平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(花田健吉君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って、3項目にわたって一般質問をさせていただきます。
 その前に、台風18号で被災された皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 それでは、まず最初の1項目めです。和歌山地方税回収機構の問題についてお尋ねをいたします。
 和歌山地方税回収機構――以後、「機構」と呼ばせていただきます──は、市町村から徴収困難な滞納事案などが移管され、滞納整理を進めるものです。滞納者全員の財産調査を行い、約8割の滞納者に差し押さえなどの滞納処分を実施しています。
 この中で、「機構のやり方はむちゃくちゃや。血も涙もない」ということを聞くことがあります。私は、徴収に当たって行き過ぎの部分があるのではないかと思います。
 最近相談を受けた例ですが、47歳の男性Oさんは、某市に住所を置いたまま和歌山市に住み、働いていました。某市から何度か封書が来ましたが、勘違いをして余り気をとめずほっていました。そうすると機構から納税催告書が来たのでびっくりし、早速、機構に出向きました。県・市民税5年分の滞納になっており、本税約65万円、延滞金約25万円にもなっていました。毎月の給与から税金が引かれているものと思い込んでいましたが、所得税だけで、住民税が引かれていないことがわかりました。全く気がつかなかったようです。そして、大変反省して、機構には分割納入にさせてほしいと頼み込みました。このとき、私も同行しましたが、本人が合意しても立ち会いを認めてもらえませんでした。私は別室でずっと待たされたままで、お話を聞いていただくこともありませんでした。大変残念な思いをしています。Oさんは、機構の担当者に囲まれ、分割納入は認められないということで、「身内の人に相談してでも一括で払ってもらわんと」と言われました。その後、機構から職場に給料調査の文書が来ました。
 また、ある人は、給料が口座に振り込まれた途端、預貯金の金融財産として差し押さえが執行された方もあります。
 ある町のことですが、町の職員の引き継ぎの際、間違いから、機構に移管された後、滞納者が町に相談して納付することを約束していました。町が機構にその案件の返還を求めましたが、なかなか応じようとしないという例もありました。
 もう1つの例は、弁護士さんが債務整理を行っていた件です。抵当権がついた任意売却の話がありましたが、「不動産どおり100万円全額返さなければ差し押えは解除しない。嫌なら競売だ」と一歩も譲らず、結局、他の債権者が競売を行って処分され、機構には1円も入りませんでした。一旦差し押えすれば状況は勘案しない。これでは納税者をいじめるだけのことになってしまうのではないでしょうか。
 そこで、総務部長にお尋ねいたします。
 この機構は、どんな法律に基づき、どんな目的になっているのでしょうか。機構の概要、設立目的についてお答えください。
○副議長(花田健吉君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 総務部長市川靖之君。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 和歌山地方税回収機構は、市町村から徴収困難な滞納事案を引き受けて専門的に滞納処分を行う組織として、県内全市町村が構成団体となり、地方自治法第284条第2項に基づき、平成18年4月に設立された一部事務組合でございます。
 機構では、市町村において徴収困難な滞納事案等を引き受けて、徹底した滞納処分等を通じまして税負担の公平及び税収確保に努めるとともに、市町村職員への研修を通じて、市町村への滞納整理のノウハウの蓄積とスキルアップを図ることを目的としております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、お伺いいたします。
 市町村から機構へは、どのような基準で移管しているのでしょうか。総務部長にお聞きいたします。
○副議長(花田健吉君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 市町村から和歌山地方税回収機構への移管事案につきましては、滞納税額が高額な事案や相続等権利関係が複雑で財産調査が十分に行えない事案等、市町村にとって整理困難な事案について、滞納額や滞納者の状況等を踏まえて市町村が選定しており、適切に移管されているものと認識しております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に3番目ですが、機構に移管する前に市町村の段階において、納税者に対して電話や訪問などで相談に乗るなど、きめ細かい対応が必要と考えますが、いかがでしょうか。総務部長、お答えください。
