平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。改選後、初めての登壇でございます。
 4月の県議選におきましては、大変多くの皆様にお世話をいただきました。おかげさまで3たび目の県政壇上に登壇させていただきましたことを、この場をおかりいたしまして、心から感謝申し上げたいと思います。
 私は、そのときに地方創生もしっかりうたいましたので、今後4年間、その地方創生に向けてしっかり取り組みをしてまいりたい、このように思っているところでございます。
 昨日も国体に向けてのお話がございました。また、その後にスポーツ議員連盟の中で、国体、また和歌山大会の準備の模様なんかもお話ございましたけども、きのうが100日目、きょうが99日ということで、いよいよ2桁になってまいりました。
 その中で、大変うれしい報告がございました。4月でございましたけども、私も大変剣道に親しんできた1人でございますけども、全日本の都道府県対抗試合、優勝大会がございまして、和歌山県の選抜チームが初めて優勝という悲願をかち得ましたことを本当にうれしく思いました。
 この試合は7人のチーム制でございまして、高校生、それから大学生、社会人、それから高校の教員、そして県警の職員の方という組み合わせなんですけども、そういう意味では、総合力で優勝を初めてかち得た。これは本当に国体へ向けてのさい先のいい、非常に弾みができた優勝じゃないかなということで、この剣道連盟の関係者だけじゃなく、今、国体にお取り組みいただいている全ての関係者の方に敬意を表したい、このように思っているところでございます。
 じゃ、議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入らせていただきます。
 44年前には黒潮国体が開催されました。その同年8月に紀伊風土記の丘が開園されております。総面積約65万平方メートルの広大な敷地内には、古墳のほかに移築民家や地びき網和船、復元された竪穴住居、そして万葉集に詠まれております植物を栽培した万葉植物園や花木園など多くの樹木が茂り、四季折々の植物に包まれた史跡公園として県内外の人に親しまれております。4年前、紀の川で見つかったクスノキの巨木・紀伊大王も昨年から資料館前に展示され、人気のスポットになってきております。公園に訪れる方も年間22万人になったとお伺いいたしました。
 平成25年6月県議会で初めて一般質問に取り上げさせていただきました。その後、岩橋千塚を守る会から、特別史跡岩橋千塚古墳群の拡張を求める請願も提出され、採択をされております。
 昨年度は843万、今年度は1074万の予算を計上していただき、少しずつ動き出したようであります。紀伊風土記の丘の整備計画を進めていただいているところですが、昭和46年開館の資料館も老朽化が進み、展示スペース及び収蔵スペースも不足しているようでございます。
 1つ、資料館の整備計画についての今後の方針についてお伺いをいたします。
 2つ、古墳公園としての公園整備について申し上げました。
 先日、大日山35号古墳に久しぶりに登ってまいりました。日本初の翼を広げた鳥形埴輪、両面人物埴輪が出土した長さ約86メーターの県内最大規模の前方後円墳です。皆さんのお手元に写真を資料として配らせていただいております。上の写真が、その大日山35号古墳の西側に並べられた埴輪の写真でございます。家や鳥、馬、犬など動物、そして力士や須恵器など、古墳公園らしくなっていました。この埴輪をじっと見詰めますと何となく癒やされるような気になってまいりますけども、今そういう埴輪がここに展示をされております。
 今後のこの公園としての整備についてお示しをいただきたいと思います。
 3点目に、大変貴重な文化財が複数存在します。重要文化財の指定に向けて努力していただいていると伺っております。指定についての見通しを御説明いただきたいと思います。
 最後に4点目に、特別史跡に指定されていない周辺地域の古墳の保護、そして特別史跡の拡充についてお伺いをします。
 先ほどの大日山35号古墳に行く前に、今回初めて天王塚古墳を見学いたしました。資料館から徒歩で頂上を目指して西回りで行きますと、約20分ぐらいで休憩所に着きます。その休憩所から尾根伝いに歩いて15分ぐらいの位置にありました。途中の道は岩橋千塚を守る方々の御努力で雑草を刈っていただいて、大変歩きやすくなっておりました。写真を用意しております。この下側の写真がそうでございます。天王塚古墳の墳丘を撮ったものでございます。全長86メーター――これは先ほどの大日山35号古墳とほぼ同じでございますけども――横穴式石室、石室の高さが5メーター90センチもあり、その高さは何と全国2位となっております。岩橋地区特有の石梁も8本あるそうです。大日山35号古墳に匹敵するような前方後円墳だとされておりますが、残念ながら特別史跡に入っておりません。
