平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成24年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成24年3月6日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から
    議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から
    議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(2人)
 12番 川口文章
 15番 宇治田栄蔵
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       野田寛芳
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      宇恵元昭
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     鈴木敏彦
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     森 勝彦
 会計管理者      米山重明
 教育委員会委員    佐藤律子
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課班長      中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 9番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 質問に先立ちまして、発生の確率が高まる東南海・南海地震、大津波に備えて、地域の住民が自主的に避難場所を整備しようという活動を1つ紹介させていただきたいと思います。
 私の住む新宮市三輪崎という地区は、海岸沿いに位置し、大津波が発生した場合、昔から「八幡さんに逃げろ」と合い言葉のように言われています。その八幡神社は、海抜約30メートルの境内が緊急避難先レベル3の避難先施設として指定されています。しかしながら、現実的に避難対象となっている区民が全員その境内に収容できるのか、境内へ上がる階段が4メートルほどの幅しかなく、しかもやや急なため、避難をしてきた人たちが殺到し、渋滞するおそれもあります。災害弱者であります高齢者や足腰に支障のある方や幼い子供が急いで上ることは大変困難ではないか、また備蓄なども置いてありません。
 そのような課題を解消しようと、当地区では、三輪崎区、八幡神社、市、業者の代表などで構成する八幡神社避難場所整備実行委員会を昨年12月に立ち上げました。最初の活動として、避難場所を拡張するため、同神社本殿の背後にある荒れ地となっていた場所を整備するため、委員会メンバーや漁業協同組合ら区民約70名が参加し、樹木伐採、草刈りなどのボランティア作業を行いました。地元である市長、副市長、私も参加いたしました。区民の皆さんと意見を交わしながら、作業に汗を流させていただきました。今後は、重機での整地、新たな避難路、誘導灯や備蓄倉庫なども設置する計画です。
 この活動の意義は、行政だけに頼るのではなく、区民の命を区民の力で守ろうという防災意識が高まること、また行政側としても、地域の自主的な取り組みにより、既に住民に理解が得られた状況の中、避難地整備事業を円滑に進めるための協力も得られます。早期整備、地域による維持管理などのさらなる協力が見込める上に、本県の平成24年度の新しい支援施策、市町村が実施する減災、避難、救助に必要な各種対策を総合的に支援する「まけるな!!和歌山パワーアップ」補助事業を活用することにより、避難対策推進のモデル的な取り組みとしてもアピールできるのではないかと考えます。
 このことに限らず、県や市町村の行政に地域住民が新しい事業を要望するとき、早く取り組みを開始してもらうためには、住民や自治会などの汗をかくという積極的な活動や協力体制を整えておくことが、実現への近道ではないかと感じました。
 災害時には生命線となる高速道路の早期建設、熊野川河口大橋建設などの国への要望を長年にわたり県と一体となって続けておりますが、和歌山県という地方の、そのまた地方と言っても過言ではない紀南地域、とりわけ新宮・東牟婁地域においては、大災害の足音が迫りくる中、つながってこそ効果を発揮する高速道路であるはずが、近畿自動車道紀勢線は事業化にさえなっていない区間が残っています。田辺からすさみまでは平成27年までに延伸されますが、なかなか追い越しができない片側1車線では、確実な移動時間のめどが立てにくく、観光客の呼び込みや企業誘致において敬遠される足かせにもなっています。
 2009年、745億円の事業費が見込まれていた近畿自動車道紀勢線御坊─田辺間の4車線化も、民主党政権によって取り消されてしまいました。また、地元が待ち望んでいた開通間近の那智勝浦新宮道路を民主党国会議員が視察に訪れ、「豪華過ぎる。道路のルイ・ヴィトン、エルメスだ」などと地方をばかにした事実など、怒りはいまだにおさまりません。
 そういった状況を打破し、地方にとって必要不可欠な事業を実現させるためには、我々議員が地域を代表して強く国に働きかけることは当然の責務ですが、いわゆる住民のパワー、国が動かざるを得なくなるほどの地域の盛り上がりや事業実現に向けてのおぜん立て、先行的に準備を始めておく取り組みが重要ではないかと考える次第です。
 それでは、前置きが長くなりましたが、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 大きな項目1つ目、台風12号被害の復旧・復興についてであります。
 地震や風水害により住家を失い、あるいは大規模な補修を必要とする被災者を救済する国の制度として、被災者生活再建支援制度があります。この制度では、家屋の被害状況に応じて支給額を決定したり義援金の分配額を決めるための基準として、まず被害認定の査定を行います。住家の損害割合が50%以上の場合を全壊、40%以上50%未満の場合を大規模半壊、20%以上40%未満の場合を半壊、20%未満の場合を床上浸水と判定することになっています。
 水害により被災した住家に対する被害調査は、研修を受けた市や県の職員と民間の建築士で2~3人のグループを組み、外観の損傷状況の目視による把握、住家の傾斜の計測、浸水深の確認及び住家の主要な構成要素すなわち柱や基礎や壁などの部位ごとの損傷割合を判定し、総合的な判定を行うものです。
 半壊や床上は、被災者生活再建支援制度の原則対象とはなりませんが、見舞金や義援金などは給付されます。その際、半壊と判定された被災者と床上浸水と判定された被災者との間には、金額に格差が生じます。事細かく査定の基準は設定されておりますが、人が判定を行うために、まれにその判定結果を不服とするケースもあります。
 例えば、床上浸水の判定の中には、床から10センチメートルのケースもあれば、床から1メートル以上の高さまで浸水したケースも存在します。1階部分の壁などが水につかると、変色やカビ、板がふやけた状態になり、修繕を要する状況となります。被災者は半壊と判定されるであろうと考えていたが、結果は床上となり、不慮の災害による精神的ダメージに加え、強いられる金銭の負担。せめてもの救いと期待していた支援制度も当てが外れ、頭を抱える被災者の行き場のない心境を何度も耳にしました。
 査定の基準は内閣府によって定められており、これまでも何度か改定がなされ、現行に至ります。また、判定の結果が基準をわずかに下回る際どい判定の家屋については、他の調査員も加わり再査定を行い、慎重な協議の上、判定を行ったとのことです。しかしながら、職員全員が認定作業の手順などについて今回初めて説明を受け、しかも直ちに実施しなければならないという必要に迫られたため、被災者からの聞き取り対応の際に、職員のやや自信なさげな雰囲気を察し、正確に判定してもらえているのかと不安を感じたという被災者からの話も聞きました。
 市の担当職員の方にお尋ねしたところ、日ごろから有事に備えて、災害認定の職員研修や勉強会を実施する必要を認識したとのことでした。
 そこで、災害認定研修の必要性について、知事の所見をお聞かせください。
○議長(新島 雄君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の台風12号災害では、住家の被害認定について、甚大な被害を前になかなか調査ができずにたたずんでいた新宮市等に県の職員が乗り込みまして、民間の建築士の方々の協力もいただいて迅速に調査を行いました。これが、すべての対策、例えば義援金の早期配分など、被災者の生活再建に大きく寄与したものと考えております。
 しかしながら、何分にも急場をしのぐ対応であったことは否めません。住家の被害認定を迅速かつ的確に行うためには、認定調査についての十分な知識と技術を持つ人材をあらかじめ養成しておくことが必要だと感じました。そこで、県では、今回の経験を踏まえ、来るべき東海・東南海・南海地震に備え、平成24年度の当初予算案におきまして、市町村や県の職員、民間の建築士等に研修を行い、県独自の住家被害認定士を養成するための経費を計上したところであります。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。
 今のお話の中にもありましたように、新宮市の代表といたしまして、心から、知事のそういった御指示の中、県の職員の方が駆けつけていただいたこと、新宮市は心強く、この場をおかりしまして感謝を申し上げたいと思いますし、今回は被災をした地域だけでしたが、来る──来ないにこしたことはありませんが、大きな災害があったときには、ほかの地域の方も同じようなことになるかと思います。県下を挙げてこういった研修に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、2つ目の質問に移らしていただきます。
 災害復旧の現状についてお聞きします。
 復旧・復興アクションプログラムの中期計画の中に、道路や河川の本格的復旧を24年度末までに全体の95%を完了するという目標が設定されています。現地調査を踏まえ、工事の設計も済み、新宮建設部管内においての件数は、道路・橋梁が100カ所31億200万円、河川・砂防・海岸が97カ所62億1000万円、合わせて197カ所93億1200万円に上り、緊急を要する工事の約8割が23年度内に発注の予定となっています。新宮市域で見ますと、道路・橋梁が47カ所14億7900万円、河川・砂防・海岸が39カ所7億3500万円、合わせて86カ所22億1400万円となっています。
 既に土木建設業者の入札が始まっているところですが、24年度中に全体の95%の箇所の工事を完了させるためには、土木建設業者に協力していただけることが大前提となるわけですが、工事箇所の数と管内建設業者の数を照らし合わせてみると、かなり人出が足りない状況も心配されます。
 そこで、復旧工事について、現在の進捗状況や今後の見通しについて、知事にお尋ねいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 公共土木施設の早期本格復旧は、被災地域の皆様の安全・安心や日常生活、産業振興等に欠かせないことから、和歌山県復旧・復興アクションプログラムの中で、平成24年度に95%の箇所を完成させるという目標を設定しております。改良復旧など大がかりな──ということは少し時間のかかる工事も含めまして、補助金の査定も全部終了いたしました。
 台風12号による公共土木施設の災害復旧箇所は、県工事で1181件ありますけれども、この災害査定を踏まえ、順次工事発注を進めているところでございます。契約済みの箇所は3月1日現在で全体の約36%でございまして、どんどん発注をしていきたいと考えております。
 被害の大きかった地域では工事量も大きくなるために、入札手続の簡素化や、あるいは近接工事を一括して発注するなど、工夫をしながら進めているところでありまして、引き続き、一日も早い本格復旧に向け、全力で取り組んでまいる所存でございます。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、3つ目の質問に移らせていただきます。
 大水害から早くも半年が経過し、低気圧や台風に伴う豪雨などにより河川の流量が増大する出水期まで、残り半年を切りました。しかしながら、台風12号豪雨がもたらした洪水によって至るところに堆積した土砂や砂利は、いまだにしゅんせつが行われていません。特に、北山川との合流点や敷屋、日足地区等は、目視によるところではありますが、堆積量も多く、台風6号、そして12号の際には記録的な水位の上昇により甚大な被害のあった地域でありますので、早急な対応を求めてやみません。
 12月議会においても、早急な熊野川の被災状況の調査、河川整備計画の見直しや河床掘削計画の検討をお願いいたしました。それに対し、県土整備部長から、台風12号等により堆積し治水上支障となっている土砂については、応急対策として早急に撤去を進めてまいりますとの御答弁をいただき、流域住民とともに心強く感じたところであります。
 進捗状況について河川課に尋ねましたところ、現在、大量の堆積土砂や砂利の撤去作業を効率よく、かつ迅速に行うため、方法をいまだ検討中とのことですが、雨が降るたびに2次災害の恐怖で不安にかられる流域住民のために、計画が立ち次第、住民への公表とともに一日も早い工事の着工を念願いたします。引き続きの強い要望とさせていただきます。
 ちなみに、熊野川河口より上流に向かって5キロメートルの範囲は国の直轄となっており、国が200億円の事業費をかけて、5年間で約460万立米の堆積砂利等を撤去する河床掘削工事や、沿岸部の堤防の改修工事を行っていただくこととなっております。
 また、もう1つの重要な課題とされています上流ダムの操作規定の見直しや対策につきましても、12月議会においてお尋ねをし、知事より、昨年10月31日に開催された台風第12号による紀伊半島南部の災害の復旧・復興に関する国・三県合同対策会議において、国土交通副大臣に、利水ダムの洪水時における活用、ダム間の連携や予備放流などを奈良県、三重県、和歌山県から合同提案を行ったこと、それから、電源開発、国、3県で構成されたダム操作に関する技術検討会の中で、被災県であり管理者でもある和歌山県の立場として、改善策がきちんと盛り込まれていくように今後も尽力をしていくとの御答弁がありました。このことにつきましても、さらに厳しい態度で訴えをしていただきたいと、強く継続の要望といたします。
 参考までに、先日、新宮市議会の行政調査に同行し、鹿児島県さつま町にある鶴田ダムを視察してまいりました。このダムは、治水と利水機能をあわせ持つ多目的ダムです。平成18年7月の記録的な豪雨により甚大な被害を受けた川内川流域の洪水被害軽減を目的として、最低水位を約10メートル下げ、夏場の洪水調整容量を約1.3倍に増量させるために、下部に新たな放流管を増設するという再開発事業に平成19年度より着手しています。国直轄事業として、ダムの構造そのものを約460億円かけて改造し、治水機能を大きく高めようとしています。また、ダム操作規則の見直しもなされました。
 熊野川上流のダム群はすべて利水ダムであり、根本的に鶴田ダムとは目的が違いますが、とうとい人命が失われている現状をかんがみて、国や企業に対し、住民にとって脅威ともなるこれらのダムに治水機能を持たせ、下流域の安全を確保するための尽力を切に願うものであります。
 さて、川の流量に影響を与えるダムの放流についてお尋ねをいたします。
 電話サービスを利用すれば、放流のタイミングだけでなく放流予定量も知らせることができるそうですが、一般的には、下流域の住民や行楽客へ放流を知らせる方法としては、数カ所設けられたパトライトやサイレンでタイミングを知らせるだけで、下流域の水位がどれぐらい上昇するかまでを知らせることはできません。
 平成24年度の当初予算の3つの大きな柱である安全の政策、その中の台風や集中豪雨等の風水害対策の強化として風水害に強い県土づくり、その項目の中に洪水情報の充実を新たな事業として掲げ、大規模洪水などに対して早目に安全な場所へと避難を促すため、洪水はんらんレベルに応じた浸水想定区域図の作成や、熊野川の県の管理区間の洪水予報河川の指定を拡充していくとのことです。
