平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成23年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成23年6月22日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第74号から議案第91号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第74号から議案第91号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 12番 川口文章
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       野田寛芳
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      宇恵元昭
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     鈴木敏彦
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     森 勝彦
 会計管理者      米山重明
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事班長       中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課副主査     坂口敦子
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       谷村守彦
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  午前10時1分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第74号から議案第91号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 34番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。本日のトップバッターとしてよろしくお願いをいたします。
 私自身は、6キロもやせるという厳しい春の選挙戦に臨んでまいりました。昨年の12月の議会以来の質問でありますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本題に入ります。
 東日本大震災から3カ月余りがたちました。しかしながら、低迷する菅政権のもとでは復旧・復興が思うように進まず、現在、体育館などに避難されている被災者の方々は12万4000人余りに上っております。そして、瓦れきの撤去も進まず、日本を初め世界各地から寄せられている義援金なども多額に上るものの、多くの被災者へ届いていないのが現状であります。国会では、このままではいけないと連立政権をとの機運が内外から高まり、実現に向かっています。
 また、この大震災を機に、本県でも近い将来起きると見られている東南海・南海地震に備え、県や市町村などではさまざまな取り組みが行われています。
 先般、記者会見をした仁坂知事は、津波や台風などの警報発令、それに避難勧告・指示が出された場合、携帯電話にメール一斉発信するエリアメールサービスをNTTドコモと提携をして取り組むというもので、全国の都道府県単位では初めて導入すると発表をされました。
 このエリアメール、発信の設定をしなくても県内にある対象の機種すべてに発信されることから、県民を初め観光客らにも周知ができ、安心して観光を楽しんでいただけるもので、来月からの運用開始を目指しているということであります。しかしながら、このサービスはauやソフトバンクといったNTTドコモ以外の機種には未開拓であります。
 以上、まず防災のソフト面での取り組みに触れましたが、次に、ハード面などについて質問をいたします。
 紀南地方の海岸沿いを走る国道42号わきの堤防などには、「青色点線部津波注意区間」として80センチぐらいのブルーのビニールテープが約1メートルの間隔で点々と張られ、ドライバーらに津波の注意を呼びかけています。このブルーのテープは、さきの大震災を契機に国交省紀南河川国道事務所が設置したとのことであります。
 また、国道42号には、交通情報や災害情報を知らせる電子道路交通情報板が市町村の沿岸沿いには1~2カ所ぐらいの割合で設置されています。この情報板には、道路管理者と警察が設置する2種類があるわけであります。このような道路交通情報板があれば、津波や災害などの情報がすぐに役立つことができます。実際に車を運転中、津波警報などが発令された際に、たまたま車のラジオやテレビをつけていた場合は避難の手段をとることができます。ところが、ドライバーのうち若者層を中心に、運転時にはラジオやテレビをかけるケースは少なく、CDやMD、そしてDVDをかけて音楽を聞きながら走行するケースが多いのが昨今であるとのことであります。
 先ほどのブルーのテープの話に戻りますが、ブルーテープの張ってある区間では、この区間は危ないですよ、津波に注意してくださいよと啓発をしても、実際に警報が発令されたときには事が足りません。また、ラジオやテレビをつけていても情報は入手できますが、電源を切っていたり音楽を聞いておれば何も始まりません。
 そこで、私が強調したいのは、現在海岸沿いに設置されている道路交通情報板の普及の拡大であります。しかし、今現在設置されている情報板では大きく、設置費用も多額に上るわけであります。このため、設置費用などが安価で簡素化した情報板の拡大普及であります。
 高速道のトンネル入り口にあるトンネル情報を広報するミニ電子ボード、そしてミニ電子情報板を設置するとともに、津波警報など災害情報発令時に赤く点滅する赤色灯も設置し、いち早く災害情報をドライバーに知らせるように取り組まれてはいかがでしょうか。
 津波は、発生してから数分から数時間かかると言われておりますが、最も到達が速いと言われている串本町周辺には数キロ単位で設置するほか、その他の市町村ではせめて10キロぐらいでの設置をお願いしたいと思うのであります。
 さらに、災害情報がスムーズに伝達されたとしても課題は山積みしています。実際、私も紀南の人間として、白浜や串本方面に向けてハンドルを握るケースは数多くあります。ところが、走行中実際に津波が来た場合は国道42号からどこに逃げたらいいのかと、ふと考えるときもあります。特に東日本大震災以来、その思い入れを強く感じているところもあります。
 このため、海抜の低い道路から高台への避難誘導が最も大切であります。実際には、紀南地方を中心に、被害を受けにくい山間部へ通じる道路はたくさんあります。しかし、国道を走行中の土地勘のない観光客らのドライバーが、この道を走っていても本当に難を逃れることができるのかと不安が募ることは間違いありません。そこで、避難誘導をスムーズにできるように、「この先、避難誘導道路あり」、そういう表示された避難誘導広報板の設置も大きな災害対策の1つであります。
 さらに、先ほどエリアメールについて触れましたが、最近のほとんどの車両にはカーナビが設置をされています。カーナビは、道案内のほかに交通渋滞情報などをドライバーに伝達し、今では必需品となっています。このカーナビに津波や高潮などの防災情報が瞬時に伝達できるシステム開発を急ぐように、国に働きかけてはいかがでしょうか。
 自動車メーカーなど、一部では大雨による土砂崩れや通行どめ情報などを会員向けに情報提供していると聞いていますが、さらに国策としてITを駆使したカーナビの普及も不可欠だと思われます。
 また、このような施策の推進こそが県民、国民の生命、財産を守るとともに、紀南観光を安心して楽しんでいただける本県の観光立県の前進にも大きくつながるものであります。
 そこで、関係当局にお伺いをいたします。
 簡素化した電子情報板や赤色灯の設置を初め、海抜の低い道路からの避難道路への避難誘導広報板の設置など、これからの整備についての取り組みのほか、カーナビの利便性の向上についての国などへの働きかけとともに、県の取り組みについてお伺いをいたします。
 続きまして、海岸線を走る国道42号が台風や津波で通行不能となったときの山間部道路の活用と整備の推進についてお伺いをいたします。
 本県では、災害時における緊急輸送道路の確保対策として、県地域防災計画を策定して緊急輸送ネットワークの形成を図るため、拠点の道路や施設を指定して緊急輸送道路の確保に当たるとしています。私もこの防災計画書を読ませていただきましたが、防災時にはそこに書かれているようなマニュアルどおりに進めば一番いいことであります。
 しかしながら、海岸沿いの幹線道路が通行不能となった場合、山間部へと通じる道路を利用すればそれで事は足りると思われがちですが、現状では非常に言いがたい面が多々見られます。
 まず初めに、田辺や白浜のインターチェンジからすさみまで延伸が決まっている近畿自動車紀勢線は、高架を利用しての自動車専用道路で、災害には強い道路として位置づけられていると思いますが、さきの大震災の影響でこの道路の整備の予算が組まれるかどうか、不透明な点もあるわけであります。
 さらに、紀南の山間部を走る幹線道路として、私のふるさと田辺市を縦断する国道311号があり、本宮から熊野川を下り新宮へと通じる国道168号につながっています。しかしながら、この311号や168号と国道42号をところどころでつなぐ幹線道路が未整備であります。例えば、県道日置川大塔線や上富田すさみ線などがあります。
 中でも、大震災後、私の地元から早期整備の要望が高まってきている一般国道371号の早期整備についてであります。
 この371号、田辺市では旧龍神村の殿原地内で延長1.8キロにわたって整備事業が進められ、地元から早期完成が望まれています。ところが、この371号、昭和50年に路線の認定を受けて以来、40年近くが経過していますが、多くの区間が未整備であります。
 路線は、大阪河内長野市から旧高野龍神スカイラインを通り、田辺市の旧大塔村から串本町の高富地区に通じる総延長258キロ余りの長さであります。この巨大な山間部道路が整備されれば、紀南と京阪神を結ぶ大きな幹線道路になり得るほか、海岸線の道路にかわる災害用道路として大きな役割を果たすことは間違いありません。
 次に、私は以前にこの議場で行った一般質問について触れます。
 かつて、大雨で国道42号が有田市や御坊市、田辺市等で道路が冠水して通行どめとなりました。このほか、自動車専用道の阪和道も、当時の和歌山─御坊間が通行どめとなり、紀南地方は陸の孤島となりました。私は、この災害を受けて、国道42号が通行どめとなった場合、自動車専用の道路を有効利用してはどうかとただしましたが、当時、当局から余りよい答弁は得られませんでした。
 しかしながら、県がその後修正した県地域防災基本計画では、緊急輸送ネットワークの指定の道路の中に緊急輸送道路として高速自動車道が第1項目に挙げられています。この高速道路や自動車専用道及び山間部道路の活用こそが、物流の効果的な輸送や観光客のスムーズな移動手段として大きなかぎを握っています。また、これは本県の経済の活性化や観光推進の面から見ても必要不可欠な課題であります。
 この高速道路や山間部道路整備推進について、知事に取り組みをお伺いいたしたいと思います。
 防災について質問を続けます。
 平成27年に紀の国わかやま国体が開催をされます。私の地元田辺市でも、サッカーやボクシング、軟式野球、それに弓道が南紀スポーツセンターを中心に競技が繰り広げられます。この南紀スポーツセンターには、田辺市元町の三四六地区にある三四六総合運動公園が老朽化したために、新しい国体の開催に合わせて、田辺市が国、県から補助を受けて総事業費96億円をかけ、30.8平米の敷地に整備をするものであります。
 田辺市からの情報によりますと、スポーツセンターの中には硬式野球場や雨天練習場、そして体育館、陸上競技場、それに附帯施設として最大195人が宿泊できる宿泊棟や研修室や会議室などを備えた管理棟が設けられるほか、自家発電設備も設けられているとのことであります。市の関係者によると、国体終了後にはプロ野球やJリーグ、そしてラグビーのトップリーグなどスポーツ競技のキャンプ場に利用してもらえるように、各方面に働きかけるよう考えているとのことであります。
 さて、キャンプ場としての利用は大変大歓迎でありますが、南紀スポーツセンターについては、平成20年度に策定された広域防災拠点基本計画に基づき、紀南地方の支援拠点として広域防災拠点に指定をされております。
 田辺市を含め紀南地方では、東南海・南海地震発生時には、津波により道路網の断絶、孤立集落の発生等の甚大な被害が予想されており、被災者支援のかなめとなる防災拠点の機能維持が大きな課題となっています。
