平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)
平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録
第5号(全文)
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平成24年6月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
平成24年6月22日(金曜日)
午前10時開議
第1 議案第86号から議案第102号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第86号から議案第102号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(41人)
1番 森 礼子
2番 立谷誠一
3番 尾崎太郎
4番 藤山将材
5番 新島 雄
6番 山下直也
7番 門 三佐博
8番 井出益弘
9番 濱口太史
10番 鈴木太雄
11番 服部 一
13番 山田正彦
14番 坂本 登
15番 宇治田栄蔵
16番 尾崎要二
17番 山本茂博
18番 平木哲朗
19番 前芝雅嗣
20番 浅井修一郎
21番 中村裕一
22番 冨安民浩
23番 岸本 健
24番 中 拓哉
25番 花田健吉
26番 角田秀樹
27番 吉井和視
28番 向井嘉久藏
29番 谷口和樹
30番 多田純一
31番 片桐章浩
32番 藤本眞利子
33番 浦口高典
34番 大沢広太郎
35番 谷 洋一
36番 岩田弘彦
37番 高田由一
38番 奥村規子
39番 山下大輔
40番 松坂英樹
41番 長坂隆司
42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
〔備考〕
12番 欠員
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説明のため出席した者
知事 仁坂吉伸
副知事 下 宏
知事室長 藤本陽司
国体推進監 若宮茂樹
危機管理監 半田和雄
総務部長 米澤朋通
企画部長 野田寛芳
環境生活部長 米田和一
福祉保健部長 山本明史
商工観光労働部長 大門達生
農林水産部長 増谷行紀
県土整備部長 尾花正啓
会計管理者 雑賀忠仁
教育委員会委員長 山下郁夫
教育長 西下博通
公安委員会委員 片山博臣
警察本部長 山岸直人
人事委員会委員長 守屋駿二
代表監査委員 楠本 隆
選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 宮端 宏
次長 上坊 晃
議事課長 堀 達也
議事課副課長 中谷政紀
議事課課長補佐兼班長 中井 寛
議事課主任 中尾祐一
議事課主査 保田良春
議事課主査 岸裏真延
総務課長 谷 巌
政策調査課長 谷村守彦
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午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第86号から議案第102号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
41番長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。
まず初めに、去る6月6日、御逝去されました三笠宮寛仁親王殿下におかれましては、謹んで哀悼の誠をささげたいと思います。スポーツ振興にも本当に真剣に取り組まれておられました殿下であります。
また、翌6月7日に御逝去されました故川口文章議員におかれましても、謹んで御冥福をお祈りいたします。故川口議員とは、特に岩出市助役時代、毎年の市政懇談会で御一緒させていただいたときから御指導いただきました。物腰やわらかく、中芝市長を陰にひなたに支えておられるお姿が大変印象的でした。安らかに御永眠いただきたいと思います。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
1つ目に、和歌山下津港の港湾戦略についてであります。
先週、和歌山下津港本港区を車で走ってまいりました。まず目についたのが鋼管の本船荷役、すなわち本船搭載のクレーンでのばら積みが行われておりました。ガントリークレーンの下方には、いつもより多い目の20フィートコンテナが積まれていました。その東側の公共荷さばき地には岩塩が野積みされており、そしてその北側、輸入木材が、年2回程度ということでありますが、久しぶりに高く積み上げられておりました。港湾内で輸出入貨物の動きがあって荷役しているのを見ますと、正直、ほっとします。港湾は、背後地の景気のバロメーターと言ってもいいでしょう。
平成23年分の和歌山県貿易概況ですが、県内貿易額が輸出入とも3年ぶりに1兆円を回復、輸出はプラス13.5%、輸入はプラス20.4%です。しかし、コンテナの取扱量からすると、その半分は花王和歌山工場の原料輸入分であり、和歌山県からのコンテナ輸出貨物がいかに少ないかということがわかります。
さて、世界のコンテナ貨物取り扱い順位ですが、2010年度において1位は上海港で2907万TEU、5位の釜山港で1416万TEU。ちなみに、日本最大のコンテナ貨物取扱量を誇る東京港で420万TEUで第27位、その前後には、2位のシンガポール港、3位の香港港、両港を除いて、今や13位、17位にマレーシアのポートケラン港、タンジュンペラパス港、22位にタイのレムチャバン港、24位にインドネシアのタンジュンプリオク港、25位にインドのムンバイ港、28位にスリランカのコロンボ港、29位にはベトナムのホーチミン港と続いています。ちなみに、和歌山下津港は年間約6000TEUの取り扱い、順位は知りません。
この勢いづく東南アジアの新興の諸港は、ほとんど日本の政府開発援助(ODA)で整備が進んだ施設であります。日本としては、この諸港との交易を活用しない手はないはずであります。
そこで質問ですが、1つ目、最近の和歌山下津港における輸出入貨物の取り扱い状況についてお聞かせください。また、近年、活況を呈しているASEAN諸国との和歌山港発着の貨物取り扱いの現況や可能性についてお尋ねいたします。企画部長、お答えください。
○議長(山下直也君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
企画部長野田寛芳君。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 和歌山下津港の港湾戦略についてでございますが、和歌山下津港における輸出入貨物の取り扱いにつきましては、県港湾統計の速報値によりますと、平成23年の輸出は約492万トン、輸入は約1825万トン、総輸出入量は約2317万トンと、2年連続で増加しております。
このうちASEAN諸国との平成23年の貨物の取り扱いにつきましては、輸出が約138万トン、輸入が約51万トン、総輸出入量は約189万トンと全体の約8%を占め、前年と比べ重油や石油製品などの輸出が大幅に増加したことから、全体で約29万トンの増加となっております。
近年、経済成長が著しいASEAN諸国との貿易につきましては、和歌山下津港の振興において重要であると考えておりまして、今後も引き続き、荷主企業や船会社に対し、積極的にポートセールスを行ってまいります。
以上でございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 例えばタイのレムチャバン港は、港の背後値にバンコク近郊の輸出産業の集積地が控えております。また、スリランカのコロンボ港は、インド洋の国際海上輸送ルートの要衝、ハブ港的要素を持った港であります。本県企業においても、ポテンシャルを追求できる港ではないかと思われます。
次に、阪神港の国際ハブ港湾機能向上にもつながる和歌山下津港から神戸港へのコンテナの内航フィーダー輸送が平成20年10月に開設されましたが、現況はいかがでしょうか。企画部長、お願いいたします。
○議長(山下直也君) 企画部長。
〔野田寛芳君、登壇〕
○企画部長(野田寛芳君) 和歌山下津港のコンテナ内航フィーダー輸送の現況につきましてでございますが、平成20年10月に開設後、利用企業数、輸送量とも年々増加しておりまして、平成23年におきましては5社が利用し、輸送量は、20フィートコンテナを1TEUとする単位において1000TEUを超える取扱量となっております。
現在、国においては、阪神港など国際コンテナ戦略港湾への集荷を促進しているところでありまして、本県におきましても、引き続き背後圏に立地する企業の貨物需要の掘り起こしに努め、和歌山下津港のコンテナ内航フィーダー輸送の活用を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 和歌山北港区の住友金属西防波堤埋立地の関西電力LNG火力発電所建設の促進を、本年4月20日、和歌山県議会、和歌山市議会の両議長が、2月議会で議決した建設促進を求める決議文を関西電力本社へ手渡されました。今後の電力需要、そして大きな雇用創出といった本県への経済効果にも大いに期待を寄せるものであります。
このLNG発電所建設については、当時の共産党の鶴田至弘議員が、私の知る限りでは平成7年6月、平成8年12月、そして平成9年2月と3回、活断層の近接、そして埋立地であるがゆえの地盤の液状化といった大地震被災時の懸念を訴えた質問をされています。
平成9年6月議会では、自民党の吉井先輩議員が大地震発生時の発電所の安全性について質問されました。その際、当時の中山次郎総務部長は、「事業者から提出された安全性調査検討書によりますと、耐震性については中央構造線系活断層により現在考えられる最大の高レベル地震動として、紀淡海峡から根来断層、五条谷断層の長さ70キロメートルが活動するマグニチュード約7.9の地震動を想定し、これに十分耐え得る設計となってございます。これは、阪神・淡路大震災のマグニチュード7.2を上回るものでございます。また、事業者はLNGタンクの8分の1のモデルによる振動試験を実施し、安全性を確認してございます。一方、液状化対策につきましても、発電所本体、タンク周辺はもちろんのこと、LNG配管基礎等、防災上必要な箇所は地下水位を低下させる工事などを実施することとなってございます。これらのことから、安全性については十分対応しているものと考えてございます」と答弁されています。
気になるのは、活断層に近い直下型地震もさることながら、ことし3月末、内閣府で、南海トラフ巨大地震が発生したとき、津波高が和歌山市で7.7メートルと予想されている中、同規模の津波に当該LNG発電所のガスタンクが耐えられるのかという懸念も生まれてまいります。LNGは、比重が大気より重くて地上にとどまり、引火するや一気に火の気が地を走ると言われています。
改めて、関西電力LNG発電所が計画どおり建設された際の安全性と防災対策について、危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監半田和雄君。
〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 津波高見直しによる関西電力LNG発電所建設の安全性と防災対策についてお答え申し上げます。
本年3月に内閣府から、最大クラスの地震・津波を想定した震度分布及び津波高が公表されたところでございます。また、国において、東日本大震災における火災などの被害実態に応じたガスタンク等の安全対策について検討し、関係基準の見直しを行っておるというふうに聞いております。
今後、LNG火力発電所の建設計画が具体化される場合には、これらを踏まえた地震・津波に対する安全対策を講じたものとなるというふうに考えてございます。
以上です。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 LNG発電所建設は、確かに和歌山県にとってもかけがえのない電力の確保、そして経済効果が大いに期待できるものであります。それだけに、計画の進捗に合わせて、今後、発電所の安全性と防災についても最大限の調査検討をお願いいたします。
2点目に、地域イノベーション戦略支援プログラムについてであります。
去る6月1日、文部科学省は、平成24年度地域イノベーション戦略支援プログラムに応募のあった地域の提案の中から10件の採択決定を発表し、その中に和歌山県の「地域資源を活かした健康産業イノベーション~県民健康力の向上と保健機能製品の世界展開~」をテーマにした事業が入りました。
和歌山県産業技術基本計画に基づいて、和歌山県の代表的な農産物である各種かんきつ類や梅、柿などについて、成分研究や保健機能解明、加工技術の開発などを産学官金が一体となって実施するものです。産学連携のポテンシャルと地域の農産物を生かした医農連携をキーワードに、健康産業イノベーション及び新産業の創出を図ります。
事業期間は平成24年度から28年度の5年間、参画機関は公益財団法人わかやま産業振興財団、和歌山大学、和歌山県立医科大学、近畿大学生物理工学部、紀陽銀行、そして和歌山県であります。
このプログラムは、1、将来の地域構想を担う次世代の研究者を、国内外を問わず、原則当該地域以外から招聘することに対する支援、2、地域で活躍し、地域発の新産業創出や地域活性化に貢献する優秀な人材の育成に資するプログラムの開発及び実行に対する支援、3、大学等の研究機関の持つ研究シーズを共有し、その中から地域の企業が求める技術シーズと合致するものを発掘して事業化へつなげていく役割を担う地域連携コーディネーターの活動に対して必要な支援を行い、コーディネーターによる大学の技術シーズや企業ニーズの情報収集と、それらの整理などの活動による地域の大学等の間で知のネットワークを構築するための支援、4点目に、大学等の研究機関が保有する研究設備・機器を地域の中小企業に開放する機関に対し、機器の操作や利用者の技術相談を受け付けるスタッフを配置し、共用化を促進するための支援の計4つの柱があります。
平成23年度まで都市エリア産学官連携促進事業で研究を進めてきた本県特産の農産物由来成分を利用し、医農連携による健康産業の創出を目指すものであります。
そこで質問ですが、1つ目、地域イノベーション戦略支援プログラムにおいては、知のネットワーク構築ということで、研究者、人材育成プログラムの開発者、地域連携コーディネーターやプロジェクトディレクター、それに技術支援スタッフに対する人件費等の支援といった人的支援のバックアップはありますが、このプログラムを活用して、具体的に和歌山県としてどのような研究開発と商品の創出を推進されるおつもりでしょうか。知事にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本年度、国に採択されました地域イノベーション戦略支援プログラムの核となる事業は、本県で過去に実施されました都市エリア事業の成果を活用いたしまして、梅酢ポリフェノールに期待される抗疲労効果や、あるいは高血圧抑制効果等について、県立医科大医学と近畿大学生物理工学部に招聘する医・農分野の研究者が臨床研究を実施することによりましてその効果を立証し、活用し、健康機能の科学的根拠の裏づけを行い、それでもって、とりわけ県内企業が健康機能食品の開発を目指すものであります。
参画企業は、そこで得られた効果効能をもとに、梅酢ポリフェノールを活用した一般飲料とか、あるいはトクホ食品、そういうものを開発するとともに、産学官が一体となって、本県の特性である食品産業と化学産業を融合した新たな健康産業の創出と梅関連産業の振興に取り組むというつもりであります。
御指摘のように、和歌山県新技術創出推進条例をつくっていただきましたが、それの核になる産業技術基本計画では、5つの分野を特に推進すべき分野だということを決めております。その1つがバイオ食品分野であります。
特に、和歌山県における中小企業振興の核として技術開発をてこにしていこうというふうに思っておりまして、議会にもお願いして先駆的産業技術研究開発支援補助金などなどいただいておりますけれども、特に国の研究開発助成金は少し規模が大きいもんですから、そういう我々の努力の大きな援軍になるなというふうに考えておりますので、これをしっかり利用して、研究の推進と、それから産業の振興を図ってまいりたい、そんなふうに思っております。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 待ちに待った具体的な医農連携、それによって臨床研究、ヒト介入試験が本格化するということで、具体的な健康機能食品の商品化の道筋も見えてきたものと期待しております。
次に、2点目ですが、優秀な人材が確保できても、すぐれた製品のアウトプットを実現するために、既存の大学等の持つ研究設備・機器以外にも設備や機器類が必要になる場合が出てくると思いますが、それに対する県の支援についてはどうお考えですか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 地域イノベーション戦略支援プログラムにおける研究設備・機器に対する県の支援についてですが、本プログラムにおいて招聘する研究者が梅酢ポリフェノールの健康機能を調査研究するために必要な設備・機器については、本事業において整備いたします。
また、本事業の補助対象とならない設備・機器の整備については、工業技術センターにおいて加工食品の開発に必要な設備・機器の整備を検討するとともに、参画企業には、先駆的産業技術研究開発支援事業補助金などの競争的資金の活用を促すことにより支援してまいります。
以上です。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 国の競争的資金は、文部科学省だけでなく、経済産業省や農林水産省と、各省にあります。和歌山県の特産物や地域資源を生かして産業振興、雇用拡大につなげることが何よりの地域力向上の近道であると思いますので、先手先手を打つべく、さらなる国の競争的資金獲得にも、財団や各研究機関とともに今後とも御尽力いただきますようお願いいたします。
次に、3番目、豪雨災害についてであります。
6月19日の台風4号、そしてきのうから降り続いた大雨で、各地で通行どめや冠水、そして浸水も見られています。河川の増水、土砂崩れ、これ、今なお心配であります。私の地元和歌山市内でも、私の知り得る限りで岡崎のあの交通センターのあたり、三田、そして山東、安原地区など、冠水、浸水があった模様であります。謹んでお見舞いを申し上げます。
