平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成23年6月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成23年6月23日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第74号から議案第91号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第74号から議案第91号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 12番 川口文章
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 23番 岸本 健
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       野田寛芳
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      宇恵元昭
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     鈴木敏彦
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     森 勝彦
 会計管理者      米山重明
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        西下博通
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事班長       中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課副主査     坂口敦子
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第74号から議案第91号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 40番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 皆さん、おはようございます。一般質問もきょうが3日目でございます。通告に基づき、早速質疑、一般質問に入らせていただきます。
 最初に、震災・津波対策で質問をさせていただきます。
 先日の高田由一議員の質問でも紹介がありましたように、私ども共産党県議団など10名が、先月、岩手県の大船渡市と陸前高田市に出かけ、震災ボランティア活動や救援物資を届ける活動を行ってまいりました。
 私は、側溝の泥上げのボランティアに参加しました。大船渡市のボランティアセンターでは、市の社会福祉協議会が窓口と運営を担当し、各種団体で参加をされた皆さん、または個人でおいでになった皆さんが、当日の朝8時半に受け付けをして、各人の希望に基づいて、側溝の泥上げですとか写真の修復、避難所の支援、物資の仕分けなどなどの活動に分かれて現場に向かいました。
 大船渡市は、自然の良港として水産加工会社が数多く立地していたんですが、その巨大な冷凍庫の倉庫群に納められていた魚などの海産物が、電源が落ちたことによって全部腐ってしまっているんですね。ですから、テレビの映像からは伝わってこない大変なにおいの中で被災者の皆さんは苦労をされています。
 そして、道路上の瓦れきは片づいているんですが、海から巻き上げられた泥が瓦れきとともに町じゅうを覆い、家の床下や側溝で悪臭を放っています。この泥は、普通の土と違って粒子の細かい粘土質のもので、例えば首に巻いていたタオルをぽとっと地面に落とすと、そのタオルについた泥は幾ら払っても取れないんですね。それぐらい粒子の細かい粒ですから、一度乾燥して乾いていくと、なかなかほこりとなっておりてこない、そんなにおいとほこりっぽさはずっとついて回るという状況でありました。この泥をまさに人海戦術、スコップですくい上げて土のうに詰めていくんですが、これらの作業は重機ではできない、人の手でやらざるを得ない仕事なんですね。
 町じゅうで地響きを上げる重機の音を一方で聞きながら、気の遠くなるような範囲の側溝の泥上げにこれからどれだけの人手が要るのかと思うと、瓦れきの撤去と一言で言っても、これは大変な仕事だなというふうに実感をいたしました。
 また、和歌山からの救援物資を、無料青空市という形で地域の皆さんに直接お渡しをする活動をしてきたんですが、震災から2カ月以上たったというのに、初めて救援物資をいただいた、こういう状況だったんですね。避難所に避難していなくて、親戚や知人の家を頼って身を寄せている被災者、また、家は無事だったものの働く場をすべて失った漁師の皆さんなど、こういった方々には救援物資が届けられる手だてがないんです。救援物資をお互いに譲り合い、相手を思いやって励まし合う、そんな被災地の皆さんの姿に本当に胸が熱くなりました。
 私は、こういった救援活動を日本全国の皆さんと力を合わせて息長く続けていくとともに、東日本大震災の教訓をこの地元和歌山の震災・津波対策の強化に何としても生かしていくことを、このことを強く決意をいたしました。
 そこで、本日の質問では、これまでの一般質問との重複をできるだけ避けながら、以下5点にわたって震災・津波対策について質問をさせていただきます。
 第1点目に、避難所と避難計画の見直しの問題です。
 東日本大震災の津波の映像、また何もかも流された被災地の映像が報道されているのを見ると、有田の住民からも「あんな津波が来たらもうおしまいや」、「今の避難所ではそら到底役に立たない」、また「わしら足悪いのに、避難所まで遠うて、とてもよう逃げやん」、こういう悲壮な感想が聞こえてきております。
 震災当日、和歌山県沿岸にも津波警報が発令されましたが、機能しなかった避難所や体制の不十分だった避難所の例が報告をされています。住民からお聞きした一例を申し上げますと、毎年の避難訓練で歩いていって集合する民間施設の避難所に行ったけれども、業務中ですからと中に入れてもくれなかった、こんなことで避難所と言えるのかとおっしゃいます。また、家の近所の避難所に着いて、中へ上げてもらおうとすると、ここは家族連れの方優先です、お1人の方は山手の避難所まで行ってくださいと追い返されたといいます。また、ある公共施設では、屋上のベランダへ脱出できる扉は施錠されていて、職員でもあけられなかった、こういったさまざまな問題点を、行政自身も、また住民自身も改めて気づかされているわけです。
 県は、市町村とともに短期的な対策として避難所と避難計画の見直しを進めていますが、その進行状況はどうなっているんでしょうか、お示しいただきたいと思います。
 次に、県内津波避難訓練について伺います。
 今年度も7月末に予定されている県内津波避難訓練は、東日本大震災を経験した直後の訓練ということで、これまでの延長線上ではない特別の意義があると思われます。この間、市町村と進めてきた避難場所の見直しなどに即した中身、また県民の防災意識の高揚等に対応した中身となっているのでしょうか。以上2点は、危機管理監から御答弁を願います。
 3点目に、湯浅広港津波防波堤の効果と限界について周知をという点で伺います。
 今年度完成予定の湯浅広港の津波防波堤は、過去に何度も津波被害を受けてきた歴史を持つ広川町、湯浅町の住民にとって、湾の入り口で津波被害を抑える効果が期待をされ、完成が待たれているところです。しかし、その一方で、この堤防の設計時の想定というのは、歴史的にも規模の小さかった昭和の南海地震の津波高をもとにしたものであって、東海・東南海・南海道3連動地震発生という現行の想定でもこの堤防を大きく越えて津波が押し寄せることになっていますし、この高さ以上の見直しが多分行われることでしょう。
 人間がつくった構造物は、津波の威力を弱くし、到達をおくらせ、被害を抑えることはできました。しかし、これには限界があることがはっきりしたわけで、東日本大震災の教訓を踏まえ、ハード対策を過信することのないようにしなければなりません。今年度完成する津波防波堤の効果と限界を、堤防の完成という節目に当たり、住民にわかりやすい形で、かつ正確に知らせていくべきではないでしょうか。県土整備部長よりお答え願います。
 4つ目に、ダムやため池の震災対策と被害想定について、知事にお伺いをいたします。
 先日の全県市町村長会議において、地震によるダムへの被災について最悪のケースも想定しておくべきではないか、こんなふうに問題提起されたのに対し、仁坂知事は、ダムについても想定外のことをシミュレーションしておく必要があると答えたと報道されています。これまでの県行政の姿勢を一歩前進させたものとして歓迎するものであります。
 私たち有田川の流域住民にとっても、県営二川ダムのダム災害は建設当時からずっと問題視されてまいりました。二川ダムの位置する地形は、御荷鉾構造線という四国から関東まで続く破砕帯が走る非常にもろい地質の谷となっています。洪水による水害の問題とともに、ダムの耐震対策は大丈夫なのか、こういう声が出されてまいりました。ダム本体の耐震性、これはもちろんですが、それとともに、そのダムの両脇の岩盤への亀裂、また、ダム湖、この周りの山腹崩壊の危険性、そしてダムゲート、これの耐震対策、こういったものも、現在の知見とそれから技術水準で再点検、安全対策を講じる必要があると私は考えます。
 また、被害想定については、これまで地元住民から「ダムからの水が押し寄せた場合、どこまで浸水するのか」と、こんなふうに流域住民や自治体から問い合わせがあった場合に、県は「ダムは安全でございます。そういう想定はしておりません」、こういうまるで相手にしていないかのような答えをしてきたんですけれども、そういった姿勢を改め、最悪のことも考えたシミュレーションもして、住民と危機意識の共有を図ることが大切になってくると私は考えます。
 東日本大震災を契機に、今後、県内のダムや農業用のため池の震災対策や被害想定にどう取り組んでいくのか、御答弁を願います。
 5点目に、津波防災教育センター「稲むらの火の館」の活用について危機管理監に伺います。
 震災から3カ月が経過し、広川町にある津波防災教育センター「稲むらの火の館」への来館者がふえてきています。館長さんにお話をお伺いいたしますと、従来の主流であった自治会等の団体に加えて、5月の連休以降は家族連れが増加し、この6月は昨年の2倍の来館者数だといいます。また、親子やおじいちゃん、おばあちゃんと孫たちが家族で展示を熱心に学習する姿が見られ、今までは展示の前をすっと見ながら通り過ぎていたそういう人たちが、ボタンを1つ1つ押しながら熱心に展示を見ている、防災グッズを見ながら話し合いをしている、そういう姿が目立つというんですね。
 ことしから「稲むらの火」の教科書への掲載も始まったこともあり、県として今後とも展示の充実、講演会や学習会など、津波防災教育センターの活用を一層図っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 それでは次に、2つ目の柱といたしまして、議案第79号建築物等の外観の維持保全及び景観支障状態の制限に関する条例案について伺います。
 県は、略称として景観支障防止条例と、こういうふうに名前をつけているようですが、新聞報道などでも廃屋・廃墟対策の条例として紹介されてるように、広告看板や建物の建築規制というんではなくて、廃屋対策のための特別の条例案となっています。
 県内には空き家が数多く存在し、その活用対策とともに、廃屋・廃墟となってしまっている建物に対する住民の不安や相談は、地域の大変大きな行政課題となっております。ところが、住民や議員から相談が持ち込まれましても、これまで、それは一体どこが担当するんかという担当部署すらはっきりしてこなかったこの問題に対し、解決に向けて一石を投じようとする県の姿勢は評価をするものです。
 しかし、廃屋対策の基準が景観というのはいかがなものか、防災、安全というのが当たり前ではないかという疑問。また、この条例によって実効性のある廃屋・廃墟対策が進むのかという問題。また、一方で県民の権利侵害になりはしないかなど、慎重に審議をして県民の合意を得る必要がある問題だと考え、以下4点にわたって質問をさせていただきます。
 まず第1点目に、現行法での対応と新条例の効果・実効性について伺います。
 これだけこの廃屋問題で住民から相談が寄せられてきたのに、なぜ現行法である建築基準法であるとか民法などでの対応ができてこなかったのでしょうか。また、全国的には廃屋対策の県条例や市町村条例を制定した例があるものの、実際にその命令や代執行により廃屋を撤去した例がないというお話です。伝家の宝刀をつくっても抜けていないということになっていると思うんですね。
 そこで、現行法をフル活用する可能性、そして限界、これはどのように検討されたのか、これが大事になってくると思います。現行法で対応できなかった課題が、この条例を制定することによって対応できる根拠は何か、果たして実際に廃屋撤去が進むのか、答弁を願います。
 また、条例制定後に廃屋になっていくものとは別に、現在既に廃屋になっているものへの対策はこの条例によって実際に進むのかどうか、以上の点についても答弁を願います。
 2点目に、条例に基づく規則についてもお伺いします。
 景観という言葉は、人それぞれや立場、主観によって判断が違ってくる可能性があります。景観にかかわる定義はどう解釈され、規則でどう定義されていくのかが重要になってまいります。景観支障状態とは具体的にどういう規定をし、地域住民による要請の手続はどう定められるのか、条例が県民の権利侵害とならないような手だて等をどう規則や条文に盛り込もうとしているのか、お示しをいただきたいと思います。
 3つ目に、廃屋撤去の補助制度についての考え方をお伺いいたします。
 今回の条例案は、この廃屋の撤去ということを自治体の事務として位置づけるということ、また、空き家である状態のその空き家に適正な管理を義務づけて、それに反する場合の対応をちゃんと条例で規定をする、こういう点では非常に積極的な意義があるというふうに思っています。しかし、実際にこの廃屋問題を撤去し、解決しようとすれば、所有者の廃屋撤去に向けた意思がある場合と、廃屋撤去の意思がない場合、それぞれに分けて整理する必要がある。そしてまた、その意思のあるなしの中でも、資力、お金があるかないかによっても分けて、整理してこの対応を変えていく必要がある、そういうふうに思うんですね。
 所有者が所在不明という、そういう場合も含めて撤去の意思がないと、こういう場合には、資力にかかわらず行政処分による撤去、そして代執行の費用は所有者や土地所有者に請求というのは、これは手続としては筋だというふうに思っています。ところが、一方で廃屋問題の大部分というのは、そういった所有者不明であるとか悪質な放置であるというケースは一部であって、市町村や議員に持ち込まれる廃屋・廃墟問題の相談の多くは、所有者や相続人が何とかしたいと思っているんだけども、できずに放置し続けて、結果として廃墟になってる場合が圧倒的に多いわけです。
 例えば、子供や孫がよそに出ていってて、何とかしないと御近所に申しわけないと思いながらも、今の住所での暮らしで手がいっぱいで余裕がない、もうしばらくしてからといいながらどうしようもない状態にまでなっている、こういうケースが多いと思うんですね。所有者に廃屋撤去の意思がないわけではないが、解決策がうまく見つからない場合が多いんです。この所有者に撤去意思のある場合の対応が、実は廃屋問題の解決の大部分を占める重要な部分だと思っています。