 東日本大震災の被害を受けた岩手県三陸沿岸地域を見ますと、内陸の遠野市が発生当日から救援救助、物資運搬などの被災地支援の拠点として大きな役割を果たしているそうであります。田辺市においても、消防庁舎の高台への移転が決定をし、市役所庁舎の移転も取りざたされている等、防災拠点機能維持へ向けての対策が進められている中、広域防災拠点としての南紀スポーツセンターへの期待は非常に大きなものがあります。
 そこで、危機管理監にお伺いをいたします。
 今後発生が予想される東南海・南海地震発生時には、南紀スポーツセンターはどのような機能を果たすのでしょうか。
 また、国体に向けて施設の整備が進められておりますが、防災拠点としての整備はどのように考えておられるのでしょうか。
 次に、その大震災で起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴い、関西電力は定期点検中の原発の再稼働の見通しが立たないとして、今月10日、電力不足の回避策として、電気を利用する家庭や企業に対して一律15%程度の節電要請を行うと発表をいたしました。原発をベースにした電力供給に頼っている関電では、火力発電の増強などで供給力を確保して深刻な電力不足をクリアしたいと報道されています。
 県内に、御坊火力発電所と海南火力発電所があります。火力発電所は、化石燃料を使うことから電気の生産コストが高くつくとして、多くの発電機が点検中などの措置が講じられています。このうち県内では、現在運転されているのは御坊火電の3号機のみで、60万キロワットの出力があるとのことであります。夏場の深刻な電力不足に陥った場合、火力発電のフル活動も十分に考えられます。
 そこで、かつて田辺市やみなべ町など紀南の梅産地で生じた梅生育不良問題が私の地元で再び持ち上がっています。この梅生育不良、御坊火電の操業後の昭和60年ごろから発生をし、ピーク時の平成11年には日高、西牟婁全体で15万本余り、作付面積全体の11.6%にも上りました。
 しかし、当時の西口勇知事の英断により、平成12年から日本一うめ産地支援事業がスタートしたほか、関電も3号機に脱硫装置をつけるなどしました。その後、生育不良は徐々に減少し、昨年は1万2000本余りで、全体の0.78%となっております。
 県は、これまでの議会で「梅の生育不良と火電の操業との関連は見られない」と答弁をしておりますが、私の地元では、もし火電が稼働率を上げたら生育不良が再び起きるのではないかと不安を募らせている生産者も大変いるのが現状であります。
 県として、火電の稼働率のアップについてどう認識をされ、そして梅の生育不良対策にどう取り組むのか、関係部長の答弁をお伺いしたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災対策に絡みまして、緊急時の輸送道路となる高速道路や山間部の道路整備についてお答え申し上げます。
 台風や津波により国道42号が通行不能となった場合、高速道路が整備されている田辺までは高速道路が代替路としての機能を果たしますけれども、田辺以南の高速道路が未整備な区間では、現在のところは内陸部道路にその機能を期待せざるを得ません。
 さきの東日本大震災では、高速道路となかなかよく整備されている国道で、くしの歯型の救援ルートが確保されました。これは、東北自動車道がくしの柄になりまして、それから、そこから東のほうに沿岸部まで立派な道が、地方道ですけども、できているという構造でございます。これによって大型車両なんかも迅速に被災地に到着できて迅速な救援活動に効果を発揮したと聞いておりまして、本県においてこれを考えますと、大変心配なところがたくさんあるわけです。
 まず、高速道路の整備が急務であるのは言うまでもありません。これについて、一刻も早く、42号に頼らなくても、もう1つ高いところを回ってるような高速道路を、早く紀伊半島を一周さしてもらいたいということをぜひお願いをしたいと思います。
 あわせて、内陸部の幹線道路の整備も、議員御指摘のように大変重要であると考えております。
 このため、もちろん現在事業中の近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間の早期整備はもとより、未着手区間も含めた紀伊半島一周の早期実現を図るとともに、X軸ネットワークの道路──これは大分完成に近づいておりまして今年度中に全部できますが──これに加えまして、川筋ネットワーク道路等の重点整備を進めることによりまして内陸における災害に強い道路ネットワークの形成を図っておき、これによって、沿岸部が仮に被災したとしても、内陸のほうを通って救急車両あるいは救援車両、そういうものが到着できるような体制を早くつくりたい、そんなふうに思っております。
 残念ながら、ことしはまた社会資本整備交付金──これは補助金にかわるようなものとしてまとめられておりますけれども──これが大いに切られてしまいまして、我々としてはそれをもらって事業量を大きくしてやっていきたいんですけども、なかなかつらいことになっております。苦難は続くんでございますけれども、引き続き頑張りまして、いろんなチャンス、機会を生かして、何とか早く今申し上げましたような道路ネットワークをつくってまいりたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 道路情報板等の設置についてでございますが、国道42号などの沿岸部道路において、避難誘導のため電子情報板や避難誘導広報板等を設置することは、議員御指摘のとおり、津波発生時に道路利用者を迅速かつ安全に誘導する手段として有効であると考えられます。国土交通省においては、国道42号における緊急時の道路情報板などの設置について今後関係機関と検討していく予定と聞いておりまして、県としてもその推進を働きかけてまいります。
 また、県管理道路につきましても、道路利用者に対する情報提供が効果的に行えるように検討していきたいと考えております。
 今後も、津波に対する避難体制の充実を図るため、国や関係機関と連携し、道路利用者を迅速かつ安全に避難誘導するための施設整備に取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 防災対策について、2点の御質問にお答えいたします。
 まず、カーナビを利用した防災情報の伝達につきましては、議員御指摘のとおり、運転者への災害情報の提供は、人命を守る観点からも重要な事項と認識しております。総務省において現在構想されている防災・災害情報を自動配信するシステムが、カーナビを含めた多様な端末への配信を目指しておると聞いております。
 県としましても、6月10日、11日の政府提案活動において同システムの早急な構築を提言したところでございますが、携帯エリアメールの活用など、県民及び来県された皆様への正確な情報提供に取り組んでまいります。
 次に、災害時に南紀スポーツセンターが果たす役割につきましては、南紀スポーツセンター及び田辺グリーン球場は、災害発生時に自衛隊などの救助活動に関し、本県が迅速かつ円滑に応援を受け入れる体制を確保するための広域防災拠点として位置づけております。
 災害時には、救援救助資機材・物資等の集積、仕分け場所及び災害対策本部との連絡拠点となり、広域医療搬送拠点となる南紀白浜空港、応援部隊のベースキャンプとなる旧南紀白浜空港跡地とあわせて、航空輸送における後方支援の進出拠点となります。
 現施設は建てかえ予定でございますが、田辺市と調整の上、新施設の建設に当たっては防災機能の強化についても配慮されるよう要請しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 御坊火力発電所の稼働率ですが、昨年も7月から9月の夏場については、1号機、2号機、3号機とも必要に応じ随時稼働させていたと聞いております。
 なお、本年の稼働率については、昨年に比べ上昇するものと思われますが、今後の需要動向により決定されるため、現在のところ不確定であるとのことです。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 梅の生育不良につきましては、植物生理や大気環境の専門家で構成された和歌山県うめ対策研究会において、栽培要因、気象要因、土壌要因などが複合的に絡み合って引き起こされたものとの報告がなされているところです。
 このため、県では、うめ研究所を中心に産地の皆様方と一体となり、大気環境調査を初め、樹勢低下の再現試験や樹体の養水分管理に関する研究、さらに生産安定を図るための改植及び土壌改良などに取り組み、現在の生育不良の発生は、栽培面積全体の1%未満にまで減少しております。
 今後も、梅産地の維持発展を図るため、生育不良の発生状況を注視しつつ、地域にとって必要な対策を引き続き適切に実施してまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 34番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 答弁をいただきました。
 1点だけ、ちょっと要望をさしていただきたいと思います。というのは、御坊の火力発電所のことであります。
 今、部長のほうから簡単な答弁をいただきました。もう4行余りの答弁でありました。それをちょっと読んでみますと、「火力発電所の稼働率ですが、昨年も7月から9月まで夏場にかけて1号機、2号機、3号機ともに必要に応じて随時稼働していた」ということです。そして、「本年の稼働率については、昨年に比べて上昇するものと思われますが、今後の需要動向で決定をされるため、現在のところ不確定であるとのことで」、こういう答弁でございました。
 しかし、もう10年前を思い出していただいたらわかると思いますが、田辺周辺の梅農家の皆さんが大変手塩にかけて梅を一生懸命につくってきた。そして、今現在も、安いとはいえ、一生懸命に基幹産業として梅産業に取り組んでおられるんです。
 ところが、もう新聞紙上やテレビであの原発が、そして関西電力が電気の需要のために、また他県に電気を供給せないかんのと違うんかなと、こんなことはもうみんな大体報道でわかっておるんです。
 ですから、私は再度お願いをしたいのは、御坊火電が、今のところ県は因果関係はないというようなことでありますけれども、1号機、2号機にはまだ脱硫装置がついてないんです。3号機が、脱硫装置をつけていただいておるんです。
 だから、3号機は、大体普通のときの年じゅう──7月から9月まで以外のときには1号機、2号機はとめておるんです。だから、3号機だけで運転をしておるから、今のところ、おかげでうんと──さっき農林水産部長の話にもありましたように、年々と努力をしていただいたおかげで梅枯れも減ってはきておるんですけれども、これが、何度も言いますように、また稼働を大変多くされた場合に、1号機、2号機を回さないんやったらええんですけれども、どうしてもこれは回さなくてはならないと私は思うんです。
 だから、そんなためにもぜひとも、1年じゅう回すんであれば脱硫装置をつけてもらうか、脱硫装置をつけんのであれば余り年じゅう稼働をしないように県のほうも目を光らしてよく検討していただきたいな、このことを特に要望しておきたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 改選後、初めての登壇です。改めて、4月10日の県議選におきまして、多くの県民、市民の方々に御支持、御支援賜りましたことを御礼申し上げたいと思います。
 再びこの県政壇上に立たせていただきました。この選挙戦を通じて、さまざまな県政の課題、また、この3月11日の未曾有の大震災を受けて喫緊の課題となりました東南海・南海地震の備えについての御要望や意見等もちょうだいいたしました。御期待におこたえできるように、微力ではございますけども、誠心誠意努力してまいりたいと思います。
 また、改めて、東日本大震災におきましてお亡くなりになりました皆様に哀悼の意をささげるとともに、いまだに生活困窮を余儀なくされておられる皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入ります。
 最初に、東日本大震災を経験して、本県の災害対策についてお伺いをします。
 小学校5年生国語の光村図書出版の教科書には、この4月から「稲むらの火」が64年ぶりに復活し、利用されています。
 ここに、娘から借りてきました教科書を持ってまいりました。少し紹介をしたいと思います。
