平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。一般質問最終日、本日、登壇させていただきましてありがとうございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問させていただきます。
 まず最初に、障害者の雇用施策についてお伺いしたいというふうに思います。
 まず、昨年度から、障害者の就業と自立を支援するため、総合評価落札方式等の評価項目に障害者雇用の取り組み等を新たに追加し、企業における障害者雇用と障害者就労施設等からの物品や役務の調達を促進する目的で、評価項目が追加されました。
 施行されて1年余りが経過しますが、雇用効果や物品、役務の調達の効果はどうなっているのか、福祉保健部長にお伺いします。
 障害者が福祉のお世話になって暮らす社会ではなく、自立をし、税金を納めるタックスペイヤーになることは、社会全体から考えてとても有意義なことだと考えています。
 県では、県庁北別館や、新たに本館1階にお弁当やカレーなどの食べ物を販売する店舗を展開するなど、障害者の皆さんに就労の場を提供していただいています。公共が率先して障害者の皆さんに就労の場を提供していくという方向を示されていることは、高く評価に値することです。
 現在、障害者雇用については、さまざまな施策が用意されていますが、その中でも、就労継続支援A型事業所の取り組みを御紹介したいというふうに思います。
 和歌山市内にあるNPO紀ノ国就労支援センターは、スーパーサンワと業務提携を行い、現在、50名の障害者が就労しています。スーパーサンワは、和歌山市内に2カ所の店舗を持ち、100名の従業員を抱える中小企業です。紀ノ国就労センターは、就労継続支援A型ではスーパーと連携で進めている初めてのケースだというので、何度か視察をさせていただきました。
 行って驚いたのは、障害者か健常者かの見分けがつかないぐらい、両者がスーパーの中で生き生きと働いている様子を拝見したことでした。障害を持つ50名は、紀ノ国就労支援センターの就労訓練所であるクロスオーバーの訓練生として従業員の皆さんに指導していただきながら、週5日6時間の就労をしています。
 訓練生は、知的や精神、発達などの障害を持っているのですが、精肉や鮮魚など、専門性が必要な現場でも活躍しています。従業員が指導員として訓練生に付き添い、指導しているとはいえ、主要な部門を任されているほどの技能を身につけている訓練生もあり、その上達ぶりは目を見張るものがあります。朝礼なども従業員と訓練生が一緒に行っていますが、エプロンの色で見分けないとわからないぐらい元気に働いている姿が印象的でありました。
 知的障害や精神障害があると健常者と一緒に働けないのではという今までの概念を大きく覆し、新しい就労の形を見せていただきました。そこには、自立を目指し働く障害者の姿がありました。ことしも、訓練生として5名の採用が見込まれているそうであります。
 このように、就労継続支援A型事業の福祉サービスは、最も就労が困難とされる知的障害のある皆さんの雇用に大きな役割を果たしています。
 私は、同じ形や手順を繰り返す、正確さを要求する、そういった仕事は、知的障害や精神障害のある皆さんの特性を生かせる仕事だと考えています。スーパーでの仕事もそうでありますが、清掃の仕事なども適しているのではと思い、ビルメンテナンス協会の方に、ビルメン事業者で就労継続支援A型事業をしてはどうかという話をしました。同協会は、アビリンピックにもとても協力的で、障害者雇用にも大変理解があります。
 その方がおっしゃるのは、「いや、我々も障害者の皆さんに訓練の場を提供し、就労につながるよう尽力したいけれども、営業に回る中で、受注先の事業所から障害者を雇用していると断られることが多い、事業所によっては最初から障害者はお断りと言われることもあるというので、なかなか難しい」というようなことでありました。
 これは一例でありますが、ビル管理を任す企業の方々に障害者に対する理解がまだまだ浸透していないというのが現状であります。それは、障害のある皆さんの働く姿が見えていないということも大きな要因の1つだと考えます。
 そこで、今回、一般就労につながるよう、清掃業務に限ってお伺いします。
 昨年の議会では、大阪府の進めている行政の福祉化という取り組みを御紹介しました。大阪府庁では、障害者の皆さんが大勢、清掃業務をされています。府庁を訪れる、または働いている皆さんは、日常的に就労に励んでいる障害者の姿を見ることができます。啓発は口で幾ら言ってもなかなか進みませんが、一緒に働く、身近なところにいるということが、障害者に対する理解を深めると思います。
