平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


平成27年2月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第73号まで及び議案第75号から議案第92号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 35番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 今期最終となる平成27年2月定例会に質問の機会を与えていただき、感謝申し上げます。
 寒さはまだまだ緩みませんが、夜が明けるのは日に日に早くなってまいりました。季節も梅の花から桜の花へと移ってまいりますが、我々にとっては4年に一度の大切な季節を迎えます。
 一方、今期をもって勇退の決断をされました先輩・同僚議員がおられます。長年にわたる県勢発展の御労苦に心から敬意を表しますとともに、最初の質問者としてこの場に立つことをお許しいただきましたことに感謝申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず、第1点目、平成27年度当初予算についてお尋ねします。
 昨年末に行われた衆議院総選挙では、これまで安倍政権が実施してきた経済政策・アベノミクスをさらに推し進めるのかどうかという、国民に問う、いわゆるアベノミクス解散でありました。当初、この解散についてはさまざまな批判もあり、大変厳しい中での選挙戦も覚悟をしておりましたが、国民の圧倒的な御支持をいただき、自民党で291議席を確保し、そして公明党との連立与党合わせて3分の2を超える議席を獲得し、引き続き政権を担当することとなりました。我が自由民主党和歌山県連も、擁立した3人の候補者を、県民の皆様の絶大なる御支援により全員を国政の場に送ることができました。
 この結果は、これまで15年間苦しんできたデフレからの脱却を目指し3本の矢から成る経済政策を大胆に実行することにより就業者数は飛躍的に増加し、有効求人倍率も22年ぶりの高水準となるなど、多くの経済指標に示されるように我が国経済は基本的には回復基調にあり、経済の好循環が生まれ始めたということが国民に十分評価されたものであると受けとめております。
 しかし、経済は、今まさに正念場にあります。円安などを起因とする物価上昇や原材料の値上がりが生活者や中小企業に強く影響を与えており、特に地方においてはアベノミクスの成果を十分に実感できておりません。経済の好循環を確かなものとするためには、個人消費、そして地方経済を底上げしていくことが必要であります。
 そういった意味では、国が地方重視の方針を明確に打ち出し、その象徴としての地方創生を最重要課題として取り組んでいることは、まことに時宜を得たものであり、大いに期待をしているところであります。
 国の支援が充実し、地方へ暖かい風が届いていくものと考えておりますが、当然ながら、地方創生の主役はあくまでも地方であります。
 これまでも、さまざまな取り組みにより地域活性化に成功した地域もありますが、成功例の物まねではなく、地域の個性やすばらしさを見詰め、これまでの枠にとらわれない、柔軟で、かつ大胆な発想で取り組む必要があると考えます。
 また、地域の課題、特に人口減少問題などは結果が出るまでには大変息の長い時間がかかる取り組みでありますが、国、県、市町村、そして民間や住民を巻き込み、地域が一体となって取り組むべき大事業であると思っております。
 さて、3期目の仁坂県政がスタートをしました。知事からは、和歌山の今とあすをもっと元気にするために、産業活動、災害対策、インフラ整備、都市の再生など、7つの政策に取り組むことを宣言されましたが、まさにこれらの政策の着実な実行そのものが地方創生ではないかと思われます。
 そして、平成27年度当初予算、新政策が取りまとめられ、今議会に上程されております。地方創生の実現のための政策がちりばめられているものと思いますが、知事としてはどのような政策に重点的に取り組んでいくつもりなのか、知事の考えをお尋ねします。
 さらに、地方創生については、単発の取り組みではなく、腰を据えて戦略的に取り組む必要があると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお伺いします。
 また、地方創生に腰を据えて戦略的に取り組むためには、健全な財政運営の確保が重要であります。
 知事は、予算編成において、新政策を着実に実行しつつ財政の健全化を行うため、平成24年3月に策定した新行財政改革推進プラン(改定版)を着実に実行し、既存事業の見直しや不要不急の事業の選別を徹底的に行い、また、国の経済対策などの有利な財源を有効に活用した予算編成を行っていくとのことでした。
