平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


平成28年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号、議案第33号、議案第35号、議案第40号から議案第62号まで、議案第64号から議案第70号まで、議案第73号から議案第76号まで、議案第78号から議案第82号まで及び議案第84号から議案第172号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 3番森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。どうぞよろしくお願いします。
 議長のお許しをいただきましたので、順次、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、運転免許自主返納のための支援策について質問いたします。
 最近、たびたび目を疑う光景に遭遇します。1つは道路を逆走する自動車、1つはどのラインに入っていいのか戸惑い、立ち往生する自動車、そして超低速で走行する車、その多くが高齢者ドライバーによるトラブルと思われます。
 昨年10月29日に、73歳の男性の運転する軽乗用車が宮崎市の中心市街地の歩道を700メートルにわたって暴走し、歩行中の女性2人が死亡、男女4人が重軽傷を負うという痛ましい事故が起こっています。運転していた73歳の男性は、過去に認知症での通院歴があったとの報道がなされています。
 本県においても、平成27年中の65歳以上の高齢運転者による交通事故は1054件発生しており、この事故による死者は19人、負傷者は1310人となっています。また、高齢運転者による交通事故の割合は30%となっており、交通事故数に占める高齢運転者による事故の割合が年々増加しています。
 今、この高齢運転者による交通事故を減らすための取り組みの1つに、運転免許証の自主返納があります。自動車の運転が困難になった方や運転に不安がある方に、御自身の判断で運転免許証を返納していただくことは、交通事故防止の観点からとても重要でありますが、残念なことに現状では、運転免許返納者は、65歳以上の運転免許保有者の約1%だと言われています。
 私の母も、自動車の運転に多少の不安を感じているようですが、まさか自分は大丈夫という自信と、タクシーの利用はもったいないし、バス路線がなく不便ということなどを理由に、通院や買い物には自分で運転をしています。家族としては心配しており、再三運転はしないように忠告をしていますが、本人は体が動くうちは車の運転をやめることはできないという状況です。
 このように、移動手段として自動車を手放せないというのも事実であり、ましてや公共交通機関のない本県の山間地域に暮らす高齢者にとっては、自動車は生活必需品と言えます。
 そこで、運転免許証の自主返納をした高齢者に対しては、公共交通手段の運賃割引を行うなどの生活支援策をあわせて用意することで、自主返納を促進する環境づくりを進めていく必要があるのではないでしょうか。
 例えば、青森県警では、運転免許自主返納の趣旨に賛同してくれた民間企業を通じて、返納者の生活を支援するさまざまなサービスが提供されています。主な支援策は、タクシー料金の割引やバスカードの贈呈、購入商品の無料宅配サービス、宿泊施設や温泉施設の利用料金の割引などとなっています。また、警視庁や大分県警でも、その趣旨に賛同する民間企業によるサポート協議会を立ち上げ、各種特典を用意するなど、運転免許自主返納支援策を講じています。
 本県の平成28年の新政策の4「安全・安心な暮らしを実現する」の良好な治安の確立と交通安全の確保において、日本一安全で快適な交通環境を実現するため、高齢ドライバーへの指導を実施すると掲げられております。日本一安全で快適な交通環境を実現するためには、運転を続ける高齢者への指導を実施するだけではなく、運転が困難になったり運転に不安を抱いている高齢者の方々に自主返納を行っていただくための指導も実施すべきではないでしょうか。
 そこで、本県においても、民間企業の協力を求め、各種支援策を充実することによって高齢者の運転免許自主返納を支援していく必要があるのではないでしょうか。このことについて、県警本部長の御答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの森礼子さんの質問に対する答弁を求めます。
 警察本部長直江利克君。
  〔直江利克君、登壇〕
○警察本部長(直江利克君) 現在、県内の65歳以上の高齢者が運転免許人口に占める割合は、全運転免許人口の約4分の1を占めており、毎年1万人ずつ増加している状況となっております。また、全体の交通事故件数が15%減少する中で、高齢ドライバーに主に原因があり第1当事者となる交通事故件数の減少率は8.9%と低く、事故総数に占める割合は21.4%と年々増加しております。
