平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
平成25年12月 和歌山県議会定例会会議録
第3号(全文)
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平成25年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
平成25年12月11日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第136号から議案第162号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第136号から議案第162号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(40人)
1番 立谷誠一
2番 濱口太史
3番 尾崎太郎
4番 藤山将材
5番 新島 雄
6番 山下直也
7番 門 三佐博
8番 井出益弘
9番 鈴木太雄
10番 岩田弘彦
11番 服部 一
12番 山本茂博
13番 山田正彦
14番 坂本 登
15番 宇治田栄蔵
16番 尾崎要二
17番 平木哲朗
18番 岸本 健
19番 前芝雅嗣
20番 浅井修一郎
21番 中村裕一
22番 冨安民浩
23番 森 礼子
24番 中 拓哉
25番 花田健吉
26番 角田秀樹
27番 吉井和視
28番 向井嘉久藏
29番 谷口和樹
30番 多田純一
31番 片桐章浩
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 大沢広太郎
35番 谷 洋一
37番 高田由一
38番 奥村規子
40番 松坂英樹
41番 長坂隆司
42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
36番 欠員
39番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 和歌哲也
国体推進監 若宮茂樹
危機管理監 木村雅人
総務部長 市川靖之
企画部長 野田寛芳
環境生活部長 塩崎 望
福祉保健部長 中川伸児
商工観光労働部長 藤本陽司
農林水産部長 増谷行紀
県土整備部長 石原康弘
会計管理者 植山 均
教育委員会委員 竹山早穂
教育長 西下博通
公安委員会委員長 片山博臣
警察本部長 植田秀人
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 保田栄一
選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 宮端 宏
次長 上坊 晃
議事課長 堀 達也
議事課副課長 中谷政紀
議事課課長補佐兼議事班長
中井 寛
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 岸裏真延
総務課長 谷 巌
政策調査課長 谷村守彦
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午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第136号から議案第162号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
34番大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。
議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。
今回は、2年後の紀の国国体に向けての道路整備についてや旧南紀白浜空港の跡地利用対策、また軽自動車税の引き上げなどについての3項目についてお伺いをいたしたいと思います。
2015紀の国わかやま国体と全国障害者スポーツ大会が、2年後の9月26日から開催をされます。県や市町村では、この国体に向け、ハード、そしてソフト面での事業整備を加速化させています。県では、近畿自動車道紀勢線や京奈和道といった高速道路を初め、幹線道路のネットワーク強化など、公共インフラの整備に全力を挙げています。
その中でも主なものを取り上げてみますと、民主党政権下ではすっとこ進まなかった近畿道紀勢線の有田─南紀田辺間の4車線化が事業着手されたほか、南紀田辺─すさみ間が、国体開催までの供用に向けて事業が進められています。このほか、すさみ─太地間と新宮─大泊間での現地調査がスタートしています。これは、紀伊半島一周道路が現実のものとなりつつあります。
また、京奈和道も、現在、県内で供用中の橋本─かつらぎ間に続いて、かつらぎ─打田間が今年度末の供用に向けて急ピッチで工事が進められています。
私も、去る7月、建設委員会のメンバーとともに、京奈和道の紀の川インターチェンジやかつらぎ西インターチェンジなどの整備事業の視察に訪れ、工事の進捗ぶりを目の当たりにいたしました。この京奈和道の紀北西道路とされる打田─和歌山ジャンクション間は、国体に向けての供用開始を目指しているということでありますが、道だけに「未知数」の部分があるということであります。このほか一般国道では、第二阪和道の和歌山岬道路も、国体開催までの供用に向けて整備推進をされているとのことであります。
2年後の国体の競技会場は、開会式の行われる和歌山市やその周辺の市や町、それに田辺・西牟婁地方にほぼ集中をしています。これは、ホテルやビジネスホテルが数多くある和歌山市や白浜、田辺にスポットが当てられたものだと思われるわけであります。
ここで、市町村の一般道での道路事情について触れてみたいと思います。
私の地元田辺市では、田鶴交差点を中心に土日祝日には大きな交通渋滞が生じています。国体までには、すさみまで高速が延伸をされ白浜インターチェンジが設けられると、田鶴交差点周辺での渋滞は緩和されると見られていますが、私がさきの本会議で提唱した田鶴交差点から白浜道路にかけての片側2車線の道路拡幅整備事業や、白浜インターから空港やアドベンチャーワールドに通じる通称「フラワーロード」の整備促進にも力を注いでいただきたい次第であります。
もう1つの懸念は、開会式を初め多くの競技が開催をされる和歌山市での道路事情であります。
私は、田辺市から和歌山市に来る場合、ほとんど海南インターでおりて県庁へと向かっています。なぜなら、和歌山インターでおりると、24号バイパスの栗栖から田中町にかけての渋滞が頻繁に起きているためであります。この付近での渋滞緩和策の1つとして、先月末には県道和歌山橋本線のバイパス1.3キロが開通をいたしました。
このほか、和歌山インターのそばを走る市駅小倉線の整備事業で、県が事業主体となった栗栖地区など道路が拡幅され、片側2車線で供用されることになりました。しかしながら、国道から西側部分の整備ですが、この部分は和歌山市が事業を担当していますが、用地買収のおくれなどから、新しい道路の姿、形はありません。このため、新しい交差点も、少し変わったT字路交差点として運用されています。
聞くところによりますと、このほか、和歌山市内では、整備予定の主要幹線道路では、用地買収のおくれから整備計画が国体までに間に合わない路線が幾つも生じるとのことであります。
このほど退任表明をした大橋市長に対して仁坂知事は、記者会見で、「任期満了が来年8月末まであるのに退任表明の時期が早かったのでは。レームダック、いわゆる死に体に余り早くならないほうがよい」と述べています。また、私の知り合いの市役所OBは、政治空白が生じるのは間違いないが、道路整備のおくれなどから見ても、退任表明以前からレームダック状態にあるとも指摘をしています。
そこで、国体に向けての高速道などの整備推進についてや、国体での宿泊客が集中をする和歌山市や田辺、白浜での道路整備についての取り組みを知事にお伺いをいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成27年9月から開催される紀の国わかやま国体・わかやま大会に向けての県内の高速道路を初めとした幹線道路の整備については、議員御指摘のように、まず近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間、京奈和自動車道紀北西道路のほか、那智勝浦道路、和歌山岬道路など、事業中区間の国体開催までの供用を国に働きかけております。
27年度いっぱいということで結構予算化はしてくれているんですけれども、27年度いっぱいでぎりぎり間に合うということは、28年3月になるわけですから、それでは困るので、これをスピードアップするように一生懸命働きかけをしたり、あるいは県でいろいろ協力できることがあったら全力を挙げてやって障害を除去するというような形で努力をしてるところでございます。
また、和歌山市内では、御指摘のように、これは都市計画道路が随分長い間未整備で放置されておりましたが、この都市計画道路は県と市でそれぞれ分担をしております。国体までには、これは県の部分でございますけれども、松島本渡線とか南港山東線、西脇山口線などの幹線道路において、都市部の渋滞回避を図るための整備に取り組んでおりまして、国体までに目標を決めて、今これまた全力を挙げているところでございます。
市役所の話がございましたが、市役所の部分がおくれることによって全体意味をなさないということになっては困りますので、市役所に一生懸命働きかけをいたしまして、それである程度めどをつけつつあると──一部ですね──そういう形でございます。
一方、田辺・白浜地方では、国道42号田鶴交差点の改良事業が、これは政権交代で1回頓挫をしてしまったんですけれども、また復活をいたしまして、現在鋭意工事中でございます。
それから、白浜インターチェンジと、それから南紀白浜空港を接続する白浜空港フラワーラインの整備についても、これは国体まで最低限のところはやってしまわないといけないということで、そこはもう必ず整備をするということで、現在取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、700日を切った国体の開催に向けて、高速道路の整備を初め、国体に密接に関連する区間の整備、これには必ず国体までに仕上げるということで、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 道路整備については、知事の力強い答弁をいただきましてありがとうございました。
続きまして、知事がいつも提唱する府県間道路、そして川筋ネットワーク道路の整備について質問を続けます。
先月、県は、橋本市と大阪・河内長野市を結ぶ府県間道路、国道371号バイパスの未着手だった部分、新紀見トンネルの着工に向けて取り組むと発表をいたしました。仁坂知事は、「大阪府側が資金難を理由に計画がとまってしまっていたが、やっと事業化にこぎつけられることができた」と話しています。しかしながら、この371号バイパス、着工から5年もかかるとのことであります。
また、泉佐野岩出線では、本県側がほぼ整備されているものの、大阪側の整備がおくれている状態であるとのことであります。
このほか、整備が進んでいない泉佐野打田線や、かつらぎ町と和泉市を結ぶ国道480号も整備促進が急がれています。
この大阪府との大きなパイプとなる道路整備は、阪和道や京奈和道の補完道路となり、広域観光ルートの形成や企業誘致、農産物搬送の競争力強化にも大きく貢献することは間違いありません。大阪府側は、維新の会の知事が2代続けて務めるなど、本県との府県間道路予算が少ないとして未整備区間が目立っているとのことであります。
そこで、府県間道路の整備推進に向けての取り組みについて、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長石原康弘君。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山県北部地域と大阪府南部地域を放射状に結ぶ府県間道路を関西大環状道路の一部として構成する京奈和自動車道と一体として整備することは、地域の活性化はもとより、国体開催時の円滑な交通確保のためにも不可欠であると考えております。
このため、国道371号につきましては、今年度末には橋本バイパスを暫定供用するとともに、仮称・新紀見トンネルにつきまして、来年度から事業着手することで大阪府と調整が整いました。
また、国道480号の鍋谷峠道路につきましては、国体開催や高野山開創1200年までの供用に向けた事業推進を国に働きかけているところです。
さらに、県道泉佐野打田線や泉佐野岩出線につきましては、県側の整備は完了しており、泉佐野岩出線の残る大阪府側の未整備区間につきましても、今年度中に2車線で供用できるよう整備を進めていると聞いております。
県としましては、今後とも、さらなる整備推進を国や大阪府に粘り強く働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 続きまして、川筋道路の整備についてであります。
まず、私の地元田辺市を横断する富田川沿いの国道311号は、紀南地方の幹線道路の代表格として毎年整備が進められていますが、中辺路や本宮町内を初め、急カーブや急な下り坂、それに道幅が狭いところなど、あちこち点在をしており、整備が見込まれる箇所が数多くあります。
また、和歌山市を流れる紀の川流域では、近年、和歌山北インターの整備により、周辺道路も拡幅などが進められています。しかしながら、交通渋滞は各地で生じています。
そこで、和歌山北インターから紀の川河口大橋までの整備推進であります。
北島橋と紀の川大橋を結ぶ道路は、道幅が極めて狭く、県道にはなっていません。この区間の整備を進めれば、和歌山北インターから和歌山港や和歌山製鉄所への貨物の物流がスムーズになるほか、さきに述べました国道24号の渋滞も緩和されるのは間違いありません。県としては川筋道路の整備にどう取り組むのか、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 川筋ネットワーク道路は、高速道路の整備効果を県内全域へ波及させるため、X軸ネットワーク道路とあわせて整備することで幹線道路のネットワーク化が図られるものと考えております。
富田川沿いの国道311号につきましては既に2車線改良済みでありますが、現在、上富田町市ノ瀬地内及び田辺市中辺路町栗栖川地内におきまして、歩道整備などを進めているところであります。
また、紀の川沿いの和歌山北インターチェンジから紀の川河口大橋までのうち、議員御指摘の北島橋から紀の川大橋間につきましては、和歌山市の要望を受けて、平成24年度に都市計画事業として県が事業化し、現在、道路詳細設計や関係機関協議等を進めているところです。
また、県道芳養清川線の田辺市上芳養からみなべ町清川間の仮称・面谷トンネルにつきましても、平成26年度の着工に向けて準備を進めております。
県としましては、川筋ネットワーク道路の整備につきまして、平成29年度概成を目標に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 次に、旧南紀白浜空港の跡地利用についてお伺いをいたします。
かつての南紀白浜空港は、プロペラ機のYS11が首都圏と南紀白浜間を飛行して、多くの観光客を運んできました。時代の流れとともにジェット化され、そして切りかわり、新南紀白浜空港が平成8年にオープンをいたしました。それに伴い、旧空港は閉鎖され、跡地の恒久的利用について調査検討が行われました。
この跡地、新空港に隣接した広大な土地を有効活用しようと航空工学系の大学の設置構想が持ち上がり、平成11年度に当時の西口知事が和歌山工科大学の整備事業を立ち上げました。このため、地元は、時代にマッチした画期的な事業だ、多くの学生らで周辺地帯は大変潤うなどと大きな期待の声が寄せられました。しかし、翌年度には、新しく就任した木村知事は、新規の地方大学では学生の確保が難しく経営が成り立たない、財政的にも厳しいとして、この事業の凍結を決めました。
その後、跡地の一般利用が始まりましたが、何分にも土地が広過ぎます。総面積は約47ヘクタールで、甲子園球場のおよそ9個分もあり、このうち整地部分では県有地が約6割を占め、残りは白浜町有地となっています。
この土地、利用計画はいまだに立っておらず、これまでには警察や自衛隊などによる防災訓練、ソーラーカーの走行実験、また白浜町はパーク・アンド・ライドの駐車場として使用してきましたが、廃港当時の目的である恒久的利用には至っていません。
近年、県は、この跡地を広域防災拠点に指定し、大規模災害時には、日高、西牟婁、東牟婁地域の支援の拠点とするほか、自衛隊、警察などの応援要員の一時集結地やベースキャンプなどとして利用するとしています。さらに、国の広域医療搬送の拠点としても指定をされています。
また、一昨年の台風12号の際には、自衛隊の活動拠点として使われました。しかしながら、この広大な跡地は、訓練やイベントなどで年に20回程度しか使われていないのが現状であります。
そこで、この土地のさらなる有効利用について県としてどう取り組むのか、企画部長にお伺いをいたします。
○議長(山田正彦君) 企画部長野田寛芳君。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 旧南紀白浜空港の跡地利用についてでございますが、ここは整地部分だけでも20ヘクタール余りありまして、県内でも数少ない広大な土地で、特に紀南地方の活性化のためには貴重な土地であると認識してございます。
敷地内では、限定的ではありますが、白浜消防署が平成21年度に、それから白浜警察署が平成22年度に移転整備されております。また、訓練や各種イベントなどに年間大体50日から90日間程度使われているほか、議員御指摘のとおり、一昨年の台風12号の際には自衛隊の活動拠点などに活用されました。
