平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(門 三佐博議員の質疑及び一般質問)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(門 三佐博議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 7番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 皆さん、こんにちは。
 ただいま議長のお許しをいただきまして、今議会本会議での一般質問の最終の発言者として質問させていただきますことに厚くお礼申し上げます。
 私が県議会議員に初当選させていただきましたのは昭和50年4月で、満38歳の年でした。当時の知事は故大橋正雄さんでして、6月に開かれました初議会で当時の大橋正雄知事に質問させていただきましたことはいつまでも記憶に残り、懐かしい思い出がよみがえってまいります。
 大橋知事も、私どもの当選と同じように4月に3選され、3選目の県政を力強くスタートされたのですが、運悪く病魔に冒されまして、10月4日に県民の深い祈りもむなしく帰らぬ人となられました。次の知事は、故仮谷志良さん、それから西口勇さん、木村良樹さんと御就任されまして、いずれの方々も県勢発展のために真剣に取り組んでこられ、数々の業績を残されています。
 戦後の民選知事は、初代・故小野知事さんを初め、5代目に選ばれましたのは、当時、和歌山県人で経済産業省のエリートとして御活躍されていました、またブルネイ大使も務めておられました仁坂吉伸知事が選ばれ、ただいま第2期目を務めてくれています。和歌山国体を2年後に控え、先般は2020年の東京オリンピックの開催が決定し、それに向かって本県の活性化のために全力を注いでいただけるものと確信しております。
 去る9月17日から4日間にわたりまして、同僚各議員から、県政全般の発展策についてや地域の課題、問題点について、適切な質問と提言がありました。いずれも重要な課題であり、仁坂知事初め関係部長の熱心な対応に敬意を表す次第であります。
 仁坂知事は、第2期目の県政推進に当たり、厳しい財政の中、平成23年9月に発生した紀伊半島大水害の復旧について早期の対応を図られ、実績を上げてくれています。被災地の皆様方には、一日も早い復旧が進み、本来の生活に戻れますことを心からお祈りしております。
 平成25年度予算編成に当たりましても、「安全」「安心」「挑戦」のスローガンを掲げ、元気な和歌山の実現に向けて、南海トラフ巨大地震などの新たな被害の想定を踏まえた対策や地域防災力の強化など、「大規模災害に備えた『安全』の政策」、医療や福祉、生活環境を充実させる「県民の命とくらしを守る『安心』の政策」、さらには、県経済と地域の成長を促し、将来の和歌山県を支える人材を育成する「成長に向けた『挑戦』の政策」を着実に推進すると本年当初議会で表明されて今日に至っております。財政的には大変厳しい中ですが、県民生活の安定のため一層の御尽力をお願いいたします。
 仁坂知事は、県民の皆様方に県行政の全てを御理解いただきたいとの願いから、和歌山県行政報告会の名のもと、県下各地で報告会が実施されております。県民の皆様方と親しみを込めて語り合うということはまことに時宜を得たものであり、今後の取り組みに大いに期待を込めています。
 去る7月30日は、我が町のかつらぎ町文化会館で第2回目の報告会を開催していただきまして、私も一町民として出席させていただきました。仁坂知事からは、県行政全般にわたる御報告が資料をもとに詳しく説明があり、質疑応答の後、参加者からは大いに理解されたように思いました。
 一旦終了された後に仁坂知事からは、「私はこの場に夜通しでもいますので、皆さん、御意見があれば何でもお申しつけください」と言われまして、数名の方々から地域の問題など意見、質問がされたわけでございますが、御丁重に対応されておりました。そうした庶民的な姿勢に一層敬服した次第でございます。
 それでは、ただいまから質問に入ります。
 議員提案条例制定後の実績と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 地方分権の進展を背景とした議会改革の1つとして、地方議会において、政策の実現のため議員提案条例を制定する動きが、地方分権一括法が施行されました平成12年度から急速に活発化し、また全国的に関心が高まっております。年々、各都道府県を初め全国の各自治体議会において、議員提案条例の取り組みが増加しております。