 特に、ドライバーが第1当事者となる死亡事故のうち、約3割を占める12件が高齢ドライバーによるものとなっております。高齢ドライバーは、身体機能の低下による信号無視や一時不停止等の危険な行動をとるおそれが高くなることから、運転免許更新時に70歳以上の方は高齢者講習を、75歳以上の方にはあわせて認知機能検査を実施し、引き続き安全運転を継続できるように支援するとともに、運転に不安を有する高齢者に対し、自主返納をお願いしているところであります。
 また、昨年から高齢ドライバー宅を直接訪問し、面接してのきめ細かい安全運転アドバイスや、場合によっては自主返納を促しているところであります。
 自主返納制度については、5年前の平成22年に303件であったものが、昨年は2100件と約7倍にまで増加するなど、御理解をいただいている一方で、運転免許がないと買い物や通院等、生活に支障がある実態もございまして、運転に不安を抱いているのに自主返納することにちゅうちょなさっている方々もいらっしゃることは承知しております。
 現在、運行しているコミュニティーバス、民間バスの運賃割引、スーパーマーケットやJAによる移動販売車の運行等が行われているところでありますが、高齢者の方々に安心して自主返納をしていただけるように、引き続き、これらのサービスの充実を関係機関等に働きかけてまいりたいと考えております。
 警察といたしましては、さらに自主返納制度の周知徹底、相談等への適切な対応を行うとともに、自治体や民間企業との連携により、自動車等の運転に不安を有する高齢者の方々が運転免許を返納しやすい環境の整備に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、運転免許自主返納の普及啓発について質問します。
 新政策で掲げる日本一安全で快適な交通環境を実現するためには、警察が民間事業者の協力を得て環境整備に努めるだけでは十分でないと思います。私は、あわせて県が関係機関と協力をして高齢者の運転免許証の自主返納を促進するための普及啓発策を講じていくことが重要であると考えていますが、この点について環境生活部長の御答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 高齢者の運転免許自主返納に向けた普及啓発という観点で、御質問にお答えをさせていただきます。
 安全で快適な交通環境を実現するため、これまで交通事故をなくする県民運動推進協議会、この活動といたしまして、各自治体や警察を初めとする関係機関、団体と連携をいたしまして、四季折々の交通安全運動を通じて広報・啓発、さまざまな施策を展開してきたところでございます。
 特に、高齢者に対しましては、運転適性検査器の活用、交通安全講座の開催、それから交通安全の各種のボランティアの皆さん方による戸別訪問などを実施していただきまして、自動車の運転に不安を感じている方々に運転免許証の自主返納を促していると、そういう状態でやってまいりました。
 しかしながら、本県、やはり高齢化率が非常に高いこともございまして、今後さらに自主返納を促していく必要があるというふうに考えてございます。それが、高齢者の交通事故防止対策を図る上で非常に重要なことであるということで取り組んでまいりたいと考えてございます。
 今後は、今までの施策に加えまして、現在策定中でございますが、向こう5年間の第10次和歌山県交通安全計画に新しい項目として高齢運転者支援の推進という項目を追加をいたしまして、免許返納後も安心して暮らせる環境づくりというのを推進していくと。それから、各市町村及び関係機関、高齢者の交通安全対策に関する協議会の設立も進めてまいりたいなと、そのように考えてございます。
 加えまして、従来、運転適性検査機器を導入しておりましたけれども、県内の各地区にも導入、増強を進めてまいりまして、高齢者の交通安全講座を充実をしていくと、そういう観点で進めてまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、運転免許証を返納しやすい環境をつくるため、各市町村における返納後の生活支援措置の拡充を働きかけて、より一層、自主返納への啓発を進めてまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、これからの地域公共交通の充実について質問いたします。
 さきに免許の自主返納に関して質問をしました。交通安全のための取り組みではありますが、同時にマイカーという交通手段をなくし、日々の生活の交通手段に困る生活にもなります。特に、地域交通の乏しい地域では、通院や買い物など生活に困ることから、免許返納者にとっては致命傷となります。
