平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)
平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録
第4号(全文)
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平成27年6月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
平成27年6月19日(金曜日)
午前10時開議
第1 議案第96号から議案第116号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第96号から議案第116号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(42人)
1番 堀 龍雄
2番 中西峰雄
3番 森 礼子
4番 立谷誠一
5番 前芝雅嗣
6番 浅井修一郎
7番 井出益弘
8番 宇治田栄蔵
9番 秋月史成
10番 川畑哲哉
11番 泉 正徳
12番 濱口太史
13番 花田健吉
14番 尾﨑太郎
15番 尾崎要二
16番 中村裕一
17番 鈴木太雄
18番 岩田弘彦
19番 藤山将材
20番 服部 一
21番 冨安民浩
22番 吉井和視
23番 中本浩精
24番 中 拓哉
25番 山本茂博
26番 岸本 健
27番 谷 洋一
28番 新島 雄
29番 岩井弘次
30番 多田純一
31番 片桐章浩
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 山下直也
35番 山田正彦
36番 菅原博之
37番 谷口和樹
38番 奥村規子
39番 雑賀光夫
40番 松坂英樹
41番 坂本 登
42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 宮﨑 泉
国体推進監 若宮茂樹
危機管理監 和歌哲也
総務部長 市川靖之
企画部長 高瀬一郎
環境生活部長 栗山隆博
福祉保健部長 幸前裕之
商工観光労働部長 藤本陽司
農林水産部長 鎌塚拓夫
県土整備部長 石原康弘
会計管理者 岩橋良晃
教育長 宮下和己
公安委員会委員長 片山博臣
警察本部長 下田隆文
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 保田栄一
選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 江川和明
次長 上坊 晃
議事課長 糸川 徹
議事課副課長 中谷政紀
議事課課長補佐兼議事班長
尾﨑善亮
議事課主任 保田良春
議事課副主査 中尾祐一
総務課長 西原龍也
政策調査課長 中口 匠
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午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第96号から議案第116号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
42番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして、4項目、一般質問をさしていただきます。
1つ目に、和歌山県の港湾活用についてであります。
平成27年2月定例会において、既存の港湾施設、海浜公園等の公共施設を活用し、地域活性化に取り組める仕組みづくりを行うべく、和歌山県みなとまち条例が制定されました。これは、港湾施設や海浜公園などの公共施設を横断的に管理できるだけでなく、みなとまちの振興に係る新たな発想、アイデアに柔軟に対応できて、地域振興にも寄与することができると考えておられるとのことです。
港は、古くから人や物が行き交う地域交流の拠点としてにぎわってきましたが、近年になっては、経済活動拠点の色合いが濃くなり、人々がともすると近寄りがたい空間になっていることが少なくない状況が出てきたということで、平成14年11月29日に国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会において、「経済社会の変化に対応し、国際競争力の強化、産業の再生、循環型社会の構築などを通してより良い暮らしを実現する港湾政策のあり方」において、みなとまちづくりの推進が提案されました。
その後、市町村や港湾管理者、特定非営利活動法人などによって、みなとづくりとまちづくりを連携させてみなとまちづくりを目指すために、国土交通省中国地方整備局、四国地方整備局が平成15年11月20日付でみなとオアシス制度を創設し、平成21年1月までに他の地方整備局や北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局においても、みなとオアシス制度が創設されました。
和歌山市に隣接する大阪府岬町においても、平成25年8月に、みなとオアシスみさきが深日港、淡輪港において仮登録されております。サービスを提供する地区及び施設として、1、イベントヤード、2、魚市場、3、散策道・サイクリングロード、4、淡輪ヨットハーバー、5、大阪府立青少年海洋センター、6、淡輪海水浴場、7、マリンロッジ海風館、8、せんなん里海公園・潮騒ビバレーがあります。こうした和歌山市加太と隣接する岬町の取り組みも十分活用できるような条例であればと願うものであります。
そこで質問ですが、1つ目、和歌山県みなとまち条例におけるみなとまちとは、どういったものなのでしょうか。県土整備部長にお尋ねします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長石原康弘君。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県みなとまち条例は、これまでにあった和歌山県港湾施設管理条例と和歌山県海浜公園設置及び管理条例により別々に管理していた港湾施設とそれに隣接する海浜公園について、一体的に管理するものとして、さきの2月議会で成立していただいたものです。
この条例では、港湾緑地や港湾施設用地等の港湾施設と海浜公園施設等の海岸施設の一元的な管理を想定しており、管理業務の効率化を図るとともに、施設を有効利用した地域の活性化等にも寄与されるものと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 平仮名で「みなとまち」と、これ、私にとっては何ともいい響き、深い味わいを感じます。潮の香り、潮騒、汽笛、そこを闊歩する船員さん、あるいは潮やけした笑顔がまぶしい漁師さん、異国情緒や独特の生活感等、イメージが湧いてくるものであります。
2点目に、条例施行の試金石として地域振興に取り組もうと、まず和歌山市の加太港において活用できればということですが、和歌山市加太においてもコンパクトシティー構想、またサイクリングロードの取り組み等、動きがありますが、まず加太港を対象とした狙いは何ですか。県土整備部長、お答え願います。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 加太港では、海水浴場については加太観光協会が運営し、漁港については加太漁業協同組合が運営をしてきており、また、これまでも加太地区連合自治会や加太観光協会等が加太活性化協議会を組織して、加太港地域の活性化に取り組んできたところであります。
今般、加太活性化協議会から、地域振興の一環として、和歌山県が管理する港湾緑地と海浜公園施設のシャワーハウスを地元の責任において一元管理することで活性化に取り組みたいとの要請があったため、これまで別々に管理していた港湾緑地、海浜公園施設の管理を一元化する和歌山県みなとまち条例を制定し、その最初の条例対象地域として、当該地域をみなとまちに指定したものであります。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、今後の本県において、加太港以外の港湾、漁港への展開について、どんなコンセプトで取り組みを広げていこうというおつもりですか。知事にお答え願います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) この響きのいい和歌山県みなとまち条例でございますが、直接的には、イメージよりもちょっとひょっとしたら限定的な内容かもしれません。というのは、部長が説明いたしましたように、港湾緑地と海浜公園施設の管理がそれぞれ別々の条例で管理をするということになっておって、これじゃいろいろと地元で振興策を考えるときに面倒だということで、それを一体としてやったらどうかという議論が出て、そのとおりだということでやらしていただいた次第なんです。
したがって、この条例があることによって、みなとまちが次々とできていくというわけではないんですけども、少なくともいろんな企画をするときに、いろんな規制なんかが別々に、ばらばらにやっていて、それが障害になるということを防ぐ意味では十分効果があり、これで地平線をきちっとつくって、その上で地元の方とか県とか市町村とか、みんなで頑張ってみなとまちをつくっていこうと、こういう気持ちでございます。
地元のそういう方々が港湾施設とその周辺の海浜公園等の施設を一体的かつ効率的に管理を行って、加えてイベントの開催やにぎわい施設の整備等により地域の活性化が進んでいくということを、これ、期待してるわけでございます。
県内には──この加太の動きが真っ先にあるんですけれども、沿岸部に多くの観光資源があると考えております。同時に、近海・沿岸漁業、近海漁場としては全国有数の漁場を有しているということでございまして、釣り客の方なんかも随分来てくださるんじゃないか、港と町はまだまだ発展するポテンシャルが高いと考えております。
こうしたことから、この条例を1つの道具としてうまく活用していただいて、また我々も活用さしてもらって、魅力あるまちづくりを全県的に頑張っていきたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 港には、小さな漁港もあれば、外国との貿易を行い、コンテナヤードや保税上屋、あるいはガントリークレーンを擁する港湾もあります。人、物が交流する地域の拠点でありますから、みなとまちからまちづくりを行っていける要素は幾らでもあると思います。まして、きれいな景観にも恵まれた海に囲まれた和歌山県であります。ですから、このみなとまち条例を、名前負けすることなく、和歌山県下各地域で有効に活用できるような条例に、そして、県内外の皆様に愛されるみなとまちに発展させていっていただきたいと気持ちを込めて要望さしていただきます。
次に、クルーズ船についてであります。
近年、世界のクルーズ人口は急速に増加しており、10年前の2倍強にまで増加しています。特にアジアでは、インドから東側の主な12カ国地域だけでも2020年には380万人に達するという予測があるほか、中国も自国のクルーズ人口が2020年に450万人に達すると予測しており、日本も大いに寄港が期待されるところであります。
国交省も、観光立国実現に向けたアクションプログラム2014に基づき、2020年のクルーズ100万人時代実現に向けて、ハード、ソフト両面における環境整備の取り組みを推進しています。
そこで質問ですが、4点目、訪日外国人旅行者数の増加により、訪日外国人の旅行消費額は大きく伸びています。外航クルーズ船が寄港することによって、本県に来県する外国人の旅行消費も大いに期待できると思います。まして、平成26年10月1日より免税対象物品に食品類、飲料類等の消耗品が追加され、本県においても、免税店がことし100店を突破しました。
本年4月の税制改正において、外航クルーズ船が寄港する港湾における輸出物品販売場に係る届け出制度が創設され、外航クルーズ船の寄港時に埠頭へ免税店を臨時出店することが容易になりました。今後、クルーズ埠頭での消費税免税店戦略で、クルーズ旅客による地元物産品等の購入促進につながって地域活性化に寄与することが期待されます。
和歌山県の主要港湾における輸出物品の臨時販売場、すなわち免税店の設置についてどうお考えでしょうか。商工観光労働部長、お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県としては、外国人旅行者がお得に買い物を楽しみ、より多くの県産品を購入していただくために消費税免税店の拡大が重要と考え、県内各地での説明会の開催や事業者への個別訪問等により、消費税免税店の許可申請を支援してきたところです。
その結果、昨年4月1日時点で県内8店舗であったものが、本年4月1日時点で100店舗まで増加しました。外航クルーズ船が寄港した際には、現在、地元自治体、関係団体などが中心となって歓迎セレモニーや周辺観光案内などが実施されているところです。
上陸する乗客には、地域を幅広く周遊、観光していただき、消費税免税店で地元ならではの産品を購入することにより、地域の魅力を満喫いただけるよう取り組むことが重要と考えておりますが、上陸時間が限られる場合など必要な場合には、新たに創設された港湾施設内への臨時免税店出店制度を活用することにつき、地元自治体や当該地域の観光関係団体等とともに取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 5点目に、和歌山県の主要港湾におけるクルーズ船の寄港戦略について、知事にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 外航クルーズ船の寄港戦略でございますけれども、数年前ぐらいから、これは絶対に対象として有望である、あるいはぜひそうしなきゃいかんということで庁内で明確にミッションを決めまして、それで関係数課ですが、これが役割分担をして一生懸命努力をしておるところでございます。
ターゲットとしては、大きな港でないといけませんので、県内主要港湾である和歌山下津港、日高港、新宮港へ誘致して、周辺観光地への誘客を図るため、客船運航会社とか旅行会社へのプロモーションに取り組んでおります。
これまでクルーズ船の誘致については、国の内外で開催される商談会というのがあるんですけれども、こういうものに参加して寄港を一生懸命働きかけているほか、訪日クルーズの起点港である中国上海市の客船運航会社等へのプロモーションの実施、それから、他府県と連携したクルーズ観光情報のウエブサイトをつくったりして取り組みを行っております。
このほか、来ていただくと、その来ていただくなりの設備もちゃんとしなけりゃいけませんので、受け入れ体制の充実に向けて、これは今年度から特に一生懸命やるんですが、多言語案内表示の整備とかWi─Fiの整備、それから、今年度は完成の年だと言っているおもてなしトイレ整備など、快適かつ安心して旅行いただける環境づくりに取り組んでいるところであります。
また、先ほど議論がありました免税店なんですけど、商工観光労働部長が率先してクルーズ船寄港時の買い物のための免税店の組織化とか、あるいは旅行業者との協力体制とか、あるいは観光地の周遊プラン、そういうものをつくって、それで旅行またはクルーズエージェントへ売り込みを図るというふうなことをもっと積極的にやっていきたいと思っております。
