平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。
 一般質問をさしていただきますが、昨日、和歌山県出身、星林高校出身の小久保選手が2000本安打を達成いたしました。きのうの夜は、実は前から計画していた懇親会がありまして、そこに小久保選手のお母さんも一緒に参加していただきまして、会場は本当に祝福の声、それから小久保選手のお母さんの携帯にはたくさんの祝福のメッセージが入り、本当にいい雰囲気で、うれしさ、幸せを共有さしていただける、そういう会になりまして、こういう小さな元気というか──大きな元気ですね──こういうものが和歌山県に広がればいいなと思いましたので、感想として述べさしていただきます。
 では、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、コスモパーク加太活用についての質問でございます。
 和歌山県土地開発公社が所有するコスモパーク加太2.8ヘクタール、この斜面にメガソーラーの建設が始まっております。斜面に設置する工法は非常に珍しく、今まで利用できなかった用地が活用されることは歓迎すべきことだと思います。また、和歌山市が所有するコスモパーク加太用地にも、再生エネルギー事業者からの問い合わせ、現地視察が頻繁に訪れているようです。
 この和歌山市の用地に隣接する県、市、それぞれの土地開発公社が共有する土地については、森林公園周辺に市の単独用地として集約し、ここを森林公園、スポーツ施設、企業用地、こういった総合的な活用を図るため、現在、市と県は協議を行っている段階にあると聞いております。市は、順調に進んだとしても平成25年秋以降になると、計画の見通しを述べているところであります。
 ただ、再生可能エネルギー事業については、御存じのように、固定買い取り制度の初年度、つまり平成24年中に何らかの契約や設備工事を行っておく必要があることから、例えば次年度の計画にずれ込んでしまうということになりますと買い取り単価が減額されるかもしれないと、こういう見込みがありますから、事業者の計画もそれに伴って縮小される、そういうことにもなろうかなというふうに思ってます。
 事実、数社の再生可能エネルギー事業者と話をさしていただきますと、ほかの府県、市と比較して、検討の速度の遅さ、こういったことについて指摘を受けることがあります。県、市がより有利な条件で売買または賃貸借をするためには、原則、本年度中の契約が必要となります。土地の活用に関しての結論が来年の秋以降になれば、進出してくれるにしても、現在と同じようなよい条件が提示されるとは思えない状況がここにあります。
 和歌山市土地開発公社所有のコスモパーク加太の活用を図るに当たって、和歌山県と和歌山市の土地開発公社が共有している用地の活用を検討しているということから、県の協力がぜひとも必要だというふうに思います。
 県としても、県土地開発公社の設立者としてその運営指導を行う必要があり、また調停に代わる決定──これ、以前の決定ですが──これに基づきまして、コスモパーク加太内の県土地開発公社所有地を平成36年1月まで賃貸し、土地の付加価値を高めるため、企業誘致などの利活用を進めるということになっていることから、コスモパーク加太用地の活用を検討している和歌山市からの協力要請についても、ぜひとも前向きに考えてほしいなというふうに思います。
 そこで、知事に質問をさしていただきます。
 県もこの協議の中に入っていると思いますが、和歌山市からの協力要請に関してどう考えているのでしょうか。質問とさしていただきます。
○議長(山下直也君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のように、コスモパークという膨大な地域には所有関係が入り組んでるところがありまして、県の公社と市の公社が共有をしているというところもあります。
 ことしの初めか昨年の終わりか定かではありませんが、市のほうから、この共有地を解消する、それで、県の土地と、それから市の土地を交換したいというようなお話がありました。理由は、共有地では売れないということでありました。
 私どもの担当のほうからは、市のほうは条件のいいところを市がとって残りを県に押しつけておるというような話がありまして、不愉快だというようなことを私に上げてきましたのでありますが、私は、その理由がそもそもとんでもないと。共有ではなぜ利用ができないのか、その意見が一致すれば、共有財産を売ったり、あるいは人に貸したりする例はこの世界では幾らでもある、別に県はクレーマーでも何でもないんだから、ここを利用したいというんならばどんどんすればいいんで、なぜ共有では利用できないのかというような話をしておきました。
