平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


平成24年6月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第86号から議案第102号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 34番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。
 中村前会長の後を受けて、自民党県議団の会長に就任をいたしました。今後ともよろしくお願いをいたします。
 そういうゆえをもちまして、今議会、一般質問のトップバッターとして機会をいただきました。
 まず初めに、今月6日、三笠宮寛仁親王殿下が薨去されました。寛仁様は、日本・トルコ協会の総裁として両国の親善に御尽力をされてこられました。潮岬沖で遭難をしたエルトゥールル号を通じ、串本町など、本県に合わせて8回も御来県されました。「ひげの殿下」として親しまれ、寛仁様はその都度多くの県民の皆さんと親しく触れ合ってこられました。
 県民の皆さんとともに、心から哀悼の意を表したいと思います。
 また、今月7日、我々の同志、仲間でもあります川口文章議員が御逝去をされました。
 病魔と闘いながら思ったことでしょう。「もう一度元気になって、この議場に帰りたい。もう一度、同志の皆さんと語り合いたい。そして、奥さんや子供さんがおられる自宅に帰りたい」と思ったに違いありません。
 しかし、天命というのは、いかんともすることができませんで、70歳の天命を全うされました。心から御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、通告に従いまして、この夏の電力不足問題や防災対策を中心に質問をさせていただきます。
 まず、1点目の電力不足問題についてであります。
 東京電力福島第1原発事故以来、原発の問題点や怖さが連日マスコミなどによって報道をされ、脱原発の動きが各方面で叫ばれるようになり、脱原発が1つのブームとなりつつあります。さきの菅内閣では、原発の事故後、安全宣言を出したかと思うと、すぐ後にストレステストの実施など、唖然とするほど方針が二転三転いたしました。
 私は、積極的に原発推進論を唱えるつもりではありませんが、よく考えてみますと、このままでは日本国が沈没してしまうのではとの大きな懸念を抱いています。
 民主党政権下では、閣僚を初め多くの幹部らが、すべての原発をストップさせるなどの脱原発ムードが大きく漂っています。この結果、関西電力管内では、この夏に原発が稼働しなければ最大で19.3%の電力供給不足が生じるとの見通しを立てていました。
 このため、関電では、大規模停電の回避策として、20%を上回る節電要請を行うとの方針を4月下旬に打ち出しました。この20%の節電方針に、役所を初めとする公共機関やマスコミなども大きく構え始め、節電という二文字が大きく躍り始め、情けないかな、今度は節電ブームが到来し始めました。
 また、県などの自治体では、節電対策としてクールビズを昨年よりも前倒しをして5月1日からスタートをさせたほか、県内の銀行などの事業所も早期実施をしております。このほか、県内のある会社では、秋の連休と夏休みを振りかえて、夏休みを4日間ふやして、この長い夏休み期間中は工場の操業を停止して電力不足を乗り切ることも検討中だとのことであります。
 無駄な電気を使わないといった節電は、本来推進されるのは当たり前であります。しかしながら、今回のような節電ブームによって、景気の低迷にさらに拍車がかかることは間違いありません。
 昨年の3.11大震災の際も、私の地元、紀南地方では、JRの列車が間引き運転をされ、地方の医療機関に通うお年寄りらに大きな影響を与えたほか、電車通学する生徒がクラブ活動を切り上げて下校する事態も生じました。さらに、この節電ブームによって、紀南地方の経済の根幹をなす観光産業やサービス業などにも大きな影響が出るのではと、私の地元からも心配の声が上がっております。
 脱原発、あるいは再稼働など、ぶれにぶれまくる民主党政権では、今月に入ってようやく大飯原発3、4号機の再稼働を打ち出し、計画停電などの心配はなくなりつつあるとのことであります。ここに来て、政府は、関電管内の節電目標を3、4号機の稼働状況を見きわめた上で5から10%節電に引き下げる方向だとのことでありますが、関電の八木社長は、16日の記者会見で、7月下旬までは極めて厳しいと述べ、当面は綱渡り的な状況で15%の節電目標は残すべきとの考えを示しています。
 世界の先進国の中で、節電を呼びかけての生産体制の見直しや自粛といった方策が声高々にまかり通っている国は我が国だけで、強いて言えば、民主党政権による国の運営に大きな課題が浮かび上がっています。
