平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


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  午後1時0分再開
○副議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行わせていただきます。
 まず最初に、大飯原発再稼働に関して質問いたします。
 北海道電力泊原発3号機が、5月5日、定期検査のために発電を停止し、42年ぶりに日本は原発稼働ゼロになりました。昨年3月の福島原発事故以来、全国で繰り広げられてきた原発ゼロを目指す草の根の運動と世論が日本を動かしていることを実感いたしました。
 そもそも民主党政権は、原発の大幅な増設をもくろんでいた政権です。それを阻んできたのは、世論の力にほかなりません。民主党は、2年前の閣議決定で、2030年までに14基以上の原発を新増設するというエネルギー基本計画を決定しておりました。しかし、原発事故後、当時の菅首相が、共産党志位委員長と会談する中で白紙見直しを表明いたしました。
 また、福島の原発事故後、最初に再稼働させようとした九州電力玄海原発の2、3号機は、県民説明会が九電や関係社員によるやらせだったことを「しんぶん赤旗」にすっぱ抜かれ、国会でも追及され、当面、再稼働は断念せざるを得ない状態になっています。
 そして、現在問題になっている関西電力大飯原発では、直近の世論調査でも半数以上が再稼働反対であり、稼働を認める人も含めて70%以上が「急ぐ必要はない」と言っております。まさにこの時期に再稼働を決定したことは、これらの世論と真っ向から対決するものと言わざるを得ません。
 野田総理大臣は、IAEAや原子力安全委員会を含め専門家の議論を重ね、安全性を確認したと言っています。しかし、福島原発事故の原因究明もなされていない中で、政府みずからがとりあえずの対策として指示した30項目の安全対策、例えば免震事務棟とかフィルターつきベントなどが設置されるのは3年先です。防波堤のかさ上げは2年後です。また、大飯原発では敷地内を走る断層が活断層の可能性があることも指摘されており、これでどうして事故を防止できると言えるでしょうか。これこそ安全神話の最悪の形での復活ではないでしょうか。
 ここに至るストレステストも問題です。大飯原発では、その原子炉を納入した三菱重工そのものがストレステストを行っています。自分の納入した原子炉を自分で検査して大丈夫と言う、こういうのを世間ではお手盛りというのではないでしょうか。
 こうした中、国会の事故調査委員会の黒川清委員長(元日本学術会議会長)は、「必要な対策が先送りされ、想定を超える災害が来た際の対応ができていない。国民の健康を優先した安全規制が実施されるのか不安だ」と苦言を呈しておりました。さらに、原子力安全委員会の班目委員長も、原発の敷地内を走る断層の問題について、評価をしっかりやり直すべきだと言っています。科学者や専門家からもだめ出しを食らっているのが実情であります。
 私も驚いたのは、今度、再稼働に当たって副大臣が詰めるというオフサイトセンターです。もし原発に事故が起こった場合に、国や自治体の関係者が集まる拠点となるのがオフサイトセンターという建物ですが、大飯原発では、このオフサイトセンターも見直さなければならないと言われています。なぜなら、海抜で2メートル、海から100メートルという、ここにもちょっと写真があるんですが、海の間際に建っているオフサイトセンター、いざ地震、津波といったときにこのセンターで本当に対応できるでしょうか。それとも、新たな安全対策が終わるまで地震や津波は起こらないとでも言うのでしょうか。
 もっと根本的な問題として、野田首相は、再稼働の表明の中で「国の重要課題であるエネルギー安全保障という視点からも原発は重要な電源」と述べ、原発への依存度を可能な限り減らすとはいうものの、引き続き原発を国の重要電源として位置づけることを明確に表明されました。
 私は、このことほど今度の福島原発事故で被害に遭われた方々の気持ちを踏みにじる発言はないと思います。「原発さえなければ」、こう牛舎に書き残して自殺をされた酪農家がおられました。被災者の気持ち、国民世論を考えるなら、今後、速やかに原発から撤退していくということこそ、今、政治に求められることではないでしょうか。
 そこで、以下、知事に質問いたします。
 仁坂知事は、野田首相の再稼働表明を「評価したい」、「首相は動かさないリスクのほうが大きいと判断されたと思う」と述べられました。私は、知事のこれまでの発言を聞きながら、専門家が安全性を確認するまでは再稼働はすべきでないというお立場だと思っておりました。知事として、首相の再稼働表明のどこをどう評価されたのか、今後も原子力を基幹電源としていくことを是とするのか、また動かすリスク、動かさないリスクとは何なのか、具体的にお答え願えればと思います。