さて、私ども改新クラブ5名の議員は、去る3月28日から30日までの3日間、田辺市、新宮市、那智勝浦町、そして串本町へ、昨年9月初めの台風12号による紀伊半島大水害の復旧状況の視察に行ってまいりました。途方に暮れるような大災害の中、国、県、地元市町、それぞれの懸命の復旧への御労苦、御尽力には深甚なる敬意を表したいと思いますし、地域によっては、完全復旧には通常数10年はかかるんじゃないかと、そんな惨状を改めてかいま見た次第であります。
また、去る6月7日、8日の両日、インテックス大阪で第6回「地域防災防犯展」が行われておりましたが、7日に私も行ってまいりました。ことしも大にぎわい。各企業だけでなく、一般の人々の関心の高さも感じました。関西学院大学特認准教授・松田曜子先生等の講演なども幾つか聞かせていただきました。
最近頻発する豪雨災害や台風の大型化ですが、気象変動、地球温暖化、ヒートアイランド等々、原因はありましょうが、1時間降水量50ミリ以上の降水の年間発生回数ですが、昭和53年から62年だと平均206回、昭和63年から平成9年で平均233回、平成10年から19年だと平均318回であります。また、1時間降水量100ミリ以上の降水の年間発生回数は、昭和53年から62年で平均1.9回、昭和63年から平成9年で平均2.5回、平成10年から19年で平均4.8回となっております。年々、豪雨は明らかにふえています。
雨の強さでいいますと、1時間50ミリ以上降るときは傘は全く役に立たなくなり、視界が悪くなりますから車の運転は危険。災害の発生状況は、50ミリから80ミリ未満で地下室や地下街に雨水が流れ込む場合があり、マンホールから水が噴出、土石流が起こりやすくなります。80ミリ以上で雨による大規模な災害の発生するおそれが強く、厳重な警戒が必要となります。降水量の変動幅は、近年大きくなっています。すなわち、大雨時はより多く、渇水時はより少なくなっています。
国土交通省によると、昭和60年から平成11年における全国の堤防の決壊などの回数ですが、大河川で128回に比べて中小河川は94%の1998回も発生しています。特に中小河川では、急勾配で流れが速く、川幅が狭いし、やはり国管理の大河川に比べて整備率が低いため、雨の降り始めから堤防決壊まで事態の進展が非常に早いです。
平成20年8月末には、岡崎市で1時間146.5ミリの雨を記録しました。平成21年8月9日、兵庫県佐用町では、町営住宅の住民が約200メートル離れた小学校へ避難しようとして川を渡り、用水路を渡ろうとしたときに流されて、多数の死者、行方不明者が出ました。既に浸水が発生しているときの避難は、かえって命の危険にさらされることになるわけであります。
平成21年11月11日には、和歌山市でも1時間に約120ミリの雨が降り続き、未明に私の住んでいる高松地区においても計約220戸の床上・床下浸水がありました。今回の雨は大丈夫であったようであります。
ことしは、はや6月に台風が来襲。去る19日には台風4号によって県内は激しい風雨に見舞われ、昨秋の台風12号で被害の出た地域中心に避難準備情報、そして約4000人に避難勧告や避難指示が出され、約390人が実際に避難しました。昨年の教訓を生かして早目に避難された方も目立ったと言います。
ことしは一体何回豪雨に襲われるのやら。いつも大雨が降ってくると本当に気が気ではありません。中小河川や用水路の多い和歌山県での豪雨による大水害対策も、地震・津波対策と同様、いろんな場合を想定して事前のシミュレーションを考えておきたいものです。
そこで質問ですが、1つ目、用水路や中小河川は、日ごろ子供たちの遊び場にもなっております。一たび雨が降るとすぐに増水して、水に流されたり、おぼれたりすることがあります。平成23年度からの農林水産省の国営総合農地防災事業における和歌山平野、受益面積3754ヘクタールに及ぶ治水・排水対策の進捗状況を農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 農林水産部長増谷行紀君。
〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 国営総合農地防災事業「和歌山平野地区」は、紀の川中下流域の農業用用排水施設の排水機能を回復させ、県下有数の農業地域における湛水被害の解消を図ることを目的としております。
農林水産省南近畿土地改良調査管理事務所において、平成23年度に地区調査に着手、現況把握、技術的、経済的妥当性を検討し、事業計画を策定すべく、現在、計画内容の取りまとめを行っております。
去る3月28日、和歌山県、関係3市、土地改良区で組織する事業推進協議会を設立いたしました。また、国からの意向照会に対して、関係機関に確認の上、5月10日に全体実施設計への移行に同意いたしました。平成25年度に全体実施設計、平成26年度に着工となるよう、6月6日、7日には県から政府提案を、また18日、19日には事業推進協議会から国に対し要望を行ったところでございます。
けさも事業の対象区域である和歌山市内の和田川流域で広範囲に冠水被害が出ておりますが、関係機関との連携を一層密にし、一日も早い事業の促進に取り組んでまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 和歌山市、岩出市、そして紀の川市と3市域に及ぶ和歌山平野には、特に急勾配で天井川の、まとまった雨量時にはすぐに増水する中小河川が複数ある。そして、連動する六箇井等用水路の水かさに大いに影響を及ぼしております。地域の治水対策のため、ぜひこの国営総合農地防災事業を大いに推進、活用していただきますようお願いいたします。
次に、2点目でありますが、過去にもはんらんの歴史を持つ県の主な中小河川である七瀬川、住吉川の改修による浸水・排水対策の進みぐあいを、県土整備部長、お示しください。
○議長(山下直也君) 県土整備部長尾花正啓君。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 中小河川、特に浸水被害の多い紀の川の支川につきましては、大幅に予算を増額して改修に取り組んでおります。
七瀬川では、川幅を広げるとともに川底を掘り下げることにより、洪水を安全に流すことができるよう改修を進めております。現在、紀の川合流点の鴨井樋門から鴨居川合流点までの約1.6キロの区間で重点的に改修を実施しており、この区間の用地につきましては約8割が取得済みであり、国で施工している鴨井樋門の改築とあわせ、順次改修を進める計画としております。
また、住吉川につきましても、川幅を広げるとともに堤防を築くことで洪水を安全に流すことができるように改修を進めております。現在、紀の川合流点から国道24号までの約1.7キロの区間で重点的に改修を実施しており、この区間の用地につきましては約9割が取得済みであり、下流から約0.6キロは改修が完了しております。
今後とも、残る用地取得と工事進捗を図り、七瀬川及び住吉川の早期完成を目指してまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 それでは、3点目に行きます。
平成21年8月の兵庫県佐用町の水害のように、夜間の避難中に用水路の水に流されて大災害に及んでしまうこともあります。付近に中小河川、用水路の多い地域では、適切な避難勧告等が、住民の生命を守るため、大きな役割を担っております。
昨年の台風12号での教訓を踏まえた県の避難対策の取り組みについて、危機管理監にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 危機管理監。
〔半田和雄君、登壇〕
○危機管理監(半田和雄君) 中小河川、用水路の多い地域での避難対策についてでございますが、市町村が発令する避難勧告等は、できるだけ住民の避難行動につながるよう、基本的には、人的被害の発生する可能性が明らかに高くなった段階で発令されるものでございます。市町村においても夜間の避難行動の危険性は広く認知されており、その点にも留意の上、避難勧告等の発令を行っております。
紀伊半島大水害では避難所の浸水被害が発生したため、専門家の意見を踏まえた上で新たな避難所の見直し基準を策定し、市町村とともに見直しを実施し、去る5月8日に公表いたしました。
災害対策基本法では、市町村長が1次的に災害に対処する責任を負っておりますが、県としては、内閣府から示された避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインを参考に市町村が発令基準を定めるよう助言してきており、さらに、市町村がより適切な発令基準を定めることができるよう、モデルとなる基準の検討を進めているところでございます。
また、市町村が適切に避難勧告等を発令できるよう、市町村に対し、河川のはんらん危険等情報、水位情報、ダム等放流情報、気象庁から送信されます警報等の発表情報について提供しております。
さらに、気象予測、降水予測などが市町村の避難勧告等の発令の判断材料として大変重要な情報であることから、国に対しても、さらに正確かつ迅速な予測情報を気象庁として正式に提供するよう、県から提案、要望を行ったところでございます。
今後とも、市町村が適切な避難勧告等を発令できるよう、県としても市町村とともに積極的に取り組んでまいります。
以上でございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 ちなみに、今般の台風4号における避難勧告や避難指示で、対象地区の指定避難所への避難率は、那智勝浦町で13.7%、新宮市で6.8%であったそうです。大事に至らなかったからよかったものの、梅雨どきで、きのう、きょう未明のように、今後、断続的に降り続く雨で地盤が緩んだ状態は続くかもしれませんから、引き続き警戒と、避難勧告が出れば早期の避難が重要でありましょう。避難勧告や避難指示が出ている地域というのは、まさにそのときはてんやわんや状態だと思いますが、台風12号による大水害時の教訓もありましょう。ぜひ県、市町村の連携をさらに密にとって対処いただきたいと思います。
そして、4点目ですが、大雨時の避難の際、注意すべき点として、土砂災害の場合は、土砂災害の危険地区を横切らないように山を背にして地形が低い方向に向かって避難する、浸水のときは、川に近づかないように地形が高い方向へ避難する、避難の途中で道路が冠水しているときはマンホールや側溝などに足をとられないように気をつけるといったことが考えられます。日常、自分の住まいする周辺地域を特に雨の降っている日に歩いておくとかいった事前のチェックは必要であります。
土砂災害時、あるいは浸水災害時、また台風12号時のように浸水災害と土砂災害が同時に起こる災害時と、避難の仕方がそれぞれ異なってきます。状況によってきめの細かい対応ができるよう、ふだんからの避難訓練や、具体的で迅速な避難勧告・指示を出していただけるよう、市町村へさらに注意を喚起いただきますよう要望さしていただきます。
4点目ですが、小・中学生の留年についてであります。
橋下徹大阪市長が、学力レベルが目標に達しない小・中学生を留年させることを検討するように大阪市教育委員会に指示しています。朝日新聞アスパラクラブでの全国の会員2458人からの回答によりますと、小・中学生の留年に賛成は17%、条件つき賛成は35%、反対派48%となっています。
賛成派の意見として、「勉強がわからないままではかわいそう」とか、「成長の速さが違う子供を一律に進級、卒業させるのは無理がある」、条件つき賛成派では、「チームティーチングや補修授業といった環境をまず整えてから」という声があります。反対派では、子供の心の負担やいじめを心配する声が多いようです。
確かに、日本の学校システムは、たとえ成績が悪くても、そのまま進級や卒業をさせてしまうという問題点があると思います。ヨーロッパでは、個々の習熟度に応じて、科目ごとに臨機応変に、教師と生徒、保護者が学ぶ時間を主体的に選択できるようにすべきというのが趣旨であると尾木直樹法政大学教授も言われております。
ユニセフによる子供の幸福度調査で2007年に1位になったオランダでは、みずから道を選び、決めていく自律性の育成を大切にしています。科目単位で多くの生徒がみずから留年を選択し、学力を高めるシステムがあります。
子供の意思というものも十分尊重しなければなりませんが、私は、基本的に義務教育期間中の留年は反対であります。留年せずに済むように指導するのがまず第一に教師の務めであると思いますし、日本では、悲しいかな、もし留年すると落第者と見られて子供心を大きく傷つけるでしょう。いじめが発生することも十分予想され、不登校を助長することにもなりかねないと思います。
勉強に限らず、子供にはさまざまな得手不得手があるはずであります。そこを大切に育て上げることも必要でしょう。また、それぞれ家庭の事情が子供をそうさせていることもあるでしょう。家庭、保護者の同意も必要であります。
欧米でも、20年、30年前から留年については問題化されており、近年、留年が減っている傾向になってきています。OECDも、この2月、留年を廃止する提言を出しています。
そこで、教育長へ4点にわたって質問させていただきますが、1つ目、学力が不足していることによって小・中学生を留年させることについて教育長はまずどうお考えですか。
○議長(山下直也君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 小・中学生のいわゆる留年につきましては、議員御指摘のように、国の内外でさまざまな考え方やシステムがあることは承知いたしておりますが、子供たちや保護者の気持ちなどを踏まえても、学業成績を理由に留年させることは好ましくないと考えてございます。
県教育委員会としましては、小・中学生を留年させるという考え方を導入するよりも、まず学校はさまざまな創意工夫を凝らして、すべての子供たちにしっかりとした学力をつけ、それぞれの子供の可能性を存分に伸ばすことに全力を尽くすべきであると考えてございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、生徒が学ぶことをあきらめたり放棄したりしないよう、また、当該学年の学習内容を身につけさせるためにどんな取り組みをされておられますか。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学力保障のための取り組みについてでございますけども、すべての小・中学校では、子供たちが意欲を持って学習できるように、少人数に分けて指導したり先生が複数で授業を行ったりするなど、指導方法等の工夫、改善に取り組んでおります。
さらに、授業の中でつまずきの見られる子供1人1人に応じた支援を行ったり、放課後や長期の休みなどを利用してわからないところをわかるまで教えたり、疑問や質問にできるだけ丁寧に答えたりする補充学習を行い、わかる喜び、できる喜び、伸びる喜びを実感できる指導に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 3点目に、長期の不登校や授業をほとんど受けていないために学校の学びができていない子供には、どのような指導を施しますか。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校において学びが十分できていない子供に対する指導についてでございますが、長期の不登校で学校を欠席している子供には、それぞれの実情を踏まえながら、家庭訪問を繰り返し、創意工夫を凝らした課題を与えるなど、子供や保護者の願いにこたえるためにできるだけ丁寧な指導を行っているところでございます。
一方、さまざまな理由によって学習意欲に欠け、授業に参加しようとしない子供に対しては、興味、関心が持てる授業づくりに全力を挙げるとともに、子供に寄り添いながら、その子供に応じた声かけや励まし、きめ細かな個別指導を行うなど、授業への参加を促すための粘り強い取り組みを進めているところでございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 当然のこととして、その子供の家庭の協力と理解があってこそ改善されるものと思いますので、保護者と学校教師とのコミュニケーションも密にしていただきたいと思います。
4点目ですが、東京都には、小・中学校で不登校等、学校になじめなかったり、高校で中退等を経験したが、自分の夢や目標に向かってもう一度初めからチャレンジしようというチャレンジスクールや、学校は好きだが、これまで自分の能力を十分に発揮できなかった生徒のやる気を育て、頑張りを励まし、社会生活を送る上で必要な基礎的、基本的学力をしっかり身につけようというエンカレッジスクールがあります。
エンカレッジスクールは、全日制普通科高校の中から東京都教育委員会が指定しています。
チャレンジスクールは、午前、午後、夜間の3部制で、生徒の生活環境に合わせて選べます。1日に45分間の4時間授業が基準、単位制、無学年制なので、自分の学習進度に合わせて3年間または4年間で卒業でき、1クラス定員は30名となっています。
片やエンカレッジスクールは、エンカレッジ、まさに励ますとか力づけることを意図したもので、1年次の授業時間は、1時間目から3時間目は英数国などを中心に30分授業、午後は体験学習や選択教科学習で、習熟度別少人数制で、1クラス2人の担任制で、中間・期末テストがなく、日々の努力を評価するということです。現在、5つの都立高校がそれであります。中1レベルからの学び直しをしてくれるということで、学校によっては入試の際の倍率が都立高校の上位に入る高校も出ているということであります。
これも一方で、世間の先入観や教師のモチベーションの問題、生徒の素行など、いろんな問題を抱えているようでありますが、小・中学生の留年問題とも関連して、東京都のチャレンジスクールやエンカレッジスクールのような本県のお取り組みについて、教育長のお考えをお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県では、チャレンジスクール、エンカレッジスクールと銘打ってはおりませんけれども、学び直しや基礎学力の定着など、同じような考え方に基づいた定時制課程と通信制課程をあわせ持つ学校を県内3カ所に設置しております。生徒のやる気を引き出し、励ましながら力をつけることが大切であることから、これらの学校では、昼間部を置くとともに、生徒の能力、適性等、個々の実情に対応したシステムを導入しているところでございます。
また、全日制課程においても、各学校が多様な生徒の状況に応じた学びができるよう、義務教育段階での学習内容の確実な定着を図る学び直しの時間を設定するなど、教育課程編成において工夫した取り組みを進めているところでございます。
○議長(山下直也君) 長坂隆司君。
〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 4点にわたってお答えいただきました。