 先ほど申し上げましたが、清掃業務など民間での理解や受け入れが進まない状況の中、障害者の皆さんが清掃技能を高め、一般就労への道が開かれるよう、公共の場をもっと開放する必要があると考えます。
 県では、有田振興局を初め4つの振興局で地元の作業所に清掃業務を提供しています。障害者が振興局などで働くことで障害者に対する理解が深まり、意義のあることだと考えます。
 ただ、働いている障害者の工賃の状況を見て、少し問題があるのではないかと考えています。
 県が作業所に業務委託をするときは、積算基準に基づいた価格で作業所に委託しており、金額は入札の場合と同じ基準だということです。清掃業務は、手順をきちんと示し、訓練をすれば、障害があっても十分できる作業でありますし、健常者と同じ働きができると確信しています。しかし、その工賃は、1カ月平均9345円から4万8685円と、最低賃金にもほど遠いものです。
 そこで、一定の清掃業務を作業所に委託する際にも、委託先に丸投げというのではなく、障害者の自立につながるようにする必要があると考えますが、見解をお聞きします。
 また、清掃業務も、安かろう悪かろうでは困るわけです。ないとは思いますが、例えばトイレと廊下を同じモップで拭くとか、床を拭いた雑巾で手すりや壁を拭かれるといったようなことがあるとしたら困ったものです。清掃業務の手順や技能をきちんと訓練する必要があります。業務の品質を確保する県としてはどのような対策をされているのか。以上、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 今年度から実施している障害者雇用等に配慮した入札制度等の直近の状況については、対象となっている建設工事に係る委託業務、役務調達、指定管理者制度における延べ応札者及び申請者数の合計181者のうち、延べ46者が障害者雇用への取り組み等で加点されています。本制度については、企業の障害者雇用等への取り組みが適切に評価できていると考えております。
 今後とも、本制度について、関係部局ともよく連携を図り、障害のある方の就労の促進に努めてまいります。
 次に、障害者就労の機会提供についてですが、県では、振興局の清掃業務を障害福祉サービス事業所に委託し、障害のある方の就労の場の確保を図るとともに、能力向上のための訓練が実施されています。引き続き、より多くの場で清掃業務が実施されるよう、関係部局に働きかけてまいります。
 また、事業所に対しては、就労の場の確保とともに、作業技能の向上により工賃水準が上がるよう働きかけております。このため、本年度、西牟婁振興局を会場に、障害福祉サービス事業所職員を対象とした清掃業務技術習得研修を実施したところです。
 今後とも、障害のある方の就労が促進され、工賃向上につながるよう、研修会の開催など、事業所等の円滑な事業の実施を支援してまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 総合評価落札方式による障害者雇用の状況をお聞きしたわけです。
 スタートしたこの制度は、質・量ともにさらに充実させるためにも、点検と評価をしていただくことが必要だと考えます。担当課だけではなく、関係部局とも連携し、取り組んでいただけるよう要望します。
 また、現在は、作業所での就労から一般就労への道は、なかなかハードルが高い状況であります。清掃業務を通じて障害者の皆さんの一般就労の道が開かれるよう、清掃業務技術取得研修の成果が、指導者だけではなく、障害者の皆さんに届くように取り組んでいただきたいというふうに要望します。
 さらに、その清掃業務というのも、やっぱり2年ぐらいしっかり訓練しないと技能が身につかないというふうに言われておりますので、県としても、一般就労へつながる施策を進めていただけるように要望いたします。
 次に、続けて、新教育委員会制度というふうに、教育委員会のほうの質問に移らせていただきます。
 新教育委員会制度についてお伺いします。
 教育委員会制度の見直しを主な目的とする地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が改正され、ことし4月1日から施行されることになっています。
 今回の改正は、教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、地方教育行政における責任体制の明確化、地方公共団体の長と教育委員会との連携等を行うものとされています。
 また、教育の政治的中立性を担保するために、引き続き執行機関として合議制による教育委員会制度は残すこととされ、教育に係る首長と教育委員会の権限関係も変更がないというふうにされています。教育長は、教育委員会の意思決定に基づき事務をつかさどる立場にあることは変わりなく、教育委員会の意思決定に反する事務執行を行うことはできないという点でも、改正法は旧法と変わりないという確認もされています。