 「百年後のふるさとを守る 『これは、ただごとではない。』とつぶやきながら、五兵衛は家から出てきた。今の地震は、別にはげしいというほどのものではなかった。しかし、長いゆったりとしたゆれ方と、うなるような地鳴りとは、老いた五兵衛に、今まで経験したことのない不気味なものであった。 五兵衛は、自分の家の庭から、心配げに下の村を見下ろした。村では、豊年を祝う宵祭りのしたくに心を取られて、さっきの地震にはいっこう気がつかないもののようである。 村から海へ移した五兵衛の目は、たちまちそこにすい付けられてしまった。風とは反対に波が沖へ沖へと動いて、みるみる海岸には、広い砂原や黒い岩底が現れてきた。『大変だ。津波がやって来るにちがいない。』と、五兵衛は思った。このままにしておいたら、四百の命が、村もろともひとのみにやられてしまう。もう一刻も猶予はできない。 『よし。』とさけんで、家にかけこんだ五兵衛は、大きなたいまつを持って飛び出してきた。そこには、取り入れるばかりになっているたくさんの稲束が積んである」、こういうふうに書かれておりますし、この後の話は、高台にある庄屋の五兵衛の家に村人を導き、津波から大勢の方が助かったというふうに続いてまいります。
 これが、157年前の1854年に起こった安政南海地震。その後、被害に遭った村人が希望を失い、村を捨てようとする者まであらわれ、村人たちに希望と気力を取り戻してもらえるようにと、私財をなげうち、村人みずからの手で堤防づくりを始めました。
 全長600メートル、高さ4.5メートルという大がかりな防災事業を、4年かけ完成させています。その後、松の木も数1000本植えられ、強固なものができ上がり、堤防完成から88年後の1946年、昭和地震では村の大部分が津波から守られたということで、100年後に大津波が来ても村を守れる堤防をという儀兵衛の願いが実現したことになりました。この儀兵衛が7代目濱口儀兵衛であり、濱口梧陵であります。
 この教科書は、全国で6割以上の採用となっているそうです。著者は、県の地震・防災対策総点検専門会議メンバーの関西大学・河田惠昭教授であり、津波被害を多く経験した和歌山として、この教訓が今改めて見直しをされております。
 この教訓は、津波被害を、高台に逃げて大勢の人が助かったという史実だけではなく、自分たちの村は自分たちで守るという姿勢や、堤防や松林をつくり次の津波被害に備えるという共助の姿勢、そして、私財を投げ出して町の復興や人々の生活再建に命をかけたというその精神性は高く評価され、防災教育の教本として使用されるようになりました。
 昨日、中拓哉議員より報告がありました。6月3日から5日まで、東北の被災地を訪問してまいりました。仙台空港上空から見た海岸線の松林がなぎ倒された光景を見たとき、海岸から数100メートルに住宅街がある私の故郷美浜町の煙樹ケ浜をほうふつさせました。
 岩手県山田町船越地区は串本や勝浦と似ており、和歌山県の650キロのリアス式海岸にはこの被災地と似たところが多く、この広い地域で瓦れきの山となった箇所や地盤が沈下し海水が引かなくなっている状況を見るにつけ、一たん災害に見舞われると、その復旧・復興の道のりの遠さを思わざるを得ません。
 「失敗は伝わらない」、これは失敗学・危険学の創始者・畑村洋太郎氏の言葉です。氏は、福島第1原発事故の調査検証委員会で委員長を務めております。この畑村氏がマスコミのインタビューで語っています。
 「明治29年、38メートルの大津波が押し寄せ、2万人以上の命が犠牲になり、それから37年後の昭和8年にも大津波が発生。3000人以上の犠牲者が出て、三陸海岸では繰り返し起こっています。この海岸の碑に、『高き住居は、児孫に和楽 想へ惨禍の大津浪 此処より下に家を建てるな』。明治29年にも昭和8年にも大津波が起こり、部落は全滅し、生存者はわずか数名しかいなかったとしております。あっちにもこっちにも同じような石碑が立っていますが、この碑の下に家が建ち並んでいます。知識としては危ないということは知っていても、生きている間は津波が来ないとか、時間が過ぎると失敗に関心を払わないで忘れていく。30年単位で消えていく。そして、無関心や傲慢さが出てくる」という内容でございました。
 しかし、教訓を後世の住民が守り、当たり前のように暮らしていた地域もありました。現地に赴くと、何事もなかったかのようなたたずまいが存在をしていました。大船渡市吉浜という440世帯の地域です。吉浜では、海辺の低地に家を建てないことが常識で、親から言い伝えられて守った教訓というよりも常識になっている地域でございます。
 今回でも、10メートル前後の津波が襲来。しかし、ほとんど集落の被害はなかったとのこと。これは、昭和三陸津波の後、当時の柏崎丑太郎村長が、私財に加え、銀行から調達した資金で土地を購入。村が移住先を用意すると、数年間で高台への集団移住が完了。村長の孫によると、おじいさんは「ただ呼びかけるだけでは移住しない住民が必ずいて、また同じことが起きる。村が強引にでも移住させる方法を考えた」と語っていたそうです。ここにも濱口梧陵先生がいました。
 失敗は繰り返さない、そういう過去の教訓を生かした減災を目指し、行政に取り組んでいただきたい、そうお願いする次第でございます。
 行政の責任として、津波による死者をゼロにするという気概を持ち続け、危機への備えを怠らず行い、またその後の対策も講じていく、それが今求められております。
 防災意識の向上、安全な避難場所やその避難路の確保、防波堤の整備や防災林の植樹、そして、できれば津波被害想定区域の高台への移住、防災訓練、地域防災リーダーの育成、情報の提供、防災無線やメールの整備等々、災害後の対策として人命救助、捜査活動、後方支援体制の整備、避難場所での食料・飲料水・医薬品の提供、そして、医療・衛生管理、仮設住宅の確保、瓦れきの撤去など、復旧・復興が数々挙げられます。
 地方自治法及び災害対策基本法では、県の役割を市町村を包括する広域の地方団体として、1、広域にわたるもの、2、統一的な処理を必要とするもの、3、市町村に関する連絡調整に関するものと規定されております。また、災害応急対策として、避難勧告・指示の代行、2、法令に基づく応急措置の実施、3、保健衛生・緊急輸送の確保に関する命令、4、市町村長に対する応急措置実施の指示、5、公安委員会による交通の禁止・制限が具体的に挙げられております。
 災害発生直後の被災者への対応は基礎自治体である市町村が直接当たることが現実には多くなり、職員にその負担が集中します。阪神・淡路大震災では、まち全体が被害を受けましたが、自治体の機能は保全されていて、自治体の首長や職員が、寸断された道路を迂回しながら庁舎にたどり着き、対策本部を設置して、被害の掌握や被災者の対応に当たることができました。
 今回の災害では、自治体の施設が破壊され、首長が亡くなったところや職員も多く亡くなっており、自治体の機能そのものも破壊されており、災害発生からかなりたってからも避難所から食料が足りないとSOSが発信されていました。
 一番身近な基礎自治体の機能が停止・停滞することを視野に入れる必要性も教訓として学んだことになります。国の役割、県の役割、市町村との連携の仕方をもう一度見直す必要があるのではないかと思います。津波の大きさはハザードマップに示されているものより大きくなる可能性はあり、今回の地震、津波を受けて国や県では見直しを迫られております。
 そこで、お伺いします。
 災害時の県の役割について。
 2つ、今後行う災害対策の見直しについて、その視点とは何か。
 昨日、中村議員が紹介された津波新法が制定されました。自民党二階俊博衆議院議員と我が党の広川町出身の西博義衆議院議員や県選出の国会議員が中心になって昨年から取り組み、このたび実を結んだものであります。「稲むらの火」が教科書として64年ぶりに今春から採択されたことを重ね合わせると、不思議な感があります。
 議員立法の筆頭提案者・二階先生から、法律の概要や要綱、特別委員会の意見表明などをいただきました。本県にとってはとても大事な法律だと思います。御苦労いただいた私の高校の大先輩でもある二階先生初め、国会議員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
 津波は、国民が迅速かつ適切な行動をとることにより人命に対する被害を相当程度軽減できることから、津波に備える必要性に関する国民の理解と関心を深めることが特に重要であるとうたっております。成立までの執念とその御尽力やこの法律の持つ意味などを考えると、大いに県民に訴えていくことが大事ではないでしょうか。
 津波対策推進法制定を機に、11月5日が津波防災の日に決まりました。防災先進県として、防災訓練や啓発活動のイベント等、取り組む必要があると考えますが、知事のお考えをお聞きします。
 また、「稲むらの火」を教訓として、県民にしおり等を配ることで、もう一度濱口梧陵先生に学ぶことも御提案申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、3点について仁坂知事にお聞きします。
 市町村における防災対策の現状についてお答えいただきたいと思います。
 先日の3月11日の大津波警報で、避難勧告が出ても実際に避難した人は3.2%だったということがNHK「和歌山の防災~想定外を生きのびるために~」でも報道され、「津波から逃げない人は、危険を感じない無意識の心理が働いていた」という指摘がされていました。
 改めてお聞きしますが、避難勧告や指示など、そのときの策定基準はできているのでしょうか。市町村の津波避難計画の現状はどうなっていますか。行政だけではかけ声だけに終わってしまうために、地域の自主防災組織が災害最前線で大事な役目を果たすものと期待されております。現在の組織整備率はどうなっているのでしょうか。また、地域防災リーダーの役割とは何でしょうか。危機管理監にお尋ねをいたします。
 災害時要援護者支援プランについては、全体計画だけでなく個別計画の進捗状況が気がかりです。東南海地震等を想定して、平成20年ごろから取り組みを行ってきています。福島県いわき市では3年ほど前から取り組み、だれがだれをどの場所に誘導するかまとめたもので、津波がなかった地区ではあったが、とても有効だったと地区の民生委員協議会会長も語っておられました。
 災害時要援護者支援プランの作成は、一番気がかりな点です。その進捗状況を福祉保健部長にお聞きします。
 県での食料、医薬品等の備え、計画の進捗状況についても、これも福祉保健部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 情報の提供として、防災無線が聞こえにくいし、他の業務に使っていることがあり、緊張感に欠けるという声があります。きのうも御答弁がありましたので、ぜひ警報時にはサイレン音で警告していることを周知していってください。
 宮古市田老町にも行きました。10メートル、総延長2キロあったという防潮堤も、どこにあったのかわからないほどの状況でした。和歌山では、マグニチュード8.6、高いところでは8.8メートルの津波と想定されております。被災地の防波堤を見ますと、砂を中身にしてコンクリートで包む工法であったりして、強度を保つという点では不安に思いました。
 今回の津波でも、強い水流でえぐられる洗掘と呼ばれる現象や、水没し浮力が働き堤防の上部が海側から押され、てこの原理で容易に転倒、引き波による強い打撃力で壊れた防潮堤もあったと報告されております。津波の第1波、第2波をしのげるような防波堤、防潮堤の守りも、当然必要です。中長期計画で点検、補強ということですので、期待をしております。
 今回、東北の被災地を訪問して、被災後のことも十分視野に入れて災害支援を考えておく必要があります。岩手県の場合は、遠野市に行政の後方支援、そして自衛隊の800人規模の後方支援連帯部隊が、事前の訓練のもと、支援活動に従事されておられました。災害時にはなくてはならない存在になっております。その仕組み、ロジスティクスには大いに参考になりました。和歌山の災害後の後方支援はどのようにお考えでしょうか、危機管理監にお尋ねをいたします。
 防災の最後に、防災教育についてお尋ねいたします。
 震災後、極端な事例がマスコミを通じて報道されております。1つは、災害に遭われた方には申しわけない事例になりますが、避難がなぜおくれたのか。石巻市小学校の事例です。反対に、「釜石の奇跡に学ぶ」とされる津波防災教育3原則を実践した釜石の中学校の取り組み、「想定を信じるな。ベストを尽くせ。率先避難者たれ」──このたび、本県の防災専門家会議の一員に加わっていただいている群馬大学大学院・片田敏孝教授の教えを実践した学校管理下にあった約300人の子供たちが犠牲者ゼロにできたことは、改めて防災教育の重要性を認識させたと言えます。和歌山県の今後の防災教育についてのお考えを教育長にお尋ねをいたします。
 大きな2点目に、和歌山電鐵貴志川線の活性化についてお聞きをしたいと思います。
 平成19年10月、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が施行され、市町村は地域公共交通のプロデューサーとしての役割が求められ、ニーズや問題の精査を行い、利用者の目線に立って公共のあり方を検討し、一体的、総合的な地域公共交通計画の策定において中心的な役割を担うことになっております。県は、各市町村の区域を越えた広域的な見地から、必要な助言、その他支援をすることになっております。
