平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成27年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成27年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成27年8月28日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第119号から議案第147号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第119号から議案第147号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(41人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
 20番 服部 一
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     野尻邦彦
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      直江利克
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第119号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 皆さん、おはようございます。
 4年ぶりに壇上に立たせていただきますが、4年間温かく御支援いただいた皆様に本当に感謝を申し上げます。その分、頑張ってやってまいりたいと思いますので、同僚、また先輩の皆さん、そして知事初め当局の皆さんに、温かい御指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 超高齢社会を迎える状況を踏まえて、国は、社会保障の安定財源の確保のために消費税率の引き上げが3党合意で取り上げられ、国会審議を経て2014年4月より──昨年の4月ですね──消費税が8%に引き上げられました。最終的には10%に引き上げられることが2012年の法案で成立し、その財源は全て国民に還元し、官の肥大化には使わないことも明言されました。
 また、社会保障制度も、今回の消費税増税により消費税の使途が高齢者3経費(基礎年金・老人医療・介護)から社会保障4経費(年金・医療・介護・子育て)に拡大され、増税分は、社会保障の充実のために1%、社会保障の安定化のために4%に予算配分されることも決まりました。制度上は、国の将来に向けた方向性が示されたものと思います。
 しかし、人が尊厳をもって自立して生きるということは、制度ができただけでは前に進みません。それをどうしていくのかという仕組みが必要となります。そこで、核家族化が進み、少子・超高齢化社会を迎えるこれからの社会では、我が国が今まで経験したことのない、越えなければならない多くの問題を抱えています。
 1970年、私は、ちょうど大阪で万国博覧会が開かれた年に大学に入学をいたしました。ですから、物事の考える基準が1970年。その当時、祖母がいまして、ちょうど70歳でした。面倒を見ていただいてました。その当時の日本の平均寿命は、男性が69.3歳、女性は74.7歳でした。ですから、祖母は70歳ですから、大学卒業まで元気にいられるのかなと、平均寿命から申し上げまして、そういうことを考えていたくらいです。
 当時の日本の医療費は2.5兆円、直近2012年の日本の医療費のデータは39.2兆円であります。42年間で15.7倍に医療費が伸びてるわけなんです。平均寿命も、男性80.5歳、女性は86.8歳と飛躍的に伸び、世界一の長寿国になりました。当時に比べて、男性は11.2歳、女性は12.1歳、女性だけに関していえば、3年半に1歳ずつ寿命が伸びたと、そういうことになります。
 そこで、金の卵と呼ばれ、戦後の日本の高度成長期を支えてきた団塊の世代──正確には、堺屋太一がつくった言葉で、昭和22年、23年、24年に生まれた方を中心に呼ぶらしいんですが──この大きな団塊の世代という塊は、あらゆる面で社会や国の施策にも大きな影響を及ぼしていることは言うまでもありません。我が国の社会保障制度も、団塊の世代とともに推移し、年金、医療に加えて、この世代が高齢者になってもできるだけ自立して暮らせるようにと、介護保険法が2000年にはスタートをしました。
 そこで、社会保障問題をまず医療の面から考えますと、国民1人当たりの医療費は、65歳未満では年間17.7万円、それに対して75歳以上では89.2万円と、後期高齢者の医療費は5倍、65歳以下に比べてかかってるわけなんです。
 また、日本の医療費の特徴とされるのが、病院のベッド数は多いが、医師、看護師の配置が少ない、入院期間が長いなどの問題も抱えています。
 そこで、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、およそ3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となり、これに伴い、慢性的な疾病や複数の疾病を抱える患者が中心となるなど、医療・介護サービスを必要とする患者の疾病構造が多様化すると見込まれています。
 このような疾病構造の多様化に対し、患者一人一人の状況に応じた医療提供をするために、医療・介護サービスを充実させ、患者の早期社会復帰を進めるとともに、住みなれた地域で日常生活を営むことができるよう、効率的な医療・介護サービスを一体的、総合的に進めるため保険法の改正も行われていますが、和歌山県の今後の医療、介護の将来像について、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、75歳以上の高齢者の数が2030年にピークを迎えます。そうした状況の中で、高齢者が、可能な限り住みなれた地域で、その有する能力に応じ、自立して安心した生活を営めるような社会をつくっていくということが重要でありまして、これが県の責務と考えております。
 そのために、かなり細かいところまでいろいろ検討いたしまして、今後必要と考えられる介護施設の計画的な整備とあわせて、それぞれの地域において、例えば必要な在宅介護サービスとかを含めて、医療、介護等が一体的に提供される地域包括ケアシステムをつくっていかなきゃいけないというふうに思ってるわけでございます。
 まず、医療分野では、入院から在宅医療に至るまで一連のサービスが提供されるように、地域医療の担い手育成や確保に一層取り組むとともに、病院での医療提供体制の再編を進め、あわせて在宅医療提供体制の充実を図ると。これは御指摘のように、医療介護総合確保推進法の命ずるところでもございます。
 次に、これはむしろ和歌山県は先に進めていたのを今度は統合していかないといけないんですけれども、介護の分野では、退院時も含め、在宅介護を必要とする全ての人を市町村が設置する地域包括支援センターが把握することで、在宅介護サービスや生活支援を漏れなく受けられるような仕組みとする必要がございます。
 これらの取り組みをしっかり行って、医療と介護の連携を図りながら、本県の実情に合った地域包括ケアシステムの実現と、その円滑な運営を目指してまいりたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 知事より、地域包括ケアシステムの充実を図っていくと、地域に合った体制を整えていくという答弁をいただきました。
 それでは、病床も含めて、病床再編について伺います。
 医療、介護の一体的かつ総合的な確保を図る上でポイントとなるのが医療法の改革であります。そして、昨日の奥村議員の地域医療構想の質問の中でも触れられてましたが、病床の再編という問題がございます。2025年に向けた医療供給体制の改革を内容とする医療介護総合確保推進法が、昨年成立しています。この法律では、病床機能の報告制度、地域医療構想、協議の場、新たな基金──財政支援ですね──そして、病床再編に向けた知事の権限強化などが盛り込まれています。
 今後、高齢化が進展していく中で、地域の医療需要、例えば高度急性期でありますとか、急性期でありますとか、回復期でありますとか、慢性期でありますとか、いろんな地域によって需要が違うと思うんですが、その医療供給体制を考える上で重要となるのが病床再編の問題であろうかとも思います。この病床再編に向けた県の取り組みの現状と今後について、福祉保健部長にお尋ねします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 病床再編の現状につきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、高度急性期、急性期・回復期・慢性期の病床機能別に、患者の病状に応じた適切な医療を将来にわたり持続的に受けられるよう、将来の医療需要にふさわしい、バランスのとれた病床再編を行うための分析などを行っているところです。国が地域医療構想ガイドラインにより示す推計方法、データなどに基づいて、2次保健医療圏である構想区域ごとに、県が病床機能別に必要病床数を算定していくことになります。
 今後、病院代表者や医療関係団体、市町村などで構成される県内7つの圏域別検討会を開催し、関係者の意見を十分聞きながら、地域の実情を反映し、県民が安心して暮らすことができるよう、病床再編に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 病床再編に向けては、十分地域の実情を踏まえてやっていくということでございます。
 じゃ、次の質問に移ります。
 在宅医療体制の取り組みについてお願いします。
 入院をしていましたが、急性期の手術などの医療措置がなされた後、回復期に入り、安定した病状になり、やがて退院を迎える患者の多くは、知人が多く、住みなれた環境である自宅や自宅周辺での生活を送ることを望んでいます。また、何でも診察できるお医者さんが往診に来られ診察を、病気になってもできるだけ安心して自宅に住み、自分らしい生活を送りたいと、こう思っている方が多くあることは間違いありません。
 厚生労働省では、在宅医療を推進するため、モデル事業の実施や体制整備に向けた財政支援などがなされてきていますが、県として在宅医療にどのように取り組まれるのか、いわゆる在宅医療体制の構築に向けてどのように今後取り組んでいかれるのか、福祉保健部長に質問いたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 在宅医療提供体制の構築につきましては、在宅医療の総合相談窓口として在宅医療サポートセンターを2次保健医療圏ごとを基本に設置し、かかりつけ医登録、退院時の紹介制度、急変時受け入れ病院の確保、主治医・副主治医制などかかりつけ医の支援体制、訪問看護ステーションや薬局同士の連携体制などのネットワークづくりを進めることにより、地域で安心して在宅療養を継続できるように取り組んでいるところです。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 できるだけ、何といいましても在宅医療は、医師会とか各関係の方との調整って結構大変だと思いますけども、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、医療と介護の現場の連携に向けた取り組みについてお聞きします。
 病院から退院します。在宅に移行する患者さんは、在宅療養やリハビリ、介護サービスなどを選択しながら在宅生活を送ることになると思われます。
 この場合、重要であるのが、医師、看護師、ケアマネ、そして介護福祉士など、多くの医療・介護関係者の連携です。今後、医療と介護をどのようにつないで取り組んでまいるのか。特に、お医者さんから出るときに、もう一度どっか探してくれ、何かないかという声をちょいちょい聞くような気がするんです。「老老介護」であったり「介護難民」という言葉があったり、お医者さんから退院する、本来喜ぶべきことなんですが、そこで大変だという方もおられるのも事実なんです。ですから、その辺の取り組みをどうされているかということが1点。
 なお、介護保険法が見直されて、これからは市町村が在宅医療、そしてまた介護の連携の事業を進めていくことになりました。いわゆる要支援の部分も含めてですね。市町村の認識に差があるように思います。やはり何といいましても、役所の方が、市町村の担当者がしっかりしているといい方向に進みますが、どうしてもそれがおくれると、地域の皆さんが損をするという言い方は悪いかもわかりませんが、そういうことになるんです。
 できるだけ、そういう意味で市町村の格差をなくすために、ある程度の指導をやっていただきたいというのが願いなんですが、県としての取り組みを福祉保健部長に答えていただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 医療と介護の連携につきましては、平成23年度から2次保健医療圏ごとに県立保健所がコーディネート役となり、各市町村及び地域包括支援センターとも密接に連携しながら、圏域の医療と介護の関係者と連携会議等を組織し、研修会の開催や情報共有を図ることで連携体制の構築を進めてまいりました。
 特に昨年度は、新宮圏域で国モデル事業を活用し、退院調整ルール策定協議にも取り組みました。要介護状態の入院患者が退院する際に、確実、適切に病院からケアマネジャーに引き継がれるためのルールを策定しましたが、今後、新宮圏域以外の全圏域で策定協議を進めていくこととしています。
