平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、3項目にわたって分割方式で質問させていただきます。
 項目の1つ目は、防災・安全のまちづくりについてです。
 昨年の3月11日の東日本大震災と原発事故から間もなく1年を迎えようとしています。3月2日の警察庁まとめでは、亡くなられた方1万5854人、いまだ行方不明の方が3276人もいらっしゃいます。避難生活を強いられている方は34万3935人、これは2月23日の復興庁の発表です。
 紀伊半島を襲った豪雨災害からは半年になります。突然生きることを絶たれた命、いまだ見つからない、見つけることのできない命、その命と向き合いながら、言葉に出せない思いを抱え、何とか毎日を過ごされている方も多くいらっしゃいます。すべての被災された方々が早く平穏な暮らしに戻れるよう、私も一層力を尽くしていきたいと思います。
 そして、同時に、予想される東海・東南海・南海地震等の大規模地震への備えのために、防災・安全のまちづくりをどう進めるのかということが差し迫った課題になっています。
 防災・安全のまちづくりについての基本的な考え方は、災害の発生を最小限に抑え、被害の拡大を防止することです。防災対策の基本は、予防、応急、復旧、復興という4つの局面で考えることが必要です。
 1995年の阪神・淡路大震災では、密集市街地の老朽木造住宅の倒壊による圧死で多くの高齢者が犠牲になりましたが、危険な住宅を放置してきた結果が悲劇を生み出したと考えます。
 そこで、まず、住宅の耐震改修の現状についてお尋ねいたします。
 和歌山県耐震化促進計画によると、平成17年の住宅耐震化率は67%、目標は平成27年には85%の耐震化率を目指すとしています。現在の住宅耐震改修の現状はいかがでしょうか。
 2点目は、目標に向けて木造住宅耐震化の促進をどのように考えておられますか。低所得の方への対応も含めて、県土整備部長にお尋ねいたします。また、生活保護世帯への対応については福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、3点目は、保育所の耐震化について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 2010年4月の厚労省調査で、全国の保育所や特別養護老人ホームなどの社会福祉施設の耐震化率は81.3%であることがわかりました。厚労省によると、すべての社会福祉施設を対象にした調査は初めてということです。全国約14万6000施設のうち約11万8000施設で耐震基準を満たしていたが、保育所の耐震化率は67.5%です。社会福祉施設全体の平均を大きく下回っています。耐震化率の低さが目立ちます。これでは、子供を大切にする国とは言えないのではないでしょうか。
 和歌山県における保育所の耐震化の現状と促進をどのように考え、また、子供の安全確保の取り組みをどのように考えておられますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、4点目について、水門、樋門、陸閘の問題です。
 東日本大震災で陸前高田市の奇跡の一本松、7万本の松の中で1本だけ残った松の木の横に、あいたままの大きな水門があります。消防団員が閉めに行ったが、地盤が沈下してうまく閉まらず、手間取っている間に津波が来て消防団員が犠牲になりました。
 このようなことがあって改めて、私自身、水門、樋門、陸閘の管理に当たってくださっている方々のことを思いました。県内でも、県や市町村から水門の管理を頼まれている方は、絶えず気象情報が気になり、テレビやラジオから目や耳が離せない、台風情報などあると、しょっちゅう川へ行き、水位の状態を見に行くことになるなど、たくさんの御苦労をお聞きしました。
 そこで、県下の水門、樋門、陸閘の現状と管理の実態、管理者の安全確保はどのようになっていますか、県土整備部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 初めに、耐震改修の現状についてでございます。
 本県では、平成16年度に耐震診断、耐震改修の補助制度を創設し、市町村とともに耐震改修の促進に取り組んでおります。平成22年度までに、8783戸の耐震診断、465戸の耐震改修の補助を行ってきました。今年度の耐震診断及び耐震改修の補助戸数は、年度途中ではありますが、昨年度を既に上回っております。東日本大震災で耐震改修への関心が高まっていると考えておりますので、一層の耐震化の促進に努めてまいります。
 なお、本県の住宅総戸数のうち耐震性を満たす住宅の割合は、推計値ではありますが、平成20年で70%となっております。
 次に、木造住宅耐震化の促進についてお答えします。