 「地方行政が二元代表制をとり、車の両輪として進められている」と言葉としては言われてきましたが、地方議会は当局の施策、また事業の監視、評価に終始してきたところであります。しかし、住民ニーズの多様化の中、議会の権能として、今申し上げた当局の施策に対する監視、評価の姿勢だけでなく、住民目線で住民の代表である議員が積極的に政策の実現にかかわっていく、政策そのものの方向を示していくといった姿勢が議会の果たすべき役割として強く求められると言っても過言ではありません。議員提案条例制定の動きの背景には、そうしたことがあります。
 また、議員提案条例の特徴として、施策実施に携わらない実務経験の少ない議員が事細やかに個別具体的な条文を列記できる条例をつくることは難しく、どうしても理念条例になる可能性があり、条例に基づく施策の実効性という点では弱い面もございます。しかし一方、住民の要望を直接的に反映し条文化することができ、その意味で議員提案条例の意義は大きいと考えています。
 このような状況の中で本県議会におきましても、平成17年度以降、紀の国森づくり税条例を初めとして8件の政策的議員提案条例を制定しております。それぞれの条例について申し上げれば、会派提案によるもの、委員会提案によるもの、全会派の議員による条例案検討会により審議されて提案されたものなど、手続的にはいろいろなものがありますが、それぞれ少しでもすばらしい和歌山、元気な和歌山の実現に向けて議員が一丸となって議論し、練り上げてきたものであります。
 時間の都合もございますので、本県議会においては制定された全ての条例について取り上げるわけにはいきませんので、次の3つの条例の制定後の実績等と今後の取り組みについてお聞きすることといたします。
 まず、和歌山県がん対策推進条例についてであります。
 がんは県民の死亡原因の第1位の疾病であり、本県においても、肺がん、胃がん、肝がんなど、死亡率が長期にわたって極めて高い状態で、非常に憂慮すべき現状にあります。県を挙げてがんとの闘いに取り組むことが求められています。
 そうした状況を踏まえ、県議会におきましては、がん患者を含む全ての県民が生き生きと生活できる地域社会の実現、そして県民みんなが7つの主体、いわゆる七位一体となり、緊密な連携、関係者の一致協力のもと、実効性のあるがん対策を総合的かつ効果的に推進していくことを狙いとして、和歌山県がん対策推進条例を昨年12月に制定したところでございます。
 この条例は、がん対策の重要性に鑑みて、すべきこと、できることは全て規定するという方針で作成されました。和歌山県がん対策推進計画の見直しを念頭に、条例の内容をその計画に反映させることを狙いといたしました。本条例は、議員提案条例の中でも、施策について具体的かつ詳細に規定した政策提案型の条例であります。
 次に、和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例についてであります。
 食べるということは健康な生活の基本であり、歯と口腔の健康づくりは、身体全体の健康を維持し、質の高い生活を実現していく上で大変重要な役割を果たしております。また、少子高齢化の進む本県において、歯と口腔の健康づくりを推進し、元気な高齢者を1人でもふやすということ、そして子供たちの一生の財産である歯と口腔を守り、健やかな成長を実現することは、県を挙げて取り組むべき重要な課題であります。
 この条例は、平成24年4月に、施策の総合的かつ計画的な推進を図り、県民の健康の増進及び元気で健やかな生活の実現に寄与するために施行されました。生涯にわたる歯と口腔の健康づくりを念頭に置きながら、特に子供を重視した条例としております。また、多数の県民意見をいただいてつくった県民と県議会の共同作品とも言うべき条例であり、近畿2府4県では最初の歯科保健推進条例です。
 次に、和歌山県観光立県推進条例であります。
 観光は、単に観光産業だけではなく、農業、林業、漁業、製造業、サービス業など幅広い分野にわたる裾野の広い産業であり、その振興は交流人口を拡大させ、地域経済の活性化や雇用の増大をもたらすものであります。少子高齢化が進む本県にとりまして、県勢の浮揚を図るためにも、観光を本県経済のリーディング産業となるよう育成し、観光立県の実現を目指すことがぜひとも必要であります。
 本県には、豊かな自然や世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に代表される貴重な歴史や文化、さらには四季折々の多彩な食材、心癒される温泉など、国内外に誇れる魅力がたくさんあります。これらの資源を生かし、観光立県を実現させるために、行政や観光関係者が熱心に取り組むのはもちろん、県民一人一人が観光立県の意識を理解し、本県を訪れた観光客をおもてなしの心を持って温かくお迎えしていただくなど、観光振興の担い手として主体的に取り組んでいただくことが必要であります。