 これらの県の取り組みを生かし、先般の介護保険法の改正により、遅くとも平成30年4月には全市町村で実施すべきものとされた在宅医療・介護連携推進事業が適切に事業開始され、各地域の医療関係者の連携が円滑に進むよう、各市町村の実情を踏まえながら県として支援してまいりたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 それでは、何といいましても、こういうシステムが今構築されようとしてます。2025年、2030年を目標にしてますが、10年なんてあっという間ですから、市町村にもきっちりとした指導をやっていただければと思います。
 そして、どうしても最後に中心となるのが介護人材の確保です。一番最初に知事の将来像でのコメントにもございましたが、地域包括ケアシステム、これをどう機能させていくかということが大きなポイントになろうかと思うんですが、地域包括ケアシステムとは、ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護、予防のみならず、福祉サービスが日常生活の場で適切に提供できるような地域での体制と定義されています。
 最終的には、市町村が中心となってやるべきことだと思うんですが、このシステムの構築の実現には、医療、介護の連携はもとより、保険や予防、生活支援福祉サービスにどう取り組むかが重要であり、今、県でも取り組みを進めているという回答をいただきました。重度な要介護状態になっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしが人生の最期まで続けることができるような地域包括ケアシステムが、いっときも早く構築されることを願うわけであります。
 このシステムの実現や医療と介護の連携には、人材の確保が不可欠です。介護サービス、介護保険法がスタートした2000年には184万人だったサービス受給者は、2012年には458万人となってます。そしてまた、介護保険制度に関する国民の意見募集によりますと、60%を超える人が、いわゆるこの介護保険法はよかったと、こう言ってるわけなんです。そしてまた、自宅での介護を希望する人が70%を超えています。そういうことを踏まえて、地域包括ケアを進めていくためには、何といっても人材の確保、特に介護人材の確保については必要不可欠であろうかと思います。
 そこで、特に介護人材の確保について、県のお考え、福祉保健部長よりお答え願いたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 本年6月に国が2025年に向けた介護人材に係る需給推計を発表し、和歌山県においては4187人の介護人材が不足するという推計が示されているところです。
 これを踏まえつつ、本県の介護職員の確保対策につきましては、本年3月に策定したわかやま長寿プラン2015に基づき、福祉の就職フェア、福祉の仕事相談、職場体験、無料職業紹介などを実施するとともに、介護職員等を対象としたスキルアップのための研修会の開催など、キャリアアップに向けた支援を行っているところです。また、今回の介護報酬改定において、介護職員処遇改善加算についてさらなる上乗せ評価が実施されましたが、県では事業者向け説明会などを実施し、同加算の取得促進に努めているところです。
 今年度からの県の新たな取り組みとしては、就職を希望する高校生や介護現場へ新規就労した介護資格を持たない者を対象に介護資格の取得を支援し、新規参入及び定着促進を進めるとともに、介護事業者、関係団体、養成機関及び教育機関等と介護人材確保に向け、情報共有や各種事業に協力して取り組むための連携の場として本年6月に和歌山県介護職員確保対策支援協議会を設置したところです。介護職員の確保対策につきましては、この協議会を中心に適宜見直しつつ、効果的な実施に努めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 福祉保健部長より答弁をいただきました。できるだけ、支援協議会を開いてやるということなんで、いろんな御意見を伺って、地域に合った、将来に向けて──もうじきに、10年ってあっという間に過ぎると思うんですね。ですから、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。林業振興についてであります。
 まず、新しい集材機への取り組みと活用についてお伺いします。
 木の国和歌山と呼ばれる和歌山県の森林には、現在1億立米の蓄積があり、毎年92万立米の成長があると言いますが、これらの山の材を出すには、できるだけ低コストで市場に出るようにと各地域で取り組まれ、林道の開設や作業道の拡充を図り、また、高性能林業機械と呼ばれる機械を用いてコスト削減への対策を講じられています。
 しかし、紀州の山は急峻で谷地形が多く、路網の整備だけでは対応できないという課題があります。また、急峻な地形への無理な作業道の開設は、林地の保全という意味からも好ましくありません。そのためには地形の実情に合った林業機械の開発は喫緊の課題でありますが、新しい集材機が開発されていると聞き、和歌山発のすばらしい取り組みだと以前から興味がありました。
 先日、現地に出かけて実際に実物を見せていただきました。操作もさせていただきましたが、集材機の音が従来のものに比べてはるかに静かで、動きが滑らか、何よりも操作が簡単であることに驚きました。私の操作中にも少しトラブルがあったようですが、まだまだ試作段階なので改良の余地が多く残されていると思いますが、現状を農林水産部長よりお聞かせ願いたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 利用期を迎えつつある県内の森林資源を有効活用し、中山間地域の産業振興、森林の多面的機能の発揮を図ることが重要であることから、県では、作業道の整備や高性能林業機械等の導入を支援し、低コスト林業を推進しているところです。
 しかしながら、急峻な地形が多い本県においては、林内路網を活用した集材システムだけではなく、架線集材による低コストで効率的な作業システムの確立も必要であるため、平成24年度に県内の林業関係者や県で組織する架線集材の低コスト化・省力化技術研究会を設立し、全国で初めてとなる油圧式架線集材機の開発、改良に国の補助事業等を活用して取り組んできました。その結果、昨年度までに無線操作による安全性と生産性の向上を図ることができる油圧式架線集材機を開発し、実用化に向けた一定のめどが立ちました。
 なお、今年度も機械の設置や移動を容易に行うことができるよう、改良に取り組んでいるところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 県も協力して開発を手がけてきたこの集材機の普及を図り、低コストで出材するために多くの現場で利用されることが、ひいては機械の製造コストを抑え、作業効率を高めるためのノウハウもたくさん蓄積される、そういうことになろうかと思います。そして、大変作業がしやすい、誰でもできる、今までの熟練度がなくてもできるという、それで音が静かで安全性もはるかに向上してると私は感じました。
 普及促進を図るためには、補助金の活用も含めて後押しすることが必要でないかと思われますが、その辺のことについて部長の答弁を求めます。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) この新たな架線集材システムを普及するため、平成27年2月に、県、林業関係者及び機械開発メーカーとの共催による現地検討会や講演会を開催したところ、県内の主要な林業事業体のほとんどが参加し、県外からも多数の関係者が参加するなど、この油圧式架線集材機に高い関心が寄せられていると感じました。県としましても、引き続き現地講習会を開催するなど、新しい架線集材システムの迅速な普及啓発に取り組んでまいります。
 また、国がこの油圧式架線集材機の性能を認め、高性能林業機械導入に関する補助事業の対象としたため、県としましては、この補助事業を活用し、新しい架線集材機の早期導入を目指してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 それでは、2つ目の質問に移らせていただきます。
 森林の持つ公益的機能、水源の涵養でありますとか土砂の流出防止、生態系の維持等、たくさんあろうかと思いますが、我々は森林から多くの恩恵を受けていることは、皆さんも周知の事実であります。
 山を守り、森の健全な保全の観点からも、また森をなりわいとして利用するということは、地方創生の目的である地方での職場を確保するという意味からも、本県にとって森林は大きな財産であります。
 しかし、山で働く労働者の高齢化は進み、熟練労働力の不足や、伐採や出材と言われる技術の継承も一朝一夕ではいかない現状があります。山林家は長引く材価の低迷にあえぎ、「山持ち金持ち」と言われた時代は遠い昔のような気がしているのは私だけでしょうか。林家や林業関係者は、林業としての経営的な観点から、また森林環境保全という視点からも森林を考えることのできる人材、いわゆる森のリーダーを育成することは、森林県を標榜する我が県にとっては必要なことだと思われます。
 和歌山県の森林林業の将来を担う人材の育成について、現在の状況について部長の答弁を求めます。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 現在、県において、将来の中核的リーダー養成のためにグリーンワーカー育成研修を昭和56年度以降実施しており、修了者は368名となっております。これに加え、平成25年度からは、本県特有の架線集材作業に特化した林業架線作業特別講習も実施しており、修了者は3名となっております。
 また、国の緑の雇用事業を活用し、平成15年度以降、現場管理責任者等を合計80名育成するとともに、林家へ利用間伐等の施業提案を行う森林施業プランナーの育成も行い、現在9名が認定プランナーとして森林組合等で活躍しています。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 部長の答弁をいただきました。作業をする人の今の状況は理解しました。
 私がここで申し上げたいのは、もう少し大きな観点で、森林の将来や経営的な見地から、また森林の保全という観点から、真の森のリーダーを育てる意気込みがあるかということです。
 既に、全国では公立系林業大学校が8校設立されており、人材の育成に取り組まれているようです。木の国和歌山の将来のための人材育成に取り組んでいただきたいと思ってます。
 4年前に「緑の神話 今 そして未来へ 紀州木の国から」とうたわれた植樹祭からまだ4年しか経過していません。このような気持ちを忘れないように、また、現在は全国の林業経営者協会の会長も我が県から出てますし、来年は我が議会から林活議連の谷県議が全国の会長にも就任される予定になっております。木の国和歌山のために林業の復権を目指して期待していますので、再度、林業後継者の育成について部長の答弁を求めます。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 県内の林業関係の学校については、平成18年3月に熊野高等学校森林科学科が廃科になって以降、存在しておりません。一方、全国で公立の林業系大学校等が8校設立されており、さらに来年度には2校の設立が計画されています。
 県としましても、後継者育成の観点から、森の健全な保全や紀州材の増産をさらに進める上で、森林環境や林業・木材産業までの幅広い知識を有し、将来の森林組合や民間事業体の中心を担う人材の確保、育成も必要と考えておりますので、全国の林業大学校の状況なども参考にしながら、さまざまな方面から検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 知事と各部長から答弁をいただきました。
 医療、介護にしましても、15年先を見据えた大変な作業になろうかと思います。そしてまた、森というのは、長いサイクルで経営そして保全を考えていかなければならない。それには、今やらなければならないことをきちきちとやっていただくことを私のほうから要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問さしていただきますが、その前に、恒例ではありますが、今から約14年前に和歌山のNPO関係者と立ち上げから私もかかわってきました「おどるんや~第12回紀州よさこい祭り~」について御報告いたします。
 内田嘉高実行委員長によりますと、ことしは去る7月26日、8月1日、8月2日と3日間開催をし、参加91チーム、踊り子約3500人、観客動員数3日間で約26万人、ボランティア約250名で、開催会場はどこもいっぱいであったということであります。
 また、ことしのキャッチコピーは「紀州の夏! 感! 踊りで心を呼びさませ!」で、ことしの和歌山は、高野山開創1200年、紀の国わかやま国体など大きな行事があり、日本全国だけではなく、海外からも注目をいただくまたとない年で、その中にあって、夏の3日間は「おどるんや」が和歌山を盛り上げるという強い気持ちを踊りに込め、開催をいたしたとのことでありました。
 この祭りは、立ち上がり当初から行政には一切資金的援助を受けないという姿勢を貫き、まさに和歌山県民の和歌山県民による和歌山県民のための祭りであるということであります。かかわっているボランティア、スタッフの皆さんには、大変な御苦労をおかけし、感謝の気持ちでいっぱいでありますが、皆さんの意欲的で、自分たちの和歌山県は自分たちの力で元気にするんだという気概を感じる祭りでもありました。
 平成25年9月議会で、当時の塩崎環境生活部長が、「紀州よさこい祭りを成功事例として大いに参考にして、和歌山県の市民活動をより活発にしていきたい」との答弁がございましたが、今後の参考になればと思い、改めて御紹介をさしていただきました。