この土地につきましては、このように災害時の広域防災拠点としての大切な役割を担っていると同時に、日本有数の観光地である白浜温泉の真ん中に位置するという利点を生かしまして、にぎわいがあり、雇用が生まれ、誘客が図れる施設による有効利用がふさわしいと考えております。
高速道路の南伸により、空港周辺の道路整備が促進されるのを好機と捉えまして、新たな訪問の動機づけとなるような集客能力の高い商業施設を目標にいたしまして、東京事務所や商工観光労働部とともに、今、誘致活動をしているところでございます。
今後も、用地の一部を所有する白浜町と連携しながら、紀南地方全体の活性化につながる利活用に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 この広い土地、遊休地状態にしておくのは、もったいない次第であります。そこで、幾つか提案をさせていただきます。
一月に2回ぐらいしか訓練会場として利用しないのではなく、消防や警察、行政機関などが一体となって活動できる西日本最大級の大規模な総合防災訓練場の設置であります。
この訓練場、1年を通じていつでも訓練ができる常設の拠点施設であります。訓練場には、大災害の本番時を想定した土砂崩れ、そして現場での人命救助訓練現場や、倒れた電柱などの撤去活動や、水道、ガスなどのライフライン復旧訓練場、各地から大量に送られてくる救援物資などの区分け作業がスムーズにできる訓練場、また、簡易式仮設住宅がいち早く設置できる建設訓練場などであります。
さらに、防災・減災の啓発教育センターを設置すれば、白浜温泉や紀南地方への小中学生や老人クラブのお年寄りの誘致にもなり、観光と防災をコラボさせた一大イベントにもつながるわけであります。このほか、何百棟もの組み立て式の簡易仮設住宅や大量の食料品や衣料品などを、空港を利用してどこの被災地にも運べる大規模防災備蓄基地づくりに取り組まれてはいかがでしょうか。
これは、関西や四国、東海など広域にわたる地域への支援活動にもつながることから、国の強力な支援が必要不可欠であります。したがって、このような大規模施設づくりに向けて国に強く働きかけてはいかがでしょうか。この取り組みについて、危機管理監にお伺いをいたします。
○議長(山田正彦君) 危機管理監木村雅人君。
〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 大規模災害時には、自衛隊、海上保安庁を初め、防災関係機関の多くのヘリコプターが全国から集まってくることになっております。平成23年9月の紀伊半島大水害では、1日最大15機ものヘリコプターが、広域防災拠点である旧南紀白浜空港跡地を使って救助・救援活動を行いました。
南海トラフ地震を想定した場合、現在のところ、さらに多くのヘリコプターが南紀白浜空港及び旧空港の全域を利用して活動することが想定されており、その中で、少しでも多くのスペースを確保する必要があります。常設の大規模な総合防災訓練場等につきましては、ヘリコプターの活動に支障を生じさせるものでありますので、旧南紀白浜空港跡地に設置をすることは適当ではないと考えております。
以上です。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 あの跡地、不適当でないというような答弁でありました。(「適当でない」と呼ぶ者あり)違うんか。
○議長(山田正彦君) 「適当でない」。
○大沢広太郎君 「適当で」か。適当でないということだそうでありますが、適当であるかないかは別として、災害の来ないのは、これは大変ありがたいことであるし、結構なことだと思うんですが、例えば、災害が来たときのために、この20ヘクタールもある平地をいつまでも──来たらそらもう活用するのは間違いありません。便利もええし、飛行機もヘリコプターもすぐ発着ができる、空港も横にあるし、これはもう一番便利なという場所は我々もよくわかってます。しかし、災害が来なんだらいいんですけれども、来ないからいうて、20年も30年も災害が来なんだら、20年も30年も跡地をこのままほっとくんですか。その辺のとこをもう一遍ちょっと答弁してください。
○議長(山田正彦君) 危機管理監。
〔木村雅人君、登壇〕
○危機管理監(木村雅人君) 現在、先ほども企画部長の答弁にもありましたように、跡地を利用して商業施設の誘致を図っているということを聞いております。
危機管理局としては、その辺の動向を見ながら、現在、南海トラフ等の大規模災害が参ったときには、本当に多くの航空機、ヘリコプターの利用が想像されますので、できる限り確保したいという気持ちは十分にございます。
ただ、大沢議員がおっしゃいましたように、20年、30年ほっとくのかということでございますけれども、これにつきましては、やはりそのときそのときの時代の流れもありますので、その時代に合った使い方をしていくのが適当かと思います。とりあえず今のところ、危機管理局としては、有効に大規模災害に備えて全域を使いたいというふうな考えを持っております。
以上です。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 広大な土地を有効利用するためには、大規模防災施設の設置など、もっと積極的な行政活動を展開していただくよう要望をいたします。
さらに、いざ大災害が発生した際を見据えた上で質問を続けます。
在日米軍の最新鋭輸送機オスプレイを旧南紀白浜空港に誘致して訓練を展開していただき、災害本番時にも対応できるように取り組まれてはいかがでしょうか。
仁坂知事は、3月初め、オスプレイの飛行ルートが和歌山・四国ルートに変更された際、全然説明がないとして不快感を示しました。しかし、知事は、「日米安保には反対ではなく、訓練していけないとは言わない」と述べていました。高知や静岡では、沖縄県民の悲願でもある米軍基地の負担軽減を進めようと、オスプレイを配備したアメリカ海兵隊を誘致する動きが水面下で活発化していると聞いております。
このオスプレイ、アメリカ大統領を運ぶマリーンワンと呼ばれる専用機として利用をされています。また、従来のヘリコプターより事故発生率は低いほか、時速519キロの最高速度を誇り、従来のヘリに比べて騒音は低いほか、2倍の速度、約3倍の荷物が搭載できたり、何といっても飛行距離が4倍に上っています。このほか、機内への収容人員は24人と多く、12床分のけが人を収容するベッドが配置できるなど、すぐれた最新鋭の機能が備えられており、去る10月には高知県での防災訓練に参加する予定でしたが、台風接近のため中止になったとのことであります。
私は、先月25日、当議会の同僚ら22人とともに、沖縄と南方の地域で本県の戦没者約2万柱を祭る紀乃國之塔の追悼式に参列した後、普天間基地の視察に訪れました。そこで、在日米軍の日本の防衛への取り組みや沖縄を初めとする地域貢献活動、それにオスプレイの高性能ぶりについて説明を受けました。
また、今月3日、我が自由民主党県議団の招きで講演に来ていただいたアメリカ海兵隊政務外交部のエルドリッジ次長は、「トモダチ作戦とその後」というテーマで、しかも流暢な日本語で、日米関係の重要性や高性能のオスプレイの意義、それに東日本大震災での支援・協力活動で生まれた人と人とのきずなの大切さなどについて、時折涙を交えながら熱く語ってくれた次第であります。
そこで、仁坂知事にお伺いをいたします。
紀伊半島を中心に広域での大災害が発生した場合、自衛隊や消防だけでは対応できないケースも想定されます。旧南紀白浜空港でのオスプレイの訓練の誘致に向けてどう取り組まれるのかについて、答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 米軍と自衛隊の軍事訓練、これは政府が米国との調整の上、実施するものでございまして、これは県がかかわるものではないと考えております。
一方、もう1つの活動でございます防災活動あるいは災害対策活動、こういうものについては、県が行う防災訓練につきましては県民の命を守るためにさまざまな防災関係機関に訓練参加を要請しているところでございまして、自衛隊に対しては、そのように「いつも参加してください」と言って要請をしております。ただ、国の仕組み上、米軍には直接要請することはなくて、これは自衛隊がいろいろなアレンジをしてくださるということではないかと思います。
東日本大震災における米軍のトモダチ作戦による支援活動は、被災地にとって大変有効であったと思いますし、被災地の方々も大変感謝をしている。日本人の一員としても、そういうふうに私も思っております。
大規模災害時には、1人でも多くの県民の命を助けるということが一番大事でございまして、そのためには、あらゆる機関からその持てる資源を総動員して支援していただくということが必要であると認識しております。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 オスプレイの答弁についてですが、つい最近になって日米両政府は、東日本大震災での当時の民主党政権での対応のまずさを踏まえて、これまで有事に限った防衛協力の枠組みを超えて大災害時にも広げるとして、日米防衛協力のガイドラインにも盛り込む方向で調整に入ったということであります。
このような大災害に備えての日米間の動きも見据えた上で、本県の防災対策の強い取り組みについて国に強く働きかけるとともに、県民、国民の安心・安全の確保に向けて取り組んでいただきますよう、強く要望いたしたいと思います。
続きまして、過疎問題で深刻な本県にあって、再び浮上してきた軽自動車税の引き上げ、つまり消費者目線で実質の値上げについてであります。
この問題、私は、3年前の12月議会で取り上げました。そこで、強く引き上げ反対を訴えた次第であります。紀南や紀北の山間部を中心に公共交通の空白地帯が多い地方の住民は、軽自動車や乗用車を一家に何台も所有し、電車やバスにかわる交通手段として利用しています。
先日の新聞報道によりますと、税金が安く、燃料のよい軽自動車が人気を呼び、ことしの新車の販売台数が過去最高の210万台前後になるとのことであります。本県では軽自動車の保有台数は37万台で、私が質問した後、軽自動車は普通自動車の数を初めて上回り、現在に至っています。これは、地方の田舎に住む人たちは、税額が年7200円と安い軽自動車に頼って生活をしているからであります。
この税の引き上げ、消費税アップに伴い自動車取得税がなくなると地方税が減少するとして、見直しが行われているとのことであります。先週、総務省が打ち出した案では、軽自動車税は現行の1.5倍の年1万800円、2倍になると年1万4400円の2つの案が浮上し、与党幹部に提示したと報道をされています。この値上げの影響で地方の住民の負担は大きく、利便性の低下が必至となるのは間違いありません。
そこで、仁坂知事におかれましては、地方の住民の足でもある軽自動車の利便性を維持するためにも、過疎問題を抱える道府県の知事とも連携をとりながら政府などに働きかけ、軽自動車税の引き上げ反対に向けて取り組んでいただきたい次第であります。知事の答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成25年度税制改正において、消費税10%段階での自動車取得税の廃止の方向性が示されましたので、現在、与党税制調査会において、地方の代替財源確保のさまざまな方策の1つとして軽自動車税の見直しが議論されているところであります。
これは、そもそも消費税を取って──消費税というのは取得段階でかかりますので、消費税を取りながら自動車取得税をさらに存続させるというのは、ダブル課税であって理にかなわないというところから発生している問題でございます。
一方、その取得税は、県税であったり、あるいは軽については市町村税の部分が多いもんですから、市町村を中心として──県もそうですが──税収が減ってしまうということがございます。税収が減られたら困るということで、これをどうしようかという議論があったわけでございます。
ことし、総務省などから出てきた案は、取得税はやめるけれども、かわりに保有税を増税すると、その際、かねて問題が指摘されておりました普通車に対して軽自動車税が安過ぎると、これを調整したほうがよろしいということが背景にあって、それで、普通車に対する取得税も見直すんですけれども、軽自動車税の額をかなり上げて、それでもって取得税による収入の減を解消しようと、こういうような案が出てきているわけでございます。
自治体サイド及び総務省としては、税収が確保されればそれでよろしいということで、むしろ全国市長会とか、あるいは全国町村会からは、自動車税との負担の均衡を考慮した軽自動車税の税率の見直し、すなわち引き上げてもよろしいと、あるいは引き上げておくべきだというような議論が言われているわけでございます。
私は、これは何とも情けない話だというふうに思っております。というのは、市町村にしても、もちろん県もそうですが、経営体としての市町村の経営、税収、そういうことはございます。しかし、その税収があれば、その住んでいる住民が重課されてもいいのかということについて、我々はそれ以上に、自分の経営体としての収入以上に思いをいたさなきゃいけないと私は思うのであります。
特に、実は軽自動車の保有割合は、地方において圧倒的に多いわけでございます。例えば東京などは、普通車が多くて軽が少ない。しかし、和歌山県を初め地方に存在する、地方部にある県は、軽自動車が圧倒的に多い。さすれば、軽自動車税を上げるということは、実は地方住民からたくさん取り上げて、それで結果的には、東京都の住民なんかは取得税がなくなった分だけまあよろしいということになる。これは、地方、田舎から都会への所得移転ではないかというふうに私は思います。
そもそも、消費税を上げたときに、消費税収が国も上がるわけですから、取得税をやめて、その消費税収の一部を収入が減る地方に回すべきであったと私は思います。そういうことを回さないで、地方のこの自動車関係の税収の中で調整しようとしているのがおかしいというふうに思っておりまして、それならば交付税の一部を市町村に回せばいいじゃないかと。たまたま、これは一般的な税収で回してもいいんですが、自動車関係でいえば重量税というのは、国と地方がそれぞれシェアをしてるわけでございますが、自動車重量税なんかでそのシェアの割合を変えればいいじゃないかというふうに思いまして、実は少し前から、かなり熱心にそういうような案をつくりまして、税調の関係委員とか、あるいは和歌山県選出の国会議員とか、そういう方のところにお願いに回っているところでございます。
また、行政体としての市町村に対しても、県のほうから、住民のことは考えないでいいんですかというような注意は──これは命令をするわけにはいきませんが、そういう注意を喚起しているところでございます。
そういう考え方で私は活動してまいったわけでございますが、例えば知事会の他のメンバーなんかにもいろいろ働きかけをいたしましたが、どうも経営体としての収入のことばっかり考えてるところがございまして、はっきり言うと、私の行動が今のところ余り力にはなっておりません。ただ、1つの意見として、影響は少しは与えているんじゃないかというふうにも思っております。
そういう観点から、この税制調査会、もう与党でいろんな議論が行われていて、大詰めに来ていると思っておりますが、心配をしながら注意深く見守っているところでございます。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 答弁いただきました。
近いうちに税調が開かれるということでありますので、一層早急な取り組みをお願いして、要望といたします。
それで、最後の質問に移ります。高速道路料金の値上げについてであります。
これは、来年3月で料金割引の国の財源が終了することから、高速道路会社のETC搭載車に適用されている平日昼間3割引きをなくしたり、深夜0時から午前6時までの割引料金を半額から3割引きにするなど、料金体系の見直しを打ち出しました。
この値上げは、高速道路利用者には大きな負担が強いられます。こうなりますと、観光立県、観光推進県を唱える本県にとって、マイカーを利用する観光客の減少や、農林水産物を都市圏へ運んでいる紀南地方を初めとする本県の運送業者らにとって、ガソリンや軽油の値上がりとともに輸送コストの大幅引き上げとなり、特に中小の運送業者には死活問題となるのは必至であります。
そこで、知事におかれましては、地方の高速道路の料金引き上げを見直すように強く国に働きかけていただきたい次第であります。知事の答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 高速道路料金割引につきましては、平成20年度から国の緊急経済対策として実施されておりまして、県民の負担軽減や誘客効果があったというふうに考えております。一般的に言えば、一国民としては料金が低いほうがいいし、それからまた御指摘のように、なかなかコストを合わすのが大変なんですね。採算を合わすのが大変な運送業者の方とか産業界の方なんかは、なかなか切実な問題として意識しておられるというふうにも感じております。
一方、実は、よくよく中身を分析してまいりますと、休日上限1000円割引であっても、これがございましたときに、別料金の大都市近郊区間を通過せざるを得ない本県は、他の地域に比べて2.5倍以上の負担を強いられたという現実もあったんです。
また、休日の5割引でも、より遠方への利用のほうが割安感が大きくなるということで、特に京阪神から紀南にというような方々が主力である和歌山の高速道路については、観光という観点からいえば、和歌山県の観光地よりも他の観光地を選択するというインセンティブが働きまして、相対的には少なくともデメリットもあったというところもあるわけであります。
