平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成26年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成26年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成26年12月11日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第150号から議案第193号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第150号から議案第193号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 濱口太史
 2番 鈴木太雄
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 中本浩精
 10番 上田良治
 11番 服部 一
 12番 山本茂博
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 岸本 健
 18番 森 礼子
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 立谷誠一
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
 36番 欠員
 39番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       和歌哲也
 国体推進監      若宮茂樹
 危機管理監      木村雅人
 総務部長       市川靖之
 企画部長       野田寛芳
 環境生活部長     栗山隆博
 福祉保健部長     中川伸児
 商工観光労働部長   藤本陽司
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     石原康弘
 会計管理者      岩橋良晃
 教育委員会委員長   山本 哲
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      下田隆文
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       江川和明
 次長         上坊 晃
 議事課長       糸川 徹
 議事課副課長     中谷政紀
 議事課課長補佐兼議事班長
            尾崎善亮
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       谷 巌
 政策調査課長     西原龍也
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  午前10時0分開議
○副議長(尾崎太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第150号から議案第193号まで、並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 25番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
 議長にお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 仁坂知事、当選おめでとうございます。
 3期目の仁坂県政の重要政策は、人の命を災害から守る防災・減災対策であり、さらに地方に活力を取り戻す地方創生であると思います。私が御一緒した街頭演説でも、知事はこの2点について強く訴えておられました。
 それでは、まず災害から人の命を守る防災・減災対策について何点か質問させていただきます。
 私は、6月議会で日高川水系の支川・江川の合流点の改修について質問をさせていただきました。日高川との合流点の整備をしてほしいとの地域住民の要望をお聞きしたからであります。私も、台風や集中豪雨のたびに江川が氾濫し、道路や田畑が冠水するのを何度も見てきました。当局に対し、冠水箇所のしゅんせつ工事をお願いしたこともあります。
 この箇所は、江川と日高川との合流地点から約1キロメートル上流の地点で、しゅんせつしても河川の河床はすぐに高くなります。その原因は、江川の合流地点が狭く、湾曲してる上に、合流点が日高川の上流に向けて受けているからではないかと地域住民の皆さんは考えておられます。大きな雨が降らなければいいのにと、そこを通るたびに思っていましたが、ことしの8月10日、台風11号が四国を縦断しました。台風が去った翌朝一番に江川を見に行きますと、案の定、田んぼは水没し、道路も1カ所陥没しており、片側通行の交通整理を県職員の方がされていました。その箇所は、現在もまだ片側通行のまま復旧されていません。
 その後、いつもよく水没する切目川の宮ノ前、古屋地区も被害を受けてるだろうなと思いながら参りますと、切目川ダムの効果で被害はなく、少しびっくりいたしました。さすがにダムの威力はすごいなあと、改めて感心した次第であります。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 6月議会で、私の質問に対し当局は、日高川本川の若野地区で引き堤工事を実施しているところであり、本川水位の低下を図ることで本川だけでなく江川においても被害軽減が見込まれると述べられていますが、このたびの台風の雨量は特筆するほど大きな雨量ではなかったにもかかわらず、江川との合流点は、いつものとおりせきとめられていました。若野の引き堤については日高川の洪水対策が主目的ですから特に申し上げることはありませんが、現実問題として今回も冠水した江川の合流地点付近の河川改修についてお聞かせください。
○副議長(尾崎太郎君) 花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 江川は日高川の狭窄部で合流する支川であり、洪水時には本川の水位が上昇し、江川からの水が本川に流れ込みにくくなるため、その流域ではこれまでもたびたび浸水被害が発生し、本年8月の台風11号でも約26ヘクタールの田畑の冠水が発生したところです。
 江川合流点付近では、日高川本川の狭窄部対策として対岸の若野地区で引き堤工事を実施しており、平成27年度末の完成を目指して事業を推進しているところです。現時点では引き堤工事が完了していないため、その効果が十分に発現されておりませんが、若野地区の引き堤工事が完了すれば本川水位の低下が図られ、本川だけでなく江川においても被害軽減効果が見込まれると考えております。
 また、現在、平成27年度を目標に日高川水系河川整備計画を策定中であり、議員御指摘の江川の河川改修につきましても、その中で具体的な整備内容について検討してまいります。
○副議長(尾崎太郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 日高川の水系で、私も日高川筋に生まれましたんで、ずっと奥からそれぞれの支川の名前を言えるぐらいよく存じ上げておりますが、ずっと奥から流れてくる支川で洪水で直接被害をこうむるような支川というのは、もう数少ないというか、ほとんどなくなってると思うんですよね。一番下流に近い江川、そして、土生川はこの間からずっと改修していただきまして今回の台風の被害は全くなかったとお聞きしておりますが、あと西川、この2つが日高川の水系の支川でいつも冠水の被害をこうむるところですんで、ぜひ地域の御要望にも応えていただきたいと思いますんで、よろしくお願いいたします。
 次に、印南川の津波対策についてお伺いいたします。
 昭和21年の南海道地震の際、印南川河口の印南地区は浸水による大きな被害を受けました。5.51メートルの高さまで来た津波が印南川河口から押し寄せ、市街地の大部分の家屋が浸水いたしました。資料を配付しているので、ごらんください。
 このときの津波の高さは、串本町袋地区の6.57メートルに次いで2番目の高さでした。地震による被害は皆無で、津波による浸水被害がほとんどでした。印南地区の約6割が浸水し、流出家屋6戸、半壊家屋15戸、床上浸水200戸、床下浸水400戸と、被害は甚大でした。特筆すべきは、私たちの大先輩である濱口梧陵先生が私財を投じて築かれた堤防が効果を発揮し、広川町広に被害がなかったことです。先人の教訓を生かし、二階俊博代議士が中心となって国土強靱化基本法が既に国会で成立しております。
 津波からまず人の命を守る、1人の犠牲者も出さない覚悟で取り組むと仁坂知事はいつも言っておられます。県民にとって、これほど心強く、頼もしいことはありません。私の地元印南地区も、避難路の整備や避難タワーも設置していただいておりますし、海岸線の防波堤もかさ上げをしていただいております。
 しかし、昭和の津波のときもそうでしたが、今度来る津波も、海岸線から市街地をのみ込み、根こそぎ何もかも持っていくという東北地方を襲った津波のようなことはないと思います。防波堤で遮られた津波は、印南川を遡上し、河口付近の堤防からあふれ、印南地区を浸水させるのです。印南地区には、公民館や図書館、体育館、小学校、中学校等の公共施設や、銀行、農協、郵便局等の金融機関、生活必需品を購入する商店街やAコープ、薬の量販店、病院や葬儀場等々、町民が生活する上で必要なインフラが全て集中していますし、町内の一番の人口密集地であります。
 生命を守ることは当然一番大切ですが、次の対応として、財産や生活を守ることも今後考えていかなくてはなりません。印南町民の生活インフラの集中している印南地区を津波から守るため印南川の津波対策が必要ではないかと考えますが、県土整備部長のお考えをお伺いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 県では、津波から住民の命を救い、死者をゼロとするため、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定し、10月28日に公表したところです。このプログラムの中では、今後おおむね10年間に約460億円の費用をかけて、3連動地震の津波避難困難地域の解消のための堤防整備と、地域の経済被害の低減と、早期の復旧・復興のための主要な港湾や漁港における既存施設の強化を実施することとしており、印南町においても、印南川河口にある印南漁港の防波堤を強化することで地域の経済被害の低減を図ることとしております。
 また、あわせて南海トラフ巨大地震の津波避難困難地域が存在する市町においては、南海トラフ地震津波対策検討協議会を設置し、巨大地震による津波避難困難地域の解消に向けた対策の具体化の協議を進めることとしております。
 議員御指摘の住民の生活、財産を守る対策は命を守る対策の次に重要なことであると認識しており、こうした協議会や今後策定される国土強靱化地域計画等の中で検討していかなければならないものと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 前、東北の大震災があったときに、我々もボランティアでお伺いしました。そのときに、我々一行は松島のホテルに泊まったんですけども、松島も当然津波の被害を受けておりましたが、松島の沿岸にはたくさんの島があって、水位は上がったんですが、その島々が津波の破壊力を全部とって、浸水はしたけども、そんな大きな被害がなかったというところで私は泊まったんですが、この印南も、前に防波堤を4つつくっていただいて、まだ今度、一番外側の防波堤をちょっとかさ上げしていただけるということなんですが、津波の水というのは、多分水位もずうっと上がってくるんですよね。パワーはとれても、水位の高さを低くするということはなかなか難しいと思います。
 特に印南川というのは河口もきちっと護岸整備もされた川でして、比較的水位が上がりやすい川でありますし、河床もそんなに高い川ではありませんので、今度、津波が来たときに、津波で壊滅的にやられるというようなことはないですけども、浸水被害はかなり甚大だと思いますので、その浸水対策についても今後考えていただきたい。
 と申しますのは、もう印南のこども園とかというのは高いところへ移ってます。それで、このたび役場も高台に移転することを決定いたしまして、今計画中ですね。あの辺に印南町の約3分の1の住民が住んでるんですけども、そういう収容施設が高台へ上がることによって、逆に印南の町民は、私たちが、見捨てられたとは言いませんけども置いていかれたという意識が大変強いところでありまして、そういう住民感情も含めて、役場の高台移転にみんな反対してるわけではないんですけども、そういう感覚も印南町民にはあるということも御理解いただいて、この津波対策に当たっていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 次に、津波から逃げ切るための政策についてお伺いいたします。
 知事は、津波から県民の命を守る、1人の犠牲者も出さない政策を今後も着実に実行していかれると思いますが、命を守る最も有効な手段、それは、みずからの命はみずからが守る自助の意識を高めることに尽きます。それぞれの自治体も避難路の整備を進め、自主防災組織を結成し、津波から逃げ切るという意識はかなり浸透してまいりました。
 高速道路は、災害後の復旧・復興だけでなく、東北地方を襲った津波から地域住民の命と財産を守る防波堤の役割を果たし、「命の道」と言われました。高速道路の紀南延長に際し、ルートや構造について東北大震災の教訓が生かされるとお聞きしております。海に近い地域では、高速道路の斜面に緊急避難用の階段を設置し、津波が来たときには緊急避難地として使用できるよう御配慮いただいています。
 しかし、高速道路よりさらに海岸線を走っているJRの線路は、住民の利便性のためより海岸線に近く、居住区の間を縫うように走っています。私は、前にも海岸線を走る電車の津波対策についてお伺いをいたしましたが、今回は、津波が発生したとき、この線路を越えて避難していかなくてはならない緊急避難地域の問題を取り上げたいと思います。
 紀南地方では、津波発生後、数分から10数分で到着する避難困難な地域も多くあります。時間的に十分余裕のある地域では、線路に突き当たっても迂回して高台に避難することができます。しかし、時間的余裕の許されない地域では、線路を横断して避難するのが最も早く、安全な避難方法の箇所もあります。当然、大きな地震があれば電車は緊急停車していますから、線路内を横断しても安全面では問題はないと考えますが、現状は、通常の安全確保のため、居住区に近い場所はほとんど金網やガードレール等で仕切られています。
 私の地元、印南町島田、正和地区は、JRの線路から海岸側に約60軒110人ぐらいの方が住んでおられます。町が指定している避難路は、線路伝いに1キロ近く平行に移動し、線路の地下道を通って避難しなくてはなりません。しかも、この地域は一部避難困難地域に指定されています。高齢化が進む地区住民にとってはとてもこのルートでは逃げ切れないと言っています。高速道路は命を救う道として大変評価が高いのですが、現状ではJRの線路は命を遮断する道になりかねません。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 線路のすぐ向こうに避難路がありながら踏切や駅まで何百メートルも迂回しなければならない箇所は、紀南に行けばところどころにあるのではないでしょうか。津波からの避難は、いかに最短距離で高台に逃げるかに尽きます。人の命は何よりも優先されます。いろいろな規則や規制があるのは承知していますが、一刻を争う津波からの避難時に緊急措置として線路横断も想定し、地域住民の要請があればそれぞれの自治体と綿密に御検討いただき、JRとも御協議をいただいて、津波避難のときだけ線路を横断して速やかに住民が高台に避難できるよう対策をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○副議長(尾崎太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 全く御指摘のとおりであります。県では、津波から県民の命を守るため、津波避難対策として、これまでもJR西日本に対して、線路を横断する避難路の確保や高所にある駅のホームを避難場所にすること等について要請を行ってきました。その結果、一部の地域については、市町において駅構内の跨線橋を山側に延長したり、災害時に線路を横断できる蹴破り式のフェンスの設置による避難路の確保がなされたり、また駅のホームを避難場所として使用する協定を結んだりなどの改善がなされてきました。