その結果、いろいろ努力をしてまいりましたんで、平成26年9月に新宮港にザ・ワールドが寄港し、来年はル・ソレアルが寄港する予定であります。和歌山下津港については、ことしの9月と11月に飛鳥Ⅱが計2回寄港する予定であります。まだまだこんなもんじゃ足りませんので、もっと頑張ってやってまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 最近、外国人観光客が本県にも目に見えてふえております。数年前のように、クルーズ船で高野山へ訪れる方もますますふえていいでしょうし、熊野もしかりです。海、山、川、温泉、文化・歴史の跡など、たくさんの魅力あるスポットがクルーズ客をおのずといざなってくれるものだと思います。
ですから、外航クルーズ船の誘致はぜひとも加速度的に行っていただきたい。これは、貨物港湾の3大中枢港湾集中政策とか港の機能、役割分担の問題ではなく、まさに地域間の競争であります。どうか、よろしくお願いいたします。
2点目に、豪雨災害対策についてであります。
この梅雨のシーズン、特に前半は突発的豪雨も多く、気がかりな季節であります。全国的に豪雨による土石流や洪水などの被害が多発しています。
本県においても、昭和28年7.18水害、平成23年の紀伊半島大水害については大きな被害をもたらしました。和歌山市においては、平成に入って七瀬川流域における紀伊駅やライオンズマンションの大浸水、雄ノ山川と六箇井用水路との合流地点を中心に田畑等が冠水、あるいは平成21年11月11日未明に1時間に119.5ミリの記録的な大雨で市内の多くの箇所で道路が冠水、私や知事の住まいする高松地区においても約220戸の床上・下浸水被害がありました。
平成24年6月22日には、24時間に179ミリの雨で、和田川流域で約120棟の住宅や田畑などがそれぞれ浸水、冠水しました。平成25年9月の台風18号による大雨で京都・嵐山を流れる桂川も氾濫して旅館や料亭など約100棟が浸水被害を受けましたが、いずれの川も川底が浅い上に川幅が狭いということが被害につながっております。
そこで、河川の治水・減災対策として幾つかの対策がとられています。まずは、川の拡幅に加え、河川敷の樹木を伐採したり川底を掘ったりして川の流れをよくしようと、これは七瀬川、和田川などでも整備が進められています。また、遊水池の整備や川の合流部に水をバイパスする放水路を整備することも効果的でしょう。和田川流域のように潮の干満に大きく左右される地域では、地下貯留施設をつくって地下に雨水をためて河川への流入を防ぐのも一案かもしれません。今後、家のかさ上げもふえてくるのではないかと思います。
そこで質問ですが、1つ目、国営総合農地防災事業和歌山平野地区においては、平成23年度に地区調査に着手、平成25年度に全体実施設計、そして平成26年度から着工、そして、いよいよ本年9月以降、都市計画道路西脇山口線の工事と調整を図りながら、その下にボックスカルバートを入れて六箇井高川排水路と六箇井七瀬排水路が一部施工される予定であります。地元住民の皆様が大いに喜んで期待しておられます。
このように、水路の拡幅や道路下に新たな水路を増設するといったこの農水省の事業との合わせわざとして川の拡幅や川底の掘削が必要と考えますが、七瀬川や和田川における河川流域の豪雨浸水対策につながる河川の改修工事の進捗状況について、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山市周辺の紀の川沿川地域では、地域に降った雨が排水能力を超え、河川に流れ込む前に水路等からあふれる浸水被害が発生しています。そのため、国営総合農地防災事業において、排水ポンプや農業用水路の改修、新設等を行うとともに、その受け皿となる河川の流下能力を確保するための河川改修を行う総合的な浸水対策を進めているところです。
七瀬川につきましては、紀の川合流部の鴨居樋門が流下能力不足となっていたことから、国が改築工事を進め、平成27年4月に完成しました。また、鴨居樋門から鴨居川合流点までの約1.6キロメートルについては、これまでに約99%の用地取得が完了しています。このうち、国道24号までの区間につきましては、平成29年度中の完成を目指し、樋門に接続する約400メートル区間の改修を終えたところであり、今年度は引き続き護岸工事を進めるとともに、サイホン工事を実施する予定です。
また、残る区間につきましても、目標の10年以内に完成できるよう、平成26年度から本格的に工事に着手したところであり、今年度は鴨居川団地付近で護岸工事を実施する予定です。
さらに、上流部の鴨居川合流点から七瀬川橋までの区間につきましても、既に約50%の用地を取得済みであり、平成26年度よりサイホン工事に着手しました。
和田川につきましては、平成24年6月に床上・床下浸水合わせて116戸の被害が発生したことから、平成25年度より床上浸水対策特別緊急事業として実施しております。
現在、和歌川合流点から丈夫橋付近まで約3キロメートルの護岸工事、和歌川合流点からJR橋梁までと宝恵橋から杭ノ瀬川合流点上流までの約1.5キロメートルの河道掘削が完了しており、今年度は引き続き丈夫橋付近上流の護岸工事を進めるとともに、坂田橋までの約650メートルの河道掘削などの工事を進める予定です。
今後とも、関係機関と連携を図りながら、総合的な浸水対策を推進してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 豪雨災害が頻発する中、予算もさらに厳しいと思いますが、災害が起こってからの後追い施策では非効率で、かえって割高になるのではないかと思います。諸対策の実行可能性を追求しながら、施策の合わせわざで豪雨災害を未然に防いでいただきたいと思います。
2点目に、国営総合農地防災事業の和歌山平野における今後の工事見通しについて、農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 国営総合農地防災事業和歌山平野地区につきましては、平成40年度の事業完了を目指し、本年度は17億5000万円の予算で工事及び実施設計業務を進めてまいります。本年10月には、六箇井幹線水路から高川に排水を放流するための延長約1500メートルのバイパス水路である六箇井高川排水路や、七瀬川に排水を放流するための延長約2700メートルのバイパス水路である六箇井七瀬排水路について、都市計画道路西脇山口線と工事調整の上、着手いたします。
また、紀の川市安楽川地区の幹線水路及び紀の川市から岩出市につながる藤崎井支線水路の工事にも着手いたします。
平成28年度につきましては、平成27年度着手路線の工事進捗を図るとともに、新たに和田川流域の米田排水機場や他の排水路工事にも着手する予定であり、確実な工事発注に向け、実施設計も大いに鋭意進めていくと聞いてございます。
県といたしましては、事業を円滑に進めるため、関係者間の連絡調整を行うとともに、国営事業所、県及び関係市で協力して地元への十分な計画説明に努めてまいります。
また、国に対しましては、6月上旬に実施した政府提案活動において、今後の必要な予算の確保等、積極的な働きかけを行ったところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 この国営総合農地防災事業の施行にあわせて、ため池、中小用水路、そして中小樋門等を、改めて県としても市町村とともにチェックいただきたいと思います。
3点目に、昨年、広島市で豪雨による土石流被害が発生しました。土石流が起きた場所が広島市の市街地で人口が密集、そして、土石流は谷が少し広がる出口の沖積錐と呼ばれるところで破壊力が一番大きかったという、地形によるところの被害が甚大だったと言われています。
地形によって避難の仕方も変わってくると思います。各市町村でもつくられているハザードマップをもとに地形や地質を把握すべく、例えば上に逃げるより横方向に逃げたほうが安全な場合もあるでしょうから、さらなるきめの細かい避難対策や情報伝達が必要だと思いますが、危機管理監、いかがですか。
○議長(前芝雅嗣君) 危機管理監和歌哲也君。
〔和歌哲也君、登壇〕
○危機管理監(和歌哲也君) 自然災害から生命を守る最も有効な手段は、適切な避難行動であります。
豪雨災害に備えた避難対策については、平成23年の紀伊半島大水害の教訓を踏まえ、防災・減災対策の総点検を行い、避難先については、大規模な災害でも安全な避難先を確保するため、地形等による土砂災害や浸水被害の可能性、施設の構造などを考慮した安全レベルを避難先に設定し、大幅な見直しを実施いたしました。
また、気象情報や市町村が発令する避難勧告等の情報により、早目の避難行動をとることが安全な避難のためには重要であります。
従来、市町村は、避難勧告等の発令を経験に頼って発令しておりましたが、降水予測等の数値データにより客観的に判断できるよう、避難勧告等の判断・伝達マニュアルのモデル基準を策定し、さらに短長期の降水予測情報をもとにした和歌山県気象予測システムの運用を開始いたしました。
市町村では、これらを活用し、危険な夜間の避難を避け、明るい安全な時間帯に地域ごとに避難準備情報や避難勧告等を的確なタイミングで発令することができるようになり、昨年8月の台風11号による豪雨の際には、従前より早く避難準備情報等を発令するなど、着実に効果が出ているところでございます。
情報伝達については、屋外スピーカーを用いた防災行政無線に加え、県民一人一人ができるだけ防災情報を認識できるよう、県ホームページやテレビのデータ放送での災害警戒情報の提供やラジオ通じるプラン及び防災わかやまメール配信サービス等、防災情報発信の多様化、多重化に取り組んでおります。
今後も、県民一人一人が命を守る行動をとることができるよう市町村をしっかり支援し、豪雨災害に備えたきめの細かい避難対策や情報伝達に引き続き適切に取り組んでまいりたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 避難に当たっては、土地を知る、地形、地質を把握しておくことは大事だと思います。紀伊半島大水害の教訓をいま一度顧みて、地域住民にさらに理解しやすいハザードマップづくり、そして日ごろからの避難指導を市町村に働きかけていただきたいと思います。
議長、3点目、行きます。地域おこし協力隊について。
地域おこし協力隊とは、2009年に総務省が制度化したもので、人口減少や高齢化などの進行が著しい地方において、主に3大都市圏の住民といった地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度です。
総務省が隊員1人につき報償費等として年間200万円から250万円、活動費として年間150万円から200万円をそれぞれ上限に、地方自治体に対して財政支援しています。
自治体の資金負担は、原則ゼロです。隊員としての期間は、おおむね1年以上、最長3年までとしています。ただし、3年を超えても、財政支援の対象にはなりませんが、活動の継続は可能です。安倍首相も、地方創生のかけ声のもと、2016年度までに現在の3倍の約3000人にふやす構想を表明しています。
ちなみに、協力隊を利用できる約1400の市町村のうち、実際に導入しているのは2割強であります。
そこで質問ですが、1つ目、和歌山県における地域おこし協力隊の採用状況と具体的取り組みについて企画部長に伺います。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 本県では、現在、紀美野町を初め7市町において、13人が地域おこし協力隊として市町村長の委嘱を受け、活動を行っております。具体的には、移住・定住促進や地域行事の支援を初め、伝統芸能や祭りの復活、特産品の製造販売など、地域住民と一体となり、地域の活性化に取り組んでいます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、隊員の方は地域おこしで来られるわけですから、まず、地域への溶け込みが必要だし、行政マンではないけれど、しっかり地域おこしに貢献いただくために、隊員に対してどのようなサポートや労務管理がなされているでしょうか。
また、県として、市町村とどうかかわり、どのような指導を行っているでしょうか。企画部長にお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長。
〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 地域おこし協力隊員は市町村の臨時職員として採用されていますので、適切に労務管理がなされていると聞いております。
県では、まず市町村に対しては、地域住民に隊員の位置づけや役割について十分な説明をするよう働きかけるとともに、地域おこし協力隊の活動を適切にサポートできるような研修会も開催しております。また、隊員に対しては、スキルアップや隊員同士が情報交換できるような取り組みを行っているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、地域おこし協力隊によって地域住民の意識が変わって、地域住民が主体となって地域のために動けるようになることが狙いだと思いますが、本県において地域おこし協力隊の活動における効果、成果としてはどのようなものがあるでしょうか。企画部長、お答えください。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長。
〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 隊員の活動としましては、移住・定住支援や特産品の製造販売、廃校になった小学校を活用しての飲食店の運営などを行っております。
各隊員は、外部の斬新な視点と熱意を持って地域の活動に取り組むことにより、地域住民からの信頼を得て、新たな地域の担い手として活躍しております。それによって住民も意識が変わり、積極的に地域づくりに参加するようになり、地域の活性化につながっていると思われます。また、活動終了後、農林業や製炭業などの職につき、定住されている隊員もいます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、最長3年間が任期ですが、定住に向けた取り組みについて企画部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長。
〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 県では、地域おこし協力隊の定住のためには在任期間中からの支援体制が重要と考えており、採用する市町村に対し、定住に向けた起業準備や事業化に向けたアドバイス、及び隊員が希望する周辺地域内の求人情報の収集と提供など、隊員の活動期間中から3年後を見据えた支援を行うよう働きかけております。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 昨年3月に、改新クラブで、隠岐の島町の廃校を利用した物づくり学校や、海士町の教育、環境、農水産品加工、販売等、地域づくりの取り組みを調査に行ってまいりました。
現地にも、やはり若い地域おこし協力隊として、フットワークを生かした行動力と、外部の人だからこそ客観的に地域を見れる前向きな発想と創意工夫とを発揮し、地域おこしの若きリーダーとなって頑張っておられました。地域の人たちにも随分溶け込んで、人気者になっているなと頼もしくも感じました。
今後とも、県内各地へ地域おこし協力隊の方々がどんどん県外からお越しいただいて定住いただけるよう、県におかれましても、和歌山県の魅力のアピールと温かいおもてなしの心で定住促進にますます努めていただきたいと思います。
4点目、機能性表示食品制度と地理的表示制度についてであります。
