平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成27年6月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成27年6月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成27年6月17日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第96号から議案第116号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第96号から議案第116号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 13番 花田健吉
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 40番 松坂英樹
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       市川靖之
 企画部長       高瀬一郎
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾﨑善亮
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課副主査     中尾祐一
 総務課長       西原龍也
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(前芝雅嗣君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第96号から議案第116号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 28番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきまして、本議会トップバッターとして機会を与えていただいた先輩・同僚の皆さんに、心から感謝を申し上げます。
 第9回ベスト・プラウド・ファーザー賞in関西というのがあるそうでありまして、これは何のためかといいますと、日本生活文化推進協議会が父の日の啓蒙活動として、関西の出身者であるとかゆかりの方を選んで、明るく楽しい家庭づくり──なかなか難しいですな──そんなことをしている父親や子供たちのよき理解者であると、そういう人を選出するそうであります。
 今回、仁坂知事が。おめでとうございます。(拍手)
 たしか、きょうの夕刻、大阪で表彰式があるそうでございますんで、忙しい中、駆けつけると思うんですが、慌てないで十分楽しんできていただきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 まず最初に、地方創生についてお尋ねをいたします。
 我が国では、急激な人口減少と異次元の高齢化が大きな課題となっています。国立社会保障・人口問題研究所が平成25年3月に公表した日本の地域別将来推計人口によれば、2040年の我が国の人口は全ての都道府県で2010年の人口を下回り、国全体では約1億700万人程度、本県については72万人まで減少すると推計をされています。
 また、昨年の5月には、増田元総務大臣が座長を務める日本創成会議人口減少問題検討分科会が、2040年には全国の約半数に当たる896市町村で若年層の女性が5割以上減少し、人口減の加速によって、現在の教育、福祉など幅広い行政サービスの維持が困難になると言われ、消滅可能性都市となると発表をいたしました。
 その内容を見てみると、全国より早く少子高齢化が進んでいる本県においても、全30市町村のうち減少率が50%未満にとどまるのは和歌山市と日高町など7市町に限られ、7割を超える23市町村が消滅の可能性があるとの大変ショッキングな内容に、多くの住民に衝撃が走りました。
 人口の減少は、労働力不足、経済成長の鈍化といった経済面の影響だけでなく、医療、福祉、教育など、あらゆる面において弊害をもたらすことになります。
 国民の早急な対策を求める声が高まる中、安倍内閣は、人口急減、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一丸となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、昨年9月安倍総理を本部長とするまち・ひと・しごと創生本部を立ち上げました。
 本部設置に当たって、安倍総理は、「安倍内閣の今後の最大の課題は、豊かで明るく元気な地方をつくっていくこと。このままでは消滅する地域も出てくるという予測がされており、まさに喫緊の課題、待ったなしと言ってもよい」、そのように述べておられます。
 その後、11月には地方創生の理念等を定めたまち・ひと・しごと創生法が制定され、12月には長期ビジョン、並びに同法に基づくまち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されたところであります。
 長期ビジョンでは、若い世代の希望が実現すると出生率は1.8程度に上昇し、人口減少に歯どめがかかると言われており、2060年に1億人程度の人口が確保され、2050年代に実質GDP成長率は1.5%から2%程度維持されるという中長期の展望を示しています。
 総合戦略では、基本目標として、地方における安定した雇用を創出する、地方への新しい人の流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるなどが上げられております。
 また、本年2月に成立した平成26年度補正予算において、1700億円の地方創生先行型の交付金を創設し、地方創生に向け、全国各地で交付金を活用し、工夫を凝らした事業が実施をされています。
 こういった動きを踏まえ、県では、人口減少の克服と持続可能な地域づくりを目指し、4月に、仁坂知事を本部長とし、副知事や各部長、各振興局長などで構成する和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略本部を立ち上げ、精力的に取り組まれた結果、2カ月余りで県長期人口ビジョンと県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定、公表いたしました。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 報道によりますと、都道府県で総合戦略を策定したのは、高知県に続いて2番目とのことであります。他県に先駆けて迅速に策定された知事の熱意を感じます。ここで、改めて地方創生に対する知事の思い、考えをお聞かせください。
 次に、県長期人口ビジョンについてお尋ねをいたします。
 このビジョンにおいては、和歌山県が目指す人口形態とはどのようなものなのか、知事の所見をお伺いいたします。
 3点目、県総合戦略についてお尋ねをしたいと思います。
 総合戦略は、2060年、県の人口が70万人程度を達成するためには、今も進む県人口の減少を抑制する必要があります。どのような対策をお考えか、知事の所見をお伺いして、第1問を終わります。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 急激な人口減少は、議員御指摘のとおり、個人消費の縮小に伴う地域経済の悪化、需要増が見込まれる医療・福祉分野の人材不足、社会保障費の負担増、自治会や消防団など地域の自主的な活動の弱体化、地域の伝統行事や祭りなどの担い手減少による地域文化の衰退など、あらゆる分野に影響を及ぼすことから、大変深刻な問題と認識しております。
 本県においては、少子高齢化が全国よりも一段と進み、若年層を中心とした人口流出が問題となっております。
 昨今の日本創成会議のレポート以来、この問題が大変脚光を浴びておりますが、当県では、もともとこの人口減少対策は本県にとって最大の課題であると認識して、私も知事就任以来、長期総合計画をつくり、産業振興や移住・定住促進、少子化対策など、さまざまな政策に鋭意取り組んできました。そういえば、ずっと地方創生を追求してきたと言ってよいと思います。
 こうした取り組みによりまして、人口の社会減が5000人台から大分減りまして、また、平成19年に1.34であった合計特殊出生率が平成25年には1.52になりました。また、平成26年には1.55と近畿で唯一上昇するなど、人口減少をある程度食いとめることができたところであります。一定の成果はあったかなあと思うんですが、まだまだでございます。もっと上を目指さないといけない。
 そういう意味で、法律でも総合戦略をつくらないといけないことになっておりますし、また、この際、目に見えるものをみんなで議論して、きちっとまとめておくということは大事なことではないかというふうに考えまして、これまで県が進めてきた施策も含め、徹底的な議論をいたしまして、「しごと」を創る、「ひと」を増やす、「まち」を創るを基本姿勢として総合戦略を策定しました。
 総合戦略では、「安定した雇用を創出する」、「和歌山県への新しい『人の流れ』を創造する」、「少子化をくい止める」「安全・安心な暮らしを実現する」、「時代に合った地域をつくる」の5つの基本目標を掲げ、それを達成するための具体的な目標と、それから実現するための行動指標を覚悟を持って明示しているところでございます。
 今後は、断固たる決意を持って、一過性の取り組みに終わらせることなく、腰を据えて着実に推進していくことが重要であると思います。
 なお、市町村でも総合戦略を策定しないといけないということでございますが、それを策定する際に、県の総合戦略を参考にしたいという意見が強うございました。そこで、これも1つの動機になって早期に策定をしたということでございます。市町村においても、これを参考に地域の実情を加味した総合戦略が早期に策定されることを期待しております。
 次に、人口ビジョンの問題でございます。
 これは、2060年をイメージせよというのが基準になっておりますので、そのようにさしてもらいました。
 長期人口ビジョンにおいては、国立社会保障・人口問題研究所の推計、議員御指摘がありましたようなものをそのまま2060年に伸ばしますと、2060年には約50万人にまで人口が激減するという厳しい状況が見込まれるわけでございます。それでは、あそこのペーパーに書いてありますように、いろいろと困ることが出来いたします。
 そこで、長期人口ビジョンでは、社会を何とか持続していくためには、2010年と同水準の高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態がぜひとも必要であるとの考え方に基づきまして、2060年の人口を──これはべき論でございますが──おおむね70万人確保することを目標といたしました。
 本県においては、かつて5000人近くあった社会減が、これまでの取り組みの効果もあって、直近では少し減って3000人ぐらいになっております。
 全国あるいは世界で活躍を希望する若者、これが出てくると思うんです。そういう人が世界に活躍の場を求めて転出するというのは、ある程度あるだろうというふうに思いまして、それをとめる必要もないんですが、一方、本県にもすばらしい企業やさまざまな仕事があること、それから、和歌山の魅力と和歌山での暮らしの有利さを知らない、そういう若者がそのまま転出してしまう、そういうことをやっぱり減らさないといけないと思うんです。
 そういう意味で、転出をちょっと減らして、かつ転入をふやすということで、これによって社会減をかなり減らすことが可能と考えております。また同時に、長期的に人口を維持できるように、今以上に子育て環境をよくすることにより本県で生まれ育つ子供もふやしていくということを願っております。
 これら2つの政策が功を奏せば、2060年に70万人程度の人口を維持することは可能であるというふうに思っておりまして、その後は、これが可能となれば、だんだんと安定的に推移していくということになるわけでございます。
 長期人口ビジョンで掲げた目標は、そういう意味で非現実的なものではない。ただの願望ではありません。戦略的に諸政策を実行することで達成できるものだと考えておりますが、よほど覚悟を持って皆が努力をせんといけません。県政も頑張りますが、県民の皆様の頑張りも期待したいわけでございまして、県全体が一丸となって人口減少対策に取り組んでいこうではないかと考えております。
 次に、対策でございます。
 まず、社会減対策としては、県内で就職を希望する人を全て受け入れることを目指し、製造業や観光業、農林水産業など、本県が強みとする産業の競争力を高めるとともに、積極的な企業誘致活動や地域資源を最大限に活用した産業創出により仕事をつくっていきたいと思っております。
 さらに、第2に本県が誇る豊富な観光資源や安全・安心・快適な生活環境など、「暮らしやすさ抜群 和歌山県」の魅力をさらに磨くとともに、優良な県内企業の存在を合わせて、本県出身の大学生とか県内の高校生を初め広くアピールすることで、和歌山の魅力や有利さを知らずに県外に出ざるを得ないと思って出てしまう、そういう人は食いとめないといけないと思っておりまして、また、和歌山に関心のない人も、関心を高めて来てくださいということでやっていこうと思っております。
 前者の点については、この総合戦略の一番後ろに、和歌山の有利さ、あるいは魅力、暮らしやすさ、そういうものをアピールするような資料もつくりまして、わかりやすくしていきたいと思っております。