 ちなみに、私は、14年前に和歌山によさこいのチームが全くないときに、練習場として私の日本拳法の道場を提供し、私自身も一緒になって彼らと踊り、その約2年半後に第1回大会を立ち上げるときに、行政との橋渡しや資金集めに奔走いたしました。現在は実行委員会のスタッフでありませんが、今回は、紀州よさこい祭りの原点のチームである和歌山MOVEについて、鳴子拾いの一員としてこの祭りに参加をいたしました。
 鳴子というのはこういうものであります。(現物を示す)皆さん、ごらんになった方、いらっしゃると思うんですが、これで地域を盛り上げるという──これを踊りの最中に、みんな熱くなってくるもんですから、つるっと滑って落としていくんですね。それを後ろから袋に入れていくというのが私の役割です。
 和歌山MOVEは、この大会では2位の知事賞に輝き、仁坂知事から賞状とトロフィーをいただいたことを、あわせて御報告申し上げます。
 それでは、質問のほうに入らせていただきますが、今回は私にとりまして今期初めての質問でもありますので、平成27年2月議会までの県当局とのやりとりの中で、一連の流れをおさらいしながら行いたいと思います。
 そこで、和歌山県の現状と将来を見据えた上で、1、健康長寿日本一わかやま、2、JR和歌山駅中心コンパクトシティー、3、若者定住・阪和35分通勤快速電車の3点について質問いたしますが、その前提となります人口激減・超高齢先進和歌山県について、まず資料をごらんいただき、説明をさしていただきたいと思います。
 以前にも申し上げたとおり、この人口減少問題は、私が初当選いたしました平成15年より取り上げ、県の姿勢をただしてきましたが、ここにあります、前にもお示ししましたけど、これ、私自身の県政報告なんですが、「人口激減!どうする和歌山」、12年前に私が発してる言葉なんですが、中に詳しく書いてます。正直、余りぱっとした答弁はいただけませんでした。
 そのような中、2年前から増田寛也元総務大臣が中心となり政策提言を行っている日本創成会議が、このままではあと25年で全国の半分以上の市町村が消滅するという消滅可能性都市ということを訴え、和歌山県もそのとき30市町村のうち25市町村が消滅する可能性があるというデータを、平成26年9月議会で私が提示をさしていただきました。
 もちろん、消滅といっても1人も人がいなくなるということではありませんが、今後かなりの速いペースで高齢化すると同時に、少子化、若者の県外流出ということでありますので、いつも私が、まさに枕言葉として使っております人口激減・超高齢先進地域になる県の姿が、これによってはっきりとしてまいりました。
 この資料をじっくりごらんいただきたいんですが、これは2010年(平成22年)の国勢調査をベースにした将来人口割合推計と高齢化率推計についてであります。和歌山県全体では、25年後の2040年(平成52年)には、人口割合推計が2010年(平成22年)を100とした場合、71.8で、そのときの高齢化率推計、65歳以上ですが、39.9%、また、75歳以上の高齢化率推計が24.1%になっているということであります。
 この人口減少と超高齢化が最も進むであろう東牟婁郡においては、議長には申しわけないんですが、2010年(平成22年)の人口を100とすると2040年(平成52年)には55.0となり、この時点で65歳以上の高齢化率が51.0%、また、75歳以上の高齢化率が34.0%になります。つまり、わかりやすく言うと、あと25年で東牟婁郡は人口が半分近く減少し、そのうち半分以上が65歳以上の高齢者で、また、全体の3人に1人が75歳以上の高齢者ということになります。まさに、人口が激減し、しかも超高齢社会がそこまでやってきているということであります。
 これは、私の選挙区であります和歌山市においても、多少の違いはあるとはいえ同じ傾向があり、想像しただけで非常に気持ちが暗くなる将来がそこまでやってきているということであります。
 それでは、このような悲観的な状況の中で、夢と希望を持てる未来は果たしてあるのでしょうか。もちろん、その点を考え、県行政とともに切り開いていくのが我々議員に課せられた仕事であり、私自身、そのことをずっと考え続けてまいりましたが、それが以前から申し上げております3点の質問の本意であります。
 もちろん、私は和歌山市選出の議員でありますので、和歌山市を中心にした政策を述べる面もありますが、その点は御容赦いただきたいと存じますが、私なりの考え方を示さしていただきます。
 人口激減・超高齢先進和歌山県の持続可能性のある発展を考えるなら、まず県民の皆さんが健康で長生きできる社会づくりを目指していかなければなりません。端的に言って、人間誰しも年とともに体が老化することは自然の摂理でありますが、毎回申し上げておりますとおりに、少しでも健康で長生きができれば、本人はもとより家族や周りの人たちにとっても幸せであり、さらに、医療や介護の世話になる期間が短ければ社会的負担も少なくなり、地域社会そのものが元気に持続することができます。
 ですから、私の政策の一丁目一番地は、まさに健康長寿日本一わかやまの実現であり、これは、平成20年4月に発表の県の和歌山県長期総合計画の中にも明記されております。
 次に、和歌山市はまちに元気がないとよく言われているのですが、この大きな原因の1つは、仁坂知事もよく言われてるとおり、まちを広げ過ぎたことによって中心部の空洞化が進んでいることが挙げられます。それだけに、これからさらに人口が減少し、高齢化がますます進む中で、まちをできるだけまとめていかなければなりません。
 そこで、まず公共交通機関のターミナル強化と、そこを中心にしたまちづくり、つまり、具体的に申し上げますと、これは私は、あえて具体的に申し上げますと、まず、JR和歌山駅を中心にコンパクトシティーを進めていくことが大事であると考えております。
 また、持続可能な地域社会をつくるには、若い世代の定住という大きな問題があります。和歌山県は、県内の高校を卒業してから県外の大学、短大へ進学する率は日本一で、しかも26年間連続であります。そして、県内に県外の大学・短大で学んだ学生の就職先が少ないため、多くは東京や京阪神の企業に就職し、和歌山県に帰ってくることが難しいという現実があります。
 しかし、大阪までの通勤時間が距離の割には非常にかかるため、和歌山県から通えないということはないのですが、多くの方が大阪を中心に京阪神地域に住まざるを得ないということを考えれば、何とかそれらの人たちのためにも、それらの人たちに和歌山県に住んでもらうためにも、ネックになっている電車の通勤時間を短縮することを考えていかなければなりません。
 ちなみに、朝の通勤時、阪和線でJR和歌山駅から天王寺まで快速で平均71分、また南海本線では和歌山市駅からなんば駅まで特急サザンで平均65分かかるものを、私は、夢の阪和35分通勤快速電車を走らせることによって和歌山に若者を引き戻そうということを以前から訴えてまいりました。
 このような3つの政策をずっと訴えてまいりましたが、もちろん、あとの2つについては鉄道会社や地権者等、相手がいることですからそう簡単には進まないことは十分わかっておりますが、決して夢幻を語っているのではありません。
 これらのことを今真剣に進めないと、さきにお示しいたしました人口激減・超高齢先進和歌山県の未来はさらに暗いと私は確信しておりますので、この点を踏まえた上で、県幹部の皆さんのより積極的な答弁を求めるものであります。
 それでは、1問目の健康長寿日本一わかやま推進会議についてですが、その前に、平成25年9月議会で提示いたしました(資料を示す)──これは新人の方、もちろんごらんになっていただいてないと思うんですが、このような平成25年9月議会で提示いたしました健康寿命、これもやはり平成22年の国勢調査をベースにした、ここでは平均寿命から単純に介護認定期間を引いたものですけども、47都道府県のランキングが出ております。和歌山県はここにありまして、こっちが男性です。男性42位、女性46位という大変な下位、下の位置でありました。それを日本一に持っていくという、大変な政策です。
 まず、ここで確認したいのは、健康長寿日本一わかやまをいつ達成するのか。それは、先ほどもお示しいたしました、この長期総合計画、これ、いわゆる長計というのは10年単位でありますので、平成29年──20年発表ですから29年度、つまり平成30年3月末までに達成する目標として掲げております。
 しかし、平成26年2月議会で、当時の中川福祉保健部長にこのことをただしたところ、「長期総合計画の期間である平成30年3月までの健康長寿日本一わかやまの実現の可能性については、現在──この26年の2月の時点で──各種健康指標を見ると、厳しい状況に」ということで、しかしながら、「県としては、平成34年度を目途とした第3次和歌山県健康増進計画において、少しでも目標に近づけるよう強い意志を持って取り組んでまいります」という答弁をいただきました。
 事実、この第3次和歌山県健康増進計画の冒頭に、知事の言葉で、和歌山県長期総合計画が示す健康長寿日本一わかやまの実現に向けたこれは計画であるということを知事は明記されております。言ってみれば、期限が平成29年度末から平成35年度末、つまり30年3月から平成35年に5年間延ばされたと私は認識しておりますけれども、このような今まで経緯がございました。
 その中で、じゃあ具体的にどうやって進めていくかの中で、いろんな議論をしてまいりました。
 平成24年9月議会より、この健康長寿日本一わかやまの実現、本当にできるのかということを問題提起した中で、その解決策について、この議場、また常任委員会で何度も何度も議論してまいりましたけれども、まず、私は、和歌山県民の介護認定率が平成23年度は全国で2位──後ろからですよ──2位という高い率で非常に介護認定を受けられる方が多いということでありまして、これは、子供のころから和歌山県民というのは体が弱いのではないかという私の仮説のもと、県教委でいろいろ調べましたら、何と平成19年から平成23年まで5年間、小学生から高校生まで、体力が各学年、5年間、全国平均を一度も上回ったことがありません。
 しかも、年がだんだんだんだん小学校の低学年、中学年、高学年、そして中学、高校と上になっていくほど全国平均から離されていくという、子供のころから非常に体力が低いということがわかったものでありますから、そこで、私はジュニアエクササイズというものを提案したところ、県教委の健康体育課はすぐに反応してくれて、本県出身でロンドンオリンピック体操日本代表の田中理恵選手や紀美野町のりら創造芸術高等専修学校の協力を得て、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスを考案し、学校教育の中で広く普及させ、大きな成果を上げているということを聞いております。
 そこで、平成25年9月議会では、今度、高校を卒業してから高齢者、つまり65歳までの現役世代を対象にしたミドルエクササイズの考案、実施を提案したところ、それなら、広くみんなが知り、体験しているラジオ体操がいいということで県教委から発案があり、それをそれじゃ進めていこうということになりました。
 平成27年2月議会でその成果をただしたところ、当時の西下教育長は、「今年度──つまり平成26年度ですね──県内22カ所で指導員養成講習会や体験会を開催し、目標を上回る726人の指導員を養成するとともに、──実質、ラジオ体操連盟に加盟しているのは、私もその一人でありますが、約350名余りだと思いますが──1578人の方々に正しいラジオ体操を体験していただきました」、また「新たに海南市で16カ所、新宮市に6カ所、住民の方々が定期的にラジオ体操を楽しむ拠点もできるなど、把握する限り、県内で50カ所程度でラジオ体操が実践されている」ということでありました。
 次に、私が福祉環境委員会の委員長のときに同委員会のメンバーで視察調査いたしました長野県の保健補導員制度をモデルに──これは、保健補導員制度というのは各地域でその地域の住民の皆さんの健康を推進する、まさに和歌山県の住民の皆さんに元気になっていただくためにそのお世話をさしていただく立場のボランティアでありますけども──その健康推進員制度というものを提案したところ、県も早速取りかかっていただきまして、同じく2月議会で当時の中川福祉保健部長は、「22の市町で578名の健康推進員の養成を行い、検診等の啓発チラシの各戸配布や呼びかけ、健康教室への参加、健康イベントのサポーターとしての協力活動、介護予防教室での健康講話など、地域に密着した活動を行っていただいております」という答弁をいただきました。
 そして、平成25年9月議会で、同じく私は、県庁の関係部局が一致団結して先に進むためにも、やはり健康長寿日本一わかやま推進会議を県庁内に設置が必要だと強く訴え、和歌山県民が健康で長生きできるための、これはつまりブレーンであり、リードオフマンとしての同推進会議の設置を強く提案したところ、福祉保健部を中心に4部10課1室で平成26年2月に立ち上げていただきました。
 そして、平成27年2月議会では、同じく中川福祉保健部長は、「これまで3回、その推進会議を開催し、構成各課室における健康づくり関係事業について取りまとめ、関係課室が積極的な連携を行える事業について検討してきたところです」ということで、また、平成27年度、つまり今年度でありますけれども、「啓発、イベントの共同開催や、健康運動指導士やラジオ体操指導員等の人材の活用による健康教室の開催等、相互に連携することにより一層高い効果が得られる事業の推進に一致団結して取り組んでまいります」ということでした。
 その後、この件について確認をいたしたいのですが、福祉保健部長、今後の予定も含めて御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 健康長寿日本一わかやま推進会議については、本年6月に第4回会議を開催し、構成課室における平成27年度の健康づくり関係事業や今後の対策について協議を行いました。