 そしたら、たまたまお正月にある業界における懇親会がございまして、私もいるところの前で、民間会社の方が市長さんに「コスモパークの土地を利用さしてください」というふうにおっしゃいました。そしたら市長さんが、「実は県が共有を解消してくれないんで売れないんです」とおっしゃったわけであります。私はむっとしまして、それで「なぜそうなんですか。今のような共有地だって幾らでも利用できるではありませんか。そもそも資本主義と民法に対しての挑戦ですね」というようなことを言っておきましたが、反論はありませんでした。
 しかし、何かおかしいといって、後でもう一回聞いてみました。そしたら、後で、多分真実を言ったんだろうと思いますが、市の担当の方から県の担当にあった話によれば、実は今、市の公社の財務整理、すなわち市の公社を解体して市に集約するという話が進んでおる、どうも共有があるとこれがやりにくいというような話らしいということがようやくわかりました。それならば、別に県は協力してさしあげたらいいんじゃないかと言って、そういうふうに下にも指令を出して、かつ市長さんにも、ちょっと言い争いをいたしましたんで、後で「そういうことだったらいいですよ」という話をしておきました。
 今回、再生可能エネルギー事業者からの問い合わせに対し、和歌山市は、今すぐできない、なぜなら共有地の集約化をして総合的な利活用計画をつくる必要があり、それは順調に進んでも平成25年秋以降になると思われる等と回答したと議員が御指摘になりました。
 私は、それを聞いて「またか」というふうに思いました。売ろう、貸そうと思えば、いつでも売れます。県は、共有があったとしてもいつでも協力をいたします。もちろんその中身いかんによりますから、条件が合わなければだめなんですが、別にそんな利活用計画なんかなくても、それから公社の再編でも、不動産を現金にかえて持っておけば別に整理ができないわけではありません。
 このように、再生可能エネルギーの事業化と共有地の集約化は全く別の問題でありまして、和歌山市が単独または共有で所有する部分については、当然、今すぐにでも和歌山市がどのように活用するか主体的に判断すべき問題であるというふうに思いまして、先ほどの議員に対する和歌山市の説明、あるいは業者に対する説明は大変理解に苦しむところであります。
 多分、市にも本当の考えがあるんじゃないか。これは私の推測でございます。例えば、条件が合わないので嫌だとか、あるいはソーラーは雇用につながらないから、どちらかというと別のにしたいとか、それはもうごもっともであります。有力者に言われたからといって、正しくない別の理由を述べてごまかそうとしたり、あるいは人のせいにしようとするのはいけませんし、自分の責任逃れのためにそういうことを上に上げるのはもっといけませんし、それを妄信するのもよろしくありません。
 このコスモパーク加太を有効に利用することは地域の発展につながる大変重要なことでありまして、共有地の集約化については、今申し上げましたように、市の事情を勘案して既に協議を進めているところでありますが、そのスピードとは関係なく、今後も有効な活用策は考えればいいし、県としても協力してまいりたい、こう考えております。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 このコスモパーク加太の問題については、今の知事の答弁、かなり踏み込んでいただきまして、全く同じような回答を私も実はいただいておりまして、どうでしょう、混乱するというか、少しごちゃごちゃになったのが、今回一般質問するということでかなり解決というか、ほぐされた状態になってるのは事実です。
 最初につくっていた質問の中では、ちょっと生々しいいろいろの、交換の話であるとか債務保証をどうやってとるのかという話もあったんですが、この辺、少し解明できましたので、うまくこの後、協議が進んで、計画は計画で進め、片や今ある課題に関しては早急に進めるような形で協議に応じていただけたらありがたいかなというふうに思います。
 そして、今は市の場合だったんですが、県の所有する用地に関して、平成22年度、13社からの問い合わせ、訪問、現地視察があったというふうに聞いております。平成23年度の企業誘致の状況はどうなっているのでしょうか。また、現時点での企業誘致の見込み、こういったものは立っているのかどうかというのをお伺いしたいと思います。
 一般的に考えますと、円高、燃料費高、国内の消費低迷、こういったことから、基幹産業というか、大手企業が国内で新規立地するという可能性は非常に低いというふうに思うわけなんですが、コスモパーク加太への企業立地の期待の程度についていかがなものか、企画部長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(山下直也君) 企画部長野田寛芳君。
  〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 企業誘致の状況についてでございますが、コスモパーク加太への企業誘致につきましては、雇用の創出など経済波及効果が期待でき、地域と共生し、地域の活性化につながる企業を誘致すべく、商工観光労働部と連携しながら誘致活動を行っているところでございます。
 企業につきましては、大規模用地が確保できること、高台に位置し、地盤が強固で自然災害に強い用地であること、そして自然豊かな用地であること等をPRしております。
 昨年度は、太陽光発電用地や高台移転先としての需要もあり、問い合わせ件数は前年度の約3倍、38件とふえております。本年度も引き続き企業用地としての問い合わせがありますので、進出につながるよう一層働きかけを強めてまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この用地の難しさというのはほかにもあるんで、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 続いて、和歌山県の経済の現状、見通し、それから消費税の影響というものについて質問をさしていただきたいと思います。
 もう既に御存じのように、政府は、平成26年4月から消費税を8%、平成27年10月から10%に引き上げる消費増税法案、これを閣議決定しております。我が国の財政状況、そして少子高齢化に対応した税制と社会保障の仕組みの構築を行うための重要課題ですが、和歌山県にとっては、県民生活への影響、それから中小事業者が多いという特徴があり、消費増税の影響が出てくることも懸念されます。
 例えば、所得が伸びないのに支出がふえること、大手の動向次第ですが、地元小売店は消費税増税分を価格に転嫁しにくいこと、こういった問題が起きようとしておりますし、不安がっている、こういう状況があります。
 前回の増税のとき、すなわち平成9年のときですが、このときは税収がふえていないという実績もありますし、外的要因もかなりあったわけですが、また、消費に与える影響は小さいものとは考えにくく、消費税率引き上げは、統計上では緩やかな回復基調にある我が国経済を再び失速させる可能性もあるような気がします。
 結局、導入の時期が問題だというふうに思ってます。経済が活性化し過ぎたときに冷やすための増税であれば問題は少ないと思いますから、経済成長を図ってから増税する、これが好ましい姿だと思います。好景気で税収がふえ、その時点で税率を上げるとさらに税収がふえて財政再建も進む、こういう循環になろうかと思います。
 ただ、現在、6月14日、欧州債券市場でEUからの支援が決まったスペインの国債が売られて価格が急落しております。価格が急落ということは利回りが上昇しているということなんですが、この債券の危険水域を示す7%ルールというものがありますが、ついにスペインの10年物の国債の利回りは、1999年のユーロ導入以来、初めて7%台になっております。
 この7%の水準、すなわち市場での継続的な資金調達が困難になる、こういう状況にスペインが陥ったことで、欧州債務危機はさらに深まる危険性があるというふうな形で、世界経済は依然として先行き不透明な姿です。2年先には、もちろん各国、自国の支援によって収束させているとは思いますが、こういう欧州危機の中で消費税導入時期が決定されていると、こういう状況があります。
 また、財政再建に関しても、これはもう見方がさまざまなんで、正解というのはなかなか見つけにくいところがありますが、日本の借金と言われる金額ですが、約1000兆円、これはもうだれでも知っているわけであります。それだけで財政破綻を引き起こすかもしれないという不安に駆られていますし、GDP500兆円に対して1000兆円の借金が増税を裏づける数的な根拠の1つになっていることも事実であります。
 ところが、日本は保有資産も非常に多いことで知られております。平成22年3月末時点の政府のバランスシートによりますと、負債は確かに1000兆円となっておりますが、資産が650兆円あります。つまり、国の借金は差額で見ると350兆円、そして資産650兆円のうち400兆円が金融資産ということになっております。見かけよりも少し圧縮できているのかなという気がします。
 このことについて、先月、上京した際に留学生の方たちと財政についての話を交わしたときに、日本人は余りマクロ的な視点で物事をとらえてない一面があるんじゃないのかなと、こういう話がありました。つまり、経済は、経済全般に目を配って考えること、マクロ的な視点が必要で、その見方ができなければ一部の事象を取り上げて経済全体に影響があると勘違いしてしまうという話もあったわけであります。