 公共交通の活性化については、全国各自治体も苦心されている現状の中、本県における貴志川線の取り組みにつきましては、南海電鉄が廃線を決定する前から注目をされてきた経緯があります。
 和歌山電鐵貴志川線は、2005年、南海電鉄から引き継がれ、はや6年になります。40年以上にわたり運行してきた南海電鉄がこの路線を廃止しようとしていることが、2003年11月に明らかになりました。最も利用者が多いときで年間360万人以上の人たちがいたことを考えると、2002年度には200万人を切り、乗客は減り続ける一方でした。会社の赤字は年間5億円にも上り、残してほしいという要望にもかかわらず、経営上の判断だったようですが、廃線という選択肢になりました。
 貴志川線をなくさないでほしいという署名活動や、NHKの「難問解決!ご近所の底力」という人気番組への出演がきっかけにもなり、存続活動に拍車がかかり、2004年には住民たちの会、貴志川線の未来を“つくる”会として結成されていきました。
 私の地元の小学校では、当時の3年生が総合学習「貴志川線たんけん」として、貴志川線に乗って、和歌山駅から貴志駅までの探検や、貴志川線についてのアンケートやインタビューを通し、最終的には1000人以上もの市民の声を聞くことができたそうです。
 未来を“つくる”会主催の高校での住民集会には約800人の人たちが集まり、存続に向け大きなうねりになっていきました。
 その後、平成16年2月4日、貴志川線存続へ向け、和歌山県、和歌山市、貴志川町がそれぞれ負担分について合意し、県が初期投資分の用地取得分や変電所の修繕費用など、最高4億7000万円を負担。10年間見込まれる運営費赤字分8億2000万円分を上限として、和歌山市が65%、貴志川町が35%を負担。加えて、できる限り沿線住民に協力をお願いしたいとして出資も呼びかける考えを表明し、引き継いでくれる新しい会社を公募することや、10年後の2015年までには行政が一定額の資金を援助し、赤字補てんをしながら存続させることが決まりました。
 当時、和歌山市会議員として、県会議員の森先輩や同僚と、岡山市に本社のある両備グループ岡山電気軌道株式会社・小嶋社長を訪問しました。その際、公共交通機関、特に鉄道にかける思いや鉄道マンとしての使命感を彼らが持っていることが大変印象的でした。
 まずは絶対に鉄道会社が運行を引き継ぐべきだという考え方が根底にあり、これは、そうしなければ鉄道の使命である安全性が保たれないとの思いも伝わってまいりました。そういった安全性だけでなく、その情熱が今日の貴志川線を全国に発信できていると実感しております。その後も、未来を“つくる”会の方々とも話し合いを持つなど、熱い気持ちも確認させていただきました。
 南海電鉄時代は年間利用者が200万人を切り、平成17年には192万人だった数字が、たま駅長人気もあり、平成20年には219万人まで回復しました。その後は、217万人が2年続いている状況となっています。赤字額も、平成21年度では約7600万円と縮小されてきております。現状としては、通勤は少し目減り、通学が若干ふえている、そして、県内外からの利用者は当然ふえているものの、結果的に沿線住民が余りふえていないという状況になっております。
 10年保証の貴志川線、11年目以降は改めて協議となっています。これまでの評価と今後の課題、また11年目以降の姿をどのようにお考えか、知事にお聞きをします。
 環境対策や公共交通機関への意識を変えていくためにも、貴志川線の利便性向上、駅周辺の魅力開発、住民との協働等についてどのようにお考えか、企画部長にお尋ねをいたします。
 最後に、教育の問題でございます。「和歌山の教育を元気に!」。
 西下新教育長、就任おめでとうございます。公立高校の校長や私立の校長を経験され、13年ぶりに教育行政に戻ってこられたわけですが、和歌山の教育を元気にするために、そのキャリアを遺憾なく発揮していただきたいとお願い申し上げます。
 和歌山県教育振興計画が、平成21年3月に策定されています。その中で、目指す教育の姿、目標、施策の基本的方向など、明確に示されております。
 西下教育長は、前教育長が取り組まれた市民性を育てる教育、地域共育コミュニティを踏襲されるとされております。
 ベネッセ教育研究開発センターが高校教員を対象に初めて実施した学習指導基本調査では、公立高校の教員の8割が生徒の義務教育段階の学習内容の未定着に悩んでいるという結果が出ていました。和歌山でも同じ傾向にあると考えます。
 教育の指導観では、自発的な学習意欲や習慣を身につけさせることを重視か、強制してでも学習させるかは迷うところだと思います。私は、前者は公立に見受けられ、後者は私学がそういう環境にあるように思われます。いずれにしても、教師が変われば学校も変わり、学校が変われば子供たちも変わります。西下新教育長に、和歌山県教育行政のトップとしてのその方針をお伺いいたします。
 2点目に、現在の和歌山県の教育についての評価、そしてそれをどのように改善されるのかをお聞きして、1問目の一般質問とさせていただきます。御清聴、大変にありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東日本大地震を経験して、本県の災害対策、特に災害時の県の役割というようなことについてお答え申し上げます。
 災害対策基本法に規定されている県の役割、責務は、市町村が処理する防災に関する事務または業務の実施支援と、その総合調整ということになっております。今回の大震災では、行政機能そのものを失った市町村もありまして、被災県の対応も困難をきわめたと聞いております。
 そういうことにかんがみまして、これはちょっと災害対策基本法の枠組みも少し見直さないといけないんではないか、特に今回のような大規模災害においては、国の責務あるいは県の役割をもう少し前に出すというようなことをやっていかないといけないんではないかということで、何でもかんでも市町村任せではなくて、災害規模に応じた対応主体を明確化していくことを提案している次第でございます。
 県としては、現在、被災県を応援すべくいろいろ人員を派遣したりしてやっておりますが、一方では、そこから将来我々が被害に遭ったときの状況あるいは対応、そういうことを勉強してまいりまして、洗い出された課題について、今度は防災・減災対策の総点検の中で対策を行っていくこととしております。大災害に備えた体制づくりを強化してまいりたいと思います。
 次に、災害対策の見直し、現在行っておりますが、これに対する視点でございます。
 現在、防災・減災対策の総点検をやっておりますが、私自身も経験したところによりますと、例えば避難場所においては、行政のやりやすいように、後々やりやすいようにといいますか、そういう行政の都合によって、避難所に逃げてきなさいというような避難所運営至上主義的な発想がどうもあるような気がします。
 津波の場合は、ちょっと想定が崩れますと、とっても大きな波が来て、下手をすると避難所ごと持っていかれるということも考えられますので、時間的に余裕のあるところはできるだけ高くと、そうでないところはより安全なところへということで、とにかく初めは一番命が助かるところを目指して逃げるということが大事だと思うんです。
 そういう意味で、現在、その緊急避難先をどこにするかということを地域ごとに市町村に考えていただいておりまして、そういう市町村ともよく御連絡を密にして取り組みを行ってまいりたいと思います。避難所の決定は市町村だ、県は知らんというようなことは県民のためには全然なりませんので、県民のためには口を出し、議論をするということでやっていきたいと考えております。
 次に、津波対策推進法制定に関してでございます。
 まさに議員御指摘のように、津波対策の推進に関する法律が県選出の国会議員の御尽力により6月17日に成立しました。これは、過去幾度となく津波により甚大な被害を受けてきた県民一同にとりまして大変大きな一歩であり、待ち望んでいたものだというふうに思います。
 また、安政の南海地震における濱口梧陵の「稲むらの火」の故事が語り継がれている日である11月5日が津波防災の日として定められたことは、和歌山県にとっては大変な意義があると思います。この機会をとらえ、さらに防災力の向上や防災意識を高めるため、あるいは全国に「稲むらの火」や「濱口梧陵」を発信するように、こういうものをキーワードにしたイベントを初め、さまざまな取り組みを検討してまいりたいと考えております。
 次に、貴志川線の運営につきましてでございます。
 これにつきましては、これまで和歌山電鐵の経営努力、地域の方々のひたむきな活動、それから県や市による支援などの一体的な取り組みによりまして、赤字の縮小につなげて、全国にも大変立派な事業だというふうに評価していただいているような状況になっているところでございます。
 しかしながら、問題は完全に解決してるというわけではありませんで、依然として赤字を抱えている状況であり、議員御指摘のように、今後本当に自立をしてもらうというためにはさらにどういうようなことをしていったらいいか、住民のさらなる利用促進あるいは経営改善のための仕掛け、そういうことを考えていくことが必要であると考えております。
 一般に申し上げますと、県としてやらなきゃいけない、あるいは市町村も含めてやらなきゃいけないことが3つあると考えております。
 1つは、コストを下げるというために協力をするということでありまして、これは初めのお約束どおり、県としては変電設備にこれから投資をしてまいりますし、両市も、これからもあと数年間は経営を支えるということを忠実にやっていくべきだと思います。
 第2番目は、特に小嶋さんの大変な経営手腕によって、たまちゃんを中核にどんどんマスコミに発信して観光客を集めてくださっている。そういう観光に対して、観光振興に県も全力を挙げなきゃいけないということだと思っております。
 このために、さまざまな機会をとらまえて、アクションプランの中でも一生懸命やっておりますが、特に、例えば和歌山の「○旅」というプロジェクトがありますが、この中で鉄旅というのがあります。これの重要な要素として、たまちゃんを中心に観光を大いに売り出していくと。そのほかたくさんありますが、頑張っていきたいと思います。
 3番目に、一般客あるいは周辺の住民がもっと利用しやすいようにしないといけないということだと思うわけであります。
 この貴志川線、乗ってまいりますと、どうも駅周辺には昔ながらの田んぼが残っていて、それでずっと離れたところで住宅開発が新たに行われている。したがって、ずっと離れたところに住んでる方は、なかなか乗りにくいというような状況があると思います。駅前のてこ入れもあんまりありませんでした。それではいけませんので、今度は住宅地から駅への動線の改善とか、駐輪場等の整備など、地域の方々が利用しやすいような駅とする、さらには駅周辺の人口増やにぎわいづくりのためのまちづくりを推進する、そういうようなことが必要だと考えております。
 こうした駅周辺の環境整備やまちづくりは市が主体となるものでございますが、県としても連携して進めることで、さらなるこの和歌山電鐵自体の経営の改善に寄与し、貴志川線の存続につなげてまいりたいと考えております。
 貴志駅につきましては駅舎ができまして、これに呼応して県がリードをして駅周辺の再開発をしていこうということで、これは紀の川市が随分と乗ってくれておりまして、具体的に近く話が進んでいくと思っております。
 和歌山市側も随分候補地になるようなところがたくさんあると思いますので、和歌山市ももう少し考えてくれないかなということで思っておりますが、県がいろいろ働きかけをしていく必要があるというふうに考えております。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 東日本大震災を経験して、本県の災害対策について2点の御質問にお答えいたします。
 まず、地域防災対策の現状につきましては、避難勧告・指示については、災害対策基本法第60条により、災害が発生または発生するおそれがある場合において、人の生命、身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときに市町村長が勧告、指示を行うものであります。
 発令基準については、迅速な発令の実施や住民の避難を準備する観点から事前に策定しておくことが望ましいものであり、水害、土砂災害、高潮災害、津波など、災害の種別に応じた発令基準としているところです。策定していない市町に対して、県としては早急に策定していただくよう指導しているところでございます。
 津波避難計画につきましては、平成15年1月に和歌山県津波避難計画策定指針を作成し、沿岸市町村へ策定するよう指導してまいりました。津波避難計画において定める事項は、避難場所・避難路等の設定、初動体制、津波情報の収集・伝達、避難勧告・避難指示の発令基準、伝達方法等であります。現在、沿岸18市町のうち、14の市町で津波避難計画を策定しております。県としては、策定していない市町に対して早急に策定するよう指導しているところでございます。