 しかし、一般的に言うと、平常時に線路の中に立ち入られると危ないとか、そういう議論があって、いろいろと難航してるところもございます。
 今申し上げました改善で十分かというと、そうではございません。御指摘のとおりであります。県が10月に公表いたしました和歌山県の津波避難困難地域と津波対策における3連動地震の津波避難困難地域においても、避難するために線路の横断が必要な地域が存在しており、その解消のために、現在もJR西日本に協力を求めているところでございます。
 今後とも津波から県民の命を守るために、議員御指摘の印南町を初め、市町が避難路を確保するために線路の横断が必要である地域については、県においても総合的に津波対策を推進する観点から、引き続きJR西日本に対して強く協力を要請していきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いいたします。
 次に、小水力発電の地域活用についてお伺いをいたします。
 我が国のエネルギー施策は、原子力発電所が再稼働の見通しが立たない中、大変厳しい状況が続いています。特に関西電力の原発依存度が高いため、火力発電がフル稼働しています。原油価格の変動や再生可能エネルギーの普及による消費者負担で、電気代は今後も高くなると言われています。
 こうした電力を取り巻く政策は重要課題でありますが、今回は小水力発電を利活用することで安倍内閣の重要政策である地方創生につなげることができないかという視点で質問させていただきます。
 和歌山県の主な河川には、利水や防災、発電目的の多目的ダムを設置しています。しかし、まだまだ利活用されてない水資源がいろんなところに眠っています。私の地元にも、このたび切目川ダムが建設中であります。このダムは、防災ダムであり、また町民の水道水を確保するための利水ダムでもあります。ダムの設置している地域は、真妻ワサビの発祥の地として有名な真妻地域でもあります。
 このダムは、常時下流に水を放流する計画であり、ダムの落差を利用した小水力発電を設置できないかと以前にも予算特別委員会で知事と県土整備部長に見解をお伺いいたしました。その際、知事は、設置の可能性とあわせて、真妻ワサビを初めとする豊かな自然に恵まれたこの地域の活性化への役立てを検討していく必要があるとお答えをいただきました。
 当時と比べて再生可能エネルギーに対する一般の認識が深まりましたが、天候に大きく影響を受ける太陽光発電や風力発電等の自然エネルギーはベースロード電源にはなり得ませんが、それらの再生可能エネルギーに比べ、水力発電は最も安定している自然エネルギーであります。しかし、発電用の大型ダムの建設は、先ほども述べましたが、主な県内河川に設置されていますので、さらなる建設検討の余地はないと思いますが、水は、河川だけではなく、水路等いろんなところを通って流れています。
 全国で、この小水力を生かし、いろんな施設に電力を供給する電力の地産地消が最近注目を浴びています。我が県は、仁坂県政の重要道路政策である川筋ネットワークの推進により、中山間地域においても随分道路整備が進み、交通体系の未整備による地域間格差は解消されつつあります。しかし、もともと都市部から遠い中山間地域には企業が進出することはかなり困難な状況でありますから、何らかの優遇措置が必要と考えます。企業の誘致を促進するにしても、地元で新しく起業をするにしても、電力は必要不可欠ですから、小水力発電の地域活用は地域おこしの有力な方法の1つと考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 まず、一般論として、小水力発電はそれぞれの地域や産業の振興に役立つと考えますが、その可能性と今後のお取り組みについてお答えください。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、これまで豊富な日照時間や森林資源など、地域特性を生かし、再生可能エネルギーの導入に取り組んでまいりました。小水力発電についても、発電効率のすぐれた電源で、全国的にも徐々に導入が進んでおりまして、本県においても、みなべ町の島ノ瀬ダムで農業用水を活用した発電所が設置されましたほか、有田川町の二川ダム、紀の川市の安楽川井幹線水路で設置工事が進められております。
 発生電力は、売電収入を農業水利施設の維持管理費に充てるなど、地域で有効に活用されております。県といたしましても、今後ともエネルギーの地産地消を目指し、小水力発電を初め再生可能エネルギー導入に積極的に取り組んでいく所存でございます。
 先般、県議会の御理解を得ましてニューヨークに出張さしていただきました。そのとき、ジェトロの紹介で小水力発電に非常に関心のあるというアメリカ企業と話をしまして、その企業に、その小水力発電の可能性のある地域を今大いに売り込んでいるところでございます。ただ、今のところは、なかなか採算が合わない等の理由でうまくいかないというのが現状でございまして、今後とも、別にこの企業だけに限りませんので、できるだけ多くの可能性を積極的に当たって売り込みをしていきたいというふうに考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 そういう採算性の問題も確かにあると思います。しかし、今のこの島ノ瀬ダムの概要、これ、資料いただきますと、設置費が1億4000万で、年間売電収入が3045万円で、維持管理費と設置積み立てで1000万円充ててるそうで、差し引き2000万の収益となってるということですから、この小水力発電を設置することによって、減価をちゃんと償却していくと、普通のいろんな施設をつくった後、減価償却ができないで県の負の財産になってしまうという──これは施設によって効用はいろいろありますんで、収益を上げることだけが目的でない施設もありますから一概には言えませんけども、この小水力発電というのは、結構そういう意味で、地域に還元しながら、なおかつそれが最終この積立金をしていくわけですから、撤去するにしても、寿命が来たときに再設置するにしても、ある程度還流していくんかなという気がいたしますので、この小水力発電について、ぜひまたひとつ、さらに県のほうでも推進に向かって努力をしていただきたい、研究をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、選挙戦を戦ってるとき、知事は真妻地区で街頭演説を行ったことを覚えておられると思います。道路脇に、あの辺の住民、全てお越しいただいたんではないかと思うくらい多くの住民がお出迎えになり、知事の話に熱心に耳を傾けておられました。知事も、道路の整備や真妻ワサビの復興について熱く語っておられました。一例として、小水力発電から得る電力や収益を、真妻ワサビを中心に6次産業化を図り、またその他の産業育成にも活用できれば再び過疎地域にも活力を取り戻せるのではないかと大きく期待をしております。そして、これこそまさに政府が進める地方創生ではありませんか。
 このような小水力発電を活用し、過疎地域の活性化を図り、若者の定住化を促進し、再びにぎわいを取り戻したいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 従来から本県では、将来、地域が自立するための地域住民が主体となった取り組みを支援する和歌山版の「過疎集落支援総合対策」事業とか、あるいは1市町村1産業を目指したわがまち元気プロジェクト等によって地域の活性化を支援してまいりました。例えば、先ほどの真妻地区については、ワサビ、特に真妻ワサビの復活を中心とするような、あるいは田んぼワサビもあるそうですけども、それで補強するような、そういう村づくりプロジェクトを今支援しているところでございます。
 そういう中で、議員御指摘の小水力発電は環境に優しい持続可能な小規模エネルギーでございますし、その売電収入をこのような農産物加工などの継続的な資金として活用できるのであれば、こういうプロジェクトがよりうまくいくということになると思います。そういう意味で技術の導入は地域活性化に役立つと考えておりまして、大変よい考えだと思います。
 ただ、地域条件によっては、先ほどいろいろ採算面でなかなか難航しておりますという話がありましたが、施設整備費や発電能力に大きな差があるために、小水力発電による売電収入でうまくもうかるというふうになるかどうかという問題がございます。そういう意味ではよく検討していかないといけないというふうに思いまして、そういう可能性を今後とも大いに追求していきたいと思っております。
○副議長(尾崎太郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございます。期待しております。
 と申しますのは、知事、私は、日高川の当時美山村に生まれました。御承知のとおり椿山ダムのある地域でありまして、私はかねてから思っていたのですが、ダムは、下流地域や河口の市街地を守るため、防災上必要不可欠な施設であることは私も理解しております。しかし、ダムを建設した地域は、人口が一気に流出し、田畑は水没し、寂れていっているというのが現状です。
 補償金を渡しているから解決済みと考えられているのかもしれませんが、補償金をもらった方々のほとんどは住みなれたふるさとを離れていきます。残されたダム周辺に暮らしてる人々に、このダムができたことによって何のメリットがあったのか、時々私は疑問に思います。ダムができてよかった、ダムによって地域が活性化したという地域が果たしてあったんだろうか。下流域を守るため犠牲的精神で御協力をいただいた地域の方々にも、ダムを誘致して私たちも大きな恩恵があったと思えるような施策があってもいいのではないかと思い、今回質問させていただいたわけです。
 知事は、選挙戦を通じて、いろんなダムのある中山間部をたくさん回られたことと思います。それぞれの地域で仁坂県政に期待を寄せ、過疎の進む地域ほど熱烈に支援してることは、さきの選挙の投票率や得票率を見ても歴然としています。この中山間地域に住む県民の願いは、若者の働く場を確保し、定住してくれることに尽きます。私も、そういう思いで二階代議士の門をたたいたわけでありますから、まだ道半ばでありますが、過疎地域の振興に知事の特段の御配慮をお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 最後に、視察報告を兼ねて質問させていただきます。
 平成26年8月28日、本県紀南地域の白浜町から新宮市までの9市町村で構成される南紀熊野ジオパーク構想地域が日本ジオパークに認定されました。その後、エリア内の各自治体、ガイドの会や民間団体などが、地域活性化策の一環として、地域の特色を生かしたジオパークの取り組みとPR活動を徐々に活発化させているところであります。それとあわせて、世界ジオパーク認定を目指し、着々と準備を進めているところであります。
 そこで、先日、我々自民党県議団有志7名で、日本国内に存在する世界ジオパーク7カ所のうち、同じ近畿圏内でもあり、太平洋側と正反対の日本海側に位置する山陰海岸ジオパークを訪れ、先進例の調査を実施してきました。
 山陰海岸ジオパークは、京都府、兵庫県、鳥取県と3県にまたがる広範囲なジオパークであり、見どころ満載の中で、今回は鳥取県鳥取市において鳥取砂丘ジオパークセンターの館内並びに砂丘を見学。センターでは、砂丘の生い立ちや砂の動く様子、動植物などを映像やパネル展示で紹介、また、風紋発生風洞実験装置などを用いて砂丘を見学する前に知識を学び、ただ単に景色を楽しむだけではなく、地質や地形についても関心を持たせる効果があると感じました。
 また、すぐ近くにある砂を素材にした巨大な彫刻が話題となっている砂の美術館を見学。砂丘の砂を用いて人の力で新たな造形美をつくり出し、砂丘を訪れる人に新たな感動と感激を与えたいというコンセプトのもと、砂像を屋外や仮設テントで展示を行っていましたが、2012年には世界初の砂像の展示施設を本格的に整備したとの説明を聴取しました。1年ごとに全作品をつくりかえることで壊れ行くはかなさや新たな作品への関心度を高める演出が、来場数増加、リピーター獲得にも効果を上げているようです。
 また、山陰海岸学習館も見学しました。
 次に、国の天然記念物にも指定されてる玄武洞がある兵庫県豊岡市を訪れました。翌日、兵庫県豊岡市の周辺のはさかり岩、淀の洞門などを見学し、帰路につきました。
 今回の視察時、いろんなところにジオパークの看板が設置され、鳥取市から宮津市までを結ぶ約120キロメートルの地域高規格道路鳥取豊岡宮津自動車道の愛称をジオパークロードとし、随所にジオパークエリアであることを強く印象づける案内標識などが目につきました。
 そこで、環境生活部長にお伺いいたします。
 南紀熊野ジオパークは、ことし国内認定されたのですから、今後、山陰海岸ジオパークのように案内板や標識、資料館等を整備していかなければならないと考えますが、世界認定に向けた取り組みもあわせてお答えください。
○副議長(尾崎太郎君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 南紀熊野ジオパークは、本年8月28日に日本ジオパークに認定されたところでございます。それ以後、既に世界ジオパークを目指しましての取り組みを進めているところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、まだまだ先駆者である他地域の状況に学び、取り組むべき課題がたくさんあろうかなというふうに考えてございます。
 さきの9月議会でも知事がお答え申し上げましたとおり、ジオパーク活動の主役は地域の人々でございます。その方々の取り組みの広がりと情報発信力の強化が、今、何よりも重要な課題と考えてございます。
 まず、地域を訪れる人々にジオパークを強く印象づけるため、そしてまた、地域の人々のジオパークの自覚と誇りを増すことにもつながりますサイン類についてでございますが、南紀熊野ジオパークのロゴマークを活用した案内板や標識を関係機関と連携して順次整備してまいる予定としてございます。
 次に、中核施設といたしまして、那智勝浦町の宇久井ビジターセンターと串本町の本州最南端・潮風の休憩所、この2つを、単に地質学的な紹介だけをする施設ということではなく、自然景観、歴史・文化、地域の人々の活動など、ジオパークを総合的に紹介する重点ジオステーションとして整備していく予定としてございます。また、そのほかにも、地域内の道の駅にも紹介展示コーナーを順次開設して広がりを持ったジオパークとして進めていきたいと考えてございます。
 ソフト面につきましては、ジオパークガイドの養成をさらに進めていきまして、100人を目標に拡充してまいりたいと考えてございます。また、世界ジオパーク認定に向けましては、外国語で案内できるガイドさんの養成にも取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
 ジオサイトの解説板の整備でございますとか、DVDの作成、ホームページの拡充、さらにそれらを多言語化対応してまいるという取り組みでありますとか、ジオツアーの新たな商品開発を進めていくなどの取り組みにも積極的に取り組んでいるところでございます。
 こうした地域主体で地域の人々と御一緒になって進めている活動を一層盛り上げてまいることが必要だと思ってございまして、そうした活動の結果として、できるだけ早期の世界ジオパークの認定を目指しての取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 御答弁ありがとうございました。
 来年は国体もありますし、JR等がまた和歌山県をいろんなとこで宣伝もしていただいております。他府県から、また世界からたくさん来県していただくことになると思うんですけども、このジオパークというのも、ある意味、1つの集客の材料になるとは思いますし、この紀南といいますか紀伊半島は大変自然に恵まれておりますし、地質のこういう特異な地域でもあると思います。こういう歴史と文化、これは他府県に負けない、そしてまた自然も大変豊かな和歌山ですから負けない、食材も負けないと思いますし、私の住んでる日高はしょうゆの発祥地でもありますし、先ほど申し上げた真妻ワサビというのも1つのブランドになっております。