 今後、どのようにお考えか、その計画を新教育長にお尋ねいたしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 紀伊風土記の丘資料館につきましては、より知識を深め、より楽しめる資料館を目指し、エントランス部や展示室の改修について検討を進めております。また、館全体の整備につきましては、総合的に検討してまいります。
 公園整備についてでございますが、これまで園内では、重要文化財旧柳川家住宅の修理や各種案内板等の整備を初め、議員御指摘のとおり、古墳時代に生育していたクスノキの巨木の展示、また、大日山35号墳の東つくり出し部には県民の皆様手づくりの円筒埴輪や家形埴輪などの復元模型を設置し、より身近に当時の古墳の姿を体感してもらえるよう整備を行ってまいりました。
 今後は、前方後円墳の前山A58号墳の墳丘や埴輪列の復元、未公開の横穴式石室の公開などにも精力的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、我が国初の両面に顔を持つ人物埴輪や翼を広げた鳥形埴輪など、学術的価値の高い多様な埴輪や土器について、これまで整理作業と調査研究を進めてきており、早期に重要文化財に指定されるよう取り組んでございます。
 特別史跡地外についてでございますが、大型首長墳である天王塚古墳については、平成26年度から発掘調査や墳丘測量を実施してございます。これらの成果をもとに、文化庁とも協議しながら、特別史跡の早期追加指定に向けて今後とも着実に進めてまいります。
 岩橋千塚古墳群には、日本最大級を誇る800基以上の古墳が密集し、全国に類を見ない石のはりを持つ石室、国内初の埴輪が3例出土するなど、当時の和歌山の独創性がうかがえます。こうした全国的にも貴重な特別史跡を擁する紀伊風土記の丘が県民の皆様にとってより魅力ある史跡公園となるよう、一層努力してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 教育長は、宮崎県の西都原古墳というのは御存じでしょうか。行かれたことはございますか。ぜひ行っていただきたいと思うんですけども、古墳としての特別史跡というのは全国で2つしかない。これ、よく言われるんですけども、そのもう1つが宮崎県の西都原古墳でございます。僕も、昨年でしたけども、行かしていただきました。大変きれいで驚きました。
 和歌山県の紀伊風土記も、先ほどもお話ししましたように、22万人の方が見学に来られているということでございましたけども、これは、和歌山は山合いにこういうふうにあるんですね。ところが、西都原古墳というのは本当に平たんというかフラットな形で、上から見渡しても非常に見渡しやすいし、なじみやすいと思うんですけども、何といってもそこの博物館がきちっとされてると思います。
 まずは、いろんな展示、資料を含めまして、やっぱり資料館をどういう資料館にしていくかという、この構えも非常に大事だと思いますので、これはこれからの整備計画の中でしっかり取り組みをお願いしたいと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 2つ目の質問に入らせていただきます。
 生活困窮者自立支援について質問させていただきます。
 地方創生の議論の中で、人口増加や経済成長が優先されがちです。もちろん、今日までの経済成長が豊かさと繁栄をもたらし、人口も増加してきたわけですから、人口減少に歯どめをかける努力は大事なことですし、若者を和歌山県に回帰させ、人口減の中で社会減に歯どめをかけることは大いに賛成です。
 しかし、人口や経済は、それ自体が地方創生ではないはずです。日本人の価値観は、既に物質的豊かさから生活の質の向上へと変化しており、各地域の特色を生かして生活の質の豊かさを向上させていく必要もあります。そして、より成熟社会へ進むためにも、格差是正という機能を働かせる社会の知恵が求められております。
 総務省が5年ごとに行っている就業構造基本調査によると、和歌山県では、平成19年と平成24年を比べると、正規就業者数が6%減り、非正規就業者が7.3%ふえ、雇用者に占める非正規率は38.5%、3%ふえている状況です。生活保護率も高齢者を中心にふえ続け、保護率は15.57パーミル、特に和歌山市の24.93パーミル、御坊市が26.42パーミルとなっております。