 所有者に撤去の意思があって、かつ資力がある場合は、任意の撤去を促す法的、条例的な仕掛けというのが必要です。しかし、撤去の意思はあるけれども資力がない、こういう所有者に対しては、経済的支援による撤去等が必要になってくると思うんです。廃屋等の撤去を進めようとすれば、廃屋対応の意思はあるが財力のない所有者に対しての補助制度の創設こそが必要ではないか。条例には、こうした財政的措置を伴うような措置を県や市町村が講ずるというようなことは定めてはおらず、ここに踏み出さない限り廃屋撤去は現実的には進まないと考えますが、いかがでしょうか。
 次、4点目に、景観よりも防災や安全を第一目的にした廃屋対策条例とすべきではないかという点について伺います。
 これは、条例の看板というか、大黒柱についての考え方になります。これ、実は最も根本的なことで、議会運営委員会や昨日の質問でも指摘をされてきたところであります。
 廃屋・廃墟問題に取り組む動機、それから目的というのを考えれば、やっぱり防災の問題、危険という問題、また生活環境とか安全という動機こそが、緊急性という物差しで見ても、重要性という物差しで見ても、公共的なという観点から見ても、やっぱり一番一般的ではないでしょうか。そして、景観というものは、それはそれらとともに存在する1つの指標、景観というよりも外観という規定だと思うんですね。そういう客観的対応基準の1つとすることが、私は県民感情から見ても妥当ではないかと思います。
 景観よりも防災、安全を第一目的にした廃屋対策条例とすべきではないか、逆に言えばなぜそうしないのか、こういう点についてお答えを願いたいと思います。
 以上4点は、県土整備部長より答弁をお願いいたします。
 最後に、有害鳥獣対策について3点お伺いをいたします。
 今年度の有害鳥獣対策予算は、県民の強い要望にこたえて大幅に増額をされ、捕獲対策を重点としながら、防護と環境整備の事業を進めるという方針になっています。有害捕獲に尽力をしていただいている猟友会の皆さんへの支援など、まだまだ充実していただきたい点はあるわけですが、県の有害鳥獣対策がどう進んでいくのかが注目をされているところです。
 中でも、受益戸数が1戸からでもオーケーとなった防護さくの要件緩和は、強い県民の要望にこたえたもので歓迎をされています。これまで被害があっても事業化に踏み切れなかった地域でも、組合をつくって要望をまとめ上げて、そんなふうにしてきているところなどが多数出てきました。このことによって、実は県の予算の内示額を大きく超える要望が市町村に上がってきているという実態があります。
 県の防護さく事業の窓口は市町村ですから、その担当のところへ直接お伺いをしまして、実際の状況をお聞きしてまいりました。
 例えば有田川町では、県単の防護さく事業は、事業費ベースでいいますと当初予算450万円を計上していたんだけれど、6月補正予算で県の内示枠いっぱいの3300万まで増額補正をしました。その上、あと1000万円程度の要望が見込まれているということなんですが、県の予算枠はもうないと言われているんで、待っているということです。
 内容を聞いてみますと、当初予算では清水地域だけで見込んでいた事業要望が、金屋・吉備地域へと全町的に広がってきているとの状況です。湯浅町では、当初予算で2200万円の県の枠いっぱいに予算化していたものの、地域から既に上がってきてる要望は3000万円になっているとのこと。この背景としては、集落ごとの防護さくの組合の組織化を粘り強く続けてきたものの、これまではなかなか事業化に踏み切れなかった。しかし、今年度、要件緩和で一気に地域がまとまって頑張ろうやないかという機運が高まり、それぞれの地域から要望が出てきた。そのどれもが切実で要望が強く、何とかその要望にこたえたいと、町としても9月補正で対応を目指して、県の予算づけを要望しているということでありました。
 広川町は、ここはことしも国費の防護さく事業に4200万円ほど取り組む先進的な町ですが、ここも県単の防護さく事業として、当初約500万円の事業を予算化していたものの、あと100万円余りの要望が上がっていて、できるだけ秋のミカンの実る時期までに防護さくを設置したいと、そこから後になったらことし間に合わんと、役に立たないという強い要望で、何とか補正で認めていただきたいとのお話でありました。
 このように、要望の内容が、いずれもこれまでよりエリアが拡大してきてるというもの、今まで辛抱してきたが、要件緩和によってやっと事業化できる、こんなふうに意気込んで要望を上げてきたもの、また、年度末ではなくできるだけ早い時期に事業化を、事業を追加していただいて、秋の実りの時期に間に合わせたいなど、どれもが大変切実で翌年回しにできない状況であると考えます。
 景気対策の公共事業を進めてきたように、来年度事業の前倒しと、こういう意味も込めて、ぜひ予算枠を広げるべきではないでしょうか。市町村長を通じての増額要望も強いわけで、この際、防護さく事業の増額補正をすべきだと考えますが、農林水産部長、いかがでしょうか。
 次に、シカの管理捕獲についてです。
 和歌山県がことし初めて取り組んだシカの管理捕獲が、4月から5月にわたって取り組まれました。シカの生息数を見据えながら慎重かつ大胆に取り組んだ事業ですが、その状況と成果、さらに今後の見通しについてお示しをください。
 最後に、有害鳥獣捕獲における鳥獣保護区との関係について質問をさせていただきます。
 イノシシやシカなどの個体数が爆発的に増加しているということを肌身で感じていることから、県民の中からは、鳥獣保護区の指定をこの際見直すべきじゃないかとか、保護区指定によって有害捕獲が進んでないんじゃないか、こういう疑問や意見が出されております。
 鳥獣保護区は、野生動物の生態を保護するとともに、また一方で、市街地や農地などでの安全対策として狩猟を規制しているもんですけれども、有害鳥獣捕獲を進めていく上で鳥獣保護区が壁にはなっていないのでしょうか。鳥獣保護区の指定や、また10年ごとに行われている更新の手続、また、廃止をする場合などに当たって、地域のこういった実情を踏まえた協議というものはどう進められているのか。また、狩猟制限と有害捕獲は別のもんであって、有害対策は進められて成果を上げていると私は認識していますが、有害捕獲とか、またシカの管理捕獲は、鳥獣保護区とそれ以外の一般の区域で取り組みに差はあるんでしょうか。
 以上、有害鳥獣対策の3点については農林水産部長に答弁を求めて、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ダムやため池の問題につきましてお答え申し上げます。
 二川ダムなど河川に設置されたダムにつきましては、綿密な地質調査や耐震設計に基づいて建設されておりまして、地震に対して十分な安全性を有しております。今回の東北地方太平洋沖地震とか、あるいは兵庫県南部地震、たくさん地震が近年起こっておりますが、過去に我が国で発生した大規模地震においても、ダムの安全性にかかわるような事態は発生しておりませんで、ダムの地震に対する安全性がそういう意味では確認されてると言ってもいいかと思います。
 それでも、いつも点検しておくということは大事ですから、実はもう一度、当時の安全設計などを現在の知見で再度チェックしておくようにと──これは少し時間かかるかもしれませんが──そういうように指示をしているところであります。一方で、今回の地震を契機に、仮定の議論として、想定をはるかに上回る事態が生じた場合はどうするかというようなことをいつも考えておくということが、一般に大事なことだと思います。
 そういうことでございますので、仮定でダムが壊れたらどないなるかというようなことを、下流の地形なども含めてシミュレーションをしておくということを──これまたちょっと時間かかるかもしれませんが──防災・減災対策の総点検の一環として取り組むように考えてるところであります。
 ため池に関しましては、規模の大きいため池等を対象に耐震診断を進めており、その診断結果を所有者となる関係市町に情報提供し、市町等との協議により県営ため池等整備事業などで対応していくようにしているわけでございます。また、近年、農家の高齢化や担い手不足によりため池管理に支障が出るおそれがございます。日常の点検管理によりため池の変異や漏水などを発見し、適切な補修・改修を行うことが防災上重要であることから、平成21年度より毎年5月をため池点検強化月間と定めまして、地域ぐるみでのため池保全体制の構築に向けた普及啓発活動といったソフト対策に努めております。
 今後も、ハード・ソフトの両面からため池の震災対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 地震・津波対策について、3点の御質問にお答えいたします。
 まず、避難所と避難計画の見直しにつきましては、県では市町村とともに、これまでの避難場所が適切かどうか、従来の避難所運営至上主義的な発想ではなく、新しい緊急避難先の確保も含め、緊急点検、見直しを行っているところであります。見直された避難所、避難場所については、避難カードの全世帯配布により県民1人1人が自覚できるよう徹底してまいります。
 次に、今年度の県内津波避難訓練につきましては、津波避難訓練は、平成14年度から和歌山県単独で行っておりましたが、平成17年度以降は、東南海・南海地震で甚大な被害が予想される本県と三重県、徳島県、高知県の4県で構成する4県東南海・南海地震防災連携協議会で、共同で統一訓練日を設けて実施しております。
 今年度は7月31日日曜日が統一訓練日となっており、県内沿岸18市町が、防災行政無線や総合防災情報システムを使用した情報伝達訓練や、消防、警察、自主防災組織と連携し、緊急点検での見直しや、改めて指定した高台などの避難場所の活用も含めた避難訓練の実施などを予定しております。統一日の訓練参加者は現在約1万8000人余りの予定で、昨年度の約3倍で、過去最多の訓練参加者を予定してございます。県民の避難意識を高め、避難経路、避難場所を把握し、正しい避難行動がとれるよう、より多くの県民が訓練に参加し、体験をしていただくよう、市町とともに呼びかけてまいりたいと考えております。
 最後に、津波防災教育センター「稲むらの火の館」の活用につきましては、津波防災教育センターは、地震、津波に対する備えを学習、啓発する拠点として広川町が運営する施設であり、センター内には県有施設として、津波の破壊力を疑似体験できる3D津波映像シアターも設置しているところです。東日本大震災以降、入館者数は増加傾向にあり、本年4月からの「稲むらの火」の小学校教科書掲載の効果もあり、他府県からの問い合わせがふえております。
 広川町では、備蓄倉庫や一時避難所としても指定し、津波避難訓練でも利用しているほか、語り部、生け花などのボランティア団体にも開放し、地域に密着した運営がなされております。今後とも、昨年度行った災害文化伝承事業の展示などコンテンツの充実や、地震、津波に関する講習会、学習会などの開催等、さらなる啓発に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 初めに、湯浅広港津波防波堤についてでございますが、この津波防波堤は、昭和南海地震規模の津波を想定して設計されており、今年度完成予定で整備を進めているところでございます。東海・東南海・南海地震が同時発生した場合に想定される津波に対しては、後背地への浸水を完全に防ぐことはできませんが、津波防波堤がなく既設の堤防等の施設が機能しなかった場合に比べて、浸水面積で3割程度の低減効果があると見込まれています。今般の東北地方太平洋沖地震時の津波を踏まえましても、防波堤などのハード対策のみで被害を防ぐことは困難と考えられます。
 そのため、議員御指摘のとおり、津波防波堤の効果や限界について周知することは重要と考えておりまして、完成の際には記者発表や県ホームページ等によりまして周知してまいります。
 続きまして、景観支障防止条例に関しまして、一括してお答えいたします。
 現在は、廃墟対策を目的とした法的規制がないため、住民からの苦情や相談については主に市町村が窓口となって、所有者等に強制力のない指導の範囲で対応している状態でございます。著しく保安上危険または衛生上有害という観点においては、建築基準法により一定の法的措置ができますが、危険や有害の要因を取り除くことが目的であることから、立入禁止など最低限度の内容となり、除却命令を行うことは多くの場合困難となります。
 一方、本条例は、県民の生活に密着した景観の保全を目的としており、当該目的達成のため、既存のものも含めて除却を含めた命令が可能となり、これを厳格に運用してまいります。
 次に、景観支障状態として規則で定める内容につきましては、屋根または外壁が機能していない状態として、これらのいずれかが3分の1以上損壊している場合などを考えております。景観支障除去措置の要請については、対象となる建築物等から半径100メートル以内の周辺住民等の3分の2以上が共同で行うこととするよう考えております。
 なお、権利侵害とならないような手だてとしては、命令等の対象となる建築物等から現に使用されているものは除いており、また、命令等の発出についても、あらかじめ当事者や市町村の意見聴取を行い、景観審議会に諮った上で慎重に判断することといたしております。
 次に、補助制度についてでございますが、廃墟の所有者には、周辺の迷惑となる程度まで放置した道義的責任があると考えられ、また、補助を行うこととすると自主的な撤去が敬遠されることとなり、いわゆるモラルハザードを引き起こすことが懸念されるため、補助制度ではなく、条例による規制を行うことが適切であると考えます。
 最後に、防災の観点からの廃墟対策についてですが、今回の条例は、県民の生活に密着した景観の保全を目的としており、防災の観点を重複して入れることはできませんが、防災の観点からの廃墟対策についても非常に重要な課題と認識しており、今後別途検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 有害鳥獣対策についてお答え申し上げます。
 防護さく事業につきましては、対前年比270%と予算を大幅に拡充し、また、利用しやすいように受益戸数2戸の事業要件を緩和いたしました。鳥獣被害の深刻さは十分に認識しており、市町村からさらなる要望も伺っているため、現在その把握に努めているところです。補正予算については、鳥獣害対策事業全体の進捗状況を踏まえ、今後判断してまいりたいと思います。
 次に、シカの管理捕獲についてですが、ふえ過ぎた個体数を調整するため、去る4月1日から5月20日まで、県下全域で1500頭を目標に捕獲を実施いたしました。その結果、ほぼ目標頭数を達成でき、地域からは現時点では被害防止効果があらわれているとの声を聞いております。引き続き、狩猟や有害捕獲とあわせて管理捕獲を実施し、増加しているシカ被害の軽減に取り組んでまいります。
 次に、鳥獣保護区の指定等については、知事は市町村や地元自治会などの意見を聴取することになっており、有害鳥獣による被害状況を踏まえた意見をいただいております。被害が発生した場合は、鳥獣保護区内においても、県との協議の上、一般地域と同様に有害鳥獣対策ができることとしており、有害鳥獣捕獲や管理捕獲を実施し、成果を上げているところです。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 40番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。震災・津波対策、それから鳥獣被害対策、それぞれしっかりと取り組んでいただきますよう強く要望しておきたいと思います。
 廃屋対策条例について再質問をして、もう少し突っ込んでお話ししたいと思うんですね。
