平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)
平成25年9月 和歌山県議会定例会会議録
第2号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)
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午前10時0分
○議長(山田正彦君) 開会に先立ち、申し上げます。
このたびの台風18号に伴い、初の特別警報が発令され、京都府、福井県、滋賀県を初め、全国的に大きな被害が発生いたしました。本県におきましても、突風や浸水による家屋の損傷等、多大な被害が発生しております。
被害に遭われた方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
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午前10時0分開議
○議長(山田正彦君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第97号から議案第126号まで、並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
4番藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。
本県に大きな爪跡を残した紀伊半島大水害から2年が経過をしました。改めて、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げます。いまだ仮設住宅でお住まいの方も多くいらっしゃるということですので、一日も早く落ちつきを得られるよう、県においても引き続き支援に取り組んでいただきたいと思います。
また、この日曜日から月曜日にかけて日本列島を縦断し、広い範囲にわたって記録的な大雨をもたらした今回の台風18号では、県内でも、突風によるけがや土砂災害、浸水被害、停電など、多くの被害が出ました。被害に遭われた方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
まず初めに、大規模建築物の耐震診断結果の公表の時期などについて伺います。
耐震改修促進法が改正され、昭和56年以前に建築されたホテルや病院など、不特定多数の方が利用する大規模な建築物について、耐震診断とその結果の公表が義務化されることになりました。東海・東南海・南海3連動地震など大規模地震により大きな被害が予想される和歌山県では、建築物の耐震化は喫緊の課題でありますが、耐震診断を受ける期限が平成27年末になっており、また、その結果を県が公表しなければならないとの説明を聞き、余りにも余裕がなさ過ぎるのではないかと感じました。
県では、今議会に、耐震診断や設計、改修工事に係る経費を支援するための補正予算を計上しています。国が27年度までの3年間、追加補助を行うのを活用するということですが、この支援策は3年間の推計で最大75億円も県費が必要ということですから、思い切った支援については評価できると思います。
一方で、和歌山県は、ことしの伊勢神宮式年遷宮を皮切りに、来年度の世界遺産登録10周年、27年度には高野山開創1200年と和歌山国体など、大きなイベントが続き、観光立県として大々的に売り出そうとしている時期であり、旅館やホテル関係者にとっては稼ぎどきになるわけです。
そんな時期に耐震診断を受けた結果、耐震改修が必要な状況であった場合に、県や和歌山市がその結果を公表するとすれば、宿泊客が減るということになりかねません。事業者も早急に耐震改修に取りかからざるを得ないと思いますが、経費を考えると資金繰りの問題もあります。また、耐震改修の工事期間がどれぐらいかによっては、観光客の受け入れもできないことになりかねません。県としても、国体運営を考えると、この時期に宿泊施設が制限されるようなことがあっては運営が成り立たないのではと心配してるところであります。
県として、診断結果の公表のあり方についてどのように考えていますか。また、平成27年度までという国の追加補助についても、事業者の都合に配慮できるよう強く要望すべきではないですか。知事の見解と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の耐震改修促進法の改正は、観光立県である和歌山県にとって非常に影響の大きい内容であると認識しておりまして、ホテル、旅館にとっては診断結果の公表による風評被害などが特に懸念されるため、その支援策について、これまで検討を重ねてきました。
支援策については、国の補助を最大限に活用し、耐震診断から耐震改修までを支援する補助制度を全国に先駆けて本議会に提案をさしていただいております。
若干経緯を申し上げますと、正直に申し上げまして、本県について、情報入手についてはやや後手に回った感がございました。制度ができてしまっちゃったということでございます。その後は迅速に行動して今日に至っているというふうに言ってもいいと思います。