 このように、今回の改正は、教育の中立性を損なうものではなく、首長と教育長の連携こそが重要なポイントであると私は認識しているところであります。
 そこで、何点か質問をさせていただきます。
 まず、知事と新教育長との関係について、どのようになるのか、お伺いします。
 次に、全ての地方公共団体に総合教育会議を設置することが明記されました。この会議では知事が教育委員を招集することとされていますが、この会議は、どのような考えのもと進めていくのか、お伺いします。
 最後に、教育に関する大綱を知事が策定することとなっています。大綱は、総合教育会議において知事と教育委員会が協議調整を尽くし、知事が策定することとなっていますが、現在ある教育振興計画との整合性はどのようにするのか。また、この大綱に明記された内容が市町村への関与を含んでいるのか。以上、教育長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今回の教育委員会制度の改正におきましては、教育長は、従来の教育委員長と教育長の両方の職責を担い、教育委員会を代表することになります。また、教育委員会は、御指摘のとおり、引き続き執行機関であり、職務権限は従来どおりであることから、政治的中立性、継続性・安定性が確保できるものと考えております。
 本県では、現行制度でも、知事と教育長が相互に信頼し、必要に応じて協議を深め、緊密な連携協力のもと、適正、円滑に教育施策を進めております。新制度に移行しても、和歌山県のあすを担う子供たちのために一層連携を密にし、意思疎通を図ることで、本県教育の充実に努めることが重要であると考えております。
 次に、総合教育会議では、大綱の策定や教育、学術、文化の振興を図るため重点的に講ずべき施策等について、知事と教育委員会がこれまで以上に連携を深め、対等な立場で真摯な協議を行うことで、より一層民意を反映した教育行政を進めることが肝要であると考えております。
 知事が策定する大綱につきましては、本県の教育施策の根本的な方針を定めた和歌山県教育振興基本計画との整合性を保てるよう、総合教育会議において協議・調整を図っていくべきものと考えております。
 また、市町村が定める大綱については、法律上は都道府県の大綱との関係は規定されておりませんけれども、市町村においては、県の大綱も視野に入れながら、それぞれの市町村の大綱を定めていくものと考えております。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 教育委員会制度が変わり、教育長、教育委員会、知事と今まで以上に連携をとりながら教育を進めていくという方向が示されたと思います。
 子供の教育というのは、就学年齢に限らずに、生まれてから18歳までの乳幼児から青年期までのその年齢に応じた支援が必要です。そういった意味では、知事部局の長である知事と教育委員会の責任者である教育長が連携を密にして子供たちの教育に当たることの意義は大変大きいというふうに思います。
 ただ、くれぐれも──政治家ですので、知事は──政治的圧力による教育の中立性が損なわれることのないよう、再度確認しておきたいと思います。
 引き続きまして、発達障害教育における通級についてお伺いしたいというふうに思います。
 和歌山県では、小中学校の通常の学級に在籍している比較的軽度の障害のある児童生徒に対して、障害による学習上または生活上の困難を克服するために、その障害に応じて特別な教育課程による指導を行う通級指導教室を設置しています。和歌山県には、言語の通級教室が9カ所、LD等通級指導教室が33教室設置されています。県が行っているLD等通級指導教室は、主にLDやADHDといった特性を持つ子供たちを指導するものでありますが、その教室数はまだまだ十分とは言えません。
 LDは、全般的に知的発達のおくれはないが、聞くとか話す、読む、書く、計算する、または推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示すと言われておりますし、ADHDは、年齢や発達にふつり合いな注意力、または衝動性、多動性が認められ、社会的な活動や学業の機能に支障を来すと言われています。しかし、このような特性を持つ子供は、30人のクラスであれば2人程度は在籍しているといった、そんなことも言われているわけです。
 和歌山市──私、和歌山市の選出ですので、和歌山市には、6小学校と2中学校にこの教室が設置されております。その1つである和歌浦小学校にお伺いしまして、その様子を拝見してきました。