 私、部長の答弁をお聞きして感じたことが2つあります。1つは、防災の観点からの廃墟対策は非常に重要だと、今後別途検討したいという積極的なものでありました。これは評価したいんです。しかし、この答弁はある意味、自己矛盾をしているんですね。県は、本条例を提案するに当たって、廃墟対策いろいろ考えたんだけれども、防災や安全、衛生といった物差しでは数値的にあいまいだから撤去命令ができないんですと、指導はできても撤去命令までいけないから、だから、景観という物差しで条例をつくったんだと説明したじゃないですか。
 しかし、そういういろんなこねくり回したというか、知恵を使ったことによって、「何だ、防災のための廃屋撤去の条例じゃないのか」とか、「景観を盾に行政が撤去命令まで出していいのか」、こんな議論が出てきてしまっているわけで、初めから防災や生活安全を主目的にした条例にすべきではないかという思いを私は強くいたしました。
 そこで、もう少し突っ込んで、以下3点、県土整備部長に再質問いたします。
 1つ目は、条例の実効性の質問ですね。
 今回の条例で、空き家の適切な管理義務を定義して、それを守るように促し、また、守らない場合の対応を規定することは意義のあることだと思っています。しかし、答弁で明らかになったように、この条例によって対策が講じられるのは極めて限定された場合のみです。廃屋も屋根が3分の1落ちているというところまでいってるケースは、やっぱり町なかの廃屋というのを考えた場合にまだまだまれだと思うんですね。
 既に廃屋となっているものについても条例の附則につけ足して規定してるわけですけども、命令をして代執行までいくというのは極めてまれなケースじゃないでしょうか。言うこと聞かないと命令、代執行までいくよ、ちゃんとやりなさいよという抑止力にはなっても、実効性が伴わないんじゃないでしょうか。
 例えば、8つある振興局単位で年間数件、県内で年間数10件もこの廃屋撤去が進んで、代執行に向けた撤去費用の財政的措置が毎年必要になるというぐらい、そのぐらい事業が、廃屋撤去が進むんでしょうか。正直なところをお答えいただきたいと思います。
 2つ目は、権利侵害のおそれはないかという問題です。
 そうならないようにちゃんとしているという答弁でしたが、条例案では、所有者が撤去に仮に同意しない場合、異議申し立ての制度とか第三者機関による審議と、そういったものは条例、規則に規定されるようにはなっていません。それでいいとお考えになっていますか。同意できないよという意見を述べる機会だけはあるんですけども、反対意見は聞きおきますということで処理していっていいのでしょうか。これが2つ目です。
 3つ目には、補助制度の質問と防災、安全を第一目的にという質問をあわせて再質問します。
 補助制度を行うとモラルハザードになるという答弁でありましたが、それはいささか乱暴な議論だと私は思います。政策的な誘導はあってしかるべきではないでしょうか。それより、かえって命令、代執行しか準備していないそういう条例では、腐るまでほっておけば最後は行政がやってくれる、どうせあの会社からお金は取れないとか、お金払わなくていいと、そうなるほうが私はモラルハザードだと思うんですね。
 補助制度などの支援なしでは、あとはもう市町村やってよと市町村任せとなり、結局ほとんど変化なしという結果となるおそれがあります。住民の身近な生活環境と相談・対応を担う基礎的自治体と、そして防災や観光というような広域的視野を持つ私たち県が、実際にこの廃屋・廃墟を撤去することを促進する、そういう支援制度、補助制度の創設に向けて動かなければ、めったに抜けない伝家の宝刀をつくるだけになりはしないでしょうか。
 防災の観点を別途検討するというのもいいんですけれども、景観目的の条例案だから重複して入れられないんですと、そういうかたいこと言わずに、非常に重要な課題をこの条例案に盛り込むことできませんか。
 以上3点、部長に再質問いたします。
○議長(新島 雄君) 再質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) まず、1点目の条例の実効性についてでございます。
 どの程度件数が想定されるのかということだと思いますけども、除却命令等への手続につきましては、周辺住民からの要請を受けて、それから開始されることになりますので、どれぐらいの件数が年間あるかといったことは、あらかじめ想定することは困難でございます。
 それから、権利侵害の件でございますが、除却命令を受けた所有者が除却することに不同意だった場合につきましては、行政不服審査法に基づきまして知事に異議申し立てを行うことができます。
 それから、残りの点でございますけども、補助制度につきましては、ちょっと繰り返しになりますが、所有者にも廃墟となるまで放置した道義的責任があると考えられますし、また、こちらとしてはモラルハザードにも懸念されるということで、補助による支援は適切ではないと考えております。
 なお、本条例では対応できない廃墟への対策について、本条例には廃墟としてはならない旨の最低限の規範を設けておりまして、現在、命令の対象とならない程度の廃墟については、今後適切な維持管理を行う必要が生じるため、廃墟化を防止する効果があると考えます。
 防災の観点からの廃墟対策につきましては、これも先ほど申しましたけども、大変重要な課題と認識しているところでございますので、今後別途検討させていただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 40番松坂英樹君。
○松坂英樹君 部長から答弁をいただきましたが、これもなかなか納得できないので、知事に今度は再質問をさせていただきたいと思います。
 今、部長のお話では、どれぐらい進むのかとお聞きしましたが答えられないと、補助制度についても、これはなかなか難しいんだ、防災観点を入れるのはこの条例をつくる上では難しいんだという話の繰り返しだったわけですね。
 そこで、私が今回、知事、質問の中で提案してるのは2つなんですよ。1つは、常識的に考えれば防災の観点のほうが大切だろうから、景観というのを看板にせずに、防災や安全を主たる目的に、景観もそれらに次ぐ目的・基準の1つとして織り込んだ、そういう条例にしたほうがいいんじゃないかという提案です。
 もう1つは、命令、代執行までいくような厄介なケースだけを対象にするんじゃなくて、広く任意の撤去が進むような仕掛けを、例えばこの条文の中に、市町村とともにそういう措置を講ずるものとするというような条文を追加して、支援制度、補助制度を検討していきませんかということを提案しているわけです。
 この2つの提案に対しての知事の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 再々質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2点についてお答え申し上げたいと思いますが、その2点についての御質問の根拠になっておる松坂議員の先ほどの御議論は、前半と後半でちょっと矛盾してるような感じがいたします。
 つまり、どんどん進めろと言えば、それは権利の侵害等々について目をつぶらないといけないようなところが出てまいります。それをきちんとやろうと思ったら、それは慎重な手続を経て、やっぱりやむを得ないなということで代執行までいって、最後は代執行をやった費用から、それによって例えば廃墟が撤去されたときに、実は更地になると価値が上がるんですね。そういうものまで差し引いて、その分を請求するというところまでやるわけです。
 したがいまして、そういう2つの観点から、両方配慮してやらないかんのに、一方で早うやれといって、一方で慎重にやれといって言われたら、そんなことはできるかということになるのではないかと思います。
 その観点で申し上げますと、実は防災の問題については、森議員の御質問に対して、私は今以上の答弁をさしていただきました。それは、条例をつくるとか法律をつくるとかいうのは、目的があって、それでその目的を達成するために、現行法で例えばできないところを足していくというようなことになろうかと思いますので、そういう点では、今回は景観という点でやりました。
 というのは、防災上、何の問題もなくても、普通、景観上あるいは都市利用上困るというような場合が都市なんかには大分あります。そういう問題について手出しができないので、手出しができるような法規範をつくったということでございます。
 一方、防災については、建築基準法の制度もあって、かなりの問題については対応できる。だから、同じような形ですぱっと入れるというのは多分難しかろうとは思います。しかしながら、建築基準法で対応できない可能性がないかどうか、必死で今考えておりまして、そういう問題がもしあるとすれば、御指摘があったように防災上、あるいは特に今回の津波対策上やらなきゃいけないのを、そういうできないというようなことがあったら、それはできるように、今回のノウハウを生かしてやっていくということを検討していこうと考えてるところでございます。
 第2番目に、任意の撤去を進めたらどうかという点については、別に進めては悪いということでは決してこれはございません。例えば、市町村が政策目的でこれを進めるために補助金をつくりたいということについて、別にそれはむしろ奨励すべきことだと思います。ただ、同じ法律の中で、例えばこういう法規範、こういう廃墟状態は悪いんですよということを言わないと、それを強制撤去して、その価値が上がった分の代金まで請求するというようなことは、多分おかしいと思うんですね。
 したがって、先ほどモラルハザードと言っていたのは、もう少し詳しく説明すると、同じ法律の中で、やっぱり今の状態が悪いんだから何とかしましょうと言ってるやつを、補助金あげますからどうですかと言うと、やっぱりちょっとおかしいんじゃないか。ですから、この条例の問題ではなくて、それぞれの市町村で、それぞれの政策目標で、目的をもとにして御検討いただければいい話ではないかと私は思います。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番川口文章君。
  〔川口文章君、登壇〕(拍手)
○川口文章君 議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問させていただきます。
 まず初めに、東日本大震災を教訓とした防災対策についてお聞きをいたします。
 このたびの東日本大震災におきまして犠牲になられた方、また、被災された皆様には心から哀悼の意をささげますとともに、心からお見舞いを申し上げます。
 過日より、先輩・同僚議員から未曾有の東日本大震災に対する御質問がございました。重複する点もあろうと思いますが、私は2点についてお聞きをいたしますので、よろしくお願いいたします。
 平成23年3月11日14時46分に、三陸沖を震源とする未曾有の巨大地震が発生し、報道による被災状況は悲惨なものでありました。その上に、東京電力福島原子力発電所が想定外の津波被害を受けまして、自然災害に加え、人為的な原子力被害を合わせた被災地の皆様の心情は推察に余りあります。
 私は、自民党県議団の有志議員とともに、5月24、25、26日の3日間にわたり、岩手県、宮城県の両県の被災状況を、適切な言葉ではございませんが、視察をさせていただきました。そして、御無理を申し上げて、岩手県の山田町を訪問し、復旧の対応に忙しい時間を割いていただきまして、沼崎町長さんから当日の被災状況の説明をいただきましたところ、まず、本県からの支援について、特に職員の派遣について御礼の言葉をいただいた次第であります。
 説明内容につきましては、大沢、山下直也両議員の一般質問の中で説明がありましたので省略はさせていただきますが、意見交換の中で町長さんはこう言われました。「適切な言葉ではないが、想定外でございました。まず、復旧することが大事であって、このような想定外の自然災害の復旧・復興は町だけではどうすることもできない」とのことであり、痛感した次第であります。
 今、国においては、この大事な時期に大きな政治空白があり、災害復旧対策がはっきりせず、重要案件について先送りの状況でございまして、第2次補正予算成立のめども立っていないばかりか、1.5次補正と言っているのが現実であります。「原子力被害の補償の問題、瓦れきの撤去、仮設住宅の建設等々は国の責任でやります」と言っておりますが、現金で国から交付されるわけではなく、「起債を認めるから、県、市町村で手だてをしてください。何年かにわたり交付税措置を講じます」、これでは地方公共団体だけではなく被災住民の要求にこたえられず、各自治体では国の政策決定を待つしかなく、補正予算の成立を待つしかないのであります。
 また、義援金、支援金の配布のおくれにつきましても、義援金総額の約15%程度しか被災者に届いていないのでございます。すべての被災住民の救済の窓口業務は市町村役場となり、市町村役場自体が被災し、相互応援がままならない状況では対応できず、住民の皆様は行政の相互応援による迅速な対応を求めているのではないでしょうか。
 そこで、提案したいのでありますが、国の指定による財団法人都道府県会館が管理する被災者生活再建支援制度に沿った基金に本県も拠出しており、また、国の指導によって、本県においても災害救助基金約5億円が造成されております。活用の目的が制限され、知事の裁量による基金の活用ができません。被災した人々にとれば、行政の迅速な対応を望んでいることは、このたびの東日本大震災を教訓とした防災対策の課題の1つとして明らかでございます。
 そこで、知事が知事の判断で県民が安心できる災害救助、支援対策が立案、実施できる施策として、対応の遅い国の復旧・復興対策を補完するため、財政状況が厳しい折でありますが、単年度で造成するのではなく、20年、30年計画で、仮称でありますが、先日の山下直也議員の一般質問に関連して、災害救助・支援対策基金の造成計画を立ててはいかがでしょうか。このことによって、県民の皆様も自然災害に対する県への信頼感、また県民の不安感の心を少しでもぬぐえるのではないでしょうか。
 以上のことを私の提言とさせていただきますので、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、復旧・復興における地籍調査の役割について、認識と進捗状況についてお聞きいたします。
 地籍調査の主な目的は、公共事業の円滑化、土地の権利関係の明確化等であり、復旧の迅速化の1つであると認識しており、今回の東日本大震災により、広範囲にわたり津波浸水被害が発生したことであります。ところで、多くの被災地については、地籍調査が9割程度完了しているため、地震に伴う地殻変動によりずれた基準点の修正は必要となるのでしょうが、土地の1筆の境界を正確に復元することが可能となりますので、本格的な復興が始まると、迅速な復興・復旧が可能となるということを聞いてございます。
 本県におきましても、発生の可能性が指摘されている東南海・南海地震においては、津波による被害が甚大となるおそれがあることから、今回の地震による津波被害を教訓にし、地震による津波被害の想定される地域における地籍調査の推進は必要であると考えます。平成17年4月に県が作成した津波浸水予測図に基づき各市町村が作成した津波ハザードマップにおいて、浸水予想区域における地籍調査の進捗率は平成22年度末現在で24%となっており、毎年約2%の進捗と聞いております。
 地籍調査は事業主体が市町村でありますが、県としての今後の地籍調査についての取り組み方針をお伺いします。
 私が岩手県の山田町を訪問し、沼崎町長さんとの意見交換の中で、山下直也議員も言われておりましたとおり、山田町では地籍調査中で、まだ完了しておらず、今後のために住宅の基礎、その周りの塀の基礎をそのまま残し、また、境界のはっきりしない住宅については、そのままの状態で今後調査するとのことでございました。