 ここ数カ月、消費税増税に関して皆さんと意見交換、議会報告さしてもらった中の代表的な意見を幾つか紹介さしていただきますと、まず会社員の方からは、「所得がふえていない状況、しかも将来的にも給料はそうそう上がるような見通しが立たない中で支出が増加する。これはちょっとつらいな」、こういう意見があります。サービス業の方、「高齢者のお客さんが多いので、その方たちの生活のことを考えると、たとえ10%になっても価格に乗せる、これはできないので、私のところはしません」、こういう経営者の方もいらっしゃいました。会社経営者の方、「増税の理由は理解しているけれども、本音で言うと商売がきつくなりますね」、これは和歌山の地元の商売をしている方、こういう意見が出されております。
 所得、給与が下がる一方で、ますますお金を使わなくなっている。所得が上がらない経済が成長することはなく、人々は耐久生活に入ります。このように消費を減らし貯蓄をふやす循環が続く限り、今のデフレからの脱却は不可能ですし、このように所得が上がらない、消費税額を小売価格に反映させられないのでは、生活や商売はますます厳しくなるように思います。
 そこで、知事に質問であります。
 和歌山県は、公共事業による請負契約金額、これ、6カ月連続で増加、消費においては、既存店では5カ月連続で前年を下回っている、こういうふうな状況があります。公共事業はふえてるけど消費は戻っていない、こういう状況です。ただ、新車登録台数、これは7カ月連続で対前年比を上回っているというふうに、いい条件もあります。
 これは、台風12号による公共事業、エコカー減税による新車登録台数の増加が要因だと思いますが、このように、公共投資や補助金があれば経済指標は上向くわけであります。ただし、個人消費が低迷しているのは所得の伸び悩みなどが原因だと思われます。政府や県から何らかの措置があれば県内経済も幾分上向きますが、市場に任せていれば和歌山県経済は厳しい、こういうことかなというふうに思います。
 これ以降の和歌山県経済の現状と見通し、また、消費増税に対する先行きに不安を感じている中小事業者、サービス事業者に対する支援策などの考えがありますでしょうか。知事からお考えを聞かせていただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 我が国の経済は依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として緩やかに回復しつつあるというのが月例経済報告等の政府などの見解であります。
 本県はどうかというと、本県の経済状況は、御指摘のように、実は公共事業が随分出てますから、ことしに入り、台風被害の復興工事が本格化してきた状況下にございまして、また機械工業、化学工業など、一部業種の鉱工業生産指数に改善の動きも見られるというところもあります。しかし、個別に調べていくと好不調がいろいろとありまして、全体としては、県内企業全体の景況は依然として厳しいと私は思っております。
 先行きについては、円高の進展とか、欧州政府債務危機とか、この夏の電力需給の逼迫とか、電力料金が上がりそうだとか、不透明感が強まっておりまして、本県の経済はやっぱり楽観できないと思います。今後の景気動向をよく注視していかなければならないと思います。
 一方、御指摘にありましたマクロ経済でありますけれども、資本収支に若干傾向が変わって、ひょっとしたら国内だけで国債がファイナンスできなくなってるんではないかというようなデータも出てきております。
 そんないろいろ悩ましいことがあるんですが、消費税増税が可決され、スケジュールが示されますと、これは経済学の教えるところによると、税率引き上げ前は駆け込み需要が発生して景気は上向いて、引き上げ後にはその反動がありますから消費の減少が発生するということが予想されます。消費税率の引き上げによるこのような経済の影響に対しては、国は責任を持って経済運営を行うことが必要だと思っております。
 また、中小企業者については、引き上げ後に増税分がきちんと製品やサービスの価格に転嫁できないと経営に影響が出るということですから、国においては、適正な価格転嫁の取り組みが検討されているというふうに聞いておりますけれども、ちゃんとやってもらわないと困る。県としても、その施策の実効性が確保されるように、同じく事業者に対する情報提供などに努めていきたいと思います。
 景気そのものは、国以外はいかんともしづらいんですけれども、県としては、景気のいかんにかかわらず和歌山産業の底上げをしないといかんということは、これは我々の目的でもあります。