 その事業の概略について、県土整備部長に説明を求めます。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 現在、県では、熊野川を水位周知河川として、日足地区と本宮地区において、新宮市、田辺市が避難勧告等の発令を判断する目安となる水位等に達した各段階で水位情報を両市に伝達するとともに、報道機関の協力を得て住民の方々へ周知しております。あわせて、伊勢湾台風時と同程度の大雨による洪水を対象に浸水想定区域図を作成し、公表しております。
 台風12号による被害を踏まえ、平成24年度の新政策として、議員御指摘の洪水情報の充実に取り組んでいくこととしております。まず熊野川において、流域住民の方々により確実に安全な場所に避難していただくために、既存の浸水想定区域図に加え、既往最大規模の洪水である台風12号相当の浸水区域と、それよりさらに大きな洪水規模の浸水区域を示した、洪水はんらんレベルに応じた浸水想定区域図を作成する予定としております。
 また、県として、熊野川の日足地区、本宮地区について、今後の降雨や水位の予測を気象台と共同して発表する洪水予報河川の指定に向けて取り組むこととしております。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。
 もう1つ改めてお聞きしたいのですが、洪水予報はどのように予測を立てるのでしょうか。また、どのような情報がどのような経路で流域住民に伝達されるのでしょうか。県土整備部長に説明をお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 洪水予報は、気象台の流域の雨量予測をもとに、県で日足地区と本宮地区の水位予測を行い、洪水予報として両者で共同発表するものです。
 来年度、県では水位予測のための流出モデルを作成しますが、このとき、上流の水位観測値があれば予測精度の向上が図れることから、熊野川では水位計を増設することとしております。発表した洪水予報は、県及び気象庁のホームページでの公表や報道機関の協力も得て住民の方々に周知するとともに、新宮市、田辺市に伝達することになります。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 それでは、続きまして、大きな項目2つ目の質問に入らせていただきます。
 ジオパークの取り組みに対する所見についてであります。
 皆様、お手元のカラーの資料を見ながらお話をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 先般、本県では、知事の発案でジオパークの研究を始めたと耳にしました。ジオパークとは余り聞きなれない言葉でしたので調べてみましたところ、ジオとは大地や地球を意味し、地球活動によって形成されたさまざまな自然遺産が地域に存在している場所で、地層、地形、火山などの成り立ちを探求し、また、その地域で暮らしてきた先人がつくり上げてきた文化も含め、地域の歴史的ストーリーを広く深く知ってもらおうという自然豊かな公園のことです。また、それらの資源をまちづくりや地域の活性化に活用し、あるいは情報発信の機能を高めることで地域資源の価値を高める努力、そのような地域の人たちが取り組む活動そのものもあわせて、ユネスコ環境・地球科学部門の支援により2004年に設立された世界ジオパークネットワーク・GGNが評価し、認定するものです。
 現在、世界ジオパークネットワークには、ヨーロッパと中国を中心として27カ国86カ所のジオパークが加盟しています。また国内では、日本ジオパークネットワーク・JGNという組織があります。
 昨年9月、高知県室戸が世界ジオパークに認定されたとの報道がありました。ノルウェーで開かれた国際会議からの知らせを受け、室戸市役所に集まった多くの市民が喜びを爆発させていました。世界ジオパークは、国内では室戸が5地域目で、洞爺湖有珠山、糸魚川、山陰海岸、島原半島が認定されています。国内版の日本ジオパークは15地域あります。ちなみに、現在、日本ジオパーク認定申請を目指して活動している地域というのは11地域もありますが、近畿圏内にはまだ1カ所もありません。
 世界遺産との違いはといいますと、双方、ユネスコの支援のもとでの活動でありますが、主に保護を目的とする世界遺産に対し、ジオパークは、学術的に貴重で重要な自然遺産を保護しつつ、それを教育や科学の普及などに活用し、また、新たな観光資源として地域の振興に生かすことを目的としています。したがって、一般の人が近づけない、あるいは保護のためには近づくべきでないような場所は、ジオパークにはならないそうです。
 さて、「地域づくり」という雑誌の2011年10月号に「ジオパークと地域の活性化」というテーマの特集があり、全国にあるジオパーク関係者による手記が掲載されておりました。ジオパークへの取り組みが地域にどのようなメリットをもたらすのかを探るため読んでみますと、各地共通の感想や思いが幾つも語られていました。その中から印象に残った内容を御紹介します。
 まず1つ目、地域全体を活用するため多くの住民の主体的な参画が必要とされ、まちづくりそのものである。住民の帰属意識が高まった。2つ目、地元の人たちが訪ねてきた人たちに伝えるとき、ジオパークの特徴、テーマ、ストーリーを語ることが必要である。3つ目、学術情報の整備と、それを生かした教育活動もジオパークの重要な活動であり、子供たちがふるさとの特色、歴史風土を学ぶことで、地域への愛着や誇りの醸成も期待される。4つ目、官民協働の観点から協議会を設立し、行政、教育、観光、研究、環境、経済などに関係する団体で構成している。また、広域での市町村連携が図れる。5つ目、認定そのものが目標ではない。ジオパークのその仕組みは未来にわたって持続可能でなければならず、地域振興が継続するために事業の推進を続けていくことが重要である。6つ目、地形や地層の成り立ちや歴史的な自然活動を知ることにより、地域に合った防災対策や防災学習、防災意識の向上に活用できるなど、挙げれば切りがないほど地域振興や活性化、防災へのメリットを期待させる内容がつづられています。
 特に興味深いところでは、洞爺湖有珠山ジオパークの話で、目指すようになったきっかけは、有珠山噴火による長期間の立入規制や風評被害により激減した観光客や修学旅行生を呼び戻すためだったそうです。災害を1つの契機として、火山の恵みや危険性を学び、次世代を担う子供たちにも防災教育を続け、火山との共生と減災に向けた人づくりにも取り組むことができたとのことです。
 では、本県に当てはめてみますと、特に紀南地域の地質遺産の多さには驚きます。例えば、火山活動の名残である那智の滝は日本一の落差を誇り、一枚岩、虫食い岩等は古座川弧状岩脈として日本地質百選にも選ばれています。田辺市には、厚い砂岩層が幾重にもそびえ、何匹ものカエルが空を仰いでいるように見えるひき岩群があり、すさみ町天鳥の海岸には、天鳥の褶曲と名づけられた見事な褶曲をした砂岩泥岩の交互層があります。また串本町には、あたかも大島に向かって橋のくいを並べたような地形の橋杭岩、新宮市には、先日2月6日の──あいにく雨となりましたが──お燈まつりで知られる神倉神社の御神体であるゴトビキ岩やジェット船が案内してくれる瀞峡などがあり、地質資源の宝庫であります。
 一方、地震、津波、土石流等の地質に起因した自然災害への取り組みが非常に重要な地域であり、教育活動を含めた防災活動は、地域の持続可能な発展に欠かせません。
 地域の活性化を図るためには、まず地域に大きな目標や構想が必要です。しかも、その目標によって地域の人たちがそれぞれの夢や将来を描けるものでなくてはなりません。そして、いろいろな人たちやさまざまな分野、業界が共有できるプランであることが重要だと考えます。多くの賛同が得られ、目標を達成するために時間を割き汗をかく覚悟の上で役割を担おうという協力的な人、やる気ある人が1人でも、積極的な団体が1つでもふえることが、地域の活性化の第一歩だと考えます。
 その観点からしますと、本県の近畿初のジオパークを目指すための取り組みは、今後の地域振興、活性化において大きな可能性を秘めていると考えます。ジオパークの取り組みに対する知事の所見をお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀南地方には、約1500万年前、ちょうど日本海ができたころだそうですが、熊野カルデラができたと言われております。しかし、その後、山が削られてしまいまして、今はその姿はないんですが、一枚岩等の弧状岩脈は、そのカルデラの底で火山活動があった証拠だと言われております。また、その他多くの景勝地は、地球規模の大地の動きによる遺産でございます。
 ジオパークは、すぐれた地質や地形を中心とした大地の遺産、その保護や教育を前提とした観光システムでありまして、そこに地域の人の活動が盛り込まれなければいけないということになっております。ジオツーリズムは、現地にガイドを置き、地質、地形の説明に加え、人と大地にかかわるヒストリーやストーリーを説明するものでありまして、新たな観光資源の開発であり、地域の持続的な発展をこれで目指そうというものでございます。
 和歌山には、地質的にもいいものはいっぱいあるわけでございまして、いいものはどうしてもいいんですけども、しかし、ブランドをつけてPRをするということは絶対に得でございますので、どんどんやっていこうということで、ちょっと思いつきというか発意をいたしまして、ジオパークの認定を目指そうということで今、取り組み始めたところでございます。
 その中で、必ずしも地質や地形といった地学的な教育にとどまらず、その地域の特産品に新たな付加価値を与えたり、あるいは防災意識を高めるといった可能性があると思います。こういったジオパークの活動は、地元の価値の再発見と言ってもいいかと思います。このため、行政だけじゃなくて地域住民や民間企業、そういうものが一体となって研究と教育、あるいは環境と保全、農林水産業、観光・商工、防災等の各部門が協力し合って連携していくことが重要でございます。
 今後、関係市町村で行うジオパークの活動を支援しながら、紀南地方の大地の遺産、歴史、文化を広く世界に発信するため、世界ジオパークを目指して頑張っていきたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 前向きな御答弁をいただきました。
 ジオパークの認定に対しましての要件等についてお尋ねをいたします。
 世界ジオパーク認定を目指すに当たり、ジオパーク認定の要件等について環境生活部長にお尋ねをいたします。
 世界ジオパークへの申請枠は、年に2つの地域までと聞いております。現在、日本ジオパークが15地域、その他の地域でもジオパークを目指しているところもある中で、相当厳しい関門が待っていると思われますが、世界ジオパーク認定の要件や、どうすればジオパークになれるかなどをお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) ジオパークの認定の要件等につきましては、まず認定を受ける地域の面積が十分大きく、そして世界的に重要と認められる大地の遺産が多くあり、観光など地域経済の発展に役立てられることであります。また、具体的な活動を進めるため、地域住民、民間企業、行政機関が運営に深くかかわっております地域協議会などの組織があること、活動を長期的に持続させるための公的な財政支援が整っていることなども必要であります。
 日本ジオパークとして名乗りを上げるためには、日本ジオパークネットワークに加盟申請し、日本ジオパーク委員会の審査を受けなければなりません。審査では地域の活動実績が重視されます。世界ジオパークの認定は、日本ジオパーク委員会の推薦を受け、世界ジオパークネットワークに加盟申請し、審査を受ける必要があります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 それでは、もう1つお尋ねしたいと思います。
 世界ジオパーク認定までの道のりは長く険しいものになると思われますが、今後どのように取り組むのか、また今後のスケジュールはどのようになるのかを環境生活部長にお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 今後の取り組みについてですけれども、地域住民、民間団体の方々にジオパークを知っていただくため、紀南地方の各地で講習会を開催し、地域協議会をできるだけ早く立ち上げたいというふうに考えているところです。
 具体的な活動としましては、ホームページやパンフレットの作成、また大地と人とのかかわり等を説明できるガイドを養成しまして、ジオサイト解説板の整備等も行い、ジオツアーを計画したいと考えております。
 世界ジオパークの認定は、議員からもお話をいただきましたが、競争相手も多く大変厳しいと聞いております。何とか頑張って、最短のスケジュールとなる4年後を目標に据えて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。
 4年という目標といいますか、最短のスケジュールとなると思われますが、かなり厳しい条件がいろいろその中にはあると思われますが、この中で私が一番関心を持ちましたのが、もともとその地域にある素材を付加価値をつけて全国の方に知らしめていくという、特に、我々の住む紀南地域におきましては熊野というブランドがあります。熊野とジオパーク──信仰という部分で結びついているジオパークというのは、余り全国にも例がないかと思います。今、既にこの地域は世界遺産に指定をされておりますが、それとうまくマッチングしたような形で全国的、またあるいは世界的に売り出しをできれば、地域の振興にかなり大きな期待ができると思われますので、今後とも力を合わせて、この実現に向けて頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、3つ目の大きな項目、海洋再生可能エネルギーの利用についてでございます。
 新宮・東牟婁地方の活性化並びに産業振興面では、新宮港の活用は不可欠であると思われます。しかし、新宮市が保有する工業団地への企業誘致は満足なものとはなっておらず、新宮・東牟婁地域の地勢的な面、道路網の不備などに大きな課題を持っております。
 一方で、高野・熊野の世界遺産を生かしたクルーズ船誘致や地球深部探査船「ちきゅう」の誘致など、地域においてもさまざまな活性化策が展開されています。
 さて、質問の話に移します。
 1年前の東日本大震災の津波による福島第1原子力発電所の事故を受け、放射性物質が海洋や大気中に放出され、食品や人体への影響が懸念されています。日本国内の電力のおよそ3割を賄っていた原子力発電のあり方が問われ、重大な社会問題として取りざたされております。このことをきっかけに、今後も日本全国で深刻な電力不足が予測される中、これからの日本のエネルギー政策の転換期を迎えました。そうした昨今、海洋エネルギー資源の活用が注目されつつあり、新宮港が再び脚光を浴びることで地域の持続的な発展へのチャンスになると言えます。
 本県は、これまでにも、再生可能エネルギーの導入として、和歌山県に近い南海トラフに最大の埋蔵量を持ち、日本の総資源量は日本で消費される天然ガスのおよそ100年分以上と推計される世界有数のエネルギーであるメタンハイドレートや、全国有数の日照や遊休地を生かした太陽光発電の普及などに積極的に取り組んでこられました。
 この件については、さきの12月議会においても、我が党の森礼子議員からの質問に対し、知事より、本県の再生可能エネルギー導入の適地性を認識され、各種相談に対するワンストップ対応や全庁的な取り組み体制の拡充、メタンハイドレートが持つ可能性を踏まえた積極的な取り組みについて御答弁されたところであります。
 先月、海洋産出試験が他の地域で実施されることとなり、まことに残念でなりませんが、本県の沖合に賦存するメタンハイドレートが将来商業化され、新宮港がその発掘拠点となれれば、港の有効活用はもとより、エネルギー関連企業や研究機関の誘致など、多くの雇用と地域経済の振興が期待されます。国策上も、石油や天然ガスなどのエネルギーの8割以上を海外からの輸入に頼っている現状を考えれば、国内で産出できることは大きな前進となります。
 そうした動きの中、海洋基本計画を受けて、内閣官房総合海洋政策本部では、海洋再生可能エネルギー利用促進のための制度整備方針を平成24年春に決定するべく検討されています。
