平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録
第5号(全文)
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平成25年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
平成25年9月20日(金曜日)
午前10時開議
第1 議案第97号から議案第126号まで並びに諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
第3 議案等の付託
第4 請願の付託
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会議に付した事件
第1 議案第97号から議案第126号まで並びに諮問第1号(質疑)
第2 一般質問
第3 議案等の付託
第4 請願の付託
第5 休会決定の件
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出席議員(39人)
1番 立谷誠一
2番 濱口太史
3番 尾崎太郎
4番 藤山将材
5番 新島 雄
6番 山下直也
7番 門 三佐博
8番 井出益弘
9番 鈴木太雄
10番 岩田弘彦
11番 服部 一
12番 山本茂博
13番 山田正彦
14番 坂本 登
15番 宇治田栄蔵
16番 尾崎要二
17番 平木哲朗
18番 岸本 健
20番 浅井修一郎
21番 中村裕一
22番 冨安民浩
23番 森 礼子
24番 中 拓哉
25番 花田健吉
26番 角田秀樹
27番 吉井和視
28番 向井嘉久藏
29番 谷口和樹
30番 多田純一
31番 片桐章浩
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 大沢広太郎
35番 谷 洋一
37番 高田由一
38番 奥村規子
40番 松坂英樹
41番 長坂隆司
42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
19番 前芝雅嗣
〔備考〕
36番 欠員
39番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 和歌哲也
国体推進監 若宮茂樹
危機管理監 木村雅人
総務部長 市川靖之
企画部長 野田寛芳
環境生活部長 塩崎 望
福祉保健部長 中川伸児
商工観光労働部長 藤本陽司
農林水産部長 増谷行紀
県土整備部長 尾花正啓
会計管理者 植山 均
教育委員会委員 山本 哲
教育長 西下博通
公安委員会委員 溝端莊悟
警察本部長 植田秀人
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 保田栄一
選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 宮端 宏
次長 上坊 晃
議事課長 堀 達也
議事課副課長 中谷政紀
議事課課長補佐兼議事班長
中井 寛
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 岸裏真延
総務課長 谷 巌
政策調査課長 谷村守彦
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午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
3番尾崎太郎君。
〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 おはようございます。
議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
先輩・同僚議員も触れておりましたが、このたびの東京オリンピックの開催決定はまことに喜ばしい限りであります。前回の東京オリンピックのときには私はまだ生まれておりませんでしたが、映像や書物を通して見る当時の風景は日本国中にエネルギーが満ち満ちているようで、まさに興国の勢いを感じさせるものであります。
我が国の伝統武道である柔道は東京オリンピックで競技種目として採用されましたが、無差別級ではオランダのアントン・ヘーシンクが神永昭夫選手を破り、金メダルに輝きました。開催国であり、お家芸である柔道の無差別級で日本人が外国人に敗れるという事態は、柔道関係者以外にも大きな衝撃をもたらしましたが、オランダ柔道連盟の会長は、ヘーシンクの勝利がなければ柔道は国際的なスポーツとなることがなかったと発言しています。
昨年のロンドンオリンピックには私も視察に行ってまいりましたが、生で見るオリンピックは、いわゆる世界選手権とは桁違いの高揚感と緊張感があり、人類の祭典と呼ぶにふさわしいものでありました。
オリンピック史上初となる3きょうだいそろってのオリンピック出場を果たした本県出身の田中3きょうだいが出場する体操競技を視察いたしましたが、手に汗握るとはまさにこのことか、観客の我々でさえこうなのだから、演技を見守るコーチや監督、そして選手諸君の心のうちはいかばかりでありましょうか。
体操競技が行われた会場は意外なことに空席が目立ったのですが、これは業者が席を買い占め、高値で転売しようとしていたためとのことでした。英国政府の指示で会場の警備に当たっていた兵士が空席を埋め、日本国中が、いや世界中が固唾をのむ中、いよいよ競技が始まりました。
田中兄弟を初め内村航平選手など精鋭を擁する日本体操男子団体は、金メダルを有望視され、極限のプレッシャーの中での演技となったことと察しますが、一時はメダル圏外の得点となってしまい、応援団も落胆の色を隠せませんでしたが、内村選手の申し出により採点が見直され、銀メダルに輝くことになり、我々応援団は、失意のどん底から一転歓喜で湧き返り、選手の健闘をたたえたのでした。
開催国である英国は、当初メダル圏外と見られていましたが、よく健闘し、団体銅メダルに手が届いていましたが、日本が銀メダルとなったためにメダルを逸することになりました。しかし、会場ではブーイングが起こるどころか、日本の栄誉をたたえる拍手が起こり、さすが英国は紳士の国であるとの意を強くしたのであります。
田中3きょうだいを初め、日本選手団の活躍には本当に感動いたしましたが、各国選手の演技も、またすばらしいものでありました。男子もかくやと思える米国女子の跳馬は、彼我の差にため息が出るほどでした。世界最高のパフォーマンスに触れることができ、大変有意義な視察でありましたが、大声で君が代を斉唱したかったというのが本音でもあります。
7年後の東京オリンピックには今からわくわくしますが、本県では2年後に迫った国体に備え、ゴールデンキッズ発掘プロジェクトが実施されているところですが、願わくば、この中から東京オリンピックで活躍できる人材が育ってほしいものです。
もとより本県では、スポーツ振興基本計画の中で、平成28年、2016年のオリンピックに10人の選手を送ることを目標としていましたが、さきのオリンピックにおいて目標を達成できたことはうれしい誤算でありました。東京オリンピックの開催が決まった今、県としては新たな目標を掲げ、選手の育成に取り組むべきであると考えます。
そこで、教育長にお尋ねします。
オリンピックを教育的見地からどのように捉えるか。ゴールデンキッズ発掘プロジェクトの現状と課題、また今後の目標についてはどうか。
○議長(山田正彦君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する答弁を求めます。
教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) まず、オリンピックを教育的見地からどのように考えるかということに対してお答えします。
7年後に東京で開催されることが決定したオリンピックには、世界中の国と地域からトップレベルの競技者が集まってきます。
このオリンピックは、スポーツを通じて心身を鍛えるとともに、異なる国籍や文化的背景を持つ競技者たちがお互いに友情を深め、フェアプレーの精神を育むことによって豊かな人間形成に寄与するなど、教育的にも価値が高いと考えています。
また、トップレベルの競技者の卓越したわざや、最後まで諦めず目標に向かってひたむきに取り組む姿に触れることによって、スポーツに対する興味や関心を大いに高めるとともに、スポーツのすばらしさを知ることができるものと思っております。
とりわけ本県にとっては、2年後に控えた国体やインターハイの成功に向けて、スポーツ機運の醸成につながるものと大いに期待をしております。
ゴールデンキッズにかかわりましてお答えします。
ゴールデンキッズ発掘プロジェクトは、ことしで8年目を迎え、修了生は157名に及んでいます。修了生たちは、質の高いさまざまな育成プログラムを受け、着実に成果があらわれてきております。中でも、ボート、カヌー、テニス、水泳など、多くの競技において全国大会で優勝や上位入賞を果たしている者もおり、とりわけレスリング競技は今年度国際大会に出場を果たし、大きな成果があらわれています。
今後、本プロジェクトの中から東京オリンピックや世界の舞台で活躍する競技者を育成するためには、一定の成果をおさめている競技にとどまらず、さまざまな競技団体との連携をより一層強める必要があります。
こうした取り組みを通して、2年後の国体やインターハイのみならず、オリンピックなどの世界の舞台で活躍し、県民に夢と感動を与えられるようなトップレベルの競技者を継続的に育てていきたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 尾崎太郎君。
〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 本当にオリンピックに行ってくれる選手がこの和歌山から育ってもらいたいと思います。
先ほど柔道の例を出したんですが、私もずっと空手をやっておりまして、高校時代も空手部だったわけですが、次の東京オリンピックでは非常にチャンスです。空手もずっと競技の候補には上がっておったんですが、公開競技ででも東京オリンピックで見れればなと、そんな期待をしております。
また、継続的に選手を育てていくとの答弁がありました。和歌山は、今、国体に向けていろんなスポーツ施設が整備をされているんですが、しかし、非常に充実したスポーツ環境にあるとは言いがたいところもあるんですね。県民の中からは、やっぱりスポーツに親しむために県立体育館もさらに充実させて使っていきたいなと、そんな声も聞いております。
知事、この辺のところについてどうお考えでしょうか。
○議長(山田正彦君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立体育館は、本県のスポーツ施設の拠点の1つとして、これまで多くの県民に広く利用されてまいりました。
ビッグホエール、ビッグウエーブができましたので、そういう意味では和歌山県で唯一の立派な体育館というわけではもはやないのですけれども、生涯スポーツの拠点として県民に親しまれておりまして、現に利用率も大変高いものがあります。
実は、いろいろ過去の経緯を申し上げますと、行革を大変熱心にやらないかんというのが私の就任の前から県庁でいろいろ検討してきたことでありました。それを引き継いでいろいろ検討してきたんですが、そのときには、この県立体育館もビッグウエーブなどができたら廃止して、費用というかコストを削減しようというような考え方があったんですが、実は耐震を調べたら県立体育館のほうは大丈夫ということでありました。それならば、県民の皆さんが楽しんでおられるんだから維持しようではないかというふうに考えたところでございまして、現在でもこの考え方には変わりはありません。
いろいろな使い方があると思いますけども、県民の皆さんが有意義に使っていただいて、楽しい生活をしていただければいいんじゃないか、そういうふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 尾崎太郎君。
〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 ぜひよろしくお願いいたします。
さて、いわゆる従軍慰安婦問題については、これまでも何度か論じてきましたが、先ごろの橋下大阪市長の発言をきっかけに再燃したような感があり、しかも、事態はより深刻になっているようであります。
「慰安婦の強制連行はなかった」という橋下市長の発言はそのとおりで、1992年7月6日の第1次調査結果の発表に際して、加藤紘一官房長官は「強制連行を裏づける資料は見つからなかった」、「誠心誠意探して見つからなかったということは韓国政府も信じてくれると思う」などと述べています。
にもかかわらず、翌年、2次調査の結果といわゆる従軍慰安婦問題の元凶とも言うべき河野談話が出されます。ジャーナリストの櫻井よしこ氏によれば、1次調査と2次調査で条件がほぼ同じにもかかわらず、両長官の談話が強制連行については正反対となっているのは、日韓間の合意、密約があったと推測されていますが、十分うなずける話であります。
石原官房副長官や河野官房長官の当時の発言を振り返ってみましょう。石原官房副長官、「第1次調査では募集の強制性は見つからず、韓国政府も当初はそれほどこの問題に積極的ではなかったため、これでおさまると思った」、「関与を認めただけでは決着しないと思った」、「行くと決めた時点で――元慰安婦本人への聞き取り調査のことですが――結論――強制性を認めるということ――はある程度想定されていた」、「最後まで迷いました」、「真実よりも外交的判断を優先させた」、「証言だけで結論に持っていった。批判は覚悟している」。
河野官房長官、「文書はなかった。けれども、本人の意思に反して集められたことを強制性と定義すれば、強制性のケースが数多くあった」。
平林内閣外政審議室長、「募集段階で官憲などが直接かかわることはなかった」、「軍や警察の服装に似た人がいたことから、慰安婦が政府の関与と受け取った場合はあるかもしれない」。
もっとも、石原官房副長官は「密約はなかった」としていますが、密約がなかったとするならば、93年2月に就任した金泳三大統領が「この問題では日本側が真実を明らかにすることが重要で、物質的補償は必要ない」と語ったことから、強制性さえ認めればこの問題が収束するものだとの希望的観測を持ち、真実をねじ曲げたものだと思われます。
いずれにせよ、銃剣を突きつけるような形での軍による慰安婦の強制連行などは、なかったことは明らかであります。文書がどこにもないからといって真実がなかったとは言えないなどと言う者もいますが、軍や官憲が組織的に連行に関与したのであれば文書があって当然ですし、大規模な奴隷狩りのようなことが行われていたのならば、それに対する抗議行動などもあるはずで、それらは語り継がれもし、報道もされたことでしょう。
我が国においても、敗戦後、占領軍を相手に春をひさぐ女性がいたことは事実で、愉快なことではないですが、これらの女性がもし米軍に組織的に強制連行されたとしたら、その数が数十万はおろか数万でも数千でも、数百ですら米軍に対する抵抗はとどまるところを知らず、占領政策は収拾がつかなくなっていたことでしょう。かの地にあっても、そうであったに違いありません。
なかったことの証明は論理的に不可能な悪魔の証明であり、挙証責任は当然「ある」とするほうにありますが、そもそも慰安婦をいわゆる従軍慰安婦問題にしてしまったきっかけが我が国にあることは痛恨のきわみであります。
吉田清治なる人物による「私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行」は、彼が日本軍人を引率して済州島で女性を強制連行し、強姦したという体験をつづった本ですが、現地の「済州新聞」の記者による取材によれば、住民らは「そのようなことはなかった。吉田はうそをついている」と語っています。後に吉田清治氏は、週刊誌によるインタビューで、「本に真実を書いても何の利益もない。真実を隠し、自分の主張をまぜて書くなんていうのは、新聞だってやるじゃないか」と答えています。
虚構であることが明らかとなったこの著作は、しかし、国際社会では真実であるかのように受けとめられています。96年に国連人権委員会に提出されたクマラスワミ報告では、慰安婦を「military sex slavery」と定義づけるべきだとし、慰安婦を性奴隷という存在におとしめていますが、同報告には吉田氏の証言がそのまま引用されています。
これを受けてか、1997年度の中学校用教科書に慰安婦問題が掲載されました。日本書籍、「女性を慰安婦として従軍させ、ひどい扱いをした」、東京書籍、「多数の朝鮮人や中国人が従軍慰安婦として強制的に戦場に送り出された」、大阪書籍、「朝鮮などの若い女性たちを慰安婦として戦場に連行しています」。当然、これらの記述は、文科省の検定を通っているのです。
現在では、新しい歴史教科書をつくる会等、保守系団体の運動や実証的研究の深まりから、中学校の教科書からは慰安婦という言葉は消えています。残念ながら慰安婦を示唆する記述があるものはあり、高等学校の教科書には慰安婦の記述は残ってしまっています。
慰安婦が今日的な視点からは過酷な人生を強いられたこともあったであろうことは想像にかたくありませんが、戦場の兵士もまた徴兵という過酷な運命を引き受け、なおそれぞれの人生を生きたのであり、どちらも西洋的な意味における奴隷では断じてありませんでした。
性の問題を語るには、ある種の作法を持ってするのが大人の態度であり、橋下市長の発言はこの作法を欠いたもので、「米軍にもっと日本の風俗を活用するように言いました」などの発言は非難されてしかるべきです。一体おまえは何様だと米軍に思われても仕方ありません。「どこの軍にでも同じような制度はあった」との発言も、自分の浮気を、「どいつもこいつもみんな浮気しているのだからとやかく言うな」と言っているようで、真実としてはそうかもしれませんが、居丈高に言うことではありません。酒場での愚痴ならわかりますが、大都市の市長が公的な場で発言することではないでしょう。
これらの発言のため、慰安婦問題がさらにこじれてしまったことは、本当に残念であります。
しかし、慰安婦の強制連行はなかったということは、先人と我が国の名誉のため、声を大にして言い続けなければなりません。
大体、朝鮮は1910年に我が国が併合しており、朝鮮は日本でした。このことの是非はひとまずおくとして、朝鮮人は法的には日本人となったので、選挙権も被選挙権も付与され、実際に多数の立候補者も出ています。中には衆議院に当選された方もあり、活躍されましたが、日本が戦地で慰安婦とするために、ふるさとで婦女子を軍が強制連行するようなことがあれば、彼は黙っていたでしょうか。いや、朝鮮出身議員でなくとも、帝国議会でそのような蛮行が取り上げられないはずはないでしょう。