 生活困窮者自立支援法が4月から施行されました。今までは、福祉とは働くことができない人たちのもの、雇用とは福祉を必要としない人たちのものという考え方がありました。しかし、現在は福祉的な支援があると就労を実現できる人がふえております。その大きな役割を担うのが、生活困窮者支援制度だと考えております。
 NHKの「視点・論点」での中央大学・宮本太郎教授の説明によると、日本では、所得が平均的な水準の半分以下の相対的貧困と呼ばれる層が16.1%に達し、特に現役世代の単身女性は3人に1人が相対的貧困になっているそうです。そして、その貧困が支え合いや頑張りにつながるのではなく、逆に孤立や諦めを生み、そのためにますます貧困から脱却できなくなるという悪循環を生んでいるようです。
 20歳から59歳までの未婚の無職者で家族以外とのつながりがほとんどない人が162万人に上り、そのうち4人に1人が生活保護の受給を希望しているとの研究結果もあるようです。一方で、生活保護にまでいかないが、生活に困窮している方もふえているのも現実でございます。
 和歌山県では、制度が施行される前の前年から生活困窮対策の取り組みを進めていただいております。どのような成果があったのか、その実績についてお伺いをしたいと思います。また、2点目に、今後、制度のきめ細やかな周知についてはどのようにお考えになるのか。3点目、関係部署や関係機関との連携強化をし、早期発見、早期支援の体制構築等、自立相談支援事業をどのように進めていかれるのか。そして4点目に、相談した後の出口戦略として重要な任意事業、特に就労支援についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上、4点まとめて福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 御質問の4点まとめてお答えいたします。
 生活困窮者自立支援の取り組みですが、昨年度に国のモデル事業の実施により各振興局に相談員を配置し、町村に在住の経済的にお困りの方への相談対応を行ったところです。
 実績は、113名の方から延べ352件の相談がありました。主な相談は、生活相談、就労相談が全体の7割を占めている状況となっています。また、このうち、相談により他の機関につなぎ困窮状態から脱却された方が11名であり、生活に逼迫されていた51名の方には生活保護の適用を行ったところです。
 次に、きめ細かな周知ですが、利用者向けリーフレットを作成し、関係機関を通じて広報を行うとともに、生活困窮者の早期発見を図るため、相談員が地域の民生委員を訪問し、制度の周知を行っています。
 次に関係部署との連携ですが、特に町村の窓口は住民に最も近い行政窓口となっていますので、町村から情報提供があった場合は、速やかに相談員と生活保護のケースワーカーが町村や家庭訪問に出向くことで相談に対応しています。
 次に就労支援ですが、生活困窮者の個々の状況に応じてステップアップできる和歌山県独自の支援を行うことで困窮状態からの脱却を図りたいと考えています。具体的には、まず就労準備支援事業として、福祉施設でボランティア活動ができる場を提供し、次のステップでは、就労訓練事業として働きながら訓練が受けられる場を提供します。最終的に能力が向上された方は、就労支援員がハローワークに同行し、求職支援を行うこととしています。
 県としては、生活困窮者の早期自立を図るため、関係機関との連携を図りながら各種支援事業を積極的に実施してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 いろいろとお答えいただきました。
 生活困窮者と一口に言いましても、経済面や家族関係、精神的な問題など多くの理由があると思いますし、複雑に絡み合っている場合があると思います。そのような人たちは、なかなか声を上げられずに支援にたどり着けなかったり、既存の制度では救済されず社会的に孤立したりしているケースが少なくありません。就労だけが法律の趣旨ではありません。新たな人生に挑む人に寄り添えられる法律になっています。また、積極的にそのチャンスを提供していける体制こそ必要だと感じておりますので、これは要望とさせていただきたいと思います。
 続いて、3番目の自転車の改正道路交通法についてお伺いをしたいと思います。