 総合海洋政策本部は、海洋基本法に基づき海洋施策を集中的かつ総合的に推進する政府機関で、海洋基本計画や海洋に関するそれぞれの事務を実施しています。整備方針には、外部有識者による助言会議を設置し、政府全体のエネルギー政策見直しの方向性を踏まえ、平成24年度に総合実証実験海域の選定作業を進め、平成25年度から総合実証実験海域での施設整備を開始するとの計画があります。このため、国の平成24年度予算案では、総合海洋政策本部に海洋再生可能エネルギーの利用促進に関する調査費として2000万円が計上されています。これは、総合実証実験海域の整備に向けて、海外の事例を参考に、我が国における制度設計、海域の選定方法について調査検討するためのものです。
 国内で条件の異なる5地域程度を選定するとのことですが、先手必勝とばかりに、きのう新宮市長と新宮港振興会が総合海洋政策本部を訪れ、新宮港沖を総合実証実験海域に指定していただくよう、どこよりもいち早く要望を行いました。他の海域に比べ、新宮港沖の黒潮の流れは非常に速く、また強いため、海流による海水の流れの運動エネルギーを水車、羽根の回転を介して発電させる海流発電や潮流発電の試験場所に適していると評価が高く、指定の実現に大いに期待するところであります。
 海洋再生可能エネルギーの利用に向けた総合実証実験海域への選定に対して、県も積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県といたしましては、海洋再生可能エネルギーの利用促進に向けた国の取り組みに対して、メタンハイドレートへの対応と同様にアンテナを高く掲げ情報収集を行うとともに、新宮港の利用促進や地域の活性につながるように、そんな対応ができるように、新宮市など地元関係機関と十分協議して、足並みをそろえて国への働きかけ等を進めてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 今後とも、この流れにつきましてはいろいろと県から後押しをいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、私がこの県議会議員という職をいただきまして何をやりたいかといいますと、やはり和歌山県を元気にしたい、新宮地域を元気にしたい、その思いでこの場に立たせていただけるようになりました。
 ただいまいろいろ御質問をさせていただきました中には、これからの取り組みもたくさん含まれておりますが、新しい取り組みにこそ地元の若い人たちが希望を持って取り組めると思いますので、そういった力を県全体で後押ししていただける、そういった知事のお考えを常にお願いしたいと思います。
 そして、新宮・東牟婁につきましては、ほかの地域にも被災された地域はございますが、まだまだ復興・復旧というところには──復興元年という位置づけもあります。今始まったばかりだと思います。
 一番初めに質問をさせていただきました被災者につきましての支援についてですけども、なかなか制度自体はきっちりとしたもので、公平感のあるものだと思います。ただ、しかし、その中には光のなかなか当たりにくいとか、救済の対象からどうしても外れてしまう方とかがいらっしゃいます。どうしても私たちはそういう方の声を拾ってしまうわけですけれども、自分も政治に携わる人間として、心のこもった何か助けられるものに尽力をできたらと思っております。これは何1つ、自分でできることではありませんけれども、皆さんのそういったお力をいただきますよう御理解をいただいて、被災を受けられた方、また地域に温かい御支援を引き続きお願いいたします。
 そういった思いを込めて、この質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、今回は分割方式で一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、新年度防災対策予算についてお伺いいたします。
 昨年3月の東日本大震災、そして9月の紀州大水害を踏まえて、新年度予算における大きな柱として災害からの復興と防災対策が位置づけられました。今年度に取り組んだ緊急対策に加えて、新年度では、国の震源域や被害想定見直しに合わせた対応や対策、そして何よりも県民、地域の皆さんと一緒になった地道な日ごろの取り組みにより、防災意識と備えをしっかり整えていく必要があると考えます。
 先月25日には、広川町の町民体育館で「津波防災シンポジウムin広川町」が開催され、広い会場いっぱいに集まった住民が参加して、関心の高さを物語っておりました。地元パネラーによるパネルディスカッションに続き、関西大学の河田教授からは、「百年後のふるさとを守る」と題して、地震・津波対策の最新の到達点に基づいて講演をいただきました。東海・東南海・南海地震の想定震源域が、2003年の中央防災会議で示された宝永地震モデルを基本としたものから範囲も規模も拡大され、そして和歌山市近くまでが震源域の可能性がある地域として考えられていること、そしてそれに加えて、地震のエネルギーは小さくても大きな津波を発生させる地震津波、この地震津波を検討する震源域、この領域も示されました。これらに基づく新しい津波想定の報告が、近く国から発表されることになっています。
 興味深かったのは、東北での津波からの生存者約4400名の避難実態調査のデータでありました。実際に避難できたのが、平均しますと徒歩ではわずか11分、440メートル余りだというんですね。車でも16分、2.4キロ余りしか移動できていなくて、そのスピードたるや、徒歩では時速2.3キロ、車でもわずか9キロしか出ていない。駆け足と同じ程度しか出なかったということです。生き延びた方でも思うように避難できなかったんですね。もちろん、多くの方が車で逃げる途中で渋滞や通行不能により津波にのまれて亡くなっていますから、車は条件の許す限られた場合のみしか使えないのは当然ですが、いざというときには本当に日ごろの歩くスピードの半分でしか避難できない、車も当てにできないということでありました。
 そして、加えて、稲むらの火の地元・広川町民に向けて紹介されたのは、地震予知の先駆者であった今村博士の文書でした。昭和南海地震の前、今村博士は南海地震が来ることに警鐘を鳴らし続けたのですが、戦中、戦後の混乱期にあってその警告が生かされずに、稲むらの火の地元である広村でも被害が出てしまったのです。広村に対してさまざまなアドバイスや警告を発していたけれども、被害を防ぐことができなかった、そんな万感のこもった文書を紹介されていました。
 そして、その文書の結びに記された言葉、「およそ災害は忘れたころにやってくると言われるけれども、忘れない、知っている、それだけでは災害は防げるものでもなく、避けられるものでもない。要はこれを防備することである」、このことを強調されていました。
 そして、あわせて、東日本の大震災での教訓である「避難所に来て顔を合わせたのは常々訓練に来ていた人ばかりであった。日ごろやっていることしかできないんだ」、こういった一言一言が参加者に強い感動を与えたシンポジウムとなりました。
 また、このほど県は、地震・津波に関する県民意識調査の結果を発表いたしました。この意識調査は、東日本大震災後の夏に改めて調査をしたものです。これによると、昨年の3月11日には約8割の人が大津波警報などを聞いていて、6割の人が市町村からの避難の呼びかけも聞いていたにもかかわらず、実際に避難した人は16.8%しかいなかったと、こういう数字が出ています。
 また、私が気になったのは、東日本大震災を経験して東南海・南海地震への関心や、また避難行動に関する意識、これが大幅に大きく上がっている。その一方で、東北では地震の揺れが少なかったせいか、家具の固定なんかに関しては数字が全然伸びていないと、こういうことにも注意と対策を考える必要があるというふうに思っています。
 こうした新しい状況や県民の実態を踏まえ、新年度においては県として、広域自治体としての防災対策に主体的に取り組むとともに、住民の身近なところで避難計画や対策に当たる県内市町村としっかりと連携して取り組むことが重要です。私の今回の質問では、市町村や地域との連携の部分に焦点を当てて、新年度防災対策予算について質問をさせていただきます。
 まず第1点目には、「まけるな!!和歌山パワーアップ」事業についてです。
 これは、市町村が避難路の整備や誘導灯、また家具の転倒防止対策などに取り組むときに、その半額を補助する事業で、今年度は、東日本大震災を踏まえて、当初予算5000万円から1億円の補正予算を加え、避難場所や避難路の見直しなど緊急性の高いものに取り組みました。さらに、新年度では、当初予算から2億円の枠を設けて、引き続き市町村とともに取り組むとされています。
 新年度予算を提案するに当たり、今年度の補正予算での緊急的取り組みでの到達点と課題はどうか。そして、新年度では市町村とともにどういう角度でさらなる取り組みを進めるのか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、災害時要援護者避難対策についてお伺いをいたします。
 高齢化が進む地域の中では、「避難所やからあの小学校まで逃げよと言われても、とても私らよう行かな」、また「ほとんど寝てばっかりのおじいちゃんほってよう逃げやん」、こんな声も聞こえてまいります。建前では避難場所へ逃げることになっていても、これでは実際の避難行動には結びつきません。体の不自由な高齢者を初めとする災害時要援護者の避難対策をしっかり準備することは、地域における避難対策の取り組みの本気度が、私、問われる問題だと思っています。
 福祉避難所の指定が少ない、対応人数が足りない、このことも課題となっています。こういった課題への対応を本格化させるためにも、地域とともに個別支援計画をどうつくり上げるのかが重要なかぎとなってまいります。
 県の新年度予算では、新規事業として災害時要援護者避難対策の推進策を予算化されていますが、災害時要援護者の個別計画の策定など、この課題をどう支援していくのか、お示しをいただきたいと思います。
 以上、防災対策2点について、まず危機管理監に答弁を求めます。
○議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 新年度防災対策予算につきまして、2点お答えを申し上げます。
 まず初めに、新政策「まけるな!!和歌山パワーアップ」事業についてお答えを申し上げます。
 県といたしましては、東日本大震災を踏まえた防災・減災対策の総点検の中で、避難場所の見直しを市町村とともに実施し、避難の方向性を明確にしてまいりましたが、そこで必要となった防災対策事業を進める市町村への支援として、23年度9月補正においては1億円の増額補正を行いました。
 早急な実施が必要となった事業は、避難路整備や避難誘導灯、それから表示板の設置など避難対策や、避難の前提となる家具等の固定といった災害から逃げ切るための対策でございます。特に、耐震化や家具固定などの身の周りの対策については、実数では伸びてはおりますが、津波被害の印象が非常に強烈であったためか、県民意識調査においては特段の変化がなく、課題と感じているところでございます。避難対策、身の周りの対策につきましては、24年度においても引き続き重点的に支援し、早期実施を促したいと考えてございます。
 加えて、24年度では、紀伊半島の大水害の教訓を踏まえ、台風12号緊急対策として、孤立集落への通信手段整備及び被災可能性の高い福祉関係施設への防災行政無線端末の整備を補助対象事業に追加し、取り組んでまいります。
 今後とも、県民の避難・救助対策や地域の減災対策について、早期取り組みを推進するため、市町村を総合的に支援してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、災害時要援護者対策についてお答えを申し上げます。
 災害時の要援護者対策につきましては、災害時要援護者避難支援プランの個別計画策定を市町村と連携して進めてございます。現在、9市町で個別計画を策定しており、17市町が策定に取り組んでおるところでございます。
 この計画は、地域で要援護者を支援していただくための共助の取り組みであり、要援護者への情報伝達、安否確認や避難行動支援を実施するために支援者を確定することが重要になりますが、個人情報の問題や、自治会、自主防災組織等での支援者確保が困難であるため、取り組みがおくれているのが現状でございます。
 新政策「災害時要援護者を支える地域支援」事業においては、支援者の重要性を明確にし、要援護者の避難支援を行う支援者の行動指針となるよう、支援者活動マニュアルの策定を行います。また、地域での支援活動に必要なリヤカーであるとか車いす等の資機材の整備について、市町村とともに支援を行ってまいります。
 以上の取り組みにより、関係部局や市町村と連携をして、支援者や支援に取り組む地域をサポートし、要援護者の方が避難できる体制づくりを促進してまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 防災関係の御答弁をいただきました。今年度の補正予算では主に避難関係の緊急対策に取り組んでいただいたわけですが、スピード感を持って取り組む避難場所の指定見直し、こういったこととは対照的に、地域の避難路を住民の意見をもとに整備をするというような事業は、住民の中でよくもんで、ああだこうだやりながら意識の高まりと相まってやっと実現するといったものもあるわけですから、ぜひ一定の期間も見ながら面的に取り組みを広げていただきたいというふうに要望しておきます。
 そして、もう1つ、家具固定の問題です。
 質問でも触れさせていただきましたが、家具の転倒防止、家具固定というのはなかなか進みにくい。わかっているだけでは進まないし、また、市町村が補助事業を組んだらどんどん進むという単純なものでもありません。しかし、災害時要援護者や高齢者世帯などはぜひ家具固定を支援する、そんな行政の施策が必要だと考えます。そして、一般の家庭にもぜひ、地震対策の最も効果的な一歩として広げていきたいものです。
 県のパンフレットを見ますと、現在、県内の30市町村のうち、家具固定の事業に取り組んでいるのは13市町にとどまっている状態なんですね。ぜひ、市町村にも、県の事業も活用いただいて施策が進むよう、これまで以上に働きかけを強めていただきたいと、このことも要望しておきたいと思います。
 次に、ミカン対策の質問に移ります。
 先日、NHKのBS番組で「ウンシュウミカン -進化する“こたつミカン”-」と題した番組が放送されました。温州ミカンの品種改良の歴史や全国的な産地の特徴、これからのミカンの進化に向けた研究も紹介する、なかなかおもしろい番組でした。
 この中で、ミカンの有力産地の条件として、水はけのよい秩父帯と呼ばれる地層、これが和歌山、愛媛、静岡という産地に共通して存在していることや、現在、機能性成分をより多く含むミカンの開発や研究が進められている様子が報道されていました。
 この番組を見て、私は、和歌山県という地域の持つ地理的、気候的、地質的条件はすばらしい、このポテンシャルを大いに生かし発揮させて、食料の世紀と呼ばれる21世紀、健康を保ち増進する果物の生産県として一層頑張りがいがあるなあと、そういう確信を持ちました。
 一方で、ミカン農家の現実は、表年に安値を繰り返しながら、長引く価格低迷と、また農業では食べていけないという後継者難で展望がなかなか見えにくい状況にあります。私は、今議会においても、ミカン対策について、以下4点の質問をさせていただきたいと思います。
 2011年産ミカンは、梅雨明け後の、また秋の高温、そして雨が非常に多かったりと気象変動による厳しい気候条件により、害虫の発生による品質低下やサイズの大きいミカンが多くできてしまい、生産、販売ともに苦労が多かったと聞いています。価格的には、安値に泣かされたこの間の表年よりは何とか持ち直したという状況だそうです。また、販売面でも、行政と生産者の取り組みがさまざまな形で努力が続けられてレベルアップしてきたこととあわせ、首都圏での和歌山県産ミカンの露出や販売量も増加し、県産ミカンの販売量が昨年の2倍になった東京の市場も報告されています。
 私は、和歌山県産ミカンの全国的ブランド力アップのためにも、長くお世話になっている京阪神市場に主軸を置きながら首都圏の市場にも果敢に攻めるという戦略が大切だと訴えてまいりましたが、関係者の皆さんの御努力が実を結びつつある状況だと思います。
 まず第1点目に、2011年産ミカンの生産、販売状況はどのような状況であったのか、お示しいただきたいと思います。
 次に、生産者からの要望の高い新品種の開発・普及の問題です。和歌山らしい魅力的な新品種を目指してきた成果として、県の果樹試験場と地元農家の協力により、「YN26」、そして「きゅうき」など、こういった新しい品種が生み出され、普及に期待の声が寄せられています。今後、これら新品種の普及のスケジュールや手だてはどうか、お答えください。
 続いて、機能性成分に着目した今後の新品種開発と販売戦略についてお伺いをいたします。