 そこで、技術開発とか、売れる商品づくりとか、販売促進など、企業の成長を支援する幅広い事業の実施をいたしまして、厳しい経済環境にある中小企業を少しでも支援してまいりたいと思っております。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今の経済の状況に関する質問をする前に、関係する県の部門の職員さんと、かなりの時間、議論を交わさしていただきました。皆さんの知識の深さとか、財政の安定を図ろうとしていること、それから消費税増税後に中小企業、サービス業の方々に県としてしっかり対応をしようという姿勢が伝わりまして、言い方はちょっとおかしいかもわかりませんが、楽しい議論ができたというふうに思ってます。
 今回の質問はその一部の議論ということになりましたが、県民生活安定のための対策を幾つか具体的なアイデアも聞かさしていただきましたが、導入後も対策をしっかり講じてくれるんじゃないのかなということを期待しておりますので、よろしくお願いしたいなと思います。
 続いて、災害への備えについてであります。
 中央防災会議におきまして、南海トラフの巨大地震想定、これはマグニチュード9.0として昨年度末に公表されております。県内で津波が高いと想定されている地域は18.3メートル。予想を超える余りの規模の大きさに、県民の皆さんの不安感は増しているように思います。
 想定見直しの結果を公表すべきだったかどうかという意見も実はいただいておるわけなんですが、情報を隠したことによるその想定が現実になった場合のリスクを考えますと、早い時期での公表は適切だったと思いますし、その想定に即した対策を打ち立てる、これが必要なことだというふうに思っておりますから、この公表に基づいて、今、県が対策を立てようとしてくれていること、これはありがたいことだというふうに思います。
 その中で、和歌山県は、全国で初めてかと思いますが、そういう対策も実現させております。それは、県内市町村が指定する避難先、そして新たに分類した種別や区分などを、グーグルマップを使った検索ナビやヤフーの地図を用いて情報提供する、こういうシステムを実現さしていることです。
 避難先検索ナビアプリ、これはiPhoneやスマートフォンを使用し、グーグルが提供する地図とGPS機能からルートの検索を行うアプリとして所有者に提供されるものです。この避難先検索アプリのメリットは、どこにいてもその居場所から近くの避難先を知ることができるようになる。このメリットが1つ。それから、和歌山県を訪れた観光客の皆さんに非常時の避難対策としてこれも有効になる。こういう利点もあります。
 ヤフーのほうです。ヤフーの地図上には、携帯電話やインターネットでの位置情報提供が今まではありませんでした。これが、県が調整を行っていたヤフーとの災害協定の取り組みを通じて情報が提供されるようになっております。この取り組みによって、防災・減災の総点検で見直した避難先情報をヤフーサービス上に掲載し、携帯電話やパソコンからでも情報が閲覧できる、こういう仕組みが仕上がっております。また、災害発生時においては、避難発令情報や被害情報、ライフラインに関する情報などの情報を適時提供できるよう対策を講じる、こういった検討も既に始めているというふうにお伺いしております。
 これらの取り組みは全国に先駆けてのものであり、県民の皆さんにぜひ知ってもらいたい安心対策ですが、この取り組みが成立した経緯について、これからの周知方法について、これは危機管理監に質問をさしていただきます。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 検索ナビアプリ等の活用についてでございますけれども、本県では、避難先を周知するためには地図を用いた方法が最も効果的であるというふうに考え、現地の道路等、事情を知らない方でも現在位置から避難先まで簡単にルート検索ができる避難先検索ナビの導入を検討し、アプリの提供を行ってまいりました。
 同様の機能を提供する企業はありましたが、当初は星印による格付など本県独自の情報を掲載する機能がなかったことから費用負担が生じるほどの改修や開発が必要となり、協力に難色を示されましたが、本県が実施する防災・減災対策の取り組みを粘り強く説明した結果、御賛同いただける2社により無償で開発していただき、本年3月から提供を開始することとなりました。
 日本最大のポータルサイトであるヤフーについては、災害時の迅速な対応を目的に災害協定を締結し、取り組んでいきたいとの申し出を受けました。これに対し、本県からの提案として、当初から考えていた避難所マップの掲載を要望したところ、全国で初めてとなる試みではあるが協力させていただくとの回答を得て、協議を重ね、6月5日からYahoo!地図での避難先の検索サービスが開始されたところであります。これにより、ほとんどのモバイル機能において和歌山県内の避難所先検索が可能となりました。
