平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


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人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。
 一般質問も3日目ということで、大変お疲れのところと思いますが、しばらくの間、御清聴をよろしくお願いいたします。
 今回は、まず高校入試制度について質問したいというふうに思います。
 高等学校の入学者選抜いわゆる高校入試制度と、少子化を迎え和歌山県が考えている高校教育のあり方について、教育委員長、教育長にお聞きをいたします。
 先日、和歌山市中学校PTA連合会と和歌山市立の全中学校から、平成26年度和歌山県高等学校入学者選抜実施に関する要望書が、教育委員会、私ども和歌山市選出の議員団に提出をされました。この要望活動は毎年行われており、私ども和歌山市選出の県議団も、これまで中学校の保護者、教職員の切なる願いとして真摯に受けとめてまいりました。
 和歌山県の高校入試制度は今までどういった変遷をたどってきたのか、少し時系列に述べてみたいというふうに思います。
 昭和27年生まれ以前の皆さん、何人かいらっしゃると思うんですが、この入試が9教科で行われていたことを覚えておられると思います。昭和43年には9教科から5教科になりまして、昭和54年度から農業・工業科に推薦入学が導入されました。54年度は、同時に、それまで1学区であった和歌山市を2分割し、北学区と南学区に分割しました。この学区は、平成15年度の学区制撤廃まで続きました。その後、昭和62年度に推薦枠を全職業科に拡大、翌年は専門学科を含めた全職業科に、その後、平成6年度には総合学科に、平成12年度には一部の普通科にも推薦枠が設置されました。平成18年度には、42.3%の生徒が推薦入学による高校選択をするといった、いびつな事態を引き起こすことになります。中学校では、推薦で高校が決まった生徒と、これから入試を受けなければならない生徒との間に確執が生まれ、現場が大変混乱しているといった声が聞こえてくるようになりました。
 教育委員会は、その後、事態をおさめようとしたかどうかはわかりませんが、前期後期制度を導入いたしました。しかし、この制度は生徒の負担が大きいといった理由で議会からも改善の声が出され、2年で撤廃されました。
 このように見ていくと、平成12年から20年にかけての8年間は高校入試制度が目まぐるしく変わり、制度に振り回された生徒、教師、保護者の負担がどれほどであったかは察するに余りあると思います。また、これまで教育委員会は、周到な準備も整わない中、拙速に事を進め、その犠牲を一生に一度の高校入試に臨む生徒に負わせてきたと言っても言い過ぎではないと思います。
 そういった時期に実施された学区制撤廃の問題も、10年の間に、今、大きなひずみが生まれています。
 平成25年度の高校入試の実施状況を見てみると、和歌山北高校西校舎が1.39倍と最も倍率が高くなっています。本出願前の本人が本当に行きたい高校をあらわす一般出願で見てみると、和歌山北高校西校舎の倍率は、さらに1.48倍と増加しています。
 和歌山北高校西校舎については、昨年も倍率が高く、たくさんの不合格者が出ました。ことしも31人の不合格者を出しました。これは、和歌山北高校と西高校の統合によって西校舎の定数が80人と減員されたことによるものであるということは明白であります。和歌山北高校普通科の不合格者は、北校舎と西校舎を合わせると71名もの数に上っています。特に和歌山北高校西校舎は、立地の条件上、市内中心部よりも紀の川以北の生徒の受け皿になっており、定数が減となったことによる影響を直接受けた形となりました。
 不合格者31名のその後を少し追ってみますと、和歌山市立高校の定時制やきのくに青雲高校の昼・夜間定時制、和歌山工業高校定時制に進学した生徒もあるようです。さらには、どこにも進学できず、就職した生徒もあります。
 次いで倍率の高かったのは、桐蔭高校普通科の1.36であります。同校も、一般出願時には1.45の倍率でありました。桐蔭高校の倍率の高さは、また違った問題をはらんでいます。桐蔭高校の和歌山市内出身の生徒の割合は、入学時の高校からの報告によりますと、平成23年度65.67%、24年度60.83%、25年度63%であります。和歌山市内からの受験者がおよそ6割、県下からは4割という結果になっています。
 ちなみに、桐蔭高校と同じく人気の高いと言われる向陽高校は、平成23年度60.41%、24年度60.41%、25年度は58.02%となっており、市内出身者の割合はさらに低い結果となっています。