○副議長(花田健吉君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 市町村においては、滞納処分の厳正な実施だけでなく、個々の滞納者の状況に応じて納税緩和措置を講じるなど、適切に対応されているものと認識しておりますが、今後ともさらに適切に対応するように、職員研修等の支援、それから助言などを行ってまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、総務部長のほうから答弁をいただきました。「市町村においては、滞納処分の厳正な実施だけでなく、個々の滞納者の状況に応じて納税緩和措置を講じるなど、適切に対応されているものと認識している」というお答えでした。ということは、そういった対応を県としてはしているという、そういうことを考えているということで受けとめさせていただきました。
 続いて、4番目の質問をさせていただきます。
 機構として分割納付の相談に応じるなど、納税により生活が成り立たなくなる方へのきめ細かい対応が必要と考えます。
 先ほど申し上げた方の例でもそうでしたが、給料は、国税徴収法76条にある差し押さえ禁止額を除いて差し押さえられます。しかし、家賃や借金返済がある場合、実際はそれでは生活ができません。地方税法15条の7、徴収法153条には、生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、滞納処分の執行を停止することができるとあります。こうした事情で実際に生活保護水準以下に陥るような場合、滞納処分の停止などの措置が必要と考えますが、総務部長、いかがでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 総務部長。
  〔市川靖之君、登壇〕
○総務部長(市川靖之君) 分割納付につきましては、自主納付という形で滞納税額の一部を納付することはできますが、これは法に基づく猶予措置ではないため、法律上は、完納されるまでは財産調査や滞納処分は継続されることとなります。
 しかしながら、和歌山地方税回収機構においては、財産調査を通じまして滞納者の個別的、具体的な実情を踏まえた上で滞納処分を行うこととしており、生活困窮者と判明した場合などは、市町村に連絡し、市町村において滞納処分の停止など納税緩和措置を適切に講じているものと認識しております。
 県といたしましては、機構に対して、今後とも引き続き地方税の徴収事務を適正に執行するよう、支援、助言してまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 生活困窮が考えられる場合は市町村に戻すということをしっかりやっていただきたいと思います。
 最後に、部長から答弁もいただきましたが、今までお話をさせていただいたような納めたくても納められない方への税の徴収のあり方について、知事のお考えをお聞かせください。
○副議長(花田健吉君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま奥村議員の御質問をいろいろお聞きしておりましたら、1つ欠けてるところがあるなあというふうに思うところがありました。それは何かというと、何でそんな前に税金払わなかったんだろうかということでございまして、それによって滞納がふえていったということですから、やっぱり市民の義務なんで、それは不当な課税をされてるんなら、それはそのときに必要な措置をとったらええと思いますけど、そうじゃなくて、本人の責めに負うべき過失によって発生しているならば、その過失を少なくするということも市民の義務ではないかというふうな感がしました。
 加えて、今度はそういうことが起こったときに、負担の公平の観点から、税金は必ず納めていただかなきゃいかんということでありまして、これの原則を余り理由もなく曲げますと、きちんと納付している大半の県民の皆様に説明がつかんということになるわけでございます。したがって、厳しくとも滞納処分は必要不可欠なものであると思います。
 しかし、総務部長が言いましたように、滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあると客観的にちゃんと説明できるというときは滞納処分の執行を停止できることもありますし、また、例えば滞納者といっても、それは憎むべき人ではないわけですから、社会保障の救済を訴えるということをその方がやったときに、それは差別するというわけではないということも言えると思います。
 こういうふうに、滞納者の個別的な、あるいは具体的な実情を踏まえて、適切に対応されていると考えているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私は、質問として、やはり納税の前提には公正に税を納入するということは当然のことであるし、そういう立場で、本当に払えるのに払ってない人にはちゃんと公正に納税するようにということはもちろんなんです。私が質問して問題にしてるのは、やはり国税法とか法律に沿ってですが、そういったことで生活が本当にできない事態になる場合がある、そういったところで、納税して、しかも生活が成り立つということがやはり必要ではないかという、そういうことで質問をさせていただいたんですけど、最後に要望をさせていただきます。
