平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(鈴木太雄議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(鈴木太雄議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○鈴木太雄君 皆さん、こんにちは。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。最後までおつき合いのほど、お願いをいたします。
 今回は、通告をしたすべての項目について分割方式で行いたいと思います。
 まず、1項目の国体に向けた南紀スポーツセンターの整備と紀南地方のスポーツ振興についてであります。
 お手元に配付をいたしております参考資料として、「三四六総合運動公園整備イメージ図(案)」という格好にしてますが、これを、言葉ではわかりにくいところがありますので、言葉を補完する意味として提出をさしていただいております。
 そして、また2ページ目に公園内の全体の配置図、上から見たところ、わかりやすく言えば、そういったことで置かしていただいております。
 それでは、1点目として、南紀スポーツセンターの整備につき、県としての取り組み状況及びその役割について、そしてまた2点目として、南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の内容について、それぞれ関連がありますので、あわせて質問をいたします。
 平成27年の紀の国わかやま国体に向けて、県においては、大会機運の醸成や会場となるスポーツ施設の整備等、市町村との連携を図りながら現在鋭意取り組まれていることに、まず敬意を表する次第であります。
 また、今議会において、南紀スポーツセンター設置管理条例を廃止する条例が提出をされており、これでやっと紀南地域のスポーツ施設である南紀スポーツセンターを含めた本格的な整備が始まることと期待をしているところであります。
 南紀スポーツセンターは、東京オリンピック後に、日本体育協会が全国に青少年スポーツセンターの建設を推し進める中で、当時の田辺市体育連盟を中心とした誘致活動により、昭和44年に県の協力のもと、南紀青少年スポーツセンターとして整備をされました。
 2年後の昭和46年に開催された黒潮国体を契機に、南紀青少年スポーツセンターは、県内の均衡あるスポーツ振興のため、県南部の競技スポーツの中核施設として重要な役割を果たし、また当地域のスポーツ振興に大きく貢献をしてきました。
 その後、当該施設は、平成6年に日本体育協会から和歌山県に移管をされたわけであります。県においては、体育、スポーツの振興を図り、県民の健康と体力づくりに寄与することを目的として、老若男女を問わず、すべての人々に生涯スポーツの拠点として活用していただくため、「南紀スポーツセンター」に名称を変更し、以来、紀南地方のスポーツ振興の拠点として、本県のスポーツ行政に係る一翼を担ってきたものと認識をいたしております。
 一方、和歌山県長期総合計画において、生涯スポーツの環境整備と競技スポーツの競技力向上をうたい、現状と課題として「生涯にわたりスポーツに取り組める環境整備が重要」とされてございます。また、平成27年の紀の国わかやま国体を控えて、県民のスポーツ機運の喚起と技術力向上が求められていると明記されております。
 さらに、和歌山県スポーツ振興基本計画におきましても、現況と課題で「公共スポーツ施設の整備充実は、地域におけるスポーツ活動の活性化を図り、生涯スポーツ並びに競技スポーツを振興する上で極めて重要」とうたっており、具体的方策の中で「紀南地域のスポーツの中核施設となっている南紀スポーツセンターについては、平成27年和歌山国体での競技会場となることを想定し、大規模なリニューアルの計画を策定します」と明記をされております。
 いよいよ平成27年度に紀の国わかやま国体の開催が決定をし、南紀スポーツセンターでは少年サッカー及びボクシング会場としての使用が予定されており、先ほど御紹介いたしました長期総合計画及びスポーツ振興基本計画の実現への期待とともに、国体対応並びに国体を契機とした紀南地方における本県スポーツ振興の拠点として、ますます当該施設の重要性が高まっているところであります。
 そうした中、南紀スポーツセンターの整備は、事業認可や交付金活用等々諸課題をクリアしつつ、国体並びにプレ国体までに効率的な整備事業を展開し、当該施設を完成させるべく、田辺市において実施をする都市公園事業の一環として位置づけられたところであります。また、県の専門技術職員を田辺市に派遣するなど、県市連携を図りながら現在積極的に取り組んでいると伺っております。