 ミカンの持つ機能性成分については、有名になったベータクリプトキサンチンの抗がん作用、そしてメタボ防止にも効果があるなどの報告がされ、健康ブームとも相まって消費者の関心を呼んでいます。
 現在は、こうした機能性成分をより多く含むミカンを開発するとか、これまでにない機能性成分を品種改良によって取り組むなどの、そういった研究が進められているようであります。今後、こうした機能性成分に着目した新品種開発が一層求められてくると思いますが、県として新品種開発と販売戦略をどう展開していくのか、御答弁を願います。
 4点目に、果樹・ミカン農家の後継者対策について伺います。
 私どもは、これまでも、農業後継者対策としては、事業が軌道に乗るまでの所得補償対策などさまざまな支援が必要であり、農家に生まれた青年はもとより、Uターン、Iターン、退職者など、農業をやりたい人は皆後継者だとして、抜本的な後継者対策で日本農業を守ろうと訴えてまいりました。和歌山県としてもさまざまな施策に取り組んでいるわけですが、先日の県の試験場の技術成果発表会の資料も見せていただきますと、新規就農者の経営課題とニーズについての報告もされていました。
 就農前の不安や課題としては、所得・収益性の低さや、また知識・技能の習得が多く出されているとともに、資金と、そして農地の確保が大きな課題となっています。そして、実際に今度は就農した後の意識や課題としては、収入についての不満が強いものの、農家出身者と非農家出身者との間ではほとんどの項目で差がなくなってきている。10年経過すれば収益の差もほとんどないという、そういう状態だと報告されています。うまく軌道に乗れば順調に頑張っておられるんですね。後継者対策を進めるためには、新規就農者のニーズに細やかに、そしてしっかりとこたえていくことが大切であり、農業後継者対策を一層強化する必要があると考えさせられました。
 県として、農業後継者対策の実績、評価はどうか、そして、今後の取り組みについてどう考えているのか、お示しいただきたいと思います。特に、果樹は本県農業の柱でもあることから、果樹・ミカン農家の後継者対策についての答弁を求めます。
 以上、ミカン対策の4点、いずれも農林水産部長に御答弁願います。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ミカン対策4点の御質問にお答え申し上げます。
 2011年産ミカンについては、表年であったものの生理落果が多く、台風や秋雨の影響で傷果や大玉果等が多かったため、出荷量は前年比118%、同じ表年である2009年産に比べて92%の出荷量となっております。
 こうした中で、県は、JAグループとともに厳選出荷を推進し、単価につきましては186円・パー・キログラムと前年度の80%、2009年産に比べて130%の単価で取引が行われております。
 次に、YN26及びきゅうきなど新品種の普及についてですが、ゆら早生から育成されたYN26につきましては、9月下旬から出荷でき、食味がよいのが特徴で、本年1月に品種登録がなされ、今春から苗木が販売される予定でございます。
 また、向山温州の変異と言われているきゅうきにつきましては、12月から出荷できる浮き皮の少ないミカンで、昨年3月に品種登録の申請を行い、2014年からの苗木販売に向けて、現在、増殖に努めているところでございます。
 今後、極わせからおくてまでの県オリジナル品種によるシリーズ出荷を推進するため、県単独事業の果樹産地再生緊急対策事業などにより、これら品種への改植の支援を行い、早期の産地化を図ってまいる所存でございます。
 次に、機能性成分に着目した今後の新品種開発と販売戦略についてですが、県では、これまでも、ベータクリプトキサンチンの発がん抑制効果等ミカンの持つさまざまな効果をPRするとともに、現在、果樹試験場では、花粉症に効果があると言われているジャバラを親にした新品種の育成に着手しているところでございます。さらに、2012年度は、県オリジナル品種の開発など、産地から要望の高い試験研究を重点化するための予算を今議会にお願いしているところでございます。
 また、昨年11月には、JAグループと連携し、首都圏のメディア関係者を対象に、ミカンやカキなど県産果実の機能性に関するフォーラムを開催いたしました。
 健康志向が高まる中で、果実の需要拡大を図る1つの方策として、今後とも新品種の育成を重点的に実施するとともに、機能性成分に着目した販売戦略を推進してまいる所存でございます。
 最後に、果樹・ミカン農家の後継者対策につきましては、県では、農業大学校や就農支援センターにおいて、新規就農希望者に対して農業技術研修を実施しております。就農初期における経営安定のため、新農業人あんしん自立支援事業において、就農奨励金や無利子の生活安定資金、農地無償一時貸し付け等の支援を行っております。また、平成21年度から実施している「和歌山で農業しませんか」プロジェクトにより、新規就農者の確保に努めております。
 これらの対策により、最近2年間の新規就農者数は、平成21年度が193名、22年度が180名の2年間で計373名であり、そのうちミカン等の果樹を基幹品目とする就農者は約半数の191名、それ以前の5年間と比較しますと、最近2年間の新規就農者数は年間で約50名の増加となっております。
 今後、県としましては、技術研修のさらなる充実に向けた就農支援センターでの社会人課程と、JAと連携したトレーニングファームを新たに開設するとともに、国の支援制度等も積極的に活用して、新規就農者の確保と就農定着を促進してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からお示しいただきました答弁では、新品種のYN26の品種登録が完了、苗木も販売するということや、きゅうきも非常に有望で、再来年ですか、苗木販売に向けて取り組んでいるということでした。YN26という品種名だけでは味気ないので、新年度にはかわいいニックネーム、商標登録も考えているそうでありますが、ぜひ、いい名前を皆さんと考えていただけたらと思っています。
 また、機能性成分に着目という点では、花粉症に効果のあるジャバラを親にした取り組みが出されました。この効果は一般的に本当によく知られておりますし、何よりも和歌山県らしいインパクトのあるものだと思います。ぜひ力を入れていただきたいと思います。後継者対策や、また身近な基盤整備などともあわせ、果樹王国和歌山県として一層のミカン対策強化を要望しておきます。
 次に、3つ目の質問であります県消防学校移転整備について、知事にお伺いをいたします。
 新年度予算では、老朽化し手狭な県消防学校が抱える課題を解決するため、現在の和歌山市冬野からコスモパーク加太への移転新築に向けた予算が計上されています。これまでも県内消防長会からも要望が出されていたように、専門的な訓練や資格の取得という点から見れば課題がありました。
 水難事故に対応する潜水隊員として業務に当たろうとすれば、潜水の講習、資格が必要になります。交通事故や災害時にレスキュー車、いわゆる救助工作車についているクレーンを使って助けに行こうと思えば、クレーンや玉かけの免許が必要になります。ところが、これら専門的な訓練が設備や規模の制約もあって要望にこたえられず、遠く県外の消防学校へ講習に行っている、訓練に行っているという実態もあったわけです。
 長い海岸線や河川、ダムを持ち、自然災害の多い和歌山県として、大規模災害への備えや救急救命活動の高度化、こういったことに対応できるよう、県消防学校の整備、充実が期待されてまいりました。時代の求める消防職員の養成とともに、地域の消防団員や企業や団体の消防組織など、地域社会の防災力向上に向けての取り組みも一層強める必要があると考えております。
 県として、和歌山県消防学校の果たすべき役割と機能についてどのように考え、そして施設の移転整備によりどう対応しようとしているのか、消防学校の移転整備の基本的な考え方、構想について知事の答弁を求めます。
○議長(新島 雄君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在の消防学校は、消防職団員を初め、自衛消防隊等が初任教育や専門的な専科教育、訓練を受け、知識や技術を習得する機関として昭和52年に開校いたしました。以来、本年度末までに約2万人を超える消防職団員等に対して各種教育、訓練を実施し、人材の育成に努めてまいりました。
 しかし、御指摘のように、消防業務の複雑化、高度化に伴い、新たな消防需要に十分対応できる消防職団員等を育成するとともに、大規模地震に備え耐震化対策を講じた消防学校の移転整備が、早急に取り組まなければならない重要な課題と認識しております。
 これらの課題を踏まえまして、新たな消防学校の移転整備に向けての基本的な考え方は、東海・東南海・南海地震等の大規模災害や救急業務の高度化に対応できる教育・訓練施設の整備、あるいは女性消防職員を受け入れることができるような施設規模の確保、消防学校の施設等基準に基づく施設・設備の充実、そういうものだと思います。
 そこで、県民のとうとい生命や財産を守るため、消防職団員等が高度で専門的な知識や技術を習得するとともに、消防精神の涵養並びに体力の向上が図れるような教育、訓練の環境が整った移転整備を計画的にこれから推進してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事からは、移転整備の基本的な考え方とともに、重要課題として計画的に進めていくとの答弁がありました。
 コスモパーク加太の防災用地の一部を活用ということですから、かなりの規模の施設となるわけで、事業総額を抑えながらも求められる機能と能力をしっかりと備えた施設となるよう、消防学校の現場や、また研修を実際に受ける立場の消防職員、消防団員等の皆さんの要望にもよく耳を傾けて、計画的に整備を進めていただけますよう要望をしておきたいと思います。
 最後に、今度はJRの利便性向上へという柱で質問をさせていただきます。
 2012年春のダイヤ改正とあわせて、この3月17日からJRきのくに線の特急「くろしお」に新型特急車両が導入されます。去る2月25日には展示会が和歌山駅、海南駅、紀伊田辺駅で開催され、3月4日には和歌山─紀伊田辺間で試乗会が行われたところです。私も、和歌山駅での展示会に出向いて新型くろしお車両を見てまいりました。ゆったりした客車やバリアフリーにも配慮された新型車両を一目見ようと、大勢の家族連れや鉄道ファンが来場していました。
 これまでの現行車両はかなり古くて、加えて振り子式ゆえの激しい揺れが苦手だという声も大変多かっただけに、きのくに線特急のイメージが一新されることだと期待しています。また、利用者の快適性向上とともに、観光面においても、和歌山県の台風災害からの復興の呼び水として期待もするものですが、新型車両導入と新ダイヤによる効果についてお答えいただきたいと思います。
 最後に、駅のバリアフリー化など利便性向上に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 新年度予算では、和歌山市駅と箕島駅のエレベーター設置に向けた予算が計上されているのを歓迎したいと思います。これまでも、駅ホームの段差解消、エレベーターの設置や点字ブロックの整備などを求めてまいりましたが、こういった公共交通、地域交通の改善が一層広がっていくよう願うものです。
 JRの湯浅駅では、この間、歴史的な町並みが伝統的建造物群として指定を受けたことにより観光客の利用がふえてきている一方で、駅の売店が閉鎖されたり窓口駅員不在の時間帯が出てきたりと、利用者から困惑の声もお聞きをいたしております。湯浅駅も、この間、点字ブロックや手すりの整備などを進めていただきましたが、改札を入るとすぐにホームへの階段が立ちはだかって、そして横にあるスロープも傾斜がきつくて長くて、車いすでは介助なしに自力で上がることはできません。こういったことに、駅前地域の商店街の皆さんや湯浅町も、駅のバリアフリー化や活性化を目指して働きかけを強めているようです。
 JR駅舎のバリアフリー化や利用客の利便性向上に向け、今後、県としてどう取り組んでいくのか、以上2点について、企画部長の答弁をお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) まず、JR西日本が3月17日のダイヤ改正に伴いまして導入いたします新型車両の特徴につきましては、客席の足元スペースの拡大、女性専用トイレや車いす対応多機能トイレの設置、さらには授乳時や気分が悪くなった方々にお使いいただくための多目的室の完備などが施されており、利用される方々がより快適に和歌山の鉄道の旅を楽しんでいただけるものと考えております。
 また、このダイヤ改正では、朝夕のビジネス利用に配慮するとともに、昼間は観光地への速達性を向上させるため、特急の停車駅が見直されることにより利便性が向上し、復興支援にもつながるものと期待しているところでございます。
 次に、鉄道駅のバリアフリー化に関しましては、国が定める移動等円滑化の促進に関する基本方針において、1日当たりの平均的な利用者数が3000人以上である鉄道駅については、平成32年度までにエレベーターや障害者対応型便所の設置など、移動等円滑化を可能な限り実施するとされています。
 本県におきましては、利用者数3000人以上の16駅のうち既に9駅が完了しており、来年度は南海和歌山市駅とJR箕島駅のバリアフリー化に向けた予算を計上しています。今後とも、県内の利用者数が3000人以上の駅や、それ未満でも特急が停車したり観光の拠点となる駅など、いわゆる地域拠点駅を中心に、地元市町及び鉄道事業者と連携の上、バリアフリー化を推進してまいりたいと考えています。
 また、駅の利便性向上につきましては、駅と目的地をつなぐ2次的な交通体系の整備や、観光案内所の併設による駅機能の充実などに取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。駅のバリアフリー化に向けた状況と方向性、また駅機能の充実という点でもお答えをいただきました。
 湯浅駅に関して言えば、この駅が湯浅の町なかにあるという条件からも、お隣の藤並駅や広川ビーチ駅などと比較しても高齢者や、また交通弱者の方々の利用が非常に多いのが特徴だと思うんですね。それだけに、歴史的な町並みを楽しんでいただく観光面、これとあわせてこの取り組みが進んでいくよう、住民の皆さんや湯浅町ともよく連携して取り組みを強めていただきますよう要望いたします。
 また、もう1点、最後に要望ですが、駅舎のトイレの問題です。
 以前、JRは、きのくに線でトイレなし列車をふやそうとして県民の強い批判を受け、議会でも取り上げられました。今ではすべての列車にトイレがつけられて、ハンディーのある方を含め喜ばれておりますが、今度は、電車にトイレをつけたから駅のトイレのほうはもう改修しませんというのが最近のJRの方針だというんですね。やってほしければ市町村でやってくださいということなんです。
 公共交通という点では、行政もしっかりと支援しながらですが、JRにも働きかけて、一緒になって駅の利便性向上に取り組み、乗客もふやしていってほしいということを最後に要望いたしまして、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
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  午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 8番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 議長にお許しをいただきましたので、順次、一般質問をさせていただきます。
 まず、1番目に電力問題について。
 今回は、全部で項目4つ、1つ目は電力問題、次に産業廃棄物の最終処分について、3番目には法定外公共物の管理について、4番目に有害鳥獣被害対策についてということで、4項目挙げさせていただいてますが、まず電力問題についてということで。
 最近、私はテレビを見ておりますと、関西電力、それ以前には東電、原発の問題で電力不足、電気を節約、省エネをいろいろやってほしいと随分我々に対して気を使って協力してほしいということを言っている割には、企業として、我々に何%減らしてくれとかと言う以前にどういう努力をしてるんかと。我々も、もちろん電気代、高く払うより安いほうがええ。それで、私は、以前からも省エネのタイプにかえたり、LEDも、随分電球が高いときからLEDになるべく球をかえながら努力をしてきております。