また、全国料金プール制というのが、いろいろ議論はあるんですけども、原則として残っておりますので、NEXCOの収入が減るということは建設費用が減るということになります。我が県の高速道路の整備率は48.3%と、実は現在、47都道府県で最下位という実情にありまして、これが影響しないかなあというような心配もございます。
我が県としては、今は、最も大切なことは紀伊半島一周高速道路を初めとした高速道路ネットワークの整備の推進であると私は思っておりまして、これに必要な予算の確保等について、一番、国や関係機関に働きかけていきたいと思います。ということは、逆にその収入が、予算の確保ができないじゃないかと言われたときになかなかつらいものがあるなあというのが実は私の立場でございます。
○議長(山田正彦君) 大沢広太郎君。
〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 知事の答弁を聞きますと、なるほど難しいなあということを僕も感じるわけですが、だからいうて、私が言うたように料金を下げてほしいということばかり主張しても、なるほど財源がなくなったら紀伊半島一周、特に有田─田辺間の4車線化ということがせっかく事業化が決まっておるわけでありますから、それがまた1年延び、2年延びすることのほうも、これもまたつらいなというようなことにもなりますんで、まあひとつ知事さんのほうで一生懸命にええ判断をしていただいて、両方とも立つようなことでひとつよろしくお願いをして、一般質問を終了したいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
38番奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、2点についてお伺いをいたします。
1点目は、安心の老後の問題です。
県の平成24年度の「指標からみた和歌山県のすがた」によると、65歳以上の老齢人口の割合は、県では27.0%、全国で7番目です。そして、ひとり暮らしの老人世帯の割合では、県は12.8%、全国3番目となっております。2015年には、推計老年人口の割合が、和歌山県31.4%、全国は26.9%です。県の高齢化はさらに進展します。
これまで日本では、長い歴史の間、お年寄りをそれなりに敬いの対象として考えられてきました。長生きはめでたいことの1つとし、お年寄りだけを対象としたさまざまな優遇制度が設けられ、9月15日の敬老の日にはプレゼントを贈り、敬老会を開くなどして長寿をたたえてきました。ところが、今では、財政難を理由に規模を縮小した自治体も多くなっています。
もともと、日本の高齢者に対する福祉・医療制度は貧しい水準でしかありませんでしたが、いっとき老人福祉法や老人医療費の無料化策が施行された時期もありました。しかし、1981年の第二次臨調で、高齢者にも負担については特別扱いしないという考え方になってきました。活力ある福祉社会をつくるには、民間の自由な活動と、社会保障に頼らない個人の自助、自立を柱とするということです。社会保障費を中心に徹底的な制度改革の推進を行い、いわゆる過剰な行政サービスを改めさせることが非常に重要という考え方です。
2001年12月、閣議決定された高齢社会対策大綱では、「高齢者は、全体としてみると健康で活動的であり、経済的にも豊かになっている」から、「健康面でも経済面でも恵まれないという旧来の画一的な高齢者像にとらわれることなく、施策の展開を図る」と述べられています。もはや高齢者は弱者ではないということが強調されるようになったと思います。
これからの高齢社会にふさわしい政策の考え方は、個人の自立や家庭の役割を対象とした自助、共助が中心であり、それに公助も組み合わせた形で、安心できる暮らしを確保するということです。
このような中で、現在、年金の引き下げや消費税、医療、介護などの費用負担がふえる一方、電気代などの値上げで生活が一層厳しくなっています。お年寄りをめぐる悲惨な事件も後を絶たず、火災や事故、孤立死、虐待など、さまざまなことが地域で起こっています。ある地区の自治会長さんは、ひとり暮らしの方が続けて御近所で3人も亡くなり、とてもショックを受けていました。中には、自治会に入られていない方もいて、亡くなられていたことがすぐにはわからなかったようです。
そこで、県として、高齢者の生活実態をまずどのように認識しているのかお尋ねをいたします。福祉保健部長、お答えください。
○議長(山田正彦君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
福祉保健部長中川伸児君。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 本県は、高齢化率に加え、ひとり暮らし高齢者世帯や高齢者夫婦のみ世帯の割合が全国的にも高く、増加傾向にあります。
また、生活保護世帯や、世帯全員が非課税で本人の年金収入が年間80万円以下の介護保険の保険料段階が第2段階以下の低所得の方の割合は、平成23年度末で全国平均の19.0%に対して和歌山県は25.3%と多く、また、平成20年度末の25.0%から、わずかながら増加しております。
このような中、自分の健康や病気、介護、生活費などに悩みや不安を持っている方や、事故、犯罪被害なども増加しており、議員御指摘のように、さまざまな困り事があるものと認識しております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
ぜひここで要望をさせていただきたいんですけども、高齢者の生活実態について、やはり生活保護世帯とか低所得の方が多いということでしたので、各市町村を通して、生活が困難な方々のその生活が、一人一人の暮らしが手のひらに乗るように実態をぜひ把握していただきたいと思います。よろしくお願いして、次の質問に行かせていただきます。
2つ目は、介護保険制度の改正が老後の安心につながるものかということです。
介護保険制度は、2000年4月に始まった社会保険制度です。この制度の目的は、年をとって老化のために心身が衰え、要介護状態となった人が、尊厳が保たれ、その有する能力に応じ自立した生活を営むことができるよう必要なサービスを保険で給付する、これは介護保険法第1条に述べられているものです。
介護保険を運営するのは、市町村となっています。加入するのは65歳以上の人全員と40歳以上の医療保険加入者で、65歳以上の人は、住んでいる市町村が決めた介護保険料を納めます。非課税でも、同じ世帯に市民税課税の人がいれば基準額を納めなければなりません。市民税を払わなくてもよい人でも、年間、和歌山市の場合は3万4870円の負担をしなければなりません。大変重い負担となっています。世帯の全員が所得がなく非課税で、本人の年金が年額80万円以下という人でも、和歌山市では月2900円余り払わなければなりません。介護保険料を払っていないと、介護保険を利用することが非常に困難な制度です。
また、要介護認定を受けないと制度は使えません。要介護認定は、要支援1、2、要介護度1、2、3、4、5の7つのランクに分けられています。
平成25年10月末現在の65歳以上の介護保険加入者数は28万7546人、要介護認定者数は6万3075人、うち要支援者が1万9748人、要介護者が4万3327人となっています。また、平成25年8月のサービス利用者数は5万2687人、うちサービス別の割合は、要支援者の居宅サービスが23.4%、地域密着型サービスが0.1%、要介護者の居宅サービスが半数の52.9%、地域密着型サービスが5.8%、施設サービスが17.8%となっています。このようなことからも、居宅サービスの利用者が圧倒的に多いということがうかがわれます。
これまで制度改定のたびにサービスの利用が制限される一方、保険料の引き上げで自己負担がふえてきました。特に居宅サービスを支えるホームヘルパーの時間短縮の問題は深刻です。ホームヘルプサービスは、在宅生活を支える大きな役割を果たすサービスです。厚生労働省は、報酬改定のたびにこれを切り縮めるような変更を繰り返してきました。
2012年度報酬改定では、これまで1時間で区切られてきたヘルパーの生活援助、掃除、洗濯、調理、買い物などの家事援助が45分とされました。介護報酬も45分未満では1900円、45分以上でも2350円で打ちどめとなっています。現場では、挨拶以外は何も話さず黙々と掃除をして45分でさようなら、味つけも相談せず、調理したおかずを並べて帰るだけのヘルパーの仕事、洗濯機が回っている間に45分が過ぎるので洗濯干し、取り込みは自費サービスという事態になっています。
ある自治体の事業所調査では、時間変更の影響として、利用者の話や相談を聞く時間が減少したことが圧倒的です。掃除や調理内容の見直しや利用者の変化の観察などの情報収集が減少という結果が出ています。ヘルパーが利用者の話を聞く時間もなくなり、掃除や調理の手を抜かなければならなくなっていることがわかります。これでは、利用者への自立への働きかけさえできないということではないでしょうか。
その上に、今、社会保障審議会介護保険部会で検討されている要支援者の保険外し、介護給付の停止は、関係者の皆さんに大きな衝撃を与えています。要支援1、2と認定されている方は全国で154万人、そのうち約100万人が、予防給付で訪問介護やデイサービス、訪問看護、訪問リハビリテーションなど利用をしています。要支援2であれば、認知症対応のグループホームの利用もできます。今度の介護保険制度の見直しでは、それを市町村が行う地域支援事業に移し変え、サービスは、全国一律の種類、内容、運営基準、単価などによるのではなく、内容、料金設定など、市町村の裁量で決める、担い手はボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人などを効率的に活用するというものです。これで、本当に安心の老後につながるものでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 現在、社会保障審議会介護保険部会で介護保険制度の改正が検討されているところですが、介護予防給付の見直しにつきましては、要支援者の訪問介護と通所介護に限り、地域支援事業として実施されることとなっております。そのための財源は介護保険制度内で確保され、市町村はサービスに必要な受け皿整備を行い、高齢者の多様なニーズに対応していくものとされております。
このとおり改正されるならば不安は生じないと考えますが、改正により、今まで利用していた人がサービスを利用できなくなったり、質が低下して不都合が生じることのないよう、今後とも国の動向に注視し、国に対して必要な提案、要望を行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この改正で不安は生じないと言われましたが、私は、全く高齢者の方は不安に感じると思うんです。議会の参考資料に今回の改正についてのいろんなシステムのこととか、そういったことで上げられていますが、予防給付を市町村主体の地域支援事業にということですが、私は国の責任放棄につながっていくと思います。市町村に丸投げをして高齢者の生活を支える援助は継続できるのか、そういったことでは大変疑問に思います。必要な支援が受けられない事態が生じるのではないかということで心配です。
介護保険サービスの給付事業は、その質を担保するため、人員、職員の資格、施設運営など、厚労省が定めた全国一律の基準に基づき実施されているのが介護保険サービスです。
人員、運営基準も示されない中で市町村事業に丸投げするのでは、財政難の自治体が事業メニューを絞り込んで、ボランティアなど専門職以外に任せるなど、費用を削減することも当然考えられるのではないでしょうか。地域によっては受け皿が整わない事態が生まれ、地域格差が生じるのではないでしょうか。また、ボランティアに専門家の代替、公的介護保険サービスの代替を求めること自体が間違いと考えますが、福祉保健部長、再度御答弁お願いします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 地域支援事業への移行が検討されている訪問介護等の受け皿整備につきましては、必要な財源措置を全国知事会などを通じて国に要望しているところです。
また、サービスの質の担保ができるのかという点につきましては、国においてガイドラインの作成が予定されております。
いずれにしましても、市町村での事業実施が円滑にできるよう、格差が生じないよう、県として支援してまいりたいと考えてございます。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 これは要望なんですが、訪問介護を担うホームヘルパーが行う援助というのは、単なる家事の代行ではないということをぜひしっかりと受けとめていただきたいと思います。そういった点から、そういう専門家をどう養成していくのかということを県としても政策の中でしっかりと位置づけて支援をしていく施策を考えていくことをよろしくお願いします。
ホームヘルパーさんは、利用者と関係を築きながら生活援助を行う中で、体の状態とか、また、生活環境に応じて働きかけて生活への意欲を引き出していくという専門職だと思うんです。そんな点で、ボランティアには行政から独立した独自の役割が──ボランティアさんというのは、やはり自主的な活動に基づいてやるべきことだと思いますので、そういった点を考えて、専門職の養成、ホームヘルパーさんの養成が市町村で円滑に成り立っていくように、ぜひ県としても考えてほしいなというふうに要望して、3つ目の質問に移らせていただきます。
3つ目は、老人福祉法に基づく高齢者施策の充実をどのように考え、取り組むのかという質問です。
先ほど、要支援、要介護の認定者数は6万3075人、サービスの利用者数は、そのうち5万2687人と申し上げました。地域では、認定を受けてもサービス利用が大変、介護保険料を納めるのが精いっぱい、認定は受けているがサービス利用料まで払えない、限度額いっぱい使えない、我慢しているなどの声をよく聞きます。
介護を社会保険方式で行っているのは、日本以外には、ドイツ、オランダ、韓国など、ほんのわずかな国だけです。手厚いサービスで老後の安心をつくり出している北欧の諸国は、税方式で、国と自治体の責任で原則無償のサービス提供をする仕組みです。
介護の仕組みの根本的改善は、保険方式を廃止することだと私は考えています。介護難民、介護漂流、介護のための退職などといった問題の根本解決を図るために、介護保険制度の枠内だけに問題解決を限定する制度至上主義的思考から抜け出ることが大事ではないでしょうか。そのためには、県としては、必要な介護が本当に受けられているのか実態を把握し、老人福祉法を生かした取り組みをもっとすべきだと思いますが、県としての取り組み状況をお聞かせください。福祉保健部長にお尋ねします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 市町村では、介護保険に関する住民のニーズを把握するとともに、うまく介護サービスにつなげられていない場合には、地域包括支援センター、民生委員などと連携して、そういった方々が介護サービスを適切に利用できるよう対応しているところです。
介護サービスの利用を控えがちな低所得の方に対しては、利用者負担に対する負担軽減措置があることを引き続き周知に努めてまいります。
次に、老人福祉法を生かした取り組みについてですが、老人福祉法は、老人の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もって老人の福祉を図ることを目的としており、市町村が実施する養護老人ホームへの入所措置などがあります。
そのほか、県としても、介護保険制度など既存事業の充実はもとより、地域で困っているひとり暮らし高齢者などに対しては、さりげない気配りや声かけなどの見守り活動を行う見守り協力員制度や民間事業者との見守り協力協定の締結により、今後も高齢者が老後を安心して暮らすことができるよう、市町村と連携して適切な対応を行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 受け皿の問題で、養護老人ホームは措置制度で入所されるということはお聞きしてるんですけども、ある町の町会議員さんにお尋ねすると、特別養護老人ホームなどは、なかなか介護保険制度が優先されてるような形で、実際、老人福祉法に基づく措置で利用するということが非常に少ないというのか、そんな現状になってると思うんです。
そういった点で、この特別養護老人ホームというのも、老人福祉法との関係ではどういう施設になるんでしょうか。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 老人福祉法の中では、虐待などやむを得ない事由により、市町村が特別養護老人ホームに入所を措置するということができる制度がございます。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 特別養護老人ホームは、介護保険の指定施設である以前に、老人福祉法に基づく設置要件を満たしていないと介護保険法による指定介護老人福祉施設となれず、介護報酬を支給することはできないということになっていると思います。そして、老人福祉法では、今も、身寄りのない生活困窮者など緊急な入所を必要とする高齢者のための措置という制度があると思いますが、特別養護老人ホームも、そういった老人福祉法に基づく措置制度が適用されるということで受けとめてよろしいでしょうか。再度質問いたします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 先ほど申し上げたとおり、虐待などやむを得ない事由により特別養護老人ホームに入所を措置するという制度はございます。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 4つ目の質問をさせていただきます。介護職の養成の強化への取り組みについてお聞きします。
