平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)
平成24年12月 和歌山県議会定例会会議録
第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)
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午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第148号から議案第176号まで、並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
41番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
1つ目に、南海本線紀ノ川橋梁について久しぶりに質問をさせていただきます。
現在、通称「南海鉄橋」は109歳になりました。建造100年を迎えた年の平成15年9月の予算委員会、次いで平成16年6月、20年2月、そして6月の本会議で続けて一般質問をさせていただきました。
その中で、実は平成10年7月の南海電鉄の常務会において、当該鉄橋の全面改築の方針で詳細設計の実施と河川協議の開始を進めることを可決し、平成12年12月20日には、南海電鉄営業本部より南海の関係各社へ「耐震性に欠けた橋梁であり南海道地震の再現周期も近づいていることから」と前置きした「南海本線紀ノ川橋梁の改築計画について(報告)」という文書を送付していることを暴露させていただきました。
社内関係先並びに河川管理者等と検討・協議を行って、実施設計及び許認可申請準備等を引き続き実施し、スケジュールは、工事開始が平成17年度ごろ、新橋梁切りかえが平成22年度ごろとちゃんと明記されているのであります。
ところが、南海電鉄は、大規模複合商業施設なんばパークスを平成15年に第1期完成、第2期として平成19年4月にグランドオープンしました。悲しいかな、南海電鉄は、鉄道会社としての企業経営の一番大切な理念であるべき大阪府民、和歌山県民を初めとする乗客の命と安全を守ることよりも、商業開発に貴重な経営資源をつぎ込まれました。
2期オープン直前の平成19年1月25日には、7つの子会社を取締役会において解散することを決議しております。平成20年2月定例会本会議での私の一般質問に県当局は答えて、平成13年11月から14年3月までの間に健全度調査を株式会社BMCのもと実施し、上部工、下部工とも問題なし、そして調査結果を受けて約1億1500万円程度の延命補修工事を行った、平成16年から17年にかけては、株式会社鉄道総合技術研究所に下部工(橋脚)の耐震性能診断を任せて、東南海・南海連動型の想定地震動に対しての橋脚の安全性が確保できる結果が得られたとしています。その後も、会社内で2年ごとにこの鉄橋の定期検査をしているから安全なんだということであります。
何か釈然としない気持ちで、毎年、南海電鉄のホームページの安全報告書、そして平成21年からCSR報告書をチェックしておりました。県議会で問題提起したのが平成20年ですから、翌年からようやくホームページで南海本線紀ノ川橋梁の安全性報告を始めたわけであります。
昨年までは、ごく簡潔な記載ではありますが、「適切な鉄道構造物の保守のために」と題して、2年ごとの定期検査を実施して、その結果に基づき、さらに詳細な検査や随時適切な補修等を行うことで、安全を確保していますとありました。しかし、ことしのCSR報告書2012には、さらに小さい文字で、安全報告の中に、「鉄道構造物の災害に備えて」の題で、昨年9月の台風12号の大雨の影響で高野線紀ノ川橋梁の橋脚が洗掘され、線路に異常を来したため列車運行が停止して、対策工事をして運転再開、残りの橋脚についても補強工事を実施し、災害防止に努めると記載しただけで、とうとう南海本線紀ノ川橋梁についての記載はなくなりました。残念ながら、のど元過ぎれば熱さを忘れるの感がして、失望感を隠せないわけであります。
ことし、内閣府より南海トラフ地震の新しい想定も出ました。その巨大な地震・津波に耐えられるのか、また、ことしのCSR報告書の記載にもあったように、南海高野線紀ノ川橋梁の橋脚の洗掘によって線路異常を来した事例もあり、大型台風やゲリラ豪雨が頻発する昨今、紀の川の大増水時に耐えられるのか、大変心配でなりません。
そこで質問ですが、1つ目、平成20年6月定例会本会議一般質問以降、南海本線紀ノ川橋梁における補強・補修工事の状況はいかがでしょうか。水中での調査も引き続き行っているのでしょうか。
また、昨年9月の台風12号による南海高野線の紀ノ川橋梁の橋脚の洗掘によって線路異常が発生し、運行がしばらくの間、停止されましたが、大雨台風やゲリラ豪雨による紀の川の大増水時に備えて、南海鉄橋はこれまでどのような安全対策がとられてきたのでしょうか。企画部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