 財産調査で、滞納者の個別的、具体的な実情を踏まえて生活困窮と判明した場合は、市町村において滞納処分の停止など、納税緩和措置を適切にしているという御答弁でした。適切というのは、実情に応じて、生活困窮に陥る場合は市町村に戻して滞納処分停止の措置をするということだと考えています。
 ぜひ県民に寄り添った行政を切に要望して、この問題についての質問を終わらせていただきます。
 次に、雇用問題について、2つ目の項目についてお尋ねいたします。
 皆さんのお手元に資料を配付させていただいています。ごらんいただきたいと思います。これは、毎月勤労統計調査によるもので、労働者の給与の月平均の動向です。常時5人以上の常用労働者を雇用する県内約540事業所の集計をしたもので、常用労働者とは、期間を決めずに、または1カ月を超える期間を決めて雇われている人ということで、一般労働者とパートタイム労働者に分けられています。この給与額は、一般とパートタイムを合計した平均であり、所定内給与と残業代など超過労働給与、夏季・年末賞与なども含めた額を月平均したものです。1997年から全国的にも労働者の給与が下がり続けてきましたが、グラフにあらわれているように県内の給与も下がり続けています。
 その中身を見ますと、一般労働者の給与も下がっていますが、パートタイム労働者比率が、2005年は26.5%だったのが2011年では32.3%に上がっており、このことで全体の平均給与が下がっています。この6年間で月3万4000円も減っているのですから、年収にすれば約40万円減ったことになります。
 また、ピーク時の1997年の同じ調査では月34万1819円でしたので、そこから約6万5000円、年収にすれば78万円も減っています。2012年就業構造基本調査によれば、和歌山県においても雇用者35万9200人のうち非正規雇用者は13万8200人と38.5%を占めており、2007年の前回調査の35.5%から3ポイント上昇しています。
 今、アベノミクスで景気は回復するかということが問題になっています。その中で、給料が上がらなければ冷え込んだ消費が回復しないし、景気回復もない、まず国民にその実感はないというのが共通した見方ではないでしょうか。
 これだけ、働く人の賃金が下がってきたのです。デフレ不況を打開するには、賃金を上げることなしにはできません。それは、正社員の賃上げとともに、この間、労働法制の規制緩和でふやしてきたパートタイムやアルバイト、派遣労働や期間社員という低賃金の非正規労働者を減らして正規雇用化すること、また、非正規労働者の賃金も底上げしていくことが求められています。そのためには、労働者派遣法の抜本改正、非正規雇用への不当な差別をなくし均等待遇を図る、最低賃金を引き上げる、こうした政治の力が必要だと考えます。
 県としても、雇用問題への取り組みが、県民所得をふやして県経済の振興を図る上で重要な課題となっていると思います。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 和歌山県の非正規労働者の現状についてどのように認識されていますか、お答えください。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 企業における雇用形態については、従来の正規雇用に加え、アルバイトや最近増加してきた派遣労働、有期契約労働など、人材活用の面で多様化しており、全国と同様に本県においても非正規労働者の増加傾向が見られます。
 雇用形態が多様化したことにより、雇用総数の下げどまりなどに一定の効果があったものと考えますが、給与や雇用が安定しない非正規雇用の増加する雇用環境は、正規雇用を望む求職者にとっては厳しいものと認識しております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 2番目は、とりわけ深刻な若者の雇用環境についてです。
 民主青年同盟やわかやまローカルユニオンの方が、ハローワーク前などで求職中の皆さんから雇用と暮らしの実態についてアンケートで聞き取り調査を行っています。私も一緒に話を聞かせていただきました。(資料を示す)これまで66人から回答を得ることができました。その中で、前職を離職した理由を項目ごとにグラフで示しています。
 この中で、その他というのが12人と一番高いんですが、それは聞き方にもよるかと思いますが、転職したいとかやりたいことがある、またキャリア・スキルアップしたい、そういった理由が含まれています。それ以外では、解雇が8人、退職勧奨が3人、一方的に契約更新終了された、延長を希望したが通らなかったなど、契約期間終了が3人、合わせると20%がこうして離職を余儀なくされており、デフレ不況が労働者を直撃いたしております。
 また、結婚、出産が10人となっています。そのうち、ほとんどの人が働き続けることを望んでいましたが、出産して働き続けようと思うともう一度面接から受け直さないとだめだったなど、前の職場では結婚、出産で働き続けられる条件がなく、離職を余儀なくされていることがわかりました。