 また、若者世代向け移住奨励金や空き家バンクなど、手厚い移住促進策をとりまして、あらゆる世代の移住者を本県に積極的に呼び込みたいと思います。
 もちろん、高齢者も大歓迎でございますけれども、一方、現在の制度のもとでは、介護サービスなどの自治体負担が、余り多くなると過度になってまいりますので、そうならないような制度の構築をやっぱり国に求めて、シニア世代の移住促進をもっと容易に、うまくいくように条件整備を図っていきたいと思っております。
 次に、これはもう1つの大きな柱で、自然減対策でございます。
 本県で生まれ育つ子供をふやすために、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない少子化対策に取り組み、子供を産み育てやすい環境整備をさらに推進してまいりたいと思います。
 加えて、これらの人口減少対策を行う上での前提として、全ての人にとって和歌山は安全・安心だというふうに思ってもらわないといけません。そういう快適な地域を本当に実感してもらえるような努力をしていく必要があると思います。このため、自然災害による犠牲者ゼロを目指して、ハード・ソフト両面の対策による災害に強い地域づくりを推進していきたいと思います。
 また、県民一人一人が健康で生き生きと暮らせるように、十分な医療・福祉サービスを提供できる体制を構築するとともに、良好なさまざまな生活環境を死守してまいりたいと思います。
 人口減少を抑制するために、本総合戦略に盛り込んだ施策に全部局が一丸となって取り組んでまいる所存であります。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 確かに、知事からいろいろ説明をいただきましたが、やはり若い世代が安心して結婚できる、そして、子供を産み、安心して育てていける、このベースを何とかしてもっともっとつくっていきたいなと私も思ってますし、これは大きな力になると思ってます。
 企業誘致もなかなか厳しい中で、私は人を誘致する方法を考えていけばいいのかなと思ったこともあります。また、いろいろ質問もさしていただきますんで、よろしくお願いをいたします。
 議長、きのうのお酒は抜けたんでしょうか。大丈夫ですか。
 次の質問に入らしていただきます。
 ことしは、日本とトルコ友好の125周年ということであります。今月初めに、串本町でも盛大な記念式典が開催をされました。この議場の中には、式典に参加された方も多くいらっしゃることでしょう。
 そんなときに、日本とトルコの合作映画「海難1890」が制作をされました。私は、何か、この題目といいますか、ちょっと物足りないなというのを感じていまして、何かサブタイトルでもつけてほしかったなあて、こんなことを言ったら失礼なんでしょうが、そんな思いがいたします。
 ことしの12月5日に、両国の友情を描いた映画が日本全国で公開される予定であります。串本町でも、長期にわたり、ロケが行われましたので、今から公開が待ち遠しい限りであります。
 このことは、トルコの軍艦エルトゥールル号が和歌山県串本町沖で遭難して125周年になるということであり、友情が125年もの長きにわたり語り継がれ、受け継がれていることを示しています。
 125年を契機として、日本各地で、またトルコ共和国で、さまざまな形でトルコと日本に関する行事が行われる予定と聞いています。
 このエルトゥールル号の遭難事件と乗務員を助けた住民の真心は、イラン・イラク戦争の際、1985年3月19日午後8時30分のタイムリミットが近づく中、テヘランから邦人救出につながったという真実の物語であります。
 立派な和歌山の先人に敬意を表するとともに、この出来事を自国の教科書に載せて語り継いできたトルコの政府やトルコの人々にも敬意を表する次第であります。
 さて、平成25年9月議会において、今、議長席に座っている前芝議員がエルトゥールル号の映画制作について触れており、その中で、エルトゥールル号遭難事件を契機とした交流の歴史は和歌山県として誇るべきであり、次世代に引き継ぐべき遺産であると話をされています。また、本県とトルコとの交流の歴史の教育現場への活用についても質問されております。
 当時の教育長は、中学校社会科の教科書やふるさと学習教材等を利用して学習していると答弁をしています。しかしながら、この事実を子供たちに語り継ぎ多くのトルコ人が知っている現実と、この事実を知らない人が多くいる日本の現実を考えたとき、私たちや和歌山県、また日本の政府として、これでよいのかと考えてしまうのは、私1人でしょうか。
 この海を越えた友情の物語を、国際交流の誇るべき遺産を、私たちはこのまま放っておくわけにはいかないと考えます。
 この映画の公開を契機に、いま一度、このエルトゥールル号の遭難事件の事実を和歌山の地から発信してこそ意味のあることであり、今までに受けた恩を忘れないためにも、和歌山の子供たちがエルトゥールル号のことが記載された教科書や道徳副読本などを活用した学習を進めていくよう取り組んでいただきたい。遠い異国の言葉も通じない人たちを助けること、長年にわたる交流、子供たちに日本の国に誇りを持てる、また異国のトルコという国を知るよい教材だと考えます。
 和歌山に生まれた者の1人として、また日本人として、知っておかねばならない事実だと考えます。私たち和歌山の偉大な先人たちに心をはせ、この真実を語り継いでいこうではありませんか。
 また、今回、この映画を県内の子供たちには学校行事の一環として全員に見せてあげたいと願っています。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 この美しい物語は、学校で語り継がれるべきだと考えますが、教育長の所見を伺います。また、和歌山県内の学校におけるエルトゥールル号に関する学習状況はいかがですか。今回の映画は学校行事等に位置づけし、県内の子供たちに鑑賞してほしいと考えますが、いかがですか。
 以上、3点をお伺いいたします。
 また、別の視点からも質問をいたします。
 現在、トルコは、日本人にとって人気の観光地であります。絶対的な親日国家であり、カッパドキアなど世界遺産も数多くあります。ケバブに代表されるトルコ料理は世界三大料理の1つに数えられていますし、イスタンブールの漁港では、サバサンドという、焼きサバをパンに挟んだファストフードも売られています。私も食べました。
 和歌山にも世界遺産があり、日本料理はユネスコ無形文化遺産に登録されました。この映画を見てエルトゥールル号のことを知り、日本へ、和歌山へ行ってみたいと思うトルコの人もいるでしょうし、日本人もトルコへたくさん行くでしょう。そうなれば、民間同士の国際交流が始まります。そこには経済交流が生まれてきます。トルコの人が和歌山の製品を使い、和歌山の物産を食べる、和歌山では年に1度トルコ物産展が開催される、そんなことが実現していくかもしれません。
 この機会を捉え、トルコからの誘客もしないといけません。直接でも間接でもいいので、トルコの人が日本に来たら必ず和歌山へ立ち寄っていただく行程など、旅行業者と企画する必要があります。
 トルコの方が訪れたときには県民を挙げて歓迎する仕組みを考えたいと思いますし、年に1度、串本町と姉妹都市のトルコのまちメルシンで和歌山県の物産展を開催する、また、トルコ航空の機内食に和歌山の食材を使ってもらう、白浜空港とトルコとのチャーター機を飛ばす、映画のロケ地には観光用の立て看板を配置し観光地づくりを進める、いろいろ考えているとアイデアは出てくるものだと思います。
 上映をしてくれる東映の御協力をいただきながら、映画館では和歌山の物産を売らせてもらう、上映前のスクリーンでは和歌山県のコマーシャルが映し出される、これはトルコの映画館でもできることだと思います。
 このように何点も提案をいたしましたが、簡単なことではなく、問題点も多いと理解はしています。一番は、宗教のことが出てくるのかなあ、そのようにも思います。
 ぜひとも、映画の制作、上映を契機として、今後、県ではトルコとの関係をどのように深めていき、どのように取り組んでいくのか、知事の意見を聞きたいと思います。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エルトゥールル号遭難事件は、その後のイラン・イラク戦争時のトルコ航空機によるテヘラン邦人救出につながる、まさに日本とトルコの友好の原点でございます。本年は、エルトゥールル号遭難事件から125年、またテヘラン邦人救出から30周年という節目の年に当たります。
 この事件は、日本にとっても、和歌山にとっても大変名誉なことでございます。映画をつくって顕彰したいという田嶋町長のお話に、私は、かなり前から一も二もなく賛同しました。そこで資金集めに尽力をしようということで努力を始めましたが、ちょっとうまくいくかなあという時期がありました。そしたら、リーマンショックが起こりまして、企業の財務がむちゃくちゃになって、なかなか難しかったわけでございます。そこへ、安倍首相と当時のエルドアン・トルコ首相の首脳会談がありまして、映画公開に向けて協力するということで一致をされたわけでございます。
 そこで、もう一度ギアを入れまして、経済界への支援にかなり走り回りました。これがかなり成功いたしましたし、草の根でも応援をしようという動きも出てまいりました。その中で、ついに配給元に東映が名乗りを上げてくれたということでございます。これによりまして、日本・トルコ合作映画として、この記念すべき年に公開が実現するということになったところでございます。
 この映画は、日本・トルコ友好の原点であるエルトゥールル号遭難事件を世界に広く知らしめるだけではなくて、和歌山県の魅力を世界に発信する好機であるということは、議員御指摘のとおりであると思います。県では、トルコ国内での公開に合わせ、現地で本県の魅力を伝えるプロモーションを開催し、和歌山とトルコの関係をしっかりアピールしてまいりたいと思っております。
 このほか、インバウンド観光客誘致では、トルコからさらに多くの観光客の皆さんをお迎えできるように、メディアやウエブサイトを活用しつつ、あらゆる機会を捉えて本県の魅力を情報発信するとともに、研修会の実施等により、ムスリム観光客の受け入れ体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、経済交流では、平成23年度から実施しておりますトルコでの現地企業との商談会、県産品展示会、現地企業訪問及び市場調査などのビジネスミッションをことしも継続するなど、県産品の販路開拓を目指してまいりたいと考えております。
 和歌山とトルコの友好関係については、本県の国際交流の柱として頑張ってまいりたいと考えております。
○議長(前芝雅嗣君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) エルトゥールル号の遭難事故の際に串本町の方々が人命救助に当たった行為を学習することは、人としての生き方を学ぶ上で大変意義深いことであり、日本とトルコの友好関係をさらに発展させるものと考えてございます。また、道徳教育、ふるさと教育といった視点からも、この125年前の出来事は本県の誇りであり、後世まで語り継いでいかなければならないと考えてございます。
 県教育委員会では、平成26年1月に県独自に作成した道徳読み物資料集「希望へのかけはし」に、エルトゥールル号の遭難事故等を題材にした教材を掲載し、県内全ての中学校で学習しております。また、国が全国の全ての中学校へ配布している道徳教育用教材や小中学校の社会科の教科書等にも掲載されており、また県内でも活用されてございます。
 議員御提案のエルトゥールル号の遭難事故を題材にした日本・トルコ合作映画「海難1890」につきましても、今後、県内の学校において広報を進めるとともに、鑑賞等についても検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 できましたら、検討するだけでなく、実施をしていただければと思います。
 私も一度だけなんですが、トルコへ寄せていただいたことがあります。そのときに、夕刻、あるイベントをやっておりまして、そのとき団長で行ったんが、後ろのほうで私語を物すごくしゃべっている尾崎要二議員でありました。そのときの主催者から、「どうぞ、一言御挨拶を」と言ってくれたんですね。そのときに、尾崎議員が、壇上でマイクに向かってトルコ語で「メルハバ」って言うたんです。そしたら、その会場がどおっと沸きましてね、ああ、これほど日本人、和歌山というものに関心を持ってくれてるんだな、すごいんだなというのを物すごく実感した次第であります。また機会があれば行きたいな、そのように思っていますんで、ぜひともトルコとの友好をどんどんどんどん深めていただきたいな、また教育のほうでも利用していただきたいなと思っています。
 次に、和歌山トライアンズについて質問をいたします。
 このトライアンズに関しましては、前にも質問をさせていただきました。現在の新聞報道によると、全国47クラブから新しいリーグに対して入会申請が行われました。そのほとんどが入会を認められたのでありますが、4チームだけ入会が保留になっております。保留になったというのは、条件つきであったり、またもう一度この条件を満たしなさいよと言われたりということで、その4つの中の1つが和歌山トライアンズでありました。ああ、残念な結果になったなあという思いをいたしておりました。