 そのためには、行政、県民、事業者が一体となって県民総参加で観光振興を進めることができるよう、この和歌山県観光立県推進条例を平成22年4月に施行しました。この条例は、県民総参加という考え方を大きな柱として、観光週間を設けるなど、県民総参加に取り組む意識を高めることといたしました。
 これらの条例について、条例制定に伴う成果、また、条例を機とする新たな取り組みの状況についてお聞かせください。また、事業を実施する上で課題もあろうかと思いますが、今後どのように取り組んでいくか、決意を福祉保健部長、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 次に、紀淡海峡ルートの早期実現についてお尋ねいたします。
 2020年の夏季オリンピック・パラリンピック大会が東京で開催されることに決まったとのニュースは、東日本大震災以降において久々に日本の未来を明るく照らし、人々をうれしい気持ちにさせる出来事であります。株価も大幅に上昇するなど、早速市場は反応し、日本経済再生の起爆剤としての期待は大いに高まっています。
 新聞報道によりますと、東京湾臨海部への開発投資や環状道路の整備など、官民のインフラ投資や観光業の拡大による経済効果は今後7年間で最大150兆円と言う識者もおり、東京オリンピックの開催はまさにアベノミクスの第4の矢、日本の成長を牽引する大プロジェクトと思われます。
 一方、オリンピック開催に向けての動きは、これまで以上に東京一極集中を加速させ、首都直下型などの巨大地震の発生可能性が指摘される中にあって、このままでは国の存続も揺るがしかねない危険度をますます高めるのではないかという意見も聞かれます。
 東日本大震災の教訓を踏まえれば、大災害が発生しても致命傷を受けない、被害を最小化する、すぐに回復するという強靱化の観点から、極度の東京一極集中の緩和と首都機能の地方分散こそが必要であり、リダンダンシーを確保した多軸型の国土構造の構築がまさに求められているところであります。特に緊急時において、大災害等により大動脈である基幹交通が被災した場合に備えて、その代替となる基幹輸送経路の確保が最も重要であり、そのため高速交通網を多重化しておく必要があります。
 このような視点から見た場合、西日本には国土軸はたった1つしかございません。新たに和歌山から淡路島、四国、九州へとつながる新国土軸、それを支える交通インフラを整備することは、日本の防災面から見ても焦眉の課題でございます。このかなめとなるのは、和歌山と淡路島間の紀淡海峡を道路や鉄道で結ぶ紀淡海峡ルート構想であります。この構想は、国土軸のリダンダンシーを確保する上だけでなく、大阪湾岸や関西を1つにする大環状道路で結び、各府県の交流を促進することで関西全体の発展に大きく寄与することと考えます。
 本県にとってみれば、平成27年和歌山国体までの供用を目指し、京奈和自動車道の整備が進められております。阪和道と連結すれば南紀、大阪方面へと結合されます。この結合点から加太を経て淡路島、さらに四国に高速道をつなぐことで東西の新たな人の流れを生み出すことにより和歌山県北部のポテンシャルが高まり、飛躍的なアクセス大改善を図る風光明媚な紀淡海峡をまたぐ紀淡海峡大橋は、単なる交通手段としてだけではなく観光資源となり、より一層の交流人口の増大につながると考えます。
 また、現在、構想推進の機運が高まっております四国新幹線がこの紀淡海峡ルートを通ることになれば、四国、九州との交流が活発化するだけでなく、和歌山が新幹線に直結することができ、その鉄道高速化の効果は紀伊半島全体に及ぼすことにつながるのではないかと考えております。
 そこで、知事に伺います。
 国において国土強靱化の議論が高まっている今こそ、紀淡海峡ルートの早期実現に向けて強力に取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 国道480号府県間トンネル開通後の紀北地方の地域振興策についてお尋ねします。
 紀北地方と大阪府南部地方を結ぶ府県間道路につきましては、関西国際空港へのアクセス向上、大阪府との交流・連携や地域の振興に資するため、関西大環状道路を形成する京奈和自動車道と一体となって優先的な整備が進められております。
 府県間道路の1つであります国道480号は、大阪府泉大津市を起点として紀北地域を縦貫し、有田市に至る幹線道路でございます。このうち府県間トンネルを含む鍋谷峠道路は、仁坂知事とともに私たち県議会も一緒になって国土交通省や財務省、また大阪府に対し熱心に働きかけを行ってきた結果、平成20年度から直轄権限代行事業として新規に採択されまして、昨年8月に着工に至りました。府県間トンネルの工事着工は紀北地方の皆さんの悲願であり、私も初当選以来、府県間道路の整備に向け熱心に取り組んでまいりましただけに、まことに喜ばしく思います。