 こういうふうに掘り下げていけば大変魅力の多い和歌山県ですから、このジオパークについても、ぜひ他府県にPRしていただいて、いろんな方に和歌山県のよさをわかってもらえる1つのアイテムとしてやっていきたいと思いますので、当局の皆さんにもよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 皆さん、おはようございます。
 一般質問の前に、仁坂知事、知事選挙、大変お疲れさまでした。私も、来期、この場に立てるようにぜひ頑張ってまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、一般質問に入らせていただきます。議長のお許しを得ましたので、よろしくお願いします。
 1つ目は、アベノミクスについてお尋ねいたします。
 皆さんも御存じのように、「アベノミクス」という言葉は造語で、安倍首相が行っている経済政策の総称をそのように言っているわけですが、具体的には3本の矢と言われる金融政策、財政政策、成長戦略の3つの政策によって日本の景気を浮上させようとするものです。安倍政権は、アベノミクスで日本経済はうまくいき始めていると言っていますが、私の周りでは、消費税の増税が引き金になり閉店が相次ぐなど、先行きの不安を持っている方ばかりです。安倍首相は、記者会見などで、アベノミクスは雇用がふえ、賃金も上がっているから確実に成果を上げていると言っています。
 そこで、お尋ねいたします。
 雇用は100万人以上ふえたということですが、県内の雇用状況はいかがでしょうか。また、正社員の求人倍率はいかがでしょう。
 首相は、賃金も2%上がったと言われていますが、県内の勤労者の賃金は上がっていますか。また、倒産件数の推移、県経済への効果について商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 恐縮ですが、ゆっくり答弁をお願いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 経済指標については、国の経済施策の影響だけでなく、天候や為替相場の動きなどさまざまな要因により変動するものですが、議員お尋ねの項目について、直近の数字と2年前の安倍政権発足時の数字を比較すると、まず県内の雇用者数について、平成26年8月には27万7794人であり、平成24年12月には27万664人であることから、約7000人の増となっております。
 次に、正社員の有効求人倍率を見ますと、平成26年10月には0.57倍であり、平成24年12月の0.48倍と比較すると0.09ポイントの改善となっております。
 さらに、県内の勤労者の賃金について、名目賃金指数では、平成22年の平均を100とした場合に平成26年8月の数字は87.5であり、平成24年8月の86.5と比較して1ポイントの増加となっております。
 最後に、倒産件数について、民間信用調査会社のデータによると、平成24年が112件、平成25年が94件、平成26年は10月までで82件と減少傾向にあります。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、商工観光労働部長から答弁いただいた数字は、やや緩やかに上向きということなんですけども、厚生労働省が12月2日に発表した10月の毎月勤労統計調査速報によると、物価上昇を加味した実質賃金指数は、消費税増税などの影響で前年の同じ月と比べ2.8%減と、16カ月連続でマイナスと報じられています。アベノミクスによる物価上昇に賃金が追いつかない状況が続いているということですが、県では実質賃金はどのようになっていますか。
○副議長(尾崎太郎君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 物価上昇率を考慮した実質賃金指数を見ますと、平成22年の平均を100とした場合、8月の数字は83.3であり、平成24年8月の86.3と比較して3ポイントの減少となっております。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 全体として、生活がやっぱりなかなかよくならないとか、アベノミクスの実感がないというようなことが言われている中で、実質賃金がなかなかそうやって上向きになっていかないというところなんかが、かなりそういう感じもあるんじゃないかなと思うんです。
 そういった状況の中で、次に、安倍政権が進めるアベノミクスは、さきにも述べたように異常な金融緩和と財政拡大、世界で最も企業が活躍しやすい国を目指す規制緩和が3本柱だと思うんです。大企業がもうかれば賃金も上がり消費もふえるというトリクルダウンの政策で国民の所得や消費をふやすという対策ではありません。大企業はもうけをふやしてため込み、大資産家は株高で潤っても、国民の暮らしはよくならないんじゃないでしょうか。アベノミクスがうまくいっているというのは、大企業や大資産家のことしか首相の眼中にないということではないでしょうか。
 9月1日に発表された法人企業統計では、2013年度の大企業、資本金10億円以上の経常利益は前年度比で8.8兆円ふえ、34.8兆円と史上最高の利益となっています。リーマンショック前の2008年度、2007年度を超えたことになります。一方で、従業員給与は前年比で6200億円ふえただけで、1人当たりで見ると0.3%、月に1500円程度ふえただけであり、物価の上昇にとても追いついていないと思います。
 こういった状況の中で、このままアベノミクスを続けて和歌山県にとって景気が本当によくなるのでしょうか。賃金が上がり、県民の暮らしはよくなるとお考えでしょうか。知事にお伺いいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 長くデフレ下にありました我が国の経済情勢は、安倍政権発足以来の経済施策がうんと変わったということで、輸出型企業を中心に全体として量的な拡大をし、そしてまた株高とか輸出型企業の採算向上等、その従業員の給料上昇など、いいところも結構出てきているというところだと思います。
 デフレを続けておりますと、全ての経済主体が消極的にやっていったほうが得だということになるわけですから、経済発展などとんでもない話になってしまって、経済は緩やかな死を迎えるというふうに思います。したがって、政策の基本はデフレ退治であるということについては、私は間違いないというふうに思います。
 一方、現状では、地方の経済は大して振るっていないとあえて私は思います。それは、持ち直しの利益が輸出型企業にたまっておりますけれども、こういう企業が依然として、例えば部品供給社とか、あるいは下請企業とか、あるいは運送その他のサービサーとかなどには、まだまだ厳しい値下げの要求を出していて、それで、そういうたまった利益をあんまり均てんしてないというところが大きいんではないかなあというふうに思うわけです。
 一方、つらいほうの企業は、原料高でございますとか、それから電気代も上がったなど、いろいろ直撃するところがあって、従業員の給料を上げるなどなかなか難しいということだと思います。そうすると、そういう企業が多い地域は、全体として消費があんまり伸びないので経済が振るうはずがないということになるわけでございます。
 こういうように、本県のような輸出関連企業が少なくて中小企業が多いところは、あるいは中小企業といっても今の部品供給業とか下請とかそういうところが多いところは、個々のケースでは量的な拡大が結構あるところもありますので、調子の上がっている面はあっても地域経済全体としてはあんまりぱっとしないという、回復がおくれてると感じているところは、議員だけではなくて私もそう思うわけであります。
 そのために政府は何をせないかんかということなんですけれども、奥村議員のように政策の基本をもとに戻せとか言っている政党が結構あります。それは、とても危険なことだと私は思うわけであります。政策の基本をもとに戻したら、また日本経済が停滞して、結局は人々の暮らしがどんどんとしょぼくれてくるということになると思うんであります。したがって、政府が強力にこのような価格転嫁、こういうものを慫慂して産業界に働きかけをしていくことが大事ではないか、そんなふうに思います。
 これによって、地方の企業がもうかり、その延長上で従業員の給料が上がり、それで県民の暮らしがよくなって県経済の調子がよくなるということを期待したい、そんなふうに私は思います。
 また、現政権でいえば、地方創生ということをうたい文句にしていて、今の価格転嫁だけではなくて、地方経済発揚のためのてこ入れ、他のてこ入れですね、これも期待する状況にあると思いますので、大いに期待したいと思います。
 余りにも長く続き過ぎた過剰な円高によって企業が過剰に資産を海外に移している、だからこの金融政策の転換の効果がすぐにあらわれるはずがない、多少時間かかるが我慢をしなきゃいけないのではないかとずうっと私は言い続けてきましたけれども、今もその考えは変わりがございません。したがって、基本の堅持をしながら産業界に価格転嫁のてこ入れをして、そして地方創生を期待してまいりたいと考えております。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほど、和歌山県の状況というのは大変厳しいということで、その点では、そんなふうに認識されているということですので。
 次にお聞きしたいのは、アベノミクスの円安誘導策というのが、中小企業を次々とぐあい悪く破綻に追い込んでいるという状況であると。帝国データバンクの調査によると、10月の円安関連倒産は39件に達して、現政権の発足以降で月間最多を記録したと報道されていました。累計259件に上って、前年同期と比べると2.8倍の大幅増と言われています。
 和歌山県は小規模業者の割合が全国一高くて、第3次産業の平均規模も全国一小さくなっているのですが、お尋ねしますが、和歌山県として県の経済がよくなるためには、じっと我慢じゃなくて積極的にどうやっていったらええかというところで、知事がどのようにお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど、たしかお答えをしてしまったと思います。先ほど申し上げたとおりであります。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私は、質問の項目で、景気や県民の暮らしはよくなるかということをお尋ねして、その後に、地方の経済がよくなるために何が必要かということをお尋ねしてるので、そのときに言っていただいたらよかったんですが、一緒に言っていただいたなあと思いながら、また聞かせていただきました。
 それで、私は、やっぱり知事が知事挨拶をこの議会の冒頭で言われた中で、「景気や雇用といった県民生活に深くかかわる切実な声を数多くいただきました」と言われました。構造的な不利な条件の中でも皆さん頑張ってるのには知事も共感し、知事自身も頑張らんとあかんというようなことで御挨拶いただいたと思うんです。
 私は、そういう中で、その切実な声というのをどんなふうに具体的に、こういった和歌山県の厳しい状況の中で、中小業者さんが大変多いそういう中でどう聞かれたのかなあというふうに思ったんですけど、1つは、企業誘致を一層推進してまいりますということで言われてますし、働く場をさらにふやしてまいりますということも言われました。
 そういったところで私が言いたいのは、安倍首相が正社員が100万人ふえたと言う中で、実際にやっぱり非正規の方がかなりふえてるんじゃないかというふうに思うんです。それは、私が統計を調べたわけではないんですけども、そういった中で、和歌山県としても、そういったところでは、先ほどちょっと雇用がふえたと言われた中で、やはり非正規の方、正規の方がどうなってるのかなというふうに思うんですけど、そんな点で、県にとって小規模事業者が元気になることこそ地域経済活性化の道だと思うんです。
 しかし、小規模事業者にとっては、アベノミクスの効果どころか、先ほどおっしゃってくださった円安による燃料とか電気料金、原材料の高騰、その上、消費税で消費の後退など、厳しい状況が続くばかりです。事業所数は3年間で7%減っています。特に、小規模事業者の減少が目立っています。県の商工予算は2014年度で1000億円を超えていますが、その92%は金融対策費になっています。一部企業の海外進出や成長分野を応援する施策は目立っていますが、商店街や小規模事業者への応援策は削減されているのではないでしょうか。商業振興費は24億5000万円、これは2005年の決算ではこの数字なんですが、年々減って2014年の予算では13億4000万と、ほぼ半減しています。
 今、総選挙が戦われてるわけですけども、アベノミクスからの転換ということでは──やはり正規職員をふやしていく、消費税増税を中止し、税制改革、大金持ち、大企業に応分の負担を求める、そうして社会保障充実と財政再建をということが大事だというふうに考えています。
 1点だけ、済みません、知事として企業誘致とか、また働く場をさらにふやしてまいりますというところでは、正規職員、正社員をやっぱりふやすというところでの働きかけをぜひしていただきたいなと思いますので、その1点だけ、ちょっとお答えをよろしくお願いします。
○副議長(尾崎太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 1点だけとおっしゃられましたんですが、先ほどの商工関係経費が減ったというのを力を入れてないように思われるかもしれませんが、多分、奥村議員はわかっておられると思うんですけど、基金の出入りによってそんな数字になっておりますけど、別に商工関係の政策を緩めたわけでは決してありません。
 それから、先ほどの正社員の問題なんですが、私は、自分の考えを申し上げますと、かつて、今から10年あるいは20年前でございますけども、終身雇用の日本の制度というのはあんまり望ましくないんだ、アメリカ型でどんどんと職を変わっていくほうがいいんだというような声が結構経済界の主流になったことがあります。それが、労働関係の規制緩和の1つの原点になってるというところもあると思います。
 私は、実は自分の好みを言うと、終身雇用賛成です。会社のために一生懸命仕事をする、正社員として会社のために尽くす、それが報われるというのが非常にいいことではないか、そういうふうに思います。ただ、あのときに、今もそういう状況ですが、それだと会社の経営自体が成り立たないという側面があって、もうちょっと労働関係を円滑にいろいろ伸び縮みできるようにしなければ会社としてもう日本では投資できないというような話があったので、まあやむを得ないのかなというふうに思ったわけです。
 非正規雇用と、それから正規雇用についていえば、私は正規雇用のほうがいいに決まってると思います。しかし、正規雇用でなければいけないといってあんまり言い過ぎると、それこそそういう言い過ぎるところの国あるいは地方においては投資が全く進まないということになってしまって、それでかえって職を求めてる人が損をするということになるのが論理的な帰結です。
 したがって、労働の需給が逼迫してくるということが実は正規化の近道だと私は思っています。なぜならば、需給が逼迫すると、どうしても労働者を離したくない、それならばいつでも離れていくような非正規雇用よりもずっと長く働いてくれる正規雇用に切りかえたほうがいいというインセンティブが必ず発生するわけです。したがって、雇用の場をとりあえずふやすということを念頭に置いて頑張って、その結果として正規雇用がふえてくるといいなあというふうに私は思ってる次第でございます。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県民の皆さんの声も聞いていただいたと思うんですが、特に将来の、若者も含めて、やはり非正規雇用というのは不安な毎日を過ごすということだと思うんです。そういった中で、結局はそういう自立を妨げていくという側面も多くあると思いますので、そういった点で、今後も、各企業やいろんなところを含めても、正規雇用の働きかけをぜひ雇用とあわせてしていただきたいなあというふうに思います。
 続いて、次の項目は、自治体の非正規職員の待遇についてお尋ねいたします。