 さらに、我が国の電気料金は、さきの先進国に比べて高い上に、さらなる料金の値上げが現実化してきております。このままでは、企業や工場の海外移転に拍車がかかり、国内の産業の空洞化は必至の状況であります。まして、地方である本県への企業誘致にはかなりの困難が予想されます。
 高齢化社会となり、このままでは日本のGDPは2050年には世界第4位に転落するとの経団連の試算も先日発表されております。電力不足問題を初め多くの案件に対してスピード感がない民主党政権下では、日本は沈没の危機に陥るとの声が経済界からもわき上がってきております。
 先日、我が自由民主党県連の吉井和視幹事長ら役員3人が大阪市の関電本社を訪れ、大飯原発3、4号機の安全性を確認されることを前提に、一刻も早い再稼働を求めたいとの要望書を手渡しました。
 ここに来て、国は大飯原発を再稼働させて電力不足危機を乗り切ろうとしていますが、もし何かのトラブルで電力不足が生じる可能性も想定しなければなりません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 この夏の気温は平年並みかやや高いとの予想が出ており、異常なくらいの節電のブームを反映して、エアコンの使用を控えたりするお年寄りや小さい子供が熱中症にかかるケースが例年より多く予想されます。こうした電力不足からくる熱中症等の対策について、どのように取り組まれますか。
 このほか、企業、事務所に対して、土曜、日曜、祭日への操業の振りかえや早朝操業など、どのように指導していくかについてもお伺いをいたします。
 さらに、電力不足問題について質問を続けます。
 そこで、私なりの節電策について提案をさしていただきます。
 バブル経済期から近年にかけて、県内にある美術館や役場庁舎など、多くの公共施設はデザイン性が重要視されて建設されています。ある警察署は、玄関を入ると、いきなり大きな吹き抜け空間が広がる設計をなされています。この建物、見た目は立派ながら、エアコンや暖房費といった光熱費が物すごくかかると、会計責任者は頭を抱えているとのことであります。
 このほか、この時期に建設されたほとんどの公共施設には、自動ドアやエレベーターが設置をされております。この自動ドアやエレベーターは、体の不自由な人やお年寄りに必要なのは間違いありません。しかしながら、ある公共施設を観察したところ、ほとんどの人が小さい手動式のドアがあるにもかかわらず、大きな自動ドアを使って通行するのが当たり前となっております。自動ドアやエレベーターは、県内の何100カ所もある公共施設に設置をされておりますが、モーターによって作動することから、かなりの電力が多く消費されます。
 そこで、県当局といたしましては、自動ドアやエレベーターをなるべく使わないという節電と健康増進策を兼ねた一石二鳥の効果を公共機関に広く呼びかけてはいかがでしょうか。この点についてもお伺いをいたします。
 電力不足の問題の最後の項目をお伺いいたします。
 東京都が、先日、東電頼みの電力供給には疑問が残るとして、ベイエリアにLNG発電所計画を打ち上げました。また、我が県議会でも、和歌山市議会とともに、関電が計画を先延ばしにしている和歌山北港沖の埋め立て島でのLNG発電所の早期建設推進について、関電に申し入れを行いました。このLNG計画の実現には、長期的な時間を要します。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 LNG発電所の建設推進については、今後、どう取り組むかについて答弁をお願いいたします。
 続きまして、防災対策についてお伺いをいたします。
 私は、昨年の6月議会で、3.11大震災を受けて、紀南地方の津波・防災対策についてただしました。これは、いざ津波発生というときに対策が余り講じられていない点について取り上げました。
 それは、紀南地方を初めとする海岸沿いに、津波情報などを知らせる災害や道路・交通情報板がほとんど設置されていない点や、国道42号を初めとする海抜の低い道路を走行中の車両が高台へと逃げる避難誘導道路、それの案内・誘導表示板の設置がなされていないことであります。また、津波や高波で寸断された国道42号にかわって高台や山間部を走る自動車専用道路の整備促進を訴えたところであります。
 ことしに入って、国は、海沿いの国道に設置されてある道路標識や歩道橋の支柱などに海面からの標高を示す海抜情報板を掲示することを決め、全国的に実施するとのことであります。しかしながら、海抜の掲示だけでは避難誘導にはほど遠いものがあります。
