平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成26年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、4つの点について質問をさせていただきます。
 まず第1点目は、中小企業支援についてお聞きいたします。
 和歌山県は、御存じのように小規模業者の割合が全国一高く、この小規模事業者が元気になることこそ地域経済の活性化の道であると考えます。しかし、小規模事業者にとっては、アベノミクスの効果どころか、円安による燃料、電気料金、原材料の高騰など、厳しい状況が続いています。事業所数は、3年間で7%減りました。特に小規模事業者の減少が目立っています。
 昨年12月、中小企業振興条例が制定されました。このほど、知事より中小企業の振興に関する施策の実施状況が報告されました。振興条例ができた大きな成果だと考えています。しかし、振興条例第13条、基本方針(5)にある資金供給の円滑化という点での報告が少ないような気がいたしました。県民からは、なかなか金融機関から融資を受けられないといった声も聞かれます。
 また、報告書では、政府のデフレからの早期脱却と経済再生の実現に向けた取り組みが功を奏しつつあり、景気が緩やかに回復してきているとしていますが、本県の中小零細企業の置かれている状況は、本当にそうでしょうか。年金や生活保護費の切り下げ、医療・介護の負担増、消費税の増税などで需要が落ち込み、本県の中小企業は極めて厳しい状況にあると考えます。
 そこで、最初に知事にお尋ねをいたします。中小企業の置かれている状況をどのように考えておられますか、お答えください。
○議長(坂本 登君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 安倍政権発足以来の経済政策により我が国の経済情勢は輸出型企業を中心に持ち直してきており、本県についても、昨年度末を中心に回復に向けた動きも見られるところでございます。
 しかし、本県は輸出関連企業が少なく中小企業が多いため、地域経済全体の回復はおくれているというふうに思います。個々のケースでは、そういう中小企業者とお話ししてても、例えば「かなり発注が出てきました」など、経済が回り始めた面もあると思います。しかし、データ的には全国よりもおくれているということは否めないと思っております。また、消費税引き上げに伴う駆け込み需要の反動等による影響も見られます。
 直接、輸出採算がよくなるというわけではない中小企業の多い本県では、そこで経済の好循環を招くためには、採算が向上した企業に対して、それぞれの事情が許す限り、従業員の給料はもちろんのこと、協力企業への発注について景気回復のメリットを広く均てんしてもらうよう、採算が好転していそうな企業に、私自身も含めて要請活動をしてきたところであります。
 加えて、恒常的な対策といたしまして、本県では従来から、頑張る中小企業の育成や経営力の強化に向けた各種施策に取り組むとともに、事業活動に必要な資金需要に対応するための融資も実施しております。
 加えて、県内産業育成のため、県産品利活用についても、物品の購入においてけんさんぴん登録制度を設け、登録県産品の優先調達に努めることや、その他の役務の調達において業務実施時に県産品資材活用の推奨を定めるなど、さまざまな工夫を講じてまいりましたが、これについては、県議会でお決めいただいた条例に従っているというところでございます。
 今後とも、県内中小企業を取り巻く経営環境の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私の近所で、もう365日御商売されて頑張っている方がいらっしゃったんですけども、やはり閉店に追い込まれるとか、そういった状況というのは、まだまだたくさんあるかと思うんです。そういった意味で、やはり私自身思うのには、普通に働いて、普通に御商売されて、それで生活が成り立っていく、このことが非常に大事ではないかなあと思っています。
 そういった点で、先ほど中小企業への支援をまた行っていくという御答弁をしていただいたので、ぜひよろしくお願いしたいなあと思います。
 なぜこんなにまで地域経済が衰退してしまったのか、そのことをやはり考える必要があるんじゃないかなあと思うんですけども、経済のグローバル化と構造改革政策にあるのではないでしょうか。
 これまで大型店の立地規制の緩和がなされ、大型店の郊外展開と過当競争が進みました。その結果、地域経済の根幹を担っていた農業や地場製造業、地域小売業の急速な衰退が進行したということではないかと思います。
 私は、これからは、地域に住む一人一人の住民生活が向上して、元気に住み続けられるということが大事だと考えます。そのためには、地域内に投資決定の主体があるわけですから、それを中心に、繰り返し再投資する活動を量的にも質的にも強化していく、そういった取り組みが必要だと思います。地域内再投資力をつくる上での地方自治体の役割がとても大きいものではないでしょうか。
