平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中西峰雄議員の質疑及び一般質問)


平成28年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(中西峰雄議員の質疑及び一般質問)


人名等の一部において、会議録正本とは表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。
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  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 ただいま議長のお許しを得ましたので、一般質問をさしていただきたいと思います。
 質問に入ります前に、1つ御報告を申し上げたいと思います。
 去る2月議会に、私が和歌山県民歌についての質問をさしていただきましたけれども、新聞に掲載していただいたということもありまして、結構住民の方からお言葉をいただきました。おっしゃるとおりであると、よう頑張ってよという激励と賛同の言葉をいただきましたので、御報告させていただきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、私の最初の質問は、和歌山県立医科大学附属病院の紀北分院についてであります。
 紀北分院は、平成22年に新築建てかえにより病床数104床で再開院いたしました。この病院は、建てかえ前からずっと赤字でありましたけれども、再開院後も病床利用率がおおよそ6割と低迷し、毎年数億円の赤字が続いているとお聞きしております。経営状態はどうなっているのか、お尋ねいたしたいと思います。
 また、そもそもこの病院の改築計画におきまして、一体どのような経営計画を立てておられたのか。6割余りの低い病床利用率、毎年億単位の赤字の計上を前提としてこの病院を改築されたのか。それとも、もっと高い病床の利用率、そして収支の均衡を前提に改築されたのか、一体どちらなのでしょうか。
 この病院は、改築以前から毎年3億円から4億円の赤字を計上しておりましたけれども、改築のときにはそうならないように改築計画を立てるのが当然のことだと思います。病院を取り巻く環境の変化で当初の目的どおりにいかないことがあるといたしましても、改築は平成22年であり、計画段階から経営環境が劇的に悪化したとは言いがたいはずであります。
 今の経営状態をやむなしとして計画されたのであれば、私はそれを是とすることはできませんし、そうではなく目算が狂ったというのであれば、なぜ狂ったのかということを総括する必要があると考えます。
 明確な御答弁をお願いいたしまして、壇上からの質問を終わらしていただきます。
○副議長(服部 一君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 和歌山県立医科大学附属病院紀北分院の経営状況についてお答えします。
 平成18年に県立医科大学が法人化されて以降、紀北分院の経営状況は、病院の建てかえによる影響も含まれているものの、平成22年度決算における約5.6億円の赤字をピークに、現在まで赤字経営が継続しています。
 病床利用率が低迷している主な理由につきましては、改築計画における病床数104床のうち4床を感染症病床として運用していること、また、末期がんの患者などの痛みの緩和と看護を行う緩和ケア病棟として計画した20床が看護師等人員体制の整備に課題があり、現時点で開院されていないためであり、これらを除けば一定の病床利用率は確保されていると考えています。
 なお、紀北分院では、現在、緩和ケア病棟の運用開始に向けて、緩和ケア研修を毎月実施するとともに、一般病棟としての運用の中で対象となる患者を受け入れ、緩和ケアチームによるケアの提供を行うなど準備を進めているところです。
 また、紀北分院では、急性期の治療を終了し、在宅復帰に向けての治療等を行う地域包括ケア病床の開設など、これまでさまざまな経営改善に取り組んできた結果、平成27年度決算では赤字額を約1億円程度にまで圧縮できる見込みと聞いております。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁をお聞きいたしますと、経営は当初より随分と改善されているようでありまして、関係者の御努力に敬意を表さしていただきたいと思います。
 しかしながら、感染症病床の4床につきましては利用率が低いのは理解できますけれども、緩和ケア病床の20床につきましては御説明では全く納得がいたしかねます。改築から丸6年、どうして開設できなかったんでしょうか。看護師等の人員体制の整備に課題があり開設されていないとのことでありますけども、不思議な話だと私は思います。改築計画をお立てになるときには、緩和ケアの需要、すなわち患者数の予測、医師、看護師等の必要な人材の確保、収支の見通しが当然ながら検討されていたものと考えます。
 答弁だけをお聞きしておりますと、例えて言いますれば、必要な技術者や従業員の確保のめどが全くないのに工場だけを先につくってしまって、6年間も設備を遊ばせてしまったのと同じようなことかなというふうに思います。そういう経営者がいたら私は一度お目にかかりたいなあと思いますけれども、全く御説明は理解に苦しむところであります。