企画部長野田寛芳君。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 南海本線紀ノ川橋梁の耐用性についてでございますが、南海電鉄に確認したところ、地震対策として、平成21年3月と22年3月に上下線の落橋防止対策工事を実施するとともに、平成21年7月と23年7月には自社による構造物全般の定期検査を行っております。さらに、本年3月には、水中の調査を含めた健全度判定試験を実施した結果、耐震性に問題はなく、台風やゲリラ豪雨の大増水時を含め、安全であることが確認されております。
以上でございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 平成24年より南海電鉄のホームページのCSR報告書から南海本線紀ノ川橋梁の安全性についての報告記載がなくなったと申し上げましたが、私たち南海本線愛用者としては非常に不安であります。乗客の命を預かる鉄道会社として、当然、毎年報告すべきと考えますが、県からも南海電鉄に対して毅然と安全報告要請をいただきたいと思いますが、いかがですか。企画部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 南海電鉄が公表している本年の安全報告書には、議員御指摘のとおり、トピックスとして昨年の紀伊半島大水害で被害のありました高野線紀ノ川橋梁の対策が記載されております。
南海本線紀ノ川橋梁の安全性につきまして、議員の御提言もあり、県から南海電鉄に対しまして、従前から積極的な公表を申し入れてきたところでございます。県といたしましては、橋梁が安全であることは、利用される方々の鉄道に対する信頼を確保する上でも大変重要であると考えますので、南海電鉄に対し公表するよう強く申し入れてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 鉄橋が長寿化すればするほど、乗客、利用客の皆様の心配、懸念は増幅されるばかりなんですから、お客様の目線に立った安全報告を毎年していただくよう、南海へ南海鉄橋の安全性の公表を要請いただきたいと思います。
次に、平成20年6月定例会の本会議での一般質問以降、県として、国土交通省並びに南海電鉄との間で、南海本線紀ノ川橋梁の安全性、耐用性についての協議は続けていただいているのでしょうか。企画部長、お願いします。
○議長(山下直也君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 平成20年6月の定例県議会での議員御提言以降、南海電鉄とは紀ノ川橋梁の安全性確保に関する協議を行うとともに、近畿地方整備局和歌山河川国道事務所とも情報交換を行ってまいりました。
南海電鉄においては、毎年、対策工事や定期検査を行い、橋梁の安全性の維持を図っているところでございますが、県では今後も引き続き情報の収集、提供を行うとともに、南海電鉄に対し、万全の対策を講じていくよう働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 関連しまして、国土交通省との情報交換の中で、国交省のほうも橋梁の耐用性について懸念の意を表明することはなかったですか。国交省と南海との間での協議もなされているのでしょうか。企画部長、お答えください。
○議長(山下直也君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 国交省との協議でございますが、県では、これまでも国土交通省と紀ノ川橋梁について情報交換を行ってきております。その際、この橋梁の安全性について問題があるという話は全く聞いておりません。
それから、南海電鉄と国土交通省の協議でございますけれども、落橋防止対策工事の際に、工事の期間や工法、落橋防止効果等について協議を行ったということを聞いております。
県といたしましては、今後とも南海電鉄や国土交通省との連携を強化しながら、積極的に情報交換を行いまして、橋梁の安全性の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 南海トラフ大地震発生時の内閣府の想定した震度、津波高を考えたとき、あるいは昨年9月の豪雨台風12号襲来時の南海高野線紀ノ川橋梁のように、紀の川が大増水し、橋脚に流木や岩石が衝突したときのことを、当然、南海電鉄は今後の被害想定に加えるべきであります。
昨年の台風12号時には、紀の川下流域も増水し、南海鉄橋の橋脚すれすれまで水位は上昇していましたし、ましてや、ことしの9月10日ごろでしたか、六十谷橋近くにとんでもなく大きな流木が出現したばかりであります。こんな大木や紀南大水害時のような大岩石が南海鉄橋にぶつかってきたらどうなることでしょう。
県におかれましては、南海電鉄に対し、上記2点の懸念に対する橋梁の安全性、耐用性を十二分に再検討、調査いただくよう、県より強く要請していただいて、しかるべき回答をちょうだいしたいと思いますが、いかがですか。知事にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南海電鉄は鉄道事業者でございますから、安全に関しては必要な対策は必ず講じなきゃいけません。当然、南海トラフ巨大地震について、本県でこれから策定する正確な被害想定を受けて、必要な対策を講じることになるということでございます。