 こういった中で、先ほども申し上げましたが、昨年の12月の中小企業振興条例に基づいて、全ての事業者を対象にしたきめ細かい振興策づくりを強力に進めていただきたいと、これは要望をさせていただきます。
 次に、県の中小企業融資制度の今年度方針についてお伺いします。
 資料1をごらんくださいませ。10年間の年度別融資実績の状況です。平成20年がリーマンショックで戦後最大規模の深刻な経済危機に陥った年で、件数、金額とも最高となっています。そのほかは、年によっては増減がありますが、この中小企業融資制度というのは、中小企業にとって、設備や、また営業の運用面でも非常に大切なネックとなるものではないかと思います。
 そういった点で、平成26年度の方針はどうなっているか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 平成26年度の和歌山県中小企業融資制度においては、新規融資枠900億円を確保し、県内中小企業者の経営の安定化と事業の活性化を支援してまいります。
 借り入れ返済の負担を軽減する資金繰り安定資金や運転資金の調達を支援する経営支援資金など、利用の多い資金を継続するとともに、創業や新事業へのチャレンジ、事業の再生、大規模施設の耐震化など、中小企業者の資金需要の状況変化に適切に対応した資金の新設、拡充を行っております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この融資制度で、お聞きしたところ900億円の枠取りをされているということですが、この一覧表を見ても、20年以外は半分ぐらいしか活用されていません。景気の影響とか、そういったこととかもいろいろとあるかと思いますが、そういった意味では、もっと使いやすいものにぜひ御検討をしていっていただきたいなあと思います。要望です。
 次、3番目に、本県の中小企業の資金供給の円滑化という点での状況はいかがですか。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県といたしましては、県融資制度を低利、固定、長期の資金として提供し、あわせて中小企業者の資金ニーズに対応した融資制度とすることにより、県内中小企業の資金供給の円滑化を図っているところです。
 全国的な不況業種として国が指定するセーフティネット保証5号については、危機的な状況から回復に伴って徐々に縮小が行われてきましたが、平成26年4月からは206業種に縮小されております。指定から外れた業種の中小企業の皆さんには、県融資制度の他の資金の利用を促しており、特段の困難は生じていないと認識しております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 4つ目に、条例では「金融機関の役割」とありますけども、金融機関や保証協会に対してどのような要請や要望を県として行っているのか、お答えください。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県では、県内金融機関と連携協定を結び、産業施策及び金融施策における両者の特性を生かしつつ、県の中小企業振興施策の周知や国内の大規模商談会への出展協力などに協働して取り組むことにより、県内産業の振興を図っているところです。
 また、県では、金融機関や県信用保証協会との意見交換など、常日ごろからさまざまな機会を捉えて資金供給の円滑化について協力を求めているところです。特にリーマンショックや台風12号など、多数の県内企業が経営危機に直面した際には、金融機関、県信用保証協会を直接訪問するなどし、県内中小企業の経営の安定化に向け、柔軟かつ積極的な対応を要請し、協力を得てまいりました。
 今般、中小企業振興条例が制定されたことを契機として、より一層積極的に取り組んでいただくよう、引き続き協力を求めてまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 金融機関の融資をなかなか受けにくいというような相談にも、県がぜひそういったレベルでの相談にも積極的に乗っていただいて支援をできるような取り組みをぜひしていただきたいなあというふうに思いますので、これも要望させていただきます。
 5番目の、本県の金融機関の県内からの預金状況を踏まえ、それに対して県内企業にどれだけ資金供給をしているのでしょうか。商工観光労働部長、お答えいただけますでしょうか。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 和歌山財務事務所のデータによりますと、和歌山県内の金融機関における平成26年4月末の預金残高合計は、4兆6830億円となっております。一方、貸出金残高合計は、1兆9064億円となっております。
