平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第74号から議案第91号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
38番奥村規子君。
〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。4日目で最初の質問をさせていただきます。
議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問に入らせていただきます。
今回は、4点にわたって質問をいたします。
まず最初に、産業廃棄物最終処分場の問題についてお伺いをいたします。
最終処分場には、管理型、遮断型、安定型の3つの種類がございます。安定型最終処分場は、そのまま埋立処分しても環境保全上支障のないとされる廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス・陶磁器くず、瓦れきを埋立処分するもので、遮水シートを設ける必要がなく、素掘りの穴に埋め立てるものです。廃プラスチック類や金属くず、建材廃材などに含まれている有害物質や安定5品目に紛れて持ち込まれる有害物質が雨水や地下水中に溶け込み、地下水汚染や土壌汚染などの環境汚染をもたらすおそれがあります。
有害物質等を処分する管理型処分場については、遮水シート等の破損や汚水施設の不備などから地下水汚染をもたらすおそれがあります。また、有害物質を外部から完全に遮断するとされる遮断型処分場も、地盤が軟弱な土地や活断層があるような場所に設置された施設の場合には、周囲の囲みや堰堤、コンクリート層などの破損等により有害な廃棄物が地下や公共用水域に流出するおそれがあります。
このように、最終処分場はいずれも決して安全な施設とは言えないのが実情です。全国各地で産廃の施設が周辺の環境を汚染している問題や処理施設建設の是非をめぐって業者、行政、住民の間で紛争が絶えません。
県は、これまで、12カ所の安定型処分場を許可してきました。そのうち10カ所は紀の川市につくられています。さきに述べたように、さまざまな環境汚染を引き起こさないため、許可する際の審査、適正処理への監視での県の責任が厳しく問われるところです。この点で、今回、不法投棄によって処分場設置許可を取り消した紀ノ川産業の問題について、それがどうだったのか、お聞きしたいと思います。
現状は、皆さんのお手元に配付させていただいています。それは、2枚目には地図をつけさせていただいていますが、粉河寺の北のほうに位置をしています。少し小高いところから撮らせていただいています。写真のように野ざらしの状態で、周辺には悪臭が感じられました。いっときは非常に悪臭が強かった、きつかったということもお聞きいたしております。そういった現状を踏まえて、知事にお尋ねをいたします。
産業廃棄物処理についての県の基本的な考え方、具体的には第2次和歌山県廃棄物処理計画の成果と問題点についてどのように認識されているのか、今つくられつつある平成23年度からの計画について、それらを踏まえてどのように生かしていくのか、基本的見解をお聞きいたします。
さらに、産廃処分場計画について周辺の住民の同意をどう考えるか。御坊市からは、また和歌山市の住民の方から、紀ノ川産業のことでは、また周辺の住民の方から不安の声を聞いていますが、知事としてはどのように受けとめておられるのか、お尋ねいたします。
次に、3点にわたって環境生活部長にお聞きいたします。
写真の、取り消し処分を受けた紀ノ川産業の処分場、野ざらしの状態で、皆さんにごらんいただいている写真のように大変。和歌山県は観光を振興していく、そういった中で農免道路にすぐ間際に接したところとなっています。そういった中で、今回、紀ノ川産業の取り消し処分に至った問題と県の監督責任をどのようにとらえているか、申請許認可での問題、許可品目以外の混入物防止策、維持管理の実施状況などどうであったか、お答えしていただきたいと思います。
次に、紀ノ川産業に対する今後の対応についてお聞きいたします。県が業者などに対し告訴した裁判の現状はどうなっているのでしょうか。埋立地の処理など、どのように考えているのか、また、取り消し処分の2月以来、廃プラなど野ざらし状態の対策に県はどのようにめどを立てられるのか、お聞きいたします。
3つ目は、和歌山市に県内最大の最終処分場、紀の川以北の滝畑、上黒谷地域に建設計画の報道がありました。そのような計画はありますか。住民不安にこたえる点からどのように把握し、和歌山市との連携をどのように進められるのか。
以上、3点にわたって環境生活部長、お答えいただきたいと思います。
2点目は、介護保険法改定についてお尋ねをいたします。