戦前も現在と変わらず、選挙によって選ばれた議員により帝国議会は運営されていたのです。昭和15年の斎藤隆夫代議士の「支那事変処理に関する質問演説」は有名ですが、少なくとも今の代議士連中と比べ、当時の代議士が劣っていたとはとても言えますまい。
ちなみに、朝鮮出身者は創氏改名後も民族名で立候補しています。創氏改名が強制でなかったことの証左の1つと言えるのではないでしょうか。
また、慰安婦問題について考えるとき、以前テレビで見たソウルでの性売買防止法に反対する売春婦のデモの光景が頭をよぎります。2003年の「朝鮮日報」によれば、性売買の代金として動いた金額が1年に24兆ウォン、GDPの4.1%を占めるそうであり、これは農林、漁業と同レベルであるそうです。かの国において、売春とはいかなる社会的、歴史的背景を持つものなのでしょうか。
無責任な政治家や官僚のために、我が国の子供たちが無用の罪悪感を持つようなことがあってはなりません。和歌山県の教育を預かる者として、教育長は慰安婦問題をどのようにお考えですか。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いわゆる従軍慰安婦問題につきましては、議員御指摘のとおり、政府の調査において、軍や官憲による、いわゆる強制連行を直接示す記述は見当たりませんでしたが、関係者からの聞き取りや国内外の文書及び出版物を参考に総合的に判断し、1993年に当時の河野官房長官が出した談話が政府の公式見解となっております。
ただ、この問題に関しましては、今後も国内外でさまざまな議論がなされていくと思いますので、その状況を真摯にしっかりと見守ってまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 尾崎太郎君。
〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 安倍内閣が誕生しました。自民党の総裁になったときですか、ちょっと時期は失念しましたが、一時、河野談話を見直すかのような動きがありました。今はちょっとそういうことがとまっておるようでありますけれども、議員の中にもこの談話について疑念を持つ人は少なくともたくさんいるんですね。
そして、明らかなことは、政府が幾ら探しても強制連行を直接に示す文書というのは、これはなかった。少なくともこのことは明らかでありますから、もし教育の現場でこの問題について、それはいろいろと関心を生徒が持つことはあると思うんですが、事実としては、いろいろと文書を探したけれども、それはなかったんだということは明らかにしていただきたいなと思います。
それでは、次の質問に移ります。
平成15年の地方自治法の一部改正により、公の施設の管理について指定管理者制度が導入されました。地方自治法244条の2第3項で「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するものに、当該公の施設の管理を行わせることができる。」とあります。
総務省は、2012年、「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」を発表しましたが、それによりますと、指定の取り消し、業務停止、期間満了取りやめが2415件に上っています。制度の創設以来9年間では4549件になり、果たして指定管理者制度がよき制度なのかどうか、立ちどまって考える時期に来ていると言えます。
条文は「公の施設の管理を行わせることができる」となっており、必ずしも指定管理者を選定する必要はないわけですが、導入に当たって、その施設ごとにメリット、デメリットを検証していたとは思われません。当時は、とにかく盲目的に指定管理者制度を導入していったのではないでしょうか。
導入から10年がたち、2期目、3期目の選定も行われていますが、当該施設の指定管理者の実績をどう評価すべきなのかも慎重に検討を要する課題であります。
総務省は、平成19年の自治行政局長通知で、複数の者から事業計画書を提出させることが望ましいとしていますが、詳細な事業計画書の作成には相当のコストがかかるので、事業者としては受注の可能性を見込めなければ参加はしないでしょう。
選定基準の項目や配点方法によっても、新規応募者の受注の蓋然性は大きく変わってきます。新規応募者数は漸減傾向にありますが、指定管理業は比較的大きな利益を見込めるものだけに、選定において現在の指定管理者が必要以上に有利でないならば、新規応募は減ることはないと推察されます。
複数の者から事業計画書を提出させることが望ましいとは言いますが、偏りのない選定基準を設けることにより、結果として複数の者が選定に参加するようになるのです。
さらに、公募にすべきであるかどうかも、それぞれの施設の特性を踏まえ検討すべきであると考えます。とりあえず公募にしておけば公正だでは短絡に過ぎるでしょう。
公募にすれば、当然、業務の種類、内容などをまとめた仕様書に基づいて事業計画書が書かれますが、施設によっては、仕様書に経験的に伝えられてきた運営上のノウハウ、当該施設の沿革からくる施設利用者の暗黙の同意などを文章化して盛り込むことが難しいものもあります。こういった施設については、非公募とするのもかえって合理的という場合もあると考えます。
わかやま館は、MIDファシリティマネジメントが指定管理していましたが、現在では直営で管理しております。この施設には年間約1億円という極めて高額の指定管理料が支払われておりながら、行革課によれば、十分には行政目的を果たせていませんでした。直営化は妥当な判断でありましょう。
ビッグ愛はスポーツ振興財団が指定管理者ですが、8階の一部分は国際交流協会が指定管理しています。担当課によりますと、この部分には国際交流センターが設置されており、これを指定管理しているのが国際交流協会であるとのことです。
センター設置及び管理条例第4条には、センターの管理は知事が指定する指定管理者に行わせるとあります。しかし、国際交流センター指定管理者仕様書には、施設、設備の保守管理、清掃はビッグ愛指定管理者が行うとしています。
センターは8階の一部分にあるのですから、それが合理的というものですが、それであれば国際交流協会は果たして指定管理者制度の本旨に沿った指定管理者であると言えるのかどうか疑問です。
条例によれば、センターは、1、県民の国際交流等に関する活動の支援に関すること、2、国際交流等に関する情報の収集及び発信に関すること、3、県内に在住または滞在する外国人に対する支援に関すること、4、設置の目的を達成するために必要な業務を行うこととなっており、指定管理者は知事のみの権限に属する事務を除く業務を行うことになっています。
もともと指定管理は公の施設の管理のための制度ですが、ビッグ愛という施設の8階の一部分を施設だとすることには、普通の県民感覚では無理があるのではないでしょうか。私は、このようないびつな形の指定管理を寡聞にして知りません。恐らく全国にほとんど例がないのではないでしょうか。
国際交流の施策の一部を国際交流協会へ委託するとしたほうが、よほど実態に即しています。同じ8階には消費生活センターも入っており、これは行政組織規則で定められたものであり、県職員によって運営されています。9階には知事が会長を務める和歌山県青少年育成協会が入っていますが、これらは県の施策の一部を委託されており、県職員も派遣されております。
要するに、国際交流センターを指定管理制度で運用する必然性はないのではないかと思うのです。そもそも、ますます国際化が進展するであろう現代において、国際交流という極めて重要な分野を国際交流協会へ丸投げのようなことをするのはどうなのか。丸投げではないとおっしゃるかもしれませんが、少なくともセンター設置及び管理条例におけるセンターの業務、繰り返しになりますが、県民の国際交流等に関する活動の支援、国際交流に関する情報の収集、発信等は指定管理者、すなわち国際交流協会が行うこととなっているのです。いわば、これらの業務に関しては丸投げなのです。
これらの業務は、本来、県のしかるべき課が所管すべきですが、その一部はしかるべき団体に委託することもあるというのが本来の姿と言えます。
議会としても、委託事業であれば、毎年の予算審議の中で事業の妥当性を検証できます。また、センターの業務について提案しようとしても、指定管理者には議会として公式に提案することはできません。
こういったことからも、国際交流センターは、消費生活センターのごとく行政組織としたほうがよいのではないでしょうか。少なくとも指定管理者制度になじむとは言えません。
そこで、総務部長にお尋ねします。
指定管理者制度については、問題点を指摘した国際交流センターを含め、施設に応じて真に効率的かつ適切な運用がなされているか検証を要すると考えるが、いかがか。また、公募とするならば、指定管理者が入れかわる蓋然性がなければ意味がありません。選定においてどのような点に留意すべきであると考えるか。
○議長(山田正彦君) 総務部長市川靖之君。
〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 指定管理者制度につきましては、公の施設の管理について、多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、民間の能力を活用しつつ住民サービスの向上と経費の節減を図ることを目的に平成15年の地方自治法の一部改正により導入された制度であり、今日まで、議員から御指摘のありました国際交流センターを含め、52の施設で導入してまいりました。
また、指定管理者制度を導入したそれぞれの施設においては、指定期間満了前に実績や効果を検証し、これまで12の施設で民間譲渡、廃止または直営と見直しを行ってきたところでございます。
県としましては、今後も指定管理者制度の目的を踏まえ、引き続き適切に取り組んでまいります。
次に、公募における指定管理者の選定についてでございますが、議員御指摘のとおり選定基準の公正さは重要と考えており、また、その選定の機会により多くの者が参加でき、よりよい提案が行われることが望ましいと認識しております。今後も、よりよい制度となるよう検討を行ってまいります。
○議長(山田正彦君) 尾崎太郎君。
〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 法律では、指定管理にしてもよいとなっているんで、必ずしも指定管理にする必要はないとなってるんですね。ですから、その当該施設が指定管理者制度になじむかどうかというのを施設毎にやっぱり検討して、できれば、こういう議論が行われましたというのを議会にでも教えていただければ。我々も、やっぱりその施設がそれになじんでるのかどうかというのを、意見を言いたいなあと思うんです。
それから、予算の執行ということに関してはいい面もあるんです、指定管理者にして。ちょっと先ほどの質問でも言いましたけれども、指定管理の期間って物すごい長いですよね。3年だとか5年だとか、それはその施設に応じて違うんでしょうけど、知事の任期でも4年ですよね。選挙で選ばれるという、これ以上にない選定を経てる知事の任期が4年なんですね。それで、大体4年たったら、我々も含めて県民の審判を受けるわけでありますけれども、指定管理はそれよりも長い期間、ずうっと自主的に運営していって、その間、いろんな報告はいただきますけれども、例えば毎年の予算審議のような議会のチェックというのは入れることができないんですね。
ですから、この期間の妥当性も含めて、一遍、10年たったわけですから、県庁として検証をしていただければなあと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。
本県の入札制度は、前知事の官製談合事件の反省から生まれたものゆえ、当初は発注者のいわゆる配慮などを排除すること、談合の防止を主眼としていましたが、現在では「建設工事にかかる新公共調達制度の手引」25年度版で知事が述べているように、県内企業への優先発注、地元企業の受注機会の確保なども考慮され、より充実したものとする努力がなされております。
入札には一義的に、公平性、競争性、透明性が求められますが、いたずらに競争性だけを追う優勝劣敗の制度では地域の建設企業の健全な育成、発展は望めません。
本県におきましても、平成23年度には、新規参入特例として、当該年度を含まない過去1カ年度に県発注の土木一式工事に入札参加しているが、受注実績がない企業を入札参加条件とする入札を実施したところであります。したがって、余りにも受注に偏りが見られる場合には、なお制度の変更を含め、対策を講じる必要があると考えます。
お配りしております資料1は、A社が応札した1億円以上の全ての入札結果です。ある時期以降の落札率は何と100%であります。
1億円以上の工事の予定価格は非公表であり、調査基準価格を下回った場合、低入札調査が行われ、落札者が決定されますが、見積もりの内訳のうち直接工事費では75%、共通仮設費では70%、現場管理費では70%、一般管理費では30%のいずれかを1項目でも下回れば特別重点調査となり、事実上失格します。
A社の驚異の14連勝のうちには、A社よりも高い札を入れた会社が特別重点調査にかかって失格しているのに、それより低い札を入れたA社が4項目ともぎりぎりですり抜け、落札したものも複数含まれております。予定価格は伏せられているのですから、その積算能力は既に入神の域に達しています。
資料2をごらんください。不思議なことに、A社は、1億円未満の工事となると途端に神通力を失い、受注できない工事も出てくるのです。1億円未満の工事は予定価格を公表しておりました。それゆえ競争力が落ちたのだとしたら、何とも不思議な話であります。
また、同手引によれば、不服申し立て手続の整備について、平成20年の6月から実施に向け検討するとあります。昨年の県立医大の強要事件を受けてか、入札資格停止に当たる行為として、職員に対する脅迫的な言動、入札制度に関して虚偽の風説を流布することなどが追加されています。無論、このような行為は許すべからざるものですが、不服申し立て制度が十分には改善されているとは言えない状況で、多少の愚痴程度は言いたくなるのが人情です。
「これからは文句の1つも言えなくなりました」との業者の声を聞いたことがあります。脅迫的な言動や虚偽の風説の流布に過剰に反応しているようであります。
県は、公共調達をよりよくするため、発注者である県、建設事業者、県民、この3者が建設的な議論を行い、問題点を迅速に解決することが必要だとしていますが、事業者が意見を述べることをためらうようではいけません。
そこで、県土整備部長にお尋ねします。
脅迫的な言動や虚偽の風説の流布とは具体的にどのようなことを指すのか。資料1、2を見てどのような感想を持つのか。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 職員に対する脅迫的な言動とは、例えば、入札に際し、自社に有利な入札参加要件を設定するよう職員を威嚇したり恐怖を与えたりして仕向ける言動が当たります。
虚偽の風説の流布とは、うそ偽りを不特定多数の人に伝播することで、例えば「県の入札制度は県外企業に有利になるように仕組まれている」等の真正ではないうわさを意図的に流したりする行為であり、これらについて確証が得られれば入札参加資格停止等の措置を行うこととしております。
また、次に配付された資料についての感想でございますが、まず、県としては平成20年6月より、発注者の恣意性を排除するとともに、透明性、公平性、競争性を高めるために条件つき一般競争入札を全面導入しております。
この表の感想でございますが、議員も表題に書いていただいているように、この表はA社応札工事ということで、1億円以上の全ての工事全数ではないということはあらかじめ断らせていただきます。その上で、まず見ると、落札率が非常に低いということで、70%前後ということで非常に低いというふうに感じてます。これは低ければよいということではなくて、この率を見る限り競争性は確保されているというふうに考えております。
また、複数工事を受注しているということで、一括下請、いわゆる丸投げという懸念もありますが、これにつきましては、県の監督職員が工事の施工体制を確認するとともに、施工体制Gメンとして抜き打ちで工事現場のチェックを厳正に行っており、問題はないと考えます。
今後とも、必要であれば制度を見直し、適正な運用に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 尾崎太郎君。
〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 1億円以上の全部の工事を表にしたとは、さっき私、質問で言わなかったと思います。A社が応札した1億円以上の工事──要するにA社は、1億円以上の工事があっても、その入札に参加するかどうかというのはA社の自由ですから。A社が参加した全ての1億円以上の工事を表にまとめたということです。
そうすると、ある時期から以降は、それをごらんいただいたらわかるんですけれども、A社の落札率は100%になっている。ところが、ある時期以前は必ずしも100%ではなくて、おおむね3割ぐらいの落札率なんです。それから、予定価格を公表した工事について外れたやつもそこに書いておりますけれども、結構低い落札率になってるんです。
ですから、ある会社がその工事を受注する確率なんていうのは、これは単純に参加者数で確率があるわけじゃないです。それは理解してます。例えば、5社が参加したからといって5分の1の確率って、そんな当たりもんじゃないんですから、そういうことではないことはわかっております。
ですけれども、過去の例を見ましたらいろいろと、もちろん、参加者数が多くなれば受注のチャンスというのも下がるでしょうし、得意な工事であれば、参加者数が多くてもその受注の可能性というのは高まると思うんですね。ですから、単純に参加者数掛ける何と、例えば3社が入った入札が3回行われたからといって、3回連続とる確率が3の3乗分の1にはならないでしょうね。
しかし、そういうことをわかった上でも14回連続同じ会社が落札するというのは、だからどうだというのではないのかもしれませんが、おおと驚いても別に不思議じゃないぐらいの数字であることも事実だと思うんですね。
ですから、私、先ほど質問で言いましたけれども、これ、受注の偏りって申しましたけど、23年度に敗者復活戦みたいな制度をやっていただきました。これは当時、たしか我々が公共調達委員会というのを自民党の中につくっておりまして、そこで中村裕一議員が、私がつくったような表をつくってくれたように記憶しております。それを見て知事とこへ行ったら、「おお、こんなにとれてないとこがあるのか。Aランクで」というような話になりましてね。そこからこういう制度を1回やってみようかと。