県といたしましては、南海電鉄に対して、その想定に基づき耐震性能診断を行って、もし耐震性に問題があるとすれば、補強工事等の対策を早急にしなさいというふうに求めてまいりたいと思います。
また、昨年の紀伊半島大水害のような河川の増水対策につきましては、これは南海電鉄において補強工事や定期検査が行われておって、橋梁の安全は確認されているところであるというふうに我々も理解しておりますけれども、鉄道事業者の義務はハードウエアの整備だけではございませんで、災害時等における利用者の安全を最優先に考えた万全の対策を講じるように求めてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 南海トラフ大地震の新たな想定や台風豪雨による全国的な河川の大増水被害のことを考えますと、南海電鉄は、鉄道会社として絶対に新たな防災対策、安全対策を講じていくことが不可欠であります。南海電鉄自身の会社のさらなる発展、企業イメージ向上のためにも、利用者を安心、納得させるに足る新たな安全報告はしていただかなければなりません。
県におかれましては、国土交通省と歩調を合わせて、南海に対し、南海本線紀ノ川橋梁の改築も視野に入れた橋梁の安全性、耐用性のさらに詳細な調査、検討を強く要請し、そして誠意ある回答をいただけますよう、知事、どうかよろしくお願いいたします。
以上、要望させていただきます。
2番目に、和歌山県の教育について何点か質問させていただきます。
まず、いじめ問題についてであります。
昨年10月11日の大津市の中学生男子自殺問題を受けて、文部科学省が実施したいじめの緊急調査で、ことし4月から9月に全国の小・中・高校などが認知したいじめは14万4054件で、平成23年度全体の7万231件の約2倍になったことが去る11月22日にわかりました。
認知件数は、小学校が約8万8000件、中学校が約4万3000件、高校が約1万3000件、特別支援学校が約600件となっています。内容は、冷やかしや無視、暴力、金品をたかるなどで、いじめが解消した割合は78.9%でした。この中で、都道府県教育委員会などが子供の生命や身体の安全が脅かされるおそれがある重大事案と報告したのが278件です。大津市の問題を受け、各地で意識が向上したと言えましょう。
しかし、地域差は大きいようです。最も多い鹿児島県の3万877件に対し、最も少ない佐賀県は132件でした。ちなみに、ことし4月から8月の和歌山県内のいじめ認知件数は256件──国立、私立を含むでした。1000人当たりの認知件数は2.3件で、全国の10.4件に比べて少ない結果になっています。
国立、私立を除いた県内の公立小・中・高校・特別支援学校のいじめ認知件数は、小学校60件、中学校120件、高校47件、特別支援学校9件の計236件でした。そのうち、いじめ問題が解決された件数は計194件でした。平成23年度ではいじめの認知件数が年間で97件ですから、今回の緊急調査では認知件数が大幅に増加したことになります。
そこで、質問に移りますが、1つ目、日ごろ学級においては担任は非常に多忙でありまして、いじめ問題が学級内に起こったときなど、担任をサポートする副担任の役割は非常に大切なものがあります。最低でも、2クラスに1人の副担任の配置をお願いしたいものです。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員配置も大切な要素ですが、非常勤の外部の人であります。日ごろ身近で接しているはずの児童生徒の発する小さなシグナルでも見落とすことのないよう、担任、そして副担任の使命、責任というものをもう一度見直すべきではないでしょうか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題に対応するためには、このたび作成しました「いじめ問題対応マニュアル」に基づき、担任、副担任はもとより、すべての教職員が総がかりで問題に対して迅速かつ適切に対応することが何よりも重要であり、このことが教職員の使命と責任であると自覚するよう、指導の徹底を図っているところでございます。
なお、担任、副担任の配置につきましては、標準法に基づき、学校の実情等を考慮して対応しております。
現在、国においても、いじめ問題等の教育課題の解決に向けてより適切に対応するために教職員配置の充実がなされようとしているところであり、こうした国の動向をも注視しながら、その確保に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次に、いじめる側の子供への毅然とした指導もさることながら、いじめられるタイプの子供の孤立する要因を突きとめてフォローする姿勢と実践が問われると思います。いじめる側の子供への指導が目につき過ぎると、いじめられている子が余計孤立感を味わうことも往々にしてあります。
集団によるいじめが最近特に多いと聞きます。同じグループ内にいていじめられるのですが、グループを抜けられない子もいます。弁当を食べている時間、クラブ活動時、そして登下校時と、いろんな人間関係や友達関係が見えてきます。個々の子供への対応だけでなく、グループ内を観察した上での問題点の洗い出しも必要ではないでしょうか。教育長、お願いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめというのは、1対1の関係で起こることもあれば、集団の中で起こることもあることを踏まえ、「いじめ問題対応マニュアル」にも示しておりますように、関係する児童生徒の人間関係を丁寧に分析し、1人1人の内面に寄り添いながら解決に向けて取り組むことが大切です。