まず、趣旨からいって、宿泊客の安全を確保するということについては、なかなかあらがえないし、大事なことだと思いますので、一日も早く耐震強化をするという方針を決めまして、御指摘のように、それでは経営もかつかつの和歌山県のほとんどの企業にとって大変でございますので、そこは助成をしようと。
しかし、それを迅速にやるにしても、公表していじめるというのが別に法律の趣旨でも何でもないと思いますので、その公表はできるだけ早くやって、それでやりましたということを言うべきじゃないかというふうに思いまして、6月の政府提案において、この辺はそういう考え方で柔軟にやったらどうでしょうかというようなことを国交大臣に申し上げたところでございます。
そしたら、国交大臣から、それは地方の判断を尊重してやるので、国は無理やりそういうことをして風評被害を誘発するようなことは考えておらんということでありました。かつ、国も助成策を十分用意してるから県も頑張って一緒にやろうよというようなことでございまして、今回の提案に結びついてるわけでございます。そういうことで、公表時期については、風評被害を招かないように適切にやっていきたいと考えております。
また、平成27年度までとされております国の耐震対策緊急促進事業につきましては、既に期間の延長を国に要望してるところでございまして、今後も引き続き、実際の耐震改修に要する期間、これはできるだけ早くしたいわけですが、それを踏まえた実施期間の延長を強く国に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(山田正彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 どうぞよろしくお願いいたします。
次に2番目として、和歌山南インターチェンジの整備にあわせた海南市からのアクセス道路の整備について伺います。
現在、海南市や紀美野町において、国道370号を初め、国道424号の木津バイパスや日方大野中藤白線などの整備事業を進めていただき、進捗が図られていることは、大変喜ばしい限りであります。
一方で、これら東西の路線が整備されたとしても、南北の路線は、現状では国道42号に流れ込むしかないわけでありますので、そういった観点から、将来的にも和歌山と海南を結ぶ幹線道路を国道42号1本に頼るのは非常に無理があるという認識のもと、和歌山市と海南市とのこの南北の間の道路整備の必要性について、これまで訴え続けてまいりました。
その国道42号においても、平成23年の2月議会で、県からも強く働きかけていた紀三井寺交差点の改良事業が国のほうで進められており、今後、渋滞緩和が少しは図られるものと期待しているとの答弁をいただきましたが、その後、2年以上たちましたが、何の説明もないまま現状のとおりであります。
和歌山市と海南市を結ぶ道路整備については、地域住民の利便性を初め、産業面や観光面、昨年は防災面から、その必要性について自分なりに思いつく限りの切り口で求めてまいりましたが、今回は和歌山南インターチェンジの整備に絡めて質問をさせていただきます。
和歌山南インターチェンジが整備されますと、都市計画道路南港山東線に接続し、和歌山市の中心部や和歌山下津港へのアクセスが将来的にスムーズになり、県内産業の振興にも寄与するものと思っております。
海南市の北東部に多く立地する日用雑貨や漆器業界にとっても、わざわざ海南東インターに回ることなく高速道路が利用できることになると言いたいのですが、現行の道路ではどうしても狭隘で、利便性が向上するとは言い切れません。早期に都市計画道路の松島本渡線の南伸を初め、海南市小野田と和歌山市黒谷を結ぶ県道沖野々森小手穂線や海南市多田付近から和歌山市安原に通じる県道秋月海南線について、拡幅及びバイパス整備をすべきであると考えますが、知事の考えをお伺いいたします。
○議長(山田正彦君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山南スマートインターチェンジにつきましては、和歌山市はもとより、紀の川市や海南市北東部からの高速道路利用の利便性向上が期待されておりまして、連絡する道路として都市計画道路松島本渡線や南港山東線の整備を進めているところであります。
ただ、松島本渡線の東西の線の北側はこれでまず完璧だと思いますけれども、御指摘のように南のほう、海南に向かうところは、ずっと回って42号1本というような感じがあります。もちろん、道はあるんですけれども、県道秋月海南線とか県道沖野々森小手穂線とか、どうも狭い、これはやっぱりまずいということは重々承知してるところでございます。特に交通の支障となるようなところを直そうとしておるんでございますけれども、それで、南スマートインターチェンジの供用に向けて、最も狭隘なところは直すつもりでございます。
