平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)
平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録
第6号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)
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午前10時0分開議
○議長(坂本 登君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第101号から議案第120号まで並びに知事専決処分報告報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
25番花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。
ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
約1年間、ブランクがありますので、少し緊張しておりますが、気合いが入り過ぎ議論がかみ合わないというようなことのないようにしたいと思いますので、当局の皆さんには、よろしく御答弁のほどお願い申し上げます。
私の地元に、ふるさと倶楽部という団体があります。物を大切にする、お互いに声をかけ合えるような人々が暮らす地域、元気のある地域を目指すという理念のもと、活動されています。主な活動として、家庭ごみの堆肥化及び資源化することによる減量化を啓発、実行されています。
平成18年10月、ふるさと倶楽部が発足されましたが、その前身のふるさと椿会が、家庭ごみを全て焼却処分にするのはもったいないと思い、堆肥・資源化を始めました。その活動が評価され、わかやま環境賞に選ばれたのですが、新たな方々も加わり、ふるさと倶楽部を結成いたしました。
ふるさと倶楽部は、家庭ごみを定期的に収集し発酵させ、堆肥として販売するグループと、各家庭で生ごみの堆肥化を実践していただくよう支援するグループとして現在活動されています。そして、もっとたくさんの人に、ごみ分別の重要性やごみの分別を通して、実はごみは貴重な資源であるということを御理解いただくため、近隣の市町村に啓発活動を積極的に展開されています。
その啓発活動の一環として、それぞれの自治体主催のイベントに参加しております。日高地方においても、集客数5000人から1万人規模の地域の特色を生かした各種イベントが行われていますが、そのイベントの一番大変な問題がごみ処理だと主催者からお聞きをいたしました。
ふるさと倶楽部の皆さんは、地元の太陽福祉会と協力し、会場の所定の場所にごみ箱やごみ袋を用意し、できる限り来場したお客様に御自身で分別していただくよう指導しています。
今まで、会場では燃えるごみと燃えないごみとに分けるぐらいで、大方のごみは混然一体となってごみ袋に捨てられていました。ふるさと倶楽部は、そういったイベントの主催者にごみ分別の趣旨を説明し、御理解をいただき、会場ではごみを13種類に分別することに取り組んでいます。来場者の方々も最初は随分と戸惑われたようですが、時間がたつにつれ、子供たちも分別に協力してくれるそうで、主催者から高い評価と、大会終了後の後片づけの簡略化、時間短縮、ごみの減量化等、思わぬ効果も発揮し、大変感謝されているともお聞きいたしました。
御坊市で毎年開催されるみやこ姫よさこい祭りでは、ごみ分別を取り入れる以前は、催し終了後、夜遅くまで後片づけが続き、翌日3トンものごみを焼却場まで運搬していたそうです。しかし、ことしは、当日、13分別収集していたので、大半は資源として引き取っていただき、ごみ袋はわずか4袋となり、後片づけも早く終わることができました。
仁坂知事は、ことしの環境大賞に選んでいただきましたので活動の内容は御承知ですが、皆さんのお手元にその資料を配付させていただきましたので、ごらんください。
「捨てればごみ、分ければ資源」というキャッチフレーズで御活躍いただいていますふるさと倶楽部の皆さんに、改めて敬意を表する次第であります。
そこで、環境生活部長にお伺いいたします。
白浜町や新宮市など、既に積極的にごみ分別に取り組んでおられる自治体もあるとお聞きいたしましたが、大半の自治体では、いまだそれほど徹底したごみ分別がされていません。
人口減少や生活様式の変化に伴い、排出されるごみの質も量も予測しにくい状況で、施設の老朽化による建てかえや改修時、規模の設定等、大変難しい問題が山積していると思います。そこで、家庭から出る段階で分別化が進めば、ある程度予測可能となりますし、また、資源として再利用できれば一石二鳥であると考えます。今後の取り組みについてお伺いをいたします。