 また、関連して、先日、関西広域連合が国への予算編成に対する提案書を出したようですが、その中で、広域連合としても関西における中長期的なエネルギー政策の考え方を検討していると言われています。知事として、原発をどのように位置づけてこの広域連合のエネルギー政策にかかわっていかれるのか、答弁をお願いしたいと思います。
 次に、電力不足に対する関西電力の取り組みについて伺います。
 夏の電力不足を言う関電ですが、大飯原発が使えなくなる可能性があることは1年以上前からわかっていました。この間、停止していた火力発電所の再稼働に向けての取り組みは、ある程度されていたように思いますけれども、節電ということではどんな対策をしてきたでしょうか。
 これまでと変わらず、オール電化の推進はそのままではなかったでしょうか。はぴeポイントクラブといって、オール電化をした世帯を中心に、電気を使えば使うほどポイントがたまる制度を今でも行っているではありませんか。ためたポイントは、プリンなどのスイーツやホテルの宿泊券などと交換できるというのです。これは、私は不見識だと思います。こんな制度は関電以外の電力会社ではやられておりません。
 これまで関電では、供給力の不足は、昨年夏にも、ことしの冬場にも危険だと言われていました。しかし、現実はどうであったか。官民協力しての節電努力で乗り越えてきたではありませんか。例えば、この冬の供給力は、昨年11月時点では2412万キロワットと言われておりました。そこに実際供給できたのは2730万キロワットと、予想を1割以上上回る供給を確保できました。
 電気事業法によって地域独占を許された関電には、電力供給責任があります。供給力が不足するなら節電要請もする。また、最近になってようやく、ネガワットといって、電気が足りなさそうなときに大口の需要家が節電する分を逆に買い取るという制度をつくりましたが、こうした努力をなぜ昨年の早い段階から行ってこなかったのかと思います。
 こうしたこれまでの関電の取り組みについての評価ということを知事に伺いたいと思います。
 3つ目は、次に、実際、県民や地元の経済界からどのような心配の声が上がっているのか伺います。
 先日、和歌山県は、電力不足、停電になった場合の経済損失の試算をされ、発表されましたが、この試算では、県内で製造されるものはすべて電力を使って生産をする仮定をしております。また、電力不足が心配されるのは、ピーク時の電力が不足する、せいぜい5日から2週間と言われておりますが、その間であるのに、2カ月の長期にわたっての節電が続いたときを仮定しているなど、これは影響を過剰に見積もっており、原発再稼働への世論誘導ではないかと思うぐらいです。
 そこで伺いたいのは、夏の電力不足を前に、実際、県民や地元経済界からどのような具体的な心配の声が上がっているのか、県の把握している県民の声を具体的にお示し願いたいと思います。
 この問題の最後に、私は、原発ゼロを目指し、新しい経済の枠組みをつくる方向でこそ、デフレ不況を脱却し、雇用を創出する新たな経済発展、設備投資も見えてくると思っております。
 アメリカの経済学者でノーベル賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ教授は、原子力産業におけるリスク管理について次のように発言しています。「失敗のコストを他人が負担する場合には、インセンティブは自己欺瞞に有利に働く。損失を社会に支払わせ、利益が私有化されるようなシステムは、誤ったリスク管理にあると言わなければならない」、このように指摘しています。私も同感です。
 これまで日本の電気事業法では、電力会社による地域独占のもと、供給責任を負わされている電力会社が、過大な需要予測のもとでどんどん設備投資をして余力を持つ、そして、その投資にかかる費用は総括原価方式で電気料金に上乗せをする、これが行われてきました。電力会社は、電気という効率の悪いエネルギー、これを使ってもらえばもらうほどもうかる仕組みになっております。その結果、どうでしょうか、日本の家庭用電気料金は、けさもございましたが、実質ベースでは世界でも高い水準にありますし、エネルギーの浪費大国になっていはしないでしょうか。
 今後の電力供給はどうあるべきか。私は、環境へも負担が少なく、しかも、効率よく配電できることが今求められていると思います。小規模分散型、電気の地産地消ということです。原発のような巨大な発電所頼みの電力供給こそ、事故やトラブルの際、停電のリスクが高いものです。それを小規模分散型に変えていく。その具体例は、この県議会でも何人もの方が提案していただいてる自然エネルギーの活用や燃料電池の普及などではないでしょうか。特に和歌山県は、自然条件といい、先進県になれる県だと思います。
 それを促進するために、私は、やはり政府がドイツやスイスのように期限を切って原発ゼロを目指すことが大事だと思います。ドイツでは、エネルギーシフトが経済と技術の両面においてもたらす効果について、「さらなる発展へのチャンスを脱原子力政策がもたらし得るということを国際社会に身をもって示す」というふうに、未来への展望と決意を語っておられます。こうした中でこそ新たな投資を迷いなくできるし、本当の展望ややる気も出てくると思うのです。