 今回の新年度予算において、それらの取り組みがどのように成果としてあらわれているのか、財政の健全性は確保されているのか、知事の答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新政策についてでございますが、平成27年度当初予算では、安心して暮らせる社会を構築するための「安全と安心」の政策、将来の成長へと導くための「未来への投資」の政策の2つの柱に重点を置いて予算編成を行ったところでございます。
 まず、「安全と安心」の政策では、何といっても「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、堤防の強化や避難路の整備など、津波による犠牲者ゼロを目指し、ハード・ソフト両面による総合的な対策を推進していく所存であります。
 また、風水害や土砂災害について、中小河川等の総合的な洪水対策やため池改修に加え、土砂災害警戒区域の指定の加速化などに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、少子化対策では、従前から出会いから結婚、妊娠・出産、子育てまで切れ目のない対策を実施しており、新年度は、結婚や子育てのポジティブキャンペーンを展開するなど、対策を強化していく所存です。
 高齢化対策では、和歌山の老後に安心を届けるため、地域における見守りや健康づくりを進めるとともに、多様な生活サービス等の確保や介護・福祉産業の強化に取り組んでいく所存であります。
 このような介護と、それから医療の総合確保法が施行されたことに伴いまして、医療の面においては、地域が抱える医療や介護のニーズに対処し、入院から在宅医療、介護に至るまでの一連のサービスが提供されるよう地域医療ビジョンをつくり、これらに沿って医療提供体制の再編を進め、あわせて在宅医療提供体制の全県的な制度設計を行い、これらから成る地域包括ケアシステムが実現できるように努めていきたいと考えております。
 「未来への投資」の政策では、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会において、男女総合優勝をなし遂げるとともに、両大会を県政のさまざまな分野において次なるステージへと導く契機にしていきたいと考えております。
 現在、国の経済対策による景気回復の動きに加え、地方創生の取り組みの本格化、さらには県内インフラの急速な整備など、県にとって将来に向けた投資活動を促進する絶好のチャンスが訪れているところであります。和歌山の経済を支える県内産業を初め、魅力のある地域や人づくりのための民間の方々による将来のための投資が今や期待されておりますので、これを盛んにしていただくような政策を強化してまいりたいと思っております。
 まず、県内産業については、従来からの技術開発支援や販路開拓、企業誘致や雇用対策等の取り組みに加え、創業から成長、安定に有効な融資や国の施策なども総動員し、企業の投資活動を促進してまいります。
 また、農業分野においても、果樹の生産・流通対策の拡充や野菜、花卉などの施設園芸の振興とともに、農地流動化の仕組みを最大限活用し、農地の集積や新規参入を進めていくなど、力強い農林水産業づくりに努めてまいりたいと思っております。
 観光については、本年度は高野山開創1200年、国体・大会のある盛りだくさんの年でありますが、これに備えて、本県の魅力発信と国内外からの観光客の誘致活動に努めてまいりました。新年度は、エルトゥールル号の映画公開や来年の大河ドラマ「真田丸」の放映に合わせて、メディアを活用した誘客活動をこれまでの努力に加えて一層進めてまいりたいと思っております。また、国内外からの観光客が県内で快適に過ごし、そして、また和歌山に来たいと思ってもらえるように、案内表示やWi─Fi環境の整備など、おもてなしの完成度を強めていく所存でございます。
 次に、都市の拡散や空洞化に歯どめをかけるため、郊外における開発の抑制など土地利用の適正化を図るとともに、既存市街地の再開発を進め、あわせて都市計画道路の早期整備のために県と市町の役割分担を見直すなど、都市再生を本格化させる所存であります。
 また、地域の元気づくりのため、従来から過疎集落支援総合対策やわがまち元気プロジェクトなどを実施してまいりましたけれども、最近やや伸び悩む傾向のあります田舎暮らし移住・定住政策についても、移住希望者に対して思い切った支援策を講じて、その政策をうんとレベルアップしてまいりたいと考えております。
 次に、成長を支える社会インフラの整備については、命の道でありチャンスの道でもあります紀伊半島一周高速道路の実現や、京奈和道路や県内道路ネットワークのさらなる強化などに努めていく所存であります。
 このほか、未来を担う子供を育むため、従来からの学力の向上、体力の向上、道徳教育、郷土教育、国際人の育成、就職支援を柱とした施策に注力し、特に新年度では、英語教育の充実や海を舞台とする教育に取り組むつもりであります。また、国体・大会を契機としたスポーツ機運の盛り上がりを持続し、ワールドマスターズゲームズへつなげ、年長者も含め多くの人々がスポーツに親しめるよう取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、地方創生についてでございます。
