平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 なお、今回の質問は、私にとって通算21回目の一般質問でありますが、本日、今期の6月定例県議会一般質問の初日ということもございまして、午前中質問に立たれました中村議員、また中議員と多少重なる部分もあると思います。そこは御理解いただきまして、改めて県当局の御見解をお尋ねするわけでございますので、何とぞ御答弁のほどよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、質問に入ります。
 東日本大震災発生から100日がたちました。今なお多くの方が避難所生活をされており、宮城県石巻市では死者が3000人を超えております。こうした中、地震対策についてお尋ねをいたします。
 御承知のとおり、本年3月9日、約5426億円の平成23年度当初予算を可決・承認をいたしまして、平成23年度2月定例会は閉会をいたしました。そして、その2日後、3月11日午後2時46分ごろ、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の予想もしなかった津波を伴う巨大地震が発生をいたしました。いわゆる東北地方太平洋沖地震、東日本大震災であります。
 6月17日現在、その死亡者数1万5451名、負傷者5386名、家屋全壊数11万2453棟、家屋半壊数9万703棟、避難者数14万2683名、今もって7692名の安否不明者を出し、時折余震も続いておるわけであります。
 改めまして、この震災によりお亡くなりになられました多くの方々とその御遺族に対し、謹んで哀悼の意を表しますとともに、今も不自由な生活を余儀なくされております被災者の皆様方に心よりお見舞いを申し上げるものであります。
 私は、当時、とにかく大変なことになった、そう感ずるまま統一選挙へと進んでいったわけであります。そして、選挙時においてさまざまな業種の方々とお会いをさせていただくにつけ、そのたびに「地震の影響はなかったですか」とお尋ねをしてきました。ある建具屋さんは、「合板がなかなか入らない」と。また、新和歌浦の旅館に行きますと、「大方キャンセルや」と。建築業では、「仕事が来るが、材料が入ってこない」。また、化学や電子といった関係におきましても、「原材料が入らない」とか、住金関係におきましては、「鹿島に和歌山の従業員を派遣している。向こうも被害を受けた」などなど、切実なお声を多く聞かせていただいたわけであります。
 そして、選挙が終わり次第、とにかく一度被災地に向かいたいと思っていたところ、4月27日から29日まで、宮城県を訪れる機会を得たのであります。中村議員、坂本議員、花田議員、藤山議員、そして私の5名にて、石巻市、名取市、牡鹿郡女川町へと行ってまいりました。
 なお、途中、被災地の1つであります荻浜中学校にて二階衆議院議員出席のもと、株式会社キナンの角口会長が被災地におふろを寄贈されました。その開所式がありましたので、これにも参加をさしていただき、その場で濱口議員ともお会いをしたわけであります。
 さらに、5月24日から26日まで、岩手県、再び宮城県と訪れる機会を得ました。尾崎要二議員、宇治田議員、大沢議員、川口議員、平木議員、岸本議員、そして私の7名にて、岩手県陸前高田市、大船渡市、釜石市を通り、下閉伊郡山田町へと入り、その被災地の現状を見てまいりました。
 5月24日、山田町では、御多忙の中、沼崎町長、佐々木総務課長から、地震の恐怖や当時の状況、救援物資や災害義援金について、また、東海・東南海・南海地震を控え、海岸線が続く和歌山での地震対策について意見等、1時間を超える真剣な議論が続きました。また、それを終え、役場庁舎屋上にて被害状況の説明も受けたわけであります。
 その中で、山田町町長も御自身が自宅を失ったこと、また町職員も被災者になるということや、とにかくまず個人個人が逃げることの大切さ、また防災訓練に何度も参加された人に助かった方が多かったようであるとの発言もいただきました。
 ちなみに、岩手では「津波でんでんこ」という言葉があり、津波が来たら親、兄弟関係なくとにかく逃げるとの意味であり、それぐらい恐ろしいものだというお話をお聞きしたわけであります。
 また、被災地域についても、明治時代に大津波が町を襲い、被害を受けた地域は集落ごと高台に移住をしたわけでありますが、時代の流れで住宅地の確保のため、以前、被害を受けた地域が宅地開発をされ、今回この地域がほとんど被災をされたというお話も賜りました。