 昭和56年5月以前に建築された木造住宅を対象とし、耐震診断、耐震設計、耐震改修に対する補助を行っております。これに加えて、耐震診断により倒壊の可能性があると判断された場合には、高齢者などの方を対象に専門家を無料で派遣する耐震改修サポート事業を実施しております。所得の低い方につきましては、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事も補助対象としています。
 また、来年度は市町村からの要望を踏まえ、補助戸数を増加させることを予定しております。今後も各地域での説明会での助成制度の周知を図ることにより、耐震化の促進に努めてまいります。
 最後に、水門、樋門、陸閘の管理についてでございます。
 現在、沿岸部には県管理の河川、港湾、漁港、海岸に水門・樋門約90基と陸閘約500基が設置されております。その管理や操作については、県の出先機関で実施しているものや地元の方々にお願いしているものがあり、関係の方々には御苦労をおかけしているところでございます。
 東日本大震災を踏まえ実施した防災・減災対策の総点検の結果、水門・樋門については、操作者が閉鎖作業完了後、津波到達時間に対して避難する時間が不足する箇所については、短期的な対応として、操作せずに逃げるとする旨の通知を発出したところであり、さらに中期的な対応として、順次、自動化あるいは遠隔操作化等を進めることとしております。
 また、陸閘については、階段やスロープにより代替が可能な施設等については、できる限り廃止を進めることとし、利用状況等から廃止できない施設については、操作者の安全を確保するための管理指針の策定等を進めることとしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 木造住宅耐震化を進めるに当たっての生活保護世帯への対応についてですが、生活保護制度では、現に居住する家屋の補修その他維持のために経費を要する場合には、補修費等住宅維持費を認定することとされています。この補修費等住宅維持費の基準額は年額で11万8000円以内、やむを得ない事情があると認められるときは、基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において必要な額を認定して差し支えないものと定められています。
 他方、社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸付制度において、住宅の増改築、補修等に必要な経費を福祉費として貸し付ける制度があり、県の耐震改修補助制度をあわせて活用すれば、耐震診断の評価評点を0.7以上とする避難重視型補強の改修工事は行えるものと考えてございます。
 次に、保育所の耐震化についてですが、平成22年4月時点での本県の保育所の耐震化率は68.2%でした。平成22年度以降も、安心こども基金を活用した施設整備等により着実に耐震化が進んでおります。議員御指摘のとおり、保育所の耐震化は緊急性の高い問題でありますので、市町村や民間法人等と十分協議しながら耐震整備の促進に取り組んでいるところであります。
 また、保育所の防災の取り組みにつきましては、保育所は避難に介助を要する乳幼児が多く通所していることから、災害発生時の室内の安全対策に加え、避難訓練を少なくとも月1回実施することの徹底を指導しているところであります。
 県といたしましては、保育所の施設整備や防災対策をより一層促進し、子供たちが安心して過ごすことのできる保育環境を整えてまいりたいと考えてございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁をしていただきました。
 耐震改修の現状についてということでは、周知徹底など、今努力されているということはよくわかります。(資料を示す)こういうパンフレットも新しく24年2月ということで更新もされている中で、細かく小さな集会にも出かけられて、ぜひ広げていきたいという、その意気込みも聞かせていただいてるんですが、耐震診断を平成22年度まで8783戸のうち465戸の耐震改修の補助ということで実績があるわけですが、目標に向かっては、なかなか、これからさらに強めていかなければいけないというふうに思います。
 そういった中で、私自身も建設関係の方にお聞きすると、やはり改修するには費用の問題が非常に大きいというお声も聞いているので、そういった点で今回質問をさせていただいたんですけど、この耐震改修の必要な人が県の助成制度を利用する場合に、これは一たんは全額を立てかえなければならないという制度です。これが収入の少ない人には大きな負担になってくるんではないかというふうに思いますので、せっかく県の助成制度があるわけですから、適用されるケースでは自己負担分だけを支払い、助成分を立てかえなくてもよいように、ぜひそういった使いやすい制度に考えていただきたいなと、これは強く要望したいなと思います。