ホームヘルプサービスは、在宅生活を支える大きな役割を果たすサービスです。国は、報酬改定のたびに、これを切り縮めるような変更を繰り返してきました。最初に述べましたが、ヘルパーが利用者の話を聞く時間もなくなり、掃除や調理の手を抜かなければやっていけない状況になっています。
介護現場は、非正規職員の割合が高く、賃金格差も依然として産業平均より大幅に低い状態で、人材不足は深刻です。高齢化の進展に伴い、介護職の養成は重要です。養成の強化への取り組みをお聞かせください。また、介護職員人材確保や質の向上の取り組みをされているということですが、確保数、定着の状況はいかがでしょうか。福祉保健部長、よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 県では、介護分野への新規就業を目指す方を支援する「働きながら資格をとる」介護雇用プログラムや就職相談会、介護体験事業などを実施し、昨年度は約350名が事業所に雇用されたところです。介護雇用プログラム事業では、平成21年度の事業開始から昨年度までに約420名が新規雇用され、当事業による雇用期間の終了後も、約6割の方が引き続き雇用されているところです。
一方、介護技術を初め、認知症やたんの吸引など専門性を高めるための各種研修を実施し、良質なサービスを提供できる介護職員の養成に取り組んでいるところであり、このことが介護職に対する評価を高めるとともに職員の定着にもつながるものと考えております。
また、昨年度から介護報酬に介護職員処遇改善加算が創設され、賃金の引き上げにつながっていることから、全ての事業者において活用されるよう積極的に働きかけているところです。
今後とも、県といたしましては、関係団体等と連携して介護職場への人材の参入を促進するとともに介護職員のキャリアアップ等の支援に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 雇用実績をお伺いして、介護職を選んでいく新規雇用もふえているということなんですが、実態としてはまだまだ求人が多い分野で、そういった中では人材不足というのが今の現実の問題ではないかなあと思いますので、ぜひその点で一層の取り組みをよろしくお願いしたいなと思います。
2007年から2009年にかけて、介護従事者の人材確保を目的とする賃金・労働条件改善の声に対して、当時の自公政権が介護職員処遇改善交付金を臨時的措置として全額国庫負担で行い、さらに民主党政権では、2009年の政権交代時のマニフェストで4万円賃上げを明記しました。しかし、今日まで微々たる改善しか行われていないと思います。依然として、全産業平均よりも大幅に低い賃金水準のままです。
国は、この前答弁していただきましたが、処遇改善交付金を2012年3月で廃止をしました。2015年度報酬改定に向けて、介護職員に限定せずに、事業所従事者に全額国庫負担による処遇改善をぜひ県としても求めていってほしいと思います。これは、済みません、要望にさせていただきます。
最後に、新政策に関して知事にお尋ねいたします。
高齢化率が、さきに述べましたように大変高くなってきますし、なっています。また、低い所得の人も多い県にとって、誰もが安心して老後が送れるようにするためにどのようなことが必要とお考えでしょうか。知事にお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 高齢社会の進展を迎えた今後の本県における高齢者施策として、中長期的な高齢者人口の推移等を踏まえ、健康状態や所得など、それぞれの状況に応じた施策を用意し、和歌山に住んでいれば老後は安心だと見通しが立てられるようにしていきたいと念願しております。
そのため、大きな次のような4本柱で安全・安心の施策を推進してはどうかということで、現在、新施策としていろいろ検討をしているところでございます。
1つ目は、高齢者の地域での見守り。隣近所のつながりが希薄になってまいりまして、地域での助け合いが重要となっております。既に地域見守り協力員や民間事業者による見守り協力協定は、制度ができ上がっておりまして、これに関しては既に和歌山県はもう全国一だと思いますけれども、これからも一層の充実に努めてまいりたいと思います。
2つ目は、高齢者に元気で楽しく老後を過ごしていただくため、健康推進員制度の創設を図りまして、健康長寿のための施策実施に努めてまいりたいと思います。あわせて、元気な高齢者には介護サービスの担い手となってもらって、元気な高齢者の活躍の場の提供にもつなげていきたいというふうに思っております。
3つ目は、有料老人ホームあるいはサービスつき高齢者向け住宅、さまざまな高齢者ビジネスが全国で展開されつつあります。そういう高齢者が安心してお住まいいただけるようなものの整備促進や、あるいは、おうちにいらっしゃるんだけども、家事やいろんな機能、そういうものを代行して高齢者が便利に過ごしていただけるような、そういう生活サービスの普及促進をしていきたいと思っております。
これは、民間の事業を盛んにしてやっていくということだろうと思いますが、それによって、その需要者である高齢者に幸せに暮らしてもらうとともに、そこで働ける人の雇用を大いにふやしていきたい、こういうふうに思っております。
4つ目は、長期的な高齢者人口の動向を踏まえて、特別養護老人ホームなど各種施設やあるいは在宅も含めた各種介護サービスを、需要予測に応じて適切に整備していくこととしたいと思います。所得の低い人やあるいは資産が少ない人でも、老後はまあまあ安心だというふうに思ってもらえるような制度整備をしておくということが大事で、これは多くの部分は国の制度にかかってるんですが、その運用その他も含めまして、あるいは国の制度がちょっと問題と思ったら、それに働きかけをするというようなことも含めまして、県民それぞれが将来に不安を抱くことがなく安心して人生設計を描くことができるような環境づくりを進めていきたいというふうに思います。
このような4つの項目から成るような政策を整備してまいりまして、安心して老後を暮していただける県だというふうにしたいもんだというふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、特別養護老人ホームの入所待ちという人が、直近というのか、2800人ほど和歌山県でいらっしゃるということで聞いてるんですが、その中でも、やはり介護で仕事をやめざるを得ないとか、そういった実態もあります。
そういう中で、さまざまな高齢者の人が、先ほど知事がおっしゃってくださったような、一人一人の方がやはり安心して住める和歌山県にしていっていただきたいということで、そういった点では、私は、やはり最初に言われた見守りとか、地域での協働をぜひ進めていくという方向とあわせて、やはり基盤整備をしっかりしていかないと、見守り協力員とかそういった方たちや、地域で大変いろいろ困ってくることが起こるんじゃないかと思いますので、あわせて、やはり基盤整備をしっかりと進めていっていただきたいなというふうに思います。
それとあわせて、そういったことを担っていく、やはり中核になるヘルパーさんの処遇改善も、県としてもぜひ強めていっていただきたいなと思うんですが、よろしくお願いいたします。
次に2点目は、若者の雇用問題についてお尋ねをいたします。
雇用問題については9月にお尋ねをしておりますが、そのときの答弁の内容は、和歌山県においても全国と同様に非正規労働者の増加が見られること、若者の雇用促進対策として、県出身大学生のUターン就職や工業高校への支援を県独自で取り組んでいること、パワーハラスメントに対する取り組み、ブラック企業に関する労働相談の受け付けも行い、労働関係法令の遵守を広く呼びかけていくということでした。
若者がやりがいを持って生き生きと働くことができる環境を整えることは、将来の県の発展にとって欠かせません。今、子供に「夢は」と聞くと、「正社員になること」と答えたというお話を聞きました。また、今どきの若者は真面目に働こうとしないというニート・フリーター論によって、若者を批判する声も根強くあります。そして、就職できないのは自分の能力が足らないからと、自分の責任と考えて、ひきこもりや鬱病になって自分自身を追い詰めていくといった話もよく聞きます。
このような若者の就業困難の背景には雇用環境が大きく変わってきたことにあると考えますが、そこで商工観光労働部長にお尋ねいたします。和歌山県における雇用の現状をどう把握し、取り組みをされているでしょうか。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 雇用の現状については、本年10月の有効求人倍率が0.96倍と改善傾向にあるものの、求人と求職のミスマッチも生じており、加えて非正規労働の増加など、若者の雇用就労環境は依然厳しいものと考えております。
一方で、高校卒業生のうち、毎年約9割の学生が県外の大学等へ進学し、多くの若者が県外で就職しております。このような現状を踏まえ、若者の県内企業への就職促進は、県内産業の発展にとっても極めて重要であると考え、さまざまな施策に取り組んでいるところです。
具体的には、求人拡大のための経済界への働きかけ等により高校生の県内就職の促進に取り組むとともに、大学生等のU・Iターンを促進するため、県内や大阪、東京での企業面談会や大学等での就職セミナー等を開催するほか、県内企業情報等を掲載した冊子を作成し、今年度は約4000人の県出身学生に提供することにしています。
また、和歌山市の若年就職支援センター「ジョブカフェわかやま」では、若者がそれぞれの希望に応じた職につけるよう、カウンセリングから職業紹介、職場定着フォローアップまでワンストップで対応しながら、若年者の就労支援に取り組んでいるところでございます。
今後とも、こうした取り組みを工夫しながら、県内企業への若者の就職促進に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 2つ目は、高校生の就職状況と取り組みについてお尋ねいたします。
県内の高等学校では、就職希望者の進路実現のために、企業の協力のもと、インターンシップや職業人講話、実習授業への講師派遣など、さまざまな取り組みを推進していると聞いております。県内の就職を希望する高校生の就職状況はいかがでしょうか。教育長に御答弁をお願いいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県高校生の平成25年3月末の就職希望者数は2115名で、そのうち就職内定者は1902名、就職内定率は89.9%でありました。近年、内定率は90%前後で推移しており、全国平均と比べて約5ポイントから6ポイント下回る厳しい状況にあります。
また、県内就職を希望する生徒の割合は高い傾向にありまして、就職希望者全体の8割弱を占めております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 教育長に再度お尋ねいたします。
県内の就職希望者が8割近くを占めるということで、県内で就職をしたいという方が高校生の場合は大変多いというふうに受けとめたんですけど、内定率については、全国的に見て厳しい状況にあるんではないかなと思うんです。この原因についてどのようにお考えかということと、どんな取り組みをそれについてされているのか、再度御答弁、よろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内の就職状況が厳しい原因といたしましては、平成25年3月卒業生の全国の求人倍率が1.37倍に対して県内は0.91倍と、全国と比べて極めて低い状況にあることが挙げられます。また、生徒が希望する職種の求人が少ないということなど、さまざまな要因が考えられます。
こうした状況の中、各学校では、教職員が企業訪問を行うなど、就職先の開拓に力を入れるとともに、企業から強く求められている基礎学力やコミュニケーション能力を身につけさせるためのきめ細かな指導に力を入れています。また、教育委員会といたしましても、経済5団体に対する求人要請を行うとともに、学校やハローワーク、企業関係者等が密接な情報交換を行い、雇用拡大に向けた対策を講じているところでございます。
今後とも、関係部局とも協議しながら、さらなる求人開拓と教員の就職指導力強化のための仕組みづくりを積極的に進めてまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この問題については、最後、要望をしておきたいんですが、私はやっぱり教育現場だけに任せずに──そうなってないと思うんですけども──県全体として高校生の求人開拓に取り組んでいくように教育委員会としてもしっかりと発信をしていただきたいなあと思いますので、よろしくお願いします。
3つ目に移らせていただきます。これについては、知事にお尋ねしたいと思います。
国会では、若者を使い捨て、使い潰す働かせ方が問題になりました。厚労省は、平成25年9月1日に若者の使い捨てが疑われる企業等に関する無料電話相談を行い、全国から1042件──これは速報値ですが──相談が寄せられました。主な相談内容は、賃金の不払い残業と長時間過重労働、パワーハラスメントが上位3項目を占めています。現在も、都道府県労働局・労働基準監督署で労働相談を受け付けています。
国会で安倍首相は、この問題に対する認識として、「政府としては、若者の使い捨てが疑われる企業は社会的に大きな問題だと考えており、相談体制、情報発信、監督指導等の対応策を強化するなど、現行の労働基準法等の遵守についてしっかりと取り組んでまいります」と答弁し、対策強化を表明されました。そのことも踏まえ、厚労省は、さきに述べた電話調査に加え、4000社への調査などの対策を進め、和歌山県内でも調査が行われました。県においても、若者の働く環境を考える上で見過ごせない問題だと考えます。
そこで、知事に、いわゆるブラック企業に関する点で認識をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど、奥村議員から、安倍総理の国会答弁でございましょうかね、御紹介されましたけども、私は全くそのとおりだと思います。
日本の産業のいいところは、長い目で見てうまくいくように誠実にみんなが対応するということだったと思うんですが、それが短期的にお金がもうかればいいやというようなことで、大事な若者を使い捨てするような過重労働とか賃金不払い残業とか、そういうものがあってはいかんということだろうと思います。
和歌山県においては、労働委員会における個別相談というのが大変定評のあるところでございます。一生懸命やっていただいてるんですが、内部部局におけるそういう情報収集なども踏まえていろいろなアンテナを高くして、問題になりそうなものが我々として認識されるならば企業への注意喚起を行うというようなことをやっていきたいと思いますし、場合に応じては、より強力な、法律的な規制権能を持っている労働基準監督署に情報提供したり、そういうふうなこともやって、若者が泣かないようにしていきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事のほうから、対策をしっかりやっていきたいということで答弁をしていただきました。私も、本当にそのことを願っています。その上に立って、やはり何といっても、使い捨てとか使い潰しとか、そういったことがなぜ起こってきてるのか、どうしてなくせるのかということで、ぜひそういう立場で取り組んでいただけたらなあと思います。
現行法の厳格な実施により、もっと使い捨て、使い潰しをなくしていくという、そういう根本問題から含めて、1番目に現行法の厳格な実施によって違法な状態から若者を救う、また第2に企業や事業者に現行法を守らせる、第3に労働者に労働法関連の労働者保護の現行法を身につけられるようにするということが大事だと思います。
そういった点で、以前、和歌山県でも2008年に若者向けにリーフレットをつくってくれました。「労働法の基礎知識」というようなリーフレットなんですが、そういった点で、しっかりと引き続いて、やはりよりいいものにしながら活用をぜひしていってほしいと思います。これは、要望をしておきます。
4つ目に、働きやすい環境づくりについて商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
法律の弱点をかいくぐって違法行為を隠蔽したり、脱法的な手法で過酷な労働を強いることは、知事も言われたように許せないことです。ブラック企業を規制することが大事だと考えますが、9月の一般質問の際、ハローワーク前でのアンケート調査や労基局でお話を伺いました。今回も関係機関で御意見をお聞きしました。ブラック企業の問題の背景は、非正規雇用がふえたこと、労働者の知識不足、法体系の問題ではないかと述べられていました。県として、若者が安心して働き続けるためにどのような取り組みをされていますか。御答弁をよろしくお願いします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 若者が働きやすい環境づくりを進めるに当たっては、雇用する側、される側双方が、労働基準法を初めとする雇用に関するさまざまなルールの基礎的な知識を習得し、これを遵守することが重要であると考えております。