○議長(坂本 登君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
環境生活部長栗山隆博君。
〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 御答弁申し上げます。
ごみの減量化や資源化は、環境への負荷の少ない循環型社会構築のための非常に重要な課題の1つでございます。その対策には、県民一人一人の御協力、市町村の積極的な取り組みが不可欠であると認識してございます。しかしながら、ごみ対策につきましては、その意識が非常に高い県民の方々がいる一方で、これを他人事と考えているような環境問題に無関心な県民の方がいるのも現実で、まことに残念な状態でございます。
先ほど、議員からお話のありましたふるさと倶楽部による取り組みは、地域のイベントにおいて、来場者みずからがごみの分別廃棄を実践することを支援するものでございます。ごみの減量化や資源化に非常に有効であると考えてございます。ふるさと倶楽部の活動をモデルケースといたしまして、全県に同様の取り組みが広がることを期待して、今回、わかやま環境大賞をお贈りさせていただいたところでございます。
また、ごみの減量化や資源化に果たす市町村の役割は、大変大きいものがあります。県では、6月の環境月間や10月の3R月間など、さまざまな機会に県民意識向上のための啓発を行ってまいります。そして、市町村が分別収集によるごみの減量化や資源化により一層取り組めるよう支援をしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 次に、国体推進監にお伺いいたします。
ことしは、紀の国わかやま国体のプレ大会がそれぞれの会場で競技が行われる予定ですが、競技者を初め、応援に来られる方がたくさんお越しになられます。花いっぱい運動や文化プログラム事業等、おもてなしの心で来県者の皆さんをお迎えすることは有意義なことですが、一方で、会場では大変な量のごみが出ることも予測されています。
各市町村と連携して、それぞれの会場のごみ処理について具体的な対策があればお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 国体推進監若宮茂樹君。
〔若宮茂樹君、登壇〕
○国体推進監(若宮茂樹君) 紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会では、全国から来県される選手、監督や観覧者の方々が快適な環境のもとで十分な活躍や観覧ができるよう環境衛生対策要項を策定し、県、会場地市町村実行委員会がそれぞれの担当部局とともに環境衛生対策を実施することとしており、ごみの問題につきましても、競技会場等におけるごみの減量化及び分別排出を徹底するとともに、分別回収したごみは適正処理をすることとしております。
こうしたことを踏まえ、本年5月開催の市町村担当者会議において、競技会場におけるごみ減量化等の環境対策のあり方について説明を行うとともに、議員から御紹介のありましたふるさと倶楽部の取り組み事例についても情報提供したところです。
今後も、さまざまな機会を捉え、競技会場での環境対策の充実を促してまいります。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。
次に、教育長にお伺いいたします。
地球は、二酸化炭素等による温暖化が深刻さを増してまいりました。未来を生きる子供たちこそ、地球環境の保全に対する意識を高めることが求められています。
そこで、小中高の学校教育で、ごみ分別化による減量化と資源化等の環境教育の現状についてお答えください。
○議長(坂本 登君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内全ての学校では、社会科や家庭科等の授業において、ごみの分別や減量、資源の再利用等の重要性について学習するとともに、学校や地域の清掃活動、エコキャップ等の回収活動、リサイクル施設の見学等、さまざまな学習に取り組んでおります。
県教育委員会としましては、今後とも、市町村教育委員会と連携しながら、子供たちにごみ分別化等への意識づけを図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 町が取り決めたり地区が取り決めたりすることというのは、なかなか住民というのはいろんな反発もあったりで、実行する段階になるときにいろんな議論が出るんですけども、学校の中で子供たちが学んだことを家庭でお父さんやおじいちゃん、おばあちゃんに話をすると非常によく聞くという──ほかのことでもあるようですんで──ぜひまず子供たちにこのごみ分別、地球の環境を守るということも通じて教えて、家庭で、「きょうはどんな勉強してきたんよ」と言うたら「こんな勉強教えてもうたんや」と言うたら、結構、親とかおじいちゃん、おばあちゃんはよう聞くと思います。私もそうですから。