 これらのサービスがあることを今後とも県民に広く周知するため、さまざまな機会をとらえてお知らせしてまいります。また、観光協会、旅館組合とも連携し、観光客への周知を図っているところであり、交通機関等にも協力をお願いし、検討を重ねているところであります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 続きまして、放送局との連携についての質問に移らせていただきます。
 現在、和歌山県内には、4カ所、コミュニティーFM放送局があります。和歌山市、湯浅町、田辺市、そして白浜町であります。そして、現在、橋本市がコミュニティーFM開局の準備をしていますから、橋本市が加わると和歌山県内のコミュニティーFM局は5カ所ある、こういうことになります。
 コミュニティーFM局は、地域の情報伝達手段としてすぐれていますし、手軽に出演が可能なので地域活性化にもつながります。音楽を志している人、地域の活動家など、幅広い人が参加することで地域に元気を与えてくれるものであります。
 そして、もう1つの注目点は、防災対策として、それから災害発生時の情報伝達手段として非常に効果的だという評価があることです。
 過去、大地震が発生した地域において、コミュニティーFM局の貢献度は高いものがあります。地震発生時には地震速報を流しますし、災害発生時には地域の情報をきめ細かく伝えてくれています。情報の伝達は温かさの伝達でありますから、全国的にコミュニティーFMが防災対策として効果的だという評価が得られているようです。
 県としては、福祉施設などに対しては戸別受信機の設置による緊急警報の伝達を図っていますし、防災ラッパ設置の拡大も図っています。戸別受信を兼ねた防災ラジオについては、一部導入を行っている市や町があります。しかし、地域事情に強いコミュニティーFMと市町との連携は余り図れていないようです。もっとも、白浜町は第三セクターのFM局なので、情報の連携、防災時の対応は大丈夫なわけですが、ほかの市町とコミュニティーFM局との間で防災放送協定、こういったものも未締結になっているままです。
 全国の地方自治体とコミュニティーFM局は、積極的に防災放送協定を締結しているところでありますが、和歌山県内で締結した例がないというのは寂しい状況にあると言えます。南海トラフの巨大地震想定の結果を受けて、可能な限りの防災対策、1人の命を大切にしようとする多様な対策を講じることが必至だと思いますが、大切な情報伝達の手段としてのコミュニティーFM局との防災放送協定ができていないことは問題だというふうに思います。
 近畿には、35のコミュニティーFM局があります。そのうち10局が、所在する市町村と防災放送協定を締結していません。その未締結10局のうち3局が和歌山県に存在していると、こういうことであります。災害に関する情報を最も早く伝達することが必要な和歌山県ですが、初歩的なことがまだなされていないと、こういう状況にあります。
 知事室長に質問をさしていただきます。
 各市町とコミュニティーFM局との間で防災放送協定に関する動きはどうなっているのでしょうか。果たして締結できない理由があるのでしょうか。また、県からも早期に防災放送協定を締結することを進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○議長(山下直也君) 知事室長藤本陽司君。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○知事室長(藤本陽司君) 従来、市町村が防災放送協定の相手方としていたのは、県域全体をカバーしている放送局であったと考えております。しかしながら、昨年の東日本大震災では、発生直後から臨時災害放送局が相次いで開局し、また県内でも昨年の台風12号による災害に際して地元FM局がさまざまな情報を発信するなど、その機動性、重要性が十分認識されたところであります。
 そういった背景から、現在、所在市町とFMラジオ局との間で、災害時における放送要請に関する協定締結に向けて協議が具体的に進められているところもあると聞いてございます。