企業が科学的根拠を国に届け出れば、企業の責任で食品の健康効果、すなわち機能性を具体的な体の部位を挙げて国の審査なしに表示できるように本年4月から機能性表示食品制度が始まりました。生鮮食品を含めた幅広い食品が対象です。国の規制緩和と成長戦略の一環として創設され、新制度の潜在的な市場規模は10兆円に上るとも言われています。
1991年に登場したトクホ、すなわち特定保健用食品は国の審査が必要で、国の許可制であり、審査は非公開で科学的根拠などの情報公開も限られるのに対し、新しい制度は国の審査がなく、企業の責任で表示できる届け出制であり、根拠などの情報は販売前に原則公開すればよいと、取得の条件が緩やかになりました。
新制度は、情報をあらかじめオープンにするということで消費者自身に判断してもらうことを狙っています。販売までの期間も新制度のほうが圧倒的に短く、コストも格段に安くなっています。トクホなら2~3年かかるところが、新制度なら消費者庁への届け出から60日後に販売も可能であり、科学的根拠を既存の論文で示すために必要な期間は約3カ月間、料金も300万円前後で、可能な範囲であります。
消費者庁のホームページに公表された品目を見るとサプリメントが多く、ほか、ノンアルコール飲料や清涼飲料水になっています。和歌山県のように梅、柿、ミカンに代表される健康によい機能性成分を持った有用果実や野菜の生産県にとっては、農家も、食品加工企業にとっても、トクホ取得よりずっとハードルが下がったわけで、中小零細事業者にとって起死回生の産業振興、そして地域振興に資する制度ではないかと期待するものです。
例えば梅干しにおいても、ことし1月上旬から3月上旬、田辺市において紀州田辺うめ振興協議会が梅干しを食べる習慣がない市内外の72人を対象に調査したところ、インフルエンザや風邪の発病が減少したり、疲労回復効果や胃腸の調子改善が見られたという結果が出ています。
本県においても、今まで国の競争的資金を活用して梅、柿などの機能性研究がたくさん行われてきましたが、その研究成果を大いに活用できるのではないかと思います。
そこで質問ですが、1つ目、県内の農家や食品加工業者の機能性表示食品制度に対応した取り組み状況はいかがでしょうか。農林水産部長にお答えいただきます。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 食品の新たな機能性表示制度の活用は、「おいしい!健康わかやま」をキャッチフレーズに農産物や加工食品の販売促進に取り組んでいる本県にとって追い風になるものと考えております。
6月15日現在で消費者庁に届け出が受理された15業者36商品の中には県内事業者は含まれていませんが、農家や食品加工業者の方々の関心は高く、制度の活用に向けた準備や研究が進められています。
例えば温州ミカンでは、ベータクリプトキサンチンによる骨の健康を保つ効果が確認されておりますが、届け出に当たっては果実1個当たりの成分含量と1日当たりの摂取目安量を示す必要があるため、現在、JAグループでは時期別含量の調査準備を進めております。
また、田辺市やみなべ町の梅に関する協議会では梅に含まれるポリフェノール等の健康増進効果に関する研究に取り組んでおり、現在、県も支援しているところでございます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 まだ機能性表示食品制度は始まったばかりと、皆さん、状況を静観されていることだと思いますが、本県の機能性成分を多く含んだ高品質の生鮮果実やその加工食品には大きなチャンスが到来したと期待しております。
2点目に、食品にかかわる第1次、第2次、それに第3次産業のそれぞれに大きなインパクトを与える新制度だと思いますが、生産者や食品加工業者に対する呼びかけ等、県としての取り組みを農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 生産者や食品加工業者に対する呼びかけ等についてでございますが、庁内においては、かねてより関係課室が集まり、県内事業者向けの情報提供などに努めてきたところですが、先月、和歌山県農水産物・加工食品の販売促進戦略アクションプログラム2015において、おいしい!健康わかやま機能性表示サポート体制を発表いたしました。
農家や事業者のさまざまな相談に対応するための総合窓口を農林水産部内に設置するとともに、詳しい制度説明のほか、工業技術センターや県立医科大学など専門機関の助言も得やすくなるよう、庁内関係課室が連携した体制を組み、県内事業者の取り組みを支援していく所存です。
また、5月20日には機能性表示食品制度に関するセミナーを開催し、食品加工事業者など140名の参加を得たところでございます。
今後とも、制度の啓発とともに、県外の支援機関とも連携して事業者に対する支援を行い、県産品の販売促進につなげてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 部長がおっしゃるとおり、公設試や大学を大いに巻き込んでいただきたいと思います。
3点目に、懸念されるのは、人の臨床試験が反映されているものはともかく、質の低い論文を採用したものや臨床試験の症例数が少ないケースの場合、一般の消費者がどこまで内容を深く理解できるのかということであります。消費者にとって安全性が一番重要ですから、アメリカの制度と同様に医薬品と同等くらいの品質管理基準を義務づけるべきでありましょう。
長く一般消費者に愛されるような商品づくりのためにも、消費者目線で安全性を確保するため、また、過剰摂取や他の成分との飲み合わせのリスクなどを消費者が把握できるように、本県ならではのセーフティーネットを構築いただきたいと思いますが、環境生活部長、いかがですか。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 機能性表示食品の消費者への安全性確保についてお答えを申し上げます。
県といたしましては、消費者みずから正しい情報を得て機能性表示食品等の健康食品を合理的に選択できるようにということが我々の考えでございます。ということから、シンポジウムの開催やホームページ等によりまして、この制度の周知に関する情報提供を今までにも増して行ってまいりたいと考えてございます。
また、出張!県政おはなし講座におきましても、県民の皆様の関心が高い健康食品をテーマとして取り上げております。その中で、機能性表示食品の有効性や安全性に関する情報についても非常に関心が強いものでございますので、御説明内容に加えて御説明をしているところでございます。
一方、県では、県民の健康の保持及び増進に寄与することを目的といたしまして、医療分野を含んだ関係機関で構成されましたわかやま健康食品連絡協議会という組織を設置してございます。この協議会を通じまして、健康食品による健康影響に関する情報収集、分析、さらには情報共有を進めてまいりまして、健康食品による被害の未然防止や早期発見に努めるとともに、県民の皆様に機能性表示食品の趣旨の周知を図ってまいりたいと考えております。それをもって、食の安全・安心をさらに進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、また、6月1日に新しい地域ブランドの保護制度が始まりました。特定の産地と結びついた農水産品を地理的表示に認定して、不正使用は国が直接取り締まります。既存の認定制度と違って、違反者には懲役や罰金も科して国が産地を守る強力な保護制度です。基準は厳しいですが、一度登録されると更新料は不要で、無期限に保護されます。
地域の特産品というのは、地域の人々が長い年月をかけてつくり上げてきた食文化が生み出した産物であります。和歌山県の特産品にも海外で模倣品が出回ったりする事例もあるわけで、さまざまなブランド認証制度がある中で、国が直接関与してくれることへの期待は大きなものがあります。
本県も説明会を行っていただく等、御尽力いただいておりますが、大切な和歌山県産品を守っていくために、さらにブランド化していくために大いに活用を呼びかけていただきたいと思います。本県における地理的表示申請の現況はいかがでしょうか。農林水産部長にお答え願います。
○議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 地理的表示制度については、生産・加工業者の団体が農林水産省へ申請を行うことになっているところですが、同省によると、6月1日の制度開始時に19産品の登録申請がありましたが、県内からの申請はございませんでした。
議員お話しのとおり、地理的表示制度は国が産品の品質についてお墨つきを与え、不正な表示は国が取り締まるなど、登録されれば地域産品のブランド化が図られ、販売する上で大きな足がかりとなるものと考えております。
このため、県では、できるだけ多くの県産品が登録されるよう、昨年度から振興局を初め関係課室が連携しながら周知活動を行うとともに、4月17日には地理的表示法説明会を開催いたしました。また、申請には至っていないものの、関心のある団体も多いことから、現在も個々に情報提供を行うなど、制度の活用について働きかけを行っているところです。
今後とも、新たな団体への周知活動も含め、地理的表示制度の積極的な活用推進を通じて、県産品のより一層のブランド化を進めてまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 とにかく和歌山県は、おいしい食べ物の宝庫であります。地理的表示制度は、日本国内においても海外向けにも和歌山を大いにアピールする千載一遇のチャンスを与えてくれたものだと思います。生産者、事業者も生き残りをかけて地理的表示申請に取り組んでいただきたいし、そのために機能性表示食品制度ともども県の手とり足とりのきめの細かいバックアップをよろしくお願いいたします。
以上、一般質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
30番多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。改選後、初めての登壇でございます。
4月の県議選におきましては、大変多くの皆様にお世話をいただきました。おかげさまで3たび目の県政壇上に登壇させていただきましたことを、この場をおかりいたしまして、心から感謝申し上げたいと思います。
私は、そのときに地方創生もしっかりうたいましたので、今後4年間、その地方創生に向けてしっかり取り組みをしてまいりたい、このように思っているところでございます。
昨日も国体に向けてのお話がございました。また、その後にスポーツ議員連盟の中で、国体、また和歌山大会の準備の模様なんかもお話ございましたけども、きのうが100日目、きょうが99日ということで、いよいよ2桁になってまいりました。
その中で、大変うれしい報告がございました。4月でございましたけども、私も大変剣道に親しんできた1人でございますけども、全日本の都道府県対抗試合、優勝大会がございまして、和歌山県の選抜チームが初めて優勝という悲願をかち得ましたことを本当にうれしく思いました。
この試合は7人のチーム制でございまして、高校生、それから大学生、社会人、それから高校の教員、そして県警の職員の方という組み合わせなんですけども、そういう意味では、総合力で優勝を初めてかち得た。これは本当に国体へ向けてのさい先のいい、非常に弾みができた優勝じゃないかなということで、この剣道連盟の関係者だけじゃなく、今、国体にお取り組みいただいている全ての関係者の方に敬意を表したい、このように思っているところでございます。
じゃ、議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入らせていただきます。
44年前には黒潮国体が開催されました。その同年8月に紀伊風土記の丘が開園されております。総面積約65万平方メートルの広大な敷地内には、古墳のほかに移築民家や地びき網和船、復元された竪穴住居、そして万葉集に詠まれております植物を栽培した万葉植物園や花木園など多くの樹木が茂り、四季折々の植物に包まれた史跡公園として県内外の人に親しまれております。4年前、紀の川で見つかったクスノキの巨木・紀伊大王も昨年から資料館前に展示され、人気のスポットになってきております。公園に訪れる方も年間22万人になったとお伺いいたしました。
平成25年6月県議会で初めて一般質問に取り上げさせていただきました。その後、岩橋千塚を守る会から、特別史跡岩橋千塚古墳群の拡張を求める請願も提出され、採択をされております。
昨年度は843万、今年度は1074万の予算を計上していただき、少しずつ動き出したようであります。紀伊風土記の丘の整備計画を進めていただいているところですが、昭和46年開館の資料館も老朽化が進み、展示スペース及び収蔵スペースも不足しているようでございます。
1つ、資料館の整備計画についての今後の方針についてお伺いをいたします。
2つ、古墳公園としての公園整備について申し上げました。
先日、大日山35号古墳に久しぶりに登ってまいりました。日本初の翼を広げた鳥形埴輪、両面人物埴輪が出土した長さ約86メーターの県内最大規模の前方後円墳です。皆さんのお手元に写真を資料として配らせていただいております。上の写真が、その大日山35号古墳の西側に並べられた埴輪の写真でございます。家や鳥、馬、犬など動物、そして力士や須恵器など、古墳公園らしくなっていました。この埴輪をじっと見詰めますと何となく癒やされるような気になってまいりますけども、今そういう埴輪がここに展示をされております。
今後のこの公園としての整備についてお示しをいただきたいと思います。
3点目に、大変貴重な文化財が複数存在します。重要文化財の指定に向けて努力していただいていると伺っております。指定についての見通しを御説明いただきたいと思います。
最後に4点目に、特別史跡に指定されていない周辺地域の古墳の保護、そして特別史跡の拡充についてお伺いをします。
先ほどの大日山35号古墳に行く前に、今回初めて天王塚古墳を見学いたしました。資料館から徒歩で頂上を目指して西回りで行きますと、約20分ぐらいで休憩所に着きます。その休憩所から尾根伝いに歩いて15分ぐらいの位置にありました。途中の道は岩橋千塚を守る方々の御努力で雑草を刈っていただいて、大変歩きやすくなっておりました。写真を用意しております。この下側の写真がそうでございます。天王塚古墳の墳丘を撮ったものでございます。全長86メーター――これは先ほどの大日山35号古墳とほぼ同じでございますけども――横穴式石室、石室の高さが5メーター90センチもあり、その高さは何と全国2位となっております。岩橋地区特有の石梁も8本あるそうです。大日山35号古墳に匹敵するような前方後円墳だとされておりますが、残念ながら特別史跡に入っておりません。
今後、どのようにお考えか、その計画を新教育長にお尋ねいたしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
教育長宮下和己君。
〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 紀伊風土記の丘資料館につきましては、より知識を深め、より楽しめる資料館を目指し、エントランス部や展示室の改修について検討を進めております。また、館全体の整備につきましては、総合的に検討してまいります。
公園整備についてでございますが、これまで園内では、重要文化財旧柳川家住宅の修理や各種案内板等の整備を初め、議員御指摘のとおり、古墳時代に生育していたクスノキの巨木の展示、また、大日山35号墳の東つくり出し部には県民の皆様手づくりの円筒埴輪や家形埴輪などの復元模型を設置し、より身近に当時の古墳の姿を体感してもらえるよう整備を行ってまいりました。