 自主防災組織の組織率は、現在77.7%となっております。地域防災リーダーは、自主防災組織の中心的担い手であります。県では、平成17年度から地域防災リーダー育成のため紀の国防災人づくり塾を開講し、現在、622名の修了者となっております。今後も各市町村と連携し、組織率の向上につながるよう活動の支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、災害時の後方支援につきましては、東海・東南海・南海地震等、大規模災害において複数市町村が同時に被災した場合、県単独では対応が困難であり、全国からの支援が不可欠となります。そのため、和歌山市、橋本市、田辺市、新宮市を中心とした4つのゾーンにおいてバランスよく拠点を展開する方針により、広域防災拠点基本計画を平成20年度に策定をしております。
 平成21年度以降は、通信設備や医療資機材、コスモパーク加太防災ヘリポートの整備を行い、広域防災拠点としての機能強化を図るとともに、ヘリポートの運用訓練、新宮市民運動競技場における物資搬送・通信訓練、南紀白浜空港における広域搬送拠点臨時医療施設の展開訓練を実施しております。
 今後、市町村の地域防災拠点や物資集積拠点への配送を想定した運用の確立、応援部隊の活用訓練や救助物資等の受け入れ、仕分け、配送を想定した訓練などにも取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 地域防災対策の現状についての御質問のうち、2点の御質問についてお答えいたします。
 まず、高齢者や障害者など災害時要援護者対策につきましては、市町村において、避難支援の基本的な方針を定める全体計画と、避難時の支援者が身近にいない避難行動要支援者1人1人に対応する個別計画の策定を進めているところであり、本年4月1日現在、全体計画は県内25市町が策定済み、個別計画は26市町で策定中となってございます。
 このたび、県内市町村における要支援者の登録及び個別計画の作成の状況を調べたところ、要支援者の登録者数は約1万8000人であり、うち3割の方について個別計画が作成されているところです。
 県といたしましては、東日本大震災を受け、全市町村において全体計画及び個別計画を早急に策定するとともに、民生委員、児童委員初め地域住民の協力を得ながら、さらなる要支援者の把握及び個別計画の作成を促進するよう引き続き働きかけてまいります。
 次に、食料の備蓄につきましては、地震災害対策のための備蓄基本方針を策定し、東海・東南海・南海地震の被害想定に基づき、発災後3日間の食料を住民、市町村、県でそれぞれ1日分を備蓄することとしており、平成19年度から10年計画で30万食を備蓄することとしています。
 なお、現在の備蓄状況は、今回の震災で被災地に約2万6000食提供をしたため、約9万4000食となっております。
 備蓄に関する今後の方針でございますが、防災・減災対策の総点検で、今回の震災を教訓として備蓄品目や数量等について基本方針の見直し作業を進めているところであり、今後は、見直し後の基本方針に基づき、早急に備蓄を進めてまいります。
 また、市町村の備蓄につきましても、備蓄数量の確保や、より住民に身近な保管場所の検討など、必要な指導を行うとともに、県民の皆様にも家庭での備蓄の重要性について、あらゆる機会を通じて啓発を行い、周知してまいります。
 次に、医薬品の備蓄につきましては、災害対策用医薬品等を確保するため、和歌山県医薬品卸組合と医薬品等の備蓄について協定を締結しております。
 なお、今回の東日本大震災で被災地では交通網の遮断等により医薬品の不足が発生したことを踏まえ、従来の協定に加え、新たに県内8カ所の災害拠点病院に一定数量の医薬品を直接に備蓄することを検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 貴志川線に関する利便性の向上、駅周辺の魅力開発、住民との協働について、一括してお答えいたします。
 貴志川線が継続されるには安定した収益の確保が不可欠でありますので、沿線住民の利用促進を図るため、先ほど知事がお答えしましたにぎわいのあるまちづくり、駅周辺の利用環境の整備について、関係者とともに一部取り組んできたところでありますが、今後、さらにより多くの駅周辺でも検討を進めてまいりたいと思います。
 また、通勤・通学者などの利用客にとって、より利便性の高いダイヤ編成などについても検討を深めてまいります。
 次に、駅周辺の魅力開発につきましては、沿線の名所などの観光資源を活用し、貴志川線祭り、電車に乗ってジャガイモ掘り、JR和歌山線との共同スタンプラリーなど、さまざまなイベントを展開しているところです。今後とも、こうした取り組みを強化するとともに、新たな利用客の増加につながる観光資源の開発や、その活用などについて努めてまいりたいと考えております。
 また、住民との協働につきましては、貴志川線の未来を“つくる”会、地元商工会なども加わった貴志川線運営委員会が主体となって、今申し上げました多様な事業を実施してまいりました。今後とも、このように地域住民の方々との連携を図りながら、一層の利用促進に取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 多田議員から2点御質問をいただきました。
 まず最初に、防災教育についてお答えいたします。
 学校における防災教育につきましては、従来から積極的に取り組んできたところでございますが、今回の東日本大震災を受けまして、何よりも子供の命を守るという観点から、既に年度当初に防災・危機管理体制の再確認、避難訓練の早期実施、避難場所・避難経路の総点検等を行うよう各学校に指導するとともに、学校におかれた実情を一層考慮した具体的かつ個別のマニュアルを8月末をめどに策定するよう、近く通知することといたしてございます。
 また、避難訓練につきましては、県内すべての学校で既に実施されていますが、学校の地理的条件や津波の到達時間の違いなどに応じた柔軟かつ適切な避難訓練が今後も極めて大切であり、同時に、災害時には児童生徒が迅速な行動がとれるよう、防災意識を喚起する授業を発達段階に応じて行うことが極めて重要であると考えてございます。
 このため、御指摘のございました群馬大学・片田教授の考えを取り入れた防災教育につきましては、既に8月に実施予定をしている教員対象の講演会とともに、教材作成等の御助言をいただくなど、アドバイザーとして御協力をいただくことになってございます。
 今後も、児童生徒の命と安全を守るため、教育活動全体を通じまして計画的かつ継続的に防災教育を積極的に推進してまいる所存でございます。
 次に、「和歌山県の教育を元気に!」ということで、3点ほど御質問いただきました。まとめてお答えをさしていただきます。
 教育長に就任して改めて思いますことは、教育は未来への責任であるということでございます。和歌山の教育の底力を信じて、県内のすべての学校において、お互いに支え合い、励まし合い、磨き合うことが実感できる学校づくりが大切であるというふうに考えてございます。
 そのためには、古いものは思い切る勇気、新しいものには踏み出す勇気、合理的に割り切る勇気という3つの勇気を持って、子供たち、教職員、保護者がそれぞれ自分たちの学校に誇りを持って、また、地域の方々が私たちの地域にはこんなすばらしい学校があるんだという誇りを持つ、この4つの誇りを持たせる学校づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
 これまで県教育委員会が取り組んできました市民性を育てる教育や地域共育コミュニティというのは、これからの日本にとっても本当に必要な教育を先取りした先進的なものであると思ってございます。
 一方、全国の調査結果から見た学力や体力については、依然として課題がございます。そのため、学力に関しては、庁内に設置した学力向上プロジェクトチームでの議論を踏まえ、学習につまずきのある児童生徒を取り残さない、伸びる子はさらに伸ばすという方針のもと、学校が責任を持って教え切る体制づくりを指導しているところでございます。体力に関しましては、生きる力の根源でございますから、紀州っ子の体力向上支援委員会を設立し、各学校において体育授業の工夫改善はもとより、部活動など、あらゆる場面を通じて学校体育の一層の充実に取り組んでまいります。
 不登校や高等学校の中途退学に関しましては、チームで取り組む体制づくりが進んできているため、減少傾向にあります。ただ、中学校における暴力行為につきましては、喫緊の課題であると認識いたしてございます。
 今後とも、家庭や関係機関との連携を密にし、よりよい人間関係の構築に努め、心の通い合う学校づくりを進めていきます。
 私は私立の学校に携わる機会がありましたが、私立の学校は建学の精神をもとにした魅力ある学校づくりを進めてございます。公立には、和歌山の持つすばらしい伝統や、これまでに果たしてきた役割、教育成果がしっかりとあります。その両方のよさを踏まえながら、継承すべきものは継承し、改めるべきものは改め、より質の高い教育の実現に努めて、元気な和歌山を目指していきたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 30番多田純一君。
○多田純一君 新教育長には、これからの教育行政、本当に今いろんな熱い思いを聞かせていただきましたし、ぜひそのキャリアを生かして和歌山県の教育力のアップにつなげていただきたいと、期待をさせていただきたいと思います。
 あとは要望なんですけども、特に今回、地域防災対策というのをいろいろ詳しくお聞かせいただきました。一番時間をつくっていただいたんじゃないかと思うんですけども、3月11日以降、危機意識というのは本当に一変しました。そういう点では、このときを逃さず、危機への備えというのは喫緊の課題、これはもういろんな方々からもそういうお考えが述べられておりますけども、特にその中で私が気になったのは、それぞれ今課題があると思うんですけども、災害要援護者、要するに、「私、助けてほしいよ」、こういうふうに申されてる方に対して支援者がまだ3割しか決まってないという、こういう現状ですね。
 私も、和歌山市の中で支援者の1人として登録をしていただいておりますけども、要するに手を挙げてるのに、その助ける方がまだいらっしゃらないというこの現状を、これは今地震が起こったときに、どうなさるのかということなんですよ。1人も被害者を出さないと、こういう意識の中で、こういう方々をどう救っていくのか。
 もちろん、プライバシーの問題等もございますんで、なかなか難しい点もあろうかと思いますけども、最低でも、手を挙げていただいてる方に対してどういうふうに行政が手を差し伸べるか、これを早急に御検討いただきたいと思いますし、それぞれの市町村にそういう形の姿勢で接していただきたい、こういうふうに要望させていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時35分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、こんにちは。
 今回、田辺選挙区から初めて選出いただきました田辺市大塔村出身の三川生まれの改新クラブ、39歳、谷口和樹でございます。ふるさとの田辺の皆さんに、ここに登壇できて質問する姿を見せることができまして、うれしいです。
 「世の中、できそうもないと言われることは多いが、実際できないことは意外と少ない」、私が両親から得た言葉であります。これからも、よいと思うことは思い切ってやってまいります。加えて、99万和歌山県民の期待にこたえられるように、そして10年、20年後(「100万て言えや」と呼ぶ者あり)──100万て言うたほうがいいですか──誇れるふるさとを子供たちに残してやれるようにやっていきます。
 何分、若輩者ではありますが、議長を初め先輩議員各位並びに当局の皆様方には、今後とも御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
 まず、質問に入る前に、3月11日の東北大震災、そして今なお続く福島原発事故に際しまして、お亡くなりになられた方々、心より御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様と地域に一日も早い復興を願うところであります。
 今回、たくさんの同志が防災についての質問をされています。重なる部分を割愛さしていただくことをお断り申し上げた上で、質問に入らせていただきます。
 5月8日から11日まで、少しでも被災地のお役に立てるかと思い、1人で宮城県石巻市に復興ボランティアに行ってまいりました。避難所の小学校の清掃、独居高齢者宅の泥出し、物資の積みおろし、そういったボランティアをやってきました。