 今般、知事や和歌山市長が進めているコンパクトシティー構想には、さまざまな都市機能が集積し、通勤・通学や買い物、観光客など多くの人が訪れるまちとなることを期待しています。しかし、現実は、生活の交通手段の確保に悩む人が多く、コンパクトシティーが完成しても、そこまでの交通手段がないために、訪れることが難しいのではないかと心配します。そのため、コンパクトシティー完成に足並みをそろえて交通手段の確保に取り組むことは、最も優先順位の高いことであると思います。そうすることによって、今不便を感じている県民の悩みも同時に解消する方向に向かい、地域の公共交通の充実につながるのではないでしょうか。また、私はコンパクトシティーの成功は、そこへアクセスするための交通手段が充実することが必須条件だと思います。
 平成27年度版交通白書では、地方の交通について、人口減による利用者減がサービス低下や路線廃止を招き、それがさらなる利用者減につながるという負の連鎖に陥っていると指摘し、地域の課題に対応した交通ネットワークの再構築が必要であると提言しています。特に、今後は急増が予想される75歳以上の高齢者について、運転ができたとしても、視力が弱くなったり反射神経が鈍ったりするため、交通事故防止の観点から高齢ドライバーが運転しなくても便利に暮らせるような環境づくりに向け、公共交通の充実を求めています。
 現在のまちを前提にして、住民の生活の交通手段をどのように確保するかということについては、それぞれの市町村でコミュニティーバスやデマンドタクシーの運行等の工夫がなされていると思いますが、これらの地域公共交通の充実について県としてどのように取り組むのか、知事の御答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 公共交通を取り巻く環境は、人口の減少や過疎化の進展に加え、市街地の拡散などにより近年利用者が著しく減少しており、大変厳しい状況であります。
 公共交通といっても、大体は民間事業者が営業しておりますので、停留所の周りにあんまり人が住んでいなくて、人が拡散して住んでおると、どうしても乗る人が少なくなりますから続けられないということになります。そういたしますと、市町村は市民生活を守ることに責任がありますから、お金を出して存続してもらうということになります。しかし、市町村も財政が大変でございますから、ますます厳しくなると、こういうことであろうかと思います。
 公共交通のあり方については、したがって、どうしてもまちづくり、あるいは地域づくりとともに考えないといけないというふうに思います。都市の外縁部への拡大を抑制するとともに、都市機能や居住機能を計画的に誘導するコンパクトなまちづくりが大事だというのは、地域公共交通ネットワークを再構築するためにも必要なことであると思います。根本的な環境を放置して対症療法ばかりでは限界があるからであります。
 市町村がこういうなかなか大変な政策を遂行していけるように、県は、コンパクトなまちづくりに取り組む市町村を支援するとともに、市町村ごとに路線バスやコミュニティーバス、あるいは乗り合いタクシーなどをどのように組み合わせるか助言を行うなど、持続可能な地域公共交通ネットワークの再構築に向けた働きかけを行っていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、和歌山県の子育て支援について質問します。
 初めに、病児・病後児保育について。
 私は、平成22年12月議会での初めての質問以来、ほぼ毎年度、病児・病後児保育について進捗状況の確認とさらなる充実について提言してまいりました。
 私が病児・病後児保育の充実を繰り返し訴えるのは、この施策が子供を持つ母親が最も必要としていて、働きながら子育て環境が守られるための欠かせない施策であるからであり、同時に、子供を安心して産み育てていくことができる社会の実現につながると考えるからです。これは、「少子化をくい止める」という本県の平成28年度の新政策にも沿った取り組みであります。
 今、地方創生の推進や一億総活躍社会の実現を目指す政府の取り組みにおいても病児・病後児保育が盛り込まれており、国の支援策強化という絶好のタイミングを捉え、本県においても病児・病後児保育の充実を図っていただけるよう質問させていただきます。
 現在、病児・病後児保育は、平成28年度の予算案では運営費補助として2836万円が計上され、7圏域11カ所で実施されています。私が初めて質問させていただいた平成22年度の5圏域7カ所からは拡充しましたが、国が病児・病後児保育に関して規制緩和と支援資金の準備をしていることを踏まえると、少し消極的過ぎるのではないでしょうか。
 1月5日の「日経新聞」夕刊の1面に、病児・病後児保育施設の普及を後押しするため、厚生労働省が看護師と保育士の配置にかかわる規制を緩め、施設の新設に係る費用も新たに助成対象とすることを検討していることが報道されました。
 それによると、まず看護師や保育士の配置にかかわる規制を緩める、今のルールは、子供3人当たり保育士1人と、10人当たり看護師1人の配置を義務づけているが、利用する子供がいないときまで看護師や保育士が常駐すると人件費負担が重くなる、今は子供がいないときのルールは明確ではありませんが、看護師や保育士を常駐させなくてよいとする規定を新たにつくる、さらに、病院などに併設される病児・病後児保育の場合は、看護師がすぐに駆けつけられる体制をとっていれば子供を預かっていても看護師の常駐は不要とする、4月をめどに病児保育の運営ルールを定めた自治体向けの実施要綱を見直す、病児保育は採算をとりにくいとされているが、人件費負担が減れば新たに参入する業者もふえると厚労省は見ているとしています。