 賃金、残業代の未払いや長時間労働という劣悪な労働条件のため、働き続けることができないと答えた人も20%いました。
 介護職員だった方は、「昼3時30分から翌朝9時30分まで18時間勤務。1人のときもあった。サービス残業が多かった。介護はやりがいのある仕事だと思うが、続けられなかった」と話しました。「前の職場で鬱になる人をたくさん見てきた。そこまでして働かないといけないのかと思う」、20代の方が答えてくれました。過酷な長時間労働の実態があります。また、パワハラ、セクハラがあったと答えた人も3人いました。
 前の職場の年収では、100万円未満が15%、200万円未満と合わせれば46%、半数近くの人が働く貧困層と言われています。200万円以下の収入しかありませんでした。そして、皆さんが切実に訴えていたのが、何とか正社員になりたいということでした。デフレ不況対策とは、こうした県民の深刻な状況を解決するものでなければならないと痛感をしました。
 アンケートであらわれているのは、正社員が減らされる一方で、サービス残業や長時間労働が横行している実態、働いても低賃金です。若者が安定した雇用につき、人間らしく生活し働くことは、日本の将来、県経済のこれからにとっても非常に大事なことです。
 そこで、県独自の若者の雇用促進対策でどういった取り組みをされているのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 若者の雇用促進対策についてお答えします。
 まず、和歌山市ぶらくり丁内に若年者就職支援センター「ジョブカフェわかやま」を設置し、個別カウンセリングや就職セミナー等を実施しているところです。併設の若者向けハローワークとともに、就職相談から職業紹介、定着支援までの一連の支援を行い、平成24年度実績では656人の若者を就職に結びつけています。
 そのほか、本県出身大学生のUターン就職を支援するために、県内企業の採用情報を収集し、近畿圏の大学を初め大阪等で開催するUターン就職セミナーで学生に情報提供するとともに、県内各地などで企業面談会を実施しております。
 また、県内5つの工業高校において、県内企業の協力を得て熟練技能者による技術指導や、生徒、教員による企業現場の体験などを通じて、物づくり人材の育成に取り組んでいるところです。
 県としましては、引き続き、こうした取り組みにより若者の就業支援を進めてまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、先ほど挙げたような解雇や一方的な契約終了、また過酷な労働条件などについて、労働者が相談できるところが必要です。県の労働相談にも、こうした問題が持ち込まれていますか。その状況はどうなっているでしょうか。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 県の労働相談では、専門の相談員が労働条件や職場の人間関係など、労使間のトラブルで困っている方からの相談を受け付けております。
 相談内容としましては、労働条件が50%、職場の人間関係が10%、福利厚生が10%程度となってございます。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 これは要望をさせていただきたいんですが、県の労働相談で違法な解雇やサービス残業などの相談が寄せられた場合、労働監督署につなげる支援をするべきだと考えています。この点では、ぜひ県民の立場に立った労働相談を進めていただきたいなと思います。
 4番目に、引き続いて質問させていただきます。
 さらに過酷な労働環境や極端な長時間労働、高い離職率など、いわゆるブラック企業が社会問題化してきています。こうした企業では人材の使い捨てが行われていて、これは重大な問題だと考えます。
 いわゆるブラック企業に対して、県は何か取り組みを考えられていますか、お答えください。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 国では、過重労働や賃金不払い残業などにより、若者の使い捨てが疑われる企業等の実態を把握するため、9月1日に全国一斉の無料電話相談を実施した結果を受け、9月を集中監督月間に指定して、労働基準法など関係法令違反が疑われる企業への立入調査を予定しているとのことです。
 県では、和歌山労働局からの依頼を受け、無料電話相談の実施について周知広報を行うとともに、県の労働相談室でも各種相談を受け付け、国の窓口を紹介するなど、適切な指導助言を行っているところでございます。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県も労働局と連携して、このブラック企業の実態をつかんで、なくしていくように、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。これは要望させていただきます。