 現在、全長3700メーターの府県間トンネルは、和歌山県側から掘削が始められまして、本年8月末時点で約800メーター程度トンネルが掘られていると聞いております。工事の順調な進捗を願うところであります。
 府県間トンネルが開通いたしますと、平成27年の紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会の開催や、多くの観光客が訪れます高野山へのアクセスに大きな力を発揮するとともに、産業、観光の誘致や通勤圏の拡大、豊富な農産物の出荷などが促進されるのみならず、さきに申し上げましたような交流・連携や地域の振興が期待できます。
 例を挙げますと、私の地元のかつらぎ町では、毎年児童を対象に友好都市であります和泉市や守口市との交流会を開催しており、指導者の方々のお力添えによりまして、レクリエーション、野外活動などさまざまなプログラムを通じて、将来を担う子供たちがお互いに切磋琢磨することで友情の輪が広まっております。府県間トンネルの開通により、紀北地域が単なる通過点だけでなく、こうした有意義な取り組みが一層促進されなければならないと思います。
 このことから、私は、県と地域の皆様方が手を携えて地域振興や交流人口の拡大に積極的に取り組み、府県間トンネルの整備効果をより一層高めていくことが重要であろうと考えますが、知事の地域振興策について御所見をお伺いいたします。
 次に、伊都高等学校、紀の川高等学校の再編についてお尋ねします。
 県立高校の再編については、県教育委員会は去る9月2日、伊都地方の県立高校の再編案を発表するとともに、あわせて県民意見の募集手続を経て10月には成案を取りまとめる予定であると発表されました。
 県立高校の再編については、これまでも地域の少子化が進んでいるなどの理由から、海南高校と大成高校、串本高校と古座高校などの再編が行われてきました。少子化は和歌山県全域の傾向であり、伊都地方においてもその例外ではなく、年々中学校を卒業する生徒が減少しております。今後も減少が続くと見込まれる現状からは、私は、伊都地方の高校再編も、残念でございますが、いたし方ないことだと思っております。
 このほど示されました再編案は、平成26年度を最後に全日制伊都高校と定時制・通信制の紀の川高校の新入生の募集を取りやめ、平成27年度に、現在の伊都高校の場所に、生徒一人一人の夢が実現できる新しいタイプの学校を開校するというものでございます。
 この再編案が公表された後、私は、中学生の子供さんを持ちます保護者の方とお話しする機会がありました。新聞報道では、伊都高校、紀の川高校は廃校とか閉校とか大きな見出しがあったこともあって、保護者の方たちは、来年の入試への影響はないのか、新しい学校はどんな学校なのか、野球などクラブ活動はどうなるのかといった疑問や不安の気持ちを抱いておられます。
 私は、この再編案に対して、それぞれの立場からさまざまな意見があることは理解しております。しかしながら、一方では、次代を担う若者のことを第一に考え、県教育委員会や伊都高校、紀の川高校の職員が数年をかけて学校関係者や同窓会を初めとする関係方面と協議や調整を続けてきた新しい学校に大きな期待を寄せているところでございます。
 そこで、教育長にお尋ねします。
 そもそも教育委員会が進めております高校再編の基準はどのようになっておるのか、伊都高校と紀の川高校が対象となったのはどのような理由からなのか、歴史や伝統のある高校にかえて開校する新しい学校とはどのような学校なのか、保護者の皆さんが抱いている疑問や不安をどのようにして払拭するのかをお尋ねいたしたいと思います。
 これで、私の質問を終わります。皆様、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) ただいまの門三佐博君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私に御質問がありました2点についてお答え申し上げます。
 まず第1は、紀淡海峡ルートの早期実現ということであります。
 議員御指摘のとおり、近い将来、巨大地震がどこでどう発生するかわからないという中で、東京一極集中の脆弱性を克服し、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保や多軸型の強靱な国土の形成が求められておりまして、そのためには、大動脈の代替機能を有する四国新幹線の整備など、高速交通網の多重化が重要であります。また、成長著しいアジアの活力を西日本全体に取り込むために、関西国際空港の機能強化とともに、大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスや関西大環状道路を初め、西日本全体をつなぐ高速交通インフラの整備が必要であります。