小・中学生時すなわち義務教育の期間中は、学力を身につけることはもちろん大事ですが、人間力とか社会力の基礎を培う大事な時期でもあります。まずは家庭での対話、そして学校での教師や友人とのコミュニケーション、それと子供たちから発するさまざまなシグナルへの気づき、こういうことが大切だと思います。
教育長の御見解をお聞きして留年はないと安心しましたが、不登校生徒や学びを放棄しかけている子供には、どうか教師のほうから進んで声をかけていただくべく、そんな取り組みを要望させていただきまして、私の質問を閉じさせていただきます。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 質問に先立ち、沖縄においての話をさせていただきたいと思います。
先日、新宮市の熊野速玉大社が中心となってつくられた会である世界平和の木「梛」顕彰委員会が、「世界平和の祈り『梛』沖縄と熊野をつなぐ平和の木」と銘打ち、沖縄県本土復帰40周年を記念して、平和を祈る心が未来につながるようにという願いを込めた式典を行いました。
会場は、沖縄県豊見城市にある県立南部農林高等学校の校庭、ナギの木の前につくられた特設ステージでした。沖縄と和歌山県両県からゆかりのある約250名が参列し、平和への祈りがささげられました。そこに私も参加をしてまいりました。
さて、新宮にある顕彰委員会がなぜ遠く沖縄のこのような場所でこのような式典を開催したのか。これには1つの物語がきっかけとなっております。
今から40年前、当時64歳の香川県の植木職人であった山地義一さんが、熊野三社の御神木で平和の象徴として知られるナギの木の苗500本を種から育てて、本土復帰の記念として沖縄県下の各学校へ植樹することを思い立ちました。この山地さんの思いを受けて全日本空輸株式会社の協力などで沖縄に運ばれたナギの苗は、2年ほど仮植えをして沖縄の風土にならしてから各校に植樹する予定と、当時は大きく報道されたそうです。
この美談を父である先代宮司から聞かされていた現宮司は、かねてからこのナギの行方が気になり、ぜひ見てみたいと考え、平成3年ごろから沖縄に渡り、木の調査を始めました。ところが、全くその後の状況がつかめず、長年にわたり何度も沖縄を訪ねては手がかりを探し回ったそうです。
苦労のかいがあって、ようやく平成22年に沖縄県立北部、中部、南部の各農林高等学校の校庭で発見をすることができたとのことです。いずれの木も、沖縄の強い日差しや風に負けず立派に育っていたことに感激をした宮司が、この美談を世間に知ってもらいたい、ナギの木を大切に育ててくれた感謝の気持ちをあらわし、沖縄の恒久的な平和を願いたいという思いで本土復帰の節目の年にこの式典開催を考え、準備に努めてこられたとのことです。
新宮のナギの木が、山地さんを初めとする大勢の人たちの御尽力と善意により、遠く離れた沖縄とのきずなを深めるきっかけとなったことは、まさに40年の軌跡としか言いようがありません。
沖縄は、今もなお戦争の傷跡が色濃く残っておりましたが、そこでお会いした方たちは実に明るく、遠方から駆けつけた私たちに大変親切な対応をしていただきました。
県議会議員となって1年が経過したタイミングでの沖縄訪問は、命のとうとさ、平和の重要性、人を思いやる気持ちを再認識させていただき、今後の議員活動への指針に大きな影響を与えていただけたものと思います。沖縄の皆様が一日でも早く平和を実感できる日が来ることを願うと同時に、これを機に沖縄と和歌山の交流が深く、長く続くことを期待しています。
では、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
1つ目の大きな項目、台風12号の復旧・復興についてであります。
1つ目、熊野川の国直轄区間の拡大について。これは要望であります。
昨年の紀伊半島大水害から早くも10カ月が経過しました。今週も台風4号の直撃を受けた新宮や那智勝浦地域では、一部地域で避難勧告が発令された中、暴風と、新宮市高田地区では時間雨量は約60ミリ、総雨量で250ミリの豪雨に見舞われました。幸いにして大きな被害はなかったとの報告でしたが、安心するのもつかの間、台風5号による激しい雨に、土砂災害に警戒がなされました。大雨が降ると昨年の水害の恐怖にさいなまれる住民も多く、不安はなかなか払拭できません。
今議会では、高田議員より県管理河川の土砂撤去や熊野川の利水ダムの治水的な運用についての御質問に対し、知事より国に支援を求めていくとの御答弁がありました。私も、同様に12月と2月議会においてお尋ねをし、知事より前向きな御答弁をいただき、今日を迎えております。
その後も、知事初め、県と地域が一体となっての要望活動の結果、熊野川河口より上流に向かって5キロメートルの範囲は国の直轄区間として、約200億円の予算のもと、5年間で約460万立方メートルの土砂を撤去する河床整備計画が実現したことは大きな前進であります。
また、上流ダムの運用規定の件につきましても、電源開発株式会社、国、3県で構成されたダム操作に関する技術検討会の中間結果を踏まえ、台風による大規模出水が想定される場合において、出水規模に応じて、池原ダムで1メートルから3メートル、風屋ダムで1メートル水位を事前に低下させ、空き容量を確保するとのことです。知事を初め、県関係者の要望活動のたまものであり、評価と感謝を申し上げます。本年の出水期から暫定運用を開始し、その効果、課題等を踏まえ、引き続き技術検討会において実施内容を検討することとなっております。
このたびの決定は画期的で、一歩前進したことは事実でありますが、地域からはもっと治水機能を高めてほしいとの声がなおも多く、今後の検討委員会での検証や議論にも、さらに声を強めていただきたいと思います。
以上のように、大水害からの復旧・復興事業に御尽力をいただいているところではありますが、それらの事業を進めていく上で1つの大きな課題があります。それは、熊野川の管理者がそれぞれの3県に分散しているため、足並みをそろえるために時間がかかり、はかどらない現状があるということです。
そこで、ことし4月、新宮市の要望活動に私も同行し、知事や近畿地方整備局、県選出の国会議員、国土交通省を訪れ、1級河川である熊野川の国直轄の範囲を、現在の河口から5キロメートルの地点から、さらに約20キロメートル上流の熊野川町宮井付近まで拡大してもらうよう要望いたしました。
その2日後、知事がじきじきに国土交通省に出向かれた際、その件でも要望を行っていただいたとの報告を受けております。また、25年度の国への要望の中にも加えていただきました。心から感謝を申し上げます。
国直轄管理を要望する背景には、熊野川の位置関係があります。三重県と和歌山県の県境が川の中心にあるだけではなく、上流へ行けば奈良県にも接しています。河口5キロメートルより上流は、河川法により、昭和45年より和歌山県及び三重県が指定管理を行ってまいりましたが、今回の水害による堆積土砂の撤去作業や河川整備を行うにしても、1つの県だけで行うわけにはいかず、その都度、各県との調整作業が必要となります。箇所によっては、双方の県において被害状況や復旧を優先すべき地域がほかにあるなど、状況の違いで調整が難航するケースもあるようです。このような状態が続き、今後の出水への対応としての堆積土砂の撤去作業がおくれることは、ひいては人災となってしまいます。
そこで、それぞれの時間的、物理的な問題を解消するため、熊野川に関しては国直轄管理に変更していただくのがベストではないかと考えております。堆積土砂撤去とダム治水の両事業とも、今後も行方は注視する必要がありますが、県当局には、引き続き早期に効果が発揮できるよう、国に対する働きかけへの御協力をお願いする強い要望とさせていただきます。
このまま、ここで続けさせていただきます。
次に、国道168号の復旧工事の進捗状況と完了のめどについてお尋ねをいたします。
土砂崩れや激流で護岸が大きく削り取られた国道168号は、現在も多数の箇所で台風のつめ跡が残されております。台風4号に際しましても通行規制が行われました。
また、被災から約10カ月経過した現在でも、県、建設業者の懸命な復旧作業に御尽力をいただいているところではありますが、被害の大きさからなかなか以前の状態には戻っておらず、新宮から本宮方面を結ぶ唯一の幹線が全面復旧していないことで、特に緊急搬送を初めとする住民生活や物資の輸送、紀南地域の主要産業である観光業などに大きなダメージを与えていることは否めません。一日も早い本格復旧が望まれます。
県の復旧・復興アクションプログラムでは、道路や河川の本格的復旧を24年度末までに全体の95%を完成させる目標設定がされています。さきの12月議会においても知事から復旧に向けた心強い御答弁をいただき、現在、新宮建設部管内においても、道路や橋梁、河川、砂防、海岸など、多くの工事が発注され工事が進められていますが、168号における現在の復旧工事の進捗状況と完成のめどについて、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(山下直也君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
県土整備部長尾花正啓君。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 紀伊半島大水害により、国道168号につきましては、国道42号交差点から奈良県境までにおいて25カ所が被災したため、現在、早期復旧に向け、全力を挙げて取り組んでおります。
復旧工事の進捗状況ですが、被災した25カ所のうち既に3カ所が完成しており、ことしの秋ごろまでに15カ所を完成させ、片側交互通行規制7カ所を3カ所に減らします。年度内にはさらに4カ所を完成させ、合わせて22カ所が完成することになります。また、通行規制も1カ所にする予定でございます。
残る3カ所につきましては、大規模工事である高田地区と渇水期施工が必要な南檜杖地区内の2カ所であり、完成までに長期間を要するため、平成25年度中の完成となる見込みでございます。
なお、ことしの夏ごろには各復旧工事が最盛期を迎え、現状よりも通行規制箇所が一時的にふえることになりますが、地域の皆様方の御理解と御協力をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。県と建設業者の御尽力を改めてお願いし、一日も早い復旧を期待しております。
次に、そのような国道168号の現状を踏まえ、災害の影響を受けない迂回ルートの強化について質問をさせていただきます。
昨今の気候変動を見て、予測し得ない雨が降ることを我々も日ごろから心得ておくことが教訓として残されました。そして、季節外れの台風やゲリラ豪雨など、このような気候変動に対応する道路の整備が必要不可欠であります。
特に、長年にわたり地域高規格道路として整備されてきた国道168号でありますが、台風豪雨による土砂災害や河川のはんらんなどの水害により、一晩でずたずたになってしまったり、土砂崩れの懸念から豪雨時には通行どめになるなど、安全性や確実な走行が担保されているとは言えません。地域の元気や活気を取り戻すためには、いかなるときでも通行ができる強靱な道路が将来的にも必要です。
昨年の災害で、唯一、トンネル部分は比較的災害が少なかったことから、これ以上山を切るような道路整備は限界があり、今後、トンネルを多く取り入れることの必要性が表面化したのではないでしょうか。
現在、懸命に国道168号の復旧を進めるとともに、のり面強化やトンネル整備による防災対策の強化が行われていますが、それでも、今後も災害に見舞われるたびに通行どめになることも予想されます。また、高田から佐野を結ぶ道路が市や地域住民の長年の要望事項となっております。
そうした中、現実的な対応として、国道168号が被災した際にも迂回できるルートを強化する必要があると考えますが、このことについて県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 国道168号は、紀伊半島大水害による土砂崩れや冠水で長期間にわたり交通機能が麻痺し、孤立集落も発生しました。幹線道路における防災対策強化の必要性を改めて痛感したところでございます。
この国道168号は、言うまでもなく、紀伊半島を縦貫する幹線道路で、地域高規格道路としてこれまでも重点的に整備を進めてきたところでございます。また、現在も、災害復旧事業に加え、日足道路及び本宮道路における改築事業やのり面強化など、防災対策を集中的に実施しております。
また、議員御指摘の迂回ルートの強化は、リダンダンシー確保の観点から必要であると考えます。このため、三重県や新宮市とも協力しながら、既存の県道、市道、林道を活用して多重な道路ネットワークの確保に努めてまいります。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
強化に御尽力をいただいている国道168号が以前に比べて格段の進化を遂げていることに対しましては、特に議員になってから和歌山市と新宮市を往復することがふえましたし、そのたびにありがたみと御尽力の効果は強く感じているところです。
しかしながら、昨年の12号台風に限らず、暴風雨に見舞われるたびに通行が制限されたり、また復旧工事が必要となり、それに伴った費用も発生します。何より、警報が発令されたり増水のために通行の規制がかかると、高田や熊野川町に住む方たち、働いている方たちは身動きがとれませんし、身内や知り合いの方の身を案じて様子を見に行きたくても行けません。まして土砂崩れなどが発生すれば、たちまち孤立してしまうわけです。
昨今の豪雨により、見た目ではわかりにくいですが、山の状態は徐々に崩れやすい状態にあると考えられます。先ほどの御答弁にもありましたように、川をえぐられたケースでは復旧にもかなりの時間を要します。このような道では、「命の道」ならぬ「命がけの道」と言われても仕方がありません。
熊野川町や本宮、高田地区や檜杖地区が自然災害におびえる地域のままでは、活性化や発展に力を入れようと考える以前に人が住まなくなってしまうかもしれません。人口減少、少子高齢化を打破するため、そして他地域からの移住や定住を促進するためには安心・安全な地域にすることが前提であり、そのためには、自然災害に影響を受けない、そして少しでも時間を短縮できる道路は必要不可欠であると考えます。
決してすべてを県に押しつける課題ではないと思います。国や市とも力を合わせて目的達成のために取り組むべき課題だと考えますので、どうか今後とも建設的な議論をお願いしたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。これは要望とさせていただきます。
続きまして、大きな項目2つ目の高速道路についてお尋ねをします。
1つ目、近畿自動車道紀勢線の整備計画についてであります。
近畿自動車道紀勢線の整備は、地域住民にとって国土軸との直結を意味するものであり、大きな期待を抱くものであります。
そんな中、国の地震対策の見直しによる地震浸水区域の大幅な変更を契機に、ようやくことし4月6日、近畿地方整備局から、県内の未整備区間であるすさみ─太地間、新宮─大泊間の計画段階評価に着手するとの報道がなされました。地域としまして大きな一歩と評価いたしますが、今後の取り組みについて知事のお考えをお伺いします。
○議長(山下直也君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 近畿自動車道紀勢線のミッシングリンクの解消につきましては、これまでもあらゆる機会をとらえて国に強く働きかけてまいりました。平成19年の中期計画で、もうちょっとで事業化ができるところまで持っていっとったんですが、残念ながらいろんな政治的情勢でだめになってしまいました。これはいかんと思っておりましたが、このたびようやく進展があったということであります。
本年4月、未事業化区間であるすさみ─太地間及び新宮─大泊間について、計画段階評価のための調査に着手する旨の発表が政府からありました。我々の悲願であります紀伊半島一周高速道路の実現に向けて、大きく前進したわけであります。
言うまでもなく、近畿自動車道紀勢線は、県民の将来のチャンスを保障するものとして、さらには昨年の紀伊半島大水害で痛感したように大規模災害への備えとしても、その整備は喫緊の課題と思います。
県といたしましては、今はこの計画段階評価のための調査ですから、この計画段階評価を速やかに終了して、ぜひとも来年度に新規事業化してもらうように、県議会の皆様とともに全力で国に働きかけてまいろうと考えております。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁、ありがとうございました。
続きまして、熊野川河口大橋と市内アクセスについてお尋ねをいたします。
近畿自動車道紀勢線が整備されるということは、必然的に地域が待ち望んでいた熊野川河口大橋が現実となることを意味します。関連する市町村の首長を初め、議員などの行政と、橋の建設を促進する各会のメンバーらで構成される熊野川河口に橋を架ける会や各協議会を初め、地域の人々は、県境をまたがった現大橋を挟み、慢性的に発生する渋滞の解消、産業振興、地域の活性化、三重県と和歌山県の連携を強化するべく、まさに両県のかけ橋実現に向けて国や県への要望を続けてまいりました。
平成20年、那智勝浦新宮道路の完成に、新宮市を起点にして田辺や三重県へといよいよ高速道路でつながっていくものと大きな期待が膨らんだやさきの民主党政権誕生。これで苦労も水の泡とあきらめる住民もおりました。しかしながら、震災や津波、台風水害が命の道の重要性を証明する結果となり、ようやく事業化に向けての一歩を踏み出しました。
河口大橋の実現が現実味を増した今、地域住民が利用しやすい、また、観光客等が立ち寄りやすい道路を求める声も上がっております。
つきましては、熊野川河口大橋と市内へのアクセスを円滑にするための計画について、県土整備部長にお伺いします。
○議長(山下直也君) 県土整備部長。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 熊野川河口大橋を含む近畿自動車道紀勢線新宮─大泊間につきましては、現在、計画段階評価を進めるための調査が実施されており、アンケート調査などを通じて皆様方からいただいた意見を反映する形で、ルートや構造、インターチェンジ位置の検討などが進められることになります。
議員御指摘の市内からのアクセスにつきましては、これまでも新宮市から、インターチェンジ配置などに配慮し、生活道路としての機能も兼ね備えた道路とするようにと要望いただいているところで、県としましても、こうした市の意見や今回のアンケート結果等も踏まえて、地域の意見が十分反映されるよう国に働きかけてまいります。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、次に3つ目の大きな項目、紀乃國之塔について質問させていただきます。