 また、緩和ケア病棟ではなく、一般病棟として運用の中で対象となる患者を受け入れてケアの提供を行うという説明でありますけども、当初の計画のままでは病棟を運営できないということでありますから、そうであればますます、なおさら総括していただかなければならないというふうに考えます。納得のいく説明を強く要望させていただきます。要望さしていただいて、次の質問に移らしていただきます。
 この紀北分院の今後のあり方についてでありますけれども、私は、関係者、院長を初め関係する方々が幾ら一生懸命に努力をされましても、この104床という病院の規模で病床の利用率を向上させ、そしてまた収支の均衡をさせるというのは至難のことではないかなというふうに感じております。
 また、たとえそれが可能であるといたしましても、この病床利用率を無理に向上させ、また収支の均衡を図ることが地域全体の医療を考えたときに果たして好ましい結果を生むのかというふうに考えますと、そうではなかろうというふうに思います。
 そのような状態にある分院でありますけれども、今後のあり方についてどのように考えておられるか、お尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 分院の今後のあり方についてですが、県としましては、紀北分院に対して他の医療機関とも連携しながら、救急医療、災害時の対応や感染症対策など、橋本医療圏の医療提供体制を堅持する役割を引き続き求めていくとともに、赤字解消のためのさらなる経営努力を求めていきたいと考えています。
 なお、今回策定した地域医療構想実現のために県が設置する医療関係者などで構成する協議の場において、紀北分院を含む病院の病床機能の役割分担についても検討していきたいと考えています。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁の中で赤字解消の努力を求めていきたいということを言っていただきましたけれども、今後を考える際には確かにその努力はしていただかなければならないと思うんですけれども、医療に投入できる資金も人材も限られている中で、橋本医療圏、この地域の住民が本当に良質な医療を受けられるようにするためには、地域の中で紀北分院が果たすべき役割は何かということを原点として考えていただきますことを強く要望さしていただいて、この質問を終わらせていただきます。
 次に移らしていただきます。
 次の質問は、地域医療構想についてであります。
 まず最初に、医療圏の見直しについてということをお尋ねいたします。
 現在の高度急性期、急性期の基幹病院は、多くのすぐれた医師、看護師、技師、薬剤師等の人材と、高度医療機器を初め高コストな設備が必須であります。ということは、高コストな病院にならざるを得ないという性格を持っております。そして、その高コストな病院を運営していくためには、それを賄うだけの患者がいなければならないということになるわけです。
 私は、和歌山の現在の医療圏の設定というのは、やはり人口が少な過ぎるんではないかなというふうに感じております。また、医療圏人口の減少や交通事情の変化等もあわせ考えますと、策定された医療圏自体を見直す必要があるように思います。
 今の医療圏を見てみますと、和歌山市はちょっと別といたしまして、各病院は少ない兵力を分散されて、武器も兵力も貧弱なまま苦しい戦いを続けているというふうな状態で、そういう苦しい戦いをしている中では戦果は期待しにくいんではなかろうか、すなわち良質な医療を期待することは難しいんではなかろうかというふうに感じるわけです。
 第6次保健医療計画策定時に、見直しをすべきではないかという議論もあったかのようにお聞きしております。もちろん、本県のような地理的条件、人口規模で理想的な医療圏の設定は困難であるということは重々承知の上でお尋ねするわけですが、見直しについていかがお考えか、お尋ねいたしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 医療圏の見直しにつきましては、次期の計画である第7次保健医療計画の策定時において、患者動向や交通アクセスなどの現状を分析の上、議論する必要があると考えます。その中で、老人福祉圏域との整合性も考慮し、県民誰もが住みなれた地域で安心して医療を受けることができる体制を構築するため、適切な医療圏のあり方を考えてまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁の中で、あるいはこの地域医療構想の中でも、「誰もが住みなれた地域で安心して医療等を受けることができる体制の構築」という言葉が使われておりましたが、全く理想的なことで美しい言葉ではあるんですけれども、現実を見させていただいたときになかなかそうたやすくはないのではなかろうかというふうに思います。
 1つは、やはり切り出すものは切り出す覚悟というのも要るんじゃないかなというふうに思います。そんなことも頭に置いていただきまして、医療圏を考えていただきますことをお願いさせていただきます。要望です。
 次に移らしていただきます。
 次は、この医療圏の協議についてということでございますが、地域医療構想の中で地域に協議の場を設けて進めていくということになっております。つまり、この構想を具現化していくのは協議の場において進めていくんだということをおっしゃっているわけです。