 それで、特におととしぐらいから関西電力の和歌山の支店長さんを訪問させていただいて、こういうようなこと、企業としても普及しやすくなるように、いろんな啓発あるいはいろんな援助、料金の値下げ、そういうようなことも考えてほしいということをお願いに行ってる中で、なかなか関電のエリアあるいは2府4県、そういう広域にわたることやから簡単には電気代が下がらんというか、電気代というか、私が特に話をしに行ったのは、普通、LEDにかえたら電力量が減るわけですよ。だから、メーターが下がるんやから電気代は下がる。
 ところが、防犯灯とか街路灯、そういう1灯幾らというふうに契約しとるやつがLEDにかえていっても、同じ電気代を取っとるわけですよ。それで私は、やっぱり電力量に合わせて電気代を変えなんだら、そういうことも関電さんとしてやってくれなかったら、なかなかLED化、街路灯とか防犯灯のような1灯契約になっとるとこは進まんのじゃないですかと。
 そしてまた、ずっと長時間、毎日つけるから、夜になったらずっとつける、そんなもんやから、大きな電力に関係があるということで大分交渉させていただいて、最後には、夏ぐらいから秋にかけては関西電力出身の片桐議員にも、私いろいろ個人的に言うとったら、片桐議員も、「関電へ行くんやったら一緒にお話を聞かしてもらいましょうか」というて一緒に行ってもらって、それで夏、秋ぐらいにそんな話、2回ほどお願いに行っとったら、12月に一度改正の料金を考えさせてもらうと、発表させてもらうということで、それで、私、大変期待しておりました。
 確かに、料金、60ワットの防犯灯を各自治会──私の住んでおります和歌山市粟の自治会も、自治会として200何灯あるのをLEDにかえようと。そしてまた、楠見地区連合自治会も、僕が顧問さしてもうとるんですけど、18の自治会もできるだけかえようと。
 これ、何でかえるのかというと、自治会費をそのままで、何も自治会費を今以上に値上げしなくても、電気代の差額でリース会社が新しい防犯灯と入れかえしてくれると。リース会社が防犯灯を何年間かリースで貸すことになるんですよ。そして、何年間かたてば自治会のものになると。そしたら、そこから後は、その差額分というのは自治会へ入ってくるわけですよ。それで私は、これぜひやりたいということで。
 ところが、値段が幾らになるかというのが、その差額が出てこないとあかんからね。そしたら、12月のときには、一応、60ワットの防犯灯の値段を20ワットぐらいの分で、今まで60ワットぐらいのやつを公共性のある防犯灯ということやから20ワット分の料金で1灯契約しとったやつを、今回、10ワットの料金に。いろんな詳細を配らしてもうとるんですけども、簡単に言うたら10ワットにということになりました。これ、ちょっとマーク入れさしてもうとるんですけど。
 ところが、これ、片桐議員もおって、御協力いただいとんのに悪いけど、電力量がLEDにかえると10分の1以下になるわけですよ。60ワットの球が5ワット前後、ということは10分の1。4.何ワットというのが十分60ワットの明るさがあってそれが10分の1ぐらいになる。電力量としては料金としてはとんとん──それをただ半分にというたら、電力量が半分にしか下がらんのやったらあれやけど、10分の1ぐらいに下がんのやから、もうちょっと頑張ってほしいということと。
 企業は、蛍光灯に安定器がついてます。その安定器のとこも通さんと直結してしもうて、安定器を外して蛍光灯だけLEDのとかえたらええわけですわ。そしたら10分の1の電力量になるわけですよ、簡単に言えば。そしたら、メーターとしては電気代としたら10分の1ぐらいの電力量だけ払うたらええわけやから、企業は直結にして球変えたらええんやからどんどんやっていっとるわけですよ。
 そして、私も、和歌山の大手の会社の企業の役員さんが、そのリース会社を何やったら自治会さんに紹介しましょうかということやったけど、自治会のは、なかなか蛍光灯の直結にしてどうこうというだけで済まん。できれば器具もかえといたほうがええんじゃないかと。外へつけるやつやしね。だけど、順次つけていってもいいんじゃないかということで、いろいろ今検討しとるんですけども。
 そんなことも含めてですけど、それで私が、1番の道路照明へのLEDの普及についてというのと防犯灯のLEDの照明の普及についてというの、この1と2と一緒に、関連しとるんで質問させてもらおうと思うんですけども。
 我々自治会でもそういうふうに防犯灯、観光都市、観光立県和歌山というようなことを今、打ち出しておるときですから、やはり和歌山県内へ行ったら防犯灯が整備されとると、どこ行っても切れてない、ちかちかしてないと。あるいは街路灯、道路の水銀灯やナトリウム灯も、あれ県のでもかなり電力量をたくさん、何千個とついてる。ですから、和歌山県としてもあれを、あんだけ電力の省エネとか、あるいはLED化しようということを宣伝して、もちろんせないかんなと思とるときに、県とか公共の街路灯なんかもやはり前倒しでそういうことをかえていかんとあかんのじゃないかということを県の担当の幹部の方にも話しさせてもらって。
 それで、最初はなかなか切れた順番に直していくか、あるいはある程度まとまってというようなことをいろいろ検討してくれとるようですけども、やはり今回、もうちょっと前倒しといいますか──もちろん、きのうつけたばっかりの水銀灯をすぐにLEDにかえるというのもったいないというのも、私もよくわかります。だけど、LEDにかえたら電気代として月々払うのはどんと安うなんのやから、そういうこともまず、それだけ電気が足らん足らんと言うてんのやったら、公共あるいは県としての姿勢を前向きに、前倒しに取り組むようなことをしたらどうかなと、する必要があるんじゃないかなということで、県の姿勢について質問させてもらったわけです。
 あと、発電所の関係のことは、また後ほど次のところで知事にお伺いしたいと思います。
 とりあえず、電力問題についての道路照明へのLEDの照明の普及について、近年、消費電力や維持管理費の節減を目的として、業務用や家庭用のLED照明の導入が進んでいる。県が管理する道路にも多くの照明が設置されているが、それをLED化することについての考えをお聞きしたい。
 そして、2番目の防犯灯のLEDの照明の普及についてですけど……
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘議員、一問一答で、済みません、お願いいたします。
○井出益弘君 この1と2ともう一緒にやりたいんでね。
○副議長(前芝雅嗣君) いや、もう一問一答でと通告してるじゃないですか。通告に従って、済みません、一問一答でお願いします。
○井出益弘君 じゃ、とりあえず道路とかの照明について、県が公共施設、特に道路についてのということの現在の実態あるいは取り組みとしてどのようなことを考えているかということを、まずお聞きしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの井出益弘君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県管理道路には、現在、約6000灯の道路照明がございますが、これらについて、水銀灯やナトリウム灯から消費電力が少なく寿命も長いLED照明への交換を新年度から順次進めてまいります。
 また、道路照明を新設する際にもLED照明を積極的に活用してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 そしたら、電力問題についての2番目の防犯灯のLED照明の普及について。
 LEDの照明は、消費電力が少なく長寿命であるなど、これまでの照明に比べて大きなメリットがあるが、価格も高いため、まだまだ本格的な普及に至っていない。LED照明の普及を促進するためには、大量に照明を使う街路灯や防犯灯への導入が効果的であると考えますが、特に街路灯については、ただいま即新年度から取り組むというようなお答えをいただいたんで、これで結構ですけども、自治会とかいろんなところに置いてある1灯契約でしておる防犯灯、それが、ちょっと前段でも皆さんにお話しさせていただいたんですけど、やはり今まで60ワットの電灯料金を20ワットの電気料としてもらってたと。これを今度10ワットにしますということで、10ワットの料金換算というような話だったんですけど、やはり電力としてはもっとずっと減ってるんやから、さらに値段を下げてほしいと思うんです。
 これは当局に、関西電力とちゃうからかわりに答えてもらうわけにもいかんもんですから、ぜひ、こういう普及について、たしか、去年、おととしと5000万ほどLED化についての予算がついてて市町村へ交付したように思うんですけど、自治会のようなとこで防犯灯をLED化するために自治会費を上げるというわけにもなかなかいかんもんですから。だけど、一日も一カ月でも早くLEDの整備された防犯灯を、街並みがきれいになるぐらいに、防犯の意味を向上するためにも、ぜひ普及させたいなと思うんです。
 関西電力の支店長さんの話でも、私、県会議員一個人でこういうことをさらに安くと言われても非常に困るような感じで、行政あるいは2府4県、関西広域としてそんなことの取り組みのような、今、知事が特に関西の広域ということで頑張ってもらえるような話を私、いろいろ聞くんです。こんなこと、小さいことと言えば小さいことやけど、観光立県和歌山というようなことをうたい出している以上は、やはり防犯灯も早く和歌山として、全国でいち早く県内の防犯灯がぱっとLED化して、どこへ行っても切れてない、ちかちかしてない、蛍光灯みたいにしてないというような和歌山にするためには行政としてもできるだけ応援をしてほしいなと、自治会やそういうところに対して早く普及できるように応援してほしいなということを考えます。
 これについては、なかなか関西電力と違うから、だけど関電としたら、行政レベルでも2府4県としての広域としてのこともあるんで、すぐには返事はなかなか難しいということであったと。片桐議員、そういう難しいというね。だけど、私はさらにお願いしたいということで、県からも、あるいは市町村からもそういう声があったらやりやすいんやったら上げてもらいますということで、帰ってきております。
 これについては、できればできる範囲で協力か努力かというようなことがしてもらえるんじゃないかなと思うんですけど、そういう程度の答弁、一応どのように考えているかということを答弁を求めたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 県では、LED照明の普及を促すため、議員先ほどお話しのとおり、平成22年度、23年度の2年間、地域グリーンニューディール基金を活用した市町村へのLED防犯灯設置補助事業を実施したところです。当該事業により、県内各地に約4400基のLED防犯灯が導入されたということで、いまだ黎明期とも言えますLED照明設備の普及には大きな効果があったものと考えております。
 今後、防犯灯などの照明設備でさらなるLED化を進めるためには、市町村を初め自治会や個々の家庭での取り組みが重要であることから、県としましても、LED照明がいかに環境に優しく、費用対効果という面からも有効なものであるかということを、幅広く情報発信することによりまして普及促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
 なお、議員の御質問というか、おっしゃられてました料金については、ちょっと私どものほう、先ほど言われましたように関西電力でもございませんので、非常に答弁しにくいところでございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 今、保田部長の答弁、啓発促進に努力するということで、そういうことでぜひやっていただけたらと思います。
 料金のことは、私もまだ、同僚県会議員にもお願いして、関電にみんなで、もうちょっと下げてもらえやんかということをね。それやったら、私、一議員であかんのやったら、人数をちょっと御理解いただける人らでね。
 やっぱり料金、使う量が10分の1になんのやから、値段は半額にというより、せめて3分の2ぐらい下げて3分の1ぐらい払ってもらうと、2分の1じゃなくてね。3分の1にというようなとこ、それ以下にというぐらいの目標を僕は努力目標にしとるんですけど、それはまあ、そのくらいで了としたい。質問としては終わります。
 次に、関西電力における新たな天然ガス発電所の早期実現について。
 これは、関西電力のLNGの発電所というのは、住友金属の公害発生源になってるコークス工場とかそういう地元の自治会に随分迷惑かけてるという施設を、住金の沖のほうを埋め立てして、そこへ設備を建て直すというのが最初の埋め立ての条件あるいは目的であったんですけど、結局、埋め立てを許可するのが遅くなって完成が遅くなったから鹿島へどんどん行ってしまって、それで鹿島のほうがメーン工場になってしまったもんで、和歌山には設備投資をしなくなる。そういう結果、埋め立てしたところを関西電力にLNGの発電所として買ってもらうということになって、我々も一応承認をして、早くLNGの発電所ができるようにということで期待をしておりました。
 平成23年3月に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故により、全国の原子力発電所は定期点検後の再稼働が困難な状態となっております。その影響で、関西電力については、夏に続き冬も需要者に対し節電を要請しました。また、現在もしております。
 去る2月20日には高浜発電所の3号機が定期検査に入り、関西電力のすべての原子力発電所が停止し、この夏には深刻な電力不足が懸念されています。
 一方、平成9年の第135回電源開発調整審議会において、出力370万キロワットの和歌山発電所を電源開発基本計画に組み入れることが承認されました。その後、関西電力は平成12年3月に和歌山県と建設協定、環境保全協定を締結し、平成13年には地盤改良工事に着手しました。しかし、電気事業法に基づく供給計画によると、運転開始時期が毎年繰り延べされている状況であります。
 もし、この発電所が建設されるとなると、雇用を生み出し、地域の経済活性化にも大きく貢献するものと思われます。電力の安定供給を目指すためにも、関西電力に対して和歌山発電所の早期実現に働きかけていただきたい。これについてはやはり知事に、以前、坂本議員、去年ですか、御質問されて、それから状況がやっぱり大分変わってきてるというか、電力量もいろんな心配あるいは原発についても再稼働するかしないかということも、結局、私は再稼働するようになるんかな、だけど、そう簡単にはいかんのじゃないかなとかいろいろ、だけど、もともとLNGの発電所を建てるというのを約束して、あそこ、道も紀の川沿いに釣り公園のとこを通って、今までは、LNGの発電所をもし関電がつくるとなっても、住金の構内を通らんとそこへ行けなかったんですよ。だけど、去年から紀の川堤防沿い、釣り公園の横からずっとこの場所へ、大きな貨物でも十分出入りできるすばらしい道が完成しました。ですから、今こそやっぱり道ができたんやからやってほしいということを強く知事からもお願いしてほしいと思うんですけど、これについて答弁を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 原子力発電所の再稼働がなかなか困難な状況の中、LNGを燃料とする和歌山発電所は、これからの電力の安定供給には欠かせない施設になると考えております。そういう意味で期待もしておりまして、機会があるごとに関西電力に対して計画の具体化を要請しております。今後も、引き続き、関西電力に対して和歌山発電所を速やかに着工するように強く働きかけていく所存でございます。
 なお、関西電力では、国で検討されてる新たなエネルギー政策の行方や関西電力管内の電力需要動向を見定めた上で、着工について検討されていくものと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 今、知事から答弁いただいて、やはり関西電力と違うんで、知事も直接はどうこうと言えないかと思うんですけど、本当に今、和歌山市あるいは和歌山市議会からも、県議会でこういうようなことしっかり言うてほしいと、あるいは何か対応してもらえんのかというようなことも声が出ております。だけど、本当に知事にやっぱり頑張ってもらわんと、これは、もちろん我々議会とも一体となって大分言わんと──言わんとと言うと失礼やけども、お願いせんと関電も決断をしてくれないと思うんで、ぜひ、さらに一段と御努力をお願いしたいということを要望させていただきます。
