平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


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  午後0時59分再開
○議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 私が最後になりました。どうぞ御清聴をお願い申し上げます。
 まず最初に、県立医科大学薬学部設置について伺います。
 平成28年度の新政策として、いよいよ県立医科大学薬学部設置の調査費が計上されました。本県では、平成12年10月の航空工科大学中止という、今にして思えば大失策ともいうべき出来事以来の大学に関する知事の英断であり、大いに敬意を表するとともに心から感謝を申し上げます。
 薬学部設置は、本県の薬剤師不足解消など県民医療への貢献はもとより、創薬などの経済効果、地元大学進学率向上、コンパクトシティーの中核施設など、たくさんの効果が期待されています。
 さらに、医科大学としては、医学、薬学、看護学の医療3学部がそろった全国有数の医療総合大学になります。
 そこで、改めて薬学部に対する知事の期待を聞かせてください。よろしくお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県立医科大学に薬学部を設置することにより大学進学時における県内進学先の選択肢をふやし、若者の都市部への流出を抑制したいと思っております。また、卒業生の県内定着により地域医療の充実も図っていきたいと思います。
 和歌山県立医科大学は、医学部、保健看護学部に加えまして薬学部を有することにより医療系の総合大学になることで、大学教育や研究、地域医療の発展に大きく貢献していってもらえると思っております。
 これまで薬学部の新設に当たっては、財政面や薬剤師の需給見通しなど、さまざまな角度から検討を重ね、ようやく予算の審議をお願いするに至ったところでございます。今後は、薬学教育の中心となる教員を採用し、平成33年4月の開学を目指し、滞りなく準備を進めてまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、医、薬、看3学部連携について伺います。
 県立医大同様に医療3学部がそろう慶応義塾大学では、平成23年度より医療系3学部合同教育が行われています。このカリキュラムを通して、学生のうちから交流を深め、将来、患者中心のチーム医療が実践できる医療人を育成することを目指しています。慶応の医療系3学部は、信濃町、湘南藤沢、芝共立とキャンパスが互いに離れているというハンディキャップを乗り越え、充実したプログラムにしたいと言っています。
 また、医療3学部に歯学部を加えた昭和大学では、昭和40年から山梨県富士吉田キャンパスで初年次全寮制教育が行われており、学生寮は医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部混合の部屋割りとし、1年間の寮生活において他人を思いやる協調性、人の痛みのわかる人間性を養います。
 このシステムは、将来、医療人として欠かせない問題解決能力の育成と、全人的医療の実践に大きな成果をおさめています。現在、このような合同カリキュラムは、私学だけではなく国公立の医療系学部でも行われております。
 さて、県立医科大学では、紀三井寺、三葛、七番丁にキャンパスが分散する地理的条件の中で、大学教育や研究、地域医療のために、医、薬、看護の3学部はどのような連携ができるのでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、3学部の設置により、専門職の連携教育や医学と薬学の連携による創薬研究、あるいは地域医療におけるチーム医療の推進などが可能となると考えております。
 今後、御指摘の他大学のカリキュラムなども参考としながら、3学部設置の相乗効果を最大限に発揮できるような大学のあり方を、和歌山県立医科大学と一緒に考えていきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞ大いなる発展を期待いたしております。よろしくお願いいたします。
 次に、水素社会について質問いたします。
 先般上京した際に、国会議事堂に燃料電池車MIRAIが駐車されていました。同行した皆も初めて見たというので、国会とMIRAIを背景に記念写真を撮ってきました。最近、水素社会という言葉をよく耳にしますが、水素社会の到来をちょっぴり感じた瞬間でありました。