 ぜひ原発ゼロを目指していくという点で、知事が先頭に立って国へも働きかけてほしいと思いますけれども、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、梅生育不良に関して幾つか質問いたします。
 最初に、関西電力御坊発電所の稼働状況について伺います。
 今、梅農家の心配は、この発電所が今後フル稼働に近くなってくるという予想のもとで、光化学オキシダントなど大気汚染の増加が心配されるからであります。この発電所は、平成18年から20年の間に比較的稼働の率が高い時期がございました。そのときは大体30%前後の稼働率です。最高で平成19年の36%です。
 地元の方の話だと、ことしは最初に梅衰弱症と言われる生育不良が発生した田辺市秋津川、上芳養、稲成などで新しく生育不良が発生しているようで、心配は高まっています。
 そこで伺います。平成23年度の年間稼働率はどうなっているでしょうか、また月別では最高稼働率はどうでしょうか、答弁をお願いしたいと思います。
 次に、梅生育不良の現状と今後の対策について伺います。
 まず、梅生育不良の発生状況を県としてどのように把握されているでしょうか。また、今後とっていく対策はどのようになっているのか、答弁をお願いします。
 さらに、先ほど述べましたように、田辺やみなべの梅農家は、この衰弱症と言われる生育不良が以前のように大量に発生するのではないかと心配しています。この梅生育不良は、いまだこれが原因だというはっきりしたところまで突きとめられてはないわけで、土壌水分の不足が問題だというのはありますが、まだまだ研究途上でございます。
 現在、県にはうめ研究所がありますが、そもそもこの研究所自体、梅の生育不良が多発している状況の中、梅の基礎研究をする試験場がないじゃないかという農家の声を反映して、当時つくられたものでございます。その役割は、ますます重要になってくると思います。
 うめ研究所では、現在、生育不良の簡易診断に使える技術の開発に努められているようです。御努力に感謝したいと思います。ただ、診断も大切ですが、やはり生育不良の発生メカニズムを解明していくという基礎研究の部分も大事にしないといけないのではないかと思います。こうした研究のさらなる充実を求めますが、部長の答弁をお願いします。
 最後に、うめ研究所では、光化学オキシダントによる大気汚染を平成16年、2004年から観測をしてくれております。先日、データをもらったところ、非常に高い状態が続いております。お配りしているこのグラフと表の資料でございます。
 この表は、昨年の4月1日から30日までの1カ月間のオキシダントの測定データでございますが、上の段にうめ研究所の値、下には和歌山市にある県環境衛生研究所の測定の値を示しております。ごらんになっていただいたらわかるように、うめ研究所では、環境基準を超過した時間が1カ月で246時間もございます。また、30日、1カ月のうち26日もの日数で環境基準をオーバーしています。1カ月の平均の値でも、環境基準の0.06ppmに大変近い。そして、右端の欄の1日の平均値で環境基準を超えている日が6日もございます。
 これを見て、私は、のべつ幕なしに環境基準をオーバーしている、こんな観測データはほかにはないというふうに思います。和歌山市内のデータと比べても大変高いわけです。ちょっと参考に調べたんですが、お隣の大阪にある大工業地帯の堺市でもこのようなデータをとっておりますが、こんな汚染の状態はありません。
 県環境衛生研究所の測定データを1年間通じて見ても、1日の平均値で環境基準を超えているというデータは1日もないのです。最近は全国的に春先のオキシダント濃度が高いという傾向があるのは知っておりますが、この数字は私は明らかに異常だと思います。
 この測定結果について、梅への影響をどのように考えておられるのか、部長の認識をお答えいただきたいというふうに思います。
 次に、県管理河川に堆積をしている土砂の撤去について伺います。
 昨年の紀伊半島大水害で紀南地方の河川に堆積した土砂は、出水期に入った現在でも、その撤去が十分進んでいないのが実情です。県議会でも、私も含めて何人もの方がこの問題についての発言をされてきました。
 これまで県は、災害復旧事業や市町の取り組む河川法20条に基づく土砂の採取などを使って、この土砂の撤去に取り組んできていただきましたが、何分、出てきた土砂のボリュームに対して、工事の量、予算の額が圧倒的に足りない状況です。例えば、熊野川の和歌山県に関係する部分でいいますと、堆積土砂は推定430万立方メートルと言われておりますが、今取りかかっている工事をこの流域で合計しましてもせいぜい20万立方メートル、これでは時間がかかり過ぎます。
 こういうふうになる背景の1つに、災害の査定基準が余りにも厳しいということがあります。川にたまった土砂が川の断面の3割以上をふさがないと、災害として採択しないという基準なんですね。断面積で3割以上ふさがるということは、普通に考えたら、もう見た目では大方ふさがってるような状態だと私は思います。