この敗者復活の制度みたいなものについては割と好評で、そこで受注実績をつくった企業が、また入札にそれで参加できていくと。今、いろんなことがありまして、仕事の量がふえてきてましたんで実施されてないみたいですが、しかし、一方では地場産業みたいなところもあって、競争性を確保するんだけど、地元業者の育成というところから見れば、そういうとれてないところにもう一度チャンスを与えようじゃないかということにも合理性はあると思ってるんですね。
そういう意味で、一方的に例えば強い企業が、この企業は物すごい強いから、やったら勝つでと。例えばボクシングでも、階級を廃止したらヘビー級のボクサーが絶対勝つんやでと。でも、これは対等の競争ですと言えばそれまでですから。そういう意味ではどうなのかな、14回連続とるというのはどうなのかなと思わないでもないんですね。だから、どうだというわけでもないんですけど。
そういうことで、一度、この表が何を意味するのかというのは我々も含めて検討をしていただきたいなとは思います。
そこで、さらに、今答弁の中で、職員を威嚇したり恐怖を与えたりして仕向ける言動があかんということですね。そら、そんなことしたらあかんですけども、しかしこれ、恐怖を与えたというのは誰が判定するんかなと、恐怖を与えたりするのはどないして判定するんかなと思うんですね。これ、客観的に声のトーンが何ホン以上とか、そんなもんないわけですから。
これ、何かセクハラにちょっと似たとこあって、女性が嫌だと感じたらそれはセクハラと言うんですけど、職員が恐怖を感じたと言われたらって、何か話しにくいなと思うんです。もうちょっとこういう例だと、セクハラでも、「わからんやないか」と言ったら「こんな事例です」というふうに具体的な事例を列挙して、そこからおぼろげながらに、あっ、こんな例はセクハラやなと今わかってて注意してるんです、私も。セクハラにならんようにね。たまに「セクハラ違うか」と言われることありますけど、しかし、できるだけそういうことを注意してやってる。
だから、こんな例ですよというのをもうちょっと例示してもらわんと、何かさっき言いましたけど、気に入らんことでも、まあちょっと愚痴も言いたくなることありますよね。ぱあっと課長のところへ行ったら、「課長、何なよ、こんなもんおかしいん違うん」って、こんなんでも場合によっては「ああ、恐怖を感じた」と言われたらぐあい悪いん違うかと思って。普通の何かフランクなコミュニケーションというのが阻害されるようでは、あんまりええことないんじゃないかと思うんです。
だから、もう一歩踏み込んで、今ここで答弁してくれとは言いませんけど、こんな例ですよというのぐらいちょっと親切に例示してもうたらどうですかね、本当に。
真正でないうわさを意図的に流したりする行為というのは、実際に具体的にビラでも配ってるというようなことでしょうから、これはまあわからんでもないんですけど、内心だけにかかわることというのは何とも注意のしようが難しいところがありますんで、ぜひこれをお願いしておいて、これは要望しておきます。
質問を終わります。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、尾崎太郎君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
40番松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、以下4つの項目で一般質問をさせていただきます。
最初に、和歌山県がなくなる道州制についてお尋ねをいたします。
今、国会では、都道府県を廃止し、自治体の広域化を強制的に進める道州制への動きが大変急となっております。政府・与党は、道州制の導入推進を政権合意文書に盛り込み、道州制推進基本法案をさきの国会へ議員立法で提出しようと進めてきました。
その一方で、全国町村会や全国知事会など地方6団体を初め、各界から反対、慎重の意見が出たため法案提出は先送りされ、選挙後の次期臨時国会での提出が狙われています。
道州制については、時の政府、自民党、民主党、維新の会、財界など、さまざまな立場から推進が叫ばれてきました。新しい国づくり、究極の構造改革などとして、国のやるべき仕事を外交、防衛など非常に狭い分野に限定し、医療、介護、教育などの仕事は、権限移譲の名のもとに道州や基礎自治体に押しつける国家の大リストラとも言うべきものです。
財界は、道州の役割として、行革でひねり出した財源を中心部への産業基盤整備に集中することを露骨に求め、経団連も緊急提言を発表し、道州制基本法成立への取り組み加速を求めています。
日本共産党県議団は、この道州制推進は、国の責任を放棄し、地方自治を破壊するものだと批判してまいりました。政府・与党の道州制基本法案では道州制への移行スケジュールが示され、基本法成立後に道州制国民会議に諮問を行い、その国民会議は諮問を受けた後3年以内に答申をする、そして答申に基づき2年をめどに法整備をしなければならないなど、合計5年程度で道州制の導入を目指すと。スタートさえすればとんとん拍子に話が進められていきかねない、そういう重大な情勢となってきたわけです。
これには全国町村会など地方からの反発があり、参議院選挙に配慮して期限を明記しなくなったものの、方向はまさにそこを目指して進んでいるわけです。5年後に道州制となれば、2年後の和歌山国体のときには和歌山県は存在するが、7年後の東京オリンピックのときには和歌山はもうなくなっているのかという、もうすごく近い将来の話でして、えっ、もうそんなことになってるのという話が聞こえてきます。
この重大問題、国会での動きだというふうに放置せず、県議会としてもしっかりと議論する必要があると考え、以下、仁坂知事に、現在政府が進めている道州制、これへの所見を順次お伺いしてまいります。
まず第1点目に、道州制と関西広域連合との関係であります。
関西広域連合については、知事はこれまでの議会答弁でも、府県の存続を前提としている、道州制を前提とするものではないという認識を示されてきました。ところが、政府は、今回、はっきりと都道府県を廃止し、全国の区域を分けて道州を設置すると、こういうふうに明記をした法案を出すわけです。
この道州制の急展開について、関西広域連合ではどう議論され、知事はこの道州制の動きと関西広域連合の関係、どんなふうに考えておられますか。まずは、この点について答弁を願います。
○議長(山田正彦君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西広域連合は府県との併存を前提としたものであるのに対しまして、道州制は府県の廃止を前提とした組織であります。また、広域連合は地方自治法に基づく組織でありますが、道州制の実現には新たな法律の制定が必要となるなど、設置根拠も異なる組織であります。
このように、広域連合がそのまま道州に転化しないということは明らかでありまして、関西広域連合設立に際しての前提となっております。また、本県が広域連合への参加の議決をいただいた平成22年9月の県議会においても、その旨の附帯決議をいただいております。
現在、与党において道州制導入を推進するということになっておりますが、道州制の具体的な制度内容、これは必ずしも明らかではございませんで、関西広域連合においてもいろいろな議論がありますが、私は、ムードとか、あるいは行きがかりとか、あるいは政党間の対立軸とかの理由で大事な地方自治制度が軽率に変わってしまうということについては困るというふうに思いますし、関西広域連合の他の諸君も同じように思っているというふうに思います。
自民党及び公明党による道州制基本法案、骨子案が発表されておりますが、これは道州制に係る重要事項や制度設計を道州制国民会議に検討をさせるというような内容に今のところとどまっておるということでございますので、したがって、関西広域連合では、制度の根幹について明確にした上で、国民会議での調査審議を行うように自民党及び公明党に対して4月に申し入れを行ったところであります。制度の根幹というのはどんなふうなのがいいと思ってるんだけど検討してくれと、まあこういうことでございますね。
さらに、政府が進める道州制について、その課題、問題点を指摘していくために、関西広域連合の中でも道州制のあり方研究会を立ち上げて独自に検討を行っているところであります。
道州制をめぐって、関西広域連合の委員の中の議論もちょっと御紹介いたしますと、県が道州に統合されて、その道州が国の出先機関となってしまっては困ると、これをいわば悪口的に中央集権型道州制とこう言うんですけれども、それは困るというような議論があります。
一方では、その割には出先機関を移譲せよという意見が強くて、それをぱっとうまく利用されるとそういうことになるなあというところについては懸念があるということであります。
ある委員は連邦制がよろしいというようなことを言うておられますが、何でも別々の制度をつくれば世界の中の日本の地盤沈下が起こると、私なんかは思います。そうでなくても、世界は今、統合化に向けて結構動いているんで、大丈夫かなあと。
このように、我々の中でも議論が収れんしておりませんし、ましてや日本全体ではそういう状態だと思います。まずは、ムードだけではなくて、しっかりとした設計が必要なので、したがって、道州制基本法案の国会の提出時期については余り我々もよくわかっておりませんけれども、中身の議論をしっかりしようということを、タイミングを失することなく、我々としても指摘を行っていくべきではないかと、そんなふうに思っております。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 広域連合の議論の中でも、国主導で一気に進むことを懸念しておられるという中身だったと思います。課題や疑問点、問題点も指摘していくというお話でした。
知事は、本県議会での広域連合はそのまま道州に転化するものではないという附帯決議にも触れられましたけれども、そういう経過からしても、このまま進んでいくのはちょっと待ったという内容であるということだと思います。
では、今度は角度を変えて、大阪のことだと考えていたら大阪だけではおさまらなくなってきている大阪都構想との関係です。
ただいま選挙が行われている堺市長選挙でも、この大阪都構想が大争点となっています。維新の会と大阪府・市が強硬に進めようとしている大阪都構想は、当初、二重行政の解消等を掲げていたわけですが、大阪市と堺市だけでなく周辺10市ぐらいを合併し、尼崎や西宮を越えて神戸まで特別区にしたいと。こんなふうに近隣府県の自治体も大阪都に組み込む構想を示し、道州制に至るプロセスの中に大阪都構想があると。こうして都構想は関西州への地ならしであり、道州制へと突き進む姿勢であることがあらわになってきております。
このような新たな状況が見えてくる中で、知事は、道州制と大阪都構想との関係、これについてはどうお考えですか。御所見をお示しください。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 一言で言うと、何の関係もないというのが答えなんでございますが。大阪府と大阪市は、大阪市を廃止して5から7の特別区に再編する大阪都構想を具体的に設計して、それを公表しているわけです。これは報道でありますけれども、府市議会の議決とか住民投票を経て、早ければ平成27年4月からの移行を目指すというふうにしているようであります。
一般に政令市とか政令指定都市と言うんですけど、それから中核市というような制度がたくさんありまして、先ほどの道州制の観点から言うと、もうちょっと統合しようという議論が一方である中で、実はその47もある都道府県の権限をさらにそこだけ移すというようなことが制度としてあるわけであります。すなわち、これは分割の思想だなあというふうに思います。
しかし、どうしても一部だけ権限を移すということで、じゃ手を引いてしまうわけにはいきませんので、二重行政になりがちだし、税源の偏りが大変あります。大阪都構想は、大阪府と大阪市のそういった意味での不都合の解消を目指すというようなものだったと私は理解しておりまして、大阪府の中の話であります。
道州制は、現行の都道府県の区域を越えるより広域的な自治体を設置するものだと理解しておりますが、そういうことであれば、実は両者には何の関係もありません。したがって、論理的には何の影響もあり得ないと私は思います。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事は、現時点でも道州制と大阪都構想は何の関係もないと、別のものだという考えのようです。知事が引き合いに出された大阪府と大阪市との話し合いの中身というのはそうであっても、この維新の会としての方向はそういうところにおさまらずに、メッキが剥げてきて、はっきりしてきてるというふうに思うんです。中の話だと、どうぞ大阪でやってくださいという話ではないというふうに指摘をしなければなりません。
それでは、今お話をした道州制と関西広域連合、そして道州制と大阪都構想の関係をお尋ねしたんですが、その中での答弁も踏まえまして、現在政府が進めている道州制そのもの、和歌山県がなくなる道州制について、これは3点目ですが、知事に質問をさせていただきます。
数年後にも和歌山県をなくそうとしている道州制推進基本法案は、和歌山の地方自治や県民の暮らしを大きく変える問題であるにもかかわらず、知事も触れられたように、道州制の形も中身も国民会議への諮問に委ねられていて、全く明らかではありません。都道府県の廃止だけははっきり書いていて、肝心の中身は国民会議にいわば丸投げなんですね。
また、拙速な国会での駆け引きとは対照的に、和歌山県民には知らされていないし、議論もほとんどされていないと、こういう状況だというふうに思います。
県内でも全国的にも、道州制の具体的な姿も財源も債務の扱いも明らかでないとか、さらなる市町村合併が前提ではないかとか、道州制ありきのまま進めていってもいいのか、こういう声が出されていますが、これらの問題点、知事はどうお考えですか。政府が進める道州制とその方向性について、知事の御所見をお示しください。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの道州制と、それから大阪都構想なんですけれども、維新という政党をそんなに知りませんが、外から見ておりますと少なくとも2つ主張があって、それで1つは大阪都であり、それは多分ほかのところにも広げようということかもしれませんが、もう1つは道州制で、こっちだからこうだというようなことは私は寡聞にして知らないわけで、論理的にも別物だというふうに思います。
次に、道州制そのものをどう思うかということですが、たびたびこの議会でも私は申し上げておりまして、考え方はあんまり変わっておりません。
明治時代に設定された現行の都道府県の区域は、現在の時間距離とか、あるいは科学技術の発達あるいは専門化、そういうことを考えると、どうも狭くなっているのは明らかだなあというふうに思います。日本全体のことを考えると、行政の効率とか人々の幸せとかいろいろ考えると、道州制の導入は長い目で見て不可避ではないかなあというふうに思う次第であります。
しかしながら、道州制は、地方分権を推進するためのものでなければならないと考えておるわけであります。それは何かというと、そもそも地方分権とは、これは地方と国がそれぞれ責任を持って、自分で自分のことを決められるということだと思います。そのためには、まず国が責任をとるべき事務、これは国が統一のためにやらないかんと、あとは地方で任すからどうぞと、そこは自分で責任をとってやってくださいということを整理した上で、地方が責任を負う事務については国から関与を受けることなく、財源も保障されるということが必要であります。
また、道州制のもとで資源配分が、現在和歌山県に居住する住民にとって現状よりもえらい不利になるというようなことでは困ります。有益な制度となるように、うまく我々としては運動していかないといけません。
具体的には、そのためには、これも何度も申し上げておりますが、道州間の財政調整とか道州内の財政調整とか、そういうものもきちんと整理しておいて、同時に決定していかないといけないんじゃないか、そんなふうに思いますが、その詳細な制度設計が不分明でありますし、主導される方の中からも、そういうことについてこうしようという話が余りないというのが私の感想であります。
したがって、その導入をするかどうかということは、そういうのを一体となってきちんと考えないといけないんで、今のところ、なかなかイエスとかノーとか難しいんじゃないかなというふうなのが私の意見です。
道州間の調整、例えばこれがあんまり議論されないで、エイッとやってしまいますと、多分東京を中心とする州のひとり勝ちになってしまうというようなこともあると思います。道州制を現在唱えているオピニオンリーダーみたいな方がいます。そういう方の本などをよく読むと、私が今必要だと思ってたことは精緻に考えられている感じがあんまりなくて、それでやっぱり現状が今すごい閉塞状況で気に入らない。だから、この際、ガラガラポンすればバラ色の未来が待ってるというような主張が主流だなという感じがするわけで、制度の設計というのはそれだけじゃいけないというふうに私は思います。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事からは、長い目で見れば道州制が不可避だと考えるということや、道州間の調整、道州内の調整の機能、資源配分がしっかりしないと、和歌山県民は、言いかえれば大打撃を受けかねないという認識であったかと思います。
それで、私から知事に引き続き質問をさしてもらうんですが、最初の答弁でお答えいただいたように、今進めようとされているこの道州制の動きというのは、都道府県を廃止するという結論だけあって、中身丸投げの移行を進めていると、これはぐあいが悪いということははっきりしてると思うんですね。そして、地方分権にプラスでなければ意味がないというのに、その保障がない。
だからこそ、全国知事会だとか関西広域連合では、知事おっしゃったように意見はいろいろあって、ばらばらですから、問題を提起するというように最大公約数的な態度になるんでしょうけども、和歌山県知事としては、道州制というのはイエス、ノー難しいと、こういうことじゃなくて、はっきり態度表明できると思うんです。今の進め方の問題点を指摘するというだけでは不十分ではないでしょうか。国が進めている今のやり方、中身から議論するというんじゃなくて、道州制ありきで結論だけ決めてとりあえずスタートするというのでは賛同できないというふうに、はっきり物を申すべきではないでしょうか。その点はいかがでしょうか。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 松坂議員の御指摘ではありますが、私は、例えば手続を先に決めるということが絶対間違っていると思いません。それを提起していくということを主張するということも1つのやり方だと思います。