 支援物資につきましては、何日もたってから大量の物資を一度にいただくよりも、一日でも早く水、食料、そしてこのときは被災地は雪が降っておったわけでございますけども、暖をとれるもの、そういうものが欲しかったとのことで、まことに本音を聞かせていただいたなあという気がしたわけであります。
 加えて、県庁との連絡も、山田町にある自衛隊駐屯地の方が山田町に来られてようやく連絡がついたとのことであり、特にこのような状態の中、市町村と県との連絡、連携がうまくいかず、大変な思いをしたようであります。
 そして、高速道路が避難地となり、加えて物資や救援部隊が来る、まさに命の道となったことが挙げられておりました。また、別の町では高速道路の盛り土が堤防の役割を果たしたところもあり、宮城県の村井知事も、また山田町の沼崎町長も、この点、同じ点を指摘されておりました。ここで、和歌山県にとっても大きな課題となっております高速道路の重要性を、この震災を通し、改めて強く感じたわけであります。
 町長いわく、「言葉は適切ではないが、とにかく想定外であった。想像を絶する津波であった」、そう語っておられました。
 なお、山田町では地籍調査が完全に済んでおらず、今後のために住宅の基礎、その周りの壁の基礎を残し、また境界のはっきりしない住宅についてはそのままの状態で今後調査をするとのことでありました。
 山田町災害対策本部による当時の被害状況は、次のとおりでありました。遺体収容者数──これは5月22日段階でありますけど──571名、安否不明者296名、避難者数2502名。
 当日、沼崎町長、そして職員の皆様には、大変なときにお世話になりました。その分、向こうで学ばしていただいたことをこの和歌山での地震対策に1つでも多く生かしていかなければならないと痛感をした次第であります。
 5月25日早朝、福島県いわき市で震度5弱の地震があったと聞きました。そんな中、私たちは岩手から宮城に入りました。特に、宮城県石巻市、牡鹿郡女川町では、約1カ月前と比べると復旧は多少進んでいるようにも感じました。
 しかし、依然として被災地における課題は余りにも大きく、生活再建のための仮説住宅の問題や、瓦れきと化した町の復興について、また子育てや就労サポートについて、震災で転校を余儀なくされた生徒の心のケアの問題や不眠症の問題、また、養殖業者を含め水産業の復興、そのための漁港の再編、農業や酪農家の問題、そして復興道路の問題等々、被災から復興に向けての作業はまだまだ道半ばであり、大変だと感じたわけであります。
 そんな中、どこに行っても自衛隊の活躍には目をみはるものがありました。さらに、全国から来られている民間ボランティアの方々、各都道府県職員や県警、消防の方々の御協力、そして何よりも被災された地元の皆さん方が、まずその地元の生活道路をみずからが整理をしていったという御努力が多くの皆さんの心を1つにし、町の復興を目指し懸命に頑張っておられると強く感じた次第であります。
 5月26日午前11時35分発の日本航空で、仙台から伊丹に戻りました。仙台空港もいまだ仮設トイレであり、売店も小さなものが1軒のみ。もちろん、コーヒーショップ等はなく、電気が来ておらず、仮設の機械にて対応。よって、ターミナルビルの中もいささか暗いのが現状でありました。本格稼働は本年9月とのこと。仙台空港の壁には、「がんばろう日本!」、「がんばろう!東北」や「復興へ頑張ろう!みやぎ」という文字を書いた紙や布があちこちに張られておりました。
 和歌山県におきましても、いずれ発生するだろう東海・東南海・南海地震の対策について、改めて見直していかなければならない、そう思いました。長い海岸線に対する津波対策、港湾整備や内陸部における河川、危険ため池対策、急傾斜地等の対策等々、そして何よりも県民1人1人が危機意識を持つことなどの啓発活動も重要性を増し、減災に向け、その課題は山積していると思います。
 和歌山県での「想定外」は許されないと思いました。和歌山県の地震対策に何が必要なのか、もう一度よく考え、県当局と議論をしていかなければならないと痛感をいたしました。今も懸命の努力が続く被災地の一日も早い復興を心よりお祈りを申し上げます。
 なお、この大災害の発生を踏まえ、平成23年和歌山県議会5月臨時会において、「『津波対策の推進に関する法律案』の早期成立を求める意見書」等により、国に対し大規模地震に係る防災・減災対策を強く要望するとともに、本議会におきまして「平成23年東北地方太平洋沖地震に関する決議」等を行ったことは、皆様も御承知のとおりであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 まず、このたびの東日本大震災に関して、どのようなことを感じられたか、その御所見をお伺いいたします。
