平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(尾崎太郎議員の質疑及び一般質問)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(尾崎太郎議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 3番尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 昨年の12月26日、和歌山県庁南別館管理業務総合評価一般競争入札の開札が行われました。この入札には3事業体が参加していましたが、落札者以外の事業体がそれぞれ入札の不透明さを訴え、管財課に抗議。管財課の余りの不誠実に、監察査察室に入札の妥当性の検証を依頼するという異例の事態に発展しました。
 事の発端は、開札中に契約担当官である管財課の職員3人全員が落札者を入札者に告げることなく開札場を退出したことによります。3人の職員とは、管財課長の田伏啓治、同班長の里村雅之、同主任の土井富夫の3人であります。
 以下は、開札場に入場した3人のうち2人、南方文也氏と犬飼幸洋氏から状況を聞き取ったものです。
 3人は、入札者から見て、向かって左側に田伏課長、真ん中に土井主任、右側に里村班長が座りました。開札は土井主任が行い、入札金額を確認、執行調書に記入し、あらかじめ出していた評価点を入札金額で割る作業を電卓で行い、算出された数字を総合評価点として執行調書に記入しました。
 その後、調書を隣の田伏課長に見せたところ、田伏課長はなぜか頭を抱え、それを見た里村班長は、土井主任伝いに調書を受け取ると電卓で検算を始めました。そして、3人で何やら相談すると、田伏課長が「では、しばらくお待ちください」と述べたので、入札者は「何をしに行くのか」と質問したところ、「審査委員会に承認をもらってきます」と返答。「おかしいやないか。結果出たんやろ」との声に、「出ています」、「ほな、発表せえ」、「承認もらっていないので発表できません」、「開札したんやから、せめて金額ぐらい言え」とのやりとりがあり、3人でしばらく相談した後、田伏課長が「金額だけなら発表できます」と言い、土井主任が入札金額を伝えました。それぞれ、1億7000万円、1億5800万円、1億7800万円でありました。入札金額に相当の開きがあるため、幾ら総合評価だとはいえ、事実上、入札結果は出たと判断した入札者は、3人が退出することにそれ以上抗議をしませんでした。
 約10数分後、3人は開札場に戻りましたが、この際、開札場に入場者以外の者も入ることを認められ、計11名が入りました。
 落札することになる事業者は、このとき一緒に入った関係者に「課長がこっちを見て、まずいなという顔をしていた」と語っているのを他の事業者が聞いています。
 そして、落札者が発表されましたが、1200万円差を逆転しての落札に場内は騒然とし、収拾を図るためか、田伏課長が終了を宣言し、全員を退出させ、最低落札金額を提示した事業体の代表と管財課職員3名とで約40分間の話し合いが持たれています。
 そもそも、南別館に限って、なぜ管理運営を一括して一民間事業者に任せているのでしょうか。議会棟のあるこの北別館、本庁舎等、いずれも管財課が管理をし、清掃、警備、設備管理と分け、それぞれ業務を委託しています。一方、県立体育館や県民文化会館、紀三井寺競技場等、広く県民が利用する施設については、現在、指定管理者が管理をしているところであります。
 この点につきまして、決算委員会における総務部長の答弁によりますと、平成18年に官民で競争するということで市場化テストを行った、入札には管財課も参加し、民間のほうが業務を効率的に行えるとの結論が出たので民間でパッケージで委託するという方針を決めたそうであります。
 例えば、パスポートセンターのようないわゆる窓口業務を民間にお任せするというならともかく、庁舎の管理はいかがなものかと思いますが、総務部長も同委員会において、「庁舎管理業務の内容は直営になじむ業務であると思われる」、「南館については、危機管理センターや情報管理の部門も入っており、安全性だけ考えると直営のほうが望ましいと思われる」と答弁しております。
 南別館を本庁舎と同じように直営とし、個々に発注をかければ、入札参加者がふえ、単価が下がり、万々歳であります。管理に公務員の人件費は高いというならば、本庁舎の管理に実質的にどれほど管財課の職員がかかわっているというのでしょうか。
 裏を返せば、通常であれば庁舎の管理業務は毎年入札で過酷な価格競争をしなければならないのに、このような形であれば、3年間も総合評価方式の入札なので、比較的いい値段で受注できるのですから、実においしい仕事であると言えましょう。このような形とは、あたかも指定管理のような形であります。指定管理者と南別館のような民間による管理は、法的位置づけは違いますが、外形は少なくとも県民から見れば同じように見えます。この違いをわかっている県庁職員が何人いることでしょう。
 さて、落札できなかった事業体を構成する各事業者は、余りに不自然な入札に、今回の入札を思い起こしてみたようです。ある事業者は、ヒアリングの前に「どんな審査員に審査されるのだろうか」との不安を口にしたところ、落札業者の社長から「前回と同じで、1人死んだので、それだけかわっている」と知らされたことを思い出しました。また、ある事業者は、審査委員長から「徒歩1時間で来られますか」と質問されたことがひっかかっていました。
 私が聞き取った各事業者の疑問点は、おおよそ次のようなものです。
 1、なぜ開札中に3人全員が開札場を出たのか。
 2、なぜ落札業者だけが事前に審査員を知っていたのか。
 3、そもそも、なぜ庁舎の管理という創意工夫の余地がほとんどない分野で、加算点に22点もの大差がつくのか。
 4、なぜ審査委員長は、徒歩1時間で来られるのかとの質問をしたのか。