 先ほど触れましたが、今回の地震の発生に伴い、地面が大きく動き、地籍調査で設置した基準点の成果と現場にずれが生じているため、再測量等の作業が必要であると聞いておりますが、結局のところ二度手間となるか、また、その経費についてどうなるかもお伺いをいたしたいと思います。
 また、関連質問でございますが、公共事業実施予定区域における地籍調査の取り組みについてお伺いいたします。
 平成27年の和歌山国体開催に向けた高速道路等の整備の取り組みとして、京奈和自動車道の阪和自動車道への接続や近畿自動車道紀勢線の南紀田辺インターからすさみインターの完成に向け──これは仮称でございます──整備が進められておりますが、公図混乱の地域があるなど、円滑な用地買収を行うため地籍調査の必要な地域があると思いますが、その進捗状況をお聞かせ願います。
 また、主要県道泉佐野岩出線の南進区間に当たる備前交差点から岩出橋南詰交差点までの地籍調査の進捗状況についても、企画部長にお伺いいたします。
 次に、関西国際空港と伊丹空港の経営統合についてお尋ねいたします。
 関西国際空港開港の経緯につきましては、皆様もよく御存じであると思いますが、この問題について考えるときには前提として必要なことでありますので簡単に振り返りますと、関西国際空港は、伊丹空港の騒音問題の抜本的な解決を図るために、昭和49年、航空審議会が、大阪国際空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上と答申して建設を行った国策による空港でございます。
 我々も、伊丹空港の廃止が前提であるとの認識のもとに新空港の建設に協力したにもかかわらず、当時の運輸省が、将来の旅客需要を賄うために関西国際空港だけでは足りないと判断し、伊丹空港の存続が平成2年に決定されたという経緯がございます。
 平成6年9月4日に海上空港として開港した関西国際空港は、現在、我が国初の4000メートル級複数滑走路と完全24時間運用というグローバルスタンダードにかなった国際空港の機能を備えてございます。しかし、関西国際空港は、本県及び関西浮揚の中核となる国際拠点空港として発展することが期待されておりましたが、巨額な事業費から1兆円を超える有利子負債が発生し、関空会社の運営に重い負担となっていることや、関西3空港の関係から開港当初の期待に十分こたえる姿に至っておりません。
 航空ネットワークを見ますと、国際線旅客便については、ことしの夏期スケジュールでも、世界同時不況以降3年連続で就航便数をふやしています。関西の自治体が中心となって関空のエアポートプロモーションを行っておると聞いておりますが、ことしの夏期スケジュールでは、仁坂知事が団長として行ったアリタリア・イタリア航空とトルコ航空の増便があることは、仁坂知事の成果であり、御尽力に敬意を表するところでございます。
 また、関西国際空港を拠点とするローコストキャリアのピーチ・アビエーションが就航するなど明るい話題もありますが、国内線旅客便を見ますと、平成20年4月に国内16都市へ就航しておりましたが、本年4月には7都市まで減少しております。東日本大震災と福島の原発事故が、関西国際空港の国内線はもとより、回復基調にある国際線ネットワークに影響を与えるのではないかと強く懸念しております。
 そういった中、先月第177回通常国会で、関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律が成立しました。私は、関空、伊丹の経営統合が関西国際空港にとって大きな転換期になると思い、昨年の12月議会で、関西国際空港と伊丹空港の経営統合案に関しまして、まず1点目に経営統合案に関する知事の所見、2点目に経営統合案の効果、3点目に2つの新会社の経営は成り立つのか、4点目に空港運営への地元意見の反映について、4項目につきまして質問さしていただきました。
 また、県議会としても、統合後の事業運営会社が関西国際空港を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生する、伊丹空港は関西国際空港の補完空港として活用するとの方針を逸脱した空港運営がなされないかを憂慮し、関西国際空港と大阪国際空港の経営統合案に対する意見書を国会及び政府に提出したところであります。
 今回成立した法律の目的には、「関西国際空港の我が国の国際航空輸送網の拠点となる空港としての機能の再生及び強化並びに両空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大を図る」と明記されており、関空の機能強化が図られると期待する反面、伊丹空港を過大に活用することで、関西国際空港を国際拠点空港として再生するという本来の目的が阻害されるような空港運営がなされることも懸念されます。
 そこで、関西国際空港と伊丹空港の経営統合についての知事の御所見をお尋ねいたします。
 次に、生食用食品の衛生管理と指導の確保についてお聞きいたします。
 先日の新聞の1面に、「衛生基準を和歌山県全店が守らず」、また「飲食店は基準を教わっていない」との見出しで、厚生労働省の生食肉に関する全国調査の結果が突然発表されまして、びっくりし、驚いたのでありますが、中村議員が生食用食肉の衛生基準について質問されました。私も同感でございます。県の今後の対応については、生食用食肉の取り扱いについての監視の強化等の措置を講ずるとの答弁でありますので、安心したところであります。
 私は、生肉用食肉ではなく、生食用食品の全般についてお聞きをいたします。
 我が国は生食文化が旺盛で、最近のグルメブームと相まって、魚介類はもとより、牛、馬、シカなどの動物の生肉、卵、さらに生野菜のサラダを食べることが好まれます。国は、卵、水産食品については、それぞれ平成10年、13年に食中毒対策として食品衛生法に基づく規格基準が設定され、県は基準に沿って加工処理の徹底を指導、保健所を窓口とした抜き打ち検査、食品衛生協会を通じての啓発等の生食の衛生管理の徹底を図った結果、腸炎ビブリオ、サルモネラによる食中毒が減少したと聞いてございます。
 しかし、近年、O157、O111、O104等の重症化を招く病原性大腸菌が多発し、感染源は水産食品か生肉か生野菜かが病原菌の根拠かどうかわからないのが現実であります。県としては、国の基準を待って対応するまでもなく、生食用食品の衛生管理の指導の徹底が重要であると考えます。消費者の生食ニーズはおさまらず、生食ニーズにこたえた安全性の確保が求められているのではないでしょうか。
 そこで、お聞きいたします。
 生食用食品の衛生管理と指導の実績、腸炎ビブリオやサルモネラによる食中毒が減少したと聞いておりますが、発生状況、また生食用食品のすべてにわたっての安全確保と今後の県の対応について、環境生活部長にお聞きいたします。
 最後に、旧和歌山県議会議事堂「一乗閣」修復保存の早期完成についてでありますが、旧和歌山県議会議事堂は、和歌山県の県政史の象徴として、県議会の歴史の象徴として明治31年に和歌山市一番丁に建築され、当時洋風建築が主流の中で、威風堂々とした希少性が高い19世紀の和風木造2階建ての建物でありまして、吹き抜けの議場の格子天井や玄関周りの彫刻など、細部の装飾に至るまで和の様式で統一されており、約40年間にわたり県会議事堂としての役割を果たし、その間、和歌山市美園町への移築の解体移転に耐え、昭和37年に現在の岩出市の根来寺境内に移築され、一乗山根来寺に名にちなんで一乗閣と命名され、現在に至っております。
 和歌山県としては、平成16年12月に登録有形文化財に登録し、平成17年5月に県指定文化財に指定され、全国的にも、和歌山県にとっても貴重な建造物との認識の上に立って、移転修復の計画に乗り出していただきました。
 私は、平成20年9月の議会において一般質問させていただきました。仁坂知事は、「2度の移築を経ていることもありまして、建物の傷みが激しく、閉鎖されている状況であるため、根来寺や岩出市の協力を得ながらしっかりと修復保存をいたしまして、紀北地域の観光面における拠点として、県議会の歴史を伝える文化財として、和歌山の県政かくあったということを後世に残してまいりたい」との御答弁をいただいてございます。
 移転候補地については、平成17年、21年の2回にわたり地質調査の結果、活断層が走っているとのことで断念し、3回目の候補地については岩出市の若もの広場の東側の用地を購入し、県において根来寺遺跡発掘調査を進めていただきました。結果、活断層においても問題がなく、遺跡発掘調査の結果においても記録保存することにより、決定までには長い年月を要しましたが、修復保存移転候補地がやっと決定したものと聞いております。
 岩出市といたしましては、まず1つ目に、緑のサポーター事業──これは一乗閣修復保存募金事業でございますが──サポーター事業で、岩出市民、県下各種団体の修復保存寄附行為の協力がありました。2点目に、緑の歴史回廊の拠点として、紀の川流域の観光資源に重要な文化・観光施設であることといたしまして、早期着工、早期完成を望んでおります。
 県議会といたしましても、和歌山県議会の歴史に残る文化財的価値が高い遺産として、また紀の川流域の観光資源としても、特に平成27年に開催が決定している和歌山国体をにらんで、旧和歌山県議会議事堂「一乗閣」修復保存の早期完成を強く要望をいたしまして、私の一般質問を終わります。
 誠意ある御答弁をお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) ただいまの川口文章君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、被災地住民に対する支援の迅速な対応という観点から、準備をしておいたらどうかというような御質問に対してお答え申し上げます。
 今回の東日本大震災では、未曾有の被害が発生し、瓦れきの撤去に加え、義援金や被災者生活再建支援制度に基づく支援金の支給のおくれが問題となっております。義援金や支援金の支給がおくれているという理由といたしましては、申請窓口となる市町村等の人手不足が指摘されているところでありまして、迅速な支給を実現するためには、市町村職員の相互支援などによりマンパワーを確保することが何よりも必要ではないかと考えます。
 和歌山で起こると困るんでありますけれども、そういうときにこういうことがないように、例えば県がぱっと出張っていくというようなこともまた必要ではないかというふうに思います。
 また、瓦れきの撤去等の復旧対策、これが本当になぜあんなにおくれてるのかという点について、私も大変不思議に思うような現状でございます。聞いたら、国がやるべきなのにやらんとか、だれがやるかようわからんとか、そういうふうになっとる。そういうときは国がやりゃいいじゃないかと私は思うんでありますが、いずれにしてもおくれているようであります。
 これまた和歌山で起こると困るんですけれども、そういうときに瓦れきの撤去等の復旧対策について、当然迅速な対応をしなきゃいけないということだと思います。
 そこで、大変立派な御提言をいただいたんでありますが、考えてみると、それをしなくても覚悟を決めればできると思います。和歌山県は、例えばまだ基金があります。例えば今起こったときに、私の決断と皆様方の御了承があれば、例えば国がぐずぐずしてるならば県がやってしまって、後で災害救助法等による、あるいはひょっとしたら特例法が要るかもしれませんが、求償を求めるとか、そういうこともできないことではないと思います。資金を寝かしておくというのも、またちょっと県民に負担をかけてしまうというところもあると思います。
 そういうことでございまして、要は県当局が、もちろん国はもっとそうなんでありますが、決然とした決断をして早く対応するということが大事でございまして、もし和歌山県でそういうことが行われましたら、財源確保の方策についても、あらゆる手段を駆使して迅速にそれを行うという覚悟で現在おりますということだけ申し上げたいと思います。
 次に、関西空港と伊丹空港の経営統合についてでございます。
 議員御指摘のとおり、関西国際空港は1兆円を超える有利子負債により経営が縛られておりまして、航空会社にとって高コストな空港となっているために、すぐれた空港機能を十分発揮できておりません。このため国は、今回成立した経営統合法で、関西国際空港を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港と位置づけるとともに、両空港の経営を統合し、その運営権を民間企業に売却することで財務体質の改善に乗り出したことは、私は一歩前進と評価しております。
 しかしながら、これまた議員御指摘のように、関西国際空港を国際拠点空港として再生・強化するためには、拠点空港、すなわちハブ・アンド・スポークの機能の拡充が必要でありますので、さきの政府提案でも、関西で国際線が就航する空港は関西国際空港に限定せよと、あるいはスポークス機能を充実するために国内線を関西空港により集めるようにせよというようなことを申し上げている次第でございます。
 ただ、最近思いますのは、規制緩和がありまして、これも副作用が当然あるわけですが、航空会社の規制緩和によって、もうかるところだけ残して、もうからんところは切るというようなことがかなり自由にできてしまう時代になっております。そういうことに対しても、また我々は対応して、必死で頑張っていかないといかん。いつも頭を下げまくっておるんですけれども、そのたびごとに航空会社に経営の危機──実際あったわけですが、そういうことを言われてしまって、なかなかつらいなというようなのが現状であります。いずれにしても頑張ります。
 我が国の発展のためには、首都圏だけでなく関西にもハブ・アンド・スポーク機能を備えた国際拠点空港が不可欠であります。日本の大きさをもってすれば、東西両方に2つそれがあるということは極めて合理的で、かつ相場であると思います。そのために、伊丹空港には我慢していただいて、関西全体で関西国際空港を守り立てていく必要があると、あらゆる機会をとらえて訴えてまいりましたし、まいります。
 この経営統合を通じて、関西国際空港が首都圏空港と並ぶ国際拠点空港となるよう、関係機関や団体と連携して今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 復旧・復興における地籍調査につきましてお答えをさしていただきます。
 地籍調査につきましては、従来から公共事業や災害復旧を円滑に進める上で不可欠な調査として、事業主体である市町村と協議しながら推進しております。
 津波被害が想定される区域の地籍調査につきましては、浸水予想区域では調査の進捗率を5年間で25%引き上げ、おおむね50%となるよう鋭意関係市町との協議を進めているところでございます。また、地殻変動による基準点を復元するための経費についてでございますが、これに要する再測量等の経費は国庫補助事業の対象であり、その作業も軽微なものであります。
 次に、公共事業実施予定区域のうち地籍調査が必要な区域につきましては、本調査が重要な役割を果たしますので、今後とも積極的に推進してまいります。
 最後に、議員御質問の京奈和自動車道及び近畿自動車道の紀勢線の地籍調査についてでございますが、関係機関から調査の要望のあった区域につきましては、既に完了してございます。また、県道泉佐野岩出線の南進区域につきましても、今年度完了する予定となってございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 生食用食品の安全確保対策についてお答え申し上げます。