 ただし、この金額は、個人に対する住宅ローンや大企業への貸出金を含めた数字であるため、県内の預金がどれだけ県内中小企業者に資金供給されているかにつきましては把握できておりません。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 資金供給の円滑化という上で、各金融機関はどれだけ地域のためにそういった再投資をしているか、そういったことをまた把握する必要があると思うんですけども、そういった点でいかがでしょうか。再度、商工観光労働部長、お願いします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 資金供給の円滑化の観点におきましては、資金調達の方法いかんにかかわらず、金融機関が県内中小企業に対し、十分な資金供給を行っていただければよいと考えております。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、金融機関の地域への再投資の状況に応じて、県財政、基金などの預託や預金、借り入れを行うなど総合的な取り組みが必要だと考えますが、この点でいかがでしょうか。商工観光労働部長、お願いします。
○議長(坂本 登君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 基金の運用等に当たっては、利回り、安全性など、さまざまな観点から総合的に判断の上、実施されるものでありますが、県の融資制度における預託額については、取り扱い実績に応じて金融機関ごとに算定する仕組みとなってございます。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に御要望を申し上げたいんですけども、中小企業、零細企業といいますか、大変厳しい経営状況に置かれてて、資金供給の円滑化が非常に大事ではないかなあと思います。県当局におかれましても、地域再生投資の観点から、金融機関と協力して資金供給の円滑化に協力をしていただきたい。そういった点で要望を申し上げます。
 また、中小企業の振興条例ができたその機会に、やはり総合的に、全面的にこれをどう中小業者さんの活性化に結びつけていくかという点では、体制やいろんな点も含めて、ぜひ積極的な取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 2点目は、産廃行政についてお尋ねをいたします。
 最初に、1つ目として、紀ノ川産業産廃処分場の事業停止命令に至る県の指導と対応の経過について、御説明をよろしくお願いします。環境生活部長、よろしくお願いします。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長栗山隆博君。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 使用停止及び改善を命ずるに至りました経過について御説明をさせていただきます。
 当該事業者は、処分場の使用停止に至る以前から、許可を受けていない種類の廃棄物──紙くずであるとか木くずなどを混入させるなど、たびたび不適正な処理を行っており、県は立入検査を頻繁に行うなど監視を特に強化をし、問題を発見すれば、その都度厳しく、搬入停止であるとか改善の指導を行ってきたところでございます。
 その中で、平成22年5月、当該処分場において、処理能力を超えて廃棄物を搬入しているおそれが発覚をいたしました。そのため、県といたしましては、即座に新たな搬入を停止させ、現地調査を実施し、改善計画の提出等の指導を行ったところでございます。
 しかしながら、その後、事業者のほうで十分な対応が見られなかったということで、まことに遺憾ではございますが、平成22年10月4日付で、処分場の改善と、改善がなされるまで処分場の使用停止を命じたところでございます。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、2011年6月本会議では、廃プラ野ざらしの現状を回復すべく、業者に能力がない場合、県当局に代執行も含めた対応を求めましたが、県はどのように対応されたのでしょうか。この点についても、環境生活部長、お答えください。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 原状回復に向けての県の対応をお答えいたします。
 本事案につきまして、県は、事業者並びに不法投棄実行者等の責任を問うべきであると、当然のことながらそう判断をいたしました。廃棄物処理法第19条の5に基づきます措置命令を行うことといたしてございます。