 皆さんそれぞれに管財課を問い詰めたようですが、管財課の不誠実な対応に不信感を募らせた各事業者は、監察査察室に入札の不当性を訴えたのです。残念ながら、監察査察室の回答は全く不得要領なもので、各事業者は監察査察室にも憤りを隠しておりません。
 監察査察室は、管財課の「当時、審査委員会は継続して開かれていた状態であったため、落札者を決定する前に審査委員会に総合評価点の最終確認が必要と考えた」との言いわけを是とし、「ただし、入札参加者の立場から不信感や疑念を持たれる可能性がある結果となっており、改善等検討依頼の文書を発出した」と述べております。また、退出は手順にのっとり行われたとしております。
 しかし、当の管財課が作成した入札実施要項によれば、開札に当たっての留意事項の4に、入札者またはその代理人は、入札中は契約担当官等が特にやむを得ない事情があると認めた場合のほか、開札場を退場することはできないとしております。3人全員が退出すれば、入札者はどのようにして了解を得るというのか。手順のようなものがあるとすれば、それはこの条項を踏まえたものであるはずなので、少なくとも3人全員が退出する手順などはないと考えるべきです。
 地方自治法施行令第167条の8によれば、一般競争入札の開札は、「入札者を立ち会わせてしなければならない」と定めています。監察査察室は、一般的な総合評価入札の場合、開札時に入札額の公表をしない場合もあるなどとしていますが、この入札の実施要項の開札に当たっての留意事項の1に、開札は、入札者またはその代理人を立ち会わせて行うと定めているのです。
 また、審査委員会の所掌事務には、総合評価点の承認あるいは落札者決定の承認などは含まれておりません。
 3人は、開札場に戻った後、落札者を発表しますが、これは明らかに開札ではありません。先ほど述べましたように、このときは入札者以外の者の入室が認められているのです。開札に当たっての留意事項の3には、入札者またはその代理人は、開札場に入場しようとするときは、入札関係職員の求めに応じ、競争入札参加資格を証明する書類、身分証明書または入札権限に関する委任状を提示し、または提出しなければならないとあるのです。したがって、入札者以外の者が入室して行われた行為は開札ではないと解するのが妥当です。
 この入札において、開札とは一体何のことを言うのでしょうか。入札金額は開示されることになっていたとしか考えられません。開札場に入札者を集める意味が全くないからです。
 監察査察室は、「不信感や疑念を持たれる可能性がある結果となっており」と書くべきではなかった。「不信感や疑念を持たれる結果となっており」と書くべきでした。これで不信感を持たない方がおられるとしたら、お目にかかりたいぐらいであります。
 落札金額も告げず、3人全員が退出しようとした真の理由は、果たして何であったのでしょうか。
 さて、南別館の平成18年の入札では、あらかじめ評価委員の氏名は公表されていました。平成20年の入札と今回の入札で氏名が公表されていないならば、委員の氏名は非公開だと事業者は受け取るでしょう。非公開ならば、これを知ろうとする行為は入札妨害に当たるおそれがあり、普通は自粛します。ですから、落札事業者だけが審査員を知っていたことに疑問を感じて当然なのです。
 これに対する管財課の回答は、審査員がだれであるかは特に秘すべき情報ではないので、申し出があればお知らせするというものです。詭弁もここにきわまれり。では、公表しておけばよいのです。
 そして、落札事業者が審査員を知っていたことについては、この落札業者は現在南別館の管理運営業務を受託中であり、審査員の任期は平成20年8月20日から平成24年3月31日までで、審査委員会の所掌事務には「委託事務の適正かつ確実な実施の確保についての審査を行うこと」があるので、当該業者が審査員を知っていても不思議ではないとしています。
 確かに、審査委員会設置要綱にはその旨の規定があります。審査員の名前は秘匿すべき情報ではなかった、審査員の任期は4年であった、審査委員会は受託業務の適正かつ確実な実施の確保を審査していた、それゆえ、だから前回の落札業者でもある今回の落札業者が審査員を知っていたというならば、知っていたこと自体には問題はないにしても、審査員と落札業者の間に何らかのコミュニケーションがあることになり、そのことがたとえ審査員の高いモラルにより審査に影響がなかったとしても、入札の仕組みとしてはとても妥当であるとは言えますまい。
 入札実施要項の入札参加資格に関する事項の13には、和歌山県庁南別館管理業務委託に係る総合評価を行う委員会の委員または当該委員と直接の利害関係のある者でないこと、コンソーシアムにあっては、構成員のいずれについてもこの要件を満たすものであることとの規定があります。
 なるほど、審査員の氏名は秘匿情報ではないのでしょう。何となれば、だれが審査員なのかわからなければ、自分が審査員と直接利害があるかどうかはわからないのですから。審査員を知ってしまって、たまたま直接利害関係があれば入札に参加できなくなってしまいます。だから、そんなことがないように、質問されない限り、だれが審査員か、あえてはお知らせしませんということなのですか。随分御親切なことです。これは、もちろん皮肉であります。
 このような規定を設けるならば、審査員の氏名は秘匿情報でないというのはおかしい。審査員の氏名は、必ず公表しておかなければならないはずです。
 さらに言えば、もし直接利害関係があるということで入札参加資格が得られなければ、事業者には何ら責任がないので、その審査員を差しかえなければなりません。実におかしな規定であります。だれが審査員であるかは、現に受託している事業者以外にはできるだけ知られたくはないという意図があったと考える以外に説明がつくでしょうか。
 次に、疑問点の3でありますが、ある事業者は、入札公告が出た後、開札までに、里村班長から「審査員は持ち点制である」と伝えられ、「それでは、120割る4で1人30点ですか」と問うと、「まあそうやな」と里村班長が答えたといいます。また、別の事業者も、同時期に里村班長からその旨聞いたと言っております。ところが、監察査察室の聞き取りでは、管財課は、加算点評価は委員4名の合計点方式であると回答した事実はないとしております。事業者がわざわざこんなつくり話をするとは思えないので、理解に苦しみます。