 これは、昨年11月にまち・ひと・しごと創生法が成立いたしまして、さらに、今後5年間の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめたまち・ひと・しごと創生総合戦略が、これは国レベルのものでございますが、12月に閣議決定されたところであります。
 この法律、創生法第9条では、都道府県においても地方版総合戦略の策定が努力義務とされ、さらに国の総合戦略では、基本目標として、地方における安定した雇用を創出する、地方への新しい人の流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるなどが掲げられております。高齢化と人口流出が進んできた当県では、このことがもとより最大の政策課題でございます。
 そこで、これまで新政策プロセスを通じて産業振興や移住推進、少子化対策など、地方創生に資するさまざまな取り組みを行ってきたところでありますけれども、国の総合戦略の趣旨を踏まえ、改めて県においても地方版総合戦略を平成27年度中に策定していく所存であります。
 地方創生は、これまで同様、取り組みを積み重ねていくことが肝要でありまして、議員御指摘のように、一過性の取り組みに終わらせることなく、腰を据えてしっかりと進めていく所存であります。
 また、御質問の財政の健全性確保についてでございますが、これは、従来から取り組んできた新行財政改革推進プラン(改定版)に基づき、人件費の削減や事務事業の一層の見直し、特定目的基金や国の経済対策などの財源を有効活用し、一般財源の節減に努めてきたところであります。
 これらの結果、新行財政改革推進プラン(改定版)の目標どおり収支不足額を27年度ゼロにするとともに、財調・県債管理基金は、この年度を目標以上の残高218億円を確保する予定になっております。
 このように、平成27年度当初予算は、未来に羽ばたく元気な和歌山の実現に向けた新政策の推進を図るとともに、財政の健全化を両立させた予算に仕上がったものと考えております。
○議長(坂本 登君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 新年度予算について、ただいま知事から答弁をいただきました。
 新年度の政策は、地域に必要なことを地域に必要な方法でやっていくということかと思います。国は地方創生を強力に進めておりますが、これに歩調を合わせ、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そして、そのためにも、財政の健全化、これは本当に県庁全体で一生懸命に工夫しながらも取り組んでいただいているところでありますが、引き続き健全性の確保をしっかりとお願いしたいと思います。
 続いて、2点目の地方創生に向けた本県の取り組みについてお尋ねいたします。
 さきの質問において、地方創生への県の取り組み方針について知事に伺いました。国が地方を重視した方針を示す中、本県においても地方創生に資する取り組みを積極的に展開し、本県の活性化につなげていく必要があると考えます。
 特に、若者の県外への流出や少子高齢化などによる人口減少が激しい本県にとって、この地方への注目が高まるチャンスを活用し、若者が和歌山で働き、住み、安心して暮らせるように、地域の産業基盤を立て直していく必要があると考えます。
 中でも、本県にとって重要な産業である観光、そして農林水産業については、何よりその取り組みが期待されるところであります。
 観光振興において、伊勢神宮式年遷宮、世界遺産登録10周年、また高野山開創1200年や紀の国わかやま国体・大会の開催など、ここ数年、本県にとっての大きなイベントが続き、大々的に本県をPRできる機会であり、昨年にはJRグループとのデスティネーションキャンペーンが展開されることにより多くのお客様にお越しいただきました。
 今回、地方創生を活用した取り組みが行われ、国内外から、さらにより多くの方々に本県を訪れていただけるよう期待するところであります。
 また、農林水産振興については、本県の豊かな自然のもと、基幹産業として本県を支える分野でありますが、近年は、農林水産業への就業者の減少や従事者の高齢化、また農林水産物に対する需要の低迷など、さまざまな要因による環境の厳しさに苦しんでいるところであります。
 生産性の向上、新たな品種開発や販路の開拓など、農林水産業に従事する方々が安心して働くことができる基盤づくりに取り組むことが重要であるとともに、地域の特性を生かした取り組みが求められると考えます。何とかこの機会を生かして本県の農林水産業が活気づき、安定かつ継続的に発展できるものとなってほしいと願っております。
 そこで、商工観光労働部長及び農林水産部長にお尋ねします。