 次に、産業廃棄物の最終処分について。
 県内で発生した産業廃棄物の最終処分場への搬入の現状について、そして、産業廃棄物最終処分場の建設計画と検討状況についてということでお尋ねします。
 産業廃棄物の排出量は依然として高い水準にあるが、各事業者の発生抑制や自動車リサイクル法などの各種リサイクル法の施行により、廃棄物を資源として再利用を図り、最終処分量の減量化に取り組んでいるところであります。しかしながら、リサイクルに取り組んでも、すべての再利用をすることが現実、困難な状況にあります。依然として、廃棄物の最終処分の方法としては、埋め立て処分場への搬入に頼らざるを得ない状況にあります。
 また一方で、埋め立て終了となる最終処分場に比べて新たに設置される処分場数が少ないため、残余容量は年々と減少傾向にあり、最終処分場の残余年数の推計を見ても全国で約20年余りとなっている。和歌山県においても、廃棄物の発生抑制や各種リサイクルに取り組んでいるが、県内で発生した産業廃棄物の最終処分状況についてお答えをいただきたい。
 まず、ここで1回、あれやな。
○副議長(前芝雅嗣君) 分割で通告してますので、分割でしていただけますか。
○井出益弘君 わかりました。
 また、和歌山県における産業廃棄物最終処分場の建設計画の検討状況について、お尋ねします。
 産業廃棄物の埋め立て処分を継続していくためには、常に新しい最終処分場を確保していかなければなりません。しかしながら、最終処分場は、建設予定地の周辺住民から周辺の環境悪化などを理由に関係者と合意できないことが多く、また、設置許可を受けた最終処分場でも計画から廃棄物の受け入れまでに相当の年月を要しているのが実態であります。したがいまして、長期的な視野に立って最終処分場の確保について取り組む必要があると考えています。
 大阪湾フェニックス基地の計画によれば、平成33年度まで廃棄物の受け入れ処分を行うこととなっていますが、県としては、平成34年度以降の最終処分場の確保について、どのように検討しているのでしょうか。
 また、大阪湾フェニックス基地に搬入できないみなべ町以南の産業廃棄物については、紀北にある民間処分場や県外の処分場に頼らざるを得ない状況にあり、処分費用に加えて運搬費用もかさんでいる状況にあります。この地域の最終処分場の確保について、どのように検討しているんでしょうか。
 これについて、まず答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) まず、最終処分場への搬入の現状についてですが、和歌山県内で発生した産業廃棄物は平成21年度実績で383万7000トンとなっております。このうち、主なものとしまして、鉱滓や瓦れき類等が再生利用された後、約4%の15万9000トンが最終処分されているところです。最終処分の内訳は、県内の民間処分場へ2万トン、大阪湾フェニックスへ12万2000トン、県外の民間処分場へ1万7000トンとなっております。
 次に、最終処分場建設計画の検討状況についてでございます。
 大阪湾フェニックス計画は、平成33年度に終了する計画を延長しまして、平成39年度までとする手続を現在進めている状況であります。最終処分場の確保に向け、引き続き、次期大阪湾フェニックス計画の実現に取り組んでまいります。
 大阪湾フェニックスの対象地域でない紀南地域の最終処分場の確保については、県、市町村及び産業界が設立した財団法人紀南環境整備公社が事業主体となって取り組んでいるところです。候補地が、昨年、田辺市稲荷地区に決定され、現在、関係者の同意が得られるよう話し合いが行われています。同意が得られれば各種調査を実施し、早ければ平成26年度に建設工事に着手、そして平成29年度に供用開始される予定となっております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 産業廃棄物の最終処分場については、非常に取り組んでるということで、また、紀南のほうも候補地ができて進んでいるというか着手してくれてるというんで、非常にうれしく思います。
 産業廃棄物の問題は本当に難しいけども、やはり行政が先駆けて先駆けてやらんと、これは場所を確保するのに長い年月がかかるし、地元住民にも、さっとやるといろんな不安、心配をかけたり、あるいは同意についていろいろ、同意のとり方が問題やったとか説明が不十分やったとかというようなことがしょっちゅうあるんで、先ほども、今議会でも大分何回か話が出てる和歌山市の山の上の場所に産業廃棄物というの、やはり産業廃棄物というのは、山の上とかには特に難しいと思うんですよ、許可すること自体がね。それは、そこの下流域の井戸水へ、上でそんな産廃ほられたら何か出てけえへんかとか川へ何か出てけえへんかとか、いろんなこと、健康上も心配があるし。
 そうなると、やっぱり最後は海かなと。一番下の、川のもう一個下の海。そして、大阪湾のようなフェニックス基地のようなあんな場所でも許可がおりるんやから、和歌山は特に海に面してますから、将来、知事が海のことについても、またそういう、最終的には産廃の最終処分場は海ということで、フェニックス基地が39年に終わったらまたどうなるんかなというようなことを、今から紀北エリアの分についてもぜひ、御苦労なことやと思うんですけども、取り組んでいただくように、頑張っていただくように要望して、これでこれは一たん終わります。
 3番目の法定外公共物の管理について。
 平成16年3月に地方分権の推進を図るための関係法律整備等に関する法律、平成11年法律第87号ということで施行されました、いわゆる法定外公共物のうち里道、水路、ため池、湖とか沼を含むという形での法律として、現に公共の用に供しているこれらの法定外公共物については、市町村に譲与し、機能管理、財産管理ともに自治事務とすることとされ、また、機能を喪失しているものについては国において直接管理することと法律で決まりました。
 それで、そういう法律ができて以来、平成16年、17年あたりにこれらの市町村への移管ということが具体的に、県に対して国から市町村へ移管することについての事務手続をやってくださいということが国からおりてきました。
 これらの中で、市町村に譲与されていない法定外公共物、これ、ため池などですね。今、震災とか災害でも、あるいは雨降ったときに随分心配してる、いろんなことがあるもんですから、法定外公共物のため池などの保全管理について、地方分権一括法第113条に基づき、平成17年に里道、水路、ため池などの国有財産が市町村に一括譲与されています。しかしながら、譲与漏れとなった法定外公共物が存在し、所有権が内務省となったままのものがあり、管理の支障となっているようであります。
 県は、このような実態を把握しているのでしょうか。また、このような譲与漏れ財産についてどのように対応するのかを答弁お願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 里道、水路、ため池等の法定外公共物のうち機能のあるものについては、平成17年3月に市町村に一括譲与されております。この譲与に関しては、市町村が譲与財産を特定して譲与を受けておりまして、県では譲与漏れ財産について把握しておりません。
 しかし、平成17年に譲与されなかった財産のうち機能のあるもの、いわゆる譲与漏れの財産については、追加して譲与を受けることができます。このような譲与漏れ財産については、一括譲与の趣旨から市町村が譲与を受け管理すべきものでありますから、県としても、市町村に対し、追加譲与を受けるよう働きかけてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 法定外公共物の一括譲与ということで、これは鋭意やっていくと、漏れているやつについてはやってもらうということで答弁をいただきましたんで、ぜひ、いろんな事情があって譲渡できてないもの、あるいは単なる譲渡漏れ、いろんなことがあるかわからんですけど、やはり地域の住んでおります住民にとっては、そういうものがあると大変、どこの管理なんやろなと、えらい雨降ったときに上から水漏れてるのにと、あるいは電車の線路敷のところまでだーっと池みたいになっとるのにとかいろんな心配が出てますんで、できるだけ早期に解決していただくように御指導、またいろんな御努力をお願いしたいということで、よろしくお願いします。
 そしたら、最後の有害鳥獣被害対策について。
 前回予定していた捕獲技術向上施設等整備の経過について、これもちょっと皆様に資料を配付させていただいております。
 以前、県議会の皆様、特に自民党県議団の皆さんにも、知事に、ぜひ射撃場とか、有害鳥獣捕獲とかいろんな研修センターをということでつくってほしいという要望をさせてもらって、それで県も、国のほうからも助成をもらうということが決まって、鳥獣害防止施設、処理加工施設、捕獲技術向上施設ということで、この整備事業として、当時、たしか湯浅のほうにつくるという話になって、それがどうなったんか、本当によくわからん間に何か建てない、できないことに決まったと。
 そして、途中経過も本当にわからんままに──私も一生懸命、国の予算をつけてもらうことについて国へ通って、県の担当の幹部からは、そんな射撃場とか関連施設のというても予算がついたことは絶対にないと、絶対につけへんとまで言われて、だけど、一生懸命通って、本当に全国で初めて予算が3億何ぼつきましたということになって。それが何か余りにも簡単につぶれたんで、知らん間にできないことになりましたということで、私は本当に残念やし、この議会ででも今までも何とか建つように、できるようにお願いできないんですかということも話してもらったんですけど。
 まず、本当にこの経過についてね。私は、現在、日本クレー射撃協会の会長は麻生会長ですけど、そのもとに資格審査委員長、それから倫理委員長、そういうのをやっておりまして、3年ほど前からちょっと何かクーデターみたいなことがあって、わしが会長や、あんたは副会長やと、集まった人がいろんな委任状とかもろたやつで過半数で決めたというて。だけど、それは裁判で、東京の地裁もそんな決め方だめやと、認めないと。そして今、高裁も、あんたらは自称役員と言うとるけど、それは認められないと。それで国体へも3年間、あんたらの役職としての肩書での参加、あるいはとにかく参加をあんたらがすることについては文科省は認めないということで、3回、国体もやってきたんですけどね。だけど、それでもまだ最高裁へ今また訴えて、それで近々またそれの最高裁の会議、対策──けど、多分それは認められることはないと思うんですよ。それで、現在は、次の役員が決まるまではまた麻生会長なり、私がそういう関係の委員長ということでまたやっていくんですけども。
 だけど、予算つけてもらったのもそういうこともあって、本当に和歌山へ、国体には使えたらええなと、あるいは和歌山は有害鳥獣、大変な状態らしいなと。そのとき、ちょうど私が予算つけてもらった年は、和歌山で2人、人間を撃ってしまったんですよ。それで1人は亡くなった。1人は脳の近くへ弾が残っておってとれないんですよ。それでもうずっと寝たままになってますけどね。だから、本当に何とか鉄砲持って研修せんとだめですよということで、そんなこともあって予算をつけてもらったと思うんですけど。
 近年における農作物を中心とする鳥獣による被害額は、年間約3億円で推移しており、農業者にとっては、生産額の損失に加え、営農意欲の低下や耕作放棄地の拡大に拍車をかけています。そのため、県では、本年度3億円を上回る予算措置を行い、確保を重点とした対策と防護さくの整備、さらに農村地域の環境整備を行っており、銃の年間捕獲頭数がイノシシ、シカ、猿を合わせると2万1000匹を超えていることは、一定の成果であると評価できます。
 一方、狩猟者の人口減少が続き、現在、猟銃免許取得者、いわゆるハンターは、平成18年度2438人でありましたが平成22年度には1887人で、ここ5年間、600人弱のハンターが減少しております。このことは、今後の有害鳥獣の捕獲による農作物の被害減少に少なからず影響を及ぼすことは明らかであります。
 また、平成21年12月に銃刀法が改正され、猟銃の更新または増銃時には教習射撃場において技能講習を受講し、証明書を提示する必要があります。その上、射撃場は、県内に民間施設が1カ所ありますが、大半は他府県に出向く必要があります。
 さらに、毎年のように狩猟事故が発生しており、昨年4月には猟犬による人身事故、その6月には捕獲の確認を怠ったことにより死亡事故が発生しています。安全な狩猟の確保には、県としても射撃技能研修施設が必要であると考えます。射撃技能研修施設の建設は、新たに銃所持者の確保や狩猟者の技能向上による安全狩猟の維持につながるものと考えております。
 県は、これまで湯浅町において捕獲向上施設として建設を進めてきましたが、せっかく予算化できた国庫の活用ができなかった、また地元市町村の応分の負担などの理由から建設計画が中止されたことについて、中止に至るまでの経過について農林水産部長にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 国の平成21年度第1次補正予算、鳥獣害防止総合支援事業の捕獲技術向上施設として事業費5億5000万円、うち国費3億200万円が平成21年8月4日に事業採択され、同年8月17日に交付申請を行い、8月20日に交付決定をいただきました。並行して、施設の配置や鉛対策を含めた基本構想の策定に着手し、12月1日に基本構想が完成いたしました。
 予算につきまして、平成21年9月議会で事業費5億5000万円の補正予算を承認いただきましたが、事業着手がずれ込む中で、平成22年2月議会で繰り越しの承認をお願いし、国にも繰り越しを認めていただきました。
 しかし、4月に入りまして、国庫の繰り越し条件である平成22年度内の射撃場として効用が発揮できる施設の完成が見込めないことから国庫の活用を断念せざるを得ない状況の中、5月17日に臨時農林水産委員会におきまして建設中止を報告させていただいたところでございます。
 その後、6月23日に事業の中止を国に報告いたしまして、6月29日に国から交付決定の取り消しを受けております。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 何か本当にこの射撃場のことについては、予算つけるまで私らも一生懸命、自民党の県会議員の皆さんにも応援いただいて、そしてまた超党派でいろんな御理解いただいて応援してもらって、予算がついていよいよつくれるとなったのが、予算ついてから後が全然情報が入ってこず、県のやってることが。
 確かに、私は猟友会の顧問もしてる、和歌山支部顧問。あるいはクレー射撃協会の会長、そしてまた同じように猟友会のそれぞれの支部の顧問をしていただいてる吉井議員、坂本議員、山田議員、皆猟友会の顧問をしていただいておって、この射撃場のこともみんな、どないなったかほんまにわからんと、できないことに決まりましただけ、何年もたってから。それ、僕、ちょっと余りにもひどいと思うんですよ。
 業者とばっかり話ししとって、そして本当に──私はこういう役職というか、日本クレー射撃協会の筆頭委員長みたいなことをやっとるからいろんな業者の人らも知ってるけど、私は業者と違いますよ。だけど、射撃場の建設の詳しい人なんかにも僕はやっぱり相談に行っとるんかなと思ったら、いっこも行ってない。ほいでまた何か声かかったらよろしく頼んどきますよ、あるいは入札になるかわからんので入札するときにはぜひ参加してくださいよと言うておったけど、知らん間に入札が「あ、入札もうしまして、ほとんど応募なかったんで、2社あったんで、そのうちの1個が何かあかんのでもう1社に決まりました」とか、わけのわからん話を後から聞いたんですよ。
 入札のことはどうやったんですか。入札のことについてちょっとお聞きしたい。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 入札の関係でございますが、平成21年8月10日に一般競争入札の公告を、和歌山県ホームページ、和歌山県情報館から入りますけれども、そこで入札の公告を行いました。先ほど議員の発言にございましたように、8月20日から24日の入札期限内に2社から応札がございまして、8月25日に開札し、26日に落札業者を決定いたしました。これにつきましては、ホームページのほうで公表させていただいております。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 インターネットでほんまに知らん間にやってみたいやけどね。入札、我々猟友会の顧問しておる議員らでもそうやし、もちろん、こんなん知らん間ですよ、ほんまに。せめて、「入札近いうちしますんで」ぐらい言うてくれたら、隠すことないん違うん。それ、わからんようにさっとやってまえみたいなことをだれか指示したんやったらあれやけど、本当に僕はガラス張りと違うというか、透明性に欠けるようなね。