 今日、国際社会では、ディーセントワーク、人間らしい労働の実現を各国に呼びかけていますが、日本の場合は、現在、労働者の3人に1人、若者や女性の2人に1人が非正規雇用労働者となっています。近年は、国や自治体が多くの部門、業務で公務員を期限つきの不安定な非正規の形態のもとで使用しています。一方で、公的業務や公的サービスが派遣や請負の形式を利用して民間業者に委託される例がふえています。
 そして、今、政府は、盛んに女性が活躍しやすい社会を目指すと言い、すべての女性が輝く政策パッケージを発表しました。その第1の柱は、「安心して妊娠・出産・子育て・介護をしたい」の第1に、妊娠、出産、子育てへの切れ目のない支援の先駆的取り組みを行うことを支援すると述べられています。
 そこで、県の場合も、知事部局に事務補助職員などの非正規雇用の職員がいますが、その事務補助職員の占める割合は6.2%と聞いております。
 そこでお尋ねいたしますが、知事部局における事務補助職員は現在何名でしょうか。そのうち女性の占める数、割合をお教えください。また、産前産後休業、育児休業の取得状況もあわせて総務部長にお聞きいたします。
○副議長(尾崎太郎君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 12月1日現在、知事部局における事務補助職員は246名であり、そのうち女性は240名で、97.6%を占めております。
 また、産前産後休暇の取得実績は、12月1日時点で1名でございます。
 なお、育児休業については、取得実績は今のところございません。
○副議長(尾崎太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 圧倒的に女性が多いということになります。その事務補助職員の方の年齢のほうは、20代から60代と年齢的にも幅広く職員さんがいらっしゃるということも聞いてるんですけども、そういった中で、先ほど申し上げました妊娠、出産、子育て、また介護の問題も切実な問題に、働き続けるという点でも問題になってくるかと思うんですけども、総務省から、ことしの7月に「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」という通知が出されています。それについては、ここに書かれてるんですが、「臨時・非常勤職員の任用等については、平成21年4月24付総務省自治行政局公務員部公務員課長・給与能率推進室長通知」ということで、「臨時・非常勤職員及び任期付短時間勤務職員の任用等について」ということで、21年通知の趣旨がいまだ必ずしも徹底されていない実態が見受けられるので、それを徹底していただきたいというようなことで、各県を通して各市町村にも県からも伝えるようにというようなことが書かれてるんです。
 そういったことで、県からも、各市町村の実態をつかんで、それで臨時・非常勤職員の皆さんの任用等についての労働環境とか、そういったことをぜひ改善していっていただきたいなあということで要望いたします。
 最後に、女性が活躍しやすい社会に向けた環境整備を民間企業も含めた社会全体で進めるため、まずは県が率先してその範を示していただきたいと思います。そのため、正規職員のみならず、非正規職員も含めた女性職員全体の処遇改善について引き続き努力していただき、繰り返しになりますが、特にこの通知を生かして、各市町村の自治体にも、働く職員の状況も把握し、そして助言やアドバイスもあわせてよろしくお願いしたいということを要望して、次の項目に移らせていただきます。
 最後の項目は、南海市駅前の公衆トイレ設置についての要望をさせていただきます。
 まず、皆さんにお礼を申し上げたいんですけど、昨年暮れに南海市駅ビルの高島屋撤退のニュースに多くの方がショックを受けられました。私は、日本共産党市議団の方と一緒に、駅を利用されている方や駅周辺に住まわれている方々からアンケートに御協力いただき、日常の買い物に大変困ることなど生の声を高島屋さんや県、市に届けさせていただきました。残念なことに高島屋は撤退となりましたが、その後にスーパーが開店し、ほっとしているところです。御尽力いただいた関係者の皆さんに感謝申し上げます。
 この中で、100人近くの方からアンケートの聞き取りなどで御意見をいただいたわけですけども、駅前にトイレがなく困っているという話がありました。もともと南海ビルには1階にトイレはありましたが、現在閉鎖されています。スーパーの店内と地下食堂横にあるだけで、開店している時間帯しか使用できません。このような状況の中で、あるお店の方は、毎日、トイレはどこかと聞かれ、多いときには10回も尋ねられるということです。来年は国体と障害者スポーツ大会があり、県外から多くの方を迎える玄関口としては余りにもお恥ずかしい状況です。和歌山市には、公衆トイレ設置の要望署名約900筆をお渡ししました。観光振興の立場からも、また高齢者や障害者の皆さんにとって利用しやすい駅前にするために、ぜひ県としてもお考えいただきたいと思います。中長期的なまちづくりを考えることとあわせて、住民が今困っていることに応えながらまちづくりを進めていっていただきたいと思います。
 今回はトイレの問題を取り上げましたが、ほかにもお困りのことがたくさんあります。高齢者の方が腰をおろすところがない、タクシー乗り場の段差を解消してほしい、和歌山市営駐車場の利用料の問題などなど、解決できるところからもどんどん取り組んでいただきたいと思います。
 これは市の問題も大きいんですが、県も一緒になって解決できるように御支援をよろしくお願いして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(尾崎太郎君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時13分休憩
────────────────────
○議長(坂本 登君) 再開前でありますが、一言申し上げます。
 本日、傍聴席に、美浜町立松原小学校の5年生の皆さんが、先生を含め30名のこども県庁探検隊として議場に来ていただいております。(拍手)
 松原小学校の皆さん、ようこそ県議会にいらっしゃいました。心から歓迎をいたします。今、皆さんの下におります県議会議員は、県民の代表として、それぞれの地域や和歌山県の発展のために頑張っております。
 未来の和歌山を担う皆さん、県議会や県の行政に関心を持っていただき、未来の和歌山がもっとよくなるよう、しっかりと勉強していただきたいと思います。
────────────────────
  午後1時1分再開
○議長(坂本 登君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、こんにちは。また、小学生の皆さんも、こんにちは。ようこそお越しくださいました。いつもよりどえらく緊張しますね。
 それでは、緊張しながらも一生懸命頑張りますので、ぜひ静かに聞いてください。
 初めに、知事、このたびの御当選、おめでとうございます。4年間の知事のリーダーシップに期待しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 初めに、もう皆様も御承知のとおり、串本のエルトゥールル号の映画の話ですけれど、知事からも今議会でお話もございましたが、順調に進みまして、皆様のおかげをもって再来年の正月に東映から放映されることになりました。知事を初め当局の皆様方、また県議会の皆様の御協力のたまものと、大変感謝しております。本当にありがとうございます。
 そのエルトゥールル号のことですが、撮影に向けて、町民有志による映画製作準備委員会が、炊き出しや海岸の清掃、またエキストラ出演、PR活動などの支援準備を進めております。今、県議会の中で山本茂博議員から、ぜひエキストラに私を出演さしてくれという御要望をいただいております。他の議員の皆様方も、エキストラなど御要望がありましたら、承りまして町のほうに私のほうから推薦をしたいと思いますので、どうか、そういう方があればお申し出ください。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 森づくり、いわゆる森林整備以下5項目について質問をさしていただきます。
 まず最初に、紀の国森づくり基金活用事業の推進についてお伺いをいたします。
 「空青し山青し海青し」と郷土の文豪・佐藤春夫が詠んだ紀州の山々は、古くから温暖多雨な気候に恵まれ、豊かな森林が育まれる中、森林を基盤として産業が育まれてきました。林業はもとより、農業や住民の生活そのものが森林に支えられて、今に残る山村や里山の風景が形づくられてきました。また、その中で、いかだ流しや紀州備長炭、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」など、文字どおり木の国の豊かな文化が育まれてきました。
 森林は、木材生産のほかにも、水源涵養や土砂流出防止、保健休養、野生鳥獣保護や二酸化炭素吸収源など、公益的機能を持っており、その恩恵は、森林所有者や林業関係者のみにとどまらず、広く県民全体に及んでおります。
 しかしながら、近年は、山村の過疎化、高齢化の進行に加え、長期にわたる木材価格の低迷や労働コストの増大などによって、採算上も、担い手の確保の上からも、林業は大変厳しい状況に置かれております。
 天然林は人手をかけなくても健全な状態を保っていく力が備わっておりますが、木材生産を目的にする人工林は、人手による管理が欠かせません。また、集落周辺の里山では生活用途への利用がなされなくなり放置され、竹林の増殖など、森林環境の悪化を招いてきております。
 本県では、これまで、国の補助事業や県単独事業などを積極的に活用して、植栽や下刈り、間伐といった森林整備に係るさまざまな施策を行ってまいりましたが、林業経営をめぐるこのような厳しい状況の中、もはや林業経営者のみの努力では森林の公益的機能を守ることが困難になってきております。
 このような状況の中、平成17年12月の定例議会において、従来の森林・林業施策に加え、森林環境を守るための新たな施策として、水源の涵養や県土の保全等の公益的機能を有する森林を守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的とした全国初の議員提案による紀の国森づくり税条例並びに紀の国森づくり基金条例を制定したところであります。
 本条例に基づき、その理念を具体化するため、平成19年度より、森林環境の保全や森林と共生する文化の創造を目的に、森づくり基金を活用した紀の国森づくり基金活用事業が実施されております。
 紀の国森づくり基金活用事業につきましては、森林の重要性の普及啓発などを柱とする「森とあそぶ・まなぶ」、放置され荒廃した森林の整備を柱とする「森をつくる・まもる」、木材の利用などを柱とする「森をいかす」を基本に広く公募を行うなど、さまざまな事業を実施してきていると聞いております。
 当初計画では平成19年度から23年度までの5カ年の実施予定でありましたが、いまだ森林環境整備の道半ばということで、平成28年度まで、さらに5カ年延長されたところであります。
 平成19年度から5カ年、1期対策として他府県に先駆けての紀の国森づくり基金活用事業を実施してきたわけですが、その間、どのような取り組みがなされ、どのような成果があったのでしょうか。また、水源涵養や県土保全に加え、災害防止などの森林の持つ公益的な価値を十分発揮するためには間伐等の森林整備が最も重要であり、平成24年度から始まっております第2期対策を積極的に活用しながら、災害に強い森づくり、健全な森づくりをさらに進めていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 紀の国森づくり基金活用事業については、平成19年度から平成23年度までの第1期において、基本理念である「県民が知ること」、「県民が理解すること」、「県民が参画すること」に基づき、公募による森林整備や普及啓発を進めてまいりました。その結果、1期5年間で基金活用事業に延べ約5万9000人と多数の御参加をいただきましたが、森林整備については、個々の実施面積が小さく、437ヘクタールにとどまりました。
 第2期に向けて県民アンケートを行ったところ、紀の国森づくり税の使途として、間伐等の森林の整備に使用してほしいとの回答が最も多かったことから、県議会の御理解をいただいて、県では、平成24年度から紀の国森づくり基金を活用して採算の合わない森林を対象に間伐を実施し、広葉樹が混在した環境林に誘導することで災害に強い森づくりを積極的に進めてまいりました。また、近年多く発生している異常気象等による土砂災害を軽減するため、基金を活用して渓流沿いの倒木を除去する流木対策を今年度から新たに始めたところでございます。
 今後も引き続き、こうした事業を積極的に推進し、災害に強い健全な森づくりに取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁、ありがとうございました。
 最初の1期の5年間ですけれど、大変いろんな事業もやっていただいて、それなりの成果はあったと思うんですけれど、やはり間伐等の森林整備がおくれていたというのは否めないなあと。これに関しては、議会も、私たちも、検証をきちっとしなかったという反省もございますが、あとの答弁を聞きますと、それからの、これまでの24年からの第2期目のほうではしっかりとやっていただいてるなあという感じがいたしました。
 最初の1期目のときの基金というのは相当残ってたようでもありますが、基金は残すためにつくってるもんではございませんので、ぜひしっかりとその基金も使って、立派な、災害に強い、これからも今までどおり推進していただきたいなあと、そのように要望しておきます。
 続きまして、企業の森の現状と今後の進め方についてお伺いをいたします。
 県では、森林保全を目的に、企業のCSR活動と連携・サポートを行いながら、あわせて山村地域の活性化を推進するため、企業の森の取り組みが進められております。
 企業の森につきましては、広葉樹等の植栽、育成を通じて公益的機能の高い健全な森づくりが期待できるものであり、補助金等公的な資金に依存しない森林整備活動として、私も大いに期待をしているところであります。
 この事業は平成14年度に全国に先駆けて始まったと聞いておりますが、現在までの参画企業数や実施面積について、その実績はどのぐらいあるのでしょうか。
 また、企業の森活動として企業の皆さんが地域を訪れ、植栽や下刈りなどの森林保全に係るボランティア活動を行っていただいておりますが、こうした活動を単なる森林保全だけに終わらせるのではなく、好機として捉え、紀州材のよさや地域の魅力をPRしたり、ほかの体験メニューとの組み合わせにより滞在時間を延ばす工夫をするなど、観光との連携について、また、複数の企業の森を組み合わせて地域全体で面的に魅力アップを図る取り組みなどについても検討してみてはいかがでしょうか。農林水産部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 企業の森の現状と今後の進め方についてお答え申し上げます。
 現在、61社の企業や団体が参画して約220ヘクタールの森林保全活動に取り組んでおり、森林保全はもとより、森林作業員の働く場の確保や地元の方々との交流、宿泊施設の利用等、山村地域の活性化に大いに寄与していただいております。
 企業の森の勧誘を行う際には、10万人の参詣道「環境保全」活動等について紹介し、森林の保全に加えて熊野古道の保全活動等にも参加をお願いするなど、世界遺産熊野古道を初めとする地域の観光資源のPRも積極的に行ってまいりました。
 また、本年度から新たに、企業の皆様に紀州材に親しんでいただこうと、社員みずからが紀州材を使って自社オフィス用のベンチを作製する取り組みを始めたところでありますが、紀州材のPRや観光との連携について、もっとほかにも工夫ができないか考えるとともに、複数の企業の森による面的な魅力アップについても考えてまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁、ありがとうございました。