 これについては、知事も先日、紀伊半島知事会議の提案ということで、国土交通省副大臣に、3割埋まった区間だけじゃなくて、それに連なる区間については災害として認めてほしいという提案をしていただきました。これについては、私たちもかねてから県河川課、国土交通省とも話し合ってきたテーマですから、今後、柔軟な運用となり、昨年の災害部分についても新たに採択されるよう願っております。
 そこで、新たな災害採択も含めて、土砂撤去に対する国の財政上の援助の見通しについて、知事に伺いたいと思います。
 また、事業の推進に当たっては、この熊野川は三重県側と協調して工事を進めなくてはなりません。川の半分の和歌山県側だけ土砂をどんどん取っても、向こうでたまってたら流れてくるだけで意味がないわけです。協調が大事であります。この点では、新宮市長さんは、国が直轄管理する河口の5キロ部分だけでなくて、その上流の和歌山県、三重県が共同管理する部分についても、国の直轄事業としてどうか実施してもらえないかという要望を上げられておりましたが、このことについても、知事からもしっかり国に要望してほしいと思うのですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 2つ目に、利水ダムの治水的な運用についてです。
 私は、昨年の9月議会で、治水の機能を持たない利水ダムについても、大規模な出水が予想される場合には治水機能を持たせられないかと、この場で知事と議論をしましたけれども、この点については今日まで具体的な努力をしていただき、県営ダムだけでなく、関電の殿山ダム、電源開発のダムについても、一定の運用改善をしていただけることになりました。この場をおかりしまして県当局の御努力に感謝を申し上げたいと思います。
 そこで、今回伺いたいのは、新宮川水系と言われるこの川の水系ですが、電源開発は、学識者や国、そして関係3県によるダム操作に関する技術検討会というのを開催してきましたが、その議論の中で県の主張してきたこと、議論の状況と成果、今後の取り組みを県土整備部長にお答え願いたいと思います。
 また、私は、昨年9月議会の中で、そういう運用の改善だけではなくて、ダムの堤体そのものの改良など、ハードの面での対策も検討することを求めましたが、今後その可能性はあるのかどうか、このことについても答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、学校給食の放射能測定について伺います。
 このことは、昨年の12月議会で質問いたしました。当時はなかなかいい返事がありませんでしたが、「いずれ全国ではからなければならなくなりますよ」と言って終わったんですけども、このたび国のほうで予算措置をされて、まさに全国で測定するようになりました。県では、この6月議会の補正予算の中で対応していくということであります。
 そこで、今後、この給食の放射能測定をどのように実施していくのか、教育長の答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、第1回の質問を終わります。(拍手)
○副議長(浅井修一郎君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、大飯原発再稼働に関して幾つか御質問がありましたので、お答えいたします。
 第1問は首相の再稼働表明の評価ということであったかと思いますが、大飯原発の再稼働については、国民生活を守るという観点から動かすべきだと判断したというふうに言われたことは適当だと認識しております。
 第2に、原子力を基幹電源としていくことについての考え方であります。
 私は、この点については、大事なことは、全体としてエネルギーを量的にも価格的にもきちんと国民に提供していくことだというふうに思います。実現できないことを夢想していては無責任であります。その際に、それぞれいろいろな不都合が、あるいは不都合なリスクがあります。
 原子力については、福島第1原子力発電所の事故のようなリスクがあることは、もう全員が御存じだと思います。じゃ、火力や水力にないかというと、やっぱりあります。多分、亡くなられた方の数はそっちのほうが大きいと思います。
 それから、原子力絶対反対と言うと必然的に排ガスがふえます。それは、規制できちんとコントロールしているとはいえ、梅に心配はないかとか、いろいろなまた懸念が生じます。
 それから、化石燃料に頼っておりますと、安全保障上、問題が大きいということは言われております。
 それから、地球温暖化の防止という観点ではどちらがいいかという議論が出てまいります。
 それから、風力や太陽でどのぐらい稼げるかというような問題もあります。
 そういうリスクの管理も含めて、どういう組み合わせで量的にも価格的にもリーズナブルなものを提供していくかということが大事だと思います。