このため、県としましては、毎年、労使を対象として労働関係法規や労務管理手法、職場のパワハラ対策などをテーマにした各種セミナーを開催し、その周知に努めているところです。
また、ジョブカフェわかやまから高等学校へ講師を派遣し、就職する生徒を対象に実施している講習において、教育委員会とも連携し、よりわかりやすく工夫をしながら働く上での基礎知識の向上を図るなど、若者の働きやすい環境づくりのため取り組みを行ってまいります。
また、県が運営している労働相談室には、年間250件程度の労働相談も寄せられておりますが、その内容を詳細に把握し、若者の雇用環境の悪化につながるような問題については、場合に応じて労働基準監督署に情報提供を行うことや企業等に対する注意喚起を促すなどの対応を行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 奥村規子さん。
〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に要望をして質問を終わらせていただきたいんですが、これは神奈川県が出されてる「過酷な働き方をさせられていませんか?」ということで、労政福祉課が出してるこういうチラシなんですけど(資料を示す)、こういったことを含めて、やっぱり若者ということだけでなくって、全県民にぜひ周知徹底という形でよろしくお願いしたいと思います。要望して、この質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時50分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
31番片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。どうか、よろしくお願いしたいと思います。
まず最初は、和歌山電鐵貴志川線についての質問でございます。
平成17年、貴志川線の存続が決定してから、早いもので8年が経過しようとしています。平成17年9月9日に、和歌山県と和歌山市、当時の貴志川町が貴志川線存続で合意し、翌平成18年4月1日から現在の和歌山電鐵が運行しているところであります。そのときの存続するための支援、次のとおりの支援の体制をとっております。
まず、和歌山県ですが、和歌山市と当時の貴志川町の鉄道用地取得費を補助金で全額負担したこと、そして将来の大規模修繕として2億4000万円を上限に支出することの支援を約束したこと、県はこの2点。それから、和歌山市と、これも当時の貴志川町ですが、鉄道用地は和歌山市と貴志川町が保有し、運行は和歌山電鐵が行う上下分離方式を採用する、そして、その運行事業者である和歌山電鐵への補助は、和歌山市が65%、当時の貴志川町が35%の割合で、8億2000万円を上限に10年間補助をする、このことを決めております。
事業を請け負うことになりました和歌山電鐵の親会社である両備グループは、当時、地方鉄道の再生を行うために3つの条件を掲げ、これを満たしたことから事業運営を引き受けてくれることになりました。3つの条件。まず、1つですが、地元の熱意。これはお金と行動、両方を満たしていること。2つ目、自治体と国からの支援が受けられること。3つ目、既存事業者──これは当時の南海電鉄ですが──の全面的な協力を得られること。
これらの条件のうち、南海電鉄の協力の面については、11年目以降には関係ありません。しかし、乗車につながる地元の行動と和歌山県、和歌山市、そして紀の川市の支援の継続が、引き続いて鉄道を運行するために大きな要因になると言えそうです。
和歌山電鐵貴志川線の運行と地元発展に関する取り組みは今さら言うまでもありませんが、おさらいをしておきたいと思います。
まず、JR九州のななつ星のデザインを手がけた水戸岡氏がデザインしたいちご電車、おもちゃ電車、たま電車の運行、貴志駅に三毛猫「たま駅長」を誕生させたこと、設備面では、貴志駅の新駅舎・たまミュージアム貴志駅の竣工、架線電圧を直流600ボルトから直流1500ボルトへと昇圧したこと、こういったことがあります。
その結果、事業実績は上がってきておりまして、和歌山電鐵貴志川線の利用者数は、南海電鉄が撤退したときの平成17年度では年間約192万人でしたが、和歌山電鐵が運行を引き継いだ平成18年度以降、年間平均利用者数は約216万人となり、南海電鉄時代に比べ、約10%を超える利用者増という実績になっております。また、平成22年度以降3年間の利用実績ですが、平成22年度は年間約217万人、平成23年度は年間約218万人、平成24年度は年間約217万人となっております。
和歌山電鐵貴志川線の経営状況についてですが、南海電鉄時代は毎年4億円を上回る赤字を計上しておりましたが、和歌山電鐵が運営を引き継がれた後、平成18年度は純損失額が約1億5984万円、その後、人件費の削減、利用者増加策など経営努力が行われており、平成20年度では約6939万円まで減少しております。
その後は、レールなど設備の老朽化による修繕費、減価償却費などが増加し、直近3年間の純損失額は、平成22年度で約7754万円、平成23年度で約8117万円、そして平成24年度で約8161万円となっており、過去7年間での平均は約7841万円の赤字経営が依然として続いている状況であります。
以前と比較すれば損失は減少しているとは言えますが、依然として赤字経営が続いていることから、11年目以降の継続は、行政あるいは地元の支援がなければ何とも言えない状況なのかなあというふうに思っているところであります。
そこで、最初の質問であります。
和歌山電鐵に対する10年間の支援の期限が近づいてまいりましたが、これまでの貴志川線の地元への貢献、経済効果などの評価を総合的にお聞かせいただきたいと思います。これは、知事からの答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山電鐵が貴志川線の運行を開始して以来、たま駅長の誕生やいちご電車、おもちゃ電車、たま電車の運行、貴志駅のリニューアルといった小嶋社長の斬新なアイデアや、和歌山電鐵と地域の皆さんによるさまざまな魅力ある取り組みなど、関係者が一丸となって利用促進に取り組まれてまいりました。
このことにより、年間200万人を超える方々が利用されるだけでなく、国内外の多くのメディアに取り上げられるなど、観光客の誘客促進や宣伝広告効果による県の認知度向上など、多大な貢献をいただいているところであります。
県といたしましても、たま駅長に和歌山県勲功爵・わかやまでナイトの授与や和歌山県観光まねき大明神に委嘱するなど、パンダとともに本県の観光ブランドとして強力に打ち出しているところであります。香港などにプロモーションに行きましたら大変な人気でございまして、ありがたいと思っております。
和歌山電鐵貴志川線は、地域の鉄道だけにとどまらず、このように観光振興にとっても重要な路線であり、地域のより一層の活性化のためにも貴志川線の存続はとても大事であると考えております。そのためには、観光客はもちろんでありますが、安定的、永続的な運行を実現するためには、沿線住民の皆さんが今以上に御利用いただくことが何よりも重要であります。貴志川線の存続は、住民の皆さんの総意だと思います。それなら、一人一人がもうちょっと利用しようという気持ちを持って行動に移してもらうということが必要だと思っております。
実は、今年度初めに県庁で試算をいたしましたら、沿線住民があと4回多く乗ったら採算がとれてしまうという結果が出ました。その結果、いろんな工夫もしながら多くの方々に呼びかけをいたしまして、特に運動しておられる方なんか、一生懸命やってくださいました。その結果ではないかと思うんですけれども、今年度は、上半期ですけれども、過去最高の117万人を記録しておりまして、そういう意味では大分理解が進んだかなあというふうに思うんでありますが、引き続き沿線住民の皆さん自身の「乗って残すんだ」という行動が必要だと考えておりますので、さらなる利用促進を期待してるところであります。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 観光もさることながら、今、知事がおっしゃっていただきましたように、沿線住民の皆さん方の通勤とか通学の手段として必要なもんであり、こっちのほうで利用者をふやしていかなければいけないというふうに思ってます。
お答えいただきましたように、沿線の方が年4回、この運動を地元の方がやってまして、案内とかいろいろくれてるんですけども、これをすると250万人ぐらいで収支がとんとんでとれてくるのかなあということで、こういう取り組みとともに、和歌山電鐵に対する経過措置、満了後の取り扱い、いわゆる10年経過後なんですが、これについての考え方、事業存続の方向性について検討されていることがあるようでしたらお答えいただきたいと思います。これは企画部長からお願いします。
○副議長(花田健吉君) 企画部長野田寛芳君。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 議員御指摘のとおり、貴志川線は年間約217万人の御利用がある一方、鉄道事業そのものは、平成24年度は約8000万円の赤字となるなど、厳しい状況でございます。
今のお話にもありましたけれども、貴志川線が安定的、永続的に運営されるためには年間約250万人の利用が必要と試算されておりますので、このため、沿線住民があと4回多く乗ることによって250万人を達成し、自分たちの貴志川線を残そうという目的で「あと4回きっぷ」を販売しておりまして、一層の利用促進を図っているところでございます。
先ほど知事から答弁いたしましたとおり、貴志川線の存続は、地域住民の移動手段として、また地域の振興にとって大変重要なものと考えておりまして、今後予想される修繕及び設備更新の計画等、いろいろございますので、そういうことも踏まえまして、存続に向けた方策について、今後、和歌山電鐵及び和歌山市、紀の川市と協議を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ところで、貴志川線を利用する方たちがより便利に、そして事業者にとっては収益のめどをつけて将来の自立につなげられるようにするために、貴志川線をJR紀勢本線和歌山市駅経由で南海電鉄加太線との直通運転を行うことを考えてほしいと思います。通勤・通学はもちろんのこと、観光振興においても、貴志川線を和歌山駅経由和歌山市駅、そして加太線へとつなげることは、利便性を高め、利用者のニーズにも合致することだと思います。
JR紀勢線と貴志川線の番線は、8番線と9番線で隣接している状況であります。そういうことから、大規模な工事をしなくても接続は可能だというふうに聞いております。軌道は同じ幅ですし、平成23年度には架線電圧をJR紀勢線と同じ直流1500ボルトへと昇圧していることから、接続面への課題は1つ解決されていると思います。
以前、平成22年2月県議会の一般質問を受けて、当時の企画部長が次のように答弁しております。「和歌山電鐵にありましては、まず貴志川線沿線の魅力向上に努め、経営基盤を固めることが先決であると、さらに南海電鉄におきましては、貴志川線を撤退した経緯もありまして、具体的な検討は行ったことがないと、JR和歌山支社は、運行管理など乗り入れに対する安全対策について検討する必要があると、そういうことであり、加えて各社とも採算性の問題を指摘しております。しかしながら、各社とも協議には応じるということでありますので、今後、和歌山市とともに鉄道事業者と話し合っていきたいと思います」、こういう答弁がございました。
鉄道事業者は、貴志川線と加太線を直結することについて協議に応じてくれるとは思います。接続することによって利便性が向上すれば、通勤手段として鉄道の利用者がふえることも考えられますし、鉄道会社というのは地域とともに存在するものですから、地域貢献することが社会的使命だというふうに捉えてくれていると思います。しっかりとした沿線の地域づくりの計画を持ち、鉄道事業者に諮れば、きっちりと応えてくれるのではないかなと思いますので、この件に関して質問であります。
これは、企画部長からお答えを聞かせていただきたいんですが、その後、相互乗り入れに関して和歌山市、鉄道事業者と協議したことはありますか。これらの鉄道会社から示された問題は解決され、前向きに進んでいるのでしょうか。貴志川線と加太線を結ぶ線路を所有しているのはJRですから、鍵を握っているのはJRだと思います。JRとの折衝実績、そしてJRからこの直結に関しての意見や考え方など示されておりますでしょうか。お答えください。
○副議長(花田健吉君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 貴志川線と加太線の直結についてでございますが、県としましては、貴志川線が南海和歌山市駅まで乗り入れること、また加太線がJR和歌山駅まで乗り入れることは、両線の利用者の利便性向上や大阪方面からの誘客促進にもつながり、大変効果があるものと考えております。
これまでもJRを初め、各鉄道事業者及び和歌山市と協議を行ってまいりましたが、鉄道事業者によりますと、各社の電車がふくそうすることによる安全確保の問題、自動列車停止装置など保安設備の相違、それからJRと南海、和歌山電鐵では車両の幅が異なるため、ホームの改良が必要となるなど相当の経費を要し、各社とも採算が見込めないなど、相互乗り入れ実現には克服すべき課題が多くあるとの見解でございました。
しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、貴志川線の和歌山市駅への乗り入れ、加太線の和歌山駅への乗り入れは利便性の向上や需要の掘り起こしなどの効果があると考えますので、和歌山市と連携しながら鉄道事業者に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 では、物理的な課題として、直結に必要なことは8番線と9番線の線路の設備改良、こういったものがあります。
設備改良ですが、鉄道事業者が線路の改良の意思を示した場合、例えば国の地方鉄道事業者への支援策として地域公共交通確保維持改善事業、こういったものがあるとは思いますが、この補助制度など活用できないものでしょうか。この点、企画部長にお答えをお願いします。
○副議長(花田健吉君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 議員御提案の地域公共交通確保維持改善事業補助金でございますが、これは地方鉄道事業者が行う線路・電路設備の改良等に対して国が補助金を交付する制度でございます。事業内容等に応じて補助対象となるかどうか一々決定されますので、事業が具体化してきた時点で、鉄道事業者を初め関係者と協議を行ってまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきましたが、やっぱり鉄道事業者が採算面で考えると厳しいものがあるというのは事実だと思いますが、今までの協議とか県、市からの働きかけの状況を見ていますと、若干、熱意とか、そういったものに欠けているようなとこもあるんではないかというふうにも聞いております。ぜひ強く働きかけというのをしていただけたらというふうに思います。
ところで、和歌山県では、JRと地域と連携いたしまして、平成26年9月14日から12月13日まで和歌山デスティネーションキャンペーンを実施することを決定しております。このキャンペーンの狙いとして、観光客数、観光消費額を増加させる、観光産業の活性化を図る、そして市町村、JR、観光事業者などとの連携を強化する、こういうことが目的にあろうかというふうに思います。全国のJR各社が和歌山県に観光客を送り込むことを支援してくれるものですが、そのために鉄道の利便性を向上させ、観光客へも利便性というおもてなしがあれば、その後、リピート客になってくれる可能性があるというふうに思います。
そこで、今取り上げました貴志川線と加太線の直結等に加えて、南海電鉄で人気のある「天空」──これは極楽橋から高野山なんですが──この運行をJR和歌山線に接続させ和歌山駅まで走行させる、こういった企画も考えられるかなあというふうに思います。
和歌山県のキャンペーンに向けての取り組みの中に2次アクセスの向上、特別列車の運行と、こういう考え方があるようです。鉄道会社単独ではなかなか実現できない地域に密接する特別列車運行について、和歌山県が働きかけることによって実現させることも可能ではないかというふうに思います。地域の発展と経済の活性化、そして人口が増加する、こういう取り組みを行政がすることで鉄道会社も元気になっていくわけですから、和歌山県がこういう取り組みをすることによってJR、南海電鉄、そして和歌山電鐵の収益向上にも結びついてくるのかなというふうに思っております。
そこで、和歌山デスティネーションキャンペーンを契機として、特別列車として南海電鉄のこの「天空」を和歌山線に走らせる、こういう企画は検討できないものでしょうか。
現在、なんばから橋本を経由、極楽橋から高野山に向かうお客さんは、高野山での観光等を済ませると、そのままなんばに帰っていってる、こういう状況であると思います。しかし、高野山から和歌山駅に「天空」を走らせるなら、これらのお客さんを和歌山市の観光に持ってくる、誘客することが可能かと思います。もし実現できたら和歌山デスティネーションキャンペーンの目玉的な企画にもなりますし、その後、定期的に走らせることで和歌山市への誘客につながるというふうに思います。