 防災対策が各方面で叫ばれる中、3月末、内閣府の検討会が南海トラフ沿いの巨大地震による津波被害の新しい推計結果を発表いたしました。それによりますと、すさみ町では最大18.3メーター、御坊市では17.4メーター、和歌山市でも7.7メーターの津波が押し寄せるという推計であります。これを受けて、県でもすぐ有識者による検討委員会を立ち上げ、新たな検討を開始したほか、県内の沿岸市町村も、従来の津波想定を見直し、高台移転や避難所の整備、見直しの作業に入っています。
 このほか、県は、地震・津波の際の避難路の確保策として、避難路をふさぐおそれのある建物を知事の勧告、命令で撤去したり、また、耐震改修ができる仕組みの条例案をまとめ、今議会に提案をされています。
 また、県では、大地震が発生したとき、自分がいる場所の近くにある避難所がすぐにスマートフォンで検索ができて避難所まで案内をしてくれるスマートフォン向けのソフトを、ITソフト開発会社と共同で立ち上げました。これは、地元住民だけではなく観光客も活用できることから、防災面だけではなく、観光振興面からも大きな期待がうかがえます。
 話は少しそれますが、私は、先日、和歌山市の和歌浦地区に住む知り合いの方と面談をしたところ、この人は、「市から津波の避難場所を県立医大横の明和中学校から和歌浦小学校に変更すると知らせてきたが、どちらも海岸のすぐそばや近くで、ほんまに避難する場所になるのか、何を考えてるのか、こんなばかな話はない」などと大きな不満を募らせていました。そこで、よく調べてみますと、避難先は、秋葉山や名草山など、津波が来ても安全な避難先もあわせて広報していなかったことがわかりました。
 このように、海岸近くに住む人たちは、安心・安全なまちづくりをイの一番に強く望んでいるのであります。
 また、仁坂知事は、新たな津波想定を踏まえ、本会議初日の知事説明で、住民がより安全な避難先に避難できるよう、避難先に安全レベルを設定した本県独自の取り組みは高く評価されており、さらに今後、「まけるな!!和歌山パワーアップ補助金」制度を活用し、避難路の整備などに取り組む市町村を支援して、より安全な避難先の確保を目指したいと述べています。この仁坂知事の説明は、私には大きく防災対策を推進してもらえるなと感じた一方で、さきの住民の不安の声とは大きなギャップも感じるところであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 本県の被害想定を見直しするためには、設置されました県地震・津波被害想定検討委員会が審議する津波による浸水予測などの検討状況と、防災・減災対策の中でまず第一に推進をしなければならないのは、避難先の確保対策と、それの住民への周知徹底が大事な点でありますが、知事の取り組みについてお伺いをいたします。
 続きまして、県産品の販売促進戦略についてお伺いいたします。
 本県におきましては、梅やミカン、桃を初めとする特産品の販売拡大に向けて、農林水産部のみならず、全庁挙げて取り組んでおられます。また、仁坂知事も、就任以来、トップセールスとして、早朝の5時、6時に大阪や東京の中央市場などに出かけて、ミカンや梅などの農林水産物のPRを積極的に行っています。
 私の地元田辺市なども、市長や梅娘、それに地元の人たちが、6月6日の梅の日には首相官邸を訪れて総理に梅を届け、それにあわせて梅の消費拡大を東京の大田市場などで精力的に呼びかけています。
 私は、先月末、我が自由民主党県議団の前芝前副議長や浅井副議長ら8人の議員とともに、東京方面への視察に訪れました。
 その際に、有楽町にある東京国際フォーラムのカフェ・アンド・バー「プロント」を訪れ、そこで開催中の「つれもてWAKAYAMA」キャンペーンの会場に足を運び、サクラビンチョウマグロや紀州うめどりを試食したほか、梅の甘露煮の入ったハイボール、それにナツミカンとハッサクをまぜ合わせたジュースに健康志向ブームで人気を呼んでいるヒアルロン酸をコラボさせた結朔ぷるぷるジュースを試飲し、とてもおいしくいただきました。
 このキャンペーンは、サントリーの関連会社と県、それに県内の生産団体や食品団体などがコラボして行ったもので、ユニークな新製品の開発など、さまざまなケースでの販路の拡大に頑張っておられることに大きな敬意を表した次第であります。また、我々も、県産品の販路拡大に一役も二役も買わなければとの思いを新たに強くしたものであります。
 それから、有楽町駅前の東京交通会館地下1階にある県産品のアンテナショップ「わかやま喜集館」にも足を運びました。
 そこで、担当課の職員さんから、「おいしい特産品をPRしていますが、ことしからはおいしさにプラスをして、健康にもよいとされる機能を持つ梅やミカンなどを積極的にPRして、販路を拡大するため、『おいしい!健康わかやま』をキャッチフレーズに掲げ、そして、その魅力を発信しています。さらに、高品質な物づくりの推進のために、首都圏の皆さんのライフスタイルにマッチした、おいしさプラス健康、安全、安心、環境といった視点からの商品づくりにも取り組んでいます」との説明を受けました。