そやから、そういう意味で、学校教育でそういうことをしていただくというのは大変有意義なことだと思いますんで、今後ともなお一層よろしくお願いしときます。
次に、知事にお伺いいたします。
まず、このたび平成26年度、ふるさと倶楽部の活動に環境大賞を授与していただきましたことに、心から感謝を申し上げます。
そして、この質問に取り組んでいるとき、大変うれしいニュースが飛び込んでまいりました。
谷議員から報告があり、知事も訪問されたブラジルで行われてるFIFAワールドカップのサッカー会場での出来事です。コートジボアール戦で、サムライジャパンは試合には負けましたが、応援に来ていた日本のサポーター数百人が、試合終了後、ごみ掃除をして会場を去ったという報道でした。このニュースは、世界の主要報道機関やインターネットで配信され、大変な反響と共感を呼び起こしました。
最近、従軍慰安婦少女の像をアメリカ各地に設置したり、南京事件を世界遺産に登録しようとしたり、伊藤博文暗殺者の記念館をつくったりと、我が国と我が民族をおとしめるネガティブキャンペーンを熱心に繰り広げる国があります。日本政府も、その都度、訂正記事や広告を出して打ち消しているようですが、そんなネガティブキャンペーンを一瞬にして消し去るほどのインパクトを世界に与えたようです。
日本人の礼儀正しさや我が日本民族が脈々と継承してきた知性や品性が改めて世界中で評価され、尊敬された出来事でした。
我が県では、ワールドカップのように多くの国民が注目している中、天皇陛下・皇后陛下をお迎えし、紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会がいよいよ来年開催される運びであります。全国からお越しになる皆様に、和歌山のごみ分別処理についての高い県民意識を全国にPRする絶好の機会でもあります。
県民はもとより、お越しになった競技者やお客様に感動とごみ分別方法を持って帰ってもらう、環境に優しい、見識の高い紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会の実現を目指してはどうかと思いますが、御所見のほどお伺いいたします。
○議長(坂本 登君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私も、ブラジル・ワールドカップにおける日本人サポーターの大変立派な行為に対しては、感動を覚えました。大変誇らしく思いました。
環境問題に対する取り組みを進めるには、県や市町村だけではなくて、県民や事業者、さらにはふるさと倶楽部の皆さんのようなさまざまなプレーヤーが一体となって取り組むことが重要であると思います。
国体・大会は国内最大級のスポーツイベントでございまして、全国から来県される皆さんに和歌山の魅力を発信できる絶好の機会でございます。また、多くの県民の方々に両大会の準備あるいは運営にかかわっていただくことでスポーツのすばらしさ、あるいは県としての団結、そういうものを持っていただくと、すばらしさを実感するし、県民としての団結を味わっていただくということで、議員御指摘の環境問題に対する取り組みの重要性についても御理解いただく大きな契機になると考えております。
こうしたことから、来年の紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会では、ごみの減量化・分別化の徹底とか、あるいはパーク・アンド・ライドによる競技会観戦、紀州材を豊富に使用した施設整備等、環境に優しい大会運営を図るよう努力しようとしております。
また、両大会に係る県民運動においても、競技会場を初め、道路や海岸、河川をきれいに掃除・清掃し、ごみ1つない状態で来県者をお迎えするクリーンアップ運動を県内全域で展開するなど、環境美化運動を推進し、環境保全意識の普及啓発に積極的に取り組もうとしているところでございます。
こうした県民総参加による取り組みが大会終了後も市町村や地域、県民一人一人の行動として継承されていくような、そういう大会にしていきたいと考えておりますし、その後もそのように県としては努力していきたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ぜひよろしくお願いします。
次に、日高川水系の支流・江川の合流点改修についてお尋ねをいたします。
このたび、当局は第1回日高川を考える会を開催し、日高川水系河川整備計画の素案を策定するために関係者から御意見をお伺いしたとお聞きいたしました。