和歌山県が主導することによって関係する鉄道各社との連携を図ってほしいと思いますが、この点についての見解を商工観光労働部長からお聞かせください。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県では、来年の世界遺産登録10周年を契機として、9月14日から3カ月間、JRグループ6社とタイアップした和歌山デスティネーションキャンペーンを実施いたします。このキャンペーンを後押しするため、JR西日本においては、さまざまな列車の企画を検討されているとのことです。
議員から御提案のありました南海電鉄「天空」の和歌山線乗り入れにつきましては、軌道の接続や保安設備の更新といった技術的な課題や、ダイヤ編成、乗務員の習熟などの運用での課題が多いと聞いてます。こういった技術面、運用面での課題に加え、「天空」は高野山への登山列車としての魅力を持つものであり、和歌山線を走行することの効果については見きわめる必要があると、こういうふうに考えております。県としましては、JR西日本、南海電鉄の検討を注視してまいりたい、このように考えております。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 「天空」の件については、技術的には本当に難しいというのは当然理解しているわけなんですが、決して不可能な話ではないというふうに仄聞もしているところでありまして、一度推していただければありがたいかなというふうに思ったりしているところであります。
そして、JRの利便性の向上について質問を続けたいと思います。
阪和線紀州路快速ですが、これは大阪駅、そして最終は京橋駅まで直通のため、通勤・通学の利用者が多く、また、出張の際にもよく利用されているところであります。ただ、平成23年、JRのダイヤ改正によって、時間帯にもよりますが、和歌山駅から日根野駅までは各駅に停車するようになりました。快速電車ではありますが、途中まで各駅停車ということで、大阪駅までの到着時間、これが以前に比べて遅くなっているようであります。そのため、和歌山から利用する人にとって、以前と比べてややストレスを感じる、こういう声も上がっているところであります。
もちろん、このダイヤ改正、どうしてこういうふうになったのかと調べてみますと、和歌山駅から日根野駅の間の駅周辺の人口がふえていること、そしてその地域からの要望があって、こういうことだというふうに聞いておりますから、抜本的に和歌山からの大阪乗り入れの利便性を高めるための解決方法は和歌山市、和歌山県の人口をふやすことだろう、あるいは駅周辺の再生などによって活力を持たせることだろうと、こういうふうには思うところでありますが、ただ、短期的に言いますと和歌山市から乗車する際の利便性が低下しておりますので、以前のように快速電車らしい停車駅に戻してほしいかなというふうに思います。
また、阪和線と紀勢線の接続についても考えてほしいことがあります。
現在、紀州路快速は、和歌山駅が始発となっています。そのため、海南駅から黒江駅、宮前駅周辺の方は、一度紀勢線に乗り、和歌山駅で紀州路快速に乗りかえて通勤している、こういうことがよく聞かれております。そのため、この区間の方は、紀勢線に乗らずに一旦和歌山駅まで自動車などで移動し、そのまま紀州路快速に乗っている、こういうケースもあるようです。
鉄道沿線地域の利便性を高める、こういうことも行政の役割としては大事なことではないかなというふうに思います。JRとしては、紀勢線についても非常に力を入れてくれておりまして、海南駅から和歌山駅を経由して大阪駅へ乗り入れる、こういう紀州路快速の可能性も考えられるのではないかなというふうに思います。
ダイヤ改正については、既に来年の春のダイヤ改正、これは少し時間的にもう間に合わないかなというふうに思いますが、再来年のダイヤ改正に向けて、こういう話をぜひJRと協議していただきたいというふうに思います。JRも、利用者、沿線の方の意見を聞くなど、地域事情に即した形で利便性と速達性の向上を図ってくれる、こういう姿勢を持ってくれると思いますので、ぜひ御検討をいただきたいなというふうに思います。
そこで、企画部長に質問なんですが、大阪市内までの鉄道による移動時間が短縮されるよう、ダイヤ改正に合わせるタイミングで阪和線の停車駅のあり方、これを検討してほしいと思います。あわせて、紀州路快速の利便性向上、海南駅から運行し途中駅からの利便性の向上につなげてほしいと思いますが、以上の点、お答えをいただきたいと思います。
○副議長(花田健吉君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 阪和線の快速列車についてでございますが、平成23年3月のダイヤ改正で、和歌山と大阪・京橋間を乗りかえなしで利用できる紀州路快速の運転本数が増加するなど利便性が向上した一方、議員御指摘のとおり、昼間時間帯を中心に和歌山駅から日根野駅間を各駅停車化されたことによりまして大阪方面への平均所要時間が増加することになり、これまでも改善について、JRに対し、たびたび要請を行ってきたところでございます。
和歌山と大阪の移動時間の短縮を図ることは、本県にとって地域の活性化、人口増加につながることが期待されますので、少しでも所要時間が短縮されるよう、今後も引き続き働きかけてまいります。
また、紀州路快速の海南駅延伸についてでございますが、JR西日本によりますと、利用者が少ないため、事業採算性を勘案すると困難とのことでございましたけれども、しかしながら、紀州路快速の延伸は乗り継ぎ抵抗が解消されるなど利便性向上につながり利用者数の増加が期待できますので、JR西日本に働きかけてまいります。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ぜひ今の点を、ダイヤ改正に合わせたタイミングで今から働きかけをお願いしたいというふうに思います。
それから、公共交通に関して最後の質問になります。
和歌山駅と和歌山市駅の間の列車運行に関する問題です。
この区間の路線は、現在、高架というふうにしておりまして、非常に環境はよくなっているわけなんですが、肝心の電車はというと、余りニーズに応えられない、利便性に欠けている、こういう状況にあろうかというふうに思います。運行本数が少ないことから利用したくても利用できない、もう少し増便してくれると利便性が高まり、両駅間の人の移動が多くなり、鉄道利用者がふえる、あるいは駅周辺の交流人口ですね、活気が出る、こういうふうに思いますし、もう1つ、高架にしたことで問題があります。
列車が少ないことによる利用客、乗降客が少ないことから、夜間の紀和駅周辺は1人で歩くと不安を感じるようなところがあります。和歌山駅と南海和歌山市駅を結ぶ和歌山市の中心地に位置しているかなあという場所なんですが、少し寂しい感じがします。何回か試しに歩いてみますと、誰にも会わないことが非常に多くて、男の僕が歩いても、ちょっと後ろを振り返るのには怖さというのを感じるところであります。照明等はJRさん、結構やってくれてるところなんですが、治安維持といった観点からも考えていただけたらと思います。
同様に、この紀和駅の近くには紀伊中ノ島駅というのがありまして、こちらも少し暗くて不安感を感じるようなところがあります。このあたりにはJRの職員住宅の古い住宅がありまして、この道路際を夜間歩いてみますと、照明がほとんどなく、暗くて危険だというふうに感じることがありました。
和歌山県では、平成18年の3月に和歌山県安全・安心まちづくり条例、これを制定しております。事業者にも、この条例の趣旨を説明して理解を求めてほしいかなというふうに思います。
また、紀和駅、紀伊中ノ島駅周辺の皆さんの利便性、それから安全性、安心性を高めるためにも、利用者の増加を図れるような列車運行をしてほしいところですが、それに関して質問をさしていただきます。
せっかく高架にしているこの区間なのに、利便性が乏しいように思います。運行の利便性が乏しいままである現状は、果たして適切な状態と言えるのかなあというふうに思っているところでありますが、和歌山駅と和歌山市駅を結ぶこの区間の利便性向上のために、この区間の運行本数の増便について企画部長の答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 議員御質問の和歌山駅から和歌山市駅間の運転本数でございますが、現在、朝夕の通勤・通学時間帯は1時間に2本、それから昼間の時間帯は1時間に1本となっております。
JR西日本によりますと、和歌山駅と和歌山市駅間の利用状況は、利用者が少なくて、乗車定員に比べるとかなり余裕があるという状況で、増便は困難とのことでございましたけれども、しかしながら、先ほど議員から御提案もありましたが、貴志川線から例えば南海和歌山市駅への乗り入れなどが実現すれば運転本数も増加し、利用者の利便性向上につながりますので、そういったことも含めましてJR西日本に働きかけてまいります。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えでいただきましたように、確かに1時間に1本、通勤時間帯の朝夕でも30分に1本ということで、利用できない原因は、余り見込めない、本当に接続面を含めて利用しようという頭になかなかならないというのが問題であって、どちらが先かわかりませんが、ぜひ環境を整える、乗り入れとともに考えていただくことを県もぜひ鉄道事業者との協議に入って図っていただきたいというふうに思います。
続いての4番目の項目であります。
JR和歌山駅を中心とした都市再生の問題についての質問に移らさしていただきます。
和歌山市の中心市街地であり、和歌山市の玄関口とも言えるJR和歌山駅を中心とした都市再生について、JR和歌山駅からけやき通りの活性化は和歌山市にとって重要な課題であり、これまで策定された和歌山市中心市街地活性化基本計画の精神に基づく都市再生は、継続した取り組みが必要だというふうに思います。そのためには、民間活力の導入といったものが必要で、これまで事業化を図っている地域以外での都市再生、こういったものも引き続いて求めたいところであります。
幸い、JR和歌山駅西口前にある旧近鉄ビルの跡地の再生は進みそうな状況になっておりますが、JRはといいますと、JR和歌山駅をMIOとして改装したことにより単体としてのにぎわいの創出の取り組みは一応終了している、こういうふうに聞いております。そのため、今後の和歌山駅西口前からこの地域のにぎわいの創出は、県、市による都市計画の推進、民間事業者の参画、こういったところにかかってくるのかなというふうに思っているところであります。
和歌山県がまちづくりを促進するために主導的に土地利用案を作成し市の都市計画の見直しを支援する、こういう次年度の方針案が示されているところであります。都市計画を策定する当該市町村に対して和歌山県が協力と連携を図る、このことは好ましいことだと思います。ぜひ、都市計画の見直しにとどまらず、和歌山市におけるJR和歌山駅西口前のバスターミナル、そして動きがあろうと思われる旧近鉄会館、それからみその商店街までを含めた都市再生についても、市と連携を図ってほしいと思います。
また、JR和歌山駅東口の活性化についてですが、西口と比較して活気がないと思います。現在は、西口から和歌山市役所のほうに向かっての地域が中心市街地とされていて、それではまちが駅を中心にして半円を描くような姿になり、東口はどうしても裏側というふうなイメージになっています。中心市街地になっていないような状況の東口ですから、補助制度などは使えない状況にあります。ぜひとも、JR和歌山駅を中心として円を描くような広がりのあるまちづくり、こういったことも志向してほしいと思います。
そこで、質問です。
和歌山市が検討していた中心市街地の都市再生について、JR和歌山駅前は和歌山県としての玄関口でもありますから、にぎわいの創出は絶対に必要な取り組みだと思います。これから、都市再生に向けた中心市街地に必要な定住人口の増加、それから交流できるスペースとなるにぎわい空間の創出、この両方を求めてほしいところですが、この点についての考え方はいかがでしょうか。また、JR和歌山駅を中心とした活性化に向けての取り組みについてのお考えを含めて、県土整備部長の答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長石原康弘君。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 和歌山市の中心市街地におきましては、人口減少により空洞化が進み、まちの活力減退につながっております。和歌山駅周辺においても、商店街の衰退や交流拠点となるスペースなどが少ないことから、駅を中心とした定住人口の増加やにぎわい空間の創出が必要と考えております。
県としましては、必要に応じて関係事業者に対し、にぎわい創出のための協力を求めていくとともに、東口を含むJR和歌山駅を中心としたエリアの都市再生が図られるよう、国の支援制度の活用なども視野に入れながら、引き続き和歌山市と密に連携を図ってまいります。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 地方都市のリノベーション事業、都市再生整備計画事業の活用を図る、こういう施策が国土交通省にあります。今、答弁でいただきましたように、和歌山市は人口減少、それから空洞化、まちの活力の減退という余りよくない三拍子がそろっているような状況ですから、ぜひ地域活力低下に対応する、備えるような都市再生を図るためのリノベーション事業を和歌山市とともに進めてほしいというふうに思います。
この事業では、和歌山市街地に必要となる都市機能、例えば医療だとか福祉、それから教育・文化施設などの整備を支援し、生活拠点の形成を推進することで地域活性化を目指そう、こういう精神があろうかというふうに思います。1つの市の中で複数の地点を対象とすることに関しては少し制約があるというふうに聞いておりますが、中心市街地の駅を核とした都市再生をぜひ推進していただきたいというふうに、これは要望しておきたいと思います。
そして最後、5項目めに移らしていただきます。
和歌山県が取り組むエネルギー政策についての質問であります。
関西広域連合においては、先般、多田議員も質問されたようですが、「“関西における望ましいエネルギー社会”の実現に向けて」、こういう案が示されております。国の電源構成や地球温暖化対策、エネルギー政策の見直し、電力システム改革、こういったものにも関西として対応していく、こういうことを目的にしてつくられたものだと聞いております。
関西の課題としては、省エネルギー、それから再生可能エネルギーの推進、産業活動の向上などがあり、これらの課題克服に向けて都道府県、それから市──これは政令市──が協力しながら、関西において望ましいエネルギー社会を構築しよう、こういう動きがあるようです。
関西広域連合の取り組みとしては、地域エネルギーを創出すること、それからLNGの安定供給、火力と水力発電の活用と高効率化への国への提言、エネルギー使用量の見える化、こういったものが考えられているようであります。
その中の再生エネルギーに関しても目標が掲げられたりとかしているところでありますが、言われるまでもなく、和歌山県は既存のエネルギー、これの理解とともに再生エネルギーの推進にも取り組んでいるところであります。新年度の政策案として海洋実証実験プロジェクトの誘致、継続したメタンハイドレートの調査など、海洋エネルギーという新しい分野のエネルギーを創出しよう、こういう動きをとろうとしております。
この県の姿勢は歓迎できるものですし、将来、海洋資源の確認がとれ、採掘できるようになれば、我が国では初めてとなる資源産業、こういったものが和歌山県で創出できることになります。地域経済面、それから雇用面で大きな成果が期待できるものでもありますし、県民に夢を与える取り組みになろうかというふうに思います。
そこで、和歌山県がこれまで取り組んできたエネルギー政策の評価とこれからのエネルギー創出の進め方について、商工観光労働部長から答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県では、エネルギー政策に取り組む窓口を一本化し、太陽光発電、風力発電、小水力発電や木質バイオマス利用など、再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでおります。メガソーラー等の太陽光発電につきましては、これまで県有地や市町村有地等を中心に適地を取りまとめ、事業者からの問い合わせに一元的に対応するなど、積極的に取り組んでおります。
小水力発電につきましては、固定価格買取制度開始後、近畿で初めて農業用水を活用した発電所がみなべ町の島ノ瀬ダムに設置されました。また、木質バイオマス利用につきましては、木質パウダーのエネルギー利用を全国で初めて実用化し、日高川町や新宮市の温泉施設のボイラーで利用されております。
このように、長い日照時間や豊かな森林資源など、本県の特性を生かした再生可能エネルギーの促進を進めてきた結果、平成24年度の新エネルギー発電電力量実績では近畿全体の65%を占めるに至っておりますが、新エネルギーが電力全体に占める割合はいまだ2%に満たず、安定供給面、コスト面での課題もあります。その反面、温室効果ガスの出ない有望な国産エネルギー電源の1つと認識しております。
そのため、県としましては、これまでの取り組みを継続しながら、次世代エネルギー資源として有望な表層型メタンハイドレートの賦存調査や大きなポテンシャルを秘めた海流発電の開発などの海洋エネルギーの創出や温泉熱の利用など、新しい取り組みも進めてまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 海洋エネルギーについては、平成26年度の事業化に向けて和歌山県は積極的に取り組もうとしている、こういうことがわかりますが、それに加えてほしいのが地中熱の利用、こういったものです。環境省では、平成26年度、約20億円の予算要求を行っているところでありますので、この地中熱についても和歌山県としてラインナップに加えてほしいかなというふうに思います。