1つ目、紀乃國之塔と慰霊の取り組みについてであります。
冒頭お話しをした沖縄滞在中、沖縄県糸満市にある紀乃國之塔を訪れました。有名なひめゆりの塔にほど近いサトウキビ畑の間の道を進んでいくと、他府県の慰霊塔が幾つも隣接する場所があり、紀乃國之塔は一番手前の位置にありました。
太平洋戦争末期の昭和20年、沖縄諸島に上陸したアメリカ軍を主体とする連合国軍と日本軍との間で行われた沖縄戦、第2次世界大戦における日本国内での最大規模の陸戦であり、また日米最後の大規模戦闘となったわけですが、この戦いで失われた命は、日本側死亡者は一般住民も含めると18万8136人、そのうち県外出身の日本兵戦死者数は6万5908人、そのうちの908人が和歌山県出身と言われています。
また、沖縄から南西に広がるいわゆる南方諸地域の戦いでも1万8926人もの和歌山県出身者の方々が亡くなられており、これらの戦没者を合わせて慰霊するため、昭和36年、紀乃國之塔が建立されたとのことです。
沖縄訪問が初めての私は、慰霊塔の存在を知りませんでした。それどころか、これほど多くの和歌山県出身戦没者がおられることさえ知りませんでした。自分たちの今日はこのような戦没者の犠牲のもとに成り立っているにもかかわらず、認識が薄い自分が情けなく思え、心からのおわびの気持ちと感謝の気持ちで慰霊塔に手を合わさせていただきました。
塔のある敷地内には幾つかの石碑が立てられており、その中には建塔20周年に当たる昭和57年に塔の改修整備を記した石碑もありました。当時の仮谷知事を初め、下川舜三議員や、当時県議会議員であられた二階俊博衆議院議員や大江康弘参議院議員など、当時の県議会の先輩方が刻まれています。また、その中には、門三佐博議員や、平木哲朗議員の父・平木繁実議員や岸本健議員の父・岸本光造議員のお名前もありました。
私は、この石碑を見たときに、紀乃國之塔と県の現在の関連が気になりました。
そこで、知事にお尋ねします。
紀乃國之塔を通じて県民や国民に戦没者への慰霊の心を深く浸透していただくためにはどのような取り組みが必要だとお考えか、お聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀乃國之塔は、沖縄及びフィリピン、インドネシアなど、南方諸地域での2万人近くに及ぶ本県出身戦没者の慰霊塔であります。紀乃國之塔では、例年11月に県出身戦没者の追悼式が行われております。濱口議員におかれましては、よく行っていただいたと感謝をしております。
追悼式は、かの地で命を落とされた多くの方々の御冥福をお祈りし、平和をお誓いする大切な機会であると考えます。和歌山市で5月5日に行われます県全体の慰霊祭には、私自身、毎年参加をさしていただいておりますが、こういう気持ちで臨んでおります。
この戦没者追悼式は、本年度までは和歌山県遺族連合会主催で開催されておりましたが、来年度からは県が主催して行うということにさしていただこうと思っております。
恒久平和を祈念するため、心を新たにして、これからもこの塔を大事にしてまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 それでは、もう1つお聞きします。
現在、紀乃國之塔の管理はどのような形で行われていますか。福祉保健部長にお尋ねします。
○議長(山下直也君) 福祉保健部長山本明史君。
〔山本明史君、登壇〕
○福祉保健部長(山本明史君) 紀乃國之塔は、昭和36年2月、当時県議会文教委員であった石井純治議員、中村俊詮議員、平越孝一議員、丸山弘議員、山崎利雄議員の5氏が、沖縄及び南方諸地域で亡くなられた本県出身者が多数に及ぶことに心を痛められ、県に慰霊碑用地66平米を寄附いただいたことを受け、同年11月に建立されたものでございます。
昭和45年に隣接いたします931平米の土地を購入し、57年には慰霊碑の改修を行いました。また、平成15年10月には塔周辺の通路等を改修し、参拝いただきやすい環境を整備いたしました。
なお、清掃や献花など、塔の維持管理業務につきましては、財団法人沖縄県平和祈念財団に委託しているところでございます。
以上でございます。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
戦争は、国と国との争いに多くの命が失われます。日本でもそのような悲惨な戦争が行われた事実、平和のありがたみや命のとうとさを知る上で、決して風化させてはならないことだと感じます。この紀乃國之塔には、ぜひ県民の皆様も機会があれば訪れていただいて、自分たちだけではなく、子供たちや将来の人たちにもつないでいただきたいと心から願うものであります。
このまま次の質問に移らしていただきます。
最後、4番目、紀南地域の観光振興についてであります。
1つ目、今後の誘客方針について。
4月23日には、和歌山県観光振興実施行動計画「観光振興アクションプログラム2012」が発表されています。内容を見ますと盛りだくさんな内容となっており、まことに頼もしいものと感じております。
今後、平成25年の伊勢式年遷宮や平成26年の世界遺産登録10周年、平成27年には紀の国わかやま国体や高野山開創1200年などがメジロ押しとなっており、アクションプログラムにおきましても、これを契機に誘客を促進するための活動や仕掛けづくりへの取り組みが掲載されております。
その目玉事業として、JRグループとのタイアップによる和歌山ディスティネーションキャンペーンを中心に、本県への誘客対策が行われようとしています。
こういった具体的な活動が見えつつありますが、観光振興施策において、今後の誘客対策の方針について知事の考えをお聞かせください。
○議長(山下直也君) 知事。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 観光振興アクションプログラムについてでございますが、ことしは「復旧、復興から挑戦へ」ということを合い言葉に、来年から3年連続いたしますビッグチャンスを最大限に活用できるように万全の準備を行う年と位置づけております。
ビッグチャンスでございますが、まず平成25年、来年の伊勢式年遷宮からの誘客については、神社関係者の団体参拝旅行を県内に誘導するために、全国の主要神社や旅行会社への訪問を中心に積極的な誘致活動を展開してるところであります。私も、各地の神社に、ぜひ伊勢遷宮の折に和歌山にもお越しくださいというようなお手紙を差し上げました。
また、一般客対策としては、伊勢と熊野のつながりなどをテーマとした情報発信を、秋以降、大いに実施していきたいと思っております。
次に、その次の年、平成26年は、世界遺産登録10周年でございます。これを契機に、「和み」をキーワードに本県ならではの特別企画の具体化と観光素材のレベルアップを図るため、特に和歌山ディスティネーションキャンペーン──これはJRに協力をしていただきまして、もう秋が和歌山がディスティネーションになるということになっとるんですが──そういうことをやっていきたいと考えております。
また、平成27年、その次の国体の年でもありますが、これは国体と並んで高野山開創1200年の年でもございます。高野山に参詣するお客様を周辺地域、和歌山の他の地域にも誘導する仕組みづくりを交通機関などと連携して実施してまいりたいと思っております。
この間、地域においては、おもてなしの向上や消費拡大につながる滞在時間を延長させる仕組みづくりといった受け地整備を、観光関係団体・事業者が総力を挙げて取り組んでいく必要があると考えております。
まだまだ現状では問題点がいろいろ指摘されております。例えば、タクシーの運転手さんや旅館の従業員さんが愛想が悪いとか、あるいは観光地で、客が歩いて楽しんでもらって施設に寄っていただくような導線がないとか、表示板がいまいちとか、そういういろんな問題がございますので、県の施策もそういうことを補っていくように努力をしますが、そういうものを活用して、地元も含めて、今後、もっと盛り上がるようにやっていきたいと考えております。
これらの国内対策に加えまして、外国人客の誘致につきましては、東日本大震災による落ち込みからの回復の兆しが見られるわけですが、さらなる誘致のために、国別の嗜好とか、あるいは旅行熟度というんでしょうか、どういうレベルにあるかというようなこともあわせて効果的なプロモーションを積極的に実施するとともに、外国語の案内表示の多言語化や、あるいはエリアパス、こういうものの利用促進など、個人旅行客向けの環境整備を行うことによりまして外国観光客の一層の増加を目指していきたいと思います。
このような国内外の取り組みを核に、アクションプログラムの「和歌山を売り出す」、「和歌山へ招く」、「和歌山でもてなす」に盛り込んでいる多彩な事業を効果的に展開することで本県への観光客の新たな流れをつくっていきたいと思っております。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事からは心強い意気込みをいただき、今後の観光振興に大いに期待をするところであります。
さて、次に、伊勢式年遷宮に焦点を当ててお尋ねをします。
式年遷宮に関連する行事は、平成25年のメーン行事に向けて、もう平成17年からいろいろな行事が始まっているようですが、ただいまの御答弁にもありましたように、知事、また熊野三山の宮司の連名による「伊勢式年遷宮を機に和歌山へもおいでください」という旨の誘客文書が全国の熊野末社に送られ、また主要な熊野神社へはじきじきに観光課の職員らが足を運び、いわゆる営業活動に力を注がれています。
では、一般の参拝者や団体に対してはどのような誘客施策を展開されているのでしょうか。特に、団体旅行者の誘客には、早い段階での計画的な誘致活動が必要かと思います。伊勢式年遷宮への参拝客誘客施策の方向性について、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長大門達生君。
〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 伊勢式年遷宮への参詣客の熊野三山への誘客施策についてですが、団体参詣を行う神社関係者に対しましては、4月に全国の神社庁並びに社務所を有する神社2000社余りに知事名で案内状を発送し、6月から、熊野三山に御紹介いただいた全国の主要神社並びに神社庁を順次訪問しております。
また、一般の参詣者、団体に対しましては、ことし秋以降、全国JR主要駅でのポスター展開やプレスツアーを実施するなど、近世、「伊勢に七度、熊野に三度」とうたわれた伊勢とのつながりを強調した露出を高め、認知度向上と旅行動機の喚起を図ってまいります。
さらに、旅行会社に対しましては、モデルコースの提案や現地研修ツアーを実施し、旅行商品化を図ってまいります。
以上です。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
続きまして、3つ目、誘客の手ごたえ、目標についてであります。
伊勢式年遷宮には約1100万人の参詣者があると言われており、その1割でも約100万人の来訪が見込めます。仮に1人1泊1万円の宿泊と仮定しますと、100億円の県内への経済効果が見込まれます。
1年前の6月議会においても同じ内容で質問をさせていただき、商工観光労働部長より誘客促進への取り組みなどの御答弁をいただいたところですが、その後の活動の成果を踏まえ、熊野地域への誘客について、現時点での目標の設定や見込める効果、さらには手ごたえについて、商工観光労働部長に改めてお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長。
〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 誘客の手ごたえと目標の設定についてですが、まず神社関係社に対する誘客対策、特に主要神社訪問では、規模の大小はありますが、訪問するとか検討するとかいった回答を得ており、おおむねよい手ごたえを感じております。
次に、現時点での誘客目標ですが、来年は全国から1100万人を超える人々が伊勢神宮に参詣すると予測されており、県では、このうち約700万人が伊勢周辺に宿泊すると推計し、その5%の35万人以上を本県に誘導し、宿泊していただくことを目標としております。
なお、過去の伊勢式年遷宮における参詣客の動向を見てみますと、翌年も遷宮年の約9割程度の方が参詣されており、引き続き誘客対策を行うことで30万人以上の宿泊客を取り込み、結果として約165億円以上の直接消費を見込んでおります。
以上です。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
続きまして、県と地域との役割分担と今後の具体的取り組みについてお伺いをいたします。
県内への観光客誘客に当たりましては、これまでもそうであったように、当然、地域の観光団体等が主になって取り組むものであります。しかしながら、私見ですが、それぞれの市町村における観光団体は、観光不振にあえぐ中、人件費、活動費など、資金繰りに大変苦戦を強いられている現状があると思われます。
そこで、県がバックアップし、時にはリードをして地域を動かしていただくことを期待するところでありますが、県と地域の役割分担と今後の具体的取り組みについてどのようにお考えでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長。
〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 県と地域の役割分担と今後の具体的取り組みについてですが、今後、特に一般の参詣者や団体を誘客するに際して、旅行の動機づけの重要な要素となる滞在のための仕組みづくりや、訪問特典を含めたおもてなしの整備への取り組みが地域において必要と考えております。
県におきましても、地域に積極的に働きかけを行っているところですが、地域任せにするのではなく、積極的に関与し、効果が見込まれるものについてはさまざまな支援を行ってまいりたいと考えております。
こうした取り組みの成果につきましては、来年夏ごろ発行を予定しております誘客パンフレットに掲載、配布するとともに、旅行会社やメディアに対して積極的に情報発信を行い、誘客に努めてまいります。
以上です。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁いただきました。
それでは、最後、5つ目の国の天然記念物ナギの活用についてであります。
ナギという木の話はさきにも述べましたが、速玉大社の境内には、国の天然記念物に指定されている推定樹齢1000年のナギの大樹がそびえ立っています。平安末期に平清盛の息子である重盛がお手植えをしたと言われております。ナギとしては日本最大の大きさであります。
熊野神社及び熊野三山系の神社では御神木とされ、その名称が海のなぎに通じるとして、特に船乗りは海上安全、かつての熊野もうでに訪れた人たちはもうでの旅の安全祈願のお守りとして、また魔よけや平和の象徴とされています。また、特殊な繊維の丈夫な葉が両端を引っ張ってもちぎれにくいということから、縁結びや強いきずなをつくり出す葉として重宝されております。沖縄の本土復帰のかすがいとなったことで世界平和を願う祈りの象徴となったことなど、逸話はたくさん存在します。
もちろん、速玉大社以外にも、那智大社や本宮大社、青岸渡寺にも、同じように逸話にまつわるいわれのある品々が存在するのではないでしょうか。
今後のプロモーションのツールとして、パンフレットだけではなく、三山一寺のシンボル的なものをノベルティーとして作成し、パンフレットと一緒に配布するといった取り組みを検討されてはいかがでしょうか。商工観光労働部長に答弁をお願いいたします。
○議長(山下直也君) 商工観光労働部長。
〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 地域の固有資源、例えば国の天然記念物ナギを生かしたノベルティー作成などの取り組みにつきましては、地域で取り組むおもてなしの整備と考えておりますので、まず地域の観光団体、関係者において御検討いただき、その上で、必要があれば県としても地域と積極的に協議してまいりたいと考えております。
○議長(山下直也君) 濱口太史君。
〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
観光産業は、観光客が来てくれて初めて地域経済につながるものと考えております。昨年の台風被害の後遺症が残る中、一歩一歩復興の兆しが見えてはきておりますが、来るべき式年遷宮とそれに続く世界遺産10周年に向け、今後の事業展開に期待をします。
また、目標に対してのその後の検証を行っていただき、今後の取り組みに生かしていただきますようお願いを申し上げ、以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時42分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
36番岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問させていただきます。
今回は大項目4つ、1番、2番は一問一答制、3番、4番につきましては分割方式にさしていただきます。
まず、大項目1番、教育施策の活性化についてであります。
1、(1)です。ダンスの必修化には、ふるさとを愛し、きずなをはぐくむような曲などの取り組みを。
今年度から、中学校においてダンスが必修化されております。文部科学省によりますと、「ダンスは、創作ダンス、フォークダンス、現代的なリズムのダンスで構成され、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動で、仲間とともに感じを込めて踊ったり、イメージをとらえて自己を表現したりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる運動です」とされております。一応、運動というとらえ方でダンスが必修化されておるということです。
私は、この「仲間とともに感じを込めて」、そして「イメージをとらえて」について、やっぱり義務教育でありますので、和歌山県においては、ふるさとを愛し、誇りを持ってきずなを大切にする、これであるべきではないかということで質問させていただきます。
私のちょっと体験談をお話しさしていただきたいと思います。
皆さんも御存じと思いますが、全国的に有名な自由にアレンジして踊るお祭り、高知のよさこい鳴子踊りを基本とするよさこい踊りと、ソーラン節を基本とします北海道のYOSAKOIソーラン祭り、これは結構有名なんですが、私も議員になる大体16~17年前やったと思いますが、当時、伊都地方で伊青連という団体がありまして、その中で仲間と一緒に活動させていただきました。