 次に、被災された皆様の復興を支援するため、短期的あるいは中長期的にどのようにして支援をしていかれるのか。また、東日本大震災を教訓として、本県における地震対策をどのように見直していくのか。減災に向けた取り組みをどのようにしていくのか。また、東日本大震災の県内事業所等への影響については、県のあらゆる窓口を活用し、調査等を行われておるわけでございますが、どのように現況を把握されておられますか。
 また、県内中小企業を対象とした新たな融資制度の資金枠を創設するなど、全庁を挙げて取り組みを進めておられますが、今後どのように対応していかれるのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、危機管理監にお尋ねをいたします。
 県民が大災害から命を守るためには、避難することが大切であります。そのためには、「もしも」を忘れないことや、「のど元を過ぎれば」というようなことのないように、県民1人1人が危機意識を常に持っていることが重要であり、県としては、県民に対し、どのように危機意識の啓発をしていかれるのか、お伺いしたいと思います。
 次に、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 沼崎町長が言われておりましたが、高速道路が避難地となり、救援物資や救援部隊が来るまさに命の道となるとともに、高速道路の盛り土が堤防の役割を果たしていくとのことでありましたが、私は改めて、その重要性と、その高速道路の整備を早く進めていくことが和歌山県にとって大切であると考えます。今後、どのように取り組まれていくのかをお伺いしたいと思います。
 次に、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 このたびの震災において、被災者に対する義援金の給付が遅いことが問題となっておりましたが、私は、本県において、いつか来る大震災時における当座の生活資金を自前で交付することを目的とする、例えば基金のような形のそんなものを新たにつくってはどうかと考えました。この基金なるものを設置いたし、県民に寄附を呼びかけることにより県民の危機意識を向上させるとともに、大災害発生時にはその基金から被災者に当座の生活資金を交付できれば、これは一番いい形ではないかなあと、大変有意義なものであるというふうに考えましたが、このような形をどのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
 次に、がん対策についてお尋ねをいたします。
 去る2月18日、私は国立大学法人群馬大学の重粒子線医学研究センターを訪れる機会があり、医学博士でもある高田邦昭学長、また和泉孝志副学長のお2人から、放射線治療の最先端と思われる重粒子線治療について具体的に学ばしていただきました。
 重粒子線治療とは、重粒子(炭素イオン)を体の外から当て、体の深い部分のがんの病巣だけをねらい撃ちするものであり、ほかの健康な細胞を傷つけることがほとんどないため、体への負担が少なく、また、手術と違い体を切らないので、早く社会復帰ができるというものであります。
 私は、ここで和歌山県の幾つかある課題の1つ、がん対策についてお尋ねをしたいと思います。
 今、この国における死亡原因の第1位であり、3人に1人ががんで死亡しております。皆さん方も御存じだとは思いますが、和歌山県民の中でがんが原因で亡くなる方が多いということであります。
 本年6月9日、この、県が発表されました人口についての資料があるわけなんですけども、余り言いたいことではないのですが、日本の中で和歌山県の男性、肺がんで見るならばトップであります。あと、女性を含め、大腸がん等々、ほとんどが高い位置にあるという現況をここで考えてみたいと思います。なぜがんが多いのかという原因を考える必要があります。
 本県は喫煙率が高いということ──私も、正直たばこを吸うわけでございますけれども──また、検診率が低いということが原因の一端であるかもしれませんが、とにかくその原因を突きとめること。また、本県の実態を把握することは大切でありますが、そのデータが少なく、長期的に調査をする必要があります。
 そこで、1つの形として、例えばがん登録をし、最先端の技術を駆使しながら治療を進めていくことが何よりも大切で急務であると考えます。
 私は、今回あえて具体的な提案をさせていただくのが、この重粒子線治療であります。県立のがんセンターを単独で建てるというのではなく、独立行政法人である和歌山県立医科大学の中にこの重粒子センターを置くことはできないものか。群馬の場合、総額125億円、うち県は20億、前橋市10億、残りの市町村で10億、文部科学省が85億となっておりました。広さは、大体普通の体育館1個分ぐらいでありました。