 平成26年4月、第4次エネルギー基本計画が閣議決定され、新たなエネルギー政策が示されました。その中で、水素はさまざまな方法で製造できること、気体、液体、固体のどの形態でも貯蔵・輸送が可能であること、高いエネルギー効率、低い環境負荷、非常時対応などの効果があることから、将来の二次エネルギーの中心的役割を担うことが期待されるので、水素を本格的に利活用する水素社会の実現に向けた取り組みを加速するとうたっています。
 続いて、同年6月、経済産業省は水素社会の実現に向けたロードマップを策定し、これまで取り組んできた家庭用燃料電池──エネファームといいますが──これの普及拡大、燃料電池自動車市場の整備に加え、水素発電の本格導入といった水素需要の拡大や、その需要に対応するための水素供給体制の構築など、今後の取り組みの道筋を示しました。そして、日本再興戦略2014において、政府はロードマップに基づき必要な措置を着実に進めることとしています。
 また、昨年10月にはトヨタ自動車が、2050年までにエンジンだけで走る自動車の販売をほぼゼロにする長期目標を発表しました。ハイブリッド車や燃料電池車の比率を高めて、新車の走行時のCO2排出量を2010年比で9割削減するそうであります。同時に、2020年に燃料電池車を年間3万台以上販売するという目標も掲げました。
 昨年末に販売を開始したMIRAIは、注文が殺到し、納入まで数年待ちの状態だそうでありますが、現段階での生産能力である年間700台を本年には2000台、2017年には3000台にまで拡張する計画であります。
 先週3月4日、政府はCOP21の目標達成のため、地球温暖化対策計画を策定することが報道されました。次世代自動車や家庭用燃料電池の普及目標も示されるそうであります。
 以上のように、近い将来、水素社会の到来を強く感じますが、本県ではその時代を迎えるに当たっていかに取り組むのでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国内に資源が乏しく、エネルギーの大部分を海外の化石燃料に依存している日本にとって、水素の利活用はエネルギー供給源の多様化につながります。また、利用段階ではCO2を排出せず、高いエネルギー効率を有する燃料電池技術を活用することにより、環境負荷の低減にも大きく貢献し得るものと考えております。
 一方で、燃料電池の耐久性や信頼性などの技術面を初め、水素の製造面、輸送面、貯蔵面について、安価で安定的な供給システムが確立できていないなど、多くの課題が存在しております。
 県としては、水素は、燃料電池自動車や定置用燃料電池などで広く社会で利活用されることが期待できると考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 既に燃料電池車が発売され、近畿各地にも水素ステーションが設置されると聞いております。和歌山には残念ながらありませんけども。公用車に燃料電池車を購入することや、水素ステーションの設置について、県の取り組みを知事に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 水素を燃料とする燃料電池車は、これまで経済産業省と国内自動車メーカーが中心となり研究・開発を行ってまいりましたが、2014年12月にようやく市販化されたところでございます。また、水素ステーションの整備も、国はいち早く需要が高くなると予想される4大都市圏を優先的に進めております。
 私は、水素の製造から輸送・貯蔵の技術進展並びにコストの低減が進むことにより全国に水素ステーションの整備が進展すれば、燃料電池車の普及につながると考えております。
 和歌山県も、将来のことを見越して公用車に燃料電池車を導入することについては、よいことであり、積極的に進めてまいりたいと考え、いろいろ検討してみたんでございますが、県内に水素ステーションがありませんので、これをつくってくれる人がいないかどうか。ちなみに、県でつくろうとすると物すごいお金がかかりまして、これはどうしたもんかと思ってるところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 公用車を買おうと思ったら、今のところ関空にできるということですから、関空まで一々入れに行かなあかんので、これはまあ難しいと思います。
 しかし、将来、和歌山県に何百台か車を買おうとするような時代になれば、それこそそういう人たちで分散をして水素ステーションを設置する。水素ステーションも、そのまま置くだけじゃなくて、移動型というのもあるようでありますから、そういうことも研究できると思いますし、それと、和歌山県は海に面しております。この水素は国内で生産するだけじゃなくて、世界中の、例えば太陽熱、太陽光、自然エネルギー、また海外の石炭、そういうようなものから電池ではなくて水素で輸入をして国内にそれを運んでいくという、そういう流通を考えれば、和歌山県の海岸線に土地の余ってるところ、それから石油精製施設でタンクが回収されるようなところ、こういうところに水素輸入基地というのを誘致するようなことを目指していけばいいんじゃないかと。