先日、極めて短時間の国会審議で介護保険法改定案が成立いたしました。法改定は、要支援と認定された軽度者への介護サービス切り下げを打ち出しています。介護予防・日常生活支援総合事業を創設し、市町村の判断で要支援者のうちの一定部分をこの総合事業に移すことを可能にしています。
総合事業にはサービスの質を担保する基準がなく、専門職以外に担わせて費用を低く抑えられる仕組みになっているのではないでしょうか。国は、将来、軽度な方を介護保険から完全に外す方向を検討しているように思います。総合事業はその第一歩と考えられます。
また、介護保険を重度者向けに重点化することで、医療から介護へ、入院から在宅への流れを進めるものです。長期療養患者が入る介護療養病床の廃止については、廃止期限を2017年度末まで6年延長するものの、病床を維持するのではなく、報酬を減らして廃止を進める方向です。
在宅での重度者の受け皿として法案に盛り込まれたのが、巡回型訪問介護・看護です。これを高齢者住宅とセットで整備すれば、特養ホームの待機者解消も図れるとしています。しかし、今でも介護、看護の人材不足で現場は困っています。新設される巡回型訪問介護・看護が成り立つか、疑問に思うところです。
特別養護老人ホームには、低所得者向けに食費と居住費の軽減がありますが、高齢者住宅には家賃補助もなく、低所得者は入れません。これでは、病院から押し出されて特養待ちで入れない高齢者の在宅生活の安心は保障されません。私は、法案は国にとって安上がりな医療・介護の提供体制をつくるものとなっていると思います。
そこで、お聞きをいたします。
県として、来年からの介護保険法改定をどのように受けとめておられるのか、また、介護予防・日常生活支援総合事業の創設による利用者や事業者への影響をどのように考えているのか、また、介護・看護の人材の不足している中で人材確保の取り組みについて、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
3点目は、高過ぎる国保料(税)の滞納者への対応の問題についてです。国民健康保険料(税)が高過ぎる問題です。
保険料(税)の滞納世帯は、全国で436万人、県内では2010年6月1日時点で3万261世帯、加入世帯の16.8%となっています。国民健康保険では、失業者、年金生活者など低所得者の加入者の割合がふえてきています。それらの人を含めて国民全員に法的に医療を保障するのが国保制度です。もともと国が財政責任を果たさなければ成り立たない制度ですが、国は国保への国庫負担割合を減らして保険料を高騰させ、今は支払い能力を超える高さになっているのではないでしょうか。
しかし、国は、国庫負担をもとに戻すことをせず、2005年の通達では収納率向上に向けて滞納者の保険証取り上げ、財産調査の実施、預貯金・給料・生命保険の差し押さえなどを例示して、市町村に保険料(税)滞納への制裁へ徴収対策のみ強化の号令をかけました。この後、全国的に滞納への差し押さえが広がりますが、和歌山県内の市町村で実際差し押さえがふえてきたのは、2006年、地方税回収機構設立が契機となっています。
和歌山は、全国的に先駆けて地方税回収機構をつくり、国保料(税)の滞納も対象に含めました。住民の医療保障に何ら責任を持たず、徴税だけを機械的に行う回収機構に市町村職員が派遣されて、回収機構で差し押さえ、財産調査、公売等の滞納処分の業務を繰り返し行い、そのことで住民の生活を全く無視した滞納処分のノウハウを習得するわけです。市町村で担当しているときは、滞納者の督促をしても払えないと分納などの相談に乗り、また生活そのものの支援を考える仕事をしていた職員が、このノウハウを習得し、その後、自治体に戻ってからそのノウハウを自治体に持ち込む、自治体でも当然のように差し押さえしていく、こういう仕組みになっています。
例えば、橋本市では、国保税の滞納世帯に対し2009年度、212世帯が差し押さえられました。中には、パート代金として1カ月分の7万円が振り込まれると預金として全額差し押さえられた、障害のある人が生活苦で親戚に頼み込んで振り込んでもらった5万円も預金ということで差し押さえられた、振り込まれた給料の全額18万円が差し押さえられたというケースもあります。給料のうち生計費は差し押さえが禁止されていますが、振り込みされた場合は預金とみなして差し押さえる、そういう脱法的なことがやられています。
岩出市では、2008年度は2件、21万円、09年度、27件、280万円、10年度、141件、3800万円と、差し押さえ件数・金額とも急増しています。和歌山市では、2009年度、159世帯を差し押さえしました。財産調査したのは570世帯、うち350世帯が3カ月短期保険証の世帯で、苦労しながら分納している人々をねらい撃ちした調査でした。老後のために民間保険で積み立てている個人年金を差し押さえようとし、この人からの抗議で差し押さえを撤回しています。海南市は、2008年度、預貯金差し押さえは439件に上っています。住民税などの滞納も、生活実態を見ないで強権的に差し押さえることは問題です。