日高川は、御承知のとおり、護摩壇山を源とし、延長127キロの流域面積651.8平方キロメートルの日本一長い2級河川であります。日高地方にとって母なる川である日高川は、季節の移ろいを織りなしながら、清らかで、しかも尽きることはありません。私たち流域に住む地域住民は、その流れとともに脈々と歴史と文化を育み、受け継いでまいりました。
しかし、そんな日高川も、時には荒れ狂う一面も持ち合わせています。昭和28年7月18日、現在の御坊市を初め流域町村に甚大な被害をもたらした7.18水害は、289名の死者・行方不明者を出しました。それを契機に治水事業が着手され、昭和63年には椿山ダムが完成し、ある程度の雨量には調整できる機能を有していると考えます。
しかし、昨今、想定以上の降水量をもたらす台風や集中豪雨が頻発する中、改めて対応が求められているところであります。
記憶に新しい平成23年9月3日、4日に襲来した台風12号により、とうとい命が奪われ、大切な財産が流出いたしました。
当局は、平成13年に二級河川日高川水系整備基本方針を定め、河川の総合的な保全と利用に関する基本方針として、「流域の現状を踏まえ、治水及び利水との整合、流域との調和、自然環境の保全と再生、水質の保全、水辺文化の継承及び発展等に配慮する」とあり、また、「既存の水利施設等の機能の維持を十分に考慮し、水源から河口まで一貫した計画のもとに、段階的な整備を進めるに当たっての目標を明確にして、河川の総合的な保全と利用を図る」とあります。当時の計画は、かなり利水と環境保全に配慮がなされていたことがうかがえます。
さらに、このたびの日高川水系河川整備について、各方面の意見を聴取し、今後の整備事業に生かしていくという趣旨で開催された日高川を考える第1回目の会議は大変有意義であると同時に、地域に住む住民の目線で改修計画を立案することは大いに評価するものであります。
そこで、私は、今回、日高川の支流の整備について当局の考えをお伺いいたしたいと思います。
日高川にはたくさんの支流がありますが、上流、中流の支流は河川改修も随分整備され、生命と財産を脅かす脅威にさらされている箇所は余り見受けられません。むしろ、下流の江川、土生川、西川の3支流の流域が少し大きな雨が降ると家屋や道路、田畑が冠水する箇所がかなりあります。いずれも日高川の水位が上がると合流点がダムのような状態になり、本流から支流に逆流するからであります。
平成22年から土生川は合流点改修に取り組んでいただきましたので、かなり緩和されたと思います。
日高川町山野を源に江川地区から和佐地区を流れる江川と、日高町から御坊市に流れる西川は、現在でもたびたび水害をもたらしています。両河川は、その災害に至る過程で状況が大きく異なります。
西川は、満潮時になると川が逆流するぐらい河川の高低差が少なく、少し大きな雨が降ると、国道42号線や田畑が冠水いたします。西川の洪水対策は、樋門とポンプアップを組み合わせ、強制的に排水するほか方法がないように思います。
江川は、高低差はあるのですが、合流点が上流に受けているので、洪水時、日高川の水位が上がると流れが閉ざされるだけではなく、逆流し、道路や田畑が冠水します。当局は、対岸の若野地区の堤防を引堤し、洪水時の流量の容量を大きくすることで対応できるとお考えのようです。それも一案ではありますが、果たして江川流域に降る雨と椿山ダムが放流する水量が重なると、安心とまでは言い切れないと思います。どんなに改修しても想定外の雨量には当然対応できないこともありますが、江川に関しては、合流点を下流に向けて改修することも1つの選択肢ではないかと考えます。
日高川水系で氾濫の危険性のある数少ない江川と日高川との合流点の今後の整備計画について、県土整備部長の御答弁をお願いいたします。
○議長(坂本 登君) 県土整備部長石原康弘君。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 現在、県では、日高川水系河川整備計画の素案作成のため、住民の皆様方から御意見を伺っているところです。その中で、江川は、日高川の狭窄部で合流する支川であり、洪水時には本川の水位が上昇し、江川からの水が本川に流れ込みにくくなるため、江川流域ではこれまでも浸水被害が発生しているという課題があります。
現在、江川合流点付近では、本川の狭窄部対策として対岸の若野地区で引堤工事を実施しているところであり、本川水位の低下を図ることで、本川だけでなく江川においても被害軽減効果が見込まれております。