 次に、生活保護世帯の場合の問題なんですが、先ほど社会福祉協議会の生活福祉資金の融資を活用するということでおっしゃってくださいました。その生活福祉資金というのは、補修、改修工事にということで充てられるので、これが適用はなかなか難しいんじゃないかと思ってたんですが、県としてもそういったことも含めて活用できるようにしていきたいということでおっしゃってくれたので、そういったことも県土整備部と福祉保健部と一緒になって、いろんなケースにぜひ対応して促進をしていっていただきたいなというふうに思っています。
 もう1点は、県土整備部長に再度、生活保護の場合のいろんなことは先ほど御説明していただいてわかったんですが、所得の低い人への対応について、もう少し具体的に細かく教えていただきたいなと思いますので、答弁もう一度よろしくお願いします。
 保育所の耐震化問題については、やっぱり全体的に低いという中では、本当に早急に進めていくことと同時に、1つ1つの保育所の子供の命、安全を守っていくということで、やはり耐震補強とか改修の見通しがないところがないのか、そういったところへのやっぱり支援を、具体的に1つ1つの保育所に対しての支援を市町村と一緒になって進めていってほしいなと思いますので、よろしくお願いします。
 水門の改修についての問題ですけども、具体的にはこれから東海・東南海・南海地震に対しての見直しという中で進めていかれるかと思いますが、例えば磯ノ浦の海水浴場近くにある水門は、海に面した堤防から10数メートル川を上ったところにあります。川の堤防が低いために、地元の人たちは、津波が川を上ってきたら水門を閉めても海水が住宅地に流れ込むのではと心配されています。津波想定の見直しに伴い、このような水門については、自動化とともに堤防も含めた見直しをぜひしてほしいというふうに、これは要望しておきます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 低所得者に対する木造住宅耐震化の支援策についてお答えいたします。
 所得の低い方を対象として、倒壊しないとされる基準に至らないまでも、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事を補助対象としております。この場合には、倒壊しないとされる基準まで改修する工事よりも、工事費を低く抑えることが可能となります。これに加え、新しい金物などを利用した安価な工法を取り入れることにより工事費が90万円となり、国、県、市町村の補助金を除きますと、個人負担は20万円程度でおさまった事例もございます。
 また、耐震診断は無料で実施しており、設計費の補助を行うなど工事の前段階での助成も行い、全体の負担を抑えるように取り組んでおります。
 なお、高齢者などの方が対象となりますが、耐震改修サポート事業により専門家を無料で派遣し、工事費用を低く抑えるための相談や改修計画の提案を行っておりますので、御活用いただけたらと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この項目で最後に、すべての住民の皆さんの命を守るということで、耐震化の助成を現物給付にすることなどをぜひお考えいただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、2項目めに行かせていただきます。
 県民の暮らしと社会保障についてお尋ねいたします。
 野田政権は、社会保障・税の一体改革を平成24年2月17日に閣議決定しました。知事に、この社会保障・税の一体改革についてお尋ねいたします。
 社会保障改革と言いますが、高齢世代には年金支給額の引き下げ、介護保険の利用料の引き上げ、受診時の窓口定額負担の導入、70歳から74歳の窓口負担の2倍化などを押しつけようとしています。子育て世代には、子ども・子育て新システムによって市町村の保育実施義務をなくし、保育所探しまで自己責任化するものです。これでは、安心して子育てできません。
 消費税は2014年4月から8%に、2015年10月から10%に引き上げ、国民には13.5兆円もの増税になります。さきの社会保障改悪と合わせて20兆円ものすさまじい負担増になります。私はこんなことが強行されれば暮らしも経済も押しつぶされ、かえって税収が減ってしまい、財政もますます悪くなるばかりだと考えますが、知事の見解をお聞かせください。
 2点目は、安心できる介護保険制度について福祉保健部長にお尋ねします。
 介護保険料の負担軽減についての問題です。和歌山県第5期保険料の平均額の予測額は幾らでしょうか。
 昨年12月議会でもお聞きしましたが、今回の改定で全国的に保険料月額平均1000円の値上げが予想される、そのもとで、できるだけ低減を図るために県の財政安定化基金を取り崩し、県の返納分を保険料低減に充てるように求めました。今の時点で、この基金取り崩し額とその活用はどうなっていますか。