 本年度は、さきの答弁にありましたとおり、健康推進員養成講習会の講師として健康運動指導士、ラジオ体操指導員の活用や、啓発、イベントの共同実施など、相互に連携することにより一層高い効果が得られる事業の推進に取り組んでおります。
 また、平成28年度に向けて、組織横断的に連携した新政策についても検討を進めているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 福祉保健部長、ありがとうございました。推進会議については、より一層高い効果が得られる事業の推進に取り組んでいくということでありまして、これは4回目ということで、ちょうど私がここで質問する前にいつもやっていただいてるんですが、決して私のほうを向いて推進会議をするのではなしに、県民のほうを向いて推進会議をしていただきたい、そのように要望をしておきます。
 続けて行かせていただきます。
 これまでの説明どおり、県が取り組んでいますラジオ体操、健康推進員、そして健康長寿日本一わかやま推進会議について、担当の皆さんは、私はよく頑張ってくださっていると高く評価をしております。
 しかし、これで、先ほど来言っておりますように、県の長期総合計画、つまり平成30年3月末まで、もしくは最大限延ばして第3次健康増進計画の平成35年3月末まで、果たして日本一になれるのだろうかと考えたとき、何かが足りない、どうしたらもっと成果が上げられるようにスピードアップできるのか、私は私なりにずっと考えてまいりました。
 そのような中で、こういうものを見つけました。(資料を示す)これは、厚生労働省が平成24年から行っております「健康寿命をのばそう!アワード」──アワードといいますのは賞品だとか審判、判定という意味ですけれども、もう少しわかりやすく言うと、健康寿命を延ばすことに取り組んでいる自治体、企業、団体のいわゆるコンテストなんですね。
 これを見ますと、いろんな自治体や企業などのさまざまな取り組みが載っており、大変参考になりました。そこで、早速「健康寿命をのばそう!アワード」の事務局であるスマート・ライフ・プロジェクトというところに連絡をし、去る7月30日に私1人で行ってまいりました。
 初めは、厚生労働省の健康日本21推進業務の委託事業ということで、どのような団体がこれをやっているのか想像もつかなかったのですけれども、いろいろ聞いてみると、いわゆる広告代理業の電通さんがやっているということがわかりまして、結局、私、東京の東新橋にあります電通の本社に伺ったわけであります。
 この電通の社員であるこのプロジェクトの事務局長であります中島順氏にお会いしましたが、この中島順氏は、私の顔を見るなり、「いや、私は仁坂知事のことをよく存じ上げてます」ということで言われておりましたけれども、仁坂知事は、大変、今全国的にも有名人でありますので、「ああ、そうですか」ということで話が弾みました。
 中島さん以下5名の方がわざわざ来ていただきまして、会議室を借りて1時間半ほどずっといろいろお話しさしていただいたんですが、私は、今までこの県議会で強く訴え、県も健康長寿日本一わかやま推進会議までつくり、強力に推し進めている和歌山県の政策について詳しく説明さしていただきましたところ、最後には中島さんのほうから、「ぜひ、この健康寿命をのばそう!アワードに和歌山県も参加してください」ということでありました。
 それで、翌7月31日には、第1回のこのアワードで最優秀賞を獲得した静岡県の土屋厚子健康増進課長にも、静岡県庁にお伺いをし、じっくり話を伺ってまいりまして、私なりに、和歌山県が健康長寿日本一になるためにはどうしたらいいかという方法がだんだんだんだん見えてきて、少しはすっきりした気分になりました。
 ちなみに、平成25年2月議会で、当時、平成24年7月に静岡県が健康寿命日本一になったというホームページのコピーを少しだけ紹介したことがあります。こういうものをお示ししたと思うんですが、「静岡県は健康寿命日本一」と書いてます。(資料を示す)これ、以前にもお示ししておりますけれども。
 この土屋課長を私はなぜ知ったかといいますと、女性の方なんですけども、実はこの7月4日のNHKのEテレの「チョイス」という番組で「健康寿命を延ばす運動術」という番組に出席されていて知ったのですけれども、すごく生き生きして、この政策実現に向けて頑張っている姿が印象的で、ぜひお会いして直接お話をお伺いしたいということで、静岡県庁までお伺いし、課長ともじっくりとお話をお伺いいたしました。
 静岡県の健康長寿政策を実現するための要点は、3点あります。まず第1点は、見える化政策。これ、ちょっと見える化と言って見えにくいんですが、実は、第3次ふじのくに健康増進計画という計画書なんですが、その中に、静岡県のいろんな地図が載っております。(資料を示す)色分けされてるんですけども、これは何かといいますと、特定健診等で得たデータを徹底して地域に落としていくんですね。その地域の色分けによって、例えば、自分の地域、和歌山市、しかも、もっと詳しく言うと、和歌山市のこの地域は、例えば高血圧症の人が多いとか糖尿病の人が多いとか、その原因は何であるかというのが、静岡県の場合、全部分析されてるんですね。
 この図を常に県民の皆さんにお示しして、おたくの地域はこうですね、だから、例えば高血圧症が多いところには、これは長野県でも我々研修を受けましたけれども、例えば減塩運動を進めるとか、例えば糖尿病の多いところはやはり炭水化物、糖分等を控えるとか、そういったことを、この健康推進員なり、また保健所が指導しているということでありました。そういうことですね。
 次に、こういったはっきりと見える化政策を進める中で、企業や団体も含め、ありとあらゆる方法で広報して認識してもらうということです。
 3番目は、これはもう一番大事なことなんですが、あくまでも住民が主役であるので、住民が健康長寿という目標に向かって動いてもらえるシステムをつくり、徹底して実践してもらうということでありました。
 これは、ふと私、そのとき思ったんですけれども、以前から私がかかわっておりますマニフェストの提唱者で早稲田大学大学院の前教授の北川正恭氏が三重県知事当時から訴えていた、生活者起点の県政を実現するために必要なのは、行政と県民がまず情報を共有するということなんですね。
 例えば、今も言ったように、この地域はここのところは高血圧症が高いとか糖尿病の人が多いとかいうことを行政と住民が情報を共有する。そして、次に情報共鳴。当たり前ですが、そのことで「へえ、そうか、そんなもんか」って住民の皆さんに横向かれたらしようがないです。皆さんも危機感を持っていただく。県民、住民の皆さんに危機感を持っていただく情報共有。その次に、情報共鳴です。
 さらに、ここが大事なんですが、静岡県もやってるんですが、情報共振。ともに揺れていただく、一緒に振れていただくということなんです。そうでないと、この健康長寿日本一なんて絶対にできっこありません。私は、このとき静岡県の土屋課長の熱く語る姿を見てて、なるほどと思いました。
 まさにこの3点、情報共有、情報共鳴、そして情報共振していく。つまり、何度も言いますように、県民の皆さん自身に動いてもらう、そのものであります。詳しくは説明いたしませんけれども、初めに御紹介、御報告いたしました紀州よさこい祭りの普及プロセスと、これ、非常によく似ているんです。私も、かかわっていましたからよくわかるんですが、非常に情報を共有しながら、この踊りの力で和歌山を元気にしていこう。で、どういう形でみんなの意識を上げていって、しかも一人一人に踊ってもらおう、そこまで来るわけなんですね。
 そういったことを静岡県はやったおかげで、この先ほども言いました健康寿命をのばそう!アワードで最優秀賞を獲得したわけでありまして、我が和歌山県も、本当に日本一を目指すのであれば、徹底してこれをまねし、さらに突き抜けるような政策を実践していくしかありません。そのために、これは毎年8月31日が締め切りだそうで、ことしはもう既に間に合いませんけれども、来年7月1日から8月31日受け付けの予定の──ことしは第4回ですから来年は第5回健康寿命をのばそう!アワードに参加するかどうか、福祉保健部長、御答弁よろしくお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 健康寿命をのばそう!アワードについては、生活習慣を改善し、健康寿命を延ばすことを目的として、厚生労働省が平成24年度から実施している表彰制度です。今後、本県としては、過去に受賞した取り組み事例等を研究し、健康づくりの推進を図り、応募に向けて積極的な検討を行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 福祉保健部長、ありがとうございます。福祉保健部長のお言葉をおかりしますと、「本県としては、過去に受賞した取り組み事例等を研究し、健康づくりの推進を図り、応募に向けて積極的に検討してまいります」ということですんで、これはほぼ応募するということで間違いないと思うんですが、なかなか立場上、この場ではお話ししにくいかもわかりませんので、私は、今、福祉環境委員会でございますので、これは30日の福祉環境委員会で必ず詰めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
 次に、2番目に行かしていただきます。
 2番目の1、連携中枢都市圏構想についてであります。
 初めに申し上げました、これから人口の激減が始まり、また、それに反比例するかのように一段と高齢者の割合が高くなってまいります。だからこそ、1番目の項でも申し上げましたとおり、1人でも多くの人が健康で長生きできる地域社会、健康長寿日本一わかやまを目指さなければなりませんが、人間やはり年とともに体力の低下により、どうしても行動範囲が狭められることは否めません。
 そこで、できるだけ高齢者が公共交通機関を簡単に利用でき、また、医療、介護や買い物のできるコンパクトなまちづくりが必要になってまいります。
 もちろん、3番目の項目とも関連いたしますけれども、持続可能な地域づくり、つまり若者の定住ということもともに考えた場合に、医住(医療・介護と住居)、商住(商店、スーパーマーケットと住居)、職住(働く場と住居)のこの3点を備えたまちづくりを考えていかなければならないと思います。
 そこで、私はコンパクトなまちづくり、つまりコンパクトシティーを今後つくる上で、国の制度を大いに活用して、生活する者にとって利便性の高い住みやすいまちづくりをするのは当然のことであると思います。
 そこで、平成26年8月から総務省が進めてきた、人口20万人以上の市で昼夜の人口差が1以上、つまり、昼間に周りの市町から人が集まるような都市を核に地方中枢拠点都市をつくり、若者も定住してもらえるような計画を活用すべきだと考えておりましたが、本年2月議会で、市川総務部長が、「昨年12月27日に閣議決定されましたまち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえまして、国の省庁間で重複いたします都市圏概念を統一し、連携中枢都市圏構想として本年1月28日付で要綱が改正されたところ」だそうですが、改正されたばかりでしたので、「現在、和歌山市及び関係市町におきまして、この連携中枢都市圏構想を含めた広域連携のあり方について事務的議論が行われているところ」ということでありました。
 6カ月がそれからたちました。結論を導き出す議論はできたのでしょうか。総務部長、御答弁をお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 連携中枢都市圏構想に係る現在の取り組み状況につきましては、関係市町における事務的な議論を経まして、本年3月に和歌山市が広域連携に関する検討会を正式に立ち上げ、連携中枢都市圏構想を含めた広域連携のあり方について、近隣市町と具体のテーマごとに、事業担当課も交えまして議論を重ねているところでございます。
 この連携中枢都市圏の形成に当たりましては、地域と地域が共存共栄できるよう、圏域全体を活性化し、利便性を維持向上していく必要があり、このため、連携する市町間で丁寧に議論していく必要がございます。
 県におきましても、本年6月に策定いたしました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、市町村が相互に役割分担し連携協力することにより、人口減少下におきましても活力ある社会経済を維持できるよう連携中枢都市圏の形成を推進していく旨、計画に盛り込んだところでございまして、引き続き、和歌山市及び近隣市町の協議が円滑に行われるよう、必要な支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 総務部長、ありがとうございました。
 ぜひこの件は、部長もお答えありましたように、今先ほどもグラフで示しましたように、もう直滑降と言っていいぐらいのスピードで人口減少が起こってます。逆にまた、反比例するように、高齢化率がどんどんどんどん年とともに上がっているという現実を踏まえて──これは和歌山市と和歌山市周辺の市町だけの問題ではありません。和歌山県のためにも、ぜひとも県として強い働きかけをしていただきたい、そのように要望しておきます。以上でございます。
 次に、南海本線のJR和歌山駅への引き込みについて。
 そこで、この私どもの和歌山市において、JR和歌山駅を中心に、しかも南海本線をJR和歌山駅へ引き込むことによりターミナル駅としての機能を充実させ、和歌山再生の柱にすべきだとの私の考えのもと、平成26年9月議会で当時の野田企画部長に提案したところ、積極的に南海電鉄やJR西日本に働きかけることに取り組むという前向きな答弁をいただき、翌日の新聞3紙に、南海の和歌山駅乗り入れに積極的に取り組むというような、こういった記事が載りました。(資料を示す)