だから、その時点で不十分だから、全部そろってないから反対だというのは、これまた言い過ぎということではないかと私は思いますので、私が今考えてること、それから主張すべきことは、先ほどの答弁で全部申し上げました。(「わからんな」と呼ぶ者あり)
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 わからんという声がありましたけど、どうもはっきりしないんですね。
広域連合の姿勢もそうなんですけども、問題点は指摘しつつも全体として国の動きについていってしまうと、そういう弱点があるということを指摘しなければなりません。
そこで、もう1つ突っ込んで質問しますけども、道州制への移行はさらなる市町村合併を押しつけて地方の衰退を招くと、こんなふうに全国町村会や町村議長会も一丸となって痛烈に批判をしております。県内でも、もちろん全国でも、この9月議会に、議会からの道州制反対の意見書が続々と上がっています。昨日までにも、有田郡内3町でも全ての議会で意見書が上がったと聞いております。
私は、知事への質問で、今の道州制はさらなる市町村合併が前提ではないかというふうに危惧をされていると、これはどうなんだという質問に、その点で知事の答弁は、地方分権を進めるものでなけりゃならんというふうな、いわば一般的なお答えしかなかったと思っております。
県内の市町村に知事としてどういう姿勢を示すんでしょうか。いや、これは大変な問題なんだと、法案には市町村じゃなくて基礎自治体としか書いてなくて、何を押しつけられるかわからないんだと、御一緒に今のやり方にはストップかけましょうと言うべきところではないんでしょうか。知事は、国の側に立つんですか、それとも市町村と一緒に地方の立場に立つんですか。この点で道州制の所見を再度お示しください。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 松坂議員は、どうしても私に絶対反対と申し上げさせたいというような感じがあると思うんですが、私は、何度も言っておりますように、先ほど申し上げましたとおりの考えでいるんです。
例えば、市町村の懸念はわかります。だけど、その懸念が絶対にそうなるんだと、つまり全国で、例えばどこかの方が言っておられたように300しか市町村はもう認めないことにして、そのぐらいでないと、小さいやつはもうだめだというようなことを言ってるかというと、そうでもないわけですよね。
ですから、それはやっぱり自分のところの市町村の広さ、それをどういうふうにして設計していくか、それは住民の方々がむしろお決めになることなんで。それを強制的にやるという案が出てきたら私は反対ですけれども、しかし、そうなると、必ずそうなるに相違ないと思って全部反対と言ってたら全ての議論が封じられてしまうと、そんなふうにも思います。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
私は私なりの考え方をお示しして、知事の姿勢をただしているわけでございます。おつき合いをいただきましたが、知事のお考えはお聞きいたしました。きょうのやりとりはこれぐらいにして、以下は私の要望とさせていただきます。
私、都道府県の固まりというのは、政治や経済だけじゃなくて、やはり歴史や文化、スポーツなど、県民生活のあらゆる分野で一体感があるわけなんですね。だから、何とかケンミンSHOWとかもテレビで人気があるわけです。
今議会の論戦でも、和歌山の子供は和歌山で育てるんだというようなことですとか、また、立派なプールができて、これまで優秀な選手が県外へ流出していたのが地元県内で強化できるとか、こういう和歌山をどうするという話が一生懸命されている。これはすばらしいことだと思うんですが、こういった熱い思いは和歌山県がなくなるとどうなってしまうんでしょうか。甲子園の全国高校野球大会が道州制になって、8つの道州対抗でやると盛り上がるでしょうか。各州代表の5チームずつが出場なんてなると、大阪の学校ばっかりになるんじゃないでしょうか。
また、県の仕事というのは、県庁は市町村と呼吸を合わせながら、いろいろ相談しながら進めてきました。ワクチン接種を一緒にやろうとか、鳥獣害対策をやろうとかですね。国全体ではまだだけども、大事なことだから自分たちから始めようと、誇れることを県内市町村とやってきました。これが関西州2000万人の規模になると、一緒に頑張ろうとなるでしょうか。一つ一つの特徴ある、きらっと光る基礎的自治体のよさが生かされるでしょうかと私は思います。
私は、道州制ありきで都道府県を廃止するようなやり方ではなくて、削られてきた交付税を戻すなど、もっともっと地方の財源や役割を保障し、地方自治の回復、強化をすることこそが必要だと訴え、和歌山県としても、自然豊かな県土と県民の暮らしを守るよう強く要望しておきたいと思います。
次に、質問の第2項目めの教育問題に移らせていただきます。
1点目は、高校授業料無償化への所得制限についてです。
政府は、来年度から高等学校の授業料無償化に所得制限を導入し、無償化の流れを後戻りさせようとしています。政権交代による政策変更の象徴的なものとして位置づけられているようですが、これは長年の父母、教育関係者を初めとする国民の願いに逆行するものです。また、世界的に見ても、義務教育の無償化はもちろん、中等教育の無償化は世界の流れであり、これにも逆行するものです。
日本政府はこれまで、高校や大学の段階的な無償化を定めた国際人権A規約13条の適用を留保してきましたが、昨年の9月に政府自身がこの留保を撤回しました。世界に向けて態度表明したように、国内政策もこの無償化の方向に向かって一歩一歩進んでいくべきです。
長崎県議会からも、7月に、「公立学校の授業料無償制の堅持と給付型奨学金制度の創設を求める意見書」が可決されたと聞いております。県教育委員会としてこの問題をどう考えるのか、お示しください。
次に、少人数学級の充実についてです。
文部科学省の来年度概算要求によりますと、36人以上学級の解消など少人数学級の拡充について一定の前進が見込まれることになっています。ところが、この措置は1学級が20人以下になる場合は除くと、こんなふうな注意書きがされているんですね。
本県の小学校を見ると小規模校が多く、児童数減少も進んでいます。以前は1学年に2学級、3学級とあった学校でも、今や1学級になってしまっているという学校が多く見られます。
今、和歌山県では、1学年が1学級という規模の学校が、県内250校のうち約3分の2を占めるに至っているんですね。よって、この文科省の方針どおりに進むと、その影響を受ける学校も出てくるということが強く心配をされます。
県教育委員会として、少人数学級の充実についてどう考え、この問題にどう対処しようとしているのか、お示しください。
以上2点、教育長より御答弁を願います。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育問題2点にかかわってお答えします。
高校授業料無償化について、授業料の負担が可能な一定所得以上の世帯への所得制限の導入は、やむを得ないものと考えております。
なお、国では、所得制限導入で生まれた財源を活用し、低所得者支援のための給付型奨学金の創設等を検討しており、今後、国の動向を注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
2点目の少人数学級にかかわってお答えします。
議員御指摘のとおり、文部科学省の概算要求における少人数学級の推進では、1学級が20人以下になる場合が除かれております。
本県では、これまでも少人数学級に必要な教職員定数を確保してきたところです。小学校1~2年生と中学校では35人以下の学級、小学校3年生から6年生についても35人以下の学級を基本としながらも、学年において1ないし2学級の場合は38人以下の学級を実現してきたところです。
今後もこれを堅持するとともに、国の動向も注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 教育長の授業料無償化への所得制限はやむなしと考えると、こういう答弁は大変残念な答弁だったと言わざるを得ません。
次の少人数学級の充実については、適切に対処していきたいと決意が述べられました。これらの問題は今後具体的に動いていく問題ですから、引き続き論議していきたいとだけ申し上げておきたいと思います。
続きまして、第3項目めのミカン対策についての質問に移らせていただきます。
本年産のミカンの状況を地元でお伺いいたしますと、夏の雨不足により、昨年に続きかん水に大変苦労し、皮の日やけも発生したり、小玉傾向だったが、この間の雨で果実の大きさも回復し、例年に比べてもおいしいミカンが期待できるということです。
まず、本県の2013年産ミカンの生育状況と課題、対応について答弁を願います。
次に、機能性成分に注目した販売促進と品種開発についてお尋ねをいたします。
体によい和歌山県産食材をしっかりとアピールしようと、昨年の東京に引き続き、「おいしい!健康わかやま」機能性フォーラムが和歌山市で開催され、私も参加して勉強させていただきました。
基調講演で愛知学院大学の大澤先生が強調しておられたフィトケミカルと呼ばれる植物由来の栄養成分のお話は、今回も興味深く聞かせていただきました。フィトケミカルはビタミンや食物繊維などに続く第7の栄養素として着目され、ミカンのベータクリプトキサンチンのような色、香り、苦味というような植物由来の成分が果たす抗酸化作用、健康増進や病気予防などの機能性が注目されています。
講演の中で紹介されていたんですが、紀伊国屋文左衛門が江戸にミカンを船で運んだときに、ミカンを積んだ船の底のほうの部分に積んでいった舟床ミカンというのがあって、これを積んでおくことが、ミカンが腐りにくく、またネズミなどの害にも侵されないという役割を果たしていた。それで舟床ミカンという名前がついたんですが、実はそれにふさわしい機能性成分を多く含んでいたんですと、こんなお話だったんですが、これは科学的に見ても、また物語としても非常にいいお話だと思って聞かせていただきました。
そして、その講演の中で紹介された舟床ミカンが、県の果樹試験場で機能性向上を目指すかんきつ品種改良の研究材料となっているというので、改めて試験場の実験園も視察をさせていただきました。
きょう議場に配付しております資料、これは果樹試験場が進めている機能性成分に着目したかんきつ新品種の開発研究の資料の一部であります。大変興味深く説明を聞かせていただきました。また御参考にしてください。
私は、県のこうした機能性成分に着目した販売促進と品種開発などの取り組みに大いに注目をしておりますが、実りの秋のシーズン、この本番を迎えて、今後の取り組みの展開についてお示しいただきたいと思います。
3つ目は、ジュースなど加工食品の強化方向についての質問です。
ジュースやゼリーなどの加工食品は、果物摂取の裾野を広げる意味でも、また、通年出荷、県内加工産業の強化という面でも、今日的に大変重要な位置づけが必要だと常々考えているところです。
今議会の補正予算には、JAジュース工場の機械設備更新への補助が計上されています。また、最近では、何とか農園のジュースというようなプライベートブランドの特徴ある商品も数多く店頭で見受けられるようになり、和歌山県産ミカン加工品の魅力的な商品バリエーションが広がるよう期待しているところです。
県として、ジュースを初めとする加工食品の魅力を高めるためにどう取り組んでいこうとしておられますか。
輸入自由化による外国産果汁に押された価格の低迷というのもありまして、ミカンの果汁向け原料は20年前の4割に激減しております。生果自体もぐんと減ってるわけですから、それに連動してジュース用の原料もうんと減ってるわけですね。ジュースは、若い世代も含め人気が高いにもかかわらず、これからふやしていきたいと思っている、そういうものであるにもかかわらず、原料不足により生産が実はかえって減少しているというふうな報道もありました。これは、何とかしなければならないんじゃないかなというふうに感じたわけです。
もっとおいしい魅力的な加工食品、こういった付加価値を上げて加工用ミカンの買い上げ価格を引き上げていく、また一方で、生産されたミカンの中において、加工用ミカンに回す比率を上げることで市場出荷するミカンの品質を高めて単価アップしていくと、そして農家収入を上げていく、こんなふうに進んだらいいのになというふうに思っております。
良質な加工用果実の安定供給という点からも、また市場流通する生果の品質向上という点でも、県として、生産から加工、販売を幅広く見通した政策強化が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
以上3点、農林水産部長より御答弁を願います。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ミカン対策についてお答え申し上げます。
本年産ミカンは表年に当たりますが、5月下旬から6月中旬にかけての高温により生理落下が多かったため、現時点での本県の生産量は、対前年比104%の16万9000トン程度を見込んでおります。
果実の肥大は、夏季の干ばつの影響があったものの、8月下旬以降の降雨により回復し、糖度は平年に比べ高く、酸はやや低く、食味のよい果実に仕上がってきているところです。
全国の生産量は対前年比102%の86万3000トン程度となる見込みで、農林水産省が6月に示した適正生産量93万トンを下回っています。しかしながら、ミカンの1世帯当たりの年間購入数量は10年前に比べて60%の約12キログラムに減少しており、消費者が味を重視する傾向にある中で、産地間競争に打ち勝つためには、品質の高いミカンの供給が重要であると認識しております。
今後も、JAグループと連携して、マルチ被覆や樹上での選別などの管理を徹底するとともに、農家自身による選別や光センサー選果機による厳選出荷を推進してまいる所存でございます。
次に、ミカンの機能性成分に注目した販売促進と品種開発についてですが、県では、全国の消費者に県産農産物等の機能性をアピールするため、「おいしい!健康わかやま」をキャッチフレーズとした広報活動を展開しており、健康、美容、元気のシンボルとして、体操の田中3きょうだいに「おいしい!健康わかやま産品応援隊」に御就任いただいたところです。
また、啓発冊子「和歌山県産食材機能性ガイド」を作成して各種イベントで活用するほか、全国の流通関係者等に機会あるごとに配付しております。
9月5日に和歌山市で開催したミカンなど県産果実の機能性を紹介するフォーラムには、200人を超える方々に御参加いただきました。首都圏でも、11月に著名人を招聘してフォーラムを開催する予定です。
機能性にすぐれたかんきつの新品種につきましては、ジャバラとダイダイや、議員お話しの舟床などとの交雑による品種開発に取り組んでいるところです。
現在、育成段階にある系統について果実分析を行って、ジャバラに含まれるナリルチンに加え、抗酸化作用や抗アレルギー作用のある成分を確認しており、今後、生育特性や加工適性について調査研究を行う予定でございます。
最後に、ジュースなど加工食品の強化方向と、生産から加工、販売を見通した政策の強化についてですが、農産物の加工は、収益性の高い農業づくりを進める上で不可欠であることから、県長期総合計画に基づき、加工を核としたアグリビジネスの構築を推進しております。
加工食品の魅力を高めるために、本年度の新政策である6次産業化ネットワーク事業、農商工連携ファンド、中小企業元気ファンド等の活用により、素材のよさを生かした高品質で特色のあるミカンジュースやゼリーなどの開発への支援とともに、技術的なことについては工業技術センターが相談を行っているところでございます。
いずれにいたしましても、おいしいミカンづくりが基本であり、生産から加工、販売を見通した政策として、厳選出荷による生果、いわゆるそのままのミカンですけれども、生果の市場価格の安定化と同時に、加工用果実の確保につながる仕組みづくりを引き続き検討してまいります。
今後とも、生産、加工、流通、販売、それぞれの段階での施策を通じて、本県農業の基幹品目であるミカンの振興を図ってまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 答弁いただきました。
これまではジュースなどの加工用ミカンについては、ジュースに落とさんなんようなミカンをつくんなと、見ばえのええ立派なええミカンをつくるにはどうするんかと、こういう発想であったかというふうに思うんですね。
形や見ばえの立派さを競う時代から、味と機能性を重んじる時代になってきております。味の濃い、食味のいいミカンを追求していけば、かなり小さいミカンも出てくる。それをジュースやゼリーに加工しておいしくいただくというのも実際に始まっていて、商品の評価も高いようです。
このように和歌山県の果実を初めとする県産品の持つすばらしい素材を生かす、その加工の分野にこれからも一層知恵と力を注いでいただくよう要望をしておきたいと思います。
では最後、4項目めの質問、有害鳥獣対策について伺います。
この間、県の有害鳥獣対策は、県民の切実な声に応えて、取り組みも予算も抜本的に強化をされてまいりました。しかし、そうした対策が進められたにもかかわらず被害がなかなか減らないという、これがまた本県でも、また全国でもジレンマとなっている問題です。
最初に、本県の被害状況の推移と現状についてお示しいただきたいと思います。
次に、鹿の管理捕獲の効果と課題についてです。
ことしは、鹿の管理捕獲5年計画の3年目として取り組まれました。猟友会初め関係者の皆さんの御協力により、1年目、2年目よりも引き上げた目標を持って取り組んだわけですが、ほぼ目標どおりの捕獲実績を上げられているようであり、関係者の皆さんに感謝を申し上げるものです。
しかし、住民の皆さんからお聞きする声としては、鹿がふえてふえて困ってると、鹿にはお手上げだと、鹿被害の声が続々と出されているという現実があります。
先日も、NHKのテレビで湯浅町のミカン園での鹿被害の様子が報道をされておりました。鹿の背の届くところまでは、きれいにミカンも葉っぱも、それから木の皮もきれいに皮がむかれておって、木の上にしかミカンが残ってない、そういう実態が映されていて、「そうなんよ。鹿で大変なんよ」と地域でも話題になっております。
私は、現在取り組んでいる鹿の管理捕獲の効果が早く出てくるのを期待したいというのと同時に、この事業の折り返し地点に立ち、取り組みが十分かどうかを吟味する必要があるのではないかとも考えております。
5年間の事業終了後に総括をし、次の方向を出すのはもちろんですが、途中経過もよく見て着地点を目指す必要があると思うんです。計画スタート時には生息数はこれぐらいだという調査のもとに、毎年これぐらい捕獲して、最終的にこれぐらいに抑えるという計画だったんだけども、生息頭数の把握は実際に即して正確であるか、また捕獲量に地域的強弱がないかなど、再点検、検証をしつつ事業を進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