 さらに、水素発電をするということでありますから、和歌山県は京阪神に近く、しかも深い海があって大きな船が着く、すごくいい好位置だと思いますので、そういう大きな取り組みの中でステーションなんかも考えられるんではないか。ぜひ、すぐにできなくても、今から研究をしておくことは将来の飛躍発展につながると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 3番目に、和歌山の文化について質問いたします。
 平成16年、紀伊半島の霊場と参詣道が世界文化遺産に登録されました。和歌山の歴史や自然が世界に誇れるすばらしいものであることがわかり、私たちも改めて自信を持ちました。
 しかし、和歌山のもっとすごいところは、世界遺産以外にも世界遺産級のものがたくさんあることです。例えば、有間皇子や宮子姫、安珍清姫などに彩られた紀伊路、万葉集や記紀の世界、紀州徳川家、みそ、しょうゆ、かつおぶしといった和食の味のルーツ、すしの原形と言われるめはりずし、なれずし、桃、柿、鯨、モチガツオ、和歌山ラーメンなど枚挙にいとまがありません。
 しかし、和歌山県を代表するようなすばらしいものでも、世界遺産や文化財保護法の指定を受けていなかったり、制度になじまないものもあり、一部は消滅の危機に瀕しています。
 例えば、御坊市の寺内町は、文化庁や県教委が歴史的価値を評価していただき、毎年2件ペースで登録有形文化財を登録するなど、古い町並み保存運動に取り組んでいます。しかし、保存以上に空き家、更地が進んでおり、重伝建地区になる前にまちが消滅しないかと心配しています。
 2年ほど前のことですが、古い町並みの八幡筋に残るSさん宅を取り壊すという話を聞きました。何とか保存してもらいたいと早速所有者にかけ合ったところ、古い町並みの価値については理解していただいたのですが、近隣でぼや騒ぎが続発していたこともあり、空き家を維持していくのは大変だとのお話でした。
 何とかお願いした結果、借りたい人がいれば壊さないでおくということになりました。すぐに近所の古民家で文化活動をする人が友人を紹介してくださり、子育て支援で利用できないか見に来てくれました。しかし、座敷が、床が高いので子供が落ちればけがをするとの理由で契約に至らず、結局Sさん宅は半年後に取り壊されました。その後も、八幡筋を含む寺内町では、空き家、更地が増加しています。さらに、津波浸水予想区域であることが追い打ちをかけています。
 このような次世代に受け継ぐ前に消失する危機に対して県ではどのような取り組みをしているのか、教育長に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 生活様式の多様化や少子高齢化などにより、文化遺産を守り伝えることは難しい状況にあると認識してございます。
 御坊市の町並みも例外ではなく、このため県教育委員会は、御坊市教育委員会が進める歴史的建造物を国の登録有形文化財とするための調査に全面的に協力してまいりました。
 今後も、本県の文化遺産の発掘や把握に努め、新たな指定や登録に向けて文化財的価値を明確にするなど、市町村に対し、より一層の指導・助言を行ってまいります。また、伝統的建造物群保存地区を視野に入れた取り組みにおいても、課題の解決に向け積極的に協力していきたいと考えております。
 さらに、市町村はもとより関係団体とも連携し、歴史講座などさまざまな機会を捉えて、和歌山の多様な文化遺産の魅力や保存の重要性について、広く県民の皆様の意識向上に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 教育長から力強い御答弁をいただいたんですが、残念ながら既に和歌山県にはすばらしい町並みが消えてしまったところもあります。このような失敗を繰り返さないために、保存と活用がうまくできる本県独自の制度が創設できないものでしょうか。
 滋賀県長浜市では、御坊市のS邸のような古民家が名物・のっぺいうどん屋として立派に活用されています。年間120万人の観光客が訪れることで古民家が活用、維持され、結果的に町並みが保存されています。保存と活用がうまく連動したよい例であります。
 そこで、私は、文化を保存し観光客を呼び込む新たな仕組みとして、和歌山遺産の創設を提案します。
 同趣旨のものとしては、既に北海道遺産があります。平成9年4月に、当時の堀達也北海道知事が提唱し、平成13年、15年の2回にわたる公募約2万5000件の中から52件の北海道の宝物が誕生しました。摩周湖や雨竜沼湿原といった自然や景観、空知の炭鉱関連施設、江別のれんがなどの産業、ラーメンやジンギスカンという食文化まで、多様な有形無形の財産が道民参加により選ばれました。