この地中熱というのは余り登場しなかった再生可能エネルギーでありまして、まず説明をしますと、地上から深さ10メートルぐらい、ここの、地温というんですけども、年平均気温とほぼ等しい、こういう状況で存在しております。四国、九州の南部で20度、北海道では10度、東京、大阪では17度程度ということになっておりまして、深くなれば地温は上昇しますが、100メートル程度の深さでは温度の上昇は2~4度程度ということになっております。冬と夏においては、地上と地中との間では10度から15度程度の温度差がありまして、つまり、温度が一定である地中は冬は暖かく夏が冷たい。地中熱の利用では、この温度差に注目して効率的に熱エネルギーの利用を行おう、こういうものであります。
一般的に自然エネルギーは天候に左右されますし、利用できる時間帯が限られているなど、制約条件がありますが、地中熱の場合は安定的にいつでも利用できる自然エネルギーですし、今は北国を中心にという条件があるわけですが、日本中どこでも利用できるエネルギーになっております。
利点を申し述べますと、日本中どこでも──もちろん和歌山県でもですが──利用できること、省エネルギーと二酸化炭素排出量、これを抑制できること、通常のエアコン──これは空気熱源ヒートポンプ──が利用できない外気温マイナス15度以下の環境でも利用できること、これが北国で利用している大きな要因になっているかと思います。それから、地中熱交換器は密閉式のため環境汚染の心配がないこと、それから冷暖房の熱を屋外に放出しないためヒートアイランド現象の緩和に寄与する、こういった特徴があります。
和歌山県の導入実績は、残念なことにほとんどないものの、全国を見てみますと、東京スカイツリー地区、それから羽田空港国際線旅客ターミナルビル、こういったところに代表されるように導入している事例はたくさんありまして、和歌山県において低炭素社会の実現、エネルギーの地産地消、熱の段階的利用による産業の活性化など、こういった面にも効果が期待できるというふうに思いますし、県内においてはこの地中熱に関心のある地方自治体もあると聞いておりますし、民間事業者への支援制度もありますから、県がこういう動きに連動して導入促進、こういったことをしてほしいなあというふうに思っております。
そこで、和歌山県として再生可能エネルギーの促進に力を入れているわけですが、その中で、この地中熱の普及促進について考えることはありますでしょうか。また、市町村に動きはあるでしょうか。地中熱の利用は、和歌山県で事業化させることは可能なものだというふうに思いますので、平成26年度の本事業について積極的に呼びかけしてはいかがでしょうか。商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 地中熱利用につきましては、省エネルギー性や環境負荷低減効果から、住宅、事務所、公共施設等での暖房、給湯などで、冬に外気温と地中の温度差が大きい北日本を中心に普及が進んでおります。
一方、温暖な西日本では、冬においても外気温と地中の温度差が小さく、地中熱を有効活用できないことから、地中熱利用による省コストの効果が出るのに30年以上かかるとの試算も出ております。このことから、本県においては導入事例が少ない状況ではありますが、省エネルギー等の視点から公共施設での地中熱利用を検討してる自治体があると聞いてございます。
県としましては、今後の技術開発や施工方法の改善によるコスト削減の状況を注視しながら、再生可能エネルギーの1つとして地中熱利用の周知を図っていきたい、かように考えています。
○副議長(花田健吉君) 片桐章浩君。
〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、答弁でいただきましたように、確かにコスト試算に関しては30年程度と、こういう試算もあるようであります。
ちょっと、その後、確認したんですけど、例えば規模とか設備、どれだけ設備が事前にあるか、設備の形態によっては投資額の回収期間、この短縮はかなり可能だというふうにも聞いておりますので、そういった採算面を含めて動きが出てくれば、ぜひとも支援をいただきたいというふうに思います。
環境省が示している「地中熱利用にあたってのガイドライン」、ここで言いますと、「地中熱を利用したヒートポンプ自体は、空気熱利用に用いるヒートポンプ──これは現在使われてるものなんですが──同様に確立された技術です」というふうに書かれております。こういった技術的に確立したものであり、それから事業者が、採算性もさることながら、企業イメージであるとか地球環境問題に貢献する、そういう姿勢のあるところがあれば、ぜひ和歌山県として環境省などとともに連携を図り、例えばシンポジウムの開催なんかもやっているようですから、和歌山県でこういうふうな動きがあれば支援をしていただきたいということをお願い申し上げまして、一般質問を終わりたいと思います。
御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
21番中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず、沖縄県訪問について御報告申し上げます。
去る11月25日、自民党県議団福祉議員連盟・向井嘉久藏会長初め議員22名は、沖縄及び南方戦線で戦死された英霊の追悼式に参加するとともに、米海兵隊普天間基地を視察してまいりました。
戦後68年が経過し、戦争遺児が定年退職をする時代になり、英霊の顕彰をいかに継承するかという課題がある中で、ことしから県主催で行われることになったと伺い、知事や県当局の英断に敬意を表すると同時に、私たちもぜひ参加させていただこうとの思いでありました。遠い異郷の地で戦死された英霊をおしのびし、現代の日本人が結構な暮らしをさせていただいてることに感謝しつつ、心から御冥福をお祈りいたしました。あわせて、世界平和と人類の幸福のため、私たちも努力しなければと決意を新たにした次第であります。
次に、門博文代議士に御同行いただき、公明党から中拓哉議員も参加され、普天間基地を訪問し、基地司令官ジェームス・フリン大佐並びに海兵隊太平洋基地政務外交部次長のエルドリッジ氏から、海兵隊の任務や基地の状況について説明を受けました。普天間基地ができた当時は周辺には畑が広がっていたことや、地元の宜野湾市とは官民ともに仲よくやっていることなど、報道では伝えられてない事実を知りました。
また、エルドリッジ氏は12月3日にも来訪され、「トモダチ作戦とその後」というテーマで講演をしていただき、安全保障や防災対策について議論いたしました。特に日米安保やオスプレイの安全性、災害対応について議論をし、やはり日ごろの顔の見える関係が大切だと痛感をいたしました。
他人が困ってるときに知らんふりをして、今度自分が困ったときに助けてくれとは、私の感覚では言えないというふうに思っております。私は、本年2月定例会でオスプレイの訓練を受け入れるべきとの意見を述べましたが、改めて私の主張に間違いはないと確信した次第であります。これを機会に、安全保障は国の仕事などと思わず、私も大いに研究してまいる覚悟であります。
それでは、通告に従い、一般質問を行ってまいります。
まず、防災対策について、質問4点と要望1点を行います。
その1番は、西川河口水門の設置についてであります。
本県では、3連動地震の防災対策として、避難に加えて必要なハード対策を講じることにしています。御坊市や美浜町の市街地が広がる日高平野の津波対策としては、日高川の支流で平野に深く切れ込んだ西川の河口に水門を設置することが被害軽減に大変有効であると、和歌山高専の小池先生など、津波防災の専門家が指摘しています。
先般、御坊商工会議所が設置する津波防災研究会が静岡県の津波水門と命山を視察してきました。それぞれ資料1と2にお示ししております。津波水門は、沼津港口に設置された展望施設を持つ日本最大級の津波水門「びゅうお」で、平成16年、静岡県が国の補助を得て事業費43億円で設置し、地震計で250ガル以上、震度6弱以上の大地震発生時に重量406トン、幅40メートル、高さ9.3メートルの巨大な扉が自動的に閉まる仕組みになっています。
一行はそのまま上京し、国土強靱化基本法の提案者である二階俊博代議士を訪ね、西川河口水門設置への尽力を要望したと地元紙が報じています。
同研究会は、それに先立つ本年8月に、私も同席し、仁坂知事に津波対策をお願いした経緯があります。その後、知事は、わざわざ西川河口を視察していただいたと伺っておりますが、西川河口水門の設置について知事の御見解を伺います。
次に、命山について伺います。
一行が視察した命山は、本県議会の建設委員会が10月2日に現地視察し、その後、NHK「おはよう日本」でも取り上げられ、現在、全国から視察が相次ぐ状況だと聞いております。命山は、高潮から逃げるための江戸時代の築山を参考に、袋井市が津波から避難する目的で建設した高さ7.2メートル、海抜12メーターの人工の山で、県河川のしゅんせつ土を有効活用して、約6400平米の敷地に天端1300平米、約1300人が避難できる台形の盛り土ピラミッドであります。避難タワーに比べて建設費用が安価な上に、植栽を施せば公園としても使える防災対策に理想的な半永久的施設ではないでしょうか。
私は、たびたび東日本の被災地を視察する中で、仙台東部道路や名取川堤防の盛り土、松島の地形などから、防災対策には盛り土構造物の適正配置が大変有効だと確信しておりましたので、命山の存在を知り、まさに我が意を得たりと納得すると同時に、300人の犠牲を教訓に命山を建設した先人の知恵に敬服した次第であります。
命山について、県土整備の観点からの評価を県土整備部長に伺います。
3番目は、町を津波の破壊から守る対策について要望しておきます。
現在、津波浸水シミュレーションには、津波浸水範囲、浸水深は表示されていますが、ビルでも破壊する津波や瓦れきの破壊力は考慮されていないので、十分な防災対策が講じられるのかと心配しております。
今回の質問に当たり、県当局担当の方から津波防災地域づくり法について御説明をいただきました。同法は、津波浸水予想地域を危険度に応じて建築規制を行うとともに、新たな建築物には津波に耐え得る耐浪性を求めています。この法律は災害に強い町を建設する方法として大いに有効であると感じましたが、町全体をつくりかえるにはどうしても時間がかかります。やはり御坊のような1万人以上が暮らすまちでは高台移転は困難で、現地に住み続けなければならず、それに合った防災対策が必要です。
私は、震災後約1カ月の4月下旬、同僚議員とともに宮城県松島町を訪問しました。町は津波で浸水したものの、天然の要塞とも言える日本三景の島々に守られて、そのころには既にレストランやスナックなどが早くも再開されていました。
一方、他の三陸海岸の町々は津波に完全に破壊され、瓦れきの山積みでありました。2年半が経過する現在でも、いまだに復興はおろか、復旧もおぼつかない状況にあります。
このことから、津波防災対策としては、まずシャットアウトするのが一番ですが、万が一津波が水門や防潮堤を越流しても、さらにそれらの施設が破壊されても、次善の策として、浸水はしても町が壊れない対策が必要であると考えます。
私見ですが、先ほど取り上げた命山は、うまく配置すれば避難所となり、また、津波の衝撃を軽減する松島のような役割を果たしてくれる防災対策であると思います。ぜひそのような新しい対策ができるような制度の充実をお願いしておきます。
4番目は、防災技術展、防災技術研究大会の開催について伺います。
実は、地震のメカニズムが解明されてきたのは、ここ数十年と言われています。したがいまして、その対策技術である防災対策も、残念ながら未開の分野と言えます。しかし、東日本大震災以降、復旧・復興が進む中で、全国各地で官民が防災対策を実施し、防災・減災技術は急速に開発されています。視点を変えれば、今後大いに開発、発展が期待される成長産業でもあり、国際貢献ができる立派な産業であります。
本県は、来るべき南海地震に備えてハード、ソフト、あらゆる分野での防災対策を必要としており、全世界から防災技術を集積し、直ちにその有効性を判定し、実施しなければならない運命にあります。
そのための手段として防災技術の研究所や大学の立地が有効だと思いますが、まずは本県でも可能な防災技術展覧会や研究大会を開催してはと考えます。情報収集と産業振興の観点からの防災展や研究集会に対する知事の御所見を伺います。
5番目は、心肺蘇生法について伺います。
最近、町でよく見かける表示、それはAEDであります。AEDは日本語に訳しても自動体外式除細動器と意味は難解で、心肺停止の人に電気ショックを与え、心臓を動かす機器という程度の認識はありますが、心肺停止の人に出くわしたとき、果たしてちゃんと対応できるのか、私自身、余り自信がありません。
去る9月定例会中、自民党県議団では、キットを使った心肺蘇生法の訓練を行いました。訓練が初めてという人もいましたが、心肺蘇生法の重要性を認識するとともに、胸骨圧迫には結構腕力が要ることも知り、大いに勉強になりました。
インターネットのウィキペディアによりますと、心肺蘇生法とは、脳への酸素供給維持のことだと書いてあります。さらに、脳自体は酸素を蓄える能力がないので、呼吸がとまったら4分から6分でもとに戻らなくなり、一刻も早く脳に酸素を送る必要がある。人間の脳は、2分以内に心肺蘇生が開始される場合の救命率は90%、4分では50%、5分では25%程度となります。これをカーラーの救命曲線と言うそうでありますが、資料3にお示しをしております。
したがって、救急隊到着までの5~6分の間に、現場に居合わせた人──これをバイスタンダー(市民救助者)と呼びますが──この人による心肺蘇生法が行われるかどうかが救命率を大きく左右すると言われています。
本年3月、茨城県では議員提案によるAED等の普及促進に関する条例が制定され、AEDの普及や学校などでの心肺蘇生法の習得を奨励しています。
高齢化の進展や生活習慣病の蔓延、通学途上での交通事故の多発、加えて南海地震など自然災害が常襲する本県では、心肺蘇生法は全ての県民が身につけておくべき常識ではないでしょうか。私は、そのために義務教育での心肺蘇生法の習得が重要と考えますが、教育長の御所見を伺います。
学習指導要領では、心肺蘇生法に関しては必要性は説きつつも、残念ながらその内容や到達度などは明確ではありません。大切な家族が倒れたとき冷静に対処するためには、果たしてどんな内容をどれだけやれば身につくのか、あわせて教育長に伺います。
○副議長(花田健吉君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県は、東海・東南海・南海地震の3連動地震や南海トラフの巨大地震により甚大な津波被害が想定されておりまして、防災・減災の県土づくりに取り組んでいるところであります。
また、今般、国会において国土強靱化基本法等が成立し、国は財政上の措置を講ずる等、津波防災対策がさらに促進されるものと期待をしております。
現在、県では、「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」の見直しを行っておりまして、西川河口部のような平地部で高台がなくて避難場所までに時間を要する地域では、堤防等のハード対策と住民避難を軸としたソフト対策を両方とも総合的に講じる必要があると考えております。現在、西川河口部では津波シミュレーション等の調査を実施しておりまして、この調査結果に基づく既設護岸のかさ上げをしっかり行っていくことで十分な津波対策を行えるものと現在考えておるわけであります。
議員御指摘の西川河口部の水門は、西川からの河川水が流下してくるため、それを阻害しないように水門の大型化とか排水ポンプの設置が必要となる課題もあると思っておりますけれども、防災・減災上の利点も勘案して、議員から御指摘があったことでございますので、最善の津波対策を検討していきたいと思っております。
2番目に、防災技術展とか、あるいは研究大会でございます。
防災技術を一堂に集めた情報交換の場は、防災対策を進める上で有効なものであります。
2つ御指摘のありましたうちの防災技術展でございますけれども、これまでも民間事業者が企画をし、毎年どこか大変大きな見本市会場があるようなところで開催されてるところでありまして、新たに来年6月にはグランフロント大阪で大規模な技術展が開催される予定と聞いております。
このような催し物──技術展ですね。見本市でございますが──企業間の商取引の場としての位置づけが非常に強くて、需要者も厚くて──厚いというのは幅がたくさんいるということですね──そして出展企業が多数集まる大都市圏での開催がどうしても中心になってきます。どうしても、これをこちらに持ってこさせようと思うと相応のコストが要るわけでございます。
したがって、現状では、県が防災技術展を開催するよりも、大都市で行われる大きな催しに参加して、新技術に関する情報収集や意見交換などを行うことがより現実的かなあと考えております。大事なことですから、少なくとも県は関係者に大いに行かせたいと思っておりますし、これは県だけの問題ではございませんので、市町村にも積極的に参加を促していきたいと考えております。
一方、研究集会というようなものは、これはそんなにコストもかかりませんし、それから大勢の人を集めて特定の技術を披露してもらえばよろしいわけですから、大いにやったらいいんじゃないかというふうに思っております。
国や大学、研究機関、そういうものとふだんから連携をして、常に最新の動向を把握し、防災・減災対策に生かしていくことが重要であると考えております。