 県では、毎年、食品衛生監視指導計画を策定し、魚介類や食肉等の生食用食品を扱う営業施設等、食中毒の発生しやすい業態、延べ8500施設に対し、重点的に監視指導を実施し、流通している生食用食品を収去して、細菌汚染の有無等2万5700項目に及ぶ成分規格検査を行っております。また、300回に上る講習会を開催し、流通の各過程で処理や加工に携わる方に衛生管理の徹底を呼びかけてまいりました。さらに、それぞれの過程で安全への責任をより一層果たしていただくために、高い安全性を保証するHACCPの考え方に基づく衛生管理手法の導入、普及にも取り組んでおります。
 こうしたことから、生食用食品に起因する食中毒は、平成9年に11件の発生がありましたが、年々減少し、昨年はその発生がありませんでした。特に、現在問題となっている生食用食肉につきましては、衛生基準への適合性を評価し、公表するとともに、基準を満たさない食肉を流通から排除するため、監視指導並びに衛生基準の周知徹底をより一層講じてまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 以上で、川口文章君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時29分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長からお許しいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。よろしくお願い申し上げます。
 本日、3点でございますが、まず1点目、エネルギー問題について質問をさせていただきたいと思います。
 和歌山県を含む関西広域連合、ここは平成23年7月設立の自然エネルギー協議会に参画しようと、こういう意思表示をしていると思います。現在のところ賛同自治体は33、自然エネルギーの導入に向かおうとこの協議会ではしております。同協議会の2020年までの目標は、メガソーラーによるものが20万キロワット、つまり1カ所当たり2万キロワットのメガソーラーを10カ所の自治体でつくろうと、こういう計画をしていることになります。既に神奈川県、埼玉県、鳥取県、滋賀県、こういったところでは、建設計画への協力、こういう意思表示をしているところがあります。
 中でも神奈川県。自治体同士の共同、この計画に関しては共同というよりも自治体同士が競い合う、それが大事だということにしておりまして、単に太陽光だけを設置するんではなくて、電気自動車とセットにした神奈川モデル、こういったものを考えているようであります。
 岡山県も「おかやま新エネルギービジョン」、こういったものを策定いたしまして、2020年までに具体化しております、10件のメガソーラーという数値目標を掲げて誘致を図ろう、つまりエネルギー産業を核とした新産業をつくり出そうと、それによって地域の活性化を図ろう、こういう考えを持たしているところがあります。
 もう1つ、このソフトバンクによる自然エネルギー協議会の目的が、休耕地、それから耕作放棄地、これを活用した太陽光で5000キロワットの導入を目標にしているところがあります。農林水産省が判断した農地として利用に適していない土地、つまり耕作放棄地は1000平方キロメートルある、さらに休耕中の畑は膨大で、その面積は毎年ふえている、こういうふうに言われております。
 平成22年の9月、環境省がクリーンエネルギー政策を検討するために耕作放棄地などで太陽光発電の可能性について試算をしたものがあります。これによりますと、すべての耕作放棄地、河川、鉄道、海岸などにソーラーパネルを設置すれば、総発電能力が9400万キロワット、これだけに達するものがつくれるんではないだろうか、こういう試算があります。
 今回、ソフトバンクが太陽光を、まず最初の計画は福島県だったと思うんですが、ここに設置しようとしたのは、福島第1原子力、この4基で損なわれた500万キロワットを耕作放棄地で行おうとした、これがそもそもの始まりだったというふうに思います。
 環境省の試算を逆算して必要な耕作放棄地の面積を算出してみると、失われる500万キロワットに必要な広さ、これが7500ヘクタール、つまり福島県の耕作放棄地、これは2万2395ヘクタールですから、福島県の耕作放棄地の3分の1にソーラーパネルを設置する、これで賄えるということになるわけですが、それだけの休耕地を用意することは現実的ではありません。
 そこで、新エネルギー協議会を設置して全国に広げようと、そうしているわけであります。ただ、農地法第4条、農地の工業目的には転用の制限がありまして、耕作放棄地に太陽光発電を設置することはできません。そこで、国が農地法第4条を規制緩和し、耕作放棄地等を活用した太陽光発電施設、この設置を緩和する必要がありますが、これは容易ではない、こういうことであります。
 そこで、知事に質問をさしていただきたいと思います。
 工業用地を利用したもの、それから休耕地を利用したもの、このメガソーラーによる自然エネルギーの活用を目指している自然エネルギー協議会への参加の経緯を示していただき、他府県と比較して自然条件に適している和歌山県の今後の動きについてお答えください。
 2つ目、ソフトバンクのメガソーラー計画について質問をさしていただきます。
 2万キロワットのメガソーラー建設に対して、ソフトバンク側が79億円、誘致する自治体が1億円を支出して着手する計画、こういう計画になっておりますが、多くの自治体が参加の意思を明確にし始めている中、ソフトバンクのこの計画に関する和歌山県の考え方をお示しください。
 その中で、ソフトバンク側の言われている条件、例えば用地の無償提供、固定資産税の減免、1億円の支出など、難しい条件があればそれを示していただきまして、和歌山県がそれをクリアできるかどうかお答えいただきたいと思います。
 3点目、あわせて、関西広域連合の事務局のある大阪府に和歌山県としての候補地を伝えておりますが、それはどの地点なのでしょうか。和歌山市長もコスモパーク加太用地に誘致の意欲を見せていると言われておりますが、同用地も候補地として考えているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 さて、このメガソーラー計画に関しては、実はソフトバンクだけがパートナーになるわけではありません。和歌山県は、全国一の再生可能エネルギーの先進県を目指すだけの条件を備えているのですから、単にこのソーラーを誘致するだけではなく、その中で雇用と経済効果をぜひとも備えた誘致、そういった考えを持っていただきたいというふうに思います。
 滋賀県の嘉田知事は、「地域の産業振興や雇用に効果がある。県内市町にも協力を呼びかけたい」と、このように発言しております。産業振興と雇用に波及する仕組みを機能させたいものですが、ここでいう嘉田知事の地域の産業振興や雇用に効果のある仕組みというのは私には全くわかりませんが、和歌山県では、このことを具体化さして目指すべきだというふうに思います。
 和歌山県で考えられるもの──既に知事のほうにも提言をさしていただいてる話ですが──沿岸部の未利用埋立地、この活用策として建設ができないものだろうか、これが1点。高齢化と少子化、過疎化している地域の未利用公共用地の総合的な再開発の核としての分散型電源基地の建設、これが2点。それから、林業と共生を図れるウインドファームの建設、これが3点目。これらは可能だというふうに思います。やるからには、再生可能エネルギーを核とした、日本における少子高齢化、過疎化地域の課題解決を図れるモデルケースになるような計画を考えてほしいと思っております。
 ここで、地域の雇用に関して効果があるとする試算があります。松本環境大臣の「東日本大震災復興事業から日本の成長戦略へ」と題する資料ですが、ここでは再生可能エネルギーは地域の雇用が大きい、このように記されております。
 再生可能エネルギーを1470万キロワット拡大すると、こういう前提があるわけなんですが、それによると機器製造と建設、運用とメンテナンス、これで年間2.2万人の直接雇用があると推計されておりまして、また風力発電産業は2万点に及ぶ部品による組み立て産業であり関連産業へのすそ野が広い、こういう産業になり得ると、このようにされております。そして、一定の需要があれば、つまり和歌山県でこういったものが一定数建設されれば、地元での組み立て工場の立地も十分期待できるんではないだろうかと、こういうことになろうかと思います。
 そしてもう1つ、メガソーラー、ウインドファーム、こういったものは近隣の防災拠点、病院での利用も可能となりますから、県内各地の防災対策の観点からも有効ではないかというふうに思います。
 ただし、いいことばかりではなくて課題があります。エネルギー問題はそもそも国家戦略でありまして、国民負担や産業活動に与える影響、これについても考えるべきものでありますし、再生可能エネルギーの導入に関しては、質の確保、コストの上昇回避の対応が不可欠であります。企業が安心して国内投資ができるエネルギーコストの維持が必要で、この対応を誤れば経済活動の停滞と産業の空洞化を招く、こういうことになりますから、県民的、国民的な議論が必要となろうかと思います。
 これらの議論を踏まえまして、巨大リスクに備えた災害に強いエネルギー導入の考え方について、成長産業としての再生可能エネルギーの導入について、政府が発表した2020年の早い段階での再生可能エネルギー20%導入の考えについて、和歌山県の担うべき役割について、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 続きまして、この項目最後であります。
 電気自動車と充電スタンドについての質問です。
 和歌山県は電気自動車の普及に努めておりまして、充電スタンドを数カ所設置する、こういう計画は既にありますが、観光面から考えますと少し計画地点が少ないように思います。これらのところは、民間の力も合わせて設備をふやす必要があろうかと思います。
 今回、このほど国土交通省が決定したEV観光タクシーによる地方観光の活性化事業に和歌山市の観光事業が採択されました。EV観光タクシーを活用した観光振興と、自家用電気自動車とEV観光タクシーの連携を図り、観光振興につなげよう、こういう取り組みであります。
 ここで取り上げている観光プランは、和歌山市内のコース及び県内主要観光地コース、この2つがあります。和歌山市及びその近郊を中心としたモデルコース、観光コースは問題は少ないと思いますが、問題は、和歌山県広域観光コースでは現在の体制では問題が残ると、こういうことであります。
 つまり、今回採択されている観光事業においては、和歌山市と白浜温泉、龍神温泉を結ぶコースが1つ、和歌山市から白浜温泉、そして熊野古道から高野山に抜けるコース、これが2点目でありますが、このルートに充電スタンドが設置されるのかどうかが問題となります。
 和歌山県に来られる観光客の約60%は近畿圏からのお客様ということになっております。それぞれ和歌山市まで来られる距離は、大津市からだったら140キロ、京都市からだったら131キロ、奈良市から100キロというように、電気自動車のフル充電走行可能距離である180キロを考えると、観光をしながらの紀伊半島一周、往復、こういったものは厳しい距離にあります。
 そこで、自家用電気自動車所有の環境意識の高い観光客に安心してもらうために、この観光地向けの電気自動車導入の決定の機会に、和歌山県が充電施設が充実していることを訴えてほしいというふうに思います。県の充電スタンドで不足するようであれば民間の充電スタンドとの連携を図る、こういった仕組みも必要ですが、観光事業者や環境意識の高い会社では、充電スタンド設置に既に大きな関心を寄せております。県が充電スタンドを設置する事業とあわせて、民間が充電スタンドを設置する際の補助制度の早期適用を検討していただきたいというふうに思っております。
 そこで質問は、環境生活部長にお答えいただきたいんですが、我が県が電気自動車の普及と充電スタンドの拡大への取り組み、これをしているところなんですが、全国で20件という数少ない事業採択を行っていただいた観光事業、これを好機ととらえ、県内の観光事業者、民間への充電スタンドの設置の支援制度を早急に整えていただきたいと思います。
 また、県が取り組んでいる民間、公共の充電器をネットワーク化するためのルールづくり、つまり県内各都市間や世界遺産の主要拠点間を充電しながら移動できるよう、南北に長い本県の実情に即した充電ネットワークづくりの現状についてお答えをいただきたいと思います。
 続きまして、防災対策です。
 防災対策の中で、福祉避難所をまず論点に上げたいと思います。
 御存じのように、福祉避難所とは、地震や津波、こういった大災害が発生したときに、介護が必要な高齢者や障害者、病人などのうち、特別の配慮を必要とする人たちを一時的に受け入れてケアする施設、このことを指します。通常の避難施設となる小学校の体育館などの避難所での生活が困難な方のための避難所と位置づけられております。
 これは、平成20年に厚生労働省から福祉避難所設置・運営に関するガイドラインが出され、自治体と福祉施設の間で福祉協定を結ぶところが少しずつ、それ以降、ふえてきているところであります。そして、民間の福祉施設を福祉避難所として活用させていただくためには、事前に市町村と事業者がそれぞれ協定を結んでおく、こういう必要があります。
 和歌山県においては、平成20年6月、和歌山県災害時要援護者支援マニュアルを策定し、その避難所における支援の項目で「市町村は、避難所を設置すると同時に、介護員等の支援が必要な要援護者を対象とする福祉避難所を設ける」、このように明記されているところであります。
 ところが、現時点におきまして、和歌山県下で福祉避難所は71カ所、想定収容人員は3333人、これだけが設置されているところでありますが、福祉避難所による要援護者対策を進めている、このことは心強いことなんですが、市町村によって取り組みに温度差がある、ここが問題になっていようかと思います。
 今回のような大災害が発生すれば、まともに影響が出るのは要援護者の方々です。自力で避難することができないことや、仮に体育館にたどり着いたとしても支えがないと生活ができない、そういう皆さんのために、日常生活上の安全と安心を提供できるのが福祉避難所ですから、市町村を問わず積極的に進めてほしい、このように思っております。
 そこで、質問であります。
 和歌山市における福祉避難所の箇所数をお示しください。要援護者が多いと思われる和歌山市ですが、もし協定している福祉避難所の数が少ないとすれば、なぜ取り組みがおくれているのか、その理由をお答えください。和歌山市における今後の福祉避難所協定の見通しと進め方についても、福祉保健部長からお答えいただきたいと思います。
 続いて、災害時の要援護者対策についてです。
 3月11日以降、地域の皆さんと防災についていろいろな話し合いをさせていただきました。中でも気をつけておきたいなと思ったことは、要援護者の皆さんへの対応でありますが、非常時は自分のことが精いっぱいで、地域内の要援護者の方々までの共助、これは次の段階になるおそれがあるということです。
 私が出会った人の中でも、目が不自由な人、車いすが欠かせない人、透析を受けている患者の方、高齢のため1人では歩く距離が限られている、こういった方がいました。「和歌山でもし津波が発生したら、もう逃げられないので自宅でそのまま待つよ」と、こういうふうにあきらめて話してくれた方もいたほどです。これら要援護者の皆さんへの避難の仕方、避難場所の周知がされていないんではないかなというふうに感じているところであります。