そんな中で、伊青連はもともと、知事も御存じやと思いますが、紀北青年の家でふるさとの踊りということで、やっちょんまかせ、夏の終わりに必ずそれを盆踊りで踊るという、そういう取り組みをしておりました。
そんな中、全国的にYOSAKOIソーラン祭りが派手になっていくときに、その青少年団体のメンバーが、ああいう取り組みしたいよということがございまして、YOSAKOIソーラン祭りとかよさこい祭りを研究に行ったんです。
そのときに、北海道に行かしてもらったときに感動を受けたのが、稚内南中学校の南中ソーラン。「3年B組金八先生」でよくテレビで踊られていたと思います。これが全国でも結構有名で、まあいえば荒れて仕方がなかった中学校、この南中ソーランに取り組んで立ち直ったという有名な踊りなんですが、それに感動を受けまして、当時、伊青連の仲間と、私たちはやっぱりふるさとを愛する人づくり、心づくり、未来に誇れるふるさとづくりという目的をしてるんで、やっぱり自分とこの踊りを、よさこいという方法を使わしていただいて、そして全国に発信しようよ、そういう取り組みをしようということで、紀の国やっちょんということで取り組ませていただきました。
その節には、県初め、文化のまちづくり事業や、当時リゾート博財団でしたが、お力添えいただきまして、その後、特定非営利活動法人紀の国やっちょん振興会を設立しまして今に及んでいるところであります。
何を言いたいかといえば、やっぱりふるさとのもの、和歌山県のものをみんなで新しくアレンジしていくとか、そういう取り組みをして自分のふるさとの取り組みをするというのがやっぱり青少年には一番ふるさと意識が育つんではないか、そのように思っております。
こういう説明をしますと、どうしても今の若い生徒さんに、ちょっとダサいん違うかとか、そうなるとなかなか取り組んでもらえないということで、そういうふうに思われると思いますが、ところが、ちょっと曲のほうを紹介させていただきますと、これ、地元のことで申しわけないんですが、情報が地元のことしかまだ僕わかりませんのでお許しをいただきまして、花鳥風月さんというチームがあります。これ、地元のチームです。伊都地方の皆さんのチームなんですが、そこの、ちょっとこれ、なかなか議場でCDかけるというわけにいきませんので、言葉で話さしていただいて(「歌うてよ」と呼ぶ者あり)、いやいや、歌はちょっと音痴なんで。
歌詞を言わしてもらうと、「桜満開 庚申山 花ひらひらと かろやかに ぼたん優雅な 真田庵──これは九度山ですね──鳥のさえずり 華やかに ウキウキ キャピキャピ 笑顔まぶしい 君がいて(中略)いま咲き誇る 平成乙女 私達が巻き起こす センセーション!!」。曲調は、AKB48バージョンなんです。そういう踊りで参加したり、もう1つ、これ、九度山町の有名なチームなんですが、ここも毎年自分たちで曲をつくって、自分たちで振りつけをつくって踊ってるんですが、歌詞がすばらしいんです。
「仲間集まるこの町に 一度おいでよ 柿の町 日本一の九度山町 誰かのためとかじゃなくて 自分たちのために 思いを込めた このきずな ハアー──下手くそやね、私──恋のおり姫九度山小町 固く結んだ真田ひも」、こういうふうな歌詞、これも現代的なダンス音楽で踊るわけです。ですので、取り組みとしたら、まあ入りやすいんかなと。
ここから2つ、これもすばらしいんですが、これは今回、国体の曲をつくられましたウインズの平阪さん、橋本市高野口町でございますので、その人に昔からお願いして、この人がやっぱり和歌山の思いを伝えると能力も高くてすばらしい人なんで、その人が曲つくってくれてます。
この歌詞もすばらしいんです。「都会に憧れて 無い物ねだるより 君が生まれたこの街の いいとこ見付けて 一緒に育てていかないか? 僕らのふる里橋本は そんなに知られた街じゃないけど 僕らにとっては住み慣れた 世界で一番好きな街だから 南に高野山 西には和歌山市 北に大阪 東は奈良県(中略)できる事ならこれからも 時代にコビずに橋本らしさを貫いて みんながこの街橋本を 誇りに思える明日のために 僕らが手を取り支えあい この街橋本元気にしていこう」、これを、まあいえば激しい踊りで踊るわけなんです。
だから、歌詞にふるさとの思いが入っていて、どっちかいうと曲調が今の若い子に受け入れられるような曲にアレンジして取り組んでいけば、やっぱりふるさと意識ってすごく盛り上がっていくんではないかと、そのように考えております。
和歌山市で言わしていただいたら、「ぶんだら21」とかという曲も私聞いたことあるんですが、結構乗りのいい曲で、これは考えておられると思いますが、この間から国体のイメージソングが決まりましたということですので、じゃあ、その曲をやっぱり中学生が踊りたくなるようなアレンジを施して踊っていくというのも、やっぱり和歌山のためになるんではないか、そのように思っております。
ということで、教育長にお伺いいたします。
ふるさとにゆかりの曲でダンスを取り組むことは、ふるさとを愛し、誇りを持ち、きずなを深める大きな効果を生み出すと思います。教育長の答弁、よろしくお願いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ダンスの必修化にかかわって、ふるさとを愛し、きずなをはぐくむような取り組みをしてはどうかという御質問でございますけども、議員御指摘のとおり、ダンスが必修化されました。
このダンスにつきましては、仲間とともに気持ちを通い合わせたり、自分の思いを込めて踊ったり、それぞれのイメージを大切にして自己表現をしたりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる非常にリズミカルな全身運動であり、特に現代曲に合わせれば若者の間で男女を問わず楽しむことができるものと受けとめております。
県教育委員会では、今回のダンス必修化を契機にして、議員御指摘のようにふるさと教育の観点から、本当に生徒がふるさと和歌山を愛し、きずなが深まるような郷土ゆかりの曲などを積極的に取り入れるように各市町村教育委員会や学校に対して指導してまいりたいと思います。
私自身の経験からしても、まさに体育祭なんかで最後にぶんだらとか紀州よさこいを踊るんですけども、そのときが最も盛り上がります。一体感が出ます。そのことで、もうアンコール、アンコールが続くわけですけども、そういう本当の意味で、運動を通して子供たちがきずなを深めてお互いを大事にし、励まし合う、そういうきっかけになればというふうに考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 教育長、前向きな答弁いただきましてありがとうございます。
ちょっと御紹介させていただきたいのは、これ、稚内南中学校のことなんですが、先ほども説明さしていただいたんですが、ここに書かれているのに印象的なのが、「稚内南中学校は、全校的な取り組みはもちろん、学年ごとの取り組みもままならない困難な中にあった。そんな中でも、子供たちに懸命に呼びかけをした体育教師、1年生部会の教師たちは、ふるさとのソーランを踊ることを実現した」と。最初は、嫌々踊る子供たちもおったんですが、「それは、荒れを必死に食いとめようとする子供の健全な心の芽生えでもあった」。
それから、ここの稚内南中学校は、南中ソーランで第10回日本民謡民舞大賞のグランプリ、総理大臣賞をとっております。
私、何が言いたいかといえば、やっぱり教える先生も、「和歌山は大事にせなあかん」と、そのぐらいの馬力でやっていただくと子供たちには通じるんです。私は理屈なしやと思います。その先生の思いがきっと通じると思うんで、もうほんまに簡単なことなんですが、私、経験上、これは大きい。
だから、一番心配するのは、ダンスのときにひょっとしてアメリカの曲、義務教育で踊ってるのはええんかなと。それやったら、もうやっぱり和歌山とか地元の曲、これはもう本来日本人として当たり前の話やと思いますんで、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、2番に行かしていただきます。
小学校高学年への学級担任制を基盤とした教科担任制について質問させていただきます。
現在、学校教育において、少子化の進行による公立学校の適正規模、適正配置、そして教育システムとしては、公立中高一貫教育、公立小中一貫教育などが全国的に取り組まれていると思います。
そんな中で、私の選挙区の橋本市では、私、昨年当選さしていただいて、その前は市会議員でございますので、そのころに橋本市はこの3つが同時進行しているという状況にありました。だから、わかりやすく言うと、学校の統廃合と、小学校、中学校の連携と、そこに橋本高校の中高一貫の学校ができたと。そして少子化になってるという状況やったんですが、1個1個見てみると、みんな子供のためにといい取り組みをしてるんですが、なかなか小中一貫と中高一貫と、市民の皆さんから「どないやねん」というお話もあったんですが、その中でも一生懸命説明してさしていただいたんですが、そんな中で一番これすごいなと思ったのが小学校高学年への教科担任制の導入でありました。19年から23年、それの研究報告を見ましても、子供さんからも保護者からも高い評価をアンケート調査では受けておりました。
小学校高学年において、学級担任制を基盤としながら、一部の教科に専門性の高い教員が指導する教科担任制や──これは専門教科でやられてるかもわかりませんが──もう1つ進んで、同じ学年や5~6年生の担任同士が得意な指導教科を交換することで専門性を生かす教科担任制を広げることは、教員の専門分野、得意分野を生かした授業により児童の学習意欲を高めるほか、生徒指導の充実、学力向上、中学校への円滑な接続など、期待できると私は思います。
生徒指導の充実で言わしていただきますと、複数の教員が組織的に指導することにより、児童1人1人を多面的にとらえ、よさや可能性を引き出すことができるんではないか。
もう1点は、思春期を迎えた高学年の生徒の悩みや問題行動に対して、複数の教員が組織的に指導することになりますので、未然防止、早期発見、早期対応になるんではないか。
続いて、学力向上面で思うことは、1人の担当教科が少なくなることで、担当する教科の教材研究や教材準備の時間を確保でき、児童にとってわかりやすい授業が提供できるんではないか。
もう1点は、教科担任となることで、複数回同じ内容を指導することになりますので、教材研究の充実と指導力の向上につなげられるんではないか。
そして、中学校への円滑な接続ですけども、中学校における教科担任制──小学校、中学校と義務教育が9年間ありましたら、6年生を過ぎて今度は中学校になりますと突然教科担任制がぱっと来るというよりも、やっぱりある程度中間的なところでスムーズな対応が図れるんではないか。
もう1点、これは小中一貫にも関係するんですが、近隣、近くに中学校があれば、教員の兼務発令ができれば、より一層中学校へのスムーズな適用を図ることができるんではないか。
主にこのような理由がありますので、それをもちまして、小学校高学年への学級担任制を基盤とした教科担任制の推進について教育長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 小学校高学年における教科担任制の導入ということでございますけども、今議員御指摘のように、現在、確かに中学校への接続の問題、あるいは専門教科を生かした学力向上とか、あるいは生徒指導の充実とかという面で、一定のメリットがあるというふうな報告を受けてございます。
本県でも、教員の専門分野、得意分野を生かした授業で、本当に子供たちの学習意欲を高めることができるんだとか、あるいは中学校への接続なんかを考えると本当にいい面があるんではないかということで、専科教員という名称で、実技を伴う理科だとか音楽だとか家庭などの教科を中心にして導入している例が多く見られます。
ただ一方、そういうふうな側面があると同時に、小学校の場合は、担任が子供と触れ合う時間が、専科教員が入ってきますと時間が少なくなるという課題もあります。そうすると、子供との人間関係、特に課題の多い子供たちが担任とどう触れ合っていくのかという課題も反面出てくるというふうに言われています。
そういう中で、特に規模が小さい学校であればそれは可能なのかどうかというさまざまな課題が指摘されて、実施は難しいという学校もございます。
教科担任制の、特に小学校の高学年の教科担任制というのは、そういう議員御指摘のようなメリットもあるんですけども、基本的には設置者である市町村の教育委員会や各学校がその実態に応じて検討するものと考えておりますので、県としましては、その成果につきましては、議員御指摘の点を踏まえて研究をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 答弁ありがとうございました。
いつも、担任と子供が触れ合う時間が少なくなり、子供との人間関係を構築する上で課題があるという話は、議論をさせていただきますとよう出てくるんです。
これにつきましても、私は、大人の目線から見るとそうかもしれませんけど、子供の目線から見ますと、義務教育、小学校6年間、中学校3年間、足して9年間としましたら、中学校へ行きますと全部教科担任制でしょう。で、担任の先生がおると。
小学校1、2、3年生の低学年のときは、やっぱり子供も同じ先生に全部見とってもうたほうが安心感がとてもあると思うんです。ところが、成長していきますと、やっぱり人間関係というか、触れ合う先生の幅もちょっとずつでも私は広げていくべきやと思うんですよ。何でかといいますと、今、人間同士のぶつかり合いの中で知識を得るというよりも、仮想の知識が先に入ってきてると思うんですよ。
だから、1、2、3年生はそうではないかもわかりませんが、4年生ぐらいになると、いろんな仮想の知識が入ってきて、本来は人同士のぶつかり合いとか出会いの中で知識が入ってくるとかしなければいけないところが、そうなっているんではないかというところがありますので、どっちかいうと、中学校3年間はもうびっちり教科担任制でいきます、小学校の最初は学級担任制でしっかりいきます、その中間的なところは、わかりやすい例をしますと、担任の先生が男の先生やって、社会とかほかの教科で何人かその先生に教科を担任してもらうと女性の先生とも出会える、また違った先生とも出会えるという、そういう幅を広げてあげるというかな。
だから、もう完全に、子供が生まれて、最初はお父さん、お母さんやって、家族やって、地域やって、幼稚園へ行って、保育園へ行って、だんだん人間関係の幅を広げて、最終的にはグローバルな感覚に仕上げて社会に巣立たせてあげるというのが自然の流れと思うんで、その流れからいくと、この中間的なところに、より、ちょっとでもええからいろんな先生と触れる機会──いろんな先生と触れると、いろんな先生がその子を見てくれますんで、多面的に見ますやん。
もう1個あるのは、教師集団の活性化にも僕はつながるん違うかなと、そのように思うわけです。
ですので、先ほどそういう意見や考えがあるということでしたんですが、私の意見に対して教育長のお考えを再度お聞かせください。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 私の考えということでございますけども、私もいろいろな学校を経験してございまして、そういう中で、確かに今、先生のお考えのような方がたくさんいらっしゃることも承知しております。
そういう中で、ただ、本当に生徒の実態、あるいは学校規模の問題、あるいは地域の実態等を総合的に考えて、先生のお考えをしっかりと受けとめながら、私としてはいましばらく研究を深めてまいりたいというふうに思っています。その先生のお考え方がどうというんではなくて、評価もまだ定まっておらないということも御理解いただけたら大変ありがたいというふうに思っております。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 ちょっと思いが熱なってしまいまして、ちょっと押しつけたみたいになってしまいまして、失礼いたしました。
調査研究していただいたらいいんですが、余り調査研究ばっかりしてますと、そちらのほうで疲れてしまうということもございますので、なるべく早く──私の意見がすべてではないと思います。でも、ちょっとでもやっぱり子供たちの成長段階に応じて、旧態依然のままではなくて教育改革したっていただけたらと思いますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。
それでは、3番の質問に移らしていただきます。
公立中高一貫教育や公立中学校──私の場合は、県立中学校も市町村立中学校も公立中学校で同じやという意味を込めまして、ここに県市町村立の教育効果をより高めるための取り組みや今後の県立中学校のあり方についてとさしていただきました。
本県では、平成16年4月に初めて併設型中高一貫校が県立向陽高等学校のほうに設置されたのを皮切りに、和歌山市を初め橋本市、御坊市、田辺市の各地域に、これまで5校の県立中学校が設置されてきました。ことし、3校目の卒業生を送り出したところやと思います。
また、平成23年3月には、第9期きのくに教育協議会より、教育システムのあり方、中高一貫教育、特に県立中学校のあり方について、多くの検討課題の報告を受けていると思います。
ちょっと言わしてもらいますと、高等学校進学時のクラス編制について、6年間のカリキュラムでいくのか、途中で混成クラスをするのか、そういうところが指摘されています。
県立中学校と設置地域の関係について、そして中高一貫教育の制度について、最後に今後の県立中学校のあり方についてということで、「県立中学校だけでなく、公立中学校を含めた地域の初等中等教育の在り方について総合的に検討していく」、「県立中学校が設置され、希望を持って入学してくる生徒がいる中で、見直し等は困難が予想されるが、次の2つの視点が重要である」ということで、1番に「県立中学校一律に1学年80名を募集するのではなく、地域の生徒数や地域の公立中学校の希望等様々な要件を勘案しつつ、検討する必要がある」とあります。2番目に、「新たな県立中学校の設置については、以下の点から難しいと考える」ということで、「今後一層少子化が進むと予想される状況の中で、公立中学校へ進学する生徒が減り、公立中学校の統廃合につながるなど、地域への影響が大きい。県立中学校への入学者の中には、地域の公立中学校におけるリーダー的役割を担う生徒が多く含まれることから、地域によっては私立中学校への入学者と相まって、公立中学校の学校運営や教育活動へ影響が見られる」、そういう報告を受けているわけでありますが、報告を受けて今、約1年3カ月を経過しています。