 市場化テストとして行われた南別館の平成18年の入札では、このときは審査委員会ではなく評価委員という名称ですが、委員会は5人で構成されておりました。加算点は300点であり、5の倍数です。平成20年と今回の入札の審査委員会は4人で構成されていて、審査員の任期は4年間であり、亡くなった1人が入れかわった以外、同じメンバーであります。平成20年の入札での加算点は60点で、4の倍数であり、今回の入札では加算点は120点で、やはり4の倍数です。
 審査委員会設置要綱の第2条の3に、委員会の所掌事務として、総合評価競争入札における提案書の審査方法を定め、それに基づく審査を行うこととありますので、加算点のあり方は、同じ委員会が、なぜか平成20年の入札では60点、今回は120点と決めたことになります。つまり、平成20年の入札では入札金額が落札決定に大きなウエートを占め、今回の入札では加算点、すなわち提案が落札に大きな影響を及ぼします。加算点の割合がもし平成20年の入札と同じであれば、今回、入札金額を1200万円も安く入れた事業体は、楽々今回の落札事業体を抑えて総合評価点で1位になっていたのです。
 税金1200万円分の管理を施される快適な南別館。南別館で働く県職員は別格。北別館にいるのは我々議員ども。ここはそこそこの管理でよいのです。
 そもそも、この入札では、業務要求水準をすべて満たしているか否かについて必須項目審査が行われ、事業計画がすべての業務要求水準を満たしている場合にのみ適格とされ、基礎点120点が付与され、入札参加できる仕組みとなっているのです。本来であれば、この審査を事前審査として行い、入札参加資格を与えた上で通常の金額での競争に付せば、県民に堂々と説明できる入札になっていたのに残念です。
 合算か合議かはともかく、このような落札金額の逆転を許した加算点の評価がどのように行われたかは、事業者だけではなく、多額の税金を余分に払うことになるだけに、県民の方々も関心をお持ちになることでしょう。
 本入札に係る審査委員会は、3回開催されています。平成23年9月12日、11月10日、入札執行日である12月26日であります。
 9月12日の議事録を見ますと、前回60点であった加算点を120点にしたのは、実は審査委員会ではなく事務局、すなわち管財課の案であったことがわかります。その旨の説明を聞いた委員から、「今回から加算点が120点になって、入札参加にとって影響が大きいので、採点の基準をつくっておいてほしい」との発言があり、事務局は「基準をつくっておきます」と答えております。
 この日の委員会の冒頭、配付資料として配られた入札実施要項には、加算点項目の評価基準が示されています。事業実施に係る管理体制に関する提案では、ア、管理業務の質の向上に寄与する資格及び実務経験を有する者の勤務に関する方策、イ、管理業務の質の向上に寄与する人員体制構築の方策、業務改善に関する提案では、ア、各業務の質の向上を図る方策、イ、業務コスト削減のための工夫、ウ、快適な執務環境を確保するための方策、エ、災害時・緊急時の対応方法となっています。
 平成20年の入札での実施要項には、ウ、快適な執務環境を確保するための方策、エ、災害時・緊急時の対応方法がありませんでした。今回は、職員の執務環境を快適にするために税金を投入するつもりであったということになりはしませんか。
 それはともかくとして、この評価基準以外に採点の基準をつくることになっていたのです。一体、公表されている評価の基準以外に、事務局である管財課はどのような採点の基準をつくったのか。
 そこで気になるのは、今回の落札事業体が平成20年に落札した際、審査委員会がその業務の適正かつ確実な実施の確保について審査を行っているという事実です。業務は3年にわたっているので、審査の後も業務が続くことを考えれば、改善すべきところがあったなら、そのままにしておくよりも何らかの指導があったと考えるほうが自然です。それは、この審査委員会の審査の傾向を知ることになり、採点の基準を公表しないならば、同じ委員が審査する審査には、今、管理を行っている事業体が著しく有利な立場になると考えても無理はありません。
 留意しなければならないのは、議事録を見れば明らかですが、審査委員会は管財課の案の追認機関にすぎず、もし指導したのが管財課であっても、指導内容はそのまま審査委員会の傾向としてあらわれるであろうということです。
 平成18年の入札は、官民競争入札型市場化テストとして実施されており、あくまでも市場化テストでありました。テストであるがゆえに検証が必要であったのであり、そのため評価委員会の所掌事務として、評価委員会設置要綱に「業務の適正かつ確実な実施の確保について審査を行うこと」が盛り込まれたのではないでしょうか。もしも庁舎の管理を民間に委託するというかつてない試みがうまくいかなかった場合には、次回からは本庁舎と同じような通常の管理がなされるという建前であったのです。だからこそ、平成18年の委員会は評価委員会であり、平成20年以降は審査委員会なのでしょう。
 テストの結果、建前としては、南別館の管理は民間委託がよいということになったからこそ、管理を委託すべく、平成20年の入札が行われたのです。これ以降はテストではないので、他の委託契約の入札と何ら変わることはないはずであり、本来、委託業務の適正かつ確実な実施の確保についての審査などという所掌事務は不要であるのです。確保できる確信がなければ委託してはいけないのであり、だからこそ市場化テストをして検証したのです。
 つまり、平成20年以降の入札では、審査委員会の所掌事務に「業務の適正かつ確実な実施の確保について審査を行うこと」を入れる必要はなかった。
 では、なぜこの事務を入れたのでありましょうか。
 入札実施要項の中で、管理運営業務の質の設定において、1、県は南別館勤務者全員に対して、設備管理、清掃、警備について満足度に関するアンケート調査を実施するとあり、これは平成20年の入札も今回もそうなっております。