今後は、前方後円墳の前山A58号墳の墳丘や埴輪列の復元、未公開の横穴式石室の公開などにも精力的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
また、我が国初の両面に顔を持つ人物埴輪や翼を広げた鳥形埴輪など、学術的価値の高い多様な埴輪や土器について、これまで整理作業と調査研究を進めてきており、早期に重要文化財に指定されるよう取り組んでございます。
特別史跡地外についてでございますが、大型首長墳である天王塚古墳については、平成26年度から発掘調査や墳丘測量を実施してございます。これらの成果をもとに、文化庁とも協議しながら、特別史跡の早期追加指定に向けて今後とも着実に進めてまいります。
岩橋千塚古墳群には、日本最大級を誇る800基以上の古墳が密集し、全国に類を見ない石のはりを持つ石室、国内初の埴輪が3例出土するなど、当時の和歌山の独創性がうかがえます。こうした全国的にも貴重な特別史跡を擁する紀伊風土記の丘が県民の皆様にとってより魅力ある史跡公園となるよう、一層努力してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきまして、ありがとうございます。
教育長は、宮崎県の西都原古墳というのは御存じでしょうか。行かれたことはございますか。ぜひ行っていただきたいと思うんですけども、古墳としての特別史跡というのは全国で2つしかない。これ、よく言われるんですけども、そのもう1つが宮崎県の西都原古墳でございます。僕も、昨年でしたけども、行かしていただきました。大変きれいで驚きました。
和歌山県の紀伊風土記も、先ほどもお話ししましたように、22万人の方が見学に来られているということでございましたけども、これは、和歌山は山合いにこういうふうにあるんですね。ところが、西都原古墳というのは本当に平たんというかフラットな形で、上から見渡しても非常に見渡しやすいし、なじみやすいと思うんですけども、何といってもそこの博物館がきちっとされてると思います。
まずは、いろんな展示、資料を含めまして、やっぱり資料館をどういう資料館にしていくかという、この構えも非常に大事だと思いますので、これはこれからの整備計画の中でしっかり取り組みをお願いしたいと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
2つ目の質問に入らせていただきます。
生活困窮者自立支援について質問させていただきます。
地方創生の議論の中で、人口増加や経済成長が優先されがちです。もちろん、今日までの経済成長が豊かさと繁栄をもたらし、人口も増加してきたわけですから、人口減少に歯どめをかける努力は大事なことですし、若者を和歌山県に回帰させ、人口減の中で社会減に歯どめをかけることは大いに賛成です。
しかし、人口や経済は、それ自体が地方創生ではないはずです。日本人の価値観は、既に物質的豊かさから生活の質の向上へと変化しており、各地域の特色を生かして生活の質の豊かさを向上させていく必要もあります。そして、より成熟社会へ進むためにも、格差是正という機能を働かせる社会の知恵が求められております。
総務省が5年ごとに行っている就業構造基本調査によると、和歌山県では、平成19年と平成24年を比べると、正規就業者数が6%減り、非正規就業者が7.3%ふえ、雇用者に占める非正規率は38.5%、3%ふえている状況です。生活保護率も高齢者を中心にふえ続け、保護率は15.57パーミル、特に和歌山市の24.93パーミル、御坊市が26.42パーミルとなっております。
生活困窮者自立支援法が4月から施行されました。今までは、福祉とは働くことができない人たちのもの、雇用とは福祉を必要としない人たちのものという考え方がありました。しかし、現在は福祉的な支援があると就労を実現できる人がふえております。その大きな役割を担うのが、生活困窮者支援制度だと考えております。
NHKの「視点・論点」での中央大学・宮本太郎教授の説明によると、日本では、所得が平均的な水準の半分以下の相対的貧困と呼ばれる層が16.1%に達し、特に現役世代の単身女性は3人に1人が相対的貧困になっているそうです。そして、その貧困が支え合いや頑張りにつながるのではなく、逆に孤立や諦めを生み、そのためにますます貧困から脱却できなくなるという悪循環を生んでいるようです。
20歳から59歳までの未婚の無職者で家族以外とのつながりがほとんどない人が162万人に上り、そのうち4人に1人が生活保護の受給を希望しているとの研究結果もあるようです。一方で、生活保護にまでいかないが、生活に困窮している方もふえているのも現実でございます。
和歌山県では、制度が施行される前の前年から生活困窮対策の取り組みを進めていただいております。どのような成果があったのか、その実績についてお伺いをしたいと思います。また、2点目に、今後、制度のきめ細やかな周知についてはどのようにお考えになるのか。3点目、関係部署や関係機関との連携強化をし、早期発見、早期支援の体制構築等、自立相談支援事業をどのように進めていかれるのか。そして4点目に、相談した後の出口戦略として重要な任意事業、特に就労支援についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
以上、4点まとめて福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 御質問の4点まとめてお答えいたします。
生活困窮者自立支援の取り組みですが、昨年度に国のモデル事業の実施により各振興局に相談員を配置し、町村に在住の経済的にお困りの方への相談対応を行ったところです。
実績は、113名の方から延べ352件の相談がありました。主な相談は、生活相談、就労相談が全体の7割を占めている状況となっています。また、このうち、相談により他の機関につなぎ困窮状態から脱却された方が11名であり、生活に逼迫されていた51名の方には生活保護の適用を行ったところです。
次に、きめ細かな周知ですが、利用者向けリーフレットを作成し、関係機関を通じて広報を行うとともに、生活困窮者の早期発見を図るため、相談員が地域の民生委員を訪問し、制度の周知を行っています。
次に関係部署との連携ですが、特に町村の窓口は住民に最も近い行政窓口となっていますので、町村から情報提供があった場合は、速やかに相談員と生活保護のケースワーカーが町村や家庭訪問に出向くことで相談に対応しています。
次に就労支援ですが、生活困窮者の個々の状況に応じてステップアップできる和歌山県独自の支援を行うことで困窮状態からの脱却を図りたいと考えています。具体的には、まず就労準備支援事業として、福祉施設でボランティア活動ができる場を提供し、次のステップでは、就労訓練事業として働きながら訓練が受けられる場を提供します。最終的に能力が向上された方は、就労支援員がハローワークに同行し、求職支援を行うこととしています。
県としては、生活困窮者の早期自立を図るため、関係機関との連携を図りながら各種支援事業を積極的に実施してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 いろいろとお答えいただきました。
生活困窮者と一口に言いましても、経済面や家族関係、精神的な問題など多くの理由があると思いますし、複雑に絡み合っている場合があると思います。そのような人たちは、なかなか声を上げられずに支援にたどり着けなかったり、既存の制度では救済されず社会的に孤立したりしているケースが少なくありません。就労だけが法律の趣旨ではありません。新たな人生に挑む人に寄り添えられる法律になっています。また、積極的にそのチャンスを提供していける体制こそ必要だと感じておりますので、これは要望とさせていただきたいと思います。
続いて、3番目の自転車の改正道路交通法についてお伺いをしたいと思います。
本年6月1日から、自転車で危険な運転を繰り返す人への対策が強化されました。酒酔い運転など14項目の悪質運転危険行為、3年間で2回以上、悪質運転危険行為で摘発された自転車運転者に講習が義務づけられました。危険行為をした運転手は、警察官から指導、警告を受け、従わない場合には交通切符を交付されます。交通切符が3年間で2回以上交付されると、和歌山県公安委員会から受講命令が出され、3カ月以内に自転車運転講習を受けなければなりません。講習は、14歳以上が対象で3時間、自分の運転がいかに危険だったかを気づかせ、改善を促す。受講するには、手数料として5700円を用意し、運転免許センターや各警察署など、指定された会場へ行かなければなりません。講習を受けないと5万円以下の罰金が科せられます。
悪質運転危険行為の中にある安全運転義務とは、ハンドルやブレーキを正確に操作し、周りの状況に応じて他人に危害を与えない速度と方法で運転をしなければならないというものであります。具体的には、スマートフォンの操作や音楽を聞きながらの運転、傘差し運転、2人乗り、他の自転車との並行運転などで、注意を欠き、事故を起こした場合が違反になると想定されています。
罰則強化の背景には、交通事故全体に占める自転車事故の割合が2割程度で高どまりしていることや、自転車事故の死傷者の6割超が信号無視などの法令に違反していることがあります。自転車事故で被害者に後遺症を負わせた結果、数千万円の損害賠償を課された判例などを踏まえ、深刻な事故を抑制する狙いもあります。あわせて、警察庁は、自転車保険の加入も勧めています。
近年、悪質で危険な自転車運転者が急増し、事故やトラブルが後を絶ちません。2015年版の「交通白書」によると、昨年の自転車、乗用車の死者及び負傷者は10万8538人になりました。大変驚きです。このような悪質な自転車運転者に交通ルールやマナーを徹底するために改正道路交通法が施行され、自転車ルールに今注目が集まっています。
違反行為とされる14項目は、信号無視、通行禁止違反、歩行者用道路での徐行違反、通行区分違反、路側帯通行時での歩行者通行妨害、遮断機のおりた踏切への侵入、交差点で右折する場合の直進車の妨害、交差点での優先車妨害など、環状交差点の安全通行義務違反、指定場所一時不停止等、歩道通行時の通行方法違反、ブレーキ不良の自転車運転、酒酔い運転、携帯電話を使用するなど安全運転義務違反などとなっております。
自転車の危険運転について、余りにも今まで野放しでした。免許も必要なく気軽に乗れるがゆえに、大きな事故やトラブルにつながる可能性が高いのも現実です。大人だけじゃなく、子どもが引き起こす事故も絶えません。自転車の危険運転や危険行為の取り締まりにおくれていた日本の警察も、やっと本気で動き出したという感じでございます。しかし、海外と比較しても始まったばかりです。
そこで、まず警察本部長にお伺いいたします。和歌山県の自転車が関係する事故の状況について御説明をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長下田隆文君。
〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 昨年中の本県における自転車の交通事故の発生件数は509件であり、全事故の約12.4%を占めている状況にございます。
交通事故の発生形態につきましては、交差点における出会い頭事故が多く、自転車側の原因といたしましては、安全不確認が最も多い状況となっております。そのうち、亡くなられた方は4人であり、うち3人は自動車との衝突事故、他の1人は飲酒運転による単独事故によるものでございました。
また、昨年中の自転車と歩行者の事故は9件発生し、歩行者のけがの状況は、重症が4人、軽傷が5人でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 和歌山県の自転車が絡む事故について、いろいろお聞きいたしました。
やっぱり全国的な数字と同様、和歌山県でも自転車が関係する事故というのは大変多いというふうに、今のお話を聞いて思いましたけども、例えば、自転車は軽車両であるため、車道と歩道の区別がある場所では原則として車道の進行方向左側を走らねばなりません。しかし、自転車歩道通行可の標識があれば通行可とされています。
写真をちょっと用意さしていただきました。市民の方が自転車を利用し、通行している何げない場所ですんで、参考までに使わせていただきましたことを御容赦いただきたいと思います。
私なりに疑問を感じる自転車の走行ぐあいですけども、まず1番目、自転車歩道通行可の標識がある歩道で自転車2台が並走している状況です。2点目に、これは右側通行している自転車の状況です。そして3点目、これは自転車歩道通行可の標識がない歩道です。狭い歩道となっております。自転車の方が、左側通行の方と、歩道のほうで右側通行されてる自転車の方がいらっしゃいます。4点目、これは自転車専用通行帯があるにもかかわらず歩道を通行している箇所でございます。
この例示したケースについて、道交法上での御判断をお示し願いたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長。
〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) まず1番の自転車が並進する行為は、道路交通法第19条に、自転車などの「軽車両は、軽車両が並進することとなる場合においては、他の軽車両と並進してはならない」旨、定められており、また、同法第63条の5に規定されている並進可の道路標識が設置されていないことから、違反となります。なお、和歌山県には、並進可の規制はございません。
次に、2番の自転車が道路の右側を走行する行為は、道路交通法第17条第4項に「車両は道路の中央から左の部分を通行しなければならない」旨、規定されておりますので、違反となります。
3番の自転車が歩道を通行する行為ですが、道路交通法上、自転車は原則車道を通行することとされておりますが、歩道通行可の標識があるとき、また、運転者が児童、高齢者や身体障害者等、車道を通行することが危険であると認められるとき及び交通の状況に照らして歩道通行がやむを得ないときは歩道を通行することができる旨、定められております。この場所には自転車の歩道通行可の標識はありませんが、違反とならない可能性もございます。
4番の自転車専用通行帯についてですが、道路交通法第20条第2項には、公安委員会が道路標識を設けて通行区分を指定した道路においては、その通行区分に従って、その指定された車両帯を通行しなければならない旨、規定されており、この場所には普通自転車専用通行帯が設けられていますので、歩道の走行は違反となると考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、いろいろ御説明いただきましたけれども、この2の場合は、平成25年の12月から道路の左側部分にある路側帯に限定されておりますので、不可ということだと思いますけども、先ほどの3については非常にややこしいというか、例えば年齢だとか、そのときの状況だとかということになろうかと思いますけども、一々「お年は」というふうに聞くのもなかなか聞きづらいと思うんですね。
だから、近年、何度か道路交通法が改正をされてきてます。ちょっとわかりにくいという面での自転車の改正道路交通法に伴う啓発、そして、先ほどから申し上げましたように悪質な場合の摘発、これを今後どのようになさるのか、警察本部長のお考えをお聞かせください。
○議長(前芝雅嗣君) 警察本部長。
〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 警察といたしましては、従来から、関係機関、団体と連携した小中高校生等を対象とした自転車交通安全教室、登下校時の中高生や高齢者等に対するセーフティーカードを利用した街頭指導活動など、自転車の交通安全のための活動を積極的に行っているところでありますが、自転車は子供から高齢者に至るまで利用者の範囲が広く、交通ルールに関する知識が十分でない人も利用しており、正しい自転車の乗り方や通行ルールを県民に広く周知することが重要と考えております。
したがいまして、今回の自転車運転者講習制度の施行を自転車の交通事故抑止の絶好の機会と捉え、自転車の運転者が交通ルールを遵守するよう、交通安全教育を初め、広報啓発活動や街頭指導活動をより一層行ってまいりたいと考えております。
また、指導、警告に従わない者、交通事故に直結するような危険または悪質な行為に対しましては、検挙措置を講じてまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 いろいろ御答弁いただきました。
次の質問に移りたいと思います。
4点目に、社会福祉法人おもと会の監査についてお聞きしたいと思います。
知的障害者施設おもと園を運営する社会福祉法人おもと会が県から特別監査を受け、全役員の交代と運営体制の改善を指導されていることが明るみになりました。新聞報道によると、入所者から入所施設名目で集めた資金約7000万円の大半をレストラン建設やジュース工場などに無断で流用し、規程や定款の違反を繰り返していた、ジュース工場はできたものの、レストランは資金不足から工事が中断され基礎工事のまま建設がとまっている、平成26年5月には前園長が入所者に借入金の返済猶予を認めさせる内容の覚書を提出させている、ずさんな計画、ここまで違反を重ねるのは前例がないと、県は8月の29日から一般監査を3回、その後、特別監査を2回行い、平成27年3月11日、社会福祉法人おもと会理事長宛てに、監査による事実確認、問題点、そして指摘事項をまとめ、「特別監査の結果について」を福祉保健部長名で発行しています。
それによりますと、1つ、おもと園グループホーム建設委員会という架空名義を装って法人会計の簿外処理で建設を進めた。杜撰な計画によりレストラン建設の中断が余儀なくされている。このことは社会福祉法に違反している。
2つ、ジュース工場及びレストラン建設に当たっては、理事会や理事長の承認を得ずに園長のもとで設計書や見積書のないまま複数業者に随意契約で発注がされ、レストラン建設の着手金として3000万円を請求書等の挙証資料もなく支払っていた。
3点目、グループホーム入居時に利用者から法律の基準に違反して入寮金を徴収していた。
4点目、理事会、評議員会での審議についても、定款や諸規程に違反していることを知りながら承認している。
5点目、監事の役割についても、不適切な事実があることを知りながら何ら言及を行っていない。監事としての役割が果たされていない。
6点目、借入金の返済については、ジュース工場及びレストラン建設の資金に充てたため、大半の利用者に対して返済されていない。また、不利な内容の覚書を提出させているが、その際、利用者や保護者に対し、十分な説明を行っていない。
そのほか、理事会や評議員会の運営について、その議事録についても規程に違反しているなどとし、法人運営が適切に実施されるよう、全役員の交代も含め、組織体制の見直しと諸問題の原因を究明し、法人運営の健全化に向けて、外部委員で構成する検証委員会を速やかに設置し、その責任の所在を法人として明確にした上で、期限を平成27年6月11日と定め、改善計画を社会福祉法人おもと会に求めました。
今回の事件は、2つのルートからの通報でした。昨年8月3日、外部から不正行為等通報書メール。これは、主に社会福祉法人監事が、職員らが指摘した違法行為を黙認し、評議員会に報告する義務を果たしていないなどとする内容でした。2つ目は、8月1日、町への通報があり、虐待の疑いがあるという内容だったようであります。この2つの通報で県が動き出し、一般監査、特別監査、そして虐待の問題では聞き取りから任意調査、障害者総合支援法11条調査、48条調査を行い、虐待を認定、改善措置の実施を求めています。
県は、これまで、この法人に監査を行う中で、最近では平成21年、平成23年、そして平成24年と指摘事項が繰り返されてきていました。事件が発覚する前年の平成25年の監査では、指摘事項なしとなっています。この年にジュース工場が完成されていたわけです。なぜ、通報されるまでわからなかったのでしょうか。
また、障害者総合支援法に基づく監査においても、指摘事項や指導事項が繰り返されており、数年にわたり指摘や指導の改善が見られないケースも多々あり、法人の体質もさることながら、監査のあり方にも反省が残るのではないでしょうか。
県の責務について問題がなかったのか。また、社会福祉法人は、その性格上、透明性や法と定款にのっとった運営、会計基準に合った経営処理を要求されております。法人としての責務についてどのように考えているのか。改めて福祉保健部長にお示しをいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県では、法人や施設の運営について定期的に監査を実施してまいりましたが、今回のような不祥事が発生したことは、監査の方法について反省すべき点があると考えています。
また、社会福祉法人は、設立目的に沿って理事が関係法令や定款等を遵守して業務執行に責任を持つものであり、監事は理事の業務執行の状況等を監査すべきものであるにもかかわらず、その両方が行われていなかった結果であると考えています。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 2つ目の問題に入りたいと思います。
おもと会の新たな事実として、園内で虐待の事実が確認されました。県の指導により、虐待防止改善計画書がおもと会側から提出されております。その虐待の事実について、県の調査ではどのような事実が確認されているのでしょうか。通報から時間がかかっております。この間、どのような対応を講じてきたのでしょうか。福祉保健部長、御説明ください。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 今回の虐待事案の経緯について説明いたします。
昨年8月1日に有田川町に通報があり、町において事実確認を実施し、9月11日に虐待の疑いがあるということで県に報告があり、通報内容について、関係市町と連携し、法人や利用者に対する事実確認の調査を実施してまいりました。
その過程の中で新たな事案が判明したため、その事実確認を行った結果、従業者が利用者からたたかれた際にたたき返したという身体虐待や、無断外出しないという誓約書を掲示するという心理的虐待など、3件を虐待と認定しました。これをもとに、本年3月11日に法人に対して改善報告を求め、6月10日付で法人から虐待防止改善計画書が提出されたところです。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御説明ですけども、おもと園の虐待防止改善計画書によりますと、1つ、支援技術、人権感覚の未成熟、障害者虐待防止法についての無知からくる認識不足、2つ、職員間の不仲により連携相談体制の未構築、3点目、家族からの信頼失墜が大きな課題としてあることに法人が長きにわたって気づかなかったことも大きな責任があるとされております。
また、これまで職員から前園長に対して利用者への支援方法等の上申をしても、面倒くさいことは全て却下であり、逆らえば退職に追いやられてしまうことをこれまで目の当たりにしてきているので何も言えない状況が続いてきたということであります。このことが虐待の温床になっていたと言わざるを得ません。
知的障害者への虐待では、最近、山口県下関での事件の報道がありました。今後、この虐待についてどのようになさるおつもりか。再度、福祉保健部長のお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 障害者の虐待を防止するためには、施設関係者が研修を繰り返し受けることにより、障害者の人権や障害者虐待の問題について高い意識を持つことが重要であると考えます。そのため、指導監査において、施設における虐待防止の研修会の実施状況や実施体制の確認を徹底してまいります。
また、市町村や施設関係者等に対し、権利擁護への理解を深め、資質の向上を図るため、県が実施する研修会等を充実させることにより虐待を未然に防止してまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の問題についてお聞きしたいと思います。
2つの検証委員会の報告と、法人としての改善計画が出されたわけでございます。県は、この報告と改善計画をどのように評価をなさるんでしょうか。福祉保健部長にお答えいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 法人運営に関する改善計画には、理事会を中心とする組織統制確立の方策や役員の交代、役員の資質向上策等が盛り込まれておりました。
また、虐待防止改善計画については、虐待を未然に防ぐための方策、早期発見の取り組み、関係機関との連携協力体制、虐待が発生した場合の対応などが盛り込まれておりました。
いずれの改善計画も、おおむね県の指摘した内容に対応したものであると考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次の問題に移りたいと思いますけども、一番――私が、今度の問題で、結果が出た後の処置ということで、大変気になる点でございました。保護者へのヒアリングは十分だったとお考えですか。特に、この知的障害者への虐待については許せる行為ではありません。保護者への不安を解消する必要もあろうかと考えます。県としてどのような対応をお考えになりますか。これも福祉保健部長にお聞きしたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 関係者からの聴取方法を定めた県障害者虐待対応マニュアルでは、障害者本人、その他の利用者、事業所職員への聞き取り調査を実施することとなっており、保護者からの聞き取り調査は実施することとなっておりませんが、保護者への不安を解消するため、法人に対して保護者へ説明するよう指示しているところです。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御答弁から、保護者からの聞き取り調査は実施していない旨のことでございました。それは、やっぱり私もおかしいと言わざるを得ないと思います。今までのこの園の成り立ちを見ますと、おもと会は、利用者や保護者らの厚い支援によって、行政に極力頼らず、みずからグループホームを建設し、運営をしてきた歴史があります。そんな中で、被害者である保護者が置き去りにされていることは大変残念なことだというふうに指摘をしたいと思います。
おもと園の保護者会有志一同として要望書も預かっております。「おもと園生と私たち保護者は本当に悲しい思いをしてきました」という書き出しの要望でございました。
この検証委員会、そして改善計画等の指導を見てみますと、本当にまだまだという感じがしてなりません。本当にそういう意味では、保護者に対してもしっかりとした説明や、今後もこの方々に支えていただきながらおもと会という運営をしていかなきゃいけない、そういうことでございますので、風通しのいいというか、そういう運営を県のほうからしっかり指導していただきたいなと、こういうふうに思うところでございます。
次の問題に移りたいと思います。
5点目に、特別監査を行い、検証委員会から報告がありました。そして、改善計画が提出されました。県の受けとめ方は先ほどお聞きしましたけども、今後、二度と起こらないようにする防止策と、法人とのかかわりについてどのように考えておられるのか。これも福祉保健部長、御説明をいただきたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 今後、県としては、提出された両改善計画が着実に実施されるよう、引き続き法人を監督してまいります。
なお、法人運営について法令遵守の規程の策定など、県の指摘した内容に対応してない事項については、計画に盛り込むよう指導してまいります。
また、虐待防止については、虐待防止研修の実施状況や実施体制の確認を徹底してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 県行政の限界というんでしょうかね、そういうものをちょっと感じてならないんですけども、社会福祉法人を監査する、これは県の責務だと思いますし、今後の監査のあり方について知事にちょっとお聞きしたいと思います。
県所管の社会福祉法人は88法人、そのうち障害者の関係が23法人と伺っています。今度の事件も、通報によって明るみになったケースです。人事の異動により、初めて検査員として法人に赴く方もおられるでしょう。虐待などの場合、公務員のマニュアルどおりでは本当に発見できないことが多いのではないでしょうか。今後の監査のあり方について、仁坂知事の御所見をお伺いします。
○議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 社会福祉法人は、社会福祉事業という極めて公益性の高い事業を行う法人でありますので、いろいろと大いに優遇されてるところもあります。したがって、それにふさわしい運営において高い倫理性と透明性が求められるものであります。しかも、それを保証するものとして県の監督というのがきちんとついているはずでございます。それなのに、今回のような事件を起こしたことは、まず法人として憎むべきものがあるというふうに思いますが、県の指導もまことに甘くて、大いに反省をしているところでございます。
先ほどの保護者への聞き取りのように、実情と必要に応じて、やろうと思ったら幾らでもできるのに、マニュアルに書いてなかったからということでやらなかったというような形式的になりがちなところがどうもあるなあというふうには日ごろからいつも思ったりしてるんですが、特に本件については大いに反省をして、監査の方法を見直し、その見直した方法に基づいて社会福祉法人の監督を厳しく監視していきたいと思っております。
○議長(前芝雅嗣君) 多田純一君。
〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 ありがとうございます。
先ほど申し上げましたように、やっぱりマニュアルどおりというのは、どうもいけないんじゃないかと思うんですね。やっぱり聞き取り調査ですから、そこには技術力というかノウハウというんでしょうか、そういうこともあるでしょうし、ただ単に初対面でなかなか聞き出せないと思うんですけども、そこらをしっかりと、どういう聞き方をすればこういう話が展開してくるということも含めて、やっぱりこちら側の県側の技術力を磨いていただきたいなと思いますし、今、知事がおっしゃっていただいたようにマニュアル行政では困りますので、その点しっかり、今後、おもと会の発展を本当に願いながら質問させていただきました。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時48分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
12番濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、こんにちは。