 そういうことを考えると、ずっと先のことはともかくとして、当面は今ある原発に頼らざるを得ないのではないかというふうに私は思います。
 例えば、御指摘のあったドイツは、脱原発を決めたというふうに報道をされております。正確には、決めていたのをまた戻そうとしていたのをやめたということであります。しかし、全くマスコミ報道には出ませんけれども、私が1カ月ぐらい前に調べたら、17基ある原発のうちの9基がまだ動いております。しかも、ドイツはエネルギーを純輸出しております。原発でつくったエネルギーを他国に売っとるというぐらい余裕のある中で動かしています。それが真実であります。
 3番目に、動かすリスクと動かさないリスクとは何かということでありますが、巨大技術にはリスクがつきものだと思います。原子力を動かすリスクについては、今回の事故で顕在化しております。
 電力不足で停電があったようなときに動かさないリスクが発生しております。停電が急にあったということはもちろんでありますけれども、計画停電であっても、例えば病気があっていろいろな装置に頼っておられるような方がどこにどういうふうにいらっしゃるか──実は、我々は15%が不可避かもしれないという心配をしていましたから──それを県庁挙げて全力で把握するよう努めました。しかし、全部について把握することは責任が持てません。そのときに把握漏れがあると、直ちに生命の危機に瀕するというようなことになります。
 また、それほど深刻でなくても、信号が動かないとか、あるいは電車が動かないで通勤や通学に支障が出るとか、そういうようないろいろな不都合が生じます。
 それを避けるためには節電が要りますが、昨年、あれだけ必死で節電を呼びかけてまいりましたけれども、実は関西全体では、和歌山は1%ポイント高いんですけども、関西全体では、生活で3%、オフィスで5%の節電しかできませんでした。
 これを仮に倍にしてくださっても、それでも産業活動に残りをしわ寄せしようとすると、27%に和歌山ではなります。これで所得が減らないで済むとか、あるいは失業が出ないで済むとか言う人がいたら、私は顔が見たいというふうに思います。既に問題になってる非正規雇用の方々なんか、真っ先に犠牲になると私は思います。さらに、長期的にも関西の空洞化が余計進むんじゃないか。そういう意味で、政府とか、あるいは首長のみならず、すべての政治家は、この双方のリスクについて責任があると私は思います。
 次に、関西広域連合の話であります。
 考え方は今述べたとおりでございますけれども、関西広域連合のエネルギー検討会においても、2020年から30年ぐらいを想定いたしました関西における中長期的なエネルギー政策の考え方を検討することになっておりまして、その中で、原発への過度の依存を見直し、新たなエネルギー社会の構築等について十分議論をしていくということで、私も先ほど述べた考え方に基づきまして参加してまいりたいと思っております。
 次に、電力不足に対する関西電力の取り組みの問題でございます。
 関西電力については、需給調整契約のメニューの新設、拡充とか、これによって需要を抑制しようとか、あるいは供給側でいうと、海南発電所2号機の運転再開のためにかなり投資をするとか、そういう経営判断をして電力供給能力の増強に努めてきたということは評価をいたします。
 一方、かくも電力需給が逼迫している現時点でも、まだオール電化システムの販売をやめないというのは、私は全然評価しません。これについては問題ではないかというふうに事務的に言うようにという指令を出しております。
 次に、県民や地元経済界からの声ですが、これはたくさんあります。
 生産部門等の節電は、製造加工の最盛期での生産調整となり困難でありますよと、それから、顧客サービスの低下につながりますよというような声があります。また、計画停電となったときは、その影響は多方面に及び、例えば機械を一たんとめると、プラント再立ち上げに1週間程度必要なんだぞと、わかってんのかというようなことを言われる人もいましたし、製造業界を初めとした各業界から経営に支障が出るという話はたくさんあります。
 また、医療機関や、あるいは福祉施設、あるいは乳幼児や高齢者がいる家庭の方なんかからも、どうしてくれるのというような話はたくさんあります。例えば、自分のような小さな病院は──分類上、診療所に該当すると思いますけれども──非常用電源もないのだから、入院患者とか、あるいは救急医療とか、どうしたらいいんだというような声を具体的に直接聞いたこともあります。
 4番目で、原発ゼロを目指してであります。
 ゼロを目指して声を上げてということでありますが、それがもし実現したとき生ずる数々の不都合な現実に目をつぶれというような無責任な態度は、私はとりたくないというふうに思います。
 河川の防災対策であります。
 河川の埋塞に係る災害復旧事業のように安全・安心にかかわる事業については、採択基準を画一的に適用するのではなくて、被害や復旧費の大きさ等、個々の実情に合わせ、柔軟に判断すべきものだと考えております。