 そして、金額も、調査設計の予算に5000万とか、それどうよと。山より大きな熊は出やんけど、イノシシか、ほんまに、そんな5000万ってそれどういうことよっていう話をして。それも、そやからいっこもわからんですよ、何ぼしたんやら、おたくら全然言うてこんのやからね。
 それで、結局すったもんだ、そして私らのとこへも、普通はいろんな認定の射撃場にしようと思って調査設計の受けたとこが相談に来るはずですよ。こういう規模のものをつくるんで日本クレー射撃協会の認定の射撃場としていかがでしょうかと。そんなん、ほんまに全然わからずよ。
 それで、結局できやんようになったけども、何百万というお金を払うたって、それはどういう根拠で幾ら払うたんですか。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 金額でございますけれども、消費税抜きで320万円、消費税込みで336万円の契約を行い、お支払いしております。
 それから、どういう根拠でということなんですけれども、基本設計構想を進めていく上で必要であるということで予算をお願いいたしまして、その予算の執行という形でお支払いさせていただきました。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
 この際、申し上げます。所定の時間まで残りわずかです。質問、答弁は簡潔にお願いいたします。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 時間がちょっと近づいてきたので、じゃ、あと一番ネックになったのが、私はこの前の農林水産委員会でも言ったんですけども、地元市町村応分の負担、それから県営射撃場でもあるのに地元応分の負担ということが3つの条件のうちに入っとるんですよ。県営の射撃場と思うんやけど、これちょっと1回短く、それなら県営の射撃場と違いますか。部長、答弁。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 前回の予算は国体会場ということで話がございましたけれども、国体会場選定の考え方からいたしますと、射撃場の建設は市町村営でと考えておりましたが、湯浅の場合は、応分の負担はするから県営で頼むとの町からの申し出がございまして、県営ということになっておりました。
○副議長(前芝雅嗣君) 井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕
○井出益弘君 農林水産委員会の委員ですので、次回また……。
 あと、知事に、応分の負担というのはやっぱり一回考えてほしいなと前も議場で言うて、「知事が1回言うたことは絶対もう曲げられやん」と委員会で部長が言うわけですよ。それで、知事にぜひお願いしてほしいと言うたら、「お願いもできやん」と言うんですよ。言うたことに対してそんな意見は言えやん、議場で言うたとおりと。
 それをちょっとやりたかったんやけど、もう時間がないんで、知事にできるだけそういうことをお願いしたいと思います。知事ができないと言うたらまたあれやけど、一度考えていただけたらということを、考えるのもできないということはないと思いますので、とりあえず検討を考えてほしいと思います。
 時間がちょっと、10秒ぐらいしかないけど、簡潔にお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁を求めるんですか。井出議員、答弁を求めるんですか。(「まあ、ちょっと」と呼ぶ者あり)知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、本件の問題については、井出議員の熱情と、それから政府を説いて補助金まで取っていただいたという御功績は大変尊敬をしております。私たちも、この問題については別にネガティブではありません。
 それで、その前提でたくさんの話があったもんですから、もともとは国体会場としては県外でと思ってたんですけれども、考え方を変えて、それで市町村もぜひやってくれと、うちでいろいろ出すからというお話がありましたし、それから、これはもうかるから、絶対に損はしないからというようなお話もありましたし、地元の説得は全部自分たちでやるからと、こういう話もありましたんで、そういう4つの条件を出して、それで意思決定をさせてもらったところなんです。
 その辺の話は、もちろんいろんな方がたくさん御要望とか話し合いに来られますからずっと申し上げてきたし、この議場でも、それじゃやりましょうということを決断したときに何度か議論をして、それで私がそういう条件のもとに申し上げますというふうに申し上げた次第でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 簡潔にお願いします。
○知事(仁坂吉伸君) ですから、市町村の協力は要らないと言うわけにもいかんし、それから、後々まで県民に多額の維持費を払わせるというのもいかんし、そういう点については条件として大事なことだというふうに考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 所定の時間が参りましたので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 きょうは私で終わりでございますんで、よろしくお願いします。
 ここで、私はツイッターになったつもりでちょっとしゃべらせてもうて、また向こうへかわってから質問させてもらいたいと思います。
 感想について、紀州人かたぎということについて、ちょっとツイッターになったつもりでございます。私は、ここで、和歌山県人よ、自信と誇りを持てという意味でおしゃべりさせていただきたいなというふうに思います。
 今売り出し中のウインズというグループ、御存じでしょうか。これは橋本市のメンバーでございますが、「和歌山LOVE SONG」というのが今、物すごく受けております。その前には「近畿のオマケ」という歌でよく知られておると思うんですが、今「和歌山LOVE SONG」という歌で非常にメジャーのほうからも誘いがかかってるようなグループでございます。
 その中で歌詞、シャイな和歌山人が東京へ行ったら、「どっから来られたんよ」というふうに聞いたら「大阪や」と言うらしいです。私も、実は東京へ行ったとき、そういうふうに言うてました。今は「和歌山から来ました」と堂々と言えるんですね。若い人が和歌山から行ったら、それよう言わんと。恥ずかしいんか何か知らんけども、へその緒を切ったところが恥ずかしいのでしょうか、「大阪から来た」というふうに言うらしいです。そういう意味で私は、紀州人よ、和歌山県人よ、自信と誇りを持とうやないかということで、ちょっとしゃべらせていただきたいと思います。
 ここで、ちょっといろんなランキングが──パソコンというのはおもしろいですね。入れたら何でも答えが返る。答えの返らんのがないんですね。その中で、私、10年ほど前もお話ししたと思うんですが、都道府県別の平均年収ランキングを見ました。これ19位です、和歌山県。まあ、余り収入もなく、余り貧しくもなくというふうなとこでしょうか。
 その中で、次に和歌山県人というのは郵便局がどだい好きらしいですね。郵便局の貯金ランキング、これ日本で1番なんです。収入は19位なのに郵便局の貯金は1番。212万円しとるんですね、1人当たり。書いてあんのやからしゃあないで。沖縄は62万円しかないんですね。
 それで、今度、銀行への貯蓄は16位。そやから、郵便局が好きなのか、田舎なんで銀行がないから郵便局へ仕方なしにしておるんか知りませんけども、いずれにしても、収入が少ないのにしっかりとため込んでると、貯蓄をしっかりとしているということですね。
 それでもう1つ、寄附金、1世帯当たりの年間の支出、これは島根県が1万4252円しとるんです。ところが、和歌山県は39位の1358円。渋いんよ。せやけども、ここで買い物ランキングというのがあるんです。和歌山県の人が外へ出て行ったら、隣のおばさん、おじさんの顔が浮かぶらしいです。そして、しっかりと土産を買うてくる。土産物屋では、和歌山県の人が来たでと言うたら、皆張り切るらしいですね。そういうランキングというのがあるんですね。これ、おもしろいなというふうに思いました。
 しかし、いずれにしても、自分たちは悪いことばっかりやない、おもしろいこと、楽しいことがようけあるなというふうに思いました。
 私、この間、2月11日にたまたま、和歌山ばっかり行っとったらあかんなと思って大阪へ出たんです。そしたら久しぶりに、皆さん「夕刊フジ」というのは和歌山では売ってないんですね。大阪へ出たら売ってます。大阪で一番売れとる新聞です、「夕刊フジ」。その中でおもしろいことが書いてありました。「橋下当確」、これ、こんなことを言うつもりはありません。
 この中で「インフルエンザ猛威 仮病使用回数全国ランキング」というのがあるんですね。これ、おもしろいです。仮病を使った回数の一番多いとこが福井県、6.99回仮病で会社を休んどる、学校休んどる。こういうランキングがあるんです。数字の見方というのはおもしろいなというふうに思いました。
 ここで和歌山県、何位かなと思ったら44位。大体、全国駅伝マラソンの順位ぐらいですね。44位、3.25回うそついとるんです。福井県の半分ぐらいです。
 ここで、この数字から読めるのはどんなことか。「うそをつかない実直さが如実にうかがえるのは、仮病ランキングでは44位の和歌山県」と、こない書いてくれてんねん。うれしい記事やったんで、きょうはわざわざ紀州人かたぎということで紹介させていただきました。
 いずれにしましても、和歌山県人、もっと自信と誇りを持とうよということで、まずこれを紹介させていただきました。
 それじゃ、席をかえます。
○副議長(前芝雅嗣君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 それじゃ、質問させていただきます。
 東日本大震災を振り返ってということで質問させていただきます。
 昨年3月11日、午後2時46分。日本国民にとっては忘れることのできない日となりました。東北三陸沖で発生したマグニチュード9の大地震は、大規模な津波を引き起こし、死者1万5848人、行方不明者3305人と甚大な被害をもたらしました。今、まだ1日に1体、2体の御遺体が発見されておるようでございまして、行方不明者から死者のほうへ数字が変わっておるようでございますが、私の調べた時点ではそういう数字でございました。
 震源地に近い東北地方の太平洋岸では、過去のどの津波をも上回る最大遡上高、大船渡市で40メートルを記録したということでございます。
 私がこのニュースを知ったのは、ちょうど去年、統一地方選挙の前でありますが、街頭演説をしておったときでございます。急いで事務所に帰り、テレビから流れるその映像を目の当たりにしたときに、全く信じられない思いでありました。早いもので、あれから1年を迎えようとしております。私どもの地元でも、3月11日、慰霊行事が計画されているようでございます。
 これに加えて発生したのが、東京電力福島第1原発事故でありました。東京電力は、津波に対して対策が必要と指摘されていたのにもかかわらず、その対策をしなかった企業の責任は極めて重大であります。
 2月27日には、民間の有識者による福島原発事故独立検証委員会・民間事故調が事故報告を公表いたしました。その骨子は、7項目ぐらいに絞られると思うんですが、こういうことを指摘されておりました。官邸による現場介入で有効だった事例は少なく、無用な困難やストレスにより、状況を悪化させるリスクを高めた。また、政府は、国民の不安にこたえる情報提供者としての信頼をかち取れなかった。菅前首相の個性が、政府全体の危機対応の観点からは混乱や摩擦のもととなった。
 このように、民間事故調の報告書から浮かび上がるのは、パニックと極度の情報錯綜に陥り、当時の菅首相や官邸中枢が現場に無用な混乱を招き、事故の危険性を高めた実態であります。やるべきでないことばかりを繰り返した菅氏の姿でございました。「産経新聞」は、「危機を高めた菅氏の人災」と糾弾しております。
 いずれにしましても、東日本大震災であれ福島原発事故であれ、正確な情報を速やかに国民に開示することこそが大切ではなかったのか、このように思う次第でございます。
 また、死亡されました中に消防団員が252名、行方不明者が2名というとうとい命を落とされたということも申し上げなければならないと思います。また、消防団員に大津波情報が伝わっていたかどうか。調査の結果では50%の団員しか知らなかったということでございまして、いかに情報を伝達することが大切かということがわかると思います。このような事態が続けば、国民は政府を信用しない不幸な結果となるのではと危惧いたします。
 小説家の司馬遼太郎は、小説「坂の上の雲」で、当時、明治35年でありますが、海軍大学校教官であった「天気晴朗ナレドモ浪高シ」で有名な秋山真之をして、こういうことを言わせておりますね。これは後で質問する知事のことではありませんので、誤解のないように先にお断りしておきますが、無能な指揮者は殺人者である、こういうふうに秋山真之は教官として生徒にしゃべっとるわけです。まあ、軍人としては当然のことでしょうか。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 私は、ここで何を申し上げたいかと言えば、冷静で的確な指示系統の確立であります。そういう意味で知事に御質問いたします。
 東日本大震災の教訓を紀伊半島大水害に生かし得たか。いろいろ頑張っていただいていることを御報告いただいておりますが、これについて、知事の答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東日本大震災は、私にとっても大変なショックでありました。東南海・南海地震対策として和歌山県は他県にも恥じないような対策をやってきたつもりであったんですけれども、これじゃいかんと、このままじゃいかんというふうに考えまして、そこで4月以降、地震、津波の防災・減災対策の総点検に取り組み、さまざまな新しい対策を打ち出し、24年度予算にもその一部が入れられているところでございます。
 一方、特に岩手県を中心に被災者支援を応援としてやってまいりました。その中で、余り言えないんですけども、大変もどかしい思いをしたこともたくさんありまして、これは我々の教訓として生かすべき問題だというふうに自分の頭の中でも整理をし、かつ、また県の組織としてもそういうふうに残してきたつもりでございます。幸い、それが大水害のときに随分生きたなというふうに思います。
 東日本大震災では、特に思いましたのは、市町村が被災しまして通常の機能が全く果たせなくなってるわけです。そのときに、県庁は割合被災が少なくて機能が生きていたんですけれども、通常のときのように報告を求めたり、あるいは指令をしたりというのがどうも、そのときの状況で、これではいかんので、自分で手ごまを投入せないかんというのが私にとっての最大の教訓でありました。
 紀伊半島大水害のときは、避難所や避難のことが心配でありましたので、すぐに県職員を派遣いたしまして情報収集や避難所支援等を行いました。市町村は、津波のときほどではありませんが、被災者が物すごい数でございますので、どうしても混乱します。そういうときに、先ほど言いましたように、報告を求めたり、指示とかあるいは指導するということはもうやってもしようがないんで、県としてみずから率先して行動することが大災害の初動期に非常に重要だというふうに考えた次第です。
 また、同じように、被害認定とか、あるいは瓦れき処理とか流木の処理とか、これも県の部隊を直接投入して行いました。
 また、応急復旧を一々国に了解をとったり、あるいは自己負担はいかがかとか、そういうような細かいことを言っとるとなかなか進みません。したがって、早くやってしまおうと思いまして突っ走りました。これは、契約は随契でいいからすぐに地元の産業界を総動員してやれという話をいたしまして、皆さん、それに和していただいて、大変御立派な活動をしていただいたと考えております。
 また、災害ボランティアの受け入れについては、被災地の受け入れ態勢が整うまで受け入れをせず待ってほしいというふうに被災地は言うんであります。ボランティア精神にあふれた皆さんは、こういう「受け入れ態勢あるいは宿泊とかそういうお世話は要らん」と、「自分でやるから、とにかく働かせてくれ」という方が圧倒的に多いんでございます。