 アンケート調査は、不満、やや不満、普通、やや満足、満足の5段階評価で行い、不満は1点、やや不満は2点、普通は3点、やや満足は4点、満足は5点の配点とし、「平均して普通以上の評価を受けることとする」とあります。
 アンケートは県が実施するもので、審査委員会ではありませんが、審査委員会が行う業務の実施の確保についての審査がこのアンケートをもとにしたものであるのではないか。そうであれば、このアンケートの項目の幾つかが加算点審査の際の採点の基準になっている可能性があります。
 このアンケートも、本来、不要なはずです。本業務は、今や通常の委託業務なのです。皆さん、管財課から北別館の清掃のぐあいをアンケート調査されたことがあるでしょうか。
 一般的に、審査委員会に事業者が接触することは望ましいことではありません。所管課ともそうでしょう。それを正当化するのに使えるので、もはや必要ではない規定をあえて残したのではないでしょうか。
 ちなみに、審査員の任期は本年3月31日で切れるので、今回の落札事業体の──といっても平成20年のときと同じ事業体ですが──業務の実施の確保についての審査は、だれが行うのかは不明です。目的が達成されたから、もういいのかもしれませんが。
 今回の入札で3番手であった事業体は、平成18年の入札の落札者でもありました。この事業体は、惜しくも平成20年の入札では2番手であり、今回の落札事業体に敗れていますが、平成20年の入札における評価点は60点満点中16点、落札事業者は同じく18点であり、得点率はそれぞれ26.66%、30%です。今回の入札では、同じ事業体がそれぞれ120点満点中76点、94点であり、得点率はそれぞれ63.33%、78.33%であります。
 同じ事業体をほぼ同じ審査員が審査して、前回では約3.4%の差で、今回は15%の差が出ているのです。15%の差は、金額にして1000万円以上にもなります。どちらも南別館を管理した経験を持つ事業体なのです。よほど他を圧倒する画期的な提案がなされたとしか言いようがないのですが、しょせんは庁舎の管理、創意工夫の余地など、そんなにあるはずもありません。
 ちなみに、今回2番手であった事業体は72点、得点率は60%でした。
 平成20年の入札に比べ、今回は加算点が倍に引き上げられたのみならず、全体的に得点率がアップしております。満点が60点から120点に変わったとしても、平成20年の入札も今回も同じ審査委員会が審査しているのですから、得点率は変わらないようなものですが、この点でも、今回、できるだけ入札金額の入札結果に及ぼす影響を少なくしようとする意図が働いたことが見てとれます。
 事業計画は11月21日から28日までの間に提出することになっていたので、事業計画が提出されてから後、審査委員会が開かれたのは12月26日、入札執行日当日だけということになります。繰り返しになりますが、審査委員会は3回だけしか開かれておりません。
 11月10日の審査委員会では、入札参加資格の審査が行われました。例の採点の基準が決められたとすれば、この11月10日の審査委員会以外にはないのですが、議事録を見る限り、議論が行われた形跡はありません。恐らくは、事務局が資料として配付し、説明しただけなのでしょう。事務局が示した案をたたき台にして議論で深めるというのならまだわかりますが、委員みずから言うように、この入札では加算点は大変大きな影響を持つにもかかわらず、事務局のなすがままなのです。
 同議事録によれば、委員長から、「次回は12月26日です。これも前回と同様です。これについて御意見、御質問はありませんか。事務局のほうで質問案をつくる予定はありますか」との発言があり、土井主任が「前回と同様にする予定です」と答え、委員長は「質問案は、次の委員会でヒアリング前に決めるということですか」と質問、土井主任が「そうです」と応じ、委員長が「質問案を決定してから各委員さんで個別に質問して、合計して30分までです。それでは、次回はこの形で進めていきます」と締めています。この日の委員会は約30分間でした。
 事業計画書提出の際、ヒアリングの説明事項という文書が手渡されましたが、その中でヒアリング時に事業計画書の要点をA4用紙3枚以内に取りまとめた資料を提出することを求めています。事業計画書は、かなりのボリュームがあり、これを読み込み、採点するのは容易なことではありません。採点の参考にレジュメが要るのはよいとしても、入札執行日当日に持ってこいでは、いかにも審査はやっつけ仕事のように思えてしまいます。ヒアリング時に審査委員から「この中に書いてあると思うけど」と言われ、読んでいないのかと思った事業者もいるのです。
 12月26日の議事録によれば、これは、審査場面は黒塗りでほとんど判読できませんが、10分間のプレゼンの後、委員長が5~6分統一質問をすることになっております。この統一質問は、事務局がつくったものであることは議事録から明らかですので、委員長が各事業体に「常時勤務責任者は徒歩で1時間以内に来られますか」と尋ねた質問は事務局がつくったことになります。
 業務要求水準書によれば、常時勤務責任者は1時間以内に出勤が可能であるとされています。
 入札実施要項の加算点審査の項目に、基本的には要求水準書等と提案内容の比較を行い、加点するとあります。また、評価の基準のエには、災害時・緊急時の対応方法とあります。
 ある事業体の計画書にだけ、常時勤務責任者が徒歩1時間以内に出勤可能とされていたのかもしれません。事業者が監察査察室に落札事業体の計画書を見てほしいと訴えたのも無理はありません。徒歩1時間がそれほど重要なことであるならば、その旨公表しておけば、各事業体は常時勤務責任者を徒歩1時間圏内に住む者から選んだでありましょう。
 加算点の審査は、各事業体10分ずつのプレゼンと約20分間ずつの質問、応答の後、3時30分から始められ、わずか30分間で終了しております。結果として30分間で終了したのではありません。4時から開札になっていたので、30分で審査を終えなければならなかったのです。