2期目の最初の議会で質問の機会をいただきまして、本当に心から感謝を申し上げます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
まず初めに、国際交流の推進についてであります。
メキシコ、アメリカ、カナダ訪問についての報告をさせていただきます。
中村議員、山田議員、花田議員、藤山副議長、そして私の5名の議員は、仁坂知事とともに、本年4月21日から27日までの日程で、メキシコ合衆国、アメリカ合衆国及びカナダを訪問してまいりました。4つの在外県人会を駆け足で訪問するという非常にタイトな日程ではありましたが、それぞれの県人会において県人会の皆様を激励するとともに、先人の功績と遺徳を顕彰し、交流を図るなど、大変有意義な訪問でありました。
4月22日、メキシコシティーの日墨会館で開催された在メキシコ和歌山県人会創立30周年記念式典には、和歌山県出身者及びその子弟を初め、駐メキシコ日本国大使、現地日系団体幹部、そして現地政府関係者ら約120名が出席いたしました。その式典で、中村議員が出席議員を代表し、祝辞を述べたほか、本県出身である80歳以上の長寿者2名に議会より祝い品を贈呈するなど、本県出身者へ激励を行いました。
また、テラモト県人会元会長から、メキシコにおける移民の歴史や和歌山県人の歩みについてのプレゼンテーションが行われ、改めて和歌山とメキシコの深い関係に感銘を受けたものであります。
式典後に行われた祝賀会では、本県出身者らとの交流を楽しみました。特に、4世、5世の子供たちによるわかぱんダンスの披露では、会場から大きな拍手が起こり、大変ほほ笑ましい光景であり、和歌山のパンダをしっかりとアピールしていただいたように感じました。
次に、翌4月23日、アメリカのシアトル市、シアトルセンターで開催されたシアトル紀州クラブ創立110周年記念式典には、県人会員等約50人から歓迎を受ける中、山田議員が代表し、祝辞を述べたほか、長寿者9名や和歌山県との交流に貢献した功労者5名へ議会より祝い品を贈呈するなど、本県出身者に激励を行いました。
その式典会場には、和歌山の観光写真パネルが飾られるとともに、県内企業によるオレンジジュース、梅酒、梅干し、しょうゆなどの県産品を振る舞うブースが設置されており、本県出身者は、和歌山の雰囲気を堪能し、故郷を懐かしんでおられました。また、式典後の懇談では、本県出身者と交流することにより、県人会と本県とのつながりの深さを改めて実感した次第であります。
また、翌24日、現地日系社会最大の祭りでありますシアトルサクラ祭り・日本文化祭開会式に参列するとともに、その会場を見学いたしました。日系人が作成した切り絵、生け花、書道などの作品を拝見する中、シアトルの日系人が日本文化をしっかりと引き継ぎながら日米文化の相互理解に寄与していることに感銘を受けたものであります。
次に、翌4月25日、カナダのリッチモンド市内で開催されたB.C.州和歌山県人会創立50周年記念式典に、和歌山県出身者及びその子弟、在バンクーバー日本国総領事初め、現地日系団体幹部、現地政府関係者ら約150名が出席されました。その式典中、中村議員が議員を代表して祝辞を述べたほか、本県出身者の長寿者等146名や功労者27名に議会より祝い品を贈呈いたしました。
また、式典には、リッチモンド市長や市会議員を初め、多くの団体関係者が出席しており、B.C.州和歌山県人会の社会貢献が着実に実を結び、評価されているあかしであると、同じ和歌山県人として大変うれしく、誇りに思う式典でありました。
これらの県人会記念式典のほか、メキシコへの途次、アメリカのロサンゼルス市に立ち寄り、南加和歌山県人会主催の歓迎夕食会に参加いたしました。県議団のロサンゼルス訪問は、2011年に開催されました南加和歌山県人会創立100周年記念式典以来の訪問であり、旧交を温めることができました。また、県人会は紀の国わかやま国体に合わせた里帰りを計画されており、9月、和歌山での再会の約束を交わしました。
このほか、メキシコの戦没者慰霊碑への参拝やアメリカのワシントン州日本文化センターの訪問、カナダのブリティッシュコロンビア州スティーブストン周辺の視察等、移民関連の施設を訪れ、先人の御労苦に思いをはせたところであります。
また、アメリカのシアトル市にあるビーコンヒル消防署を訪問いたしました。この消防署前には濱口梧陵の「稲むらの火」のストーリーを刻んだモニュメントが設置され、津波防災の大切さを伝えています。ウィンドル消防署長等と懇談する中、濱口梧陵は当議会初代議長であり、ゆかりの深い人物であることを紹介するとともに、お互いに津波防災の大切さを再確認したところです。
今回の各地訪問において、いずれの県人会の方々も、今、日本や我が県が抱えている少子高齢化や過疎化などの課題について、テレビやネットを通して見聞きするたびに我が事のように心を痛められており、ふるさと和歌山の発展を遠い海外の地において強く願っていただいていることを肌で感じました。和歌山は、我々だけのふるさとではありません。彼らのふるさとでもあります。改めて、本県の発展のために鋭意努力する決意をした次第であります。
また、県人会運営における課題で、今回訪問した各国県人会に限らず、昨年訪問したブラジルの県人会の役員の方からもお聞きした課題でありますが、最初の移住者らは生粋の和歌山県人でありましたが、その後の2世、3世の人たち、もっとその後になりますと、現地の人や他府県の日本人との婚姻により和歌山県とのゆかりは徐々に薄らいでいくことから、県人会への参加者は減少傾向にあります。したがいまして、活動自体において高齢化が深刻な問題となっているとのことであり、この打開策としては、若い世代と本県とのつながりを深めることに工夫をすることではないかと考えます。
既に県では、海外に移住した県人会の子弟を県内の一般家庭に受け入れ、日本や和歌山県の文化、習慣を理解してもらうとともに、みずからのルーツを再認識してもらうために、交流の機会を支援する取り組みも行われています。昨年、私もブラジルとメキシコから訪れた2人の男の子の県議会表敬訪問に同席させていただきましたが、引き続き、文化的、経済的な交流も含め、より積極的な取り組みを要望いたします。
最後に、各公式行事の実施に当たり、在メキシコ和歌山県人会のワキダ・ギジェルモ会長、シアトル紀州クラブの佐々木タヅエ会長、B.C.州和歌山県人会の水田治司会長、そして南加和歌山県人会の有地敏廣会長を初め、多くの関係者の皆様に大変お世話になりました。この場をおかりして改めて感謝申し上げ、メキシコ、アメリカ、カナダ訪問についての報告とさせていただきます。
続きまして、次の質問に入らせていただきます。
中国から本県への誘客についてであります。
去る5月21日からの日程において、自民党・二階俊博総務会長の発案と強力なリーダーシップにより実現に至った日中観光文化交流団は、総勢3216名もの大型訪中団となり、広州、北京、大連を訪れ、さまざまな交流行事や事業を展開いたしました。吉井議員、中村議員、花田議員と私も北京から合流し、レセプションや表敬訪問、視察などの行程に参加してまいりました。
中でも一番感動を覚えたのは、日本でも大々的に報道されましたが、5月23日夕刻、北京市内にある人民大会堂にて催された大交流会でした。
開会前には両国を紹介する映像などが映し出され、和やかな雰囲気の中、二階名誉団長とともに習近平国家主席が登場すると、場内の空気は緊張感とどよめきで一変しました。
まず、習近平主席の演説が、「友あり遠方より来る、また楽しからずや」という中国の大思想家・孔子の言葉から始まりました。両国の歴史上の人物の功績や残した言葉を振り返りながら、また、両国が争った後、政治的決断によって日中国交正常化が実現され、新たな時代が開かれたことなど、これまでの日中間の文化的友好と歴史的つながりを話されました。
また、日中友好の基盤は民間にあり、両国関係の発展が順調でないときほど両国各界の人々が積極的に行動する必要がある、また、「前の人が木を育て、後の人が木陰で涼む」という言葉を紹介、両国の若者同士が友好の信念を固め、積極的に行動し、絶えず友情の種をまき、日中友好を大樹に育て、木々が生い茂る森林にし、両国人民の友好を子々孫々続けることを心から期待していると結びました。
それを受け、二階名誉団長からは、日中関係を支えているのは時々の政治情勢に左右されない民間レベルの深い人的関係だと、これまでにも日中間の観光交流や地方交流、さらに青少年交流、防災分野での技術協力等、全力で取り組んできたこと、また、今回の3000人を超える訪中団の意義は、参加者の一人一人がみずからの意思で参加したところにあり、民間大使として日本側の熱い思いの象徴であると述べられました。
そして、習近平主席と同様、日中友好を継続するためには青少年交流の推進が重要であると述べられるとともに、東日本大震災で被災した500人の子供たちを中国の海南島に招待していただいたことへの感謝と、お返しに500人の中国の子供たちを日本へ招待したい旨の提案がなされました。
今回、一連の訪中事業は閉塞感が漂う日中関係を打開する大きなきっかけになると、大いに期待と確信を抱くところであります。継続的な友好関係を築くことは、お互いの国にとって大変メリットのあることであります。特に、大連市を訪れたときに感じた日本や日本人に対しての友好的な雰囲気は、決して取り繕った態度ではなく、心からの歓迎だったと感じております。
また、大連市の名誉市民でもある二階代議士に対しては、皆、「お帰りなさい」と満面の笑みを添えてこの言葉をかけていたのが、何げないシーンではありましたが、印象に残っています。誠意を持って接すれば、国や文化が違っても同じ人間として親しくなれることの証明だと感じました。
以上、訪中団に参加した貴重な体験を踏まえ、中国に向けた誘客の取り組みについてお尋ねをいたします。
日本からの訪中人数は、2007年の397万人のピーク時から徐々に減り続け、2014年には272万人と、ピーク時に比べると実に125万人減少という状況です。
その一方で、観光や買い物を目的とした中国からの訪日人数は増加傾向にあり、2000年の35万人から順調にふえ続け、北京オリンピックが開催された2008年には100万人を突破しました。2011年、東日本大震災の年に37万人減少したものの、その後は大震災前を上回る勢いで、2012年には143万人、2013年には131万人となり、2014年には一気に241万人とはね上がりました。円安の影響、ビザの緩和や航空機直行便の増便により、身近な観光地と感じる状況づくりが功を奏していると思われます。
さて、本県における数字で見ますと、宿泊者数は、2013年の6600人から、2014年には一気に3万7000人と、香港や台湾に比べるとまだ半数程度ではありますが、対前年比3.8倍という驚異的な増加を記録しています。ゴールデンルートを観光するツアーの初日、または最終日に和歌山市内のホテルに宿泊するツアーが増加したことが要因と思われますが、その結果、和歌山市内だけで2万人を超え、前年の4.9倍とのことです。今後、積極的な交流の推進が図られるとすれば、ますます増加が見込める訪日中国人ですが、やはり訪問先としては、東京、京都、大阪などといったゴールデンルートが上位を占めます。
そこで、和歌山県は、自然や文化が満載であること、新鮮でおいしく、なおかつ安心・安全な食べ物が多いこと、環境的にもクリーンな場所であること、さらには、日中友好のシンボルであるパンダもたくさんいる、徐福がさまざまな文化や技術を伝えた地域であるなど、中国とのゆかりが深い場所であるということをアピールし、ゴールデンルートに匹敵する観光地として、訪問の目的が和歌山市内での宿泊だけというのではなく、さらに県下全域に波及することが望まれます。
今後、さらに本県へ誘客するためにどのような取り組みを行っていますか。また、快適に、かつ安心して県内を旅行していただくためにどのような受け入れ対策を考えていますか。そして、本県とは山東省や上海などとのかかわりが多いと聞きますが、親日的な大連市も誘客ターゲットとして加え、戦略を講じることは、大いに本県にもメリットが期待できるのではないかと考えますが、今後、検討されてはいかがでしょうか。それぞれ、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 平成26年の中国からの県内宿泊者数につきましては3万7373人で、前年の3.8倍と大幅に増加したところです。また、中国から日本全国への旅行客数を見ますと、本年1月から4月までの累計で対前年同期比99%増の133万人に達するなど、引き続き大幅に伸びている状況となっています。
中国から本県への誘客につきましては、富裕層の多い北京市、上海市、広東省及び本県と関係の深い山東省、遼寧省をターゲットに、温泉、世界遺産、自然景観及び食をテーマとして、旅行会社及びメディアに対しプロモーションを実施するとともに、メディアを招請し、本県の魅力のPRに取り組んできたところです。
昨年度は、旅行会社に対するプロモーションやファムツアー、メディア取材支援を実施し、本年5月には、日中観光文化交流団派遣に合わせて開催された中国旅行会社との商談会及びビジットジャパンFITトラベルフェアに和歌山ブースを出展し、それぞれ中国旅行会社及び中国人旅行者に対して和歌山のプロモーションを行い、旅行商品の造成及び来県を働きかけたところです。
今後も、これまでのプロモーションで築いた旅行会社やメディアとの関係を生かし、さらなる誘客に取り組むとともに、本県と関係の深い山東省青島市、遼寧省大連市については、現地旅行会社を活用すること等により本県の観光情報を積極的に発信してまいります。
また、受け入れ態勢につきましては、多言語案内表示の整備、Wi─Fi環境の整備、また観光地の公衆トイレ整備などを通じて快適かつ安心して旅行していただける環境づくりに取り組んできたところであり、今後もさらにこの取り組みを進めてまいります。
○副議長(藤山将材君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
政府は、人口急減、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、地方創生を国の最重要課題と位置づけております。本県においても、なお一層、知事を先頭に各市町村が連携して取り組んでいくものと思いますが、私は、地方が活性化するために必要不可欠なものは、やはり道路だと思います。
そこで、2つ目の項目として、県道高田相賀線の佐野・蜂伏地区への延長について質問させていただきます。これについては、平成24年6月定例会一般質問の際にも要望を行いましたが、新宮市の最重要な要望事項でありますので、再度取り上げさせていただきます。
本題に入る前に、簡単にそれぞれの地域について御説明いたします。
まず、佐野・蜂伏地区につきましては、那智勝浦町と隣接した場所で、田園風景が広がる一方、海を望めば新宮港があり、山側は新興住宅地となっています。
新宮市の郊外に位置するこの地域には、現在、さまざまな集客施設が集積しております。主な施設等を挙げますと、蜂伏地区には、もともと市街地にあった新宮市民病院が平成13年に新宮市立医療センターとして建てかえ移転したのを初め、県立なぎ看護学校や高齢者、障害者などの福祉施設、健康増進・スポーツ施設のほか、整形外科、薬局などが建ち並んでおり、新しい住宅や県営住宅などに多くの住民が暮らしている地域であります。