 そうなんですけれども、しかしながら、現実には利害が対立するんですね。各医療機関というのはそれぞれ利害が対立いたします。その利害の対立する者同士が集まって協議の場についても、なかなか協議が円滑に前向いて進むことは困難だろうというふうに私には思われるわけですけども、この構想をどうやって具現化していかれるのか。
 私は、この構想が実現するかどうかというのは、基本的に国が診療報酬を初め医療制度、あるいは福祉制度全般、これをどう設計していくのかということにかかっているように思えてならないんですけども、御所見をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域医療構想は、構想地域ごとに2025年の医療需要を踏まえ、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまで、患者の病状に合った効率的で質の高い医療提供体制を構築し、病床機能を再編するものです。
 今後の取り組みは、構想区域ごとに医療関係者などで構成する協議の場を県が設置して進めることとなります。地域医療構想を実現するためには、まずは医療機関相互の自主的な取り組みを進めてもらうことが重要と考えています。
 県としましては、診療報酬を初めとする今後の国の医療政策の動向を注視しながら、急性期病床から回復期病床への転換に係る施設整備などの必要な支援を行い、おおむね10年かけて将来の医療需要に合った医療提供体制の構築に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 それでは、次の質問に移らしていただきます。
 次の質問は、病床数が減少する、そうするとその受け皿ということが当然問題になってくるわけで、その受け皿についてお尋ねいたします。
 地域医療構想は、病床数を大幅に削減して在宅医療などを推進する計画でありますが、家で療養できないという事情にある人も相当高い割合で現在でも存在いたしますし、また、療養つき介護施設、老人保健施設、特別養護老人ホーム等も大きく不足するものと思われます。今でも病院を出た後の行き先に困っている人が多く発生している中――といいますのは、私どももよろず相談所でよく相談を受けるんですね。今度病院を出やないかんのですけども、どっか行くとこないかなという相談を間々受けます。そういう現実があります。
 そんな中で、患者の受け皿をどうやってつくって、そのコストを誰がどう負担するかと。これも私は国の制度設計にかかわっているように思いますけれども、県としてこの医療・介護難民が発生しないように、病床の減少を補う在宅医療等の受け皿の整備を、県のほうではこういう受け皿の整備を順次進めていくとしか言いようがないのかとも思うわけですけども、御所見をお尋ねいたしたいと思います。
○副議長(服部 一君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 地域医療構想における必要病床数は、人口減少などを踏まえ、今後10年間でおおむね3000床減少すると推計しているものです。
 将来の適正な医療需要に対応していくためには、病床機能の分化、連携を推進し、あわせて在宅医療の充実などを図ることが重要であると考えています。
 今後、健康づくりや重症化防止対策も推進しながら、医療需要の増加を抑えながら、現在県が進めている在宅医療サポートセンターの設置や後方支援病院の指定など、全県的な在宅医療推進ネットワークの構築とあわせて、特別養護老人ホームなど介護施設の整備を計画的、一体的に進めることで、患者の受け皿を確保してまいります。
 これらの受け皿づくりについては、地域医療介護総合確保基金などを活用しながら、県民誰もが住みなれた地域で安心して適切な医療と介護を受けることができる体制の整備に取り組んでまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 2025年に向けてということですが、2025年は最も医療需要がふえるときというふうにお聞きしておりますんで、それの受け皿づくりというのは本当に大事といいますか、重要なことだと思います。
 今、受け皿づくりにつきまして、地域医療介護総合確保基金を活用するとの御説明をいただきましたけれども、それはつくるのはそれを使ってつくっていただけるかと思うんですが、つくった後の受け皿の持続可能性といいますか、それについても国の動向等も十分に見定めながら留意していただいて取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
 では、この質問を終わらしていただきます。次の質問に移らしていただきます。
 3番目の質問は、農産物の輸出についてであります。
 まず最初に、農産物の国内需給と輸出の必要性についてということでお尋ねいたします。
 政府は、「農業を成長産業に」というかけ声のもとに、農業に力を入れようとしております。和歌山県も力を入れていただいているところでありますけれども、和歌山県を元気にするためには和歌山県の農業も元気にしなければならないというふうに思います。そのために、私はまず国内農産物の今後の国内需要を考えてみたいと思います。