 スペースや財源等、越えなければならないハードルが幾つかありますが、がんが多い本県にとっては考えるべき課題であり、御検討いただきたいと思います。県のお考えはどうか、お尋ねをいたします。
 次に、介護職員の処遇改善についてお尋ねをいたします。
 高齢化社会が進む現在、介護保険導入時期と比較して、介護サービスを提供する人材の確保は困難になりつつあるとの事業者の声が多く、本県においては近年の不況期においても有効求人倍率が減少し、雇用情勢が悪化しているにもかかわらず、若年就労人口の県外流出が増加しており、福祉人材の確保が非常に難しい状況にあります。一方、高齢化の進行を背景に、介護サービスに対するニーズが増加するとともに、質的にも多様化、高度化してきている状況にあります。
 そうした中で、認知症の方やひとり暮らしの高齢者の増加など、社会生活における介護の重要性はますます高まっており、熱意と専門性を持って介護と向き合う介護従事者なしにはこれからの高齢社会は到底支えられないというところまで来ていると私は思います。
 今般、学校法人立命館が調査研究の実施主体となり、平成22年度において福祉人材安定化に関する調査・研究および人材安定化対策事業を行い、その結果を取りまとめました。
 この事業は、立命館大学と──私も参画をさせていただきましたが──多くの方が協力して連携して行ったものであり、特に県の福祉保健部長寿社会課や教育委員会の御理解と御協力を得て、県内の事業所や高等学校にアンケート調査を行ったものであります。アンケート調査の回収率は高く、多くのデータを得るとともに、率直な意見を聴取することができ、有意義な報告書にまとめることができました。これもひとえに、福祉保健部長寿社会課と教育委員会の御協力によるものであり、心から感謝をいたすものであります。
 さて、この報告書によりますと、高校生を対象とした調査におきましては、介護保険制度の認知は低く、介護分野に就職したいと思う者は全体の1.6%しかなく、その原因は、自分のやりたい仕事ではない、体力的にきつい、休みが少ない、給料が安いというものでありました。
 また、介護や看護等に就業されている方を対象とした調査におきましては、離職を経験した介護職員が多いこと、その離職理由は、結婚・出産のため、また給料が安いためというものであります。その一方で、介護職の志望理由は、やりたい仕事だから、働きがいのある仕事だからというのが多くなっております。
 その結果、未就業者におきましては、介護に対するイメージの確立、介護業界と教育機関との連携、介護サービス関係者の役割に取り組む必要があり、また就業者調査におきましては、職場環境の整備、多様なキャリアへの方策に取り組む必要があると考察をされております。
 また、この報告書に基づき、私がパネリストを務め、「介護人材の未来~今我々が取り組むべき課題は」をテーマにしたシンポジウムが、第17回和歌山県介護老人保健施設大会という形において3月12日に開かれることになっておりましたが、先ほど申しました東日本大震災により中止となりました。私といたしましては、このシンポジウムにおいて議論した上で御質問する予定でありましたので、非常に残念に思います。
 さて、県として介護分野における人材確保を図るためには、介護職員の処遇改善等が重要かつ喫緊の課題であると思います。
 そこで、まず福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 介護職員の処遇改善について、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
 また、続いて教育長にお尋ねをいたします。
 この報告書をごらんになっていただきまして、どのようなことを感じられましたでしょうか。また、高校生等に対して介護に対する正しい知識や理解を深めるため、今後どのような取り組みをされていくのかをお伺いいたしたいと思います。
 最後であります。障害者への自立支援についてお尋ねをいたします。
 現在、国会では障害者基本法の抜本改正に向けた議論が進められております。続いて、障害者自立支援法にかわる総合的な福祉法の制定、さらには障害者差別禁止法の制定が予定されており、障害者の福祉制度は大きな節目を迎えようとしております。