そんな中で、公立中高一貫教育や公立中学校の教育効果をより高めるために、やっぱり県立中学校をつくって、それがきっかけで市町村立の公立中学校もよくなっていくと、そういう取り組みをすべきではないかと私は考えておりますので、その取り組みや今後の県立中学校のあり方について教育長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 公立中高一貫教育や公立中学校の教育効果をより高めるための取り組みや今後の県立中学校のあり方についてお答えいたしたいと思います。
今、議員御指摘のように、県立中学校と地域の公立中学校の両方が切磋琢磨しながらそれぞれレベルアップを図っていくことが基本的に非常に重要だというふうに思っています。そのために、今、該当の橋本地域でもそうですが、公開授業での教員の交流を初め、部活動や文化活動での生徒同士の交流を進めるなど、連携を深める取り組みを行ってございます。
特に橋本市では、県立、市立中学校、公立中学校の関係者が集まって──公立というよりも市立ですね──橋本市立中学校の関係者が集まって、お互いの教育効果を高めるにはどうしたらいいのかということで、現在、真剣に検討している状況でございます。
第9期きのくに教育協議会からの御指摘はそのとおりでございまして、私としましては、この報告を受けまして、これまでさまざまな観点から教育委員会に要望等が出されていることを承っております。
その中で、特に私としては、県立中学も市町村の公立中学校も、まさに親にとったらすべての子供たちが何とか立派に、健やかに、たくましく育ってほしいという願いは、これは変わらないと思ってます。
そういう意味で、一律80名がいいのかどうかということにつきましても、既に教育委員会の中でもさまざまな形で検討を始めております。全国の状況も調査をしながら協議を重ねておりますので、今後そのあり方につきましては、より望ましい教育環境を整えるために地域の教育委員会や学校関係者等の意見も十分伺いながら、今年度末までに一定の方向を出していきたいというふうに考えてございます。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今年度末までにということでございましたんで、期日を切っていただいて本当にありがとうございます。
でも、言いたいことは、もう1年3カ月たっている。あんまり検討ばっかりしてますと、中学校1年生の子が卒業してしまいますので、どうか、方向性を出しましたら、もう来年度には施策展開ができるようにお願いいたしまして、次の質問に移らしていただきます。
次は、市町村への権限移譲についてであります。
地方分権の1つとして、住民の利便性の向上、住民の意向の的確な反映といった観点から、住民に身近な行政はできる限りより身近な地方自治体である市町村が担うことが望ましいといった観点に立ち、平成21年3月に市町村への分権に関する計画を策定し、県から市町村への権限移譲が行われています。
平成23年度でおおむね移譲され、今回の6月議会にも提案されていますが、地域主権改革一括法による県事務特例条例から改正していくというのは出ておりますが、以下3点について、これ、一問一答制でございますので、1番から行かしていただきます。
まず、県民に混乱を招くような状況になっていないか。あと、二元代表制の議員でございますので、まず、計画がある程度終わったらやっぱりチェックするというチェック・提言機能というのが二元代表制の議員と思いますので、私、県会議員になったときによく問い合わせがあったんです。
これ、県やったんだけど、今度は市になるんかなというのは、何でかわかりました。22年度に多くの法律を権限移譲してあるということでしたんで、そういうお話がよくあったんで、一番やっぱり県会議員として気になるのは、県民の皆さんが混乱していないか。これがまず気になりますので、おおむね終わった時点で県民の皆さんが混乱を招くような状況になっていないのか、総務部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 総務部長米澤朋通君。
〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 市町村への権限移譲につきましては、住民の皆様の利便性の向上のため、市町村と協議した上で、平成21年3月に市町村への分権に関する計画を策定し、その権限の移譲を行ったところであります。
移譲に当たりましては、県及び市町村のホームページでの周知はもとより、パンフレットの作成や「県民の友」への掲載等による広報活動を実施するとともに、市町村において円滑に事務処理が進むよう、事務マニュアルの作成や市町村の担当課に対する研修会の開催などの取り組みを行ってきたところでございまして、県民の皆様に混乱を招くような状況は生じていないと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 はい、ありがとうございます。
私も、最近そういう──なったときはあったんですが、年明けから余りそういうお問い合わせというのはなくなってますので、多分混乱はしてないと思います。県の取り組みがしっかりしてたからあんまり混乱してないんやろうなということでよくわかりましたので、どうもありがとうございました。
次に2番です。
県が所管していた時点の係争案件や問題となっていた事案において、市町村が受け継いだ場合の適正な処理についてでありますが、これはやっぱり市と県の関係の中で起こってくることやと思います。
まあいえば、裁判を起こされている事例が権限移譲で市に来たから、そのまま市も訴えられるようになったという案件を聞かしていただきましたんで。こうなりますと、私は、基本的に県のときのことについてはやっぱり県が面倒を見る、市町村に移ってからのことは、それが原因で起こったことは市町村が頑張ってもらわんと、基礎的自治体が頑張るということでございますので、そういう仕分けやと思いますので、県が引っ張っていったものについては、やっぱり県が力を入れて解決すべきやと思っておりますので、その点について総務部長にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 総務部長。
〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 県が所管していた時点の係争案件、問題となっていた事案につきましては、移譲後においても裁判への参加や県職員の派遣を実施するとともに、係争処理対応のために特別な経費が必要な場合には調整交付金を交付するなど、必要な人的財政的支援を行っているところでございます。
また、日常的に所管部局において助言も行っておりまして、今後とも県として引き続き責任感を持って対応してまいる所存でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 答弁ありがとうございます。
引き続き責任を持ってということをお聞かせいただきましたんで、どうかよろしくお願いいたします。
やっぱり市町村って──県の場合は組織も大きくてそれなりの能力も持ってますので、そのときの皆さんがやっぱり力をかしたってもらわないと、突然来てもわからないというのが実情やと思いますので、その辺は配慮していただきまして、よろしくお願いいたします。
次に、3番目の権限移譲に伴う市町村の行政コスト増加分と、権限移譲に伴う市町村への交付金額の乖離についてということで、これにつきましても私は心配をしておりました。
なぜかと言いますと、私は市町村合併を経験しておりますので、三位一体の改革ということで、まず基礎的自治体をしっかりさせようということで、平地と山間では違うんですが、1つの交付税の標準基準でいきますと、160平方キロの10万人、民意の反映でしたら20万人以下、標準財政規模で言いますと、1つの市に1つの体育館とか公民館を維持しよう思うんであれば標準財政規模は100億以上みたいなふわっとした基準の中で頑張ってコストダウンも図ってきたと。
そうなって、大体今の時期、同じようなときに合併してますので、定員適正化計画も目標を達成したころになってますと思うんです。ところが、そんな中、仕事がふえてる状態になってるということなんで。
言いたいのは、業務量の行政コスト分、やっぱり手当てができているかというのがどえらい気になるんです。というのは、住民の身近なところでそれができてないと、市町村がかなりの無理をしますと、やっぱり影響を及ぼすのは県民でございますので、県民に影響を及ぼす状態になってないかということで調べさせていただきました。
私、調べるとなりますと、私が和歌山市に調べに行ったら怒られるでしょう。私は、橋本市のほうに無理やり、22年度、23年度に──事務事業評価を見ますとどのぐらいの仕事量に対してどのぐらいの人件費等がかかったかというのが出ますので、それを計算しますと、22年、23年度におきまして2.84人、1年間で23年度の末ということになりますけども、職員1人当たりの平均給与から、これ、平成22年の普通会計ベースで計算したんですが、かかった人件費でいくと1825万5520円になるようです。
そして、交付金で受け入れた額が462万469円ということで、その先の詳しい事情は私はわかりませんが、乖離額が1363万5051円という、私の政務調査ではそういう結果になってますので、これが近い状態やったら心配はしないんですが、かなり1300万の乖離があるということですので、1800万のコストがかかって1300万の乖離があるということなんで、これはもう市町村にとったら適正な事務が果たせる状況にないのではないかということで、私は心配をしておるわけでございます。
このことにつきまして、総務部長、答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 総務部長。
〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 移譲事務に係る財源につきましては、和歌山県移譲事務市町村交付金要綱により交付金額を算定しております。具体的には、人件費に事務費を加えた交付単価に処理件数を乗じたものを基本とし、これに初年度準備金や調整交付金を加えて算出した金額を交付しているところであり、市町村にも説明を行っております。
このように、移譲事務に係る市町村の標準的な行政コストを措置しておりますため、市町村からは金額が些少であるといった意見は聞いておりません。
ただ、今、先生、2.84人と。橋本市の場合はですね。これが、だから橋本市が適切な事務処理をされてるのかどうかというのもあると思うんですが、一方で、地域主権改革のもとで全国的に事務移譲が進んでまいりましたので、全国調査を行いまして、適正な交付金の水準等については検証してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今答弁ありました事務事業評価につきましては、私、市会議員のときに取り組んでおりましたので、総務省の基本にするところをカスタマイズしたという形ですので、さほど違っていない。
何でそうしたかというと、ほかの市町村と比べることができないので、ある程度その総務省の方向性のもとにつくってありますので、事務事業評価につきましては、県もやられると思いますが、余り変わってないんと違うかなというふうに思っております。
ただ、1点あるのが、先ほど部長がおっしゃられた、7月以降と聞いてますけども、まあいえば、地域主権一括法のほうで地方交付税に算定して直接市へ持っていくというお話になりますので、私は、県がどうこうという話ではなくて、国のほうがやっぱり市町村の現実を見たっていただいて、地方交付税を分けるときに、やっぱり県でまとめてやっとった仕事を分散さすと必然的にコストは高くなるん違うかなというところがどえらい思うんです。これ、物理的にそう思うんですが、それについて考慮していただけるように、国と近いお方と聞いておりますので、市町村の声を上げといたっていただけたら一番ありがたいと思うんです。
その辺、要望さしていただいて、次に行かせていただきます。
次に、これは分割方式により質問させていただきます。
高野山開創1200年に向けた川筋ネットワーク(橋本五條道路~X軸ネットワーク国道480号)の整備についてということで、まず1番で向副地区の早期整備についてお願いしたいんですが、川筋ネットワーク、私、好きな道なんです。ここを通ると、いつも県庁へ来るときに通らしてもらうんですが、和歌山の香りがする。そういうように思うんです。紀の川のそばを通ってきますと、四季折々に、果樹王国でございますので、いろんな果物の花が咲いたり香りがしたり、そして紀の川がきれいに見えたりするんで、すばらしい道やと思います。
高野山開創1200年、午前中にも知事のほうからありましたけれども、高野山周辺でやっぱりお金が落ちる仕組みをつくらんなんということで、この今言わしていただいてる橋本五條線とX軸ネットワークの480号線の間というのは、このままいきますとこの向副の地区だけがセンターラインが入っていない状況になるんで、早う直してほしいということもあるんですが、1点大きいのは、この道沿いに、県境から言わしてもらいますと中将姫の里の恋し野の里がありまして、そしてあじさい園があって、植樹祭を記念して市民の森があるわけです。
ちょっとこっちへ来ますと、今芸能界でも有名な溝端淳平君の実家があります。そして、プロ野球の筒香君の実家もあります。それを和歌山へ向いて来ますと、全国HERA-1選手権をやっております隠谷池。全国のへら竿師のあこがれの池であります。全国大会を開くと、関東からも40~50人来て、そして韓国からも来てくれております。そういう池があります。
もうちょっとこっちに来ますと、和歌山寄りに来ますと苅萱堂。これ、人魚のミイラとか石童丸物語がある苅萱堂があります。そこから九度山町に入りまして、九度山町に入りますと世界遺産の慈尊院。そして、そこから町石道が上がっていると。その近くには真田幸村の真田庵と。今、信州で真田幸村が生まれたもんですから、そこと連携しておそばをやっているということで、それの幸村庵があります。
この道をずっと通って、480号線のX軸ネットワークで高野へ行きますと、これはもう門先生に聞いていただいたら周りにいっぱいいいものがありますので。そうなりますと、ちょうどネットワークを組んで、まだあるのが高野七口の多分──多分と言うたらあかんねんね──5つはその道から出てる、そういうふうになってます。これだけのものがネットワークされるということになりますので、私はディズニーランドより強いと思います。
ただ、1個1個磨き上げるのは、そらもう地域の人が頑張るという大前提でないと。だから、これがきれいにつながりますと、県は、皆さんが頑張れるインフラ整備をしましたよ、地域の皆さん、ええもんあるんで、それを光らしてくださいよ、こういうふうなことが道路政策ではないかなと思いますので、どうか向副地区の早期整備、よろしくお願いしたいと思います。
それで、2番です。これは、川筋ネットワークとして168号に接続することで整備効果が一段と増す。これは奈良県のほうの道のことでございます。
国道168号線、地域高規格道路五條新宮道路に3.5キロと、そのぐらいで、一部は2車線化されているんですが、もうちょっと頑張っていただくと、そこがきれいにネットワークがつながるということでございますので、その2点につきまして、県土整備部長、答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 県道橋本五條線につきまして、川筋ネットワーク道路として重点整備を進めているところであり、現在、橋本市上田地区において交通安全事業を、また橋本市赤塚から恋野間において拡幅事業を進めているところでございます。残る橋本市向副地区の河川堤防沿いの未整備区間につきましては、事業中区間の進捗を踏まえ、今後、河川管理者とも協議を行い、地元関係者の御意見を聞きながら、具体的なルートや構造の検討を進めてまいります。
また、橋本五條線の奈良県側につきましても、和歌山県側に引き続いて国道168号まで整備を行うことで、川筋ネットワーク道路としての整備効果がより発揮されるものと期待されます。県境から国道168号までの奈良県側約3.5キロのうち約4割が未整備で、現在のところ整備計画はないと聞いていますが、今後、奈良県に対してネットワークとしての整備の必要性を訴え、早期整備を働きかけてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 答弁ありがとうございました。
向副につきましては、物理的にいろいろ難しいところがあるとは聞いておりますが、できる限り1200年祭、どないかそれまでに完成できますように努力していただけますよう、よろしくお願いいたします。
そしたら、次の第4項目に入らしていただきます。
毎回質問さしていただきますんですが、国道371号地域高規格道路大阪橋本道路石仏バイパス(橋本市柱本~河内長野石仏)の早期整備に向けてであります。
先日、向井先輩議員、平木先輩議員と御一緒さしていただきまして、国道371号バイパス建設促進協議会、これ、ことしの5月29日に行かしてもうたんですが、大阪の現場のほうに御一緒さしていただきました。たまたま一般質問、今回、橋本市からは私だけでしたので、これはやっぱり言わしてもらわんなんと思って質問さしていただいております。
そして、向こうでお聞きしたところ、今年度の予算が2億円。昨年度が2億8000万やったということなんです。知事が一生懸命和歌山県のほうを整備して、もう25年には完成して、そこまで来ている状態で、今のままでは第2工区すら、聞きますと30年までにどうかなみたいな返事でしたんで、みんなちょっとしょげて帰ってきたというのがあるんです。
知事が頑張っていただいてるのはよくわかるし、相手のことですので──ただ、1つ気になるのが、この道は、もともと大阪府も入りまして、関西全域で近畿自動車道と京奈和自動車道のこのネットワーク、地域高規格で4車線でいくという、昔のデータを見ますとそういう計画であって、何か大阪の都合でちょっと暫定2車線になったり、財政の都合で今の石仏まで来てると。本来は、美原からという計画になってたのが変更になってる。いろんな理由があったと思います。過去のことですので。
ただ、どう考えても関西全体を見たときに、和歌山市に向かう、橋本市に向かう、橿原市に向かう、奈良市に向かうという、この関西の都市圏の広域化というのは、やっぱり関西広域連合でも考えていかないと、大阪平野って狭いですから──関東平野の6分の1ぐらいやと思いますわ──そこで関西の発展をというても、やっぱり都市圏の広域をやって、面的に大きくして頑張っていくというのが本来わかりやすいことやと思います。
そういうことはわかってらっしゃると思うんですが、仁坂知事がわざわざ直接──和歌山県のトップです──お願いに行って、枠配分方式の選択と集中なんてことはわかって行ってるわけですよ。その枠をどないかしてもらえれへんかという、僕はお話やったと思っております。