ただ、周りが、実は家が建て込んでるところでございまして、全部満足できるような広い線にするというのは、広範な人々の立ち退きということを要しますので、なかなか難しいと。むしろそれよりも、都市計画で決められております抜本的な対策としては、松島本渡線の南伸をきっちりやっていこうというふうに考えておりまして、平成27年度の和田工区の完成に引き続き着手していきたいと考えております。
特に南インターができますと──かなり長い線でございますので簡単にはできませんが、南インターができますと、早速その辺がちょっと混雑しそうなので、ついては、県道三田海南線がありますけれども、これはまだ先ほど申し上げました道よりもうちょっとよろしいかというふうに思いますので、それに松島本渡線をタッチさして、それで南スマートインターチェンジの供用に合わせていこうと、そんなふうに考えているところでございます。
○議長(山田正彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ようやく具体的なめどのお答えをいただきました。
抜本的な対策として、松島本渡線の南伸を進めていただくのはもちろんのことでありますけれども、和歌山市と海南市の間には県道が7本走っております。先日、その全ての路線の事業費を過去にさかのぼって確認さしていただきましたが、申しわけ程度についている路線ならまだしも、過去5年間見てみても、1円も事業費が計上されてない路線も3本ありました。
沖野々森小手穂線は、せっかく和歌山市内の一部がきれいに2車線で整備されているのに、海南市側は車1台が通るのもやっとであります。和歌山市側も、安原方面に抜けるところでは極めて狭隘で、せっかくの2車線区間の効果が半減してしまっております。
秋月海南線も、海南市多田付近と和歌山市の安原付近の一部が狭隘で、朝夕のラッシュ時には大混雑しています。こうした状況を知事は御存じだと思っておりますけれども、40フィートのトレーラーも立ち往生してしまうことが、もうしばしばであります。
南インターができるのにあわせて、ぜひともスムーズに通行できるようにしていただきたいと思いますので、こちらもどうぞよろしくお願いを申し上げておきます。
それでは、3番目の質問に移ります。
現在、NEXCO東日本は、東北自動車道上り線の羽生パーキングを江戸をテーマにした商業施設にリニューアルしようと考えてるそうで、池波正太郎の時代小説「鬼平犯科帳」とのコラボレーションとして作品が描く江戸が再現されるそうで、江戸後期の町並みを忠実に再現し、店舗には1760年創業の老舗の料理屋「玉ひで」が出店し、利用者を現在の280万人から300万人以上にふやす目標とのことであります。特定のテーマで統一された世界観をエリア全体で表現するテーマ型エリアの第2弾で、第1弾は関越自動車道寄居パーキングに童話「星の王子さま」とコラボした施設を展開、売り上げが1.2倍になっているとの記事が掲載されていました。
和歌山県であれば、京奈和自動車道や近畿自動車道紀勢線南伸にあわせて、世界遺産高野・熊野の平安や徳川吉宗の江戸の雰囲気を醸し出した施設などが考えられると思いますが、NEXCO西日本に働きかけて、サービスエリア、パーキングエリアだけを目的に来県してもらえるぐらい特色のあるテーマパーク風のものを整備し、誘客につなげてはどうかと考えますが、どうでしょうか。
また、県内の道の駅でも同じことが考えられると思います。中辺路にある民間施設などは、平安調で、つい寄ってみたくなります。県内にも多くの道の駅がありますが、どれも画一的で、果たして魅力的と言えるでしょうか。
今後、整備するものについては、県と市町村が協力して特色を出すようにしていくなどして、観光立県としての魅力アップにつなげてはどうですか。県土整備部長にお尋ねをします。
○議長(山田正彦君) 県土整備部長尾花正啓君。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県内の高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにつきましては、これまで県も協力して西日本高速道路株式会社とともに、県内広域の観光PRやイベント開催による地元産品の販売促進、トイレの改修による快適性の向上などに取り組んできたところです。
また、道の駅につきましては、県内25カ所において市町村がそれぞれ工夫をしながら運営し、観光情報の提供や地元産品の販売を行うことにより、地域振興に重要な役割を果たしております。
県としましては、観光振興や地域活性化の観点から、議員御提案の趣旨を踏まえ、より地域の特色を生かした魅力あるSA、PAとして活用できるよう、今後も西日本高速道路株式会社に働きかけるとともに、道の駅につきましても、市町村と協力しながら地域ごとに特色ある施設整備や運営を行い、観光客の誘致にもさらに効果が上がるよう取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 次に、県内のIT環境を活用した過疎地域への企業誘致の促進について、徳島県神山町での取り組みを御紹介しつつ、当局の考えをお聞きしたいと思います。