 ただいま申し上げましたように、南紀スポーツセンターの整備については、現状、市が実施する三四六総合運動公園整備に含まれておりますが、県としての取り組み状況及びその果たすべき役割について、まず教育長の御見解をお伺いいたします。
 さらに、将来にわたって南紀スポーツセンターが果たすはずの紀南地方のスポーツ振興等につき、長期総合計画並びにスポーツ振興基本計画を踏まえた上で県は取り組まれていることかと思います。
 そこで、2点目として、当該施設の整備概要が既に公表されていることから、南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の施設整備の内容についてどうお考えか、あわせて御見解をお伺いいたします。
 続いて、3点目として、南紀スポーツセンターに当たる施設整備及び今後の事業活動等に対する具体的支援策についてお聞きをいたします。
 今議会に提出されております南紀スポーツセンター設置管理条例の廃止が議決されれば、紀南地方には県が直接管理運営するスポーツの拠点施設がなくなることになります。先ほどのこの提出資料の中で赤でくくっている部分、これが県が設置管理をしている南紀スポーツセンターでございます。この全体が、先ほども申し上げましたが、三四六の総合運動公園の整備イメージ図ということであります。
 つまり、南紀スポーツセンターの施設整備並びに南紀スポーツセンターがこれまで担ってきた事業活動等々、今後は三四六総合運動公園の設置者になる田辺市が直接的に実施、負担することになるわけであります。手法として田辺市の都市公園事業で施設整備を実施するものの、本来なら南紀スポーツセンターの整備や紀南地方のスポーツ振興は県の責務であると考えます。
 南紀スポーツセンターに当たる施設整備及び今後の事業活動等に対する県の具体的な支援策について、これも教育長の御見解をお伺いいたします。
 続いて、4点目として、国体後のスポーツ振興、特に紀南地方のスポーツ振興についてお聞きをいたします。
 スポーツ振興並びにスポーツによる地域活性化は、県と市町村がそれぞれの役割、責務を全うされ、効果的かつ効率的な事業展開が必要であると私は考えております。
 そういった中で、平成27年の紀の国わかやま国体後のスポーツ振興、特に紀南地方のスポーツ振興についてどのようにお考えか、知事の御見解をお伺いいたします。
 これで、1回目の1問目の質問を終わります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国体を一過性のものに終わらせることなく、国体を契機として地域にスポーツを根づかせ、さらなる本県のスポーツ振興を図るということは大変重要なことでありまして、27年国体の設計においても、初めからそういうことを大原則として考えていこうというふうに思っておりました。特に紀南については、スポーツと観光を相乗的に推進し、地域の活性化を図っていきたいと考えております。
 ただ、そのためには、地元の方も、それを利用して何とかしてやろうと、こういうような動きがぜひ必要でございまして、実は紀南においても、古くは旧日置川町のテニスのまち日置川というやつ、それから、最近のいいモデルは上富田であります。施設だけではなくて、地元の、特に勧誘とか運動とか営業活動とか、あるいはまちを挙げてのおもてなしとか、そういうような総合力が必要になってくると考えております。
 ぜひ、国体でやった種目を中心にして、そういうものが根づいていくといいと思うんですが、県としてもこれを一生懸命応援したり、あるいは補完したり、そういうことをやっていく必要があると思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 国体に向けた南紀スポーツセンターの整備と紀南地方のスポーツ振興にかかわる3点についてお答えいたします。
 まず、第1点目の南紀スポーツセンターの整備につき、県としての取り組み状況及びその役割についてでございます。
 南紀スポーツセンターの整備につきましては、田辺市と協議を行い、田辺市が主体となり、隣接する三四六公園の拡張整備とあわせて一体的に整備を行うこととなっています。県といたしましては、技術職員2名を派遣し、密接に連携をとり、設計段階から田辺市や関係競技団体と協議を重ねてまいりました。
 今議会において、南紀スポーツセンター設置及び管理条例を廃止する条例案を上程しており、引き続き田辺市とともに施設の利用者の立場に立った施設整備を進めてまいります。
 第2点目の南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の施設整備の内容についてでございます。