 自衛隊や警察、消防が作業を続ける物々しい雰囲気の中で、流れ着いたままの車や陸地の奥まで打ち上げられた船や漁具、瓦れきの山、とまったままのライフライン。2カ月たってなお津波のつめ跡が大きく残る町の惨状に声を失い、本当に胸が締めつけられる思いでありました。
 復興に関しては、当然、我々もそうですが、まだまだ日本全体で支えていかなくてはならない、このように強く思うと同時に、現場での経験は本当に多くのことを学ばせていただきました。そのことを踏まえた上で、1つ目の質問に移ります。
 今回の復旧ボランティアの経験の中で、被災された方に現地で直接触れ合う中で、支援する側の顔が見える支援が被災された方々に力を与えてあげられる、そういうふうに学びました。例えば、和歌山から水を送るならば和歌山の水を、それを受け取る方が和歌山出身の方であればなおさらであると思います。
 被災後、家を再建された方のコメントに、生まれたところの木で建てた家にもう一度住めるなんて幸せだ、こういうコメントがありました。今現在被災されている和歌山県出身の方々が、再建、リフォーム、そういう際に、ふるさと和歌山からふるさとの紀州材を供給できる制度があれば、心からの支援となるのではないかと思われます。
 日ごろ、ふるさと納税などに始まり、さまざまなケースで県人会や出身者の会を頼るケースがよくありますが、今回はふるさと和歌山県として出身者への紀州材の助成制度で心からの支援をする、このことについてお聞きします。
 続いて、2つ目です。昨年10月、和歌山県老人福祉施設協議会と提携しました災害時等における地域の安心の確保等に関する協定書の今後について、あわせて福祉保健部長にお聞きいたします。
 3つ目の質問であります。海への配慮を念頭に置いた上で、救命救急センターへのアクセス道路、文里湾架橋についてお聞きいたします。
 現在、田辺市のJR田辺駅を通るJRの線路から海側、そして北は江川地区から磯間、文里地区まで、この地域は、現在津波のハザードエリアに入っているところでありますが、かつては田辺の中心として大変栄え、本当にたくさんの若者や子供たちであふれておりました。しかしながら、現在、大型郊外店の進出や商店街の経営悪化など、核家族化、子供の数の減少など、さまざまな理由からこのエリアの高齢化が急激に進んでおります。旧田辺市、高齢化率25.2%に対し、このエリアでは30%を超えております。
 独居の高齢者の家が大変多くなっている中、当然、救急搬送の機会も大変多く、その内訳には、脳梗塞、脳卒中、脳出血、心肺停止など、命にかかわるものがあります。
 昨年、22年度実績でありますが、私が先ほど申しましたエリアに芳養方面の地区を加えた架橋に影響を受けるであろう地区には、旧田辺エリア全体の高齢者数1万7003人に対し53%の9130人がお住まいで、旧田辺エリア全体の救急搬送3004人に対して約55%の1679件がこのエリアで発生しております。うち、国立病院機構南和歌山救命救急センター搬送件数は、1238件のうち、このエリアでは584件、さらには入院、重体、死亡に関する中等傷以上の割合は53%、311人となっています。この数値は極めて高い数値であると私は認識しております。
 現状、例えば先ほどのエリアにある田辺市役所から救命救急センターまでの搬送は、渋滞を勘案せずとも、平時、田辺バイパスもしくは旧国道42号線を通りますと約15分の搬送時間となります。空からの写真を見ていただくと一目瞭然でありますが、神島高校から南和歌山病院まで文里湾を迂回するルートと横断するルート、推定短縮時間は約8分となっております。全くもってかなり大幅な時間短縮となりますが、国立南和歌山救命救急センター、救急搬送全体の47%が発生していますこのエリアに対し、心肺停止から生存率の限界7分まで1分1秒を争うといった中で、命の道として、この国立病院機構南和歌山救命救急センターまでのアクセス道路、文里湾架橋の必要性について、県土整備部長にお聞きします。
 4つ目の質問にまいります。
 国際森林年のことし5月、我が県で開催された全国植樹祭は本当にすばらしいものでした。当局の尽力が実り、まさしく紀の国のアイデンティティーを十分に表現し、県民の誇りを醸成させるにふさわしい演出であったと思います。そして、この経験と思いを未来の和歌山に引き継いでいく、これからの森林施策、林業振興、そして和歌山の発展の命題でもありますが、現実、県内の森林組合経営は、木材価格の低迷や制度の改正などで非常に厳しい中にあります。
 例えば、田辺木材共販所の例を挙げますと、昭和54年の木材取引平均単価5万5378円に対しまして昨年度は1万4263円、25.8%に、平成9年からしても約半値に下落しております。
 林業振興は、山間部における人口減少と雇用に苦しむ過疎地域の最後の希望であり、林業従事によって定住人口を維持する、または緑の雇用によって若い新しい人材や家族がふえていくことは、今後の山間部での集落維持や学校存続など、未来へのサイクルの源であります。
 その上で、今後の過疎地域における林業振興と緑の雇用の意義について知事にお聞きいたします。
 本当に華やかな全国植樹祭の開催でありました。しかしながら、その一方で3月には、県外から和歌山の森林整備に夢と希望を持って山間の過疎地に来てくれた緑の雇用従事者が、本宮森林組合から大量の雇いどめという和歌山県民にとっても大変残念な出来事がありました。そのことにつきまして、県の対応を知事にお聞きいたします。
 そして、県の対応の中に、労使間で状況把握の食い違いが見られますので労使間でまずお話をということがありましたが、今後の話し合いの中で大量解雇の確認がつき次第、当該森林組合には、緑の雇用のあり方、林業従事者の雇用の仕方、森林組合経営のあり方について指導をされていくのか、あわせて知事にお聞きいたします。
 5つ目にまいります。5つ目のフィルムコミッションに移ります。
 自治体が映像撮影の誘致で地域振興を図る目的と、文化庁や経済産業省が中心となって国際的なコンテンツ市場の拡大を視野に、国内の映像制作の環境を整えるために推進されてきましたフィルムコミッションでありますが、着実に県内にも根づきつつあると感じております。
 地域にとっては、制作された作品を通じて自分たちの住んでいるふるさとや文化、人のすばらしさを再確認することとなりますし、制作支援したコンテンツがメディアに露出することで経済効果も大きい、そういうフィルムコミッション活動でありますが、本県の地域振興、観光振興としてのフィルムコミッションの今後の進め方、そして、今までのフィルムコミッション活動を通じまして、近畿経済産業局のCrIS関西、そして財団法人日本映像国際振興協会(ユニジャパン)主催の東京国際映画祭のパートナーシップイベントとなって開催されております田辺・弁慶映画祭の今後の展開について、商工観光労働部長にお聞きいたします。
 最後、6番目の質問に入ります。龍神分校と寮についてに入ります。
 現在、南部高校龍神分校では、全校82名中37名が寮もしくは下宿での通学でありますが、一般の学事寮で生活している28名の生徒以外に硬式野球部員9名の生徒が、保護者の自主運営となっている草魂寮という寮で共同生活を行っています。一般寮は月額3万円負担で、草魂寮のほうは月額6万円プラス修繕費1万円の寮費となっています。なぜこのような差が出てくるかと申しますと、片方は毎年満杯の通常の学校寮でありまして、もう片方は硬式野球部の保護者の自主運営となっているからであります。
 今までのいきさつがどうかということはさておきまして、現状、草魂寮費の公費負担はもちろんなしですが、元診療所を改装したこの草魂寮は、自前の修繕費が要ることでもわかりますように、結構な年数が経過しております。運営に対し、地域の有志の方々から経済的支援も入った中での月額6万円が、余りにも運営上筒いっぱいであることは確かであります。
 「学校は地域の光」──地域づくりの実践者は事あるごとに口にします。人口減少が激しくなっている地域ではなおさらのことであります。過疎地域での学校の果たす役割と龍神分校の寮の現状について、教育長の認識をお聞きいたします。
 以上、一般質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 緑の雇用事業の今後についてお答え申し上げます。
 緑の雇用は、山村地域の活性化などを目的として和歌山県が全国に先駆けて取り組んできた事業でありまして、これまで比較的に若い方々が林業の貴重な担い手として和歌山に来られました。しかしながら、これは労働の供給面に重点を置いた施策でありまして、労働の需要を高めないと長続きしないと私は懸念をしておりました。この思いをきっかけにして、企業の森とか、あるいは紀州材生産販売プランに基づく低コスト林業、あるいは森林資源のバイオマス利用、そういうものを推進して、林業の振興あるいは森林組合等の仕事の確保に努めてまいりました。
 その中で、例えば舞鶴の林ベニヤとの取引ルートを開拓いたしまして、当時の計算で言いますと全体で4分の1ぐらい需要増が見込まれるという状況に持っていったわけでございますが、まだまだ道半ばでございまして、特に林業の情勢が厳しい中で十分とは言えない、これからも頑張らないかんということだと思っております。特に、間伐材の増産などによりまして林業生産を拡大し頑張っていただいてる森林組合も数多くあるわけでございますけれども、こういう方々を励ましていかないかんというふうに思っております。
 このような中で、今回、本宮町の森林組合において、緑の雇用で来られた作業員の方々が職を失われましたが、第1報を知った4月以降、現地に職員を派遣し、森林組合、作業員双方からの聞き取りや両者の話し合いの場に出席させるなど、実態調査を進めているところであります。この結果を踏まえ、一連の過程において森林組合の対応に問題が認められる場合には是正を求めるとともに、希望される作業員の方々には、今後も和歌山で暮らしていただけるように努力してまいりたいと考えております。
 また、森林組合に対しては、林業の担い手確保対策として、緑の雇用の有効活用、低コスト林業の推進による経営の安定化などの指導を強化してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 東日本大震災復興支援と紀州木材の供給についてお答えをいたします。
 県では、市町村の御協力や県内企業、さらには県民の皆様から心温まる支援物資の提供をいただきながら、被災地の要請に応じて食料、水、毛布等の物資を提供してきたところです。
 被災されている和歌山県出身者の方々が住宅を再建、リフォームする際に、ふるさと和歌山から紀州材を供給できる制度を設けてはどうかとの御提案でございますが、被災地におられる県出身者を特定することはなかなか難しく、むしろ被災地への復興支援として広く紀州材を使っていただいてはどうかと考えます。例えば、資材が不足して住宅の応急修理がなかなか進まない地域へ災害救助法のスキームを使って紀州材を供給するなど、現地のニーズを踏まえつつ、支援物資としての紀州材の活用について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、地震・津波対策と和歌山県老人福祉施設協議会との防災協定についてですが、災害が発生し、またそのおそれがある場合及び平常時において高齢者や障害者など支援を必要とする地域住民の安心を確保するために、昨年10月に和歌山県老人福祉施設協議会と県との間で包括的な協定を締結いたしました。また、本年1月には、この協定に基づき、県で独自に施設での要援護者の受け入れや施設間の相互応援などの具体的な取り決めを盛り込んだ協定の標準例を作成するとともに、県内全市町村や高齢者福祉施設に対して説明会を開催してきたところです。
 これらのことを受け、現在、市町村と管内高齢者福祉施設との間で協議が進められているところであり、県としましては、地域における災害時要援護者の安心の確保のために、地域の実情に応じた実効性のある協定の締結が進むよう、市町村及び関係機関に対して積極的に働きかけてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 文里湾架橋についてお答えいたします。
 田辺市内におきましては、今後、街路等の整備に加え、国道42号田鶴交差点の改良などにより、市街地からの救急搬送時間の短縮につながるものと想定されます。また、これとは別に、高速道路や田辺西バイパス等の整備により、広域的な救急医療体制の強化にもつながるものと考えております。
 その上で、文里湾架橋の構想につきましては、現在進めている道路ネットワーク整備の効果を検証し、救急搬送の観点も含め、将来的に検討させていただきたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) フィルムコミッションについてお答えいたします。