 命令に当たりましては、対象者の範囲、措置命令の内容についても検討をいたしまして、その後、法令の定めるところにより手続を経て、関係者の弁明の機会を付与する手続等を経まして、平成24年2月20日付で事業者等に対し措置命令を発出したところでございます。
 その内容につきましては、京奈和自動車道路敷地内に事業者が不法投棄した廃棄物の撤去、最終処分場における廃棄物の飛散流出等の防止及び水質の改善でございます。
 なお、この間におきましても、最終処分場については、県は水質検査を継続的に行ってございまして、あわせて処分場については職員が継続的に監視を行ってまいったところでございます。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次、3つ目に、事業停止後、紀ノ川産業産廃処分場の跡地を視察いたしました。廃プラ野ざらしの産廃処分場は、土で埋められておりましたが、この土で覆う事業について、県当局は、いつ、どのような判断で、どの予算をどれだけ使っているのか、お答えください。また、今度、いつまでに、どのように対応する計画であるか、その点についても環境生活部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 覆土の行為について、県のかかわり、今後どうするかということでございますが、今回行われましたこの廃棄物の覆土につきましては、県が実施したものではございません。
 平成24年の2月、県が発出いたしました措置命令を受けて、当該事業者が、その年、平成24年11月から年末12月にかけて、不法投棄した廃棄物を一部撤去、最終処分場の整地を行った上で、不完全ながら廃棄物の覆土を行った事実がございます。
 ただし、この事業者が施工いたしました覆土につきましては、不十分なものでございました。そのため、翌年、平成25年の1月に、県から国土交通省の和歌山河川国道事務所に対しまして、京奈和自動車道路の工事に伴いまして発生いたします建設残土の提供の協力のお願いをいたしました。そういうものでございます。
 また、県では、この最終処分場から出る浸透水につきましては、平成21年10月から毎月水質調査を実施して周辺環境に影響がないか等も継続的に監視をしてまいってございますが、直近では、本年5月に行った水質検査結果におきましても基準値内という形になってございます。引き続き、当分の間、この監視とともに水質調査は継続して実施をしていきたいと、そのように考えてございます。
 また、今後の対応の分でございますが、このような事案が万一発生するような事態になった場合──ならないように努めるのが我々の務めだと思いますが──そういうふうになった場合、今後ともちゅうちょなく断固たる措置をとってまいりたいと思います。事業者の責任を追及することはもとよりでございますけれども、廃棄物の種類、また規模、それに何よりも周辺の生活環境への影響を十分に踏まえた上で、国から示されております指針も参考にいたしまして、関係機関とともに最も適切かつ迅速な措置を講じてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 結局、覆土を業者にさせて、十分でなかったので、覆土を完全にするためにということで、どうしたかというのは、県はやっていないということですから、県はお金を出していない。そういうことからいえば、これは業者さんに厳しく責任を追及するということにはならないんじゃないかなあ。これは誰が──そしたら、県は国に対して依頼をして、国がやったということでよろしいんでしょうか。再度、環境生活部長、お願いします。
○議長(坂本 登君) 環境生活部長。
  〔栗山隆博君、登壇〕
○環境生活部長(栗山隆博君) 確かに、最初の覆土の行為は県が行ったものではございませんし、最終の今の現状になった、原状回復ができた部分は、事業者が行ったものでもございません。ただ、県としては、今、原状回復ができた、この覆土の行為ができたことは、現状において、県がそのときの現場の状況なり、いろんな周辺の環境に配慮して勘案をした上で、関係者の御協力を得て、最も適切な対応がとられたものだと、そのように考えている次第でございます。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 周辺の皆さんに、環境、生活上、害のないようにというようなことの配慮やいろんなことを考えられて、覆土の件についてはいろいろ知恵を出して県としても取り組まれたというようなことはよくわかるんですけども、この産廃事業者の責任というのはどんなふうになるのかというのがちょっとわからないです。事業者には、その部分の費用負担を結果的に求めないということになるんではないかということを指摘して、産廃行政については、しっかりと県民の不安に応える対応をしていただきたいと思います。要望で終わります。