佐野地区においては、我が母校である元県立新宮商業高等学校──現在の新翔高等学校──や運転免許センターがあります。スポーツ施設では、本年9月開催の紀の国わかやま国体において高校軟式野球の競技会場となるくろしおスタジアムが平成15年に完成、女子サッカーの競技会場となるやたがらすサッカー場があります。また、巴川製紙所工場跡地に大型ショッピングセンターが平成17年にオープンし、地元のみならず近隣市町村からも、昼夜を問わず多くの利用客が訪れています。そして、平成20年に開通した那智勝浦新宮道路の新宮南インターチェンジは、それぞれの施設へのアクセスの起点となっております。
一方の高田・相賀地区につきましては、168号から生コン工場横を高田川に沿って進んだところに集落があり、小中学校、障害者施設を初め、乳白色の天然温泉が売りの高田グリーンランドやテニスコート、若もの広場、さらには、高田川を活用した自然プールなどがあり、市民や周辺の人たちが山の自然に触れ合える場所として親しまれております。
現在、その2つの地域をつなぐのは、本宮方面からの国道168号1本が通じているだけで、国道42号と交差する橋本交差点を経由して那智勝浦方面に向かうことになります。
ちなみに、本宮方面から来て市街地へ差しかかる際、橋本交差点は渋滞が慢性化しており、42号へ入り込むまでに3~4回信号を待たなければならないときもあります。
さて、話は平成8年にさかのぼります。佐野地区と高田地区を結ぶ林道を、新宮市が事業主体となって、森林整備の基盤、また緊急時の迂回路として、総事業費30億4000万円、県も20%を負担する中で工事が着工されました。ところが、平成10年に最初の切り取り面に大きな崩壊があり、130メートル進んだところで工事は中断されました。調査結果を踏まえ一旦事業は継続されたものの、その後の再三にわたるのり面崩壊の発生により、平成15年度に工事を一時休止し、全体計画について、起点の見直しや線形並びに幅員などの再検討が行われましたが、頓挫した事業は平成17年に中止され、その後10年が経過したものであります。
過去の議事録をひもときますと、この事業に関して地元議員が何度も取り上げており、経緯なども明らかにされてきたはずですが、地域住民の中には、いまだに工事の再開を信じて心待ちしている人もたくさんおられます。私に対しましても、4年前の初当選以来、この道路建設を強く推進してほしいという要望は後を絶たず、多くの市民の思いを受けとめ、地域発展を図るため、私も熱望する道路であります。
なお、本日も、実現に向けた運動に御尽力いただいている方々も新宮から駆けつけていただいた次第です。
では、この佐野・蜂伏地域と高田、熊野川町の2つの地域が結ばれるとすれば、どのようなメリットが地域にもたらされるかを考察してみます。
まずは、高田地区並びに熊野川町の住民にとってのメリットを挙げてみます。
大規模災害時における緊急物資搬送や救援ルートの確保ができます。4年前の紀伊半島大水害の際には熊野川が氾濫し、168号では至るところで山腹崩壊が発生、高田地区や熊野川町と市街地とのアクセスは寸断されました。そのため、行き来するためには三重県側からのルートをとらざるを得ず、物資搬送やボランティアの人たちも、現地に入るまでに、ふだんは20分前後の距離に1時間も2時間も費やすなど、大変効率が悪かったという状況が続きました。しかし、この道路があれば、そのような状況を招くことはありません。
それに加え、最短ルートとして中核医療機関である新宮市立医療センターへの緊急搬送時間の短縮が図られ、高田地区並びに熊野川町の住民にとっては、より安心な環境をつくる命の道ということになります。もちろん、通院やお見舞い等も容易になるでしょう。
次に、地域全体の現状改善の観点から考えてみますと、先ほど申し上げた橋本交差点の渋滞について、本宮方面から市街地へ向かう車両は168号を直進、佐野・蜂伏方面へ向かう車は新しい道へと目的地に応じての分散化が図られるため、橋本交差点の渋滞はかなり解消されるものと思われます。時間短縮はもとより、スムーズな移動が可能となれば、ドライバーのいらいらや他府県から訪ねていただいた人たちにも嫌な印象を与えずに済むものと思われます。
それから、新宮市も、交流人口の増加を図るために、スポーツにおける大会の開催地や合宿地にという誘致を多分に漏れず行っております。佐野地区にある野球場やサッカー場を使用する選手や関係者の宿舎としては、高田地区にある温泉つき宿泊施設・高田グリーンランドを利用していただくことが多いのですが、そのアクセスについて、遠回りしているイメージで時間がかかり、不便であるとの悪い評判を一掃することが期待できます。
最後に、地域全体の将来に向けたことで言いますと、これから着々と延伸される近畿自動車道紀勢線への直結が可能となれば、高田地区、熊野川町あるいは本宮地区の住民が勝浦・串本方面との行き来がより早くなることはもちろん、熊野三山を初めとする世界遺産を訪れる観光客にとっての利便性も大いに高まります。
以上、さまざまな観点から考えられる地域にとってのメリットの一部を申し上げました。
高田地区と佐野・蜂伏地区が直接つながることにより、大規模自然災害の発生時にすぐれた機能を発揮するだけでなく、双方向における生活環境は劇的に改善され、大いに利便性の向上と安心・安全な地域づくりが期待でき、過疎化が進む山村地域への定住促進にもつながると思われます。また、熊野川町や本宮町も含めた各地域間の連帯感も高まるでしょう。
つきましては、国道42号並びに168号を補完するバイパスとして、地元住民が長い間熱望してきたこの県道高田相賀線の佐野・蜂伏地区への延長を実現させるため、早期の着手を強く要望するところであります。ぜひ、知事の前向きな御答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県の道路整備としては、命の道、そしてチャンスの道として紀伊半島一周高速道路の早期実現を目指すとともに、これを補完するX軸とか川筋とかいうネットワーク道路の整備を重点的に行ってきたところであります。
新宮市域においても、これまでX軸ネットワーク道路として、国道168号越路道路とか日足道路とかを整備いたしまして、移動時間の短縮が図れるとともに大雨時にも安全な通行が確保されるなど、大きな効果が発現されております。
また、本年9月の国体までに那智勝浦道路の延伸部が完成する見込みであるとともに、今月7日には新宮紀宝道路の着手式が行われるなど、さらなる道路ネットワークの充実が期待されております。
さらに、まだまだ脆弱な168号線の一層の強化、強靱化ということが宿題になっておりまして、私も述べておりますが、前向きに考えておりますけれども、濱口議員のただいまの議論をお聞きしておりますと、これはちょっと優先度が低かったかなあと、考え直したほうがよかったかなあというふうに思っております。御指摘の橋本交差点についても、もう事業化が始まっておりますけれども、これも別の解があったのかなあというふうに思っておるところでございます。
一般に、新たな道路整備を行うに当たってはこれまでのまちづくりや地域全体の計画への影響を考慮すべきでありまして、全体のネットワークの中での位置づけや他の地域との連携、交通の流れが変化することによる影響も考えないといけません。道をつくればいいというものではないと思います。和歌山は、かつてはそういう視点が少々欠けていたんではないかというふうに思うところもございまして、そういたしますと、道路投資をしても経済発展になかなか結びつかないということになります。
もっとも、そういうネットワーク上の枠組みのほかにも検討すべき課題は多くあるわけでございます。例えば、災害時の交通の確保とか、あるいは生活の利便性の向上など、さまざまな問題が同時にあるということは申し上げておきたいと思います。
そういう観点から、議員御提案の県道高田相賀線については来年度から調査に入りたい、そういうふうに思っております。その際、こうした地域全体の計画を設計する中で調査を進めていくべきだと考えております。
○副議長(藤山将材君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま知事の答弁をいただいて、まあ調査にはかかっていただけるというお返事はいただきましたんで、それに対しては心から感謝を申し上げたいと思いますが、やっぱり新宮に住んでおりますと、道の数が1本しかないというのがどうしても地域住民の不安につながっているわけでありますし、今、知事がおっしゃったようなこともいろんな課題の中で考えていくべきことだとは思いますけども、この新宮の中で、例えば移動に物すごく時間がかかり、また体力を使い、そういったたくさんの浪費をしている地域におります者としては、もう少し前向きにこの道のことを理解していただきたいと思います。
そしてまた、1回林道をつけようとしたときに、地盤のこともありまして途中で頓挫したという経緯がありましたけども、1回相対的な調査をしっかりとしていただいて、その課題を乗り越えていく、そして住民の要望であります高田と佐野地区をつなぐ道、これを何とか実現に持っていきたい。これは、私のライフワークとしてこれから進めていきますんで、その気持ちを酌み取っていただいて、今後の取り組みに力を入れていただきたいと思います。
以上、質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
1番堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
○堀 龍雄君 議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い、一般質問を行わせていただきます。
その前に、私は、ことし4月の統一地方選で、大先輩のおられた伊都郡選挙区から選出されました堀龍雄でございます。新人の中で一番年上ということで、先にせよと3人の熱い目線の後押しのもと、質問させていただくことになりました。何しろ新人ですので、的を射ないところが多々あろうと思いますけれども、できる限り頑張りますので、皆様のお見守りをいただきまして、質問に入らせていただきます。
まず、他府県から県内への移住促進について、呼び込み対策はどのようにしているのかということについてお尋ねをいたします。
去る6月5日に、先輩議員に連れていっていただいて、移住・交流情報ガーデンとふるさと回帰支援センターで研修を受けました。
移住・交流情報ガーデンでは、居住、就労、生活支援などに必要な情報を提供し、地方自治体や関係省庁と連携して、全国移住ナビを活用し、地方への移住や地方との交流に興味を持っている都市住民や団体に総合的な情報提供の実施をしていました。
NPOふるさと回帰支援センターでは、ふるさとの暮らしを希望する生活者の増加という時代の要請を受け、2002年11月に全国の消費者団体、労働組合、農林漁業団体、経営団体、民間団体や有志などが一堂に集まってこの組織を立ち上げたと説明を受けました。ここでは、地方に一時的に滞在したい、暮らしたい、また、農山漁村と交流したい、地方で働きたいと思っている都市生活者の思いと、それにマッチした地方の紹介をしていました。また、ここでは、田舎暮らしのセミナーなどイベントの開催とともに、来訪者の方にきめ細かく対応しておりました。
そこで、全国に移住者の受け入れを希望している自治体はたくさんあると考えられます。競争率の高い中で、和歌山県を選択してもらえる呼び込みの対策はどのようにしているのか、他府県と比較して優位にする努力と方法はどのように行っているのか、企画部長にお伺いをいたします。
○副議長(藤山将材君) ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。
企画部長高瀬一郎君。
〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 現在、県内では、17の市町村が移住推進に積極的に取り組んでおります。これら移住推進市町村には、地域の住民や先輩移住者をメンバーとする受入協議会がありまして、地域の風習やしきたりなど、田舎暮らしならではのルールを含めてサポートしております。また、市町村役場に移住者の相談事を一手に引き受けるワンストップパーソンを設置するなど、他府県に先駆けて移住推進に取り組んできたところでございます。
主な取り組みといたしましては、東京や大阪などの都市部においてセミナーや相談会を開催したり、起業、就農などの仕事支援や空き家改修支援など、移住者が必要とするさまざまな事業に取り組んでいます。
さらに、地方創生元年となる今年度は、現役世代の移住・定住を加速させるため、全国トップレベルの若者移住者への暮らし奨励金創設を初めとして、東京、大阪のふるさと回帰支援センターへの移住相談窓口の設置、空き家バンクの開設など、移住者を総合的にサポートする移住・定住大作戦を展開しているところでございます。
県としましては、過疎化や担い手不足などを解消し、地域を元気にするため、「和歌山暮らしを希望するすべての人を受け入れる」とまち・ひと・しごと創生総合戦略にも位置づけており、まだ移住推進に取り組んでいない市町村に対しましても移住受け入れを働きかけ、県全体で取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 2つ目の問いに入らしていただきます。
「新規就農者に対する支援は」ということでお尋ねを申し上げます。
両者との話し合いがまとまって、いざ和歌山へ行こうということになり、農業をするに当たって、農業機械や作物の栽培に対する技術のことなど、いろんな課題があると思います。県は、このようなことに対してどのような支援をすることになっているのか、農林水産部長の御答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 新規就農者に対する支援についてでございますが、農業者が減少する中、県内外から広く担い手を確保することが重要であり、県では、年間200人の就農を目標に、さまざまな取り組みを実施しております。
具体的な支援策につきましては、まず、農業を始めたい方には、県農業大学校や就農支援センター等において、農作物の栽培技術や農業機械の操作方法など、受講生の希望に応じた各種研修を実施しております。
また、就農に当たり農地を必要とする方には、従来から実施していた農地流動化対策に加え、昨年度から新たに取り組みを開始しました農地中間管理機構を活用した農地の貸し付けを進めております。さらに、農業経営が軌道に乗るまでの期間は、経営安定化のための青年就農給付金の給付や農業制度資金の活用を働きかけるほか、各地域の普及指導員による営農指導など、自立のための支援を行っております。
こうした施策により就農希望者が地域において円滑に定着できるよう、市町村やJAなどとも連携しながら、引き続き総合的な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 3番目の項目に入らしていただきます。
「もうかる農業を目指して6次産業化への対応は」という題でやらしていただきます。
新規就農してよい作物をたくさんつくっても、利益が上がらなければ生活が安定できません。新規就農者が一定の技術を習得し、生産が安定してくれば、さらなる経営発展に向けて6次産業化への取り組みが重要になってくると思います。
そこで、県の考えはということでお尋ねをいたします。農林水産部長の答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 農林水産部長。
〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 地域に定着した新規就農者の経営が軌道に乗ってくれば、生産だけでなく、加工品づくりや新たな販路開拓に取り組む6次産業化は、所得向上につながる有効な手段であると考えております。
