導の理念と方向性を示す資料である学校教育指導の方針と重点の中では、確かな学力の向上に向けた取り組みの1つとして、「ICTや視聴覚教材の活用を図り、わかりやすく効果的な指導方法の工夫改善に努める」とされておりますし、加えて、効果的な学校運営を図るために、「ICTの活用を含めて校務の効率化を図るとともに、会議の在り方や組織の編成と運営の方法などを柔軟に改善していく必要がある。また、必要な書類やデータをコンパクトに整理し、担当者が替わっても適切に引き継がれ、共有化されるシステムを工夫する」と明記されております。
 さらに、本県の不登校対策に係る有識者会議におきましても、不登校を生まない学校づくりのためにはICTを活用したわかる授業づくりが有効であるとも述べられております。
 そこで、ICT教育の重要性と本県における環境整備の状況について、教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) グローバル化、情報化が急速に進展する中、子供たちが情報や情報手段を主体的に選択し活用していく力を身につけることがますます重要となってございます。また、学校においては、授業を初めさまざまな指導の過程においてICT機器を活用することは、学習課題への興味関心を高めたり学習内容を理解するためには大変有効であると考えてございます。
 本県における教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数は、全国平均6.2人を上回る4.9人であり、全国9位の整備率となっております。また、教室の校内LAN整備率については78%、高速インターネットの接続率は92%、電子黒板のある学校の割合は86%など、おおむね全国平均となってございます。
 今後、県立学校において電子黒板や無線LANなどの整備を計画的に進めるなど、ICT環境を充実してまいりたいと考えてございます。
○副議長(服部 一君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 最後に、小項目の2点目として、校務の情報化について質問をいたします。
 校務の情報化につきましては、文科省が策定した教育の情報化ビジョンにおいて、ICTを活用した教職員の情報共有によるきめ細やかな指導、校務負担の軽減について明示されており、具体的には、校務支援システムの普及、共有すべき教育情報の項目・形式の標準化の2点が示されております。
 校務支援システムとは、成績、出欠、時間割、生徒情報の管理などの教務分野を初め、進路希望調査、進学・就職状況の管理などの進路分野、生徒健康診断、学校生活管理簿などの保健分野の機能等を備えたシステムのことであり、例えばこのシステムを活用すると、成績のデータを通知表や指導要録に自動的に転記することが可能になるため、転記に要する時間や転記ミスを著しく減少させることが可能となり、教職員の業務の軽減と効率化に寄与するとされております。
 また同時に、子供たちの出欠情報、学習状況、活動記録、心身の発達に関する保健情報、そして生徒指導情報等を蓄積し、全教職員で共有することが可能となり、学校全体としてきめ細やかな指導が行えることから、質の高い指導にもつながるとされております。
 以上のことから、校務の情報化は、一見学力に関係なく思われがちではありますが、子供たちの学力向上に十分関係し、学校運営の改善にも結びつくものであると考えます。
 本県における校務用パソコン、つまりハードウエアの整備につきましては、県立学校の全ての中学校、高等学校、特別支援学校において全教員に配備されておりますし、また、市町村立小中学校におきましても、ほとんどの市町村で100%を超える配備率であります。
 一方の校務支援システム、つまりソフトウエアにつきましては、県立学校の全てにおいて先ほど申し上げたような機能を備えたシステムを開発して既に導入、運用されておりますが、市町村立の小中学校におきましては、各自治体によってその整備率に大きな差があり、全く整備の進んでいない市町村も存在している状況であります。
 ソフトウエアが整備されていない自治体におきましては、現在でも出欠管理や成績処理等の入力を汎用の表計算ソフト等を用いた手動入力や手書きでいまだ行っているという実態があり、教職員に余分な労力や精神的な負担を強いている環境にあります。また、それらに加えて学校の中で情報が共有化、一元化されていないため、情報漏えいの心配や、そして何よりも、多忙な教職員にとって子供たちと向き合う時間が十分に確保されにくいといった実情もあります。
 県下の県立学校と市町村立小中学校における教育活動の質はもとより、市町村間においてもその差があるといった状況は、児童生徒たちにとりましても非常に好ましいものではありません。やはり県教育委員会には、県下全体にわたり公平性のある教育環境の確保に向けた取り組みとその責務があるのではないでしょうか。
 そこで、校務の情報化についてどう認識をされているのか、また、県下全体の校務支援システム、つまりソフトウエアの整備について非常に大きな差が生じている状況において今後どのような対策を考え、県下全体にわたり公平性のある教育環境の確保に向けた取り組みを図っていくのか、教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘のいわゆる統合型校務支援システムにつきましては、多様な業務への対応が必要な県立学校には、県独自に開発したシステムを導入してございます。また、市町村立の小中学校では、和歌山市を初め7市町で独自に導入しており、今後2市町で導入予定となってございます。
 校務支援システム導入は、教員にとって、事務処理の効率化を図ることで子供と向き合う時間を確保することができるという観点からも有用であると認識してございます。
 しかしながら、市町村によっては、システムについての専門的知識や、どのような校務支援システムを導入すればいいのかわからないといった課題もあることから、今後その課題の解決に向け、県と市町村の協議の場を設け、複数自治体による導入の検討を行い、校務支援システムを広められるよう努めてまいります。
○副議長(服部 一君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は12月12日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時27分散会

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