 和歌浦小学校は、近辺の7つの小学校を対象に通級指導を行っており、約30人弱の児童が通級しています。もう明るくて温かい雰囲気の中、通級学級の先生は、一人一人の児童と丁寧に向き合いながら指導されていました。
 その一人一人の児童の適性が違うわけでして、適性を見きわめ、その児童に合ったプログラムをつくり、そして指導するというふうなことになるわけですね。保護者とは、もうかなり緊密に連携をしなくてはいけませんし、その子の在籍している元の学校の先生との連携も欠かすことができないわけです。時間がもう幾らあっても足りないというふうに話されていました。
 しかも、通級には保護者の付き添いが必要なため、通級指導が必要だなとされる児童であっても、全ての対象児童がその指導を受けられるといったことにはなっていないのが現状です。中学校でも、同じように4つの中学校から通級しているといった状況でありました。
 LDとかADHDの児童生徒は、適切な指導を行うことで、対人関係のトラブルを軽減したり、児童生徒の特性を伸ばすことができるようになるというふうに言われています。しかし、余りにも通級教室の数が少なくて、対象の児童生徒を全てカバーすることができないという状況です。
 できれば全ての小中学校に設置していただきたいという思いですが、せめて通いやすい2校に1学級程度、教室を開設していただければなあというふうに、私はその必要があるというふうに考えます。
 通級指導教室の現状と今後の取り組みについて、教育長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 通級指導教室につきましては、学習障害等の発達障害や言語障害のある児童生徒を対象に、国の加配を活用して開設しており、現在、小学校39教室、中学校3教室の計42教室となっております。
 毎年、国に対して増設のための加配教員を要望しておりますが、国の定数改善は厳しい状況にあり、今年度は1教室増にとどまっている現状です。このため、通級指導教室で学習することを希望する児童生徒で、通学する学校に設置されていない場合は、保護者に他校の教室までの送迎をお願いしている現状にあります。
 県といたしましては、通級指導教室の重要性は十分認識しているところであり、今後とも、新設のための教員定数の確保に努めるとともに、担当する教員が個々の児童生徒の課題に応じた指導ができるよう、専門性の向上に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 発達障害教育ということで、通級指導教室の設置は国からの加配という措置で運営されているわけですよね。加配教員の割り当ても年々減少しているという状況ですので、通級指導教室をふやすことは難しいという状況だというふうに思います。
 しかし、発達障害等の児童生徒への支援というのは、これからもふえることはあっても、ちょっと減ることはないという状況だというふうに思われますので、教育委員会としては、強く強く国へ要求していただくようにお願いいたします。
 引き続いて、学校図書館の活用についてに移りたいというふうに思います。
 これは、昨年の9月の議会でも取り上げさせていただいて、和歌山県は、司書の配置についても全国に比べ大変少ない状況にあり、解決しなければならない課題として受けとめているというふうに答弁がありました。全ての市町村の教育委員会にも強く働きかけてまいりますという答弁でありました。
 私は、その後、有田市の箕島小学校が文科省の研究指定を受けて学校司書の資質向上についての研究を行っているとお聞きしましたので、視察をさせていただきました。思ったとおり、やっぱり司書が配置されている学校図書館で、生徒たちの生き生きした活動を拝見することができました。
 その研究事業を見た後、山形県の鶴岡市教育委員会で、学校図書館でアドバイザーをされている五十嵐絹子さんという方の講演をお聞きしました。
 五十嵐氏によれば、学力というのは、子供たちのふだんの学習だけではなくて、日常の生活の過ごし方が密接に関係しているのではないかと推論して、読書と学力テストにおける読解力との相関関係を調べてみたとのことでした。
 調査内容は、1つは、日ごろからよく本を借りている、貸出数が多い、2番は、前はあんまり読んでいなかったけど、近年よく借りて読んでいるというもの、3番目に、本が余り好きでない、借りていないという3つの観点でマーカー分けをして、読解力の結果と照らし合わせたというものでした。
 その結果、読書冊数の多い子供ほど、やっぱり学力が高い、それから、前まで読まなかった子が読むようになった場合、読まなかった前よりは点数を上げている、で、本を読む習慣のない子は学力的にもちょっと低いということが結果としてわかってきて、やっぱり読書量と学力というのはイコールだなあという結論であったというお話でした。