 本県では、18年2月、県観光連盟にわかやまフィルムコミッションを立ち上げ、県内各地のロケに適したさまざまなシーンのホームページでの公開や地元との連絡調整、映像関係者との人脈形成等に努めるなど、誘致活動に努めてまいりました。最近では、映画「ALWAYS三丁目の夕日’64」の有田川町へのロケ誘致を行ったり、新宮を舞台に撮影された映画「軽蔑」の先行上映会に協賛するなど、地域における映像活動を支援しております。
 県としましては、引き続き県観光連盟と連携を図りながら、映画の撮影などを誘致するために、映像関係者に対しまして積極的に働きかけを行ってまいります。
 また、経済産業省が進める映像イベント、CrIS関西に当初から参加している田辺・弁慶映画祭につきましては、実行委員会の一員として、地域のイメージアップや観光客の誘致につながる取り組みを行ってまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 龍神分校と寮についてお答えします。
 過疎地域にある分校は、地域の子供たちにしっかりとした学びの場を保障する観点から、大変重要な役割を担っていると認識してございます。近年、少子化による地元中学校卒業生が減少する状況にあって、特色ある教育活動を行うことにより、この分校で学びたいという生徒が入学してきてございます。これが学校に活力を生むとともに、地域の活性化にも貢献していると考えてございます。
 議員御指摘の南部高等学校龍神分校の寮についてでございますが、現在の寮は、これまでの分校の入学者数や入寮を希望する生徒数から総合的に判断した適正な規模で運営されてきたものと考えてございます。硬式野球部の創部後、学校の寮を希望する生徒の増減状況や、部員の保護者の自主運営となっている草魂寮の実情については承知してございますが、今後とも入寮を希望する生徒数の推移を慎重に見きわめる必要があると考えてございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問を許します。
 29番谷口和樹君。
○谷口和樹君 よろしくお願いいたします。
 要望として少しお聞きを願えたらと思います。
 今回、公表には、森林・林業再生プランの中で、切り捨て間伐から搬出間伐への方針転換など国の制度内容が変更になり、補助金の減収など経営悪化から解雇に至りました、そういう公表がありました。緑の雇用の大量解雇のことについてでございます。
 和歌山県では、19年度から低コスト林業の推進で搬出間伐への転換を既に奨励をしてきておられます。決して急な方針転換ではなくて、実際、周辺の森林組合では、苦しい中でも必死で経営改革と新しい方針に沿うための努力を進めながら、経験の浅い林業従事者を1人でも多く一人前にするために、その家族が山間部で生活していけるために必死で組合経営を続けております。
 この間、実際、努力をされているほかの森林組合の方とお話をする中で、「今まで5月、6月やったら梅の収穫に森林組合から派遣をしていたんだけども、何年か前の派遣法の制定で派遣ができなくなった。組合の収益にもなるし、即戦力の森林組合職員は大変農家にも喜ばれた。月20日要る雇用保険も継続できるし、何より林業が農業を補完できるというのはすばらしいことなので派遣できるようにならないか」、そういうようなお話をいただきました。本当に経営の工夫と試行錯誤をしております。まだまだ和歌山には林業のために行政ができることがたくさんあると思います。すべきこともたくさんあり、知事には期待するところであります。
 今回の大量解雇に関して、基本的には補助金や制度に関する当該森林組合の実質経営陣のモラルの問題であると私は考えております。緑の雇用制度は和歌山県の林業政策の柱でもあり、総務大臣賞に始まり、幾度となく賞をいただいております。元首相の在任中に現地視察に来ていただいたり、紀の国和歌山が全国に発信する誇るべきグリーンシステムであると、そういうふうに思っております。
 今回解雇された方々が言っておられます震災を理由にした解雇なのかどうか等々、当局が問題を確認次第、ぜひとも御指導をなされる際には、緑の雇用事業は研修制度、担い手育成事業でありまして、決して使い捨ての事業ではない、単にお金をもらうだけの制度ではないと強く御指導を願いたいところであります。
 それと、繰り返しになりますけども、杞憂であろうとは思いますが、森林組合による林業従事者の雇用は、集落維持、学校維持など、過疎対策として山間を支える重要な要素であります。今回の大量不当解雇の件により、必死で頑張っている周辺の森林組合や林業従事者、緑の雇用の方々がぎくしゃくしたり間違った影響が出ないように、知事の山間集落への過疎対策には大きく感謝をしていますが、それに加えて、格段の配慮と、今後ともさらなる山間部の林業振興と林業従事者の雇用確保の維持にぜひとも傾注していただきたく、お願い申し上げます。
 以上、2つの要望をお願いして、29番、一般質問を終わります。ありがとうございます。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 初めに、4月の統一地方選挙では多くの皆様から温かい御支援を賜り、再びこの県議会へと送り出していただきましたことに心より感謝を申し上げさせていただきます。また、県議会の皆様方には、引き続き御指導をいただけますようによろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に基づきまして、議案への質疑及び一般質問をさせていただきます。
 「私たちの郷土和歌山県は、陽光あふれる温暖な気候、青い海、緑豊かな山々、清らかな川などの豊かな自然や、神道、仏教、修験道などの多様な信仰によってはぐくまれた世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』に代表される貴重な歴史や文化、さらには、懐かしさを覚える農山漁村の風景や四季折々の多彩な食材、心を癒す温泉にも恵まれている」、これは、議員諸先輩方の御尽力で平成22年に制定された和歌山県観光立県推進条例の前文から引用したものですが、この文章からわかるように、和歌山県には豊かな自然や奥深い歴史と文化が織りなす独特な景観や祭り、伝統行事などがたくさんあって、それが重要な観光資源となっていて県の重要な産業である観光産業を支えているのは、皆さんも御承知のとおりでございます。
 観光立県和歌山として、今、観光産業の活性化に向けた取り組みが重要とされている中で、和歌山県の美しい景観を守っていくことは本当に大切であると私は考えます。そして、県都和歌山市には、和歌山城や紀三井寺周辺、そして昨年8月に国の名勝に指定されました和歌の浦など、京阪神からも気軽に訪れることのできる景観にすぐれた場所がたくさんあり、多くの観光客が訪れています。
 一方、和歌山のまちの中では都市の空洞化が進み、シャッター商店街や空き家がどんどんとふえてきています。そうした家屋の中には、人が住まなくなって長い間ほったらかされて、かわらが落ちたり、柱やけたが朽ちたりしているものがあると聞きます。
 実際、私もそういった廃屋と言われるような家や倉庫を何軒も見かけたことがあります。こうした廃屋は、大きな台風や地震に見舞われたときに建物が崩れてしまい、隣接する家屋などに被害を及ぼしたり、避難路をふさいだりする危険性があり、周りで暮らしている方々はきっと心配しているだろうと感じました。空き家が不法投棄のごみ捨て場となり、火災や放火などの犯罪につながる場合や、未成年、青少年のたまり場となり、教育環境にも悪影響を及ぼし、負の要因が余りにも多く、まちの活性化をも阻害しているケースも見受けられます。
 また、今にも崩れそうな廃墟、廃屋と同様に、通称「ごみ屋敷」の存在も住民にとっては大きな不安材料であります。このごみ屋敷は実際に住まれている方がいるわけで、本人がごみを自分の所有物である、財産であると主張した場合は、幾ら行政の立場といえども勝手に敷地内に入ることはできません。しかし、ごみ屋敷は、まちの景観を損なうばかりではなく、悪臭や害虫、ネズミの発生、空き家と同様、火災の危険性など、近隣住民の方々の衛生環境や精神面で悪影響を及ぼしております。
 私も、この4月の選挙に向けた活動の中で、各地を歩いているときにごみ屋敷に遭遇しました。それはそれは本当に、どうしたらこんなにたくさんのごみを集められるのか、積み上げられるのかと驚きました。積み上がったごみが玄関のドアをふさぎ、どこから入るのか。埋め尽くし、さらには崩れ落ちる危険も見て確認してきました。御近所の住民の方々にとってはごみ屋敷は毎日の生活に密着した問題で、悩みの種となっており、何とかしてほしいと話しておりました。
 私は、このごみ屋敷を実際に目にし、何らかの対策、対処が必要であると感じており、地元の方々と連携をして行政としての対応が重要であると思います。こうした景観はもとより、生活環境にも著しい支障があるごみ屋敷の問題についても御検討をいただくよう御要望いたします。
 さて、今回この質問を行うに当たって県の担当者に聞いたところ、和歌山県の空き家率は全国平均の13.1%を大きく上回る17.9%で、全国第3位で、別荘などを除いた純粋な空き家の数値では、全国平均の4.7%に対して9.1%と倍近い数字で、全国第1位となっているそうです。
 こういった町なかにおける廃墟や廃屋の問題は、全国的に見ても人口の減少や高齢化が進む地域では特に問題になっていますが、これまで法的な有効な対処方法はなく、所有者にお願いをするのみと聞きます。また、お願いしようにも所有者が近くに住んでいなかったり行方不明になっていたりして、それもままならないという現状ではないでしょうか。
 美しい景観を守り、住みよい環境をつくり出していくのが私たちみんなの望みであり、また、そこに暮らす住民それぞれが努力をしていかなければならない責務だと考えます。
 日本の法律は、個人の財産権の保護ということが特に重視されており、個人の財産に対し法律や条例で撤去命令を出すことができる規定を設けるということは、特別の場合を除いて少ないように思います。今回、議会に提案した条例は、こうした意味で画期的なもので、この条例を適切に運用していくことが行政と住民とが一体となったまちづくりを進める上でも大変重要になってくるものだと思います。
 昨日も中議員からこの議案に関する御質問がありましたが、私もこの条例案は特に注目されるべきものだと考えますので、知事にお伺いいたします。
 先日の記者会見の際に本邦初と話されていましたが、和歌山県がこの条例を制定しようとしていることについて何がきっかけとなったのか、和歌山県全体としてどのようなメリットがあるのか、地域をどのようにしていきたいと考えているのか、地震や火事など防災の観点から廃墟対策についてどう考えているのかについて質問いたします。
 今回、この条例案を提出されるまでに数多くの検討がなされてきたということですが、条例が成立した場合、県民にも少なからず影響があると考えますので、本条例がもたらす効果と知事の意気込みについてお聞かせください。
 おととしぐらいに私の家に1本の電話がかかってきました。それは県のほうから、どこの課からかはちょっと記憶に残ってないんですけれども、「○○地区の何番地は森さんのところの物件ですか」というお電話でした。そのときに、たまたま私が電話に出たんですけれども、すぐにうちの空き家のことだなと思いました。そのときに思ったのは、何かトラブルに巻き込まれたのかな、住民の方にけがでもさせたのかなという不安がよぎったんですが、お話を聞くと、「地区に住んでる近所の方々から今度の台風が来るまでに屋根と壁を直してほしいという要望があるので、直してください」というお電話でした。
 やっぱりそれまで危ないなと思っていてもなかなか腰が上がらないので、こういうふうに周りの声ということで県のほうから指導されますと、重たい腰もすっと上がりますので、条例の効果に私は期待しております。
 次に、子供の教育について。
 昨年12月の県議会で子供たちの学力と体力について質問をさせていただきましたが、今議会でも、西下教育長が新しく就任されたことを踏まえ、改めて取り組ませていただきます。
 前回は、全国学力・学習状況調査結果をもとに和歌山の子供たちの学力の状況を受けとめ、今後の子供たちの学力向上を願い、県としての取り組みについて質問させていただきました。以来ずっと、どのような取り組みが、また教育方針が、指導方法が子供たちの学力向上につながるのかと日々考えてまいりました。
 学力の向上という結果を導くには、ただ勉強する量をふやす、質を上げるというだけではなくて、心の教育、体力の向上、そして家庭教育など、さまざまな面からのアプローチが大切であると考えます。
 まず、学力面においてどのような取り組みをすれば子供たちの興味、関心を引くのか、そして実際の学力向上につながるのか、再度教育長にお伺いいたします。
 次に、体力についてですが、和歌山のこの自然あふれる緑の多い県で育った子供たちがどうして都会の子供たちに体力面で負けてしまうのかと悔しい思いです。