 本年6月1日から、自転車で危険な運転を繰り返す人への対策が強化されました。酒酔い運転など14項目の悪質運転危険行為、3年間で2回以上、悪質運転危険行為で摘発された自転車運転者に講習が義務づけられました。危険行為をした運転手は、警察官から指導、警告を受け、従わない場合には交通切符を交付されます。交通切符が3年間で2回以上交付されると、和歌山県公安委員会から受講命令が出され、3カ月以内に自転車運転講習を受けなければなりません。講習は、14歳以上が対象で3時間、自分の運転がいかに危険だったかを気づかせ、改善を促す。受講するには、手数料として5700円を用意し、運転免許センターや各警察署など、指定された会場へ行かなければなりません。講習を受けないと5万円以下の罰金が科せられます。
 悪質運転危険行為の中にある安全運転義務とは、ハンドルやブレーキを正確に操作し、周りの状況に応じて他人に危害を与えない速度と方法で運転をしなければならないというものであります。具体的には、スマートフォンの操作や音楽を聞きながらの運転、傘差し運転、2人乗り、他の自転車との並行運転などで、注意を欠き、事故を起こした場合が違反になると想定されています。
 罰則強化の背景には、交通事故全体に占める自転車事故の割合が2割程度で高どまりしていることや、自転車事故の死傷者の6割超が信号無視などの法令に違反していることがあります。自転車事故で被害者に後遺症を負わせた結果、数千万円の損害賠償を課された判例などを踏まえ、深刻な事故を抑制する狙いもあります。あわせて、警察庁は、自転車保険の加入も勧めています。
 近年、悪質で危険な自転車運転者が急増し、事故やトラブルが後を絶ちません。2015年版の「交通白書」によると、昨年の自転車、乗用車の死者及び負傷者は10万8538人になりました。大変驚きです。このような悪質な自転車運転者に交通ルールやマナーを徹底するために改正道路交通法が施行され、自転車ルールに今注目が集まっています。
 違反行為とされる14項目は、信号無視、通行禁止違反、歩行者用道路での徐行違反、通行区分違反、路側帯通行時での歩行者通行妨害、遮断機のおりた踏切への侵入、交差点で右折する場合の直進車の妨害、交差点での優先車妨害など、環状交差点の安全通行義務違反、指定場所一時不停止等、歩道通行時の通行方法違反、ブレーキ不良の自転車運転、酒酔い運転、携帯電話を使用するなど安全運転義務違反などとなっております。
 自転車の危険運転について、余りにも今まで野放しでした。免許も必要なく気軽に乗れるがゆえに、大きな事故やトラブルにつながる可能性が高いのも現実です。大人だけじゃなく、子どもが引き起こす事故も絶えません。自転車の危険運転や危険行為の取り締まりにおくれていた日本の警察も、やっと本気で動き出したという感じでございます。しかし、海外と比較しても始まったばかりです。
 そこで、まず警察本部長にお伺いいたします。和歌山県の自転車が関係する事故の状況について御説明をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 昨年中の本県における自転車の交通事故の発生件数は509件であり、全事故の約12.4%を占めている状況にございます。
 交通事故の発生形態につきましては、交差点における出会い頭事故が多く、自転車側の原因といたしましては、安全不確認が最も多い状況となっております。そのうち、亡くなられた方は4人であり、うち3人は自動車との衝突事故、他の1人は飲酒運転による単独事故によるものでございました。
 また、昨年中の自転車と歩行者の事故は9件発生し、歩行者のけがの状況は、重症が4人、軽傷が5人でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 和歌山県の自転車が絡む事故について、いろいろお聞きいたしました。
 やっぱり全国的な数字と同様、和歌山県でも自転車が関係する事故というのは大変多いというふうに、今のお話を聞いて思いましたけども、例えば、自転車は軽車両であるため、車道と歩道の区別がある場所では原則として車道の進行方向左側を走らねばなりません。しかし、自転車歩道通行可の標識があれば通行可とされています。
 写真をちょっと用意さしていただきました。市民の方が自転車を利用し、通行している何げない場所ですんで、参考までに使わせていただきましたことを御容赦いただきたいと思います。