 大変多くの企業、団体が企業の森に参加していただいてるということで、大変うれしく思うところですが、この220ヘクタールの森がもし1カ所に集まってあったとすれば、これは私たちのまちには、もう物すごい和歌山県の観光資源になると思うんですよね。そういうのをたくさんつくっていただければ、このCSRの社会貢献や観光貢献などをしながら、企業も喜んでいただけ、森林も整備され、そしてまた観光地にもなり、企業の森のリピーターほか大勢の方が訪れてくれるようなものになろうかと思いますので、答弁を聞きますと、そのような面で一生懸命やっていただいてるようですので、ぜひこの勢いで続けて頑張っていただきますよう要望しておきます。
 続きまして、和歌山県歯と口腔の健康づくり計画の推進についてお伺いをいたします。
 平成23年12月の定例議会において、議員提案により、近畿では初めての歯科口腔条例である和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例が制定をされました。この条例の制定に向けては、私も歯科保健推進に係る条例案検討会の委員として取り組んだところであり、この条例は、県民の皆さんと県議会、県当局がともに手を携え、歯と口腔の健康づくりをしっかりと推進していくためのものであります。
 歯と口腔の健康は、食べる喜び、話す楽しみなど、生きるための基本的な機能として誰もが生涯にわたって維持することを望んでいる身近な健康課題であります。
 一方、歯と口腔の健康は体全体の健康と深くつながっていることが明らかになっており、糖尿病、心臓病、肺炎など、さまざまな疾患との関連性が指摘されており、健康長寿を実現していく上でも、生涯を通じて歯と口腔の健康を守ることが大切であります。
 乳幼児においては、かむ力の基礎を築き、唇や舌の動きが複雑になり、食べ物をそしゃくする以外に味覚の発達や話す機能を獲得するなど、生涯にわたる歯と口腔の活動基盤が形成される時期であります。子供が心身ともに健全に成長できるよう、正しい食生活や歯磨きなどの習慣をつけて乳歯の虫歯予防を行う必要があります。
 また、成人期においては、仕事や家事による多忙から自身の口腔ケアがおろそかになりがちであり、進行した歯周病や歯の喪失がふえる時期であります。食生活に支障が生じ、身体能力の低下につながることから、働き盛りの時代を充実した生活が送れるように歯周病の予防対策が必要になります。
 さらに、高齢期においては、そしゃく機能の低下により、野菜摂取量の減少等、摂取できる食品群が徐々に制限されていくことから低栄養を招き、また誤嚥性肺炎の誘発を招くなど、生命の維持にも大きな影響を与えてまいります。また、歯の健康は認知症にも関係があると言われていることから、生涯現役で充実した生活を送るためには、高齢者が口から食べられることを重点とした取り組みが必要であります。
 本年3月には、県条例の理念を反映した和歌山県歯と口腔の健康づくり計画が策定をされました。県民の生涯にわたる健康で質の高い生活を確保するためには、この計画の推進が確実に行われることが必要であると考えております。
 そこで、乳幼児から高齢期まで人生の各ライフステージにおける歯と口腔の健康対策について、この計画でどのように取り組み、推進していくのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本年3月に策定した和歌山県歯と口腔の健康づくり計画は、議員提案による和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例に基づき、県民の皆さんに質の高い生活を送ってもらうための生涯を通じた歯と口腔の健康づくりを推進する計画です。
 県としましては、今後、それぞれの指標の達成に向けて、市町村や歯科医師会等と連携し、乳幼児期、学齢期のフッ化物洗口などの虫歯予防、成人期の歯周疾患検診などの歯周病予防、高齢期の口腔機能向上教室実施による口腔機能の維持など、ライフステージごとの特性を踏まえた取り組みを推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 次に、医科歯科連携の取り組みについてお伺いをいたします。
 近年、歯と口腔の健康が体全身の健康づくりに密接に関連しており、適切な口腔ケアが生活習慣の改善や健康回復にとって大きな役割を果たしているということが明らかになってきております。
 例えば糖尿病と歯周病の関係では、糖尿病の合併症の1つに歯周病があり、糖尿病患者に高率で発症することがわかっております。がん治療とも密接な関係があり、がん治療に当たっては、あらかじめ歯科治療や口腔ケアを行うことによりがんの手術後の感染症が減少したり、また、化学療法や放射線治療を行う場合には口内炎が起きやすく、痛みなどの発生により治療に影響があると聞いております。
 このように、患者の健康回復という共通の目的を達成するため、医科と歯科が連携して治療に当たることは大変有益であります。今後、歯科口腔に係る健康対策を着実に前進させるためには医科歯科連携の取り組みが非常に重要になってくると考えますが、どうでしょうか。福祉保健部長に御所見をお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員御指摘のとおり、歯と口腔の健康は糖尿病やがんなどの生活習慣病と密接に関係しております。特に、がん患者を治療するに当たって医師と歯科医師を初めとする多職種の医療従事者が協力して行うチーム医療の推進が重要であり、県計画においても医科と歯科の連携体制の構築を主要施策の1つとして掲げているところです。
 県では、平成22年から、がん治療を行うに当たって、がん診療連携拠点病院等が中心となり圏域内の歯科診療所との連携を図っているところですが、今後は、今年度制定された地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づく基金を活用して、糖尿病や脳血管疾患、心疾患などにおいても、その予防につながる医科歯科連携体制の推進を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 続きまして、口腔保健支援センターの役割についてお伺いをいたします。
 県条例、県計画に定められたフッ化物洗口や口腔機能の維持向上などの各種施策を効果的に実施していくために、県民に身近なところで歯科検診や歯科保健指導などを行う市町村の役割が大切であります。しかしながら、現在、県内各市町村において、歯科医師、歯科衛生士等の歯科専門職が配置されているのは和歌山市だけで、歯科衛生士が2名配置されているだけであります。
 一方、本年10月には、歯科保健体制の強化を図るため、県計画に基づき、和歌山県口腔保健支援センターが県庁の健康推進課内に設置されたと聞いております。
 県内全体の歯科保健を地域格差なく推進していくためには、当口腔保健支援センターが中心となり、市町村に対して、歯科保健を進める上で必要となる事業や知識等について普及啓発するなど支援してくことが必要であると考えますが、どうでしょうか。今後の口腔保健支援センターの役割について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 口腔保健支援センターは、県内の歯科保健体制の強化を図るための専門的拠点と位置づけ、歯科保健情報の一元化や歯科保健関係者への助言、相談を行っております。
 特に、歯科保健における地域間格差をなくしていくためには口腔保健支援センターの役割は重要であり、市町村、学校関係者に対する研修の実施や要介護者等に対する訪問歯科検診など、地域課題に即した取り組みを行い、歯科口腔保健施策の推進を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 和歌山県の歯と口腔の健康づくり計画、本年の3月に策定されたばかりですので、成果とかいろんなものはこれからだと思いますが、大変期待をしておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ただ、1つ、この計画書を読ましてもらいますと、目的の中で、フッ化物の洗口及びフッ化物歯面塗布の普及とか、そういうものの中で、フッ化物洗口実施施設──学校とか幼稚園、保育所──がない市町村の減少とか、定期的にフッ化物歯面塗布を実施する市町村の増加とか、こういう市町村に対してのあれの中で、目標というのが、増加とか減少とかという、数字じゃなしにそのぐらいのレベルで書いてたら、10年間でこれから8年ある中で、これじゃちょっと何か寂しくて、意気込みが伝わってこないなあと。市町村とか、そういうところの──個人ではないので、歯が悪い人をゼロ人にするとかというんじゃないんですから、せめて市町村ぐらいは100%全部やっていただけるというような、そのぐらいの意気込みでやっていただきたいなあと思いますので、それだけ要望をしておきます。
 続きまして、道路交通対策についてお伺いをいたします。
 まず、本年の10月25日付の紀伊民報「水鉄砲」欄の記事を紹介さしていただきます。
  行楽シーズンになると自動車が多くなる。先日も約束の時間に間に合わそうと国道を走っていると、ゆっくりと走るおばさまたちの車に追い付いた。
  追い越そうと思ったが、追い越し禁止区間が長く続くので追い越せない。のろのろと後を走っていると、後続の車に気付いたのだろう、急に路側帯に車を止めて道を譲ってくれた。マナーをわきまえた運転手だと感謝しながら追い越した。
  道路は仕事で車を走らせる人はもちろん、ドライブを楽しむ人や観光客が利用する。病人を見舞う人や買い物客、会議に出掛ける人もいる。さまざまな目的で利用される公共の施設だから、運転手は「安全と円滑な運転をする」義務を負う。しかし、国道42号にしても311号にしても、紀南の道には道を譲れる待避所が非常に少ない。
  帰り道、今度は高齢者マークを付けた軽自動車の後ろを走った。この車ものろのろ運転である。制限速度が50キロの道路を30キロ程度で走り、トンネル内では急ブレーキを何度もかける。後続の車は増え、車の列は長くなるばかり。しびれをきらした後続車が数台、追い越し禁止区間にもかかわらずこの車を追い抜いていった。
  高速道路と違って、一般道には最低速度の制限はない。だが、道路の混雑を考えれば、自分のペースでゆっくり走りたい運転手への対策も必要だ。待避所をもっと整備し、渋滞緩和への協力義務を課すことを考えてはどうだろう。
 こういう記事でございました。
 私も全く同感でございまして、この記事を見て我が意を得たりと思いました。私も、地元串本と和歌山市の間を車で行き来する、そのときにいつも感じていたことだったからであります。
 ややもすると女性差別や高齢者差別につながるようで、また一面的に決めつけるわけではございませんが、記事にもありますように、女性や高齢者のドライバーの中には運転技術が未熟で精神的にも余り余裕がなく、交通マナーについても必ずしもよいとは言えない方が一部見受けられるように思うのですが、いかがでしょうか。
 来年、2015年には、紀の国わかやま国体・わかやま大会が本県で開催されます。こうした国体開催を控えた今だからこそ、近々他府県からの来県者を迎えるであろう今であるからこそ、県としてドライバーの交通のマナーの改善に取り組むべきではないでしょうか。
 確かに、国体を控え、県内の道路整備も進み、道路環境も改善してきてはおりますが、記事にもありますように、その整備はまだまだ立ちおくれたところがあります。しかしながら、このようにいまだ不便な状況であるからこそ全てのドライバーが快適でスムーズにストレスなく道路利用ができるよう、お互い譲り合いの精神を持って周囲に配慮した運転に心がけるよう、機会を捉えて啓発・指導すべきだと思いますが、いかがでしょう。そうすることによって、交通事故の軽減にもつながるのではないでしょうか。県警本部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 警察本部長下田隆文君。
  〔下田隆文君、登壇〕
○警察本部長(下田隆文君) 道路交通法におきましては、低速で走行する車両が後続車両に追いつかれた場合は、その速度を上げず、できる限り車道の左に寄って後続車に道を譲るよう規定されていますが、御承知のように、紀南地方の国道42号等の路線につきましてはカーブや坂道も多く、多くの区間で追い越しのためはみ出し禁止規制がされているところであり、道路幅員から追いつかれた車両が車道の左端に寄ったとしても、後続車が中央線をはみ出さずに安全に追い越すことは極めて困難であります。
 したがいまして、後続車が違法状態とならないよう道を譲るためには路肩に停車していただく必要がありますが、カーブや見通しの悪い箇所の多い道路で停車をすることは事故を誘発する危険性もございますので、譲りゾーンや待避所などにおきまして後続車両に道を譲っていただくことがより安全であると考えております。
 なお、後続車両にあっては、適正な車間距離の保持、高齢運転者の保護、最高速度の遵守等が求められることは言うまでもありません。
 警察といたしましては、来年の紀の国わかやま国体等の開催に向けまして和歌山県の交通マナーの向上を図っているところでありますが、道路を安全に安心して利用していただくためには、交通ルールの遵守はもとより、譲り合い、そして思いやりの心が大事でありますので、講習等の機会を通じて、そのことを県民の皆様に訴えてまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 続きまして、国道42号における待避所の設置についてお伺いをいたします。
 低速走行車の譲りゾーンへの待避や交通の流れに配慮した運転など、ドライバーの交通マナー改善のためには、待避所の設置等、道路環境の整備が必要になってくると考えております。特に、基本的には一部高速道路以外、並行した道路がなく、片道1車線が延々と続く国道42号の白浜から串本までの間については、その整備が必要であると考えております。
 そこで、国道42号南部における低速走行車の待避スペース、いわゆる待避所の設置状況についてはどうなっているのでしょうか。また、その状況が不十分であるのなら、国に対してその設置等を働きかけられないのでしょうか。県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 田辺から以南の紀南地域につきましては、これまで、大規模災害等に備えた命の道として、また将来のチャンスを保障するチャンスの道として、高速道路の整備を最優先課題として取り組んでまいりました。
 その結果、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間については平成27年国体開催に合わせて供用される見込みであり、また新宮紀宝道路やすさみ串本道路が新規事業化されるなど、高速道路の整備が鋭意進められているところです。
 県としては、まず紀伊半島一周高速道路の実現が最優先課題と認識しており、引き続き国に働きかけてまいりたいと考えております。
 一方、国道42号の現道対策につきましては、これまでも地元協議会から、交通安全事業等の必要な対策を推進してほしい旨、国に対して要望されており、現在、串本町から白浜町までの間においては46カ所の待避スペースが確保されております。
 県としましては、先ほども述べましたように、紀伊半島一周高速道路の実現を最優先として国に対して要望していくとともに、交通安全事業等による現道対策につきましては、地元の方々の要望等も踏まえながら必要に応じて要望してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁をいただきました。
 今、県土整備部長からもお話ありましたけど、串本町から白浜町に46カ所の待避スペースが確保されていると言いますけど、本当の意味での待避所じゃなしに、あいてるところというのは確かに、僕もこちらにいつも車で通ってますのでよく承知しておりまして、しかし、特に海岸側というのは、非常に少なくなってきております。
 そしてまた、今、本部長のほうからも答弁いただきましたが、カーブや見通しの悪い箇所の多いところで停車することは事故を誘発する危険性もあり、譲りゾーンや待避所があったほうが、そういうところで後続車に道を譲るほうがより安全であると、そういう警察のほうの考えでもありますので、今あるスペースを、本当の待避所じゃないですけれど、そういう人たちも入りやすいように、もう小さな改良で多分入りやすくなろうかと思うんです。待避所になってるところも、なかなか曲がろうと思うても曲がりづらいところが、実際にあの国道を走るとありますので、その辺のところを少し改良して、国のほうにも要望していただければうれしいなあと思います。