さらに、国保料(税)は税以上に低所得者に重い負担となっており、余計に深刻な問題となっています。税金は、生計費は非課税となりますが、国保料はそうではありません。和歌山市の2010年度国保料率で見ますと、年金収入180万円、夫婦2人暮らしの方、所得税、住民税は非課税ですが、国保料は2割減免で11万1930円です。3人世帯で所得が100万円ですと、税は非課税ですが、国保料は2割減免で22万3830円です。こうした国保料は、支払い能力を超えるものではないでしょうか。それが払えないで滞納したとき、機械的に差し押さえし滞納処分することは、国税徴収法にもありますが、生活に困窮する場合は差し押さえてはならないとする規定にももとるものではないでしょうか。
県は、昨年、年末につくった国保広域化等支援方針では、収納対策について機構が実施している3カ月の短期スタッフ職員制度、併任派遣制度やコンサルティング制度を活用し、各市町村担当職員の徴収技術の向上を図るとしています。これは、市町村に回収機構のやり方を広げて、こうした機械的な滞納処分をさらに一層進める方針ではありませんか。
こうしたことから、福祉保健部長にお尋ねいたします。3点についてお聞きいたします。
1つは、国保広域化等支援方針は、さきに述べた収納対策を進めるとともに徴収率目標を定め、市町村の一般会計からの法定外繰り入れをやめること、国保会計赤字の解消年度を明確にすることなどを決めています。この広域化等支援方針について、どうお考えでしょうか。
2つ目は、地方税回収機構のやり方を市町村に広げるやり方はやめるべきではないでしょうか。この間、市町村でふえてきている生活を脅かすような差し押さえを中止するよう指導すべきではないでしょうか。
3つ目は、住民の生活実態をよく聞き、親身に対応する収納活動に転換すべきではないかと思います。
以上、福祉保健部長、お答えいただきたいと思います。
最後に4点目は、要援護者の避難についてお尋ねいたします。
未曾有の大災害となった東日本大震災と東電福島原発の重大事故から3カ月半近くたちました。被災された皆さんに、本当に心から深い哀悼とお見舞いを申し上げます。被災された皆さんにとって、迫り来る大津波の恐怖や言い尽くせない深い心の傷など、言葉にさえ出せない状況がまだまだ続いています。県民の皆さんも心を痛められていることと思います。私自身、大きな、大層なことはできませんが、被災地に少しでも心を寄せながら、私たちのまち、我がまちの防災と福祉のまちづくりを皆さんと御一緒に一歩一歩実現していくために頑張ってまいりたいと思います。
さきの、松坂県議や高田県議が被災地に物資など届けボランティア活動に参加する、そういった質問の中でもお話がありましたが、一緒に私も参加をさせてもらいました。片道20時間、往復2500キロ、行き先は岩手県大船渡市と陸前高田市でした。まちごと流された光景は、目の前にあってもなかなか受けとめられませんでした。その反対に、向こうに見える海の静けさが、余計にあの大震災を信じられなくさせていました。
しかし、1日だけですが、社協のボランティアセンターを通して大船渡市北小学校の避難所のお世話係を担当させていただき、地元の方々のお話を伺う中で、大津波の恐怖が伝わってきました。その中で、「とにかく逃げることが大事」と言われた言葉がとても印象的でした。その皆さんのさまざまな思いを荷台に積み込んで、和歌山に戻ってまいりました。
そこで、まず、2010年度6月議会でも質問させていただきましたが、避難体制の問題について取り上げさせていただきたいと思います。
県の地域防災計画震災対策の策定計画は、東海・東南海・南海地震同時発生、2つ目は中央構造線による地震、3つ目は田辺市内陸直下の地震を想定しているものです。この想定についても見直しの検討が進められていますが、要援護者の避難の課題は県全体で取り組まなければならないと、今回の東日本へ行かしていただいて痛感をしてまいりました。
そこで、この課題を進めていくためにも、まず知事にお尋ねいたします。
障害がある方が、災害時だけでなく日常の暮らしの中で絶えずお世話になったときや手を煩わすような場面で、済みませんという気持ちを持ったり、「済みません」という言葉が口についています。障害があっても普通に暮らせる社会のあり方、そして福祉が行き届いていること、それが災害に強いまちづくりになるのではないでしょうか、知事のお考えをお聞かせください。
次に、福祉保健部長に2点お尋ねいたします。