 私なりに疑問を感じる自転車の走行ぐあいですけども、まず1番目、自転車歩道通行可の標識がある歩道で自転車2台が並走している状況です。2点目に、これは右側通行している自転車の状況です。そして3点目、これは自転車歩道通行可の標識がない歩道です。狭い歩道となっております。自転車の方が、左側通行の方と、歩道のほうで右側通行されてる自転車の方がいらっしゃいます。4点目、これは自転車専用通行帯があるにもかかわらず歩道を通行している箇所でございます。
 この例示したケースについて、道交法上での御判断をお示し願いたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) まず1番の自転車が並進する行為は、道路交通法第19条に、自転車などの「軽車両は、軽車両が並進することとなる場合においては、他の軽車両と並進してはならない」旨、定められており、また、同法第63条の5に規定されている並進可の道路標識が設置されていないことから、違反となります。なお、和歌山県には、並進可の規制はございません。
 次に、2番の自転車が道路の右側を走行する行為は、道路交通法第17条第4項に「車両は道路の中央から左の部分を通行しなければならない」旨、規定されておりますので、違反となります。
 3番の自転車が歩道を通行する行為ですが、道路交通法上、自転車は原則車道を通行することとされておりますが、歩道通行可の標識があるとき、また、運転者が児童、高齢者や身体障害者等、車道を通行することが危険であると認められるとき及び交通の状況に照らして歩道通行がやむを得ないときは歩道を通行することができる旨、定められております。この場所には自転車の歩道通行可の標識はありませんが、違反とならない可能性もございます。
 4番の自転車専用通行帯についてですが、道路交通法第20条第2項には、公安委員会が道路標識を設けて通行区分を指定した道路においては、その通行区分に従って、その指定された車両帯を通行しなければならない旨、規定されており、この場所には普通自転車専用通行帯が設けられていますので、歩道の走行は違反となると考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、いろいろ御説明いただきましたけれども、この2の場合は、平成25年の12月から道路の左側部分にある路側帯に限定されておりますので、不可ということだと思いますけども、先ほどの3については非常にややこしいというか、例えば年齢だとか、そのときの状況だとかということになろうかと思いますけども、一々「お年は」というふうに聞くのもなかなか聞きづらいと思うんですね。
 だから、近年、何度か道路交通法が改正をされてきてます。ちょっとわかりにくいという面での自転車の改正道路交通法に伴う啓発、そして、先ほどから申し上げましたように悪質な場合の摘発、これを今後どのようになさるのか、警察本部長のお考えをお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 警察といたしましては、従来から、関係機関、団体と連携した小中高校生等を対象とした自転車交通安全教室、登下校時の中高生や高齢者等に対するセーフティーカードを利用した街頭指導活動など、自転車の交通安全のための活動を積極的に行っているところでありますが、自転車は子供から高齢者に至るまで利用者の範囲が広く、交通ルールに関する知識が十分でない人も利用しており、正しい自転車の乗り方や通行ルールを県民に広く周知することが重要と考えております。
 したがいまして、今回の自転車運転者講習制度の施行を自転車の交通事故抑止の絶好の機会と捉え、自転車の運転者が交通ルールを遵守するよう、交通安全教育を初め、広報啓発活動や街頭指導活動をより一層行ってまいりたいと考えております。
 また、指導、警告に従わない者、交通事故に直結するような危険または悪質な行為に対しましては、検挙措置を講じてまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 いろいろ御答弁いただきました。
 次の質問に移りたいと思います。
 4点目に、社会福祉法人おもと会の監査についてお聞きしたいと思います。
 知的障害者施設おもと園を運営する社会福祉法人おもと会が県から特別監査を受け、全役員の交代と運営体制の改善を指導されていることが明るみになりました。新聞報道によると、入所者から入所施設名目で集めた資金約7000万円の大半をレストラン建設やジュース工場などに無断で流用し、規程や定款の違反を繰り返していた、ジュース工場はできたものの、レストランは資金不足から工事が中断され基礎工事のまま建設がとまっている、平成26年5月には前園長が入所者に借入金の返済猶予を認めさせる内容の覚書を提出させている、ずさんな計画、ここまで違反を重ねるのは前例がないと、県は8月の29日から一般監査を3回、その後、特別監査を2回行い、平成27年3月11日、社会福祉法人おもと会理事長宛てに、監査による事実確認、問題点、そして指摘事項をまとめ、「特別監査の結果について」を福祉保健部長名で発行しています。