 このように県下の高校入試の実施状況を見てみると、県下全域で学力的に高いと言われる生徒は和歌山市内の私学や人気のある県立高校に集中し、学力的にしんどい生徒は市内から遠い圏域に通学せざるを得ないという状況になっています。
 全県学区制は、高校入試の自由度を高め、生徒に選択の幅を広げるといった教育委員会の意図とは全く違う方向に進み、高校の学校間格差をさらに拡大させたと言えます。
 ちなみに、全日制で最も倍率の低かったのは、粉河高校の理数科の0.23%でありました。
 和歌山市内と7地域に分かれていたときは、地域ごとに歴史ある名門と言われる学校があり、地域の誇りになっていました。それが今や、市内の一部の学校を頂点に序列化が進んでいます。それが教育委員会の意図した方向なのでしょうか。
 そこで、教育委員長に、現在の和歌山県の高校入試制度の状況を見てどのような見解をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
 次に、教育長に、和歌山北高校西校舎の2年連続の高倍率の結果を見てどのように受けとめておられるのか、お聞きします。
 学区制撤廃がもたらした影響を指摘させていただきましたが、学区制についての見解と今後の方針をお聞きします。
 さらに、少子化が進み、生徒の数が減少しているにもかかわらず、進学できない生徒がいるという現実があります。和歌山市内では、中学校卒業者2890人のうち48名が無業者もしくは就職者であります。最初から進学を諦めていたのではなく、合格できずに諦めた生徒であります。追試験を受けながらも定員内不合格となった生徒もいます。
 今や高等学校は全入の時代と言われ、高等学校を卒業していなければ資格すら取れない時代です。子供たちが大人になったときの困難を思えば、せめて高校ぐらいは卒業させてやりたい、そして誰もが高校教育を受け、卒業できる環境を整えていただきたいと考えます。
 また、高校中途退学者の数もなかなか減りません。高校1校分の生徒が途中でやめているというような状況です。何が原因で中途退学に至るのか、教育委員会は把握されているのでしょうか。
 そこで、教育長に、定員内不合格者が出ていることについての見解と、中途退学者の退学理由はどのようなものか、退学者を出さないための対策をどのように考えられているのか、お伺いします。
○議長(山田正彦君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 教育委員会委員長山下郁夫君。
  〔山下郁夫君、登壇〕
○教育委員会委員長(山下郁夫君) 入学者選抜制度については、教育関係者等からさまざまな御意見、御提言をいただきながら、推薦入試の導入・拡大、前期後期制を経て、平成21年度入試から入学者選抜を一本化する現行制度となり、今年度で6年目となっております。
 現在、中学校での丁寧な進路指導もあって、落ちついた状況で実施できており、生徒、保護者、中学校関係者等にも理解され、定着してきていると考えております。
 入学者選抜制度が生徒の進路の決定にかかわる重要な施策であることをしっかりと受けとめ、慎重に判断してまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 高校入試制度にかかわる4点についてお答えしたいと思います。
 まず、第1点目の和歌山北高校西校舎の入試結果等についてでございますが、高等学校の募集定員につきましては、各地域における中学校卒業生徒数の推移や、進学率、他地域への流入・流出生徒数を含めた地域の実情等を踏まえ、和歌山の子供は和歌山で育てるという強い思いのもと、子供たちの学習機会が保障できるよう、総合的な観点に立って決定いたしております。
 和歌山北高等学校普通科西校舎につきましては、現在北校舎にあるスポーツ健康科学科との来春からの本格的統合を見据えた募集定員であったことや、統合して間もない中、志願者の動向について予測しがたい点もありました。
 来年度の募集定員につきましては、よりよい学習環境の提供やこれまでの志願状況など、さまざまな観点から丁寧に分析し、総合的に判断してまいります。
 次に、学区制にかかわる点でございますが、本県では中学生の学校選択の幅を拡大するとともに、高等学校の個性化、多様化を一層推進するために、平成15年度入試から全日制課程普通科の通学区を廃止しました。その後の入学者につきましては、9割を大きく超える生徒がそれまでの通学区もしくはその隣接地域へ進学している状況にあります。