 3点目、看護職員不足問題について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 平成25年版の「厚生労働白書」では、次のように述べられています。「我が国の看護を取り巻く状況は、少子化による養成数の減少、今後の医療ニーズの増大・高度化など、大きく変化しており、今後も患者本位の質の高い医療サービスを実現するため、看護職員を質・量ともに確保することが求められている」と述べられています。
 和歌山県では、今年度から日高看護専門学校が、地元の皆さん初め関係者の皆さんの御努力で開校されました。住民の皆さんや看護現場で働く皆さんにとって、大きな喜びになっていることと思います。
 毎年、看護学校を510名の方が卒業しますが、依然として看護職員不足が続いています。働き続けられる勤務環境が急務の課題になっています。
 国は、医療従事者の勤務環境の改善に向けた取り組みとして、医療機関の労務管理担当者の研修会や都道府県労働局に配置する医療労働専門相談員による医療機関の労務管理に関する相談支援など、ワンストップの支援体制の整備、新たな勤務環境改善のためのマネジメントシステムの具体化に向けた調査研究を行うなど、医療従事者の勤務環境の改善に向けた幅広い施策を医療行政、労働行政が一体となって推進することとしています。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 1つ、第七次看護職員需給見通しではどのようになっていますか。2つ目、看護労働の実態把握と県の取り組みについてお聞かせください。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 第七次看護職員需給見通しについてでございますが、国の看護職員業務従事者届によりますと、平成24年末の県内で就業している看護職員は1万2029人で、平成22年の調査から298人増加しています。しかしながら、第七次看護職員需給見通しでは平成27年に256人が不足すると推計しており、看護職員の確保対策は喫緊の課題であると考えております。
 県といたしましては、日高看護専門学校新設への支援を行うとともに、県外の看護学生等のUターン・Iターン推進や潜在看護職員の臨床実務研修など、再就業支援に取り組んでいるところです。
 次に、看護労働の実態把握と取り組みについては、毎年の病院立入検査にあわせて行っている看護実施状況調査等において、平成25年7月の1人平均夜勤時間は、県内の86病院中、16病院で72時間を超えていました。また、「看護職員が不足している」、「業務量が増加している」、「夜勤や超過勤務が多く、心身に疲労がある」などの意見がありました。
 県におきましては、これらのことを踏まえ、ナースステーションの拡充など働きやすい病棟づくりへの支援、子供を持つ職員が安心して働けるよう病院内保育所の設置促進等に取り組んでいます。
 また、平成24年度から、多様な勤務形態の導入に取り組む病院に対し、和歌山労働局と連携し、ワーク・ライフ・バランスに関する調査を行い、アドバイザーの派遣による助言などにより環境改善を促進しています。
 さらに、医療機関の勤務環境改善に係るワンストップ相談支援体制の整備に向け、取り組んでいるところです。
 今後とも、看護職員の充足状況や看護実態の把握に努め、養成力確保、就業促進、離職防止、資質向上を4本柱に、看護職員の確保対策に取り組んでまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 まだまだ看護現場は非常に厳しいという認識を持っていただいているということがわかったんですが、そういう中で、看護師確保対策という中で今後実態を把握していくということでの答弁をいただいて、それに関連して、県としては、各病院に対して独自の看護実施状況調査というのをされているとお聞きしています。そういった中からも見られることがあるかと思いますが、さらに労働実態を、そこで実際に働く人の立場からもぜひ把握していただきたいというお願いをしておきたいと思います。
 というのも、いろいろとお聞きしてる中で、せっかく若い人が出産してその後も働きたいと思っても、やはり正職員でなかなか3交代ができない。出産後すぐは3交代はなかなかできません。そういった中では、正規職員になれないとか、一旦退職しないといけないとか、そんな状況があったりすることとか、また、病院内保育所を利用したいと思ってもなかなか十分な体制でなくて利用がかなわないとか、そういう状況も聞いています。
 先ほどの労働時間の超過勤務状況の把握とかいうことですが、その超過勤務についても、前残業というような、仕事に入る前にまず早く出勤して残業して、それで仕事に入るという、そんな勤務をされてる職場もお聞きするんです。残業で前残業って何かちょっと理解しにくいかと思うんですけど、そんな実態とか含めて、まだまだそういう実際の勤務時間とか、3交代して夜勤はどれぐらいの回数やってるかとか、そういうようなことも含めて総合的な把握をこの看護現場の実施状況とあわせてしっかり取り組んでいただきたいなあというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いします。これは要望です。