 この問題の最後に、これまで御紹介してきたとおり、非正規雇用の増加、低賃金、長時間労働、職場でのいじめ、嫌がらせなど、若者を取り巻く労働環境は大変厳しい状況です。こうした現状を少しでも改善するためには、労働関係法規の内容や国の各種助成制度を広く周知していくことが大切だと思います。特に中小企業の賃金引き上げへの国補助金、中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金は、広く事業者に知らせて活用を支援すべきだと思います。
 それから、アンケートの回答にもありましたが、結婚、出産しても働き続けられる環境づくりが必要です。育児・介護休業法に基づき子育てしながら働けるよう、例えば県の男女共同参画基本計画では、企業での育児休業制度の整備率を2010年度末は66.4%だったが、2016年度には80%にするという目標値を決めています。2010年の労働条件等実態調査報告書では、育児休業が適用されているのは一般労働者では75.9%ですが、パートタイム労働者では42.3%となっています。
 この制度を事業者に広げることに取り組むということですから、パートタイム労働者も含めて適用されるよう取り組みを強めていただきたいと思います。この分野でも育児休業取得への国の支援事業と助成金があると思いますので、こうした制度も周知してください。
 また、病院に「働きながらお母さんになるあなたへ」というパンフレットを置くというような点も、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 この点での県の取り組みをお尋ねいたします。
○副議長(花田健吉君) 商工観光労働部長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 従来から県のホームページや「県民の友」などの広報媒体を通じて、国が実施する労働関係法の説明会や各種助成金の活用促進に向けた周知広報を行うとともに、県の労働セミナーでの講習や、県職員の企業訪問時における情報提供などを行っているところでございます。
 今後も、関係機関との連携を図りながら、労働関係法令の遵守を広く呼びかけ、良好な労働条件の確保に取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この雇用の問題は非常に多岐多様な課題の問題であると思いますし、商工観光労働部だけではなかなか解決つかないという問題もあるかと思います。これは、若者の雇用だけでなくて、やはり全体の雇用がよくなるように県挙げて取り組んでいただきたい。また、非正規雇用が正規雇用に拡大できるような取り組みをぜひよろしくお願いしたいと思います。これは要望して、この質問は終わらせていただきます。
 次、3項目めです。県の体力開発センターの存続についてお尋ねいたします。教育長にお尋ねさせていただきます。
 今議会に、県体力開発センター──以下「センター」と呼ばせていただきます──このセンターの設置及び管理条例を廃止という提案がされています。センターは、これまで多くの県民の皆さんに利用されてきました。昨年度の利用者数は延べ12万1741人でした。利用者の方々から知事宛てに、センターの存続を求める要望書が1万5000筆以上届けられているとお聞きしています。私と同世代の周りの人からも、残念、寂しいという声が上がっています。
 私たち日本共産党県議団は、先日、センターと新しくオープンした秋葉山公園県民水泳場の視察に行ってまいりました。センターでは、ちょうど視察させていただいた時間帯が幼児と児童の体操・水泳教室であったので、大変活気に満ちていました。プールの観覧席では、お母さん方がずらっと横並びに座り、子供の泳ぐ姿を見守っていました。また、ロビーではプールの映像が流れ、画面を見ながらお母さんたちが楽しそうにお話をされていました。ロビーは、お母さん方の交流の場にもなっています。幼児の体操教室では、オリンピック選手の田中3きょうだいのお母さんが指導に当たり、子供たちの飛び切りの笑顔が印象的でした。
 また、3人の子供を育てているあるお母さんは、子供が小さいころからセンターを利用し、難しい思春期を教室だけでなく職員さんの励ましなどで乗り越えられてきたこと、またPTAの機関紙に子供に尊敬する人ということを尋ねる企画があり、そこに子供が「センターの先生」と答えていることなど、とても子育ての上でも心強かったことを語ってくれました。跳び箱を跳べるようになって自信がつき、学校も楽しく行けるようになったこと、水泳も体操も利用できるので、2人目、3人目の子供があっても喜んで利用できると言われました。
 あるお母さんは、高齢の方も利用され、和歌山駅に近いので近隣のまちからも通っている人もいて、何よりもいろんな世代の年代の人との交流もでき、利用しやすい料金も大変魅力的と話してくれました。
 そこで、教育長に4点についてお尋ねいたします。
 これまでのセンターの活動と役割をどのように考えていらっしゃるでしょうか。
 2つ目に、利用者や関係者の皆さんからのセンター存続の要望をどのように受けとめておられますか。