 また、学区制については、第9期きのくに教育協議会での議論の中でも、好きな学校が選べる、学区外の近隣地域に住んでいる生徒が居住地に近い高校に行けるようになったというメリットがある一方で、行きたい学校から行ける学校へという選択を余儀なくされている状況も一部には見られます、そうした御意見をいただいております。
 全県一区となり10年が経過して、生徒や保護者等の理解も進み、入試制度としても定着をしてきております。学区制の今後につきましては、募集定員や入学者選抜制度等の関連施策のあり方を含め、総合的に研究してまいります。
 次に、定員内不合格にかかわってですが、県立高等学校長に対しましては、公教育の立場から定員内不合格を出さないように、慎重に合否判定を行うよう指導してきております。
 入学者選抜においては、学力検査、面接及び実技検査等を実施し、中学校からの調査書等とあわせて総合的に判断をしているところですが、学習意欲や学力の面で、高校教育を受ける上で困難と判断されている生徒がいることも事実です。
 今後、中学校において進路指導をより充実させるとともに、学ぶことの大切さや基礎的、基本的な学力が身につくよう、丁寧な指導に力を入れてまいります。また、高等学校においては、子供の可能性を信じた適切な合否判定を行ってまいります。
 次に、中途退学者の問題でございますが、中途退学の理由の主なものとしては、学業不振や不本意入学等による進路変更、学校生活への不適応などが挙げられます。
 学業不振の対策としましては、特に中途退学者の多い学校では、入学段階から基礎的内容の学び直しに取り組み、生徒ができる喜びや力がついたと実感できる授業を実践するよう指導しているところです。
 また、不本意入学の対策としましては、中学生が志望する高校での生活を具体的に理解して学校選択ができるよう、高等学校での体験学習等の充実に努めるなど、中学校と高等学校との連携を一層深めているところです。
 さらに、学校生活への不適応の対策として、生徒の悩みや不安を受けとめる教育相談体制を充実し、生徒の居場所づくりに取り組むとともに、生徒が活躍できる体験活動を重ねることで生徒のやる気や自信につなげていく取り組みを進めているところです。
 また、問題行動を起こした生徒への対応としましては、自宅での謹慎といったこれまでの指導方法を改め、必要に応じて登校させ、一人一人の生徒の心に寄り添いながら反省を促した後、生徒がスムーズに学校生活に戻れるよう指導を推進しているところです。
 今後とも、こうした取り組みを拡充させながら、生徒が意欲を持って高校生活を送ることができるよう努力してまいります。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 教育委員長が、入学者選抜制度が生徒の進路の決定にかかわる重要な施策であることをしっかり受けとめ、慎重に判断してまいりますとの御答弁ですので、今後は今までのような混乱のないようによろしくお願いいたします。
 それに関連して、高校の募集定員の動向も大変大きな問題であると考えています。今回、高等学校第2次再編整備計画として、全日制である伊都高校の平成26年度募集を停止し、平成27年度より、かつらぎ町にある定時制・通信制の紀の川高校、これも廃止して、伊都高校の同一敷地内に新たに定時制・通信制の紀の川高校を設置するというふうなことを発表されております。
 再編の理由は伊都地方の生徒の減少によるものとしていますが、生徒の全日制志望の高い現状の中で、全日制伊都高校の入学者募集停止は大きな影響を与えるというふうに思います。
 教育委員会は、理由として、来年度、伊都地方の生徒が90人ぐらい減少するということで募集を停止するというふうにしてるんですが、現在1学年4クラス120人余りの募集を停止するということなので、これはかなり大きな影響があるというふうに考えます。
 急激な再編をするよりも、募集定数の、クラス数を減らして、今4クラスなので2クラスにするとか、定時制・通信制との併設といったことも考えられるんじゃないかなあというふうに思っているんですが、現在、パブリックコメントを9月30日まで募集しているということですので、決定したことがありきという、そういうことではなくて、県民の皆さんの御意見も取り入れていただいて、柔軟な対応を要望しておきたいというふうに思います。結論がまだ出ていないということですので。
 それから、高校入試の学区制については、県では、高等学校の個性化、多様化を一層推進するために平成15年度入試から全日制課程普通科の通学区域を廃止したとしていますが、先ほど指摘させていただいたように、全県一区の学区制は学校間格差をさらに拡大させています。繰り返しますが、それぞれに地域に根づいていた地元の名門と言われる個性的な高校が今や県下の高校の序列の中に組み込まれ、生徒の北部への志向がとまりません。粉河高校の理数科の倍率などを見てみると、まさにそのあおりを受けた形だなあというふうに思います。