 次、4点目は、医療の供給体制について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 今、国会において、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案──以後、「医療・介護総合法案」と呼ばせていただきますが──この法案が検討されています。政府は、高齢化のピークとされる2025年までに入院用ベッドを抜本的に再編、削減することを計画して、特に看護師の配置が厚い7対1病床──入院患者さん7人に看護師1人──については、2014年から15年の2年間で9万床を減らそうとしています。
 法案には、病床機能報告制度を設けて、都道府県に各病院の病床を再編するような計画をつくらせ、都道府県主導でベッド削減を推し進める仕組みが盛り込まれていると思います。病院に病床削減や増床中止を勧告する権限を知事に与えて、従わない場合はペナルティーまで科していこうというものです。
 政府は、14年度の診療報酬改定にも、急性期患者の入院日数の制限や在宅化の実績が低い病院に対する報酬削減など、入院の短期化に向けた制度改変を盛り込みました。法制度と診療報酬の両面から患者さんを病院から一層追い出すということになります。県民にとって、ますます入院ができない、入院できてもすぐ退院ということになり、不安が広がっています。
 そこで、お尋ねいたします。
 1、第二期和歌山県医療費適正化計画の目的は何ですか。2、第六次保健医療計画における病床数の考え方についてはどういったものですか。3、県民が安心して医療を受けられるように今後の医療供給体制の取り組みについて、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(坂本 登君) 福祉保健部長。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 第二期和歌山県医療費適正化計画の目的でございますが、この計画は、和歌山県保健医療計画、和歌山県健康増進計画、わかやま長寿プランの取り組みと整合性を図りながら、国民皆保険制度を将来にわたって維持するため、生活習慣病の予防など県民の健康の保持・増進と、医療機関の機能分化、連携による効率的な医療の提供により医療費の伸びを抑制し、誰もが安心して良質かつ適切な医療サービスを受けられる体制の確保を目的としております。
 次に、第六次保健医療計画における病床数の考え方ですが、本計画では、2次保健医療圏ごとに基準病床数を定めております。既存病床数が基準病床数を上回っている圏域においては、原則として病床の新設または増加が制限されますが、上回っていることを理由に病床削減の義務が課されるものではありません。
 次に、安心の医療供給体制についてですが、病床機能報告制度に基づく地域医療ビジョンの策定は、各医療機関の医療機能が不明確である現状を踏まえ、病床を急性期、回復期といった機能別に区分し、実情に見合ったバランスのよい病床配置など、本県の医療提供体制の構築に資するものであり、大変重要な取り組みであると認識しております。このような医療提供体制を構築するには、医療機関の御理解を初め、地域の医療需要の把握や将来推計なども重要であると考えております。
 国は、医療法等改正法案を今通常国会に提出しておりますが、それが成立すれば速やかに地域医療ビジョンの具体的なガイドラインの検討に入るとしておりますので、引き続き国の動向の把握に努めるとともに、必要に応じ他府県とも連携しながら、地域の実情に応じた制度となるよう働きかけてまいります。
○議長(坂本 登君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、国会で審議されている医療・介護総合法案は、入院患者さんを強引に在宅に押し戻す一方、要支援者、軽度者への在宅サービスを後退させて施設にも入所させないというものになっていると思います。給付費削減のため、公的保険で医療・介護を受けられる人を限定する内容です。これでは、県民の安心は得られないのではないでしょうか。県としても、しっかりと国に対して安心の医療体制を求めていただきたいと思います。
 これを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(坂本 登君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時28分休憩
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