○副議長(花田健吉君) 県土整備部長石原康弘君。
〔石原康弘君、登壇〕
○県土整備部長(石原康弘君) 命山と呼ばれる盛り土構造の津波避難施設につきましては、東日本大震災を受け、静岡県袋井市などで整備されてきていると聞いております。
命山の築造につきましては、議員御指摘のように、建設残土の利用によるコスト縮減や公園としての活用が考えられるなどのメリットがある一方、高い波が押し寄せてくる地域におきまして十分な高さが確保できるのか、家屋が密集している市街地において敷地が確保できるのかなどの課題が考えられます。
県としましては、今後、各地域の総合的な津波対策を進める上で、こうした命山についても、それぞれの地域の地形や市街地の状況、津波の浸水状況等を踏まえる必要があると考えており、公営住宅や民間ビルの避難ビル化などとあわせて、津波避難施設の1つとして市町とともにその整備、活用方法を検討してまいります。
○副議長(花田健吉君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 心肺蘇生法の必要性についてお答えします。
小・中・高等学校では、命を救い、またけがの悪化を防ぐためにも、さまざまな応急手当ての方法を指導しております。中でも、心肺蘇生法やAEDは命を救うことに直接つながるものであり、その方法を理解し、実践できるようになることは重要であると考えております。
現在、中学校、高等学校では、保健体育の教科書に心肺蘇生法やAEDに関する詳しい記述があり、保健体育や防災訓練等の学校行事において指導しているところです。
時間数等については、全ての生徒が社会に出たときに対応できるよう適切に確保しているところですが、今後も、実習を積極的に取り入れる工夫を行うなど、学校での指導を徹底してまいります。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 津波の水門につきまして、実は西川流域というのは、日高平野では最上流部で土生川という川がありますけども、それは直接日高川に流れておりますが、あとの川は全部西川経由で日高川に流れてくることになっております。有名な道成寺の山門前や国道42号周辺のところでも、ちょっとした雨が降れば洪水、水浸しになるわけでございます。
西川の支流に東裏川という川がございます。そこにはポンプをわざわざつけてあるんです。しかし、1回だけ動かしたときに西川が上流部であふれて家屋が浸水をしたということがあって、それ以来、せっかくポンプがあるが、1回も使われてないんです。その東裏川上流では、もう毎度家がつかるという人たちがいて、ぜひそれを使ってほしいと、こういう要望を県当局に申し上げておりますが、これはなかなか難しくてできません。西川の河口に水門をつくっていただくということは、津波対策だけではなくて、実は洪水対策としても大変有効であるというふうに思いまして、ぜひ実現方をよろしくお願い申し上げたいと思います。
命山につきまして、部長から答弁をいただきました。より高い波が来たときに逃げられないじゃないかというお話でした。これは、ほかの避難タワー等の人工構造物についても同様のことが言えると思います。
しかし、私、命山がすごいなと思うところは、別に──袋井市の命山は7メーター、標高12メーターということでありますけども、土地さえあれば、それこそ50メーターぐらいのものをつくっとけば、その津波がだんだん大きくなっても逃げていけるんじゃないかというふうに思うわけであります。
私とこの家のある近所では、県の公共残土処分場というのがあって、近所の人たちは大変迷惑をしております。やりたいという人たちももちろんいるので、やってるわけですけども、しかし、わざわざお金をかけて残土を捨てるんであれば、土地がないとだめでありますけども、大いに私は有効利用をすべきだと思います。
御坊の隣の美浜町では、来年度以降、やろうということで、この命山のことを御存じだったのかどうかわかりませんけども、やるという方針で取り組んでおられるところもありますので、ぜひお願いをしていただきたいというふうに思います。
それから、知事から防災展のお話がありました。
県では、この展覧会にかかわらず、一方、全国大会とか西日本大会とか、大会を誘致されてるわけですよ。だけど、利便性とかということでいえば、どんな展覧会も、ほとんど東京や大阪でやったほうが便利だと思うんです。しかし、和歌山県のように今まさに災害が起きるかもわからない、それから、例えばすばらしい技術が明らかになったときに直ちに採用される可能性がある、そういうところが私は大阪じゃなくて和歌山だと思うんです。
私は、県の職員の人たちといろいろお話をする中で、幹部の政策決定をする立場の人も、結構、東日本の震災のところというのはもう何回も行ってるのかと思ったら、1回も行ったことないという人も結構多くあります。日常的な業務が忙しいから我々のようにしょっちゅう視察ということもできないのかもわかりませんけども、多く情報を集めるというためには、研究大会や防災展というのは私は大変有効で、そんな大阪とか東京でやってもらわなくても──別に県がやらなくても私はいいと思いますが。やる方法はあると思っておりますので、私自身も何か汗をかきたいと思ってますが──ぜひ県のほうでも私は取り組んでいただきたい。ほかの全国大会なり展覧会はビッグホエールでいつでもいらっしゃいと、来たら奨励金を出しますという、こんな制度もあるので、ぜひとも知事も考えを改めていただきたいというふうにお願いを申し上げておきます。
それから、教育長から、もう今、義務教育を卒業したら心肺蘇生法ができるんだというようなお話がありました。私の認識では、とてもそうなってないんじゃないかというふうに思っておりますので、答弁を聞かしていただく中で、担当の課長からは必ずやるという、そんなお話も聞いておりますので、ぜひ期待を申し上げておきたいと思います。
続けて質問を行います。
次に、紀州学について伺います。
ことしの夏、同志社大学の名物教授と言われた考古学の第一人者、森浩一先生が逝去されました。森先生は、司馬遼太郎や黒岩重吾とも親しく、松本清張のアドバイザーだったとも言われています。中学生のときに発見した須恵器から考古学に興味を持ち、常に現場を歩く姿勢を貫かれ、中央史観にとらわれない発想や、遺物ではなく遺跡を中心に考えることを提唱され、教科書で天皇陵を在地の名前で呼ぶことを実現し、「考古学は地域に勇気を与える」と言って地域学を薦められました。本県には何度も足を運ばれ、南方熊楠賞受賞記念講演では、森史観からの紀州論を論ぜられました。御坊市の岩内1号墳も、有間皇子の墳墓であるとのお墨つきもいただきました。
その森浩一先生が、昨年11月に最後の講演となった御坊市での有間皇子シンポジウムにおいて、古代からの歴史を連綿と紡いできた和歌山の地域学としての紀州学の設立を提案されました。
今月4日、和食;日本人の伝統的な食文化がユネスコの無形文化遺産に登録されました。早速マスコミでは、推進した京都の取り組みが多く紹介され、あたかも京料理や京野菜だけが和食のような印象を受けました。しかし、全国各地にはそれぞれの郷土料理があり、四季折々の食材がたくさんあること、これこそが和食のすばらしい特徴だと思います。
我が県にも、和食の味の原点であるみそやしょうゆ、かつおぶし、ワサビ、すしなどのルーツがあり、熊野詣でや行幸で食された山海の珍味や徳川御三家、紀州の殿様料理は、決して京料理には引けをとらない資源であるというふうに思います。
来年は、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産登録されて10周年です。登録のおかげで和歌山の自然や文化は世界レベルであることがわかり、県民も大いに自信を持ちました。しかし、和歌山のもっとすごいところは、世界遺産以外にも世界遺産級のものがたくさんあることです。全国6位の国宝数を誇り、きら星のごとく資源があります。
最近、幸いにも、県内各地で貴重なそういったふるさとの資源を磨く人がふえてきました。私は、そういった人たちが集まる場所として──といっても物理的な広場ではありませんが──そんなみんながよって立つ地域学としての紀州学が必要ではないかと考えます。地域学としての紀州学についての知事の御所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のように、和歌山県にはまだまだ全国にも県民にも知られていない貴重な歴史、自然、人物などの資源がたくさんございます。行政だけでなくて民間においてもいろいろ勉強しておられる方もたくさんいらっしゃって、それを中村議員は「紀州学」という名前をおつけになって、共通の認識を持ってそれらの資源を活用することが大切であるという御提言だと思っております。私も、大変そのとおりだというふうに思っております。
本県の資源に磨きをかけ、売り出すためには、まず県民自身が地域のすばらしさに気づいて、ふるさとへの愛着を高めてもらうことが必要であると私は考えておりまして、このため、まず子供たちに、県民の郷土愛を育むことを目的に、本県の歴史とか先人とか産業などを幅広く紹介した「わかやま何でも帳」をつくって配布いたしまして勉強してもらう。さらに、大人の方にも、昔はそういう教育を受けてなかったから、ぜひ勉強してもらいたいというか、知ってもらいたいと思いまして、今、一般書店でも購入できるようにしてるわけでございます。
また、本県の魅力を全国に売り出して県民に誇りを持っていただくために、郷土の偉人顕彰のシンポジウムを、毎年、人を選んで東京で行っております。これらの事業も議員御提案の紀州学の1つの意向に沿うようなもんじゃないかなあというふうに思っております。
さらに、議員御指摘の紀州学の物知り、名人、達人、そういう方をたたえることも大事だというふうに思いまして、今度の日曜日に森浩一先生をしのぶ会に行かしていただきますけれども、それもそういう一環だと考えております。
今後も、本県にある貴重な資源を発掘し、磨き上げ、県民と共有しながら、県外にも発信する機会を充実していきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 文句を言ったりお礼を申し上げたり──今度は日曜日にお忙しいところ、ありがとうございます。
この紀州学ですけども、この議会では私が申し上げましたが、さっき質問で申し上げたように、提案をしてくれたのは森浩一先生でございます。今度ぜひ御坊へ来ていただいたときには、そういう趣旨で御挨拶をしていただいたらうれしいと思います。
続いて3番目に、鉄道のゆっくり旅について伺いたいと思います。
一昨年春、九州新幹線が開通し、新大阪から鹿児島まで最速3時間45分、大阪の隣にある本県新宮までも、やはり3時間45分。遠い和歌山の象徴として、近い将来にはぜひとも克服したい課題であります。
一方、本日は、片桐議員からも特別列車の質問がありましたが、九州では寝台列車や特別列車でゆっくり回る鉄道の旅が人気を呼んでると聞きます。東日本の被災地でも、先般参りましたが、三陸鉄道が復旧し、震災学習列車やお座敷列車などが運行され、朝ドラの「あまちゃん」効果にもあやかって人気を博しています。
そこで、本県も、鉄道の高速化、高規格化は最優先としつつも、遠い、屈曲、遅いを逆手にとって、ゆったり回る、しかも豪華列車などといった戦略を追加してはと考えます。来年は、国鉄以来の伝統的キャンペーンが本県の順番となり、全国のJRが和歌山県特集を組んでくださると聞きますが、商工観光労働部長の御所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県では、来年の世界遺産登録10周年を契機として、9月14日から3カ月間、JRグループ6社とタイアップした和歌山デスティネーションキャンペーンを実施いたします。これは、JRグループの広報媒体を活用して和歌山を全国に情報発信するとともに、県内各地でさまざまなイベントやおもてなしの企画を実施して多くのお客様に来県いただくものであり、JR西日本においても、情報発信に加え、旅行会社対策や企画切符の販売といったことでキャンペーンを後押ししてくれます。
その一環として、さまざまな列車の企画も検討されてるとのことでありますが、議員から御提案のありました豪華列車のゆっくり旅については、実現すれば、鉄道ファンに限らず人気の出る企画になると考えております。
幾つかの駅でしばらく停車して、街歩きや特産品を買ってもらったりするような地域にメリットのある企画を考え、JR西日本に積極的に要望してまいりたいと考えております。また、お客様の反応がよければ、ほかの列車も含め、キャンペーン終了後の定期運行についても要望してまいりたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目は、御坊の工業団地について伺います。
アベノミクスが功を奏し、我が国経済も本格的に景気回復の道を進んでいます。それに伴い、企業の設備投資も当然増加するものと予測されます。特にアベノミクスの3本目の矢は、民間投資を喚起する成長戦略で、民間企業活力の復活、ビジネス環境の整備など7分野に成長目標を決定し、さきの臨時国会において産業競争力強化法が成立し、投資減税が決定されたところであります。
その効果を本県に呼び込むため、塩漬けになっている御坊工業団地(熊野)──私の近所でありますが──この際、景気回復のチャンスに備えていつでも対応できるように工法など設計を見直しておくべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
○副議長(花田健吉君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員の御指摘を待つまでもなく、企業誘致は和歌山県の各地で進めたいと思っておりまして、特に御坊地域は、第二工業団地があと1区画を除いて全部売れてしまったという──うまくいきましたんで、次の展開と考えて土地が要るというふうに思ってるわけでございます。
従来の和歌山県の構想でいえば、日高港地域ということだったんだろうと思うんですが、いろいろな企業の方々との話し合いの中では、やっぱりちょっと津波が怖いというんでしょうか、沿岸部よりも山の手のほうが人気があるというのが今の現状でございます。
そこで、凍結状態になっていた御指摘の第一工業団地であるところの熊野地区、これについて、ちゃんと整地をして売り出すようにしたらどうだということで実は検討させました。その結果、包み隠さず申し上げますと、急峻な丘陵地帯の造成であるために土砂の工事が多くて、のり面の保護についても十分に施工する必要があり、関連工事を含め、施工には多額の費用が見込まれると。そこで、造成費用と想定される売った場合の収入(売却価格)を踏まえると、事業採算性が大変厳しくて、むしろ、より平たんで安価な他の用地を造成したほうがいいのではないかというのが県庁内の当時の議論でございました。
そうでございますけれども、これが現状なんですが、既に用地は購入済みでありますし、本当にもっと企業誘致もしたいわけでございますんで、今後の企業立地の動向も見きわめながら、可能性は摘むことなく改めて検討をしていきたい、そういうふうに思っております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 山の造成、土をたくさん動かさないといけないわけでありますけども、たくさん余れば、さっき申し上げた命山をつくれば経費も大いに助かるんではないかというふうに私は思っております。
続けて、5番目の質問を行います。
最後は、市町村の行政パソコンについて伺います。
パソコンのOS、ウインドウズXPが、来年4月9日をもってサポートが終了することになっています。ある意味傑作と言われ、広く普及したため、企業や官公庁にもたくさん導入されており、バージョンアップや買いかえ、リース打ち切りなど、現在、各所で対応策がとられています。先般、米軍普天間基地を訪問した際にも、パワーポイントのパソコンがXPでした。巨大な米軍でさえも残ってるので、特に重要な情報を多く抱えながら財政力の弱い地方自治体にとって、切りかえが大きな問題になっています。
そこで、果たして県内市町村ではXPパソコンは何台あり、その全てがサポート期限までに対策が完了するのでしょうか。そしてまた、対応が完了しないパソコンがあれば、それはどうするのか、あわせて企画部長に伺います。
○副議長(花田健吉君) 企画部長野田寛芳君。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) ウインドウズXPのサポート終了対策でございますが、県の調査によりますと、県内30市町村が現在保有するウインドウズXPが搭載されたパソコンの総数、これは4625台ございます。そのうち2533台については、来年4月9日のサポート終了までに廃棄、リース終了、またはOSアップグレードによりなくなりますが、残りの2092台は、サポート終了時点で残存する予定と聞いております。
残るこの2092台のうち2052台につきましては、総務省が示すインターネットに接続しないという措置、またはサポート終了後、早期の廃棄等によりまして対策を行う予定と聞いてございます。
残り40台でございますが、現時点で対策未定となっておりますが、県としましては、市町村に協力して個別に対策を検討することにより来年4月9日までに全てのパソコンについて対策を完了したいと、このように考えております。
○副議長(花田健吉君) 中村裕一君。
〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 以上で終わります。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時35分散会