 3つ目に、県下においても、身近で誰もがスポーツに親しむための施設は重要です。今まで御紹介してきた皆さんの声として、センターはなくてはならないものとして必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に4番目に、センターに隣接する県立体育館も含めて地域スポーツの振興の拠点にするお考えはありませんか。
 以上、4点についてお尋ねいたします。
○副議長(花田健吉君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県体力開発センターにかかわって4点の御質問にお答えいたします。
 第1点目ですが、この体力開発センターの活動と役割についてでございますけれども、体力開発センターというのは、昭和50年1月に供用が開始されて以降、水泳教室や体操教室を初めとする各種スポーツ教室を開催し、県民の健康と体力づくりに寄与するとともに、長年にわたり、誰もが気軽にスポーツや体力づくりを楽しめる施設としての役割を果たしてきたと認識いたしております。
 2点目ですが、存続の要望についてでございます。
 体力開発センターの存続の要望につきましては、当センター利用者の有志で構成される会や地元自治会からも要望書が提出されており、こうした県民の方々の同センターへの思いについては非常に重く受けとめております。
 しかしながら、体力開発センターは、設備の老朽化や耐震基準を満たしていないこと、また、同等機能を有する秋葉山公園県民水泳場が今月1日に供用を開始したことから、今年度末をもって廃止する条例を今議会に上程をしているところでございます。
 3点目ですが、誰もがスポーツに親しむための施設としても必要ではないかということでございますが、体力開発センターは廃止することといたしておりますけども、誰もがスポーツに親しむための施設の必要性は十分認識しており、これまで当センターが担ってきた役割につきましては、新しく機能が充実している秋葉山公園県民水泳場や県立体育館等で対応していきたいと考えております。
 4点目でございますが、体力開発センターや県立体育館を含めて地域スポーツの振興の拠点についてはどうかということでございますが、体力開発センターにかわるものとして、先ほど申し上げましたけども、新しい秋葉山公園県民水泳場を有効に活用するとともに、県立体育館は平成27年開催の紀の国わかやま国体における体操、柔道、バスケットボール競技の練習会場であり、また紀の国わかやま大会でも卓球、バレー競技の会場となっていることから、両大会に備えて活用してまいります。
 さらに、国体終了後につきましても、引き続き県立体育館を地域スポーツ振興の拠点として活用していきたいと考えております。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 施設の必要性を十分認識しているということで、誰もがスポーツに親しむための施設ということでおっしゃってくださいました。
 この当センターが担ってきた役割について、新しい県営プールと県立体育館が対応するということですが、具体的にどのような対応を考えられているのか、御説明をお願いします。
○副議長(花田健吉君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 具体的には、これまで体力開発センターで行っていた水泳教室につきましては、既に秋葉山公園県民水泳場で開設が予定をされております。また、先ほど御紹介にあった体操教室などにつきましては、県立体育館やビッグホエールなどで実施できるよう取り組んでまいります。
○副議長(花田健吉君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の体力開発センター存続は無理やということでの答弁だったんですが、非常に残念なことだなあと思います。
 最後に、要望をさせていただきます。
 センターについては、地元自治会からも存続の要望が提出されているということからも、センターが開設から38年余りで、地域の中にスポーツに親しむ施設として根づいてきたと思います。
 平成23年度社会教育調査によると、県内の屋内プールの設置数は全国平均34カ所を大きく下回って9カ所しかありません。これは、全国最下位の数ではないでしょうか。本来ならこうしたセンターは、私は県下に広げていくという考え方が大事だと思うんです。発展させていく方向で検討すべきところが――今、提案なんで決まったわけではありませんが――そういったことが提案されるということは、非常に残念なことです。秋葉山公園に県民水泳場が新しくオープンしたからよいというものでは、私はないと思います。耐震化など必要な改修をして存続、充実させることを要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(花田健吉君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

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