 要援護者への対応は難しいことはわかります。1人1人事情が違いますから、統一的な対応ができないからです。マニュアルでは、市町村が在宅の要援護者の把握をする、このようになっておりますが、その情報を、実際に支援してくれる人、例えば民生委員や自治会の役員の方々と共有するということは、それほど簡単なことではありません。
 市町村が整えている台帳には、避難行動要援護者の把握、個別計画策定のための登録の働きかけがうたわれていますから、それが機能していれば大災害発生時には要援護者を支援することは可能かと思いますが、台帳を見せてもらったところ、書き込むべき情報量が多過ぎて、援護を求める方、必要とする方が到底書き切れるようなものとは思えませんでした。ただ、これが整備されているとすれば、要援護者対策は相当進むのではないかというふうにも思っているわけであります。
 そこで、質問でありますが、災害発生時の要援護者の登録を受けて、具体的な個別の避難計画や対応が可能になっているのでしょうか。私が回った限りにおいてですが、この支援体制や台帳の存在を知っている要援護者はいませんでした。
 また、自治会単位で自治会内の企業や高いビル所有者などとの非常時における避難場所として使えるような協定、これは要援護者にとっては期待しているところであり、有効であると思いますが、この点、行政主導で話を進められないものでしょうか。福祉保健部長にお答えいただきたいと思います。
 続いて、学校の登校・下校時における防災対策について質問をいたします。
 小中学校、高校の生徒が自宅にいる場合、学校内にいる場合の防災対策は、大人がそばにいるので比較的大丈夫だというふうに思いますが、登校や下校時など生徒が1人になる時間帯、この時間帯に災害が発生した場合、情報伝達や逃げ込む場所が問題となります。
 通常であればここまで考えるべきことではないかもわかりませんが、東北の震災以降、保護者の皆さんからはこういう言葉がありました。どんな場合においても子供の命、これは絶対守りたい、特に母親としては守るべきものだと、こういうふうな言葉で表現してくれましたように、大人との情報が遮断される環境下での防災対策、これもぜひ検討の土台に上げていただきたいなというふうに思います。
 例えば、通学路にある避難場所を日常から知らせておくこと、教室に避難施設の地図を張っていくことなども方法だと思いますし、携帯電話の活用は違った意味での問題もありますから、強く勧めることはできませんが、携帯電話による情報伝達も考えられるというふうに思います。
 通学途中における生徒の安全対策は、主に海に近い場所に立地している学校、ここに通っている保護者から意見が多数寄せられております。学校の建っている位置によって防災対策は違ってくるのは当然のことだと思いますから、学校単位での防災の取り組みの中で検討してほしい課題だというふうに思います。
 そこで、教育長に質問をさしていただきます。
 登校・下校時に災害が発生した場合の生徒への情報伝達と避難方法についてはどう考えているでしょうか。また、保護者と学校の皆さんとの連携も必要だというふうに思いますが、学校としての防災対策についてお答えをいただきたいと思います。
 最後の項目です。最後は、げんき開発研究所、この活用についての質問をさしていただきます。
 国体に向けて、アスリートを科学医療の観点から支援する拠点の1つがげんき開発研究所です。ここは、スポーツ医科学の研究、県民の皆さんに向けたスポーツ教室、そしてトップアスリートへのメディカルサポート、こういったものを実施している施設であります。
 先日、施設見学に行ったところ、その機能とソフト面での充実した支援体制に驚きました。研究施設には3次元動作解析、人工気候室を初めとする設備が整えられています。この3次元動作解析装置というのは、例えばランニングフォーム、野球のピッチングフォーム、こういったものの解析を多面的に行えるので、これによってフォームを解析した結果、より速く、より強く、けがをしないフォームづくりのアドバイスが可能になる、そして身体バランスの測定など、見た目ではわからなかった部分のスポーツ動作の解析が行える、こういう特徴があります。また、人工気候室、これはすぐれものでして、地球上に存在するすべての地域の気温と湿度、これを人工的につくり出すことが可能な施設で、全国的にもまれな設備となっております。
 これだけの施設を持っているのは、東京にある国立スポーツ科学センターと我が県が持っているげんき開発研究所、この2つだけだというふうな評価も、担当する人から聞かしていただきました。
 そして、設備があって、もう1つ欠かせないものが、その設備を使って評価できる人の配置、そしてソフト面での支援体制ですが、ここでも何の心配も要らないと感じました。スポーツ医科学の専門家を配置して解析データの活用には万全を期していますから、国体に向けてこの施設の活用を図ることが今後の課題かなというふうに感じております。
 活用を図るためには仕組みが必要で、この研究所が置かれているのは和歌山市内ですから、県内のすべてのアスリートの皆さんに活用していただくのは困難ですし、専門家の人数が限られているため、すべての競技者までアドバイスすることも難しいところであります。この施設とここにいる専門家の活用を図るためには、指導者への指導を重点的に行い、よき指導者をつくること、これが大切だと思います。よき指導者を輩出することで、県内各地で、そして競技種目に関係なく、アスリートの支援と競技レベルの向上につながることができます。
 今では体制を整えるということは、それほど困難なことではないというふうに思います。例えば、ネット回線を利用すれば、この研究所と遠隔地の高校などとを結ぶことができますから、データの送信と解析に基づいた指導者への助言・指導が可能となります。既に体育系の大学を持っている県では、大学と高校などを結び、機能させていますが、和歌山県に今までその仕組みはなかったわけですが、この研究所が存在していることから、専門家によるスポーツ医科学の指導、遠隔地であっても可能となっているわけであります。ネット回線を利用するだけで、遠くてデータに基づく直接指導ができない、こういう理由はなくなっているわけであります。また、人材についても、民間の優秀なトレーナーと連携すれば、人材不足や設備不足も解消されます。
 つまり、げんき開発研究所を中心にデータの連携とトレーナーとの協力体制を整えたら、それで準備は整うと、こういうわけであります。国体に向けて、そしてその先にある県民の皆さんの健康づくりのためにも、げんき開発研究所のさらなる活用を図ってほしい、このように思っております。
 そこで、質問であります。
 げんき開発研究所のスポーツ医科学の拠点としての活用について、どのように考えているのでしょうか。そして、県内のトレーナーとの連携を図る仕組みは必要だと思いますが、その仕組みをつくることは可能でしょうか。
 そして、メディカルチェックや専門体力測定、科学的トレーニング指導を県内に広げるべきだと思いますが、医科学に関して、県内格差をなくすための方法についてお考えはありますでしょうか。この点につきまして、教育長の答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エネルギー問題につきまして、4点お答え申し上げます。
 まず、協議会への参加と今後の動きについてということでございます。
 本年5月の26日に第7回の関西広域連合委員会がありまして、その会議の後、ソフトバンクの孫正義社長が、自然エネルギー協議会の概要と、それからプロジェクトについて御説明になって、関西広域連合として協議会に参加することを決めました。
 本県といたしましても、自然エネルギーの普及促進のための協議会の趣旨に賛成し、それでプロジェクトとしての候補地を提案しているところであります。
 今後、自然エネルギー協議会への参加を表明している関係道府県とソフトバンクとの間で事務レベルの連絡会が開催されまして、今後の方針等について、当然のことながらすり合わせを行った上で、どうも7月ぐらいに第1回自然エネルギー協議会が開かれるというふうに聞いておりまして、これに参加するということになっております。
 次に、ソフトバンクのメガソーラー計画に対してどうかということでありますが、これは孫社長の話によると、プロジェクトという、そういう言葉でございましたが、メガソーラー計画、議員御指摘のとおりでございます。これについては、もともと和歌山県としては日照時間も長いし、それから遊休地も結構あるということで、それから自然エネルギーの話ですから、本県としても積極的にかかわっていきたいと考えております。
 その前提としては、孫正義社長は、まさに5月26日に言うとったんですが、1つは全量買い取り制の議論ができないといかんと、しかも高い価格で買ってもらわないと困ると。それから、接続ですね。電力会社の送電線への接続について拒絶をされるようなことがあったらどうしようもないから、それは接続をさしてもらわないと困る。3つ目は、農地などにも設置したいので、例えば農地のまま設置することが許される等々、規制の緩和をしてもらわないと困る、こういうようなことを言うておりまして、こういうことについては協議会のほうでみんなで応援していこうということになっております。
 これについては、今まさに国会でも法案が提出されて、特に買い取りについての強制力をもっと高めるというようなことが提案されております。
 私どもは、これに賛成なんですけれども、ただ一方では、当然、全量を高い価格で買い取ったら、電気料金にそれはいずれはね返ってくるだろうというようなことは明らかなわけです。しかし、今の自然エネルギーを大事にしようという流れの中では、そういうことも腹に含みつつ、甘受しつつ賛成をしていくのがよろしいんじゃないかと私は思っております。
 それから、プロジェクトについては、先ほど申し上げましたように、我々として提案をしております。議員から御指摘がありました条件については、先方から非公式で暫定的に、かつノンコミッタルに言われた話ですので、私がそれに言及するというのはちょっとよろしくないと思いますので、言わないでおきます。
 しかし、例えば仮定の問題として、用地の無償提供というのが絶対的な条件であるとするならば、それを計算いたしますと、実は80億円に対して自治体は1億円出せばいいという話ですが、数10%ぐらいの助成率になってしまう、つまり用地をただで上げるということによって。そういうことにもなりますし、それから民間でもこのメガソーラーのプロジェクトというのは実はあります。そういうものが、そんなんだったらうちはどうしてくれるんだと、こういうことになって、みんないなくなってしまう。あるいは、普通の企業誘致ですら、土地をただでくれなきゃ絶対行ってやらないということになっていきます。そうなると、すべての政策ががたがたになりますので、条件がリーズナブルでないと乗れないということだと思います。
 そういう点で、この間、広域連合で話をしたときも、私から──ほかの知事さんは割合無条件で、ちょっと「おっ」となってるような感じがあったんですけども──プロジェクトに関しては合理的で乗りやすい条件を提示してくれないと、あるいはそういう形でまとめてくれないと進みませんよというようなことを申し上げて、それはそのとおりだという話を承っております。条件が合いましたら積極的にやっていきたい、そんなふうに思います。
 それから、候補地等々につきまして、今申し上げましたような一応事情でございますので、それに言及しておられる、具体的な地名に言及しておられる首長さんもいらっしゃるように今お聞きいたしましたが、私のほうでは今のような状態でございますので、まだそれを申し上げる段階ではないというふうにお答えしておきたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーに関して和歌山県の担うべき役割ということなんですけれども、これまで申し上げておりましたけれども、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立いたしますと、全量買い取り方式の固定価格買い取り制度が始まり、買い取り価格によりましては、それがメガソーラーをどんどん惹起いたしまして、それが新たな成長分野になる可能性が出てくると考えております。
 先ほど申し上げましたように、もちろんこれは電力料金等々の問題との絡みでいろいろ考えなけりゃならない問題はありますが、基本的には進めるべきだと私ども思っておりますので、協議会等の活動を通じて前向きに対応していきたい、そういうふうに思います。
 プロジェクトにつきましても、和歌山県の有利な状況を大いにアピールしながら、リーズナブルな条件であれば積極的に対応して、これがうまくいきますと、少なくとも設備がどんどんできていきます。そうすると固定資産税とか、そういうのが上がります。雇用については、つくっておるときは雇用が多いんですが、できてしまうとちょっと普通の製造業などに比べると雇用者が少ない傾向がありますが、それでも何がしかのプラスはあることは事実であります。したがって、こういうことについても積極的に我々としては対応する、そのためのチャンスをうかがう、そういうことでやっていきたいと思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 電気自動車と充電スタンドについてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、電気自動車を利用する方々に県内の観光地を訪問していただこうとすれば、公共が設置する充電器だけでは十分ではなく、民間が設置する充電器を組み込んだ充電ネットワーク網を整えることが必要だと考えております。このため県では、一般にも開放することを条件に、民間での充電器設置を支援する補助制度を近く創設する予定であり、電気自動車普及という面からも大いに利用を働きかけてまいりたいと考えております。
 なお、県内の充電ネットワークづくりの現状については、過日、核となる急速充電器の設置希望を市町村に募ったところであり、近く観光ルートなども勘案して6カ所程度の設置先を決定し、民間充電器の一般開放ルールづくりなども進めながら、年度内の充電ネットワーク構築を目指してまいります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 防災対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、和歌山市における福祉避難所の箇所数ですが、和歌山市では、これまで福祉避難所の指定を行った例はないと聞いております。和歌山市において福祉避難所の指定がおくれていることについては特段の理由はないようですが、県で災害時要援護者支援マニュアルを策定し、市町村に周知してから既に約3年が経過していることからすれば、和歌山市の取り組みはおくれていると言わざるを得ません。
 今後、県としては、和歌山市における福祉避難所の指定に向けて強力に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、災害時の要援護者対策につきましては、市町村において避難時の支援者が身近にいない避難行動要支援者1人1人に対応する個別計画の策定を進めているところです。本年4月1日現在、26市町で策定中となっており、現在のところ、要支援者の登録者数は約1万8000人、このうち約3割の方について個別計画が作成されております。県といたしましては、残り約7割の方の個別計画の作成を求めるとともに、民生委員・児童委員初め地域住民の協力を得ながら、さらなる要支援者の把握及び個別計画の作成を促進するよう、引き続き働きかけてまいります。