災害に際して、どのような障害があっても、だれもが必要な情報を得ることが必要です。東日本の大震災時に当県においても避難指示、避難勧告が出されましたが、そうした情報の伝達手段はどうなっているのでしょうか。
3つ目には、震災時に迅速、的確な対応を図るための体制整備については、市町村の要援護者の把握状況や避難支援プランの策定状況が、一層進めていかなければならないと思います。その点についてお聞かせください。
以上、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、第2次和歌山県廃棄物処理計画の成果と問題点及び次期計画の課題と対策についてお答え申し上げます。
平成19年3月に、第2次廃棄物処理計画を策定いたしました。廃棄物の排出量の抑制と再生利用率の向上及び最終処分量の減量化について、平成22年度の数値目標を掲げた取り組みを推進し、また、県内における廃棄物処理施設の確保、不法投棄対策等の推進、災害廃棄物処理体制の構築等に取り組んでまいりました。
数値目標につきましては、再生利用率と最終処分量は目標を達成していない状況にありまして、廃棄物の排出抑制、再使用、再生利用という3Rの取り組みをより一層推進していく必要があると考えております。
今後、課題を整理した上で、循環型社会を構築するために必要な施策をまとめ、次期計画を策定してまいりたいと考えております。
次に、廃棄物処分場であります。
廃棄物処分場は、適正に排出物を処理・処分するということが原則であります。これは排出事業者が法規制をきちんと守ってもらわんといかんのでありますが、その上で本県では廃棄物最終処分場が不足しているために、県内に最終処分場を確保する必要があると考えております。
最終処分場の確保に当たっては、県民の生活環境の保全を図り、住民の意見を聞きながら廃棄物処理法にのっとり対応してまいります。
次に、災害に強いまちは福祉が行き届いたまちであるということについてということであります。
災害に強いまちは、単にハード面を強化することだけでつくられるものではなくて、地域における住民同士の支え合いや助け合いなど、ソフト面の充実が相まってつくられるものであると考えております。
地域にはさまざまな課題を抱えた住民が生活しており、だれもが安心して自分らしい生活を送るためには、支援を必要としてる住民を決して見逃さずに適切な支援につなげていくことが求められます。
このため、県では昨年3月に地域福祉推進計画を改定し、住民、地域で活動する多様な組織、行政が主体的に連携する新しい支え合いの仕組みを地域に構築することにより支え合いのふるさとづくりを推進しており、昨年1月からは地域見守り協力員制度というのをつくりまして、これにも取り組んでおります。こうした取り組みは、平時のみならず災害時にも力を発揮するものと思いますし、逆に、災害時要援護者の避難支援プランの作成を通じて要援護者と避難支援者との関係ができて、日ごろから要援護者の見守りが行われることもあると思います。
ただし、特に津波の避難には時間の概念が大変でございます。そういう意味で、家族とか近くの人が助ける仕組みをこの際つくっておくということが大事であります。要援護者の避難対策は、防災・減災対策の中でも重要な位置を占めるものであり、地域福祉を推進することにより要援護者の避難対策がより充実したものとなるように、市町村と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 産業廃棄物の関係の紀ノ川産業につきまして、一括してお答えを申し上げます。
紀ノ川産業に係る産業廃棄物処理施設の設置許可及び処理量の許可につきましては、廃棄物処理法の許可基準に基づき施設及び事業者の能力等を厳格に審査し、許可したところであります。許可後においては、許可品目以外の廃棄物の混入を防ぐための展開検査の徹底や浸透水の水質管理などの指導及び監視を適切に実施してきたところでございます。
こうした中、事業者が産業廃棄物を不法投棄したことにより、不法投棄の行為者に対して直ちに告発を行い、許可の取り消し処分を行ったところです。
今後は、産業廃棄物処理法に基づき、不法投棄した廃棄物の撤去及び処分場における廃棄物の飛散防止や悪臭対策など、事業者等に対し必要な措置を命じ、県としても地権者等と協議しながら生活環境の保全に努めてまいります。
なお、裁判の状況については、現在審理が進んでいるところであります。
次に、和歌山市に県下最大の最終処分場が計画されていることについてでございますが、和歌山市において産業廃棄物最終処分場の計画があることは承知しております。当処理施設の設置については、廃棄物処理法上、許可権は和歌山市にあります。この計画は県内における産業廃棄物の処理体制の構築に大きく影響するものであると考えられますので、県としても情報収集に努めてまいります。