 五十嵐氏は、その上で、数値であらわされる学力とともに、生きる力を育むためにも、生涯学び続ける人に育ってほしいというふうに結ばれて講演が終わったんですが、学校図書館は、読書センターでもありますし、学習センターでもありますし、また情報センターとしての働きもあります。しかし、その働きを最大限に引き出すためには、学校司書の存在がやっぱり必要不可欠だというふうに思います。
 そこで、その後の取り組みについて教育長にお伺いします。
 また、教育委員会制度がもう変わります。知事と教育委員会との連携が強くなっていくと思われます。学校司書の設置について、市町村任せにしていたのでは、なかなか前へ進まないんです。
 そこで、知事にお伺いします。知事の英断をもって、図書館司書の設置に向け、働きかけていただきたいと強く要望しますが、御見解をお伺いします。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 質問に答える順番が逆になっておりましたので、後から登場しようと思っておりました。失礼しました。
 市町村任せにしてはいけないということでございまして、まさにそのとおりでございますが、市町村任せととられかねないようなこともちょっと申し上げます。
 学校司書の配置に要する経費、これは、教員と違いまして、国の地方財政措置が市町村に講じられているわけです。だから、市町村が主体的に配置を行うのが建前でございます。しかし、全県の子供たちの教育にも責任を持たなきゃいけない私としては、やっぱり読書は物すごく大事なことだと思っております。
 本県の喫緊の課題となっている学力向上を図る上でも、御指摘のように大きな効果が期待されると思いますし、また、学力が上がった下がったというだけじゃなくて、生涯にわたって心身ともに豊かでたくましく生きていく上で大変大事なことだというふうに思います。そのためにも学校図書館の機能を充実させる必要があると認識しておりまして、かつて、例えば家庭で余ってる本は提供していただけませんかというような運動をしてみたり、いろいろやってまいりました。
 全ての学校に専門的な知識や技能を持った学校司書が配置されるということは望ましいことでございますので、そのように働きかけていきたいと思っております。しかしながら、もし直ちに配置することは困難であるとするならば、次善の策として、地域や保護者の力をかりて学校図書館をサポートしていただくなどの方策も市町村にお勧めして、ともに研究してまいりたいと思っております。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 読書活動は、子供の感性や表現力を高め、想像力を豊かにし、これからの時代を生き抜くために必要となる知識や教養を身につけていく上で欠くことのできないものと捉えております。このようなことから、学校図書館は、生涯にわたる学びの基盤形成につながる重要な役割を担っていると考えております。
 しかしながら、多くの小中学校の図書館では、ジャンルが偏ったり、百科事典や図鑑が古いままだったりするなど、蔵書整備が十分行き届いてない状況も見られます。
 図書の充実に当たっては、各市町村が国の地方財政措置を活用し購入するとともに、県では、リサイクル図書の活用を推進しております。加えて、専門職である学校司書の配置を進めることにより、各学校では、読書好きの子供をふやし、学習活動を支援できるよう、学校図書館の環境づくりを進めてまいります。
 県教育委員会としましても、子供たちが積極的に読書に親しみ、生き生きと学習できるような学校図書館を目指して、学校司書が積極的にかかわる授業づくりについての本県の研究成果や県外の先進事例の普及に努めているところです。
 さらに、読書活動は、子供たちの知的好奇心を喚起し、探求的な学習を実現させるなど、学力向上にも大きく寄与するとの観点から、このたび策定した県学力向上対策中期計画において、学校図書館の重要性を明確に位置づけています。
 今後とも、市町村と連携しながら、子供たちが主体的に学び、豊かに成長できるよう、学校図書館の効果的な活用に向けて取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 市町村への学校司書の配置については、国から財政措置がされていると、前にも言ったんですが、それでもなかなか配置が進まないわけです。