 また、自治会や自主防災組織が建物所有者の同意のもと、民間の建物を非常時の避難場所として活用することは、要援護者の避難支援をより早く安全に行うための取り組みとして有効な支援策であると認識しております。県といたしましては、こういった有効な手法について、市町村において積極的に取り組みを検討するよう助言してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 登校・下校時における避難方法とげんき開発研究所の活用について、2点の御質問にお答えします。
 登校・下校時における避難方法、避難場所及び情報伝達については、学校の置かれた地理的条件等を踏まえた適切な指導の徹底と伝達体制の構築が必要であり、既に登下校時の対応を含めた各学校の防災対策の総点検を行うよう指導しております。
 こうした中、学校によっては、親子で話し合って家庭における防災マップを作成したり、自治会と連携して高層マンションを避難場所とするなど、積極的な取り組みが始まっております。
 登下校時の避難については、子供たち自身に地域の避難経路等の実情を確認させるとともに、一刻を争うときには、マニュアルによらず、主体的に判断し行動できる力を身につけさせる必要があります。そのため、現在作成を進めている地震・津波防災教育のための教材を活用し、防災意識を一層高める取り組みを進めることといたしております。
 また、今回の東日本大震災後に教育庁内に公立、私立を含めた防災対策会議を設置し、協議を行うとともに、各学校に対し防災対策に関する実態調査を行いました。それらの結果を踏まえ、地域の方々の協力のもとに保護者や学校への緊急連絡体制を構築するなど、登下校時も含めたよりきめ細かく柔軟な対応策を講じるよう通知することとしています。
 今後とも、児童生徒の命を守ることを最優先に、学校における防災対策に万全を期する所存でございます。
 次に、げんき開発研究所の活用についてにお答えします。
 和歌山県立医科大学みらい医療推進センターげんき開発研究所の活用については、県教育委員会としましては、現在、紀の国わかやま国体での男女総合優勝に向け、県競技力向上対策本部が中心となり、県体育協会と連携を図りながらさまざまな強化対策を講じております。その1つとして、本年度より、きのくに医・科学サポート事業を立ち上げ、スポーツ医科学面からのサポートの充実を図ってまいることとしております。
 議員御指摘のとおり、げんき開発研究所は、日本でも数少ない最新機器が設置されておりますので、トップアスリートに対する医科学サポートの拠点として、施設の有効的な活用に努めてまいりたいと考えております。
 また、県内の多くのアスリートに医科学サポートの理解を進め、実施していくことは大変重要なことであります。指導者を対象とした医科学セミナーの開催、スポーツトレーナーや指導者間のネットワークの構築等により、スポーツ医科学サポートを県内に広げていきたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問を許します。
 31番片桐章浩君。
○片桐章浩君 お答えありがとうございます。
 ちょっと驚きまして、実は、けさ和歌山市に福祉避難所がゼロということと、ゼロの理由に特段の理由がないということを知りまして、これはえらいこっちゃというふうに思うたわけなんですが、もしこれ、県直営だったらここで激しく突っ込みたいところなんですが、ほかの地方自治体ということもありまして、多分お答えができないだろうというんで、ちょっと意見だけを述べさしていただきたいというふうに思うんです。
 平成20年度からこの福祉避難所というのが設置に向けて作業が進められていると。いまだに個別計画の作業も遅延しているというお答えもいただきまして、しかも把握している要援護者のうち個別計画できるのがわずか30%。把握してるのも全員じゃないんですよ、全体じゃない。全体じゃないうちの把握してる中の30%しかないということで、支援体制が整っていないというふうな状況が今回わかったわけなんですが、まず、ここを把握してから福祉避難所の指定を考えるというスピードで作業を進めると、非常時には到底これ備えられない、このように思っております。
 和歌山市がタイトな仕事をしているというのはわかりますが、タイトな仕事をしているのであれば、余計にこの課題を自分のところで抱えておかないで、早く福祉避難所を指定して要援護者の支援をそこにゆだねていったら、そういう仕組みをつくったら、作業量、仕事も軽減できるんじゃないのかなというふうに思うわけであります。
 福祉避難所の指定に問題があるとすれば、受けてくれないということだと思いますが、実は受けてくれる福祉施設、やろうよと、やるよという福祉施設は、いっぱいあるわけですよね。これ多分、市も知ってると思います。幾つか申し出してるのがありながら3年間も放置している、ここが僕は問題だというふうに思っております。
 その中において、県の姿勢として、知事がことしの4月、新人職員の研修会においてこういう話をしているわけです。「考えるのは1日でできる。調査・検討という政策はない」、こういうことを話しております。非常にいい内容なんで、ちょっと引用さしていただきます。
 「1年かけて検討しますなんていうことはいっぱいあると。検討している間は人々は幸せになりません」──結果が得られないんだから幸せになれないということですよね──「考えるのは1日でできる。考えるのは1日でできるから、検討みたいなものはすぐにやってしまおう。しかし、調査をします、検討します、考えますと言って1年もほったらかしているというのは、世の中に、特に行政機関にはいっぱいあります」と、このように新人の前で話しているわけです。
 今回、福祉避難所の指定ゼロという状態は、3年が経過し、しかも特定の理由もなく指定がゼロという状況、そんなことが今ここで起きている、こういうことをぜひ強く指導してほしいというふうに思います。
 そうこうしているうちに3月11日が来まして、このとき和歌山市内の片男波の自治会では、自治会が災害助け合い登録書というのを、これももうずっと以前から自主的につくって、地域内の要援護者の把握、これ、もう完了しているわけです。そして、支援者と要援護者をあらかじめ指定しているため、さきの震災において津波警報の際は自治会が率先して避難させたと、こういう事実もあります。できているところはできているわけです。
 作業完了を待っていたら、この先一体、福祉避難所指定、何年かかるかわかりません。把握している現状を踏まえて、また福祉避難所を一緒にやろうやと言うてくれる民間がいてるわけですから、そういった協定を速やかに結ぶことが地域の皆さんの安全と安心につながると思いますんで、ぜひ強力に県がリーダーシップを、音頭をとって進めていただくように強く要望して、一般質問を終わります。ありがとうございます。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 一般質問に先立ちまして、一言ごあいさつをさせていただきます。
 このたびの選挙にて、新宮市選挙区より選出されました濱口太史でございます。この歴史と伝統ある和歌山県議会において、登壇の機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げますとともに、大変身の引き締まる思いであります。
 さて、私は、新宮を元気に、その思いで昨年2月に出馬を表明して以来、新宮市内をくまなく回り、地域住民の皆さんの声をお聞きしてまいりました。その中で、市民、民間、行政、そして県と市、それぞれの立場において考え方や取り組み方の違いはあるものの、地域の発展を第一に思う熱意や、生活の中に安心と安全を求める気持ちは皆同じで、それを達成するための並々ならぬ努力や行動に大いに感銘を受けました。
 しかし、そんな積極的な人たちがたくさん住んでいるのに、なぜ地域は元気をなくしてしまっているのでしょうか。私は、それぞれのつながりと協調、そして相手を思いやる心が欠如しているからではないかと考えました。
 そこで、人と人との心をつなぎ、新宮市と県や国とをつなぎ、地域に前向きなやる気を出していただいて、明るい未来へとつないでいくための歯車になることを決意し、現場第一主義、対話を重視した顔の見える政治家を目指し、日々の活動に取り組んでいるところであります。初心をいつまでも見失うことなく、県議会へお送りいただきました新宮市民の皆様の御支援、そしてまた御期待を自分の心と体に刻み込み、郷土の発展、さらには和歌山県の発展に貢献できますよう、微力ですが精いっぱい全身全霊で頑張ってまいります。
 何分初めての一般質問で緊張を隠せませんが、その点は何とぞ御容赦のほどお願い申し上げます。先輩・同僚議員の皆様方、また知事を初め県当局の皆様、どうかよろしくお願いいたします。
 では、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まずは、防災対策についてお尋ねをいたします。
 私も、震災発生から45日目の4月26日から4日間にわたって、被災に遭われました宮城県石巻市、女川町、また新宮市の姉妹都市である宮城県名取市に、市の商工会議所や観光協会のメンバーとともに訪れ、朝市の復活に新宮市も物産販売で御協力させていただき、売上金も地域の復興に向けた義援金の一部としてお受け取りをいただきました。
 その後、被災状況をつぶさに見せていただきました。唖然とするという感覚を生まれて初めて経験いたしました。
 被災後、ほとんど休みなしで勤務しておられた市の職員の方たちには精神的に厳しい中でありましたが、災害発生当時の状況の説明や感想、求めておられる支援策の要望などを伺わせていただきました。
 3カ月を経過した今では、被災地の状況はかなり変化しているとは思われますが、報道を見る限りでは復興へという段階にはほど遠く、今もなお被災者の方々ははかり知れないダメージや先々の不安にさいなまれておられることとお察しいたします。犠牲になられました1万5000人を超えるとうとい命、そして7600人を超えるいまだに行方のわからない方々、大災害に見舞われました皆様方には、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 報道では、支援が手薄になってきているということもありますが、被災者の方々の不安が勇気と希望に変わるまでは、今こそ日本の魂を1つにした長期支援が不可欠であると思います。
 私も海のすぐそばで生まれ育ちましたが、海で生計を立てている地域が海によって破壊されたという事実を目の当たりにして、本当に切ない思いでいっぱいになりました。私もお役に立てることを探し、尽くしてまいりたいと思います。それと同時に、せっかくいただいた貴重な情報を、私たちの地域の人命を守るために余すことなく教訓として生かしていかなければならないと考えている次第であります。
 震災や津波に関する質問は、既に登壇なされました議員の皆さんがいろいろと御質問されておりますが、私は、避難時間が特に短い地域での避難対策と取り組みにつきましてお尋ねをいたします。
 私の住む新宮市や東牟婁郡は、東南海地震等の同時発生から、速いところで串本町には6分で津波が到達すると予測されております。揺れがおさまった段階で、反射的になおかつ一目散に高台を目指して逃げるということを日ごろから強く意識し、自主的に自治会や町内会、職場や学校、お客様が来られるお店やホテル、旅館、そして各家庭で、想定はあくまで目安として、よりベストな避難方法を追求していく、それが重要なことだと専門家のお話であります。
 また、災害弱者でありますひとり暮らしの高齢者や何らかの障害のある方、幼い子供も一緒に安全な場所に避難できる手段を早急に確立しておかなければなりません。
 そして行政の役割は、それぞれの地域の事情を考慮した避難先、避難場所の確保や指定、避難経路を整備していくことであります。もしもその地域に適当な高台がなければ、当然、津波避難用施設の建設が必要となります。また、その建設に当たりましては、津波の性質やパワーをあらゆる角度から徹底的に分析を行い、例えば自然の猛威をまともに面で受けるのではなく、波の力を逃がすような形状にするなど、最善を尽くした構造物であることが望まれます。
 さらには、命が助かった後のことも十分考慮し、飲み水や非常食、生活必需用品、医薬品なども備える必要があります。また、トイレもできる限り多く備え、衛生面の配慮ができれば理想的であります。
 さて、先日、国会において津波対策推進法が成立したところでありますが、近い将来起こり得る地震を想定したときに、この法律はまさに和歌山県、特に新宮・東牟婁のための法律であると言っても過言ではないと思います。この法律を和歌山県が先頭になって活用し、津波到達が速い地域での避難対策をよりスピードアップしていかなければならないと認識しています。
 そこで、危機管理監には、新宮・東牟婁のように短時間で避難しなければならない地域におけるその対策と取り組み状況について、御答弁をお願いいたします。
 次に、道路関係についてお尋ねします。
 現在、県内の高速道路建設は、田辺市からすさみ町までの区間が平成27年完成を目指して進んでいるところでございます。また、既に供用されている那智勝浦新宮道路約8.9キロメートルの延長は、太地インターまでがつながる計画になっております。
 地域の産業振興や観光振興面で効果をもたらすための高速道路ではありますが、災害時の緊急輸送路の確保という観点からも非常に重要であります。このような観点からすれば、東牟婁地域にとっては、高速道路が未整備というのは万一災害が起こったときの不安材料となっております。このことに関しましては、一般質問初日に先輩の中村議員、山下直也議員、2日目には大沢議員も質問されておられましたが、地域にとりましては命の道として早期の整備が熱望されております。
 また、長年の懸案であります熊野川河口大橋につきましても新宮市民から要望されておりますが、この橋は国道42号のバイパス道路としての期待も高く、早期の着工が望まれております。お隣の三重県の東紀州地域における高速道路につきましては、熊野市までの区間が平成25年度の完成を目指し急ピッチで工事が進められており、名古屋─新宮間が大幅短縮されるとともに、その整備のスピード感の違いにも驚きます。
 そこで、こうした未着手区間を含めた紀伊半島を一周する高速道路の整備に対する取り組みにつきまして、知事に御答弁をお願いいたします。
 次に、新宮市内の道路整備によります震災・津波対策はどうなっているのかという点に着目いたしました。
 さきの東日本大震災では、高速道路が津波堤防の役割を果たしたという事例がありました。それと同じ状況が名取市でも見られました。
 そこで御提案いたしますのは、建設が検討されている熊野川河口大橋へと連結する新宮から県境に向けた沿岸部の道路の有効利用であります。広角から王子ヶ浜を通り、熊野川の河口大橋につなぐ区間に約2キロの堤防道路として整備するというのはいかがでしょうか。この堤防道路は、国の方針でもあります盛り土などの工法を用いて10メートルから15メートルほどの高さに整備するもので、防災堤防と自動車専用道の役割を果たす一石二鳥の整備計画です。
 さらに、将来的には、河口大橋から上流に向けた堤防機能を兼ね備えたアクセス道路を整備することにより、河口をさかのぼる津波対策に加え、国道42号沿いの商店への買い物客や熊野速玉大社への参拝客の利便性を図ることも考えられます。
 この熊野川河口大橋の建設とあわせた防災堤防道路の整備、推進につきましては、今月13日に新宮市当局が県土整備部に陳情に訪れ、国への働きかけを強く要望いたしました。
 ちなみに、主要道路である国道42号の橋本交差点から県境までの区間は、車社会となって久しい現在でも、いまだに片側1車線という道路であります。しかし、この国道を2車線化することは用地的にも困難かと思います。ならば、そのかわりの自動車用道路としても、沿岸道路の整備には意義があるのではないかという市当局からの説明もありました。私も県民代表の立場で、皆さんと一緒に、津波に対する沿岸部住民の危機感、早期実現を熱望する思いを訴えさせていただいたところであります。