 施設整備の内容につきましては、県や関係競技団体の意向を踏まえた設計であり、周辺整備と一体的に行うことで紀南地方のスポーツの中核としてふさわしい施設になってございます。今後、利用者の利便性は向上し、さらなる効率的な利活用が期待できると考えてございます。
 3点目の南紀スポーツセンターに当たる施設整備及び今後の事業活動等に対する具体的支援策についてでございます。
 南紀スポーツセンターについては、県が設置し運営していた施設でありますので、施設整備費等について、県としても応分の負担が必要であると考えており、今後、田辺市と財政的な支援策について協議を重ねてまいります。
 また、本年2月のなでしこジャパンに代表される全日本チームや社会人、学生の合宿・交流試合誘致など、地域のスポーツ振興につながる支援策もあわせて考えてまいることといたしております。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。
 南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の整備は、現行の南紀スポーツセンターの機能拡充と市の施設整備による相乗効果で、紀南地方のスポーツ拠点として、生涯スポーツの振興、競技力の向上等、またスポーツ観光という──知事も触れていただきましたが、観光という見地からしても、紀南地域の活性化に大きく寄与するものであると考えます。
 また、田辺市だけでなく、紀南地域全体に効果を求めていくためには、これからも県の物心両面の関与が何より必要不可欠であります。県においては、市とそれぞれの責務を再確認していただいて、将来にわたり、ともに紀南のスポーツ振興及びスポーツによる地域活性化の観点からもしっかりと取り組まれるよう望むとともに、市町村と連携を図る中でより一層の県からの支援を要望して、この項での質問を終わります。
 引き続いて、次に2項目の梅産業を守るためにについて質問をいたします。
 1点目として、御坊火電の稼働率上昇が梅栽培に与える影響を考慮した対応についてお聞きをいたします。
 東日本大震災を契機とする福島第1原発の事故等により、脱原発が叫ばれております。電力不足により節電対策や省電力という取り組みが推進されておりますが、根本的な電力不足に対応するため、原子力発電所の稼働が停止されて以後、関西電力御坊火電の稼働率が大幅に上昇いたしております。
 人々の暮らしや産業全体での電力確保のため、稼働率の上昇については一定の理解はできるものの、本県の特産品である梅の生育不良との因果関係が明らかにされていない状況下で、不安を抱えている生産農家も非常に多いというのが実情であります。
 ここ数年、梅生育不良の新規発生件数は一定の低い数値で推移をしておりますが、御坊火電の稼働率の上昇に伴い、その数年後にその影響が出る可能性も否めないことから、将来的に梅栽培に与える影響も考慮した何らかの対応を検討すべきではないかと考えますが、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
 続いて2点目として、青梅の生産状況並びに市場価格の現状と今後の動向についてであります。
 近年、梅産業を取り巻く環境は、紀州田辺うめ振興協議会での田辺市内の梅生産農家を対象とした経営実態調査によると、2010年度の梅の販売額は、前回調査である2002年から2004年度と比較して3から5割減少しており、この10年ほど価格低迷と売れ行き不振が続いております。
 また一方、昨年の台風12号等の影響で農地も甚大な被害を受けたことに加えて、毎年のように低温や凍霜害などの天候不順が続いており、ことしはそういった影響から梅の作柄は全体的に不作となっているのが実情であり、例年の6割から7割、もしくは園地によればそれ以下とも言われ、不作を通り越して凶作という声すら耳にいたします。
 そういった中で、需要と供給のバランスが崩れ、青梅の市場価格の高騰が懸念をされており、もしそのようなことにでもなれば消費者のさらなる梅離れが起こる可能性もある中で、県においては、本年の梅の生産状況についてどのように認識をされているのか、また、青梅の市場価格の現状と今後の動向についてどうとらえているのか、これも農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
 引き続いて、3点目として、不作による経営面への対応策についてであります。