そのときに、僕は和歌山県の教育で教わったのは、大きなとこは、小さなとこが頑張っているときには少々我慢してでも手を差し伸べてあげるという教育を私は受けたと思ってます。その話でいきますと、関西広域連合の中で中心となるべきところは、相手の事情があったらやっぱり努力するという姿勢がないと、感情的かもわかりませんが、これでほんまに関西広域連合がうまくいくんかなと、そういうふうに私は思うわけです。
その点から言いましても、このままでいくとどうしようもないなと感じた方からどういうお話が出ていったかというと、「和歌山県はしっかり25年までにやって、26年度から掘ろうと思っても掘れる。もうトンネルを先行的に掘ったらどうや」と、そういう声が県民のほうから聞こえてきましたんで、「じゃ、一度知事にお伺いしてまいります」ということで、和歌山県側からの府県間トンネルの先行着手について知事のお考え、そしてまた、関西広域連合の一翼である和歌山県として石仏バイパス整備促進のために大阪府に対してどのように働きかけていかれるのか、あわせて知事にお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のように、どうも大阪府はちっちゃい発想しかできないんで、そのままじゃ絶対に東京に負けるぞということなんですが、それをずっと理解しないで今まで来たということだと思います。だから負けたんだと。
そういうことを、私は歴代の、私が知事になってからですが、一生懸命説得をいたしまして、それで常に太田さんとか橋下さんとか松井さんにもいろいろお願いをしたり──お願いをするというか意見をして、それで、そのままじゃ大阪はだめだから、大阪がだめだと和歌山も困るから考えを直してやろうねというようなことを言ってまいりました。
太田さんに対しては、実は大阪府は財政が苦しかったんでしょうか、どういう経緯か知りませんが、それまで県境方面での公共事業を凍結していたそうです。それを、少し余裕も出てきたので、凍結は解除しますからということで、ばたばたと大分進み始めたということになっております。
しめしめと思っておりましたら、太田知事が失脚をしてしまいました。これはいかんというんで、橋下新知事に慌ててまた意見をしに行きまして、そうすると結構そういう点については理解をしてくれて、大関西でいくんだというんで、その一環として結構和歌山県の県境のあたりの公共事業──道路工事ですね──道路工事に3分の1ぐらい実は費用を充ててくれております。その3分の1を前提にして、371もぜひやってくれと。371の進展だけ遅いもんですから、371もぜひやってくれというふうに橋本市長、ほかの方と頼みに行きました。
そしたら、3分の1という枠内であれば、和歌山県側でいろいろ順番をつけて、それで提案をしてくださったらちゃんとかなえますということを言われまして、ちょっと心中、「和歌山県の問題かよ」という気持ちはありましたが、しかし、これは得だと思ってそれに乗りました。
その結果、その3分の1の現在の金額を変えないで──大阪がですね──371も早期にできるじゃないかというようなことを提案いたしましたが、今度はその提案を見ると豹変をされまして、先ほどの教育の話でいえば、大きなところは小さいところを配慮するんだという話がありましたが、うそをついてはいかんというのも教育のうちだと思いますが、豹変されて謝られちゃいまして、それでお金がないから勘弁してくれということで、大変困ってる次第なんであります。
これが現状でありますが、これは和歌山だけの問題ではありませんで、先ほど申し上げましたように、関西全体で大阪が東京に伍して生きていけないという、小さく縮こまったら生きていけないという問題だから、ぜひこれからも配慮してくれということを言っていくつもりでございます。
実は、和歌山県側から先行して着工できないかという点については、大阪がコミットをしてくれるという前提で、つまり大阪は少しおくれるけれども必ずやりますということであれば、和歌山県は先に始めると。始めるから、和歌山県側が掘ったところを今度は利用しながら、両側からトンネルを掘れるわけですね。
そういうことをやっていったらいいんじゃないかというようなことを申し上げておきましたが、必ずやるということを言わないと、これは無駄な公共事業になってしまいますので、ちょっとこのままじゃいかんなということであります。
橋本バイパスと京奈和が先にできたら、大阪側こそ陸の孤島になるぞと私は分析しておりますが、こういうことも指摘しながら、これからも大いに大阪側に圧力をかけたり説得をしてまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 岩田弘彦君。
〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 答弁ありがとうございます。
地元の橋本市さんのほうも、奈良県五條市と大阪府河内長野市、和歌山県橋本市で3市協をやっておりますので、その中でやっぱり五條を味方につけて頑張ろうかとか、いろいろと戦略は考えておりますので、地元も向井先輩議員、平木先輩議員ともども3人で頑張っておりますんで、どうか知事も頑張っていただいて、早期整備、よろしくお願いいたします。
以上で、私の一般質問終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
10番鈴木太雄君。
〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○鈴木太雄君 皆さん、こんにちは。
議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。最後までおつき合いのほど、お願いをいたします。
今回は、通告をしたすべての項目について分割方式で行いたいと思います。
まず、1項目の国体に向けた南紀スポーツセンターの整備と紀南地方のスポーツ振興についてであります。
お手元に配付をいたしております参考資料として、「三四六総合運動公園整備イメージ図(案)」という格好にしてますが、これを、言葉ではわかりにくいところがありますので、言葉を補完する意味として提出をさしていただいております。
そして、また2ページ目に公園内の全体の配置図、上から見たところ、わかりやすく言えば、そういったことで置かしていただいております。
それでは、1点目として、南紀スポーツセンターの整備につき、県としての取り組み状況及びその役割について、そしてまた2点目として、南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の内容について、それぞれ関連がありますので、あわせて質問をいたします。
平成27年の紀の国わかやま国体に向けて、県においては、大会機運の醸成や会場となるスポーツ施設の整備等、市町村との連携を図りながら現在鋭意取り組まれていることに、まず敬意を表する次第であります。
また、今議会において、南紀スポーツセンター設置管理条例を廃止する条例が提出をされており、これでやっと紀南地域のスポーツ施設である南紀スポーツセンターを含めた本格的な整備が始まることと期待をしているところであります。
南紀スポーツセンターは、東京オリンピック後に、日本体育協会が全国に青少年スポーツセンターの建設を推し進める中で、当時の田辺市体育連盟を中心とした誘致活動により、昭和44年に県の協力のもと、南紀青少年スポーツセンターとして整備をされました。
2年後の昭和46年に開催された黒潮国体を契機に、南紀青少年スポーツセンターは、県内の均衡あるスポーツ振興のため、県南部の競技スポーツの中核施設として重要な役割を果たし、また当地域のスポーツ振興に大きく貢献をしてきました。
その後、当該施設は、平成6年に日本体育協会から和歌山県に移管をされたわけであります。県においては、体育、スポーツの振興を図り、県民の健康と体力づくりに寄与することを目的として、老若男女を問わず、すべての人々に生涯スポーツの拠点として活用していただくため、「南紀スポーツセンター」に名称を変更し、以来、紀南地方のスポーツ振興の拠点として、本県のスポーツ行政に係る一翼を担ってきたものと認識をいたしております。
一方、和歌山県長期総合計画において、生涯スポーツの環境整備と競技スポーツの競技力向上をうたい、現状と課題として「生涯にわたりスポーツに取り組める環境整備が重要」とされてございます。また、平成27年の紀の国わかやま国体を控えて、県民のスポーツ機運の喚起と技術力向上が求められていると明記されております。
さらに、和歌山県スポーツ振興基本計画におきましても、現況と課題で「公共スポーツ施設の整備充実は、地域におけるスポーツ活動の活性化を図り、生涯スポーツ並びに競技スポーツを振興する上で極めて重要」とうたっており、具体的方策の中で「紀南地域のスポーツの中核施設となっている南紀スポーツセンターについては、平成27年和歌山国体での競技会場となることを想定し、大規模なリニューアルの計画を策定します」と明記をされております。
いよいよ平成27年度に紀の国わかやま国体の開催が決定をし、南紀スポーツセンターでは少年サッカー及びボクシング会場としての使用が予定されており、先ほど御紹介いたしました長期総合計画及びスポーツ振興基本計画の実現への期待とともに、国体対応並びに国体を契機とした紀南地方における本県スポーツ振興の拠点として、ますます当該施設の重要性が高まっているところであります。
そうした中、南紀スポーツセンターの整備は、事業認可や交付金活用等々諸課題をクリアしつつ、国体並びにプレ国体までに効率的な整備事業を展開し、当該施設を完成させるべく、田辺市において実施をする都市公園事業の一環として位置づけられたところであります。また、県の専門技術職員を田辺市に派遣するなど、県市連携を図りながら現在積極的に取り組んでいると伺っております。
ただいま申し上げましたように、南紀スポーツセンターの整備については、現状、市が実施する三四六総合運動公園整備に含まれておりますが、県としての取り組み状況及びその果たすべき役割について、まず教育長の御見解をお伺いいたします。
さらに、将来にわたって南紀スポーツセンターが果たすはずの紀南地方のスポーツ振興等につき、長期総合計画並びにスポーツ振興基本計画を踏まえた上で県は取り組まれていることかと思います。
そこで、2点目として、当該施設の整備概要が既に公表されていることから、南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の施設整備の内容についてどうお考えか、あわせて御見解をお伺いいたします。
続いて、3点目として、南紀スポーツセンターに当たる施設整備及び今後の事業活動等に対する具体的支援策についてお聞きをいたします。
今議会に提出されております南紀スポーツセンター設置管理条例の廃止が議決されれば、紀南地方には県が直接管理運営するスポーツの拠点施設がなくなることになります。先ほどのこの提出資料の中で赤でくくっている部分、これが県が設置管理をしている南紀スポーツセンターでございます。この全体が、先ほども申し上げましたが、三四六の総合運動公園の整備イメージ図ということであります。
つまり、南紀スポーツセンターの施設整備並びに南紀スポーツセンターがこれまで担ってきた事業活動等々、今後は三四六総合運動公園の設置者になる田辺市が直接的に実施、負担することになるわけであります。手法として田辺市の都市公園事業で施設整備を実施するものの、本来なら南紀スポーツセンターの整備や紀南地方のスポーツ振興は県の責務であると考えます。
南紀スポーツセンターに当たる施設整備及び今後の事業活動等に対する県の具体的な支援策について、これも教育長の御見解をお伺いいたします。
続いて、4点目として、国体後のスポーツ振興、特に紀南地方のスポーツ振興についてお聞きをいたします。
スポーツ振興並びにスポーツによる地域活性化は、県と市町村がそれぞれの役割、責務を全うされ、効果的かつ効率的な事業展開が必要であると私は考えております。
そういった中で、平成27年の紀の国わかやま国体後のスポーツ振興、特に紀南地方のスポーツ振興についてどのようにお考えか、知事の御見解をお伺いいたします。
これで、1回目の1問目の質問を終わります。
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国体を一過性のものに終わらせることなく、国体を契機として地域にスポーツを根づかせ、さらなる本県のスポーツ振興を図るということは大変重要なことでありまして、27年国体の設計においても、初めからそういうことを大原則として考えていこうというふうに思っておりました。特に紀南については、スポーツと観光を相乗的に推進し、地域の活性化を図っていきたいと考えております。
ただ、そのためには、地元の方も、それを利用して何とかしてやろうと、こういうような動きがぜひ必要でございまして、実は紀南においても、古くは旧日置川町のテニスのまち日置川というやつ、それから、最近のいいモデルは上富田であります。施設だけではなくて、地元の、特に勧誘とか運動とか営業活動とか、あるいはまちを挙げてのおもてなしとか、そういうような総合力が必要になってくると考えております。
ぜひ、国体でやった種目を中心にして、そういうものが根づいていくといいと思うんですが、県としてもこれを一生懸命応援したり、あるいは補完したり、そういうことをやっていく必要があると思います。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 国体に向けた南紀スポーツセンターの整備と紀南地方のスポーツ振興にかかわる3点についてお答えいたします。
まず、第1点目の南紀スポーツセンターの整備につき、県としての取り組み状況及びその役割についてでございます。
南紀スポーツセンターの整備につきましては、田辺市と協議を行い、田辺市が主体となり、隣接する三四六公園の拡張整備とあわせて一体的に整備を行うこととなっています。県といたしましては、技術職員2名を派遣し、密接に連携をとり、設計段階から田辺市や関係競技団体と協議を重ねてまいりました。
今議会において、南紀スポーツセンター設置及び管理条例を廃止する条例案を上程しており、引き続き田辺市とともに施設の利用者の立場に立った施設整備を進めてまいります。
第2点目の南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の施設整備の内容についてでございます。
施設整備の内容につきましては、県や関係競技団体の意向を踏まえた設計であり、周辺整備と一体的に行うことで紀南地方のスポーツの中核としてふさわしい施設になってございます。今後、利用者の利便性は向上し、さらなる効率的な利活用が期待できると考えてございます。
3点目の南紀スポーツセンターに当たる施設整備及び今後の事業活動等に対する具体的支援策についてでございます。
南紀スポーツセンターについては、県が設置し運営していた施設でありますので、施設整備費等について、県としても応分の負担が必要であると考えており、今後、田辺市と財政的な支援策について協議を重ねてまいります。
また、本年2月のなでしこジャパンに代表される全日本チームや社会人、学生の合宿・交流試合誘致など、地域のスポーツ振興につながる支援策もあわせて考えてまいることといたしております。
以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。
南紀スポーツセンターの整備を含む三四六総合運動公園の整備は、現行の南紀スポーツセンターの機能拡充と市の施設整備による相乗効果で、紀南地方のスポーツ拠点として、生涯スポーツの振興、競技力の向上等、またスポーツ観光という──知事も触れていただきましたが、観光という見地からしても、紀南地域の活性化に大きく寄与するものであると考えます。
また、田辺市だけでなく、紀南地域全体に効果を求めていくためには、これからも県の物心両面の関与が何より必要不可欠であります。県においては、市とそれぞれの責務を再確認していただいて、将来にわたり、ともに紀南のスポーツ振興及びスポーツによる地域活性化の観点からもしっかりと取り組まれるよう望むとともに、市町村と連携を図る中でより一層の県からの支援を要望して、この項での質問を終わります。
引き続いて、次に2項目の梅産業を守るためにについて質問をいたします。
1点目として、御坊火電の稼働率上昇が梅栽培に与える影響を考慮した対応についてお聞きをいたします。
東日本大震災を契機とする福島第1原発の事故等により、脱原発が叫ばれております。電力不足により節電対策や省電力という取り組みが推進されておりますが、根本的な電力不足に対応するため、原子力発電所の稼働が停止されて以後、関西電力御坊火電の稼働率が大幅に上昇いたしております。
人々の暮らしや産業全体での電力確保のため、稼働率の上昇については一定の理解はできるものの、本県の特産品である梅の生育不良との因果関係が明らかにされていない状況下で、不安を抱えている生産農家も非常に多いというのが実情であります。
ここ数年、梅生育不良の新規発生件数は一定の低い数値で推移をしておりますが、御坊火電の稼働率の上昇に伴い、その数年後にその影響が出る可能性も否めないことから、将来的に梅栽培に与える影響も考慮した何らかの対応を検討すべきではないかと考えますが、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
続いて2点目として、青梅の生産状況並びに市場価格の現状と今後の動向についてであります。
近年、梅産業を取り巻く環境は、紀州田辺うめ振興協議会での田辺市内の梅生産農家を対象とした経営実態調査によると、2010年度の梅の販売額は、前回調査である2002年から2004年度と比較して3から5割減少しており、この10年ほど価格低迷と売れ行き不振が続いております。
また一方、昨年の台風12号等の影響で農地も甚大な被害を受けたことに加えて、毎年のように低温や凍霜害などの天候不順が続いており、ことしはそういった影響から梅の作柄は全体的に不作となっているのが実情であり、例年の6割から7割、もしくは園地によればそれ以下とも言われ、不作を通り越して凶作という声すら耳にいたします。
そういった中で、需要と供給のバランスが崩れ、青梅の市場価格の高騰が懸念をされており、もしそのようなことにでもなれば消費者のさらなる梅離れが起こる可能性もある中で、県においては、本年の梅の生産状況についてどのように認識をされているのか、また、青梅の市場価格の現状と今後の動向についてどうとらえているのか、これも農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
引き続いて、3点目として、不作による経営面への対応策についてであります。