捕獲エリアの一定の強弱というのは、これはまあやむを得ないとしても、たくさんとれるところ、とりやすいところだけ伸びて、そうでないところが残るとなったら、これは期待していた効果が出ないかもしれません。そこら辺を検証、目配りをしながら今後の計画推進に生かしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
3点目に、捕獲対策の方向性ということでお伺いをします。
有害鳥獣の捕獲方法は、一昔前は主に銃器に頼っていたものが、被害を受けた農家などが銃やわなの免許を取り、捕獲に立ち上がったことなどから、箱わななどでの捕獲も普及してまいりました。箱わなでの捕獲は比較的安全ではあるものの、しかし、獣種や地理的条件によっては銃器による駆除に依拠せざるを得ない、そういう実態があります。
そこで、お伺いをいたします。
銃器やわななど捕獲方法別には、捕獲頭数の推移はどうなっておりますか。
また、これまで捕獲対策として、報奨金とか免許取得時の経費補助など、支援を強めてきたわけですが、被害拡大の状況や銃やわなの免許取得状況の推移などのこの今の状況を踏まえ、今後はどういった捕獲支援策が必要なのかというのを常に検討して改善していく必要があると考えますが、今後の方向性についてどう考えておられますか。
以上、有害鳥獣対策の3点について農林水産部長より御答弁を願います。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長。
〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 野生鳥獣による農作物被害金額は、平成24年度で3億5300万円と依然深刻な状況が続いております。内訳は、イノシシが最も多く54%を占め、次いで猿、鹿、アライグマの順。また、作物別では、果樹が2億7500万円で最も多く78%、特に最近では鹿によるかんきつ類の食害が増加しており、次いで野菜、水稲の順序となっております。過去5年間の被害額は3億円前後で推移しており、防護柵を設置していない農地に被害が発生しております。
次に、鹿の管理捕獲の効果と課題についてですが、平成23年度から実施している鹿の管理捕獲については、被害が少なかった平成6年度当時の8700頭まで生息数を下げることを目標に取り組んでおり、3カ年で4563頭を捕獲いたしました。今年度中に鹿の生息数を調査し、3年間実施した管理捕獲の結果を検証して今後の対策に生かしてまいります。
次に、捕獲対策の方向性についてお答え申し上げます。
イノシシ、鹿、猿の有害捕獲頭数は、平成20年で4911頭、平成24年で1万7349頭と増加しておりますが、そのうちわなによる捕獲の割合は、平成20年の33%に対し、平成24年は48%と高くなってきております。
県は、鳥獣害対策の1つとして、狩猟者の育成、確保に努めてきましたが、銃猟免許者の減少、高齢化は深刻な課題であります。このため、本年初めての試みとして、田辺市で「ハンターになりませんかミーティング」を開催し、女性ハンターの講演や射撃場の見学を通じて銃猟の魅力をPRいたしました。
有害捕獲を進める上で、大型の個体の捕獲やとめ刺し等に銃は必要不可欠ですので、引き続き銃所持者の確保に努めるとともに、銃所持者の技術向上と事故防止のため、今後も狩猟前訓練や安全講習会を開催してまいります。
一方、わな捕獲については、県下全域において捕獲技術研修を実施しているところですが、捕獲におけるわなの割合が高まっている中、捕獲効率を高める大型囲いわな設置の推進やセンサーを利用した新捕獲技術の導入などを進めてまいります。
○議長(山田正彦君) 松坂英樹君。
〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁いただきました。
鹿の管理捕獲では、3年間の結果を検証して今後に生かされたいとの表明をされました。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
また、捕獲対策の方向性についても今後の取り組み方向が示されました。
最後に、この点で2点要望を申し上げて終わりたいと思っております。
先週、日高川町議会で、議会の求めに対して町長が、報奨金については銃器と箱わなを統一していきたいと、経費の余計にかかる銃については別途その経費支援を考えたい、これらを県と相談していくというふうに表明されたと報道をされております。これもまた1つの考え方だと思います。
今後とも、こういったこれからどう進めていくべきかという方向性を探るさまざまな立場からの提案も出てくると思います。ぜひ現場の声、県民の声をよく聞いて研究を続けていただきたいと思います。
もう1点は、せっかく取った銃やわな免許を継続して生かすための支援です。
県の支援は免許取得時にあるんですが、これを毎年毎年更新していく費用というのは、実は大変な負担なんですね。先日も「もうわなの免許やめとこか」とおっしゃる住民の方のお話を聞きました。「免許を取って箱わなを置いた当初はよう入ったんやが、ここ1~2年はさっぱりとれやん」と、「あいつらも賢うなってるし、こっちも場所変えるんに、分解して運んだり餌変えたりと、こんなこともうなかなかできやん」と言うんですね。それかといって被害が減っているのかと言えばそうじゃない。被害は引き続きあるわけなんですね。
これからも免許取得者をふやしていこうというときに、せっかく免許を持っていただいている方々がだんだんと離れていっていくというのではだめだと思うんです。ですから、保護対策、捕獲対策に引き続き取り組むことを励ますさまざまな支援、また免許更新のための支援など、せっかく取っていただいた免許を有効に生かす支援策、これ、ぜひ検討していただきたい。
以上、県民と力を合わせて取り組みや制度を発展させていただきますよう要望いたしまして、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時42分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
26番角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 皆さん、こんにちは。
最終日の昼一ということで、よろしく最後まで御清聴をお願い申し上げます。
まず初めに、去る9月15日から16日にかけまして台風18号により被害を受けられた方々には衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を願うものでございます。また、2年前の台風12号、今でも現地の悲惨な分は覚えておりますが、重ねて当局の御尽力を引き続きよろしくお願いを申し上げるものでございます。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。今回は一問一答という方式をさしていただきますので、簡潔なる御答弁を重ねてお願い申し上げます。
まず初めに、動物愛護問題等についてであります。
御承知のとおり、昨年の9月5日に、我が党の主張も数多く反映された議員立法による改正動物愛護管理法が公布され、本年の9月の1日から施行されました。
全国の状況を見ますと、自治体に引き取られる犬や猫の数は、減少傾向にあるとはいえ、2011年度の数字で年間22万匹を超えており、その約8割に当たる17万5000匹が殺処分されているという現状がございます。このような状況を受け、改正法には、自治体の目標として「殺処分がなくなることを目指して」との文言を明記し、飼い主や動物取扱業者にも動物が命を終えるまで面倒を見る終生飼養の努力義務を課した上で自治体が引き取りを拒否できる措置を設けるなど、さまざまな対策が盛り込まれております。
そこで、まず環境生活部長にお伺いします。
本県における犬、猫の殺処分数の推移についてお答えをください。
○議長(山田正彦君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する答弁を求めます。
環境生活部長塩崎 望君。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 平成19年度に和歌山県動物愛護管理推進計画を策定し、平成20年度から29年度までの10年間で処分頭数を50%減らすことを目標に取り組んできました。
計画から5年後の平成24年度までに30%を減らすことを中間目標としていましたが、既に目標を上回る36.9%と着実に処分頭数を減らしています。平成29年度には、当初の目標の50%は十分に減らすことができるものと考えています。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 殺処分をされる犬、猫の数は減少傾向であるという御答弁でございました。しかし、冒頭に述べましたとおり、改正動物愛護管理法の殺処分ゼロという目標から見ると、まだまだ多くの課題が残っているんではないかということも事実であると思います。
そこで、平成20年に策定されました和歌山県動物愛護管理推進計画においても具体的な数値目標等が記述されているところでありますが、改めまして殺処分ゼロに向けた今後の取り組みについて、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 県では、安易に飼わない、安易に繁殖させない、飼ったら終生飼養するということを柱とした啓発に努めるとともに、万が一、飼い主と離れ離れになっても無事に飼い主のもとに戻るよう、犬や猫に鑑札や迷子札を装着するよう呼びかけ、返還率の向上に取り組んできました。
また、やむを得ず引き取った犬や猫は、できる限り生存の機会を見出すため、新たな飼い主に譲渡しています。これらの結果が処分頭数の大幅な減少に至っていると考えています。
先般の動物愛護管理法の改正により、国の指針で殺処分率の減少に向けたさらなる取り組みが新たに示されたことから、現計画のままで国の目標値を達成できるかの検証を有識者で構成する動物愛護推進協議会にお願いすることとしています。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 次に、狂犬病予防法に基づく犬の登録及び狂犬病の予防注射についてお伺いをさしていただきます。
同法には、犬の登録と年に1度の予防注射を受けさせることを犬の所有者に義務づける規定があります。しかし、実情を見ますと、必ずしも全ての犬の所有者がこれを守っているとは言えないのが現状ではないかというふうに思っております。動物の終生飼養を行う上において、飼い主等がルールを守って適正に飼養することは非常に大切なことであり、それがまた殺処分ゼロにもつながっていくものと考えるところであります。
そこで、飼い主の未登録や予防注射の未接種対策について、環境生活部長の御意見をお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 狂犬病予防法では、万が一の狂犬病の発生に備えて、犬の分布を確実に把握するための登録と狂犬病予防ワクチンの接種が飼い主に義務づけられています。未実施犬をなくすため、市町村に回覧板や町内放送等による広報を初めとし、休日の集合注射会場の設営や動物病院での登録事務の代行など飼い主の利便性向上のための取り組みや、飼養実態調査など未実施犬の掘り起こしのための取り組みに努めていただいています。
今後も、市町村や獣医師会と連携を図りながら、一層の取り組みに努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 先般、動物愛護センターのほうへ寄していただいていろいろ御意見を聞かしていただく中、約半分ぐらいが未登録であり、また接種をしていないんじゃないかというふうな、そういうお話も聞かしていただきました。今後とも、飼い主に対する未登録の、また予防注射の推進を強力に各市町村の保健所等々を通じてやっていただきたいというふうに思っております。
次に、和歌山県動物愛護センターにおいて実施されております「わうくらす」についてお伺いします。
「わうくらす」につきましては、平成16年の12月議会におきましても、私自身、一度こちらのほうで質問をさしていただいたところでありますが、いじめ問題等が頻繁に発生する近年において、子供たちの情操教育を行う上においても非常に意義のある事業であると考えております。
ここで、改めて御質問をさしていただきます。
この「わうくらす」の実施目的について、環境生活部長に御説明をお願いします。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 「わうくらす」は、人と動物の触れ合いを通じ、命の大切さや思いやりの心を育み、児童に愛護の精神を育てていくことを目的に、平成14年度から実施しています。
具体的には、動物の生理や習性、動物から人への感染症等について学んでいただき、実際に動物に触れて心音を聞いたり、給餌や散歩などの飼養体験をしていただく総合的な愛護教室です。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 それでは、次に、その最近の実施状況について御説明をください。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 開始から数年間は数校程度の実施でありましたけれども、その後は年々増加し、今では県内で104校に上る小学校で実施されています。
県といたしましては、県内の全ての児童にこの「わうくらす」を体験していただくことを目標に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 いわゆるかわいいからという理由で動物を飼い始めて、大きくなってかわいくなくなったからとか鳴き声がうるさいからといって引き取りを求めるケースがあると。飼い主の方が命の大切さを十分に認識していないという、こういう裏づけではないかというふうに思っております。
「わうくらす」を通じて、児童やその保護者の方に、動物を飼うことに対する正しい知識、そして動物たちの命もまた自分たちの命と同じ大切な命なんだという認識を持っていただくことにより、先ほども御質問さしていただきましたが、最終的には殺処分ゼロにもつながっていくのではないでしょうか。そして、さらには動物と人間との関係に限らず、このような機会に行われる情操教育が、現代社会に影を落とすいじめ問題等への大きな解決への糸口にもつながっていくのではないかというふうに考えております。
そこで、私は、これらの事業をさらに幅広く周知し、実施していくべきだと考えますが、「わうくらす」に関するPRについて、環境生活部長の御所見をお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 県内の全ての小学校に直接、動物愛護センターへの遠足や「わうくらす」の出張教室の利用を案内するとともに、この事業を拡大するため、教育現場での講師を育成するための講習会を開催するなど、普及のための人材の確保を図っています。
今後も、教育委員会と連携しながら「わうくらす」の推進に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 「わうくらす」につきましては、もう1点、今度は教育長にお伺いしたいと思います。
先ほど、環境生活部長から「わうくらす」の実施状況につきまして御説明いただきましたが、学校教育の場において「わうくらす」を積極的に活用することによって、児童生徒の情操教育につながり、いじめの防止等に関しても効果が期待できるというふうに考えております。この点につきまして、教育長の御所見をお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のように、生きた動物との触れ合いを通してさまざまなことを学べる「わうくらす」は、命の大切さや他者への思いやりを育むなど、児童の道徳性を培う上でも効果があり、いじめ防止にもつながることが期待される事業と考えております。
県教育委員会におきましては、これまでも毎年4月に市町村教育委員会の担当者会議におきまして「わうくらす」の利用促進について案内してまいりました。今後も、動物愛護センターと連携をして、各小学校が出張授業や遠足などの機会などを利用してこの事業を活用するように働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ありがとうございます。
和歌山県のこの動物愛護センターに他の自治体からたくさんの視察が見えられてるということもお聞きいたしました。特に奈良県では、和歌山県の大変先進的なそういう取り組みを参考にしながら、教育委員会とタイアップしながら、これを一生懸命、今現在取り組んでおるという、そういうふうなお話も聞かしていただいておりますので、どうか教育委員会との連携を密にしながら、今度とも活用していただきたいというふうに思います。
続きまして、学校におけるいじめ及び体罰問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
本年の6月28日にいじめ防止対策推進法が公布され、今月の28日から施行されます。同法は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利が侵害され、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、生命等にも重大な危険を生じさせるおそれがあることに鑑み、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するために制定されたものでありますが、同法の第14条にいじめ問題対策連絡協議会の設置に関する規定が置かれています。
同条の規定は協議会の設置を義務づけるものではありませんが、昨今のいじめ問題の現況に鑑み、このような協議機関の設置は必要であり、県がその中心的な役割を果たすべきであると私は考えます。
そこで、いじめ問題対策連絡協議会の設置に関する教育長のお考えをお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題の解決のためには、学校のみならず、教育委員会や児童相談所、警察等との関係機関が積極的に連携することは大変重要であると認識しております。議員御提案の連絡協議会の設置につきましては、県教育委員会としましても、いじめ防止対策推進法の内容を十分踏まえ、関係部局とも協議しながら前向きに検討してまいります。