 また、教育委員会は、学区制を廃止したけれども、その後の入学者は9割を超える生徒がそれまでの通学区もしくはその隣接地域に進学しているとしていますが、そうであるなら、以前の和歌山市と7学区に分割していた形に戻しても支障がないんじゃないかなあと。学区制撤廃以前は、僻地──古座川であったりとか高野の奥であったり、そういうところは全県を選択するというふうな工夫もされておりましたし、例えば、今までしなかっても学区外の隣接地域への進学なら可能とするというふうなことなど、それぞれの地域の特性を考えた対策もとれるというふうに思うんですね。
 答弁では、学区制の今後については、募集定員や入学者の選抜制度の関連施策のあり方を含め、総合的に研究していくとのことですが、和歌山県の高校教育の目指すべき方向が個性化や多様化であるならば、地域地域のオンリーワンの学校を選択するというふうな制度に戻すべきなんじゃないかというのが私の意見です。
 結論はすぐ求めませんが、生徒が減少していくという現状の中で、今の全県一区という選抜制度についての検討をされるよう要望し、この質問を終わります。
 次に、社会保障・税番号制度について質問をいたします。
 社会保障・税番号制度、いわゆる共通番号制度を導入するための法律が本年3月1日に閣議決定され、3月22日の衆議院本会議にて審議入りとなり、4月26日、内閣委員会にて採決、5月9日、衆議院本会議にて採決、その後、参議院に送られ、5月23日、参議院内閣委員会にて採決、5月24日、参議院本会議において可決・成立しました。その8日後の5月31日公布という超スピードでの成立となりました。3月1日に閣議決定され、5月31日に公布ということなので、大変超スピードだというふうに思います。
 この制度については以前より多くの懸念が出され、その審議については慎重な対応が求められていたにもかかわらず、何と十数時間の審議で成立となっております。
 制度構築に当たっては、制度設計やマイ・ポータル等の導入を含めると兆円規模の費用がかかると言われており、費用対効果の面で、今、拙速に導入しなければならないものであるのか。高齢化社会の中で莫大な社会保障の予算が必要だという理由で消費税増税はやむを得ないとしながら、この制度にどれだけの予算を使おうとしているのか。今の制度で対応できるのではないかと考えるものです。
 今回の制度で交付される個人カードは、住民基本台帳に記録されている者について生涯変わることのない個人番号を指定していくものであり、以前実施された住基カードと基本的に異なるものであります。住基カードには住民票コードは記載されていませんが、個人番号カードには顔写真と番号が記載されています。住基カードは、自治事務の範囲で行われ、あくまでも行政事務の中で使用されているだけでありましたが、個人番号カードは法定受託事務の扱いで、将来的には民間への活用も視野に入れたものであります。このことによる情報漏えいの懸念は国会でも各党から出されており、政府の対応は十分なものになっていません。
 公明党の浜地委員は衆議院の内閣委員会で、アメリカでは3年間で1億件以上の成り済まし犯罪が起き、5000億円を超える被害が出ていると質問しており、民主党の荒井委員は、アメリカ連邦取引委員会の算定で損害額が年4兆円になり、犯罪捜査に四苦八苦している、韓国では4年間で延べ1億2000万人の情報漏えい被害があり、いずれも共通番号の利用を民間に認めた結果であるという質問をされています。
 まず、この制度の試金石とも言える住基ネットに対する評価を、住基ネットで費やした準備期間から現在までの所要経費と効果についての観点から県としてどのように捉えているのか、お伺いします。
 次に、この制度導入のための経費について、平成26年度の国の規模はどうか。また、県分としておおよそどれぐらいと見積もっているのか。
 実施に当たって関係各課の調整を含め、そのタイムスケジュールはどうなっているのか。さらには、市町村への周知はどのようにするのか。
 実施することのメリットとしてはどのようなことがあるのか。
 また、最大のデメリットと考えられる成り済ましや個人情報漏えいは起こり得るものとして、県としてはどのような対策を講じる予定なのか。
 以上を総務部長にお聞きしたいと思います。
○議長(山田正彦君) 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 社会保障・税番号制度について、5点お答えいたします。