議員御指摘の江川合流点の河川改修につきましては、本川引堤工事の効果を踏まえた上で、現在策定を進めています日高川水系河川整備計画の中で検討してまいります。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 最近の集中豪雨というのは、どこにどれだけ雨降るかわからんような今、状況ですし、もう10年近く前ですか、当時、山野地域を御坊から東側へ集中豪雨の雨雲が抜けたときには大変な状況になった。そのときは、椿山のダムというか、日高川はそんなに大したことはなかったんです。ですけども、その雨で江川の流域は浸水したという経緯もありますんで、日高川のみならず、江川というのは日高川の支流の中でも川沿いに家や田畑が点在している地域で、奥のほうの川に行くと案外点在してないんですよね。私の地元に野々子川なんていうのもあるんですけども、ほとんど人家はありません。
ただ、この江川というのは本当に居住区になっておりますんで、ぜひ引堤は引堤で私は効果はあると思いますけども、それとあわせて江川の河口の改修も御検討いただきたいということを要望して、次の質問に移らせていただきます。
次に、みなべ町堺の沿岸に群生しているオオカワリギンチャクの保護についてお尋ねいたします。
オオカワリギンチャクとは、配付させていただいた写真のように、現在のところ、とても狭い海域でしか発見されていないイソギンチャクの一種で、それを見た者は、その美しさにたちまち心を奪われてしまうという貴重な種類のイソギンチャクであります。
先般、私の知人から、スキューバダイビングの皆さんが海中で撮影されたいろいろな海中の生き物やサンゴ礁等の展覧会をするので、時間があれば見に来てほしいと依頼がありました。
お伺いすると、すばらしい海中の風景や海のさまざまな生き物が生き生きと生息し、撮影技術も大変すぐれており、感動いたしました。たくさんの展示作品の中から気に入った写真に投票する仕組みになっておりましたので、私は、ある写真が気に入り、投票いたしました。その写真が、オオカワリギンチャクの撮影写真でした。
私は全く知らなかったのですが、主催者である知人が、それはオオカワリギンチャクで、この沿岸に群生しているとのこと、しかも、これほどの群生地は全国でも珍しいことから、ここに来るスキューバダイビングのお客さんは、それを見るのを楽しみにしているとお聞きいたしました。それは初耳であり、大変興味を持ちました。
詳しく尋ねると、知人は少し困った表情になり、実はオオカワリギンチャクを最近根こそぎとっていく人がいて、とても困っていると言うのです。
資料のとおり、展示写真以外の海中撮影された風景を見ながら説明を受けると、岩肌にオオカワリギンチャクが張りついていた跡が点々と続いているのです。最近特にひどくなり、もう群生しているとは言いがたい惨状だと悲しんでいました。
どうしてそんなことになったのかと聞くと、オオカワリギンチャクは貴重生物でもあるし、とにかく可憐で美しいので、結構高く売れるんだそうです。専門ショップやネット販売で、最近特に高くなってきたとお聞きいたしました。試しにインターネットで「オオカワリギンチャク」と検索すると、びっくりするような値段で取り引きされています。
そこで、環境生活部長にお伺いいたします。
この海域は県立自然公園に指定されていませんが、特にショウガセという海域にオオカワリギンチャクやサンゴ礁が群生しているので、この海域の海洋生物の保護に特段の御配慮をいただきたく、お願いを申し上げます。
このような貴重品種と言われるオオカワリギンチャクの群生地が確認され、乱獲されているとすれば、保護するために県として規制が必要と考えますが、いかがですか。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長。
〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 議員御指摘のオオカワリギンチャクにつきましては、みなべ町の沖に群生地がございます。その観察を目的とした人気のダイビングスポットとなっていることも承知をしてございます。
しかしながら、オオカワリギンチャクの生息数、生息域につきましてはまだまだ不明なところも多く、直ちに保護措置を講ずることは困難だという認識でございます。
当地域は、ほかにもサンゴ礁などの貴重な生物が存在するため、現在、環境省におきまして国立公園の海域公園地区の指定への準備が進められているところでございます。この海域公園地区内におきましては、貴重な生物を保護することが可能になってまいりますので、県としても、この海域公園地区への指定に向けて、まずは積極的に取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 御答弁いただきましてありがとうございます。
国立公園に指定されれば、また違う形での検討というのは必要になってくるんでしょうけども、県も、国立公園になったから、それは国の環境省が考えることだろうというような、ちょっと距離を置いたような考え方ではなくて、みなべの私たちの地元にすむ貴重な生物ですから。