 介護保険料は、所得税、住民税、国保料(税)に比べて所得の少ない人ほど負担割合が高くなるという逆進性が強く、低所得者には非常に重い負担となっています。生活保護受給者は介護保険料分を生活保護費から支給されていることから見ても、年間収入80万円以下という生活保護基準以下で暮らす高齢者は、本来なら保険料を免除すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、このような方々への県独自の介護保険料減免制度の創設を考えられてはいかがですか。
 2点目は、介護職員の医療行為拡大の法制化についてです。
 厚生労働省は、2010年介護サービス施設・事業所調査結果を発表しました。全国の特養に入所する高齢者の要介護度を調べたところ、要介護4と5の方で67.5%に達し、2000年の調査開始以来、最高です。
 このような背景もある中で、たんの吸引という医療行為が介護職もできるようにするものです。私は、たん吸引などの医療行為は、本来、看護職が行う体制を確保することが望ましいと考えます。そのためには、介護報酬の充実も必要です。介護職の方が医療行為をするとなれば、きちんとした研修や万一のときの安全確保の体制が重要だと考えますが、福祉保健部長の見解を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、少子高齢化の進展や雇用形態が変化する中で、近い将来、我が国の社会保障制度がこのままでは維持していけなくなるのではないかという強い危機感を感じております。そういう意味で、この間の議会でも申し上げましたように、社会保障制度の機能を維持し、制度の持続可能性を確保するための改革が必要であり、そのために最後の財源である消費税を充てることは理解できると申し上げました。
 と同時に、この間も、これまた申し上げましたように、最後の財源である消費税を上げることで日本がずっと安泰になるということが国民に理解されないといけない。そのための改革は数多くあると思うので、その内容を明確に示さなければなかなか理解が得られないのではないかと思います。
 現在の閣議決定された社会保障・税一体改革大綱では、新しい年金制度の創設を初め、社会保障改革やその財源についての内容が、長い目で見たときの国家の安泰や社会保障制度の持続という点から本当に明確になっているのか、私はまだ確証に至っておりません。
 したがって、将来の見通しをしっかり立て、社会保障と税の一体改革の必要性をこの際、国民的に徹底的に議論し、その上で国民の理解を得つつ、これを進めていくことが大切であると考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 安心できる介護保険制度についての御質問にお答えいたします。
 第5期保険料基準額の平均は約5500円と見込まれていますが、この額は、現在各市町村が提案している介護保険条例の改正案に基づくものであるため、今後変動する可能性もございます。
 また、財政安定化基金における平成23年度末残高は29億1835万円で、このうち16億1928万円を平成24年度に取り崩し、取り崩し額の3分の1ずつを国、県、市町村に返還することとしております。
 なお、県分につきましては地域福祉等基金へ積み立てて、介護保険サービスの質の向上を図る事業などに役立てたいというふうに考えております。
 次に、第1号被保険者の保険料率は、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、所得段階別の定額保険料率が法令で定められておりますが、特別の必要がある場合は市町村が独自に定めることも可能ですが、議員御提案の第2段階の保険料を一律に免除することは困難であると考えております。
 また、県独自の介護保険料減免制度の創設につきましては、介護保険法で国、県、市町村などの負担割合が定められていることから、それ以上の県の負担は現状では困難であると考えております。
 なお、社会保障・税の一体改革では、国費を投入することにより、第1号保険料の低所得者軽減の強化が検討されているところであります。
 次に、介護職員の医療行為の法制化についてですが、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、平成24年度から一定の研修を受けた介護職員が、安全が確保された施設等において、たん吸引など定められた医療行為ができるようになります。利用者の方が必要なケアを安全に受けられるために、介護職員にたん吸引等を実施させる施設に対しては、医師、看護師等の関係者による連携体制整備など、施設内において一定の安全体制を確保するよう指導しているところです。
 また、これらの体制を整備している施設の介護職員を対象に、今年度からたん吸引等の研修を開始しているところであり、また、人員配置のあり方等につきましても、さまざまな介護現場の御意見等をお聞きしながら、利用者と介護職員の双方に安全なケアが実施できるように取り組みたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事と福祉保健部長から答弁をいただきました。