私は、いじめ問題の解決のためには、こうした組織をつくることだけでなくて、教職員が何よりもいじめは人間として絶対に許されないという強い認識のもと、日々の学校生活の中で児童生徒の発する小さなサインを見逃すことなく、苦しみやつらさ、悩みなどをしっかりと受けとめて、迅速かつ丁寧に一人一人の心に届く温かな指導を継続していくことが重要だと考えております。
今後、市町村教育委員会に対しましても、さまざまな機会を捉えて、こうした県としての考え方を周知してまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 いじめ防止対策推進法施行を前にして、教育評論家の武田さち子さんという方が「毎日新聞」紙上でこういうふうに述べられておりました。「法律だけでいじめがなくなるわけではありません。でも、法律制定をきっかけにみんながいじめの問題に関心を持ち、真剣に取り組めば、少なくとも相手を死に追いやるほどのいじめはなくせると信じています」というふうな文面がございました。
いじめ問題に関しましては、各関係機関や関係者が連携して取り組んでいかなければならない問題でありますので、ぜひとも今後、より積極的な御検討をお願いいたします。
続きまして、体罰問題について御質問をさしていただきます。
昨年12月に大阪市立桜宮高等学校のバスケットボール部のキャプテンであった男子生徒が体罰を苦にして自殺した事件の初公判が、今月5日に行われました。成績評価や進路について影響力が強く、生徒から見れば支配的立場にある教諭の一方的な力関係にある人間関係の上でなされた一方的な暴力ゆえの悪質な行為であったとして、公開審理となったものであります。その法定では、体罰の実態が映し出されたビデオ映像も公開されたということでありました。
まず初めに、この事件についてどのようにお感じになっていたのか、教育長にお伺いをさしていただきます。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 桜宮高校での体罰事件につきまして、当事者の声が詳細に報道されておりますが、子供を亡くされた御家族の言葉の1つ1つにかけがえのない命を奪われた無念さを感じ、本当にいたたまれない思いがいたします。
また、加害者である教員の反省の声を読むと、なぜもっと早く気づけなかったのか、指導の名のもとに暴力がまかり通り、それをとめるすべもなく裁判に委ねられるまでになった、そうしたことはまことに遺憾に思っております。
和歌山県の教育の責任者として、このようなことは決してあってはならないし、このような事象が起こらないよう努めてまいりたいと決意を新たにいたしているところでございます。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 新聞報道であのやりとりを見る限り、お母さんがその教諭に対して、あなたの子供にやったらそういうことはできるかというふうな問いがあったときに、御本人は「できません」というふうな、そんな記事もあったように思います。じゃあ自分の子供と他人の子供は違うのかな、学校の先生というのはそうであって果たしていいのかな、自分の生徒は自分の子供のように思って、そして育んでいくというのが本来の教師の姿勢ではなかったかなというふうに思えてならなかった一文を思い出しました。
次に、本年8月9日に、体罰の実態把握について第2次報告が文部科学省から公表されております。この報告は、全国の国公私立の小・中・高等学校等において平成24年度に発生した体罰の状況に関するものであります。
そこで、この報告に係る本県における体罰の発生状況とその対応について、教育長にお伺いをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の公立学校においては、小学校31人、中学校57人、高等学校36人、特別支援学校4人、合計78校で128人の教員が体罰を行っており、このことは大変遺憾であると受けとめております。
この結果を真摯に受けとめ、体罰防止のため新たに作成した「不祥事防止マニュアル」や「部活動指導の手引き」を各市町村教育委員会及び各県立学校等に配布し、研修等で活用することとしました。また、来月には、中学校、高等学校の教員及び外部指導者を対象に、運動部活動に関する研修会を開催する予定です。
今後も、教員が情熱を失うことなく、体罰に頼らない教育を進めていくよう指導してまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 引き続き、体罰の現状等を分析することにより、適切な対応をお願いいたします。
実は最近、私のところにクラブの顧問と生徒の関係で御相談をいただきました。その中で、教師の方からこういう発言が実はあったんですね。1年、2年、そして3年という中でいろいろと社会的な体罰という大きな問題がクローズアップされる中、この顧問の先生は殴るということについてはやってません。
しかし、本人がおっしゃってるらしいですね。「殴ると体罰や」と。だから「グラウンドを回ってこい」と。「これやったら要するにトレーニングというふうにできるから体罰じゃないんや」と、こういった何かへ理屈のようなお話もしたようですが、私が一番問題にしてるところは、いろいろ文言はあるんですが、「俺は、親に言おうが教育委員会に言おうが、いつでもやめる覚悟はできている」。
この言葉は、開き直るというよりも、俺が最高であり、そういう深層心理の中で、俺の言うことを聞かんかったら、おまえらいつでも、首にするとは言いませんけれども、虫けらのように扱ってるんじゃないかなという、この言葉の部分が非常に見え隠れしてならないし、学校現場において、教師たるもの、こういう言葉は絶対に言ってはいけないというふうに感じました。
この方から、校長と、教頭と、そして御父兄のいろんな1時間57分におけるそのテープも拝聴をさしていただいて、きょうはこの件について御質問をさしていただいております。
こういう開き直りに近い発言、私は、このような問題に直面したとき、改めて教師と生徒の信頼関係を構築することの大切さというものに気づきました。教師のほうが生徒との信頼関係ができ上がっていると逆に思っているんであれば、その指導そのものが一方的な思い上がりであるというふうに断言をしたいと思います。そして、生徒の側からすると行き過ぎた指導、そういったものもクローズアップした場面でもあったと思います。
学校教育において、日ごろから教師と生徒との信頼関係というものをどう築いていくかというこの取り組み、これが非常に重要であるというふうに考えますので、この点について教育長はどのようにお感じになったのでしょうか。御所見をお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教員と児童生徒の信頼関係は、教育の根幹であるものと考えております。この信頼関係を築くためには、教員は、児童生徒が心から納得し、共感できる指導を行うことが肝要であり、どこまでも児童生徒を信じ、一人一人の可能性を信じ、最後までかかわっていくことが大切であると考えます。
今後もこうした信頼関係を大切にし、豊かに心の通い合う教育活動に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 今、その事実関係云々というような言葉をちらっと聞きましたんで、お話をしときたいと思いますが、この生徒の親が、「子供に言ってはいけない言葉を連発して子供の心を傷つけてるんじゃないですか」というふうにその先生に対しておっしゃいました。その先生は、かっとなって怒って、何を言ったか覚えていないというふうにおっしゃってました。また、その御主人は、「現場にいて全部聞いてたんや。覚えてないでは通用せんやろ」という、このようなやりとりが実はあるんですね。
だから、自分が言ったことすらわからないという、そういう顧問がいてるというのは、やっぱり、教育長、非常に厳しいもんがあるというふうに私は思っております。どうぞ今後の処置について、適切な処置をよろしく重ねてお願い申し上げます。
次に、教員の人事交流についてでありますが、聞くところによりますと、平成24年度の数字で、同じ県立学校に10年以上勤務する教諭等が高校で全体の約20.2%に当たる322人、特別支援学校では全体の約36.3%に当たる262人おられたということであります。その中には、20年を超えられる方もおられるというふうにお聞きいたしました。
これにつきましては、いろいろと事情もあるでしょうし、一概によし悪しを論じることはできないかもしれませんけれども、一方、教育委員会が策定されております教職員の人事異動方針には、「学校や地域の活性化を図るため、同一校及び同一地域に永年勤続している者について、校内体制を十分勘案しながら積極的な人事異動に努める」という一文が見られます。
私の意見としましては、指導面で秀でた長所がある先生であるならばなおさら、いろいろな学校へ異動していただいて、多くの児童生徒に教え伝えていただきたいというふうに考えるものであります。そういう人事交流を行うことによって、学校も活性化していくのではないでしょうか。この点について、教育長の御所見をお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のとおり、県教育委員会では、学校や地域の活性化を図るため、同一校に永年勤続してる職員について、積極的な人事異動に努めることを教職員人事異動方針に位置づけて人事異動を行っているところです。
今後もこの方針を踏まえ、校内体制を十分勘案しながら、児童生徒のより豊かな成長を目指し、適切かつ積極的な人事異動を行い、県民の信頼や期待に応えられる学校づくりに努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 これは要望なんですが、できましたら積極的な人事異動、適切な人事異動をよろしくお願いしたいと思います。
先ほどの事例を挙げさしていただきました。当初、校長先生に御相談に行ったんですね。校長は、私はまだ4月に着任して間がないんでようわからんという話なんです。これは、実際の話だと思うんですよ。その先生はもう何十年といてる。その顧問は何十年かのベテランやから、その学校の隅々まで知ってるんやという、この過信が怖いんですね。だから、もう一度教育の原点というものに立ち返っていただいて、教育行政の根幹に係るもんであるというふうに私は思いますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。
釈迦に説法でございますけれども、吉田松陰のことをちょっと引用さしていただいて要望にかえさしていただきます。
吉田松陰は、心底人間の可能性を信じ抜く人であったと。松下村塾のみならず、野山獄にあったときもその姿勢は一貫していた。彼は囚人一人一人の長所を認め、心からたたえた。君は書がうまい、あなたは俳句ができる。そして、みずから生徒となって学びもした。松陰には信念があった。「人間は皆何ほどかの純金を持って生まれている。聖人の純金も我々の純金も変わりはない」というふうに、吉田松陰は、野山塾でありますから――囚人が放り込まれてるところに幽閉されてあったんでしょうね――その心で囚人をも教師に変えた。札つきの悪人さえ見事に改心させていった。
また、御書には、「余りに人の我をほむるときは如何様にもなりたき意の出来し候なり」──自分の長所を認められてうれしくない人はいない。褒められれば心が弾む、元気が出る、力が湧く。当然の心理であります。
また、ある生花店を営んでる方がこういうふうにも語っております。「植物も優しく話しかけてやることが肥料になるんですよ。人間にとって温かい励ましがどれほど大切か」というふうな文もありました。
こういう先人の故事に従って、どうぞ教育改革に、ひとつこういう事案が起こらないように不断の努力をお願い申し上げる次第でございます。
続きまして、「和歌山おもてなしトイレ大作戦」について御質問をさしていただきます。
今議会の開会日の知事の説明の中で、和歌山おもてなしトイレ大作戦のお話がございました。私は、非常にこれは本当にありがたいなというふうにも考えております。これから3年連続で大きなイベントが続き、多くの方に本県にお越しいただくチャンスとなります。そんなときにお使いいただくトイレが使い勝手がよく不快感を与えないものであることが観光客の方によいイメージを与え、また来たいなというふうに思っていただくための大きな要因になるはずであります。ぜひ積極的に進めていっていただきたいと思います。
そこでまず、商工観光労働部長にお伺いいたします。
和歌山おもてなしトイレ大作戦は、平成25年度、そして26年度の2カ年で行うということでございますけれども、対象となる県有施設及び市町村管理施設はどれくらいあるのでしょうか。また、具体的にはどのような形で整備を行うのでしょうか。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会の開催を初め、本県に来訪される方々に快適な時間を過ごしていただくため、和歌山おもてなしトイレ大作戦を展開しているところです。
本年度からの2カ年で整備を予定している箇所数は、現在、県有施設については160カ所、市町村と協議が調った施設については、平成25年度171カ所、平成26年度128カ所の合計299カ所となっています。
なお、市町村とは、さらなる整備につきまして引き続き協議しております。
具体的な整備内容については、全ての小便器に洗浄機能をセンサー化することや、最低1器は温水洗浄便座つき洋式トイレの設置をすることなどでございます。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 じゃ、よろしくお願い申し上げます。
皆さんのお手元に資料配付をさしていただきましたが、この夏、高野龍神国定公園護摩壇山園地公衆便所、小便器3つあるんですが、2つテープをつけて使うたらあかんというんですよ。真ん中の1つしか使われないという。たまたまこの日に寄せてもうたときに、車2台とツーリングの単車が全部で10台ほどございました。大体13名ぐらいの観光客がこちらのほうに見えられとったわけでございますが、こういうのが自然公園、その国定公園の中で朽ち果ててるなという部分もございましたけれども、今、御答弁をいただきまして非常に期待をしているところでございます。
次に、個別のトイレについて。
今、お写真を提示さしていただきましたが、多目的トイレというのは洋式便器でありましたが、このように写真のとおり、男性用、女性用トイレとも和式便器が設置されております。もうこの写真のとおりでございますので、多くの観光客が訪問するごまさんスカイタワーの前の設置、高齢者やお体の不自由な方も本当にすがすがしく利用をできるように、今後の当局の対応についてよろしくお願い申し上げたいと思いますので、もう一度、環境生活部長にお願いさしていただきます。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 議員御質問の高野龍神国定公園護摩壇山園地の公衆便所につきましても、先ほど商工観光労働部長の答弁にありました和歌山おもてなしトイレ大作戦の方針に基づき整備を行ってまいります。
具体的に申し上げますと、平成25年度中に男性用小便器のふぐあいを改修することはもちろんのこと、男性用では1器、女性用では2器の便器を温水洗浄用便座つき洋式に、多目的便所については、温水洗浄機能つきにすることとあわせて、オストメイト対応設備を持たせるよう改修を行うこととしております。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 1点だけ注文をさしてもらいたいんですが、大のほうなんです。
できたら手すりもつけてもらいたいと。和式のところ、できれば手すりをつけていただいたら非常にありがたいなと。変な話になりましたが、どうかよろしく、これは要望でございますので、お願い申し上げます。
次に、その資料の右端のところなんですが、もう1カ所、南海和歌山市駅におけるトイレ整備なんですね。
先般、大きく報道でJR西口のところに4000万かけてトイレ整備がという話がクローズアップで出ておりましたけれども、現在、南海和歌山市駅ビルの1階には一般の方が使用できるトイレがございません。2階の改札口の内側のトイレ、またはその南海市駅ビルの地下に設置されているトイレを利用するということであります。今、非常に不便な状況なんです。例えば、1度改札口から出た鉄道利用者が、トイレを利用するためだけに再び改札の内側に戻らなければならないということもあり得るわけであります。
南海和歌山市駅は、和歌山市の西の玄関口であり、乗降客数も県下でJR和歌山駅に次いで2番目に多い駅であります。2年後の紀の国わかやま国体の開催時には、さらに多くのお客様をお迎えすることになるというふうに予想されます。このような和歌山市駅の動線が利用者に不便を強いるようなものであってはならないのではないでしょうか。
そこで、南海和歌山市駅の1階に安全で利用しやすいトイレを設置するべきであると考えますが、事業者への働きかけ等について企画部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 企画部長野田寛芳君。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 南海和歌山市駅におけるトイレ整備についてでございますが、鉄道駅は観光客を初め多くの乗客等が利用する施設であり、そのトイレが美しく整備されていることは、本県を訪れる方々へのおもてなし向上のためにも大変重要であります。このため、県が進める和歌山おもてなしトイレ大作戦として、駅トイレの美化・整備について各鉄道事業者に対し要請を行っておりまして、現在、南海電鉄においても、具体的な整備方針の検討を進めていただいているところでございます。
議員御質問の南海和歌山市駅は、県外との結節拠点の1つとして乗降客が多い県内有数の重要な駅でありますので、県といたしましては、和歌山市駅1階のトイレの整備について引き続き働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 よろしくお願いを申し上げます。
以前にも、こちらのほうでプラットホームの中のエレベーター設置を要望さしていただいて、当局の御努力で、おかげさまで今現在、エレベーターは設置されました。車椅子の利用者の方、また高齢者、また旅行者等々、非常に利便性が高い駅に変わったわけでございますので、どうか引き続きこのトイレにつきましても、観光客動線の中で見やすいところで、また安全の担保ができるような、そういうもので、関係の事業者ももちろんではございますが、和歌山市ということの観点もひとつあわせて御努力をお願いしたいと思います。これは要望にかえさしていただきます。
最後に、道路及び県管理橋の整備等についてお伺いをいたします。