神山町は、山間部の人口約6300人と徳島県内では最も人口の少ない町で、公共交通機関は1時間に1本のバスだけ、高齢化率は48%という過疎化の進んだ町でありますが、企業誘致をきっかけに若者が移住し始めたということで、全国から注目を集めています。
徳島県の山間部といえば、葉っぱ産業の上勝町が有名であります。80を過ぎられた高齢者の方が、パソコンやタブレット端末を見ながら相場を見ておったりする光景が印象的でありましたが、こちらのこの神山町の注目すべき点は、光ファイバーの世帯普及率が全国1位という徳島県の強みを生かし、IT企業などの呼び込みに成功したことであります。
インターネットさえつながればどこでも仕事ができるIT企業からすると、都会より回線があいている徳島県のほうが仕事をする上での環境がよく、東日本大震災以降、リスク分散を進め出した首都圏企業と地元の思惑がうまくかみ合った結果であろうと思いますが、今では東京や大阪に本社を置くITベンチャー企業とその関連企業の約20社が、古民家をリフォームした支社(サテライトオフィス)を開設、中には本社を移転させてきた事業所もあり、2011年には町として史上初の社会移動数が増加に転じ、地域に活気が戻りつつあります。
先般、岸本健議員、濱口太史議員とともに現地を訪れ、企業誘致を主導したNPO法人グリーンバレーの大南理事長やその関係者に、その取り組みについてお話を伺ってまいりました。その中で感じたのは、神山町での取り組みが成果を上げた大きな要因は、地元が一体となって受け入れモードをつくったこと、キーマンとなる仕掛け人の存在、誘致を主導したNPO法人が町の将来にとって必要な働き手や企業家を逆指名するなど、今までと違うアプローチの仕方があったことであると強く感じました。
働く人がふえれば、ビジネスチャンスもふえます。町には次々と飲食店がオープンしていて、イタリアンレストランやカフェ、国産小麦にこだわったパン専門店、先月にはフレンチの店までオープンしたそうであります。
私たちが昼食に入ったのは、この商店街再生プロジェクトの地域からは少し離れた場所でしたが、東京にあるミシュランのガイドブックの三つ星店でシェフをされていた方が地元の徳島に戻ってきて始められたお店だと伺いました。落ちつきのある店内で、食器などもこだわりが感じられ、ランチは1050円と昼食にしては決して安くはありませんでしたが、あっという間に店内は、地元の方ではないであろう御婦人方で満席になる繁盛ぶりでありました。人がふえて便利になれば、また人も企業もやってくる。まさに過疎対策のお手本になる取り組みだと感じて帰ってきた次第です。
和歌山県もブロードバンドがかなり整備をされており、インターネット回線の整備率も95%ということですので、売り込み次第ではIT企業も魅力を感じてくれるのではないでしょうか。神山町のような新たなアプローチ、地元が一体となり地域に必要な働き手や企業家を逆指名するといった思い切った視点で過疎地域への企業誘致に取り組んではどうかと思いますが、県の考え方をお尋ねいたします。
○議長(山田正彦君) 商工観光労働部長藤本陽司君。
〔藤本陽司君、登壇〕
○商工観光労働部長(藤本陽司君) 議員から御紹介のありました徳島県神山町の事例につきましては、過疎地域への企業誘致が本県にとって重要な課題であったことから、早期に現地での聞き込み調査を実施し、その結果を参考に、県内過疎地域の廃校を活用したきのくにサテライトオフィス事業を立ち上げ、これまでオフィス系企業300社以上の企業訪問を行うとともに、業界団体等を通じた誘致活動を行っております。
これまで、日高川町にCGクリエーターが、田辺市近露にデザイナーがIターンで事務所を開設した実績もありますが、議員御指摘のとおり、今後さらに過疎地域への企業誘致を進めるには、受け入れ地域での意識の盛り上がりや環境の整備が必要です。このため、今後、庁内過疎対策関係課室や地元市町村との連携を密にし協力することにより、地域の特性に応じた誘致活動を積極的に展開してまいります。
○議長(山田正彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 初め、神山町のこの取り組みを聞いたときに、地域おこしを応援する過疎対策と企業誘致のコラボだというふうに思いました。IT企業の誘致についても、答弁にありましたように、早くからきのくにサテライトオフィス事業を立ち上げて取り組んでいただいておりますが、どうも単発で終わってしまってるような気がします。
最も企業の共感を呼ぶのは、住民一体で受け入れモードをつくったことだとグリーンバレーのこのカリスマ理事長さん、おっしゃっていました。この言葉を聞いて頭をよぎったのは、私の地元でいえば、県も力を入れていただいている紀美野町にあるりら創造芸術高等専修学校を中心とする真国地区や毛原地区ならそういう可能性があるのかなあと思ったんですけれども、よくよく考えたら、残念なことに旧の美里町はいまだにADSLなんですね。