 それによりますと、1つ、おもと園グループホーム建設委員会という架空名義を装って法人会計の簿外処理で建設を進めた。杜撰な計画によりレストラン建設の中断が余儀なくされている。このことは社会福祉法に違反している。
 2つ、ジュース工場及びレストラン建設に当たっては、理事会や理事長の承認を得ずに園長のもとで設計書や見積書のないまま複数業者に随意契約で発注がされ、レストラン建設の着手金として3000万円を請求書等の挙証資料もなく支払っていた。
 3点目、グループホーム入居時に利用者から法律の基準に違反して入寮金を徴収していた。
 4点目、理事会、評議員会での審議についても、定款や諸規程に違反していることを知りながら承認している。
 5点目、監事の役割についても、不適切な事実があることを知りながら何ら言及を行っていない。監事としての役割が果たされていない。
 6点目、借入金の返済については、ジュース工場及びレストラン建設の資金に充てたため、大半の利用者に対して返済されていない。また、不利な内容の覚書を提出させているが、その際、利用者や保護者に対し、十分な説明を行っていない。
 そのほか、理事会や評議員会の運営について、その議事録についても規程に違反しているなどとし、法人運営が適切に実施されるよう、全役員の交代も含め、組織体制の見直しと諸問題の原因を究明し、法人運営の健全化に向けて、外部委員で構成する検証委員会を速やかに設置し、その責任の所在を法人として明確にした上で、期限を平成27年6月11日と定め、改善計画を社会福祉法人おもと会に求めました。
 今回の事件は、2つのルートからの通報でした。昨年8月3日、外部から不正行為等通報書メール。これは、主に社会福祉法人監事が、職員らが指摘した違法行為を黙認し、評議員会に報告する義務を果たしていないなどとする内容でした。2つ目は、8月1日、町への通報があり、虐待の疑いがあるという内容だったようであります。この2つの通報で県が動き出し、一般監査、特別監査、そして虐待の問題では聞き取りから任意調査、障害者総合支援法11条調査、48条調査を行い、虐待を認定、改善措置の実施を求めています。
 県は、これまで、この法人に監査を行う中で、最近では平成21年、平成23年、そして平成24年と指摘事項が繰り返されてきていました。事件が発覚する前年の平成25年の監査では、指摘事項なしとなっています。この年にジュース工場が完成されていたわけです。なぜ、通報されるまでわからなかったのでしょうか。
 また、障害者総合支援法に基づく監査においても、指摘事項や指導事項が繰り返されており、数年にわたり指摘や指導の改善が見られないケースも多々あり、法人の体質もさることながら、監査のあり方にも反省が残るのではないでしょうか。
 県の責務について問題がなかったのか。また、社会福祉法人は、その性格上、透明性や法と定款にのっとった運営、会計基準に合った経営処理を要求されております。法人としての責務についてどのように考えているのか。改めて福祉保健部長にお示しをいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県では、法人や施設の運営について定期的に監査を実施してまいりましたが、今回のような不祥事が発生したことは、監査の方法について反省すべき点があると考えています。
 また、社会福祉法人は、設立目的に沿って理事が関係法令や定款等を遵守して業務執行に責任を持つものであり、監事は理事の業務執行の状況等を監査すべきものであるにもかかわらず、その両方が行われていなかった結果であると考えています。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 2つ目の問題に入りたいと思います。
 おもと会の新たな事実として、園内で虐待の事実が確認されました。県の指導により、虐待防止改善計画書がおもと会側から提出されております。その虐待の事実について、県の調査ではどのような事実が確認されているのでしょうか。通報から時間がかかっております。この間、どのような対応を講じてきたのでしょうか。福祉保健部長、御説明ください。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 今回の虐待事案の経緯について説明いたします。