 入札執行日当日の議事録によれば、「得点を話し合いで決めていただけたらと思いますが」と発言があり、「前にそうしましたね」と応じております。この部分は、発言者を黒塗りしており、だれが発言者なのかはわかりません。ともかく、今回と前回は、合議、話し合いで審査が行われたのです。
 それにしても、わずか30分で何をどう話し合ったというのでしょうか。真に合議で審査をするなら、それこそコンセンサスを得るのに膨大な時間がかかりましょう。何冊かの本の中で1冊だけ直木賞を選ぶなら随分時間がかかるでしょうが、合議でできても点数化しなければならないとすれば、委員それぞれに主観があるのですから、だからこそ委員が複数名いる意味があるのですが、体操競技のように各委員が独自に採点、合算する以外にないと思うのです。
 合議と決まったのは入札執行日当日、里村班長は、審査方法について聞かれたとき、「それは未定です」と答えるべきだったのです。
 ある事業体は、審査委員から、「かなり安くしているとアピールしていますが、そうすると品質が落ちませんか。ねえ、皆さん」と質問されています。業務要求水準書は満たしているのが前提であるのに、あたかも安かろう悪かろうであるかのような印象を他の委員に与えようとしたと感じたそうです。
 また、この事業体は、財務内容についても否定的な調子で聞かれたそうですが、これも参加資格審査をパスしているので財務内容には問題がないのであり、この事業体にだけこの種の質問をしたのであれば、そのこと自体、問題であると言えます。少なくとも落札事業体以外のもう1つの事業体には、この種の質問はなかったそうであります。
 ちなみに、このような質問をされたのは、1200万円差を逆転された事業体でありました。審査は合議で行われたと後で言われても、この事業体は納得するはずもありません。
 南別館管理業務の平成18年の入札は、行革室が行いました。そのときには、開札場において、入札者の面前で開札後、すぐ入札金額を公表、その場で総合評価点を算出し、落札者を発表しています。また、開札場には評価委員が同席しておりました。非の打ちどころがない入札手順であります。
 しかも、市場化テストであるこの入札には、管財課も民間事業者と競争すべく参加していたのです。管財課は、なぜこのすぐれたやり方を踏襲しなかったのか。
 平成18年の入札執行調書を見ると、4事業体が参加しており、加算点はそれぞれ227.0、163.6、192.4、209.2となっております。合議制では小数点があらわれることはちょっと考えにくいので、恐らくは各評価委員がそれぞれに採点を行い、それを合算して評価委員の人数で割って加算点を算出したのでしょう。やはりこの点でも、平成18年の入札は真っ当なものであります。
 なぜ平成20年からは合議で審査するようになったのか。ここで、ちょっと想像力をたくましくしてみましょう。
 私は、ある企業の4人から成る採用担当委員会の委員長です。この企業の総務部長からの推薦で就任することになりました。
 昨年は、部長の大学の後輩の息子が受けに来ました。成績のよい子でしたが、内気な子だったので面接は苦手だと思い、採用試験では筆記試験の比重を思い切って上げました。
 ことしは取引先の娘が受けに来ます。学習院大学卒なので漢字が苦手でしょう。だから、今回は筆記試験の比重はできるだけ軽くしておこう。先日、久しぶりに部長と飯を食いに行ったら、この子がバイトをしていました。偶然ってあるものだな。そのときにボランティアの経験が相当あると小耳に挟んだ。思い切って面接点を上げておこう。私が委員長になってから、面接点は4人の話し合いで決めるようにした。社会貢献がいかにこれからの企業活動に大切な視点かを他の委員に説いてやれば何とかなるだろう。でも、筆記試験で最低限の得点はとってもらわないとな、それが心配だ。部長もそろそろ定年、後輩の会社で世話になるらしい。
 以上は、私の妄想です。話の落ちは、学習院卒の娘の筆記試験の点は予想を超えて悪かったのです。
 官製談合事件を引き起こした木村知事時代の平成18年の入札が真っ当で、二度と不正が起こらない仕掛けをつくると意気込んだ現知事の入札がこれほどの物議を醸すとは、何と皮肉なことでしょうか。
 平成20年からの入札の審査委員会委員長の森口佳樹和歌山大学教授は、県の入札監視委員会委員や県環境生活部指定管理者選定委員会委員長を務めるなど、入札に精通しているとされています。たとえそれが違法ではないにせよ、平成18年の入札とこれほど違ったやり方をあえてしたのでありますから、森口教授には御自身が指揮をとった入札についての説明責任があると言えます。ぜひとも森口教授の入札に対する見識をお伺いしたい。
 はっきり申し上げて、この入札では、その気になれば、外形的には違法とは言えないような形で特定の事業体の落札の蓋然性を高めることは可能です。可能と申し上げたのであって、そのようにしたとは申しておりません。
 しかし、仁坂知事は、二度と不正が起こらない仕掛けをつくると何度もこの本会議場でおっしゃいました。入札も人がするものですから、仕掛けで不正は完全には防げないでしょうが、不正が起こる蓋然性を極力低く抑えるものはつくるという意味であったはずであります。
 この入札は、そうなっていたとお考えでしょうか。これが知事の言う日本一の入札制度なのでしょうか、お尋ねをいたします。
○議長(新島 雄君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問にお答えする前に、尾﨑議員の御質問の中で、部下に対してちょっと酷ではないかなというような御発言がありましたので申し上げときますが、開札会場において管財課長が、「調書を見た管財課長がなぜか頭を抱え」というふうにおっしゃいましたが、本人はそんな事実はありませんと、そういうことを言うておりました。
 それから、何々なのかという推定をもって状況を説明しておられますけれども、1つ1つの動作は、見る人によっては別の意味で自然に解釈することもできると思います。だから、そういう意味では、一方の当事者の話だけ聞いて発言されますと、この県政の最高機関でありますところの県議会の議事録に残ってしまいますので、ひょっとしたらある人にとっては酷であるという可能性もありますので、その点、申し上げたいと思います。