先日、和歌山県の過疎集落支援事業が全国知事会の先進政策バンクで6年連続優秀政策に選ばれたと資料提供で拝見をしました。Iターンなどの受け入れなどに積極的で、なおかつブロードバンドの環境が整っている地域は県内にもたくさんあります。ITベンチャーといえば、六本木ヒルズのような場所でオフィスを構えてというのがイメージとしてありましたが、快適なブロードバンドの環境で自然に囲まれてクリエーティブな仕事をするというのが彼らにとってある意味最先端なのかなあと、今回、神山町を訪れてみて思いました。
どうか、新たな地域活性化の戦略を持って今後とも取り組んでいってほしいと思います。要望であります。
では、5番目、青少年のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用について、まずは児童生徒の利用実態といじめの存在把握についてお尋ねをいたします。
「ほかの携帯電話よりも5年は進んだ革命的で魔法のような製品だ」、今から6年前、当時アップルのカリスマ経営者だった故スティーブ・ジョブズ氏が新商品の発表会でこのように述べ、iPhoneを世に送り出して以来、スマートフォンは世界中で瞬く間に普及しました。日本でも、スマートフォンの先駆けとして一気にシェアを拡大し、ことしの6月には、スマホの普及率は従来型の携帯電話に並んだそうであります。
スマホの普及とともに、ツイッターやフェイスブックなどのSNSが広がりを見せてきましたが、その中でも、最近ではLINEやカカオトークといった無料通話アプリが、特に若年層を中心に急速に浸透をしています。これまでも何度か青少年のインターネットにおける有害情報対策を求めてきましたが、今や高校1年生でのスマホの所有率が8割を超え、トラブルの舞台も以前の出会い系サイトからコミュニティーサイトへと移行し、さらに現在では無料通話アプリへと移行している中で、改めて当局の考えをただすものであります。
その急増しているSNSによるトラブルの最たるものとして、ことし7月に広島県で起こった少女らによる暴行死体遺棄事件や、3月に奈良県橿原市の中学生がLINE上でのいじめを苦にして自殺した事件など、衝撃を受けた人も多いと思います。
自分自身はLINEを使用していませんが、50代の知り合いでも、家族とのやりとりに気軽に使えると話すなど、コミュニケーションの手段として活用されています。
一方で、LINEは、通常のSNSと異なり、標準設定でインストールすると電話帳に登録されている全ての友人とつながるため、それがトラブルのもとになったりもしています。多くの子供たちが利用しており、社会的な経験が少ないがゆえに出会い系サイトなどのトラブルに巻き込まれたり、児童買春などの事件も後を絶ちません。
平成24年の7月1日から県青少年健全育成条例が改正をされ、携帯電話のフィルタリングの普及が図られたところですが、現状の約50%という利用率にしても低いと言わざるを得ませんし、購入後に親が子供にせがまれフィルタリングを解除してしまうというケースも多いようでありますから、実際にはもっと低いと推測されます。
県でもネットパトロールに取り組んでいますが、学校裏サイトなどのネット上の掲示板やブログとは違い、LINEなどのSNSは仲間内にしかオープンではなく、閉じたコミュニケーションのため、楽しくやりとりをするだけなら問題ありませんが、それが裏サイト化するような事態になれば、ネットパトロールも役に立たないのではないですか。SNS内でいじめが行われていても、本人が教員や家族に打ち明けない限りわからないので、中傷やいじめが潜在化しやすいと考えています。
こういった状況の中で、県としてSNSの児童生徒の利用実態やいじめの存在について把握できているでしょうか。お尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘のとおり、児童生徒がLINEなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用し、いじめにつながる書き込み等の事象がふえてきていると捉えております。
県教育委員会では、現在、ネットパトロールを実施し、いじめにつながる内容を含め、昨年度は1562件の不適切な書き込み等を確認し、市町村教育委員会や学校を通して児童生徒に情報モラル等を指導したところです。
なお、SNSの中には、仲間同士がつながって閉じられた世界でやりとりするケースもあり、ネットパトロールでは発見することが困難な状況も出てきています。このため、いじめアンケートや児童生徒との面談等、さまざまな機会を通して、こうした外からは見えにくいSNS等の利用実態の把握に努めております。