 和歌山トライアンズの初年度は、西日本地区の優勝をかち取り、惜しくも日本一決定戦では敗れてしまったのですが、県民に感動と元気を与えていただいた、そのように思っています。
 それから、チーム内のごたごたがありまして、試合においても結果が残せなかった。いろんな意味で苦戦をしてまいりました。
 折しも、日本バスケットボール協会について、国際連盟よりリーグについての勧告を受け、新しい出発をしようという大切な新リーグに加盟できないとなると、チームそのものの存続が危ぶまれてしまいます。地元に根づこうとしているプロバスケットボールのチームが消滅してしまうかもしれません。
 野球のほうでは、独立リーグに所属していた紀州レンジャーズが休部をしている現在、残るはサッカーのアルテリーヴォだけになってしまいました。青少年の希望のためにも、地域のためにも、和歌山県のためにも頑張ってほしいと願っています。
 そこで、お尋ねをいたします。
 入会が保留になったのはなぜなのか、その結果を踏まえて何とかして新リーグに加盟ができるのか、できない場合は今後この和歌山トライアンズはどうなっていくのか、以上3点、担当部長から答弁をお願いします。
○議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 和歌山トライアンズの今後についての御質問についてお答えをいたします。
 和歌山トライアンズは、昨年12月に存続危機が発覚をいたしまして、その後、県のバスケットボール協会がその運営を引き継ぐ形で活動を継続してまいったところでございます。県といたしましても、広く県民の皆さんに募金や試合観戦等によってチームへの支援を呼びかけるという活動を行ってまいりましたし、県職員も、試合当日のボランティアであるとか資金を集めるための寄附など、人的・金銭的支援を含めて支援をしてまいりました。
 しかし、残念ながら、ことし秋から始まりますNBLの新しいリーグ戦には、必要な資金が不足をしていると、そういう理由で参加、入会が認められなかったということになってございます。
 というのが現状でございまして、今後のことに関しまして、議員から御質問いただきました来年秋から始まります新しいリーグへの入会が保留となっている理由でございますが、入会を審査しておりますのは、一般社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ、略称JPBLという組織でございます。そこから情報として聞き取ったところでございますが、トライアンズにつきましては、ことしの秋のシーズンにチームが参加しないということがありますので、既に選手全員を自由契約としてございます。そういう形で実質的にチームが今存在しない状況にあると、そういうことから、来年の秋から始まる新しいリーグへの参加について、現在は継続審議となっていると、そういうふうに聞いているところでございます。
 それでは、新しいリーグに入会できていくのか、もしできなかったら今後どうなるかという御質問をいただいたところでございますが、このJPBLから聞き取っているところによりますと、今考えておりますリーグの構成は、当初3部という形、3部リーグ──1部、2部、3部という形を考えていたところでありますけれども、実業団リーグを再編するような形で4部リーグを創設する方向も今検討中だというふうな情報を得てございまして、今後、どのチームをどの部、どのレベルの部に振り分けるかというその審査基準についてもまだ今明らかにできないというようなことでございます。
 したがいまして、現時点で入会できるかどうか、また入会できるとして何部になっていくのかという、そういうふうな具体的な内容につきましては全くの白紙の状態だと、そういう情報を得ているところでございます。
 ただ、今、和歌山トライアンズの運営主体である法人のほうは、このトライアンズのチーム存続に向けた取り組みとして、選手を今は自由契約にして選手はおりませんけれども、選手を発掘していくための入団テストを7月に実施をしていく、また、ファンの獲得を積極的に取り組む予定をしているというような形でございますので、このような活動が評価をされ、入会が認められていきますように我々としては期待をしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 大変厳しい状況だということがよくわかります。
 しかし、入団テストを行うとかいうこともあるらしくて、今後ファン獲得にも力を入れていくというようなことも聞かされておるんで、ちょっと流動的な部分もあるのかなあと思いますし、アマチュアのままやっていくのかというようなことがあるんかもわかりません。また、大きく変わることがあれば公表をしていただきたい、そのように思います。
 最後の質問に入ります。
 元住友金属の西防の埋立地であります。この質問も、実は2回目になります。前の質問の折には、知事も、少しなんですが、期待しているような答弁もありましたが、民間企業のこととはいえ、公的意味合いの強い企業ですから、知っていることをまた全部教えていただけたらいいなあと思っています。
 平成24年2月議会において、県議会として「LNG火力発電所の建設促進にかかる決議」をいたしました。その折、私が議長を務めさせていただいていたので、その決議書を持って、平成24年4月20日、同じく建設促進の決議をした和歌山市議会の議長とともに大阪の関西電力本社を訪ね、当時の火力事業本部副事業本部長執行役員樋口幸茂氏と和歌山火力建設所所長寺田則仁氏と会い、決議書を渡し、申し入れを行いました。
 それから3年の歳月が流れました。いまだ動きはありません。経済活動に影響を及ぼす電気料金は、何度か値上がりをしています。
 そんな折、首都圏において関西電力に動きがあるような情報もあります。たしか、発電所を建設するために西防埋立地を購入したはずであります。その計画がウェイティングになったまま別のところで何かを計画しているとは、どうなっているのかと思ってしまいます。
 この計画は、平成8年12月に関西電力より申し入れがあったはずであります。その計画に、県議会も和歌山市議会も建設促進の決定をしています。その後、平成9年の電源開発調整審議会において承認されましたが、運転開始時期が毎年繰り延べされているのが現状であります。
 この問題について、知事は、今後どのように考えて、どのように行動していくのか、またどのように進めていこうかと思っているのか、また、今、我々以上に詳しい情報をどの程度持っているのか、知事としての意見を聞かせてください。
○議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、原発に大きく依存せず、電力の安定供給と環境への配慮の両立が求められている電力供給の中では、大型のLNG火力の速やかな建設が欠かせないと考えております。そうした中で、環境アセスメントも終え、用地も確保されている和歌山がLNG火力発電の設置の最適地であると思っております。
 電力供給計画においては、御指摘のように平成37年度以降の運転開始としている関西電力でございますが、毎年1年ずつ順送りになっとるわけでございますんで、早く着工するように、私からもいつも積極的に働きかけているところであります。
 これは、私の考えでございます。関西電力も、電力供給者として電力事業を維持していくということを考えますと、原発に今後多くは期待できないと、これは誰が見てもそう思う中で、将来の電力源として、このLNG発電の実現を望むはずだと、土地も手当てしてるしというふうに思うわけであります。
 ただし、これまた観測ですけれども、巨額の投資が必要になってきます。その資金手当てをしないといけません。ところが、原発が現にとまっていてなかなか動かせない中で、大赤字になってるわけでございますんで、今の財務状況だと資金調達できないんじゃないかというふうに懸念をしてるわけでございます。そういう意味で、早くいろんな問題が解決されて、それで和歌山に発電所ができるようになったらいいのにというふうに思っている次第でございます。
 一方、関西電力の子会社が、御指摘のように首都圏で火力発電所の建設を検討しているのではないかという報道があったもんでございますので、なかなか投資の情報というのは表に出てこないもので、我々も本当ははっきり言うとわかりませんが、少なくとも議論して悪いというわけではありませんので、その真偽とか資金手当てをどう考えてるんだというようなことについてわかりませんけれども、関西広域連合の会合がありまして、八木社長がお見えになったもんですから、投資が可能ならば、供給地であるところの関西で、特に和歌山でやったらどうですかというようなことを申し入れた次第でございます。
○議長(前芝雅嗣君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 確かに、ほかでお金を使うんであれば、そのための土地を準備してるんですから、当然、その地域の方々にも御理解をいただいてきました。市議会のほうも努力をして、促進の決議もしてます。県議会もさせていただきました。
 そんな中ですんで、それをほかで投資をするというのはいかがなものかと思いますし、ましてや、住友金属が公害のために、沖出しをするために埋め立てをした土地であります。それが数値も下がった、沖出しをしなくても大丈夫という中で、用地を変更する、利用目的を変更するという中で、関西電力との交渉がまとまったという流れのある土地であります。地域の方々は、いろんな意味でどうなるんだろうということを随分心配をなさっています。
 ぜひとも早い時期に着工できるよう我々も頑張りたい、また、和歌山のためにも頑張らなければならない問題であると考えています。どうかよろしくお願いを申し上げ、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 議長のお許しをいただきまして、登壇さしていただきます。
 このたびの和歌山県議会選挙におきまして、維新の党より立候補し、当選させていただきました菅原博之でございます。この場においでになる全ての皆様と中継でごらんの皆様に対して敬意を表しますとともに、県勢発展のためにともに力を合わせて和歌山県を守り立ててまいりたいと存じますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 さて、今回の和歌山県議会選挙は、統一地方選挙の前半戦という位置づけで、同時に10の都道府県知事選挙も行われました。
 私は、知事選挙の当選者のいわゆる当選の弁で印象に残ったことがございます。
 神奈川県知事選挙で2期目の当選をされた黒岩祐治知事がおっしゃったことでございますが、「これまでどうやってこの神奈川県に人とお金を呼び込むか、本当に一生懸命考えてやってきた。そのことを県民の皆さんにお認めいただいたことで当選できた」という趣旨のお話でした。私は、この言葉を聞き、少子高齢化の流れを考えた際に、これは大変な府県間の競争に既に入っていると実感したものでございます。
 今回、国が呼びかける地方創生は、自治体間の大競争につながり、自治体の創意工夫を求め、未来を自治体みずから切り開くよう国が求めるものであります。しかしながら、人口面では、地方創生の成果はすぐに出てこないのも事実であり、今回発表された県の長期人口プランにある2060年に70万人との目標も、県職員の皆さんを初め、県民の皆さんの創意工夫なしで簡単に達成できるものではなく、国としても、国民感情を考えますと、その間の労働力を外国人の移民に頼るというわけにもまいりません。
 本県としては、人口流出をとめる観点と、県外からの移住者を過疎対策としてのみならず、都市部にも呼び込む観点が必要です。自治体間の大競争を前にして、今ほど県職員の皆さんの創意工夫、アイデアの実行が求められている時代は、かつてなかったのではないでしょうか。その意味で、今回の和歌山県長期人口ビジョンは、本県のあらゆる課題を解決するための根幹をなすものと考えております。
 そこで、これに基づく和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略の中から産業振興に焦点を当て、本日の質問を進めたいと存じます。
 まず、現状の企業誘致についてですが、府県間道路も整備が進みつつあり、引き続き取り組むという前提に立てば、和歌山県は企業にとって大きな魅力を持つ地域となる可能性が高く、また、今回の長期人口ビジョンにも示されている若年人口の薄さを緩和する観点と、地元企業の経営を圧迫することなく、直ちにブロードバンド回線を使用し、日本中、世界中を相手に商売ができる可能性といった観点から、本県は特にIT企業の誘致を促進する必要があろうと考えます。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 現状の企業誘致の状況はどうなっているか、また、誘致された企業の業種割合、特にIT企業の占める割合も含めてお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 和歌山県の企業誘致につきましては、知事就任以来、製造業を中心に138件の立地実績を上げておりますが、情報サービス業については、そのうち10件にとどまっております。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 引き続き、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 IT企業の誘致について、現状と今後はどのように進めていかれるのか、加えて、現在検討中の案件も含めて企業に与える特典についてお尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 情報サービス業の誘致については、顧客との近接性を重要視する事業者も多く、苦戦を強いられてきたところです。しかし、国の地方創生に重点を置いた施策の方向性や、情報サービス業において新たな労働形態を模索する動きが活発になってきたことなどから、サテライトオフィスでの地方展開の潮流ができつつあります。