 このほか、喜集館では、本県ならではの観光情報やイベント情報の発信はもとより、独自の取り組みとして、今月のおすすめ商品コーナーでは、6月は青梅とぶどう山椒、それに今月の新規商品として和歌山ブランデーケーキや梅ぎょうざ、うめぶたカレーなどを紹介するコーナーも設けています。
 しかしながら、首都圏では、有田ミカンや南高梅を除けば、桃やブドウの果物や野菜など、本県の産品は必ずしも十分に認知されているとは言いがたいとのことであります。
 そこで、私なりに考えてみました。高級とされております値段も高い有田ミカンと他府県産の値段の安いミカンとを食べ比べてもらったり、紀州の南高梅と中国や台湾産の梅干しとの食べ比べ試食会といった大キャンペーンを展開して、どんなに本県産の特産品がずば抜けておいしいかを、大消費地の皆さんの舌を通じて認知してもらうことも大事であります。
 このほか、梅干しには疲労回復効果があることは、本県ではよく知られております。また、県庁を退職された私の知り合いは、ピロリ菌を退治するために、薬を飲まずに、朝晩に梅干しを食べることによってピロリ菌をなくしたケースも聞いております。
 また、都会の人たちに、梅干しやミカンなどを使い、魚介類などをおいしく食べていただくノウハウも知ってもらうことも大切であります。
 例えば、煮魚をつくる際、梅干し、または値段の安いつぶれ梅を入れて魚を炊く、魚の臭みがなくなるといった効果を伝えたり、また、重症者を除く糖尿病の治療を行っている人やメタボ対策に取り組まれている人に、煮魚のときに使う砂糖にかわって本県特産のミカンハチみつを使って余分な糖分の摂取を控えれるという、また、かんきつによる魚の生臭さを消す効果など、紀州の特産品の余り知られていない隠れた魅力の発信も、これからも大事な使命であります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 これまでの取り組みを踏まえて、本県産の農林水産物の販路の拡大についてどのように取り組まれているのか、お伺いをいたします。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山下直也君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、節電による県民生活への影響についてということでございますが、この夏の電力不足による国からの節電要請は大変厳しいものがありました。産業界や社会生活への影響が大きくて、到底達成できるものではなかったと思います。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働が決定されて、電力需給状況が改善される見込みとなりました。
 しかしながら、原発がフル稼働するまでは、準備を始めてから6週間かかる。また、フル稼働をしても、ようやく需給のバランスは昨年並みであります。さらには、関西電力は、古い設備も総動員をして動かしていますから、客観的に見ると故障リスクというのは昨年よりも高い可能性があります。したがって、当面は節電をしなければ不安があるという状態だと思います。
 そこで、県では、「わかやま夏の節電アクションプラン」を昨日発表しました。本来ならば、広域連合で統一をして、統一方針を決めて、それでみんなで同じようなことをやろうというふうにしなきゃいけないと私は思いましたので、それを進言しましたけれども、政府の目標が15%ということでまだ変わってない、フル稼働になるまでは15%で変えるつもりはないということなので、我々も変えるつもりはないというふうに担当委員などが言うておりますので、これはやっぱり県だけでやらないといかんということで、昨日発表さしていただいたわけです。
 県が率先して節電を実践しながら、県民や企業に協力をお願いしていく。フル稼働までは、当面、家庭とオフィスで目標15%以上ということでお願いしようというふうに思ったわけであります。
 まず、県庁では、冷房を3時間短縮いたします。課室照明の30%を消灯し、議員御指摘のように、一部エレベーターの停止などに取り組みまして、これでようやく20%の節電ということになろうかと思います。また、さきに述べたように、いろんな突発的な事態で、急に電力需給が赤信号になるということも考えられます。そういうときは、これは大変ということで、県庁に関していえば冷房を完全に停止するなど、50%ぐらいの節電を行うというつもりでおります。
 一方、家庭の皆さんには、エアコンの28度C設定とか、あるいは冷蔵庫の設定を強から中にするなどの取り組みによりまして、平成22年度比15%以上の節電をお願いしたいと思っています。オフィスでも、照明の間引きとかエアコンの28度C設定の取り組みによりまして、平成22年度比15%以上の節電をお願いするということにしたいと思っております。