 自然や文化では決して引けをとらない本県も地域振興のため独自の制度が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県には、世界に誇れる魅力的な自然・歴史・文化や、我々の暮らしを支えてきた伝統的な地域資源が豊富にあり、これらの保存と活用のためには、日本中や世界中の方々に大変よく知られている名称に登録・認定されることが特に効果があると思われます。
 そのために、紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録や、みなべ・田辺の梅システムの世界農業遺産の認定を目指しました。現在も、世界ジオパークの認定や、それから日本遺産登録、これを目指しているところでございます。
 議員御指摘の多様な有形無形の財産による地域振興の必要性には同感いたしますし、そのためのタイトルということも有用だと思いますが、大事なことは、少なくとも日本全国の人々が、できれば世界中の人々が価値があるとすぐ直感するような、そういうタイトルを取りに行くことであると私は思います。
 その意味で、和歌山遺産というタイトルが果たして有効かどうか、考えてみなければいけないと思います。
 御指摘の北海道では、北海道遺産という名称をつけたんですけども、実は余りはやっておりませんで、それよりも中身の摩周湖とか北海道ラーメンとかジンギスカンなどの個々のブランドが、随分イメージがよく、知名度も高くなっております。
 現在のところ、和歌山遺産といった新たな登録制度の創設はどうかなと思うんですけれども、地域資源のさらなる保全と活用を行うとともに、紀州南高梅や和歌山ラーメンといった個々のブランドイメージを高めるために、全国の事例も参考にしながら、さまざまな地域振興に取り組んでまいりたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ただいま知事からお答えいただいた内容というのは、やるのかやらないのか、よくわからないことでありましたが、私は今あるものに救われないものをどうやって残していくかということが必要だと思っておりまして、私もぜひ研究していきたいと思いますし、今の北海道のまねではなくて、新しい切り口があれば提案をさしていただきたいと思っております。
 次に4番目、松下幸之助さんについて質問いたしたいと思います。
 ふるさとの松下幸之助さん、別に知り合いではありませんけど、親しみを込めて幸之助さんと呼ばせていただきます。
 さて、本県が直面する危機は南海地震と人口減少でありますが、人口減少の根本的解決には、本県経済を背負って立つ経済人、起業家の出現が必要と考えています。そのためには、大学はもちろんですが、子供たちにも小さいころから偉人物語を学んでもらって、大きな夢を持ってもらいたいと思います。
 その方法として、ぜひ教育委員会には偉人教育の取り組みをお願いし、その教材として本県出身の経営の神様、松下幸之助さんを提案するものであります。
 幸之助さんのことは県民なら誰でも知っていると思っていましたが、もう今の高校生は、どうやら郷土の英雄は知らないようであります。私も確認のため、先般、大阪門真市の松下幸之助歴史館へ行ってまいりました。
 門を入るとすぐに幸之助さんの銅像があり、終生和歌山弁だったという幸之助さんが、「よう来たなあ」と出迎えてくれました。ちょうどどこかの団体が、寒い中、コートも脱いで記念撮影を行っていました。
 広い工場の一角にある昭和8年当時の本社を再現した歴史館は、入場料無料で写真撮影も個人保存する分には可能でした。玄関を入ってすぐの壁に、幸之助さんの人生がイラスト入りの年表で紹介されています。これだけでも十分おもしろいのですが、館内はさらに詳しく、誕生から創業まで、創業から終戦まで、終戦から社長退任まで、そして、その後亡くなるまでの4つのパートに分けて紹介されています。
 また、幸之助さんの考え方やエピソードが、出版物、動画などであらゆるところにたくさん残されています。
 ここで、幸之助さんの人生を御紹介したいのですが、本日は時間の都合でパナソニックのホームページからの写しを資料配付させていただいております。
 3年前、半沢直樹という銀行員のドラマが視聴率42%と記録的な人気を博しました。一介の銀行員の一生には一度も起こらない出来事が毎週起こるのですから、おもしろくないはずはありません。しかし、現実の幸之助さんの人生は半沢直樹ばりです。