 これらのことから、全国的にも突出した奨励制度や新政策として今年度から始めるICT和歌山事業を前面に押し出すとともに、県はもとより関係自治体と連携し、より企業ニーズに応えられる制度に改めながら、これまで以上に積極的な誘致活動を展開してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 引き続き、よろしくお願いいたします。
 ここで、御存じの方も多いと思いますが、徳島県の神山町の最近の事例を御紹介したいと思います。
 インターネット検索で「IT」という言葉と、1文字置いて「徳島」という言葉を入力すると、最初の1ページに次のようなタイトルが出てまいります。「移住希望者を逆指名 IT企業が殺到する『創造的過疎地』」という刺激的なタイトルのレポートが出てまいります。
 そのレポートには、次のように書かれております。「インターネットを使ったビデオ会議で取引先との商談や社内会議をこなし、都心のオフィスにいるのと同じように仕事ができる『サテライトオフィス』。そんな新しい働き方を求めて、今徳島県の中山間地域に多くの企業が注目している」云々や、「徳島県で地デジ移行に対応するため、全県にCATV網を整備。普及率は全国1位の88.9%──全国平均は51.8%でございます──で、これを利用するとブロードバンド環境は東京の約10倍の速度で使用が可能になった」とレポートにはあります。
 これだけが成功の要因と受け取るわけにはまいりませんが、和歌山県内の山間部、過疎地にも超高速ブロードバンドが行き渡っている事実の周知は当然されているでありましょうが、改めて企画部長にお尋ねいたします。
 現在の社会インフラとして欠かすことができない県内の超高速ブロードバンド整備状況や、県が保有するきのくにe─ねっとの利用状況はどういうふうになっているのか、お尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 企画部長高瀬一郎君。
  〔高瀬一郎君、登壇〕
○企画部長(高瀬一郎君) ブロードバンドの整備状況等についてお答えいたします。
 光ファイバー等の超高速ブロードバンドの整備状況は、全ての都道府県で世帯カバー率が99%以上になっております。本県におきましても、平成26年3月末の世帯カバー率は99.6%であります。
 次に、きのくにe─ねっとの民間利用状況でございますが、現時点における民間利用者は5社となっており、その全てがIT企業となっております。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 きのくにe─ねっと上で自社の業務を運営したい企業に向け、e─ねっとを無料で開放できないかどうか、御検討いただきたいと思います。御要望させていただきます。
 また、続いて御要望ですが、ブロードバンド回線を使用し、主として県外を対象にしたビジネスを行うIT企業の誘致を特に強力に推し進めていただくようお願いいたします。
 さて、IT技術は全ての産業において有益で、社会的にも飛躍的な可能性を秘めていることから、本県のイノベーションに欠かせない産業であります。しかし、技術発展に日進月歩の革新性があり、今の技術が1年後には陳腐化するということもございます。そういった予見の難しい分野でもあります。
 しかしながら、何も取り組まなければ何も得られず、他の府県の取り組みで成功したものを見てから始めたのでは県内で民間の新たな起業を生み出すこともできない、新規の政策課題としてリスクの大きな分野でもあります。
 その判断を担当者に任せるとなると慎重に対応せざるを得ず、他府県の事例を見ながらおくれてスタートし、他県の後塵を拝することがないか、心配もいたします。
 県職員が有識者の情報を取り入れて、みずから研さんに励み、専門家の議論も踏まえ、すぐれたアイデアをどんどん提案されることが重要でございます。多少は失敗があっても有望な案件を次々にスタートさせていただくことが必要と、この場で触れさせていただくつもりでおりましたが、昨夜、過去の議事録を読み返しておりますと、2月定例会において、山田正彦議員の炯眼による御質問に対し、知事みずから「職員が不誠実にやっていたら、これは別だけれども、誠実にやってうまくいかなかったら、それで責任をとらせるということは全くありません。そういう配慮は世間一般みんなそうで、議員諸氏にも県民の皆さんにもお願いしたい。職員に『勇気を持ってやろうじゃないか』というふうに言っている」との趣旨の非常に熱意のこもった御答弁をされているのを見つけました。知事の人を育てるお考えに感服し、改めて山田正彦議員と知事に対して敬意を表したいと思います。
 その上で、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 IT産業の振興には、高度に専門的な産業であることから、振興に向け、知事を含めた県庁幹部に対してIT産業振興の有効性やこれからの可能性をしっかりと示すことができる、全国的な専門家で構成されたシンクタンク機能を有する有識者の意見を聞く場が必要と考えておりますが、いかがでございましょうか。
○議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県の産業振興を進めるに当たっては、我々職員みずからが経済情勢の変動や技術革新の動きなどをしっかりつかみ、県内企業の現場での現状、ニーズを把握しながら、みずから活性化に向けた施策を考えることがあるべき姿です。
 こうした中、日進月歩の革新が起こる産業技術については、県内企業の経営者や大学等の研修者など、県内外のトップレベルの有識者を委員とし、知事を議長とする和歌山県産業技術戦略会議において、和歌山県の産業振興全般について、技術と産業の最先端の知識を得て広範な議論をこれまでも行ってきております。
 新たな成長分野として期待されるITについては、既に戦略会議において、県産業技術基本計画への位置づけ等についての御意見をいただき、議論を行っているところです。
 今後も、こうした場で外部の有識者の御意見をお聞きしながら、ITも含めた本県の産業活性化に取り組んでまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。引き続き、どうかよろしくお願い申し上げます。
 次に、本県は、総延長800キロというサイクリングロードの完成間近ということもあり、自然環境は和歌山県の大きな魅力となっております。海にかかった橋の上を自転車で走るよりも、途中で渓流釣りやキャンピングも楽しめる有利さがこのサイクリングロードにはあると思います。また、本県は、景観のよさとともに、何よりも食べ物がおいしいという利点もございます。
 防災の取り組み、交通アクセスの改善も進み、その上、過疎地を抱える県としては、高レベルなビジネス状況を整えて、企業誘致や県外からの移住・定住を促進する政策対応をされるものと期待いたしております。
 1つ心配は、国立がん研究センターのがん対策情報センターの集計では、本県のがん死亡率が、75歳以下男女合計データのある直近10年間の順位で、全都道府県中ワースト3、5、2、3、9、9、4、2、4、11位と、こういう過去の実績となっている点でございます。
 自分や家族がもしものときは、やはり東京や大都市で医療を受けたいという思いを持てば、とても移住・定住には及びません。そして、これは何より今和歌山県で生活する県民にとって大きな問題でございます。
 福祉保健部長にお尋ねいたします。
 本県のがんの医療体制の構築について、県はどのように取り組んでいるのか、また、粒子線治療などのがん先進医療の導入についてはどう考えておられるのか、お尋ねいたします。
○議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) がんの医療体制につきましては、質の高いがん医療の提供体制を確立することを目的に、和歌山県立医科大学附属病院が県のがん医療の中心となる県がん診療連携拠点病院に、各地域の中核となる8カ所の病院が地域がん診療連携拠点病院、がん診療連携推進病院にそれぞれ指定されており、各病院においては、手術療法、放射線療法、化学療法などを効果的に組み合わせた集学的治療と緩和ケアが実施されているところです。
 また、がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成、チーム医療体制の充実や強度変調放射線治療を初めとする高度な放射線治療の導入など、県民誰もがどの地域に住んでいても、がんとなっても安心して暮らせる医療体制の構築に取り組んでいます。
 次に、先進医療の導入についてですが、県としては、これまでもがんの新しい技術について情報を収集し、導入について検討してきたところです。
 粒子線治療については、既に全国で13施設が設置され、近隣府県では、現在、兵庫県、福井県で稼働しており、今後、大阪市や京都市、神戸市に建設が予定されています。
 県では、採算性や対象患者数の確保など、さまざまな検討を加えたところ、現状では設置は困難と考えておりますが、今後、運営コストや放射線治療における技術革新など、状況が変われば改めて検討してまいりたいと考えております。
 また、最近、新たにホウ素中性子捕捉療法が注目されており、今後、東京と福島の両施設で本格的な治験が開始されることとなっておりますので、その成果について検討してまいります。
○議長(前芝雅嗣君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 要望でございますが、県内でもがんに対する先進医療が受けられる体制が一日も早く整い、決して近畿地方で和歌山県だけが先進医療体制から取り残されることがないように県から国へ補助金の要望もお願いしていただくことを希望し、私の質問とさせていただきます。
 これにて終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(前芝雅嗣君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時18分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、こんにちは。中本浩精です。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。このたび、3項目さしていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 1項目め、地場産業育成について。
 まず最初に、地場産業育成の取り組みについてお聞きします。
 平成25年12月26日付で中小企業振興条例が施行され、県では、県産品、特に中小企業者の方々が供給する県産品の積極的な活用を進めていただいております。
 昨年12月議会でふるさと教育を取り上げた際にも申し上げましたが、地元の特産品には思い入れがあります。これは、誰もが同じ思いでしょう。他の市町村に誇れる、他府県に誇れるもの、これらを生み出す地場産業を支えるのは、多くの中小企業者の方々です。技術、やる気があっても資金面の体力不足などにより厳しい状況にあるところが多いのではないでしょうか。
 和歌山が誇れるものをぜひ多くの方々に知っていただき、御利用いただきたい。県内外での県産品の販路開拓支援等への取り組み状況について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 以上、壇上からの質問を終わります。
○副議長(藤山将材君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 繊維産業を初めとする地場産業については、県内各地域の経済活動の中心であり、その育成、支援は重要であると考えております。
 地場産業の中には、蓄積されたノウハウ等を活用してオンリーワン企業として発展している企業もありますが、取り巻く経営環境は依然厳しい状況であります。
 このような現状を打破するためには賃加工・下請型ビジネスモデルからの脱却を図る必要があり、県としましては、国や政府系金融機関等の施策も総動員して、企画・提案型のビジネスモデルを目指す産地企業及び産地グループの取り組みについて、計画策定から新製品の開発、販路開拓まで一貫した支援を行っているところであります。
 その主な成果として、パイル織物業では、液晶パネル製造に欠かすことのできない高品質ラビングクロスを開発した企業や、ニット生地製造業では、すぐれた防寒性、素材感を実現した肌着を開発し、ブランド化に成功した企業などがあります。また、県産品の県外への販路開拓の支援として、著名な専門的展示会への出展、県外の大企業と県内企業が参加する商談会の開催など、さまざまな取り組みを行っております。
 県では、このような取り組みを行うに当たり、地場産業を初め県内産業の業種ごとに担当者を割り当て、企業の方々に県等の支援施策の情報を提供するとともに、意見交換を通じて現状や課題を把握し、県の施策立案に生かしてきたところであり、今後も重点施策として取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 次に、地場製品、県産品の積極活用についてお聞きします。