 こうした道路に対する今後の取り組みについて、県土整備部長に御答弁をお願いいたします。
 続きまして、伊勢神宮の式年遷宮に絡めた誘客対策についてでございます。
 私の住む新宮・東牟婁地域では、観光産業が地域経済を支えている屋台骨であることはだれもが知るところであります。さらに、宿泊を伴う観光客誘致が地域経済へ高い波及効果をもたらすことは言うまでもありません。しかしながら、本県を訪れる観光客は、平成19年の3200万人をピークに、その後伸び悩んでいるのが現状であります。
 なお、和歌山県長期総合計画では、平成29年までの観光客の目標は総数で3300万人、宿泊客で600万人を設定しています。しかしながら、現状を見てみると、経済効果を期待する宿泊客数は芳しくありません。国内外に誇れる世界遺産、高野・熊野の知名度を生かし、主に宿泊客増加対策が求められているのであります。
 そこで着目いたしますのは、20年に一度の大きな行事、平成25年に開催されます伊勢神宮の式年遷宮であります。年間1100万人とも言われる全国津々浦々から訪れるお伊勢参り客は、そのほとんどが宿泊を伴う観光客であると思われます。仮に、その10%にそのまま和歌山県に足を伸ばしていただくだけでも、110万人の宿泊客をふやすことになります。
 伊勢方面からの誘客に、これまでにもあらゆる観光産業の関係者の方たちが御尽力をされてこられたとのことです。しかし、残念ながら、なかなか実績にはつながらなかったとのお話も伺っております。
 しかし、これまでと状況が違いますのは、平成25年には三重県側の高速道路が熊野市まで完成し、和歌山県までのアクセスがしやすくなるということです。
 県におかれましては、この千載一遇のチャンスを逃すことのないよう準備が進められているとは思われますが、どのような受け入れ態勢を整え、どのようなPR、働きかけを行っていくのか、その取り組みの現状と今後の対策について、商工観光労働部長に御答弁をお願いいたします。
 もう1点、観光について質問いたします。
 熊野の世界遺産登録の象徴である熊野古道が脚光を浴びていることはとても喜ばしいことであります。確かに長い時間をかけて歩く修験の道であり、古道を歩いて熊野を体感していただくことは大変意義深いものがあります。
 しかしながら、個人的な見解かもしれませんが、ややもするとハイキングや森林浴といったイメージだけが浸透している気がしてなりません。地元に住む立場といたしましては、古道のその先にある地域全体が持つ奥深い魅力をもっと感じていただけたらと思います。そのためには、少しでも長く滞在していただき、海と山と川が人に与える安らぎ、熊野三山を核とした神々の力、温泉や自然の幸、そして一番の魅力である思いやりと素朴さと激しさを兼ね備えた熊野に暮らす人たちともぜひ触れ合っていただきたいのです。
 温故知新という言葉がございますが、熊野におきましては、かつてアリの熊野もうでと表現されるほど、熊野の力を求めて訪れる人たちの行列が後を絶たない状況があったわけです。そのいにしえの時代に求められた魅力とは一体何だったのかを追求し、それが現代に生きる人たちにも必要とされるものであるとすれば、それをコンセプトにして現代風の観光素材やプログラムをつくり出すことができると思います。熊野の価値をさらに高め、全国への誘客戦略の1つとなるのではないでしょうか。
 また、宿泊客の増加には、多様化する観光客ニーズを的確にとらえ、地域の魅力を最大限に生かした滞在していただくための時間消費型の観光メニュー開発、それも必要であると思います。その一例が、世界遺産登録を契機として始まりました「語り部と歩く熊野古道」、パワースポットめぐりや、さらには古きよき時代を体感する「まちなか観光」が挙げられます。
 その他、新宮市観光協会が中心となり、県内に先駆けたレンタサイクルの貸し出しや、組織との連携による町なか観光を進めております。また、今では県内でよく見かけるまちなか観光案内所、これも新宮が発祥地となっており、官民協働による滞在型観光地へと変化しつつあります。
 熊野地域では、その他の町村でも同様の取り組みが行われております。そこで、熊野地域における滞在型観光に対する支援の取り組みや今後の対応につきまして、商工観光労働部長に御答弁をお願いいたします。
 さて、最後に過疎対策に関して質問をいたします。
 和歌山県の人口が100万人を下回ったとの新聞報道は、昨年8月末のことでした。私もこの報道には大変驚いたことを記憶しております。特に、私の住む新宮市におきましても、昭和55年の4万2000人をピークに、本年6月には3万2000人と、熊野川町と合併したにもかかわらず、30年で約1万人もの人口が減少したことになります。
 私は、選挙戦を通じまして、熊野定住圏構想と名づけました人口増加構想を提唱してまいりました。日本で一番御高齢者が住みやすく、熊野の自然や文化の中で人間らしく暮らせる町を目指すというものです。全国の高齢者の方たちに熊野への移住を呼びかけ、その方たちの暮らしをサポートする形で若い人たちの雇用を創出し、やがてその若い世代が子供をふやすといった人口増加の流れをつくるという構想です。
 それを実現するためには、地域医療、防災等の安全対策、交通機関、買い物先の商店など、生活環境が整っている必要があります。それに向けた環境整備は、地元住民にとりましても安心・安全につながります。いわゆるシルバータウン構想に似通ったものですが、大きな違いは、自然や温泉などのいやし作用を生かしたいというところです。あくまで現段階では理想論ですが、実現に向けて1つ1つの課題に取り組んでまいりたいと思います。
 さて、話は変わりますが、同じような視点で県が既に取り組んでいる過疎化対策・空き家対策事業の1つといたしまして、田舎暮らし応援県わかやま推進事業がございます。自然と文化が豊富な和歌山での田舎暮らしを都市部の方たちに紹介し、移住を呼びかけ、希望者に対しては、各市町村と住民が一体となって住居のあっせんや生活の支援、また農林水産業への従事を希望される方には、技術的なアドバイスを行う専門施設やプログラム、短期間の滞在体験をしていただく住居用施設もあり、定住人口増加を図る事業が5年前から実施されています。
 先週日曜日の19日には、大阪の阪急グランドビルの会場において、各市町村の担当者、そして実際にIターンで和歌山に定住されている方たちが、プレゼンテーションやブースでの個別相談をされておりました。参加者は、60歳代の第2の人生設計を検討されている御夫婦等が半数以上を占めておりました。そのほかには、1人での移住希望の若者や幼い子供さんを伴った御夫婦の姿も見受けられました。その方たちに親切丁寧に、そして郷土のよさを熱意を持って説明されている担当者の皆様には、同じ県民として頼もしく感じましたし、頭が下がる思いになりました。また、私自身も他地域の取り組みについてよく知りませんでしたので、今後の活動に向けて大変参考になりました。
 さて、そういったイベントに参加をして感じたことですが、都市部の方に対し、田舎暮らしイコール自然の中という概念を強く与え過ぎるのも、かえって移住の決断の妨げにならないかという懸念です。例えば夫婦や家族の場合、全員の総意で自然の中での生活を望むケースはまれではないのかと思うからです。日常生活、仕事、余暇のすべてがいきなり自然の中となれば、これまでの生活とのギャップに戸惑い、移住を断念するケースも考えられるのではないでしょうか。
 私たちの住んでいる新宮市の市街地を例に考えてみましても、都市部から見ると十分田舎的要素があると思います。住居は日常生活が比較的しやすい市街地でスタートし、仕事や余暇は自然の環境の中でといったように、自然での活動に徐々になれていくパターンを勧めるなど、間口を広げた受け入れ態勢を整えることも必要なのではないでしょうか。
 そこで、和歌山県が実施している移住・交流施策の方針と現状、対策について、企画部長に御答弁いただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の質問とさせていただきます。誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀伊半島を一周する高速道路の整備についてお答え申し上げたいと思います。
 紀伊半島を一周する高速道路の整備は、県民の将来のチャンスを保障するものであり、とりわけ紀南地方においては、地域資源を生かした観光や農林水産業の振興、新たな企業誘致など、今後の地域の発展に不可欠であります。加えて、さきの東日本大震災直後の救援活動に高速道路が大きく貢献した、そういうことにかんがみまして、東海・東南海・南海地震の津波により寸断されると一応予想されます国道42号の代替路として、紀伊半島における命の道である高速道路の今ないところ、ミッシングリンクの結合は急務であります。
 そうした中、これまでもあらゆる機会をとらえ、本県における高速道路整備の必要性を訴えてきたところでありまして、事業中の区間については少し成果があり、平成27年の供用に向けた国の取り組みが進むなど、一定の成果と受けとめておりますが、一方で、高速道路整備に係る今後の見通しは、新政権がこういうところにあんまり予算をつけないということもございまして、極めて不透明な状況にあります。
 今後も、事業中である近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間や那智勝浦道路は、平成27年の国体開催までに確実に供用されるよう、また、未着手区間であるすさみ─太地間、新宮─県境間については早期に事業化されるよう、引き続き国に対して強く働きかけてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 避難時間が短い地域での避難対策と取り組みについてお答えします。
 東海・東南海・南海地震が発生した場合、本県南部では、速くて6分程度で津波の第1波が到達すると想定されてる地域があります。こうした避難するための時間が短い地域においては、できるだけ早く避難行動を起こすということが人的被害の軽減につながりますので、長い揺れが来たら反射的に逃げるという意識を住民1人1人に常に持っていただくことが何よりも重要であります。
 このため、防災行政無線のサイレン音の周知や避難カードの配布などを通して、こうしたことの重要性を啓発してまいります。
 また、津波避難ビルの指定、高台への避難路や津波避難施設の整備とともに、高齢者や障害者等の方々の避難支援のための地域での取り組みを進めるなど、住民の方々が短い時間で少しでも安全な場所に避難できるよう、市町村とともに必要な対策を進めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 熊野川河口大橋を含む新宮─県境の道路整備についてお答えいたします。
 熊野川河口大橋を含む新宮─県境間につきましては、平成21年6月に近畿自動車道紀勢線の一部を形成するルートとして、三重県とともに地元の御意見も伺った上で、新宮市の海岸線沿いを通るルートの概要を取りまとめ、国に対し提案を行ったところでございます。これを受け、現在、国土交通省において、ルート、構造の検討が進められているところであります。
 さきの東日本大震災において、高速道路等が避難場所や防潮堤として機能したことが報告されており、御提案のこの道路を津波堤防などの防災機能を兼ね備えた構造にすることは有効ではないかと考えられます。
 今後、国に対しては、早期事業化に向けた調査の推進とともに、こうした防災機能を持たせる構造の検討について働きかけてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 初めに、式年遷宮に向けた誘客の取り組みについてでございますが、まず、各都道府県神社庁の役員に対し熊野のPRに努め、氏子社中の伊勢参詣の折には、熊野にまで旅程を伸ばしてもらうよう働きかけを行うこととしております。
 また、主要旅行会社に対して、伊勢・熊野といった周遊プランの造成を目的としたモデルコースの提案や、旅行会社担当者の現地研修会の開催などを順次行ってまいります。
 さらに、認知度向上を図る取り組みとしましては、各地で実施する観光プロモーションやメディアへの露出において、伊勢・熊野にスポットを当てた情報発信を行うとともに、紀勢自動車道の熊野市南伸にあわせて、中日本高速道路株式会社などと共同でキャンペーンを展開していきたいと考えております。
 いずれにしましても、これらの取り組みにつきましては、熊野三山、地域の観光関係団体、市町村等との協働により実施してまいります。
 なお、式年遷宮の後は、平成26年には世界遺産登録10周年、平成27年には高野山開創1200年と、本県にとって記念すべき年が続きますので、これらも踏まえて十分に準備を進めてまいりたいと考えております。
 次に、熊野地域における滞在型観光の取り組みについてですが、県では、世界遺産、自然、温泉、歴史、文化、食、体験といった地域の特色に、パワースポット、山ガール、グルメといったトレンドを組み合わせることで、誘客と滞在を促進する取り組みを地域と協働で行っております。
 熊野地域には、新宮市の歴史・文化に触れるガイドと歩くまち歩きや、放映中の映画「軽蔑」のロケ地めぐり、那智勝浦町では、食をテーマに町なかへ誘導するまちなかマグロ食巡り、また、熊野古道ではセラピーを古道歩きに取り入れた熊野古道健康ウオークなどといった取り組みを行っています。
 県としましては、こうした取り組みや体験型観光を積極的に情報発信していくとともに、宿泊とセットになった旅行商品の造成を旅行会社に働きかけるなど、地域と協働して滞在時間の延長と宿泊客の増加を図ってまいります。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 過疎対策としての移住・交流施策についてお答えをいたします。
 県では、議員御指摘のとおり、移住・交流の推進が地域活性化策の1つであるとの認識のもと、28市町村、81団体及び事業所の参画を得た全県的な組織である田舎暮らし応援県わかやま推進会議を設立し、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、ホームページやセミナーの開催などによる情報発信を初め、特に移住受け入れに積極的な市町村ではワンストップの窓口担当者を配置し、住民主体の受け入れ協議会とも連携しながら、現地案内や住宅確保、起業や就業の支援、地域住民との交流機会の提供など、移住・交流事業を積極的に推進しているところであります。
 これまでの移住受け入れ実績は、県の施策として取り組み始めました平成18年以降、本年5月末までで207世帯、392人となっております。中山間地域への移住が中心である一方で、地域資源を活用した起業を志す人材を誘致する『和歌山で「和」の仕事人になろう』プロジェクトなどでは、町なかへ移住されたケースもあります。
 このように田舎暮らしの形態は多様であり、議員御指摘のとおり、熊野地域の中で、例えば新宮市の市街地に住みたいというニーズもあろうかと思われます。今後、そうした幅広いニーズを受けとめ、さらなる移住促進につながるよう、地域と十分に連携しながら、受け入れ重点地域の拡大など、積極的かつ柔軟に対応してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時27分散会

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