 まず、住民基本台帳ネットワークシステムについて、県や市町村を含む国全体の経費としましては、初期費用として約390億円、毎年のランニングコストは年間約130億円であり、この約130億円のうち、本県は約1億円を支出しております。
 これに対しまして、住基ネットの効果としましては、各種手続の際に住民票の写しの添付や年金の現況届を省略できるなど、住民の利便性の向上と行政コストの削減がなされているところでございます。本県におきましても、パスポートの申請において住民票の写しの提出が省略できるなど、県民と行政双方にメリットがあるものと認識しております。
 なお、これらの効果につきまして、国の試算によりますと、国全体として年間約510億円の効果と言われております。
 続きまして、番号制度の導入に係る経費についてでございますが、国の試算によりますと、システム整備費用が国、地方を合わせまして約2000億円から3000億円と見込まれております。そのうち、県における経費は、システム整備の詳細が示されてないため、現時点では試算できておりません。
 3点目でございます。
 タイムスケジュールとしましては、平成27年に個人番号が付番され、平成29年に本格運用が開始されますので、本県としては、現在、関係各部で連携し、組織体制の整備、システム導入準備を進めているところでございます。また、市町村に対しましては、制度に係る資料の提供や研修会を実施しており、制度導入について引き続き適切な助言を行ってまいります。
 次に、番号制度の効果でございます。
 社会保障・税の分野等において、正確性、効率性を確保することで、住民は所得、自己負担等の状況に応じたよりきめ細やかな行政サービスを受けることができるとともに、事務手続の簡素化、給付過誤や給付漏れの防止などのメリットがあると考えられております。また、行政も、より公平かつ効率的な行政サービスを行うことが可能になるとされております。
 本県におきましても、社会保障・税の分野などで幅広い業務を行っており、番号制度の導入によって県民、行政双方にメリットが生ずるものと認識しております。
 最後でございますが、個人情報保護についてでございます。
 議員御指摘の成り済まし犯罪や情報漏えい等の懸念につきましては、これらの対策として、制度上の保護措置及びシステム上の安全措置が講じられることとされております。
 具体的には、成り済ましを防ぐため、本人確認の際は個人番号だけでなくカードによる確認を実施することや、情報漏えい等を防止するため情報にアクセスできる人を制限するとともに、各機関で利用できる事務の制限、個人情報の分散管理を行うこととなっております。
 また、不正利用を行った場合の罰則が強化されていることもあわせまして、個人のプライバシーの適切な保護を図ることとされております。
 県としましても、国において示される個人情報保護に係る対応を確実に実施し、番号制度に係る情報セキュリティー規定を整備するとともに、職員に対しまして番号制度に係る研修を行うなど、個人情報保護に努めてまいります。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。国は住民基本台帳ネットワークシステムというのをやりましたが、これ390億円、ランニングコストに130億円と莫大な経費をつぎ込んだわけです。県の負担も毎年1億円を負担しているというふうなことで、ちなみに和歌山市は、ランニングコストは毎年およそ2000万負担しているというふうにおっしゃっていました。各市町村で同じように経費がかかっています。システムをつくれば、それに付随する端末とかサーバーとかシステム構成の賃借料として永久にこのコストを支払い続けなければなりません。
 住民基本台帳ネットワークのシステムのメリットは、パスポート申請時の住民票の写しの提出が省略されるというのですが、毎年の負担から考えるとその費用対効果はどうなのか。県民の側から言えば、それだけの税金が使われているにもかかわらず、メリットはあんまり実感できていないんじゃないか。当時、利便性がよくなるといった理由で住基システムが導入されましたが、住基カードの普及率を見れば、県民の理解の度合いは一目瞭然であります。果たして、何のための住民基本台帳ネットワークシステムであったのか。
 また、今後、住基システムをもっと活用していく方向等の検証をすることもなく、今回新たな番号を国民に付与する共通番号制が導入されようとしています。何回国民に番号をつければ気が済むのと言いたくなります。