県では、もうかる農業を目指し、さまざまな取り組みを進めているところですが、6次産業化に向けては、平成25年度から和歌山県6次産業化サポートセンターを設置し、事業計画の作成や新商品の開発、マーケティングへの助言など、それぞれの段階に応じてアドバイスを実施する6次産業化プランナーを派遣するとともに、異業種交流会や個別相談会を開催しております。
また、こうしたサポート活動を通じ、農業者が加工業者や流通・販売業者と連携しながら新商品づくりや販路開拓に取り組もうとする場合にはソフト・ハード両面で支援を行っているところであり、これまで、ネギの万能ソースや煎餅、梅シロップ、米粉パンなどの新たな商品が開発されているところです。
6次産業化への取り組みは、所得の増大に加えて地域への雇用効果も期待できることから、今後とも意欲ある農業者を支援してまいります。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 若者定住に対して大変魅力である全国トップレベルの奨励金を、今以上に若者定住者がふえるように願いを込めまして、続けていただきたいなあと、そう思っております。
2つ目の項目に入らしていただきます。
地域づくり活動への高齢者の参画についてをお尋ねいたします。
少子高齢化や過疎化の進行により、地方を取り巻く状況は大きくさま変わりしています。こうした中、全国的に地域の方々の自主的かつ主体的な地域づくり活動として、ふるさとをよくしていこうという思いから、さまざまな立場の方々が担い手となって取り組んでおられます。
特に和歌山県では、豊かな自然、歴史、文化等がありますので、地域の方々の意思に基づき、こうした地域資源を活用しながら自分たちが暮らす地域社会のあるべき姿を築き上げていくことは、大変重要であると思います。
現在、和歌山県の地域づくり活動としては、戦国時代のリーダーに着目して地域の魅力を発信するもの、作物や地元の神社などを活用して住みよい里山を育てるもの、子供の心豊かな成長と伸びやかな発達をサポートするもの、移住者の方と地元の方が協働して新たな移住者の受け入れをするための工夫をするもの、いろいろな分野で取り組みがなされております。
私の地元の伊都郡の天野の里においても、町石道や丹生都比売神社、幻想的に舞うホタルなどの地域資源を生かして、町石道の保全活動、農業体験の提供、ホタルの観賞会やボランティア団体A.S.HによるHOTARU LIVEなど、知識や経験のある方が多くの構成員をよくまとめ、取り組んでおられます。
私は、このような立派な取り組みの中で、高齢者が異なる立場や世代の方々、特に若者とともに活動することは、とても有意義なことであろうと考えております。
ここで、国や県の調べでも、半数以上の方々が、知人、友人、隣人とのつき合いに関心を示しております。地域の活動や社会奉仕、ボランティア活動にも関心を持たれております。高齢者個人に着目したとき、地域づくり活動への参画については、長い間培ってきた人脈、知識、経験などの能力を発揮できる触れ合いの場となり、それが生きがいとなって健康の増進にもつながると思います。地域づくり活動にとりましても、高齢者が参画し、特に若者に対して高齢者の能力が伝承されるということは、地域の最も望ましい形であると考えます。
そこで、現在、県においても、活動実績の顕著な地域づくり団体では、先ほど申し上げた高齢者の人脈、知識、経験などがどのような形で活用されているのか、その活動事例について、企画部長に御答弁を願います。
○副議長(藤山将材君) 企画部長。
〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 高齢者の参画による地域づくり活動事例について、1市町村1産業の確立を目指すわがまち元気プロジェクト支援事業を例にお答えいたします。
まず、九度山町において、真田ブランドを活用した町並みや特産品づくりに取り組んだ九度山町住民クラブでは、豊富な人脈により、短期間で多くの協力者を得て、町が舞台となる人形めぐりが確立されました。これを契機として多くの観光客が訪れることになり、「そば処 幸村庵」の設立に至りました。
また、橋本市では、河南エリア「恋野・学文路」の魅力アッププロジェクトとして、くにぎ広場・農産物直売交流施設組合が往時の技術の継承を通してまぼろしのゴボウ「はたごんぼ」の栽培を復活させ、地域ブランドとして定着しつつあります。
このように、地域振興の推進と地域コミュニティーのきずなを深める上で、人脈、知識、経験などを有する高齢者は、重要な役割を担っていると考えております。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 地域づくり活動に対する県の支援についてという項目で質問させていただきます。
先ほど、高齢者が参画した活動事例を答弁いただきましたが、県や市町村などの行政といたしましても、地域づくり活動に対する支援をしていく必要があると思います。なかなかデータはとりにくいかもしれませんけれども、現時点の地域づくり団体の高齢者割合を示していただいて、県ではどのような支援策を展開し、地域振興につなげていくのか、企画部長の御答弁をお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 企画部長。
〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) 地域づくり活動に対する県の支援施策についてお答えいたします。
さきに答弁させていただきましたわがまち元気プロジェクト支援事業の活用に加え、地域資源を生かした情報発信や住民参加型のイベントなどに対する財源的支援、さらに、過疎地域の再生、活性化を図るわかやま版過疎集落支援総合対策等によって地域づくり活動への支援施策を展開しており、いずれも高齢者が重要な役割を担っております。
現時点において地域づくり団体を抽出して調査したところ、高齢者が約6割を占めており、今後とも、こうした団体を育成することが高齢者の能力の活用につながることから、新しい地域づくり団体の増加の推進と、活動スキルを向上させる研修会や情報交換の機会を提供してまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 高齢者の活躍する場が多ければ多いほど、これもしなければいけない、あれもしなければいけない──活動する場があればかえって忙しいけれども、健康でおられると思います。県の打ち出している平均寿命と健康寿命の差も縮まると思います。そのためにも、高齢者の活躍できる場所を考えていただきますようにお願いを申し上げます。
3つ目の問題につきまして進ましていただきます。紀北地域の観光振興についてということで述べさせていただきます。
高野山開創1200年記念大法会は大盛会に終わりましたが、その経済効果はということで進めさしていただきます。
高野山開創1200年記念大法会が大盛会裏に終了したことは大変うれしく思っておりますし、関係各位の皆様が、あらゆる団体や旅行会社に長い時間を費やして計画を立てて推し進めてくれたおかげだと感謝しております。
私も、距離的に恵まれておりますので、5回ほど、家族や友人と高野山へ参拝いたしました。PRの効果があって、観光客の多さに驚きました。また、事故が起こらないようにと、警備員の多さも目を引きました。おかげで大きな事故もなかったと聞いております。
一番心に残っているのは、壇上伽藍に映し出す光のアートと大太鼓に合わす大勢の僧侶による読経とのコラボレーションでした。今まで目にしたことのない光景でした。このように成功したのも、PRを含める企画構成がよかったのではないかと感じております。今度は、紀北12社寺で行われる紀北キャンペーン秋バージョンも、春と同じように成功することを願っております。
このように、高野山開創1200年大法会にたくさんの観光客が足を運んでくれましたが、高野山だけでなく、そこにつながる交通機関や商店、物産店などの経済効果を商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 高野山開創1200年記念大法会につきましては、既に御承知のとおり、当初見込みの倍となる約60万人の参拝者や観光客が訪れました。その経済効果については、金額的な試算はできておりませんが、高野町を初め周辺自治体や観光関係団体、事業者等からヒアリングを行っております。
まず、高野山内の宿泊客は、宿坊が約50カ所でございますが、天候が悪かった4月第1週を除いて、5月末まで満室の状態が続きました。これを裏づけるように、大手旅行会社の4月、5月の高野山の宿泊実績は、対前年同期比で約176%に及んでおります。
また、公共交通を利用するお客様の指標として、南海電鉄高野山駅の降車人数は、対前年同期比で約251%となっており、特にゴールデンウイークや周辺の休日にはホームが人であふれ、ケーブルカーへの乗りかえや高野山駅でのバス乗車に約1時間待ちの列が生じました。
こうして多くのお客様が高野山を訪れた結果、土産物品店や飲食店については常にお客様が順番待ちの列をなし、飲食店によっては、午後2時ごろには品切れでやむなく閉店する店も多数ありました。
さらに、周辺の観光地へ及ぼした影響ですが、龍神エリアについては、宿泊客が4月、5月の対前年同期比で約24%ふえ、施設によっては満室でお断りをせざるを得ない場合もありました。
また、本宮エリアについては、4月、5月の世界遺産熊野本宮館の来館者は、昨年に比べ2割程度ふえ、観光協会への問い合わせも、高野山からのアクセスなど関係する内容が顕著に多くなったとのことです。
このほか、白浜エリアの大型宿泊施設の幾つかからも、高野山からの団体ツアーを多く受け入れたとの報告をいただいております。
このように、経済効果は、高野町を中心に広く県内の主要観光地にまで及んでおりますが、県においては、一昨年より、高野山開創1200年を見据え、テレビ、新聞、雑誌等のメディアへ継続して発信し、また、昨年の和歌山デスティネーションキャンペーンにおいてメディア、旅行会社、消費者に対して効果的な手法によるプロモーションを積極的に実施したことがこの成果に寄与しているものと考えてございます。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 2つ目の問題です。
大法会が終了後の高野山を含めた紀北地域の観光振興についてということでお尋ねをいたします。
春の高野山記念大法会には、たくさんの観光客が来てくれました。一過性にさせないために、高野山では、金堂の御開帳や天野の丹生都比売神社での宝物の御開帳も予定されております。紀北12社寺を含めた紀北キャンペーンを成功させるためのお取り組みを、商工観光労働部長、お願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 開創記念大法会以降の誘客対策でございますが、本県では、ことしを、大法会期間中も含め、開創1200年イヤーと位置づけ、誘客対策を行っております。大法会期間中に多くのメディアに取り上げられ、認知度も急上昇している今こそが絶好の機会であり、大法会期間中に来訪できなかったお客様や新たな客層を誘客するための事業を展開してまいります。
具体的には、新たな客層の開拓として、京阪神の若い女性層をターゲットにした宿泊プラン「週末は聖地へ、時忘れの旅」と題した1泊朝・昼食つきのプランや、特別企画として10月に再度実施される金剛峯寺の秘仏特別公開など、お手軽感や人気企画、紅葉などを売りに、引き続き、女性に人気のある首都圏の「オズマガジン」や京阪神の「サヴィ」といった雑誌を初め、新聞等のメディアから情報発信や旅行商品化に努めてまいります。
加えて、秋には、阪急阪神ホールディングスグループとのタイアップキャンペーンを実施し、主要駅、電車内での広告、沿線の情報誌など、グループが持つ媒体で高野山の魅力を発信してまいります。
議員御指摘の「いのりとみのりの旅」をキャッチフレーズにした和歌山紀北キャンペーンにつきましては、高野山を含む紀北地域の12社寺を中心に、県、関係自治体、鉄道事業者が連携して実施しているところですが、関係社寺における宝物の特別公開など、秋に向けてさまざまな特別企画の調整を行っているところであり、さきに述べました高野山の売りと一体化したプロモーションを行うことで、高野山を訪問するお客様の紀北地域への周遊と滞在を促進してまいります。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 3つ目の項目に入らしていただきます。
「28年に放映される大河ドラマ『真田丸』への対応は」ということでお尋ねをいたします。
このドラマが放映されれば、その地域に大勢の見物客が見込まれます。この機会をうまく活用し、農産物のブランド化や紀北地域の活性化のためのPRを含めて対策を商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 全国で放映され、年齢層を問わず人気の高いNHK大河ドラマは、主人公やストーリーに関係するスポットへの訪問動機を喚起し、過去の例でも多くの観光客が訪れています。本県では、平成7年に「八代将軍吉宗」が放送され、和歌山城やゆかりの社寺が大いににぎわい、和歌山市を中心に大きな経済効果をもたらしました。
来年の大河ドラマ「真田丸」についても、主人公・真田信繁、通称・真田幸村ゆかりの高野山や九度山がドラマの中で紹介されることから、地元の期待は大きく、特に九度山町では、ドラマ放送に合わせて真田氏に関する資料を見聞できる施設として、新たに、仮称ですが、真田ミュージアムを現在建設中でございます。
県においては、真田幸村が本県にゆかりがあることの認知度を向上させるため、既に各種メディアを介した情報発信や誘客キャンペーンにおいてPRを行っているところですが、引き続き、テレビ、雑誌等での露出などを積極的に行ってまいります。
なお、NHKとは頻繁に接触を持っており、番組内でのゆかりの地紹介における露出拡大や物産品の購買促進に向けたタイトルロゴの使用などについて協議を行っているところです。
また、真田幸村ゆかりの高野山、九度山と、生涯のライバル・徳川氏ゆかりの和歌山を結ぶ紀北地域を広域周遊の受け皿とした観光振興を図るため、県、県観光連盟、関係7市町、関係団体、旅行事業者、交通事業者等で構成する大河ドラマ「真田丸」・戦国わかやま誘客キャンペーン推進協議会を4月に設立したところです。協議会においては、真田ミュージアム内でドラマに関する企画展示を行うことで集客力を高め、常設展示とあわせて大河ドラマ館として集客拠点の中心に位置づけ、そこから真田氏、徳川氏、戦国時代といったゆかりのスポットに誘導するプロモーションを行うことにしており、ここに地域の観光資源や柿などの特産品を絡めていくことで周遊と消費を促進してまいります。
○副議長(藤山将材君) 堀 龍雄君。
〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 今、商工観光労働部長のほうから、たくさんの経済効果があったよと教えていただきました。本当にありがたいことです。
高野山開創1200年大法会は、予想を上回る60万人という大勢の観光客が高野山に足を運んでくれました。高野山という知名度もありますけれども、数年前から、テレビ、雑誌などのメディアに継続的な発信と旅行会社への売り込みが功を奏したのだと思います。これからも知恵を発揮していただき、和歌山県がますます発展することを望み、私の一般質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は6月22日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時13分散会