以上です。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 何点かの御質問のうち、まず介護保険法の改正についてお答えをいたします。
改定された新介護保険法をどのように受けとめているかについてでございますが、今回の介護保険法改正の主な内容といたしましては、高齢者が介護が必要な状態になっても可能な限り地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの実現のため、在宅生活を24時間対応で支える定期巡回・随時対応型訪問介護看護や、訪問看護と小規模多機能型居住介護を同一の事業所で運営できる複合型サービスなどの新たなサービスが設けられております。
また、市町村の介護保険財政の不足に備えて県に設置されている財政安定化基金の一部を取り崩して保険料軽減に活用可能とするなど、保険料上昇抑制策も盛り込まれているところです。
今回は制度の大きな改正ではございませんが、地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みを進めるため、県といたしましても積極的に対応してまいりたいと考えております。
次に、介護予防・日常生活支援総合事業の創設による利用者、事業者への影響についてでございますが、当事業は今回の介護保険法改正で新たに創設されたもので、要支援の方を対象として、市町村の判断により、利用者の状態や意向に応じて介護保険の予防給付、または新たな介護予防、日常生活支援の総合サービスを提供します。
詳細についてはまだ国から示されておりませんが、当事業の実施により利用者に対するサービスが低下したり、小規模な事業所の経営等に影響が出ないように配慮することを市町村に指導、助言をしてまいりたいと考えてございます。
次に、介護・看護人材の確保の取り組みについてでございますが、これまで新規就業を支援する事業や就職相談会、介護体験教室などを実施するとともに、専門的な研修を充実させることで良質なサービスを提供することはもとより、介護職員が仕事にやりがいを感じ、職場に定着できるよう支援しているところです。
また、あわせて介護職員の処遇改善のため、平成21年度から国の介護職員処遇改善交付金を活用し、賃金引き上げのための資金を交付しておりますが、今年度限りの措置となっていることから、来年度以降も引き続き実施されるよう国に対して要望しているところです。
また、看護職員の確保につきましても、第7次看護職員需給見通しの状況を踏まえ、養成力の確保、就業促進、離職防止、資質向上を柱として量及び質の両面にわたる確保対策を進めているところです。
いずれにいたしましても、県としましては、介護と看護人材の不足が続いていることから、県内事業者や関係団体等と連携しながら、人材の確保により一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
次に、高過ぎる国保料滞納者への対応の問題についての御質問のうち、まず市町村国保の広域化についてですが、国民健康保険には、小規模な町村では保険財政が不安定になりやすいこと、また市町村ごとに保険料が大きく異なり被保険者間に不公平があるという問題があります。
平成22年12月、県では、市町村国保の事業運営の広域化等により保険財政の安定化、保険料の平準化等を推進するために市町村国保広域化等支援方針を策定いたしました。しかし、市町村国保には高齢者や低所得者が多く、財政基盤が脆弱であり、所得と比べて保険料が高いという構造的な問題があります。
県といたしましては、国の責任でこの問題を解決し、国庫負担による保険財政基盤強化策等の一層の充実を図るよう、他府県と連携しながら引き続き国に働きかけてまいります。
次に、国保料の滞納処分のやり方についてと収納活動について、一括してお答えいたします。
保険料の収納確保は、保険制度を維持する上で、また被保険者間の負担の公平を図る観点からも重要な課題となっております。県としましては、滞納者の収入や生活状況等を把握し、必要に応じて保険料の分割納付や減免を行うなど、きめ細かな納付相談を行うよう市町村を指導しています。
このような取り組みの上で、所得や資産等があるにもかかわらず保険料を納付する誠実な意思が認められない者については、地方税法と国税徴収法の例により、市町村が滞納処分を実施しています。滞納処分については、国保料と住民税、その他の税目で異なる運用が行えるものではなく、市町村が公平、公正に実施しているものと理解していますが、県としましても、国保料に係る差し押さえ等の状況について把握に努めてまいります。