 この地方創生の政策が国によって示され、国民の間でも大いに関心が高まっているところでありますが、本県においても、この地方創生への流れの中で、地方・和歌山として具体的にどのような取り組みが行われるのでしょうか。国の交付金を活用した事業、新政策による工夫を凝らした事業など、地方創生に資するさまざまな取り組みが行われるかと思いますが、観光振興、農林水産振興における取り組みはどのようなものとなっているのでしょうか。両部長に回答をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 地方創生に向けた観光振興に係る取り組みでございますが、本県におきましても国の交付金を活用してさまざまな事業を展開することとしており、中でも本県の独自性が強い事業として次の事業を現在検討しております。
 まず、国内の誘客対策としては、「和みわかやまプレミアムキャンペーン」と銘打ち、旅行会社等が扱う本県向けのツアーや宿泊に対して期間を限定することで大幅な割引額を設定し、他府県との差別化を図り、本県への誘客と滞在を促進します。
 次に、海外からの誘客対策としては、団体旅行で県内に宿泊していただいたお客様に、梅酒やミカンジュースなどの県産品の提供や、平安衣装体験などの体験メニューの提供を検討しております。また、JR西日本が販売する外国人観光客向け周遊切符を購入されたお客様に、県内バス周遊券を提供することも考えております。
 なお、このキャンペーンにおいては、昨年秋の和歌山デスティネーションキャンペーンでお客様から好評をいただいた取り組みをあわせて実施することで、価格面だけでなく、和歌山の楽しみ方のプレミア感をつけ、和歌山にぜひ行ってみたいという具体的な旅行動機を喚起し、誘客に結びつけたいと考えております。
 さらに、ハード面においては、外国人観光客の受け入れ環境整備として、外国人観光客が行動するあらゆる場面で案内表示の多言語化が必要であることから、市町村の観光案内、公共交通、ジオサイト、自然公園や美術館等の多言語表記を一気に進めていきます。
 以上が国の交付金を活用した取り組みの一例でございますが、平成27年度は、御承知のとおり、高野山開創1200周年、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会、NHK大河ドラマ「真田丸」放送などといった観光振興にとってまたとないチャンスが続きます。国際的にも、ナショナルジオグラフィックのトラベル誌で2015年に訪れるべき世界のベスト20の場所に、日本で唯一、高野山が選ばれるなど、本県の世界遺産地域に対する注目は高まっています。
 これらに対応した観光誘客施策を効果的に実施し、プレミアムキャンペーンとの相乗効果で大幅な誘客増に結びつけたいと考えております。加えて、お客様から好評を得ている公衆トイレの整備を引き続き実施するとともに、大きくふえている外国人観光客の受け入れ環境整備として、さきに申し上げた多言語表記のほか、フリーWi─Fiの整備促進を行うこととしております。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農林水産業の振興についてお答え申し上げます。
 農林水産業は、本県の地域経済や雇用を支える重要な産業であり、新政策を初めとしたさまざまな施策の実行により強い農林水産業を実現することが地方創生にもつながるものであると考えております。
 農業につきましては、競争力のある農産物、加工品づくりと国内外での販路開拓が重要です。このため、担い手への農地流動化による生産性の向上や6次産業化による高付加価値化、トップセールスや見本市への出展などの施策を積極的に展開するとともに、新品種の開発を加速化させてまいります。特に果樹については、高品質果実の生産から流通、販売の取り組みを総合的に支援するとともに、和歌山ミカンのブランド力をさらに強化するため、おいしいミカンを厳選出荷するシステムを新たに構築してまいります。また、農業用水の確保が難しい地域での水利施設の整備を支援し、施設園芸や畑作を一層振興してまいります。
 林業につきましては、森林資源が充実する中、いかに出材量を増加させるかが大きな課題です。このため、作業道の整備や高性能林業機械の導入支援、森林組合の体制強化や民間素材生産事業体との連携促進、低コスト造林の推進により紀州材の増産を図ってまいります。また、紀州材の需要拡大と販路開拓を図るため、公共工事での積極的な利用や県内民間住宅への利用促進、首都圏での製品展示会への出展支援や商談会の開催等に取り組んでまいります。
 資源減少や高齢化により漁業従事者の減少が著しく、極めて厳しい状況にある水産業につきましては、水産資源を適切に管理しながら生産性を向上させるため、減船による資源管理を推進するとともに、新たに漁業者の意見を聞きながら個別漁獲割り当て(IQ)の導入を進めてまいります。また、引き続き、魚礁設置や種苗放流、いそ根漁業の再生に取り組んでまいります。さらに、地域の活性化や漁業者の所得増大を図るため、漁協等が実施する朝市や漁業者の直販の取り組みを支援してまいります。