 2項目めについて、今、消費税増税については、暮らしの面からも中小企業の営業の面からも、10%にもなったのではとても立ち行かないという声が大きくなっています。消費税を増税すれば景気はより一層冷え込み、物は売れなくなり、経営を圧迫します。商店では消費税は売り値に転嫁できず、身銭を切って支払っている、10%になればとてもやっていけないという声が上がっています。しかも、先ほど言ったように税収はふえず、社会保障の財源も生まれてこないのではないでしょうか。
 知事は、今回の改革の内容や財源が明確でないという認識を示されましたが、その中で消費税増税だけが法提案されようとしています。県民をさらに苦しめる消費税増税を十分な議論なしに決めるなという声を上げていただきたいと思います。これについては知事はいかがでしょうか、ぜひ答弁をよろしくお願いしたいと思います。
 また、福祉保健部長には、地域福祉等基金に財源を積み増すということでおっしゃいましたが、この地域福祉等基金は保険料低減に使えないというものではないかどうか、もう一度確認をしておきたいと思います。介護保険サービスの質の向上を図る事業などに役立てるとおっしゃいましたので、そのこともあわせて再度確認だけさせてください。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私の考えは先ほど述べたとおりでございます。そういう観点からは、消費税を上げるなというのも一方的過ぎるし、逆に社会保障の改革をしなくてもいいというのも、これまたぐあい悪いということでございますので、先ほど申し上げましたような考え方になる次第でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 地域福祉等基金を活用しての減免制度についての再質問にお答えをいたします。
 介護保険法で法定の負担割合が、保険料では、65歳以上の第1号被保険者が20%、それから40歳から64歳までの第2号被保険者が30%、それから公費として国が25%で県12.5%、市町村12.5%と、議員も御承知のように、そういうふうに定められております。
 このため、65歳以上高齢者の第1号保険料の減免を実施する場合は、第1号保険料を財源とした、先ほど申しましたその20%の範囲内で、保険者であるそれぞれの市町村が対象範囲や減免の程度を検討して、条例等に規定して実施するべきものでございます。したがって、県の補助による全県的な一律の減免制度については、この減免の財源が基金であっても、一般財源であっても、県の法定負担割合を超えることとなるなど、制度の趣旨にそぐわないものであるため、実施は困難であるというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事に申し上げたのは、十分な議論なしに決めるなという声を上げていただきたいということをお願いしたので、そのことで本当にそういった議論をできるように積極的に訴えていただきたいなというふうに思っています。
 福祉保健部長に、地域福祉等基金へ積み足して、その活用は保険料低減なんかも含めてそのことをできないというわけではないというふうに、地域福祉基金の内容について尋ねて確認をしたいんですが、保険料軽減とかにも充てることはできないというものではないということですね。もうそれも含めてということで理解させていただくんですが。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 再度お答えいたします。
 地域福祉等基金の取り崩しにつきましては、高齢者のため、高齢者枠というのは中にあるんですが、それを使うに当たっては、高齢者のためであれば使えるということにはなってございますが、議員御質問の減免の制度につきましては、先ほど申しましたように、国とか県とか市町村の負担割合というのは決まってますので、それを一律減免するに当たって基金を使うなり一般財源を使うということは、それは負担割合がふえてしまいますので、そういう面で一律に減免するのは困難だというふうにお答えをいたしました。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今度の保険料引き上げの問題についても、ぜひ県として最大限いろんな方法で市町村への支援も含めて考えていっていただきたいなと思います。
 項目の3つ目に行かせていただきます。
 産廃行政について環境生活部長にお聞きいたします。
 産廃に関しては、県は法令にのっとって適正かどうかのチェックをするという責任と役割があります。昨年の6月議会でも産廃問題について質問いたしましたが、今回も3点についてお聞きいたします。
 1点目は、最終処分場の埋め立て終了と処分場の廃止についてお尋ねいたします。
 これまで県が許可してきた安定型最終処分場は、延べ12事業者です。そのうち、取り消しが1、埋め立て中が3、埋め立て終了が4、処分場の廃止が4事業と聞いています。
 そこで、お尋ねいたします。