その際、個々の子供の何げのないふだんの態度や言葉遣いの変化等に十分留意しながら温かい指導に心がけるだけでなく、クラスや登下校、クラブ活動等、さまざまな集団の中での子供同士の交流について、本当にうまくいってるのか、問題が起きていないのかなど、子供の様子をしっかりととらえた指導も同時に行い、より望ましい人間関係を築かせていくことが重要だと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 やはり先生方も、機会を見つけては、みずから体を張っていじめグループの中へ飛び込んでいかないと、その中の人間関係、個々の子供の集団の中での行動、立ち位置は見えてこないと思います。
次に、いじめる子供にも、いじめ行動を起こす原因はあります。その子の家庭におけるストレスも大きな原因ではないでしょうか。家庭環境の把握のためにも、教師による地道な家庭訪問が必要ではないでしょうか。教育長、いかがでしょうか。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題の未然防止や早期発見、早期対応につきましても、先ほど申し上げました「いじめ問題対応マニュアル」に示したとおり、保護者との連携を密にすることが極めて重要です。
そのためには、日ごろから担任等が積極的に家庭訪問を行い、子供の家庭での様子を十分に把握するとともに、日常的に保護者と教師が心を開いて話し合うことができる信頼関係をつくることが不可欠であると考えてございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 9月議会本会議の前芝議員の質問に知事が答弁されていましたように、いじめに苦しんでいる子供や保護者からの問い合わせを、直接知事や教育長がメールで受け取り、相談していただけるということでしたが、その後、メールは届きましたか。そのメールを受けて、知事は、いじめについてどのような見解をお持ちであり、今後の改善策についてどうお考えでしょうか。
○議長(山下直也君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県内でいじめに苦しんでいる子供さんや、あるいは保護者の方がいたとすれば、できるだけ多くの人にそれを訴えてもらったほうがいいだろうということで、私のところへもどんどん言ってくださいということで、知事メールでいじめに関する問い合わせを受け付けることにしました。それでPRをしました。
物すごく来るだろうと実は思っておりましたが、これがいじめの実態を反映してるかどうかわかりませんけれども、事実を申し上げますと、明らかにいじめで、現在いじめがあるなというように私たちが判断できるようなものが3件ありました。それで、過去にいじめを受けていた話とか、あるいはいじめじゃなくて、先生との関係でどうもぐあいが悪いとか、あるいは悪かったとか、そういうような話とか、要するにちょっと似たような話、全部まとめて全体として19件の提言が寄せられております。
いじめは、被害者のみならず加害者にとっても将来に重要な影響を与える子供の問題でございますから、そういう大変な問題です。場合によっては、人の命にもかかわることもあります。
ただ、自殺とか犯罪とかにつながるかどうかということを超えて、そもそもいじめというのはあってはならないことだと思っております。そして、決して放置することを許されるものではない。また、外聞を恐れて、組織でなかったことにしようとか、ないと思おうとか、あるいはかばい合いをするようなことがあっては絶対いかんというふうに思っております。
メール等をいただいたこの案件については、県の教育委員会からも調べてもらうように指示しております。それは、小中学校の場合、基本的には市町村の教育委員会のお仕事になるわけですが、やれよと言うだけじゃなくて、自分でもちゃんと中に入って調べてくれというようなことを言っております。
また、そんなことはあってはならないし、ないと信じておりますけども、よく世の中で言われること、あるいは多分親御さんなんかが恐れている、あるいは疑っていることは、教職員という身分の人が仲間内で事なかれとかかばい合いをして、実は隠しとんじゃないかと、あるいはちゃんとやってくれないんじゃないかと、こういうような懸念が寄せられますので、別に教育委員会を信じてないわけではありませんが、知事部局からも職員に命じて、直接情報の収集に当たって、それによって、先生も含めて学校関係者がいじめの実態を見過ごしたり隠ぺいしていないかなどをチェックしております。こういうことをやることによって、つまり総力を挙げてこのいじめ問題の解決を図ろうとしております。