 今回の共通番号制度は、導入に当たって2000億円から3000億円というふうにお答えいただきました。それだけではおさまらないのではないかと懸念されています。ちなみに、このシステム導入に当たっては、既に情報関連の株価が上がっているという報道もあります。
 答弁では、社会保障・税の分野等において正確性、効率性を確保することで、住民は所得、自己負担の状況に応じた行政サービスが受けられるとのことでありますが、それぐらいのことならば今のシステムでも十分に機能しているのではないでしょうか。しかも、個人番号をつけなければできないというのでは、行政の信頼性が損なわれるでしょう。住民は、果たして番号を付与され、きめ細かいと言われる行政サービスを求めているのでしょうか。行政が求めているのは、血の通った行政だと思います。
 私は、住基ネット時の予算の何倍もの税金を使い、情報を集約し、一元化していこうとするこの制度に大きな危惧を抱いています。私たちのプライバシーは守られるのか。答弁では、個人情報漏えいに安全措置が講じられているとのことでありますが、この言葉を真に受ける人は少ないと思います。情報がビッグデータになればなるほど漏えいしていくものです。現実が証明しています。
 全国知事会でも、地方に新たな経費負担が生じることのないようにといった財政措置の要望や個人情報保護方策を示す申し出を行っているようでありますが、自治体での取り組みはこれからであります。県として個人情報を保護するための独自案は考えているのか等々を含め、今後の議論に委ねたいというふうに思います。
 次に、少しやわらかい質問をさせていただきます。
 日本料理の世界無形文化遺産登録についてであります。
 先日、会派の皆さんと、京都府の日本料理の世界無形文化遺産への登録の取り組み状況について聞いてまいりました。京都府では、平成23年度より日本食文化の世界遺産登録に向けた検討会を立ち上げるとともに、国に対して、日本料理の食文化の根底をなす京都の文化と技術を積極的に取り入れ、日本料理を国内の無形文化遺産目録に登録し、ユネスコの人類の無形文化遺産の代表的な一覧表への記載提案を行ってきたということでありました。
 提案を行った京都府では、日本料理の文化的背景を含めた研究や、高水準の日本料理を提供する実践者の確保、継承者の育成を担う高等教育機関を設置する協議を始めており、食育教育基本計画においても日本料理の価値や役割を明確に位置づけ、義務教育等における全国民的な普及啓発を実施するとしていました。
 国においては、平成23年7月から登録に向けた検討会において調査検討を重ね、「和食;日本人の伝統的な食文化」として登録を目指す方向で議論を終え、平成24年3月にユネスコへの登録の提案を行いました。今後は、ユネスコの検討、審査を経て、この平成25年12月に可否が決定される予定となっています。
 この提案で言う和食は、各地域の食文化といった限定されたものではなく、大きく日本の食文化といったものとなっています。さらに、事例としては、正月における食文化を挙げています。餅つきやお節、雑煮などの地域ごとに多様性を持つ食習慣と、それら料理を盛る器、そして、これら食習慣が健康増進と社会的結びつきを強め、年長者が子供にその意義を伝える機会となるとしています。そして、保護措置の実施を支援するために、食育運動の推進、日本食文化の普及、地域食材の保護の支援、モニタリングの支援の取り組みを国が行うこととしています。また、これまでこの文化の保護に多くの地域コミュニティー、集団、個人までも広くかかわってきたことを述べ、今後もかかわっていくとしています。
 このように、世界無形文化遺産に登録される文化とは、歴史や背景も含め、その文化を支える多くの人々の手により、その価値を後世に残していかなければなりません。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 和歌山県では、今回の登録に向けた動きをどのように捉えているのか、また登録された場合、どのような対応をとるのか、お聞きいたします。
○議長(山田正彦君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 今回の日本食文化のユネスコ無形文化遺産への申請は、全国各地の家庭、地域で行われている食を通じたさまざまな社会的慣習や取り組みがユネスコの無形文化遺産にふさわしいものとして国が行ったものであります。
 登録された場合、県としましては、これまで取り組んでまいりました食育、そして地産地消の推進に、より一層の弾みがつくものであると考えております。