 処分場としての埋め立てが終わってから12年たって廃止されたところや、2004年に埋め立てが終了しながらいまだに廃止されていないところがあります。埋め立て終了から廃止にはどういう条件が必要ですか。また、埋め立てが終了してから廃止までの間で、水質基準を上回った事例はありますか。あればどのように対応されたのか。以上、お答えください。
 2点目は、和歌山市の山口地域の処分場計画についてお聞きいたします。
 住民の皆さんから9万筆の反対署名が和歌山市に届けられていると聞きました。県にも要望書が提出されたとお聞きしていますが、たくさんの住民から反対の声が上がっていることをどのように認識し、対応を考えていますか。
 最後に3点目は、紀ノ川産業についてお尋ねいたします。
 昨年6月議会でも取り上げましたが、今回の行政処分を出した理由と内容はどんなものか、お聞きいたします。
 いずれも環境生活部長、よろしくお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 最終処分場の設置者は、埋め立て終了後の水質及び悪臭等について、環境省令で定める技術上の基準に基づきまして適正に維持管理することが義務づけられています。最終処分場の廃止に当たっては、県に対し申請を行うことにより、環境省令で定める技術上の基準に適合していることについての確認を受ける必要があります。県は、水質の監視データ、そして現地における悪臭等の状況を十分に確認するなど、廃止の適否について慎重に審査しているところです。
 次に、未廃止の処分場について水質が基準を上回った事例はありますが、当事例につきましては、水質の継続監視を行った結果、基準を超えたのは一時的なものであり、その後、水質は基準内で安定しております。
 次に、和歌山市に計画されている最終処分場の設置計画については、和歌山市が許可権限者となっており、その審査に当たっては、計画が環境省令に定める技術上の基準に適合しているか、生活環境保全上問題がないかなど十分に検討を行い、許可する場合はその検討結果を住民に十分説明し、納得してもらう必要があると認識しております。
 今後は、和歌山市から設置許可の審査に当たり必要な助言を求められた場合は、適切な技術的助言を行い、適切な審査が行われるよう協力してまいります。
 次は、紀ノ川産業に関してですが、紀ノ川産業に対しては、最終処分場について必要な改善を命じるとともに、京奈和自動車道道路敷地への不法投棄を行ったことにより、許可を取り消したところであります。今回の行政処分は、生活環境保全上の支障が認められる不法投棄した廃棄物の撤去や、最終処分場における廃棄物の飛散流出防止及び水質改善などの措置を命じたものです。
 今後とも、当最終処分場に係る生活環境保全上の支障について改善が図られるよう取り組んでまいります。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 安定型最終処分場の廃止についてお聞きしました。埋め立て終了から廃止に至るまで、水質、悪臭等について廃止基準を満たすまでには相当長期間かかっている、なかなか廃止できないというのは、何らかの環境汚染が続いていると推測いたします。
 長期間かかることが問題で、早く廃止しろと言っているわけではありません。水質や悪臭などが基準に適合するところまで十分見きわめてから廃止されるべきですが、安定型最終処分場というのは素掘りですから、埋め立て終了後も環境に影響がなくなることを確認するまで相当な時間がかかる、そういうものだということで、だからこそ許可に際しては慎重な対応が必要だということを指摘しておきたいと思います。
 また、廃止までの間、水質や悪臭など、県民がデータの公表を求めた場合は、きちんと公開するよう求めます。紀ノ川産業への措置命令について、期限は本年4月20日となっていますが、最終処分場に放置された産業廃棄物の飛散及び悪臭や汚水について、住民の環境を守る立場から強力な姿勢で臨んでいただきたいと考えます。この点で決意のほどをお示しください。環境生活部長にもう一度答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 先ほども申し上げましたけれども、当最終処分場に係る生活環境保全上の支障につきましては、今後ともしっかりと改善をしてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をしておきたいんですが、法令では廃止後の水質検査など義務づけは特にないということで、県としては特に廃止後は水質検査などはしていないと言われていますが、産廃行政に対して住民の不安が続く中で、信頼が持てるようにぜひよろしくお願いしたいと思います。
 このことを要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時34分散会

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