また、やっぱり難しい問題ですから、先生1人1人──あるいはさっき担任とか副担任の話がありましたが──だけに任せるんじゃなくて、いろんなノウハウの蓄積はどんどん教え、それから学校ぐるみ、教育委員会ぐるみ、そして県の教育委員会ぐるみ、県ぐるみでみんなでいじめをなくしていこうというふうに考えているところでございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 同じく教育長に、メールで寄せられた意見に対する見解と対応をお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 教育長ポスト開設以来、これまで27件の提言があり、そのうちいじめに関する事案は4件ございました。その4件につきましては、高校1、特別支援1、それから無記名が1、小学校1ということになっております。
こうした県民から寄せられたいじめ事案に対しましては、市町村教育委員会や学校から直ちに事実確認を行い、相談者や子供の気持ちに寄り添いながら、できるだけ丁寧に面談を行うなど、解決に向けた対応を行ってきたところでございます。
いじめは、手だてがおくれればおくれるほど深刻の度合いを増していくだけに、早期発見、早期対応が何よりも重要です。教育委員会といたしましては、教育長ポストに届けられる県民の声をしっかりと受けとめ、いじめで悩んだり苦しんでいる子供を一日も早く救うために、誠心誠意、全力で取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次に、学校、そして学級、クラスという狭いスペース、人間関係だけでなく、地域の人やPTAができる限り文化活動やスポーツ活動で子供たちにかかわれるような形で大人の目に触れる機会をふやしていく取り組みを推進すべきだと思いますが、教育長、いかがですか。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) いじめ問題の早期解決や未然防止の取り組みを進めるためには、議員御指摘のように、学校、家庭、地域の連携が不可欠と考えます。
現在、全県的に地域共育コミュニティづくりを進めておりまして、地域の方々に学校のさまざまな活動に参加していただいたり、子供たちが地域の行事等に参加したりするなど、お互いの顔が見える関係づくりが広がってきております。
今後とも、こうした取り組みやPTA活動をも生かしながら、多くの大人が子供と直接触れ合える機会を大切にしつつ、子供たちの社会性をはぐくみ、望ましい人間関係を築いていけるよう努力してまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 学校側の事実を覆い隠す体質、大津市の中学生男子自殺事件は言うに及ばず、川西市の県立高校2年の男子生徒の自殺の際でも、自殺後に両親に対して「不慮の事故にしてほしい」と打診に行ったりといった体面ばかりを繕う体質、こんな体質がいじめによる自殺という悲劇を生み出す温床になっていると思います。
学校における管理者としてのあり方を教育長はどうお考えですか。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 子供の安全・安心を最優先すべき学校がいじめの実態を見過ごし、ましてや認知したいじめを隠ぺいしようとすることは、教職につく者として絶対にこれは許されないことであると考えております。
いじめを認知した際には、いやしくも子供の命を預かる学校の最高責任者である校長は、ちゅうちょすることなく誠実に事実と向き合い、問題の全容を把握するとともに、教職員をまとめ、先頭に立って、各関係機関とも連携して全力で解決に取り組むことが重要です。すべての学校長がこのことをしっかりと自覚し、責任を持って行動できるよう、指導を徹底してまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 学校管理者がみずから毅然とリーダーシップを発揮して体を張れる学校は、教師のやる気をおのずと起こさせると思いますし、PTA等保護者としても意気に感じて、我が子のためと学校行事に協力的になるものであります。特に、いじめにかかわることは、もともと陰湿な問題ですから、教育委員会におかれましては、学校全体が前向きになれるよう、学校管理者のモチベーションをさらに高めていただきたいと思います。
続いて、担任、副担任、学年主任、そして校長、教頭が、いじめる側もいじめられる側も分け隔てなくきっちりと向き合って対話することが何よりも大切だと思います。毎年、あれだけの難関である教員採用試験を突破してきた人格者たる優秀な先生が多いのですから、もっと自信を持って生徒に向き合うというか、ぶつかっていっていただきたいと思います。
これは、もちろん、親にも家庭にも言えることであります。いじめ問題は、家庭教育を抜きに考えることはできません。アメリカでは、50州中49州でいじめ対策法が制定されて成果を上げていると言います。それは、家庭や地域がいじめ防止に責任を負っているという意識改革が徹底されているからでしょう。我が国においても、親の意識改革にもっと目を向けたいじめ防止対策の基本法や条例の制定を急ぐ必要があるのではないでしょうか。これは要望であります。
2番目に、中学校の武道必修化についてであります。
中学校では、昨年まで武道かダンスのどちらかを選択することになっていましたが、平成24年度からは中学1~2年で男女とも武道が必修となりました。心身を鍛え、社会で生きていくためのルールや礼儀を身につけ、いい意味の緊張感、そして集中力を養成する意味でも、武道の必修化は大いに歓迎すべきものであります。