 TPP等の貿易の自由化の流れ、それによります海外農産物の流入及び人口減少で、国内需要は確実に減少が予想されます。輸入農産物がふえれば、限られた国内需要は輸入農産品がふえた分だけ減少いたしますし、人口の減少もまた国内需要を大きく減少させます。このことは誰が見ても自明の理であります。私は専門家ではありませんから、全くの当てずっぽうで申しわけないんですけども、この2つを合わせますと今後10年間でざっと1割ぐらいは需要が減少するのではないかというふうに考えております。
 需要が大きく減少する中、どうやって農業を守り、守るばかりでなくどうやって成長産業にしていくのか、日本の農業は困難な課題に直面していると思います。
 需要の減少に対しまして、供給を減らす縮小均衡では農業振興にはなりません。供給量を減らさず、むしろふやして売価も上げていってこそ、農業従事者を守るばかりでなく、新規就農者を増加させ、農業を成長産業にすることができるものと考えます。
 私は、そのためには、やはり輸出に活路を見出すしかないのではないかというふうに考えます。輸出により、これまでの出荷量の1割でも輸出に回すことができれば、国内需要は締まり、売価を維持することができます。もうかる農業になり、好循環につながります。逆に、国内需要の減少を輸出で補うことができなければ、需給は緩み売価も下落する、売価が下落すればもうからない、もうからないから農業従事者も減少するという負のスパイラルに陥ってしまいます。現状は、その負のスパイラルにもう入っていると言っても過言ではないのではないでしょうか。
 農産物の国内需給と輸出の必要性について、県の御所見をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 日本の人口は今後10年間で約5%、630万人の減少が見込まれ、これに伴う国内食市場の縮小は必至であります。また、貿易自由化の流れが加速する中で、農産物輸入はますます拡大するものと考えられます。
 しかし、その一方で、安全、安心、高品質の日本産農産物は海外から高い評価を受け、訪日客は過去最高を記録するなど、日本食に対して追い風が吹いております。こうした動きは県産農産物を世界に売り込む大きなチャンスであり、海外市場開拓へのさらなる取り組みの必要があると認識してございます。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 私が先ほど申し上げましたことは、もう誰もがわかっていることでありまして、今さらの感があるわけですね。なぜあえてここでこういうことを申し上げたのかといいますと、やはりもっと危機感を持っていただきたいなということであります。
 需要も供給も減少する縮小均衡では、未来はありません。それを何とかしたい、しなければならない、そのために県に必死になってもらいたいと願うからであります。そのことをお願いいたしまして、次の質問に移らしていただきます。
 次の質問は、農産物輸出の現状と課題及び今後の取り組みについてであります。
 県は、これまでどのような目標を設定され、輸出に取り組んでこられたのか、その現状と課題、それに今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
 それと、まずは品目ごとに、特に本県の主力産品でありますミカン、柿、桃、梅の主力果樹について、予想される国内減少に見合う輸出を早期に実現することを必達の目標として、県にはそれ以上の目標を設定して取り組んでいただきたいと思いますが、数値目標の設定についてのお考えをお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 平成20年に策定した現行の県長期総合計画では、平成29年度に桃、ミカン、柿の3品目で輸出総額10億円を目指しておりましたが、県が県内食品事業者に行った調査によると、昨年度の実績は、桃が117トンで1億1900万円、ミカンが280トンで3600万円、柿が53トンで2300万円の合計1億7800万円となっております。
 また、近年ではこれら3品目のほかにも梅やサンショウの輸出も実現し、新たな可能性も広げつつあります。
 なお、加工食品の輸出にも力を入れ、これを含めると昨年度の輸出額は約9億円程度になります。
 農産物輸出に関する課題を大別すると、まず、中国のように農産物輸入が基本的に禁止されている国があります。次に、台湾やアメリカ向けミカンのように、市場は開かれていても検疫条件や農薬残留基準が厳しく、対応に苦慮している場合があります。また、長期間にわたる輸送を伴うため、鮮度やコスト面で輸出を難しくしている場合もあります。
 こうした課題はありますが、これまでのプロモーションを通じて、桃は台湾、香港、ミカンはシンガポール、マレーシア、柿は香港、タイ、マレーシアというように、品目別のターゲット市場が定まってきております。今後は、この戦略を地元産地と共有し、現地での販売促進活動をより一層強化するなど、現地市場での定着を図ってまいります。
 なお、新たな長期総合計画の目標設定に当たっては、こうした品目別の取り組み実績と今後の市場開拓の可能性を考慮し検討してまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 輸出には本当に難しい課題がたくさんありますけれども、私は、要するに本気で取り組む気があるかどうかにかかっているんかなあというふうに思います。