 そのような中で、私は、去る6月12日に和歌山市障害児者父母の会の総会に出席をいたしました。その際、壁に掲げられたスローガンが何年たっても減っていかない、この状態を見るたびに障害者が自立することの難しさを痛感いたしました。また、障害者のお父さん、お母さんからは、私たちが高齢者になり、障害のある我が子を世話できなくなったとき、我が子の将来が不安で仕方がないと、悲痛な声をお聞かせいただきました。
 このような御家族の不安をなくすためにも、障害者への自立支援は重要な課題であり、障害のある方が地域において自立した生活をするためには、経済面における就労支援や生活面における地域生活支援に取り組むことが必要であると考えます。
 私は、以前障害者雇用を目的に設立された東京にあるスワンベーカリーにおいて、障害のある方々が生き生きとした顔をして働いておられる姿を見、障害者への就労支援の重要性を強く感じました。また、以前、長崎県の雲仙市において障害のある方が地域で自立した生活をしているのを見て、グループホームの整備と地域住民の障害者への理解が重要であることを実感いたしました。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 障害者への就労支援や生活支援、また地域住民への正しい理解を深めるために、今後どう取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 以上、被災地支援と本県における地震対策並びに経済対策について6点、医療、福祉について3点お尋ねをいたしました。何とぞ誠意ある御答弁をお願いいたし、1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、東日本大震災に対する所見でございます。
 東日本大震災の津波による甚大な被害を思うとき、我が県の置かれている状況と重ねて考えますと、背筋が凍る思いがいたします。被災地では、今なお避難所生活を強いられている方が多数おられる状況であり、復興に向けた取り組みもまだまだこれからで、本県としても全力で支援していかなければならないと考えております。
 一方、今回の想定をはるかに超えた津波の猛威を目の当たりにした今、我々がなすべきことは東海・東南海・南海地震への備えに万全を期すことと考え、スピード感をもって取り組み、特に総点検を急いでやるということが重要であると考えております。
 被災地に対する支援と今後の地震対策についてでございます。
 関西広域連合として、カウンターパート方式によりまして、人的支援、物的支援、義援金や被災者受け入れなど、効率的に支援を行ってきたところであります。現在も、医療チームや保健師の派遣、土木職員の長期派遣等、人的支援を中心に行っており、引き続き被災地のニーズに合わせた的確な支援を図ってまいります。
 一方、我が県民の命と安全を守るということは一番大事なことであります。今回の大地震を受けて、現在、防災・減災対策の緊急点検を行っております。数々の検討対策項目につきましては、地震・防災対策総点検専門家会議を設置し、御助言をいただきながら進めているところであります。
 避難対策や情報通信確保面は重要な検討項目であり、震災時の迅速、適切な避難行動を促すため、避難場所の見直しや県民1人1人に避難場所を自覚していただけるよう避難カードを配布する等、市町村とともに取り組んでまいります。
 また、県と市町村の通信確保を含む防災行政無線等については、震災時にもその機能を維持できるよう、浸水対策や電源確保等の緊急点検に市町村とともに取り組んでいるところであります。
 次に、本県経済への影響と今後の対策についてでございます。
 東日本大震災の本県経済への影響につきましては、産業別担当者制度を活用し調査等を行った結果、震災直後は、原材料、部品・部材の調達が困難になったことや、首都圏などによる売り上げの減少等で化学、電気・電子、家具・建具、繊維などの業界を中心に影響が出ておりました。現在は、代替品の調達や生産の復旧によりやや落ちつきを取り戻しておりますけれども、今後、電力事情やサプライチェーン復旧の見通しなどの懸念要因により、県内経済は厳しい状況が続いていくものと考えております。また、県内の主な観光地の宿泊予約や海外観光客の落ち込みなど、観光業界は大きなダメージを受けた、そういうものだと考えております。
 私は、このような事態に対応するため、世界不況に伴い設置いたしました緊急経済対策本部の取り組みを適用するなどの全庁的な対応を行っているところであります。
 具体的には、県内中小企業者等に対し、業況の把握に努めるとともに、震災により間接的な被害を受けた事業者に対する新たな融資制度を創設するなど、金融対策の充実や県内輸出事業者への支援などに取り組んでいるところであります。