ちなみに、平成26年からは、少林寺拳法も、おかげさまで全国高校総体、すなわちインターハイの正式種目になり、中学校の武道に取り入れられている学校もあるということであります。
そこで質問ですが、各学校で選択される武道種目には、地域性も加味されていると聞きますが、本県における武道種目はどのようなものがあり、どのような割合になっていますか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の中学校では、今年度の武道必修化に伴い、柔道、剣道、相撲、空手道、なぎなた、少林寺拳法及び合気道といった種々な種目を男女ともに体育で学習しております。
そのうち、柔道と剣道の2種目で約85%となりますが、紀の国わかやま国体のなぎなた会場となる九度山町ではなぎなたを取り入れるなど、地域の指導者等と連携を図りながら、各学校において特色のある武道の授業が行われております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 武道の指導者には、わざだけでなく、精神面の指導も伴う質の高さが求められます。本県でも、指導者の質や安全面の確保について、どのような配慮がなされていますか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県教育委員会では、武道の特性や成り立ちを考慮して、子供たちが単にわざを習得するだけでなく、相手を尊重する態度や克己心、礼儀などを養えるような教育を目指しております。そのため、指導者養成講習会及び指導力向上講習会を開催し、指導者の質を向上させることにより、より一層の授業の充実を図るとともに、安全管理講習会を開催し、武道が安全に実施されるよう努めております。
今後も、武道の授業が地域や学校の実態に応じてより安全かつ効果的に実施されるよう、さまざまな取り組みを充実させていきたいと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 指導者の先生の質の高い指導が、心身の健康とともに紀の国わかやま国体に向けた競技力の向上に何よりもつながると思います。また、けがを防止するには、やはり基礎体力づくりが必要です。特に、武道の授業の際には、地味で若干の苦痛を伴うこともありますが、基礎体力運動にも時間を割いていただきたいと思います。
この武道必修化の機会をとらまえて、本県においてますますの武道振興に取り組んでいただきますようお願いいたします。
続いて、公立中高一貫教育についてであります。
文部科学省が中高一貫教育制度を打ち出して制度をスタートさせたのが平成11年。子供たちや保護者などの選択の幅を広げ、学校制度の複線化構造を進める観点から、中学校と高等学校の6年間を接続し、6年間の学校生活の中で計画的、継続的な教育課程を展開することにより、生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的として中高一貫教育制度が導入されたと聞きます。
公立中高一貫校では、経済的負担も比較的少なく、高校・後期課程進学時に高校受験が不要または簡単な試験で済むため、6年間のうち大部分を試験勉強に追われずに過ごせるという点が人気の一因であることは紛れもない事実であります。
和歌山県においては、平成16年に向陽中学校が開校し、それ以来、計5校が開校されました。
そこで質問ですが、県立中高一貫校をつくってみて、どのような成果が見られましたか。教育長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県内の中高一貫校では、6年間を通した特色ある教育を展開する中で、明確な進路希望を持ち、何事にも意欲的に取り組み、最後までよく努力する生徒が育ってきております。また、こうした生徒がすぐれたプレゼンテーション能力や積極性を発揮し、高校から入学する生徒へのよき刺激となって、学校全体にも活気をもたらしていると認識しております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 中高一貫の中学校がクラブ、サークル活動等で地域の市町村立中学校とも良好な友好関係を持ちつつ、互いに影響を与え合えるような工夫も考慮していただけたらと思います。
次に、以前、公立中高一貫校の和歌山県導入の際、私も本会議一般質問でも述べさせていただいたことがありますが、中高一貫6年間で高校進学のための試験がないので、例えば、中学校では勉学にしろスポーツにしろ中途半端だったから、高校では気分一新、やり抜こうといった3年間の気分の切りかえ機会がなくて、生徒が中だるみ状態になっていることはないでしょうか。中だるみしないようにどのような対策をとっておられますか。中だるみ防止策として、学力検査の導入を今後行うつもりはあるのでしょうか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 中だるみを防止するために、ふだんから生徒が絶えず高い目標を目指して、達成感を感じながら学習できる、6年間を見通した特色ある教育を展開しております。