 県主催の会議等で提供するペットボトルのお茶や水は県産品を使い、また、飲み物のかわりに県産のミカンを提供するほか、県庁各課でも親睦会費で購入したミカンを置いていただくなど、まず県みずから県産品を積極的に活用、使用していただいております。外部へ働きかけるにしても、今後もぜひ続けていただきたいと思います。
 さて、そのほかにも地場製品を活用できるところはあるのではないでしょうか。例として挙げるなら、私の地元、橋本・伊都方面のものになってしまいますが、先ほど答弁にもありました地場産品のパイル織物だと、毛布、衣服を防災備蓄していただいたり、議場を初めとした県有施設のカーテン、マットに御使用いただけると思います。
 今後の県での県産品の利活用推進について、期待される効果もあわせ、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 和歌山県中小企業振興条例において、県の責務として、「紀州の地酒等の県産品の利活用に率先して取り組む」ことや、「工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては(中略)中小企業者の受注機会の増大に努める」ことが規定されております。県内の中小企業の受注機会の増大は、地域のお金を地域で回し経済発展につなげるという意味でも非常に重要と認識しております。
 そのため、県では、物品の購入に当たり、県産品を優先して調達する制度を創設し、中でも簡易公開入札の場合は、同等品の見積額と比較し、価格差1.1倍以内であれば登録県産品を優先調達することとしました。現在、118件の品目を登録しております。また、建設資材に係る県産品について、772品目を登録しております。さらに、県が主催する110件の委員会、審議会等や各種行事において、県産品のお茶、水の使用を徹底する仕組みをつくるなど、さまざまな取り組み実施しております。
 今後も、県内事業者に対して、メールマガジンの発信や経済団体等を通じて県産品登録制度の周知を図っていくとともに、市町村や関係団体への県産品利活用推進の協力依頼を行うなど、県産品の利活用に取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、地場産業育成について御答弁いただきました。
 アベノミクス、いわゆる3本の矢による経済政策により、景気は回復しつつあるように思います。大企業は、好業績、採用がふえ、昨今のニュースを見ても、一時に比べ、明るいものがふえてきました。ただ、その明るいニュースも大手企業の話題が多いように、景気回復はまず都市部から、大手企業からであり、地方へ、中小企業へ景気の波が押し寄せるまで時間がかかると思います。実際、私の周りの中小企業の方からも、景気回復が実感できていない、より一層悪化しているというお声もよく耳にします。
 各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、まち・ひと・しごと創生本部が内閣に設置され、本県においても、先日、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されました。午前中の質問でも取り上げられましたが、地方創生の実現のためさまざまな取り組みを実施されるとのこと、大変期待しております。
 地方が元気になるためには、中小企業が元気になっていただかなければなりません。和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略の中身を見ましても、「県内企業の成長力強化」、「中小企業の競争力強化」、「地域経済の持続的発展」など、非常に力強いフレーズがあふれています。それぞれに具体的な目標値も出ておりますが、ぜひそれを上回る成果を上げ、元気いっぱいの和歌山県になることを期待しまして、1項目めの質問を終えさしていただきます。
 続いて2項目め、高齢者の自立生活の支援について入らしていただきます。
 まず1点目、買い物弱者対策についてお聞きします。
 本県の高齢化は全国に先駆けて進行しており、平成26年1月1日現在の高齢化率は28.6%だが、団塊の世代が75歳以上となる2025年には34.8%と見込まれ、ほぼ3人に1人が高齢者という超高齢社会を全国よりも早く迎えるものと予想されています。
 そのような中、高齢者が快適で安心な自立した暮らしを送ることができる環境づくりのためには、解決すべき課題が多数あります。これらの課題を解決すべく、在宅での生活を支えるための各種サービス、社会保障制度、医療制度、社会参加のための仕組みづくりなど、さまざまな取り組みが進められています。
 その課題の1つ、買い物弱者対策についてお聞きします。
 「買い物弱者」、「買い物困難者」、または「買い物難民」との言い方もするようですが、全国に600万人とも言われております。中山間地域が多く、過疎化が進み、また高齢者の多い和歌山県では、より切実な問題だと思われます。
 もっとも、町なか、まちの中心地は大丈夫かといいますと、全国的に見ても町なかからも商店が減少しており、昔から多くの方が住む住宅地でも、かつて人口増加の著しかったニュータウンでも、買い物弱者が発生しています。和歌山県も、やはり同じ状況だと私は思います。買い物弱者は今後もふえ、また、だんだん店が遠くなるなど、条件も一層悪化していくのではと危惧しております。
 スーパーなどでは、ネットスーパーに取り組むところもふえてきました。確かに、ネットスーパーも解決策の1つですが、御高齢の方が活用するというのはなかなか難しいのではないでしょうか。それに、ネットスーパーが実店舗の減少につながるおそれがあります。
 いずれにしましても、買い物弱者の問題は高齢者にとって切実な問題であり、このままであれば、御高齢の方にとって自立生活を送ることはますます困難になるでしょう。誰もが年を重ね、高齢者になるわけですから、高齢者対策は全ての人の対策でもあります。
 高齢者福祉の立場から、買い物弱者問題に対し、どのような対策あるいは支援をとられているのか、今後の取り組みも含め、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 介護の必要な高齢者はもとより、元気な高齢者や、ちょっとした支援があれば自立できる高齢者が住みなれた地域で自分らしい暮らしを送り続けることができるような環境づくりを進めることが必要です。
 議員御質問の高齢者の買い物支援につきましては、まず介護保険制度において、要介護認定を受けた高齢者に対し、日常生活を営む上で必要な生活援助のサービスとして、ホームヘルパーが家庭を訪問し、掃除、洗濯、調理などに加え、買い物のサービスを提供しているところです。
 また、要介護認定を受けるに至らないまでも、自立した生活を営む上で多少の困難を伴う高齢者を支援するため、県では、これまで、地域支え合い体制づくり事業として、買い物同行サービスなど、隣近所での助け合い活動を行うNPO法人等の活動支援に取り組んできたところです。
 さらに、昨年度からわかやまシニアのちから活用推進事業を実施し、高齢者の生きがいづくりや地域の困り事解決のため、買い物支援を初め、配食、見守り、子育て支援、高齢者サロンの充実など、元気な高齢者が有償ボランティアとして活躍することができる仕組みづくりに取り組んでおります。
 県としては、地域での助け合い活動を促進し、高齢者の自立生活を支援するため、この事業を県内各地で展開できるよう積極的に市町村に働きかけてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 次に、買い物弱者対策の1つの方法である移動手段の確保についてお聞きします。
 高齢者の方の多くは、住みなれた地域で充実した生活を送りたいと思っておられることと思います。買い物弱者である高齢者の多くは医療弱者でもあり、もっと言えば、さまざまな利便施設などから遠く離れた位置に置かれた弱者と言えます。利便施設が近くから消えていく、遠くに行くにしても交通手段がない、少し前まで走っていたバス路線が廃止された。高齢者の方の自立生活の困難度合いが加速されています。
 この課題に対する1つの解決策が、移動手段の確保です。決定的な解決策ではないものの、買い物弱者にも医療弱者にも対応できます。さらに言えば、解決策というよりは必要不可欠な対策ではないでしょうか。
 和歌山県でも、各市町村で地域住民の移動手段を確保するためのバス、いわゆるコミュニティーバスを導入したところもありますし、そのほか、デマンド型交通やタクシーチケットの発行など、交通事業者のサービスを活用した移動手段の確保も考えられるところではありますが、高齢者福祉のサービスの1つとして、高齢者の移動手段をどう確保していくのか、考える必要があると思います。
 この問題も、まず市町村での対応ということだと思いますが、県内の多くの市町村の共通の課題であること、他の市町村への移動もあり単一の市町村内で完結しないことから、やはり県が主導していく意味はあると思います。
 そこで、県としては、今後どのような対応策、支援策を講じていくのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 高齢者がいつまでも住みなれた地域で生き生きと自分らしい生活を送り続けるためには、外出のための移動手段の確保が必要です。
 県としては、1人で外出することが困難な要介護高齢者等の移動手段の確保、拡充のため、今年度から新たに外出困難高齢者等支援事業を実施します。
 この事業は、道路運送法第78条に基づいて、1人で外出することが困難な要介護高齢者や身体障害者などの運送を行う福祉有償運送事業の普及促進を図るものです。この運送事業の実施主体は、NPO法人、社会福祉法人、医療法人等であり、これらの実施団体に対し、新規車両の購入や福祉車両への改造経費の助成を行い、新規実施団体の参入促進や既存実施団体の事業拡大につなげたいと考えております。
 また、事業実施に際しては、タクシー事業者、地域住民などで構成される運営協議会を市町村が主宰し、その同意を得た上で運輸支局の行う登録を受けなければならないとされていることから、運営協議会未設置の市町村に対し、県としても開催に向けて支援、働きかけを行い、県内各地域への福祉有償運送事業の普及促進を図ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、高齢者の自立支援について、2点答弁いただきました。福祉保健部長より、高齢者のボランティアやNPOの活用を進めているとの答弁をいただきました。
 私も、60歳代や70歳代を初めとした高齢者の多くはまだ介護が必要な状態には至っておらず、地域での社会参加など活躍する場があれば大いに頑張っていただけるものと期待しております。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、高齢者は、支えられる側だけではなく支える側にもどんどん回っていただきたい、そのための仕組みづくりの構築が今後必要であると考えます。
 今後とも、答弁の事業を、高齢者福祉を担う市町村にアドバイスをしながら、どんどん進めていただくことを要望いたします。
 以上で、2項目めの質問を終わらしていただきます。
 3項目め、子育て支援の充実について入らせていただきます。
 1点目、子育て相談や子供の預かり援助事業についてお聞きします。
 少子化の原因はさまざま取り上げられていますが、女性の社会進出、核家族化なども原因の1つと言われているようです。男女問わず、仕事をしながら子育てできる社会的環境が整っていない。昔だったら、不在の間、子供を預かって見てくれたおじいちゃん、おばあちゃんも遠くにいる。もちろん、「専業しゅふ」として夫婦どちらかが育児を専業しても大変だと思います。
 行政がまずすべきことは、子育てしやすい社会をつくることだと考えます。子供を産み育てたいと思っても、ちゅうちょしてしまうようでは困ります。県でもさまざまな取り組みを実施していただいておりますが、今回、その取り組み状況について質問さしていただきます。
 まず、子育て相談や子供の預かり援助事業についてです。
 核家族化により、育児に関しての知識、技術が継承されないなど、また相談を通した子育ての不安解消は、非常に大事なことと考えます。親、親類、ママ友などが相談相手になることもありますが、専門的なことは荷が重いし、他人には知られたくないこと、親兄弟でも相談しがたいこともあるでしょう。情報化社会の今日、あふれるほどの情報があっても、情報過多であるがゆえ、何が正しいかわからない、むしろ不安を増長させることもあると思います。
 やはり公の発する情報は、信頼できますし、安心もできます。また、保育所へ子供を迎えに行って、その後も見ておいてもらうなど、おじいちゃん、おばあちゃんにかわって頼めるような預かり援助を公の取り組みとして進めることも、安心につながると思います。このような子育てについて気軽に相談したり援助を頼めるところとしてどういったところがあるのか、また県と市町村の連携状況について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 議員御指摘のとおり、核家族化が進む中、さまざまな子育ての悩みなどを相談できる場所の確保は重要です。その相談場所の1つとして、地域子育て支援拠点事業があります。県内に現在55カ所開設されている子育て支援拠点には子育ての知識や経験を有する専門のスタッフが常駐し、子育ての悩みを相談するだけでなく、子供と一緒に遊べる場所や同じ子育ての悩みを持つ者同士の交流の場として、その機能を発揮しています。