まず、道路についてでございますが、和歌山市にある北島橋の南詰を紀の川に沿って南海電鉄の鉄橋のほうに向けて東進する道路については、非常に幅が狭く、自動車同士が対向するのに非常に危険な箇所がございます。また、当該道路では、原動機付の自転車や、また普通の自転車での通行者も多く、事故の発生リスクも非常に多いように思われます。この箇所について、拡幅等の何らかの措置はとれないものでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 北島橋周辺の紀の川左岸道路につきましては、青岸から北島橋の間が港湾の臨港道路で、議員御指摘の北島橋から南海電鉄踏切付近の間が紀の川の河川管理用通路となっております。また、その先は市道となっております。
この河川管理用通路について、紀の川を管理する国土交通省に確認したところ、河川管理上支障を来していないことから、拡幅の予定はないとのことです。また、市道としての整備につきましては、和歌山市から、南海電鉄との交差を初め拡幅には多額の事業費が必要となるため、他の路線の進捗状況や財政状況から、現時点での事業化は困難な状況であると聞いております。
県としましては、周辺では右岸堤防である市道を県道と交換し、都市計画道路北島湊線として県が整備しており、北島橋南詰付近の交通量の減少も期待されているところで、今後、こうした一連のネットワーク効果による交通の状況も勘案しながら市に働きかけてまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 どうぞ和歌山市にもしっかりと働きかけていただいて、あの一面の道路整備の完成を期待さしていただきたいというふうに思います。
この道路につきましては、県が運営してる和歌山競輪場の駐車場への進入路にも面してるわけであります。その安全管理の面からも、ぜひとも積極的に働きかけを行ってください。先般も競輪の関係の皆さんにもお集まりいただきまして、お話を聞かしていただきました。特にダービー、場外発券ですか、それ以外に、そこでの競輪の開催時に、この河川敷のところを仮駐車場ということでやってます。そのときに、やはり結構車が多いように考えます。危なくないようにということで、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
次の2と3につきましては、分割ではございますが、関連しておりますので一括して質問をさしていただきたいと思います。
県管理橋の防護柵の高さについてでございますけれども、転落防止のために昭和61年に国の安全基準が引き上げられ、それまで90センチメートル以上とされていたものが、歩道については110センチメートルに引き上げられました。この点に関してお伺いします。
橋長15メートル以上の県管理橋のうち、歩道の防護柵の高さが110センチメートルに満たないものはどの程度あるのでしょうか。また、現時点で歩道の防護柵の高さが110センチメートルに満たない県管理橋については、どのように今後の対応をしていかれるのでしょうか。県土整備部長にお伺いをさしていただきます。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 橋梁の歩行者用防護柵の高さにつきましては、昭和31年の鋼道路橋設計示方書では90センチが標準とされ、昭和55年には90センチ以上と改定されました。また、昭和61年には110センチ程度の高さのものが多く設置されていることから、これを標準とする「防護柵設置要綱・資料集」が日本道路協会から出され、これ以降、新しく整備するものについてはこれを適用してきたところです。
議員御質問の防護柵110センチ未満の橋梁数ですが、橋長15メートル以上で歩道が設置されている県管理橋梁は297橋あり、このうち240橋の歩行者用防護柵につきましては高さが110センチ以上で、残る57橋が110センチ未満となっております。
また、対策につきましては、これまでも橋梁の老朽化対策工事の際に新しい基準に適合するよう取りかえているところであり、今後も老朽化の状況等を勘案しながら適切に対応してまいります。
○議長(山田正彦君) 角田秀樹君。
〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 この間、8月の15日に、自治体管理の橋26%が要修繕という、こういう大きな記事が載っておりました。和歌山県も建設してから50年以上というのが167橋ですかね、まだ50年以上の割合が全体の橋の17%を占めてあると。
今後、補修、修繕等々をやっていかなければならないというふうに思いますので、その際には、今申し上げましたように、防護柵については110をめどにひとつよろしく改善をしていただいて――交通安全対策、また歩行者、自転車の皆さんが落橋して落ちないようにということの思いで、恐らく90から110に、そういうふうに変更になったというふうに思っておりますので、どうぞその際にはよろしく改修のほうをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、角田秀樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
7番門 三佐博君。
〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 皆さん、こんにちは。
ただいま議長のお許しをいただきまして、今議会本会議での一般質問の最終の発言者として質問させていただきますことに厚くお礼申し上げます。
私が県議会議員に初当選させていただきましたのは昭和50年4月で、満38歳の年でした。当時の知事は故大橋正雄さんでして、6月に開かれました初議会で当時の大橋正雄知事に質問させていただきましたことはいつまでも記憶に残り、懐かしい思い出がよみがえってまいります。
大橋知事も、私どもの当選と同じように4月に3選され、3選目の県政を力強くスタートされたのですが、運悪く病魔に冒されまして、10月4日に県民の深い祈りもむなしく帰らぬ人となられました。次の知事は、故仮谷志良さん、それから西口勇さん、木村良樹さんと御就任されまして、いずれの方々も県勢発展のために真剣に取り組んでこられ、数々の業績を残されています。
戦後の民選知事は、初代・故小野知事さんを初め、5代目に選ばれましたのは、当時、和歌山県人で経済産業省のエリートとして御活躍されていました、またブルネイ大使も務めておられました仁坂吉伸知事が選ばれ、ただいま第2期目を務めてくれています。和歌山国体を2年後に控え、先般は2020年の東京オリンピックの開催が決定し、それに向かって本県の活性化のために全力を注いでいただけるものと確信しております。
去る9月17日から4日間にわたりまして、同僚各議員から、県政全般の発展策についてや地域の課題、問題点について、適切な質問と提言がありました。いずれも重要な課題であり、仁坂知事初め関係部長の熱心な対応に敬意を表す次第であります。
仁坂知事は、第2期目の県政推進に当たり、厳しい財政の中、平成23年9月に発生した紀伊半島大水害の復旧について早期の対応を図られ、実績を上げてくれています。被災地の皆様方には、一日も早い復旧が進み、本来の生活に戻れますことを心からお祈りしております。
平成25年度予算編成に当たりましても、「安全」「安心」「挑戦」のスローガンを掲げ、元気な和歌山の実現に向けて、南海トラフ巨大地震などの新たな被害の想定を踏まえた対策や地域防災力の強化など、「大規模災害に備えた『安全』の政策」、医療や福祉、生活環境を充実させる「県民の命とくらしを守る『安心』の政策」、さらには、県経済と地域の成長を促し、将来の和歌山県を支える人材を育成する「成長に向けた『挑戦』の政策」を着実に推進すると本年当初議会で表明されて今日に至っております。財政的には大変厳しい中ですが、県民生活の安定のため一層の御尽力をお願いいたします。
仁坂知事は、県民の皆様方に県行政の全てを御理解いただきたいとの願いから、和歌山県行政報告会の名のもと、県下各地で報告会が実施されております。県民の皆様方と親しみを込めて語り合うということはまことに時宜を得たものであり、今後の取り組みに大いに期待を込めています。
去る7月30日は、我が町のかつらぎ町文化会館で第2回目の報告会を開催していただきまして、私も一町民として出席させていただきました。仁坂知事からは、県行政全般にわたる御報告が資料をもとに詳しく説明があり、質疑応答の後、参加者からは大いに理解されたように思いました。
一旦終了された後に仁坂知事からは、「私はこの場に夜通しでもいますので、皆さん、御意見があれば何でもお申しつけください」と言われまして、数名の方々から地域の問題など意見、質問がされたわけでございますが、御丁重に対応されておりました。そうした庶民的な姿勢に一層敬服した次第でございます。
それでは、ただいまから質問に入ります。
議員提案条例制定後の実績と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
地方分権の進展を背景とした議会改革の1つとして、地方議会において、政策の実現のため議員提案条例を制定する動きが、地方分権一括法が施行されました平成12年度から急速に活発化し、また全国的に関心が高まっております。年々、各都道府県を初め全国の各自治体議会において、議員提案条例の取り組みが増加しております。
「地方行政が二元代表制をとり、車の両輪として進められている」と言葉としては言われてきましたが、地方議会は当局の施策、また事業の監視、評価に終始してきたところであります。しかし、住民ニーズの多様化の中、議会の権能として、今申し上げた当局の施策に対する監視、評価の姿勢だけでなく、住民目線で住民の代表である議員が積極的に政策の実現にかかわっていく、政策そのものの方向を示していくといった姿勢が議会の果たすべき役割として強く求められると言っても過言ではありません。議員提案条例制定の動きの背景には、そうしたことがあります。
また、議員提案条例の特徴として、施策実施に携わらない実務経験の少ない議員が事細やかに個別具体的な条文を列記できる条例をつくることは難しく、どうしても理念条例になる可能性があり、条例に基づく施策の実効性という点では弱い面もございます。しかし一方、住民の要望を直接的に反映し条文化することができ、その意味で議員提案条例の意義は大きいと考えています。
このような状況の中で本県議会におきましても、平成17年度以降、紀の国森づくり税条例を初めとして8件の政策的議員提案条例を制定しております。それぞれの条例について申し上げれば、会派提案によるもの、委員会提案によるもの、全会派の議員による条例案検討会により審議されて提案されたものなど、手続的にはいろいろなものがありますが、それぞれ少しでもすばらしい和歌山、元気な和歌山の実現に向けて議員が一丸となって議論し、練り上げてきたものであります。
時間の都合もございますので、本県議会においては制定された全ての条例について取り上げるわけにはいきませんので、次の3つの条例の制定後の実績等と今後の取り組みについてお聞きすることといたします。
まず、和歌山県がん対策推進条例についてであります。
がんは県民の死亡原因の第1位の疾病であり、本県においても、肺がん、胃がん、肝がんなど、死亡率が長期にわたって極めて高い状態で、非常に憂慮すべき現状にあります。県を挙げてがんとの闘いに取り組むことが求められています。
そうした状況を踏まえ、県議会におきましては、がん患者を含む全ての県民が生き生きと生活できる地域社会の実現、そして県民みんなが7つの主体、いわゆる七位一体となり、緊密な連携、関係者の一致協力のもと、実効性のあるがん対策を総合的かつ効果的に推進していくことを狙いとして、和歌山県がん対策推進条例を昨年12月に制定したところでございます。
この条例は、がん対策の重要性に鑑みて、すべきこと、できることは全て規定するという方針で作成されました。和歌山県がん対策推進計画の見直しを念頭に、条例の内容をその計画に反映させることを狙いといたしました。本条例は、議員提案条例の中でも、施策について具体的かつ詳細に規定した政策提案型の条例であります。
次に、和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例についてであります。
食べるということは健康な生活の基本であり、歯と口腔の健康づくりは、身体全体の健康を維持し、質の高い生活を実現していく上で大変重要な役割を果たしております。また、少子高齢化の進む本県において、歯と口腔の健康づくりを推進し、元気な高齢者を1人でもふやすということ、そして子供たちの一生の財産である歯と口腔を守り、健やかな成長を実現することは、県を挙げて取り組むべき重要な課題であります。
この条例は、平成24年4月に、施策の総合的かつ計画的な推進を図り、県民の健康の増進及び元気で健やかな生活の実現に寄与するために施行されました。生涯にわたる歯と口腔の健康づくりを念頭に置きながら、特に子供を重視した条例としております。また、多数の県民意見をいただいてつくった県民と県議会の共同作品とも言うべき条例であり、近畿2府4県では最初の歯科保健推進条例です。
次に、和歌山県観光立県推進条例であります。
観光は、単に観光産業だけではなく、農業、林業、漁業、製造業、サービス業など幅広い分野にわたる裾野の広い産業であり、その振興は交流人口を拡大させ、地域経済の活性化や雇用の増大をもたらすものであります。少子高齢化が進む本県にとりまして、県勢の浮揚を図るためにも、観光を本県経済のリーディング産業となるよう育成し、観光立県の実現を目指すことがぜひとも必要であります。
本県には、豊かな自然や世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に代表される貴重な歴史や文化、さらには四季折々の多彩な食材、心癒される温泉など、国内外に誇れる魅力がたくさんあります。これらの資源を生かし、観光立県を実現させるために、行政や観光関係者が熱心に取り組むのはもちろん、県民一人一人が観光立県の意識を理解し、本県を訪れた観光客をおもてなしの心を持って温かくお迎えしていただくなど、観光振興の担い手として主体的に取り組んでいただくことが必要であります。
そのためには、行政、県民、事業者が一体となって県民総参加で観光振興を進めることができるよう、この和歌山県観光立県推進条例を平成22年4月に施行しました。この条例は、県民総参加という考え方を大きな柱として、観光週間を設けるなど、県民総参加に取り組む意識を高めることといたしました。
これらの条例について、条例制定に伴う成果、また、条例を機とする新たな取り組みの状況についてお聞かせください。また、事業を実施する上で課題もあろうかと思いますが、今後どのように取り組んでいくか、決意を福祉保健部長、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
次に、紀淡海峡ルートの早期実現についてお尋ねいたします。
2020年の夏季オリンピック・パラリンピック大会が東京で開催されることに決まったとのニュースは、東日本大震災以降において久々に日本の未来を明るく照らし、人々をうれしい気持ちにさせる出来事であります。株価も大幅に上昇するなど、早速市場は反応し、日本経済再生の起爆剤としての期待は大いに高まっています。
新聞報道によりますと、東京湾臨海部への開発投資や環状道路の整備など、官民のインフラ投資や観光業の拡大による経済効果は今後7年間で最大150兆円と言う識者もおり、東京オリンピックの開催はまさにアベノミクスの第4の矢、日本の成長を牽引する大プロジェクトと思われます。
一方、オリンピック開催に向けての動きは、これまで以上に東京一極集中を加速させ、首都直下型などの巨大地震の発生可能性が指摘される中にあって、このままでは国の存続も揺るがしかねない危険度をますます高めるのではないかという意見も聞かれます。
東日本大震災の教訓を踏まえれば、大災害が発生しても致命傷を受けない、被害を最小化する、すぐに回復するという強靱化の観点から、極度の東京一極集中の緩和と首都機能の地方分散こそが必要であり、リダンダンシーを確保した多軸型の国土構造の構築がまさに求められているところであります。特に緊急時において、大災害等により大動脈である基幹交通が被災した場合に備えて、その代替となる基幹輸送経路の確保が最も重要であり、そのため高速交通網を多重化しておく必要があります。
このような視点から見た場合、西日本には国土軸はたった1つしかございません。新たに和歌山から淡路島、四国、九州へとつながる新国土軸、それを支える交通インフラを整備することは、日本の防災面から見ても焦眉の課題でございます。このかなめとなるのは、和歌山と淡路島間の紀淡海峡を道路や鉄道で結ぶ紀淡海峡ルート構想であります。この構想は、国土軸のリダンダンシーを確保する上だけでなく、大阪湾岸や関西を1つにする大環状道路で結び、各府県の交流を促進することで関西全体の発展に大きく寄与することと考えます。
本県にとってみれば、平成27年和歌山国体までの供用を目指し、京奈和自動車道の整備が進められております。阪和道と連結すれば南紀、大阪方面へと結合されます。この結合点から加太を経て淡路島、さらに四国に高速道をつなぐことで東西の新たな人の流れを生み出すことにより和歌山県北部のポテンシャルが高まり、飛躍的なアクセス大改善を図る風光明媚な紀淡海峡をまたぐ紀淡海峡大橋は、単なる交通手段としてだけではなく観光資源となり、より一層の交流人口の増大につながると考えます。
また、現在、構想推進の機運が高まっております四国新幹線がこの紀淡海峡ルートを通ることになれば、四国、九州との交流が活発化するだけでなく、和歌山が新幹線に直結することができ、その鉄道高速化の効果は紀伊半島全体に及ぼすことにつながるのではないかと考えております。
そこで、知事に伺います。
国において国土強靱化の議論が高まっている今こそ、紀淡海峡ルートの早期実現に向けて強力に取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
国道480号府県間トンネル開通後の紀北地方の地域振興策についてお尋ねします。
紀北地方と大阪府南部地方を結ぶ府県間道路につきましては、関西国際空港へのアクセス向上、大阪府との交流・連携や地域の振興に資するため、関西大環状道路を形成する京奈和自動車道と一体となって優先的な整備が進められております。
府県間道路の1つであります国道480号は、大阪府泉大津市を起点として紀北地域を縦貫し、有田市に至る幹線道路でございます。このうち府県間トンネルを含む鍋谷峠道路は、仁坂知事とともに私たち県議会も一緒になって国土交通省や財務省、また大阪府に対し熱心に働きかけを行ってきた結果、平成20年度から直轄権限代行事業として新規に採択されまして、昨年8月に着工に至りました。府県間トンネルの工事着工は紀北地方の皆さんの悲願であり、私も初当選以来、府県間道路の整備に向け熱心に取り組んでまいりましただけに、まことに喜ばしく思います。