 ことしの梅の不作は、生産農家にとっては、生産量が減少することにより販売価格が上がれば経営そのものは何とか維持をできるが、先ほども申し上げたように、ここ10年ほど、価格低迷に加え、売れ行き不振が続いている現況下にあります。そういった中で、ことしの白干し梅自体の価格は上昇傾向にあるものの、近年の販売不振により経営の安定にはなかなか結びついていないのが実情であります。
 このように、生産農家における経営状況も大変逼迫する中、生産原価を抑えるための方法の1つとして肥料等を抑制している農家もあり、経営面でのやりくりに大変苦慮されているわけであります。
 また一方、それらに加えて、ことしは昨年の台風12号被害を受けての設備投資などにより、これまでにも増して何らかの対応策を検討するべきではないかと考えます。
 例えば、従来から生活営農資金などの手だてを講じているところでありますが、生活営農資金を活用したくても既に借り入れが多く、その制度をこれ以上活用できない生産農家も非常に多く見受けられます。
 通常、生活営農資金は5年間の償還期限が多いとお聞きをいたしますが、生産農家の方々にとってもより活用しやすい制度とするため、経営が厳しい農家に対しては、償還期限の延長等の条件変更を柔軟に行うなどの対応が必要ではないかと考えます。
 経営面へのそれらを含めた何らかの対応策について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
 続いて4点目、品種開発の取り組みについてであります。
 農業生産においては、天候等の自然に著しく左右される状況があります。ことしも天候不順などの影響を受け、受粉がうまくいかず不作になっている状況であり、自然が相手であるがゆえにいたし方のないということも一定理解をするところでありますが、それとともに、近年、「ミツバチの絶対量も不足している」などといった声もお聞きをいたします。
 こういった状況の中、うめ研究所におきましては、実がなりやすい新品種の開発に積極的に取り組んでいただいているところであり、2009年に新たに品種登録されたNK14──このNK14は、自家受粉ができるため、比較的気象の影響を受けにくく、また主力品種の南高よりもやや早熟で、果実は小さいものの、果肉の割合が高い品種でもあり、なおかつ、着果率も南高の2倍以上という品種のようであります。
 また、もう1つの新品種である橙高においても、自家受粉ができて、ベータカロテンの含量が高いなどの特徴を有しております。
 このように、既に気象の影響を受けにくい新品種の開発を行っていただいているところでありますが、今後とも、生産農家と連携を密にしながら、新たな紀州梅を確立するという観点からも、より生産性のすぐれた、そして商品価値の高い品種開発に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
 続いて5点目、プラムポックスウイルス対策についてであります。
 まず、プラムポックスウイルスとは、1915年にブルガリアで発見をされて以来、世界各地で確認されるようになり、日本では2009年に東京都青梅市の吉野梅郷で感染を確認し、梅で確認されたのは世界でも初めてのことであります。
 果樹が感染をし、感染した果実を食用としても人体に影響はありませんが、葉や花弁や外果皮に斑紋があらわれるとともに、早期落果により収穫量が減るようであります。感染する種としては、桜属の桃、スモモ、ネクタリン、アンズ、梅などで、感染経路は、アブラムシが媒介するほか、感染した苗木などから広がるようで、果実からの感染は現在のところ認められておりません。その治療法や予防薬については、本年3月現在においてもいまだ見つかっておらず、アブラムシの駆除、周辺樹木の伐採など、感染拡大防止策しかないのが現状であると指摘をされております。
 東京都青梅市で初めて感染が確認されて以降、国内では既に他府県にも広がっているとお聞きをいたしております。
 そのような中、本県においては、本年4月に現地調査を実施し、その感染の確認はされておりませんが、もし万が一でも紀州の梅産地で感染が確認をされると、産地の崩壊にもつながりかねない非常に大きな問題であると考えます。
 現在、抜本的な対策が未確立であり、感染拡大防止策しかその手だてはないという現状にあって、今後、産地内における感染防止策についてどのようにお考えか。また、万一感染が確認された場合の早急な対策について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 梅の生育不良については、これまでうめ研究所を中心に、養水分管理、適正着果量などの研究を行い、その成果を梅栽培管理マニュアルに反映させて現場指導に努めてまいりました。また、平成12年度から西牟婁・日高地域の生育不良園において、改植や土壌改良を積極的に支援してきたところでございます。