 これは、私、何のデータもなしに車を運転して思ってることなんですけど、マナーはそんなに皆悪くないと思うんですけど、ただ、それはマナーが悪いんじゃなしに、運転技術、バックミラーで多分見てないんだと思うんですよ。多分、バックミラーを見て後ろに何台も並んでおれば、まず和歌山県の人は寄ってくれたりなんかしてくれるんじゃないかなあと。まあデータもないので確かなことじゃないんですけど、そういう指導もしていただければなあと思いますので、それだけは要望しておきます。
 続きまして、高速道路紀南延長に伴う地域振興についてお伺いをいたします。
 全国の地方にとって共通する悩みである都市部との格差、中でも交通基盤や基幹施設の整備などによるインフラ格差の解消、特に地域の交通基盤である高速道路の整備は、長年の悲願であります。
 特に、半島地域であり、南北に長い和歌山にとって高速道路の整備は長らく特別な思いを持つものでありましたが、国体の開催などを契機としてようやくその整備も進み、半島全線開通もあと数年と、その完成も見えてきました。
 紀伊半島が鉄道でつながって約50年になりますが、長い間、基幹道路は国道42号線1本のみで、南北をつなぐ唯一のアクセス交通手段でありました。県民、特に紀南では、従来からの悲願でありました高速道路の延伸がもたらすであろうインフラ格差やハンデの解消、経済的な波及効果に対して大きく期待が高まっているところでございます。
 高速道路の整備効果として、1つは、地方でとれた農産物や新鮮な魚などを大都市圏に素早く輸送できることであります。紀伊半島南部の東牟婁郡や新宮市を中心とした沿岸水産物に限らず、農産物についても期待が持てるもので、大都市消費地への輸送時間の短縮により販売競争力が高まることは言うまでもなく、加工やサービスの付加などの商品としての価値をさらに高めることにより新たな地場産業の再開発につながる可能性も見えてまいりました。
 次に期待されるのが観光客の増加であり、移動時間の短縮による観光客の集客効果やリピーター定着が見込まれるところで、世界遺産などの資源に加え、地域の文化や歴史、施設などを生かした新たな観光資源の立ち上げに官民共同で取り組むことにより、少子高齢化や過疎化に歯どめをかけ、新たな雇用創出を図るための起爆剤になると期待が高まっております。
 現に、平成26年3月30日に三重県の伊勢自動車道が全面開通し、また熊野尾鷲道路が尾鷲南から熊野大泊まで開通していることから、以前に比べてより遠方からアクセスが可能になってきており、その結果、紀南地方では、開通後の夏から滋賀県や岐阜、名古屋、三河、また遠くは長野ナンバーの車が多く見られるなど、観光客の増加に確実につながってきております。
 さらに、災害時の交通手段の確保という観点から、また県民の不便で不安な生活を解消する観点からも、県民の命の道としてのメリットは大変大きなものであります。
 一方、高速道路の延伸に伴う人の往来の変化により地域の生活環境や商圏などが大きく変化するという点も見逃せない課題であります。
 例えば、高速道路が整備される前には、地元で買い物を済ませるなどの日常行為を行い、地域内消費により地元経済に還元されていたものが、整備後には、都市部にある百貨店や話題の店などに簡単にアクセスが可能になることから、品ぞろえにも限りがある地元の小さな商店街でわざわざ消費しなくなる。実際に、千葉県の木更津市では、アクアラインの開通によりまちの活性化が期待されましたが、現実は逆で、中心市街地は著しく衰退し、人口減少、商業停滞といった現象が起こっております。
 また、観光客についても、魅力的な観光地や交通の拠点となる目的地以外は通過するといった現象、こうしたいわゆるストロー現象などが起こる可能性についても考えなければならないと考えております。
 三重県においても、伊勢自動車道の延伸に伴い、並行する42号線沿いの変化は予想を超える影響が出ていると、その深刻さが聞こえてきております。我が県においても、高速道路の紀南延長とともに中紀における経済が大きく変化したことは、残念ながら認めざるを得ないところではないかと思います。
 今後、こうしたメリット・デメリットを検討した上で、高速道路の持つ魅力を最大限に生かしながら地域の活性化をいかにして図っていくのか、企画部長にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 高速道路の紀南延伸に伴う地域振興についてでございますが、高速道路の紀南延伸は、農産物や鮮魚の販売力の強化、地場産業の活性化、観光客の増加などに大きく貢献するのみならず、災害時における命の道として、そのメリットは大変大きなものがございます。
 一方、高速道路の整備により地域の生活環境や商圏の変化が起こり、デメリットが生じるとの御意見もあるようですが、高速道路を利用する多くの方々に沿線地域に立ち寄っていただけるよう、6次産業化を推進したり、郷土料理や古民家を活用する、あるいはその土地の風土や祭りをうまく情報発信するなど、地域の魅力を高める方策に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
 かねてから、本県では、1市町村1産業を目指したわがまち元気プロジェクトや、過疎地域の再生・活性化を図るわかやま版「過疎集落支援総合対策」等に取り組んでまいりました。
 今後、高速道路の紀南延伸により商圏の拡大や入り込み客数の増加といったメリットが見込まれることから、市町村や地域の活動団体と一緒になって、より付加価値の高い農林水産物の提供や観光資源の発掘などに取り組み、地域の活性化を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 私たちの地域も、もう高速道路は待ちに待ってやっとできてくれると、皆、大変喜んでるんですけど、やはりいざできるとなれば、また違った意味で心配もし始めて、でも、その心配よりは多分メリットのほうが大きいと皆さんはわかっておろうかと思うんですけども、やっぱりそういう方もたくさんおりますので、ぜひきめ細かい政策をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、防災等における報道機関の取り上げ方についてお伺いをいたします。
 東日本大震災発生の後、東海・東南海・南海3連動地震や南海トラフ巨大地震による津波被害が大きく取り上げられ、海岸線が県土線の半分を占める和歌山県においても、県民の生命、財産を守るため、官民を挙げて災害対策に取り組み、県や市町村、関係機関が連携して積極的に災害訓練を重ねてきた結果、地震や津波などの自然災害に対する県民の理解と意識が目に見えて向上してきているところは、大変喜ばしい限りあります。
 ただ、ここで絶対に口にできない深刻な問題が現実にはあります。例えば、和歌山県に限らず、太平洋側に海岸線を持つ自治体での津波避難訓練、特に国、県、市町村などが参加する大規模な災害訓練などについてテレビで報道がなされているとき、特にNHKで放送される中で、津波にのみ込まれていく町並みの光景がテレビが持つ3D映像で何度も何度もリアルに流され、また東日本大震災の津波の映像が同時に流されるなど、被害想定のみを強調するような放映がなされることが、地元観光、特に夏場の海水浴客や釣り客、家族旅行客、あるいはツアー客など、和歌山を訪れる観光客の心理に微妙な影響を及ぼしているというのは偽らざる実態であります。
 例えば、こうした声も聞こえてくるのです。あるツアーコンダクターの方ですけど、「テレビが放映する3Dの映像で津波にのみ込まれていく観光地の町並みを見て、旅先でたとえ津波を避けられたとしても、帰る道を閉ざされ孤立した姿を想像すれば、あなたは何の不安もなくその地に旅行できるでしょうか」。某釣り具メーカーの社員ですけど、「防災・減災対策などの災害報道のたびにリアルに放送されるテレビ映像を見たとき、その地で釣り大会などイベントを開催することは、かなり勇気と覚悟が必要である」。こうした声なき声を聞くと、ふと疑問を感じるのです。
 確かに、防災意識を風化させないということは大変重要であり、また、防災・減災の取り組みについても待ったなしの状況で、率先して対策を講じていかなければならないことは重々承知をしております。しかしながら、災害報道において、テレビなどの報道機関が常に津波被害を連想させ、いたずらに恐怖心をあおるような報道を繰り返すことはいかがなものでしょうか。沿岸地域に及ぼす影響はどうなのでしょうか。疑問と不安を感じるところでございます。
 このような報道機関の取り上げ方について、県としてどのように考え、どのような対応をとっているのか、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 防災・減災対策を県民の皆様に御理解いただく上で、報道機関の役割は非常に重要であると考えております。しかしながら、議員御指摘のように、いたずらに恐怖心をあおるだけの報道が行われたときは、これまでも報道機関に対し、抗議や申し入れを行ってまいりました。
 最近も、本県の地震・津波対策等を詳しく説明してあったにもかかわらず、被害想定のみを報道し、肝心の対策を伝えていただけず県民が誤解するような内容の報道があったため、適切な報道が行われるよう申し入れを行ったところです。
 災害の際には、県民一人一人がみずから命を守る行動をとっていただくことが重要です。いたずらに恐怖心をあおるだけの報道により住民が避難を諦めないためにも、また、本県の命を守るためのさまざまな取り組みを県民の皆様に正しく知っていただくためにも、引き続き、本県の防災・減災対策が正しく報道されるよう努力していくとともに、本県を訪れる観光客等も含め、全ての住民が安全に避難でき、1人の犠牲者も出さないよう対策を推進してまいります。
○議長(坂本 登君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 観光地の人、本当に皆、その点ちょっと心配してますので、強く報道機関のほうにもそういうことは抗議をしてください。
 以上で、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさしていただきます。
 仁坂知事、3選、おめでとうございます。
 3期目県政におきましても、以下、御推進いただきたい5点を質問さしていただきます。
 1つ目に、地籍調査についてであります。
 土地の境界、面積を確定して地図や登記簿に反映させる市区町村の地籍調査ですが、ことし3月末までに全国での進捗率は51%、東北・九州地方などでは進捗率が高いのに対して、土地利用が複雑な3大都市圏周辺部では調査が余り進んでいません。ちなみに、和歌山県は34.8%、その中で和歌山市は約10%しか進んでいません。
 水道や道路などのインフラ整備の公共事業において、境界確認や用地取得に多大な期間と費用を要する場合があり、その進捗に支障が生じますし、土地取引や相続の際、隣人との間で境界争いが発生しがちですし、また、災害時に土地の形状が変わってしまった場合、もとの境界を正確に復元できないため、迅速な復旧作業に支障が生じたり、地権者が散り散りになったり亡くなったりして連絡がつかなくなることも往々にしてあります。南海トラフ巨大地震が万一襲来しても、後で大混乱を起こさないように地籍調査事業を早く進めていただきたいものであります。
 地籍調査費負担金は、市町村が実施主体の場合、経費の2分の1を国が、4分の1を都道府県が、残りの4分の1を市町村が負担します。また、都道府県が実施主体の場合は、経費の2分の1を国が、残りの2分の1を都道府県が負担します。実施主体が土地改良区や土地区画整理組合、森林組合等の場合は、経費の3分の2を国が、6分の1を都道府県が、残りの6分の1を実施主体が負担します。
 通常、都道府県と市町村の負担分の8割については、特別交付税が交付されますから、実質負担は5%であるとはいえ、厳しい地方の財政状況の中、予算を確保することが困難になっています。また、市町村が調査実施を熱心に求めていても、国の予算不足が制約となって市町村の要望が認められないこともあるそうです。
 地味な事業ではありますが、民民のトラブルや公共事業の円滑化、災害復旧にも役立ちますから、県、市町村が協調してさらに推進いただきたいものであります。
 そこで質問ですが、1つ目、来年の紀の国わかやま国体・わかやま大会開催に合わせて、西脇山口線、松島本渡線、湊神前線、そして南港山東線等、都市計画道路の整備に御尽力いただいておりますが、こうした道路の周辺部における地籍調査は順調に進捗しているのでしょうか。企画部長にお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 都市計画道路周辺部の地籍調査の進捗についてでございますが、地籍調査は市町村中心の事業でありまして、土地の境界の明確化による所有権の保全や公共事業の円滑な推進、災害からの早期復旧・復興につながることから、それぞれの地域の実情に応じた優先順位により事業を実施いたしております。
 議員お尋ねの4路線の都市計画道路周辺につきましては、緊急性が高い路線ですので、地籍調査を待たずに、公共事業としての用地測量業務により事業の推進を図ってございます。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、地籍調査にとりわけ熱心な市町村には県としてもしっかり予算配分いただきたいと思いますが、今後の県下の進捗について、どのような目標設定をされていますか。企画部長、お願いします。
○議長(坂本 登君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 地籍調査の今後の進捗目標設定についてでございますが、現在、平成22年度を初年度とし、平成31年度を最終年度とする国の第6次国土調査事業十箇年計画に基づきまして実施しており、各市町村では、本計画に沿って各年度ごとの予算要望を行ってきているところでございます。
 なお、計画最終年度末における地籍調査の進捗率は48.7%と目標設定いたしておりまして、現在、計画どおり順調に進んでおります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、国交省は、平成22年度より地籍整備推進調査費補助金を創設して、地方公共団体や民間事業者等が事業主体となって国土調査法第19条第5項の指定を申請できるようにしました。平成25年度からは、国が民間事業者等による調査・測量成果に対して直接補助できるよう制度を拡充しました。
 この第19条第5項指定とは、土地に関するさまざまな調査・測量の成果が地籍調査と同等以上の精度または正確さを有する場合に地籍調査の成果と同様に取り扱うことができるよう、当該成果を国が指定する制度です。対象地域は、人口集中地区または都市計画区域で行う調査・測量が対象で、面積は1地区当たり500平米以上であることが必要です。これも、地方公共団体に2分の1、民間事業者にも3分の1の補助が受けられます。
 この補助金は県内での地籍調査の進捗率にもプラスになると考えますが、県当局は、境界確認した結果が地籍調査に反映されるように補助金をどのように活用されているのでしょうか。企画部長、お答えください。
○議長(坂本 登君) 企画部長。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 本県では地籍整備推進調査費補助金の活用実績はありませんが、議員御指摘のとおり、地籍調査の成果と同等の効果が見込まれるため、地籍調査の進捗率向上につながるものと考えております。
 ただ、本制度は、地籍調査と同等の測量・調査の精度が要求されること、対象事業が県単独事業に限られることなど、制限が多いこともありますが、今後、関係部局と協議を重ねながら制度の導入に向けて取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、和歌山県と和歌山市は国土強靱化地域計画等モデル調査実施団体に選定され、国土強靱化基本計画の中には地籍調査の推進がしっかりうたわれていますし、県の地籍調査事業の予算要望額が数年来にわたり全国トップの和歌山県でありますが、来年度、国からの本県の地籍調査事業予算も大変厳しくなるような話も伺いますが、次年度もトップをとれるように国へも強く要望し、地籍調査事業を強力に推し進めていただきたいと思いますが、仁坂知事の意気込みをお聞かせください。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の地籍調査の進捗率は34.8%でありまして、全国平均の51%には至りませんが、近畿地方2府4県では1位、全国順位も25位までだんだんと上がってきております。