 また、子供の預かり援助を頼める仕組みとしては、ファミリーサポートセンター事業があります。ファミリーサポートセンター事業では、用事があって保育所の送迎ができないときの手伝いや一時的な預かりなど、子育ての援助を受けたい人と援助を行いたい人が会員となり、子育てを地域で相互に支え合い、子育て支援のすき間を埋める事業とも言えます。また、子育て経験者が子育てを援助することで若い世代の利用者が気軽に育児の相談をすることができ、育児の知識や技術の継承にもつながります。
 県としては、それぞれの事業の実施主体である市町村への財政支援を行うとともに、地域のニーズに応じた事業が行われるよう、市町村に働きかけてまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続いて2点目、小児の救急相談についてお聞きします。
 小児の救急医療は、子育てにとって大変重要な医療です。子供、特に乳幼児は免疫力が弱いので病気にかかりやすく、また、大人と違ってうまく症状を伝えられないために、保護者の方が、心配の余り、慌てて救急を受診しているような状況です。昔は、祖父母など相談できる相手が近くにいたため、親が過度に不安にならずに子育てができる環境にありましたが、今は少子化や核家族化が進み、身近に相談相手もなく、親が大きな不安を感じながら子育てをしている状況にあります。
 子供が急病になったとき相談できるところがあれば、保護者は安心して子供を育てられます。小児の救急相談について、また今後の取り組みについて、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 小児の救急相談につきましては、子ども救急相談ダイヤル#8000を設け、休日や夜間に子供が急病になったときに看護師や医師が医療機関受診の必要性や自宅での処置方法などについて相談に応じ、保護者の方々の不安軽減を図っております。昨年度の相談件数は3929件で、当日の救急医療機関の受診をお勧めしたのは全体の約2割であり、大部分は家庭での対応で済む事例でした。
 この電話相談につきましては、今年度から時間を拡大し、平日は午後7時から午後11時まで、土日祝日は午前9時から午後11時まで受け付けております。また、市町村を通じて、乳児家庭全戸訪問や乳幼児健康診査の際に#8000のマグネットカードを配布するなど、広く保護者の方々に周知しているところです。
 さらに、今年度は子ども救急対応マニュアルを保護者に配布し、子供の急病時の家庭での対応などの普及啓発を図り、子育ての不安軽減に一層取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 続いて3点目、小児の救急医療体制についてお聞きします。
 小児の救急相談の取り組みはされているものの、夜間や休日にいつでも近くの病院で受診できるような体制が整っていれば、子育て世帯にとってより安心です。全国的に小児科医は減少傾向にあり、今後、地域によっては小児の救急医療体制を維持できず、縮小していくのではないかと危惧しています。
 そこで、小児の救急医療体制の現状、そして今後の対応について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 小児の救急医療体制につきましては、各保健医療圏を基本に、比較的軽症な患者を受け入れる初期救急と入院を要する程度の患者を受け入れる2次救急の体制を整備しております。
 初期救急医療体制につきましては、郡市医師会による休日急患診療所や当番制等による診療体制を確保しております。また、御坊保健医療圏までの紀北地域においては、小児科医による広域的なネットワークを構築し、和歌山市休日・夜間応急診療センターにおいて休日・夜間の深夜帯を含めた365日の初期救急の診療を実施しております。
 2次救急医療体制につきましては、公立病院を中心に、休日の当直に開業医が加わるなど、病院勤務医と開業医の連携した診療体制を確保しております。
 本県におきましても小児科医が不足の状況にありますが、現在の体制を維持するため、修学資金制度を設けるなど医師確保の取り組みを行う一方、小児科医だけでなく、内科医の協力を得ながら小児の救急医療体制を確保していくことが必要と考えており、今年度は、内科医に対する小児救急医療に係る研修事業も実施してまいります。
 今後も、子育て支援に不可欠な対策として、小児救急医療体制の堅持に取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 子育て支援について、3点御答弁いただきました。
 少子化問題ということで子育て支援についてお聞きしたわけですが、県が取り組んでいる若年世代の移住・定住という観点からでも子育て支援が有効です。温暖な気候と豊かな自然、そして人情味あふれる人々、和歌山県は、住むにはいいところだと思います。また、子育てにもいいところだと思います。答弁をお聞きしましても、いろいろと危機感を持って、いろんな工夫を持って取り組まれていることは十分わかりました。
 「子供を産み育てるなら和歌山」と言われるような小児医療の充実など、今後もより一層子育て支援に取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、今、地方創生に向け、大きく動き出しております。私は、和歌山県にとってチャンスでもあり、正念場の時代に入ったと思います。中小零細企業の底上げを初めとする経済対策、2025年問題に向けた高齢者対策、人口増に向けた子育て支援の対策など、課題が山積しておりますが、全国に先駆けて和歌山県発信の政策を打ち出していただきたいと思います。どうか、仁坂知事、よろしくお願い申し上げます。
 以上で、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので質問に入らせていただきますが、その前に、さきの県会議員選挙では何とか滑り込むことができました。これからも、当局の皆さん、先輩・同僚の議員の皆さんの御指導、よろしくお願い申し上げます。
 この県議選で、私は、住民の声を県政に届ける問題とともに、安倍内閣の暴走にストップをかける、憲法の解釈を変えて自衛隊が海外で武器を使える範囲をどんどん広げていくのは危険だと訴えました。
 あえて自民党とは言わず、安倍内閣と申し上げました。といいますのは、自民党の重鎮であった、元幹事長であった方々、野中広務さん、古賀誠さんといった方々までが、安倍内閣はどこへ行くのか、自民党の中にこの暴走をとめる者はいないのかと嘆いていらっしゃるからであります。選挙での相手候補である自民党県議の皆さんも、立場上は何も言わなくても、安倍内閣が進めていることがまともなことだと思っていらっしゃるとは、私には思えなかったからでございます。
 選挙結果は、定数や候補者の組み合わせがありますから、県内では残念ながら3議席になってしまいましたけれども、全国的には全ての都道府県で議席を得ることになりました。頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、質問に入りますが、申し上げましたように、憲法解釈をめぐって日本は大きな曲がり角に来ています。安倍内閣は、国民の命と財産を守るためには日米同盟を強化し、集団的自衛権を認めなくてはならないと言います。私は、イデオロギーがどうであれ、事実に立って、何が国民の命や財産を守ることになるのかということを考えてみたいと思います。
 私は、以前にも憲法九条の会のアピールをめぐって議論したことがございました。軍事力で国民の命や財産を守れるというのなら、原爆や水爆を持っている軍事大国、アメリカやロシアの国民の命や財産が守られているはずではないか。しかし、そういう国々では、外国に侵略して人々を殺し、憎しみを買い、国内で大きなテロが起こって国民の命や財産が失われているではないか。ちょうどアメリカでは同時多発テロが起こり、ロシアでも多くの子供たちが巻き込まれるテロ事件があった直後のことでした。
 その一方で、憲法9条を持つ日本は、自衛隊がありますが、海外に出ていって殺したり殺されたりすることだけはなかった。このことについて、客観的事実としては否定できないと思います。
 この憲法の解釈を根本から変える安保法制、私たちが「戦争法案」と呼んでいるものが国会で審議をされています。今月4日、憲法審査会では、与野党推薦の憲法学者がそろって憲法違反だと断言をされました。さらに、憲法学者らが戦争法案廃案を求める声明への賛同は、220人を超したと報道されています。そんな中でも、安倍内閣は、国会を延長してでもこの法案の可決を図っています。
 戦後日本で憲法9条が果たした役割と、憲法違反という多くの声を無視して法案審議を進める安倍内閣のやり方について、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 以上で、第1問を終わります。
○副議長(藤山将材君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 我が国は、戦後の平和主義をうたった憲法下で、他国と武力衝突を起こさず、他国の紛争に介入せず、途上国に多大の援助を行い、一生懸命誠実に働いて、かつ常に国際経済秩序の維持にも協力をして、国際社会に協力してさまざまな国際貢献活動に積極的に寄与し、平和国家としての現在の高い評価と信頼をかち得るに至っております。
 憲法9条を含む憲法体制のもとで、戦後70年の長きにわたり日本が平和を享受することができたのは、これは軍国主義に陥ってしまったという反省に立って、平和を希求する日本国民の不断の取り組みがあったからだと思います。と同時に、日米安保条約を含めた外交的立ち位置も、紛争の抑止力という意味で大いに効果があったと思っております。このことは、恒久平和を願ってやまない我が国の国民の1人として、世界に誇るべきことであると考えております。
 一方で、時代の変化とともに世界のパワーバランスが大きく変わり、アジア太平洋地域においても国家間の新たな問題や緊張が生じている中、現在、今後の国の安全保障をどうしていくべきかの議論が行われておりますけれども、常に国の将来を考えておくという観点から、それを非難すべき問題と捉えるのはいかがかと思います。
 安全保障関係の法案に係る国会運営については、どう考えても国の所管でございますので、和歌山県の知事として意見を述べるべきことではありませんけれども、どうすれば平和を守り続けることができるのかを、私も含め、国民一人一人がみずからの問題として真剣に考えなければならないと思っております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 御答弁、ありがとうございました。
 安保条約などについては、いろいろ国民の中に議論はありますが、しかし、その中でも、この憲法体系のもとで日本の平和は守られてきた、こういうことを言われたと思います。そして、今、情勢がいろいろある中で、国民一人一人が考えなくてはならないということも知事から言われました。
 今、その憲法の解釈をめぐって大きな岐路に立たされているわけでございます。与党が推薦した方を含めて、圧倒的多数の憲法学者が憲法違反と断言をした。そして、自民党の重鎮である元防衛庁長官の山﨑拓氏に続いて、現職の自民党議員も声を上げ始めています。高知県での地方公聴会でも、反対が5人、賛成は県知事1人だったというふうに報道されています。
 そして、世論調査でも、例えば、今、日本テレビの世論調査を見ますと、この法案をこの国会で成立させないほうがいいというのが63%、成立させたほうがいいというのは19%。今、知事が言われた国民一人一人の意思が世論調査にもあらゆる形で反映され始めていると思います。
 こういう中で、私は、知事からも、そういう国民一人一人の意思を踏みにじらないように意見も上げていただきたいと思いますし、県議会でも、皆さんと一致点でそういう声を上げられたらいいなと思います。また、これは、いろいろと請願などをめぐっても議論されることでしょう。
 次に、先日、エルトゥールル号記念集会に参加させていただきました。個人的なことですが、エルトゥールル号の歌の作曲者・打垣内正は私のおじでありまして、その追悼歌が地元の方、子供たちに歌われたのは大変感慨深いことでした。
 このエルトゥールル号救援に串本の先人の皆さんが献身的に働かれたことが日本とトルコの友好の基礎を築き、イラン・イラク戦争のときには、トルコ政府が在留邦人の救出のために特別機を飛ばしてくれた。このことは、既に教科書にも、道徳教材にも取り上げられ、また、いろいろな方が語られました。
 私は、この感動的なエピソードは、今、議論をしている憲法9条に引きつければ、憲法9条の精神に立った平和外交の意味を私たちに示してくれると思います。戦後、憲法以前の話ですが、串本の先人たちは、世界人類が愛し合い、助け合うことこそが自国の安全保障になるということを示してくれた、こういうふうに思います。
 こういう意味からも、エルトゥールル号の事例は語り継がねばならないと思います。学校教育の場でもしっかりと取り上げていただきたい。教育長の見解をお伺いいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) エルトゥールル号の遭難事故の際、本県の先人が人命救助に当たった行為は、私たち県民にとって誇りであり、この出来事がトルコの人々の心に親日感情として生き、後の人道支援につながったものと捉えてございます。本県の児童生徒がこれらの事実について学ぶことは、人としての生き方を考える上で極めて大切だと考えてございます。