このオオカワリギンチャクというのは、まだ生態もはっきりしていないと聞いています。水深40メーター以上でないと生息しないということで、全国的にもこういう群生してるところがあるんでしょうけども、発見するのがなかなか難しいと。だから、生態を調べるのも難しいというようなことになっておりまして、ぜひ身近でこうしたオオカワリギンチャクを観察できる、そして観賞できるという地域があるんであれば、和歌山県としてもこれは観光資源としても有力でもありますので、どうか注視して今後見ていただきたいと思いますので、よろしくお願いしておきます。
次に、紀勢線の津波対策についてお尋ねいたします。
御承知のとおり、紀勢線は、和歌山県に入ると複雑に入り組んだ海岸線を縫うように南へと延伸しています。特に紀南地域では、海岸線を間近に見ながら、もう砂浜や海が手に届きそうな場所も何カ所もあります。観光客の皆様は風光明媚なすばらしい熊野灘や枯木灘の景色を堪能されていると思いますが、いつ発生するかわからない東南海・南海地震を思うとき、今地震が起こったらどうしよう、ここで津波に襲われたらもう諦めるしかないなあと思う箇所がたくさんあります。
線路から山側は切り立っており、とても駆け上がれない。まして、お年寄りや小さなお子さん、体の御不自由な方ではとても避難できません。東日本大震災の発生時、走っていたJR東日本仙石線の普通電車が津波に襲われ、壊滅的被害を受けました。
そこで、危機管理監にお伺いいたします。
県が昨年公表した東海・東南海・南海3連動地震及び南海トラフ巨大地震の浸水想定では、紀勢線は津波で浸水する地域を通っていますが、JR西日本はこの浸水想定を津波避難対策に活用しているのでしょうか。
また、県はJR西日本とともに津波避難対策をどのように進めるのか、お答えください。
○議長(坂本 登君) 危機管理監木村雅人君。
〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 南海トラフ地震の浸水想定については、県民に正しく伝え、正しく恐れることを周知するとともに、防災・減災対策を着実に進めていくことを目的として、平成25年3月に公表をしたところですが、その際には、JR西日本に対してもその情報を提供したところです。
JR西日本においては、本県が公表した南海トラフ地震の浸水想定に基づき、乗客の安全を守るため、避難誘導設備等の整備や津波避難誘導訓練等、津波避難対策に取り組んでおり、県としても引き続き情報提供を行うとともに、和歌山県ライフライン防災担当者連絡会等を通じて緊密な連携を図ってまいります。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 次に、企画部長にお伺いいたします。
私たち行政や政治にかかわる者は、ふだんからデータを収集し議論を深めていますから、ある程度の危機管理意識は常にあると思います。しかし、一般県民や、まして観光客の皆さんは、そんなに常日ごろから意識しているわけではありません。特に、紀南を走る電車は、地震が起こり津波が来るまでわずかな時間しか与えられていません。
津波ハザードマップで浸水することがわかっている区間の津波対策についてお答えください。
また、将来、津波の直撃を受け、人的被害が出た区域は、そのまま廃線にならないか心配です。その路線を再度復旧し、運行できると考えますか。
さらに、廃線にならなくても、同じ路線を復旧運行するには、大変な予算と時間が必要であると思います。また、路線を変更しなくてはならないとなれば、用地の確保や工事期間を考えると、さらにとてつもなく長い期間、運行停止になるのではないかと考えるとき、通勤・通学、観光産業に及ぼす影響ははかり知れません。
「備えあれば憂いなし」、「転ばぬ先のつえ」のことわざのとおり、今から浸水地域を走らない路線変更も含めて、JRと真剣に議論し検討しなくてはならないと考えますが、いかがですか。
以上、JRの津波対策についてお答えください。
○議長(坂本 登君) 企画部長野田寛芳君。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) JR西日本の津波対策についてでございますが、JR西日本によりますと、紀勢本線では、津波対策を最優先課題として捉え、規制値を超える地震が発生した場合には直ちに電車を停止し、乗客の安全を最優先に避難誘導を開始することといたしております。
具体的な対策としましては、全ての浸水区域内に設置されている津波避難用の矢印看板等により避難場所への方向を示すとともに、乗務員には業務用のスマートフォンを携帯させ、専用アプリにより車両の現在位置、浸水区間、最寄りの避難場所及び避難経路を直ちに把握させることで、迅速に安全な場所へ避難誘導を行うこととなっております。
県としましては、JR西日本に対し、今後とも浸水想定に基づく万全の対策を講じるよう働きかけるとともに、関係市町村とも緊密な連携を図りながら紀勢本線の津波対策に取り組んでまいります。