 また、被災地域の企業並びに雇用者への支援といたしまして、被災企業の事業継続のため、本県への誘致制度の創設をいたしました。通常は、このような優遇策は、投資をされた後、よそへ移ってしまわれたら困るということでその制度設計をしておりますけれども、今回は被災地の特例にかんがみまして、落ちついたら帰ってもよいという前提で優遇策を考えているところでございます。
 また、求職者対策として「和歌山で働きませんか」プロジェクトの活用を呼びかけ、特に予算措置による助成を伴う、「農業をしませんか」、「『和』の仕事人になろう」事業については、それぞれ20名、30名の追加募集を行ったところであります。
 今後とも、支援の迅速な取り組みを行うとともに、必要に応じ国等の支援を要請するなど、全力で取り組んでまいる所存であります。
○副議長(前芝雅嗣君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 危機意識の啓発についての御質問にお答えいたします。
 危機意識の啓発については多角的に取り組むことが重要であり、防災無線のサイレンの周知徹底やエリアメールの導入のPRなどによる津波情報への関心を高める取り組みのほか、避難カードの配布を通して避難の必要性についての意識を常に持っていただくよう、市町村と連携して取り組んでまいります。
 また、各種の防災訓練への参加を呼びかけるとともに、紀の国防災人づくり塾による地域防災リーダーの育成、耐震化、家具固定などの県民減災運動の推進、「出張!県政おはなし講座」での一般県民への危機意識の啓発等に引き続き取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 地震対策における道路整備についてでございますが、さきの東日本大震災では、高速道路から被災地にくしの歯形の救援ルートを確保したことが、迅速な救援活動に効果を発揮しました。さらに、高速道路そのものが一時避難場所となり、また堤防の役割を果たしたことなどから、改めて大規模災害時における高速道路の有用性が認識されたところでございます。
 本県におきましても、東海・東南海・南海地震に伴う地震・津波により国道42号が寸断され、沿岸部の各所が陸の孤島となることが想定されます。緊急避難や救援活動に命の道となる高速道路は不可欠であります。このため、近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周の早期実現と京奈和自動車道の早期整備を国に働きかけるとともに、X軸や川筋ネットワーク道路等と合わせた幹線道路ネットワークの形成に取り組んでまいります。
 また、高速道路を避難場所として活用することなどについても、国や関係機関に働きかけてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 4点の御質問についてお答えいたします。
 まず、本県の大災害時における当座の生活資金を交付するための基金設置についてでございますが、東日本大震災の発生を受け、県では3月14日から災害義援金の受け付けを開始し、6月20日現在約3億8000万円の義援金をお寄せいただいておりますが、既に3億円を岩手県、宮城県、福島県の3県にお送りしたところでございます。
 一方、日本赤十字社等に寄せられた義援金の配分状況を見ますと、市町村への送金額に占める被災者への配分額は6月3日現在51.1%にとどまっており、被災者への義援金の支給がなかなか進んでいない状況にあります。
 こうした状況を踏まえると、被災者に当座の生活資金をいかに迅速にお届けするかが課題であると認識しており、また、県民の皆様に日ごろから災害に備える意識を高めていただくことも大変大事なことであると考えておりますので、議員御提案の基金の創設を含め、どのような方法が考えられるか研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、がん対策についてですが、本県のがんによる死亡率は、全国的に見ても高齢化が進んでいることもあり、高い水準が続いています。そのため、県がん対策推進計画でがんによる死亡率の減少を目標に掲げ、総合的ながん対策を推進しています。
 具体的には、死亡率低減効果があると言われるがん検診の受診率向上に向け、企業と連携した受診促進活動を行うとともに、未受診者の掘り起こしのための検診を行う市町村に対して支援を行っています。また、がん診療対策の充実に向けては、がん診療連携拠点病院等の機能強化に対する支援を行い、質の高いがん診療を受けることができる体制整備を進めているところであります。さらに、今年度から地域がん登録を開始し、がん罹患率や治療等、県内のがん患者の状況を把握・分析して、今後のがん対策に活用してまいります。