 こうした施策を積極的に展開することにより農林水産業の振興と担い手の確保を図り、地域の活性化につなげてまいる所存でございます。
○議長(坂本 登君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 両部長から答弁をいただきました。
 この地方創生については、和歌山県においては、何より観光と農林水産が引っ張っていかなければならないと私は思っております。どんどんと県民の目に見える形でいろんな事業に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続いて、3点目の国体を契機としたスポーツの振興についてお尋ねいたします。
 先月末から、群馬県において第70回国民体育大会冬季大会が開催されております。本県選手団は、前半終了時点で男女総合成績19位という報告をいただきました。昨年の同時期に比べ、大幅に順位を上げているとのことであります。本県選手団の活躍を誇らしく思うのと同時に、紀の国わかやま大会がいよいよスタートしたんだなあと実感したところであります。男女総合優勝に向けて、後半も全力を出し切って頑張っていただきたいと思います。
 さて、各市町村では、これまで国体開催競技を我がまちスポーツとして、その競技の普及や振興に取り組んでこられました。各市町村の努力のかいもあり、我がまちスポーツが地元住民の方々に浸透してきたことは、昨年、各地で開催されたリハーサル大会の盛り上がりにも見られました。
 スポーツが盛んになることは、競技力の向上だけでなく、青少年の育成や健康づくり、コミュニティーの形成など、さまざまな面で地域を元気にしてくれるものとなります。各地に根づきつつある我がまちスポーツを一過性のものとせず、国体本番はもとより、国体開催後においてもさらに盛んとなるようにしていただきたいと思います。
 そのためにも国体後を見据えたさまざまな取り組みが必要であると考えますが、一昨日、知事から、オーストラリアの陸上チームが8月に開催される北京世界陸上の事前キャンプを紀三井寺陸上競技場に決定したとの発表がありました。このような国際競技大会を初めさまざまなスポーツキャンプの誘致を県内の市町村においてもぜひ進めていただきたいと思います。特に、2020年に開催される東京でのオリンピックやパラリンピックにおける参加国の事前キャンプの誘致には、県と市町村が連携し、協力して取り組んでいただければと思います。
 そこで、地域のスポーツ振興を図るためのキャンプ誘致の取り組み状況について、教育長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) キャンプ誘致は、国体関連施設の有効活用とともに、地域の方々のスポーツ熱を高めることができます。国際競技大会や2020東京オリンピック・パラリンピックの事前キャンプなどでは、さらに地域の方々が海外ナショナルチームのレベルの高いトレーニングを間近で見たり、サポートしたりする機会が得られ、我がまちスポーツの振興にも大きく寄与するものと考えます。
 そのため、昨年から、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会やラグビーワールドカップ2019組織委員会、中央競技団体などから御助言をいただきながら、海外ナショナルチームに対し、本県のトレーニング環境の優位性をアピールしてきたところでございます。
 今般のオーストラリア陸上チームにつきましては、紀三井寺陸上競技場の設備や関西国際空港へのアクセス、サポート体制などが高く評価され、キャンプ決定に至りました。
 今後も引き続き、我がまちスポーツの振興に寄与するために、また地域の魅力を国内外に発信するために、各市町村がターゲットにしている国や競技種目を詳細に把握し、市町村とともに戦略的な誘致活動を行ってまいりたいと考えています。
 また、オーストラリア陸上チームのキャンプに関しては、2020東京オリンピックのキャンプ誘致につながるよう、関係団体やボランティアの方々とともにおもてなしの気持ちを持って万全のトレーニング環境を提供してまいる所存です。
○議長(坂本 登君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 教育長から御答弁をいただきました。
 4年前ですが、私が議長を務めていたときに、千葉県で開催された国体の軟式野球会場を視察しました。印象的だったのは、1塁側、3塁側の両方のスタンドで、地元で野球をしている子供たちが、出場する各県──よその県ですね──のチームを一生懸命に応援していたことです。子供たちにとっても、実際に国体の開催に携わったことでスポーツにさらなる関心を持ち、競技に対する愛着を深めたことと思います。
 国体では、市町村がさまざまな競技の会場となり、そこには県や市町村だけでなく、地域の人々が参加し、連携することが必要となります。そして、その結びつきがあってこそ、本当の盛り上がりをもたらすものと思います。この結びつきを次の機会、その次の機会へとつなぐことで、地域のスポーツ振興、ひいては地域の活性化とつながってほしいと思います。