特に3年生には、段階的に実力テストを実施し、高校に進学する力が十分ついているかどうかをしっかりと意識させるとともに、高校へ進む前の説明会で、高校生活の可能性と厳しさを認識させたり、高校のクラブに参加させたりするなど、意識も新たに高校に行って頑張ろうという意欲を喚起する取り組みを行っているところでございます。
議員御提案の学力検査につきましては、法令上、実施することはできませんが、生徒の学習意欲を高め、学力の向上を図るさまざまな取り組みをさらに充実させてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 思春期の6年間のこの連続した期間というのは、難しい時期でもあります。子供たちの集中力と気分転換をうまく組み合わせた指導を望みたいと思います。
続いて、今後、高校から入学してきた生徒たちと中学校から進学してきた生徒たちとクラスを同じくするつもりはあるのでしょうか。また、県立中学校から進級してきた生徒と高校から入学してきた生徒との学力差についてはいかがでしょうか。教育長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 県立中学校のクラス編制につきましては、6年間一貫した計画的、継続的な学習を展開するために固定するべきだという考えや、より多様な生徒と切磋琢磨できるよう混合クラスにするべきだという考えなどがございます。今後、さまざまな御意見を伺いながら検討してまいりたいと思っております。
また、議員御指摘の学力差につきましては、高校入学時には、中学から進学した生徒のほうが高校入試を経て入学してきた生徒より学力の幅が大きいものの、中学から進学した生徒と高校から入学した生徒は、高校3年間でお互いによい刺激を与え合い、支え合い、励まし合いながら、それぞれの進路の実現に向けて学力を高めてきております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 中学から進学した生徒と高校から入学してきた生徒が、まさに相乗効果が出るよう、お互いを高め合えるよう、交流の場づくりにも配慮いただきたいと思います。
続いて、今後、中高一貫教育校新設の予定はあるのでしょうか。教育長、お答えください。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 平成16年度に併設型中高一貫教育を導入して以来、来年の入学者選抜で10回目を迎えることとなりました。この間、一定の志望倍率があり、県立中学に対してのニーズを示すものと考えております。
平成21年以降、教育委員会で、県立中学校の成果や課題、また設置後の地域の状況等について多方面から御意見を伺いながら総合的に検討、検証を重ねるとともに、有識者等から成る第9期きのくに教育協議会において、今後の県立中学校のあり方について協議いただき、昨年、地元公立中学校に与える影響などについての報告をいただいております。
今後の県立中学校の設置につきましては、これらを踏まえまして、地域の実情等を総合的に勘案し、県立中学校のあり方や設置についての方向性を示してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 次、4点目に脱ゆとり教育についてであります。
新学習指導要領は、小学校が平成23年4月から、中学校は平成24年4月から実施され、そして高等学校が平成25年入学から実施されます。
改訂の基本的な考え方は、ゆとりか詰め込みかではなく、基礎的、基本的な知識、技能の習得と、思考力、判断力、表現力等の育成との両方が必要として、それぞれの力をバランスよく伸ばしていくために教科等の授業時数を増加し、教育内容を改善するということであります。はっきり言って、ゆとり教育からの脱却であります。
詰め込みを排し、学習の時間と内容を減らして、いわゆる考える力をはぐくむ云々、これがゆとり教育の本旨でした。世界の15歳を対象にした国際学力調査・PISAにおいて、読解力の国際順位が、平成12年の8位から18年に15位にまで凋落し、教育界に危機感が広がったのがきっかけです。実際、諸外国、特に昨今のアジアの国々の教育力の向上ぶりを甘く見過ぎていた嫌いもあるでしょう。
新しい高校教科書の件でありますが、2013年から使われる高校教科書は、ことし3月に検定結果が出ています。脱ゆとり路線の新学習指導要領に沿って、主要10教科の平均ページ数は現行版より12%ふえました。特に、数学が27%、理科が17%、そして英語は25%も急増しました。というか、いかにゆとり教育とかで内容を簡素化し過ぎていた感が否めません。
英語では、3年間で教える英単語が現在より500語もふえて、ゆとりのときから一気に約30年前の水準に戻ります。授業は英語で行うのが基本ということで、日本語のほとんどない教科書も登場しました。
一方、学力格差にも配慮して、アルファベットの書き方の復習や片仮名で発音表記した教科書もあります。理数系も二極分化が進んでおり、指導要領を超えるレベルの発展的記述もあれば、理科が苦手な生徒向けに登場する新科目、「科学と人間生活」にも、理科離れをさせないよう、理科を身近に感じさせる工夫を凝らしています。数学では、基礎的な教科書では、わかりやすいようにイラストや図がふえているとのことです。やればできるという自信をつけさせることが大切だと思います。