 また、この件を本年2月議会でどのように進んでいるのか再度質問したところ、「鉄道事業者及び和歌山市との間で実現に向けた課題を研究する勉強会を立ち上げまして意見交換を行っております」ということでありましたけれども、その後、どうなりましたか。企画部長、経緯について御答弁よろしくお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 鉄道の相互乗り入れにつきましては、昨年度から鉄道事業者3者と和歌山市、県の5者で勉強会を立ち上げ、実現に向けた課題事項の洗い出しなど、継続的に意見交換を行ってまいりました。
 その結果、主な課題としまして、これまで把握していた自動列車停止装置など保安設備の相違等に加えて、安全面では、落雷などにより停電した場合に複数の事業者の送電区間への影響を及ぼす可能性や、設備面では、事業者により車両の幅、長さ及び重量が異なるためホームへの車両の接触や線路を支える地盤を損傷する可能性など、課題が確認されたところであります。
 一方で、平成25年に制定された交通政策基本法、並びに昨年一部改正された地域公共交通活性化及び再生に関する法律及び都市再生特別措置法により、これからは、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立って、まちづくりと一体となった持続可能な地域公共交通ネットワークの再構築に積極的に取り組むことが必要となってまいりました。
 現在、和歌山市におきましては、都市全体の構造を見渡しながら、コンパクトなまちづくりを推進するための立地適正化計画の策定に取り組んでいるところであり、また本年5月には南海和歌山市駅活性化構想が発表されるなど、今後、鉄道の相互乗り入れを含む和歌山市全体の地域公共交通ネットワークの再構築は、そういった計画との整合性が強く求められているところです。
 議員御質問の鉄道の乗り入れにつきましても、これらの趣旨をしっかりと踏まえながら、大きな課題はありますが、引き続き和歌山市や鉄道事業者とともに検討していきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 南海本線のJR和歌山駅乗り入れについては、いろいろと難しい問題があるというのは、私は重々承知しております。
 これ、私、言ったとき、提案したときに、野田部長が当時よく言ってくれたと思って、私は非常に喜んだんです。その後、この本会議が終わった後、野田部長のところに行ってお礼を言おうと思ったら、野田部長がもう既に何人かの新聞記者に囲まれて、あれ本当ですかということで、この記事になったんで、これ、私が吹聴したわけでも何でもないんですよね。野田部長が言ったんですよ、これ。
 しかし、これはもう野田部長の一存ではいけないということもよくわかってますし、そこに私は仁坂知事の強い意志というものを感じました。これ、肌で感じた次第でありますから、それだけに、これはこれからじわじわじわじわ、健康長寿日本一わかやまと同時に、同じように進めていきます。
 それで、何が何でも、高瀬部長、やるという強い意志を、野田部長も言っていただいたように、その後を引き継いだわけですから、知事の意向を十分踏まえた上で今後頑張っていただきたいなと、そのように思ってますんで、これは私の積極的な要望でございますんで、どうぞよろしくお願いいたします。
 3番目、続けて行かしていただきます。
 若者定住・阪和35分通勤快速電車について。
 少し話は変わりますけれども、先日、東京に行った際に、初めて首都圏新都市鉄道、いわゆるつくばエクスプレスに乗りました。千葉県の南流山から東京の秋葉原まで在来線で47分かかるところを半分以下の21分で行けるということで、流山市の人口はもちろん大変な増加をしているということでありますし、これは茨城県の学園都市つくばと東京を短時間で結ぶという、国の政策でつくられたものであるということであります。
 しかし、通勤時間がこれだけ短縮することによって人口が増加するのは当たり前のことでありますけれども、私自身、実車して、実際に乗ってみて、大変このことを肌で感じました。
 さて、冒頭にも申し上げましたとおり、和歌山では、大阪まで朝の通勤時間は、阪和線でJR和歌山駅から天王寺駅まで快速で平均71分、また、南海本線では和歌山市駅からなんば駅まで特急サザンで平均65分かかります。もちろん、これらを利用して大阪まで通勤されている方もいらっしゃることはよくわかっております。しかし、はっきり言って時間がかかり過ぎ、これで住まいを京阪神にという方も多いのではないでしょうか。
 京阪神に住んでいる和歌山出身、和歌山だけでなくて、この住環境のいい和歌山に京阪神の方もどんどんどんどん来ていただくため、また和歌山の若者を和歌山に引き戻すために、大阪に35分で通勤できるぐらいの圏内に和歌山を持っていかなきゃいけない。私は、そのようなことを平成25年9月議会から強く訴えてまいりました。
 それに対して、当時の野田企画部長は、大阪と和歌山の時間短縮は、本県にとって交流人口、定住人口の拡大や地域の活性化につながることが期待されるので、少しでも所要時間が短縮されるようJR西日本に働きかけるという答弁で、さらに本年2月議会で、私が阪和35分通勤快速をということをいろんな方々に、これ、いわゆる議会の外でありますけれども、お話しさしてもうたら、ちょうど今大阪に住んでいるような子供さんをお持ちのお父さん、お母さん方から、「通勤時間さえ短ければ和歌山から通うことができるのに、実家から通うことができるのに。ぜひそれを進めてほしい」という話を聞いたことを御紹介もさしていただきながら、このことを再度質問、この2月議会でさしていただきました。
 和歌山─天王寺間の通勤時間短縮のために、これをもし何だったら私の主観だけではなしに、多くの皆さんに、和歌山市民の皆さんに、一度アンケートを市と県が協力してとったらどうだろうか、そこまで伺ったところ、「県としても、通勤・通学利用者の利便性が向上するだけでなく、人口拡大や地域の振興につながるものであり、大変重要であると考えております」ということで、はっきりいって、もう意識調査をするまでもないというほど重要であるということがわかっているということでありました。
 しかし、実際のところは、約20年前に関西新国際空港が開港する以前から比べますと1.4倍、この阪和線の中に電車の量がふえたそうでありまして、過密状況の中で非常に実現するのが難しい。「引き続きJR西日本に対してさらに強く働きかけを行ってまいります」ということでありましたが、その後どうなりましたか。企画部長、経緯等について御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 和歌山駅─天王寺駅間の時間短縮につきましては、県としても通勤・通学利用者の利便性が向上するだけではなく、人口流出の抑制や地域経済の活性化につながるものであり、大変重要であると考えております。
 この件につきましては、平成25年9月議会及び平成27年2月議会でも浦口議員から阪和線の時間短縮実現に向けての御質問をいただき、また県民の皆さんからも要望をいただいておりますので、JR西日本に対し継続的に働きかけを行ってまいりました。
 しかしながら、阪和線の運行状況は、特に関西国際空港開港以降、列車本数が大幅に増加したこともあり、通勤・通学の時間帯を中心に過密状態にあるため、和歌山駅─天王寺駅間の大幅な時間短縮を実現するのは極めて困難な状況となっております。
 現在の通勤・通学時間帯における和歌山駅─天王寺駅間の快速列車の平均時速は52キロとなっておりますが、近畿府県においてそれより速い速度で運行している路線としましては、例えば大津駅から大阪駅までの新快速列車では平均75キロ、また、明石駅から大阪駅までの新快速列車で平均62キロとなっております。このような運行速度を達成できている最大の要因は、阪和線が上下線各1本の線路から成る複線区間であるのに対し、これらの路線は、いずれも上下線とも2本の線路から成る複々線区間になっていることにあります。したがって、運行時間を大幅に短縮するには阪和線を複々線化することが最も効果的でありますが、そのためには新たな用地の購入等、莫大な経費を要することになり、その実現は極めて困難であると思っております。
 そのような状況でありますが、JR西日本では、通勤・通学定期との併用により利用できるくろしおの自由席回数特急券やインターネット予約で利用できるチケットレス特急券で通常より安価に特急が利用できるなど従来から行われている取り組みのほか、ICカード乗車券の利用可能エリアを今月30日から海南駅まで拡大するなど、阪和線の利便性向上に向け取り組んでいただいているところであります。
 今後とも、阪和線が少しでも速く快適となり、利用者の利便性が向上するよう、引き続きJR西日本に対しまして強く働きかけを行ってまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 これ、言い出したときからよく言われます。本当にそんな阪和35分通勤快速電車というのは、これはただの夢物語じゃないんかというふうに一般の有権者の方からも言われました。しかし、私、これも以前言いましたけれども、和歌山─大阪間にリニアモーターカーを走らせてくれとか、新幹線を引っ張り込もうというようなことを言ってるわけじゃないんです。在来線で十分可能なんです。
 ただし、今も言いましたように、いわゆる複線でしかないわけでありますから、その辺難しい問題がありますけれども、現に、今くろしお特急で41分で一番最速で行きますね。それと、これも調べていてわかってきたんですけれども、以前、新快速と言われる電車が46分で和歌山─大阪間を走った時期あったんですね。
 そんなことを考えますと、今の難しい理由の中のいわゆる滋賀の大津と大阪間だとか、また京都─大阪間のように複々線でないから難しいということも事実でしょう。もしくは、先ほども私紹介さしていただいたように、つくばエクスプレスのような、これまさに、私、何でこんなに速いかなと思ったら、結局よく地図で見ると、あれは鉄道のバイパスなんですね。だから、地下も走ることもあれば、もちろん上も走ることある。
 要は最速というか、最高時速は130キロで、これ最速ですけども、少なからず100キロ以上で走ることができるということなんですね。もっともっと時間を短くできる電車であるということを聞きました。これは、あした、あさってやろうじゃないかということじゃなしに、つくばエクスプレスも発案してできるまでに27年かかってるそうです。この間、視察に行きました北陸新幹線も、やはり50年近く計画からかかってるそうなんですね。
 もちろん、27年や50年といいますと、我々がそれこそこの世にいないかもしれない。しかし、次の和歌山県民、和歌山の方のために、こういったことを壮大な計画を持ってやっていくことも大事ではないでしょうか。私は、道路の大切さというのもよくわかってます。私も長い間、紀南にもおりましたから、和歌山のいわゆるミッシングリンクをきちっと解消しようということは、これ、私らも賛成いたします。
 しかしながら、高速道路と違い、やはり日常の生活で我々が利用できる電車を、しかも通勤圏として通える大阪まで1分でも早く行ける電車を考えていくことは先々のためになると思いますので、ぜひともこの問題も、私、これからじっくり取り組ませていただきますので、部長も気合いを入れてよろしくお願いしたいと思います。
 以上をもちまして、今回の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時39分休憩
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  午後0時59分再開
○議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 議長のお許しをいただきましたので、この登壇をさしていただきました。
 私の前、13人の議員の皆さん方がそれぞれの思いを持って、それぞれの地域の問題やら、あるいは、こんなにもたくさん、幅が広いんかなあと思うぐらいの各種方面の質問をされました。誠意ある質問をされたと思うんですが、私は、ただ、本来なら──最終の前を「けり込み」と昔言ったんですけど──けり込みに質問さしていただくつもりやったんです。まして、トリに質問さしてもらうような大物ではないので、関の山はけり込みかなあと思ってたのが、ふっと見たら、最終、大トリを務められる議員がなかったということで、小トリでありますが、与えていただいた立場で私なりに意見を申し上げて、県当局、関係者の御意見を聞きたいなあ、そう思っております。
 実は、きょうは教育に関する事柄に絞らしていただきました。実は、24年の12月議会でも、教育一本についていろんな御意見を申し上げました。ただ、私も、ずうずうしい、厚かましい男ですけど、事教育について言うときには、自分の愚かさはちょっと横へ置いとかないといけないといつも自戒しながら申し上げてるんですが、今回も私の至らないところはちょっと横へ置いとくと、そういうことで話を進めさしていただきたいと思いますし、私には質問の原稿がありません。だから、皆さん、ストップかけるんだったらかけてくれたらええし、過激な発言にならんように気をつけたいとは思うんですけど、その節はぜひ厳しい御忠告をいただけたらありがたいなあと、そう思ってますので。それと、時間設定もありませんので、どこまで進められるか、審議を深められるかといういろいろな思いを持って、自分なりに精いっぱい務めさしていただきたいと思います。前振りはこのぐらいにして。
 それと、もう1つ、前の24年12月に教育について質問さしていただきましたときと今が、幾つか大きく変わっているところがあります。