次に、路線変更の件についてでございますが、議員御指摘のとおり、津波により大きな被害を受けた路線を復旧するには長い期間を要するため、住民生活や地域経済に及ぼす影響は甚大であると考えております。
鉄道路線の変更については、用地の取得や財源確保等の課題もありますが、県ではこれまで紀勢本線へのフリーゲージトレインの導入促進に取り組んでいるところであり、導入による高速化を実現するためには、カーブの多い線形を改良する必要があります。
県としましては、そういった紀勢本線の高速化の観点もあわせ、路線のあり方についてJR西日本及び関係市町村と議論してまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 御答弁ありがとうございます。
フリーゲージトレイン、これ、本当は私のほうから質問せんとあかん議題だと思うんです。二階先生が一生懸命推進してきたというか唱えてきたフリーゲージトレインを導入することによって線形を変更するという、それは当然可能性もありますし、私が今住んでいる印南町も、実は複線化のときに線路変更をしてるんです。
ですから、線路変更というのは、ある程度経済的な──あれは時間短縮で経済的な観点で試算してのBバイCですか──で線路変更したんでしょうけども、この津波というのは、これ、命にかかわることですから、津波対策として当局の皆さんからいろんな御説明を受けました。最寄りの安全なところまで電車を移動させて、そこで階段をつけて降車する。それまでに4分半かかったとかなんとかというような事例を御説明いただきましたけども、やはり震度7前後の地震が起きると、まず脱線していないか、線路の地盤が崩落していないか、線路際の山際が崩壊していないか、果たしてそんな安全なところへ電車自体を誘導してそこから避難させるなんていうのは本当に可能なんかどうか。私はそう思ったときに、今のJRの、先ほどの御答弁の中で、浸水想定に基づく万全の対策を講じるよう働きかけてると言うけども、本当にそれが万全なのかどうか、私はちょっと疑問に思っています。
仙台のそのときに、普通列車で仙台から下り線がたしか高いところを走ってて──複線なんですけども、片方が高いところで上りが低いところを走ってて、その高いところは停車して、そこで車掌さんが待機するようにと。表へ出ると危険があるかもわからんから待機するようにと。
下の走ったところは津波にさらわれたんで、一体車掌さんがどんな指示をしたのか、余り定かではないようですけども、上の人は、見てると、大きな津波がもう本当にすぐ来たと言ってましたね、インターネットを見てみると。下のやつは、折れ曲がるように押し流されて、そこで被害が甚大だったと。多分、死者とか行方不明者がたくさん出たんだろうと思うんですけども、そういうようなことになってて、本当に上と下で明暗が分かれたという記事になっていました。
まさしく、この紀勢線も明暗が分かれないように──高いところを何本も走ってますからね。高いところをたまたま走っていたところは、あそこは単線ですけども、高い位置を通過していた電車は助かって、たまたま海岸線のところを走ってたところは、今言った脱線や崩落や崩壊で、もう電車を動かすことができなかった。その場から皆おりて避難しようとした。したけども、あの辺、古座のあたりの海岸やったら、多分5分以内に来るんでしょう。そのうち2分ぐらいは揺れてるという状況の中で、果たしてその階段を取りつけて、それで全員をおろして、そして高台へ避難できることなんていうのは、これ、可能なことなんかというのを僕は改めて指摘をしたいと思います。
そういう意味で、僕は高いところへつけたらどうかというように、今、当局の皆さんにお願いをしたんです。
ですから、最後に知事にお尋ねをいたしますけども、知事は先般、今度やってくる地震や津波で1人の犠牲者も出さない決意で最善を尽くすと述べられておられました。とうとい命が直接危機にさらされる事案だと考えますので、今の当局とのやりとりの中で、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○議長(坂本 登君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南海トラフ地震により甚大な津波被害が想定されている本県では、津波からとうとい命を守ることを最優先に、さまざまな津波対策に取り組んでおります。
まず一番重視すべきは、とにかく死者を出さないということでございまして、議員御指摘のとおりだというふうに思います。
そういう意味では、現状の路線を前提にして、JRについては我々もよく相談をしてやっておりますが、でき得る限りの避難対策をやってるという点は評価すべきだと思いますが、今後ももちろんしっかり進めていかなきゃいけない。