最後に、要援護者の避難についてですが、要援護者に対して災害時に必要な情報を伝達するための媒体としましては、防災行政無線、ラジオ、テレビを初め、防災わかやまメール配信サービス、ファクス等がありますが、要援護者の体の状態等により対応できる媒体が異なってきます。また、より早く確実に伝達するためには複数の媒体を活用することも必要となりますが、携帯電話等の機器の保有状況、また停電時にも対応可能か等を考慮すれば、最終的には要援護者1人1人の避難支援プランを作成し、だれがどのような流れで、どのような方法で、どういうことに留意して情報伝達を行うのかを定めておくことが最も重要であると考えております。
次に、災害時に迅速、的確な対応を図るための体制整備につきましては、平成19年の国からの通知に基づき、平成20年6月に和歌山県災害時要援護者支援マニュアルを策定し、市町村において避難行動要支援者の登録及び避難支援プランの作成を進めるよう働きかけてきたところです。その結果、平成21年3月末現在、個別計画の作成に着手していた市町村は13市町にとどまっておりましたが、本年4月1日現在では26市町で作成に着手しております。
また、このたび県内市町村における要支援者の登録の状況を調べたところ、現在、要支援者の登録者数は約1万8000人で、うち約3割の方について個別計画が作成されております。
県といたしましては、全市町村において要支援者の登録及び個別計画の作成を早急に進めるとともに、民生委員、児童委員初め地域住民の協力を得ながら、さらなる要支援者の把握を促進するよう引き続き働きかけてまいりたい、このように考えてございます。
以上です。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
38番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁をいただきました。要望と再質問をさせていただきます。
要望については、高過ぎる国保料滞納者への対応の問題で、先ほど福祉保健部長のほうから、実態をまず見ていただく、そういった答弁をいただきました。ぜひ各市町村に、徴収の仕方や、また住民の方のそういった思いも含めて、ぜひ実態調査をしていただきたいと思います。生存権を損なうような差し押さえ、そういったことになっていないか、そのこともあわせてよろしくお願いしたいと思います。
また、要援護者の避難についての問題です。
知事も先ほど申されましたが、地域福祉が非常に大事であると。そのことが、私も、援護者の避難についていろんな情報伝達が機械的にできたとしても、本当にお1人1人を災害から救える、そういった体制にどうしていくのか、そのことが非常に大事なことだと思い、質問をさせていただきました。
そういった中で、今ざっと、障害のある方が手帳を持たれている、また65歳以上の人が何人いらっしゃる、そういった援護が必要な方がどれだけいらっしゃるのか、そのことをお伺いしたら、重複している障害の方もありますが、10万人近くいらっしゃるということもお聞きしています。重複されている方や年齢的にも障害があっても65歳以上、そういった方も含めてでも10万人近い7万人、8万人いらっしゃるのか、そういった全体的な状況もぜひつかんでいただきたいと思います。
そういう中で、施策としてやはり福祉が行き届いたまちをどう進めていくのかを、ただ単に福祉部門だけでなく、県庁全庁挙げてそういった位置づけの中で進めていただきたいと思います。これは要望です。
1番目の産業廃棄物最終処分場の問題について、質問を何点かさせていただきたいと思います。
知事が答えてくださった中で、1つは答弁の中で、産業廃棄物は排出事業者の責任において適正に処理・処分することが原則ということだと思うんですが、「排出事業者」と言われたのかどうか、そこのところをちょっと確認をしたいと思いますが、後ほどよろしくお願いします。
この答弁の中で、市の計画が──和歌山市の関係ですが──和歌山市の計画については承知をしているという答弁でした。この許可権については和歌山市にあるのは私もわかってるんですが、その計画について、県内における産業廃棄物処理体制の構築に大きく影響するものという答弁でしたので、しっかりとぜひ対応を県としてもやっていただきたいなと思います。
また、紀ノ川産業の対策については、めどが明確に示されていなかったように、不十分な答弁だったと思います。その点で何点か、再度質問をさせていただきたいと思います。
紀ノ川産業は、ごらんのように、皆さんのお手元にありますように、野ざらしの状態にあります。先ほどの答弁をお聞きして感じたことですけど、許可時点では、もちろん事業者には欠格者ではない方々のもとで進められたと思います。しかし、先ほどの「今裁判中です」という状況の報告しかありませんでしたが、なぜこのようなことに至るのか、その点で明確に答弁がなかったと思います。その点で再度答弁をよろしくお願いしたいと思います。
この第2次計画の実行中に起こった問題点は、これからもまた起こり得ることではないかと思います。こういったことをどうやってクリアしていくのか、その点でお聞きしたいと思います。