 質問でございますが、南別館の管理業務に係る入札につきましては、南別館が24時間対応の防災センターとしての機能を有しているということから、金額面ではなくて、必要な品質を確保できるよう、しかもそれが一体としてきっちり管理してもらえるようということで、これはよく議論になっております簡易型では全然ありませんで、標準型の総合評価一般競争入札により実施したものでございます。
 先ほど、テストという話がありましたが、この市場化テストというのは、そういうものを全部直営でやるべきか否かということを私が知事になる前に調べたときのネーミングでございまして、そのときの結論は、それは外へ出したほうがいいということだったので、現在は、仰せのように一括型で管理委託をしていいかどうかというような問題意識になってると考えております。
 これを緊急時に防災センターとして直ちに機能する体制を確保するという当該契約の性質とか目的に照らしまして、地方自治法の施行令にあります総合評価一般競争入札を採用した──これはいわゆる標準型ですが──採用したことは、私は適切であったと思っております。
 今度は、標準型の総合評価ということになりますと、入札審査委員会で議論をしていただくということになります。その委員は、現在、見てまいりますと、法律、財務、経営、建築技術の専門家から構成しておりますが、こういう点で人望、識見ともにある人ということで部長が選んでおりますけれども、私は顔ぶれを見て、妥当ではないかなあというふうに思います。
 入札参加者からの通報がありましたので、監察査察監がすぐ飛んでいっていろいろ調べたようであります。結論は、私も報告を受けておりますが、職員または委員が点数を差しかえる等の不正な行為をしたというのは認められませんということでございました。
 御存じのように、私は、皆さん──皆さんというか県民の皆さんですね、あるいは県庁の諸君からの批判も十分覚悟の上で、和歌山とはあんまりしがらみのない検事出身の監察査察監をわざわざ常勤で雇わしていただいておりまして、それはこういう問題のときに、あの人はあの人と親戚だからどうのこうのということになったらまずいなあということでやらしていただいておる次第なんでございまして、その者が論理的にきちんと調べて回答し、それを私も報告を受けたというふうな状況でございます。
 しかしながら、じゃあ今回の問題について、監察査察監も言っておりますけれども、全く100点であったかというと、違うなあというところもございます。委員会に最終確認を得る必要があったと本人たちは言うとるんですが、あるいはそう思い込んでおるんですが、必ずしも開札担当者3人全員が開札室を退出する必要がなく、また議員御指摘のように、結果をさっさと言ってしまって何の問題もないというふうに思います。それによって結果として入札者に疑問や誤解を与えたということは、改めたほうがよい話だと考えております。
 この点を踏まえ、より透明性を担保するため、開札の前に審査委員会の議事を終了した上で開札手続を行い、入札者の面前で計算の上、落札者を決定する手続には少なくとも改めたい、そんなふうに思って指示をしたところであります。
 なお、その他、採点配分の決定方法等、尾﨑議員の御提言には、どの業者がとったから愉快とか不愉快とか、そういう話ではなくて、制度のあり方の問題としていつも考えておかなきゃいけない問題が多数含まれていたと思います。そういうことも含めまして、これは南別館だけの話ではありませんので、総合評価のあり方、そういうものについては今後ともよく考えていい制度にどんどんしていきたい、こんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 まず、知事に申し上げておかなければなりませんけれども、私は開札室で行われたことについて聞き取ったときに、お2人の方から聞いたときに「このことを本会議場で申し上げますけれども、そのためにはお二方のお名前を言わなければなりません。アンフェアになりますから」と申し上げました。堂々とそのお二方は、「このように光景を目撃したから、ぜひこれを県民の代表であるあなたが本会議場で発言してほしい」と言われたので申し上げたのであります。議員の発言について知事からあれこれと言われることは少々遺憾でございますので、それだけ申し上げたいと思います。
 その上で、今回のこの入札において、3人が退場した、そして知事もおっしゃいましたけれども、その場で落札者をとりあえず発表しても何の問題もなかった、なのに出ていった。それが事の発端で、何でそんなことすんのよというところから疑念を生じたわけなんですね。ですから、私が少々推察をしてるのは事実ですが、そういう疑惑を抱かす事実がまずあったということを前提にするということを御承知おきいただきたいんです。
 事実が、何があったのかというのは、これはわからないことでありまして、我々は捜査機関ではありませんから。ただ、妥当性を判断するというのが議会の大きな権能の1つでありまして、この入札が妥当であったのかどうかを知事にお尋ねしたかったわけであります。
 お話では、一部妥当性を欠いたところもあるというところでございましたので、その点についてはしっかり検証していただきたいんですが。
 私が質問の中でも申し上げましたけれども、普通は総合評価するときに、こういう基準で採点をしますよということをお知らせせんとフェアではないと思うんです。もしその一部の基準だけを一部の人が知っておったら、それはアンフェアなんですね。
 そういう意味で、この審査委員の言われた採点の基準というものがあるということは議事録から明らかなんですが、この採点の基準というものをぜひ一度公開していただきたい、それで検証したいと思うんですが、総務部長、この点についていかがでございますか。