 1つには、教育長がかわられました。もう1つには、地方教育行政の組織及び運営に関する法律というのができまして、その施行が27年の4月からです。したがって、皆さん御存じのように、教育委員長というのはありません。教育長は知事が任命して我々が同意するということになって、教育のことについての最高責任者が、今、宮下教育長さんでございますので、その辺を念頭に置いて私の質問をさしていただきたいな、そう思います。
 そういうことで、5月に初会合をされました和歌山県総合教育会議ということについて、まずこの開催する意義について。
 それで、知事に今回質問さしていただきますが、当然、今まで皆さんの御認識の中に、教育というのは政治不介入、行政不介入という立場だったんですが、そういうことではいかんということで、長がその会議に入ってということに大きく変わりました。したがいまして、大変造詣の深い知事でありますが、今までは、ともすれば社会一般的には、お金は出しても口は出さん、出せないというような立場だったのが、今度はお金も出していただくかわり口も出してもらう立場になりましたので、まず、この和歌山県の総合教育会議を設置する意義について、知事の所見をお伺いしたいと思います。よろしく。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 山田議員の御質問にお答え申し上げなければいけないんでございますが、実は、私個人に関しましては、和歌山県知事としては、実質的にでございますけども、お金も出せば口も出しておりました。もちろん、権限とか法的手続とか、そういうのは教育委員会がやらないといけないんですけれども、教育委員の方々は、私が一生懸命選んで、それで議会に提案をして任命をしている人でございますので、そういう意味では、教育委員会の話だから知らんとはとても言えない。もちろん、権限がいささかないので納得ずくでやってもらわないといけないわけですけども、それは全ての行政について同じことでありまして、問答無用、やれと言ったって誰もあんまりやらないわけですので、こういうことではないかといってちゃんと議論を、教育長や、あるいは教育委員会の職員の方とはしょっちゅうやっておりました。ごくたまに教育委員長の方と打ち合わせをさしてもらったりしたこともあります。
 他県の例でありますけれども、いろいろな教育に関する不祥事が起こったときに、教育委員会の話は私の権限外なのでちょっと責任はとりかねるというような感じの対応をされる方がとても多くて、そういう人に限って、教育委員会の制度が悪いからうまくいかないんで、制度を変えてくれないと私はどうしようもないと、こういうふうに言うておられて、私は、若干、ちょっと違うんじゃないかと、内心、反発を覚えておりました。
 だから、そういう意味では、今回の法改正は、別に悪いわけでは決してありませんが、和歌山に関しては、実質的にはそんなに影響が大きく出てくるとは思っておりません。かつても、教育問題も含めて、全ての責任は実質的に私にあるというふうに思っておりました。
 制度が変更されまして、和歌山県の総合教育会議を開催することになったわけでございます。実質は同じとはいえ、今まで接触していろいろ協議をしてたのは、教育長──旧教育長ですね──それと教育委員会の職員すなわち事務方であって、この方々が納得して帰って、それで教育委員の方々に説明して了解をとってやっておったと、こういうことになるわけですが、今回は、現にいらっしゃる教育委員の方とも、それから県庁の広い意味での教育に関する内部局の人とも一緒に全員で集まって議論してできるということになりましたんで、1回目の会合を開かしていただきましたが、大変多彩な、かつ真摯な議論が出て、建設的で大変よかったんじゃないかなというふうに私は思っております。こういう意見を通じてみんながレベルを上げて、そして、それぞれやるべきことをやっていくということが大事ではないか、そんなふうに思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 くどいようですが、同じ意義を教育長にお伺いしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 法律が改正される以前ということも含めてでございますけれども、知事とは、教育長は教育委員会の考えをしっかりお伝えをするということがまず大事でございましたので、それをしっかりお伝えした上で、知事の考えも十分伺って、そして理解を得ながら、さまざまな取り組みを従前から進めてきたものというふうに考えてございます。
 しかし、法律が改正されまして、総合教育会議、これは必置でございますので、その場をどう活用するかということがあるかと思いますが、私、教育長の立場だけではなくて、教育委員会の職員も、それから、今回も教育委員会だけではなくて、やはり教育に関係の深い関係部局の部長さん方も参加していただいてさまざまな情報交換ができるということができたかなと思っています。
 それは、今、教育の問題が、もう教育委員会だけの範疇におさまらない問題も多々ございますので、そんな中で、そういう場ができたということが1つの契機になっていくのかなあと思いましたので、その中での双方向の議論というのは、非常に有意義に第1回はできたかなと思ってございます。今後は、またいろんな形ができるのかなと思っています。
 私としましては、これを契機に、やはり知事と教育委員会がより以上に意思疎通を図るということと、関係部局の理解も得ていただきながら、それから、県議会、県議会議員の皆様方からやはり御指導、御支援をいただいて、これからの中長期的な長いスパンでの教育計画、教育目標、それから、もう喫緊な問題がたくさんございますので、それについては、やはり全体として県の教育委員会がしっかりと責任を持って取り組んでいくということが県民の皆様に応えられることかなあというふうに思ってございます。
 以上でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 私的に申し上げれば、この会議というのは画期的な会議ではないかなと思うんです。もっともっと昔からこういうことがあって当然ではなかったんかなあと思うんですが、国で俗に言われる、教育は、例えば政治的中立性とか、あるいは継続性とか安定性を確保しないといけないから時の首長の意向でどうとかこうとかなるという問題ではないのは当然なんですが──してはいかんということと、それと、知事は特に教育に理解もある方だと私も信頼してるんですが、ただ、行政の長としての、ともすれば成果というのをよく有権者に聞かれる。そんな中で、例えばビルを建てたり、集会所を建てたり、橋をかけたり、道をつくったりという、そういう結果、成果はすぐよく出るんですが、教育というのはロングスパンで考えないといけないとこへお金もかけないといけないということで、ある意味では人気商売という、首長としてはやむを得んとこがあったんかなあと思うんですけど、今度は逆に首長がそこの会議へ入れという法的に裏づけみたいなのができたということになりますので、再度、ちょっとダブるような話になるんですけど、知事として、法律改正後の教育委員会と、それから知事との関係の強化という、その思いを聞きたいなあ、お伺いしたいなあと思います。よろしく。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほども申し上げましたように、以前の制度が悪いから、あるいはそれは妨げてるので教育問題には知事はタッチできないといって、あるいは首長はタッチできないといって、いろいろ忌まわしい事件が起きたときに責任回避をしてるような態度をしている人が、他県ですけども、ありました。そういうのは見苦しいと思ったこともございまして、当県では、教育委員会の皆さんと──教育委員会といっても、直接、私が教育委員会に行くことはなかったんですけども、教育長や教育委員会の職員の皆さんと物すごく熱心な議論をしながら統一的な考えをつくって、そしてやってもらっておりました。
 例えば、成果という話がありましたが、実は教育でも随分成果は言われて、いろいろ大変なことがいっぱいあります。成績が悪くなったりというのもありますし、最近では不登校のデータがとても悪いというようなのもありますし、それから、いじめが発生しているとか、教師の暴力事件がないかどうかとか、そういうのが1つでもあるとすぐに大変な成果を求められるようなもんでございますので、いつもはらはらどきどきしながら日常的な行政をやってきたつもりでございます。
 例えば、いじめについて言えば、これはそんなことはないんですけれども、いじめで先生と、つまり教育界の人と、それから被害者と思ってる子供たち、あるいはその家族とが、グループとして反目しているというケースが若干あるんでございます。そういうときに、やっぱりそれも補っていかないかんと思うんで、行政の長として、教師ではないもんですから中に入っていろんなことができると思って、直接メールをしてきていいですよというようなことも奨励をしておりました。
 そういう意味では、当県では制度改正がそんなに事態の変化をもたらすもんではないはずであるというふうに思います。しかしながら、総合教育会議で、今申し上げましたように、教育委員会の教育委員の方々と直接ディスカッションができるというのは大変いい話でございますし、それから、事実上やっていた話が、形式的にもそういうことをちゃんとやるのが当然なんだよということを法律でもオーソライズされたということもこれまたいい話だと思いますので、そういう法改正の趣旨を生かして、これをいい材料にしながら、さらにいい教育行政をやっていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 私も、実は議事録を見せていただいて、今まで、ともすれば、地方でもそうだったんですが、教育委員さんの思っておられること、何考えてるんかなあということが直接的にわからんかった。皆さんも多分そう感じられたと思うんですが、たまたまというんですか、議事録をいただいて見た限りでは、ああ、あの教育委員さん、こんなことを思ってるんか、あんなこと思ってるんかという大きな発見がありました。だから、こんなすばらしいことが何で今までなかったんかなあと悔やまれるぐらいなんですが。
 そこで、この会議を今後充実させていくためにいかがしたらいいんかなと私なりに思うんですが、今申し上げたように、教育長さんなり、あるいは教育に対する知事のお話もありましたし、議事録にはいろんなことがあるし、各教育委員さんの私見ともとれるような話から希望的な話まで、第1回目ですからあったと思うんですが、私はちょっと気になることが1つあるんで、言いにくいことですけど、はっきり言います。
 というのは、この会議の招集は各首長で招集しなさいと、こうなってるんですが、会の進行をするのに、和歌山県の場合は知事がその議会の議長をされるということなんですね。これはもちろん適任であろうとは思うんですが、コーディネート役の知事のお話の中に、教育委員会さんに「忌憚のない意見を」というのが何カ所か出てくるんですよ。これは当然そうだと思うんですが、この厚かましい私でさえ、知事が正面にいらっしゃったら言いたいことのやっぱり半分ぐらいしか言えんのじゃないかというような心配をします。危惧します。
 教育は、一般には国家百年の大計だということで、本当に大事なことだと。先ほど申し上げましたように、ことし予算をつければ来年は橋ができ、あるいは道ができ、建物ができますが、教育の結果というのは20年、30年のロングスパンですから、あるいはその方策にしても長い目で見て議論しないといけない事柄が、知事にぼんと前へ座られてると、言いたいことの半分ぐらい、あるいは3分の1になるんじゃないかなという、これは私だけかなと思うんですが、そういう心配をするんです。
 この会議の意思決定は、教育行政の最高の長が、あるいは教育委員さんがいらっしゃる、片方では知事ないしその関係者の長がいらっしゃるところですんで、この会議で議論するということは、この教育大綱にもありますように、和歌山県の教育はこうあるべきやというふうな方針を決める最高の、最終の意思決定機関ではないかなあと、こう思うんですけど、これは特にお答えいただくつもりはないんですけど、お答えいただけりゃお答えいただきたいんですけど、そういう認識で少なくとも私は思ってます。
 だから、そういうことで、それこそ教育委員さんに任命されて、我々は同意したんですけど、その方々が自信と責任を持って発言し、それが皆さんで御議論された結果、和歌山県の教育はこれでいこうといったときに、それこそ大きな推進力になるこの総合教育会議だと思いますので、その辺を、何というか、忌憚のない意見がどこまで出るかなあと危惧するんですが、その点は、要領のいいというんですか、まとまりの、トータル的なセンスのいい知事のことですから、ちゃんとまとめてはいただけると思うんですよ。思うんですけど、ちょっとその辺を危惧してることが私の気になるところであります。
 そういうことで、これから第2回目、第3回目と続くだろうと思います総合教育会議の成果を大いに期待しながら見守りたいなあと思います。
 続いて、もう言います。
 続いて、それじゃ、その総合教育会議の議事録の中に載ってることで私なりに思うことを幾つか順を追ってお話をさしていただきたいと思うんですけど、まず1つ目は、和歌山県の教育委員会と市町村の教育委員会の間に、特に和歌山県の教育委員会としては、現場にいらっしゃる先生方との間にちょっと距離がある、乖離があり過ぎてるんではないかという、そういう話が私にも聞こえてきます。