 今後とも、教育委員会や地域の生活研究グループ等、関係者団体などと連携して、地場の農産物を使った郷土料理づくり体験等を通じて、県内各地の伝統的な食文化を次世代につなげてまいる所存でございます。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 よろしくお願いいたします。
 では、最後の質問に移ります。
 高野山地域における交通対策についてお伺いをいたします。
 来年から再来年にかけて、JRのデスティネーションキャンペーンとか世界遺産登録10周年、高野山開創1200年記念大法会と、和歌山県にとっては多くのお客様をお迎えする絶好の機会がめぐってまいりました。
 高野・熊野の世界遺産は今さら言うまでもありませんが、高野山町石道、熊野古道が結ぶ高野・熊野一帯が世界遺産となっており、その歴史と宗教性が大きな魅力となっています。
 特に高野山は、真言密教の聖地として、金剛峯寺を初めとする仏教建築群はもちろんですが、鬱蒼と茂った樹齢1000年以上とも言われる杉木立の中にある奥の院など、深淵性、静寂性、神秘性も含め、申し分ない世界遺産であります。
 しかし、残念ながら近年、自家用車による来訪者が増加し、高野山の霊場としての景観や風情を阻害する原因となっています。
 平成17年に、山下大輔議員が高野山の交通問題について質問をされています。この中において、大門から奥の院に続くその車道は、土日となると狭いエリアに車が詰め込まれ、排気ガスが充満する最悪の環境となっていると指摘されています。そして、パーク・アンド・ライド方式を導入し、高野山内の観光スポットエリアについて一般車両の通行を制限してはどうかといった提言があり、当局は、近畿運輸局や地元自治体、交通事業者で構成した高野山パーク&ライド実行委員会をつくり実証実験をいたしましたと答弁されると同時に、高野山にふさわしいパーク・アンド・ライドの事業化に向け、地元の意向を十分聞くとともに引き続き関係者と連携して取り組んでいきたいというふうに答弁をされています。
 そこで、企画部長にお伺いいたします。
 高野山開創1200年大法会を再来年に控え、高野山内の交通状況の改善が喫緊の課題となっています。御答弁から8年余りが経過いたしましたが、どうなっているのでしょうか。私は、パーク・アンド・ライドだけでなく、公共交通、道路、駐車場など根本的な対策が必要と考えますが、現状とその後の取り組みについてお聞かせください。
○議長(山田正彦君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 議員御質問の高野山地域における交通対策についてでございますが、高野山内には幹線道路が1本しかなく、しかも、この道路がX軸ネットワークを形成する県全体の幹線道路となっていることから、高野山に関係のない大型トラックが通過するなど、霊場高野山にふさわしくない交通環境となっております。
 このため、現在、県では、平成27年4月から開催の高野山開創1200年記念大法会に向け、国道480号──いわゆる高野山道路でございますが──この整備を進めております。この道路が開通いたしますと通過交通を迂回させることができ、またこのことによりまして、観光シーズンに発生する交通渋滞の緩和や世界遺産地域としての環境保全にもつながると考えております。
 高野町でも、この道路の整備などを踏まえ、駐車場の整備と山内の交通規制や公共交通サービスの充実などを組み合わせることにより、パーク・アンド・ライドの実現など、歩く人を重視した歩行環境の創出を図るための取り組みを進めております。
 今後とも、高野山開創1200年に向け、高野山道路の早期整備を図るとともに、高野山にふさわしい交通環境が実現されるよう、関係機関とともに取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(山田正彦君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 高野山の交通事情についてお尋ねしました。
 県民の方で年に何回も高野山にお参りに行かれる方から高野山の交通事情について御相談がありまして、せっかくの世界遺産なのに、山上での交通渋滞のために高野山のよさがわかってもらえないんじゃないかというふうなことでありました。
 そういったこともあって質問させていただきましたが、町のほうでも10年間に必要な施策を実施していくということですので、県も少しでも協力して、10年と言わず早く整備されることを要望して、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。

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