○議長(新島 雄君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 採点の評価項目とその配点については、公表しておるところでございます。詳細の採点基準の公表につきましては、委員会の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、公表は差し控えたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 差し控えられたら差し控えるだけ疑惑が深まるんですけどね。知事らしくないですね、これ。やっぱりどんな採点基準で採点したのか、ぱっと明らかにしてもうたら。
 私は、るるの経緯の中で、恐らくその中の項目の幾つかは、今現在受注している事業者に有利な項目になっていると、これは推察をしてるんです。推察ですから見てみないとわからない。それは、やっぱりこれだけの総合評価点で点差がついてるんですから、説明を県民の前でできなければならないと思うんです。1200万円も安く入札金額を入れたところが負けてるんですから。
 そういう意味で、この点について、知事の御見解を再度お尋ねいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は今尋ねられませんでしたので、打ち合わせもなくて、総務部長が今申し上げました。
 しかし、私に尋ねられたら、そんなものは全部公表してしまえという考え方でおります。ただ、その結果、何が起こるかということも、またいろいろ検証せないけません。
 ですから、私はもう何でも公表してしまえという方針なんですが、その結果、議員きょう御指摘であったように、例えばだれかがそれでインチキをするとか何とかいうおそれが出てきたりすると、これはまた考えなきゃいけません。
 しかし、議員のきょうのお話を聞いてるだけですぐに判断をしますと、これは公表してしまったほうがいいよなというふうに私は思います。
○議長(新島 雄君) 尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 ようやく知事らしくなってきましたね。うれしい限りでございます。
 ぜひ、これは公表して、これは議会もやっぱり検証していかなければいけない。よい入札制度をやっぱりつくっていかなければならないんですよ。常にブラッシュアップしていかなければなりませんから。ぜひ私ども、それを検証してまいりたいと思います。
 それで、私の、これこそ印象ですけど、知事、監察査察室、入札事務に本当に明るいとは言いがたい。この和歌山県って、実は入札に関して一番詳しいのは知事なんですよ。私はあなたと何度も論争しましたけど、自分でもおっしゃってました、私が一番詳しいんだと。まあ、それは私もそう思うんです。
 ですから、ここはやっぱりそんな、監察査察室の報告を受けたからと思わずに、きょうの私の質問をもう一遍読んでいただいて、白紙の状態で、その採点の基準も見て判断をしていただければと思うんです。
 点数を書きかえたり、そんな不正はないだろう、そう思いますよ。思いますけど、きのうもきょうも、こういう大阪府警の不祥事が新聞に出てました。これは一体何なんでしょうね。こういうことがやっぱり警察官にも起こるんです。
 こんなこと、私、ちょっとだれかに相談受けて、「先生、わし、ビール1本しか飲んでないのに0.15以上も出たんよ。そんなこと絶対ないで。そんなん、あれもう2時間たってたから、数値そんなに出るはずないんや」と相談受けても、「あんた、それ飲んでんねやったらあかんで」とやっぱり言うたと思うんですよ。
 まさか、そんなことを警察官がやるわけがない。このまさかということが起こり得るんです。だから、知事、あなたは制度、仕掛けをつくるとおっしゃったんですよ。
 この警察の手順も、その人の前で、容疑者の前で数値を測定することになっておったんです。それが、なぜかその目の前で行われなかった。それだけ見れば、ただその手順をすっ飛ばしただけかもわかりませんけれども、その手順をすっ飛ばすということが不正を生む土壌になってくるわけなんです。
 だから、細かい手順でも、手順というのはやはり踏んでいかなければならない。その点について、再度知事の御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 悪魔は細部に宿ると申しますので、一般論として申し上げますと、尾﨑議員のおっしゃるとおりだと思います。
 今回の問題も、私はすべての部下を信じてます。実は、はっきり言うと、田辺で証紙を横領した者も形式的には信じておりました。しかし、それは私たちが至らなかったので愚かしいことになりまして、私自身の処罰もさしてもらいました。そういうつもりでいつもおります。
 その仕掛けの1つが監察査察制度であります。これは十分抑止力にもなってるし、それから、それは入札制度については多分私のほうが詳しいと思いますけれども、自分でつくりましたからね。だけど、その運用で不正をしてないかどうか等々については、少なくとも他よりも圧倒的に十分な信頼感を持って監察査察監のあの調査は見ることができると思います。
 それから、私も中身については結構聞いておりますので、そういう意味で、今回のケースについては、改めるべきところはあったかもしれないけれども、少なくとも入札という手続が不正に行われたという、したがってこの入札は無効とか、そういうことではなかったと私は思っております。
○議長(新島 雄君) 尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 入札が不正に行われたということは、あんまり私は申し上げてないんですね。妥当ではなかったと申し上げてるんです、今のところですね。妥当ではなかっただろうと。
 なぜ妥当ではなかったかといいますと、私は県民に選ばれて議会へ送っていただいてますから、県民の立場に立ちます。知事もそういう立場である反面、行政府の長でありますから、部下を信頼するというのはわかります。しかし、私は、前提として、全面的に皆さん方を信頼するというのでは議会の職責を果たせないんです。やっぱりチェックをするという大きな役割が我々にあるんですね。ですから、そういう観点から見させていただいております。