 今回のキャンプ誘致のように、国体後にもつながるようなさまざまな取り組みに期待をしまして、次の質問に入ります。
 最後に、4点目の紀伊半島一周高速道路についてお尋ねします。
 紀伊半島一周高速道路の整備については、昨年の6月定例会の場においてお尋ねしたところでありますが、改めて質問させていただきます。
 さきの質問において、地方創生をテーマに、地域の活性化へとつながるさまざまな取り組みについてお聞きしてまいりました。本県において、地方創生に向けたさまざまな取り組みを実行していくに当たっては、何より欠かせないのが高速道路による交通基盤の整備であります。
 紀伊半島一周高速道路の整備は、産業や観光の振興を展開していくに当たっても、また救急医療や災害時において県民の命を守るに当たっても、その根幹を担うものであり、早期の完成が望まれているところであります。
 本年秋の国体開催までに合わせて開通とされた近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間は、我々の目に見える箇所においても、その具体的な姿があちらこちらで見えるようになりました。また、私の地元である那智勝浦道路の那智勝浦─太地間においても着々と工事が進められており、同じく国体開催までの開通に期待をしているところであります。さらに、平成25年度には新宮紀宝道路が、また平成26年度にはすさみ串本道路がそれぞれ新規に事業化されるなど、紀伊半島一周道路の実現に向け、着実に歩みが進められているように思います。
 いよいよ、県内においても残る区間はあとわずかとなってまいりました。この残る串本─太地、そして新宮─新宮北が事業化されることになれば、県民にとっての悲願であり、紀南地方にとっては待ちに待った一周道路の完成へといよいよ近づくことになります。明るい見通しが早期に示されることを期待するところでありますが、残る区間に対しての今後の取り組みについて、県土整備部長にお聞きしたいと思います。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 紀伊半島一周高速道路は、議員御指摘のとおり、企業立地や観光、農林水産業等の振興など、県民のチャンスを保障するため、また南海トラフの巨大地震や風水害などの大規模災害に備えて迅速な救助・救援活動を可能にする命の道として、その実現は不可欠かつ急務であり、県の重要課題として、これまでも機会あるごとに早期整備を強く要望してまいりました。
 また、地方創生には高速道路等の社会資本整備は必要不可欠なものと認識しており、和歌山県においても、これまでも高速道路の整備に合わせて、企業立地の増加や、なでしこジャパンを初めプロスポーツチームが合宿し、それに伴って民間消費も喚起されるなどの多くの効果があらわれております。
 紀伊半島一周高速道路のうち、田辺からすさみ間については、紀の国わかやま国体開催に合わせて開通する見通しであると昨年4月に発表がありました。また、那智勝浦道路については、現在、急ピッチで工事が進められております。さらに、25年、26年度に新規事業化された新宮紀宝道路、すさみ串本道路については、早期に用地取得や工事に取りかかれるよう、県としても積極的に取り組んでおります。さらに、湯浅御坊道路の4車線化についても、昨年より用地取得が開始されるとともに、御坊から南紀田辺間でも付加車線の設置が進められるなど、着実に進んでおります。
 これらの成果に関しましては、県選出の国会議員や県会議員の皆様、関係市町村長を初め、多くの皆様の御尽力のおかげであり、心から感謝を申し上げる次第であります。
 残る未事業化区間である串本から太地間及び新宮から新宮北間等につきましては、現在、実施環境整備として地質調査等が行われているところですが、事業中区間の早期完成とあわせて、これら未事業化区間についても早期に事業化されるよう、県会議員の皆様を初め関係者の御協力も得ながら、引き続き国に強く働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 御答弁、ありがとうございました。
 この紀伊半島一周高速道路の実現は、重ね重ね質問をしてまいりました。半島性からの脱却を議員活動における課題として掲げる私にとっての悲願であり、また紀南の人々にとっての悲願でもあります。ここまで本当に頑張って進めてくれたなあという思いと、何とか残りも早くやっていただきたいという両方の思いであります。
 命を守る安心の道であるということはもちろんでありますが、地方創生として地方の活性化が強く求められる中において、この高速道路の整備は何よりも大事な基本であると思っております。
 重ねて、お願いではありますが、残る区間の早期事業化や、そして半島一周高速道路の完成へと引き続きの取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