 国内需要が本当に大きく減少されることが予想されます。輸出をしなければ未来はないんだという危機感と数値目標を持って、なお一層の販売促進に取り組んでいただきたいと思います。数値目標につきましては、先ほど申し上げましたように、最低、需要が減少する見込みに見合うだけの数値を設定して取り組んでいただければなというふうに要望さしていただきたいと思います。
 次に、個別の私ども橋本・伊都地域の主力産品であります柿についてであります。
 柿の輸出の現状と鮮度保持の技術開発、研究を含めた今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 柿は、桃ほどではありませんけれども、時間の経過とともに軟化して品質が劣化いたします。特に橋本・伊都の主力品種であります刀根早生、平核は脱渋後の日持ちが悪いです。ちょっとお聞きいたしますと、北米あるいは東南アジア等へのコンテナ輸送は10日から15日ぐらいかかるというふうにお聞きしています。その間に軟化が進行して、輸出先の店頭での品質は余り日もちもしない、よくないというふうに思います。
 品質のよい、おいしいものを出してこそ、いい値段でたくさん買っていただけるわけでありまして、おいしくなくなった、あるいはおいしくなくなりつつある柿を出しても、なかなか需要の伸びには限界があるのではないかと思います。
 ちょうどこの質問を考えておりましたときに、新鮮で安く船で運ぶということで、CAコンテナということが6月6日付の「朝日新聞」に掲載されました。これは御存じのことかと思いますけども、ちょっと説明させていただきますが、CAコンテナといいますのは通常の冷凍コンテナに室内の空気の成分を調整する機能をつけたもので、室温を下げると同時に窒素9割以上、酸素と二酸化炭素約5%ずつの比率に変えられるコンテナで、青果物の呼吸を抑えて冬眠状態にして、2週間程度は鮮度を保つことができるとされているものであります。それによりまして、運賃は航空便の10分の1程度になるとのことであります。
 実際に、九州のほうであまおうの話が出ておりました。あまおうは、国内の店頭でワンパック700円のものが、航空便で送っておりますと現地店頭2000円で売らなければならなかったけれども、このコンテナ輸送にいたしますと1000円で売ることが可能になったというようなことも報じられておりました。
 このコンテナなんですけども、作物に応じた最適な温度や湿度、酸素濃度の研究が今進められているそうであります。そういった鮮度保持の研究に、県としましてもぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それと、繰り返しになるんですけれども、柿の輸出の現状、そして今後の取り組みについて再度お尋ねします。
○副議長(服部 一君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 柿につきましては、先ほどお答えしましたように、昨年度で53トンがタイや香港を中心に輸出されており、10年前の約2倍に増加しております。東南アジアでは日本の柿の食味に人気があり、今後、より一層の拡大が期待できると考えてございます。
 現地での試食販売が非常に効果的であることから、今後、地元生産者による現地活動を後押ししながら、柿のおいしさをPRする販売促進活動を強化してまいりたいと考えております。
 次に、柿の鮮度保持の研究につきましては、果樹試験場かき・もも研究所で刀根早生の果実軟化抑制に関する研究を行い、収穫方法や輸送段ボール箱の改良といった研究成果が香港への輸出における鮮度保持対策として活用されてきました。
 その後、より遠方の国への輸出販売が実施される中で、従来の技術では輸送中の軟化や腐敗への対策が不十分であることが明らかになりました。
 そこで、今年度から、9月に収穫される極わせ柿の輸送管理技術等を開発するため、大学、国立研究開発法人、輸送関係企業等から構成される青果物輸出促進研究コンソーシアムに参画し、3年間にわたって調査研究を行ってまいります。
○副議長(服部 一君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁ありがとうございました。
 柿の農家を元気にして、そして後継者や新規就農者が出てくれるということが、この地域、私どもの橋本・伊都地域の人口の減少を抑えて、そしてまたひいては和歌山を元気にすることにつながってまいりますので、何としてでも輸出を成功させる、ふやすんだという気迫を持って取り組んでいただきたいと思いますし、販売促進活動、これもお金も手間も時間もかかるわけですけども、これはやはり力を入れて投資していかざるを得ないのかなあと。投資していってそれに力を入れていただかないことには輸出というのはふえていかないというふうに思いますので、これまで以上に努力していただきますことを要望さしていただきまして、今回の私の一般質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。

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