 例えば、学校でのお昼休みの過ごし方ですが、校庭で遊ぶ子供たちの数が多く、元気いっぱいのようにも見受けられますが、一方では、校庭でボールを使って遊んだり縄跳びをして遊んでる生徒は大体いつも同じメンバーで、反面、教室に残っているお子さんはいつも同じメンバーという状況が見受けられます。このような二極化が、運動の苦手な生徒さんがいろんな場面においてみんなの輪になじめないという雰囲気が漂い、学校生活が楽しくなかったり寂しい思いを受けたりと精神的な不安を抱き、勉学面にも影響をし、集中に欠けたり意欲を持てなかったりとつながっているよう感じます。
 また、先生が生徒らに加わり一緒に遊んでいる姿は最近余り見かけられなくなったように感じているというのが、私たちの母親からの目線であります。もし一緒に遊べるのであれば、いつも教室に残っている生徒さんたちも一緒になって遊べるように方向づけていただきたいというのが親の立場からの願いであります。
 例えば、前回御答弁いただいた長縄跳び等、チャレンジランキングにたくさんの学校が参加し、子供たちの運動への意欲をかき立てさせていただき、基礎体力をしっかりと身につけるというのも効果的かもしれません。
 教育長にお伺いいたします。
 一部の生徒だけでなく、できるだけたくさんの生徒が参加し、体力向上に結びつける方法はないのか。紀の国わかやま国体の開催を4年後に控え、和歌山県の子供たちの全体の体力向上に向けた取り組みをお聞かせください。
 次に、新聞を活用した教育活動についてお伺いします。
 子供たちに変化の激しいこれからの時代を生き抜く力をはぐくむことを目指した新学習指導要領については、平成23年度、小学校から全面的に実施され、中学校と高等学校は来年度以降、順次実施されるということとなっています。新学習指導要領では、学校教育の場で取り組みを推奨しています。
 学習指導要領のポイントは、以下4点に集約されています。
 第1点目は基礎的・基本的な知識、技能の習得、第2点目は知識、技能を活用して問題解決に必要な思考力、判断力、表現力の育成、第3点目は主体的に学習に取り組む意欲と学習習慣の確立、そして第4点目として言語活動の充実が挙げられています。
 新聞を活用した教育活動の1つであるNIE(ニュースペーパー・イン・エデュケーション)は、今申し上げました第2点目から第4点目までの目的達成のために効果的であり、その活動が第1点目の基礎的・基本的な知識、技能の習得につながることが、これまでの実践で証明されているということです。
 子供たちの学ぶ意欲を引き出す一番の方法は、五感を通して体験、経験するということだと思います。今の季節では、田植えの体験授業を取り入れている学校が本当に多いです。田植えでは、子供たちは聞いて、見て、さわってと五感を通して体験することができ、教室に戻れば、その体験を絵にしたり作文にしたりして、さらにはグループディスカッション等にもつながっていきます。
 新聞を授業に活用する意義は、生きた教材を教育に導入することで、私たちが生活している社会で起こっている事件や文化、歴史、社会問題、政治、スポーツなど、さまざまな事象について新聞から得た情報から課題を見つけ、考え、解決する力を培おうという取り組みです。今まさに社会で起こっていることをリアリティーのある形で教育の場に活用することが子供たちの学ぶ意欲をかき立て、もっと知りたい、学びたいという子供たちの好奇心の芽を伸ばしながら学習に取り組むことになると思います。
 また、自分の興味を持ったこと、関心のあることに対して自発的にもっと知りたいと思うことから継続的に新聞を読むことにつながり、思考力、判断力、表現力を育成できる。新聞を活用した授業の結果、子供たちの学ぶ意欲をかきたて教室の雰囲気が一変、主体的に学習に取り組む意欲という学びのスペースが形成されたという、手ごたえをつかんだ先生のお話も伝えられています。
 NIEを導入している学校も県内には幾つかあると聞いていますが、その効果はどのようなものでしょうか。読解力はすべての教科の基礎となるものであり、新聞を読み、活用することは読解力の向上に効果があるものだと考えますが、教育現場における新聞の活用について、教育長のお考えをお聞かせください。
 次に、環境教育の推進についてお伺いします。
 先日の我が家での出来事ですけれども、小学3年生の娘が元気いっぱい帰ってまいりました。いつもなら疲れたという感じですが、その日に限っては機関銃のように私に話をしてくれました。「きょうは学校で出前授業があったんよ。ママ、3Rって知ってる?」と聞かれました。私は、3Rというよりも「出前授業」という言葉のほうが新鮮に感じました。娘の通っている小学校に和歌山市の廃棄物担当課の方が講義に来てくださり、特に3Rについてのお話がわかりやすくて興味を引いたと、娘は本当に得意げに話してくれました。
 そして、その日から我が家では、娘の指揮のもと、リデュース、リユース、リサイクルと3Rの意識が高まり、家族みんなで取り組んでおります。例えば、鉛筆を本当に短くなるまで使うとか、できるだけごみを出さない、食事は残さない、繰り返して使うことのできるものは何度も使う等、自分からできることから頑張って取り組んでいます。学校での出前授業が子供から家庭へとつながり、家庭でも取り組む、いいことだなと本当に実感させていただきました。
 東日本大震災後、テレビ等報道の中で、廃棄物の処理や節電の努力など環境についての問題が幾つも取り上げられていますが、和歌山県では、子供たちに対しての環境教育はどのように位置づけられているのでしょうか。
 小学生の低学年のころからしっかりと環境についての知識を教えてあげることは、本当に大切であると感じます。廃棄物の量やごみの種類、分別のルール、家庭から出るごみの行方など、施設の見学や聞き取り調査で学習を深めたり、また、今回のような専門家による出前授業を通して私たちの生活の安心と安全、健康な生活が良好な環境の維持によって保たれていることを学んでほしいと願います。地球環境、特にCO2の排出削減が重要であると言われている中で、1人1人の環境への意識を高めることが大切であること、小さいことからできることから取り組むという習慣が子供たちに備わってほしいです。
 同時に、ことしの夏は電力不足が取りざたされており、関西電力管内でも15%の節電が求められるとのことです。教育の現場でも節電対策は進んでいることと思いますが、たくさんの電気を消費するエアコンも節電の対象となるのでしょうか。子供たちには、暑い夏になりますと熱中症の危険性も増加します。節電も大切ですが、子供たちの健康にも十分注意を払っていただくよう要望いたします。
 最後に、今回の質問では、西下教育長が就任された直後であることから、教育長にこれからの和歌山県の教育行政に対する抱負をお聞かせいただきたいと考えておりました。しかし、午前中に多田議員から御質問がありましたので、私の次の質問は角度を変えまして、教育長がこれまで教育者として経験してこられたことを振り返ってお答えを聞きたいと思います。
 今の子供たちは、テレビやインターネットなどからいろんな情報、刺激を手軽に手に入れられるような状況で、興味を抱くことがたくさんあり過ぎて、本来の学習に真剣に取り組もうとする意欲がなかなか起きてこないのが実情ではないでしょうか。そうした状況の中で、子供たちに学習に取り組む意欲を起こさせる効果的な方法はないものか、母親である私も大いに悩むところであります。
 教育長の教育者としての豊富なキャリアの中で、いわゆるやる気スイッチを起こさせた経験はたくさんおありだと思いますので、そうした経験を生かした学校現場への指導方法、取り組みがありましたら、ぜひお伺いしたいと思います。
 将来を担う子供たちの可能性、好奇心の芽を十分に引き出し、よりよい教育環境のもとで学ぶ場を子供たちに与えていただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御答弁のほど、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 景観支障防止条例につきましてお答え申し上げます。
 和歌山県内の空き家の状況につきましては、議員御指摘のとおり、増加の一途をたどっております。これらの空き家の中には、適切な維持管理がなされていないものが廃虚化いたしまして、周辺の景観に大きな支障をもたらしているというものが見受けられます。
 特に県民の生活に密着した景観に強く支障を及ぼしているものについては、対策を講ずる必要があるものの、現行法においては、私有財産との関係で有効な手段がない。そこで、今回、景観支障防止条例を提案するものであります。
 効果といたしましては、和歌山県の美しい景観を守っていくのみならず、結果的に、停滞する中心市街地において有効利用されていない土地の流動化あるいは利用、そういうものができることによって、地域の活性化や、あるいはまちづくりの発展にも寄与するものと考えております。条例を適切に運用することにより、住みよい活力のある美しい和歌山となるように努めてまいりたいと思います。
 また、防災の観点からの廃虚対策についてでございますけれども、これにつきましては、景観以上に差し迫った非常に重要な課題と認識しておりまして、議会運営委員会の際にもその旨御指摘をいただいておりまして、これは早急に考えなければいけないという課題だと考えております。
 これについては、差し当たって、いろいろ議論しておりますが、議員御指摘がありましたような例のように、建築基準法というのがありまして、その運用で相当程度対応できるのではないかとも思うのでありますが、例えば何がしか不十分なところがあったら、せっかくノウハウが本条例ででき上がったところでございますので、これを生かして、例えば条例を整備する等々、十分な対策をしていきたいと思います。
 いずれにいたしましても、例えば地震、津波のために逃げなきゃいけないような避難路を、この廃虚のようになった建物が地震のときに崩れてふさぐというようなことはあってはならないと思いますので、それについての対応も十分やってまいりたいと思います。ありがとうございました。
○副議長(前芝雅嗣君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 子供の教育について、1から4までの御質問に対してまとめてお答えさしていただきたいと思います。
 まず、学力につきましては、子供たちが学ぶ楽しさや、きのうできなかったことがきょうできたという達成感を感じさせることが極めて大事でございます。そのためには、各学校においてすべての児童生徒にわかる授業を行うこと、それから教材の工夫や開発、課題の提出方法など、日々の授業を一層充実、工夫することが大事だと考えてございまして、現在、そのことを各学校に指導いたしてございます。
 また、学力向上のためには基本的な生活習慣の定着も重要であることから、「早寝早起き朝ごはん」運動に力を入れ、家庭や地域と連携しながら取り組みを進めてございます。
 体力につきましては、議員御指摘の二極化も認められることから、その改善方策として、体育の授業の指導力をアップさせるための学習研修会や、運動の機会を多くする環境づくりなどを柱とした取り組みを精力的に進めているところでございます。
 また、今年度からきのくにチャレンジランキングを中学生の種目で新たに実施するとともに、各地域や学校の状況に即した紀州っ子体力アッププランの策定など、今後ともさまざまな施策を展開してまいりたいと思ってございます。
 次に、新聞を活用した教育活動につきましては、NIEに取り組んでいる学校において、記事の読み比べを行ったり、それをもとに討論したりする活動を行ってございます。新聞を活用した授業は、児童生徒の学習への興味、関心、意欲を引き出すとともに、言語に関する能力を高める上で一定の効果があり、今後も指導方法の工夫を進めながら、国語力を初めとした学力の向上を図ってまいります。
 環境教育につきましては、県の学校教育指導の基本方針に位置づけ、環境の改善、保全に対して創造的、主体的に働きかける態度や行動力を育てることといたしてございます。児童生徒が身近な環境に関心を持つためには、出前授業や実社会に直接触れる体験などを授業に組み入れることは極めて有効な手だてであると考えてございます。
 今後とも環境保全の意識を高め、3Rや省エネ行動などを実践していける児童生徒を育成してまいります。
 最後に、子供のやる気を引き出すためには、体験活動など本物に触れる学習に加えて、子供や学級の実態に即した学習活動を展開し、わかる喜び、できる喜びを味わわせることが必要だと考えてございます。そのためにも、学校生活のさまざまな場面で友達を信じ、支え合い、励まし合い、磨き合うことができる学校づくりが極めて大事だというふうに考えてございます。
 教育は、未来を語り、若者にあすを託す崇高な営みでございます。私は、すべての子供たちが和歌山の学校で学んでよかったと実感できる教育を目指してまいりたいと思ってございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時2分散会

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