 そういうことで、この現状について、あるいはこの声について、教育長はどういうふうに御感想をお持ちになってますか。よろしく。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今の御意見は、総合教育会議の中で教育委員のお1人から出たことかなというふうに思ってございます。県の教育委員のお1人から出るということは、そういう声が届いたということがありますので、それをそうあってはならないというような意味合いでお話をされたんじゃないかなあというふうに思っています。私も、そのとおりであると思っています。もしそういう声があるとしたら、やはり真摯に受けとめて、そうであってはならないというふうに取り組んでいきたいなと思ってございます。
 市町村教育委員会は、市町村が設置する学校、それから子供たちについて責任を持つ、県の教育委員会は市町村教育委員会としっかりと連携を密にして県全体の教育の充実と発展を図る、これはやはり2本の柱というんですか、両輪というふうなことで進めていくことが大切かなと思っていますし、私は、常々それが大事であるということがありますので、県の教育委員会と市町村教育委員会は常に一体である、まさによく言われている、教育行政の「チーム和歌山」がここに存在しなければならないというふうに私は思っています。
 私は、そういう強く思っていることもありましたので、もう就任してすぐ各ブロックごとに市町村の教育長さん方に集まっていただいて、私のほうから出向かしていただいて、懇談会を持ちたいということで日程を設定さしていただいて、北から南のほうまでまず回らしていただきまして、いろんな意見をいただきました。その上で、突然、出張の帰りに立ち寄ったりさしていただいて、状況をまたそれぞれ教えていただいてございます。
 これからはさらに、私だけではなく、私どもの職員も含めて積極的に市町村教育委員会、学校へ出向きまして、県の教育方針に沿ってやはり指導、助言を行いながら市町村教育委員会とさらに連携していく、一体という意味での連携、協力していくことが大切かなというふうに思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 議事録に、ある教育委員さんのお話にもあったということで、当然あったんですが、私自身も、でも実は昔から、地方の町議会議員をしてるときからも、和歌山県の教育委員会って何してんのかなあというような感想を持ってました。だから、今後は、重ねて申し上げますが、和歌山県の教育をどうするといったときに、例えば市町村の独立性をもちろん認めないといけないのは当然なんですが、やっぱり和歌山県の教育をどうするかというのは和歌山県の教育委員会が考えずして誰が考えるんですかというふうに思うので、今後とも積極的に、教育企画監というポストもできたということですし、さらに交流を深めて意思の疎通を図っていただきたいなあと、そう思ってます。
 それから、2番目に書かしていただいたんですが、小学校の低学年に対する教育の重要性ということでピックアップしたんですが、私も、よく例えば「三つ子の魂百まで」とかと言われるように、低学年の教育の重要性というのは自分なりに感じてるつもりです。
 というのは、私も立場上、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校の入学式あるいは卒業式へお招きいただいて行くんですが、そのときにたまに父兄の皆さんの前で申し上げることがあるんですが、本当に小学校1年生の入学式のときに、絵に描いたような純粋な生徒がたくさん、ぴっかぴかの1年生として入学されてくるんですが、それがどこでどう間違うんか、10年、20年たつとちょっと横向いて行ったりということになりがちな現社会であります。
 これは、その子供たちが、例えば、それが将来いいようにいけば、ちゃんとした教育を受ければ、社会の中心になり、学校の先生になり、あるいは親になりということになるんですが、逆に否定するとすれば、今、余りにも現代社会、戦後の隆盛を見るごとく、物質的にも恵まれ、本当にいい環境の中で育ったもんですから、辛抱するということも知らなければ苦労するということも全然知らん、その人たちが、今、子供の親であり、あるいは学校の先生であり、社会の中心の人たちが大半そうだろうと思うんです。
 これは、だから、誰が悪いと言っても結局犯人がありませんので、社会が悪いと私も思ってるんですが、それを何とか素直な日本の将来を担う子供たちになってもらおうと思ったら、今ある既成の、例えば、もう失礼な話ですけど、中学生、高校生、大学生、あるいは社会の一般の人に意見しても大変なことだろうと思うんですが、子供のうちから本当に教育に熱い情熱をかけてやれば、必ず20年後、30年後にはいい成果が出てきて当たり前だし、そうあるべきだと思うんです。
 そういう意味で、さらに重ねて申し上げますが、低学年の教育、この大事さについてどういうふうに御認識をされますか。教育長、よろしく。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘のように、学校教育の中では、小学校低学年の時期というのは、その後の学校生活のいろんな学習・生活習慣を身につけさせていくことについて大きな影響があるということは過言でないと思ってございます。また、それをどういうふうにという現在の課題でもあるのかなと思っています。加えて、最近では、やはり小学校に入る前の幼稚園教育であったり就学前教育もさらに大切ということがあるかなあというふうに思ってございます。
 具体的には、人として行ってはならないこととか、そういう知識や感性の高揚や集団や社会のルールというのは、善悪の判断、規範意識、そういう基本的なことというのは、やはり小さいときから身につけることというのは大変大事かなと思っています。
 指導に当たっては、しかし、根気強く、子供ができることからやはり優しさと厳しさを持って指導を行う、それから、進んで自分で自分から自発的な意識を持っていろんなことができるようになるということが極めて大切かなと思っています。これこそ、また市町村の教育委員会の皆さん方と一緒になって、とりわけまた家庭との協力は欠かすことができませんので、その家庭との協力を大事にしながら低学年のこれからの教育というのも考えていきたいなというふうに思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 そんな大事な小学校に、これも教育委員さんのお話にもあったと思うんですけど、議事録にも載ってるんですけど、どうも俗に言うベテランの教員が少ないんではないかなという、採用する年度により、あるいは退職する人にもよる、偏ることもあるということで、ばらつきがあるということなんですけど、豊かなと言われる、本当に校長先生をやられた方、あるいは教頭先生をやられた方の定年後でも、もう一遍、子供たちのために、よきおじいちゃん、おばあちゃんとして、そういうことについてもお力をかれるような、あるいは先生方の先生に来ていただくような、そういう適正な配置をすべきだと思うんですけど、これについてもどうお考えになってますか。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 近年、教職員の大量退職が進んでございます。例えば、和歌山県の小学校教員でいきますと、40代後半から50代が約半数を占めているということがございます。そのことがございますので、近年、採用も数多くとっているという状況もございまして、ある意味ではM字型というか、そういう状況になっております。それは、和歌山県だけではなくて、もう全国的な傾向ではあります。しかし、和歌山県にとっても大きな課題であるというふうに認識してございます。
 そういうことからすると、新規採用されました教員が経験豊かな教員と一緒になって学校現場の中で学んでいくということは極めて大事かなと思ってございますので、新規採用教員の配置、年度末人事異動につきましては、やはり各学校の年齢構成を含めて、できる限りバランスのとれた教職員集団となるように、それから、市町村教育委員会と十分協議をした上で行ってまいりたいと思ってございます。
 また、今、制度としては定年退職なさってからの再任用制度ということもございますので、またそういうことで退職なさった先生方のお力もかりながら、若い教員の皆さん方の資質向上に努めてまいりたいなあというふうに思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 それから、これも議事録に載ってたんですけど、勉強するための図書館の充実ということについて、高校は、おかげでというんですか、司書もいるし、ちゃんと整備できてあるけども、ともすれば、小学校、中学校の図書館の充実が必要ではないかなあということなんです。
 ゆうべもちょっとテレビを見てましたら、小学校あるいは中学校の、まあいろんな意味で悩む、悩みの多い時期かもしれませんが、その悩んでる子供たちの駆け込み寺として今脚光を浴びてるというふうに、あるテレビ局でそんなニュースが出てました。
 私の知る限りでも、国の文科省でも各地方に図書充実費としての交付金が出てるように思うんですよね。ただ、交付金がどうも執行部サイドで、色がついてないもんですから、一般財源としてるんではないかな。これ、確証はありませんけど、昔、そんなことを私、言ったこともあるんですが、そういうことで、本当に義務教育の中の小学校、中学校の図書館の充実についても、さらに充実するように進めるべきだと思うんですけど、この件についてどうお考えですか。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校図書館は、子供の感性、表現力を高めたり、あるいは知的好奇心を喚起する、探求的な学習を実現する大切な役割を担っていると思ってございます。それから、読書はまさに学力向上の原点であると思ってございますので、学校図書館を充実させる必要があるというふうに考えてございます。
 今まで県教育委員会では、学校への図書の寄贈の働きを行ったり、県立図書館が図書のセット貸し出しを行う、蔵書数の少ない学校への支援に努めてまいりました。また、学校司書の配置の促進をするため、配置による学習効果や先進的に取り組んでいます市町村の事例を紹介して、市町村教育委員会にも働きかけてまいりました。
 しかし、議員御指摘のように、平成26年度の調査でも、国が定める蔵書の基準を満たしていない学校もいまだ多く、また、専門的に学校図書館を運営する学校司書の配置についても十分ではないというふうに認識してございます。
 地方交付税措置を積極的に活用するということを市町村教育委員会の皆さん方も認識はしておりますけれども、さらにその重要性を周知して、学校図書館が子供の学びを支える拠点として機能するように、その配置を促進してまいりたいと思っています。しかし、配置が困難な場合には、またボランティアの皆さん方の──地域の方にもたくさんいらっしゃいますので、そういう活用も含めて、その充実に向けて強く働きかけてまいりたいと思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 御答弁いただいてる途中ですが、宮下教育長がお答えになるということは、和歌山県の教育委員会の最高のトップが言ってるんですから、自覚を持って、本当に和歌山県の教育の全般のために、何か言うと──宮下教育長のことじゃないんですよ──あれは地方の教育委員会に任してあんのやとか何とかかんとかと、逃げてるんか、越権したらいかんということなんか、どっちかわかりませんけど、和歌山県の教育委員会が一歩前へ出て、そして地方の教育委員会が同じく一歩前へ出て議論すれば、すばらしい教育環境ができるんではないかなあと思います。
 だから、宮下教育長のお答えになってることは私なりに理解はしますが、それを一字一句、一言たりともおろそかにすることなく、和歌山県の教育長である限りは、責任と自信とを持って頑張っていただきたいなあ。最後にもエールを送るつもりですけど、ちょっと早目に申し上げました。
 次に、土曜日授業の復活についてであります。
 これは前にも申し上げましたが、前回の教育全般についてお話しするときに法整備ができてませんでした。それが、平成25年の法改正によって土曜日の授業が可能となりました。
 これについて、私はもう本当に前々から言ってるんですが、あの例のゆとり教育と言われる大緩み教育がもたらした結果で、和歌山県のことしの小中学校の実力テストも芳しいことはないし、子供たちというのは、まずやっぱり第一に勉強するのが本分でありますから、そういうことについても、土曜日を復活して──ある教師がいわくに、月4回ある土曜日を2回ぐらい授業しても、私らのローテーションをやりくりするだけで都合はできますよという先生もいらっしゃいます。そういう前向きな先生もいるんですけど、この土曜日授業の復活について、どういう御感想をお持ちですか。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘のように、平成25年の11月に学校教育法施行規則が改正されまして、設置者の判断によって実施可能になったということは明確にされてございます。しかしながら、その辺は柔軟になったとはいえ、学校週5日制が開始されてもう10年以上が経過し、土曜日は家族との触れ合いの時間に当てている、あるいは部活動や社会体育の活動が充実、あるいは教職員の勤務時間の問題、土曜授業の実施に踏み出すには、やはりさまざまな課題があるというふうに認識してございます。
 また、本県におきましても、学校が主体となって希望者を対象とした学習等の機会を設けましたり、市町村教育委員会や公民館が主体となって地域人材を活用した物づくりの体験とか、土曜日を積極的に活用した取り組みが広がりつつあるというふうに思ってございます。