 島根県では、松江市が先行して学校司書を配置したのを受けて、その状況を視察した知事が、その英断で全ての小中学校に学校司書を配置されたというふうな、そんなことも聞いておりまして、一度、和歌山県の子供たちのためにぜひとも配置を進めていただけるように、もう強く要望していきたいというふうに思います。
 最後の質問に入ります。
 性暴力救援センターわかやまmineについてであります。
 わかやまmineは、平成25年7月16日、和歌山医科大学附属病院内に設立された県が所管している性暴力救援センターであります。年末年始と休日以外は9時から17時で電話、来所、医療相談を受け付けており、緊急医療に限って22時まで電話で受け付けをされています。常時1人の相談員が待機され、業務を行っています。来所される方には、2名で対応されていると聞いています。
 このわかやまmineは性暴力に遭った女性を救済するために設立されたのですが、この設立については、和歌山弁護士会犯罪被害者支援委員会からの提言があり、その提言に知事が即座に応じられ、実現に至ったと聞いています。知事の迅速な対応とともに、人権問題への取り組み姿勢に敬意をあらわします。
 さて、性暴力というと、誰か知らない人にいきなり強姦されるなど、暴力を加えられる姿を想像される方も多いと思いますが、驚くことに、実はほとんどは顔見知りや同居人など、身近な人たちによる性暴力が圧倒的であります。児童への性虐待も含まれ、児童相談所との連携も欠かせない状況だと聞いています。
 また、性暴力を受けた方々のために、医療機関や警察、心理士会、弁護士会等々と連携をしながらコーディネートを行い、支援をしていると聞いております。今まで誰にも相談できず、心と体に大きな傷を抱え生きていかなければならなかった方にとって、今後、わかやまmineが大きな支えになることを願っています。
 さて、電話や来所による医療相談及びコーディネートを2人の相談員で対応するのは限界があるのではと危惧していますが、現状と課題をお聞きします。
 また、和歌山市に設立されていますが、郡市への体制はどうなっているのでしょう。今後の取り組みも含め、環境生活部長にお伺いします。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 性暴力救援センター和歌山の現状についてお答えをいたします。
 同センターは、開設年度でございます平成25年の7月16日から平成26年3月までの9カ月間の相談件数は97件、月平均11件でございました。本年度に入りまして、昨年の4月から12月までの9カ月での相談件数は207件、月平均23件、倍増している状況でございます。
 開設時から平成26年12月末までの相談内容でございますが、性的虐待が32%、強姦が25%、強制わいせつが18%、DVが9%でございます。また、相談対象の約半数が未成年者からの相談でございます。また、加害者の大部分は、議員お話がありましたように近親者や顔見知りということでございます。
 このような多様な相談が寄せられてございますが、この対応をするためには、医療面、心理面、法律面の支援を行うほか、福祉関係機関と連携をして、家族も含めた継続的な支援を行うことが必要だと考えてございます。
 さらに、現在、医大内にセンターを設置してございますけれども、この医大病院に来所困難な遠隔地の被害者が出てくることも想定をされます。こうした面に合わせた支援体制を整えることが必要と認識をしているところでございます。
 そこで、今後でございますけども、より効率的かつ円滑な被害者支援を行うために、平成27年度からは、同センターの運営を、福祉職などの専門の職員が配置されておりまして、児童やDV被害者等の相談業務を日常的に行っております子ども・女性・障害者相談センターに移管してまいります。
 あわせて、橋本市、御坊市、田辺市、それから新宮市に協力の医療機関を確保してまいります。その上で、現地にあります保健所の女性職員が、こういった相談があるときに同行支援を行うという、そういう体制を整備してまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(坂本 登君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 状況的にも大変な状況があるというふうに思いますので、お取り組みをお願いします。
 和歌山県が、子供や女性、それに高齢者、障害者など、マイノリティーとか社会的な弱者に本当に温かい人権行政を進めていただきますように要望いたしまして、今回の質問を終わりたいと思います。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時28分休憩
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