 これ、(資料を示す)ある事業体から預かった事業計画書ですが、これ読もうと思ったら大変ですよ。私も、これ、一生懸命読もうと思いましたけど、これはかなりの労力が要るんです。これが送付されておっても、レジュメを出すんがその当日とか、あの議事録を見たら、本当にほとんど審査、きちっとされてるというようなそぶりがないと。
 これ、私、一生懸命自分で書いて提出したのに、えらいこんなに簡単なもんやなと思ったらショック受けると思うんですね。しかも、この審査によって1000万単位で落札金額が変わってくるといえば、なおのこと、そのように思うと思うんです。ですから、これは制度として成熟したものなのかどうかというのは、なおこれ検証を要するんです。
 だから、何かその監察査察室も、不正がなかったからどうかこうかとか、それは司法の役割だと思いますよ、私は。そういうことがあれば、それはもう我々の出番を超えてくるわけなんですね。そういう意味で、そういう提言をしてるのではないのです、あくまでも。
 この入札は、手順としても、それから仕組みとしても、審査会のあり方としても、考慮する、一度立ちどまって考えてみる余地が大いにあるのではないかとまず申し上げてるんです。この点について、再度答弁を求めます。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど、前の前の答弁でも、尾﨑議員の御指摘は考慮すべきところはたくさんあると思うので、制度の問題として考えていきたいと思いますというふうに申し上げたと記憶しております。そういう意味で、今の質問に対しては、そのとおりでございますということだと思います。
 ただ、私がさっき申し上げましたのは、違法というのは、例えば刑法上の違法があるというだけではなくて、この手続が一切無効であったかのような妥当性を欠くものがあったとは思っておらんということでございます。
○議長(新島 雄君) 尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 私、ちょっと繰り返しになりますけど、この審査委員会のあり方について、審査のあり方について、すごくおかしい審査──これ、違法じゃないですよ──審査のやり方がおかしいなというのは声を大にして言っていきたい。そして、なぜこんな審査のやり方になってるのかということについては、るる先ほどの質問で申し上げたので、自分なりにある程度思いを持っております。
 しかし、この3人が、何で3人全員退出したのか、それが本当にわからないんですね。わからなかった。そんなん、だれが考えても1人残っておってもよさそうなもんですね。
 それで、考えておったんですけれども、開札が終わって、話し合いが持たれております、先ほど申し上げました40分間。その中で、ぱぱっとやりとりの中で、その入札執行調書をコピーさしてくれと事業者が言ったんですね、おかしいから。目の前で落札者発表せんのに、今ごろ来てこんなんておかしいやないかということで調書をコピーさしてもらったそうです。このことが妥当かどうかは別として、この執行調書は土井主任がひとりで書いたと本人も申し上げておるみたいでして、監察査察室での聞き取りでもそうでありますし、事業者さんにもそのように申し上げてる。これは、土井主任がひとりで書いたものでございますと。
 ぱっと一読しまして、また知事にそれは印象の問題だと言われるかもしれませんけど、字が違います。
 これ、(知事に資料を手渡す)筆跡を見ていただきたいんですけど、普通、私はあんまり字がきれいじゃないですから、字のきれい下手は印象かもわかりません。しかし、入札額に書いてあるところの「8」の字は右側から始まるんです。総合評価点を書いてる数字は、左側から「8」の字が始まります。これは一体どういうことなのかと私は考えるんですね。土井主任は、自分がひとりで書いたと、これはいろんな関係者に申しております。しかし、これを見る限り、私はどうしても同一人物が書いたとは思えないんです。
 今、執行調書を知事にお見せしましたけれども、判断、どう考えられるかわかりませんけれども、この8の字、知事がごらんになってどうお考えですか。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) こう見ますと、初め──第一印象ですよ──ああそうか、ひとりで書いたんかというふうに思いましたね。だけど、8を見ろと言われて見ると、確かにちょっと違うなというふうに思いましたね。
 ただ、議員の御指摘が何ゆえにそうなるのかというのは実はわかりませんで、私に何か筆跡鑑定をされるのかよくわかりませんで、例えば土井主任なる者がひとりで書くのと、それからだれかが書くのと、そこにいる委員長なり課長なりが書くのと何か関係があるのかなというようなことを──それは私が書いたというのが記憶違いであった可能性もあるし、それをもって何が起こってくるんだろうかというのが、明晰なる尾﨑議員の御指摘ですから、非常に不安を持ちながら聞いておりました。
○議長(新島 雄君) 尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕
○尾崎太郎君 明晰なる知事もよく考えていただきたい。私は、知事が明晰であることに疑いを持っておりませんので、ほかの職員と話しするより知事といつも話ししたほうがいいと思ってるんです。これは本音で申し上げてるんですよ。
 8の字、これが違うというのは、この調書を別人が書いたということを私は示唆してると思うんですね。ところが、土井主任は、私がひとりで書いたとあらゆる関係者に申してる。これが何を意味するのかというのは、今ここで議論をする時間はございません。きょうは、こうして本会議場で議論したわけですから、県民の皆さん方に御判断をいただきたいと思います。
 質問を終わります。
○議長(新島 雄君) 以上で、尾崎太郎君の質問が終了いたしました。

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