 実は、これら全てのかなめとなるのが紀淡海峡ルートでありまして、この4つのプロジェクトのうちのミッシングリンクということになると思いますので、そのように考えて取りかかっております。
 その実現には、次の4つの意義があると考えます。1番目は国土軸としてのリダンダンシーの確保になる、2番目に四国新幹線と整備をあわせることで大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスの早期整備が俎上に上ってくる、3番目に四国新幹線の実現に逆になる、4番目に関西大環状道路の実現に資するという4つの意義であります。国において国土強靱化の議論が大変高まっているこのタイミングを逃さずに、このような高速交通インフラ整備をドッキングさして考えて、関係府県の力を結集し、紀淡海峡ルートの早期実現に向けて国に対して強く働きかけていきたいと思っております。
 実は、かつて和歌山県でも、皆さん御承知のように、この問題には大変熱心に取り組みました。しかし、うまくいかなかったということで、この扱いをどうしようかと実は私もずうっと考えてまいりました。特に時の勢いがないと、かえってもっと緊急性を要するようなプロジェクトが、いわばどっちが大事だといっておもちゃにされて、かえってその進捗が遅くなるんじゃないかという懸念もたくさん最近まであったところであります。そういうことがありますもんですから、少し抑えてまいりました。
 しかし、政権交代もあり、国会議員を初め多くの方々の努力によって、27年国体までの諸プロジェクトに続きまして、紀伊半島一周の高速道路や4車化についても先が見えてきたというか、めどがついてまいりました。もうこれがどっちがなんて言っておもちゃにされることはないなあというようなことでございまして、リスクがなくなったと思います。それでは、長期の課題を掲げても失うものはないので県民の不利益にはならないということであるし、また国土強靱化というチャンスもあるということで、これはまあ一遍挑戦してみようというふうに考えたわけです。
 そのためには、今申し上げましたような4つの勢力が今ばらばらに一応自己主張してるわけですが、それを結集して頑張れば、実現するとすればより近いということでございますので、いろいろ知事側を説得して、それでこのようなプロジェクトに今仕立て上げつつあるということでございます。先の長い話だと思いますけれども、頑張っていきたいと思っております。
 次に、480号府県間トンネル開通後の紀北地方の地域振興ということであります。
 議員を初め関係者の方々の御支援をいただきまして、国道480号府県間トンネルを含む鍋谷峠道路が着工に至りまして、大変喜んでおります。これは、27年の国体までにぜひやってくれということで、直轄代行という形で、今、国がプロジェクトを進めてるんですが、お願いをしてるところであります。
 国道480号は、大阪府との交流・連携や地域の振興を進めるために非常に重要な道路であることから、これまで県では、あそこへ行く平道路とか梨子ノ木バイパスなどの整備に取り組んできましたが、国の直轄権限代行事業として新規採択された鍋谷峠道路について、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会の開催を見据えて早期完成できるように要望してきたところであります。
 現在、着々と進行しておりますので、完成の暁には、紀北と、それから大阪南部の人口稠密地帯とのバリアがなくなると言ってもいいと思います。しかし、地域の発展にとって道は条件でありますけれども、全てではございません。地域の方がこれを生かして経済活動などに利用していく、そういうことが必要ではないかということでございますが、それは府県間トンネルの開通によりまして一層容易になってくると。この地域の人々と私はずっと接してまいりましたけども、条件が整えばきっと頑張ってくれるだろうというふうに確信しております。
 また、それを県も助けないといけません。現在、地域固有の資源を活用して地域おこし、産業おこしに取り組む市町村を応援するわがまち元気プロジェクト事業で九度山町の真田を体感できる町並みをつくろうとか、あるいは特産品をつくろうとか、あるいは過疎集落を再生・活性化する和歌山版の過疎集落支援総合対策事業でかつらぎ町の四郷生活圏での取り組みをやっていこうとか、あるいはU・Iターン者の増加を図る移住・交流事業などを実施して地域活性化を推進してるんですが、そういう期待にきっと応えてくれると思います。
 また、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会、高野山開創1200年などの絶好の機会を捉えて、積極的な観光プロモーションを展開して交流人口の拡大に努めたいんですけれども、後半のほうは、国体が終わった後はこの道路も使えているという状態でございますので、それを利用して今のようなプロジェクトをどんどん進め、そういうことを総合的に頑張って今後とも努力していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
  〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員提案条例のうち、2点についてお答えさせていただきます。
 和歌山県がん対策推進条例につきましては、昨年12月の条例の施行を受け、その内容を反映した第2次和歌山県がん対策推進計画を本年4月に策定いたしました。この計画に基づき、本年度は新たにがん検診受診対象者への個別勧奨を実施し、がんの早期発見に取り組むとともに、がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院の診療設備の充実や地域の拠点となる病院の機能強化を進め、がん診療体制の充実を図っているところです。
 さらに、がんの予防、教育・普及啓発、がん登録、相談支援など、がんによる死亡者の減少とがんになっても安心して働き暮らせる社会の構築を目指して総合的に取り組んでいるところです。
 県といたしましては、条例の理念に基づき、県議会、行政機関、県民、保健医療関係者、教育関係者、事業者、報道関係者が七位一体となってがん対策に取り組み、全ての県民が健康を維持し、質の高い生活が実現できるよう努めてまいります。
 次に、和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例につきましては、昨年度、条例で「いい歯の日」とされた11月8日に「家族でよい歯のコンクール」の表彰式を行い、「いい歯の月間」と定められた11月に街角歯科健診を実施したところですが、今年度はさらに実施箇所数をふやすなど、県民運動として定着するよう積極的な普及啓発に努めているところです。
 また、フッ化物洗口事業を引き続き推進するとともに、幼児の虫歯予防対策を推進する新たなフッ化物歯面塗布事業や医科歯科連携による研修会等を実施するなど、歯と口腔の健康づくりに取り組んでおります。
 今後も、県民誰もが生涯にわたり健康で暮らせるように、歯と口腔の健康づくりを推進してまいります。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県観光立県推進条例についてお答えいたします。
 まず、条例の制定に伴う主な成果でございますが、条例第11条に基づき、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなすを施策の3本柱として観光振興実施行動計画を毎年度当初に策定し、市町村、観光関係団体・事業所と協働しつつ各種事業を展開しているところです。
 平成23年9月の紀伊半島大水害により激減した観光客入り込み数もほぼ災害前の入り込み数まで回復しており、事業実施の成果があらわれてきているものと認識しております。
 なお、今年度の観光振興実施行動計画につきましては、伊勢神宮式年遷宮、世界遺産登録10周年、高野山開創1200年、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会と3年連続するビッグチャンスを最大限に生かすため、先ほどの3本柱に加えて、「わかやま観光リレーキャンペーンで売り出す、招く、もてなす」といった項目を立て、来年秋のJRグループとタイアップして実施する和歌山ディスティネーションキャンペーンを核として、3年間を見据えた事業を展開しております。
 次に、条例を機とする新たな取り組みの状況でございますが、条例第12条に「県民総参加による観光振興に取り組む意識を高めるため、観光週間を設ける」とございまして、条例施行後、県では毎年11月に観光週間を設定し、この観光週間を含めた11月に県主催の誘客イベントを集中して実施するとともに、協賛施設を募ってお客様に特典を提供するおもてなしキャンペーンを実施してまいりました。昨年のおもてなしキャンペーンに係る協賛施設は159施設、期間中の利用者は、集計ができたもので約4200名となっております。
 また、条例第10条に基づき、外国人観光客が安全、安心、快適に観光できる環境整備を促進するため、公共交通事業者と連携したエリアパスの利用促進、主要観光地における案内表示の多言語化の充実、総合特区制度を活用した高野・熊野特区通訳案内士の養成などに取り組んできています。
 最後に、今後の取り組みについてでございますが、さきに申し上げましたように、ことしから3年間、観光振興にとって千載一遇のチャンスがめぐってまいります。これを最大限に生かすため、県内の行政、観光関係団体・事業所で和歌山ディスティネーションキャンペーン推進協議会を設立し、一致団結して事業推進に取り組むとともに、県民に対しては和歌山おもてなし宣言の仕組みをつくり、おもてなし意識の向上を図っているところです。この3年間を機に県民総参加に拍車をかけ、条例の目的とする観光立県の早期実現を目指したいと考えております。