 先日の紀伊半島知事会議でも、河道断面の3割未満の埋塞区間を含めた一連の区間で必要となる対策については、補助対象とするよう提案をいたしました。これは解説をいたしますと、実はこの3割未満は災害復旧の対象にならないということになっとるわけです。こういう点について問題だと思っております。
 また、熊野川における県管理区間の土砂撤去については、市の協力を得るなどの工夫をしながらも県で進めておりますけれども、堆積土砂が余りにも多くて時間も費用もかかることから、政府提案の中でも、県管理区間の国直轄区間への変更や、流下を阻害している堆積土砂を緊急に撤去するために、必要な予算の確保をお願いしているところです。
 この間、紀伊半島の3県と国の、この間の12号台風に関する合同会議がありましたが、そのときにもこういう問題を提起いたしまして、特に一番初めに申し上げました30%の話などは、個別の相談の中でぜひ協議をさしてもらいたいというお話がありましたので、引き続き、いろいろと国の支援が何か得られないかということを考えて、できるだけ早く問題の解決に資するように努力してまいりたいと考えております。
○副議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 関西電力御坊発電所の稼働率──関西電力では利用率と言っておりますが、平成23年度の年間利用率は36%、月別の最高利用率は平成24年2月の62%であったとの情報を得ております。
○副議長(浅井修一郎君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず、梅生育不良の現状と今後の対策についてお答え申し上げます。
 梅の生育不良につきましては、植物生理や大気環境等の専門家で構成する和歌山県うめ対策研究会において、栽培要因、気象要因、土壌要因などが複合的に絡み合って引き起こされたものと報告されております。
 これを受け、県では、産地の方々と一体となり、生産安定を図るための改植や土壌改良に取り組み、現在、生育不良樹の栽培面積に占める割合は、ピーク時に11.6%であったものが1%未満にまで減少しているところです。
 今後も梅産地の維持発展を図るため、生育不良の発生状況を注視しつつ、地域にとって必要な対策を引き続き実施してまいります。
 また、試験研究につきましては、研究会報告における残された課題を中心に、生理生態面での基礎研究や水分ストレス、適正着果量などの研究を行い、その成果をウメ栽培管理マニュアルに反映させて現地指導に生かしてきたところであり、今後も引き続き梅の高品質、安定生産に向け、研究を継続してまいる所存でございます。
 次に、大気汚染測定結果の評価についてですが、うめ研究所でのオゾン測定結果では、議員お話しのとおり、昨年度において4月1カ月間の測定期間中、環境基準を超える1時間当たり測定値を示す日数は26日あり、また1日のうち20時間、基準を超えている日もあるなど、4月に高い測定値を示しているのは、平成24年、ことしと同様の傾向でございます。
 また、昨年もことしも日平均で環境基準の0.06ppmを超える日が測定されておりますが、うめ研究所内において梅の木に対する生育不良やオゾンの影響と思われる症状は認められておりません。
 県では、平成11年にオゾンと二酸化硫黄及び二酸化窒素の複合ガスによる梅の木への連続暴露試験を行い、落葉や、あるいは葉に斑点症状が確認されましたが、生育不良と同様の症状ではないと研究会から報告を受けております。
 オキシダント濃度の年平均値はほぼ全国的に上昇しておりますが、特に平成12年度以降、九州や東海、近畿の西日本を中心に急上昇しており、大気汚染を心配される声もあることから、今後も継続を測定し、梅への影響を注視してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(浅井修一郎君) 県土整備部長尾花正啓君。
  〔尾花正啓君、登壇〕
○県土整備部長(尾花正啓君) 利水ダムの治水的運用についてでございます。
 ダム操作に関する技術検討会は、電源開発株式会社が新宮川水系に所有するダムの操作等について、台風12号を対象にさまざまな視点から意見を聴取し検討するとともに、ダム操作に関する現状確認、改善等を継続的に検討することを目的として、同社が設置したものでございます。
 県も委員として参画し、より大きな治水効果を得るため、さらなる水位低下の可能性を求める意見等をしたところ、降雨予測に基づく水位低下の限界や下流利水者への影響の可能性も踏まえ、今回の暫定運用内容がまとめられました。暫定運用による効果は洪水によっても異なりますが、現行運用に対して放流量を最大で約25%程度低減させる効果があると試算されております。
 今後、技術検討会では、気象予測技術の動向を把握するとともに、運用の妥当性や下流利水者への影響を検証し、運用方法を適宜見直していくこととしています。