 また、厚労省は、施設の増設に向けた補助金も拡充する、現在、補助しているのは人件費など運営費の一部のみ、これに加え、4月からは施設の建設費など初期投資の一部も補助して新規参入するハードルを下げる、具体額は2月をめどに決める、また、病児保育には一般の保育所で体調を崩した子供が移ってくることも少なくなく、病児保育側が子供を迎えに行った場合は交通費や付き添いする看護師の人件費も新たに支援する、補助金の財源には企業が年金などと一緒に国に納めている子育て拠出金を充てる、政府は、平成28年度から拠出金の料率を従業員の給料の0.15%から0.20%に引き上げる方針、これによる840億円近い財源増額のうち約27億円を病児保育の普及に充てるとのことであります。
 また、少し古いデータですが、平成20年度に内閣府が行った少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査の保育サービスの充実において、待機しなくても入所できる保育所の数の定員をふやすとともに充実を求める声が50%を超えていたのが病児・病後児保育の充実です。しかも、10を超える選択肢の中で、病児・病後児保育の充実のみが前回の平成16年度調査から10ポイント以上充実を求める声が増加しておりました。
 平成20年の時点でこの結果ですので、一億総活躍社会の実現に向けて、新たな第2の矢「夢を紡ぐ子育て支援」として希望出生率1.8を掲げる現政権が、病児・病後児保育の充実を求める子育て中のお母さんや、これから子供を持とうとする働く女性の声の高まりに向き合わざるを得なくなったのは、時代の要請ではないでしょうか。
 これまで述べてきたように、仕事と子育てを両立する環境づくりのためには、病児・病後児保育のさらなる充実は欠かせない施策であると思います。
 そこで、国の支援策の拡充に関して積極的に情報収集を行った上で、市町村にしっかりと周知を行うとともに、約27億円を病児保育充実に充てると報道されている国の予算を本県が少しでも多く獲得する必要があると考えますが、これらの病児・病後児保育のさらなる充実のためにどのように取り組んでいくのか、福祉保健部長の御答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 仕事と子育ての両立を図るためには病児・病後児保育の推進は重要であり、議員御指摘のとおり、国の補助制度も拡充されてきております。
 現在、病児・病後児保育は9市町の11施設で実施されており、広域利用の4町を含め13市町の住民が利用可能となっておりますが、市町村のヒアリングをもとに策定した和歌山県子ども・子育て支援事業支援計画「紀州っ子健やかプラン」において、平成31年度までに23市町、全圏域での実施を目標としているところです。
 県としましては、実施主体である市町村に対し、新たに拡充された施設整備補助などを丁寧に周知するなど、病児・病後児保育の実施について一層積極的に働きかけてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ありがとうございます。
 せっかく国が病児・病後児保育の強化を図っていただいているので、これをうまく利用して、当県でも私たち利用者が利用しやすいように取り組んでいただけるようによろしくお願いします。
 続いて、待機児童解消対策について質問いたします。
 知事は、新政策の5つの基本目標の1「少子化をくい止める」で、結婚、出産、子育てまでの切れ目のない支援を掲げ、中でも待機児童解消対策に積極的に取り組むこととされています。ニーズの高まっている3歳未満児の保育など、保育、育児環境の整備を促進することは、少子化を食いとめるという目標を達成するために効果的な取り組みであると思います。
 これまで、県庁や市役所の説明では、和歌山市は待機児童は少なく、保育環境は比較的恵まれているとのことでした。しかし、実際に私の耳に届く声は、兄弟をばらばらの園に入れざるを得なかったり、復帰したい時期に保育所のあきがなかったり、自宅、職場のいずれからも遠い園にしかあきがなかったりという場合があり、統計上の数字では読み取れない多くのニーズがたたずんでいました。
 また、最近は待機児童がふえてきているとも聞きます。この点については、知事も現状をよくわかっていただいているようで、先日の和歌山市における知事の行政報告会でも、「最近は待機児童がふえてきているようで、しっかりと対策を講じていかなければならない」とおっしゃられていました。そして、その知事の現状認識が、待機児童解消対策についての当初予算の大幅な拡充につながったものと考えております。