そこで質問ですが、高校において新しい教科書の内容がかなりふえた中、教え方の工夫等について、教員の来年4月に向けた準備状況はいかがでしょうか。教育長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 新学習指導要領に基づく新しい高校教科書につきましては、教科によって異なりますが、新たな学習内容が加わったり、必要に応じて取捨選択できる発展的な内容が盛り込まれたりした分、教科書の分量がふえております。
各学校では、議員御指摘のように、生徒の実態を踏まえながら、しっかりとした力がつけられる教科書を選定するとともに、ワークシートやさまざまな補助教材を補いながら効果の上がる適切な指導が行えるよう、現在、準備や工夫を行っているところでございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 新しい高校教科書には、勤勉・勤労な日本を復活させる1つの大きな役割があるものと期待しております。
次に、前述のように高校教科書も難易二極化しつつありますが、同じ学校内でも今後学力格差が大きくなる可能性があります。その点についての対応を教育長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 各高等学校では、議員御指摘の課題に対応するため、生徒の実態に応じて、始業前や放課後、あるいは長期休業中にも、学力の状況に応じて補習を行ったり個別に課題を与えたりして学習内容の定着を図っているところでございます。また、義務教育段階の学習が十分でない生徒に対しましては、必要に応じて、いわゆる学び直しの時間を設定し、きめ細かな指導にも努めております。
高等学校に入学してきたどの生徒にもわかる授業、力がつく授業を行い、しっかりとした学力をつけさせることは私どもの責務であり、今後とも機会あるごとに学校を指導してまいりたいと思っております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 学力的に低位にある生徒に、あきらめない、やる気を起こさせる工夫と根気を教育側にも求めたいと思います。
次に、国際教育到達度評価学会・IEAは、去る12月11日、小学4年と中学2年生を対象に63カ国・地域の小中学生約50万人が参加して昨春実施した国際数学・理科教育動向調査・TIMSSの結果を公表しました。
日本は、4年前の前回調査に比べ、中2の数学5位、理科4位は横ばいでしたが、小4の算数5位と理科4位で平均点が10点以上上昇したほか、習熟度の高い児童の割合も増加しました。一方、学力調査とともに行われた意識調査では、学習意欲は前回に比べ小中とも上昇しているとはいえ、中学生になると低下して、中2の場合、数学、理科ともに国際平均より20ポイント以上低いなど、国際的に低水準になる傾向は続いていて、理数離れは改善されていない気もします。
私は、今はまだ新学習指導要領への過渡期段階であって、先行実施されている小中学校の部分の成果であると即断することには慎重論を唱えたいと思います。ゆとり教育の後遺症はまだまだ大きいと思いますし、数学、理科は、特に中学生以降、授業も難しくなってきますので、理数に対する学習意欲の向上についてさらなる創意工夫を施す必要があると思いますが、このTIMSSの調査結果についての教育長の所感と今後の小中の理数教育についての教育長の御見解をお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今回公表された国際数学・理科教育動向調査では、日本の小中学生の算数・数学、理科の学力は高い水準を維持してきており、特に小学生の学力が向上したとの結果が出ております。こうした状況を見る限り、我が国の理数教育は、基本的には適切に行われてきたのではないかと受けとめております。
しかしながら、中学生の数学、理科に関する学習意欲などの意識面では、前回調査に続き国際平均よりも低い状況にあり、学習の動機づけなどの課題を感じているところでございます。
これからの科学技術立国を担う人材を育成するためには、理数教育の一層の充実が重要であると考えております。各小中学校においては、観察や実験を取り入れた実体験を重視した学習を積み上げるとともに、県内で行われているロボットコンテストや発明コンクールなどのさまざまな機会を活用しながら、科学技術に対する興味、関心や探究心を持った子供の育成に向け、理数教育の充実に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 折しも、山中伸弥京都大学教授が万能細胞・iPS細胞研究でノーベル医学・生理学賞を受賞されたことで、子供たちに夢と希望を与えてくれる大きな話題を提供してくれたと思います。日本の、そして和歌山県の将来を担う科学技術研究分野の人材育成のためにも、本県でも小中のころからの理数教育にさらなる御尽力をお願いいたします。これは要望です。
これで、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。