じゃ、万全かと言われると、議員御指摘のように、それは高いところ、しかも高くてもちょっと崖っぽいところは少し危ないんで、高くて安定したところを走っているのが多くなればなるほどよろしいわけで、今のところ、ちょっといろいろ心配はある。
じゃ、全部移すことができるかというと、今JRは民営化されておりまして、簡単にじゃ移せと言って、公共事業みたいにできないというところもあります。
そういう意味では、何かのチャンスを見つけて、あるいはやりやすいようにしながら高いところに移していただくというふうにするのが一番近道というふうにも思いますので、そういう意味で、フリーゲージトレインの導入促進に向けた取り組みを一生懸命やるということがまたそういうことにも役に立つかなというふうに思ってる次第でございます。
もちろん、そのほかにもチャンスがあれば、我々としては高いところがいいに決まっておるわけですから、ぜひよろしく頼むということはお願いしていきたいと思っております。
そんなことをやることによって和歌山県はなかなか備えがよくて安心だというふうに思っていただければ、また観光の振興にもなると、そういうふうにも思います。
○議長(坂本 登君) 花田健吉君。
〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございます。ぜひお願いします。今のフリーゲージトレインのあれは、多分知事が思い入れを申し上げてくれたんだろうと、私は思います。
抜かってた私もちょっと不明のいたすところなんですけども、ただ、最後に、地震で亡くなる方、これゼロというわけにいかないでしょうけども、その中で瓦れきに、家とか家屋に押し潰されて亡くなる方、それに類焼して、火が上がって火事で亡くなられる方は阪神大震災のときも随分ありましたけども、そういう形で亡くなられる方、そして、この間の東北の大津波のときに亡くなられた──ほとんどあのとき、東北で亡くなられたのは溺死だと思うんですよね。
これ、まだ瓦れきとかに押さえられてると、レスキュー隊や消防隊、いろんな方がいてて、72時間ですか、以内にというて救助活動をできますけども、残念ながら人間は水の中では生きていけません。水につかると、約3分ももたない。1分も私はもたないと思いますけども、それでもう命がなくなってしまうわけですから、そういう厳しい環境のところを人を乗せて走っているという状況を、JR西日本も立派な会社ですから、そんなことをずっと据え置いとくということは僕はないと思いますけども、やはり県からもそういうことは強く要望していくべきだと思うんです。
知事の今のアイデアのフリーゲージトレインの路線の変更というのも僕は大賛成ですし、フリーゲージトレインを導入することは大賛成ですから、それに伴って線路を変えていくということは大賛成ですし、私どもも議会から、そういう国土強靱化の一環にもなりますので働きかけていきたいと思いますが、ぜひそういうイメージというんですか、危機管理というのはイメージだと思うんです。そのとき、どんなに苦しむか。
もし、津波に襲われて、その電車に乗ってたときに自分がどういう状況になるか。津波が押し寄せてきて、その中で水が入ってきて、苦しみながら死んでいくわけですけども、そういうイメージが自分の中でならないと僕は本当の真剣な議論になってこないんじゃないかなと思いますので、そういう単なる訓練やとか──単なるとは言いませんよ。先ほど、万全を尽くしての訓練ですから、訓練は、僕、大事やと思いますし、それは日ごろから必ずやっておくべきことだとは思いますけども──そういう状況にならないような路線変更についても、ぜひ知事初め当局の皆さん、JR西日本の方々と御相談をいただいて。あした来る津波であれば、もうそら無理です、対応は。しかし、確率はだんだん高くなっていくとはいえ、30年先に60%ですか、50年先でちょうど150年たつとかという、この危険な時期に入っていくわけですけども、30年、50年単位から見れば、先ほどの投資についても、じゃあ1年間にどれだけ投資すれば線路変更ができるのか。
確かに、今、3連動からいえば20数キロでしょう、浸水想定区域は。南海トラフが動くと70キロぐらいに浸水する路線がふえるらしいですけども、今の30年から50年に来るであろうという東南海・南海地震の対応としては、20数キロを高台というか高所に路線変更するということも、私は30年かければ十分可能なスケジュールじゃないかなと思いますので。あした、あさって、来年からするというんではなくて、やはりそういうことも今から──さっき言うたように転ばぬ先のつえですよ。やはり今からそういうことを始めなくては、来る津波に万全を期したとは私は言いがたいと思いますので、どうか当局の皆さんにもぜひよろしくお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。