 本県の地籍調査事業予算については、近年、御指摘のように国全体の関連予算の1割以上を占めまして、12年連続全国トップであります。現在、頑張っております。
 議員御指摘のとおり、国の国土強靱化基本計画では、緊急輸送路の整備等の防災関連事業の計画的実施や災害後の円滑な復旧・復興を確保するため、地籍調査を推進するとされております。
 現状を見ると、特に和歌山市が著しくおくれております。御指摘のとおりであります。これは、ずっと消極的であった市の意向も大きいと思います。それではいけないのでありまして、特に和歌山市の中でも公共事業などの要請がめじろ押しでございますので、尾花市長を初め市当局にもしっかり協力を求めていきたいと思います。県では本年8月に和歌山市と共同本部を設置し、国土強靱化地域計画の策定に向けて取り組んでおりまして、本計画に地籍調査の推進をしっかりと盛り込んでいく所存でございます。
 来年度も全国トップの予算額を確保し、地籍調査の進捗率について早期に全国平均を上回り、完成を目指して着実に取り組んでいきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 県市協調のもと、期待をしております。
 2点目、農学の拠点づくりについてであります。
 本年11月、和歌山大学産学連携・研究支援センター内に和歌山大学で初めての寄附講座「食品科学寄附研究部門」が新設され、スタートしました。
 和歌山県は生産額で全国第2位の果実生産額ですが、近年、果物の消費が低落傾向であることから、特産果実類の保健機能成分の解明と効能の検証、加工食品の開発などにより、基盤となる産業の改革、健康産業などの創出へと発展させることが求められています。こうした地域の要望に貢献すべく、和歌山大学自身の地域貢献の必要性とが合致して開設に至りました。当初は、期間2年間、寄附金1年につき1500万円、特任教授と特任助教計2名の陣容であります。今後のさらなる継続的な展開が望まれますが、農業、食品産業の振興の必要性から生まれたフルーツバレー構想の実現のため、1つの農学の研究拠点と発展していくことが期待されます。
 また、昨年4月には南あわじ市に吉備国際大学地域創成農学部が開学、来年4月には、京都に本拠のある龍谷大学が農学部を滋賀県の大津市の瀬田キャンパスに設置されることになっています。生産、加工、消費、再生に至る一連の流れを食の循環と捉えた理論と実践をつないだ学びを用意していると聞きます。
 また、最近になって徳島大学が改組を行い、農学部系の学部を設置することが決まったようであります。本年5月26日の徳島県知事の定例記者会見において、徳島県は農業大県で、東日本大震災以降はまさに日本の台所として期待されている、新しい作物をつくっていく、新しいつくり方を考えていくという意味で農学系はどうしても必要になってくる、中・四国9県で大学に農学部がないのは徳島県だけだ、そこで徳島大学工学部で一番農業に近い生物工学科と連携して徳島大学と協定を結んだ、農・工・商を連携させて県の農・工・商各部から先生を送り込んだり、民間企業から寄附講座をもらおうと三位一体で進めてきた、農大も専修学校化し、高校も農業高校と商業高校を一緒にしたりした、また、工業高校と商業高校も一緒にしたりした、受け皿として、農大、そして新しい徳島大学農学部へと編入してもらうこともできるといった趣旨のことを語られています。これで、全国的に農学系の学部を持たない県は、福島県、大分県、富山県、埼玉県、そして和歌山県の5県だけとなりました。
 ことし9月下旬に、南あわじ市の吉備国際大学地域創成農学部へ、私も視察調査に行ってまいりました。本家の岡山県高梁市の学校法人順正学園が、そもそも里山や農業に関心があり、神戸大学の農業経済学と環境経済の先生が立ち上げに協力。主にレタス、タマネギなどの生産で豊かな農家が多い南あわじ市にたまたま農学系の廃校があり、地元に長年の間、研究所か農学部の設置の要望がありました。大学設置には、地元からも大学側とほぼ対等の資金が出て、地元が大学連携推進協議会をつくって要望活動をするなど、地域の期待度がすごく高いです。そして、南あわじ市は、市内に転入した学生の入学金30万円を全額支給しています。地域創成農学科1学科制で、農業技術分野、食品化学・加工分野、農業経済・経営分野全てを教え込み、農業実習を2年間必須、そして2年からインターンシップで就職のための活動も行うとしています。地域連携センターでは、地域とランチタイム講座や学生参加のイベントを行っています。
 眞山学部長に、農学部のない和歌山県にも地域創成農学部の研究拠点をつくっていただけないかという要望もしてまいりました。本県の特産果実にも興味を持っておられ、具体的な話はこれからです。「農業は理系と文系がある。商社でも、経済だけでなく、農業を学ばないといけない」という学部長のお言葉が印象に残りました。
 さらに、和歌山県には和歌山県農業大学校があります。平成18年4月には専修学校に移行を果たし、座学と実習が2年間行われております。この専修学校も、農学の拠点づくりには大きな役割を果たしてくれるものと期待されます。6次産業化と輸出促進という農水省の施策推進の中、和歌山県も、梅、柿、ミカン等の全国一を誇る特産果実を活用した食品産業と加工食品を生み出すための農学の拠点づくりが急がれるのではないでしょうか。
 そこで質問ですが、1点目、和歌山大学に寄附講座「食品科学寄附研究部門」が立ち上がりました。国立大学法人も地域貢献が求められる中、県も方向性を一にして、せっかくできた寄附講座を継続発展できるよう、県としても今後この寄附講座の進捗に合わせて取り組みに御協力、御支援をお願いしたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがですか。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 和歌山大学の寄附講座「食品科学寄附研究部門」は食品の機能成分について研究する講座で、県内食品産業の活性化につながるものと大いに期待しております。
 本県では、平成24年度より文部科学省の地域イノベーション戦略支援プログラムを活用して県特産農産物の機能成分研究や加工技術開発などに取り組み、梅ポリフェノールの機能性の検証や保存技術の開発など、一定の成果を上げているところです。こうした成果や携わってきた人材、さらには工業技術センターの知見やノウハウが生かされることで寄附講座の研究内容の充実に寄与できるものと考えております。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目、吉備国際大学地域創成農学部との研究交流、それに当農学部の本県における研究拠点、あるいは学部のサテライト施設の誘致について、商工観光労働部長、どうお考えですか。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 本県では、和歌山県産業技術基本計画においてバイオ・食品分野を戦略的重点分野と位置づけ、県の先駆的産業技術研究開発支援事業などにより集中的に支援するとともに、地域イノベーション戦略支援プログラムを活用し地域特産果実の機能成分研究を一層推進させ、健康食品の商品化など具体的な成果につなげていき、食品産業の高度化を図っているところです。
 当基本計画の中で高等教育機関との連携強化も重要戦略の1つと捉えていますが、昨年度立ち上がったばかりの吉備国際大学地域創成農学部では研究や人材体制もまだ十分整っていないと思われますので、同大学との研究交流及び研究拠点、あるいは学部のサテライトの誘致についても時期尚早と考えております。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 和歌山県には、地域イノベーション戦略支援プログラムにもうたわれているフルーツバレーによる健康産業の創出という方向性があります。さきに述べてきたように、食と農を取り巻く他県での農学部設置など、いろんな動きが出ています。
 ちなみに、大学の農学部は、栽培技術や育種などの学問技術を学ぶだけではありません。農学の分野は広く、食品科学、食品加工、発酵技術、素材開発、保蔵・冷蔵技術、センサー・ロボット技術、農業土木、農業経済と実に幅広い分野にまたがっており、人材育成、さらに就職先においても多岐にわたるものとなっています。高知大学農学部が県とともに仕掛けた、学生のみならず、外部の企業人も含めた土佐FBC──フードビジネスクリエーター──人材創出のような展開も図れるわけであります。
 和歌山県の特産果実等有用資源を生かすために人材育成を図って新しく得意の分野での雇用創出、そして企業とタイアップした研究開発による売れ筋の商品づくりを仕掛けるためにも、農学の教育研究拠点は、本県だからこそ、本県の手っ取り早い産業振興のためにもあったほうがいいと信じております。単に栽培・育種だけでない新規就農者による6次産業化の展開も大いに考えられると思います。
 そこで、和歌山県における農学の拠点づくりについて、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(坂本 登君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、もとより大学の誘致は大変熱心にやろうと思っておりますので、吉備国際大学というのがあって、地域創成農学科というのが淡路にできた、あっ、取り損なったというふうに思っております。同時に、お聞きしておりましたら、およそ丸抱えみたいな財政援助をすることによって達成できたというようなことが、昨今の大学の立地の難しさというのもあらわしてるような気もいたします。
 農学部ということになりますと栽培・育種なども含みますので、そういう点では、ちょっと我が県では農業大学校という専修学校しかないんですが、一方、議員が今お話しになった生化学あるいは分子生物学の分野においては、まさに農学系の食品安全工学科を持つ近畿大学生物理工学部とか、和歌山大学とか和歌山県立医科大学などが農学や食品加工等の研究と人材育成に私は役割を立派に果たしてると思います。
 例えば、近畿大学生物理工学部では梅の抗疲労効果などの機能性を生かした商品開発、和歌山大学では、これはちょっと毛色が違いますが、農業用のアシストスーツの開発などを県内企業や工業技術センターと連携して取り組んでおりますし、和歌山県立医大の食品の機能性研究などは、これはもう申すまでもありません。
 県としても、工業技術センターの食品産業部が中心になり機能成分の評価や加工品の試作などを行うとともに、果樹関係の試験場では加工に適した栽培などの技術開発に取り組んでおります。
 これらの県の機関と大学、企業との有機的な連携をさらに深めていきたいと思いますし、この分野においてよりよい環境と技術を持つ、県外を含め、先端の大学との連携も模索してまいりたいと思います。現に、私が就任してからも、国の競争的技術研究開発資金をとってきたときの話ですが、東大とか京大とか、県内のみならず、そういう先端大学とも協力してやってまいりました。
 今後とも、広くより目をむいて技術水準を上げつつ、県内の大学の水準、これの向上にも協力していきたいと思います。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 もう少し、農学の拠点づくりについてつぶやかせていただきます。御答弁はありがとうございます。
 「農業のミッションは、健全な国土環境と国民の健康を守ること」と琉球大学・川本康博農学部長は述べておられます。世界的な健康志向の高まりもあって和食が世界無形文化遺産に登録され、食文化を学び、大切にすることから、農業、そして農作物の持つ魅力を再認識することも重要であります。
 私は、幅広い農学による人材育成は、農学部があってこそ多くの人材が輩出できると思います。人材育成は、昨今、地域貢献を求められる大学の大きな役目であります。各大学や公設試、それに企業が連携して研究や人材育成に取り組むことは大いに歓迎すべきことでありますが、それにしても、その中心的役割を果たすべき核となる機関が必要だと、首尾一貫して今まで訴え続けてまいりました。それが県工業技術センターの充実であるのか、既存の大学であるのか、それとも新しく食品開発加工研究センターをつくるべきなのかと、いろいろ問いかけてまいりました。研究開発も、1つの中核機関があってこそ、県も明確な目標設定ができて、それに即した人材育成が図れるのではないでしょうか。
 質・量ともに日本一の本県の特産果実の栽培技術をさらに磨きをかけるとともに、そこから研究開発を通じて、健康によい、安全性にすぐれたおいしい商品を生み出していく、しかも、地域貢献を意識できる人材を創出させるためには農学系の学部を和歌山県に誘致、あるいはつくり出していくことがベストだと思うんです。近畿大学生物理工学部も、食品の安全性や機能性の研究にも、一部、御尽力いただいております。でも、全国農学系学部長会議という76校で構成されるメンバーには、残念ながら入っていません。
 全国的に学生数が減少する中、新しい大学の学部を設置しても学生が果たして集まるのかという懸念を持たれるかもしれませんが、我が県のすぐれた農産物を素材に研究しつつ人を育てるのですから、さほど心配には及ばないと思うのです。むしろ、食料自給率のアップも叫ばれる中、農業従事者の減少に歯どめをかけることにも寄与できるのではないでしょうか。
 他県での新しい取り組みもぜひ参考にしていただいて、和歌山県の持っているすばらしい栽培技術に培われた有用資源を最大限活用できるような幅広い農学の分野の拠点づくりについて、どうか御検討をいただきたいと改めて要望させていただきます。
 続けて3点目、和歌山下津港の津波防災についてであります。
 先月8日土曜日の早朝より、和歌山下津港西浜地区、北港地区と堺泉北港堺2区において、国土交通省や関係自治体主催の平成26年度大規模津波防災総合訓練が行われました。訓練は、潮岬沖およそ20キロを震源とするマグニチュード9.1の巨大地震と、それに伴う大津波が発生したとの想定で始まりました。
 訓練では、警察や消防などによる避難の呼びかけや水門の閉鎖、また、津波被害を想定して、海上保安庁が座礁した船から取り残された人をヘリコプターでつり上げて救い、自衛隊や警察が土砂に埋まった家屋や車に閉じ込められている人をチェーンソーなどを使って助け出しました。
 和歌山下津港にいざ大津波が押し寄せたときの対応について、以下、何点かお伺いいたします。
 1つ目、東日本大震災のときに逃げおくれた防潮扉、水門あるいは陸閘の操作員がかなりの数に上ったと聞きますが、津波が発生し、津波警報や注意報が発表されたとき、現場で作業する操作員が逃げおくれないよう、安全確保の見地から、防潮扉、水門、陸閘の操作手順、避難の判断基準や避難ルールの定めについて、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県におきましては、平成23年に発生した東日本大震災において、水門、陸閘の操作に従事した方々が多数犠牲になったことを受け、可能な限り閉鎖や廃止、自動化等を行うこととしております。
 既に、陸閘につきましては、498基のうち222基について閉鎖や廃止を行い、残り276基については操作基準を設けて運用することとしました。また、水門につきましては、57基中、対策が必要な33基を平成28年度までに自動化することにしているところです。
 操作基準の具体的な内容につきましては、気象庁から大津波警報、津波警報及び高潮警報が発表された場合には管理する各振興局建設部等において直ちに施設の操作を行うこととしておりますが、沿岸への津波到達予想時刻を考慮し、操作員の安全確保を最優先として操作の可否について判断することと定めております。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、徳島県鳴門市撫養港において整備検討中であるのが陸上設置型浮体式防潮堤です。従来の陸閘は、操作員が手動で閉鎖する手動式と、操作員がボタン操作等で閉鎖する電動式が一般的です。しかし、これらの陸閘は、津波や高潮時に現地で閉鎖作業を行う必要があり、操作員が作業中に被災する可能性がありますし、手動式は、大きければ大きいほど労力と時間を要します。電動式も、電源自体が喪失するかもしれません。