 外国人観光客の誘致につきましては、訪日ビザの緩和措置が行われ、訪日客の増加が期待される東南アジアを初め、本県の主要市場である東アジア、欧米等の各国に対し積極的なプロモーションを展開していくとともに、個人旅行化の流れに対応した情報発信や受け入れ環境の充実に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 伊都高校、紀の川高校の再編に係る4点について、一括してお答えします。
 県立高等学校の再編につきましては、第4期きのくに教育協議会の「学校全体の活力を維持するためには、全日制の望ましい学校規模を1学年4ないし8学級を基本とする」という提言を踏まえて実施してまいりました。
 伊都地方につきましては、生徒の減少が著しい地域であり、将来にわたって現状の学校数を維持することが難しいため、平成20年度から伊都地方全ての高等学校関係者と協議を始め、その後、同窓会等と再編についての協議を重ねてきました。
 こうした議論を踏まえ、伊都地方においては、全日制高等学校を1校減らさざるを得ない状況にあり、再編に当たっては、高校教育の活性化を視野に入れながら伊都地方における県立高等学校の活力の維持と位置的なバランス等を総合的に考慮し、伊都高等学校の募集を停止せざるを得ないという結論に至ったところです。
 また、紀の川高等学校については、県内定時制・通信制3拠点校のうちの1校であり、多様なニーズを持つ生徒に対しきめ細かに指導し、社会的自立を支援してきたところですが、より充実・発展させていくためには校地が狭いなどの課題があります。
 新しい学校は、伊都高等学校のこれまでの伝統と歴史、紀の川高等学校のきめ細かな教育、この両方を踏まえ、生徒一人一人の夢が実現できる学校として平成27年度に開校し、大学進学や野球を初めとした種々のスポーツ活動が可能であり、また、生徒のさまざまな悩みや相談に丁寧に対応できる体制も整えた学校といたします。さらに、地域の活動や学びの場としても活用できる機能を持たせ、これからの教育のあるべき姿を和歌山から発信できる学校を目指してまいります。
 再編案については、9月30日までの間、県民の皆様からの御意見を募集しているところですが、議員御指摘のとおり、当該高等学校の受験を予定している生徒や保護者並びに中学校関係者の疑問や不安等の心情を踏まえ、再編に至った経緯や新しい学校の目指すところをこれから丁寧に説明してまいります。
○議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕
○門 三佐博君 ただいま、知事初め福祉保健部長さん、商工観光労働部長、教育長さん、皆様方から御丁寧な答弁がありまして、ありがとうございました。それぞれ前向きに積極的にやってやろうという意見でございまして、大変喜んでおります。
 教育長にちょっと要望しておきます。
 伊都高校と紀の川高校の再編方針については、御答弁いただいたとおりよくわかりましたが、地元の方々にとりましては、伊都高校の卒業生も多く、伝統のある学校である伊都高校という名前になじみがあり、できれば校名を残してほしいとの要望もございます。新しい学校には、高齢化社会を迎えた今日、福祉関係で働ける介護士さんなどの養成課程を新設してもらいたいなどの御意見がございます。
 それから、きょう御答弁いただいたことにつきまして、中学生を持つ保護者の方々とか地域の皆様方にできるだけ早く説明会を開いていただきたいなと思いますので、要望しておきます。
 以上、全て要望でございます。これで質問を終わります。(拍手)
○議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で門三佐博君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第97号から議案第124号まで並びに諮問第1号は所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月24日及び25日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、9月24日及び25日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月26日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時38分散会

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