 教育委員会が土曜日を活用して学校や地域の実情に応じた多様な学習の機会や体験活動を充実させるということについても、議論はこれからまだまだしていかなだめだと思いますけれども、子供たちの学びが豊かに広がるようにという観点から、学校、家庭、地域がどう手をとり合ってやっていくかということについて、今後とも、いろんな側面から検討はしていきたいなというふうに思ってございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 10年たってこういうふうに定着したということは、僕が冒頭で申し上げましたように、いろんな意味で、戦後70年と言われる中で、40年、50年かかってこういうふうに私自身は方向性が狂ってきたんじゃないかなと思うんで、当初申し上げましたように、教育というのは一朝一夕にできるもんじゃないし、変更するもんではありませんが、和歌山県の教育委員会としての最終的な方針を立てていただいて、それはもちろん総合教育会議で議論していただいて、10年後にはどうするというぐらいのそういう計画を立てていただいてもいいんじゃないかな。
 そして、私の知る限りのPTAの集会なんかでも、「山田さん、土曜日に授業してくれたらもっと子供も真面目に勉強するんやけど、私らの言うことは聞かな」ということになりますので、やっぱり子供に勉強してもらうというのが第一義的なことでありますので、こういうもう習慣がついてるからそれでええという、そういう考えじゃなくて、和歌山県の教育はどうあるべきかというときに、もっと真剣に議論していただけたらなあ、そう思います。
 その次に、断片的な話ばっかりで申しわけないんですが、道徳教育についての考えをただしたいなあ、そう思うんです。
 私は、たまたま知事に御同行さしていただいてブラジルへも行きました。25年だったですかね。そして、ブラジルの和歌山県人会の連合会の結成60周年に立ち会わしていただいたんですけど、それから、ことしはことしでメキシコの県人会の会にも行かしてもらったんですが、どこへ行っても日本人魂というか、日本人の気質ということについて絶賛のお褒めをいただきました。
 何でかというたら、簡単なことでありますが、日常生活するときの決め事、例えば先輩に対する敬う気持ち、社会に対する感謝、全く当たり前のことを1世・2世が3世・4世に引き継ぎ、ずうっと延々と来られたんだろうと思うんですけど、多分、道徳教育というのを親がしたことはないと思うんですよね。以心伝心というんか、親の姿を見て、それが当たり前だと思ってずうっと来た。僕は、それが道徳という教育ではなくて道徳心を養うことであろうと、そういうふうに、私自身、強く思ってるんですよ。余りにも、何度も言いますが、戦後の物質的に恵まれ過ぎて、過度な自由主義、あるいは勝手な自己主義というようなことが蔓延する中でそういう大きな社会現象になったんではないかなと思って、まことに残念なことであると思います。
 そんな中で、現在、それじゃ目の前のこのことをどうするかというときに、道徳教育が30年には教科になって出てくる。たまたま議事録を読ましていただいてたら、仁坂知事は、その以前に副教材が既に皆さん方の子供さんの手元に届くようになってるという、手当てをしていただいてるということなんですけど、この道徳教育について、教育長が今現在、くどいようで申しわけないですけど、やっぱり体を揺すってでも、道徳とはこうあるべきやというのは教えないとどうにもならんという思いもありますが、それだったら、先ほどを振り返りますが、小学校低学年にもっと力を入れて道徳心を養うというのが本当の道徳教育の考えではないかなと思うんで、その辺の教育長の道徳教育についての考えを確認したいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 戦後の教育の中で教育課程がさまざまに変わってまいりまして、その中で、日本の教育の中では、教科の授業以外に、やはり特別活動でありますとか道徳の時間が子供たちの教育に影響を与える大きな柱になってきたんじゃないかなというふうに思ってございます。
 しかし、一方、核家族とか少子化、地域社会のつながりの希薄化が進んできまして、子供たちの、御指摘の規範意識の低下でありますとか、あるいは自分を大切にする感情というのは低下してきているんではないかと、現代的な課題も一方で生じてきているということはあるというふうに思ってございます。
 このようなことから、自己を見詰めて、それから、物事を多面的に多角的に考え、みずからの生き方について考えを深める学習というのは、そういう道徳性を養うことがやはりこれからも重要であるというふうに考えてございます。
 国においては、小学校は平成30年度、中学校は平成31年度から、道徳を「特別の教科道徳」ということで教科として位置づけることが決まってございます。しかし、本県では既に独自に道徳教育の重要性ということを認識してございまして、道徳読み物資料ということを和歌山県の子供たちに学ばしたいということから、各学校でそれを活用しているということがございます。さらに、その中には、和歌山の教育の中では、エルトゥールル号のことでありますとか、あるいは稲むらの火のことでありますとか、さまざまな和歌山の文化・歴史の中で学ぶべき教育材料はたくさんございますので、そういうこともしっかり活用しながら、道徳教育、加えてふるさと教育も含めて、大切にしていくことがこれから重要であるというふうに考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 もっともっと、この会議の議事録の中に、私なりに感心することもあれば確認したいなあということも幾つかあるんですけど、切りがありませんので、この辺で締めさしていただきますが、今までの私の思いの一端と、それから教育長の答弁なり心意気をお聞きになってて、知事に御感想を聞きたいんですけど。
 この総合教育会議の議論、いろんな──第1回目に出ました。これから、私も申し上げたように、第2回、第3回と回を重ねるごとに熱心な熱い議論を闘わしていただきたいと思うんですけど、これを今後の教育行政に知事としてはどう反映していく、そういうおつもりかをお聞かせいただけたらと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 反映の前に、先ほどお答えになりたければやりなさいというお話がありましたので。
 知事に遠慮することはないかということでございます。
 山田議員ですら知事に対して半分ぐらいしか言いたいことを言えないという御発言がありましたが、私にとっては最大のショックでございます。そんなことないだろうという感じはするんでございますが、まず第一に、総合教育会議は、知事が入らないと意味がございません。入るとどうなるかというと、黙っていても遠慮する人は遠慮するんですけども、黙っていちゃいけませんので、ちゃんと機能を果たさないといけません。ごくというか、少数派なんですけども、知事が議長をしないで、部長とか、そういう人が議長と称して司会をしているという場合があるようでございますが、やっぱり議長は単なる司会ではないので、最高責任者である知事が議長を務めるのが適当であろうというふうに私は思います。こうしたことで、これは和歌山県で決められるんですけども、和歌山県の総合教育会議でそのように決定をされ、私が議長を務めてるわけでございます。
 遠慮するかという点で、知事の前で物を言えないような人は、それは教育委員としてふさわしくないわけでございまして、いろんなことを考えて、この人はちゃんと物が言え、かつ見識もあり、それから曲がったことが嫌いで、別にしがらみが、例えば私との関係であるというようなことはないような人を議会に同意を求めてるわけでございますんで、ちゃんと言ってくれることは言ってくれると思います。その上で、第1回目の議事録なんかを見ていただきますと、現に本当に山田議員がいろいろピックアップされましたように、たくさんいいことを言ってくださいましたので、まず間違いはないと思います。
 次は、今度はその出た議論を実行するほうの──その前に、御指摘もございますので、できるだけ、うじうじとしてると、そう言わないで言ったらどうですかというような感じでお勧めしたりしてやっていきたいと思いますし、それから、議題は初めからちょっと言ったりもしますが、そのほか自由に御発言はできることになっておりますので、大丈夫でございます。
 その上で、出た問題については、教育行政に反映をしていかないといけないと思います。必ずしもこれが最終的な意思決定機関という位置づけはないんでございますけれども、全員、大事な人がみんな出てるわけですから、そこで「そうだね」と言ってみんなで同意したことは、今度は実行するほうは、県、すなわち教育委員会という行政部局を含む県全体でございますので、きちっとやっていきたいと思います。例えば司書の問題とか、そういう点について、具体的にどういうふうにしてやっていくか、それを今度は教育委員会の事務方と、それから私たちとでよく議論をしてやっていかなきゃいけないことだと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 同じ趣旨で質問を教育長にさしていただきたいんですが、とにかく第2回、第3回、回を重ねるごとにその内容を充実していただきたいなあと思うんです。
 そんな中で、こっちからけしかけるわけじゃないんですけど、やっぱり行政の立場の人と教育の立場の人と、100%意見が合うということもひょっとしたらないかもわからん。そんなときに、教育長の後ろには9000人の、体を張って子供たちと接してる先生がいてる。その先生のために──執行部ということだけでもありません。例えば、ちょっとテレビを見たら、チャンネルをひねったら、教育委員会の皆さんが頭を下げて「厳重注意します。教師の指導に邁進します」とかと言ってるんやけど、やっぱり体を張ってる、第一線で働いてる先生方のあなたは代表なんですから、何かのことがあったら、いざというときにはやっぱり教育長が後ろにいてくれてるんやという、その思いをしっかり持っといていただきたい。「以心伝心」という言葉がありますが、教育長がそこまで我々のことを考えてくれてるんやったら、一生懸命やってる先生方も、まださらに1歩前へ出て、2歩出て、子供たちと泥んこになって頑張ってやるという思いがまた湧いてくると思うんですよ。
 その辺の私の言いたいことも含めて、御答弁、今後のこの会議の思いについて語ってください。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) きょうは、学校教育のことを中心にお話ししていただけたかなと思ってございます。
 先日、初任者研修が学びの丘でございまして、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、全ての今年度の初任者を一堂に集めて、今まで余りなかったんでありますけれども、私のほうから直接話をさしていただきました。いじめの問題を初めさまざまな課題を共有したいということもございましたので、私からさしていただいたんですが、その表題は、「教師をめざすみなさんへ」とさしていただきました。教員、教諭、教師という言葉がありますけれども、教師──生涯を通じてやはり教師を目指してほしいという私の気持ちをことしの初任者の皆さん方に伝えさしていただきました。子供たちに生涯を通じて学び続ける子供であってほしいと思うならば、先生方も、生涯を通じてみずからを高める、学び続けてほしいという気持ちを伝えさしていただきました。
 教育委員会事務局の職員全員、それから各学校で働いている教員、それから家庭の方々、教育にかかわる方々はたくさんいらっしゃいます。子供たちの健やかな成長を願わない人は誰もいないというふうに思ってございますので、私は、それをチームとして──私は常に最近「和の力」と申してますけども、それを1つにして、1つの方向で取りまとめていくのが私の責務だと思ってございますので、また御理解、御支援いただけるようお願い申し上げます。
 以上でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 いろんなお話をさしていただきましたが、もう時間も向こうが見えてまいりました。またこれに限らず、重ねて申し上げますが、私の至らぬところは横へ置いといてでも、これからも教育についていろんな御提案なりをしたいなあと思います。
 最後に、通告してたんですけど、主権者教育のことなんですが、これはそれこそ簡単なことではできません。だから、教育現場では、指導要領の資料が文科省から来るようなお話も聞いてますし、高校教育は、もうとりあえず足元から飛び立つような現状であります。さらにまた、中学校を卒業してすぐ社会へ出ていく人もいる中で、義務教育の中で主権者教育というのはきっちりと進めていかないといけない問題であろうと思いますので、これは先生方それぞれの与えられた立場で──ただ、懸念するのは、社会・公民の時間になるかとも思うんですけど、余り極端に左向いたり右向いたりするような教師に教えられると、洗脳されるとそういうふうになるんじゃないかなという懸念も持ってますが、先生方を信用して、しばらくの間、見守っていきたいなあと思います。
 御清聴、ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第134号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第119号から議案第133号まで及び議案第135号から議案第145号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。8月31日及び9月1日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前芝雅嗣君) 御異議なしと認めます。よって、8月31日及び9月1日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月2日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時1分散会

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