 しかし、今回の電力不足対策に関連して、火力発電所の稼働率が高まることに生産者の方々が不安を感じていることは十分に承知しております。
 今後も、梅生産の維持発展を図るため、大気環境の変動に注視しつつ、生育不良の発生状況の把握に努め、試験研究や改植など、地域にとって必要な対策を引き続き実施してまいる所存でございます。
 次に、青梅の生産状況並びに市場価格の現状と今後の動向について。
 まず、梅の生産状況ですが、本県の主要品種である南高の満開期は2月29日から3月2日前後と、平年に比べて17日程度遅く、開花期間が短かったことや降雨などの影響により受粉が順調に進まず、今年産梅の生産予想量は前年比67%、約4万4000トンの見込みです。
 なお、先日の台風4号で収穫の後半を迎えた青梅への被害を懸念していましたが、幸いなことに極端に大きな影響は出ないと聞いております。
 次に、市場価格の現状と今後の動向についてですが、南高の市場取引は5月30日から始まり、6月19日現在、出荷量は3584トン、前年同期比81%と少なく、キロ当たり単価は534円、前年と比べて129%の高値となっております。本年産梅の生産量が少ないことから、市場価格は今後も堅調に推移すると考えております。
 次に、不作による経営面の対応策について。
 果樹栽培は価格や作柄の変動が大きく、梅農家は近年厳しい経営状況にあると認識しております。県では、災害などによる一時的な経営の悪化に対応するため、つなぎ資金として生活営農資金など活用し、農家経営の安定を図ってきたところです。この資金の償還期間は5年ですが、要望がございましたら、個々の状況に応じて、期間の延長など償還条件の変更に柔軟に対応してまいります。また、果樹農家の経営安定のため、野菜・花卉用ハウスの導入支援により果樹農家の複合経営を促進する和歌山版複合経営産地育成事業を今年度から実施しているところです。
 議員御指摘のように、梅を取り巻く環境は非常に厳しいのですが、明るい材料もございます。梅酒の生産量は、毎年着実に伸びております。今、市販されている梅酒には、梅由来のクエン酸に人工酸味料等を加えて増量した梅酒もございます。いわゆるほんまもんの和歌山の梅酒と、こうした梅酒の区分を国へ働きかけるなど、産地の方々と一体となって梅の需要拡大に取り組み、農家の経営安定を図ってまいりたいと考えております。
 次に、品種開発の取り組みについて。
 日本一の梅産地を守っていくためには、優良な品種を開発することが非常に重要であると考えております。そのため、県では、平成11年に暖地園芸センターで品種開発を始めて、現在はうめ研究所で開発を続けており、議員お話しのNK14及び橙高を平成21年に品種登録いたしました。
 今後は、地球温暖化への対応として、病害抵抗性の強い品種や乾燥と高温ストレスに強い品種の開発、あるいは多様な加工品開発に対応した紅色の濃い品種など、特色があり商品価値の高い品種の開発に取り組んでまいる所存でございます。
 なお、当面の目標としては、病害抵抗性品種として、梅の主要病害の1つである黒星病に強い品種の登録申請を目指しているところでございます。
 品種開発には、長い年月を要するとともに、現地での適応性をしっかりと把握することが重要であるため、今後とも産地の皆様と連携を密にして開発に取り組む所存でございます。
 最後に、プラムポックスウイルス対策についてですが、プラムポックスウイルスは、植物防疫法に基づき、国の責任において防除が行われる重要病害虫に指定されております。平成21年の発生以降、農林水産省が全国で調査を継続実施しており、東京都のほか5府県で発生が確認されておりますが、近隣の地域では、平成22年に滋賀県、奈良県、大阪府の梅からウイルスが確認されております。
 本県も平成21年度から農林水産省が行う全国調査に協力しており、平成24年度は4月から5月にかけて232検体──梅、桃、スモモなどでございますが──232検体で調査をいたしました。現在、ウイルスは確認されておりません。
 感染防止策については、今後も国と連携して、JA等関係機関との協力のもとに、生産者や種苗生産者など、関係者の方々に本病への警戒を広く発信して、早期発見に努め、感染を未然に防ぎたいと考えております。万全の努力を尽くしますが、万一県内で本病が発生した場合には、梅や桃の生産への影響を防ぐため、国の指導を仰ぎながら、感染樹木の伐採など迅速な対応に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 5点にわたって御答弁をいただきました。