ことしの梅の不作は、生産農家にとっては、生産量が減少することにより販売価格が上がれば経営そのものは何とか維持をできるが、先ほども申し上げたように、ここ10年ほど、価格低迷に加え、売れ行き不振が続いている現況下にあります。そういった中で、ことしの白干し梅自体の価格は上昇傾向にあるものの、近年の販売不振により経営の安定にはなかなか結びついていないのが実情であります。
このように、生産農家における経営状況も大変逼迫する中、生産原価を抑えるための方法の1つとして肥料等を抑制している農家もあり、経営面でのやりくりに大変苦慮されているわけであります。
また一方、それらに加えて、ことしは昨年の台風12号被害を受けての設備投資などにより、これまでにも増して何らかの対応策を検討するべきではないかと考えます。
例えば、従来から生活営農資金などの手だてを講じているところでありますが、生活営農資金を活用したくても既に借り入れが多く、その制度をこれ以上活用できない生産農家も非常に多く見受けられます。
通常、生活営農資金は5年間の償還期限が多いとお聞きをいたしますが、生産農家の方々にとってもより活用しやすい制度とするため、経営が厳しい農家に対しては、償還期限の延長等の条件変更を柔軟に行うなどの対応が必要ではないかと考えます。
経営面へのそれらを含めた何らかの対応策について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
続いて4点目、品種開発の取り組みについてであります。
農業生産においては、天候等の自然に著しく左右される状況があります。ことしも天候不順などの影響を受け、受粉がうまくいかず不作になっている状況であり、自然が相手であるがゆえにいたし方のないということも一定理解をするところでありますが、それとともに、近年、「ミツバチの絶対量も不足している」などといった声もお聞きをいたします。
こういった状況の中、うめ研究所におきましては、実がなりやすい新品種の開発に積極的に取り組んでいただいているところであり、2009年に新たに品種登録されたNK14──このNK14は、自家受粉ができるため、比較的気象の影響を受けにくく、また主力品種の南高よりもやや早熟で、果実は小さいものの、果肉の割合が高い品種でもあり、なおかつ、着果率も南高の2倍以上という品種のようであります。
また、もう1つの新品種である橙高においても、自家受粉ができて、ベータカロテンの含量が高いなどの特徴を有しております。
このように、既に気象の影響を受けにくい新品種の開発を行っていただいているところでありますが、今後とも、生産農家と連携を密にしながら、新たな紀州梅を確立するという観点からも、より生産性のすぐれた、そして商品価値の高い品種開発に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
続いて5点目、プラムポックスウイルス対策についてであります。
まず、プラムポックスウイルスとは、1915年にブルガリアで発見をされて以来、世界各地で確認されるようになり、日本では2009年に東京都青梅市の吉野梅郷で感染を確認し、梅で確認されたのは世界でも初めてのことであります。
果樹が感染をし、感染した果実を食用としても人体に影響はありませんが、葉や花弁や外果皮に斑紋があらわれるとともに、早期落果により収穫量が減るようであります。感染する種としては、桜属の桃、スモモ、ネクタリン、アンズ、梅などで、感染経路は、アブラムシが媒介するほか、感染した苗木などから広がるようで、果実からの感染は現在のところ認められておりません。その治療法や予防薬については、本年3月現在においてもいまだ見つかっておらず、アブラムシの駆除、周辺樹木の伐採など、感染拡大防止策しかないのが現状であると指摘をされております。
東京都青梅市で初めて感染が確認されて以降、国内では既に他府県にも広がっているとお聞きをいたしております。
そのような中、本県においては、本年4月に現地調査を実施し、その感染の確認はされておりませんが、もし万が一でも紀州の梅産地で感染が確認をされると、産地の崩壊にもつながりかねない非常に大きな問題であると考えます。
現在、抜本的な対策が未確立であり、感染拡大防止策しかその手だてはないという現状にあって、今後、産地内における感染防止策についてどのようにお考えか。また、万一感染が確認された場合の早急な対策について、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 梅の生育不良については、これまでうめ研究所を中心に、養水分管理、適正着果量などの研究を行い、その成果を梅栽培管理マニュアルに反映させて現場指導に努めてまいりました。また、平成12年度から西牟婁・日高地域の生育不良園において、改植や土壌改良を積極的に支援してきたところでございます。
しかし、今回の電力不足対策に関連して、火力発電所の稼働率が高まることに生産者の方々が不安を感じていることは十分に承知しております。
今後も、梅生産の維持発展を図るため、大気環境の変動に注視しつつ、生育不良の発生状況の把握に努め、試験研究や改植など、地域にとって必要な対策を引き続き実施してまいる所存でございます。
次に、青梅の生産状況並びに市場価格の現状と今後の動向について。
まず、梅の生産状況ですが、本県の主要品種である南高の満開期は2月29日から3月2日前後と、平年に比べて17日程度遅く、開花期間が短かったことや降雨などの影響により受粉が順調に進まず、今年産梅の生産予想量は前年比67%、約4万4000トンの見込みです。
なお、先日の台風4号で収穫の後半を迎えた青梅への被害を懸念していましたが、幸いなことに極端に大きな影響は出ないと聞いております。
次に、市場価格の現状と今後の動向についてですが、南高の市場取引は5月30日から始まり、6月19日現在、出荷量は3584トン、前年同期比81%と少なく、キロ当たり単価は534円、前年と比べて129%の高値となっております。本年産梅の生産量が少ないことから、市場価格は今後も堅調に推移すると考えております。
次に、不作による経営面の対応策について。
果樹栽培は価格や作柄の変動が大きく、梅農家は近年厳しい経営状況にあると認識しております。県では、災害などによる一時的な経営の悪化に対応するため、つなぎ資金として生活営農資金など活用し、農家経営の安定を図ってきたところです。この資金の償還期間は5年ですが、要望がございましたら、個々の状況に応じて、期間の延長など償還条件の変更に柔軟に対応してまいります。また、果樹農家の経営安定のため、野菜・花卉用ハウスの導入支援により果樹農家の複合経営を促進する和歌山版複合経営産地育成事業を今年度から実施しているところです。
議員御指摘のように、梅を取り巻く環境は非常に厳しいのですが、明るい材料もございます。梅酒の生産量は、毎年着実に伸びております。今、市販されている梅酒には、梅由来のクエン酸に人工酸味料等を加えて増量した梅酒もございます。いわゆるほんまもんの和歌山の梅酒と、こうした梅酒の区分を国へ働きかけるなど、産地の方々と一体となって梅の需要拡大に取り組み、農家の経営安定を図ってまいりたいと考えております。
次に、品種開発の取り組みについて。
日本一の梅産地を守っていくためには、優良な品種を開発することが非常に重要であると考えております。そのため、県では、平成11年に暖地園芸センターで品種開発を始めて、現在はうめ研究所で開発を続けており、議員お話しのNK14及び橙高を平成21年に品種登録いたしました。
今後は、地球温暖化への対応として、病害抵抗性の強い品種や乾燥と高温ストレスに強い品種の開発、あるいは多様な加工品開発に対応した紅色の濃い品種など、特色があり商品価値の高い品種の開発に取り組んでまいる所存でございます。
なお、当面の目標としては、病害抵抗性品種として、梅の主要病害の1つである黒星病に強い品種の登録申請を目指しているところでございます。
品種開発には、長い年月を要するとともに、現地での適応性をしっかりと把握することが重要であるため、今後とも産地の皆様と連携を密にして開発に取り組む所存でございます。
最後に、プラムポックスウイルス対策についてですが、プラムポックスウイルスは、植物防疫法に基づき、国の責任において防除が行われる重要病害虫に指定されております。平成21年の発生以降、農林水産省が全国で調査を継続実施しており、東京都のほか5府県で発生が確認されておりますが、近隣の地域では、平成22年に滋賀県、奈良県、大阪府の梅からウイルスが確認されております。
本県も平成21年度から農林水産省が行う全国調査に協力しており、平成24年度は4月から5月にかけて232検体──梅、桃、スモモなどでございますが──232検体で調査をいたしました。現在、ウイルスは確認されておりません。
感染防止策については、今後も国と連携して、JA等関係機関との協力のもとに、生産者や種苗生産者など、関係者の方々に本病への警戒を広く発信して、早期発見に努め、感染を未然に防ぎたいと考えております。万全の努力を尽くしますが、万一県内で本病が発生した場合には、梅や桃の生産への影響を防ぐため、国の指導を仰ぎながら、感染樹木の伐採など迅速な対応に努めてまいります。
以上でございます。
○副議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 5点にわたって御答弁をいただきました。
私が今回この項の質問をさしていただいたそもそもの趣旨というのは、日本一の梅産地を標榜する当紀南地方において、こうしたことを想定した何からの対策を常に考えておいていただきたいと、そういった願いからのことであります。こうした万一の事態に備えた、いわゆる日本一の梅産地を守るための危機管理について、今後とも万全の体制をお願い申し上げて、この項での質問を終わりたいと思います。
次に、3項目の台風12号により被害を受けた河川の復旧状況についてであります。
1点目として、熊野川の浸水対策の進捗状況と今後の計画についてであります。
昨年の12月議会において、私は、熊野川の洪水対策として、土砂撤去の手法と有効活用について並びに河川整備計画の見直しについてお聞きをいたしました。現在、あれから6カ月余りが経過をして、梅雨に入り、本格的な出水期を迎えております。
そのような中で、熊野川における浸水対策の一環として、本県においては流域市町村とともに電源開発に対して要望を行った熊野川流域の発電専用ダムにおける洪水時の運用改善について、奈良県や三重県とともに発電専用ダムを洪水対策にも活用することを提案し、台風による大規模出水が予想される場合における事前のダム水位の低下操作や情報伝達の改善等について、去る6月15日から運用が開始される運びとなり、今後は今回の運用の効果や課題を検証していくこととなりました。
このことは、住民の不安を少しでも払拭するという観点からすると、一定の大きな成果ではないかと私は認識をいたしております。県当局並びに関係各位のこれまでの御尽力に対して、私も流域市町村の議員の1人として、心から感謝を申し上げる次第であります。
一方、熊野川における洪水対策に係る河川の通水断面の確保についてでありますが、前回の一般質問でも申し上げたとおり、台風12号により、熊野川流域の田辺市本宮町において、約400棟以上もの広範囲にわたり甚大な浸水被害を受けました。
現在、梅雨時期に入り、出水期を迎え、以前にも増して住民の間から、一日も早く熊野川に堆積した土砂を取り除いてほしいとの声が大きくなっており、熊野川における洪水対策の一環として、熊野川並びにその支川の一日も早い堆積土砂の撤去、つまりは通水断面の確保が今なお望まれております。
県においては、災害以前から、本宮町本宮地内において、平成21年度に策定をした熊野川圏域河川整備計画に基づき、平成22年度からの5カ年計画で30万立米の堆積土砂の撤去を行うべく、河床掘削に着手していたところでありますが、昨年の台風12号被害により、さらに河川に流入土砂が異常堆積したことから、現在実施している河床掘削の継続期間が延長されることとなりました。
そういった中で、本宮地区だけでなく、萩地区や切畑地区、上切原地区、大居地区などの上流部、請川地区、大津荷地区、小津荷地区などの下流部、さらには川湯地区などの支流部も含めた掘削対象地域の拡大並びに堆積土砂の早急な撤去を求めてきたところであり、加えて、昨年の台風12号のように積算雨量が1300ミリを超える場合、県が策定した熊野川圏域河川整備計画における計画高水流量の毎秒5600立米では流量が不足するため、計画高水流量や熊野川圏域河川整備計画の見直しも必要であります。
先ほども申し上げましたが、現在実施中である河床掘削の継続とあわせて、計画高水流量の見直しや、本宮町全域にわたる約200万立米とも言われる異常堆積土砂の撤去をどういった計画で撤去されるのか。また、この河床整備は熊野川流域における防災対策の根幹をなすものであるため、熊野川の浸水対策の進捗状況とあわせて、今後の計画についてより具体的な県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
次に2点目として、河床掘削事業に係る構造物への対応についてであります。
河床整備により通水断面の確保を図り、住民の方々の生活を水害から守る一方で、それとは逆に、橋脚や河川の護岸の根の部分がつったようになりはしないかという懸念を示されている方々がおられます。
実際、台風12号災害以前はそういった理由から河床整備事業には反対をされていましたが、災害後の堆積土砂の多さから通水断面の確保が必要とのことで、今回は以前とは異なり、河床整備事業は必要不可欠であるとの認識を示されております。つまり、事業そのものの必要性は認識しているものの、構造物への被害を危惧されているわけであります。
こうした地域住民の思いを勘案した上で、河床掘削事業に係る構造物への対応について、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
次に3点目として、田辺市内における河川の復旧及び浸水対策の進捗状況についてであります。
本件につきましても、前回の一般質問において熊野川流域の浸水対策とあわせて申し上げたことでありますが、先ほどの項で取り上げた熊野川のほかに、市域に流れ出ている河川につきましても、流出土砂の堆積並びに堤防決壊などが生じたことから、県においては被災箇所の一日も早い施設復旧を図るべく御努力をいただき、既にその被害状況によっては復旧工事が完了している箇所も見受けられます。
私もその取り組みに大変感謝を申し上げるところでありますが、出水期に当たり、まだ応急復旧程度の箇所も多く残されていることから、地域住民の皆さん方は、今もなお大雨による浸水や洪水の危険性を感じているわけであります。
早期復旧を阻む要因は幾つかありますが、その1つとして挙げられるのは、河川の復旧工事等の入札に際して道路復旧工事とは施工条件やその環境等の違いがあり、業者にとってはメリットを感じないため落札業者が決まらないといったような状況、つまりは不落という事態が多く見受けられたことであります。そういったことから、私も特別委員会におきまして、入札の手法等について議論した経緯もございます。
現在、不落、不調の状況もある一定程度改善が図られてきている状況下とお聞きをいたしておりますが、ここであえて、安心して市民生活を送るためにも、田辺市内における河川の復旧及び浸水対策の進捗状況について、改めて県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 熊野川では、総合的な治水対策を進める必要があり、議員御指摘のように、電源開発のダム操作や情報伝達の運用改善がこの6月15日から実施されております。
また、堆積土砂撤去を効率的に進めるため、県による河道掘削に加え、砂利資源の有効活用による掘削を進めております。県による河道掘削としましては、旧本宮町内で本支川合わせて約10万立米の撤去を行いました。また、本宮地区において水防災事業で河床掘削を行ってきましたが、台風12号で新たな土砂堆積が生じたことから、事業期間を2年間延長し、計約40万立米の掘削を進めます。
また、砂利資源の有効活用による掘削につきましては、田辺市が施工する方向で合意を得られたところです。田辺市では、請川地区の約40万立米の掘削について、6月市議会で了承を得ると聞いております。今後、実施方法等の計画について田辺市と早急に協議を行い、早期に着手できるよう努めてまいります。
残る堆積土砂につきましては、国の支援を求めながら、治水上、効果の高い箇所から順次撤去を進めてまいります。さらに、長期的に砂利採取を解禁できないかについても検討してまいります。
また、熊野川で台風12号により河川整備基本方針の計画流量を超える洪水が発生したことから、国に河川整備基本方針の見直しを要望しており、今後、地域の御意見を聞きながら、河川整備計画の見直し等の対応を考えてまいります。
2点目の河床掘削事業に係る構造物への対応についてでございます。
浸食等が生じている区間の構造物につきましては、必要に応じ対策を行うとともに、土砂撤去に当たっては、堆積、浸食の状況を十分に考慮の上、構造物に影響が出ないように進めてまいります。
3点目の田辺市内における河川の復旧及び浸水対策の進捗状況についてでございます。
台風12号による公共土木施設の本格的な復旧については、和歌山県復旧・復興アクションプログラムの中で、平成24年度中に95%の箇所完成を目標に掲げ、全力で取り組んでいるところです。田辺市内における河川の復旧箇所は201カ所であり、入札時の不落、不調等の影響を受けましたが、現時点で約93%、186カ所の契約を済ましており、6月18日時点では、そのうち34カ所が完成しております。
大規模な被災箇所の3カ所を除き、198カ所の平成24年度中の復旧完了を目標に取り組むとともに、河川改修等の浸水対策にも引き続き取り組んでまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 鈴木太雄君。
〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。
本宮地内における熊野川の支川である大塔川については、既に河床掘削事業が実施をされておりますが、今回の台風4号でも道路が冠水をいたしました。今まさに本格的な出水期を迎えているわけでありますが、まず、しっかりとした全体の計画を持っていただいて、一日も早い住民の安全・安心につながるように、かつ、スピードアップが図れる手法で積極的な取り組みをお願い申し上げます。
これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会は、6月25日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時48分散会