 この出来事については、県が独自に作成した道徳教材のほか、国の道徳教育用教材や社会科の教科書にも取り上げられておりますので、今後とも、県内の各学校において、さまざまな学習の場面で活用してまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 御答弁、ありがとうございました。
 それでは、次の問題に入ります。
 もう1つ、日本の将来、安全保障と民主主義に絡んでくる大問題は、沖縄普天間基地移設、辺野古への新基地建設の問題です。
 昨年の沖縄県知事選挙、続く総選挙で、オール沖縄の辺野古新基地建設反対という意思がはっきりしました。ところが、安倍内閣は、沖縄の民意を無視して基地建設を進めています。
 私たち日本共産党県議団は、6月4日、5日と沖縄に行ってまいりました。新基地建設のために海底調査が行われようとしている現場を船で調査しました。キャンプ・シュワブの前に座り込みをしている皆さんにもお会いし、名護共同センターにも立ち寄りました。
 こうした県民の基地建設反対の熱気を感じながら、沖縄県庁では担当課にお会いをしました。辺野古新基地建設問題対策課といって、知事公室に直属して6月に新設された部署でございます。短時間ですが、県としての考えをお聞きしました。ワシントン駐在というものが設置されて、そこにはアメリカ領事館を退職された方を部長クラスの参事監として配置しています。その方がアメリカ国務省のヤング日本部長と面談して、翁長知事のアメリカ訪問の段取りなどもしてきたということでした。沖縄県の腰の据わった構えを感じました。
 もちろん、知事のアメリカ訪問といっても、中央政府を飛び越えて、違った見解を持って地方自治体の長が訪問するわけですから、相手方も「なるほど」とすぐに応じるわけにいかないのは当たり前です。しかし、県民世論をバックにして、それに挑戦しようとするのが沖縄県知事であります。
 名護共同センターの方が、「基地建設をやめないのなら嘉手納基地包囲の行動をやろうという声が出ている。普天間だけでなく、嘉手納基地も置いておけなくなる」と語っておられましたが、沖縄の基地問題というのはそういう局面まで来ています。
 辺野古への米軍基地建設の可否という問題とともに、中央政府が地方自治体の意思をどう受けとめるのか、地方自治にかかわる問題もございます。こういうことについて仁坂知事はどうお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘の問題は、3つの要素があると思います。第1は日本の安全保障の問題、第2は普天間基地という劣悪な環境からの地元住民の救済の問題、第3は辺野古にまつわる自然環境問題その他の3つのなかなか難しい問題を同時にかなえる解を見つけることが必要であるというふうに思います。
 今、県知事を代表とする地方の声というお話がありましたが、今の私の分類でいいますと、普天間基地の劣悪な環境からの救済と──2番ですね──3番目の辺野古にまつわる環境というのは、大いに地域問題であります。しかし、日本の安全保障ということは国全体の問題であって、それはどうでもいいと言うのは、沖縄県だけの問題ではなくて、国民としては困ることであります。また、3に反対、すなわち辺野古反対と言うと、普天間の解決が現実の問題として遠のくように私には思われます。
 地方にかかわることは知事が発言し、行動することは、もちろん大事でございます。国全体の問題についても、同時に考慮をし、耳を傾けることも大事かと思います。さらに、地方の問題でも、こちらを立てればあちらを立てられない、あるいは立てることがちょっとだんだん難しくなってくる、そういうことがたくさんあることでございまして、現実にそういうことが往々にして起こることで、よく考えた責任のある行動が地方の方も望まれるなあ、そんなふうに思う次第でございます。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今の知事のお話は、いろいろの要素があって大変難しい問題で、なかなか解決策が見つからないと、こういうことになるだろうと思うんですが、私は、1つの枠の中で考えるから解が見つからないんだろうというふうに思っています。
 鳩山由紀夫氏が首相になったときに、「国外へ、少なくとも県外へ」というふうに公約をした。ところが、うまくいかずに追い詰められて辞職をいたしました。どこで追い詰めたのか。それは、鳩山氏がオバマ大統領に会ったときに「トラスト・ミー」というふうに言った。有名ですね。「私を信じてください」、もうちょっと砕いて言えば、「悪いようにしませんから、私を信じてくださいよ」、こういうふうに鳩山氏はその言葉に込めたんだろうと私は思っています。
 けども、あのとき、鳩山氏は何を言うべきだったか。「私は、沖縄のこの基地を撤去すると言って選挙で国民に選ばれたんだ。だから、オバマさん、この普天間基地は国外へ持って帰ってもらわなくては困りますよ」というふうにあの場所で言わなければならなかった。ところが、「トラスト・ミー」と、鳩山さんは英語が上手なんで、つい言うてしもうたんかしりませんけども、そういうふうに言ってしまったところから鳩山さんの混迷が始まったというふうに私は思っているわけでございます。
 沖縄県民と翁長知事は、それとは違って、「この基地はアメリカへ持っていってくださいよ」、こういうふうに言っている。私は、知事に、ここで、その同じ立場に立てとまでは言わないんですけど、しかし、同じ横並びの沖縄県知事、和歌山県知事というこういう知事なんだから、そこの知事が一生懸命言うてることを頭から潰すようなことは、安倍さん、やめてくださいよというふうなことだけは言えないんかなという気持ちがあって、地方自治という立場でどうなんでしょうというふうにお伺いしてるんですが、いかがでしょう。
○副議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 感情的なことを言うてもしようがないわけでございまして、やっぱり物事は、全体の枠組みの中──さっき枠の中で考えると言いましたけど、限定され過ぎた枠の中で考えると難しいわけでございます。
 したがって、これは難しいんですけど、先ほど言いましたように、第1番目の話も、第2番目の話も、第3番目の話もあって、みんな大事な問題なんだけど、それだけ考えてるというと、やっぱりなかなか問題は解決できませんよねえと言うぐらいしか、ちょっと今なかなか言いにくいなあと。それ以上のことを言い得る人がいたら、ひょっとしたら無責任な人かもしれない、そんなふうに思っております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 まあこの議論はこのくらいにしておきましょう。
 次へ参ります。
 ことしは、広島・長崎での被爆70年の年でもあります。ことしも、原水爆禁止世界大会を前にして平和行進が行われました。県下30の市町村で行われた平和行進では、市町村長さんや議会議長さんからも激励をいただきながら、全県民的な運動として取り組まれました。県に対しては、5月29日、県原水協、県原爆被災者の会、核戦争防止医師の会などの皆さんが協力の申し入れを行いました。
 和歌山県議会では、平成10年6月県議会で核兵器廃絶平和県宣言を行っています。その宣言は、「和歌山県議会は、人類永遠の平和確立のため、いかなる核兵器も廃絶するよう強く訴え、県民の総意として、ここに核兵器廃絶平和県を宣言する」と結ばれています。この精神を県行政にも生かしていただきたいと思います。
 残念なことに、6月14日、和歌山県原爆被災者の会が解散したことが報道されました。被爆者の高齢化のために原爆の悲劇を語り継ぐことは私たちの世代に託して、会として終結したわけでございます。
 ただ、うれしいのは、一昨年、県への申し入れをしたとき、新しい原爆写真を県で買い入れることをお願いし、そのとき県議会議長は山下直也さんでしたけども、「私からも声をかけましょう」と言っていただき、そして県で購入、そして昨年、県庁内で原爆写真展が行われたことでございます。
 引き続いて核戦争の悲惨さを語り継ぐ取り組みは続けていっていただきたいと思いますが、福祉保健部長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長幸前裕之君。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 県では、広島、長崎での原爆の惨状を伝える写真パネルを活用し、毎年、ふれあい人権フェスタで原爆写真を展示するとともに、昨年8月には県庁内でも原爆写真展を実施したところです。
 唯一の戦争被爆国として、戦争、原爆の悲惨さについて多くの人に伝えていくことは大切なことであり、今年度も8月に県庁渡り廊下において原爆写真展を開催することとしており、今後も、平和に対する県民の意識がより一層高まるよう取り組んでまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 学校の現場でも、戦争や原爆の悲惨さを語り継いでいくことは極めて重要だと思います。県庁内での原爆写真展の取り組みが、市町村での取り組みや学校現場で戦争の悲惨さを語り継ぐ取り組みにもつながっていくことを期待しております。
 続いて、子供の貧困についてお伺いいたします。
 2013年6月、子どもの貧困対策推進法が制定されました。この法案では、政府には、子供の貧困対策を総合的に推進するため子供の貧困対策に関する大綱の制定義務が、都道府県には子供の貧困対策計画策定努力義務が課されています。
 2006年のOECD報告書には、日本の貧困率について次のように指摘されました。日本の貧困率は徐々に上昇しつつある、この数値はOECD諸国に比べて高い、母子世帯の貧困率が突出して高いなどでございます。
 この貧困率というのは、相対的貧困率を言います。アフリカの子供たちが毎日食事ができないというようなものではありません。しかし、相対的貧困というものは、人間に精神的なプレッシャーを与えます。世間一般のような生活ができないために閉じこもってしまう。それが子供の場合にはなおさら深刻です。
 子供の貧困率が、2004年には13.7%だったものが2010年には15.7%とふえていることが指摘されているんです。これは、OECD22カ国の中で8番目の高さだということです。
 子供の貧困は連鎖するという問題があります。学力が低い、高校に行っても中退率が高い、学歴や資格がないから安定した仕事につけないという貧困の悪循環が起こる。こうした問題を解決しなくてはなりません。
 まず、福祉保健部長にお伺いします。
 子供の貧困の和歌山県での実態をどう把握しておられるでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 子供の貧困の実態については、国から都道府県別の数値は公表されておりませんので把握しておりませんが、議員の発言にもありました母子家庭の実態につきましては、平成25年度に行った和歌山県母子世帯実態調査の結果、全国に比べると就業の割合は高いものの、パート、アルバイト等の比率が約半数を占め、世帯収入額としても低い状況や大学等への進学希望に関しては低い状況が見られるところです。
 現在、県では、子供の貧困について、庁内関係課と連携し、県内の子供の貧困に係る状況把握に努めているところであり、これまでのひとり親に対する施策なども踏まえ、子供の貧困対策に関する計画を策定してまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 日本では、御答弁にあったように、地域ごとに貧困率が公表されていない。これは1つ、国の統計発表上の問題があると思います。それでも担当課として、今、子供の貧困の最も深刻な問題としてOECDが指摘した母子家庭の実態について調査に乗り出したことは評価をしたいと思います。
 私も、担当課から取り組みを始めた資料の一端を見せていただきましたけれども、やはりそこにも貧困の連鎖の問題がはっきりと示されています。今、子どもの貧困対策法に基づく取り組みは、和歌山県では始まったばかりでございます。
 また、この質問を準備しているさなかに、千葉・銚子の県営住宅で、強制退去の日に中学生の娘を殺害した母親への判決が大きく報道されました。私も、以前に生活保護の捕捉率という問題を取り上げたことがありますが、問題は大変深刻です。いろいろな面から、これからしっかりと取り組んでいかなくてはならないと思います。
 それでは、子供を預かる学校では、子供の貧困をどういうふうに把握しておられるんでしょうか。教育長からお願いいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校では、児童生徒が置かれている生活環境や経済状況、親子関係等、多くの背景が複雑に絡み合い、学力や学校生活等においてさまざまな教育課題が生じています。そのため、学校長と教職員が児童生徒一人一人の情報を共有するとともに、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等の専門家による助言を得ながら、学校内外の多様な角度から働きかけることが大切であります。