 昨年8月1日に有田川町に通報があり、町において事実確認を実施し、9月11日に虐待の疑いがあるということで県に報告があり、通報内容について、関係市町と連携し、法人や利用者に対する事実確認の調査を実施してまいりました。
 その過程の中で新たな事案が判明したため、その事実確認を行った結果、従業者が利用者からたたかれた際にたたき返したという身体虐待や、無断外出しないという誓約書を掲示するという心理的虐待など、3件を虐待と認定しました。これをもとに、本年3月11日に法人に対して改善報告を求め、6月10日付で法人から虐待防止改善計画書が提出されたところです。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御説明ですけども、おもと園の虐待防止改善計画書によりますと、1つ、支援技術、人権感覚の未成熟、障害者虐待防止法についての無知からくる認識不足、2つ、職員間の不仲により連携相談体制の未構築、3点目、家族からの信頼失墜が大きな課題としてあることに法人が長きにわたって気づかなかったことも大きな責任があるとされております。
 また、これまで職員から前園長に対して利用者への支援方法等の上申をしても、面倒くさいことは全て却下であり、逆らえば退職に追いやられてしまうことをこれまで目の当たりにしてきているので何も言えない状況が続いてきたということであります。このことが虐待の温床になっていたと言わざるを得ません。
 知的障害者への虐待では、最近、山口県下関での事件の報道がありました。今後、この虐待についてどのようになさるおつもりか。再度、福祉保健部長のお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 障害者の虐待を防止するためには、施設関係者が研修を繰り返し受けることにより、障害者の人権や障害者虐待の問題について高い意識を持つことが重要であると考えます。そのため、指導監査において、施設における虐待防止の研修会の実施状況や実施体制の確認を徹底してまいります。
 また、市町村や施設関係者等に対し、権利擁護への理解を深め、資質の向上を図るため、県が実施する研修会等を充実させることにより虐待を未然に防止してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の問題についてお聞きしたいと思います。
 2つの検証委員会の報告と、法人としての改善計画が出されたわけでございます。県は、この報告と改善計画をどのように評価をなさるんでしょうか。福祉保健部長にお答えいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 法人運営に関する改善計画には、理事会を中心とする組織統制確立の方策や役員の交代、役員の資質向上策等が盛り込まれておりました。
 また、虐待防止改善計画については、虐待を未然に防ぐための方策、早期発見の取り組み、関係機関との連携協力体制、虐待が発生した場合の対応などが盛り込まれておりました。
 いずれの改善計画も、おおむね県の指摘した内容に対応したものであると考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の問題に移りたいと思いますけども、一番――私が、今度の問題で、結果が出た後の処置ということで、大変気になる点でございました。保護者へのヒアリングは十分だったとお考えですか。特に、この知的障害者への虐待については許せる行為ではありません。保護者への不安を解消する必要もあろうかと考えます。県としてどのような対応をお考えになりますか。これも福祉保健部長にお聞きしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 関係者からの聴取方法を定めた県障害者虐待対応マニュアルでは、障害者本人、その他の利用者、事業所職員への聞き取り調査を実施することとなっており、保護者からの聞き取り調査は実施することとなっておりませんが、保護者への不安を解消するため、法人に対して保護者へ説明するよう指示しているところです。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御答弁から、保護者からの聞き取り調査は実施していない旨のことでございました。それは、やっぱり私もおかしいと言わざるを得ないと思います。今までのこの園の成り立ちを見ますと、おもと会は、利用者や保護者らの厚い支援によって、行政に極力頼らず、みずからグループホームを建設し、運営をしてきた歴史があります。そんな中で、被害者である保護者が置き去りにされていることは大変残念なことだというふうに指摘をしたいと思います。