 さらなる水位低下を求めていくには、本県が2級河川で実施しているように、1級河川においてダムの設置を許可する国がリスクを負って電源開発株式会社に要請していくことが必要と考えており、県としては、今回の暫定運用の効果を見きわめてまいります。
 また、台風12号において、熊野川では、国が策定した新宮川水系河川整備基本方針の計画流量を超える洪水が発生しました。このことから、現在、県では、国に河川整備基本方針の見直しを求めているところです。ダム堤体の改良によるハード対策については、それら熊野川の総合的な治水対策を考える中で処理される課題と認識しております。
○副議長(浅井修一郎君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校給食の放射能測定についてお答えします。
 一般に流通している食品につきましては、本県では放射性物質の検査を計画的に実施しており、他府県においても同様に検査が行われていることから、安全なものと考えてございます。
 学校給食に使用する食材についても、それらの流通食品を使用しており、安全であると認識しておりますけれども、このたび国から学校給食のモニタリングを行うよう委託があったところであり、ダブルチェックを行うことは児童生徒等のより一層の安全・安心の確保に資するということから、今定例会において、国の事業を活用する学校給食モニタリング事業を補正予算にお願いをしているところでございます。
 この事業は、実際に提供された学校給食の放射性物質の有無や量を検査するものであり、2学期以降、今年度中に県内各地域の学校等で合計70回の調査を実施するなど、継続的な実態把握に努めてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(浅井修一郎君) 再質問を許します。
 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁ありがとうございます。
 知事からは、原発の問題で答弁をいただきました。動かすリスクと動かさないリスク、双方あって、首長というのは双方に責任を持たなければならないという御見解でございました。
 しかし、私は、一方のこの原発事故のリスクというのは、福島であったことを例に挙げるまでもなく、本当に大変な、地域と社会と、そして歴史的にも地域全体が立ち行かなくなるような被害を与えるということは、もう御承知のとおりであります。この福井でも事故が起これば、関西の中心地は大方この100キロ圏内に入ってくるわけですから、本当にこの関西の経済活動というのがもう立ち行かなくなる、こういうふうに心配をするわけです。
 私は、このリスクと、先ほど知事がるる県民から寄せられたいろいろな声を述べられましたが、このリスクとを同列に考えて比べるというのはいかがなものかと思っているんです。原発を動かしての事故のリスクというのは、これは現在の我々の世代の選択ではありますが、考えれば、その事故の影響というのは、将来の世代にもわたって引き継がれる大変な命のリスクになると思うんです。私は、そのリスクを考えるなら、原発を動かさないというまず大前提を置いて、その中で、経済や、あるいは福祉、暮らしの影響をどうなくすかという建設的な議論をしていくことが大事ではないかと思います。
 私は、その点では政府に大変疑問を持っています。計画停電という無計画な停電で住民をおどすのではなしに、なぜ昨年やったような、例えば大口の需要に限った電力使用制限令というのもございましたが、期間をごく定めて発動を検討するということは、最初のほうは言っていたように思うんですが、5月の頭あたりからはさっぱり聞こえなくなりました。
 しかし、そうは言うものの、私は、経済界のほうは、大変大企業を中心に対策をとっているなということに感心した事例がございます。
 ここに、「朝日新聞」の6月17日付があるんですけれども、全国主要100社へのアンケートというのをとってます。これを見て、なかなかしたたかな対策をしているなと思ったんですが、電力不足が経営へ与える影響についてのアンケートでは、「影響はない」と言われる社が26社、「多少のコスト増だが影響は限定的だ」が38社ございます。加えて、「節電でコスト削減になる」、要は節電することで経費が減るというんですね、そういうきっかけになると答えた会社も22社ございました。「大幅コスト増で利益圧迫」というところは2社だけでございました。
 また、同じ紙面の中で関西の幾つかの大きな企業を挙げてるんですが、原発の再稼働は歓迎しながらも、自家発電に50億円これから投資するだとか、研究施設の勤務時間を夜間や土日に変えるシフトなど、具体的な対策を次々打っているようで、私はこれを見て、関西は電力需給が不安定になるからもうよそへ行ってしまおうかという、そういう意見はどうもないように思います。
 停電のリスクは、何も供給力不足ばかりではありません。きのうの台風でも一部停電がありましたが、台風、地震、送電線の事故など、いつでも起こり得ます。この機会に、そういう停電というリスクがあるのなら、そのリスクをきちんと受けとめるインフラの整備を進めるなどのことこそ大切なことだと私は思います。