 学校からは、関係機関と連携して組織的に取り組むことにより課題解決につなげているとの報告を受けており、今後も、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等を有効に活用しながら支援体制の充実を図ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私も、この質問を準備する過程で、スクールソーシャルワーカーの活動の報告の一端を読ませていただきました。貧困といっても、単に金銭的な問題ではない。親が離婚したという問題だけでもない。ある場合には子育てをネグレクトもする。ある場合は児童虐待がある。さまざまな問題があります。また、貧困の中で、昼も夜も働きながら子供を一生懸命育てている母親が大勢いる。こういう実態を本当はここで話をしていただきたいというふうに言うたんですが、これは議会質問で、この場ではこれ以上無理でしょうね。
 そして、こうした実態を学校では担任がキャッチをして、必要な場合には就学援助、生活保護などの制度も活用して対応しなくちゃならないという考え方も示されたと思います。また、困難な事例に対応するためのスクールソーシャルワーカー、さらに増員を図っていただきたいと思いますが、これは要望でございます。
 そして、こういう貧困の問題と、今問題になっている学力テストの結果の問題なんですが、これは、学力と子供の貧困についてはどういう分析をしておられるでしょうか。教育長にお伺いいたします。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供の学力につきましては、文部科学省による平成25年度全国学力・学習状況調査のきめ細かい調査の中で、家庭の経済状況を初め、家庭での学習時間や読書習慣など、さまざまな要因と相関があると報告されてございます。
 各学校では、児童生徒一人一人の状況を把握し、わかる授業の実践や補充学習の徹底など、確かな学力の定着に向けた丁寧な取り組みに努めてございます。
 県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会と連携し、一層の取り組みの充実を図ってまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私も、文部科学省のアンケート調査結果を統計処理して出したものを見せていただきました。統計処理ですから、関係があるというだけでなかなかぴんとこないんですね。ほとんど学校現場で参考にされていないのではないかと言ったら失礼ですが、そんな気持ちを持ちました。
 和歌山県でかつて県独自の学力調査をやったとき、当時は同和教育との関係での調査をやったのが1979年と1994年という2つの調査があるんですが、そのときは現場の教員も参加をして、保護家庭ではどうか、ひとり親家庭ではどうかなどと、ハンディキャップを持った子供について子供の生活実態と学力の問題を分析したことがあります。その分析を見ながら、学校現場では、うちの学校の、うちのクラスのA君の場合はどうなんだろう、こういう議論に発展をした。
 これは、15年、間があいた調査なんですよ。だから、1つの調査でも、現場の先生も入って非常に綿密な調査をやったんですよ。恐らく教育長は御存じと思いますけど。私は、2つともの調査で、その当時、いろいろ一緒に議論をいたしました。
 今、学力テストで、毎年、国と県のテストが2つもあるんですね。どうしても、そうすると平均点を引き上げることに追われるようなことになるんではないか、こうした一人一人の子供を見据えた議論になりにくいのではないかという心配をいたします。
 教育長は、そういうことではなしにやってますというふうに言っておられますから、そのことに期待をしたいと思います。
 そのことだけ申し上げて、次へ参ります。
 次に、子供の貧困に立ち向かうために何をするのかという、いろいろな問題がありますが、その中で、貧困な家庭を支援する就学援助があります。これは、市町村の管轄になっております。
 私は、それの市町村ごとの一覧をじっくり初めて見たんですが、国の基準があって、市町村が学用品や修学旅行費用などの援助金額を決めていく。国の基準そのものが低いと思うんですが、その基準を大幅に割り込む市町村がある。自治体がある。具体的に言えば、小学1年生の学用品費は、国の基準では1万1420円となってるところ、ある市では6860円。私は、何かの間違いかと思いまして、何かの事情があるのかと県の教育委員会の関係課に聞いてみても、「数字は間違っていません。事情はよくわかりません」という、こういうお答えです。市会議員や教職員組合の支部に問い合わせても、事あるごとに要求しているというお話です。
 あるいは、この就学援助を親に周知し、就学援助金をどう渡すかという問題があります。周知にしても市町村でいろいろですし、それから、就学援助金が口座振り込みになっているのは30市町村のうち10の自治体だけだとお聞きをいたしました。
 こういう問題は、市町村の管轄だからと済ますんでなくて、やっぱり県の教育委員会としてもしっかりと状況をつかんで、市町村と意見交換をして改善努力をすべきだというふうに思うんですが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 就学援助に関しては、それぞれの市町村が実情に応じて決定していくものでございますが、県といたしましては、これまでも、制度が円滑に活用できるよう市町村へ助言を行ってきたところでございます。
 議員御指摘の件につきましても、教育の機会均等の確保という制度の趣旨を踏まえ、市町村教育長会議などの機会に、県内市町村の就学援助支給額の状況について情報提供するとともにプライバシーに配慮した支給方法についても助言してまいります。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 よろしくお願いしたいと思います。
 次の問題です。
 次に、子供の貧困と医療の問題です。
 和歌山県教職員組合が実施した歯科治療についての調査結果があります。歯科健診で歯医者さんに行きなさいよと言われて実際に歯科医を受診した児童生徒が、小学校入学後は医療費助成がない地域では35%、中学校まで助成がある地域では50.55%となっておりました。医療費の助成が効果を上げていることは明らかです。
 この問題、よく市町村で進んでいるから県や国でやらなくてもいいだろうというふうに言われることがあるんですが、その考えは、私は間違ってると思います。共通して必要とされているものなら県でやる、さらに国でやるように迫っていく、そして市町村は地域ごとの施策をさらにそれぞれ必要に応じて考えたらいいと、そういうふうに予算が回せるようになればいいと思うわけでございます。
 子供の医療費を中学校卒業まで、差し当たり小学校卒業まででも県として無料化されてはどうかと思いますが、福祉保健部長、いかがでしょうか。
○副議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔幸前裕之君、登壇〕
○福祉保健部長(幸前裕之君) 乳幼児医療費助成制度につきましては、乳幼児の健康保持増進及び子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、乳幼児医療費の支給をする市町村に対して補助を実施するもので、就学前の乳幼児を対象としているのは、乳幼児は免疫が少なく、病気にかかりやすく、また病気にかかった場合に重症化しやすいため、早期に医療機関で受診してもらえるよう自己負担分を無料にしたものであります。
 近年、市町村が対象年齢を拡充していることは県も承知しているところですが、乳幼児医療費助成制度は、ベースになる部分は県が下支えをし、対象年齢拡大等の上乗せの部分については、市町村がそれぞれの地域の実情に応じ施策の特色を出すために実施しているものであり、県が統一的に無料化するものではないと考えております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これは残念ですが、きょうはこうしておきます。
 最後に、海南市の津波防災堤防についてお聞きいたします。
 海南市の浮上式津波防災堤防の断念にかかわって、予算特別委員会でもお伺いしました。知事からは、計画変更になってさまざまな案が検討されたのだというお話もありましたけれども、十分納得できるものではありません。海南市議会でも、全員協議会で説明を聞いただけで、きょう、あすあたり、またいろいろと議論されるんではないかと思います。
 新しい堤防の案は、450億円かけて沿岸堤防を9メートル程度にかさ上げしたいというもので、私は、770億円もかけて浮上式をやれと言うつもりはありませんし、450億円もかけてやっていただくことも大変ありがたいと思っています。しかし、お金をかけるからには納得できるものをつくっていただきたい。
 私は、予算特別委員会では、湾内の奥まった狭い部分を仕切って水門をつくってはどうかという提案をいたしました。その場合、和歌山石油という企業が港を使えるかどうか心配しておりまして、その後、和歌山石油を訪問してお話を聞きました。大きな船は月に1回接岸するが、外側の岸壁に着くから問題はないようです。小さい船は毎日のように接岸するけれども、これも1日1個ぐらいだったら工夫すれば私の案も可能ではないかというふうに思いました。
 浮上式堤防をつくるというときには何度も説明会をやっているわけですから、前の計画がだめになり、さらに200億円の予算を積み上げた工事をする、その前にそのくらいの説明会ができないはずはないというふうに思っています。県土整備部長のお考え、そして今の説明の状況などをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山下津港(海南地区)津波対策事業につきましては、従前の計画にあった浮上式防波堤が南海トラフ巨大地震発生時に稼働しないおそれがあること、これらに対する補強等に多くの事業費と時間が必要となることなどから、本年2月に国土交通省より、防護レベルを浮上式防波堤と同様の東海・東南海・南海の3連動地震とするも、浮上式防波堤をやめ、港内護岸をかさ上げする構造へ計画変更するとの発表がありました。
 この計画変更においては、国土交通省では、浮上式防波堤を補強する案、防護レベルを昭和南海地震まで下げて事業費を極力抑制する案、沖合防波堤を建設する案など、さまざまな代替案が検討され、また県としても、市民・県民の安全を守るための技術的な妥当性、海南市や地元企業からの協力、財政負担の可能性等の観点から検討してきました。
 その結果、港内護岸のかさ上げ案が、防護レベルが同等で事業費の増加を極力抑えたものであること、港内の利便性や船舶の安全性等も考慮すると最もよい案であるとの結論を出し、本年2月の和歌山下津港(海南地区)津波対策協議会において説明、公表したものです。
 その後、4月下旬から5月上旬に開催された海南市の市政懇談会において個別地区へ説明の要請を受け、6月上旬より、黒江・船尾地区、日方地区、冷水地区にて、国土交通省、和歌山県、海南市による説明会を行いました。この説明会では、特に事業に反対という意見はなく、堤防の開口部の対策や大雨時の対策等に関する意見が出され、検討していくこととしております。
 今後も、設計が終了したときや工事に着手するときなど、必要な時期には地元に対して説明を行っていくとともに、地元住民等から要望等が出された場合には適切に対応するよう努めてまいります。
 なお、議員御提案の港湾の内部に水門を設置する案につきましては、先般の2月議会の予算特別委員会において御説明しましたように、船の接岸だけではなく、狭い水域で船舶がふくそうし、安全性への影響が大きいことや、水門で津波が反射されるため港内護岸をさらにかさ上げする必要があること、水門の高さ、幅とも大規模になることが予想され、事業費の増大や地震時の確実な作動等、課題が多く、実現は難しいものと考えております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 丁寧な説明、ありがとうございました。
 さらに突っ込んだいろいろな意見も出るかもわかりません。堤防のかさ上げ工事が始まってからいろいろ意見が出ても、これはもう対応できないと思うので、やはり出るだけの意見はその前に出してもらわなくてはいけないと思います。
 そういう点で、これからも、今の答弁でも言われたと思うんですが、ある程度まとまって説明をしてほしい、要望を出したいということがあれば、国や県が一緒になっておいでいただけるんでしょうか。改めてお伺いします。
○副議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 先ほども答弁いたしましたけれども、要請のあった3地区には、これまでも十分説明をしてきており、質問、要望等には可能な対応をしていきたいと考えております。
 繰り返しになりますけれども、今後も、設計が終了したときや工事着手時など、節目節目において地元の方々に対し説明し、適切に対応するよう努めてまいりたいと考えております。
○副議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 どうもありがとうございました。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(藤山将材君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時31分散会

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