 紀伊半島の大水害の場合は、同じような経験をしましたが、ちょっと強引に、市町村でとにかくボランティアセンターをそれぞれ立ち上げてくれという話をいたしまして、それで割合ボランティアも早く入れたと思います。
 さらに、災害義援金が県にはどんどんたまるんですけれども、被災者に届かないというようなことがありました。これも教訓でございますので、義援金を県のほうで長くお預かりすることなくどんどん配ってしまおうということで、一時は県の、実は実際に金庫にないものまで決めてしまって、そのうちたまるからということで、災害義援金配分委員会にどんどんと追加配分をお願いして、それでどんどんお届けいたしました。
 さらに、さまざまな関係機関が作業していただきますけれども、それぞればらばらになるということが混乱の場合にありますので、多いときは1日2回、災害対策本部に集まってもらいまして、それで調整をしながらやりました。そのときに、私の部下ではないような人に対してまで大変きつい言葉でお願いをしたこともありました。しかし、皆さんよく理解していただいて、きちんとやっていただいたと思います。
 ただ、東日本大震災は総点検をやりましたが、我々が被った被害の紀伊半島大水害については、やっぱりその中で我々がやり切れないところもたくさんございました。備えがいまいちであったところもあったので、それのアクションプログラムをつくりまして、それで24年度予算に両方を兼ねていろんな政策をお願いしているところでございます。
 我々が備えなければならない東海・東南海・南海地震は、これはもう今回の水害以上に恐ろしいもんだと考えております。また、風水害はいつ起こるとも限りません。したがって、県民の命を守る決意で、今回の事件の教訓も含めてさらに充実した対策を用意しとかないかんと、そう思ってる次第でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 知事の指導のもとに素早く対応していただいたことを心から感謝申し上げたいと思います。
 義援金のお話が出ましたのでちょっと申し上げておきますが、一番初め、義援金の締切日は去年の12月8日でした。ところが、和歌山県人を中心にして、ほかの義援金が届くはずのものはもっと後だというふうに思いまして、私も12月25日に、義援金を集めるべくコンサートをいたしました。
 ところが、もうそのときには義援金を持っていくところがなくなるわけですね、12月8日が締切だと言われますと。それで担当のほうへ申し入れましたら12月末まで義援金を受け付けますと、こういうことでありましたが、また3月31日まで延ばされたと。だれがどういうふうにしてるか、僕は文句も言いませんが、こういう1つをとらまえても、どなたの権限でそういう日を変えていってるというのがよくわかりませんが、そういうやっぱり命令、指示系統がはっきりしてなかったんじゃないかなと、こういうふうに私は思います。
 これについてはお答えは結構でございますが、続いて、老人福祉について質問させていただきます。
 今、国が実施している老人福祉について、少し述べたいと思います。福祉保健部長にお願い申し上げます。
 人が生まれ老いていく、これは、だれもが避けることのできない生きとし生けるものの摂理であります。みんな平等ということから考えます。
 日本国憲法第3章「国民の権利及び義務」、この中で第14条に有名なくだりがあります。「すべて国民は、法の下に平等にあつて」云々というくだりであります。また、老人福祉法(法律第133号)第1章総則第1条に「この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。」とあります。
 何人も平等であらねばならないと思うのですが、年老いてからは運任せのようなところがあります。いかにも納得いかないところであります。
 例えば、在宅福祉、施設福祉の各施策を通じ、地方自治体の財政的な理由により、すべて国民は法のもとで平等でなくなっております。原因を考えますと、1つには、権限移譲により市町村長に決裁権が移り、首長が介護保険料アップにつながる住民の非難を嫌がっている、そういう節がございます。
 また、制度自体も複雑で、すっきりとしたものにまとめることができないものかとも思うわけでございます。例えば、在宅福祉(ホームヘルプ、ショートステイ、グループホーム)、施設福祉(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム)、介護老人保健施設、軽費老人ホームA、B、C型、老人介護支援センター、老人福祉センター、高齢者向けの生活施設有料老人ホーム等がございます。また、国交省が所管する高齢者専用賃貸住宅──高齢賃というものです──また高齢者向け優良賃貸住宅──高優賃というものです──適合高齢者専用賃貸住宅の3つがあったんですが、最近になってこの3つを取りまとめてサービス付き高齢者向け住宅となっているようでございます。それぞれ各施設には処遇と料金が異なるなど複雑で、希望しても待機者が多く、なかなか入所できないのが実情であります。だれもがひとしく介護を受けられるようにすべきであると思います。
 また、在宅介護が難しいとされているのは、老老介護であること、また、子供が親を介護するときは勤めを犠牲にしなければならないこと、在宅介護の難しさがこの辺にあろうかと思うのです。
 こういう例もございます。たとえ親子関係であっても一定の条件──一定の条件とは、子供さんが例えばホームヘルパー2級とかそういう資格を持っている方で市町村が認めた場合、一定の条件を満たせば賃金が支払われている事実もございます。
 ここで、まず複雑怪奇な施設名称、また、それらを簡素なシステム化にできないものかということを福祉保健部長にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 議員御指摘のとおり、老人福祉や介護保険の制度はさまざまなサービスから成り、頻繁に制度が改正されるため、複雑で、高齢者が適切なサービスを選びにくくなっている一面もございます。これは、措置制度から介護保険制度を導入する中で、うまく整理できないまま新しいサービス等を積み上げたためと考えられます。
 本年4月から新しい介護保険制度が始まりますが、利用する高齢者を初め、多くの人が納得できる制度の運用が大切であると考えております。県では、利用者が介護サービスを適切かつ円滑に利用できるよう、市町村や地域包括支援センター、介護支援専門員等の福祉関係者と連携し、制度をわかりやすく伝えることやサービスの導入促進を支援してまいりたいというふうに考えてございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 なかなか私たち勉強している者でもわかりにくい施設名で、少し違うだけで全然違うと、こういう難しさがあります。ですから、一般利用される方は本当に難しい選択をしなければならないということで、国に対して、簡素なシステム化について申し上げていただきたいと思います。
 続いて、親子関係であっても介護料の支払いをということで質問いたします。
 先ほど申し上げましたように、一定の条件を満たせば賃金が支払われているケースがあるわけです。したがって、私はなぜこれを申し上げるかというと、施設へ入所すると、例えば老人ホーム、老健、それから特養、この2つについては利用されてる1人当たり、今、少し事務費等低くなっておりますから大体30万円と聞いております。お1人が30万円、公費から支払われるわけでございます。そういうことでございます。ですから、親子関係であっても介護料を支払う在宅介護を今、国は奨励しておるわけです。その奨励してるところへ幾ばくかの補助金なり介護手当を出すことによって、30万円で利用する方が抑えられていくんではないかと、このように発想するわけですね。
 そういう意味で、親子関係であっても介護料の支払いを国へ、また各自治体にそのことを指導していく、また国へそういう予算づけをするように強く申し入れていただきたいと思うんですが、福祉保健部長はいかがお考えですか。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 家族介護者への現金給付につきましては、介護保険制度導入に際しいろいろと議論がなされ、高齢者や家族の選択権の尊重、介護のための離職者の収入の補てんなどの観点から賛成する意見がある一方で、現金の給付が必ずしも適切な介護に結びつかず介護の質が確保できない、特に女性が家族介護に拘束される、現金支給によりかえって高齢者の自立を阻害するなどの反対意見もありました。
 その結果、当時の政府としては、限られた財源の中で介護サービス基盤の整備・充実を優先し、家族への現金給付は見送られた経緯があると承知しております。
 一方で、離島、過疎地など基盤整備が難しいところでは、一定の条件のもとで同居家族による訪問介護が認められるとともに、市町村では、家族介護慰労金や在宅手当などにより、家族介護者を支援する事業も実施しております。
 介護保険制度導入から10年以上が経過した今日、ある程度の介護サービス基盤の整備が進んできたことを踏まえ、制度全体のあり方を考える中で、議員御指摘の家族に対する介護料の支給の是非についても研究してまいりたいと考えてございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 ちょっと申し上げておきたいと思うんですが、今、部長は高齢者の自立を阻害するというふうな発言がありましたが、介護を必要とする人は、もう自立というのは余りできないんですね。そういう意味で介護をしておるわけですから。
 実は、ドイツでこういうシステムがあるんです。子供が親の介護をする、これは、昔の日本では当たり前のことでありました。3代の世代が一緒に同居して暮らしていた時代も長くありました。また、信仰する仏教、儒教の教えの中で、子どもは親を大事にせえと、せなあかんのやという教えがずっと日本の人たちのDNAとして長くため込まれていた、それがだんだんなくなってきた、そういう意味で、やっぱりこの辺で割り切って考えていかなければならないときが来てるんじゃないかと、こういうふうに思います。
 続いて、サロンについてお伺いいたします。
 通所サロンと言われる地域の人たちが地域の老人のお世話をする組織がふえております。10年前に私が質問させていただいたときには、和歌山県下で20ほどのサロンがあるというふうに伺いました。橋本でも1つのサロンがスタートしたときでありました。今、承りますと500にも上るということですね。
 各サロンによってメニューも異なりますし、それぞれの工夫をされて頑張ってくれています。その努力が老人の介護予防につながっているんです。認知症の予防にもつながっているんです。地方自治体の首長が恐れる介護保険料値上げを抑制するのにも貢献してると思います。
 今、平均して和歌山県下の介護保険料は5000円台に乗っていると思います。スタートしたときは3000円台でした。ところが、5000円台に乗っている。これが6000円、7000円となると首長への風当たりが非常に強くなるということで、介護保険料のアップを首長は極力避けたいという思いの中で、老人ホームとかそういう施設、福祉をしたがらなくなってきております。
 そういう中で、私の調べでございますが、私の地元の橋本市内で、ある老人ホームでは200人待ち、150人待ち、少ないとこで150人待ちですよ。私のほうでは4つの老人ホームがございますが、それを足すと600人ほど、待機者が。老人の待機者ということは、全員が入れるか、施設を利用できるかと。そうじゃないんですね。待機してる間に亡くなられる方も大勢おられます。そういう意味で、私は、サロンをもっともっとふやして、そうして保険料の値上げを抑制すると、こういうことに結びつくものであるというふうに思うだけに、サロンのふやすことについてしっかりと県は各自治体を指導していってもらいたい、また、県費の投入もそこであってもしかるべきだというふうに思っております。
 また、サロンだけではなく、老人スポーツの振興も大いに貢献していると思います。
 元気で健康な老人の多い町は、おのずから介護保険料の使用が減ってくるというのは当たり前でございまして、いつだったか、テレビを見ておりますと、どっかの自治体で、非常に介護保険料の使用料が少ないところがございました。私は、これを後から調べて勉強に行きたいと思っておるんですが、そういう意味で、介護予防の見地からサロン数をふやす努力と老人スポーツの振興に対する助成、これをひとつお願いしたいと思うのでございます。
 まず、県下のサロンの実態について、福祉保健部長の御意見をお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 県内のサロンの実態についてでございますが、地域住民が中心となり、高齢者が自宅から歩いていける場所に気楽に集い、介護予防やレクリエーションなどさまざまな活動を通じて生きがいや仲間づくりの輪を広げるサロン活動が県内各地で行われてございます。
 先ほども議員の御質問にもございましたが、現在、27市町村で約500の高齢者を対象としたサロン活動が行われている状況でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 最後に、サロン、また老人スポーツへの助成金、これをふやして介護予防の一翼を担ってもらう、こういうことの発想で助成金の増をしていただきたい。これについて、福祉保健部長のお考えをお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) サロン活動や老人スポーツの振興につきましては、議員御指摘のとおり、元気で健康な高齢者が要介護状態にならないようにする介護予防の観点から重要であると認識をしております。
 これまで、県においては、介護予防に資するサロン活動に取り組んでいる市町村に対して支援を行ってきており、平成23年度からは、国の基金を活用した地域支え合い体制づくり事業により、サロン活動の立ち上げ経費についても支援をしているところです。
 また、老人スポーツの振興につきましては、高齢者がスポーツに楽しむ機会を持っていただくために、県社会福祉協議会が実施するグラウンドゴルフ、ソフトテニス、卓球などのスポーツ交流大会の開催に支援をしているところであり、スポーツ活動を通じて元気な高齢者をふやし、介護予防に努めているところでございます。
 今後も、高齢者ができる限り介護を必要としないで地域で暮らし続けることができるように、市町村と連携して地域での介護予防活動の推進をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕
○向井嘉久藏君 最後に、要望を申し上げておきます。
 介護予防の見地から大会への助成等々をしていただいておるという御答弁をいただきましたが、常日ごろからグラウンドへ出てゲートボールなりグラウンドゴルフなり、そういうことをすることが介護予防につながっていくということでございますんで、大会の助成というだけじゃなく、そういう日ごろの活動に対しても助成をしていただくようにお願いしておきます。
 それから、最後でございますが、要望を申し上げます。
 募金、寄附金、それらについて、国税局に関係するわけでございますが、少し寄附金について、私どもの政党への寄附金も多少認められたようでございますが、増額されたようでございます。この間、確定申告へ行ってきたらちょっと変わりましたでというふうに教えていただいたんですが、アメリカでは全額、税から控除されるわけですね。収入から控除される、寄附した分をそのまま全額控除するというシステムらしいです。
 したがって、1つの福祉団体が募金をするために集会すると、皆さんが小切手を持ってやってくるらしいですね。そういう皆さんの浄財でもって福祉を運営しているわけです。日本はそれをやってないわけですね。おばあちゃんの遺言で福祉施設へ例えば100万寄附したとしても、100万が100万とも控除にはならないんですね。決まっておるんですね。あれ、たしか20万ぐらいだと思います。
 そういうことで、国税局へやはりそういう寄附金、募金等々は全額控除するように、これから自治体は働きかけていく必要があると思います。そうすることによって国の出費が減るわけでございますから、そういう意味で働きかけていただきたいということをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時47分散会

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