 県といたしましても、大規模災害発生時においてはあらゆる広報手段を使って情報を伝達することが必要不可欠と考えており、コミュニティーFM自身が防災情報の提供に対して高い志を持って対応していただけるのであれば緊急情報の伝達手段として位置づけ、あらかじめその方法、手順等を定めた協定を結んでおくことは有効な手法と考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山市においては、先日の集中豪雨、大雨で和田川沿いがついたときも、地元の放送局、これはコミュニティーFM局だけではなくてAMもそうだったんですが、非常に迅速な情報提供をしていただいてて、情報の伝達という意味では地域に少し安心感を与えるツールになっていたと思いますんで、高い志は十分に持たれてると思いますんで、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 それから、現在、コミュニティーFM局の放送は、県内で約23万世帯の県民の皆さんが聞くことが可能です。県内の総世帯数は約40万世帯ですから、約58%の世帯をカバーしていることになりますし、人口で言いますと、100万県民に対して──少し切っておりますが──55万人の方が聞くことができる、こういう状況になっております。
 これらの県内のコミュニティーFM局が連携し、ネットワーク化を図る、例えば協議会を設立する場合、今度は和歌山県と協議会との間で防災放送協定を締結すれば、県として約55%の県民の方々が可聴できるツールを活用できることになります。ここに情報提供を行うことで災害への対応はより迅速になろうかと思います。
 これも、知事室長に質問したいと思います。
 和歌山県とコミュニティーFM協議会──これはまだ設立されておりませんので、仮称とさしていただきますが──との間で防災放送協定を交わすことについてはどう考えますでしょうか。非常時に電波という公共財を活用するためにも防災放送協定を交わしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○議長(山下直也君) 知事室長。
  〔藤本陽司君、登壇〕
○知事室長(藤本陽司君) 災害時における放送要請協定については、県におきましては、現在、災害対策基本法第57条及び和歌山県地域防災計画に基づきまして、県内全域を放送エリアとするNHK和歌山放送局、株式会社和歌山放送、株式会社テレビ和歌山に民法4社を加えた7社と締結してございます。
 先ほども申し上げましたが、大規模災害発生時におきましては、あらゆる広報手段を使って情報を伝達することが必要不可欠と考えており、県自身も、そうした緊急情報の発信に備えまして、コミュニティーFM各事業者と放送要請協定に向けて協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 もう1つ、県下のコミュニティーFM局のある市町で実現させたいのが、J-ALERTシステムであります。これは、全国瞬時警報システム情報を含む緊急情報を、和歌山県下のコミュニティー放送局を使い、即座に県民の皆さんに伝達できる手段のことです。
 もう少し具体的に説明させていただきますと、J-ALERTとは、全国瞬時警報システムなど緊急放送や市町村単位で発令された地震速報、気象情報、津波情報などを、防災行政無線のラッパから住民に、地域に密着した防災情報を伝達する音声告知放送システムのことを言います。
 戸別受信を兼ねた防災ラジオを持っている家庭では、緊急放送が発令されれば自動的に防災ラジオの電源が入ります。ここは問題はありません。ただ、現状は、恐らく大部分の方が防災ラジオを持っていないんじゃないのかなというふうに思います。
 この場合、コミュニティーFM局が各市町村が受信したJ-ALERTシステムを放送した場合、同放送番組を聞いている人は即座に緊急放送が聞けることになります。一般で市販されている、つまり今使っているラジオでも、地元コミュニティー放送を受信していれば緊急放送を聞くことができるのです。これも、情報伝達の手段の多様化という意味では意味があろうかというふうに思います。
 ところで、電波法によると、緊急放送の電波であっても、一たんスタジオで受信させてから送信所に電波を流す、こういうことが求められています。通常、放送局と送信所の間は通信線で結ばれているため、例えば電柱が倒壊したときや通信線が切れた場合は、せっかくの緊急放送が流せなくなると、こういう代物であります。
 ただ、和歌山市内にあるコミュニティーFM放送局は、現在、緊急放送を送信所で直接受信可能なように国と折衝している段階にあります。これが実現できれば、全国でも珍しい防災対策、災害対応の手段となり得るわけです。ただ、これは、市と防災放送協定を締結した後、総務省に送信所設備変更届を提出し、認可を受けた後のことになります。安全のための取り組みが、まず市町村との防災放送協定が締結できていないことから少しとまっているかなと、こういう状況にあります。
 そこで、危機管理監に質問です。
 このJ-ALERTシステムをコミュニティー放送局から放送できる仕組みは、より多くの方々の安全性を高める情報伝達の手段として必要なもんじゃないのかなというふうに思ってます。南紀白浜コミュニティ放送以外でこの仕組みが確立できていないということが少し問題かというふうに思います。