 この陸上設置型浮体式防潮堤は、津波や高潮時の水位上昇に追随して扉体が浮力により起立することで自動閉鎖し、津波や高潮の浸入を防ぐ仕組みになっております。(資料を示す)ですから、閉鎖作業中に操作員が不要ですし、動力を必要としません。また、通常時は扉体が地中に格納されているので人や車両の通行が可能で荷役の支障となることもなく、電子部品などがありませんから、維持管理の軽減も図れます。
 ぜひ和歌山下津港においても設置の御検討をいただきたいと思いますが、県土整備部長、いかがですか。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長。
  〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 議員御指摘のとおり、陸上設置型浮体式防潮堤は国土交通省四国地方整備局が徳島県撫養港海岸で整備することを検討中ですが、徳島県日和佐港においても実証実験を行っているところと聞いております。
 この防潮堤のメリットとしては動力や操作なしに自然閉鎖するところですが、デメリットとしては、堆積した砂、砂利などにより作動しない可能性があると聞いております。
 県としましては、この防潮堤については、現在、試作または実験中であることを踏まえて、この新技術の実現性を見きわめた上で導入の可否について検討してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 いろいろ改良も必要でしょうし、これからの進展ぐあいをまた見たいなとも思っております。
 3点目ですが、11月8日の訓練時に、トラブルの生じた船からのヘリによる救出・救護訓練や負傷者の搬送を拝見しましたが、海域での不明者の捜索や救出について、指揮系統や役割分担等を含めて、危機管理監、教えてください。
○議長(坂本 登君) 危機管理監木村雅人君。
  〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 災害時の海域での捜索・救出活動については、一義的に海上保安庁が行うものと考えております。しかしながら、大規模災害時においては、海上保安庁だけでは対応が困難であると考えます。
 大規模災害が発生した場合は、県はすぐに災害対策本部を設置して人命救助を最優先に行うこととなりますが、災害対策本部において、海上保安庁、消防、警察及び自衛隊を含めて、救助方法や部隊投入について情報共有と調整を行い、連携協力して対応を検討し、迅速に漂流者等の捜索、救出を行うことになります。
 なお、災害現場における部隊指揮については、部隊それぞれの指揮系統により行います。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 続いて行きます。
 4点目に、肝炎・肝硬変・肝がん対策についてであります。
 和歌山県議会平成25年12月定例会においても、「ウイルス性肝炎による肝硬変・肝がん患者に対する医療費助成制度の拡充等を求める意見書」が全会一致で採択され、他の地方議会においても次々と同趣旨の意見書が採択されています。
 B型あるいはC型のウイルス性肝炎を放置すると、知らないうちに線維化が進行して肝硬変になりますし、肝臓の働きが低下して肝がんができやすくなります。肝がんによる死亡は、高齢者に極めて多いです。高齢者は、「年も年やし、治療はええわ」と、治療を受けていない人が少なくありません。いずれにせよ、少なくとも半年に1回ぐらいは定期的に診療を受けるべきだと言われています。
 和歌山県は、肝がんによる死亡率が全国2位、3位の位置にあります。本県においても、肝硬変や肝がんの予防、健康の保持を目的として、B型及びC型ウイルス性肝炎に対するインターフェロン治療などの抗ウイルス治療の医療費の一部が助成されています。肝炎ウイルスは、新規感染は余りないですから、どんどん効能が高い新薬が出てきていますので、治療すれば患者は確実に減っていきます。
 このように、感染拡大防止のためには医療費助成制度はありますが、病気がさらに進んだ肝硬変、肝がんの患者に対して助成がなく、高額な治療費を負担せざるを得ないだけでなく、就労できない人は生活苦にあえいでいます。国には意見書を届けておりますが、ぜひ重症患者に対する県独自の助成制度があればと望むものです。
 そこで、福祉保健部長に以下質問ですが、1つ目、肝がん死亡率ナンバーワンの佐賀県では、肝炎の啓発活動として、佐賀県庁、佐賀大学医学部、企業の産学官の協働、肝炎患者とその家族、肝炎コーディネーターのランナーなどを応援する駅伝イベント「みんなのMAEMUKI駅伝inSAGA肝ぞうWEEK」がことし7月に開催されました。肝炎で闘病中の患者、家族、医療関係者、行政関係者などがランナーとしてたすきをつなぎ、そのランナーを応援するイベントでしたが、肝炎の検査、受診、差別偏見の排除を訴えた啓発活動として、多くの潜在患者や一般市民に関心を持ってもらう機会となりました。
 また、佐賀県では、平成23年までのデータで、肝がん死亡率ワースト1が13年続いています。肝がん予防を目的としたウイルス検査から治療までの一貫した体制構築のため、肝疾患診療ネットワークを整備してきました。医師会等と協力し、県内300医療機関が連携して肝疾患診療に携わる体制を構築しました。肝臓専門医だけでなく、かかりつけ医も含めた体制とし、多くの肝炎患者を対象にできるようにしました。
 平成24年1月に佐賀大学に肝疾患センターを設立し、肝疾患診療連携拠点病院、専門7医療機関、約300の協力医療機関の連携を促進し、かかりつけ医での検査、専門医での治療開始、かかりつけ医での治療継続ができる大きな流れをつくりました。これまで各市町村に蓄積されていたウイルス検査のデータと医療機関の診療情報を匿名化して、肝疾患センターに集積しています。看護師、保健師等による肝炎コーディネーターの育成、支援も行っています。
 それに、ウイルス検査未受検者の多い40代、50代にターゲットを絞って検査を受けるよう呼びかけたり、深刻な写真をわざとチラシに入れて受診率を上げたり、告知情報にも工夫を凝らしており、インターフェロン治療の効果が出る10年後を見据えた施策に取り組んでいます。
 和歌山県も、肝がんが本県に多い原因の究明はもちろんのこと、きめの細かい肝炎・肝硬変・肝がん対策が求められますが、肝がん死亡率が佐賀県にかわって不名誉な1位に押し出されることのないよう、本県としての施策についてお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 和歌山県では、肝疾患診療連携病院として和歌山県立医科大学附属病院及び国立病院機構南和歌山医療センターの2カ所を指定し、県内での総合的な肝炎対策を実施しております。
 また、専門医療機関として22カ所の医療機関を指定し、拠点病院との連携のもと、地域で専門的な医療を受けることができるよう、きめ細やかな体制を整えるとともに、約450カ所の協力医療機関において無料の肝炎ウイルス検査を実施しているところです。
 さらに、健康増進事業として、市町村で肝炎ウイルス検査について個別勧奨を行っており、平成25年度においては約1万人に肝炎ウイルス検査を受けていただいております。
 次に、医療費助成についてですが、早期治療を促進するため、抗ウイルス治療に係る医療費について毎年約2億円の助成を行い、患者の経済的負担の軽減を図っているところです。
 今後とも、検査受診率の向上、肝炎医療費に対する助成など、肝炎対策について施策の充実に努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 やはり今後本格的に行われるがん登録、これを推し進めていただいて、できる限り多くの県民のデータの収集、研究のもと、ぜひとも肝がんが本県に多い原因の究明と、さらに進んだ肝炎・肝硬変・肝がん対策をお願いいたします。
 2点目、肝炎患者の治療相談、最新情報の提供、医療連携支援、それに啓発活動等、幾多の肝炎対策に尽力されています本県の肝疾患医療の中核たる和歌山県肝疾患相談支援センターの果たす役割は大きいものがあります。当センターのさらなる充実について、県はどうお考えですか。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 肝疾患相談支援センターは、肝疾患診療連携拠点病院に設置しており、患者家族からの相談等に対応するほか、肝炎に関する情報の収集及び情報発信としての講演等の啓発に取り組むとともに、診療ネットワークの中心的な役割を担っております。
 今後は、新たに、医療従事者に対する研修会や市町村保健師を対象としたウイルス検査後のフォローアップなど、資質向上研修を実施できるよう、さらなる充実に向け、支援してまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次は、教育関係に行かしていただきます。
 5点目、子供の体力向上についてであります。
 文部科学省は、11月27日、小学5年生と中学2年生を対象に、ことし4月から7月に実施した2014年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)の結果を公表しました。
 都道府県別では、全国学力テストでもトップクラスの福井県が小5男女で6回連続の1位、このほか、茨城、新潟、埼玉などが上位に入っています。一方、下位は、中2男女で47位だった北海道のほか、神奈川、大阪など、前年度と同じです。
 和歌山県は、小学5年男子が前年の21位から15位、小学5年女子が18位から16位、中学2年男子が43位から33位、中学2年女子が38位から39位──それでも得点は上がっていて、県平均点数が過去最高でした。小学生は、男女とも全国平均との差を拡大したし、中学生は、男女とも、依然、全国平均より低いですが、差を大幅に縮めました。
 県内では、国立を除く公立校で、小学校など248校8248人、100%、中学校など132校8051人、100%が参加しました。
 体力調査では、小学校で、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、20メートルシャトルランすなわち往復持久走、50メートル走、立ち幅とび、ソフトボール投げの8種目、中学校は、20メートルシャトルランか持久走の選択、ソフトボール投げでなくハンドボール投げで、計8種目を調べています。種目別では、小学5年男女とも、50メートル走、立ち幅とび以外が全てで全国平均を超えてます。中学2年の種目別では、男女とも持久走が全国平均を大きく下回っていますが、男子は握力、長座体前屈、反復横とびで、女子は反復横とびとハンドボール投げが全国平均を上回りました。
 県教育委員会の体力向上の取り組みの効果が出ていることと思いますが、やはり来年開催される紀の国わかやま国体・わかやま大会という大きな目標があったことも主要な一因かなと思います。
 そこで、教育長に以下質問ですが、1点目、今回の本県の子供の成績が向上した要因について、県教育委員会の見解を御説明ください。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の児童生徒の体力、運動能力が向上傾向にある要因としましては、市町村教育委員会と協力しながら、県の指導主事が積極的に学校訪問するとともに、各学校において全国調査結果に基づく体力アッププランを作成し、授業改善のための取り組みを年々充実させてきたことがあります。
 さらに、教員の指導力を向上させ、体育授業を工夫、改善させるための研修会を県内各地方で充実してきたこと、きのくにチャレンジランキングの活用が県内の小学校の63%にまで普及するなど、各学校における学校体育の充実と運動機会の拡大への取り組みが進んできたことが徐々に成果としてあらわれてきたものと考えております。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、小学5年の上位をうかがえるほどの体力の向上も、中学になると下がってしまうのでは元も子もありません。中学生になると女子が特に外で運動しなくなる傾向がありますが、さらに継続的に体力向上につながるような取り組みについて、どうお考えですか。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 中学生の体力については着実に向上してきていますけれども、今後は、とりわけ幼少期から運動への興味・関心をより高めていくことが重要であると考えております。
 昨年度の全国調査結果において体育授業が楽しいと感じる場面は、体育授業は自分にとって大切なものである、できなかったことができるようになる、好きな種目が見つけられるといった意識が高まったときに顕著にあらわれています。
 これらの調査結果を教員の指導力向上研修を通じて授業に生かすなど、全ての子供の運動意欲を引き出す体育授業の質の向上に努めていきたいと考えております。
 また、女子の運動離れを食いとめるため、女子の関心が高い表現やダンス系の運動を取り入れた紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスの活用をさらに促進してまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目ですが、子供に夢や目標に向かって努力する習慣をつけさせるためにも、多くの中学生にクラブ活動等での運動習慣をつけさせることが肝要だと思います。
 地域の競技別の指導者の協力をさらに求めたり、練習場所の確保等も含めた中学生以降の運動習慣の向上の取り組みについて伺います。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 運動部活動は、中学生以降の健康の保持増進や体力向上はもとより、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てるためにも大変重要であると受けとめております。
 本県中学校の運動部活動加入率は10年前に比べて約10%下がっており、その一因は、女子の加入率の低下にあります。そのため、昨年度から、「運動部活動指導の手引」を新たに配付し、生徒主体の活動を促す指導や健全な運動部活動を積極的に推進しているところです。
 また、従来の技術中心の指導から、生徒の能力や活動意欲にも応じた指導を促し、より多くの生徒が運動部活動に親しめるように指導者研修会を開催しています。
 さらに、生徒の専門技能を高めるために、総合型地域スポーツクラブ等、地域の外部指導者の協力を得るとともに、年間を見通した指導計画の作成、安全確認、練習場所の確保等により生徒のニーズに応じた指導が図られるよう、環境整備に一層努めてまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点目に、幼いころからの日常の運動習慣は、体力、運動能力と大いに相関関係があると思います。県、市町村、教育委員会、学校の取り組みはもちろんのこと、家庭や地域でも子供たちの運動の機会をつくって平素から一緒に運動するような取り組みも必要だと思いますが、いかがですか。
○議長(坂本 登君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 幼児期における運動体験の有無がその後の運動習慣に大きくかかわることから、本年度は、体力・授業力アップモデル校として2つの幼稚園を加え、幼児期の運動習慣を高めるための研究を行っております。
 今後は、その研究成果を県内に普及させ、保護者や地域を巻き込んだ幼児期の運動遊びの普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 お答えいただきました。
 幼稚園でのモデル事業の研究、検証については、大いに成果を期待したいと思います。
 紀の国わかやま国体・わかやま大会の後の継続的な取り組みが、子供の、ひいては大人の体力向上に不可欠だと思うわけであります。幼児期からの運動習慣をできる限り多くの子供たちにつけさせるよう、さらなるお取り組みをお願いいたしまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時48分散会

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