 議員御提言の重粒子治療線については、体の深部のがんに集中的にダメージを与えることから高い治療効果が期待でき、また従来の放射線治療に比べて副作用は少なく、治療期間も短くなることから、早期社会復帰が可能といった長所があると認識をしております。現在のところは、治療費用や建設・運営費用、専門的知識を有する医師の確保等の課題もございます。県といたしましては、まずは医大を初めとするがん拠点病院等で実施している放射線治療について、その高度化を図る余地があるものと考えておりますが、重粒子線治療はさらにその先を行く先進的な治療であると認識しておりますので、先例を参考とするなど、研究してまいりたいと考えております。
 次に、介護職員の処遇改善についてですが、御紹介のありました介護人材確保を目的とした県内の高校生及び介護職員等に対する調査は今までにはなかったものであり、取りまとめられた結果については、貴重な資料として今後の参考とさせていただきたいと考えております。
 また、引き続き今年度はアクションプログラムの策定に取り組まれると聞いております。その成果にも、大いに期待しているところでございます。
 介護人材の確保に当たっては、県民の介護の仕事に対する理解と認識を深めるとともに、介護サービスへの県民の評価を一層高めていくことが重要です。そのためには、介護職員の技術や専門性の向上に加え、職場環境の整備などが何よりも大切であると考えています。
 県では、新規就業を支援する事業や就職相談会、介護体験教室などを実施するとともに、専門的な研修を充実させることで良質なサービスを提供することはもとより、介護職員が仕事にやりがいを感じ、職場に定着できるよう支援しているところです。また、あわせて、介護職員の処遇改善のため、平成21年度から国の介護職員処遇改善交付金を活用し、賃金引き上げのための資金を交付しておりますが、今年度限りの措置となっていることから、来年度以降も引き続き実施されるよう、国に対して要望しているところです。
 県としましては、依然として介護分野の人材不足が続いていることを踏まえ、県内事業者や関係団体、教育委員会等と一緒になって、介護の職場で働いておられる方や介護職を志す方が希望を持ち安心して就労できるように全力を挙げて支援してまいりたいと考えております。
 最後に、障害者への自立支援についてですが、県では紀の国障害者プランに基づき、障害のある方の自立した生活を支援するため、福祉施設における工賃アップに取り組んでおり、経営支援や商品開発、販路開拓等の専門家派遣やコーディネートなどを実施した結果、平均工賃は全国で8位の水準まで押し上げることができたところであります。
 一般就労への支援につきましても、福祉部局と労働部局が連携し、地域の就労支援の拠点機関となる障害者就業・生活支援センターを、本年4月から従来の6カ所に加え、新たに海草圏域にも設置するなど、県内全域で就労面及び生活面における一体的な支援体制の充実を図っております。
 また、障害のある方が地域で安心して暮らせることができるよう、グループホーム等の居住の場の確保に取り組んでおり、新築や改修による施設整備を促進するとともに、利用者への支援の質の向上を図るため、世話人や支援員を対象とした研修会を継続的に開催しているところです。さらに、地域の方々の障害への正しい理解と認識を深めるため、心のバリアフリーにも力を入れてまいります。
 県としましては、障害のある方やその御家族が将来にわたり安心して地域で暮らすことのできる社会の実現に向け、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の報告書につきましては、県教育委員会としましても深い関心を寄せてございます。
 この報告書を見ますと、高校生は介護職に対して重労働や低賃金などといったイメージを持っており、実際に介護職を希望している生徒が少ないという実情がよくあらわれていると感じました。高齢化や核家族化が進む中、高校生にとっても介護を身近な問題ととらえる必要があり、介護の大切さを感じ取らせるとともに、この仕事の内容を正しく理解していくことが重要であると思います。
 教育委員会といたしましては、このたびの報告書の結果を踏まえ、教職員のみならず、生徒に対しても介護職への理解を一層深めさせるとともに、福祉保健部を初めとした関係機関と連携し、体験活動や出前授業等を積極的に取り入れるなど、創意工夫しながら介護に関する学習の質を高めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