現在、全長3700メーターの府県間トンネルは、和歌山県側から掘削が始められまして、本年8月末時点で約800メーター程度トンネルが掘られていると聞いております。工事の順調な進捗を願うところであります。
府県間トンネルが開通いたしますと、平成27年の紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会の開催や、多くの観光客が訪れます高野山へのアクセスに大きな力を発揮するとともに、産業、観光の誘致や通勤圏の拡大、豊富な農産物の出荷などが促進されるのみならず、さきに申し上げましたような交流・連携や地域の振興が期待できます。
例を挙げますと、私の地元のかつらぎ町では、毎年児童を対象に友好都市であります和泉市や守口市との交流会を開催しており、指導者の方々のお力添えによりまして、レクリエーション、野外活動などさまざまなプログラムを通じて、将来を担う子供たちがお互いに切磋琢磨することで友情の輪が広まっております。府県間トンネルの開通により、紀北地域が単なる通過点だけでなく、こうした有意義な取り組みが一層促進されなければならないと思います。
このことから、私は、県と地域の皆様方が手を携えて地域振興や交流人口の拡大に積極的に取り組み、府県間トンネルの整備効果をより一層高めていくことが重要であろうと考えますが、知事の地域振興策について御所見をお伺いいたします。
次に、伊都高等学校、紀の川高等学校の再編についてお尋ねします。
県立高校の再編については、県教育委員会は去る9月2日、伊都地方の県立高校の再編案を発表するとともに、あわせて県民意見の募集手続を経て10月には成案を取りまとめる予定であると発表されました。
県立高校の再編については、これまでも地域の少子化が進んでいるなどの理由から、海南高校と大成高校、串本高校と古座高校などの再編が行われてきました。少子化は和歌山県全域の傾向であり、伊都地方においてもその例外ではなく、年々中学校を卒業する生徒が減少しております。今後も減少が続くと見込まれる現状からは、私は、伊都地方の高校再編も、残念でございますが、いたし方ないことだと思っております。
このほど示されました再編案は、平成26年度を最後に全日制伊都高校と定時制・通信制の紀の川高校の新入生の募集を取りやめ、平成27年度に、現在の伊都高校の場所に、生徒一人一人の夢が実現できる新しいタイプの学校を開校するというものでございます。
この再編案が公表された後、私は、中学生の子供さんを持ちます保護者の方とお話しする機会がありました。新聞報道では、伊都高校、紀の川高校は廃校とか閉校とか大きな見出しがあったこともあって、保護者の方たちは、来年の入試への影響はないのか、新しい学校はどんな学校なのか、野球などクラブ活動はどうなるのかといった疑問や不安の気持ちを抱いておられます。
私は、この再編案に対して、それぞれの立場からさまざまな意見があることは理解しております。しかしながら、一方では、次代を担う若者のことを第一に考え、県教育委員会や伊都高校、紀の川高校の職員が数年をかけて学校関係者や同窓会を初めとする関係方面と協議や調整を続けてきた新しい学校に大きな期待を寄せているところでございます。
そこで、教育長にお尋ねします。
そもそも教育委員会が進めております高校再編の基準はどのようになっておるのか、伊都高校と紀の川高校が対象となったのはどのような理由からなのか、歴史や伝統のある高校にかえて開校する新しい学校とはどのような学校なのか、保護者の皆さんが抱いている疑問や不安をどのようにして払拭するのかをお尋ねいたしたいと思います。
これで、私の質問を終わります。皆様、御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) ただいまの門三佐博君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私に御質問がありました2点についてお答え申し上げます。
まず第1は、紀淡海峡ルートの早期実現ということであります。
議員御指摘のとおり、近い将来、巨大地震がどこでどう発生するかわからないという中で、東京一極集中の脆弱性を克服し、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保や多軸型の強靱な国土の形成が求められておりまして、そのためには、大動脈の代替機能を有する四国新幹線の整備など、高速交通網の多重化が重要であります。また、成長著しいアジアの活力を西日本全体に取り込むために、関西国際空港の機能強化とともに、大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスや関西大環状道路を初め、西日本全体をつなぐ高速交通インフラの整備が必要であります。
実は、これら全てのかなめとなるのが紀淡海峡ルートでありまして、この4つのプロジェクトのうちのミッシングリンクということになると思いますので、そのように考えて取りかかっております。
その実現には、次の4つの意義があると考えます。1番目は国土軸としてのリダンダンシーの確保になる、2番目に四国新幹線と整備をあわせることで大阪都心と関空を結ぶ高速交通アクセスの早期整備が俎上に上ってくる、3番目に四国新幹線の実現に逆になる、4番目に関西大環状道路の実現に資するという4つの意義であります。国において国土強靱化の議論が大変高まっているこのタイミングを逃さずに、このような高速交通インフラ整備をドッキングさして考えて、関係府県の力を結集し、紀淡海峡ルートの早期実現に向けて国に対して強く働きかけていきたいと思っております。
実は、かつて和歌山県でも、皆さん御承知のように、この問題には大変熱心に取り組みました。しかし、うまくいかなかったということで、この扱いをどうしようかと実は私もずうっと考えてまいりました。特に時の勢いがないと、かえってもっと緊急性を要するようなプロジェクトが、いわばどっちが大事だといっておもちゃにされて、かえってその進捗が遅くなるんじゃないかという懸念もたくさん最近まであったところであります。そういうことがありますもんですから、少し抑えてまいりました。
しかし、政権交代もあり、国会議員を初め多くの方々の努力によって、27年国体までの諸プロジェクトに続きまして、紀伊半島一周の高速道路や4車化についても先が見えてきたというか、めどがついてまいりました。もうこれがどっちがなんて言っておもちゃにされることはないなあというようなことでございまして、リスクがなくなったと思います。それでは、長期の課題を掲げても失うものはないので県民の不利益にはならないということであるし、また国土強靱化というチャンスもあるということで、これはまあ一遍挑戦してみようというふうに考えたわけです。
そのためには、今申し上げましたような4つの勢力が今ばらばらに一応自己主張してるわけですが、それを結集して頑張れば、実現するとすればより近いということでございますので、いろいろ知事側を説得して、それでこのようなプロジェクトに今仕立て上げつつあるということでございます。先の長い話だと思いますけれども、頑張っていきたいと思っております。
次に、480号府県間トンネル開通後の紀北地方の地域振興ということであります。
議員を初め関係者の方々の御支援をいただきまして、国道480号府県間トンネルを含む鍋谷峠道路が着工に至りまして、大変喜んでおります。これは、27年の国体までにぜひやってくれということで、直轄代行という形で、今、国がプロジェクトを進めてるんですが、お願いをしてるところであります。
国道480号は、大阪府との交流・連携や地域の振興を進めるために非常に重要な道路であることから、これまで県では、あそこへ行く平道路とか梨子ノ木バイパスなどの整備に取り組んできましたが、国の直轄権限代行事業として新規採択された鍋谷峠道路について、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会の開催を見据えて早期完成できるように要望してきたところであります。
現在、着々と進行しておりますので、完成の暁には、紀北と、それから大阪南部の人口稠密地帯とのバリアがなくなると言ってもいいと思います。しかし、地域の発展にとって道は条件でありますけれども、全てではございません。地域の方がこれを生かして経済活動などに利用していく、そういうことが必要ではないかということでございますが、それは府県間トンネルの開通によりまして一層容易になってくると。この地域の人々と私はずっと接してまいりましたけども、条件が整えばきっと頑張ってくれるだろうというふうに確信しております。
また、それを県も助けないといけません。現在、地域固有の資源を活用して地域おこし、産業おこしに取り組む市町村を応援するわがまち元気プロジェクト事業で九度山町の真田を体感できる町並みをつくろうとか、あるいは特産品をつくろうとか、あるいは過疎集落を再生・活性化する和歌山版の過疎集落支援総合対策事業でかつらぎ町の四郷生活圏での取り組みをやっていこうとか、あるいはU・Iターン者の増加を図る移住・交流事業などを実施して地域活性化を推進してるんですが、そういう期待にきっと応えてくれると思います。
また、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会、高野山開創1200年などの絶好の機会を捉えて、積極的な観光プロモーションを展開して交流人口の拡大に努めたいんですけれども、後半のほうは、国体が終わった後はこの道路も使えているという状態でございますので、それを利用して今のようなプロジェクトをどんどん進め、そういうことを総合的に頑張って今後とも努力していきたいと思っております。
○議長(山田正彦君) 福祉保健部長中川伸児君。
〔中川伸児君、登壇〕
○福祉保健部長(中川伸児君) 議員提案条例のうち、2点についてお答えさせていただきます。
和歌山県がん対策推進条例につきましては、昨年12月の条例の施行を受け、その内容を反映した第2次和歌山県がん対策推進計画を本年4月に策定いたしました。この計画に基づき、本年度は新たにがん検診受診対象者への個別勧奨を実施し、がんの早期発見に取り組むとともに、がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院の診療設備の充実や地域の拠点となる病院の機能強化を進め、がん診療体制の充実を図っているところです。
さらに、がんの予防、教育・普及啓発、がん登録、相談支援など、がんによる死亡者の減少とがんになっても安心して働き暮らせる社会の構築を目指して総合的に取り組んでいるところです。
県といたしましては、条例の理念に基づき、県議会、行政機関、県民、保健医療関係者、教育関係者、事業者、報道関係者が七位一体となってがん対策に取り組み、全ての県民が健康を維持し、質の高い生活が実現できるよう努めてまいります。
次に、和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例につきましては、昨年度、条例で「いい歯の日」とされた11月8日に「家族でよい歯のコンクール」の表彰式を行い、「いい歯の月間」と定められた11月に街角歯科健診を実施したところですが、今年度はさらに実施箇所数をふやすなど、県民運動として定着するよう積極的な普及啓発に努めているところです。
また、フッ化物洗口事業を引き続き推進するとともに、幼児の虫歯予防対策を推進する新たなフッ化物歯面塗布事業や医科歯科連携による研修会等を実施するなど、歯と口腔の健康づくりに取り組んでおります。
今後も、県民誰もが生涯にわたり健康で暮らせるように、歯と口腔の健康づくりを推進してまいります。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県観光立県推進条例についてお答えいたします。
まず、条例の制定に伴う主な成果でございますが、条例第11条に基づき、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなすを施策の3本柱として観光振興実施行動計画を毎年度当初に策定し、市町村、観光関係団体・事業所と協働しつつ各種事業を展開しているところです。
平成23年9月の紀伊半島大水害により激減した観光客入り込み数もほぼ災害前の入り込み数まで回復しており、事業実施の成果があらわれてきているものと認識しております。
なお、今年度の観光振興実施行動計画につきましては、伊勢神宮式年遷宮、世界遺産登録10周年、高野山開創1200年、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会と3年連続するビッグチャンスを最大限に生かすため、先ほどの3本柱に加えて、「わかやま観光リレーキャンペーンで売り出す、招く、もてなす」といった項目を立て、来年秋のJRグループとタイアップして実施する和歌山ディスティネーションキャンペーンを核として、3年間を見据えた事業を展開しております。
次に、条例を機とする新たな取り組みの状況でございますが、条例第12条に「県民総参加による観光振興に取り組む意識を高めるため、観光週間を設ける」とございまして、条例施行後、県では毎年11月に観光週間を設定し、この観光週間を含めた11月に県主催の誘客イベントを集中して実施するとともに、協賛施設を募ってお客様に特典を提供するおもてなしキャンペーンを実施してまいりました。昨年のおもてなしキャンペーンに係る協賛施設は159施設、期間中の利用者は、集計ができたもので約4200名となっております。
また、条例第10条に基づき、外国人観光客が安全、安心、快適に観光できる環境整備を促進するため、公共交通事業者と連携したエリアパスの利用促進、主要観光地における案内表示の多言語化の充実、総合特区制度を活用した高野・熊野特区通訳案内士の養成などに取り組んできています。
最後に、今後の取り組みについてでございますが、さきに申し上げましたように、ことしから3年間、観光振興にとって千載一遇のチャンスがめぐってまいります。これを最大限に生かすため、県内の行政、観光関係団体・事業所で和歌山ディスティネーションキャンペーン推進協議会を設立し、一致団結して事業推進に取り組むとともに、県民に対しては和歌山おもてなし宣言の仕組みをつくり、おもてなし意識の向上を図っているところです。この3年間を機に県民総参加に拍車をかけ、条例の目的とする観光立県の早期実現を目指したいと考えております。
外国人観光客の誘致につきましては、訪日ビザの緩和措置が行われ、訪日客の増加が期待される東南アジアを初め、本県の主要市場である東アジア、欧米等の各国に対し積極的なプロモーションを展開していくとともに、個人旅行化の流れに対応した情報発信や受け入れ環境の充実に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 伊都高校、紀の川高校の再編に係る4点について、一括してお答えします。
県立高等学校の再編につきましては、第4期きのくに教育協議会の「学校全体の活力を維持するためには、全日制の望ましい学校規模を1学年4ないし8学級を基本とする」という提言を踏まえて実施してまいりました。
伊都地方につきましては、生徒の減少が著しい地域であり、将来にわたって現状の学校数を維持することが難しいため、平成20年度から伊都地方全ての高等学校関係者と協議を始め、その後、同窓会等と再編についての協議を重ねてきました。
こうした議論を踏まえ、伊都地方においては、全日制高等学校を1校減らさざるを得ない状況にあり、再編に当たっては、高校教育の活性化を視野に入れながら伊都地方における県立高等学校の活力の維持と位置的なバランス等を総合的に考慮し、伊都高等学校の募集を停止せざるを得ないという結論に至ったところです。
また、紀の川高等学校については、県内定時制・通信制3拠点校のうちの1校であり、多様なニーズを持つ生徒に対しきめ細かに指導し、社会的自立を支援してきたところですが、より充実・発展させていくためには校地が狭いなどの課題があります。
新しい学校は、伊都高等学校のこれまでの伝統と歴史、紀の川高等学校のきめ細かな教育、この両方を踏まえ、生徒一人一人の夢が実現できる学校として平成27年度に開校し、大学進学や野球を初めとした種々のスポーツ活動が可能であり、また、生徒のさまざまな悩みや相談に丁寧に対応できる体制も整えた学校といたします。さらに、地域の活動や学びの場としても活用できる機能を持たせ、これからの教育のあるべき姿を和歌山から発信できる学校を目指してまいります。
再編案については、9月30日までの間、県民の皆様からの御意見を募集しているところですが、議員御指摘のとおり、当該高等学校の受験を予定している生徒や保護者並びに中学校関係者の疑問や不安等の心情を踏まえ、再編に至った経緯や新しい学校の目指すところをこれから丁寧に説明してまいります。
○議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 再質問を許します。
門 三佐博君。
〔門 三佐博君、登壇〕
○門 三佐博君 ただいま、知事初め福祉保健部長さん、商工観光労働部長、教育長さん、皆様方から御丁寧な答弁がありまして、ありがとうございました。それぞれ前向きに積極的にやってやろうという意見でございまして、大変喜んでおります。
教育長にちょっと要望しておきます。
伊都高校と紀の川高校の再編方針については、御答弁いただいたとおりよくわかりましたが、地元の方々にとりましては、伊都高校の卒業生も多く、伝統のある学校である伊都高校という名前になじみがあり、できれば校名を残してほしいとの要望もございます。新しい学校には、高齢化社会を迎えた今日、福祉関係で働ける介護士さんなどの養成課程を新設してもらいたいなどの御意見がございます。
それから、きょう御答弁いただいたことにつきまして、中学生を持つ保護者の方々とか地域の皆様方にできるだけ早く説明会を開いていただきたいなと思いますので、要望しておきます。
以上、全て要望でございます。これで質問を終わります。(拍手)
○議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で門三佐博君の質問が終了いたしました。
お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第97号から議案第124号まで並びに諮問第1号は所管の常任委員会に付託いたします。
次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。9月24日及び25日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山田正彦君) 御異議なしと認めます。よって、9月24日及び25日は休会とすることに決定いたしました。
次会は、9月26日定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時38分散会