 おもと園の保護者会有志一同として要望書も預かっております。「おもと園生と私たち保護者は本当に悲しい思いをしてきました」という書き出しの要望でございました。
 この検証委員会、そして改善計画等の指導を見てみますと、本当にまだまだという感じがしてなりません。本当にそういう意味では、保護者に対してもしっかりとした説明や、今後もこの方々に支えていただきながらおもと会という運営をしていかなきゃいけない、そういうことでございますので、風通しのいいというか、そういう運営を県のほうからしっかり指導していただきたいなと、こういうふうに思うところでございます。
 次の問題に移りたいと思います。
 5点目に、特別監査を行い、検証委員会から報告がありました。そして、改善計画が提出されました。県の受けとめ方は先ほどお聞きしましたけども、今後、二度と起こらないようにする防止策と、法人とのかかわりについてどのように考えておられるのか。これも福祉保健部長、御説明をいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 今後、県としては、提出された両改善計画が着実に実施されるよう、引き続き法人を監督してまいります。
 なお、法人運営について法令遵守の規程の策定など、県の指摘した内容に対応してない事項については、計画に盛り込むよう指導してまいります。
 また、虐待防止については、虐待防止研修の実施状況や実施体制の確認を徹底してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 県行政の限界というんでしょうかね、そういうものをちょっと感じてならないんですけども、社会福祉法人を監査する、これは県の責務だと思いますし、今後の監査のあり方について知事にちょっとお聞きしたいと思います。
 県所管の社会福祉法人は88法人、そのうち障害者の関係が23法人と伺っています。今度の事件も、通報によって明るみになったケースです。人事の異動により、初めて検査員として法人に赴く方もおられるでしょう。虐待などの場合、公務員のマニュアルどおりでは本当に発見できないことが多いのではないでしょうか。今後の監査のあり方について、仁坂知事の御所見をお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 社会福祉法人は、社会福祉事業という極めて公益性の高い事業を行う法人でありますので、いろいろと大いに優遇されてるところもあります。したがって、それにふさわしい運営において高い倫理性と透明性が求められるものであります。しかも、それを保証するものとして県の監督というのがきちんとついているはずでございます。それなのに、今回のような事件を起こしたことは、まず法人として憎むべきものがあるというふうに思いますが、県の指導もまことに甘くて、大いに反省をしているところでございます。
 先ほどの保護者への聞き取りのように、実情と必要に応じて、やろうと思ったら幾らでもできるのに、マニュアルに書いてなかったからということでやらなかったというような形式的になりがちなところがどうもあるなあというふうには日ごろからいつも思ったりしてるんですが、特に本件については大いに反省をして、監査の方法を見直し、その見直した方法に基づいて社会福祉法人の監督を厳しく監視していきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 ありがとうございます。
 先ほど申し上げましたように、やっぱりマニュアルどおりというのは、どうもいけないんじゃないかと思うんですね。やっぱり聞き取り調査ですから、そこには技術力というかノウハウというんでしょうか、そういうこともあるでしょうし、ただ単に初対面でなかなか聞き出せないと思うんですけども、そこらをしっかりと、どういう聞き方をすればこういう話が展開してくるということも含めて、やっぱりこちら側の県側の技術力を磨いていただきたいなと思いますし、今、知事がおっしゃっていただいたようにマニュアル行政では困りますので、その点しっかり、今後、おもと会の発展を本当に願いながら質問させていただきました。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時48分休憩

このページの先頭へ