○議長(山田正彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 今、御答弁いただきましたが、こうしたSNSを通じたいじめなどの問題について、学校現場のみならず、保護者などに今後どのように対応していくのか、環境生活部長と教育長にお尋ねをいたします。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長塩崎 望君。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 青少年のインターネット有害情報対策といたしましては、青少年が安全に安心したインターネットを利用できる環境を整備するため、平成24年7月1日に施行した和歌山県青少年健全育成条例の改正条例に基づき、青少年が使用する携帯電話のフィルタリングの普及促進に努めているところです。
LINEやフェイスブックなどのSNSは国際的に広く利用され、非常に有用で利便性の高いサービスである反面、利用者側のモラルの欠如やインターネットの危険性についての理解不足などに起因して、議員御指摘のような事件が発生していると考えております。こうしたことから、県では、県内各青少年センターや警察と連携して「インターネットに潜む危険」や「有害環境と浄化対策」をテーマとする出前講座を実施し、児童生徒や保護者などの情報モラルやインターネットリテラシーの向上に努めているところです。
また、知事部局、教育、警察、各携帯電話会社、学識経験者などで構成する和歌山県青少年インターネット有害情報対策会議において課題を分析するとともに、対策の検討を行っているところです。
今後とも、関係機関との連携・協力のもと、青少年を有害情報から守るため、より有効な対策に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 情報機器が子供たちの生活に大きな影響を与える社会にあって、情報機器の危険性や家庭内でのルールづくりなどをしっかりと啓発し、不適切な書き込み等をさせない環境づくりを進めることが重要であると考えております。
そのため、県教育委員会では、ネット上のいじめ問題の実態等について、小・中・高等学校、特別支援学校の教員を対象にした研修を行うとともに、ICTの専門家が学校を訪問し、児童生徒や保護者にネット上のトラブルなどを周知する情報モラル講座を年70回程度実施しているところです。
また、こうした取り組みだけでなく、児童生徒には命の大切さや相手を思いやる心を育てることが極めて重要であることから、各学校における人権教育や道徳教育のさらなる充実を図ってまいります。
○議長(山田正彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 出前講座により取り組んでいただいてるとのことでありますけれども、県内で400校も学校があるのに、年間40回程度では限界を感じませんか。子供が小学校1年生のときに講座を受けることができればいいですけれども、高校3年生で初めて受けることになる人もいるはずです。
教育委員会の情報モラル講座もICTの専門家に頼るだけではなくて、教員一人一人が問題と向き合って、みずからの知識で常日ごろから児童生徒に危険性を教えていくことが必要と思います。
その啓発についても、今、この問題を理解されてる親御さん、両極化してきてると思います。なかなか理解されてない親御さんからすると、運よく講座を受けたとしても、なかなか1度の講座で理解するというのは難しいと思います。
そういう中で、例えばその講座の模様をYouTubeとか、そういうところに画像をアップして、子供に持って帰らすプリントにでも、予習の意味で見といてください、また当日意見を伺います、わからないところがあれば、また後日戻ってきてからでも、いつでもどこでも復習できるというぐらいのことは簡単にできると思いますので、その辺についてどうですか。お答えください。
○議長(山田正彦君) 環境生活部長。
〔塩崎 望君、登壇〕
○環境生活部長(塩崎 望君) 子供や保護者等への啓発を充実していくことは、大変重要であると認識しております。
今後とも教育と連携しながら、議員から御提案のありました動画での配信を含め、より効果的な対策に取り組んでまいります。
○議長(山田正彦君) 藤山将材君。
〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 今、観光振興についても、YouTubeを活用されて県でも取り組んでおられます。ITのことをされてるのにローテクだけやっててもなかなか浸透していかないと思いますので、ぜひともこういったことを活用して啓発の充実を図っていっていただきたいというふうに思います。
インターネットというのは大変便利でありますけれども、好事魔多し、現実の世界よりもそういうトラブルや落とし穴を見つけるのがなかなか難しいわけでありますので、子供たちを守っていくために一層の取り組みを期待して、私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田正彦君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。