 一方、製造業の製造活動、あるいは医療機関の活動、あるいは観光業の集客施設など商業施設等に対しては、業務に支障のない範囲での自主的な協力をお願いするということにしております。
 仮に、原発が動かなくて、全体で15%の電力不足が生じた場合は、家庭やオフィスで昨年の倍の節電をお願いしても、生産活動でつじつまを合わせようとすると27%の節電が必要になってくると。それが無理なら計画停電が不可避でありますが、御指摘のような健康・生命のリスク、あるいは雇用のリスク、そういうものがたくさん心配されることでありました。
 一応、動くことになっておりますので、無理のない範囲内で節電を呼びかけるというプランにさせていただいたわけであります。
 そういうことですから、議員御懸念の熱中症対策については、それは適度にエアコンを使用するなど、無理のない範囲内での協力を呼びかけております。
 また、高齢者の方は特に注意が必要でございます。水分補給等の予防策をとっていただくことや、万が一熱中症と思われる場合は適切に医療機関を受診していくことなどについて、県民や関係機関等に対して注意を喚起してまいりたいと考えております。
 企業への働きかけについては、県の産業別担当者制度を活用いたしまして、職員が直接企業を訪問し、節電への取り組み状況、我々の考え方、そういうものを説明した上で、その企業の取り組み状況を聴取しながら協力をお願いしていきたいと思っております。
 また、公共施設での節電対策についてでありますが、県庁での取り組みを各市町村施設に対しても申し上げて、同様に取り組んでいただくようにお願いをしていくということではないかと思います。
 次に、LNG発電でございます。
 石油や石炭という他の化石燃料に比べて環境負荷の少ないLNGを燃料とする和歌山発電所は、これからの電力の安定供給には欠かせない施設になると思っております。機会があるごとに、関西電力に計画の具体化を要請しているところであります。とりわけ、原発に対する世間の風当たりが強くて、新規立地とか、あるいは増設、そういうものが困難であると思われます。それなら、既存施設はだんだん老朽化していきますから、それに対応する次の電力源としては、絶対この構想の実現が必要だと私は考えております。
 関西電力では、国で検討されている新たなエネルギー政策の行方や関西電力管内の今後の需給見通しを踏まえ、長期的な供給力確保対策として検討していくのだろうというふうに考えますけれども、県としては、引き続き、和歌山発電所を速やかに着工するように積極的に働きかけてまいる所存であります。
 次に、防災、特に津波対策であります。
 中央防災会議が公表した超巨大な地震・津波が起これば、生命を守るためにはとにかく高台に逃げるしかない。既に、県が防災・減災対策の総点検において市町村とともに行った避難先の見直し、安全レベル設定は、この考え方を具体的に示したものであります。御指摘のように、総務省消防庁を初め関係各所から、実践的な津波避難として高く評価をいただいております。
 ただ、この方式は、従来の方式を変えたくないという市町村とかなり激しく論争いたしまして、議論をしまして実現した次第です。今や市町村の方々もみんな納得して頑張っていただいていると思っておりましたが、和歌山市の、議員御指摘の和歌浦のケースのように言っている職員がまだいるのかというふうに思いましたので、これは県民・市民の生命を守るためには市に強く抗議をしないといかんというふうに思っております。
 今回の公表後、避難先──今回というのは3月31日の公表後ですが──のうち、安全レベル3としたものについては──レベル3というのはここまで逃げれば安全といって進めておりますもんですから、起こるかどうかはわからないものの、可能性がある発表された津波高にも対応していないとおかしいというふうに思いましたので、その公表された津波高でも安全である避難先にするように見直しを行いました。
 6月3日には、和歌山県地震・津波被害想定検討委員会を開催いたしまして、新たな被害想定及び津波浸水予測の策定に着手したところであります。
 委員会においては、これまでの本県が取り組んできた、多分全国一厳し目に考えている東海・東南海・南海3連動地震の想定や、それに基づく防災・減災対策を進めてきたことに対し高い評価をいただきましたが、今回、この発生頻度の高い地震について、従前の想定を精査し、最新のデータにより浸水予測を行うとともに、内閣府の公表した最大クラスの津波についても、今年度末までに浸水予測等の検討を行うこととしております。
 これを受けまして、来年度以降、市町のハザードマップの作成に結びつけていきたい、そんなふうに考えております。
 防災・減災対策の総点検におきましては、避難先の安全レベルの設定とともに、市町村が高台や裏山のような避難先へ続く避難路について新たに整備や改良することを県として最優先に支援することを打ち出しておりまして、予算も確保しておりますが、引き続き支援をしていきたいと考えております。