 コミュニティーFM局がJ-ALERTシステム放送をすることに関してどうお考えですか、県として支援できることはありませんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
  〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) J-ALERTシステムについてでございますが、市町村からコミュニティーFMにJ-ALERTを接続し、コミュニティーFMでも津波情報、緊急地震速報、弾道ミサイル情報、大規模テロ情報等の緊急情報を放送することは、情報伝達手段を多重化し、1人でも多くの県民に情報を伝達するという観点から効果のあることだと認識しております。
 基本的には市町村と放送事業者との判断によるものでございますが、接続に際し、技術的な相談やJ-ALERTを活用した訓練の相談に応じるなど、県としても随時協力してまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後の項目に移らしていただきます。
 和歌山県地域グリーンニューディール基金、今議会に提案されている案件でございますが、これは、再生可能エネルギーや未利用エネルギーを活用した自立・分散型エネルギーの導入により、災害に強く環境負荷の小さい地域づくり、県土づくりを推進するものであります。地震や台風による大規模な災害に備え、県内で再生可能エネルギーの導入を支援しよう、こういう施策であります。
 主な用途は、公共施設における再生可能エネルギーや蓄電池の導入事業として、防災拠点や災害時に機能を保持すべき公共施設などへの導入を図るもの、これが1つ、また、民間施設における再生可能エネルギー導入促進事業、防災拠点や災害時に機能を保持すべき民間施設に対する再生可能エネルギーなどの導入支援、そして風力・地熱発電事業などへの支援、大型風力発電や地熱発電を──これは余り和歌山ではないかもわかりませんが──計画する民間事業者への事前調査、こういったものの支援に使われる性質のものかなというふうに思います。
 平成23年度に既に基金を設けている東北地方の県におきましては、民間に対しての支援も行っているようです。業種では、医療施設、私立学校、コンビニエンスストア、福祉避難所など、こういったところに再生可能エネルギーを導入する場合は支援対象にしているようです。
 防災の観点から、施設改修、災害時の要支援者対策として、あるいは地球温暖化対策に真摯に取り組んでいる事業者の立場からすると、早くこの支援基準を示してほしいというふうに思います。
 そこで、環境生活部長に質問をさしていただきます。
 この和歌山県地域グリーンニューディール基金は、民間事業者が導入を図る場合も対象に考えているようですが、支援制度のあり方、支援対象などについてお示しください。
○議長(山下直也君) 環境生活部長米田和一君。
  〔米田和一君、登壇〕
○環境生活部長(米田和一君) 再生可能エネルギー等導入推進事業につきましては、避難所や防災拠点において災害時等の非常時に必要なエネルギーを確保するため、再生可能エネルギーや蓄電池等の導入を支援することで災害に強い地域づくりを行うための事業であります。市町村等と協定を結ぶなど、災害時に防災拠点や避難所となる民間施設もその対象となっております。
 具体的には、医療施設、公共交通施設、私立大学、宿泊施設、コンビニエンスストア、福祉施設といった民間施設が太陽光発電と蓄電池、LED街路灯などを設置する場合に、その事業費の3分の1を補助する制度になっております。
 今後、民間施設のニーズを把握いたしまして適切に事業を実施してまいります。
 以上でございます。
○議長(山下直也君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今の件に関して、この議案、約10億円の基金という話ですが、1施設当たりの事業規模の大きさからすると、全県下に行き渡る規模の予算でもないような気がします。民間施設の防災機能強化の支援までぜひ行き届かしてほしいなあというふうに思います。
 例えば、今もお答えにありましたように、福祉避難所、これを締結している施設、あるいは地域の防災拠点となっている自治会館、こういったところなどを含めて、ぜひ活用が図れるように配慮をお願いさしていただきまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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