また、今の紀ノ川産業の野ざらしの現状は、本当に住民にとっても、観光を進める和歌山県にとっても非常に問題だと思うんです。地域環境にとって深刻な事態だと私は受けとめています。住民生活と環境を守ることが第一の責任だと思いますが、この点について知事はどのように臨んでいかれるのか、再度質問をしたいと思います。
また、野ざらし状態の解決に向けて、県行政としての対応について2つの点でお伺いいたします。
1つは、捜査の進展を見守りつつも、事業者らに改善命令を県として求めることは当然だと私も思います。その間、野ざらし状態には何ら手をつけず、放置し続けることになりますが、これで監督責任を果たしていると言えるのでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
2つ目は、事業者らが改善命令に従わない場合、その先は県としてどうしていくのか。行政代執行も当然視野に入っていると思いますが、そういった点で責任ある答弁をよろしくお願いいたします。
以上です。再質問、よろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) 再質問に対する答弁を求めます。
知事仁坂吉伸君。
〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員の御質問がだれに対してなされたものかちょっとよくわからなかったので、推測でお答えさせていただきます。
まず、産業廃棄物は排出事業者が責任、原則というようなところを正確に言えということだったと思うんですが、私が申し上げましたのは、今議員がお口になされたこととちょっと違いまして、申し上げたことをもう1回言いますと、「産業廃棄物は適正に処理・処分することが原則であります。排出事業者が法規制をきちんと守ってもらわないといかんわけであります」というふうに申したわけであります。「その上で」と言って次に続けたわけであります。
それから、明らかに知事答えなさいと言われたことにつきまして申し上げますと、野ざらし状態というのはよくないのは当然であります。そのために我々は原状回復命令を課したりして、一日も早くこの状況を脱すると、きちんともとに戻す、正しく戻すということが大事だというふうに思います。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 私が先ほど御答弁申し上げた中で、不十分であるじゃないかということ、今ちょっとお話を聞いた中でなんですけれども、一応、紀ノ川産業についての県の責任ということにつきましては、問題が起こればその都度指導し、また行政処分など実際に行ってまいりましたので、それについてはその都度その都度、適切な処理をやってきたものというふうに考えてございます。
そしてまた、今後なんですけれども、先ほど県の代執行的なお話も出たかと思うんですけれども、それにつきましては現時点ではそういうことを軽々しく考えてはおりません。
以上でございます。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
38番奥村規子君。
○奥村規子君 私はやっぱり野ざらし状態を早くどういうふうに覆土していくのか、そのことの問題なんですけれども、その点で何が問題になっているのか、そのことをもっと明らかにしていかなければいけないと思っています。
そういう中で、この事業所を許可するときに、書類や審査や、いろんなことが適切に行われてる、そうやって許可されてきたわけだと思うんです。その後に、こういった不法投棄。また、この間、適正に指導してきたと言われましたが、この紀ノ川産業に対しては行政指導として今まで8回されてきています。そして改善命令も出されてきたわけですが、こういった中で、県がこのような状況の中でどう監視や指導をしていくのか。そういったことがなかなか県民、私たちに明らかに、安心できる、そういったことになっていないのではないかと、この間、答弁も聞かせていただいてそう思っています。ぜひ今度の、次の23年からの計画についても、その点でお考えをいただきたいと思うんですが。
この中で、紀ノ川産業の野ざらし状態を、どう県民にとっての安全・安心にしていくのかという点で、本当にまだはっきりとした答弁でなかったと思います。こういった答弁も極めて無責任だなと私は感じています。ああいった中で、ぜひ住民の皆さんもこれから安心できるように今度の第3次計画でどうするのか、ぜひ考えていただきたいと思います。
これを強く要望いたしまして、私の再々質問を終わらせていただきます。
○議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。