 私が今回この項の質問をさしていただいたそもそもの趣旨というのは、日本一の梅産地を標榜する当紀南地方において、こうしたことを想定した何からの対策を常に考えておいていただきたいと、そういった願いからのことであります。こうした万一の事態に備えた、いわゆる日本一の梅産地を守るための危機管理について、今後とも万全の体制をお願い申し上げて、この項での質問を終わりたいと思います。
 次に、3項目の台風12号により被害を受けた河川の復旧状況についてであります。
 1点目として、熊野川の浸水対策の進捗状況と今後の計画についてであります。
 昨年の12月議会において、私は、熊野川の洪水対策として、土砂撤去の手法と有効活用について並びに河川整備計画の見直しについてお聞きをいたしました。現在、あれから6カ月余りが経過をして、梅雨に入り、本格的な出水期を迎えております。
 そのような中で、熊野川における浸水対策の一環として、本県においては流域市町村とともに電源開発に対して要望を行った熊野川流域の発電専用ダムにおける洪水時の運用改善について、奈良県や三重県とともに発電専用ダムを洪水対策にも活用することを提案し、台風による大規模出水が予想される場合における事前のダム水位の低下操作や情報伝達の改善等について、去る6月15日から運用が開始される運びとなり、今後は今回の運用の効果や課題を検証していくこととなりました。
 このことは、住民の不安を少しでも払拭するという観点からすると、一定の大きな成果ではないかと私は認識をいたしております。県当局並びに関係各位のこれまでの御尽力に対して、私も流域市町村の議員の1人として、心から感謝を申し上げる次第であります。
 一方、熊野川における洪水対策に係る河川の通水断面の確保についてでありますが、前回の一般質問でも申し上げたとおり、台風12号により、熊野川流域の田辺市本宮町において、約400棟以上もの広範囲にわたり甚大な浸水被害を受けました。
 現在、梅雨時期に入り、出水期を迎え、以前にも増して住民の間から、一日も早く熊野川に堆積した土砂を取り除いてほしいとの声が大きくなっており、熊野川における洪水対策の一環として、熊野川並びにその支川の一日も早い堆積土砂の撤去、つまりは通水断面の確保が今なお望まれております。
 県においては、災害以前から、本宮町本宮地内において、平成21年度に策定をした熊野川圏域河川整備計画に基づき、平成22年度からの5カ年計画で30万立米の堆積土砂の撤去を行うべく、河床掘削に着手していたところでありますが、昨年の台風12号被害により、さらに河川に流入土砂が異常堆積したことから、現在実施している河床掘削の継続期間が延長されることとなりました。
 そういった中で、本宮地区だけでなく、萩地区や切畑地区、上切原地区、大居地区などの上流部、請川地区、大津荷地区、小津荷地区などの下流部、さらには川湯地区などの支流部も含めた掘削対象地域の拡大並びに堆積土砂の早急な撤去を求めてきたところであり、加えて、昨年の台風12号のように積算雨量が1300ミリを超える場合、県が策定した熊野川圏域河川整備計画における計画高水流量の毎秒5600立米では流量が不足するため、計画高水流量や熊野川圏域河川整備計画の見直しも必要であります。
 先ほども申し上げましたが、現在実施中である河床掘削の継続とあわせて、計画高水流量の見直しや、本宮町全域にわたる約200万立米とも言われる異常堆積土砂の撤去をどういった計画で撤去されるのか。また、この河床整備は熊野川流域における防災対策の根幹をなすものであるため、熊野川の浸水対策の進捗状況とあわせて、今後の計画についてより具体的な県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
 次に2点目として、河床掘削事業に係る構造物への対応についてであります。
 河床整備により通水断面の確保を図り、住民の方々の生活を水害から守る一方で、それとは逆に、橋脚や河川の護岸の根の部分がつったようになりはしないかという懸念を示されている方々がおられます。
 実際、台風12号災害以前はそういった理由から河床整備事業には反対をされていましたが、災害後の堆積土砂の多さから通水断面の確保が必要とのことで、今回は以前とは異なり、河床整備事業は必要不可欠であるとの認識を示されております。つまり、事業そのものの必要性は認識しているものの、構造物への被害を危惧されているわけであります。
 こうした地域住民の思いを勘案した上で、河床掘削事業に係る構造物への対応について、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
 次に3点目として、田辺市内における河川の復旧及び浸水対策の進捗状況についてであります。