 家族で避難先を事前に避難カードに記載し携帯する取り組みについても、「出張!県政おはなし講座」とか、私の行政報告会とか、あるいは「出張!減災教室」、紀の国防災人づくり塾、いろいろな催しがありますが、そういうところで皆さんに一生懸命お話しをしているところです。
 また、学校教育が大事でございますので、釜石の奇跡の立役者である片田先生の思想をPRし、DVDなどを既に送っておりますけれども、また協力してもらって教材を開発しまして、これで全生徒に教育していこうという運びになっております。
 また、実際に被害が起こったときに情報をどうやって皆さんに伝えるか、これ、物すごく大事なことなんで、そう簡単ではございません。これの思想は多重であろうと思いますので、防災無線だけではなくて、エリアメールとかラジオとか、いろんなものを使ってお伝えしていかないといかんと思います。
 また、県民の皆さんはもちろん、来県された観光客の皆様にも、できるだけ簡単に、そして正確に避難先を知っていただくために、日本最大のポータルサイトであるヤフーの地図情報に避難先を掲示し、また、今普及が著しいスマートフォンには、避難先まで案内してくれるアプリケーションの提供も、関係企業の協力をいただきましてサービスを提供することができるようになりました。引き続き、積極的な対策に注力してまいりたいと思います。
 次に、県産品の販売戦略でございます。
 毎年度、県産品の販売促進については、アクションプログラムをつくりまして頑張ろうとしております。
 今年度のアクションプログラムは、3本柱でいきたいというふうに考えております。
 その第1は、もっと和歌山県の認知度をアップさせること。これは、ただ単においしいという観点だけではなくて、梅を初め、和歌山のものはおいしいし、さらには御指摘のように健康にもいいといった機能性等についてもPRしていこうということで、キャッチフレーズを「おいしい!健康わかやま」ということで宣言をしております。いつもそれを述べるということであります。
 今回のプロントとのコラボレーションでは、梅の甘露煮を使ったハイボールを初め、練り梅や紀州うめどり、県産の新鮮なシラスやヒアルロン酸入りの結朔ジュースなど、健康志向への訴求も念頭に全国展開をしております。引き続き、県産品の機能性等をPRするフォーラムを首都圏で開催するなど、和歌山の食材が持つ隠れた魅力を大いに情報発信してまいりたいと思います。
 第2に、有利な販路の拡大に取り組んでまいりたいということであります。いいものを正しく評価してもらい、安定的な取引が行われるような販路を開拓し、生産者や産地がもうかる仕組みを形成していくことが重要でございます。展示会や商談会等、いろんなマッチングの場の提供のほか、ネットショッピングモール「ふるさと和歌山わいわい市場」を通じた顧客獲得支援など、さまざまなサポートを展開してまいりたいと思います。
 第3でございますが、消費段階、すなわち出口を見据えた高品質な物づくりも推進してまいりたいということであります。
 どんなにおいしくても、首都圏等のライフスタイルに合わせたり、健康、安全、安心、環境といった観点、こういう消費者に非常にアピールするような観点が必要であります。そういう意味で、マーケット側のニーズの情報収集と生産サイドへのフィードバックによりまして、より消費者を意識した物づくりも推進してまいりたいと思っております。
 御指摘のように、県内にはすぐれた産品がたくさんございます。あるいは、これからもっとアピールできる産品もあると思います。そういう意味で、事業者の皆様には、こういった県産品の販路拡大に対する取り組みを、これはもう十分に活用していただいて、それぞれの企業努力もまたしてもらいたい、そんなふうに思っている次第でございます。
○議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山下直也君) 再質問を許します。
 大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕
○大沢広太郎君 知事には、大変すばらしい、また中身の濃い答弁をしていただきまして、ありがとうございました。
 知事の御所見をお伺いをいたしました。職員ともども大変頑張っていることに、心強く感じております。今後とも、県産品の販路拡大に向けてのさらなる取り組みをお願いいたしまして、これは要望として質問を終わらしていただきます。
○議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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