 4歳で家が破産し、9歳からでっち奉公を重ね、16歳で電車を見て電気の時代の到来を予感し、電灯会社に転職するも安住することなくソケット開発に精を出し、早くも22歳のときに家族3人で創業しました。しかし、順風満帆ではなく、幾つもの危機をくぐり抜け、人生の大半を過ぎてようやく世界的大企業を築き上げたという波乱万丈の人生であります。実際に小説やドラマにも取り上げられた大変興味深い人生です。しかも、ふるさと和歌山への愛情は並々ならぬものがあります。
 私は、幸之助さんの人生を詳細に分析することで、子供たちの格好の教材になると考えています。
 幸之助さんのお孫さんの夫である関根恒雄氏と仕事をしたことのある門博文代議士によると、幸之助さんの人生の特徴は、父の投機による破産、貧乏、無学、病弱に加えて、家族に恵まれなかったという強烈な逆境からの脱出にあるそうです。そのつらい経験から、人の話を聞くという姿勢や、産業人の使命は貧乏を克服することなどの企業の社会的責任、社員教育や大学への寄附、政経塾設立など教育への注力、人に任せる事業部制、社員や販売店を大切に扱う家族経営、正価販売運動など、誠実な経営姿勢が生まれたそうであります。
 知事も、平成8年にお孫さんの松下正幸パナソニック副会長と対談され、「幸之助さんたち先輩を見習って人づくりをしていきたい。そして、幸之助さんの『人はダイヤモンドの原石』、『公に尽くす』を心に、ひたむきに一生懸命に好奇心を持って新しいことに挑戦すれば、和歌山県はこれから伸びていく」とおっしゃっています。
 幸い、今秋には県が幸之助さんのシンポジウムを東京で開催すると聞いています。ぜひシンポジウムの成果を教材に活用できるようお願いします。そして、県教育委員会には、偉人教育を教育の柱に位置づけるとともに、松下幸之助さんの人生に学ぶべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) ふるさとの先人のすぐれた業績と、それを生み出した精神を学ぶことは、みずからを向上させ、よりよく生きたいという願いを実現することにつながる大切な教育活動であり、ふるさと教育の重要な柱として位置づけています。
 議員御指摘の松下幸之助氏につきましては、出身地である和歌山市において、小学校社会科副読本「かがやく和歌山市」にその功績について学べる教材が掲載されており、活用することとしてございます。
 また、県教育委員会では、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」に松下幸之助を含めた先人を掲載しています。今後、この本の具体的な活用方法を各中学校に示すことで、先人についても子供たちがより深く学ぶことができるよう、取り組みを充実させてまいります。
 さらに、来年度、中学校3年生に、県内の産業等を紹介し、将来の地域を担う人材の育成等を目的とした冊子の配布を予定とさせていただいております。この中で、生徒がみずからの進路を考える指針となるよう、松下幸之助氏を初め、ふるさとの先人の業績や精神等について盛り込むことを検討してまいりたいと考えてございます。
 また、知事部局においては、郷土の偉人の功績を広く全国に発信する偉人顕彰シンポジウムを毎年実施しており、議員御指摘のとおり、本年12月には松下幸之助氏をテーマに東京で開催することとなってございます。
 教育委員会といたしましては、知事部局とも連携し、郷土の先人を学ぶふるさと教育を引き続き取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、御坊市内の県道の改修について質問します。
 日高地方の大動脈とも言うべき主要県道御坊美山線は、御坊市藤井地区を除いてほぼ全線で改修が完了しています。問題の藤井地区の改修については、私から地元に呼びかけ、地元自治会も熱心に事業推進に取り組んでくれましたが、現在も拡幅を集落側か日高川へするかで揺れ続けています。
 最初は7.18水害の経験から集落側へ取り組みましたが、合意に至らず、次は日高川を一部埋め立てる方法で取り組みましたが、対岸の同意が得られず、その後、約10年近く停滞していました。
 しかし、5年ほど前に藤井地区を除く御坊美山線の全線完了が近づいたので、何とか事態を打開するため、改めて私が対岸の同意が得られそうな川側に差しかける案を提示し、修正案を検討していただいたちょうどそのころ、平成23年9月4日未明、紀伊半島には歴史的な豪雨が降り、紀伊半島大水害が発生したのであります。
 紀伊半島大水害では大きな被害が発生しましたが、幸い日高川の御坊市流域は越流することはなく、大きな被害はありませんでした。しかし、水位は一時堤防の天端に迫る勢いで、皆が肝を冷やしました。そのとき、誰もが、日高川は公共性が高い道路整備においても1ミリたりとも狭めることはかなわないことだと痛感いたしました。