 原発による破壊的なリスクで、本当に孫の代というよりも万年先の人類にツケを回すよりも、やはり停電による社会的なリスクにどう具体的に対応するか、政府の議論がそうなっていくように、私は今後とも県政から働きかけていっていただきたいし、私も働きかけていきたいと思います。
 それと、首長の立場にもいろいろ違いがあるわけでございますが、これは静岡県の浜名湖の横にある湖西市という市長さんが、全国の市町村さんや市長さんに呼びかけて、脱原発をめざす首長会議というのを立ち上げられております。会員は70数名になったそうですが、この湖西市長の三上元さんという方は経済人です。「湖西市には、スズキの工場を初め、自動車や電気関連など、たくさんの企業があります」と述べられています。
 この市長さんが最初に脱原発発言をした昨年4月、「工業の町の湖西市でそんなこと言ってええんか」と言う人がおったというんですが、この市長さんは経済界を説得できる自信があるというふうに言っておられます。原発が結局は大きなリスクのもとで決して安くないよというのがわかれば、経済界の人も支持しませんよというようなことを新聞記事の中で述べられていることも紹介をして、この項目は、そういう動きをしっかり今後もしていただきたいということで要望さしていただきたいと思います。
 次に、農林水産部長から答弁をいただいたオキシダントの問題なんですが、環境基準ということでは、先ほど述べられた答弁のことなんですが、この環境基準は、そもそも、部長も御存じのように人体に対する環境基準であって、梅に対する、植物に対するものではないということを前提にしておきたいと思います。
 昨年もことしも、うめ研究所のデータは同様ですという御答弁でしたが、このうめ研究所の地点では変化がなくても、やはりさっき紹介したような一般の測定局である環境衛生研究所などと比べたら、これは本当に異常に高い数字だと私は思うんです。異常なデータを異常なデータとして認識できていないのではないかというふうに思います。
 私は、この問題というのは、うめ研究所を抱えてる農林水産部だけでとらえるんじゃなしに、やっぱり必要ならば、県にも専門家がおられる環境衛生研究所や、あるいは国の国立環境研究所などでも、今、オキシダント、さっき部長言われたように、いろんな全国的な詳細な調査もされておりますから、アドバイスももらいながら研究を進めていってはどうかというふうに思うんですが、これについてはもう一度答弁をお願いしたいと思います。
 続いて、学校給食の放射能測定です。
 70回、年間はかっていただける予定だと伺いました。だとすると、国は、どうもこの和歌山県のようにだだっ広い地域にぽつぽつ学校があっちにある、こっちにあるという状態を想定していないんじゃないか。やはり測定回数や対象となる学校が、国の基準では私は少な過ぎるというふうに思います。県におかれましては、ぜひこの国の制度も使う上で、上乗せをしたり、そういうこともして、学校数と測定回数を充実させていくことを今後考えていただきたいというふうに思います。要望しておきます。
 県土整備部長からは、ダムの問題、それから熊野川の問題に答えていただきましたが、先日もこの熊野川へは現地調査に行ったわけでございます。その中で、これは要望なんですけれども、見て回ってもなかなか、168号線は大分改修も進んでいろいろやっていただいてるんですが、対岸の三重県側に目をやりますと、もう崩れた道がそのままになってるんですね。
 この議場で余りよその県のことを言えないわけですが、しかし私は、いざというときには、川の両岸に道路があるかないかで、被災地への対応、時には運命を分けることになると思うんです。災害に強い幹線道路をこっちでつくる、それにプラスして補完する道路があっち側にあるというのが正しいというか、いい道だと思うんです。
 それで、3県協議の場をこれからも持たれるということもありますから、ぜひこの点についても協力をあちらの県に要請をしていただけたらと思います。これは要望でございます。
 ですから、質問の部分は、農林水産部長へ大気汚染の問題についてお答えいただけたらと思います。
○副議長(浅井修一郎君) 再質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員御指摘のように、環境基準は人間に関する基準、人間の健康を維持する上で守ることが望ましい基準でございます。
 オゾンが植物体に及ぼす影響につきましては、関係機関に意見を求める等、情報収集に努めてまいります。
○副議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(浅井修一郎君) 再々質問はありますか、時間がありませんけれども。
  〔「終わります」と呼ぶ者あり〕
○副議長(浅井修一郎君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。

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