 本件につきましても、前回の一般質問において熊野川流域の浸水対策とあわせて申し上げたことでありますが、先ほどの項で取り上げた熊野川のほかに、市域に流れ出ている河川につきましても、流出土砂の堆積並びに堤防決壊などが生じたことから、県においては被災箇所の一日も早い施設復旧を図るべく御努力をいただき、既にその被害状況によっては復旧工事が完了している箇所も見受けられます。
 私もその取り組みに大変感謝を申し上げるところでありますが、出水期に当たり、まだ応急復旧程度の箇所も多く残されていることから、地域住民の皆さん方は、今もなお大雨による浸水や洪水の危険性を感じているわけであります。
 早期復旧を阻む要因は幾つかありますが、その1つとして挙げられるのは、河川の復旧工事等の入札に際して道路復旧工事とは施工条件やその環境等の違いがあり、業者にとってはメリットを感じないため落札業者が決まらないといったような状況、つまりは不落という事態が多く見受けられたことであります。そういったことから、私も特別委員会におきまして、入札の手法等について議論した経緯もございます。
 現在、不落、不調の状況もある一定程度改善が図られてきている状況下とお聞きをいたしておりますが、ここであえて、安心して市民生活を送るためにも、田辺市内における河川の復旧及び浸水対策の進捗状況について、改めて県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 熊野川では、総合的な治水対策を進める必要があり、議員御指摘のように、電源開発のダム操作や情報伝達の運用改善がこの6月15日から実施されております。
 また、堆積土砂撤去を効率的に進めるため、県による河道掘削に加え、砂利資源の有効活用による掘削を進めております。県による河道掘削としましては、旧本宮町内で本支川合わせて約10万立米の撤去を行いました。また、本宮地区において水防災事業で河床掘削を行ってきましたが、台風12号で新たな土砂堆積が生じたことから、事業期間を2年間延長し、計約40万立米の掘削を進めます。
 また、砂利資源の有効活用による掘削につきましては、田辺市が施工する方向で合意を得られたところです。田辺市では、請川地区の約40万立米の掘削について、6月市議会で了承を得ると聞いております。今後、実施方法等の計画について田辺市と早急に協議を行い、早期に着手できるよう努めてまいります。
 残る堆積土砂につきましては、国の支援を求めながら、治水上、効果の高い箇所から順次撤去を進めてまいります。さらに、長期的に砂利採取を解禁できないかについても検討してまいります。
 また、熊野川で台風12号により河川整備基本方針の計画流量を超える洪水が発生したことから、国に河川整備基本方針の見直しを要望しており、今後、地域の御意見を聞きながら、河川整備計画の見直し等の対応を考えてまいります。
 2点目の河床掘削事業に係る構造物への対応についてでございます。
 浸食等が生じている区間の構造物につきましては、必要に応じ対策を行うとともに、土砂撤去に当たっては、堆積、浸食の状況を十分に考慮の上、構造物に影響が出ないように進めてまいります。
 3点目の田辺市内における河川の復旧及び浸水対策の進捗状況についてでございます。
 台風12号による公共土木施設の本格的な復旧については、和歌山県復旧・復興アクションプログラムの中で、平成24年度中に95%の箇所完成を目標に掲げ、全力で取り組んでいるところです。田辺市内における河川の復旧箇所は201カ所であり、入札時の不落、不調等の影響を受けましたが、現時点で約93%、186カ所の契約を済ましており、6月18日時点では、そのうち34カ所が完成しております。
 大規模な被災箇所の3カ所を除き、198カ所の平成24年度中の復旧完了を目標に取り組むとともに、河川改修等の浸水対策にも引き続き取り組んでまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。
 本宮地内における熊野川の支川である大塔川については、既に河床掘削事業が実施をされておりますが、今回の台風4号でも道路が冠水をいたしました。今まさに本格的な出水期を迎えているわけでありますが、まず、しっかりとした全体の計画を持っていただいて、一日も早い住民の安全・安心につながるように、かつ、スピードアップが図れる手法で積極的な取り組みをお願い申し上げます。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、6月25日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時48分散会

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