 私が待機児童解消対策において最も大事であると考えることは、子育て中の母親のニーズに敏感であること、そして、保育環境の選択肢を広げることであると思います。待機児童がふえている大きな理由としては、兄弟を同じ保育所に通わせたいから、上の子供が通っている園にあきが出るまで待つというのが1つ、また、出産後、職場復帰するタイミングで保育所の確保が難しいというのがもう1つの理由ではないでしょうか。
 私たち女性は、子供をほったらかして働くことはできません。また、産休の後、職場復帰がおくれればおくれるほど、職場の環境が変わり、自分の居場所がなくなり、居づらい状況になると聞きます。一方、事業所側からも、ブランクの長い職員の復帰は遠慮がちだと伺います。このことだけを考えても、スムーズに職場復帰ができる環境を整えることが大切です。
 私がこれまで働く女性の環境の強化を求めてくる中で、国会保育所開設の取り組みに心を動かされました。平成22年9月、衆議院第2議員会館に東京都認証保育所キッズスクウェア永田町が開設されました。保育時間は、月曜日から土曜日の8時から21時までです。ゼロ歳児から未就学児までが就園可能とされています。国会議員や議員秘書の子供だけでなく、国家公務員や地域の方々の子供も受け入れが可能であるとのことでした。
 このような取り組みが和歌山県でもできないかと思いを募らせてきました。昨年には、都庁内保育園の開設を知り、東京都の担当課にお邪魔をし、きっかけや取り組みについて状況を聞いてきました。都庁内保育所は事業所内保育所で、特徴としては一時預かりも可能である点です。また、「3歳児未満が対象なので園庭などを確保する必要がなく、小さな面積の確保により保育所を開設することができた」と聞いています。また、宮城県でも、県庁に事業所内保育所が設けられており、就学前の乳幼児や地域の子供を受け入れています。
 東京都や宮城県の環境と和歌山県では保育環境が違うかもしれませんが、それぞれの地域のニーズに合わせて地域密着型の保育を展開できれば、これほどすばらしいことはないのではないでしょうか。
 知事は、新政策の待機児童解消対策として、市町村が実施する保育所等の整備を支援することや、介護事業所内保育所の新設整備等を支援することを掲げられておりますが、待機児童解消対策のための選択肢を広げる取り組みの一環として、「隗より始めよ」で県庁内保育所を検討してはいかがでしょうか。
 私は、県が率先して保育環境を整えることは、全ての子育て環境に明るい兆しとなり、子育て中の親にとって和歌山に住んでよかったと実感できる日の到来につながると考えています。
 そこで、県庁内保育所の開設や待機児童解消対策について、知事の御答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 実は、恥を忍んで申し上げますと、議員が今おっしゃられました企業内保育所に助成をして、それをどんどんふやそうという政策は、平成19年度の新政策のかなり大事な目玉だと私は思っておって、見事に失敗をいたしました。
 なぜかというと、実は和歌山県は当時、待機児童がほとんどなかったんです。あるときに民間の保育所の団体の方がお越しになって、それで「私たちの機能に、あるいは私たちの仕事に何か御不満でもおありでしょうか」と言われて、「いやいや、そんなことなくて、待機児童を」と言ったら、「待機児童は和歌山はゼロですよ」といって言われてちょっとトーンダウンをさせたという経緯があります。
 ところが、東京などに比べますと圧倒的にまだ和歌山は恵まれておりますけれども、和歌山市や岩出市などでは、実は本当の意味での待機児童が発生し始めていて、それでここ数年、特に急増しているという事態がございます。これは、幾ら東京なんかに比べても少ないとはいえ、議員御指摘のように、大変よくないことでございますので、これはまずいと。特に、これも御指摘がありましたけども、産休や育休から職場復帰する場合など、3歳未満児保育のニーズが高まっておりまして、人口の多い和歌山市で待機が多く発生してるわけでございます。
 これはまずいもんですから、特に──これは担当は和歌山市になりますが──和歌山市に対して具体的な対策を進めていただくように私どものほうからもお願いをいたしました。和歌山市も大変熱心にこれは考えてくれていまして、それで希望する保育所とのマッチングがうまくいけば、平成28年4月には2園の保育所整備による定数増加とか、あるいは定員の弾力的な運用による入所児童数拡大によって、現在ある待機児童はほぼ解消することは可能だというようなところまで来ております。
 このときに、どこに保育所をつくるか、和歌山市もそうやって考えてくれておりますけれども、保育所は待機児童が多く発生している地域で整備することが必要でございます。県庁の周辺では実は待機児童が多いわけではございませんで、無理やり県庁につくりますと局地的にはむしろ周辺の保育所から子供を奪うということになるわけで、いわゆる民業圧迫にもなりかねません。したがって、全体として必要なことはわかってるんだけど、必要なところにつくることを優先して、それで企業内保育所については、特にニーズが高い介護施設内の企業内保育所には助成をしていこうじゃないか、そんなふうに今考えているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁ありがとうございました。
 私は、ニーズというのは統計の数字だけでは読み切れない部分があると思っておりますし、また、今進めているよりコンパクトな町なか居住を構築していくのであれば、今県庁周辺にはニーズが少ないかもしれませんけれども、町なか居住を推進していくという視野を持って考えていただければうれしいと思いますので、要望いたします。
 続いて、学校現場における選挙に関する教育について質問します。
 まず、生徒に対する教育について。
 一昨年から昨年春にかけて、和歌山市長選挙、知事選挙、衆議院選挙、そして統一地方選挙と、選挙に追われた1年でした。開票結果と同時にいつも注目されるのが投票率であります。年々投票率が低下している中、有権者の関心を高める選挙制度や広報については、議論が深まっているところです。高齢者に優しい投票会場や投票制度について改善策を図るのと同時に、選挙権を得る年齢が18歳に引き下げられ、ことしの7月に予定されている参議院選挙で初めて実施される18歳選挙権であります。
 学校現場ではどのような教育がなされるのか、大変関心の高いところであります。現在、学校での選挙に関する学習は、公民の授業で教わる国会の仕組みや衆議院、参議院が何人であるかといったようなことが中心でありますが、7月に初めて1票を投じる生徒に対して、すばらしい選挙教育を与えていただくことに大いに期待しています。
 世界に目を向ければ、投票率の高い国として名高いスウェーデンの選挙教育は、選挙権を得る前から丁寧な教育の積み重ねを行っており、実際の国政選挙に合わせて候補者の政策等を検討した模擬選挙を行っています。この取り組みが果たしている役割は大きく、模擬選挙への参加によって生徒は少なくとも選挙のやり方がわかるので、実際の選挙への敷居を下げ、選挙との距離が縮み、投票率につなげているそうです。やはり、選挙権を得られる前からの教育が大切であることは、言うまでもありません。
 そこで、7月の選挙を目前に控えた今、本県の学校教育現場では選挙に関する教育をどのように行っていくのか、教育長の御答弁をお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 高等学校では、これまでも現代社会や政治経済の授業で、全ての高校生が選挙制度や政治参加の大切さ等について学習を深めています。県教育委員会では、今般の公職選挙法の改正を受け、高校生に主権者意識を高めていくための教育を一層充実させる取り組みを進めております。
 昨年12月に、全ての高等学校の担当教員を対象に、国が作成いたしました副教材「私たちが拓く日本の未来」と教員用指導資料について学ぶ研修会を開催し、生徒への指導方法等について指導いたしました。現在、各学校でその副教材を活用し、主体的に社会参画することの必要性や選挙の意味、投票の意義を理解させるなど、主権者教育の取り組みを実施してございます。さらに、県選挙管理委員会と連携いたしまして、模擬選挙や出前授業を通して主権者意識を高める学習を全ての県立高等学校で実施、あるいは予定してございます。
 今後とも、関係機関との連携を強化し、主権者としての大切な役割である選挙について、正しい理解が促進できるよう指導を徹底してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、先生に対する指導について。
 もう1点、選挙の大切さや意義等を教える上で大切なことは、生徒が選挙に関心を高めることと、選挙に対する幅広い考えとその中で選択ができること、そして一人一人の思いが政治に反映できるという希望を持ってもらうことにあります。学校では、先生と生徒の関係は信頼のもとに築かれています。生徒にとって先生の影響は大きく、先生の果たす役割は大変重要であります。だからこそ、ある偏った思想や先生の考えで、真っ白な生徒に偏った色をつけてしまうことがあってはいけません。
 その点に関しての指導はどのように行うのか、教育長に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 18歳からの選挙に関する教育を進めるためには、教員が公正かつ中立な立場で指導を行わなければなりませんし、大変重要なことであります。
 国が作成した副教材を活用し、各学校の教員が政治や選挙に関する教育の持つ意義をしっかり捉え、生徒が有権者として公正に判断し、権利を行使することができるよう、今後とも指導の徹底を図ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 どうも御答弁ありがとうございました。これで私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、森 礼子さんの質問が終了いたしました。

このページの先頭へ