 ところが、御坊市や地元区の役員は、県から正式に計画変更を聞いてないことを理由に事業がとまったままです。藤井地区の道路拡幅は堤防補強にもなることから、事業停滞を心配する住民有志が、河川に影響のない集落側へ拡幅した場合に地権者になる関係者を回ってくれたところ、ほとんどの人が協力を約束してくれたと聞いています。
 ぜひ道路管理者として集落側に拡幅すべきと考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長野尻邦彦君。
  〔野尻邦彦君、登壇〕
○県土整備部長(野尻邦彦君) 県道御坊美山線は、日高川沿いの主要幹線道路であり、全線でおおむね2車線が確保されていますが、御指摘の御坊市藤井地内の区間約900メートルだけが未整備の状況となっています。幅員が狭く、交通量が多いことから、県としては、かねてから整備の必要性は高いと考えていたところでございます。
 この区間の整備につきましては、平成15年当時、御坊市を通じて地元藤井区から堤内は住宅が密集しているため河川側へ拡幅するよう要望を受け、それに即した計画案を検討し、御坊市とともに関係する対岸の地区などとも話し合いを重ねましたが、洪水に対する影響を懸念する声があり、調整がつかなかった経緯がございます。
 加えて、平成23年の紀伊半島大水害のときには、日高川の水位が計画高水位を大きく超え、御坊市内でも堤防天端近くまで達したことから、周辺の方々に多大な不安を与え、洪水に対する懸念がさらに高まったものと認識しております。
 そうしたことから、現時点において、これ以上河川側への拡幅案で地元調整を進めることは難しい状況であると考えており、県としては、議員の御提案を受け、改めて堤内側への拡幅案について、人家等への影響を整理した上で、地元の意向を確認し、調整に入っていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございました。
 ぜひとも、道路管理者である県が主体的に事業を進めていただくよう心からお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 この際、申し上げます。
 知事から発言を求められておりますので、許可いたします。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県議会の議論を踏まえ、平成27年8月11日付で発表いたしました「守ります、まちと優良農地。」は撤回いたします。優良農地の転用は原則として認めないという表現を含むものであります。
 計画的なまちづくりと次代の農業のための優良農地の保全については重要なことなので、これを想起しつつ、上記にかわるものとして次のような希望の表明を行います。
 1、それぞれの業務に従事する各地農業委員会及び市町村当局は、改めて法の趣旨に照らしてその運用を行ってもらいたいこと。
 2、特に市街化調整区域内の農地転用については、法の趣旨に照らして細心の注意を持って行ってもらいたいこと。
 3、市町村当局は、旧市街地の改造のために代替地を必要とする場合、津波避難対策としての高台への移転誘導として適地を必要とする場合等、都市計画法の用途地域の利用によって優良農地を含む一団の地域をこれに充てることができることを想起してもらいたいこと。
 4、これから人口減少下でまちづくりを担っていかなければならない市町村当局は、今まで以上に都市計画の手法を利用して計画的にこれを行ってもらいたいこと。
 なお、以上の各主体の業務に伴い、県が行うべき業務については、迅速に処理することとしたいと思っております。
 議会の質疑を通じまして、議員諸氏におかれましては、有意義な議論を展開され、御指導いただきましたことを心からお礼を申し上げます。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第16号までは予算特別委員会に、また、議案第84号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託したいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第85号から議案第172号までは所管の常任委員会に付託をいたします。
 お諮りいたします。3月10日、11日、14日及び15日は、委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、3月10日、11日、14日及び15日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月16日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時39分散会

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